JP2023028088A - バルク波共振子および帯域通過フィルタ - Google Patents

バルク波共振子および帯域通過フィルタ Download PDF

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卓美 尾崎
Takumi Ozaki
洋 長谷川
Hiroshi Hasegawa
浩紀 兼平
Hironori Kanehira
和弘 八木橋
Kazuhiro Yagihashi
僖良 中村
Yasuyoshi Nakamura
治 江口
Osamu Eguchi
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Abstract

【課題】バルク波のスプリアスを抑制する。【解決手段】バルク波共振子は、バルク波を用いたバルク波共振子であって、支持基板と、音響インピーダンスが異なる複数種類の誘電体が前記支持基板上に積層された音響反射膜と、前記音響反射膜上に積層された圧電層と、前記圧電層における前記音響反射膜とは反対側の面である第1面上に間隔を空けて対向配置され、前記バルク波を前記圧電層に発生させる電圧が印加される第1電極および第2電極と、前記圧電層の前記第1面に対して平行な方向のうち、前記第1電極と前記第2電極とが対向する方向を第1方向としたとき、前記圧電層の前記第1面上において、前記第1電極および前記第2電極が配置される電極エリアの前記第1方向の外側に配置される吸音材と、を備え、前記圧電層における前記音響反射膜側の面である第2面には電極が配置されていない。【選択図】図34

Description

本発明は、バルク波共振子および帯域通過フィルタに関する。
例えば、特許文献1には、上下の電極間に圧電層が挟まれた構造のバルク波共振子(FBAR:(Film Bulk Acoustic Resonator))が開示されている。かかるバルク波共振子では、下電極と支持基板との間にキャビティ(空間)が形成されることがある。
特許第5190841号公報
無線通信の周波数が高周波数になるに連れ、高周波数の通過帯域を有する帯域通過フィルタの実現が望まれている。このような帯域通過フィルタを実現するために、共振周波数が比較的高いバルク波共振子の実現が望まれている。そして、そのようなバルク波共振子において、バルク波共振子の内部で発生させるバルク波のスプリアスを抑制することが望まれている。
そこで、本発明は、バルク波のスプリアスを抑制することが可能なバルク波共振子および帯域通過フィルタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、
バルク波を用いたバルク波共振子であって、
支持基板と、
音響インピーダンスが異なる複数種類の誘電体が前記支持基板上に積層された音響反射膜と、
前記音響反射膜上に積層された圧電層と、
前記圧電層における前記音響反射膜とは反対側の面である第1面上に間隔を空けて対向配置され、前記バルク波を前記圧電層に発生させる電圧が印加される第1電極および第2電極と、
前記圧電層の前記第1面に対して平行な方向のうち、前記第1電極と前記第2電極とが対向する方向を第1方向としたとき、前記圧電層の前記第1面上において、前記第1電極および前記第2電極が配置される電極エリアの前記第1方向の外側に配置される吸音材と、
を備え、
前記圧電層における前記音響反射膜側の面である第2面には電極が配置されていない、バルク波共振子が提供される。
前記第1電極および前記第2電極に対する電圧の印加により、前記圧電層の内部に前記第1方向の平行電界励振による厚みすべり振動を発生させ、前記厚みすべり振動による前記第1方向の前記バルク波をメインモードとして用いるようにしてもよい。
前記圧電層と前記支持基板との間に空間が形成されることなく、前記圧電層が前記音響反射膜を介して前記支持基板に支持されるSMR型のバルク波共振子であるようにしてもよい。
前記第1電極上に配置される第1負荷と、
前記第2電極上に配置される第2負荷と、
をさらに備えるようにしてもよい。
前記第1負荷における前記第2電極とは反対側の端面が、前記第1電極における前記第2電極とは反対側の端面に合うように、前記第1負荷が配置され、
前記第2負荷における前記第1電極とは反対側の端面が、前記第2電極における前記第1電極とは反対側の端面に合うように、前記第2負荷が配置されるようにしてもよい。
前記圧電層における前記第1電極および前記第2電極が配置される面上に、前記第1電極と前記第2電極とが対向する第1方向に対して交差する第2方向に対向配置される第1抑制電極および第2抑制電極をさらに備え、
前記第1抑制電極および前記第2抑制電極は、前記第1電極と前記第2電極との隙間を挟みこむように前記第2方向に対向配置されるようにしてもよい。
前記吸音材の弾性係数は、前記圧電層の弾性係数よりも小さいようにしてもよい。
前記吸音材の前記第1方向の幅は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離の2.5倍以上であるようにしてもよい。
前記第1電極および前記第2電極は、前記第1方向において互いに重なる部分を有さず、
前記第1電極および前記第2電極は、IDT電極を構成しないようにしてもよい。
前記第1電極は、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる複数の第1電極指を有し、
前記第2電極は、前記第2方向に延びる複数の第2電極指を有し、
前記第1電極指と前記第2電極指は、前記第1方向に間隔を空けて交互に配置され、かつ、相互に対向配置され、
前記第1電極指と前記第2電極指とのピッチPと、前記第1電極指および前記第2電極指の電極指幅Wとは、下記式(1)を満たすようにしてもよい。
P/W≧1.5 ・・・(1)
前記圧電層は、圧電材料の単結晶のY軸に直交する面を少なくともX軸を中心軸として回転した面を主面とする圧電基板からなるようにしてもよい。
前記圧電層は、タンタル酸リチウムの単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として80°~160°の範囲内で回転し、さらに当該回転された面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で回転した面を主面とする圧電基板からなるようにしてもよい。
前記圧電層は、ニオブ酸リチウムの単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として60°~170°の範囲内で回転し、さらに当該回転された面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で回転した面を主面とする圧電基板からなるようにしてもよい。
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、
上記バルク波共振子を複数備える、帯域通過フィルタが提供される。
複数の前記バルク波共振子がラダー型に接続されるようにしてもよい。
複数の前記バルク波共振子がラティス型に接続されるようにしてもよい。
本発明によれば、バルク波のスプリアスを抑制することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るバルク波共振子の構成を示す概略断面図である。 第1実施形態に係るバルク波共振子の概略平面図である。 第1実施形態に係るバルク波共振子の平行電界励振厚みすべり振動を説明する概略図である。 第1実施形態に係るバルク波共振子の共振周波数と圧電層の厚さとの関係を例示するグラフである。 カット角の定義を説明する図である。 圧電層にタンタル酸リチウムを適用する場合におけるカット角の設定範囲を説明する図である。 LTにおける角度θと平行電界励振厚みすべり振動X方向伝搬の電気機械結合係数Kの関係を示す図である。 LTにおける角度θと温度特性(TCF)の関係を示す図である。 LTにおける角度θが96°のときの角度φと電気機械結合係数Kの関係の一例を示す図である。 LTにおける角度θが96°のときの角度φと温度特性(TCF)の関係を示す図である。 圧電層にニオブ酸リチウムを適用する場合におけるカット角の設定範囲を説明する図である。 LNにおける角度θと電気機械結合係数Kの関係を示す図である。 LNにおける角度θと温度特性(TCF)の関係を示す図である。 LNにおける角度θが75°のときの角度φと電気機械結合係数Kの関係の一例を示す図である。 LNにおける角度θが75°のときの角度φと温度特性(TCF)の関係を示す図である。 本発明の第3実施形態に係るバルク波共振子の構成を示す概略断面図である。 第3実施形態に係るバルク波共振子の概略平面図である。 第1負荷および第2負荷を設けていない比較例(第1実施形態)のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。 第1負荷および第2負荷を設けた第3実施形態のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。 本発明の第4実施形態に係るバルク波共振子の構成を示す概略断面図である。 第4実施形態に係るバルク波共振子の概略平面図である。 第1抑制電極および第2抑制電極を設けていない比較例(第1実施形態)のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。 第1抑制電極および第2抑制電極を設けた第4実施形態のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。 第1実施形態のバルク波共振子を複数備える帯域通過フィルタの一例を示す回路図である。 第1バルク波共振子および第2バルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。 帯域通過フィルタの信号の周波数特性の一例を示す図である。 図26の破線で囲まれた部分の部分拡大図である。 第1実施形態のバルク波共振子を複数備える帯域通過フィルタの他の一例を示す回路図である。 図29は、本発明の第7実施形態に係るバルク波共振子の構成を示す概略断面図である。 図30は、同実施形態に係るバルク波共振子の概略平面図である。 図31は、P/Wに対する電気機械結合係数Kの一例を示す図である。 図32は、P/Wに対するレスポンスの一例を示す図である。 図33は、本発明の第8実施形態に係るバルク波共振子の構成を示す概略断面図である。 図34は、同実施形態に係るバルク波共振子の概略平面図である。 図35は、吸音材が配置されていない比較例のバルク波共振子の作用を説明する概略平面図である。 図36は、吸音材が配置されている第8実施形態のバルク波共振子810の作用を説明する概略平面図である。 図37は、吸音材が配置されていない比較例のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。 図38は、第8実施形態のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。 図39は、第8実施形態のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の他の例を示す図である。 図40は、第8実施形態の変形例に係るバルク波共振子の構成を示す概略平面図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係るバルク波共振子10の構成を示す概略断面図である。図2は、同実施形態に係るバルク波共振子10の概略平面図である。バルク波共振子10は、支持基板12、音響反射膜14、圧電層16、第1電極18および第2電極20を含む。バルク波共振子10は、支持基板12上に音響反射膜14が積層され、音響反射膜14上に圧電層16が積層され、圧電層16上に第1電極18および第2電極20が設置されて構成されている。
支持基板12は、平板状に形成される。支持基板12は、音響反射膜14、圧電層16、第1電極18および第2電極20を支持する。支持基板12は、例えば、シリコン(ケイ素)の単結晶で形成される。なお、支持基板を形成する材料は、シリコンの単結晶に限らず、圧電層16等を適切に支持できるものであればよい。
音響反射膜14は、支持基板12上に積層される。音響反射膜14は、音響インピーダンスが異なる複数種類の誘電体が交互に積層されたものである。
音響反射膜14は、第1誘電体層22および第2誘電体層24を含む。音響反射膜14は、支持基板12から圧電層16に向かって、第1誘電体層22、第2誘電体層24の順に、交互に積層される。図1の例では、第1誘電体層22および第2誘電体層24は、例えば、4層ずつ交互に積層されている。なお、第1誘電体層22および第2誘電体層24の積層数は、4層ずつに限らず、少なくとも1層ずつあればよい。また、音響反射膜14は、2種類の誘電体(第1誘電体層22および第2誘電体層24)が積層される態様に限らず、3種類以上の誘電体が積層されてもよい。
音響反射膜14の最下層の第1誘電体層22の底面は、支持基板12の上面に接触している。音響反射膜14の最上層の第2誘電体層24の上面は、圧電層16に接触している。第2誘電体層24の音響インピーダンスは、第1誘電体層22の音響インピーダンスおよび圧電層16の音響インピーダンスと異なる。
圧電層16は、音響反射膜14における最上層の第2誘電体層24上に積層される。圧電層16は、薄膜状に形成された圧電体からなる。
圧電層16は、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO)の単結晶またはニオブ酸リチウム(LiNbO)の単結晶などで形成される。このように、圧電層16は、単結晶タイプの圧電層であり、薄膜タイプの圧電層ではない。なお、圧電層16は、焦電処理、Feドープ処理およびMgドープ処理のうち少なくともいずれかの処理がなされたタンタル酸リチウムの単結晶、または、上述の処理のうち少なくともいずれかの処理がなされたニオブ酸リチウムの単結晶であってもよい。また、圧電層16は、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムに限らず、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛(ZnO)、水晶、C軸が傾いた圧電体など、その他の圧電体で形成されてもよい。
圧電層16は、上面16a(第1面)および下面16b(第2面)を有する。上面16aおよび下面16bは、圧電層16の主面であり、大凡、平面となっている。圧電層16の2つの表面(上面16aおよび下面16b)のうち下面16bは、音響反射膜14(具体的には、第2誘電体層24)と接触している。つまり、圧電層16の下面16bは、音響反射膜14側の面であり、圧電層16の上面16aは、音響反射膜14とは反対側の面である。圧電層16の上面16aは、圧電層16における音響反射膜14とは反対側の面である第1面に相当する。圧電層16の下面16bは、圧電層16における音響反射膜14側の面である第2面に相当する。
第1電極18および第2電極20は、圧電層16の上面16aに配置される。換言すると、第1電極18および第2電極20は、圧電層16における音響反射膜14とは反対側の第1面(上面16a)上に配置される。第1電極18および第2電極20は、それぞれ圧電層16に接触している。第1電極18および第2電極20は、互いに間隔を空けて対向配置される。第1電極18および第2電極20は、例えば、長方形の平板状に形成され、第1電極18の1辺と第2電極20の1辺とが対向する。
以後、バルク波共振子10において、第1電極18および第2電極20の対向方向をX方向と呼ぶ場合がある。また、圧電層16の厚さ方向をY方向と呼ぶ場合がある。また、X方向およびY方向にそれぞれ垂直に交差する方向をZ方向と呼ぶ場合がある。X方向は、圧電層16の第1面に対して平行な方向のうち、第1電極18と第2電極20とが対向する方向である第1方向に相当する。Z方向は、圧電層16の第1面に対して平行な方向のうち、第1方向に対して垂直に交差する第2方向に相当する。
第1電極18および第2電極20は、例えば、圧電層16に接触する下層と、下層上に積層される上層とから形成されてもよい。第1電極18および第2電極20の上層は、例えば、導電率が比較的高い金(Au)で形成される。第1電極18および第2電極20の下層は、例えば、チタン(Ti)で形成され、上層を圧電層16に適切に固定するバッファとして機能する。なお、第1電極18および第2電極20の材料は、金およびチタンに限らず、導電性を有する任意の材料を使用可能である。
バルク波共振子10では、圧電層16における音響反射膜14とは反対側の面(上面16a)のみに第1電極18および第2電極20が配置されており、圧電層16における音響反射膜14側の面(下面16b)には電極が配置されていない。
第1電極18と第2電極20との間には、電圧が印加される。第1電極18と第2電極20との間に電圧が印加されると、圧電層16に電圧がかかり、圧電層16に平行電界厚みすべり振動が発生する。
図3は、第1実施形態に係るバルク波共振子10の平行電界励振厚みすべり振動を説明する概略図である。図3では、圧電層16付近の断面を示している。バルク波共振子10では、上述のように、第1電極18と第2電極20とが共通の面に配置されている。第1電極18と第2電極20との間に電圧を印加すると、圧電層16にかかる電界の方向は、概ねX方向と一致する。つまり、圧電層16の上面(主面)に対して平行に電界を印加することで、平行電界励振を発生させる。このX方向の平行電界励振により、圧電層16には、X方向に変位を持つTSモードの厚みすべり振動(平行電界励振厚みすべり振動)が発生する。
厚みすべり振動が発生すると、圧電層16内にTSモードのバルク波(BAW:Bulk Acoustic Wave)が発生する。このTSモードの厚みすべり振動によるバルク波は、変位がX方向であり、第1面から第2面に向かって伝搬する。バルク波共振子10は、圧電層16に発生するTSモードのバルク波を用いた共振子である。つまり、バルク波共振子10は、第1電極18および第2電極20に対する電圧の印加により、圧電層16の内部にX方向の平行電界励振による厚みすべり振動を発生させ、厚みすべり振動によるX方向のバルク波をメインモードとして用いる。換言すると、X方向に変位を持ち、第1面から第2面に向かって伝搬する厚みすべり振動によるバルク波をメインモードとして用いる。このように、本実施形態に係るバルク波共振子10のメインモードは、X方向の平行電界励振による厚みすべり振動(TSモード)であり、Y方向の垂直電界励振による厚み縦振動(TEモード)ではない。これに対し、従来のFBARのメインモードは、Y方向の垂直電界励振による厚み縦振動(TEモード)である。また、従来のSAW(Surface Acoustic Wave)のメインモードは、圧電層の表面を伝わる表面弾性波である。したがって、本実施形態に係るバルク波共振子10と、従来のFBARやSAWとの間では、振動のメインモードの方向や特性が相違する。
図4は、第1実施形態に係るバルク波共振子10の共振周波数と圧電層16の厚さとの関係を例示するグラフである。バルク波共振子10の共振周波数は、第1電極18と第2電極20との間のインピーダンスが急峻に低下するときの第1電極18と第2電極20との間の電圧の周波数に相当する。図4で示すように、バルク波共振子10では、圧電層16の厚さを薄くするに従って共振周波数を高くすることができる。
図1に戻り、音響反射膜14の第1誘電体層22および第2誘電体層24の具体例を示す。第1誘電体層22は、音響インピーダンスが第2誘電体層24に対して相対的に高くなっている。換言すると、第2誘電体層24は、音響インピーダンスが第1誘電体層22に対して相対的に低くなっている。また、第2誘電体層24は、音響インピーダンスが圧電層16に対して相対的に低くなっている。つまり、第1誘電体層22と第2誘電体層24とでは、音響インピーダンスの差が所定値以上となっている。また、第2誘電体層24と圧電層16とでは、音響インピーダンスの差が所定値以上となっている。
音響反射膜14は、第1誘電体層22および第2誘電体層24によって、音響インピーダンスの高低が1層毎に交互に変化する音響ブラッグ反射器を構成している。このため、圧電層16のバルク波は、音響反射膜14の各層の界面、および、圧電層16と音響反射膜14との界面において圧電層16側に反射される。
例えば、第1誘電体層22は、窒化アルミニウム(AlN)またはアルミナ(Al)で形成されてもよい。第2誘電体層24は、シリカ(SiO)で形成されてもよい。なお、第1誘電体層22および第2誘電体層24は、例示した物質に限らず、音響インピーダンスが適切な任意の物質で形成されてもよい。
第1誘電体層22の厚さ(層厚)は、第1誘電体層22中(つまり、第1誘電体層22を形成する物質中)でのバルク波(音波)の長さ(波長λ)の4分の1としてもよい。同様に、第2誘電体層24の厚さ(層厚)は、第2誘電体層24中(つまり、第2誘電体層24を形成する物質中)でのバルク波(音波)の長さ(波長λ)の4分の1としてもよい。波長λは、バルク波共振子10の共振周波数f0に関連している。このため、第1誘電体層22の厚さおよび第2誘電体層24の厚さは、バルク波共振子10の所望の共振周波数f0に基づいて適宜設定されてもよい。
以上のように、第1実施形態のバルク波共振子10は、支持基板12上に音響反射膜14が積層され、音響反射膜14上に圧電層16が積層されている。つまり、第1実施形態のバルク波共振子10は、圧電層16と支持基板12との間にキャビティ(空間)が形成されることなく、圧電層16全体が音響反射膜14を介して支持基板12に支持されるSMR(Solidly Mounted Resonator)型のバルク波共振子である。このため、第1実施形態のバルク波共振子10では、圧電層16を音響反射膜14および支持基板12によって堅牢に支持することができる。その結果、第1実施形態のバルク波共振子10では、上下の電極間に圧電層16が挟まれる比較例のバルク波共振子(FBAR)に比べ、圧電層16の厚さを薄くしても圧電層16の破損を防止できる。
そして、第1実施形態のバルク波共振子10では、圧電層16の破損を防止しつつ圧電層16を薄くすることができるため、共振周波数を高周波とすることが可能となる。
また、第1実施形態のバルク波共振子10は、音響反射膜14上に圧電層16が積層されている。このため、第1実施形態のバルク波共振子10では、圧電層16を支持基板12から音響的に分離することができ、エネルギー損失を抑制することができる。
また、第1実施形態のバルク波共振子10は、圧電層16における音響反射膜14とは反対側の面(上面16a)上に2個の電極(第1電極18および第2電極20)が配置されている。つまり、第1実施形態のバルク波共振子10は、圧電層16における音響反射膜14側の面(下面16b)には電極が配置されていない。このため、第1実施形態のバルク波共振子10では、比較例のバルク波共振子に比べ、圧電層16と支持基板12との間に電極(所謂、下電極)を設ける工程を省略できるため、バルク波共振子10の製作を簡略化することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るバルク波共振子について説明する。第2実施形態では、第1実施形態のバルク波共振子10の圧電層16に適用される圧電体の結晶のカット角の範囲を詳細に設定する。
図5は、カット角の定義を説明する図である。図5におけるX、YおよびZは、結晶のX軸、Y軸およびZ軸に対応する。X軸およびZ軸で形成される面は、Y面A10と定義される。図5では、Y面A10に沿った仮想の平板を、一点鎖線A12で示している。
カット角は、Y面A10の姿勢を回転させる角度を示す。角度θは、X軸周りの角度を示す。角度θは、X軸の正方向に右ネジが進むとした場合の右ネジの回転方向を正方向とする。また、角度φは、Z軸周りの角度を示す。角度φは、Z軸の正方向に右ネジが進むとした場合の右ネジの回転方向を正方向とする。
図5では、一点鎖線A12の平板をX軸周りに任意のθ度だけ回転させた後の平板を、二点鎖線A22で例示している。つまり、二点鎖線A22で示される面A20は、Y面A10をX軸周りに任意のθ度だけ回転させた後の面に相当する。なお、Y面A10を一方向(θ方向)に回転させることを1回回転と呼ぶ。
また、図5では、二点鎖線A22の平板をZ軸周りに任意のφ度(例えば、φ=45°)だけ回転させた後の平板を、実線A32で例示している。つまり、実線A32で示される面A30は、二点鎖線A22で示される面をZ軸周りに任意のφ度だけ回転させた後の面に相当する。換言すると、面A30は、Y面A10をX軸周りにθ度回転し、かつ、Z軸周りにφ度回転した後の面に相当する。なお、Y面A10を二方向(θ方向およびφ方向)に回転させることを2回回転と呼ぶ。
例えば、角度θおよび角度φを設定することで、Y面A10に対応する面が面A30となったとする。この場合、結晶は、面A30に平行な面でカットされることを示す。つまり、面A30に平行な面でカットされた結晶が圧電層16に適用されることとなるため、面A30に平行な面が圧電層16の表面(主面)に対応する。
図6は、圧電層16にタンタル酸リチウムを適用する場合におけるカット角の設定範囲を説明する図である。以下、タンタル酸リチウムをLTと略す。
圧電層16にLTを適用する場合、LTの単結晶の圧電基板におけるX軸周りの角度θは、80°以上、160°以下の範囲内に設定される。また、LTの単結晶の圧電基板におけるZ軸周りの角度φは、-35°以上、35°以下の範囲内に設定される。つまり、LTにおけるカット角は、図6のクロスハッチングB10で示す範囲内のいずれかの値に設定される。
図7は、LTにおける角度θと平行電界励振厚みすべり振動X方向伝搬の電気機械結合係数Kの関係を示す図である。図7では、角度φはゼロであるとする。電気機械結合係数Kは、圧電層16に与えられる電気的エネルギーが機械的エネルギーに変換される効率を示す。
図7に示すように、角度θを80°以上、160°以下(80°~160°)の範囲とすることで、電気機械結合係数Kを約38%以上とすることができる。
図8は、LTにおける角度θと温度特性(TCF)の関係を示す図である。図8では、角度φはゼロであるとする。温度特性(TCF)は、温度が1℃変化するときの共振周波数の変化率をppm/℃で示すものであり、温度変化に対する周波数特性の変化率に相当する。温度特性(TCF)については、絶対値が小さいほど特性がよいことを示す。
図8に示すように、角度θを80°以上、160°以下(80°~160°)の範囲内とすることで、温度特性を、約-20ppm/℃以上、約20ppm/℃以下の範囲内とすることができる。
すなわち、圧電層16にLTを適用する場合、角度θを80°以上、160°以下の範囲内とすることで、高い電気機械結合係数Kと、低い温度特性とを両立させることができる。
図9は、LTにおける角度θが96°のときの角度φと電気機械結合係数Kの関係の一例を示す図である。図10は、LTにおける角度θが96°のときの角度φと温度特性(TCF)の関係を示す図である。
図9に示すように、LTでは、角度θを96°としつつ、角度φを0°から変化させると、電気機械結合係数Kが低下する傾向にある。しかし、図10に示すように、角度θを96°としつつ、角度φを0°から変化させても、温度特性の絶対値をゼロに近い範囲に維持することができる。
つまり、LTでは、角度φを-35°以上、35°以下(-35°~35°)の範囲内とすると、電気機械結合係数Kの減少を抑制しつつ(例えば、約10%以上としつつ)、温度特性を向上させることができる(例えば、約ゼロとすることができる)。
これにより、例えば、電気機械結合係数Kを重視する場合には、角度φをゼロ寄りに設定し、温度特性を重視する場合には、角度φを-35°または35°寄りに設定してもよい。また、例えば、電気機械結合係数Kおよび温度特性を均等に両立させる場合には、角度φを、-35°と0°との中央付近、または、35°と0°との中央付近に設定してもよい。
なお、図9、図10では、角度θを96°としたときの例を挙げて説明していた。しかし、角度θが96°の場合に限らず、80°以上、160°以下の各々の場合も同様に、角度φを-35°以上、35°以下の範囲に設定してもよい。
また、焦電処理、Feドープ処理およびMgドープ処理のうち少なくともいずれかの処理がなされたタンタル酸リチウムの単結晶を圧電層16に適用する場合についても、角度θを80°以上、160°以下、角度φを-35°以上、35°以下の範囲内に設定してもよい。
このように、LTでは、単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として80°~160°の範囲内で1回回転し、1回回転後の面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で2回回転した面に沿って切り出された圧電基板を圧電層16に適用してもよい。換言すると、圧電層16は、LTの単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として80°~160°の範囲内で回転し、さらに当該回転された面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で回転した面を主面とする圧電基板からなるようにしてもよい。これにより、バルク波共振子10の電気機械結合係数Kを向上させ、所要の電気機械結合係数Kを維持することができる。また、上記条件のLTを圧電層16に適用することで、バルク波共振子10の温度特性を向上させることもできる。
また、後述するが、電気機械結合係数Kが高くなるほど、バルク波共振子の共振点と反共振点との間の周波数差が大きくなる傾向にある。共振点と反共振点との間の周波数差が大きくなると、バルク波共振子を用いた帯域通過フィルタにおいて、帯域幅を広くすることができる。すなわち、図6で示した条件の圧電基板を圧電層16に適用すると電気機械結合係数Kを向上させることができるため、このバルク波共振子を用いることで、帯域幅が広い帯域通過フィルタを実現することができる。
図11は、圧電層16にニオブ酸リチウムを適用する場合におけるカット角の設定範囲を説明する図である。以下、ニオブ酸リチウムをLNと略す。
圧電層16にLNを適用する場合、LNの単結晶の圧電基板におけるX軸周りの角度θは、60°以上、170°以下の範囲内に設定される。また、LNの単結晶の圧電基板におけるZ軸周りの角度φは、-35°以上、35°以下の範囲内に設定される。つまり、LNにおけるカット角は、図11のクロスハッチングC10で示す範囲内のいずれかの値に設定される。
図12は、LNにおける角度θと電気機械結合係数Kの関係を示す図である。図12では、角度φはゼロであるとする。
図12に示すように、角度θを60°以上、170°以下(60°~170°)の範囲とすることで、電気機械結合係数Kを約35%以上とすることができる。
図13は、LNにおける角度θと温度特性(TCF)の関係を示す図である。図13では、角度φはゼロであるとする。
図13に示すように、LNでは、温度特性よりも電気機械結合係数Kを考慮して、60°以上、170°以下(60°~170°)の範囲を設定している。
図14は、LNにおける角度θが75°のときの角度φと電気機械結合係数Kの関係の一例を示す図である。図15は、LNにおける角度θが60°のときの角度φと温度特性(TCF)の関係を示す図である。
図14に示すように、LNでは、角度θを75°としつつ、角度φを変化させると、電気機械結合係数Kを向上させることができる。また、図15に示すように、LNでは、角度θを75°としつつ、角度φを変化させると、温度特性の絶対値が、少しではあるが減少する。
つまり、LNでは、角度φを-35°以上、35°以下(-35°~35°)の範囲内とすると、電気機械結合係数Kを最大で約50%まで増加させることが可能となる。また、角度φを-35°以上、35°以下の範囲内とすると、温度特性の絶対値を100ppm/℃以下に減少させることができる。
なお、図14、図15では、角度θを75°としたときの例を挙げて説明していた。しかし、角度θが75°の場合に限らず、60°以上、170°以下の各々の場合も同様に、角度φを-35°以上、35°以下の範囲に設定してもよい。
なお、焦電処理、Feドープ処理およびMgドープ処理のうち少なくともいずれかの処理がなされたニオブ酸リチウムの単結晶を圧電層16に適用する場合についても、角度θを60°以上、170°以下、角度φを-35°以上、35°以下の範囲内に設定してもよい。
このように、LNでは、単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として60°~170°の範囲内で1回回転し、1回回転後の面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で2回回転した面に沿って切り出された圧電基板を圧電層16に適用してもよい。換言すると、圧電層16は、LNの単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として60°~170°の範囲内で回転し、さらに当該回転された面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で回転した面を主面とする圧電基板からなるようにしてもよい。これにより、バルク波共振子10の電気機械結合係数Kを向上させ、所要の電気機械結合係数Kを維持することができる。また、上記条件のLNを圧電層16に適用することで、バルク波共振子10の温度特性を向上させることもできる。
図11で示した条件の圧電基板を圧電層16に適用すると電気機械結合係数Kを向上させることができるため、このバルク波共振子を用いることで、帯域幅が広い帯域通過フィルタを実現することができる。また、LNについての第2実施形態のバルク波共振子では、LTについての第2実施形態のバルク波共振子よりも電気機械結合係数Kをより大きくすることができ、バルク波共振子を用いた帯域通過フィルタの帯域幅をより広帯域化することが可能となる。なお、上記では、LTまたはLNの単結晶のY軸に直交する面を2回回転させていた。しかし、圧電層16は、圧電材料の単結晶のY軸に直交する面を少なくともX軸を中心軸として回転した面を主面とする圧電基板からなるようにしてもよい。
(第3実施形態)
図16は、本発明の第3実施形態に係るバルク波共振子110の構成を示す概略断面図である。図17は、第3実施形態に係るバルク波共振子110の概略平面図である。第3実施形態のバルク波共振子110は、第1負荷130および第2負荷132を有する点において第1実施形態のバルク波共振子10と異なり、他の構成については、第1実施形態のバルク波共振子10と共通している。以下では、第1実施形態と共通する構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。なお、圧電層16については、第2実施形態の構成が適用されてもよい。
図16および図17に示すように、第1負荷130は、第1電極18上に配置される。第1負荷130は、例えば、第1電極18よりも小さな長方形の平板状に形成される。第1負荷130は、第1負荷130における第2電極20とは反対側の端面130aが、第1電極18における第2電極20とは反対側の端面18aに合うように配置される。第1負荷130は、例えば、第1電極18における幅方向(Z方向)の一方側から幅方向の他方側に亘って延びている。なお、第1負荷130は、端面130aが端面18aに合うように配置される態様に限らず、少なくとも第1電極18上に配置されていればよい。
第2負荷132は、第2電極20上に配置される。第2負荷132は、例えば、第2電極20よりも小さな長方形の平板状に形成される。第2負荷132は、第2負荷132における第1電極18とは反対側の端面132aが、第2電極20における第1電極18とは反対側の端面20aに合うように配置される。第2負荷132は、例えば、第2電極20における幅方向(Z方向)の一方側から幅方向の他方側に亘って延びている。なお、第2負荷132は、端面132aが端面20aに合うように配置される態様に限らず、少なくとも第2電極20上に配置されていればよい。
第1負荷130および第2負荷132は、例えば、アルミニウム(Al)で形成される。なお、第1負荷130および第2負荷132は、アルミニウムで形成される態様に限らず、他の金属で形成されてもよい。
ここで、第1負荷130および第2負荷132を設けていない第1実施形態のバルク波共振子10(図1、図2参照。)を比較例として挙げる。厚みすべり振動を用いたバルク波共振子10では、平行電界励振による厚みすべり振動の基本波(共振の1次モード)についての分散曲線(分散関係)が低域遮断特性を示す。なお、分散曲線は、波数と角周波数との関係を示す曲線である。平行電界励振による厚みすべり振動を用いたバルク波共振子10の基本波は、X方向(第1電極18と第2電極20の対向方向)についてのエネルギー閉じ込めが成立しない。
このため、厚み滑り振動を用いたバルク波共振子10では、圧電層16における第1電極18と第2電極20との間で発生したバルク波(基本波)がX方向に伝搬する。第1電極18の端面18a側に向かって伝搬するバルク波の一部は、圧電層16における第1電極18の端面18aの位置で第2電極20側に反射される。また、第2電極20の端面20a側に向かって伝搬するバルク波の一部は、圧電層16における第2電極20の端面20aの位置で第1電極18側に反射される。これにより、X方向のバルク波は、圧電層16における端面18aと端面20aとの間の領域で定在波を形成する。このような定在波が形成されると、基本波の周波数付近において、意図しないスプリアスが生じる場合がある。
図18は、第1負荷130および第2負荷132を設けていない比較例(第1実施形態)のバルク波共振子10におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。インピーダンスの周波数特性において、インピーダンスが急峻に低下する部分を共振点と呼ぶ場合がある。共振点の周波数は、共振周波数に相当する。また、インピーダンスの周波数特性において、インピーダンスが急峻に上昇する部分を反共振点と呼ぶ場合がある。
図18に示すように、共振点付近から反共振点付近までの間において、共振特性の乱れが生じている。この共振特性の乱れは、スプリアスが生じていることを示している。
これに対し、図19は、第1負荷130および第2負荷132を設けた第3実施形態のバルク波共振子110におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。図19では、図18に比べ、共振点付近から反共振点付近までの間における共振特性の乱れが抑制されている。つまり、第3実施形態のバルク波共振子110では、第1負荷130および第2負荷132を設けることで、基本波の周波数付近において、意図しないスプリアスを抑制することができる。
第1負荷130および第2負荷132を設けることでスプリアスを抑制できる理由は、以下のように推測される。第1負荷130は、圧電層16における第1電極18の端面18aの位置で反射されるバルク波のエネルギーを吸収する吸収材として機能すると推測される。これにより、圧電層16における第1電極18の端面18aの位置でのバルク波の反射が抑制される。また、第2負荷132は、圧電層16における第2電極20の端面20aの位置で反射されるバルク波のエネルギーを吸収する吸収材として機能すると推測される。これにより、圧電層16における第2電極20の端面20aの位置でのバルク波の反射が抑制される。これらより、圧電層16における端面18aと端面20aとの間の領域で定在波が形成されることを抑制できると推測される。その結果、定在波に起因するスプリアスを抑制することができる。
なお、第3実施形態のバルク波共振子110では、第1負荷130および第2負荷132の他は第1実施形態と共通であるため、第1実施形態と同様に、共振周波数を高周波とすることが可能となる。
(第4実施形態)
図20は、本発明の第4実施形態に係るバルク波共振子210の構成を示す概略断面図である。図21は、第4実施形態に係るバルク波共振子210の概略平面図である。第4実施形態のバルク波共振子210は、第1抑制電極240および第2抑制電極242を有する点において第1実施形態のバルク波共振子10と異なり、他の構成については、第1実施形態のバルク波共振子10と共通している。以下では、第1実施形態と共通する構成については説明を省略し、異なる構成について詳述する。なお、圧電層16については、第2実施形態の構成が適用されてもよい。
図20および図21に示すように、第1抑制電極240および第2抑制電極242は、圧電層16における第1電極18および第2電極20が配置される面(上面16a)上に配置される。換言すると、第1抑制電極240および第2抑制電極242は、圧電層16における音響反射膜14とは反対側の面(上面16a)に配置される。つまり、第4実施形態のバルク波共振子210は、第1実施形態と同様に、圧電層16における音響反射膜14側の面(下面16b)には電極が配置されていない。
第1抑制電極240および第2抑制電極242は、圧電層16に接触している。また、第1抑制電極240および第2抑制電極242は、例えば、不図示のリード線を通じて接地(グランド)される。
第1抑制電極240および第2抑制電極242は、第1電極18と第2電極20とが対向する第1方向に対して交差する第2方向に対向配置される。具体的には、第1抑制電極240および第2抑制電極242は、X方向に垂直なZ方向に対向配置される。
なお、ここでは、X方向が第1方向に対応し、Z方向が第2方向に対応する例を挙げて説明するが、第2方向は、第1方向に垂直に交差する方向に限らない。例えば、第2方向は、第1方向に対して傾斜する方向で第1方向に交差してもよい。
図21では、第1電極18と第2電極20との隙間を、破線で囲まれた領域244で示している。第1抑制電極240および第2抑制電極242は、第1電極18と第2電極20との隙間(領域244)を挟み込むように対向配置される。第1抑制電極240および第2抑制電極242は、第1電極18および第2電極20から間隔を空けて配置され、第1電極18および第2電極20とは接続されておらず、第1電極18および第2電極20から独立している。換言すると、第1抑制電極240および第2抑制電極242は、第1電極18と第2電極20との隙間(領域244)と重なることがないように配置される。
第1抑制電極240および第2抑制電極242は、例えば、長方形の平板状に形成される。第1抑制電極240および第2抑制電極242のX方向の長さは、第1電極18と第2電極20との対向間隔(すなわち、領域244のX方向の長さ)より長い。
第1抑制電極240におけるX方向の第1電極18側の端面240aは、第1電極18における第2電極20との対向面18bよりも第1電極18側に位置する。第1抑制電極240におけるX方向の第2電極20側の端面240bは、第2電極20における第1電極18との対向面20bよりも第2電極20側に位置する。第2抑制電極242におけるX方向の第1電極18側の端面242aは、第1電極18における対向面18bよりも第1電極18側に位置する。第2抑制電極242におけるX方向の第2電極20側の端面242bは、第2電極20における対向面20bよりも第2電極20側に位置する。
ここで、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けていない第1実施形態のバルク波共振子10を比較例として挙げる。第1電極18と第2電極20との間に高周波の交流電圧を印加すると、第1電極18と第2電極20との間からZ方向に電磁波が漏洩する。このような電磁波がノイズとなり、意図しないスプリアスが生じる場合がある。
図22は、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けていない比較例(第1実施形態)のバルク波共振子10におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。図22では、共振の3次高調波の周波数付近の特性を例示している。図22に示すように、反共振点付近において共振特性の乱れが生じている。この共振特性の乱れはスプリアスが生じていることを示している。
これに対し、図23は、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けた第4実施形態のバルク波共振子210におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。図23では、共振の3次高調波の周波数付近の特性を例示している。図23では、図22に比べ、反共振点付近における共振特性の乱れが抑制されている。つまり、第4実施形態のバルク波共振子210では、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けることで、意図しないスプリアスを抑制することができる。
第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けることでスプリアスを抑制できる理由は、以下のように推測される。第1電極18と第2電極20との間から漏洩する電磁波の一部は、第1抑制電極240に向かう方向に伝搬する。第1抑制電極240は、接地されているため、第1抑制電極240に到達した電磁波のエネルギーを吸収する。また、第1電極18と第2電極20との間から漏洩する電磁波の一部は、第2抑制電極242に向かう方向にも伝搬する。第2抑制電極242は、接地されているため、第2抑制電極242に到達した電磁波のエネルギーを吸収する。このようにして、Z方向の電磁波のエネルギーが減少されることで、Z方向のノイズを抑制できると推測される。その結果、スプリアスを抑制することができる。
また、図23の例では、図22の例と比べ、共振点の周波数と反共振点の周波数との周波数差が大きくなっている。
共振点の周波数と反共振点の周波数との周波数差は、電気機械結合係数Kに比例する傾向がある。このため、図23の例では、図22の例と比べ、電気機械結合係数Kが大きいことが示される。つまり、第4実施形態のバルク波共振子210では、スプリアスの抑制に加え、電気機械結合係数Kを向上させることが可能となる。
以上のように、第4実施形態のバルク波共振子210では、第1電極18と第2電極20との隙間を挟み込むように、第1抑制電極240および第2抑制電極242が対向配置される。このため、第4実施形態のバルク波共振子210では、第1電極18および第2電極20との間から漏洩する電磁波に起因するスプリアスの抑制、および、電気機械係数の向上が可能となる。
なお、第4実施形態のバルク波共振子210では、第1抑制電極240および第2抑制電極242の他は第1実施形態と共通であるため、第1実施形態と同様に、共振周波数を高周波とすることが可能となる。
また、第4実施形態では、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けることで、3次高調波におけるスプリアスを抑制できることを例示していた。しかし、基本波におけるスプリアスや5次高調波以上の高次高調波におけるスプリアスを抑制するために、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けてもよい。
また、第4実施形態では、第1負荷130および第2負荷132を設けることなく、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設ける例を挙げていた。しかし、第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせて、第1負荷130および第2負荷132を設けつつ、第1抑制電極240および第2抑制電極242を設けてもよい。
(第5実施形態)
次に、上記実施形態に係る複数のバルク波共振子で構成される帯域通過フィルタについて説明する。図24は、第1実施形態のバルク波共振子10を複数備える帯域通過フィルタ500の一例を示す回路図である。図24では、複数のバルク波共振子10が、所謂、ラダー型(はしご型)に接続された帯域通過フィルタ500を示している。
図24に示すように、帯域通過フィルタ500は、第1バルク波共振子10a、第2バルク波共振子10b、第1入力端子550a、第2入力端子550b、第1出力端子552aおよび第2出力端子552bを含む。帯域通過フィルタ500は、例えば、第1バルク波共振子10aを3個含み、第2バルク波共振子10bを2個含む。
第1バルク波共振子10aおよび第2バルク波共振子10bの基本的な構成は、第1実施形態のバルク波共振子10と同様の構成となっている。このため、第1バルク波共振子10aおよび第2バルク波共振子10bを総称して、バルク波共振子10と呼ぶ場合がある。
第1バルク波共振子10aは、共振周波数として所定の第1共振周波数を有する。一方、第2バルク波共振子10bは、共振周波数として所定の第2共振周波数を有する。第2共振周波数は、第1共振周波数とは異なる。例えば、第2バルク波共振子10bの圧電層16の厚さを第1バルク波共振子10aの圧電層16の厚さと異ならせることで、第2共振周波数を第1共振周波数からシフトさせてもよい。
第1バルク波共振子10aは、第1入力端子550aと第1出力端子552aとの間に直列接続される。つまり、第1バルク波共振子10aは、帯域通過フィルタ500における直列要素(直列共振器)として機能する。また、第2入力端子550bおよび第2出力端子552bは、接地される。以下、第1入力端子550aおよび第2入力端子550bを総称して、入力端子550と呼ぶ場合がある。また、第1出力端子552aおよび第2出力端子552bを総称して、出力端子552と呼ぶ場合がある。
第2バルク波共振子10bは、第1入力端子550aと第1出力端子552aとの間の線路および第2入力端子550bと第2出力端子552bとの間の線路に対して(入力端子550および出力端子552に)並列に接続される。つまり、第2バルク波共振子10bは、帯域通過フィルタ500における並列要素(並列共振器)として機能する。具体的には、第2バルク波共振子10bの一端(第1電極18および第2電極20のうち一方の電極)は、第1バルク波共振子10a同士の接続ノードに接続される。換言すると、第2バルク波共振子10bの一端は、入力端子550のうち第1入力端子550a側、あるいは、出力端子552のうち第1出力端子552a側に接続される。第2バルク波共振子10bの他端(第1電極18および第2電極20のうち他方の電極)は、第2入力端子550bおよび第2出力端子552bに接続される。つまり、第2バルク波共振子10bの他端は、接地される。
図24における破線で示すように、1つの第1バルク波共振子10aおよび1つの第2バルク波共振子10bは、1つのセクション554を構成する。帯域通過フィルタ500は、少なくとも1のセクション554を有していればよい。つまり、第1バルク波共振子10aの数は、3個に限らず、1個、2個または4個以上であってもよい。第2バルク波共振子10bの数は、2個に限らず、1個または3個以上であってもよい。
帯域通過フィルタ500では、入力端子550間に入力電圧が印加される。帯域通過フィルタ500は、第1バルク波共振子10aおよび第2バルク波共振子10bで決定される所定の周波数帯域の交流電圧を通過させ、その他の周波数帯域の交流電圧の通過を阻止する。そして、帯域通過フィルタ500では、通過された所定の周波数帯域の交流電圧が、出力端子552間から出力される。
なお、帯域通過フィルタ500において、第2入力端子550bおよび第2出力端子552bは、省略されてもよい。この場合、第2バルク波共振子10bの他端は、第2入力端子550bおよび第2出力端子552bを有する場合と同様に、接地される。また、この場合、交流電圧が第1入力端子550aに入力され、所定の周波数帯域の交流電圧が第1出力端子552aから出力される。
図25は、第1バルク波共振子10aおよび第2バルク波共振子10bにおけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。図25では、第1バルク波共振子10aの特性を実線560で示し、第2バルク波共振子10bの特性を一点鎖線570で示している。
帯域通過フィルタ500における第1バルク波共振子10aは、直列要素として機能するため、共振点562の周波数の電圧を通過させ、反共振点564の周波数の電圧を阻止する。一方、帯域通過フィルタ500における第2バルク波共振子10bは、並列要素として機能するため、共振点572の周波数の電圧を阻止し、反共振点574の周波数の電圧を通過させる。
また、バルク波共振子10において、反共振点は、共振点より相対的に高周波数側に現れる。そこで、帯域通過フィルタ500では、直列要素の第1バルク波共振子10aの共振周波数(共振点562の周波数)を並列要素の第2バルク波共振子10bの共振周波数(共振点572の周波数)より相対的に高くしている。これにより、第1バルク波共振子10aの反共振点564と第2バルク波共振子10bの共振点572との間の周波数領域に、第1バルク波共振子10aの共振点562と第2バルク波共振子10bの反共振点574とを位置させることができる。つまり、電圧を通過させる周波数領域が、電圧の通過を阻止する第1バルク波共振子10aの反共振点564と第2バルク波共振子10bの共振点572とによって区分される。
図26は、帯域通過フィルタ500の信号の周波数特性の一例を示す図である。図27は、図26の破線で囲まれた部分の部分拡大図である。図26および図27では、信号をデシベル(dB)で表記し、入力信号に対する出力信号の減衰(以下、伝送量という。)を示している。
図26に示すように、第1バルク波共振子10aの反共振点564の周波数である約5.3GHz、および、第2バルク波共振子10bの共振点572の周波数である約4.3GHzでは、信号が大幅に減衰している。つまり、第1バルク波共振子10aの反共振点564および第2バルク波共振子10bの共振点572の周波数において、信号の通過が阻止されることが示されている。
また、第1バルク波共振子10aの共振点562の周波数である約4.9GHz、および、第2バルク波共振子10bの反共振点574の周波数である約4.7GHzでは、信号の減衰が比較的少ない。つまり、第1バルク波共振子10aの共振点562および第2バルク波共振子10bの反共振点574の周波数付近において、信号が適切に通過されることが示されている。
図27に示すように、例えば、信号が-3dB以上となる周波数領域を、帯域通過フィルタ500の帯域幅とする。つまり、帯域通過フィルタ500は、帯域幅内の周波数の信号を適切に通過させ、帯域幅外の周波数の信号の通過を阻止する。図27の例の帯域通過フィルタ500では、約4.5GHzから約5.1GHzまでの約580MHzの帯域幅の信号を通過させることができる。なお、帯域幅は、図27で示す値(約580MHz)に限らず、第1バルク波共振子10aおよび第2バルク波共振子10bの共振周波数に基づいて、適宜設計することが可能である。
以上のように、第5実施形態の帯域通過フィルタ500は、共振周波数を高くすることができる第1実施形態のバルク波共振子10を用いて構成される。このため、帯域通過フィルタ500では、通過帯域を高周波帯域に設定可能となる。
また、帯域通過フィルタ500では、第1バルク波共振子10aの共振点562の周波数および第2バルク波共振子10bの反共振点574の周波数を適宜に設定することで、帯域幅を狭くすることもできるし、広くすることもできる。
なお、第5実施形態では、第1実施形態のバルク波共振子10を用いて帯域通過フィルタ500を構成する例を挙げていた。しかし、第5実施形態の帯域通過フィルタ500は、第1~第4実施形態のバルク波共振子10、110、210、または、第1~第4実施形態を適宜組み合わせたバルク波共振子のいずれを用いて構成されてもよい。また、第5実施形態の帯域通過フィルタ500は、第1~第4実施形態のバルク波共振子10、110、210、または、第1~第4実施形態を適宜組み合わせたバルク波共振子が混在して構成されてもよい。
(第6実施形態)
図28は、第1実施形態のバルク波共振子10を複数備える帯域通過フィルタ600の他の一例を示す回路図である。図28では、複数のバルク波共振子10が、所謂、ラティス型に接続された帯域通過フィルタ600を示している。
図28に示すように、帯域通過フィルタ600は、第1バルク波共振子10c、10d、第2バルク波共振子10e、10f、第1入力端子550a、第2入力端子550b、第1出力端子552aおよび第2出力端子552bを含む。
第1バルク波共振子10c、10d、第2バルク波共振子10e、10fの基本構成は、第1実施形態のバルク波共振子10と同様の構成となっている。このため、第1バルク波共振子10c、10d、第2バルク波共振子10e、10fを総称して、バルク波共振子10と呼ぶ場合がある。
第1バルク波共振子10c、10dは、第5実施形態の第1バルク波共振子10aと同様に、所定の第1共振周波数を有する。第2バルク波共振子10e、10fは、第5実施形態の第2バルク波共振子10bと同様に、第1共振周波数とは異なる所定の第2共振周波数を有する。
第1バルク波共振子10cは、第1入力端子550aと第1出力端子552aとの間に接続される。第1バルク波共振子10dは、第2入力端子550bと第2出力端子552bとの間に接続される。つまり、第1バルク波共振子10c、10dは、帯域通過フィルタ600における直列要素(直列共振器)として機能する。
第2バルク波共振子10eは、第1入力端子550aと第2出力端子552bとの間に接続される。第2バルク波共振子10fは、第2入力端子550bと第1出力端子552aとの間に接続される。つまり、第2バルク波共振子10e、10fは、帯域通過フィルタ600における並列要素(並列共振器)として機能する。
帯域通過フィルタ600では、帯域通過フィルタ500と同様に、第1バルク波共振子10c、10dの反共振点および第2バルク波共振子10e、10fの共振点の周波数付近において、信号を阻止することができる。また、帯域通過フィルタ600では、帯域通過フィルタ500と同様に、第1バルク波共振子10c、10dの共振点および第2バルク波共振子10e、10fの反共振点の周波数付近において、信号を適切に通過させることができる。
以上のように、第6実施形態の帯域通過フィルタ600は、帯域通過フィルタ500と同様に、通過帯域を高周波帯域に設定可能となる。
また、帯域通過フィルタ600では、第1バルク波共振子10c、10dの共振点の周波数および第2バルク波共振子10e、10fの反共振点の周波数を適宜に設定することで、帯域幅を狭くすることもできるし、広くすることもできる。
なお、第6実施形態では、第1実施形態のバルク波共振子10を用いて帯域通過フィルタ600を構成する例を挙げていた。しかし、第6実施形態の帯域通過フィルタ600は、第1~第4実施形態のバルク波共振子10、110、210、または、第1~第4実施形態を適宜組み合わせたバルク波共振子のいずれを用いて構成されてもよい。また、第6実施形態の帯域通過フィルタ600は、第1~第4実施形態のバルク波共振子10、110、210、または、第1~第4実施形態を適宜組み合わせたバルク波共振子が混在して構成されてもよい。
各実施形態および各変形例のバルク波共振子10、110、210を用いた帯域通過フィルタの回路構成は、ラダー型(図24参照。)またはラティス型(図28参照。)の例に限らない。つまり、各実施形態および各変形例のバルク波共振子10、110、210を他の回路に適用して帯域通過フィルタを構成してもよい。例えば、圧電板に複数の電極を近接して配列して隣り合う電極(共振子)を音響的に結合させた共振器結合型フィルタ(所謂、モノリシックフィルタ)を構成してもよい。
(第7実施形態)
図29は、本発明の第7実施形態に係るバルク波共振子710の構成を示す概略断面図である。図30は、同実施形態に係るバルク波共振子710の概略平面図である。第7実施形態のバルク波共振子710は、上記の第1実施形態に係る第1電極18および第2電極20に代えて、IDT電極716を構成する第1電極718および第2電極720を有する点において、第1実施形態のバルク波共振子10と異なり、他の構成については、第1実施形態のバルク波共振子10と共通している。なお、第7実施形態に係る第1電極718および第2電極720がIDT電極716を構成しているが、第7実施形態のバルク波共振子710は、表面弾性波(SAW)フィルタではない。
第1電極718および第2電極720は、圧電層16の上面16a上に配置されている。第1電極718は、第1バスバー718aと、複数の第1電極指718bとを有する。第2電極720は、第2バスバー720aと、複数の第2電極指720bとを有する。第1電極718および第2電極720は、図示した数の電極指を有する態様に限らず、任意の数の電極指を有するようにしてもよい。
第1バスバー718aおよび第2バスバー720aは、X方向に延びており、互いに平行である。第1バスバー718aおよび第2バスバー720aは、Z方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1電極指718bは、第1バスバー718aに接続されており、第1バスバー718aから第2バスバー720aに向かってZ方向に延びている。第1電極指718bの第1バスバー718a側の端部は、第1バスバー718aに接続されている。第1電極指718bの第2バスバー720a側の端部は、第2バスバー720aから離隔している。第2電極指720bは、第2バスバー720aに接続されており、第2バスバー720aから第1バスバー718aに向かってZ方向に延びている。第2電極指720bの第2バスバー720a側の端部は、第2バスバー720aに接続されている。第2電極指720bの第1バスバー718a側の端部は、第1バスバー718aから離隔している。複数の第1電極指718bおよび複数の第2電極指720bは、互いに平行に配置され、かつX方向に互いに間隔を空けて配置されている。第1電極指718bと第2電極指720bとの対向方向は、X方向(第1方向)である。
第1電極718は、X方向(第1方向)に直交するZ方向(第2方向)に延びる複数の第1電極指718bを有する。第2電極720は、Z方向(第2方向)に延びる複数の第2電極指720bを有する。第1電極指718bと第2電極指720bは、X方向に間隔を空けて交互に配置されるとともに、相互にX方向に対向配置される。第1電極指718bにおける第2電極指720bに対向する面が、X方向に対して垂直になるように、第1電極指718bは、圧電層16上に配置される。第2電極指720bにおける第1電極指718bに対向する面が、X方向に対して垂直になるように、第2電極指720bは、圧電層16上に配置される。このように、本実施形態では、複数対の第1電極指718bおよび第2電極指720bが配置される。
図30に示すように、電極指幅Wは、電極指のX方向(第1方向)の幅である。第1電極指718bの電極指幅Wと、第2電極指720bの電極指幅Wとは、等しい。また、IDT電極716のピッチP(第1電極指718bと第2電極指720bとのピッチP)は、第1電極指718bのX方向(幅方向)の中心点と、第2電極指のX方向(幅方向)の中心点との間の距離である。第1電極指718bおよび第2電極指720bは、X方向において、所定のピッチPで交互に配置される。また、P/W(電極指幅Wに対するピッチPの比)は、ピッチPを電極指幅Wで除算した指標であり、次の式(1)で表される。
P/W≧1.5 ・・・(1)
IDT電極716を構成する第1電極718と第2電極720との間に電圧が印加されると、第1実施形態と同様に、X方向に電界が発生し、圧電層16にX方向の平行電界厚み滑り振動が発生する。IDT電極716への電圧の印加により、バルク波共振子710は、圧電層16の内部にX方向の平行電界励振による厚みすべり振動を発生させ、厚みすべり振動によるX方向に変位を持ったバルク波をメインモードとして用いる。
比較例のSAWフィルタでは、SAWの周波数が電極間隔や電極幅等に依存するため、電極間隔や電極幅を厳密に調整する必要がある。これに対し、第7実施形態のバルク波共振子710では、バルク波の周波数が圧電層16の厚みに依存して決定され、バルク波の周波数が電極間隔や電極幅等に依存しない。このため、第7実施形態のバルク波共振子710は、SAWフィルタと比べ、周波数に従って電極間隔や電極幅等を厳密に調整する必要がない。また、SAWフィルタでは、SAWの周波数を高くするには電極間隔や電極幅等を狭くする必要があるため、高周波になるほどSAWフィルタの製造が困難になる。これに対し、第7実施形態のバルク波共振子710では、バルク波の周波数が電極間隔や電極幅等に依存しないため、バルク波の周波数を容易に高くすることが可能であり、バルク波共振子710を容易に製造できる。また、第7実施形態のバルク波共振子710では、電極間隔や電極幅等を調整することで、電気機械結合係数Kまたはレスポンスなどの出力特性を所望の値にすることができる。
図31は、P/Wに対する電気機械結合係数Kの一例を示す図である。図31で示すように、P/Wが1.5以上である場合、バルク波共振子710の電気機械結合係数Kを、バルク波共振子710が帯域通過フィルタに適用される際に要求される値よりも高くすることができる。
具体的には、図31に示すように、P/Wは、1.5以上であることが好ましい。さらに、P/Wは、1.5以上、3以下であることがより好ましい。これにより、電気機械結合係数Kを40%以上にすることができる。さらに、P/Wは、1.6以上、2以下であることが、より好ましい。これにより、電気機械結合係数Kを43%以上にすることができる。さらに、P/Wは、1.7以上、1.8以下であることが、より一層好ましい。これにより、電気機械結合係数Kを45%以上にすることができる。
例えば、バルク波共振子を携帯電話の高周波数帯域の帯域通過フィルタに適用する場合、n79バンドでは、Kが36%以上であることが要求され、n78バンドでは、Kが38%以上であることが要求され、n77バンドでは、Kが49%以上であることが要求される。この点、本実施形態に係るバルク波共振子710において、P/Wが1.5以上、3以下であれば、40%以上の高いKを得ることができるので、バルク波共振子710を、携帯電話の高周波数帯域の帯域通過フィルタに良好に適用できる。
図32は、P/Wに対するレスポンスの一例を示す図である。レスポンスは、反共振点のインピーダンスと共振点のインピーダンスとの差分を示す。図32で示すように、P/Wが1.5以上である場合、バルク波共振子710のレスポンスを、バルク波共振子710が帯域通過フィルタに適用される際に要求される値よりも高くすることができる。
具体的には、図32に示すように、P/Wは、1.5以上であることが好ましい。これにより、レスポンスを25dB以上にすることができる。さらに、P/Wは、1.7以上であることが、より好ましい。これにより、レスポンスを35dB以上にすることができる。さらに、P/Wは、3以上であることが、より一層好ましい。これにより、レスポンスを54dB以上にすることができる。さらに、P/Wは、4以上であることが、より一層好ましい。これにより、レスポンスを58dB以上にすることができる。
n78バンドでは、帯域幅が500MHz以上であることが要求される。レスポンスが54dB以上であれば、約570MHzの帯域幅の帯域通過フィルタを設計することが可能である。つまり、レスポンスが54dB以上となるP/Wが3以上であれば、n78バンドの帯域通過フィルタを良好に作成することができる。また、n79バンドでは、帯域幅が600MHz以上であることが要求される。レスポンスが58dB以上であれば、約605MHの帯域幅の帯域通過フィルタを設計することが可能である。つまり、レスポンスが58dB以上となるP/Wが4以上であれば、n79バンドの帯域通過フィルタを良好に作成することができる。
なお、P/Wが大きくなるに従って、Kが低下する傾向にある。また、P/Wが大きくなるに従って、レスポンスの上昇度合いが小さくなる。P/Wが12より大きくなると、レスポンスのさらなる上昇が見込めなくなる。これらより、P/Wは、12以下であることが好ましい。P/Wが12以下であれば、電気機械結合係数Kの低下を抑えつつ、レスポンスを向上させることができる。
以上のように、第7実施形態のバルク波共振子710の第1電極718および第2電極720はIDT電極716を構成している。そして、第7実施形態のバルク波共振子710のP/Wは、1.5以上となっている。これにより、第7実施形態のバルク波共振子710では、バルク波共振子710の電気機械結合係数Kおよびレスポンスを向上させることが可能となる。
第5実施形態(図24参照。)または第6実施形態(図28参照。)のような帯域通過フィルタを、第7実施形態に係る複数のバルク波共振子710で構成してもよい。
(第8実施形態)
図33は、本発明の第8実施形態に係るバルク波共振子810の構成を示す概略断面図である。図34は、同実施形態に係るバルク波共振子810の概略平面図である。第8実施形態のバルク波共振子810は、第1電極指718bの数が1つであり、第2電極指720bの数が2つである点、および、吸音材830を有する点において、第7実施形態のバルク波共振子710と異なり、他の構成については、第7実施形態のバルク波共振子710と共通している。なお、第1電極718および第2電極720は、図示した数の電極指を有する態様に限らず、任意の数の電極指を有するようにしてもよい。
電極エリア822は、圧電層16の上面16a(第1面)上において、第1電極718および第2電極720が配置されるエリアである。換言すると、電極エリア822は、IDT電極716が配置されるエリアである。また、電極間隔824は、第1電極指718bと第2電極指720bとのX方向の間隔である。
厚みすべり振動によるX方向に変位を持ったバルク波(メインモードのバルク波)は、基本的には、第1面から第2面に向かって伝搬する。しかし、メインモード(平行電界励振による厚みすべり振動)の基本波は、X方向についてのエネルギー閉じ込めが成立しないため、電極エリアのX方向の外側にもバルク波が伝搬する。電極エリア822のX方向の外側に伝搬したバルク波は、圧電層16の端部(例えば、ウエハーの端部)などで反射され、反射された波に起因してX方向に定在波が発生する。そうすると、その定在波に起因して、バルク波共振子810にスプリアスが発生する。そこで、第8実施形態では、当該スプリアスを抑制するために、吸音材830が設けられる。
吸音材830は、圧電層16における上面16aである第1面上に配置される。吸音材830は、電極エリア822のX方向の外側のエリアに配置される。具体的には、図34で示すように、吸音材830は、IDT電極716を間に挟むようにして、左側の第2電極指720bよりも左側のエリアと、右側の第2電極指720bよりも右側のエリアとの双方に配置される。また、電極エリア822のZ方向の外側のエリアには、吸音材830が配置されていない。なお、X方向は第1方向に相当し、Z方向は第2方向に相当する。
吸音材830は、例えば、直方体形状のブロック体として構成され、吸音材830の平面形状は、矩形状であってもよい。吸音材830のIDT電極716側の端面830aは、IDT電極716のX方向の端面に接触している。具体的には、図34に示すように、吸音材830のIDT電極716側の端面830aは、IDT電極716の第2電極指720bのX方向の端面720b1、第2バスバー720aのX方向の端面720a1、および、第1バスバー718aのX方向の端面718a1に接触している。吸音材幅834は、吸音材830のX方向(第1方向)の幅である。
吸音材830は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)などのプラスチック材料、または、ゴムなどの、金属よりも軟質な材料で構成される。吸音材830の弾性係数は、圧電層16の弾性係数よりも小さい。また、吸音材830は、0より大きな質量を持っている。なお、吸音材830は、例示したプラスチック材料、ゴムなどの例に限らず、上述の弾性係数の関係が成立する任意の材料で構成されてもよい。
バルク波が伝搬する媒質の弾性係数が小さいほど、バルク波が伝搬し難い。電極エリア822のX方向の外側に漏れて圧電層16中を伝搬するバルク波の一部は、吸音材830に進入する。圧電層16から吸音材830に進入して吸音材830中を伝搬するバルク波は、圧電層16中を伝搬するバルク波と比べて伝搬し難い。吸音材830は、吸音材830に進入したバルク波の伝搬を抑制して、吸音材830に進入したバルク波のエネルギーを減衰させる。吸音材830は、バルク波のエネルギーを、熱エネルギーなどの別のエネルギーに変換することで、バルク波のエネルギーを減衰させる。併せて、吸音材830は、吸音材830中を伝搬するバルク波の一部を、圧電層16とは反対側の空気中に透過させて、圧電層16に反射するバルク波のエネルギーを抑制する。つまり、吸音材830は、吸音材830に進入したバルク波を吸音することができる。
また、吸音材830は、所定の質量を有する。圧電層16における吸音材830が配置されている部分では、吸音材830の質量が加わるため、吸音材830が配置されていない部分と比べ、質量が大きくなる。バルク波が伝搬する媒質の質量が大きいほど、バルク波が減衰される。圧電層16における吸音材830が配置されている部分では、質量が大きくなるため、バルク波が減衰される。この点からも、吸音材830はバルク波を吸音することができるといえる。
図35は、吸音材830が配置されていない比較例のバルク波共振子の作用を説明する概略平面図である。この比較例では、矢印840で示すように、電極エリア822のX方向の外側に漏れたバルク波が、圧電層16の端面に到達し易い。圧電層16の端面に到達したバルク波は、矢印842で示すように、圧電層16の端面で反射されて、電極エリア822に到達し易い。そうすると、圧電層16の端面で反射されたバルク波に起因して、圧電層16中に定在波が発生する。その結果、吸音材830が配置されていない比較例のバルク波共振子では、定在波に起因するバルク波のスプリアスが発生する。
図36は、吸音材830が配置されている第8実施形態のバルク波共振子810の作用を説明する概略平面図である。第8実施形態では、吸音材830が配置されているため、上述にように、電極エリア822のX方向の外側に漏れたバルク波が吸音材830によって吸音される。このため、電極エリア822のX方向の外側に漏れたバルク波は、矢印844で示すように、圧電層16の端面に到達し難くなる。バルク波が圧電層16の端面に到達し難くなると、圧電層16の端面で反射されて電極エリア822に戻るバルク波も生じ難くなる。そうすると、圧電層16の端面で反射されるバルク波に起因する定在波の発生が抑制される。その結果、第8実施形態のバルク波共振子810では、定在波に起因するバルク波のスプリアスが抑制される。
また、吸音材830は、導電率が低い絶縁体で構成されることが好ましい。吸音材830が絶縁体で構成されると、吸音材830が意図しない電極として機能することを防止することができる。
図37は、吸音材830が配置されていない比較例のバルク波共振子におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。図37で示すように、この比較例のバルク波共振子では、共振点と反共振点との間において、共振特性が乱れており、バルク波のスプリアスが生じている。
図38は、第8実施形態のバルク波共振子810におけるインピーダンスの周波数特性の一例を示す図である。図38では、吸音材幅834が電極間隔824の2.5倍となっている。図38では、図37と比べ、共振点と反共振点との間の共振特性の乱れが低減されている。つまり、吸音材830を有するバルク波共振子810では、バルク波のスプリアスを抑制することができる。
図39は、第8実施形態のバルク波共振子810におけるインピーダンスの周波数特性の他の例を示す図である。図39では、吸音材幅834が電極間隔824の5倍となっている。図39では、図38よりもさらに、共振点と反共振点との間の共振特性の乱れが低減されている。このため、バルク波共振子810では、吸音材幅834を広くするに従ってスプリアスの抑制効果を向上させることが可能となる。図37~図39から分かるように、吸音材幅834が電極間隔824の2.5倍以上であることが好ましく、5.0倍以上であることが、より好ましい。これにより、当該吸音材幅834を有する吸音材830によって、より効果的にバルク波のスプリアスを抑制できる。
以上のように、第8実施形態のバルク波共振子810では、電極エリア822のX方向の外側に吸音材830が配置されている。電極エリア822のX方向の外側に漏れたバルク波の一部は、吸音材830によって吸音される。つまり、厚みすべり振動によるバルク波のうち電極エリア822のX方向の外側に伝わったバルク波のエネルギーが吸音材830によって抑制される。これにより、漏れたバルク波が圧電層16の端面に到達し難くなり、圧電層16の端面で反射されて電極エリア822に戻るバルク波が生じ難くなるため、圧電層16の端面で反射されるバルク波に起因する定在波の発生が抑制される。第8実施形態のバルク波共振子810では、当該定在波の発生が抑制されるため、バルク波のスプリアスを抑制することができる。
第5実施形態(図24参照。)または第6実施形態(図28参照。)のような帯域通過フィルタを、第8実施形態に係る複数のバルク波共振子810で構成してもよい。
なお、第8実施形態では、一対の吸音材830が電極エリア822を間に挟んだ両側に配置されていた。しかし、かかる例に限定されず、電極エリア822のX方向の片側のみに1つの吸音材830が配置されてもよい。
また、第8実施形態の第1電極718および第2電極720は、IDT電極716を構成していた。しかし、第1電極および第2電極は、IDT電極を構成していなくともよい。図40は、第8実施形態の変形例に係るバルク波共振子810aの構成を示す概略平面図である。バルク波共振子810aの第1電極18は、X方向において互いに重なる部分(第1電極18の部分)を有さない。バルク波共振子810aの第2電極20は、X方向において互いに重なる部分(第2電極20の部分)を有さない。このように、図40に示す第8実施形態の変形例では、第1電極および第2電極20は、相互に対向配置された一対の電極であり、IDT電極を構成しない。吸音材830は、このような第1電極18および第2電極20の電極エリア822のX方向の外側に配置されてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
10、110、210、710、810 バルク波共振子
12 支持基板
14 音響反射膜
16 圧電層
16a 上面
16b 下面
18、718 第1電極
18a、20a、130a、132a 端面
20、720 第2電極
130 第1負荷
132 第2負荷
240 第1抑制電極
242 第2抑制電極
500、600 帯域通過フィルタ
716 IDT電極
718b 第1電極指
720b 第2電極指
822 電極エリア
824 電極間隔
830 吸音材
834 吸音材幅
P ピッチ
W 電極指幅

Claims (16)

  1. バルク波を用いたバルク波共振子であって、
    支持基板と、
    音響インピーダンスが異なる複数種類の誘電体が前記支持基板上に積層された音響反射膜と、
    前記音響反射膜上に積層された圧電層と、
    前記圧電層における前記音響反射膜とは反対側の面である第1面上に間隔を空けて対向配置され、前記バルク波を前記圧電層に発生させる電圧が印加される第1電極および第2電極と、
    前記圧電層の前記第1面に対して平行な方向のうち、前記第1電極と前記第2電極とが対向する方向を第1方向としたとき、前記圧電層の前記第1面上において、前記第1電極および前記第2電極が配置される電極エリアの前記第1方向の外側に配置される吸音材と、
    を備え、
    前記圧電層における前記音響反射膜側の面である第2面には電極が配置されていない、バルク波共振子。
  2. 前記第1電極および前記第2電極に対する電圧の印加により、前記圧電層の内部に前記第1方向の平行電界励振による厚みすべり振動を発生させ、前記厚みすべり振動による前記第1方向の前記バルク波をメインモードとして用いる、請求項1に記載のバルク波共振子。
  3. 前記圧電層と前記支持基板との間に空間が形成されることなく、前記圧電層が前記音響反射膜を介して前記支持基板に支持されるSMR型のバルク波共振子である、請求項1または2に記載のバルク波共振子。
  4. 前記第1電極上に配置される第1負荷と、
    前記第2電極上に配置される第2負荷と、
    をさらに備える、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  5. 前記第1負荷における前記第2電極とは反対側の端面が、前記第1電極における前記第2電極とは反対側の端面に合うように、前記第1負荷が配置され、
    前記第2負荷における前記第1電極とは反対側の端面が、前記第2電極における前記第1電極とは反対側の端面に合うように、前記第2負荷が配置される、請求項4に記載のバルク波共振子。
  6. 前記圧電層の前記第1面上に、前記第1方向に対して交差する第2方向に対向配置される第1抑制電極および第2抑制電極をさらに備え、
    前記第1抑制電極および前記第2抑制電極は、前記第1電極と前記第2電極との隙間を挟みこむように前記第2方向に対向配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  7. 前記吸音材の弾性係数は、前記圧電層の弾性係数よりも小さい、請求項1から6のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  8. 前記吸音材の前記第1方向の幅は、前記第1電極と前記第2電極との前記間隔の2.5倍以上である、請求項1から7のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  9. 前記第1電極および前記第2電極は、前記第1方向において互いに重なる部分を有さず、
    前記第1電極および前記第2電極は、IDT電極を構成しない、請求項1から8のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  10. 前記第1電極は、前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる複数の第1電極指を有し、
    前記第2電極は、前記第2方向に延びる複数の第2電極指を有し、
    前記第1電極指と前記第2電極指は、前記第1方向に間隔を空けて交互に配置され、かつ、相互に対向配置され、
    前記第1電極指と前記第2電極指とのピッチPと、前記第1電極指および前記第2電極指の電極指幅Wとは、下記式(1)を満たす、請求項1から8のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
    P/W≧1.5 ・・・(1)
  11. 前記圧電層は、圧電材料の単結晶のY軸に直交する面を少なくともX軸を中心軸として回転した面を主面とする圧電基板からなる、請求項1から10のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  12. 前記圧電層は、タンタル酸リチウムの単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として80°~160°の範囲内で回転し、さらに当該回転された面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で回転した面を主面とする圧電基板からなる、請求項1から11のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  13. 前記圧電層は、ニオブ酸リチウムの単結晶のY軸に直交する面をX軸を中心軸として60°~170°の範囲内で回転し、さらに当該回転された面をZ軸を中心軸として-35°~35°の範囲内で回転した面を主面とする圧電基板からなる、請求項1から11のいずれか1項に記載のバルク波共振子。
  14. 請求項1~13のいずれか1項に記載のバルク波共振子を複数備える、帯域通過フィルタ。
  15. 複数の前記バルク波共振子がラダー型に接続された、請求項14に記載の帯域通過フィルタ。
  16. 複数の前記バルク波共振子がラティス型に接続された、請求項14に記載の帯域通過フィルタ。
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