JP2023027642A - 車両、及び車両用サスペンションの制御方法 - Google Patents

車両、及び車両用サスペンションの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】操舵時に車体姿勢を保持し易くしつつ、減衰力の内外輪配分制御を利用して車両操縦性を向上できるようにする。【解決手段】車両は、減衰力可変ショックアブソーバと、電子制御ユニットと、を備える。減衰力可変ショックアブソーバは、左右の各前輪及び左右の各後輪の少なくとも一方に対して備えられている。電子制御ユニットは、車両操舵時に旋回外輪側と比べて旋回内輪側の方が大きい要求減衰力を発生させるように減衰力可変ショックアブソーバを制御する。要求減衰力は、スカイフック制御側に基づくサスペンション発生力の制御要求値に基づいて算出される。制御要求値は、車体重心におけるスカイフック要求ロールモーメントに基づいて算出され、かつ、車体重心におけるヒーブ変位量に対するスカイフック要求ロールモーメントの第1干渉量を考慮して算出される。【選択図】図4

Description

本開示は、減衰力可変ショックアブソーバを備える車両、及び車両用サスペンションの制御方法に関する。
特許文献1には、減衰力可変ショックアブソーバを備える車両が開示されている。この車両では、車両操舵時に、旋回外輪側と比べて旋回内輪側の減衰力が大きくなるように減衰力可変ショックアブソーバが制御される。
特開平11-115438号公報
特許文献1に記載の減衰力の内外輪配分制御によれば、車体の重心高を下げて車両操縦性を向上できる。しかしながら、操舵時に車体姿勢を保持しにくくなり、車両挙動が不安定となる可能性がある。
本開示は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、操舵時に車体姿勢を保持し易くしつつ、減衰力の内外輪配分制御を利用して車両操縦性を向上できるようにすることを目的とする。
本開示に係る車両は、減衰力可変ショックアブソーバと、電子制御ユニットと、を備える。減衰力可変ショックアブソーバは、左右の各前輪及び左右の各後輪の少なくとも一方に対して備えられている。電子制御ユニットは、車両操舵時に旋回外輪側と比べて旋回内輪側の方が大きい要求減衰力を発生させるように減衰力可変ショックアブソーバを制御する。要求減衰力は、スカイフック制御側に基づくサスペンション発生力の制御要求値に基づいて算出される。制御要求値は、車体重心におけるスカイフック要求ロールモーメントに基づいて算出され、かつ、車体重心におけるヒーブ変位量に対するスカイフック要求ロールモーメントの第1干渉量を考慮して算出される。
本開示に係る制御方法は、左右の各前輪及び左右の各後輪の少なくとも一方に対して備えられた減衰力可変ショックアブソーバを備える車両用サスペンションにおいて、車両操舵時に旋回外輪側と比べて旋回内輪側の方が大きい要求減衰力を発生させるように減衰力可変ショックアブソーバを制御する。要求減衰力は、スカイフック制御側に基づくサスペンション発生力の制御要求値に基づいて算出される。制御要求値は、車体重心におけるスカイフック要求ロールモーメントに基づいて算出され、かつ、車体重心におけるヒーブ変位量に対するスカイフック要求ロールモーメントの第1干渉量を考慮して算出される。
上記の車両又は制御方法において、制御要求値は、第1干渉量とともに、車体重心におけるピッチに対するスカイフック要求ロールモーメントの第2干渉量を考慮して算出されてもよい。
本開示に係る車両、及び車両用サスペンションの制御方法によれば、スカイフック制御側に基づくサスペンション発生力の制御要求値は、車体重心におけるヒーブ変位量に対するスカイフック要求ロールモーメントの干渉量(第1干渉量)を考慮して算出される。これにより、車両操舵時に当該干渉量に起因するヒーブ変位が抑制されるように制御要求値を決定できるようになる。このため、操舵時に車体姿勢を保持し易くしつつ、減衰力の内外輪配分制御を利用して車両操縦性を向上できる。
実施の形態に係る車両の構成の一例を概略的に示す図である。 図1に示すサスペンションの構成の一例を概略的に示す図である。 要求減衰力Fsdiの算出に関連する各種物理量の定義を示す車両のモデル図である。 制御要求値Fazfrの算出、及びこれに基づく要求減衰力Fsdfrの算出の流れについて説明するための図である。 制御要求値Fazflの算出、及びこれに基づく要求減衰力Fsdflの算出の流れについて説明するための図である。 制御要求値Fazrrの算出、及びこれに基づく要求減衰力Fsdrrの算出の流れについて説明するための図である。 制御要求値Fazrlの算出、及びこれに基づく要求減衰力Fsdrlの算出の流れについて説明するための図である。 干渉量が考慮されていない比較例に係る車体重心Gにおける3モードのスカイフック制御要求値Faz、Marol、及びMapitの設計フローを示す図である。 図8に示す比較例の構成を備える車両の操舵時の動作を表した図である。 実施の形態に係る車体重心Gにおける3モードのスカイフック制御要求値Faz、Marol、及びMapitの設計フローを示す図である。 実施の形態に係る車両1の操舵時の動作を表した図である。
以下、添付図面を参照して、本開示の実施の形態について説明する。ただし、以下に示す実施の形態において各要素の個数、数量、量、範囲等の数に言及した場合、特に明示した場合や原理的に明らかにその数に特定される場合を除いて、その言及した数に、本開示に係る技術思想が限定されるものではない。また、以下に示す実施の形態において説明する構造等は、特に明示した場合や明らかに原理的にそれに特定される場合を除いて、本開示に係る技術思想に必ずしも必須のものではない。
1.車両の構成
図1は、実施の形態に係る車両1の構成の一例を概略的に示す図である。車両1は、4つの車輪10を備えている。また、車両1は、独立懸架式のサスペンション20を備えている。なお、以下の説明では、個々の車輪10を個別に呼称する場合には、左前輪10FL、右前輪10FR、左後輪10RLおよび右後輪10RRと称される。
図2は、図1に示すサスペンション20の構成の一例を概略的に示す図である。サスペンション20は、各車輪10を車体2から懸架しており、サスペンションアーム22、サスペンションスプリング24、及びショックアブソーバ26を備えている。ショックアブソーバ26は、減衰力可変式であり、発生させる減衰力を調整するアクチュエータ28を備えている。車体2及びショックアブソーバ26等の部材のうちサスペンションスプリング24よりも車体2の側の部分がバネ上3に相当する。これに対し、車輪10及びショックアブソーバ26等の部材のうちサスペンションスプリング24よりも車輪10の側の部分がバネ下4に相当する。
さらに、車両1は、電子制御ユニット(ECU)30を備えている。ECU30は、プロセッサ、メモリ、及び入出力インターフェースを備えている。入出力インターフェースは、車両1に取り付けられた各種センサからセンサ信号を取り込むとともに、アクチュエータ28に対して操作信号を出力する。記憶装置には、アクチュエータ28を制御するための各種の制御プログラムが記憶されている。プロセッサは、制御プログラムを記憶装置から読み出して実行し、これにより、減衰力可変ショックアブソーバ26による減衰力の制御が実現される。
上述の各種センサは、バネ上加速度センサ32と、ストロークセンサ34とを含む。バネ上加速度センサ32は、各車輪10に対応して備えられ、バネ上加速度(すなわち、車輪10の位置に対する車体2(バネ上3)の上下加速度)に応じた信号を出力する。ストロークセンサ34は、各車輪10(各サスペンション20)に対応して備えられ、サスペンション20ストローク量zsiに応じた信号を出力する。なお、ストローク量zsiは、例えば、オブザーバを利用して、バネ上加速度センサ32により検出されるバネ上加速度から推定されてもよい。
2.サスペンション制御
車両の乗り心地を向上する手法の1つとして、スカイフック制御則に基づくスカイフック制御が知られている。スカイフック制御則に基づいて決定される減衰力を発生するように各車輪10の減衰力可変ショックアブソーバ26を制御することにより、路面から各車輪10への上下入力に伴うバネ上3(車体2)の上下振動を抑制できる。本実施形態において行われるスカイフック制御則に基づく減衰力の制御は、車両操舵時に行われる減衰力の「内外輪配分制御」を含む。
この内外輪配分制御では、旋回中の車両1の重心高を下げることによって車両操縦性を高めるために、旋回外輪側と比べて旋回内輪側の方が大きい減衰力を発生させるようにショックアブソーバ26(アクチュエータ28)が制御される。より詳細には、旋回外輪側の減衰力が低下し、旋回内輪側の減衰力が増加するようにショックアブソーバ26が制御される。
ただし、単に旋回外輪側と比べて旋回内輪側の方が大きくなるように要求減衰力を算出するだけでは、ヒーブ方向(車体上下方向Z)とピッチ方向における車体2の変化量が大きくなってしまう。このような課題に鑑み、本実施形態の内外輪配分制御で用いられる各車輪10の要求減衰力Fsdiは、下記のように決定される。
図3は、要求減衰力Fsdiの算出に関連する各種物理量の定義を示す車両1のモデル図である。なお、下記の説明において、添字iは、各車輪10と対応する記号fr、fl、rr、rlに対応している。
図3において、Gは車体2(バネ上3)の重心(車体重心)である。車両1の例では、車体重心Gは、車両前後方向Xにおける前輪軸と後輪軸との中間位置に対して少し前輪側に位置している。θrol及びθpitは、それぞれ、車体重心G周りのロール角及びピッチ角である。図3に示すように、ロール角θrolは、車体2の左側が車両上下方向(以下、単に「上下方向」とも称する)Zの下方に下がる時(すなわち、左輪10FL、10RLが内輪となり、右輪10FR、10RRが外輪となる時)に正となる。ピッチ角θpitは、車体2の前方側が上下方向Zの下方に下がる時に正となる。lは車両前後方向Xにおける車体重心Gと前輪10FR、10FLの回転軸との距離(重心前輪軸間距離)であり、同様に、lは同方向Xにおける車体重心Gと後輪10RR、10RLの回転軸との距離(重心後輪軸間距離)である。したがって、これらの距離lと距離lとの和は、車両1のホイールベースLに相当する。T及びTは、それぞれ、前輪10FR、10FLのトレッド幅、及び後輪10RR、10RLのトレッド幅である。
は、車体重心Gにおける上下方向Zの車体2の変位量(バネ上変位量)であり、上下方向Zの上向きを正とする。zbiは、各車輪10の位置における車体2の変位量である。zwiは、各車輪10の変位量(バネ下変位量)である。各車輪10におけるサスペンションストローク量zsiは、バネ下変位量zwiからバネ上変位量zbiを引くことで得られる値(=zwi-zbi)である。したがって、ストローク量zsiは、サスペンション圧縮時に正となる。
各車輪10において、Fsiは、サスペンション発生力であり、車体2を上方に持ち上げるように作用する時に正となる。サスペンション発生力Fsiは、サスペンションスプリング24の発生力Fskiと、ショックアブソーバ26の発生力との和に相当する。ショックアブソーバ26の発生力(すなわち、減衰力)の要求値が、上述の要求減衰力Fsdiである。各車輪10における要求減衰力Fsdiは、スカイフック制御側に基づくサスペンション発生力の制御要求値Fazi(スカイフック制御量)に基づいて算出される。なお、制御要求値Faziに付される記号「a」は、アクティブの略であり、スカイフック制御則に基づく要求値であることを示している。このことは、後述の要求ロールモーメントMarol、及び要求ピッチモーメントMapit_rol等についても同様である。
<制御要求値Faziの算出>
本実施形態に係る制御要求値Faziの算出式の導出について説明する。まず、(1)式は、スカイフック制御則に基づく車体重心Gにおける要求ロールモーメントMarol(スカイフック要求ロールモーメント)の算出式である。(1)式に示すように、要求ロールモーメントMarolは、スカイフックゲインCa_rolとロール角速度dθrolの積にマイナス符号を付けて得られる値である。スカイフックゲインCa_rolは事前に適合された値である。ロール角速度dθrolは、計測値であり、例えば、バネ上加速度センサ32によって検出されるバネ上加速度に基づく各車輪10の位置におけるバネ上変位量zbiから算出できる。要求ロールモーメントMarolは、車体2に生じるロール方向の変位を抑制するために要求されるロールモーメントであるため、(1)式の右辺にマイナス符号が付されている。
Figure 2023027642000002
次に、(2)~(5)式は、要求ロールモーメントMarolに基づく各車輪10の制御要求値Faziの基本式である。より詳細には、右前輪10FRの制御要求値Fazfrの基本式は、重心後輪軸間距離l、前輪トレッド幅T、ホイールベースL、及び要求ロールモーメントMarolに基づいて(2)式に示すように表される。他の車輪10FL、10RR、10RLの制御要求値Fazfrの基本式も、同様に(3)~(5)式に示すように表される。
Figure 2023027642000003

Figure 2023027642000004

Figure 2023027642000005

Figure 2023027642000006
次に、(6)~(9)式は、それぞれ、(2)~(5)式に示される制御要求値Faziの基本式に対して、「内外輪配分制御」のための制御要求値Faziの配分が加えられた式に相当する。具体的には、この配分のために、事前に適合された変化量b及びbが用いられる。変化量bは前輪10FR、10FL用であり、変化量bは後輪10RR、10RL用である。変化量b及びbは、それぞれ、0より大きくかつ1より小さい値をとる。なお、変化量b及びbは、同じ値でもよいし、異なる値でもよい。
Figure 2023027642000007

Figure 2023027642000008

Figure 2023027642000009

Figure 2023027642000010
より詳細には、(6)~(9)式のそれぞれで用いられる配分比(1-b)及び(1+b)は、図4~図7を参照して後述されるようにストローク速度dzsiに応じて変更される。ストローク速度dzsiは、バネ下速度dzwiからバネ上速度dzbiを引いて得られる。具体的には、ストローク速度dzsiが正又はゼロとなる車輪10では、配分比(1-b)が選択され、ストローク速度dzsiが負となる車輪10では、配分比(1+b)が選択される。このため、車両操舵に伴う車両1の左旋回時(すなわち、左輪10FL、10RLが内輪となり、右輪10FR、10RRが外輪となる時)においてロール角θrolが拡大する時には、各車輪10の配分比(1-b)及び(1+b)は、(6)~(9)式に示すように選択される。一方、車両1の右旋回時に選択される各車輪10の配分比(1-b)及び(1+b)は、(6)~(9)式に示すものと逆となる。これにより、旋回時の内輪に該当する車輪10の配分比(1+b)は1より大きくなり、外輪に該当する車輪10の配分比(1-b)は1より小さくなる。したがって、内輪側の制御要求値Fazflが増加し、外輪側の制御要求値Fazfrが減少するように要求ロールモーメントMarolを配分する内外輪配分制御を行うことができる。
ここで、(6)~(9)式を利用して得られる内外輪配分後の制御要求値Faziは、ヒーブ方向(上下方向Z)及びピッチ方向の車体2(バネ上3)の挙動に影響を与える干渉量を含んでいる。
具体的には、次の(10)式は、(6)~(9)式の各辺を足し合わせて得られる関係を示している。この(10)式の右辺は、内外輪配分後の各車輪10の制御要求値Faziに応じた要求減衰力Fsdiを発生させた際に要求ロールモーメントMarolの付与に起因して車体重心Gに表れる上下方向Z(ヒーブ方向)の発生力の変化量に相当する。つまり、(10)式の右辺に表される変化量(本開示に係る「第1干渉量」の一例に相当)の影響により、車両操舵時に要求減衰力Fsdiを発生させた際のヒーブ方向の車体2の変位量zの変化が大きくなってしまう(後述の9(A)参照)。
Figure 2023027642000011
次の(11)式の左辺は、内外輪配分後の各車輪10の制御要求値Faziに基づくピッチモーメントに相当する。このピッチモーメントの値は、(6)~(9)式より、(11)式の左辺のように表される。(10)式を参照したヒーブの例と同様に、(11)式の右辺に表されるピッチモーメントは、要求減衰力Fsdiを発生させた際に要求ロールモーメントMarolの付与に起因して生じるピッチモーメントの変化量に相当する。つまり、(11)式の右辺に表される変化量(本開示に係る「第2干渉量」の一例に相当)の影響により、車両操舵時に要求減衰力Fsdiを発生させた際のピッチ角θpitの変化が大きくなってしまう(後述の9(B)参照)。
Figure 2023027642000012
Figure 2023027642000013
そこで、本実施形態では、内外輪配分後の各車輪10の制御要求値Faziの算出において、ヒーブ方向(上下方向Z)及びピッチ方向の干渉量が次のように考慮される。まず、(12)式は、(10)式の右辺に表されるヒーブ方向の干渉量に応じたヒーブ方向のスカイフックゲインCaz_rolの算出式であり、上述のスカイフックゲインCa_rolを基礎として表されている。同様に、(13)式は、(11)式の右辺に表されるピッチ方向の干渉量に応じたピッチ方向のスカイフックゲインCapit_rolの算出式であり、スカイフックゲインCa_rolを基礎として表されている。
Figure 2023027642000014

Figure 2023027642000015
なお、(12)及び(13)式の右辺には、それぞれ、所定の係数gaz及びgapitが掛け合わされている。係数gazは、スカイフックゲインCaz_rolを、(10)式の右辺のように表されるヒーブ方向の干渉量と等価とみなせるように事前に適合される値である。係数gapitも同様に、スカイフックゲインCapit_rolを、(11)式の右辺のように表されるピッチ方向の干渉量と等価とみなせるように事前に適合される値である。ただし、これらの係数gaz及びgapitは、簡易的に1とされてもよい。
次に、(14)~(16)式は、それぞれ、車両操舵時における車体重心Gの3モード(ロール、ヒーブ、及びピッチ)の各車輪10の制御要求値Faziの関係式を示している。そして、ヒーブに関する(15)式とピッチに関する(16)式には、上述の干渉量((10)及び(11)式参照)を考慮したヒーブ方向のスカイフックゲインCaz_rol、及びピッチ方向のスカイフックゲインCapit_rolがそれぞれ反映されている。
Figure 2023027642000016

Figure 2023027642000017

Figure 2023027642000018
より詳細には、(15)式では、4つの車輪10の制御要求値Faziの和に相当する制御要求値Faz_rolが、ヒーブ方向のスカイフックゲインCaz_rolと車体重心Gでの車体2の変位速度dZとの積にマイナス符号を付けて得られる値と等しくなるものとして表されている。つまり、(15)式は、要求ロールモーメントMarolに基づく要求減衰力Fsdiの発生に起因して生じるヒーブ方向の干渉量を減らすために必要とされる車体重心Gにおけるヒーブ方向(上下方向Z)の制御要求値Faz_rolを示している。
そして、(16)式では、4つの車輪10の制御要求値Faziに応じた要求ピッチモーメントMapit_rolが、ピッチ方向のスカイフックゲインCapit_rolとピッチ角速度dθpitとの積にマイナス符号を付けて得られる値と等しくなるものとして表されている。つまり、(16)式は、要求ロールモーメントMarolに基づく要求減衰力Fsdiの発生に起因して生じるピッチ方向の干渉量を減らすために必要とされる車体重心Gにおけるピッチ方向の要求ピッチモーメントMapit_rolを示している。
次に、本実施形態において用いられる各車輪10の最終的な制御要求値Faziの算出式である(17)~(20)式について説明する。(17)~(20)式は、上述の(14)~(16)式に、車体重心Gにおけるワープ(Warp)モードの関係を特定する(21)式を加えて合計4つの連立方程式を解くことにより得られる。(17)~(20)式は、(6)~(9)式を利用して得られる内外輪配分後の制御要求値Faziの右辺と同じ要求ロールモーメントMarolの項を有する。さらに、(17)~(20)式は、ヒーブ方向の干渉量を減らすための制御要求値Faz_rolの項と、ピッチ方向の干渉量を減らすための要求ピッチモーメントMapit_rolの項とを有する。なお、(21)式中の長さlwf及びlwrは、それぞれ、(22)及び(23)式に示すように表される。
Figure 2023027642000019

Figure 2023027642000020

Figure 2023027642000021

Figure 2023027642000022

Figure 2023027642000023

Figure 2023027642000024

Figure 2023027642000025
<要求減衰力Fsdiの算出の流れ>
次に、図4~図7を参照して、制御要求値Faziの算出、及びこれに基づく要求減衰力Fsdiの算出の流れについて説明する。図4、図5、図6、及び図7は、それぞれ、右前輪10FR、左前輪10FL、右後輪10RR、及び左後輪10RLを対象としている。ここでは、要求減衰力Fsdiの算出の流れについて、図4を参照して右前輪10FRを例に挙げて詳述するが、他の車輪10に関する算出の流れについても、図5~図7に表されるように同様である。
図4に示すように、制御要求値Fazfrは、要求ロールモーメントMarol、制御要求値Faz_rol、及び要求ピッチモーメントMapit_rolに基づいて算出される。要求ロールモーメントMarolは、(1)式を参照して説明したように、スカイフックゲインCa_rolとロール角速度dθrolから算出できる。制御要求値Faz_rolは、(15)式に示す関係に基づき、(12)式に示す関係に基づくヒーブ方向のスカイフックゲインCaz_rolと、車体2の変位速度(バネ上速度)dZとから算出できる。要求ピッチモーメントMapit_rolは、(16)式に示す関係に基づき、(13)式に示す関係に基づくピッチ方向のスカイフックゲインCapit_rolと、ピッチ角速度dθpitから算出できる。
図4に示すように、要求ロールモーメントMarolは、まず、係数(l/TL)と掛け合わされる。また、要求ロールモーメントMarolに掛け合わされる内外輪配分比は、上述のようにストローク速度dzsfrに応じて変化する。具体的には、ストローク速度dzsfrがゼロ以上の場合には、配分比(1-b)が選択され、ストローク速度dzsfrが負の場合には、配分比(1+b)が選択される。制御要求値Faz_rolは、係数(l/2L)と掛け合わされる。要求ピッチモーメントMapit_rolは、係数(1/2L)と掛け合わされる。
そのうえで、図4に示すように、要求ロールモーメントMarol、制御要求値Faz_rol、及び要求ピッチモーメントMapit_rolの各項が足し合わされる。これらの各項の符号は、(17)式で表されるものと同じであり、それぞれ、プラス、マイナス、及びマイナスである。右前輪10FRの制御要求値Fazfrは、このような算出の流れに従って算出できる。このことは、他の車輪10の制御要求値Fazfl、Fazrr、及びFazrlについても同様である。
そのうえで、ショックアブソーバ26のアクチュエータ28に指示される各車輪10の要求減衰力Fsdiが制御要求値Faziに基づいて算出される。具体的には、要求減衰力Fsdiは、(24)式に示される判断条件に基づいて決定される。
Figure 2023027642000026
ここで、アクチュエータ28によって制御されるショックアブソーバ26の減衰力は、ショックアブソーバ26の伸縮に対する抵抗力である。このため、減衰力を発生できる条件は、バネ上速度dzbiとストローク速度dzsiとの関係に応じて制限される。具体的には、減衰力は、車体2(バネ上3)が上方に移動しており、かつショックアブソーバ26が伸びている時に、ショックアブソーバ26の伸びを抑制するように発生できる。また、減衰力は、車体2(バネ上3)が下方に移動しており、かつショックアブソーバ26が縮んでいる時に、ショックアブソーバ26の縮みを抑制するように発生できる。これらの2つの場合には、(24)式中に表されるバネ上速度dzbiとストローク速度dzsiとの積が負となる。そこで、この積が負となる条件では、制御要求値Faziが要求減衰力Fsdiとして用いられる。一方、この積が正又はゼロとなる条件では、要求減衰力Fsdiはゼロとされる。
(24)式に従う処理により、減衰力可変ショックアブソーバ26を利用したセミアクティブサスペンション20において、スカイフック制御則に基づく要求減衰力Fsdiを算出することができる。ECU30は、このように算出される要求減衰力Fsdiを発生させるように各車輪10のアクチュエータ28を制御する。
3.作用効果
以上説明したように、本実施形態に係る車両操舵時の内外輪配分制御では、車体重心Gにおけるスカイフック要求ロールモーメントMarolに基づく(換言すると、要求ロールモーメントMarolの付与に起因する)ヒーブ方向及びピッチ方向の干渉量((10)及び(11)式参照)が考慮されている。以下、このような干渉量が考慮されていない比較例と対比しつつ、本実施形態の内外輪配分制御の効果について説明する。
図8は、干渉量が考慮されていない比較例に係る車体重心Gにおける3モードのスカイフック制御要求値Faz、Marol、及びMapitの設計フローを示す図である。なお、制御要求値Fazは、車体重心Gにおけるヒーブ方向のトータルの制御要求値に相当し、一方、上述の制御要求値Faz_rolは、要求ロールモーメントMarolの付与に伴う車体重心Gにおけるヒーブ方向の制御要求値に相当する。このことは、要求ピッチモーメントMapitと上述の要求ピッチモーメントMapit_rolとの関係についても同様である。
図8に示す比較例では、制御要求値Fazは、バネ上速度dzと、ヒーブに関するスカイフックゲインCazとの積にマイナス符号を付けて得られる。要求ロールモーメントMarolについては、(1)式を参照して説明した通りである。要求ピッチモーメントMapitは、ピッチに関するスカイフックゲインCapitとの積にマイナス符号を付けて得られる。
図9は、図8に示す比較例の構成を備える車両の操舵時の動作を表した図である。より詳細には、図9(A)は、車体重心Gにおけるバネ上変位量zとロール角θrolとの関係を示し、図9(B)は、車体重心Gにおけるピッチ角θpitとロール角θrolとの関係を示している。図9は、所定の振幅の正弦波状の横加速度(横G)が車両に作用した際の関係を示している。
図9(A)に示すように、「ヒーブ方向の干渉量」が考慮されていない比較例の内外輪配分制御が行われた場合(実線)には、内外輪配分制御が行われない場合(破線)と比べて、車体2のロール時のバネ上変位量z(すなわち、ヒーブ方向の車体2の変位量)の変化が大きくなっている。
同様に、図9(B)に示すように、「ピッチ方向の干渉量」が考慮されていない比較例の内外輪配分制御が行われた場合(実線)には、内外輪配分制御が行われない場合(破線)と比べて、車体2のロール時のピッチ角θpitの変化が大きくなっている。
一方、図10は、実施の形態に係る車体重心Gにおける3モードのスカイフック制御要求値Faz、Marol、及びMapitの設計フローを示す図である。図10に示す設計フローにおいて、要求ロールモーメントMarolは、比較例の設計フローと同じである。本設計フローは、ヒーブ及びピッチに関するスカイフックゲインにおいて、比較例の設計フローと相違している。
具体的には、ヒーブに関し、本設計フローでは、比較例と同じスカイフックゲインCazに、ヒーブ方向の干渉量が反映されたスカイフックゲインCaz_rol((12)式参照)が足し合わされている。このように、本設計フローによれば、車体重心Gにおけるヒーブ方向のトータルの制御要求値Fazの算出に、ヒーブ方向の干渉量が反映(考慮)されている。なお、本設計フローでは、係数gazの設定も行われる。
同様に、ピッチに関し、本設計フローでは、比較例と同じスカイフックゲインCapitに、ピッチ方向の干渉量が反映されたスカイフックゲインCapit_rol((13)式参照)が足し合わされている。このように、本設計フローによれば、車体重心Gにおけるピッチ方向のトータルの制御要求値である要求ピッチモーメントMapitの算出に、ピッチ方向の干渉量が反映(考慮)されている。なお、本設計フローでは、係数gapitの設定も行われる。
図11は、実施の形態に係る車両1の操舵時の動作を表した図である。より詳細には、図11(A)及び11(B)は、図9と同じ条件における実施の形態1の車両1(実線)の動作と比較例の車両(一点鎖線)の動作とを比較した図である。図11(A)に示すように、「ヒーブ方向の干渉量」の考慮により、車体2のロール時のバネ上変位量z(ヒーブ方向の車体2の変位量(ヒーブ変位量))の変化が比較例と比べて低減されている。また、図11(B)に示すように、「ピッチ方向の干渉量」の考慮により、車体2のロール時のピッチ角θpitの変化が比較例と比べて低減されている。
以上説明した本実施形態の内外輪配分制御によれば、「ヒーブ方向の干渉量」及び「ピッチ方向の干渉量」を考慮して各車輪10の制御要求値Faziが算出される。これにより、車両操舵時(車体2のロール時)にこれらの干渉量に起因するヒーブ変位量の変化及びピッチ角θpitの変化が抑制されるように制御要求値Faziを決定できるようになる。このため、車両操縦安定性と乗り心地を向上できる。
4.他の実施の形態
上述した実施の形態に係る内外輪配分制御では、4つの車輪10のそれぞれの制御要求値Faziが「ヒーブ方向の干渉量(第1干渉量」及び「ピッチ方向の干渉量(第2干渉量」を考慮して算出されている。このような例に代え、4つの車輪10のうち前輪10FR及び10FLの制御要求値Fazfr及びFazflのみが、これらの第1及び第2干渉量に基づいて算出されてもよい。あるいは、4つの車輪10のうち後輪10RR及び10RLの制御要求値Fazrr及びFazrlのみが、これらの第1及び第2干渉量に基づいて算出されてもよい。
また、4つの車輪10のすべて、前輪10FR及び10FLのみ、又は、後輪10RR及び10RLのみを対象として、制御要求値Faziは、第1及び第2干渉量のうちの第1干渉量(ヒーブ変位量)のみを考慮して算出されてもよい。
1 車両
2 車体
3 バネ上
4 バネ下
10、10FR、10FL、10RR、10RL 車輪
20 サスペンション
22 サスペンションアーム
24 サスペンションスプリング
26 減衰力可変ショックアブソーバ
28 アクチュエータ
30 電子制御ユニット(ECU)
32 バネ上加速度センサ
34 ストロークセンサ

Claims (4)

  1. 左右の各前輪及び左右の各後輪の少なくとも一方に対して備えられた減衰力可変ショックアブソーバと、
    車両操舵時に旋回外輪側と比べて旋回内輪側の方が大きい要求減衰力を発生させるように前記減衰力可変ショックアブソーバを制御する電子制御ユニットと、
    を備える車両であって、
    前記要求減衰力は、スカイフック制御側に基づくサスペンション発生力の制御要求値に基づいて算出され、
    前記制御要求値は、車体重心におけるスカイフック要求ロールモーメントに基づいて算出され、かつ、前記車体重心におけるヒーブ変位量に対する前記スカイフック要求ロールモーメントの第1干渉量を考慮して算出される
    ことを特徴とする車両。
  2. 前記制御要求値は、前記第1干渉量とともに、前記車体重心におけるピッチに対する前記スカイフック要求ロールモーメントの第2干渉量を考慮して算出される
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両。
  3. 左右の各前輪及び左右の各後輪の少なくとも一方に対して備えられた減衰力可変ショックアブソーバを備える車両用サスペンションにおいて、車両操舵時に旋回外輪側と比べて旋回内輪側の方が大きい要求減衰力を発生させるように前記減衰力可変ショックアブソーバを制御する制御方法であって、
    前記要求減衰力は、スカイフック制御側に基づくサスペンション発生力の制御要求値に基づいて算出され、
    前記制御要求値は、車体重心におけるスカイフック要求ロールモーメントに基づいて算出され、かつ、前記車体重心におけるヒーブ変位量に対する前記スカイフック要求ロールモーメントの第1干渉量を考慮して算出される
    ことを特徴とする車両用サスペンションの制御方法。
  4. 前記制御要求値は、前記第1干渉量とともに、前記車体重心におけるピッチに対する前記スカイフック要求ロールモーメントの第2干渉量を考慮して算出される
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両用サスペンションの制御方法。
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