JP2023027589A - 自動変速機 - Google Patents

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龍彦 岩▲崎▼
Tatsuhiko Iwasaki
孝之 池本
Takayuki Ikemoto
芳彦 藤田
Yoshihiko Fujita
哲生 山田
Tetsuo Yamada
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Abstract

Figure 2023027589000001
【課題】製造コストの抑制と変速応答性の向上とを両立させる。
【解決手段】自動変速機は、軸方向に並ぶ第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2と、第1クラッチCL1の軸方向の一方側であって第2クラッチCL2と反対側に配置されたプラネタリギヤセット(PG1,PG2)とを備える。第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2の各ハブ部材は、共通ハブ部材32によって兼用される。第1クラッチCL1のドラム部材31及びピストン支持部材35は、プラネタリギヤセットのキャリヤC1に連結される。共通ハブ部材32は、プラネタリギヤセットとは異なる他のプラネタリギヤセットPG3の回転要素(S3)に連結される。
【選択図】図6

Description

本発明は、複数のクラッチ及び複数のプラネタリギヤセットを備えた自動変速機に関する。
上記自動変速機の一例として、下記特許文献1のものが知られている。この特許文献1に記載の自動変速機は、軸方向に並ぶ3つのクラッチと3つのプラネタリギヤセットとを備える。具体的に、特許文献1の自動変速機では、第1クラッチ(後側クラッチ)、第2クラッチ(中間クラッチ)、及び第3クラッチ(前側クラッチ)が軸方向の一方側(後側)からこの順に並ぶように配置されるとともに、第1クラッチの軸方向の一方側に、第1プラネタリギヤセット、第2プラネタリギヤセット、及び第3プラネタリギヤセットがこの順に並ぶように配置される。第1クラッチ、第2クラッチ、及び第3クラッチは、いずれも第3プラネタリギヤセットのサンギヤ(第3サンギヤ)に連結されている。
特開2020-169681号公報
上記特許文献1の自動変速機では、3つのプラネタリギヤセットと3つのクラッチとが軸方向の一方側と他方側とに分かれて配置されるので、3つのクラッチと第3サンギヤ(つまり最もクラッチから遠いプラネタリギヤセットのサンギヤ)との間の動力伝達経路が長尺化し易いという問題がある。動力伝達経路の長尺化は、当該動力伝達経路を構成する部品群、つまり第3サンギヤと一体に回転する回転部品群の質量の増大につながる。回転部品群の質量が増大すると、第3サンギヤの回転速度が急変するような変速時に、当該回転部品群の慣性(イナーシャ)の影響で第3サンギヤの回転変化が鈍化し、変速応答性が悪化するおそれがある。もちろん、回転部品群の少なくとも一部を例えばアルミダイキャスト品等の軽量部品に置換するなどすれば、回転部品群の質量増加は抑制される。しかしながら、このようにすると部品単価の増大が避けられず、製造コストの面で好ましくない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、製造コストの抑制と変速応答性の向上とを両立させることが可能な自動変速機を提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、軸方向に並ぶ第1クラッチ及び第2クラッチと、前記第1クラッチの軸方向の一方側であって前記第2クラッチと反対側に配置されたプラネタリギヤセットとを備え、前記第1クラッチは、複数の摩擦板と、当該摩擦板の内周縁と係合する筒状のハブ部材と、前記摩擦板の外周縁と係合する筒状のドラム部材と、前記摩擦板を押圧するピストンと、当該ピストンを軸方向に移動可能に支持するピストン支持部材とを含み、前記第2クラッチは、複数の摩擦板と、当該摩擦板の内周縁と係合する筒状のハブ部材とを含み、前記第1クラッチの前記ハブ部材及び前記第2クラッチの前記ハブ部材は、両クラッチに共用される共通ハブ部材であり、前記第1クラッチの前記ドラム部材及び前記ピストン支持部材は、前記プラネタリギヤセットのキャリヤに連結され、前記共通ハブ部材は、前記プラネタリギヤセットとは異なる他のプラネタリギヤセットの回転要素に連結される、ことを特徴とするものである(請求項1)。
本発明によれば、プラネタリギヤセットと並ぶ第1クラッチ及び第2クラッチの各ハブ部材が共通ハブ部材によって兼用されるとともに、当該共通ハブ部材が他のプラネタリギヤセットの回転要素と連結されるので、第1クラッチ及び第2クラッチにそれぞれ専用のハブ部材を用意した場合と比べて、前記回転要素に連結されて当該回転要素と一体に回転する回転部品群の質量を低減することができる。加えて、第1クラッチのドラム部材及びピストン支持部材が前記プラネタリギヤセットのキャリヤに連結されるので、当該ピストン及びピストン支持部材を前記回転要素から機械的に分離することができ、その意味でも前記回転部品群の質量を低減することができる。これにより、回転部品群を高価な軽量部品に置換する等の特別な措置を採らなくても、当該回転部品群の質量を十分に低減することができ、製造コストを抑制しつつ自動変速機の変速応答性を向上させることができる。
好ましくは、自動変速機は、前記共通ハブ部材及び前記ピストン支持部材の内側を通って両者を回転可能に支持しかつ変速機ケースに固定された軸方向に延びるボス部材と、前記ボス部材の外周に配置されたスラストベアリングとをさらに備え、前記共通ハブ部材及び前記ピストン支持部材は、前記スラストベアリングを間に挟んだ状態で軸方向に隣接配置される(請求項2)。
この構成によれば、共通ハブ部材とピストン支持部材とを両者の相対回転を許容しつつ軸方向に近接配置することができ、第1クラッチ及び第2クラッチを軸方向にコンパクト化することができる。
より好ましくは、前記ボス部材の内部に、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチに締結用の油圧を供給するための油路が形成される(請求項3)。
この構成によれば、第1クラッチ及び第2クラッチの締結時に、共通のボス部材の内部を通じて各クラッチの油圧室に必要な油圧を供給することができる。
好ましくは、前記第1クラッチの前記ピストンは、前記プラネタリギヤセットのピニオンを外側から囲む囲繞部を含み、前記囲繞部は、前記ピニオンに対応する位置に開口を有する(請求項4)。
この構成によれば、ピストンとピニオンとの干渉を回避しつつ両者を径方向に近接配置することができ、第1クラッチの径方向寸法を縮小することができる。
自動変速機は、前記第1クラッチとの間で前記プラネタリギヤセットを挟むように当該プラネタリギヤセットの軸方向の一方側に配置された第3クラッチをさらに備えていてもよい。この場合、前記他のプラネタリギヤセットは、前記第3クラッチの軸方向の一方側に配置されることが好ましい(請求項5)。
この構成によれば、第1クラッチ、第2クラッチ、及び第3クラッチを複数のプラネタリギヤセットとの関係で合理的に配置することができる。
より好ましくは、自動変速機は、前記第1クラッチ、前記第2クラッチ、及び前記第3クラッチを前記他のプラネタリギヤセットの前記回転要素に連結する連結部材をさらに備え、前記第3クラッチは、複数の摩擦板と、当該摩擦板の外周縁と係合する筒状のドラム部材とを含み、前記連結部材は、前記第1及び第2クラッチの前記共通ハブ部材と前記第3クラッチの前記ドラム部材とを連結する第1連結部材と、前記第3クラッチの前記ドラム部材を前記回転要素に連結する第2連結部材とを含む(請求項6)。
この構成によれば、第1~第3クラッチと他のプラネタリギヤセットの回転要素とを2つの連結部材を用いて合理的に連結することができる。これにより、前記回転要素への動力伝達経路を簡素化することができ、当該動力伝達経路を構成する回転部品群の質量を効果的に低減することができる。
以上説明したように、本発明の自動変速機によれば、製造コストの抑制と変速応答性の向上とを両立させることができる。
本発明の一実施形態に係る自動変速機の構成を示す骨子図である。 上記自動変速機の断面図である。 各摩擦締結要素の締結/解放と変速段との関係を示す締結表である。 図2の一部を拡大した拡大断面図である。 第1クラッチの分解斜視図である。 第3サンギヤと一体に回転する回転部品群を着色して示した図4相当図である。 上記実施形態に対しクラッチ等の配置を相違させた比較例の構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
[自動変速機の全体構成]
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る自動変速機1の構成を示す骨子図及び断面図である。本図に示される自動変速機1は、FR式(フロントエンジン・リアドライブ式)の車両に搭載される縦置き式の自動変速機である。すなわち、自動変速機1は、車両の前部に配置された内燃機関を含む駆動源の動力を変速しつつプロペラシャフトに伝達する変速機である。プロペラシャフトに伝達された動力は、ディファレンシャル機構を介して後輪に伝達される。
自動変速機1は、変速機構10と、変速機ケース11と、入力軸12と、出力軸13と、バルブボディ14(図2)とを備える。変速機構10は、変速比の異なる複数のギヤ段を達成可能な多段式の変速機構であり、後述するプラネタリギヤセット(PG1~PG4)の他、クラッチ及びブレーキ(CL1~CL3,BR1,BR2)等の摩擦締結要素を含む。変速機ケース11は、変速機構10を内部に収容するケースである。入力軸12は、変速機構10に動力を入力する軸部材であり、上記駆動源の出力軸と同軸に連結されている。出力軸13は、変速機構10から動力を出力する軸部材であり、上記プロペラシャフトと同軸に連結されている。入力軸12は、変速機ケース11の内部に配置され、出力軸13は、変速機ケース11の内部から外部に突出するように配置されている。
入力軸12及び出力軸13は、車両前後方向に沿って同軸に配置されている。すなわち、入力軸12及び出力軸13は、車両前後方向に延びる同一の軸線X(図2)に沿って延びるように配置されている。軸線Xは、自動変速機1の変速機構10の実質的な中心軸である。自動変速機1は、その軸線Xに沿って、入力軸12が車両前側に位置しかつ出力軸13が車両後側に位置する状態で車両に搭載される。このため、以下では、自動変速機1の軸線X(入力軸12及び出力軸13の中心軸)と平行な方向の一方側であって上記駆動源から離れる側(図の右側)のことを「後」といい、軸線Xと平行な方向の他方側であって上記駆動源に近づく側(図の左側)のことを「前」ということがある。また、自動変速機1に関し、その軸線Xに沿う方向のことを「軸方向」といい、軸線Xと直交する方向のことを「径方向」ということがある。さらに、軸線Xを中心とした円の円周に沿う方向のことを「周方向」ということがある。
変速機構10は、軸方向に並ぶ第1プラネタリギヤセットPG1、第2プラネタリギヤセットPG2、第3プラネタリギヤセットPG3、及び第4プラネタリギヤセットPG4を備える。これら第1、第2、第3、及び第4プラネタリギヤセットPG1,PG2,PG3,PG4は、軸方向に沿って前側からこの順に並ぶように配設されている。以下では、プラネタリギヤセットのことを適宜「ギヤセット」と略称する。例えば、第1プラネタリギヤセットPG1のことを第1ギヤセットPG1と略称する。
第1ギヤセットPG1は、回転要素として、第1サンギヤS1、第1リングギヤR1、及び第1キャリヤC1を備える。第1キャリヤC1は、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第1ピニオンP1を支持している。各第1ピニオンP1は、第1サンギヤS1及び第1リングギヤR1の両方に噛み合っている。
第2ギヤセットPG2は、回転要素として、第2サンギヤS2、第2リングギヤR2、及び第2キャリヤC2を備える。第2キャリヤC2は、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第2ピニオンP2を支持している。各第2ピニオンP2は、第2サンギヤS2及び第2リングギヤR2の両方に噛み合っている。
第3ギヤセットPG3は、回転要素として、第3サンギヤS3、第3リングギヤR3、及び第3キャリヤC3を備える。第3キャリヤC3は、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第3ピニオンP3を支持している。各第3ピニオンP3は、第3サンギヤS3及び第3リングギヤR3の両方に噛み合っている。
第4ギヤセットPG4は、回転要素として、第4サンギヤS4、第4リングギヤR4、及び第4キャリヤC4を備える。第4キャリヤC4は、周方向に互いに間隔を空けて配置された複数の第4ピニオンP4を支持している。各第4ピニオンP4は、第4サンギヤS4及び第4リングギヤR4の両方に噛み合っている。
ここで、本実施形態では、第1ギヤセットPG1として、サンギヤS1が軸方向に2分割されたダブルサンギヤ型のギヤセットが用いられる。一方、他の第2~第4ギヤセットPG2~PG4としては、サンギヤが軸方向に分割されない通常タイプのギヤセットが用いられる。
具体的に、第1ギヤセットPG1の第1サンギヤS1は、前側サンギヤS1a及び後側サンギヤS1bを含む。後側サンギヤS1bは、前側サンギヤS1aの後側に分離して配置されている。前側サンギヤS1a及び後側サンギヤS1bは、同数の歯を有し、かつ共通の第1ピニオンP1に噛合している。このため、前側サンギヤS1a及び後側サンギヤS1bの回転数は常に等しい。すなわち、前側サンギヤS1a及び後側サンギヤS1bは、常に同じ速度で回転し、一方の回転が停止しているときは他方の回転も停止する。
入力軸12は、第1サンギヤS1の各分割ギヤ(つまり前側サンギヤS1a及び後側サンギヤS1b)の間を通る動力伝達部材18を介して第1キャリヤC1に連結されている。第1サンギヤS1(詳しくは後側サンギヤS1b)は、動力伝達部材15を介して第4サンギヤS4に連結されている。第2キャリヤC2は、動力伝達部材16を介して第4キャリヤC4に連結されている。出力軸13は、第4キャリヤC4に連結されている。
変速機構10は、上述した第1~第4ギヤセットPG1~PG4による動力伝達経路を切り替えるための摩擦締結要素として、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、第1ブレーキBR1、及び第2ブレーキBR2を備える。
第1クラッチCL1は、第1ギヤセットPG1の前側の近傍に配置され、第2クラッチCL2は、第1クラッチCL1のさらに前側に配置され、第3クラッチCL3は、第2ギヤセットPG2の後側に配置されている。すなわち、第1~第3クラッチCL1~CL3は、前側から第2クラッチCL2、第1クラッチCL1、第3クラッチCL3の順に並ぶように配置されている。また、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2の組合せと、第3クラッチCL3とは、第1ギヤセットPG1及び第2ギヤセットPG2を間に挟んで軸方向(前後方向)に相対向している。言い換えると、第1~第3クラッチCL1~CL3は、第1及び第2ギヤセットPG1,PG2の軸方向の一方側(後側)に第3クラッチCL3が位置し、かつ同ギヤセットPG1,PG2の軸方向の他方側(前側)に残り2つのクラッチ(第1及び第2ギヤセットCL1,CL2)が位置するように、2組に分かれて配置されている。
第1ブレーキBR1及び第2ブレーキBR2は、第1~第3クラッチCL1~CL3の前後に分かれて配置されている。具体的に、第1ブレーキBR1は、最も前側のクラッチである第2クラッチCL2のさらに前側に配置されている。第2ブレーキBR2は、最も後側のクラッチである第3クラッチCL3のさらに後側(かつ第3ギヤセットPG3の前側)に配置されている。
第1クラッチCL1は、入力軸12及び第1キャリヤC1と、第3サンギヤS3とを断接する摩擦締結要素である。具体的に、第1クラッチCL1は、第1キャリヤC1に連結された回転可能な筒状のドラム部材31と、第3サンギヤS3に動力伝達部材21,22等を介して連結された回転可能な筒状のハブ部材32と、ドラム部材31及びハブ部材32の間に配置された複数の摩擦板33と、摩擦板33を軸方向に押圧可能なピストン34とを備える。第1クラッチCL1は、摩擦板33に対するピストン34の押圧又は当該押圧の解除に応じて、入力軸12及び第1キャリヤC1と、第3サンギヤS3とを断接する。ここで、第1クラッチCL1のハブ部材32は、後述する第2クラッチCL2用のハブ部材を兼用している。このため、以下では、ハブ部材32のことを共通ハブ部材32と称する。
第2クラッチCL2は、第1リングギヤR1及び第2サンギヤS2と、第3サンギヤS3とを断接する摩擦締結要素である。具体的に、第2クラッチCL2は、第1リングギヤR1及び第2サンギヤS2に動力伝達部材23を介して連結された回転可能な筒状のドラム部材41と、第3サンギヤS3に動力伝達部材21,22等を介して連結された上述の共通ハブ部材32と、ドラム部材41及びハブ部材32の間に配置された複数の摩擦板43と、摩擦板43を軸方向に押圧可能なピストン44とを備える。第2クラッチCL2は、摩擦板43に対するピストン44の押圧又は当該押圧の解除に応じて、第1リングギヤR1及び第2サンギヤS2と、第3サンギヤS3とを断接する。
第3クラッチCL3は、第2リングギヤR2と第3サンギヤS3とを断接する摩擦締結要素である。具体的に、第3クラッチCL3は、第3サンギヤS3に動力伝達部材22を介して連結された回転可能な筒状のドラム部材51と、第2リングギヤR2に連結された回転可能な筒状のハブ部材52と、ドラム部材51及びハブ部材52の間に配置された複数の摩擦板53と、摩擦板53を軸方向に押圧可能なピストン54とを備える。第3クラッチCL3は、摩擦板53に対するピストン54の押圧又は当該押圧の解除に応じて、第2リングギヤR2と第3サンギヤS3とを断接する。
第1ブレーキBR1は、変速機ケース11と第1サンギヤS1(詳しくは前側サンギヤS1a)とを断接する摩擦締結要素である。具体的に、第1ブレーキBR1は、変速機ケース11に固定された筒状のドラム部材61と、前側サンギヤS1aに動力伝達部材17を介して連結された回転可能な筒状のハブ部材62と、ドラム部材61及びハブ部材62の間に配置された複数の摩擦板63と、摩擦板63を軸方向に押圧可能なピストン64とを備える。第1ブレーキBR1は、摩擦板63に対するピストン64の押圧又は当該押圧の解除に応じて、変速機ケース11と第1サンギヤS1とを断接する。
第2ブレーキBR2は、変速機ケース11と第3リングギヤR3とを断接する摩擦締結要素である。具体的に、第2ブレーキBR2は、変速機ケース11に固定された筒状のドラム部材71と、第3リングギヤR3に連結された回転可能な筒状のハブ部材72と、ドラム部材71及びハブ部材72の間に配置された複数の摩擦板73と、摩擦板73を軸方向に押圧可能なピストン74とを備える。第2ブレーキBR2は、摩擦板73に対するピストン74の押圧又は当該押圧の解除に応じて、変速機ケース11と第3リングギヤR3とを断接する。
バルブボディ14は、上述した各摩擦締結要素(クラッチCL1~CL3及びブレーキBR1,BR2)の締結及び解放を制御するための油圧回路装置である。詳細な図示は省略するが、例えばバルブボディ14は、各摩擦締結要素に供給されるオイルが流通する多数の油路と、各油路の流れを切り替える多数のソレノイドバルブとを含む。
なお、以上のような構造の自動変速機1において、第1ギヤセットPG1及び第2ギヤセットPG2は、本発明における「プラネタリギヤセット」に相当し、第3ギヤセットPG3は、本発明における「他のプラネタリギヤセット」に相当する。また、動力伝達部材21は、本発明における「第1連結部材」に相当し、動力伝達部材22は、本発明における「第2連結部材」に相当する。
図3は、各摩擦締結要素の締結/解放と変速段との関係を示す締結表である。本図に示すように、本実施形態の自動変速機1では、上述したバルブボディ14による各摩擦締結要素の選択的な締結又は解放に応じて、前進1~8速及び後退速という9種類の変速段が達成される。なお、図3の締結表において、丸印は、対応する摩擦締結要素が締結されていることを表し、空欄は、対応する摩擦締結要素が解放(締結解除)されていることを表す。
具体的に、各変速段は次のようにして達成される。すなわち、1速は、第1クラッチCL1、第1ブレーキBR1、及び第2ブレーキBR2が締結されることで達成される。2速は、第2クラッチCL2、第1ブレーキBR1、及び第2ブレーキBR2が締結されることで達成される。3速は、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、及び第2ブレーキBR2が締結されることで達成される。4速は、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、及び第2ブレーキBR2が締結されることで達成される。5速は、第1クラッチCL1、第3クラッチCL3、及び第2ブレーキBR2が締結されることで達成される。6速は、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、及び第3クラッチCL3が締結されることで達成される。7速は、第1クラッチCL1、第3クラッチCL3、及び第1ブレーキBR1が締結されることで達成される。8速は、第2クラッチCL2、第3クラッチCL3、及び第1ブレーキBR1が締結されることで達成される。後退速は、第3クラッチCL3、第1ブレーキBR1、及び第2ブレーキBR2が締結されることで達成される。
[各クラッチの詳細構造]
次に、上述した各クラッチCL1~CL3のより詳細な構造について説明する。図4は、図2の一部を拡大した拡大断面図であり、図5は、第1クラッチCL1の分解斜視図である。図2、図4、及び図5に示すように、第1クラッチCL1は、上述したドラム部材31、共通ハブ部材32、摩擦板33、及びピストン34に加えて、ピストン支持部材35と、隔壁部材36と、リターンスプリング37とを備える。ピストン支持部材35は、ピストン34を軸方向に移動可能に支持する部材である。リターンスプリング37は、ピストン34を解放方向(摩擦板33から離間する方向;ここでは後方)に付勢するスプリングである。隔壁部材36は、リターンスプリング37が配置される空間を油圧室(後述する遠心バランス室39)にするための部材である。
ドラム部材31は、摩擦板33の径方向外側において軸方向(前後方向)に延びる周壁部31aと、周壁部31aの後端から径方向内側に延びる縦壁部31bとを含む。縦壁部31bは、その径方向内側の端部が第1キャリヤC1の軸方向中間部に溶接される等により、第1キャリヤC1と結合されている。
共通ハブ部材32は、軸方向(前後方向)に延びる周壁部32aと、周壁部32aの前部から径方向内側に延びる縦壁部32bと、縦壁部32bの径方向内側の端部から前方に延びる軸部32cとを含む。周壁部32aは、軸方向に連続する後側周壁32a1及び前側周壁32a2を有する。後側周壁32a1は、ドラム部材31の周壁部31aに対し径方向内側から対向するように配置され、前側周壁32a2は、ドラム部材41の周壁部41aに対し径方向内側から対向するように配置される。後側周壁32a1は、第1クラッチCL1の摩擦板33(詳しくは後述するハブ側摩擦板33b)を保持するハブとして機能し、前側周壁32a2は、第2クラッチCL2の摩擦板43(詳しくは後述するハブ側摩擦板43b)を保持するハブとして機能する。
周壁部32a(後側周壁32a1)は、第1ピニオンP1の前部の外周を囲む位置まで後方に延びている。言い換えると、第1ピニオンP1の前部が共通ハブ部材32の内側に入り込むように、第1ギヤセットPG1が第1クラッチCL1に寄せて配置されている。このように、第1クラッチCL1と第1ギヤセットPG1とは、径方向視で部分的に重複する関係で前後方向に並ぶように配置されている。
摩擦板33は、ドラム部材31の周壁部31aの内周面と係合する複数のドラム側摩擦板33aと、共通ハブ部材32の周壁部32aの外周面と係合する複数のハブ側摩擦板33bとを含む。各ドラム側摩擦板33aは、その外周縁がドラム部材31の周壁部31aにスプライン嵌合されることにより、ドラム部材31と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態でドラム部材31に取り付けられている。各ハブ側摩擦板33bは、その内周縁が共通ハブ部材32の周壁部32aの後側周壁32a1にスプライン嵌合されることにより、共通ハブ部材32と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態で共通ハブ部材32に取り付けられている。ドラム側摩擦板33a及びハブ側摩擦板33bは、軸方向に交互に並ぶ状態でドラム部材31及び共通ハブ部材32にそれぞれ取り付けられている。
ピストン34は、摩擦板33に対し後方から対向する押圧部34aと、押圧部34aの径方向内側の端部から前方に向かって延びる延設部34bと、延設部34bの前端部から径方向内側に延びる受圧部34cとを含む。延設部34bは、共通ハブ部材32の後側周壁32a1と第1ピニオンP1との間を通るように配置されている。すなわち、ピストン34は、第1ピニオンP1を外側から囲む延設部34b(囲繞部)を有する。また、ピストン34は、その押圧部34aがドラム部材31の周壁部31aにスプライン嵌合されることにより、ドラム部材31と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態でドラム部材31に保持されている。
ピストン支持部材35は、ピストン34の受圧部34cの形状に沿うように断面視で鉤型に形成された支持部35aと、支持部35aの径方向内側の端部から前方に延びる軸部35bとを含む。ピストン34は、その受圧部34cがピストン支持部材35に対し前方から嵌合することにより、軸方向に移動可能な状態でピストン支持部材35に支持されている。
ピストン支持部材35は、その支持部35aの後面が第1キャリヤC1の前端部に溶接される等により、第1キャリヤC1と結合されている。ここで、第1キャリヤC1は、ピストン支持部材35だけでなく、既述のとおりドラム部材31とも結合されている。また、ピストン34は、ドラム部材31に対し相対回転不能に係合されている。このことから、第1キャリヤC1、ドラム部材31、ピストン34、及びピストン支持部材35は、全て同一回転数で回転することになる。
ピストン34の延設部34bには開口h1が形成されている。開口h1は、第1ピニオンP1との干渉を避けるための開口であり、第1ピニオンP1に対応する周方向の複数箇所に設けられている。言い換えると、第1ピニオンP1は、その一部が開口h1を通じてピストン34の外側に露出するように配置されている。
ピストン34の受圧部34cとピストン支持部材35との間には、締結油圧室38が形成されている。締結油圧室38に供給される油圧は、受圧部34cを前側に押す力として作用する。これにより、ピストン34の押圧部34aが摩擦板33を押圧し、第1クラッチCL1が締結される。
隔壁部材36は、ピストン34の受圧部34cの前側に隣接して配置されている。隔壁部材36と受圧部34cとの間には、遠心バランス室39が形成されている。遠心バランス室39は、締結油圧室38に作用する遠心力による油圧変動をキャンセルするための油圧室である。遠心バランス室39は、受圧部34cを挟んで締結油圧室38と対向するように形成されている。
リターンスプリング37は、遠心バランス室39に配置されている。リターンスプリング37は、ピストン34の受圧部34cと隔壁部材36との間に挟まれており、ピストン34と隔壁部材36とを互いに離間させるような弾発力を発揮する。この弾発力により、ピストン34は、摩擦板33から離間する解放方向つまり後方に常時付勢される。第1クラッチCL1の締結時は、このリターンスプリング37の付勢力に抗してピストン34が前方(締結方向)に押圧されるように、所要の油圧が締結油圧室38に供給される。
共通ハブ部材32及びピストン支持部材35は、共通ハブ部材32の縦壁部32bがピストン支持部材35の前側にくるように軸方向に並んだ状態で、共通のボス部材80の外周に回転可能に支持されている。ボス部材80は、入力軸12と同心の筒状部材であり、変速機ケース11に固定されている。共通ハブ部材32は、その軸部32cがボス部材80に外挿されることにより、自動変速機1の軸線Xを中心に回転可能に支持されている。同様に、ピストン支持部材35は、その軸部35bがボス部材80に外挿されることにより、軸線Xを中心に回転可能に支持されている。共通ハブ部材32の軸部32cとピストン支持部材35の軸部35bとは軸方向に隣接しており、両者の間にはスラストベアリング81が配置されている。すなわち、スラストベアリング81は、共通ハブ部材32とピストン支持部材35との間に挟まれた状態でボス部材80の外周に配置されている。共通ハブ部材32及びピストン支持部材35は、当該スラストベアリング81を挟んで相対回転可能に支持されている。
ボス部材80の内部には動力伝達部材17が同軸に挿入され、さらに動力伝達部材17の内部には入力軸12が同軸に挿入されている。入力軸12及び動力伝達部材17は、共通の軸線Xを中心に相対回転可能に支持されている。動力伝達部材17の後端部は、第1サンギヤS1(詳しくは前側サンギヤS1a)の内周面にスプライン嵌合によりに結合されている。入力軸12の後端部は、動力伝達部材18の内周面にスプライン嵌合により結合されている。
ボス部材80の内部には、軸方向に延びる油路e1が形成されている。また、ピストン支持部材35には、当該油路e1と連通する油路e2が形成されている。油路e2は、締結油圧室38と連通している。当該油路e2を通じて締結油圧室38に対する油圧の給排が行われることにより、ピストン34が摩擦板33に押圧され、もしくは当該押圧が解除される。ピストン34が摩擦板33に押圧されると、ドラム側摩擦板33aとハブ側摩擦板33bとが相対回転不能に密着し、第1クラッチCL1が締結状態になる。ピストン34による摩擦板33の押圧が解除されると、ドラム側摩擦板33aとハブ側摩擦板33bとの相対回転が許容され、第1クラッチCL1が解放状態になる。
図示しないが、ピストン支持部材35には、遠心バランス室39とボス部材80の内部油路e1とを連通する油路も形成されている。当該油路を通じて、遠心力による締結油圧室38の油圧変動をキャンセルするための油圧が遠心バランス室39に供給される。ここで、ボス部材80の油路e1は、周方向に間隔を空けて並ぶ複数の独立した単位油路を含む。遠心バランス室39に通じる油路と、上述した締結油圧室38に通じる油路e2とは、それぞれ異なる単位油路に連通するよう形成されている。このことは、後述する締結油圧室48用の油路e3や、遠心バランス室49用の油路でも同様である。
図2及び図4に示すように、第2クラッチCL2は、上述したドラム部材41、共通ハブ部材32、摩擦板43、及びピストン44に加えて、ピストン支持部材45と、隔壁部材46と、リターンスプリング47とを備える。ピストン支持部材45は、ピストン44を軸方向に移動可能に支持する部材である。リターンスプリング47は、ピストン44を解放方向(摩擦板43から離間する方向;ここでは前方)に付勢するスプリングである。隔壁部材46は、リターンスプリング47が配置される空間を油圧室(後述する遠心バランス室49)にするための部材である。
ドラム部材41は、摩擦板43の径方向外側において軸方向(前後方向)に延びる周壁部41aと、周壁部41aの後端から径方向内側に延びる縦壁部41bとを含む。縦壁部41bは、動力伝達部材23の径方向外側の端部に結合されている。動力伝達部材23は、第1リングギヤR1に溶接等により結合されるとともに、第2サンギヤS2にスプライン嵌合により結合されている。言い換えると、動力伝達部材23は、第1リングギヤR1、第2サンギヤS2、及びドラム部材41を互いに連結している。
摩擦板43は、ドラム部材41の周壁部41aの内周面と係合する複数のドラム側摩擦板43aと、共通ハブ部材32の周壁部32aの外周面と係合する複数のハブ側摩擦板43bとを含む。各ドラム側摩擦板43aは、その外周縁がドラム部材41の周壁部41aにスプライン嵌合されることにより、ドラム部材41と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態でドラム部材41に取り付けられている。各ハブ側摩擦板43bは、その内周縁が共通ハブ部材32の周壁部32aの前側周壁32a2にスプライン嵌合されることにより、共通ハブ部材32と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態で共通ハブ部材32に取り付けられている。ドラム側摩擦板43a及びハブ側摩擦板43bは、軸方向に交互に並ぶ状態でドラム部材41及び共通ハブ部材32にそれぞれ取り付けられている。
ピストン44は、押圧部44aとその径方向内側の受圧部44bとを含む。押圧部44aは、摩擦板43に対し前方から対向するように配置されている。受圧部44bは、共通ハブ部材32の縦壁部32bに対し前方から対向するように配置されている。
ピストン支持部材45は、共通ハブ部材32の軸部32cの外周に回転可能に支持されている。ピストン44は、その受圧部44bがピストン支持部材45に対し後方から嵌合することにより、軸方向に移動可能な状態でピストン支持部材45に支持されている。
ピストン44の受圧部44bとピストン支持部材45との間には、締結油圧室48が形成されている。締結油圧室48に供給される油圧は、受圧部44bを後側に押す力として作用する。これにより、ピストン44の押圧部44aが摩擦板43を押圧し、第2クラッチCL2が締結される。
隔壁部材46は、ピストン44の受圧部44bと共通ハブ部材32の縦壁部32bとの間をシールするように設けられている。これにより、受圧部44bと縦壁部32bとの間に遠心バランス室49が形成されている。遠心バランス室49は、締結油圧室48に作用する遠心力による油圧変動をキャンセルするための油圧室である。遠心バランス室49は、受圧部44bを挟んで締結油圧室48と対向するように形成されている。
リターンスプリング47は、遠心バランス室49に配置されている。リターンスプリング47は、ピストン44の受圧部44bと共通ハブ部材32の縦壁部32bとの間に挟まれており、ピストン44を常時前方に(解放方向)に付勢している。第2クラッチCL2の締結時は、このリターンスプリング47の付勢力に抗してピストン44が後方(締結方向)に押圧されるように、所要の油圧が締結油圧室48に供給される。
共通ハブ部材32の軸部32cには、ボス部材80の内部油路e1と連通する油路e3が形成されている。油路e3は、締結油圧室48と連通している。当該油路e3を通じて締結油圧室48に対する油圧の給排が行われることにより、ピストン44が摩擦板43に押圧され、もしくは当該押圧が解除される。ピストン44が摩擦板43に押圧されると、ドラム側摩擦板43aとハブ側摩擦板43bとが相対回転不能に密着し、第2クラッチCL2が締結状態になる。ピストン44による摩擦板43の押圧が解除されると、ドラム側摩擦板43aとハブ側摩擦板43bとの相対回転が許容され、第2クラッチCL2が解放状態になる。
図示しないが、共通ハブ部材32の軸部32cには、遠心バランス室49とボス部材80の内部油路e1とを連通する油路も形成されている。当該油路を通じて、遠心力による締結油圧室48の油圧変動をキャンセルするための油圧が遠心バランス室49に供給される。
図2及び図4に示すように、第3クラッチCL3は、上述したドラム部材51、ハブ部材52、摩擦板53、及びピストン54に加えて、リターンスプリング57を備える。リターンスプリング47は、ピストン54を解放方向(摩擦板43から離間する方向;ここでは後方)に付勢するスプリングである。
ドラム部材51は、摩擦板53の径方向外側において軸方向(前後方向)に延びる周壁部51aと、周壁部51aの後端から径方向内側に延びる縦壁部51bと、縦壁部51bの径方向内側の端部から前方に延びる内側突起51cとを含む。内側突起51cは、縦壁部51bの内縁に沿って周方向に一定の間隔を空けて並ぶ複数の突起であり、いわば櫛歯状に形成されている。各内側突起51cは、後述する開口h2を通じてピストン54を貫通するように配置される。
ドラム部材51の周壁部51aの前端部は、動力伝達部材21の後端部と結合されている。具体的に、動力伝達部材21は、軸方向(前後方向)に延びる周壁部21aと、周壁部21aの前端から径方向内側に延びる縦壁部21bとを含む。縦壁部21bは、第1及び第2クラッチCL1,CL2の前方において径方向に延びるように形成されている。周壁部21aは、第1及び第2クラッチCL1,CL2の径方向外側において軸方向に延び、かつドラム部材51の周壁部51aと対向するように配置されている。縦壁部21bの径方向内側の端部は、共通ハブ部材32(第1及び第2クラッチCL1,CL2に共用されるハブ部材32)の軸部32cの外周面にスプライン嵌合により結合され、周壁部21aの後端部は、ドラム部材51の周壁部51aの前端部とスプライン嵌合により結合されている。言い換えると、ドラム部材51は、動力伝達部材21を介して共通ハブ部材32と連結されている。
ドラム部材51の内側突起51cは、動力伝達部材22の径方向内側の端部に結合されている。具体的に、動力伝達部材22は、ピストン54に対し前方から対向する縦壁部22aと、縦壁部22aの径方向外側の端部から後方に短く延びるフランジ部22bと、縦壁部22aの径方向内側の端部から後方に延びる軸部22cとを含む。軸部22cは、ピストン54の径方向内側において軸方向(前後方向)に延びるように形成されている。軸部22cの後端部は、第3サンギヤS3の内周面にスプライン嵌合により結合され、フランジ部22bは、ドラム部材51の内側突起51cと溶接等により結合されている。言い換えると、ドラム部材51は、動力伝達部材22を介して第3サンギヤS3と連結されている。
上記のとおり、ドラム部材51は、動力伝達部材21,22を介して共通ハブ部材32及び第3サンギヤS3にそれぞれ連結されている。このことは、第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、及び第3クラッチCL3が同一のプラネタリギヤセットの回転要素に連結されていることを意味する。すなわち、第1及び第2クラッチCL1,CL2の共通ハブ部材32が動力伝達部材21を介して第3クラッチCL3のドラム部材51に連結され、かつ第3クラッチCL3のドラム部材51が動力伝達部材22を介して第3サンギヤS3に連結されることにより、第1~第3クラッチCL1~CL3が共通の第3サンギヤS3に連結されている。
動力伝達部材22は、変速機ケース11の隔壁部112の内側においてベアリング92により回転可能に支持されている。すなわち、変速機ケース11は、ドラム状のケース本体111と、ケース本体111から径方向内側に張り出す上記隔壁部112とを含む。隔壁部112は、軸方向において第3クラッチCL3と第2ブレーキBR2との間に設けられている。隔壁部112は、その径方向内側の端部に、軸方向に延びるボス部113を有する。ボス部113は、前方に突出する前側ボス113aと、後方に突出する後側ボス113bとを含む。後側ボス113bは前側ボス113aよりもやや径方向外側に位置しており、当該後側ボス113bと動力伝達部材22の軸部22cとの間に上記ベアリング92が配置されている。
動力伝達部材22の内部には動力伝達部材16が同軸に挿入され、さらに動力伝達部材16の内部には動力伝達部材15が同軸に挿入されている。動力伝達部材15の前端部は、第1サンギヤS1(詳しくは後側サンギヤS1b)の内周面にスプライン嵌合により結合されている。動力伝達部材16の前端部は、補助連結部材90を介して第2キャリヤC2と結合されている。
ハブ部材52は、軸方向(前後方向)に延びる周壁部52aと、周壁部52aを支持する支持体52bとを含む。支持体52bは、動力伝達部材16に相対回転可能に外挿されている。支持体52bは、動力伝達部材16の外周から径方向外側に延びる縦壁を有する。周壁部52aは、支持体52bの当該縦壁から後方に突出するように、当該縦壁の後面に溶接等により結合されている。周壁部52aは、ドラム部材51の周壁部51aに対し径方向内側から対向する。ハブ部材52は、その支持体52bの径方向外側の端部が第2リングギヤR2の後端部に溶接される等により、第2リングギヤR2と結合されている。
摩擦板53は、ドラム部材51の周壁部51aの内周面と係合する複数のドラム側摩擦板53aと、ハブ部材52の周壁部52aの外周面と係合する複数のハブ側摩擦板53bとを含む。各ドラム側摩擦板53aは、その外周縁がドラム部材51の周壁部51aにスプライン嵌合されることにより、ドラム部材51と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態でドラム部材51に取り付けられている。各ハブ側摩擦板53bは、その内周縁がハブ部材52の周壁部52aにスプライン嵌合されることにより、ハブ部材52と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態でハブ部材52に取り付けられている。ドラム側摩擦板53a及びハブ側摩擦板53bは、軸方向に交互に並ぶ状態でドラム部材51及びハブ部材52にそれぞれ取り付けられている。
ピストン54は、摩擦板53の後側に配置されたメインピストン54aと、メインピストン54aのさらに後側に配置されたサブピストン54bと、メインピストン54aとサブピストン54bとの間に配置されたベアリング54cとを含む。メインピストン54aは、摩擦板53を直接押圧するピストン部品である。サブピストン54bは、後述する締結油圧室58に供給される油圧を受けて軸方向に移動するピストン部品である。ベアリング54cは、サブピストン54bに対するメインピストン54aの回転を許容しつつ両者を連結するベアリングである。言い換えると、ピストン54は、軸方向に一体に移動可能でかつ相対回転可能な2つのピストン部品(メインピストン54a及びサブピストン54b)が組み合わさった複合ピストンである。
サブピストン54bは、変速機ケース11の隔壁部112に支持されている。具体的に、サブピストン54bは、隔壁部112の前側ボス113aの外周面に沿って軸方向に移動可能な状態で隔壁部112に支持されている。ただし、隔壁部112(変速機ケース11)に対するサブピストン54bの回転は不能となっている。すなわち、サブピストン54bは、軸方向に移動可能でかつ軸回りの回転が不能な状態で変速機ケース11に支持されている。
メインピストン54aは、サブピストン54bよりも前側において、隔壁部112の前側ボス113aの外周面に沿って軸方向に移動可能に支持されている。メインピストン54aは、摩擦板53に対し後方から対向する押圧部54a1を有する。メインピストン54aは、その押圧部54a1がドラム部材51の周壁部51aにスプライン嵌合されることにより、ドラム部材51と一体に回転可能でかつ軸方向に移動可能な状態でドラム部材51に保持されている。
メインピストン54aの周方向の複数箇所には、開口h2が形成されている。この複数の開口h2は、メインピストン54aにおける押圧部54a1よりも径方向内側の位置(メインピストン54aの径方向中間部)に設けられ、周方向に一定の間隔を空けて並ぶように配置される。また、複数の開口h2は、ドラム部材51の複数の内側突起51cに対応する位置に設けられ、当該複数の内側突起51cをそれぞれ受け入れ可能に形成されている。すなわち、ドラム部材51の内側突起51cは、メインピストン54aの開口h2を通じてメインピストン54aを軸方向に貫通する。そして、内側突起51cがメインピストン54aを貫通した状態(開口h2に挿通された状態)で、当該内側突起51cの前端部に動力伝達部材22のフランジ部22bが溶接等により結合される。言い換えると、ドラム部材51は、メインピストン54aと立体的に交差しつつ動力伝達部材22に連結されている。
サブピストン54bと変速機ケース11の隔壁部112との間には、締結油圧室58が形成されている。締結油圧室58に供給される油圧は、サブピストン54bを前側に押す力として作用する。この力を受けて、サブピストン54bが前方に移動するとともに、当該サブピストン54bと一緒にメインピストン54aが前方に移動する。これにより、メインピストン54aの押圧部54a1が摩擦板53を押圧し、第3クラッチCL3が締結される。
変速機ケース11の隔壁部112には、締結油圧室58に連通する油路e4が形成されている。当該油路e4を通じて締結油圧室58に対する油圧の給排が行われることにより、ピストン54(詳しくはメインピストン54a)が摩擦板53に押圧され、もしくは当該押圧が解除される。ピストン54が摩擦板53に押圧されると、ドラム側摩擦板53aとハブ側摩擦板53bとが相対回転不能に密着し、第3クラッチCL3が締結状態になる。ピストン54による摩擦板53の押圧が解除されると、ドラム側摩擦板53aとハブ側摩擦板53bとの相対回転が許容され、第3クラッチCL3が解放状態になる。
リターンスプリング57は、動力伝達部材22の縦壁部22aとメインピストン54aとの間に挟まれるように配置されている。このようなリターンスプリング57は、メインピストン54aと縦壁部22aとを互いに離間させるような弾発力を発揮する。この弾発力により、ピストン54は、摩擦板53から離間する解放方向つまり後方に常時付勢される。第3クラッチCL3の締結時は、このリターンスプリング57の付勢力に抗してピストン54が前方(締結方向)に押圧されるように、所要の油圧が締結油圧室58に供給される。
リターンスプリング57の軸方向位置は、摩擦板53の内側にリターンスプリング57の少なくとも一部が隠れるような位置、言い換えると径方向視でリターンスプリング57と摩擦板53とが互いに重複するような位置に設定されている。本実施形態では、摩擦板53の後側の大部分とリターンスプリング57の前側の大部分とが径方向視で互いに重複するように、リターンスプリング57の軸方向位置が設定されている。また、リターンスプリング57の径方向位置は、リターンスプリング57がメインピストン54aを挟んでベアリング54cと対向するような位置に設定されている。
ここで、第3クラッチCL3用の締結油圧室58は、変速機ケース11の一部(隔壁部112)とサブクラッチ48bとの間に形成された回転しない油圧室であるから、その内部油圧に遠心力による影響は及ばない。そのため、当該第3クラッチCL3では、上述した第1及び第2クラッチCL1,CL2の場合と異なり、遠心バランス室は設けられない。
[作用効果]
以上説明したとおり、本実施形態の自動変速機1は、その軸線Xに沿って前後方向に並ぶ第1及び第2クラッチCL1,CL2と、第1クラッチCL1の後側であって第2クラッチCL2とは反対側に配置された第1及び第2ギヤセットPG1,PG2と、当該ギヤセットPG1,PG2のさらに後側に配置された第3ギヤセットとを備える。第1及び第2クラッチCL1,CL2は、それぞれの摩擦板33,43の各内周縁と係合する共通ハブ部材32を有し、当該共通ハブ部材32は第3ギヤセットPG3の第3サンギヤS3に連結されている。第1クラッチCL1のドラム部材31及びピストン支持部材35は、第1ギヤセットPG1の第1キャリヤC1に連結されている。このような構成によれば、第3サンギヤS3に連結される回転部品群の質量を低減することができ、自動変速機1の変速応答性を向上できるという利点がある。
すなわち、上記実施形態では、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2の各ハブ部材が共通ハブ部材32によって兼用されるとともに、当該共通ハブ部材32が第3サンギヤS3と連結されるので、第1クラッチCL1及び第2クラッチCL2にそれぞれ専用のハブ部材を用意した場合と比べて、第3サンギヤS3に連結されて当該第3サンギヤS3と一体に回転する回転部品群の質量を低減することができる。加えて、第1クラッチCL1のドラム部材31及びピストン支持部材35が第1キャリヤC1に連結されるので、当該ピストン34及びピストン支持部材35を第3サンギヤS3から機械的に分離することができ、その意味でも上記回転部品群の質量を低減することができる。つまり、ピストン34及びピストン支持部材35は、第1キャリヤC1と一体に回転し、第3サンギヤS3とは一体に回転しない。このことは、第3サンギヤS3と一体に回転する回転部品群からピストン34及びピストン支持部材35が除外されることを意味する。これにより、回転部品群の質量が十分に低減されるので、自動変速機1の変速応答性を向上させることができる。仮に、第3サンギヤS3と一体に回転する回転部品群の質量が大きいと、第3サンギヤS3の回転速度が急変するような変速時に、上記回転部品群の慣性(イナーシャ)の影響で第3サンギヤS3の回転変化が鈍化し、変速応答性が悪化するおそれがある。これに対し、第3サンギヤS3と一体に回転する回転部品群の質量を低減し得る上記実施形態によれば、変速時に第3サンギヤS3の回転速度を迅速に変化させることができ、変速応答性を向上させることができる。
また、上記実施形態では、第1及び第2ギヤセットPG1,PG2と第3ギヤセットPG3との間に第3クラッチCL3が配置されるとともに、第1及び第2クラッチCL1,CL2の共通ハブ部材32と第3クラッチCL3のドラム部材51とが、動力伝達部材21,22を介して共通の第3サンギヤS3と連結される。このような構成によれば、第3サンギヤS3への動力伝達経路を簡素化することができ、当該第3サンギヤS3と一体に回転する回転部品群の質量をより低減することができる。
図6は、第3サンギヤS3に連結されて当該第3サンギヤS3と一体に回転する回転部品群を着色して示した図4相当図である。この図6に示すように、上記実施形態において第3サンギヤS3と一体に回転する回転部品群は、主として、第1及び第2クラッチCL1,CL2の共通ハブ部材32と、第2クラッチCL2のピストン44及びピストン支持部材45と、第3クラッチCL3のドラム部材51及びメインピストン54aと、共通ハブ部材32とドラム部材51とを連結する動力伝達部材21と、ドラム部材51と第3サンギヤS3とを連結する動力伝達部材22である。上記実施形態では、第1及び第2ギヤセットPG1,PG2と第3ギヤセットPG3の間に第3クラッチCL3が配置されることにより、例えば下記に示す比較例と比べて、動力伝達経路を簡素化でき、当該動力伝達経路を構成する回転部品群の質量を低減することができる。
図7は、上記実施形態に対しクラッチ等の配置を相違させた比較例の構造を示す断面図である。この比較例の自動変速機1’は、上記実施形態の第1クラッチCL1、第2クラッチCL2、及び第3クラッチCL3にそれぞれ相当するクラッチとして、第1クラッチCL1’、第2クラッチCL2’及び第3クラッチCL3’を備える。また、比較例の自動変速機1’は、上記実施形態の第1ギヤセットPG1、第2ギヤセットPG2、及び第3ギヤセットPG3にそれぞれ相当するクラッチとして、第1ギヤセットPG1’、第2ギヤセットPG2’及び第3ギヤセットPG3’を備える。比較例では、上記実施形態と異なり、クラッチとギヤセットとが軸方向に交互に配置されるレイアウトは採用されない。すなわち、比較例では、第2クラッチCL2’、第1クラッチCL1’、及び第3クラッチCL3’が前側からこの順に配置されるとともに、最も後側の第3クラッチCL3’の後側に第1~第3ギヤセットPG1’~PG3’がこの順に配置されている。なお、第3クラッチCL3’と第1ギヤセットPG1’とは部分的に重複するように配置されるが、上記実施形態とは異なり2つのクラッチの間にギヤセットが配置されることはない。
比較例の自動変速機1’において、第3ギヤセットPG3’の第3サンギヤS3’と一体に回転する回転部品群は、主として、第3クラッチCL3’のドラム部材51’及びピストン54’と、第1クラッチCL1’のハブ部材31’、ピストン34’及びピストン支持部材35’と、第2クラッチCL2’のハブ部材42’、ピストン44’及びピストン支持部材45’と、ハブ部材42’と第3サンギヤS3’とを連結する2つの動力伝達部材21’,22’である。図7では、これらの回転部品群を上述した図6のときと同様に着色して示している。図7に示すように、比較例では、第3クラッチCL3’のドラム部材51’が、動力伝達部材21’の径方向内側に配置される。また、ドラム部材51’は、動力伝達経路上で第3サンギヤS3’から最も遠い回転部品である。このようなドラム部材51’の回転を第3サンギヤS3’に伝達するため、比較例では、第3クラッチCL3’のドラム部材51’が第2クラッチCL2’のハブ部材42’と連結されている。具体的には、ドラム部材51’の軸部51a’が前方に大きく延伸されるとともに、当該延伸により大型化(長尺化)した軸部51a’の前端部がハブ部材42’の中空の軸部42a’に挿入されて結合されている。このように、比較例では、ドラム部材51’の大型化、もしくは動力伝達経路の長尺化が避けられないので、第3サンギヤS3’と一体に回転する着色した回転部品群の質量が全体として大きくなる傾向にある。なお、比較例では、第1クラッチCL1’のハブ部材31’が第3クラッチCL3’のドラム部材51’と一体化され、これによって多少の軽量化が図られているものの、上述した事情による影響が大きく、やはり回転部品群の質量増加が生じ易い。
これに対し、図6に示した実施形態では、図7(比較例)との比較からも明らかなように、第3サンギヤS3への動力伝達経路がシンプルであり、第3クラッチCL3のドラム部材51の軸方向寸法が比較的小さい。これにより、当該ドラム部材51を含む着色した回転部品群の質量を低減することが可能になり、自動変速機1の変速応答性を向上させることができる。
しかも、上記実施形態では、上述のとおり、ピストン34及びピストン支持部材35が第3サンギヤS3と機械的に分離されるので、対応するピストン34’及びピストン支持部材35’が第3サンギヤS3’と一体に回転する図7の比較例と比べて、回転部品群の質量をより低減することができ、変速応答性を効果的に向上させることができる。
なお、図7の比較例であっても、例えば着色した回転部品群の少なくとも一部をアルミダイキャスト品等の軽量部品に置換するなどすれば、回転部品群の質量を低減して変速応答性を改善することが可能である。しかしながら、この場合は部品単価の増大が避けられず、製造コストの面で好ましくない。これに対し、上記実施形態では、回転部品群のサイズ(体積)自体が比較例よりも十分に小さいので、上記のようなコストアップを伴う改変を加えなくても回転部品群の質量を低く抑えることができ、製造コストを抑制しつつ良好な変速応答性を実現することができる。
また、上記実施形態では、第1及び第2クラッチCL1,CL2の共通ハブ部材32と、第1クラッチCL1のピストン支持部材35とが、軸方向に隣接した状態でボス部材80により回転可能に支持されるとともに、共通ハブ部材32とピストン支持部材35との間にスラストベアリング81が配置される。このような構成によれば、共通ハブ部材32とピストン支持部材35とを両者の相対回転を許容しつつ軸方向に近接配置することができ、第1及び第2クラッチCL1,CL2を軸方向にコンパクト化することができる。
さらに、上記実施形態では、第1及び第2クラッチCL1,CL2に締結用の油圧を供給するための油路e1がボス部材80の内部に形成されるので、第1及び第2クラッチCL1,CL2の締結時に、共通のボス部材80の内部を通じて各クラッチCL1,CL2の締結油圧室38,48に必要な油圧を供給することができる。
また、上記実施形態では、第1クラッチCL1のピストン34に、第1ギヤセットPG1の第1ピニオンP1を外側から囲む延設部34bが備わるとともに、当該延設部34bにおける第1ピニオンP1に対応する周方向位置に開口h1が形成される。このような構成によれば、ピストン34と第1ピニオンP1との干渉を回避しつつ両者を径方向に近接配置できるので、第1クラッチCL1の径方向寸法を縮小することができる。
[変形例]
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、第1及び第2クラッチCL1,CL2と第3クラッチCL3との間に、第1ギヤセットPG1及び第2ギヤセットPG2からなる2つのギヤセットを配置したが、第1及び第2クラッチCL1,CL2と第3クラッチCL3との間に配置されるギヤセットは2つに限られず、1つもしくは3つ以上でもよい。
上記実施形態では、第1ギヤセットPG1として、サンギヤS1が軸方向に2分割されたダブルサンギヤ型のプラネタリギヤセットを用いたが、第1ギヤセットPG1として、他の第2~第4ギヤセットPG2~PG4と同様のギヤセット(つまりサンギヤが軸方向に分割されない通常タイプのギヤセット)を用いてもよい。
上記実施形態では、FR式(フロントエンジン・リアドライブ式)の車両に搭載される縦置き式の自動変速機に本発明を適用した例について説明したが、本発明を適用可能な自動変速機は縦置き式のものに限られず、FF式(フロントエンジン・フロントドライブ式)の車両に搭載される横置き式の自動変速機に本発明を適用することも可能である。
1 自動変速機
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ
CL3 第3クラッチ
PG1 第1プラネタリギヤセット(プラネタリギヤセット)
PG2 第2プラネタリギヤセット(プラネタリギヤセット)
PG3 第3プラネタリギヤセット(他のプラネタリギヤセット)
C1 第1キャリヤ(キャリヤ)
P1 第1ピニオン(ピニオン)
S3 第3サンギヤ(回転要素)
21 動力伝達部材(第1連結部材)
22 動力伝達部材(第2連結部材)
31 (第1クラッチの)ドラム部材
32 (第1クラッチ及び第2クラッチの)共通ハブ部材
33 (第1クラッチの)摩擦板
34 (第1クラッチの)ピストン
34b 延設部(囲繞部)
h1 (ピストンの)開口
35 (第1クラッチの)ピストン支持部材
43 (第2クラッチの)摩擦板
51 (第3クラッチの)ドラム部材
53 (第3クラッチの)摩擦板
80 ボス部材
e1 (ボス部材の)油路
81 スラストベアリング

Claims (6)

  1. 軸方向に並ぶ第1クラッチ及び第2クラッチと、
    前記第1クラッチの軸方向の一方側であって前記第2クラッチと反対側に配置されたプラネタリギヤセットとを備え、
    前記第1クラッチは、複数の摩擦板と、当該摩擦板の内周縁と係合する筒状のハブ部材と、前記摩擦板の外周縁と係合する筒状のドラム部材と、前記摩擦板を押圧するピストンと、当該ピストンを軸方向に移動可能に支持するピストン支持部材とを含み、
    前記第2クラッチは、複数の摩擦板と、当該摩擦板の内周縁と係合する筒状のハブ部材とを含み、
    前記第1クラッチの前記ハブ部材及び前記第2クラッチの前記ハブ部材は、両クラッチに共用される共通ハブ部材であり、
    前記第1クラッチの前記ドラム部材及び前記ピストン支持部材は、前記プラネタリギヤセットのキャリヤに連結され、
    前記共通ハブ部材は、前記プラネタリギヤセットとは異なる他のプラネタリギヤセットの回転要素に連結される、ことを特徴とする自動変速機。
  2. 請求項1に記載の自動変速機において、
    前記共通ハブ部材及び前記ピストン支持部材の内側を通って両者を回転可能に支持し、かつ変速機ケースに固定された軸方向に延びるボス部材と、
    前記ボス部材の外周に配置されたスラストベアリングとをさらに備え、
    前記共通ハブ部材及び前記ピストン支持部材は、前記スラストベアリングを間に挟んだ状態で軸方向に隣接配置される、ことを特徴とする自動変速機。
  3. 請求項2に記載の自動変速機において、
    前記ボス部材の内部に、前記第1クラッチ及び前記第2クラッチに締結用の油圧を供給するための油路が形成された、ことを特徴とする自動変速機。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の自動変速機において、
    前記第1クラッチの前記ピストンは、前記プラネタリギヤセットのピニオンを外側から囲む囲繞部を含み、
    前記囲繞部は、前記ピニオンに対応する位置に開口を有する、ことを特徴とする自動変速機。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の自動変速機において、
    前記第1クラッチとの間で前記プラネタリギヤセットを挟むように当該プラネタリギヤセットの軸方向の一方側に配置された第3クラッチをさらに備え、
    前記他のプラネタリギヤセットは、前記第3クラッチの軸方向の一方側に配置される、ことを特徴とする自動変速機。
  6. 請求項5に記載の自動変速機において、
    前記第1クラッチ、前記第2クラッチ、及び前記第3クラッチを前記他のプラネタリギヤセットの前記回転要素に連結する連結部材をさらに備え、
    前記第3クラッチは、複数の摩擦板と、当該摩擦板の外周縁と係合する筒状のドラム部材とを含み、
    前記連結部材は、前記第1及び第2クラッチの前記共通ハブ部材と前記第3クラッチの前記ドラム部材とを連結する第1連結部材と、前記第3クラッチの前記ドラム部材を前記回転要素に連結する第2連結部材とを含む、ことを特徴とする自動変速機。
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