JP2023026801A - エレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、エレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法に関する。
従来、エレベーターの乗りかご内や乗場にカメラを設置し、このカメラで撮影した画像に基づいて利用者の乗降動作を検知し、検知された乗降動作に基づいてエレベーターを制御するシステムが知られている。
特許文献1では、エレベーターの出入口枠上部に画像認識装置を配置し、エレベーター扉と出入口枠の間隙に手の指等の異物が近づいていることを未然に検出する技術が開示されている。この特許文献1に記載の技術では、監視領域を戸袋近傍の狭領域に限定して物体の存在を検知し、引き込まれの危険があると判断した場合には、ドアの動作を停止している。
また、特許文献2では、乗りかご内に超広角レンズを有する撮像手段を設置し、この撮像された画像上で少なくとも2つ以上の検知エリアを設定する構成が開示されている。特許文献2では、検知エリアを複数設定しておくことにより、利用者の乗車状況をより詳細に検知することができる。
ところで、特許文献1に記載された技術のように、監視領域を戸袋近傍に限定した場合、危険状態に対する対応は、緊急停止で行うため、引き込まれ事象に至る以前の時点で回避策を講ずることができないという課題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、検知エリアを複数設定しているが、かご枠の平面領域に乗客が手をついた事象のみを、引き込まれ事象に関連する事象として検知している。このため、引き込まれ事象に対する誤検知が発生すると共に、乗場ドア側からの挟まれ事象に対応できないという問題がある。
そこで、本発明は、乗降口付近の安全性の向上が図られたエレベーターシステム、及び、エレベーターシステムの制御方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明のエレベーターシステムは、かごドア及び乗場ドアの開閉動作を制御するドアコントローラと、エレベーターのかごドア及び乗場ドアが設けられる乗降口周辺を撮像可能なセンサ部とを備える。また、乗降口周辺の領域に対して複数の計測エリアを設定すると共に、センサ部によって取得された計測データを用いて、計測エリア毎に物体の存在を検知する物体検知部を備える。さらに、物体検知部で検知された物体が存在する計測エリアと、ドアコントローラから取得されるかごドア及び乗場ドアの開閉状態とから、危険状態を判定する状態判定部を備える。また、状態判定部で判定された危険状態に基づいて、ドアコントローラに、計測エリア依存の制御指示を出力する制御指示部を備える。
本発明のエレベーターシステムの制御方法は、上記エレベーターシステムにおいて、乗降口周辺の領域に対して複数の計測エリアを設定すると共に、センサ部によって取得された計測データを用いて、前記計測エリア毎に物体の存在を検知する。そして、検知された物体が存在する計測エリアと、ドアコントローラから取得されるかごドア及び乗場ドアの開閉状態とから、危険状態を判定する。その後、判定された危険状態に基づいて、ドアコントローラに、計測エリア依存の制御指示を出力する。
本発明によれば、エレベーターの乗降口付近の安全性の向上が図られる。
以下、本発明の実施形態に係るエレベーターシステム及びエレベーターシステムの制御方法の一例を、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。以下で説明する各図において、共通の部材には同一の符号を付している。
≪1.第1の実施形態≫
<1-1.エレベーターシステムの構成>
まず、本発明の第1の実施形態に係るエレベーターシステムについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態(以下、本実施形態とする)に係るエレベーターシステム1の概略構成図である。
<1-1.エレベーターシステムの構成>
まず、本発明の第1の実施形態に係るエレベーターシステムについて、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施形態(以下、本実施形態とする)に係るエレベーターシステム1の概略構成図である。
本実施形態のエレベーターシステム1は、エレベーター70と、第1~第5センサ部50~54と、エレベーターコントローラ10と、ドアコントローラ20と、センサコントローラ40とを備える。一般的に、エレベーターシステム1は、複数のエレベーター70と、エレベーター70毎に割り当てられた第1~第5センサ部50~54、エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20及びセンサコントローラ40を有する。本実施形態では、説明を簡略化するため、エレベーター70一基に対するエレベーターシステム1について説明する。
[エレベーター]
建築構造物内に形成された昇降路(図示を省略する)に設けられている。エレベーター70は、建屋内を貫通して設けられた昇降路内を昇降動作し、人や荷物を載せる乗りかご12と、主ロープ16とを備える。
建築構造物内に形成された昇降路(図示を省略する)に設けられている。エレベーター70は、建屋内を貫通して設けられた昇降路内を昇降動作し、人や荷物を載せる乗りかご12と、主ロープ16とを備える。
乗りかご12は、主ロープ16を介して、釣合おもり14と連結され、昇降路内を昇降する。この乗りかご12は、昇降路内の壁面に設けられたガイドレール(図示を省略する)に案内され、昇降路内を上下方向に昇降する。
図2Aに、乗りかご12の内部からかごドア24を見た場合の概略構成図を示す。図2Aに示すように、乗りかご12は、かご床12aと、かご床12aの周囲に立設する側板12bと、かご床12aに対してかご室を介して対向する位置に設けられる天井12cとを備える。そして、かご床12a、側板12b、天井12cに囲まれる空間が乗客等を収容できるかご室13となる。また、側板12bのうちフロア30(図1参照)側の側板12bに設けられたかご側三方枠26内には、かごドア24が設けられている。かごドア24は、乗りかご12が各階のフロア30に停止した際に、フロア30側に設けられた乗場ドア32に対応する位置に設けられている。また、本実施形態では、かごドア24は、両開き形式で構成されている。
かご側三方枠26付近の側板12bには、利用者が行先階を登録するための行先階登録ボタンや、登録された行先階や乗りかご12の現在位置の情報を表示する入出力装置28が設けられている。入出力装置28は、表示機能とタッチ操作機能を備えたタッチパネル装置で構成されてもよく、また、スピーカーから音声を出力することができる機能を備えていてもよい。
また、乗りかご12には、図1に示すように、かごドア24近傍(上方)にドアモータ22が設けられている。ドアモータ22は、後述するドアコントローラ20からの制御指示に基づいて駆動され、ドアモータ22の駆動によりかごドア24の開閉動作が行われる。
主ロープ16は、軸方向の一端が乗りかご12に接続され、他端が釣合いおもり14に連結され、その中腹部分が巻上機18、及び、巻上機18近傍に設けられた反らせ車19に巻き掛けられている。主ロープ16が巻上機18により巻き上げられることにより、乗りかご12が昇降路を昇降動作する。昇降路の壁面における各階に相当する高さ位置には、各階のフロア30に通じる乗場ドア32が設けられている。
図2Bに、フロア30側から乗場ドア32を見た場合の概略構成図を示す。図2Bに示すように、乗場ドア32は、フロア30の昇降路側の壁に設けられたフロア側三方枠34内に設けられている。また、本実施形態では、乗場ドア32は、かごドア24と同様に、両開き形式で構成されている。かごドア24及び乗場ドア32は、乗りかご12がフロア30に到着する際に、かごドア24の動作でかごドア24と乗場ドア32とが付図示の係合部により係合される。この係合によりかごドア24のドアモータ22による駆動力が乗場ドア32に伝達され、乗場ドア32はかごドア24に同期して開閉動作される。
以上の構成を有するエレベーター70において、乗りかご12には、後述する第1センサ部50及び第2センサ部51が設けられ、フロア30側には、第4センサ部53及び第5センサ部54が設けられる。また、かごドア24と乗場ドア32との間に、第3センサ部52が設けられる。以下に第1~第5センサ部50、51、52、53、54の構成について説明する。
[第1~第5センサ部]
第1センサ部50は、乗りかご12の天井12cの中央部に設けられており、乗りかご12内全体を撮像可能に構成されている。第2センサ部51は、図2Aに示すように、かご側三方枠26の上枠26aに設けられており両開きのかごドア24が戸閉時に合わさる位置の上部に設けられている。第2センサ部51では、少なくとも、かごドア12近傍の乗りかご12内及びフロア30側を撮像可能に構成されている。
第1センサ部50は、乗りかご12の天井12cの中央部に設けられており、乗りかご12内全体を撮像可能に構成されている。第2センサ部51は、図2Aに示すように、かご側三方枠26の上枠26aに設けられており両開きのかごドア24が戸閉時に合わさる位置の上部に設けられている。第2センサ部51では、少なくとも、かごドア12近傍の乗りかご12内及びフロア30側を撮像可能に構成されている。
第3センサ部52は、例えば、昇降路の内壁面に設置され、かごドア24及び乗場ドア32が戸閉時に合わさる位置の上部に設けられている。第3センサ部52では、戸開時において、かごドア24と乗場ドア32との間の空間を含む乗りかご12側及びフロア30側を撮像可能に構成されている。
第4センサ部53は、図2Bに示すように、フロア側三方枠34の上枠34aに設けられており、両開きの乗場ドア32が戸閉時に合わさる位置の上部に設けられている。第4センサ部53では、少なくとも、乗場ドア32近傍の乗りかご12内及びフロア30側を撮像可能に構成されている。図1に示すように、第5センサ部54は、フロア30の天井に設けられており、乗場ドア32を含むフロア30全体を撮像可能に構成されている。
本実施形態では、第1~第5センサ部50、51、52、53、54によって、かごドア24周辺を含む乗りかご12の内部、及び、乗場ドア32周辺を含むフロア30側全体を撮像することができる。第1~第5センサ部50、51、52、53、54を構成するデバイスとしては、例えば、画像データを出力する画像センサ、距離画像を出力するステレオカメラ、距離画像又はポイントクラウドデータを出力するToF(Time of Flight)センサを用いることができる。その他、ポイントクラウドデータを出力するRF(Radio Frequency)センサ、又は、LiDaR(Light Detection and Randing)を用いることができる。これらのセンサの計測領域は、FoV(Field of View)で表される。例えば画像センサでは魚眼レンズのようにFoVを180°とすると、本実施形態のように、天井面に対して下向きに各センサ部を設置することにより、乗降口周辺のみならず、乗りかご12内全域、フロア30全域を計測範囲とすることができる。第1~第5センサ部50、51、52、53、54としては、後述するセンサコントローラ40における物体検知部42が撮像範囲において物体の存在を計測できる構成であればよく、種々のセンサ、及び、設置形態を適用することができる。第1~第5センサ部50、51、52、53、54で取得された計測データは、後述するセンサコントローラ40に送信される。
[エレベーターコントローラ]
エレベーターコントローラ10は、乗りかご12の運行を担う巻上機18(主機)等を制御するコントローラである。上述したように、巻上機18には、一端に、人や物を乗せる乗りかご12が接続され、他端に釣合いおもり14が接続された主ロープ16が巻き掛けられている。本実施形態では、エレベーターコントローラ10の制御の下、巻上機18が動作し、乗りかご12が昇降路を昇降移動する。これにより、エレベーターシステム1では、乗りかご12に乗った人や物に対して、昇降路の昇降移動に係るサービスを提供する。
エレベーターコントローラ10は、乗りかご12の運行を担う巻上機18(主機)等を制御するコントローラである。上述したように、巻上機18には、一端に、人や物を乗せる乗りかご12が接続され、他端に釣合いおもり14が接続された主ロープ16が巻き掛けられている。本実施形態では、エレベーターコントローラ10の制御の下、巻上機18が動作し、乗りかご12が昇降路を昇降移動する。これにより、エレベーターシステム1では、乗りかご12に乗った人や物に対して、昇降路の昇降移動に係るサービスを提供する。
また、エレベーターコントローラ10は、通信路60を介して、ドアコントローラ20及びセンサコントローラ40に接続されている。エレベーターコントローラ10は、所定の乗場階のフロア30に乗りかご12が到着した場合には、ドアコントローラ20にかごドア24及び乗場ドア32の開閉動作の指示を出力する。
[ドアコントローラ]
ドアコントローラ20は、エレベーターコントローラ10及びセンサコントローラ40からの制御指示に応じて、乗りかご12に搭載されているドアモータ22を制御し、かごドア24を動作させる。かごドア24の開閉動作に同期して、フロア30(乗場)側に設けられた乗場ドア32の開閉動作も実行される。これにより、利用者等の乗降時におけるかごドア24及び乗場ドア32の開閉動作が実行される。
ドアコントローラ20は、エレベーターコントローラ10及びセンサコントローラ40からの制御指示に応じて、乗りかご12に搭載されているドアモータ22を制御し、かごドア24を動作させる。かごドア24の開閉動作に同期して、フロア30(乗場)側に設けられた乗場ドア32の開閉動作も実行される。これにより、利用者等の乗降時におけるかごドア24及び乗場ドア32の開閉動作が実行される。
さらに、ドアコントローラ20は、乗降時におけるかごドア24の開閉動作の実行に応じて、開閉方向、動作開始からの経過時間、かごドア24及び乗場ドア32の露出率、かごドア24及び乗場ドア32の開口率、開閉速度等の開閉状態に関する情報を生成する。ドアコントローラ20は、これらのデータを、エレベーターコントローラ10、及び、センサコントローラ40に提供する。
[センサコントローラ]
センサコントローラ40は、物体検知部42、状態判定部44、及び、制御指示部46を有する。物体検知部42は、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態(かごドア24及び乗場ドア32の露出率)に応じて複数の計測エリアの設定を行う。さらに、物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で検知された計測データを取得し、この計測データから、物体の位置を検知する。計測エリアの設定及び計測データについては、後述する。本実施形態では、物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で取得した計測データから、後述する複数の計測エリアごとに物体の有無を検知する。
センサコントローラ40は、物体検知部42、状態判定部44、及び、制御指示部46を有する。物体検知部42は、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態(かごドア24及び乗場ドア32の露出率)に応じて複数の計測エリアの設定を行う。さらに、物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で検知された計測データを取得し、この計測データから、物体の位置を検知する。計測エリアの設定及び計測データについては、後述する。本実施形態では、物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で取得した計測データから、後述する複数の計測エリアごとに物体の有無を検知する。
状態判定部44は、物体検知部42における検知結果と、ドアコントローラ20から受信したかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に関する情報とから、危険状態を判定する。状態判定部44の判定に用いられるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に関する情報としては、開閉方向、動作開始からの経過時間、かごドア24及び乗場ドア32の露出率、かごドア24及び乗場ドア32の開口率、開閉速度が挙げられる。また、危険状態として判定される事象としては、『引き込まれ事象』、『挟まれ事象』、『衝突事象』が挙げられる。
制御指示部46は、状態判定部44から出力される判定結果に基づいて、ドアコントローラ20に対して、かごドア24及び乗場ドア32の開閉動作及び開閉速度に関する制御指示を出力する。
本実施形態では、センサコントローラ40をエレベーターコントローラ10及びドアコントローラ20と独立させて設けているが、これに限られるものではない。例えば、エレベーターコントローラ10、又はドアコントローラ20において、センサコントローラ40における処理を実行するように構成してもよい。その他、センサコントローラ40における処理をクラウド上等、別の処理環境で実行するようにしてもよい。
<1-2.各装置のハードウェア構成>
次に、エレベーターシステム1が備える各装置のハードウェア構成ついて説明する。図3は、エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20及びセンサコントローラ40のそれぞれが備える計算機のハードウェア構成を示した図である。エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20、センサコントローラ40は同一のハードウェア構成を有しているため、図3では、エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20、センサコントローラ40をまとめてコントローラ200として示している。
次に、エレベーターシステム1が備える各装置のハードウェア構成ついて説明する。図3は、エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20及びセンサコントローラ40のそれぞれが備える計算機のハードウェア構成を示した図である。エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20、センサコントローラ40は同一のハードウェア構成を有しているため、図3では、エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20、センサコントローラ40をまとめてコントローラ200として示している。
コントローラ200は、MPU(Micro Processing Unit)201、ROM(Read Only Memory)202、RAM(Random Access Memory)203、及び通信インターフェース204を備え、それぞれがシステムバス205に接続されている。なお、MPU201に類する上位概念としてCPUがある。MPU201、ROM202、RAM203は処理部を構成する。MPU201は本実施形態に係る各機能を実現するプログラムコードをROM202から読み出してRAM203にロードし、該プログラムを実行する。もしくは、センサコントローラ40においては、ソフトウェア部品である第1~第5センサ部50、51、52、53、54のプログラムコードをROM202から読み出してそのまま該プログラムを実行する場合もある。
RAM203には、MPU201の処理実行途中で発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれ、これらの変数及びパラメータ等がMPU201から適宜読み出される。MPU201、RAM203、ROM202、及び、通信インターフェース204はシステムオンチップで構成されていてもよい。
エレベーターコントローラ10では、エレベーター70の巻上機18の制御プログラムがMPU201によって実行される。また、ドアコントローラ20では、ドアモータ22の制御プログラムがMPU201によって実行される。また、センサコントローラ40では、物体検知部42におけるプログラム、状態判定部44におけるプログラム、制御指示部46におけるプログラムがMPU201によって実行される。
通信インターフェース204は、各コントローラ200間を接続するネットワークに接続されている。各コントローラ200間を接続するネットワークとしては、例えば、RS-485のようなマルチドロップ形態のシリアル通信デバイスや、イーサネット(登録商標)のような複数のトポロジを提供するLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)を適用することができる。その他、有線通信以外の無線通信として、例えば、Wi-Fiのようなローカル無線や、4G及び5Gのようなインフラ無線通信を適用することができる。エレベーターコントローラ10、ドアコントローラ20、センサコントローラ40の各コントローラ200間では、通信インターフェース204を介して、各コントローラ200によって取得されたデータの送受信が為される。
なお、第1~第5センサ部50、51、52、53、54においても、上述したシリアル通信、LAN、WAN、又は、インフラ無線通信によって、各コントローラ200との間でデータ通信が可能である。第1~第5センサ部50、51、52、53、54として、高性能なセンサ(いわゆるインテリジェンスセンサ)を用いる場合には、第1~第5センサ部50、51、52、53、54に上述したMPU201、ROM202、RAM203、及び通信インターフェース204が備えられている場合もある。
<1-3.計測エリアの設定方法>
本実施形態のエレベーターシステム1では、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で取得された計測データが随時センサコントローラ40に送信される。そして、センサコントローラ40では、物体検知部42において、送信されてきた計測データと、物体検知部42において設定された計測エリアとの情報から、計測エリア毎に物体の存在の有無を検知する。以下に、物体検知部42において設定される計測エリアの設定例について説明する。
本実施形態のエレベーターシステム1では、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で取得された計測データが随時センサコントローラ40に送信される。そして、センサコントローラ40では、物体検知部42において、送信されてきた計測データと、物体検知部42において設定された計測エリアとの情報から、計測エリア毎に物体の存在の有無を検知する。以下に、物体検知部42において設定される計測エリアの設定例について説明する。
ところで、エレベーター70の利用者においては、戸袋に引き込まれる『引き込まれ事象』、かごドア24又は乗場ドア32に挟まれる『挟まれ事象』、乗場ドア32に衝突する『衝突事象』の危険性がある。以下では、『引き込まれ事象』、『挟まれ事象』、『衝突事象』のそれぞれの事象を、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態(主に、かごドア及び乗場ドア32の露出率)に応じて検知するために設定される計測エリアの設定例について説明する。
〔計測エリアの設定例〕
図4は、エレベーター70の乗降口周辺を上面から俯瞰して見た場合の図である。図4では、かごドア24及び乗場ドア32が戸閉状態から少し戸開した状態を示している。図4では、計測エリアの境界線を一点鎖線で示している。
図4は、エレベーター70の乗降口周辺を上面から俯瞰して見た場合の図である。図4では、かごドア24及び乗場ドア32が戸閉状態から少し戸開した状態を示している。図4では、計測エリアの境界線を一点鎖線で示している。
かごドア24及び乗場ドア32が少し戸開した状態においては、かごドア24及び乗場ドア32に挟まるかもしれない第1危険領域100を設定する。第1危険領域100は、図4に示すように、両側に設けられたかごドア24及び乗場ドア32のそれぞれの戸閉方向における先端部間の領域に設定されている。
このように、『挟まれ事象』が発生する危険性がある第1危険領域100をエリアDとする。『挟まれ事象』は、戸閉途中に発生する危険性があり、戸開途中には発生しない。したがって、後述するが、エリアDは、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉状態においてのみ設定されるものであってもよい。
また、かご側三方枠26とかごドア24との間、又は/及び、乗場ドア32とフロア側三方枠34との間に隙間が存在し、かごドア24及び乗場ドア32が戸開方向に移動する場合においては、利用者の手や衣服、持ち物等が隙間(戸袋)に引き込まれる可能性がある。このように、『引き込まれ事象』が発生する危険性がある領域を第2危険領域102、104、106、108として設定する。図4に示すように、第2危険領域102、104は、かご側三方枠26と、かごドア24との間の隙間、その隙間から連続するかご側三方枠26の側面、及び、かごドア24のかご室13側の表面を含む所定の領域に設定されている。一方、第2危険領域106、108は、フロア側三方枠34と、乗場ドア32との間の隙間、その隙間から連続するフロア側三方枠34の側面、及び、乗場ドア32のフロア30側の表面を含む所定の領域に設定されている。
このように、『引き込まれ事象』が発生する危険性がある第2危険領域102、104、106、108をエリアBとする。『引き込まれ事象』は、戸開途中に発生する危険性があり、戸開途中には発生しない。したがって、後述するが、エリアBは、かごドア24及び乗場ドア32の戸開状態においてのみ設定されるものであってもよい。
また、エリアBよりも危険は少ないが、かごドア24及び乗場ドア32の戸開時に隙間(戸袋)引き込まれつつある警戒領域112、114、116、118を設定する。図4に示すように、警戒領域112、114は、それぞれ第2危険領域102、104に連続する所定の領域に設定され、それぞれ、かごドア24のかご室13の表面を含み、かつ、第2危険領域102、104よりも戸閉方向に延在するように設定されている。また、警戒領域116、118は、それぞれ第2危険領域106、108に連続する所定の領域に設定され、それぞれ、乗場ドア32のフロア側の表面を含み、かつ、第2危険領域106、108よりも戸閉方向に延在するように設定されている。
このように設定された警戒領域112、114、116、118をエリアCとする。『引き込まれ事象』は、戸開途中に発生する危険性があり、戸開途中には発生しない。したがって、後述するが、エリアBは、エリアCと同様、かごドア24及び乗場ドア32の戸開状態においてのみ設定されるものであってもよい。
さらに、エリアD、エリアB、エリアCよりも危険は少ないが、危険な事象が発生する恐れがある領域を予防領域120、122として設定する。本実施形態では、エリアCよりも危険は少ないが、『引き込まれ事象』、『挟まれ事象』は発生する可能性がある乗りかご12側の領域を、予防領域120とする。また、エリアCよりも危険は少ないが、『引き込まれ事象』、『衝突事象』、『挟まれ事象』が発生する可能性があるフロア30側の領域を予防領域122とする。
予防領域120は、エリアB、エリアCを除く領域であって、かごドア24の表面から、かごドア24の開閉方向に垂直な方向に所定の距離t1(第1予防距離t1)だけ離れた位置までの領域に設定されている。ここで、第1予防距離t1は、かごドア24表面から、利用者の一般的な乗車位置までの距離に設定されており、例えばかご側三方枠26のかご室13側の表面までの距離に設定されている。
一方、予防領域122は、エリアB及びエリアCを除く領域であって、乗場ドア32の表面から乗場ドア32の開閉方向に垂直な方向に所定の距離t2(第2予防距離t2)だけ離れた位置までの領域に設定されている。ここで、第2予防距離t2は、所定の値に設定してもよいが、フロア30を移動する物体の速度Vと、戸閉までの時間Tnとで算出してもよい。例えば、人の急ぎ足の平均速度Vaveと、戸閉までの時間Tnにより、第2予防距離t2は、Vave×Tnで決定することができる。この場合、戸閉開始から時間が経つにつれてTnは短くなるので、戸開状態から戸閉状態に移行するにつれて、予防距離t2も短くなる。
このように設定された予防領域120、122を、エリアAとする。エリアAは、エリアB~Dよりも危険性が少ないが、事故が発生するのを予防するために設けられるエリアであり、戸開途中及び戸閉途中のどちらの状態においても設定されるのが好ましい。後述するが、エリアAは、戸開途中及び戸閉途中におけるエリアB~エリアDの領域の変更に応じて、設定領域が変更される。
また、エリアA~D以外の乗りかご12内の領域と、フロア30側の領域を、安全領域130、132として設定する。安全領域130、132は、かごドア24及び乗場ドア32から離れているため、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に依存する事象による影響が小さい領域である。安全領域130、132は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で検出できる計測データのうち、エリアA~エリアD以外の領域に設定される。
このように設定された安全領域130、132をエリアEとする。後述するが、エリアEも、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に応じたエリアA~エリアDの変更に伴って、設定領域が変更される。
上述したエリアA~Eは、センサコントローラ40における物体検知部42において予め、又はかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態(露出率)に基づいて設定される。物体検知部42では、第1~第5センサ部50、51、52、53、54の計測範囲、及び、ドアコントローラ20から送られてくるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態(露出率)の情報に基づいて、上述のエリアA~Eを設定する。
そして、センサコントローラ40では、物体検知部42において、第1~第5センサ部50、51、52、53、54から送信されてくる計測データを分割し、エリア毎に物体の有無を検知する。次に、状態判定部44において、エリア毎に検知された物体の有無に応じて、『引き込まれ事象』、『挟まれ事象』、『衝突事象』、及び、それらの事象に至るまでの経過から危険状態の判定を行う。その後、制御指示部46は、状態判定部44から出力された危険状態の判定に応じて、注意喚起の発行や、かごドア24及び乗場ドア32の開閉動作に関する適切な制御指示をドアコントローラ20に出力したりする。このような、センサコントローラ40における制御手順については後で詳述する。
次に、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態(露出率)に応じた計測エリアの設定例について説明する。
〔戸開開始時及び戸開途中の状態における計測エリアの設定例1〕
まず、戸開開始時及び戸開途中の状態において警戒領域であるエリアCを固定とした場合の設定例について説明する。図5Aは、戸開開始時のかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図であり、図5Bは、戸開途中の状態におけるかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図である。図5A及び図5Bでは、図を簡潔にするため、乗りかご12及びフロア30の中心から半分の領域に位置するかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域のみを図示している。また、図5A、図5Bにおいて、図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
まず、戸開開始時及び戸開途中の状態において警戒領域であるエリアCを固定とした場合の設定例について説明する。図5Aは、戸開開始時のかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図であり、図5Bは、戸開途中の状態におけるかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図である。図5A及び図5Bでは、図を簡潔にするため、乗りかご12及びフロア30の中心から半分の領域に位置するかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域のみを図示している。また、図5A、図5Bにおいて、図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
戸開開始時においては、かごドア24及び乗場ドア32はそれぞれ閉じている状態であり、『挟まれ事象』が発生する可能性がある第1危険領域100であるエリアDは存在しない。
一方、『引き込まれ事象』が発生する危険性がある第2危険領域102、106を有するエリアB、及び、引き込まれつつある警戒領域112、116を有するエリアCが設定される。また、危険な事象が発生する恐れがある予防領域120、122を有するエリアAが設定される。設定例1では、エリアA、エリアB及びエリアCの設定は、図4と同様である。その他、エリアA~D以外の乗りかご12内の安全領域130及びフロア30側の安全領域132を有するエリアEが設定される。
次に、戸開途中の状態では、図5Bに示すように、かごドア24及び乗場ドア32がそれぞれ戸開方向に移動しており、かごドア24及び乗場ドア32のそれぞれの一部が、かご側三方枠26、フロア側三方枠34に収納されている状態である。設定例1では、第2危険領域102、106を有するエリアB、及び、警戒領域112、116を有するエリアCは固定に設定されている。
一方、図5Bに示すように、かごドア24の戸開方向への移動に従って、かごドア24側では、予防領域120のかごドア24の移動方向に沿う方向の範囲が小さくなるように設定されている。同様に、設定例1では、乗場ドア32の戸開方向への移動にしたがって、乗場ドア側では、予防領域122の乗場ドア32の移動方向に沿う方向及び、乗場ドア32の移動方向に垂直な方向に範囲(第2予防距離t2)が小さくなるように設定されている。
そして、エリアEである安全領域130、132は、かごドア24及び乗場ドア32の戸開方向への移動に従って、かご室13側とフロア30側とで連結されると共に、かごドア24及び乗場ドア32の戸開方向に沿う方向に拡大されるように設定されている。これにより、乗降するのに安全なエリアEが拡大することとなる。
設定例1では、警戒領域112、116を有するエリアCを固定することにより、かごドア24及び乗場ドア32が全開に近づいた場合でもエリアCに物体を検知することができる。これにより、センサコントローラ40では、ドア速度を減速する等の制御指示を出力することができ、かごドア24及び乗場ドア32の戸開開始時及び戸開途中の状態において、『引き込まれ事象』の発生を事前に防ぐことができる。
〔戸開開始時及び戸開途中の状態における計測エリアの設定例2〕
次に、戸開開始時及び戸開途中の状態において警戒領域であるエリアCを可変とした場合の設定例について説明する。図6Aは、戸開開始時のかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図であり、図6Bは、戸開途中の状態におけるかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図である。図6A及び図6Bでは、図を簡潔にするため、乗りかご12及びフロア30の中心から半分の領域に位置するかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域のみを図示している。また、図6A、図6Bにおいて、図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
次に、戸開開始時及び戸開途中の状態において警戒領域であるエリアCを可変とした場合の設定例について説明する。図6Aは、戸開開始時のかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図であり、図6Bは、戸開途中の状態におけるかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図である。図6A及び図6Bでは、図を簡潔にするため、乗りかご12及びフロア30の中心から半分の領域に位置するかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域のみを図示している。また、図6A、図6Bにおいて、図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
戸開開始時においては、かごドア24及び乗場ドア32はそれぞれ閉じている状態であり、図6Aに示すように、『挟まれ事象』が発生する可能性がある第1危険領域100であるエリアDは設定されていない。
一方、『引き込まれ事象』が発生する危険性がある第2危険領域102、106を有するエリアB、及び、引き込まれつつある警戒領域112、116を有するエリアCが設定される。設定例2では、エリアCの警戒領域112は、かごドア24の戸閉方向における先端位置から、戸開方向に向かって、徐々にかご室13側にテーパー状に広がるように設定されている。また、エリアCの警戒領域116は、乗場ドア32の戸閉方向における先端から戸開方向に向かって徐々にフロア30側にテーパー状に広がるように設定されている。
また、設定例1と同様に、危険な事象が発生する恐れがある予防領域120、122を有するエリアAが設定される。その他、エリアA~D以外の乗りかご12内の安全領域130及びフロア側の安全領域132を有するエリアEが設定される。
次に、戸開途中の状態では、図6Bに示すように、かごドア24及び乗場ドア32がそれぞれ戸開方向に移動しており、かごドア24及び乗場ドア32のそれぞれの一部が、かご側三方枠26、フロア側三方枠34に収納されている状態である。設定例2では、第2危険領域102、106を有するエリアBは固定に設定されている。一方、警戒領域112、116を有するエリアCは、図6Bに示すように、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉方向におけるそれぞれの先端位置からかごドア24及び乗場ドア32の戸開方向にテーパー状に設定されている。このため、かごドア24及び乗場ドア32の戸開方向への移動に伴うかごドア24及び乗場ドア32の戸閉方向における先端位置の変化に伴い、警戒領域112、112も変化するように設定されている。
また、戸開途中の状態において、エリアAである予防領域120、122、及びエリアEである安全領域130、132の変化については、設定例1と同様である。
設定例2では、警戒領域112、116を、それぞれ、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉方向における先端位置から戸開方向に架けて、かごドア24及び乗場ドア32の表面を含む領域に設定する。これにより、利用者が手をかごドア24又は乗場ドア32に触れた状態で、かごドア24及び乗場ドア32の戸開が開始され、戸開が進行した場合であっても、物体検知部42において、戸開開始時からエリアCに物体の存在を検知することができる。このため、センサコントローラ40では、エリアCにおける計測データに応じて、注意喚起を行った上で、ドア速度を減速する等のドア制御を実施することができる。すなわち、『引き込まれ事象』の発生を事前に防ぐことが可能となる。
〔戸閉開始時及び戸閉途中の状態における計測エリアの設定例3〕
次に、戸閉開始時及び戸閉途中の状態における計測エリアの設定例について説明する。図7Aは、戸閉開始時のかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図であり、図7Bは、戸閉途中の状態におけるかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図である。図7A及び図7Bでは、図を簡潔にするため、乗りかご12及びフロア30の中心から半分の領域に位置するかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域のみを図示している。また、図7A、図7Bにおいて、図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
次に、戸閉開始時及び戸閉途中の状態における計測エリアの設定例について説明する。図7Aは、戸閉開始時のかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図であり、図7Bは、戸閉途中の状態におけるかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域を上面から見た図である。図7A及び図7Bでは、図を簡潔にするため、乗りかご12及びフロア30の中心から半分の領域に位置するかごドア24及び乗場ドア32周辺の領域のみを図示している。また、図7A、図7Bにおいて、図4に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
図示を省略するが、戸閉開始前は、かごドア24及び乗場ドア32は、それぞれ、かご側三方枠26及びフロア側三方枠34に収納されている状態であり、かごドア24及び乗場ドア32は、乗降口に露出していない。したがって、この場合には、一方の側に収納されたかごドア24及び乗場ドア32と、他方の側に収納されたかごドア24及び乗場ドア32との間の領域が、第1危険領域100となる。
戸閉開始後、かごドア24及び乗場ドア32が戸閉方向に移動し始めると、図7Aに示すように、乗場ドア32の露出領域61が増加する。これに伴い、かごドア24及び乗場ドア32への『衝突事象』及び『挟まれ事象』が発生する可能性が出てくるため、かご室13側の予防領域120及び、フロア側の予防領域122が設定される。一方、戸閉時においては、『引き込まれ事象』は発生しない。このため、図7Aにおいて、エリアB及びエリアCは設定されない。
設定例3では、図7Aに示すように、予防領域120は、かごドア24が閉じているときのかごドア24表面の位置から、かごドア24の開閉方向に垂直な方向に所定の第1予防距離t1だけ離れた位置までの領域に設定されている。また、予防領域122は、乗場ドア32が閉じているときの乗場ドア32の表面の位置から、乗場ドア32の開閉方向に垂直な方向に所定の第2予防距離t2だけ離れた位置までの領域に設定されている。
また、安全領域130は、予防領域120以外のかご室13内の領域に設定され、安全領域132は、予防領域122以外のフロア30側の領域に設定されている。
図7Aの状態からさらに戸閉がさらに進んだ戸閉途中の状態では、図7Bに示すように、かごドア24及び乗場ドア32の露出領域62が図7Aに示す露出領域61に比較して大きくなる。第1危険領域100は、両側のかごドア24及び乗場ドア32の間の領域に設定されているため、戸閉方向への移動に伴って第1危険領域100は狭くなる。
また、露出領域62が大きくなるにしたがって、かご室13側及びフロア30側において、『衝突事象』又は『挟まれ事象』が発生する可能性は低くなる。したがって、かごドア24及び乗場ドア32の露出領域が増大するにしたがって、予防距離t1、t2は短くなるように設定されている。
戸開完了時には、エリアDは消滅し、かごドア24及び乗場ドア32の露出領域は最大となる。このように、戸閉時において『挟まれ事象』が発生する危険性の高い第1危険領域100であるエリアDを、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に応じて変化させる。これにより、センサコントローラ40において、エリアDの形状変化の度合いに応じて、エリアDに物体を検知した時の制御指示を変えることができる。センサコントローラ40において、エリアDに物体を検知した時に出力される制御指示としては、例えば、注意喚起の発行指示、ドア速度の減速指示、ドア停止指示、又は、ドアを戸開方向に転じる反転動作指示が挙げられる。これにより、『挟まれ事象』及び『衝突事象』を事前に防ぐことが可能となる。
1-4.エレベーターシステムの制御方法
〔戸開開始時及び戸開途中におけるエレベーターシステムの制御方法〕
次に、本実施形態のエレベーターシステム1の制御方法について説明する。まず、戸開開始時及び戸開途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法について説明する。図8は、戸開開始時及び戸開途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法を示すフローである。戸開開始時及び戸開途中の状態では、例えば、図5A、図5B、及び、図6A、図6Bに示したような計測エリアの設定がなされている。
〔戸開開始時及び戸開途中におけるエレベーターシステムの制御方法〕
次に、本実施形態のエレベーターシステム1の制御方法について説明する。まず、戸開開始時及び戸開途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法について説明する。図8は、戸開開始時及び戸開途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法を示すフローである。戸開開始時及び戸開途中の状態では、例えば、図5A、図5B、及び、図6A、図6Bに示したような計測エリアの設定がなされている。
まず、物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54から送られてくる計測データを取得する(ステップS100)。次に、物体検知部42は、計測エリア内における物体の存在を検出すると共に、物体の位置を決定する(ステップS110)。次に、物体検知部42は、物体を検出したか否かを判断する(ステップS120)。
ステップS120において、物体検知部42が物体を検出していないと判断した場合(ステップS120の無判定)には、処理を終了する。一方、ステップS120において、物体を検出したと判断した場合(ステップS120の有判定)には、物体検知部42は、ステップS110で決定した物体の位置と、物体検知部42で設定された計測エリア(例えば、図5AのエリアA~エリアE)とを参照して、物体が存在する対象エリアを決定する(ステップS130)。その後、物体検知部42は、決定された対象エリアを状態判定部44に送信する。
次に、状態判定部44は、ドアコントローラ20から送信されてくるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に関する情報を取得する(ステップS140)。次に、取得したかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態と、ステップS130で決定された対象エリアとから、状態判定部44は、危険状態を判定する(ステップS150)。ステップS140で取得されるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態は、かごドア24及び乗場ドア32の露出率、かごドア24及び乗場ドア32の開口率、開閉方向、開閉速度等が挙げられる。また、ステップS130では、それらの開閉状態と、対象エリアとから危険状態が判定される。そして、状態判定部44は、判定結果を制御指示部46に送信する。
次に、制御指示部46は、状態判定部44から送信されてくる危険状態に関する判定結果に基づいて、ドアコントローラ20への制御指示を決定する(ステップS160)。ステップS160では、例えば、ステップS130で決定された対象エリアがエリアAであった場合には、制御指示部46は、ドアが開く旨のワーニング発行指示の出力を決定する。また、ステップS130で決定された対象エリアがエリアCであった場合には、制御指示部46は、例えば、ドアに引き込まれる可能性がある旨のワーニングの発行指示、及び、ドアの開速度の減速指示の出力を決定する。また、ステップS130で決定された対象エリアがエリアBであった場合には、制御指示部46は、かごドア24及び乗場ドア32における戸開動作の停止指示の出力を決定する。なお、ステップS160で決定される制御指示は、本発明における計測エリア依存の制御指示に相当する。
その後、制御指示部46は、決定した制御指示の内容をドアコントローラ20に送信する(ステップS170)。そして、図8では省略するが、ドアコントローラ20が、制御指示部46からの制御指示内容に応じて、ドアモータ22及び/又は入出力装置28を制御する。例えば、ドアの減速指示や、ドアの停止指示が出力された場合には、ドアモータ22を制御することで、かごドア24及び乗場ドア32の開閉動作が制御される。一方、ワーニングの発行指示が出力された場合には、入出力装置28のスピーカー又は/及び表示装置を介して、注意喚起、警告が為される。
このように、計測エリアと、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態とに応じて、『引き込まれ事象』に対する注意喚起、警告、ドア減速、ドア停止を状況に応じて適切に処理することができる。
〔戸閉開始時及び戸閉途中におけるエレベーターシステムの制御方法〕
次に、戸閉開始時及び戸閉途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法について説明する。図9は、戸閉開始時及び戸閉途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法を示すフローである。戸閉開始時及び戸閉途中の状態では、例えば、図7A及び図7Bに示したような計測エリアの設定がなされている。
次に、戸閉開始時及び戸閉途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法について説明する。図9は、戸閉開始時及び戸閉途中の状態におけるエレベーターシステム1の制御方法を示すフローである。戸閉開始時及び戸閉途中の状態では、例えば、図7A及び図7Bに示したような計測エリアの設定がなされている。
まず、物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54から送られてくる計測データを取得する(ステップS200)。次に、物体検知部42は、計測エリア内における物体の存在を検出すると共に、物体の位置を決定する(ステップS210)。次に、物体検知部42は、物体を検出したか否かを判断する(ステップS220)。
ステップS220において、物体を検出していないと判断した場合(ステップS220の無判定)には、処理を終了する。一方、ステップS220において、物体を検出したと判断した場合(ステップS220の有判定)には、物体検知部42は、ステップS210で決定した物体の位置と、物体検知部42において設定された計測エリア(図7AのエリアA、D、E)とを参照して、物体が存在する対象エリアを決定する(ステップS230)。その後、物体検知部42は、決定された対象エリアを状態判定部44に送信する。
次に、状態判定部44は、ドアコントローラ20から送信されてくるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に関する情報を取得する(ステップS240)。次に、取得したかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態と、ステップS230で決定された対象エリアとから、状態判定部44は、危険状態を判定する(ステップS250)。そして、状態判定部44は、判定結果を制御指示部46に送信する。
次に、制御指示部46は、状態判定部44から送信されてくる危険状態に基づいて、ドアコントローラ20への制御指示を決定する(ステップS260)。例えば、かごドア24及び乗場ドア32の露出領域が少なく、第1危険領域100が広く、かつ、ステップS230で決定された対象エリアがエリアAであった場合には、制御指示部46はドア速度を減速する制御指示の出力を決定する。また、露出領域が多く、第1危険領域100が狭く、かつ、ステップS230で決定された対象エリアがエリアDであった場合には、制御指示部46は、かごドア24及び乗場ドア32における戸閉動作の停止指示の出力を決定する。さらに、露出領域が少なく、第1危険領域100も、人の平均的肩幅以上の余裕があり、かつ、ステップS230で決定された対象エリアがエリアDであった場合には、制御指示部46は、かごドア24及び乗場ドア32の開閉動作の反転指示の出力を決定する。なお、ステップS260で決定される制御指示は、本発明における計測エリア依存の制御指示に相当する。
その後、制御指示部46は、決定した制御指示の内容をドアコントローラ20に送信する(ステップS270)。そして、図9では省略するが、ドアコントローラ20が、制御指示部46からの制御指示内容に基づいて、ドアモータ22を制御する。
以上のように、本実施形態では、物体が存在する計測エリア(対象エリア)を決定すると共に、その対象エリアと、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態とから、危険状態を判定することができる。これにより、その危険状態に応じて、計測エリア依存の制御指示を出力することができる。また、本実施形態では、かごドア24及び乗場ドア32の開閉動作が為されている間、常に、図8又は図9に示すフローで、計測エリア依存の制御指示の出力がなされる。これにより、『引き込まれ事象』、『挟まれ事象』及び『衝突事象』の各事象と、それらの事象に至るまでの経過を連続して検出することができ、それらの経過に応じた制御を行うことができる。
≪2.第2の実施形態に係るエレベーターシステム≫
次に、本発明の第2の実施形態に係るエレベーターシステムについて説明する。第1の実施形態では、かごドア24及び乗場ドア32が両開き形式の場合について説明したが、第2の実施形態では、片開き形式のかごドア25及び乗場ドア33の場合について説明する。
次に、本発明の第2の実施形態に係るエレベーターシステムについて説明する。第1の実施形態では、かごドア24及び乗場ドア32が両開き形式の場合について説明したが、第2の実施形態では、片開き形式のかごドア25及び乗場ドア33の場合について説明する。
図10は、第2の実施形態に係るエレベーターシステムの乗降口周辺を上面から俯瞰して見た場合の図であり、第1~第5センサ部50、51、52、53、54における計測エリアを示した図である。図10では、かごドア25及び乗場ドア33が戸閉状態から少し戸開した状態を示している。また、図10では、計測エリアの境界線を一点鎖線で示し、第2センサ部51及び第4センサ部53が取り付けられる位置を仮想線で示している。図10において、図4に対応する部分には同一符号を付し、重複説明を省略する。また、第2の実施形態では、かごドア25及び乗場ドア33が片開き形式である点でのみ、第1の実施形態と異なる。したがって、その他の構成については、図示を省略し、重複説明を省略する。
かごドア25及び乗場ドア33が片開き形式の場合、かご側三方枠26の上面に設けられる第2センサ部51は、かごドア25の戸閉方向において、かごドア25が収納される側とは反対側の端部に設けられる。一方、フロア側三方枠34の上面に設けられる第4センサ部53は、乗場ドア33の戸閉方向において、乗場ドア33が収納される側とは反対側の端部に設けられている。
そして、片開き形式のかごドア25及び乗場ドア33においても、図4と同様に『引き込まれ事象』、『挟まれ事象』、『衝突事象』の発生する可能性がある領域において、危険レベルに応じて計測エリアが設定されている。以下に、計測エリアの設定例について説明する。
かごドア25及び乗場ドア33が少し戸開した状態においては、かごドア25及び乗場ドア33と、かご側三方枠26及びフロア側三方枠34に挟まるかもしれない第1危険領域100を設定する。第1危険領域100は、図10に示すように、片側に設けられたかごドア25及び乗場ドア33のそれぞれの戸閉方向における先端部と、かご側三方枠26及びフロア側三方枠34との間の領域に設定されている。
このように、『挟まれ事象』が発生する危険性がある第1危険領域100をエリアDとする。『挟まれ事象』は、戸閉途中に発生する危険性があり、戸開途中には発生しない。したがって、第1の実施形態と同様、エリアDは、かごドア25及び乗場ドア33の戸閉状態においてのみ設定されるものであってもよい。
また、かご側三方枠26とかごドア25との間、又は/及び、乗場ドア33とフロア側三方枠34との間に隙間が存在し、かごドア25及び乗場ドア33が戸開方向に移動する場合においては、利用者の手や衣服、持ち物等が隙間(戸袋)に引き込まれる可能性がある第2危険領域102、106を設定する。図10に示すように、第2危険領域102は、かご側三方枠26と、かごドア25との間の隙間、その隙間から連続するかご側三方枠26の側面、及び、かごドア25のかご室13側の表面を含む所定の領域に設定されている。一方、第2危険領域106は、フロア側三方枠34と、乗場ドア33との間の隙間、その隙間から連続するフロア側三方枠34の側面、乗場ドア33のフロア30側の表面を含む所定の領域に設定されている。
このように、『引き込まれ事象』が発生する危険性がある第2危険領域102、106をエリアBとする。『引き込まれ事象』は、戸開途中に発生する危険性があり、戸開途中には発生しない。したがって、第1の実施形態と同様、エリアBは、かごドア25及び乗場ドア33の戸開状態においてのみ設定されるものであってもよい。
また、エリアBよりも危険は少ないが、かごドア25及び乗場ドア33の戸開時に隙間(戸袋)引き込まれつつある警戒領域112、116を設定する。警戒領域112は、図10に示すように、かごドア25のかご室13側のかごドア25表面を含む所定の領域に設定され、第2危険領域102よりも戸閉方向に延在するように設定されている。また、警戒領域116は乗場ドア33のフロア30側の乗場ドア33表面を含む所定の領域に設定され、第2危険領域106よりも戸閉方向に延在するように設定されている。
このように設定された警戒領域112、116をエリアCとする。『引き込まれ事象』は、戸開途中に発生する危険性があり、戸開途中には発生しない。したがって、エリアBは、エリアCと同様、かごドア25及び乗場ドア33の戸開状態においてのみ設定されるものであってもよい。
さらに、エリアD、エリアB、エリアCよりも危険は少ないが、危険な事象が発生する恐れがある領域を予防領域120、122として設定する。エリアCよりも危険は少ないが、『引き込まれ事象』及び『挟まれ事象』が発生する可能性があるかご室13側の領域を、予防領域120とする。また、エリアCよりも危険は少ないが、『引き込まれ事象』、『衝突事象』、及び、『挟まれ事象』が発生する可能性があるフロア30側の領域を予防領域122とする。
予防領域120は、第1の実施形態と同様、エリアB、エリアCを除く領域であって、かごドア25の表面から、かごドア25の開閉方向に垂直な方向に所定の距離t1(第1予防距離t1)だけ離れた位置までの領域に設定されている。ここで、第1予防距離t1は、図4における第1予防距離t1と同様に設定される。
一方、予防領域122は、第1の実施形態と同様、エリアB及びエリアCを除く領域であって、乗場ドア33の表面から乗場ドア33の開閉方向に垂直な方向に所定の距離t2(第2予防距離t2)だけ離れた位置までの領域に設定されている。ここで、第2予防距離t2は、図4における第2予防距離t2と同様に設定される。
このように設定された予防領域120、122を、エリアAとする。エリアAは、エリアB~Dよりも危険性が少ないが、事故が発生するのを予防するために設けられるエリアであり、戸開途中及び戸閉途中のどちらの状態においても設定されるのが好ましい。後述するが、エリアAは、戸開途中及び戸閉途中におけるエリアB~エリアDの領域の変更に応じて、領域が変更される。
また、エリアA~D以外のかご室13内の領域と、フロア30側の領域を、安全領域130、132として設定する。安全領域130、132は、かごドア25及び乗場ドア33から離れているため、かごドア25及び乗場ドア33の開閉状態に依存する事象による影響が小さい領域である。安全領域130、132は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で検出できる計測データのうち、エリアA~エリアD以外の領域に設定される。
このように設定された安全領域130、132をエリアEとする。第1の実施形態と同様、エリアEも、かごドア25及び乗場ドア33の開閉状態に応じたエリアA~エリアDの変更に伴って、領域が変更される。
以上のように、片開きの形式のエレベーターにおいても、図10に示すように、物体検知部42において計測エリアを分割することにより、『引き込まれ事象』、『衝突事象』、『挟まれ事象』及び、これらの事象に至るまでの経過を検知することが可能となる。これにより、センサコントローラ40は、これらの経過に応じた制御指示をドアコントローラ20に出力することができ、危険を回避することができる。
≪3.第3の実施形態≫
<3-1.エレベーターシステムの構成>
次に、本発明の第3の実施形態に係るエレベーターシステムについて説明する。図11は、第3の実施形態に係るエレベーターシステム2の概略構成図である。図11において、図1に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。第3の実施形態では、物体検知部42において、フロア30に存在している歩行者Aが携行している携帯端末90からの物体データを用いて物体検知を行う点で、第1の実施形態と異なる。
<3-1.エレベーターシステムの構成>
次に、本発明の第3の実施形態に係るエレベーターシステムについて説明する。図11は、第3の実施形態に係るエレベーターシステム2の概略構成図である。図11において、図1に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。第3の実施形態では、物体検知部42において、フロア30に存在している歩行者Aが携行している携帯端末90からの物体データを用いて物体検知を行う点で、第1の実施形態と異なる。
第3の実施形態では、フロア30に存在している歩行者Aが携行している携帯端末90の物体データは、キャリア無線通信等でエッジコントローラ80に送信される。エッジコントローラ80は、ネットワーク82を介してセンサコントローラ40とデータの送受信が可能に構成されており、携帯端末90から受信した物体データをセンサコントローラ40に送信する。携帯端末90は、例えばスマートフォン等のような通信機器であり、GPS(Global Positioning System)、ジャイロセンサ、加速度センサ、キャリア無線通信による複数の通信基地局との通信による三角測量による位置計測が可能である。これにより、携帯端末90を携行する歩行者Aの位置や挙動を計測することが可能である。
携帯端末90によって取得できる歩行者Aの挙動に関する代表的なデータとしては、歩行者Aの移動速度と、移動方向とがあり、いわゆるベクトルデータである。図12に、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉途中に設定される計測エリアの一例と、物体A1、A2の携帯端末90から取得できるベクトルデータ72、74の一例を示す。図12に示す計測エリアは、図7Aに示した例と同じである。
ところで、第1の実施形態では、物体検知部42において、複数の計測エリアを設定し、ドア動作に応じて計測エリアを変形させると共に、計測エリア毎に、危険領域、警戒領域、安全領域等の危険レベルを設定することで、起こりうる危険な事象に対応可能な構成としていた。しかしながら、図4で説明した第2予防距離t2は、予め設定した閾値や、人の急ぎ足の平均速度Vに応じて設定している。したがって、図12のベクトルデータ72で示すように、平均値を大きく逸脱した速度で近づく物体A1が存在している場合の対処が困難であった。
これに対して、図12のベクトルデータ74で示すように、予防領域122に設定されたエリアAに乗場ドア32から離れる方向に移動する物体A2が存在している場合でも、第1の実施形態では、物体A2の存在に応じて、ドア速度の減速等の制御指示が決定される。すなわち、物体A2が、実際には乗場ドア32の開閉動作に関係なく存在する物体であるにも関わらず、ドアコントローラ20に対して無駄な制御指示を出力する場合がある。
これに対して、第3の実施形態では、歩行者Aの携帯端末90から取得できるベクトルデータ(物体データ)を検知することで、センサコントローラ40が、より的確に、ドアコントローラ20に制御指示を出力することができる。以下に、歩行者Aの携帯端末90から取得できる物体データを用いた制御方法について説明する。
<3-2.乗場ドアの戸閉時に、乗場ドアに到達しない物体が存在する場合の制御方法の一例>
図13は、フロア側のエリアAに、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉時に乗場ドア32に到達しない物体A2が存在する場合の制御方法を示すフローである。
図13は、フロア側のエリアAに、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉時に乗場ドア32に到達しない物体A2が存在する場合の制御方法を示すフローである。
まず、センサコントローラ40の物体検知部42は、エッジコントローラ80を介してエリアAに存在する物体A2が携行する携帯端末からの物体データを取得する(ステップS300)。次に、物体検知部42は、エッジコントローラ80から送信される物体データの有無を判断する(ステップS310)。ステップS310において、物体データが無いと判断された場合(ステップS310の無判定)には、物体データの有無の判定を終了し、後述するステップS360に進む。
一方、ステップS310において、物体データが有ると判断された場合(ステップS310の有判定)には、状態判定部44は、エッジコントローラ80で検出された物体が、乗場ドア32に到達するまでの時間を演算する(ステップS320)。このとき、状態判定部44では、物体データが有するベクトルデータ74を用いて、到達時間を演算する。
次に、状態判定部44は、ステップS320で算出された到達時間と、ドアコントローラ20から取得されるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に関する情報から、かごドア24及び乗場ドア32が閉じるまでに物体A2が乗場ドア32に到達するか否かを判定する(ステップS330)。ステップS330において、可能であると判定された場合(ステップS330の可判定)には、ステップS310に戻り、別の物体データが存在する場合には別の物体データについて処理を再開する。
一方、ステップS330において、不可能であると判定された場合(ステップS330の不可判定)、すなわち、かごドア24及び乗場ドア32が閉じるまでに、物体A2が乗場ドア32に到達しないと判定された場合には、制御指示部46は、判定した物体A2に関する計測エリア依存の制御指示キャンセル指示を決定する。計測エリア依存の制御指示は、図9のフローによって出力される指示である。また、ここで決定されるキャンセル指示は、本発明の物体データ依存の制御指示に相当する。その後、制御指示部46は、判定した物体A2に関するキャンセル指示を蓄積する(ステップS350)。
ステップS310~ステップS350の処理は、エッジコントローラ80を介して取得された物体データが無くなるまで繰り返し実行される。物体データの有無の判定により物体データが無いと判定された場合には、制御指示部46は、蓄積されたキャンセル指示(物体データ依存の制御指示)をドアコントローラ20に送信する(ステップS360)。
このとき、ステップS350において、キャンセル指示が蓄積されていない場合には、キャンセル指示は無しの状態で、制御指示部46は、ドアコントローラ20に制御指示を送信する。
図13に示したフローは、例えば、図9に示したフローと同時に実行される。図9に示したフローでは、第1~第5センサ部50、51、52、53、54によって、図12に示す乗場ドア32側のエリアAに物体A2が検知された場合、例えば、ドア速度の減速や、ドア停止等の制御指示(計測エリア依存の制御指示)がドアコントローラ20に出力される。一方、図13に示したフローでは、図12に示す乗場ドア32側のエリアAにある物体A2が、かごドア24及び乗場ドア32に接近しない動きをしている場合には、ステップS360で出力されるキャンセル指示により、図9のステップS270で出力された計測エリア依存の制御指示をキャンセルすることができる。すなわち、乗場ドア32近傍に物体A2が存在する場合でも、かごドア24及び乗場ドア32とは関係なく存在する物体である場合には、この物体A2に係る計測依存の制御指示をキャンセルすることができる。このため、より精度よく、かごドア24及び乗場ドア32の制御を行うことができる。
なお、ステップS350において、キャンセルに関する制御指示が蓄積されなかった場合には、図9のステップS270で出力された物体A2に関する計測エリア依存の制御指示はキャンセルされない。
<3-3.乗場ドアの戸閉時に乗場ドアに到達する物体が存在する場合の制御方法の一例>
図14は、フロア側のエリアEに、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉時に乗場ドア32に到達す物体A1が存在する場合の制御方法を示すフローである。
図14は、フロア側のエリアEに、かごドア24及び乗場ドア32の戸閉時に乗場ドア32に到達す物体A1が存在する場合の制御方法を示すフローである。
まず、センサコントローラ40の物体検知部42は、エッジコントローラ80を介してフロア30側のエリアEに存在する物体A1が携行する携帯端末90からの物体データを取得する(ステップS400)。次に、物体検知部42は、エッジコントローラ80から送信される物体データの有無を判断する(ステップS410)。ステップS410において、物体データが無いと判断された場合(ステップS410の無判定)には、物体データの有無の判定を終了し、後述するステップS460に進む。
一方、ステップS410において、物体データが有ると判断された場合(ステップS410の有判定)には、状態判定部44は、エッジコントローラ80で検出された物体が乗場ドア32に到達するまでの時間を演算する(ステップS420)。このとき、状態判定部44では、物体データが有するベクトルデータ72を用いて、到達時間を演算する。
次に、状態判定部44は、ステップS420で算出された到達時間と、ドアコントローラ20から取得されるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態に関する情報から、かごドア24及び乗場ドア32が閉じるまでに物体A1が乗場ドア32に到達するか否かを判定する(ステップS430)。ステップS430において、不可能であると判定された場合(ステップS430の不可判定)には、ステップS410に戻り、エッジコントローラ80を介して取得された別の物体データについて処理を再開する。
一方、ステップS430において、可能であると判定された場合(ステップS430の可判定)、すなわち、かごドア24及び乗場ドア32が閉じるまでに、物体A1が乗場ドア32に到達すると判定された場合には、制御指示部46は、判定した物体A1に関する制御指示を決定する。ステップS430における制御指示は、図9におけるステップS260における制御指示の決定と同様である。なお、ステップS440で決定される制御指示は、本発明における物体データ依存の制御指示に相当する。
その後、制御指示部46は、判定した物体に関する制御指示に関する情報を蓄積する(ステップS450)。
ステップS410~ステップS450の処理は、エッジコントローラ80を介して取得された物体データが無くなるまで繰り返し実行される。物体データの有無の判定により物体データが無いと判定された場合には、制御指示部46は、蓄積された制御指示をドアコントローラ20に送信する(ステップS460)。このとき、ステップS450において、制御指示が蓄積されていない場合には、制御指示部46は、「制御指示無し」の情報を、ドアコントローラ20に送信する。
図14に示したフローは、図9に示したフローと同時に実行される。図9に示すフローでは、エリアEは安全領域とされ、エリアEに物体A1が存在していたとしても、エリアEに存在する物体Aに応じた制御指示(計測エリア依存の制御指示)は、出力されない。したがって、エリアEに存在する物体A1が、平均速度よりも早い速度で乗場ドア32側に接近した場合に、かごドア24及び乗場ドア32を適切に制御することができない。一方、図14に示すフローを、図9に示すフローと同時に実行することにより、エリアEに存在する物体A1が、平均速度を大きく上回って乗場ドア32に接近する場合に、制御指示部46は物体データ依存の制御指示を出力することができる。これにより、制御指示部46は、ドア減速、ドアの移動方向の反転、ドア停止等の制御指示をドアコントローラ20に出力することができる。これにより、より精度よく、かごドア24及び乗場ドア32の開閉状態を制御することができる。
≪4.第4の実施形態≫
上述した第1の実施形態~第3の実施形態では、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で物体を検知する構成を有するが、第1~第5センサ部50、51、52、53、54において、誤作動が発生する可能性がある。第4の実施形態では、例えば、第1の実施形態におけるエレベーターシステム1において、第1~第5センサ部50、51、52、53、54のいずれかに誤作動(故障)が発生した場合の制御方法について説明する。
上述した第1の実施形態~第3の実施形態では、第1~第5センサ部50、51、52、53、54で物体を検知する構成を有するが、第1~第5センサ部50、51、52、53、54において、誤作動が発生する可能性がある。第4の実施形態では、例えば、第1の実施形態におけるエレベーターシステム1において、第1~第5センサ部50、51、52、53、54のいずれかに誤作動(故障)が発生した場合の制御方法について説明する。
図15は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54のいずれかにおいて誤作動が発生した場合における制御方法を示すフローである。なお、図15に示すフローは、図8に示すフローや、図9に示すフローと同時に実行されるものである。
まず、センサコントローラ40の物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54から計測データを取得する(ステップS500)。物体検知部42は、第1~第5センサ部50、51、52、53、54のいずれかから送信されてきた計測データから、かごドア24及び乗場ドア32の位置を決定する(ステップS510)。
一方、センサコントローラ40の状態判定部44は、ドアコントローラ20から送信されてくるかごドア24及び乗場ドア32の開閉状態の情報を取得する(ステップS520)。そして、状態判定部44は、ステップS520で取得された情報から、かごドア24及び乗場ドア32の位置を演算する(ステップS530)。
次に、状態判定部44は、ステップS510において、物体検知部42で検知されたかごドア24及び乗場ドア32の位置と、ステップS530で算出されたかごドア24及び乗場ドア32の位置を比較する(ステップS540)。ステップS540において、一致と判定された場合(ステップS540の一致判定)には、処理を終了する。一方、ステップS540において、不一致と判定された場合(ステップS540の不一致判定)には、第1~第5センサ部50、51、52、53、54の故障と判断し、図8のステップS160や、図9のステップS260で決定された制御指示を無効とする(ステップS550)。この場合、図8のステップS160や、図9のステップS260で決定された制御指示は、ドアコントローラ20に出力されず、かつ、以降の処理で出力される制御指示についても無効とする。
このように、センサコントローラ40と、ドアコントローラ20とを連携して第1~第5センサ部50、51、52、53、54の不具合を検知することが可能となる。したがって、第1~第5センサ部50、51、52、53、54の誤動作や故障による無駄な制御指示を無効とすることが可能となり、信頼性の向上が図られる。
上述した実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。第1~第4の実施形態では、第1~第5センサ部50、51、52、53、54を設ける構成としたが、本発明では、エレベーターの乗降口付近を撮像可能なセンサを少なくとも1つ設けることでも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。また、図4等に示した計測エリアの設定は、種々の変更が可能である。
さらに、例えば、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成について他の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1、2…エレベーターシステム、10…エレベーターコントローラ、12…かごドア、13…かご室、16…主ロープ、18…巻上機、20…ドアコントローラ、22…ドアモータ、24…かごドア、26…かご側三方枠、28…入出力装置、30…フロア、32…乗場ドア、34…フロア側三方枠、40…センサコントローラ、42…物体検知部、44…状態判定部、46…制御指示部、50…第1センサ部、51…第2センサ部、52…第3センサ部、53…第4センサ部、54…第5センサ部、60…通信路、70…エレベーター、80…エッジコントローラ、82…ネットワーク、90…携帯端末
Claims (9)
- エレベーターのかごドア及び乗場ドアの開閉状態を制御するエレベーターシステムにおいて、
かごドア及び乗場ドアの開閉動作を制御するドアコントローラと、
エレベーターの前記かごドア及び乗場ドアが設けられる乗降口周辺を撮像可能なセンサ部と、
前記乗降口周辺の領域に対して複数の計測エリアを設定すると共に、前記センサ部によって取得された計測データを用いて、前記計測エリア毎に物体の存在を検知する物体検知部と、
前記物体検知部で検知された物体が存在する計測エリアと、前記ドアコントローラから取得されるかごドア及び乗場ドアの開閉状態とから、危険状態を判定する状態判定部と、
前記状態判定部で判定された危険状態に基づいて、前記ドアコントローラに、計測エリア依存の制御指示を出力する制御指示部と、
を備えるエレベーターシステム。 - 前記制御指示部から出力される前記計測エリア依存の制御指示は、前記かごドア及び乗場ドアの開閉速度の減速、前記かごドア及び乗場ドアの開閉動作の停止、又は、前記かごドア及び乗場ドアの開閉方向の反転である
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記状態判定部は、前記かごドア及び乗場ドアの露出領域に応じて、前記危険状態を判定する
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記物体検知部は、外部端末からエッジコントローラを介して送信されてくる物体の移動速度、及び、移動方向に関する物体データを検知し、
前記状態判定部は、前記物体データと、前記かごドア及び乗場ドアの開閉状態とから危険状態を判定し、
前記制御指示部は、前記物体データと、前記かごドア及び乗場ドアの開閉状態とから判定された危険状態に基づいて、前記ドアコントローラに、物体データ依存の制御指示を出力すると共に、前記計測エリア依存の制御指示を変更する
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記物体データ依存の制御指示は、前記計測エリア依存の制御指示のキャンセルを含む
請求項4に記載のエレベーターシステム。 - 前記物体検知部は、前記かごドア及び乗場ドアの開閉状態に応じて、前記計測エリアの設定を変更する
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記物体検知部は、前記センサ部によって取得された計測データから前記かごドア及び乗場ドアの位置を検知し、
前記状態判定部は、前記ドアコントローラから送信されてくる情報から前記かごドア及び乗場ドアの位置を検知し、
前記状態判定部は、前記物体検知部で検知された前記かごドア及び前記乗場ドアの位置と、前記状態判定部で検知した前記かごドア及び前記乗場ドアの位置とを比較して、前記センサ部が故障しているか否かを判断する
請求項1に記載のエレベーターシステム。 - 前記状態判定部で前記センサ部が故障していると判断された場合には、前記制御指示部は、前記計測エリア依存の制御指示を無効とする
請求項7に記載のエレベーターシステム。 - かごドア及び乗場ドアの開閉動作を制御するドアコントローラと、
エレベーターの前記かごドア及び乗場ドアが設けられる乗降口周辺を撮像可能なセンサ部と備えるエレベーターシステムの制御方法であって、
前記乗降口周辺の領域に対して複数の計測エリアを設定すると共に、前記センサ部によって取得された計測データを用いて、前記計測エリア毎に物体の存在を検知し、
前記検知された物体が存在する計測エリアと、前記ドアコントローラから取得されるかごドア及び乗場ドアの開閉状態とから、危険状態を判定し、
前記判定された危険状態に基づいて、前記ドアコントローラに、計測エリア依存の制御指示を出力する
エレベーターシステムの制御方法。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20240202 |