この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
実施の形態1.
図1から図10は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1はエレベーターの制御装置を備えたワンシャフトマルチカー方式のエレベーターの全体構成を模式的に示す図、図2は各台制御装置の構成を示す図、図3はワンシャフトマルチカー方式のエレベーターにおける上下のかごの位置とかご及び釣合い重りの走行方向との関係を説明する図、図4は上下のかごが昇降路中心より上側に停止した際のパターンを説明する図、図5は図4の各パターンにおける上下のかごの走行方向を説明する図、図6は上下のかごが昇降路中心より下側に停止した際のパターンを説明する図、図7は図6の各パターンにおける上下のかごの走行方向を説明する図、図8は上かごが昇降路中心より上側に停止し下かごが昇降路中心より下側に停止した際の上下のかごの走行方向を説明する図、図9及び図10はエレベーターの制御装置の動作を示すフロー図である。
図1において、1は、エレベーターが設置される建築物内に立設された昇降路である。この昇降路1内には、乗客や荷物等を積載して昇降する上かご2aが配設されている。この上かご2aの上端には上かご主ロープ3aの一端が連結されている。この上かご主ロープ3aの他端は上かご釣合い重り4aの上端に連結されている。上かご釣合い重り4aは昇降路1内に昇降自在に配設されている。
上かご主ロープ3aの中間部は、昇降路の頂部に設けられた図示しない機械室内に設置された上かご巻上機5aの駆動シーブに巻き掛けられている。このようにして、上かご2a及び上かご釣合い重り4aは、上かご主ロープ3aによって昇降路1内で互いに相反する方向に昇降自在なつるべ状に吊持されている。
昇降路1内には、上かご2aに加え、下かご2bも昇降自在に配設されている。この下かご2bも、上かご2aと同様にして、下かご釣合い重り4bと昇降路1内で互いに相反する方向に昇降自在なつるべ状に吊持されている。すなわち、下かご主ロープ3bの一端が下かご2bの上端に、他端が下かご釣合い重り4bの上端にそれぞれ連結され、下かご主ロープ3bの中間部は下かご巻上機5bの駆動シーブに巻き掛けられている。
上かご2aは昇降路1内において下かご2bから見て相対的に上側に配設されている。したがって、上かご2aは常に昇降路1における下かご2bよりも上側にあり、逆に下かご2bは上かご2aよりも常に昇降路1における下側にある。このように、この発明に係るエレベーターの制御装置が制御対象とするエレベーターは、1つの昇降路1内に複数のかごである上かご2a及び下かご2bがそれぞれ独立して昇降することができるように配設されたワンシャフトマルチカー方式のエレベーターである。
上かご2a及び下かご2bの運行を含むワンシャフトマルチカー方式のエレベーターの運転動作の全般は、群管理装置6並びに上かご各台制御装置7a及び下かご各台制御装置7bにより制御される。
群管理装置6は、1つの昇降路1内に配設された上かご2a及び下かご2bを一群として取り扱い、上かご2aと下かご2bとの衝突を回避するように運行管理する。この群管理装置6では、主に同じ昇降路1内の上かご2a及び下かご2bの双方に共通して用いられる制御情報を取り扱う。
上かご各台制御装置7a及び下かご各台制御装置7bは群管理装置6の下位装置にあたり、上位装置である群管理装置6からの情報に従って、上かご各台制御装置7aは上かご2aの運転動作を、下かご各台制御装置7bは下かご2bの運転動作を、それぞれ制御する。なお、各台制御装置は、複数のかごのそれぞれに対応して、かごと同数だけ設けられる(ここでは2台)。
上かご2a及び下かご2bは、当該エレベーターが設置された建築物における複数の階床間にわたって、昇降路1内を昇降する。ここで、上かご2a及び下かご2bの昇降範囲においては、急行ゾーン8と戸開可能階9とが設定されている。急行ゾーン8とは、出入口が存在していない、あるいは、セキュリティ上の事情により乗客の乗り降りが制限されている等の理由により戸開不可となっている階が連続して存在しているゾーンである。
さらに厳密に言えば、急行ゾーン8とは、次に述べる地震感知器14によりP波が感知された後、戸開可能な最寄階に上かご2a又は下かご2bが着床するまでに概ね10秒を超える部分である。また、これに対し、戸開可能階9は、上かご2a又は下かご2bが停止して戸開することが可能な階である。
ここで、前述したように、下かご2bは上かご2aよりも上側にはいくことができない。このため、上かご2aが停止可能な最も上の階床は最上階10となるが、下かご2bが停止可能な最も上の階床は最上階隣接階11である。同様の事情により、下かご2bが停止可能な最も下の階床は最下階12であり、上かご2aが停止可能な最も下の階床は最下階隣接階13である。
当該エレベーターが設置された建築物には、地震感知器14が設置されている。この地震感知器14は地震の初期微動を引き起こすP波(Primary wave)と地震の主要動を引き起こすS波(Secondary wave)のそれぞれを感知することができる。またS波に関しては加速度が比較的に小さい「低」ガルと加速度が比較的に大きい「高」ガルの2種類の閾値が設定されている。まとめると、地震感知器14は、P波、S波「低」ガル及びS波「高」ガルの3種類について感知することが可能である。
地震感知器14による地震感知信号は、群管理装置6と各台制御装置(上かご各台制御装置7a及び下かご各台制御装置7b)へと入力される。地震感知器14によりP波が感知されると、上かご2a及び下かご2bは最寄りの戸開可能階9(最上階10、最上階隣接階11、最下階12及び最下階隣接階13を含む。以下同じ)に停止される。
また、地震感知器14によりS波「高」ガルが感知されると、上かご2a及び/又は下かご2bが10秒程度の走行で戸開可能階9に着床することが可能である場合には、上かご2a及び/又は下かご2bは当該戸開可能階9に停止される。一方、10秒程度の走行で戸開可能階9に着床することができない場合には、上かご2a及び/又は下かご2bは、急行ゾーン8内において非常停止される。
次に、図2を参照しながら、各台制御装置(上かご各台制御装置7a及び下かご各台制御装置7b)について説明する。なお、以下においては、各台制御装置を代表して上かご各台制御装置7a、かごを代表して上かご2aについて説明するが、下かご各台制御装置7b及び下かご2bについても全く同様である。
図示しないエレベーターの監視盤には、地震時低速運転スイッチ15が設けられている。この地震時低速運転スイッチ15は、地震感知器14によりS波「高」ガルが感知され、上かご2aが急行ゾーン8内において非常停止した場合に、かごを低速で最寄りの戸開可能階9まで走行させてかご内の乗客を救出する救出運転を行うためのスイッチである。この地震時低速運転スイッチ15は、上かご2aと下かご2bのそれぞれに対応して設けられている。
この地震時低速運転スイッチ15が入れられた際の信号は、上かご各台制御装置7aが備える各台制御装置外部入力手段16を介して上かご各台制御装置7aに入力される。なお、ここでは図示を省略しているが、地震感知器14から出力される地震感知信号も各台制御装置外部入力手段16から上かご各台制御装置7aに入力される。
上かご各台制御装置7aは、各台制御装置外部入力手段16の他、群管理通信監視手段17、停止位置判定手段18、ドアゾーン内外判定手段19、救出階判定手段20、乗客救出完了判定手段21及び走行方法選択手段22を備えている。
群管理通信監視手段17は、上かご各台制御装置7aと群管理装置6との間で必要な情報の通信を行うためのものである。この群管理通信監視手段17は、群管理装置6から送信された情報に基づいて、エレベーターの各号機、すなわち、ここでは上かご2a、の動作制御内容を決定する。
停止位置判定手段18は、上かご2aの昇降路1内における位置を判定する。この判定は、上かご2aが、昇降路1の昇降方向における中心よりも、上側にいるのかあるいは下側にいるのかについて行われる。そして、停止位置判定手段18は、こうして判定した上かご2aの停止位置に基づいて、上かご2aの救出運転方向を決定する。
この上かご2aの位置に基づく上かご2aの救出運転方向の決定について図3を参照しながら説明する。地震感知器14の作動により非常停止したエレベーターの救出運転を行う場合、地震の揺れによりかごと釣合い重りとが干渉してしまうことを未然に防止する観点から、かごと釣合い重りとが互いに離れる方向へとかごを走行させることが望ましい。
具体的には、まず、上かご2a(下かご2b)が昇降路1の中心よりも上側に停止した場合、図3の左側の図に示すように、上かご2a(下かご2b)の走行方向を上方向にすれば、上かご2a(下かご2b)と上かご釣合い重り4a(下かご釣合い重り4b)との距離を離すことができる。また、上かご2a(下かご2b)が昇降路1の中心よりも下側に停止した場合は、先ほどとは逆に、図3の右側の図に示すように、上かご2a(下かご2b)の走行方向を下方向にすれば、上かご2a(下かご2b)と上かご釣合い重り4a(下かご釣合い重り4b)との距離を離すことができる。
したがって、停止位置判定手段18は、上かご2aが昇降路1の上半分の位置で停止している場合、上かご2aの救出運転方向を上方向に決定する。また、上かご2aが昇降路1の下半分の位置で停止している場合には、上かご2aの救出運転方向を下方向に決定する。
ドアゾーン内外判定手段19は、上かご2aの停止位置が予め設定されたドアゾーン内であるのかドアゾーン外であるのかを判定する。上かご2aが戸開することができる停止位置の範囲である。ドアゾーンはそれぞれの戸開可能階9毎に設定される。
救出階判定手段20は、停止位置判定手段18による判定結果及び決定内容並びにドアゾーン内外判定手段19による判定結果に基づいて、救出運転において上かご2aを走行させる目的階となる救出階を決定する。具体的には、上かご2aの現在の停止位置が戸開可能階9のドアゾーン内であるとドアゾーン内外判定手段19により判定された場合には、上かご2aの現在停止している当該戸開可能階9を救出階に決定する。
一方、上かご2aの現在の停止位置がドアゾーン外であるとドアゾーン内外判定手段19により判定された場合には、上かご2aの現在の停止位置から、停止位置判定手段18により決定された救出運転方向において最寄りの戸開可能階9を救出階に決定する。
なお、後述するように群管理装置6から救出階の変更指令が出ている場合には、変更指令の方が優先され、群管理装置6から指令されたものに救出階を変更する。
乗客救出完了判定手段21は、上かご2a内の乗客の救出が完了したか否かを判定する。具体的には、上かご2aが救出階に停止し、この救出階において一定時間の間戸開した後に戸閉が完了した場合に、上かご2a内の乗客を当該救出階へと降ろし終わり救出が完了したものと判定する。
走行方法選択手段22は、上かご2aの走行方法を通常走行及び低速走行のうちから選択する。通常走行は、例えば、地震感知器14によって地震が感知されていない通常時において選択される。低速走行は、地震感知器14の作動によって非常停止した上かご2aを救出階まで救出運転する場合に選択される。
走行方法選択手段22は、通常走行手段22a及び低速走行手段22bを備えている。通常走行手段22aは、上かご2aの走行方法として通常走行が選択された場合に、上かご2aを通常走行させるためのものである。具体的に例えば、かご呼びや乗場呼びの登録に対して応答させるための上かご2aの走行を制御する。
低速走行手段22bは、上かご2aの走行方法として低速走行が選択された場合に、上かご2aを通常走行時よりも低速で救出階まで走行させるためのものである。低速走行手段22bは、まず、群管理通信監視手段17における群管理装置6との通信が正常に行われているか否かを確認する。群管理装置6との通信が正常に行われていない場合には、群管理装置6による管理制御下での適切な救出運転を実施することが難しいため、上かご2aの救出運転は行わない。
一方、群管理装置6との通信が正常に行われている場合には、地震時低速運転スイッチ15がオンでありかつ図示しない上かご2a内の戸閉ボタンが押下されているとき、又は、群管理装置6から起動指令があるときに救出階判定手段20により決定された救出階の方向へと上かご2aを低速で走行させる救出運転を行う。なお、群管理装置6から起動阻止指令がある場合には、救出運転を行わない。
なお、停止位置判定手段18により判定された上かご2aの停止位置及び救出運転方向、ドアゾーン内外判定手段19による判定結果、救出階判定手段20により決定された救出階、並びに、乗客救出完了判定手段による判定結果は、群管理通信監視手段17を介して群管理装置6へと送信される。
再び図1を参照しながら、群管理装置6について説明する。群管理装置6は、群管理装置外部入力手段23、救出階変更手段24、起動阻止かご判定手段25及び同時走行かご判定手段26を備えている。
群管理装置外部入力手段23は、昇降路1内の各号機である上かご2a及び下かご2bについて共通の情報を入力するためのものである。ここでは、地震感知器14から出力される地震感知信号が入力される。
救出階変更手段24は、地震感知器14からS波「高」ガル感知信号が入力された場合に、上かご各台制御装置7aにより決定された上かご2aの救出階と、下かご各台制御装置7bにより決定された下かご2bの救出階とを比較する。そして、これらの救出階が同じであった場合、上かご2a及び下かご2bのうち当該救出階により近い位置にいる方のかごの救出階を、前記当該救出階よりも一階床だけ遠い階床に変更する救出階変更指令を出力する。
救出階変更手段24は、上かご2a及び下かご2bのうちどちらが救出階により近い位置にあるのかを判断する必要がある。このため、救出階変更手段24には、上かご位置検出手段24a及び下かご位置検出手段24bが備えられている。上かご位置検出手段24aは上かご各台制御装置7aから送信された情報に基づいて昇降路1内における上かご2aの位置を検出する。下かご位置検出手段24bは下かご各台制御装置7bから送信された情報に基づいて昇降路1内における下かご2bの位置を検出する。
起動阻止かご判定手段25は、地震感知器14からS波「高」ガル感知信号が入力された場合に、上かご各台制御装置7aにより決定された上かご2aの救出階と、下かご各台制御装置7bにより決定された下かご2bの救出階とが同じであり、かつ、上かご2a及び下かご2bのいずれか一方が戸開可能階9のドアゾーン内に停止しているときは、前記一方のかごの乗客救出完了判定手段21により乗客救出が完了したと判定されるまで、他方のかごの起動(すなわち走行)を阻止する起動阻止指令を出力する。
また、起動阻止かご判定手段25は、地震感知器14からS波「高」ガル感知信号が入力された場合に、上かご各台制御装置7aにより決定された上かご2aの救出運転方向と、下かご各台制御装置7bにより決定された下かご2bの救出運転方向とが異なるものであったときは、上かご2a及び下かご2bの両方のかごの起動(走行)を阻止する起動阻止指令を出力する。
同時走行かご判定手段26は、地震感知器14からS波「高」ガル感知信号が入力された場合に、上かご各台制御装置7aにより決定された上かご2aの救出階と、下かご各台制御装置7bにより決定された下かご2bの救出階とが同じであり、かつ、上かご2a及び下かご2bの両方が戸開可能階9のドアゾーン外に停止しているときは、当該救出階から遠い方のかごが走行すれば、当該救出階に近い方のかごに対して走行指令を出力する。また、さらに、これとは逆に、当該救出階に近い方のかごが走行開始したときに、当該救出階から遠い方のかごに対して走行指令を出力するようにしてもよい。
以上のように構成された群管理装置6及び各台制御装置(上かご各台制御装置7a、下かご各台制御装置7b)を備えたエレベーターの制御装置において、地震感知器14の動作により上かご2a及び下かご2bが停止された後、具体的にどのようにして救出運転が行われることになるのかを、場合を分けて説明する。
まず、上かご2a及び下かご2bの双方が昇降路1の中心よりも上側に停止した場合について図4及び図5を参照しながら説明する。上かご2a及び下かご2bの双方が昇降路1の中心よりも上側に停止した場合、停止位置判定手段18により決定される救出運転方向は、原則として上かご2a及び下かご2bの双方とも上方向となる。
上かご2aが最上階隣接階11のドアゾーン内に停止し、かつ、下かご2bが戸開可能階9のドアゾーン内に停止した場合(パターン1)、上かご2a及び下かご2bのいずれもがドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、それぞれのかごが現在停止している階をそれぞれのかごの救出階に決定する。具体的には、上かご2aの救出階は最上階隣接階11であり、下かご2bの救出階は下かご2bが現在停止している戸開可能階9である。
この場合には、上かご2a及び下かご2bのいずれもが既に救出階に停止しているため、停止位置判定手段18は、上かご2a及び下かご2bのいずれについても救出運転方向を「なし」に決定する。よって、救出運転を行う必要はなくエレベーターは運転休止される。
上かご2aが最上階隣接階11のドアゾーン内に停止し、かつ、下かご2bが急行ゾーン8に停止した場合であって、上かご2aと下かご2bとの間に戸開可能階9が存在しない場合(パターン2)、上かご2aはドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を現在停止している最上階隣接階11に決定する。一方、下かご2bは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を下かご2bの停止位置より上方側の戸開可能階9である最上階隣接階11に決定する。
この場合、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階とがいずれも最上階隣接階11となり同一である。したがって、救出階変更手段24は、上かご2a及び下かご2bのうち当該救出階により近い位置にいる方のかごの救出階を、前記当該救出階よりも一階床だけ遠い階床に変更する。この場合には、救出階により近い位置にいるのは救出階である最上階隣接階11に停止している上かご2aである。そこで、救出階変更手段24は、上かご2aの救出階を、最上階10に変更する。この変更内容は救出階変更指令として上かご各台制御装置7aへと送られる。これを受けた上かご各台制御装置7aの救出階判定手段20は、受信した救出階変更指令に従って上かご2aの救出階を最上階10に変更する。
また、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階とがいずれも最上階隣接階11となり同一であり、かつ、上かご2aが戸開可能階9である最上階隣接階11のドアゾーン内に停止していることになるため、起動阻止かご判定手段25は、かごの乗客救出完了判定手段21により上かご2aの乗客救出が完了したと判定されるまで、下かご2bに対して起動阻止指令を出力する。
上かご2aでの乗客救出が完了すると、起動阻止かご判定手段25から出されていた下かご2bに対する起動阻止指令が解除される。そして、上かご2aは変更された救出階である最上階10へと走行を開始し、下かご2bは救出階である最上階隣接階11へと走行を開始する。
上かご2aが最上階隣接階11のドアゾーン内に停止し、かつ、下かご2bが急行ゾーン8に停止した場合であって、上かご2aと下かご2bとの間に戸開可能階9が存在する場合(パターン3)、上かご2aはドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を現在停止している最上階隣接階11に決定する。一方、下かご2bは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を下かご2bの停止位置より上方側の戸開可能階9に決定する。
この場合、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階は異なる。したがって、上かご2aはそのまま救出階である最上階隣接階11に停止を続ける。下かご2bは救出階である戸開可能階9へと向けて上方向に救出運転が行われる。
上かご2aが急行ゾーン8に停止し、かつ、下かご2bが戸開可能階9のドアゾーン内に停止した場合(パターン4)は、上かご2aは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を上かご2aの停止位置より上方側の戸開可能階9である最上階隣接階11に決定する。一方、下かご2bはドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を現在停止している戸開可能階9に決定する。
この場合も、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階は異なる。したがって、上かご2aは救出階である最上階隣接階11へと向けて上方向に救出運転が行われる。下かご2bはそのまま救出階である戸開可能階9に停止を続ける。
上かご2a及び下かご2bの双方が急行ゾーン8に停止し、かつ、上かご2aと下かご2bとの間に戸開可能階9が存在する場合(パターン5)、上かご2aは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を上かご2aの停止位置より上方側の最上階隣接階11に決定する。下かご2bも急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を下かご2bの停止位置より上方側の戸開可能階9に決定する。
この場合も、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階は異なる。したがって、上かご2aは救出階である最上階隣接階11へと向けて上方向に救出運転が行われる。下かご2bは救出階である戸開可能階9へと向けて上方向に救出運転が行われる。
上かご2a及び下かご2bの双方が急行ゾーン8に停止し、かつ、上かご2aと下かご2bとの間に戸開可能階9が存在しない場合(パターン6)、上かご2aは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を上かご2aの停止位置より上方側の最上階隣接階11に決定する。下かご2bも急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を下かご2bの停止位置より上方側の最上階隣接階11に決定する。
この場合、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階とがいずれも最上階隣接階11となり同一である。したがって、救出階変更手段24は、上かご2a及び下かご2bのうち当該救出階により近い位置にいる方のかごの救出階を、前記当該救出階よりも一階床だけ遠い階床に変更する。この場合には、救出階により近い位置にいるのは上かご2aである。そこで、救出階変更手段24は、上かご2aの救出階を、最上階隣接階11から最上階10に変更する。この変更内容は救出階変更指令として上かご各台制御装置7aへと送られる。これを受けた上かご各台制御装置7aの救出階判定手段20は、受信した救出階変更指令に従って上かご2aの救出階を最上階10に変更する。
また、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階とがいずれも最上階隣接階11となり同一であり、かつ、上かご2a及び下かご2bの両方がドアゾーン外に停止していることになるため、同時走行かご判定手段26は、当該救出階から遠い方のかごである下かご2bが走行すれば、当該救出階に近い方のかごである上かご2aに対して走行指令を出力する。最終的に上かご2aは変更された救出階である最上階10まで救出運転され、下かご2bは救出階である最上階隣接階11まで救出運転される。
次に、上かご2a及び下かご2bの双方が昇降路1の中心よりも下側に停止した場合について図6及び図7を参照しながら説明する。上かご2a及び下かご2bの双方が昇降路1の中心よりも下側に停止した場合、停止位置判定手段18により決定される救出運転方向は、原則として上かご2a及び下かご2bの双方とも下方向となる。
下かご2bが最下階12のドアゾーン内に停止し、かつ、上かご2aが戸開可能階9のドアゾーン内に停止した場合(パターン1)、上かご2a及び下かご2bのいずれもがドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、それぞれのかごが現在停止している階をそれぞれのかごの救出階に決定する。具体的には、上かご2aの救出階は現在停止している戸開可能階9であり、下かご2bの救出階は最下階12である。
この場合には、上かご2a及び下かご2bのいずれもが既に救出階に停止しているため、停止位置判定手段18は、上かご2a及び下かご2bのいずれについても救出運転方向を「なし」に決定する。よって、救出運転を行う必要はなく、エレベーターの運転は休止される。
下かご2bが最下階隣接階13のドアゾーン内に停止し、かつ、上かご2aが急行ゾーン8に停止した場合であって、下かご2bと上かご2aとの間に戸開可能階9が存在しない場合(パターン2)、下かご2bはドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を現在停止している最下階隣接階13に決定する。一方、上かご2aは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を上かご2aの停止位置より下方側の戸開可能階9である最下階隣接階13に決定する。
この場合、下かご2bの救出階と上かご2aの救出階とがいずれも最下階隣接階13となり同一である。したがって、救出階変更手段24は、下かご2b及び上かご2aのうち当該救出階により近い位置にいる方のかごの救出階を、前記当該救出階よりも一階床だけ遠い階床に変更する。この場合には、救出階により近い位置にいるのは救出階である最下階隣接階13に停止している下かご2bである。そこで、救出階変更手段24は、下かご2bの救出階を、最下階12に変更する。この変更内容は救出階変更指令として下かご各台制御装置7bへと送られる。これを受けた下かご各台制御装置7bの救出階判定手段20は、受信した救出階変更指令に従って下かご2bの救出階を最下階12に変更する。
また、下かご2bの救出階と上かご2aの救出階とがいずれも最下階隣接階13となり同一であり、かつ、下かご2bが戸開可能階9である最下階隣接階13のドアゾーン内に停止していることになるため、起動阻止かご判定手段25は、かごの乗客救出完了判定手段21により下かご2bの乗客救出が完了したと判定されるまで、上かご2aに対して起動阻止指令を出力する。
下かご2bでの乗客救出が完了すると、起動阻止かご判定手段25から出されていた上かご2aに対する起動阻止指令が解除される。そして、下かご2bは変更された救出階である最下階12へと走行を開始し、上かご2aは救出階である最下階隣接階13へと走行を開始する。
下かご2bが最下階隣接階13のドアゾーン内に停止し、かつ、上かご2aが急行ゾーン8に停止した場合であって、下かご2bと上かご2aとの間に戸開可能階9が存在する場合(パターン3)、下かご2bはドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を現在停止している最下階隣接階13に決定する。一方、上かご2aは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を上かご2aの停止位置より下方側の戸開可能階9に決定する。
この場合、下かご2bの救出階と上かご2aの救出階は異なる。したがって、下かご2bはそのまま救出階である最下階隣接階13に停止を続ける。上かご2aは救出階である戸開可能階9へと向けて下方向に救出運転が行われる。
下かご2bが急行ゾーン8に停止し、かつ、上かご2aが戸開可能階9のドアゾーン内に停止した場合(パターン4)は、下かご2bは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を下かご2bの停止位置より下方側の戸開可能階9である最下階隣接階13に決定する。一方、上かご2aはドアゾーン内に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を現在停止している戸開可能階9に決定する。
この場合も、下かご2bの救出階と上かご2aの救出階は異なる。したがって、下かご2bは救出階である最下階隣接階13へと向けて下方向に救出運転が行われる。上かご2aはそのまま救出階である戸開可能階9に停止を続ける。
下かご2b及び上かご2aの双方が急行ゾーン8に停止し、かつ、下かご2bと上かご2aとの間に戸開可能階9が存在する場合(パターン5)、下かご2bは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を下かご2bの停止位置より下方側の最下階隣接階13に決定する。上かご2aも急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を上かご2aの停止位置より下方側の戸開可能階9に決定する。
この場合も、下かご2bの救出階と上かご2aの救出階は異なる。したがって、下かご2bは救出階である最下階隣接階13へと向けて下方向に救出運転が行われる。上かご2aは救出階である戸開可能階9へと向けて下方向に救出運転が行われる。
下かご2b及び上かご2aの双方が急行ゾーン8に停止し、かつ、下かご2bと上かご2aとの間に戸開可能階9が存在しない場合(パターン6)、下かご2bは急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、下かご2bの救出階を下かご2bの停止位置より下方側の最下階隣接階13に決定する。上かご2aも急行ゾーン8のドアゾーン外に停止しているため、救出階判定手段20は、上かご2aの救出階を上かご2aの停止位置より下方側の最下階隣接階13に決定する。
この場合、下かご2bの救出階と上かご2aの救出階とがいずれも最下階隣接階13となり同一である。したがって、救出階変更手段24は、下かご2b及び上かご2aのうち当該救出階により近い位置にいる方のかごの救出階を、前記当該救出階よりも一階床だけ遠い階床に変更する。この場合には、救出階により近い位置にいるのは下かご2bである。そこで、救出階変更手段24は、下かご2bの救出階を、最下階隣接階13から最下階12に変更する。この変更内容は救出階変更指令として下かご各台制御装置7bへと送られる。これを受けた下かご各台制御装置7bの救出階判定手段20は、受信した救出階変更指令に従って下かご2bの救出階を最下階12に変更する。
また、下かご2bの救出階と上かご2aの救出階とがいずれも最下階隣接階13となり同一であり、かつ、下かご2b及び上かご2aの両方がドアゾーン外に停止していることになるため、同時走行かご判定手段26は、当該救出階から遠い方のかごである上かご2aが走行すれば、当該救出階に近い方のかごである下かご2bに対して走行指令を出力する。最終的に下かご2bは変更された救出階である最下階12まで救出運転され、上かご2aは救出階である最下階隣接階13まで救出運転される。
最後に、上かご2a及び下かご2bの一方が昇降路1の中心よりも上側に停止し、かつ、他方が昇降路1の中心よりも下側に停止した場合について図8を参照しながら説明する。この場合には、上かご各台制御装置7aにより決定される上かご2aの救出運転方向と下かご各台制御装置7bにより決定される下かご2bの救出運転方向とは、互いに異なる方向となる。
図8の左側に示す図は、昇降路1の中心よりも上側に上かご2aが停止し、この上かご2aよりもさらに上側に下かご釣合い重り4bが停止した状態を示すものである。この状態においては、上かご2aと上かご釣合い重り4aとの間の距離を離すためには、上かご2aを上方向へと走行させる必要がある。しかし、上かご2aよりも上側に下かご釣合い重り4bが停止しているため、上かご2aを上方向へと走行させると上かご2aと下かご釣合い重り4bとの間の距離が狭くなり、上かご2aと下かご釣合い重り4bとが接触等してしまう可能性が上昇する。下かご2bと上かご釣合い重り4aとの関係についても同様である。
また、図8の右側に示す場合においては、昇降路1の中心よりも下側に停止した下かご2bよりも、さらに下側に上かご釣合い重り4aが停止している。このため、下かご2bを下方向へと走行させると下かご2bと上かご釣合い重り4aとの間の距離が狭くなり、上かご2aと下かご釣合い重り4bとが接触等してしまう可能性が上昇する。
したがって、上かご2a及び下かご2bの一方が昇降路1の中心よりも上側に停止し、かつ、他方が昇降路1の中心よりも下側に停止した場合、すなわち、上かご各台制御装置7aにより決定された上かご2aの救出運転方向と下かご各台制御装置7bにより決定された下かご2bの救出運転方向とが異なる場合には、上かご2a及び下かご2bの両方に対して起動阻止指令を出力し、救出運転が行われないようにする。
以上のように構成された群管理装置6及び各台制御装置(上かご各台制御装置7a、下かご各台制御装置7b)を備えたエレベーターの制御装置の動作を、図9及び図10を参照しながら説明する。なお、図9は当該動作を示すフローの前半部分、図10は当該動作を示すフローの後半部分になっており、これらの図9及び図10を合わせることで一連のフローとなる。
まず、地震が発生すると(ステップS0)、群管理装置6は地震感知器14によりP波が感知されたた否かを確認する。地震感知器14によりP波が感知されない場合には、ステップS2へと進む。このステップS2においては、群管理装置6はエレベーターの通常運転を継続する。ステップS2の後は図9中の(B)へと至る。この(B)は、次の図10の同符号と対応している。したがって、図9中の(B)へと至ると、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS1で地震感知器14によりP波が感知された場合にはステップS3へと進む。このステップS3においては、群管理装置6は地震感知器14によりS波「低」ガルが感知されたか否かを確認する。S波「低」ガルが感知されない場合には、ステップS4へと進む。このステップS4においては、群管理装置6は上かご2a及び下かご2bの運転を休止する。ステップS4の後は図9中の(B)へと至り、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS3で地震感知器14によりS波「低」ガルが感知された場合にはステップS5へと進む。このステップS5においては、群管理装置6は地震感知器14によりS波「高」ガルが感知されたた否かを確認する。S波「高」ガルが感知されない場合には、ステップS6へと進む。このステップS6においては、群管理装置6は上かご2a及び下かご2bの運転を休止する。ステップS6の後は図9中の(B)へと至り、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS5で地震感知器14によりS波「高」ガルが感知された場合にはステップS7へと進む。このステップS5においては、群管理装置6は上かご2a及び下かご2bのうち急行ゾーン8に停止したものがあるか否かを確認する。急行ゾーン8に停止したかごがない場合にはステップS8へと進む。このステップS8においては、急行ゾーン8に停止したかごがなく、上かご2a及び下かご2bのいずれも戸開可能階9に停止しておりかご内から乗客の避難は可能であると判断して、群管理装置6は上かご2a及び下かご2bの運転を休止する。ステップS6の後は図9中の(B)へと至り、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS7で急行ゾーン8に停止したかごある場合には、ステップS9へと進む。このステップS9においては、上かご各台制御装置7a及び下かご各台制御装置7bは、群管理通信監視手段17における群管理装置6との通信が正常に行われているか否かを確認する。群管理装置6との通信が正常に行われていない場合にはステップS10へと進む。このステップS10においては、上かご2a及び下かご2bの運転は停止される。そして、図9中の(B)へと至り、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS9で群管理通信監視手段17における群管理装置6との通信が正常に行われている場合には、ステップS11へと進む。このステップS11においては、起動阻止かご判定手段25は、上かご各台制御装置7aにより決定された上かご2aの救出運転方向と、下かご各台制御装置7bにより決定された下かご2bの救出運転方向とが反対方向であるか否かを確認する。
上かご2aの救出運転方向と下かご2bの救出運転方向とが反対方向である場合には、ステップS12へと進む。このステップS12においては、起動阻止かご判定手段25は、上かご各台制御装置7a及び下かご各台制御装置7bに起動阻止指令を送信し、上かご2a及び下かご2bの運転が停止される。そして、図9中の(B)へと至り、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS11で上かご2aの救出運転方向と下かご2bの救出運転方向とが同方向である場合には、図9中の(A)へと至る。図9中の(A)へと至ると、図10中の同符号である(A)からステップS13へと進む。
このステップS13においては、救出階変更手段24は、上かご各台制御装置7aにより決定された上かご2aの救出階と、下かご各台制御装置7bにより決定された下かご2bの救出階とが同じであるか否かを確認する。上かご2aの救出階と下かご2bの救出階とが同じでない場合にはステップS14へと進む。
このステップS14においては、ドアゾーン外に停止しているかごについて救出階まで救出運転を行う。この際、上かご2a及び下かご2bの双方がドアゾーン外に停止している場合であれば、両かごのそれぞれを独立させて救出運転を行う。上かご2a及び下かご2bの一方のみがドアゾーン外に停止している場合であれば、当該一方のかご単独で救出運転を行う そして、救出運転が完了すればステップS15へと進む。このステップS15においては、上かご2a及び下かご2bの運転を停止した上で、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS13で上かご2aの救出階と下かご2bの救出階とが同じであった場合にはステップS16へと進む。このステップS16においては、上かご2a及び下かご2bの両方ともがドアゾーン外に停止しているか否かを確認する。上かご2a及び下かご2bの一方のみがドアゾーン外に停止している場合には、ステップS17へと進む。なお、ここでは、上かご2aの救出階と下かご2bの救出階とが同じであるので、上かご2a及び下かご2bの両方ともがドアゾーン内に停止している場合は考えなくともよい。
ステップS17においては、ドアゾーン内にあるかごの乗客救出完了判定手段21により乗客救出が完了したと判定されたか否かを確認する。ドアゾーン内にあるかごの乗客救出が完了するまでは、ステップS18へ進み、起動阻止かご判定手段25からドアゾーン外のかごへと起動阻止指令が出力され、ドアゾーン外のかごの起動が阻止される。
そして、ステップS17でドアゾーン内にあるかごの乗客救出が完了したと判定された場合には、ステップS19へと進む。また、ステップS16で上かご2a及び下かご2bの両方ともがドアゾーン外に停止していた場合には、ステップS17及びS18を経ることなくステップS19へと進む。
ステップS19においては、救出階変更手段24は、救出階により近い方のかごの救出階を1階床先の階へと変更する。そして、続くステップS20において、群管理装置6の同時走行かご判定手段26は、終端階により近い方のかごの地震時低速運転スイッチ15がオンであるか否かを確認する。
なお、終端階により近い方のかごとは、上かご2a及び下かご2bが昇降路1の中心より上側に停止した際は上かご2aが該当し、上かご2a及び下かご2bが昇降路1の中心より下側に停止した際は下かご2bが該当する。
ステップS20で終端階により近い方のかごの地震時低速運転スイッチ15がオンでない場合には、ステップS21へと進む。このステップS21においては、同時走行かご判定手段26は、上かご2a及び下かご2bの双方とも走行不可と判定し、上かご2a及び下かご2bの双方の起動が阻止された後、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS20で終端階により近い方のかごの地震時低速運転スイッチ15がオンである場合には、ステップS22へと進む。このステップS22においては、同時走行かご判定手段26は、さらに、終端階から遠い方のかごの地震時低速運転スイッチ15がオンであるか否かを確認する。
終端階から遠い方のかごの地震時低速運転スイッチ15がオンでない場合には、ステップS23へと進む。このステップS23においては、終端階により近い方のかごのみが起動可能である。よって、終端階により近い方のかごの救出運転が行われた後、一連の動作フローは終了となる。
一方、ステップS22で終端階から遠い方のかごの地震時低速運転スイッチ15もオンである場合には、ステップS24へと進む。このステップS24においては、上かご2a及び下かご2bの双方の起動可能である。したがって、同時走行かご判定手段26は、上かご2a及び下かご2bのどちらか一方の走行が開始されると、他方のかごに対する走行指令を出力する。こうして、上かご2a及び下かご2bの双方で救出階までの救出運転が実施された後、一連の動作フローは終了となる。
以上のように構成されたエレベーターの制御装置は、1つの昇降路内にそれぞれ独立して昇降可能に設けられた上かご及び下かごの両者のそれぞれについて、地震感知器により予め定められた基準以上の地震の発生を感知して急行ゾーンに停止した場合に、当該停止したかごの停止位置に基づいて当該かごの救出運転方向を決定する停止位置判定手段と、前記当該かごの停止位置及び救出運転方向に基づいて前記当該かごの救出階を決定する救出階判定手段と、前記両者の救出運転方向及び救出階が同一の場合に、前記両者のうち当該救出階に近いかごの救出階を、前記当該救出階より当該救出運転方向における1つ先の戸開可能階へと変更する救出階変更手段と、を備えたものである。
このため、地震感知器により地震の発生を感知してかごが急行ゾーンに停止した場合に、かご同士の衝突及びかごと釣合い重りの干渉を回避しつつ適切な救出運転を行うことができる。
また、前記両者の救出運転方向及び救出階が同一の場合であって、前記両者の一方が当該救出階への救出運転を開始したときに、前記両者の他方の救出運転を開始させる同時走行かご判定手段をさらに備えたものである。このため、上かご及び下かごの一方のかごの救出運転完了を待つことなく、かご同士の衝突を避けつつ他方のかごについても同時に救出運転を実施することができる。
また、前記両者の救出運転方向及び救出階が同一であって、かつ、前記両者の一方が既に当該救出階に停止している場合に、前記一方での乗客救出が完了するまで前記両者の他方の救出運転を阻止する起動阻止手段(起動阻止かご判定手段25)をさらに備えたものである。このため、乗客の救出のために現在救出階に停止中のかごに対して他のかごが衝突してしまうことを未然に防止することができる。