JP2023026069A - 等電点9.5以上のタンパク質の免疫測定方法及びそれに用いる検体希釈液、並びにイムノクロマトグラフィーキット - Google Patents

等電点9.5以上のタンパク質の免疫測定方法及びそれに用いる検体希釈液、並びにイムノクロマトグラフィーキット Download PDF

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Abstract

【課題】本発明によれば、等電点9.5以上のタンパク質を高感度で検出可能な免疫測定方法、イムノクロマトグラフィーキットを提供することができる。本発明によれば、等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法を提供することができる。【解決手段】等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法であって、カチオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む前記方法により、前記課題を解決することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、等電点9.5以上のタンパク質の免疫測定方法及びそれに用いる検体希釈液に関する。また、本発明は、等電点9.5以上のタンパク質を検出するためのイムノクロマトグラフィーキットに関する。本発明は、等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法にも関する。本発明は、等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法において、前記タンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法にも関する。
免疫測定方法は、抗原と抗体との反応を利用して、試料の中に含まれる物質のレベル(物質の量、濃度、又は存在若しくは不存在)を測定する方法である。免疫測定方法としては、ELISA、イムノクロマトグラフィー等が挙げられる。
免疫測定方法は、体内に極微量に存在する異物又は代謝物の検出に用いられている。したがって、免疫測定方法は、それらの異物又は代謝物を高感度で検出できる必要がある。例えば、特許文献1では、免疫測定方法を用いて、インフルエンザウイルスが検出されている。
特開第2012-233928号
本発明の課題は、等電点9.5以上のタンパク質を高感度で検出可能な免疫測定方法及びイムノクロマトグラフィーキットを提供することである。
検体濾過用のフィルター又は多孔性メンブレン等を用いて、免疫測定に影響を及ぼす生体試料由来の不溶性物質を除去する技術は多く存在する。特許文献1においても、免疫測定方法を行う前に、検体濾過用のフィルターを用いて検体を濾過している。本発明者らは、等電点9.5以上のタンパク質と、検体濾過用のフィルター又は多孔性メンブレン等のガラス製材料とを接触させると、タンパク質がガラス製材料に吸着し、測定感度が低下することを発見した(分析例1~3)。これまで、被検出物質が検体濾過用のフィルター等に吸着することにより測定感度が低下すること、そして、そのような測定感度低下を抑制する方法については議論されてこなかった。
本発明者らはさらに検討を重ね、カチオン性物質の存在下で、等電点9.5以上のタンパク質をガラス製材料に接触させることにより、等電点9.5以上のタンパク質のガラス製材料への吸着を防止できることを見出した。したがって、本発明者らは、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は以下のとおりである。
<1> 等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法であって、
カチオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む前記方法。
<2> 前記等電点9.5以上のタンパク質を含む前記試料と前記カチオン性物質とを接触させた後で、前記タンパク質を前記ガラス製材料に接触させる、<1>に記載の免疫測定方法。
<3> 前記ガラス製材料が、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである<1>又は<2>に記載の免疫測定方法。
<4> 前記接触させる工程の前に、前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程をさらに含み、
前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、<1>~<3>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<5> 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、<1>~<4>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<6> 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<1>~<4>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<7> 前記免疫測定方法が、イムノクロマトグラフィーである、<1>~<6>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<8> 前記ガラス製材料が、イムノクロマトグラフィーのサンプルパッド、サードパッド、又はコンジュゲートパッドである<7>に記載の免疫測定方法。
<9> 以下の工程をさらに含む、<1>~<8>のいずれかに記載の免疫測定方法
前記等電点9.5以上のタンパク質と、標識物質が直接的又は間接的に結合している結合パートナーとの複合体を形成する工程、及び
前記標識物質由来のシグナルを検出する工程。
<10> 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<1>~<9>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<11> 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<10>に記載の免疫測定方法。
<12> 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<11>に記載の免疫測定方法。
<13> 検体希釈液とイムノクロマトグラフィーテストストリップとを含む、等電点9.5以上のタンパク質を検出するためのイムノクロマトグラフィーキットであって、
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するガラス製材料と
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するカチオン性物質と
を含む、前記イムノクロマトグラフィーキット。
<14> 検体濾過用のフィルター、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサンプルパッド、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサードパッド、及び前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のコンジュゲートパッドからなる群から選択される少なくとも一つの部材を有し、前記部材の少なくとも一つが、前記ガラス製材料を含む、<13>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<15> 前記カチオン性物質が、前記検体希釈液に含まれる、<13>又は<14>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<16> 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、<13>~<15>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<17> 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<13>~<16>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<18> 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<13>~<17>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<19> 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<18>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<20> 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<19>に記載の免疫測定方法。
<21> <1>~<12>のいずれかに記載の免疫測定方法に使用するための、カチオン性物質を含む検体希釈液。
<22> 等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法であって、
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程と
検体希釈液で希釈した前記試料を、ガラス製材料を含む検体濾過用のフィルターで濾過する工程と
を含み、検体希釈液が、カチオン性物質を含む、前記方法。
<23> 等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法において、前記タンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法であって、
カチオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む前記方法。
本発明は、以下の実施形態も包含する。
<24> 以下の工程をさらに含む、<4>~<12>のいずれかに記載の免疫測定方法
前記カチオン性物質の存在下で、検体希釈液で希釈した試料をガラス製材料に接触させる工程、
被検出物質と第一抗体との第一複合体を形成させる工程、
前記第一複合体と、第二抗体とを接触させ、第二複合体を形成させる工程、
標識物質に由来するシグナルを測定する工程。
<25> 前記カチオン性物質の存在下で、検体希釈液で希釈した試料をガラス製材料に接触させる工程が、前記カチオン性物質の存在下で、検体希釈液で希釈した試料をガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターで濾過する工程である、<24>に記載の免疫測定方法。
<26> 前記カチオン性物質の存在下で、検体希釈液で希釈した試料をガラス製材料に接触させる工程が、検体希釈液で希釈した試料を、イムノクロマトグラフィーテストストリップの、ガラス繊維を含むサンプルパッドに接触させる工程である、<24>に記載の免疫測定方法。
<27> 金属塩及びカチオン性ポリマーが、塩化ナトリウム及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーである、<6>~<12>、<25>、及び<26>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<28> 等電点9.5以上のタンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させたときのカチオン性物質の濃度が、金属塩は、0.1~1,000mMであり、そして、カチオン性ポリマー、又はカチオン性界面活性剤は、0.0001~20質量%である、<5>~<12>及び<25>~<27>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<29> 前記試料が、呼吸器分泌液である、<1>~<12>及び<25>~<28>のいずれかに記載の免疫測定方法。
本発明は、以下の実施形態も包含する。
<30> 金属塩及びカチオン性ポリマーが、塩化ナトリウム及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーである、<17>~<20>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<31> 等電点9.5以上のタンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させたときのカチオン性物質の濃度が、検体希釈液基準で、金属塩は、0.1~1,000mMであり、そして、カチオン性ポリマー、又はカチオン性界面活性剤は、0.0001~20質量%である、<16>~<20>及び<30>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<32> 前記試料が、呼吸器分泌液である、<16>~<20>及び<30>~<31>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
本発明は、以下の実施形態も包含する。
<33> 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、<22>に記載の濾過方法。
<34> 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<22>又は<33>に記載の濾過方法。
<35> 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<22>、<34>、及び<35>のいずれかに記載の濾過方法。
<36> 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<35>に記載の濾過方法。
<37> 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<36>に記載の濾過方法。
<38> 金属塩及びカチオン性ポリマーが、塩化ナトリウム及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーである、<34>~<37>のいずれかに記載の濾過方法。
<39> カチオン性物質の濃度が、検体希釈液基準で、金属塩は、0.1~1,000mMであり、そして、カチオン性ポリマー、又はカチオン性界面活性剤は、0.0001~20質量%である、<33>~<38>のいずれかに記載の濾過方法。
<40> 前記試料が、呼吸器分泌液である、<22>及び<33>~<39>のいずれかに記載の濾過方法。
本発明は、以下の実施形態も包含する。
<41> 前記等電点9.5以上のタンパク質を含む前記試料と前記カチオン性物質とを接触させた後で、前記タンパク質を前記ガラス製材料に接触させる、<23>に記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<42> 前記ガラス製材料が、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである<23>又は<41>に記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<43> 前記接触させる工程の前に、前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程をさらに含み、
前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、<23>、<41>、及び<42>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<44> 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、<23>及び<41>~<43>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<45> 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<23>及び<41>~<44>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<46> 前記免疫測定方法が、イムノクロマトグラフィーである、<23>及び<41>~<45>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<47> 前記ガラス製材料が、イムノクロマトグラフィーのサンプルパッド、サードパッド、又はコンジュゲートパッドである<23>及び<41>~<46>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<48> 以下の工程をさらに含む、<23>及び<41>~<47>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法
前記等電点9.5以上のタンパク質と、標識物質が直接的又は間接的に結合している結合パートナーとの複合体を形成する工程、及び
前記標識物質由来のシグナルを検出する工程。
<49> 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<23>及び<41>~<48>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<50> 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<49>に記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<51> 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<50>に記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<52> 金属塩及びカチオン性ポリマーが、塩化ナトリウム及び2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーである、<45>~<51>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<53> 等電点9.5以上のタンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させたときのカチオン性物質の濃度が、金属塩は、0.1~1,000mMであり、そして、カチオン性ポリマー、又はカチオン性界面活性剤は、0.0001~20質量%である、<44>~<52>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
<54> 前記試料が、呼吸器分泌液である、<23>及び<41>~<53>のいずれかに記載のタンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法。
本発明によれば、等電点9.5以上のタンパク質を免疫測定を用いて高感度で分析することができる。本発明によれば、等電点9.5以上のタンパク質の吸着を防止するための、等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法を提供することができる。
本発明において効果が得られると考えられるメカニズムを示す図である。 実施例で用いたイムノクロマトグラフィーテストストリップの構成の模式図である。 サンプルパッド、コンジュゲートパッド、及びサードパッドを含むイムノクロマトグラフィーテストストリップの実施形態の模式図である。
以下、発明の態様(aspect)に分けて説明をしているが、それぞれの態様に記載の事項、語句の定義、及び実施形態は、他の態様においても適用可能である。
1.等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法
(等電点9.5以上のタンパク質)
本発明の免疫測定方法において被検出物質となるのは、等電点9.5以上のタンパク質である。等電点9.5以上のタンパク質としては、抗原抗体反応を用いて検出できるものであれは特に限定されず、外因性物質(ウイルス、細菌、投与された薬剤など)、前記外因性物質に起因するタンパク質(外因性物質の代謝物、細菌による分泌物など)、及び内因性物質(体内で生産される抗体、ホルモンなど)が挙げられる。等電点9.5以上のタンパク質としては、タンパク質の断片、すなわち、等電点9.5以上のペプチド断片も含まれる。
被検出物質は、等電点9.5以上、9.6以上、9.7以上、9.8以上、9.9以上、又は10.0以上のタンパク質であることができる。
以下、等電点9.5以上のタンパク質を単に、被検出物質と称することがある。
本発明の免疫測定方法における被検出物質は、好ましくはウイルスであり、より好ましくは呼吸器感染ウイルスであり、さらに好ましくはコロナウイルスであり、最も好ましくはSARS-CoV-2である。SARS-CoV-2は、coronavirus disease 2019(COVID-19)を引き起こすウイルスである。本明細書において、「等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する」とは、「等電点9.5以上のタンパク質」に、呼吸器感染ウイルスそのもののみではなく、呼吸器感染ウイルスを構成するタンパク質の一部(ペプチド断片)も含まれることを意味する。
(試料)
本発明の免疫測定方法において、被検出物質を含有する可能性のある試料としては、主に生物由来の生体試料、又は生体試料から被検出物質を抽出した抽出液等が挙げられる。液体飲料、半固形食品、及び固形食品等に代表される食品検体、土壌、河川、及び海水等の自然界からのサンプリング検体、並びに工場内の生産ライン又はクリーンルームのふき取り検体も、被検出物質を含有する可能性のある試料として使用することが可能である。
本発明の免疫測定方法において、被検出物質を含有する可能性のある試料としては、生体試料が好ましい。生体試料としては、血液、血清、血漿、尿、涙液、耳漏、前立腺液、又は呼吸器分泌液が挙げられる。呼吸器分泌液がより好ましい。本明細書において、「呼吸器分泌液」とは、呼吸器の組織内又は表面において分泌される体液を意味する。呼吸器分泌液としては、鼻孔、鼻腔、咽頭、鼻咽頭、口腔などにおいて分泌される体液が挙げられるが、鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、唾液、又は喀痰が特に好ましい。なお、本明細書において「呼吸器」とは、呼吸に関係する器官の総称であり、鼻前庭から、鼻腔、咽頭、喉頭、気管、気管支、細気管支を経た肺胞(肺)までの器官をいう。
生体試料を採取する対象は、ヒト又は動物(例えば、サル、イヌ、又はネコ)を含み、好ましくはヒトである。生体試料は、対象からの生体試料そのものであってもよく、採取した生体試料に通常行われる希釈、濃縮等の処理を行ったものであってもよい。なお、本発明に用いられる生体試料の採取や調製を行う者は、本発明の免疫測定方法を行う者と同一人物でもよく、別人物であってもよい。また、本発明の免疫測定方法に用いられる生体試料は、本発明の免疫測定方法の実施時に採取又は調製されたものでもよく、予め採取又は調製され保存されたものであってもよい。
生体試料中に被検出物質としてSARS-CoV-2又はそのぺプチド断片が含まれる場合、その濃度は、0.1~100,000TCID50/mL、1~50,000TCID50/mL、又は10~10,000TCID50/mLであることができる。
(ガラス製材料)
本明細書において「ガラス製材料」とは、等電点9.5以上のタンパク質と接する部分にガラス製材料を用いている器具を意味する。「ガラス」とは、二酸化けい素(SiO)を構成成分として用いているガラスを意味する。二酸化けい素(SiO)を構成成分として用いているガラスでは、ガラス転移点よりも低温側では、SiOの四面体を基本としたネットワーク構造を持っている(図1)。このネットワーク構造において、ケイ素原子に結合している酸素原子は、負に帯電している。この負に帯電している酸素原子に、等電点9.5以上のタンパク質が吸着して、測定感度が低下すると考えられる。
本発明では、カチオン性物質の存在下で、タンパク質をガラス製材料に接触させることにより、等電点9.5以上のタンパク質の負に帯電している酸素原子への吸着を抑制できると考えられる。なお、上記メカニズムは仮説であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
ガラス製材料としては、例えば、ガラス繊維器具、ガラス製のプレート、ガラス管、ガラスビーズ、又はその他のガラス製材料が挙げられる。
ガラス繊維器具は、ガラス繊維を含む器具である。ガラス繊維器具としては、イムノクロマトグラフィーのサンプルパッド、サードパッド、又はコンジュゲートパッドが挙げられる。サードパッドとは、サンプル供給部と不溶性メンブレン担体の間に位置し、サンプルパッド及びコンジュゲートパッドとは異なる任意のパッドを意味する。ガラス繊維器具としてはまた、ガラス繊維を含むフィルター、例えばガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターが挙げられる。
ガラス製のプレートとしては、例えば、ガラス製の96穴イムノプレートが挙げられる。
その他のガラス製材料としては、例えば、スライドグラスが挙げられる。
(カチオン性物質)
本明細書において、「カチオン性物質」とは、カチオン性の官能基を有することにより、水と接触したときに正電荷を帯びる物質をいう。カチオン性物質が、カチオン性の官能基とアニオン性の官能基の両方を有する場合には、分子全体で正電荷を帯びていればよい。
カチオン性の官能基としては、例えば、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基等のアミノ基;4級アンモニウム基、ホスホニウム基等のオニウム塩基;アルギニル基、リシル基、ヒスチジル基、グアニジル基等のアミノ酸残基;イミダゾール基等の複素環基等を挙げることができる。
カチオン性物質としては、金属塩、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、及びカチオン性ペプチドから成る群から選択される少なくとも一つを上げることができる。カチオン性物質としては、金属塩、カチオン性ポリマー、又はカチオン性界面活性剤が好ましく、カチオン性ポリマー又はカチオン性界面活性剤がより好ましく、カチオン性ポリマー及び金属塩の両方を含むことがさらに好ましく、カチオン性ポリマー及び塩化ナトリウムの両方を含むことが最も好ましい。
(金属塩)
金属塩としては、水溶液内で電離して金属イオンを生じるものを、制限なく使用することができる。上記のようなカチオン性の官能基を有しなくとも、水と接触したときに電離する金属塩は、金属イオンがカチオン性となる。金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、又はマグネシウムイオンなどを挙げることができ、ナトリウムイオン又はマグネシウムイオンなどが好ましい。金属塩としては、塩化ナトリウム又は硫化マグネシウムが最も好ましい。
(カチオン性ポリマー)
本明細書において、「カチオン性ポリマー」とは、側鎖にカチオン性の官能基を側鎖として有するポリマーを意味する。側鎖となるカチオン性の官能基は、第四級アンモニウム基であることが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、臭化ヘキサジメトリン(CAS RN28728-55-4)又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーが好ましく、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーが最も好ましい。なお、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマーは、Lipidure(登録商標)-BL502として市販されている。
重量平均分子量の下限は、例えば1,000、2,000、5,000、10,000、50,000、又は100,000である。重量平均分子量の上限は、例えば2,000,000、1,000,000、700,000、100,000、又は70,000である。具体的な範囲としては、例えば1,000~2,000,000、2,000~1,000,000、5,000~700,000、又は10,000~100,000である。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー等の方法により測定することができる。
(カチオン性界面活性剤)
本明細書において、「カチオン性界面活性剤」とは、水溶液に溶解したときに、界面活性剤において疎水基が結合している部分が、正に帯電している界面活性剤を意味する。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩型界面活性剤又は第四級アンモニウム塩型界面活性剤が挙げられる。
アルキルアミン塩型界面活性剤としては、例えばモノドデシルアミン、モノオクタデシルアミン、ジオクタデシルアミン、トリオクタデシルアミン等の炭素数8~22のアルキル基を1~3つ含むアミンと、塩酸、硫酸等の無機酸あるいは酢酸、乳酸、クエン酸等の低級カルボン酸等との塩等が挙げられる。具体的には例えば、ステアリルアミンアセテート[CAS番号:2190-04-7、製品名:アセタミン86、花王株式会社製]などが挙げられる。
第四級アンモニウム塩型界面活性剤としては、ドデシルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ジデシルジメチルアンモニウム、ベンジルメチルテトラデシルアンモニウム等の炭素数8~22のアルキル基を1~3つ含むアンモニウムと塩素、臭素等との塩等が挙げられる。具体的には例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド[CAS番号:112-00-5、製品名:コータミン(登録商標)24P、花王株式会社製]、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド[CAS番号:1119-94-4、東京化成工業株式会社製]が挙げられる。
(カチオン性ペプチド)
カチオン性ペプチドは、水に溶解又は分散させた時にカチオン性を示すぺプチドを意味する。カチオン性ペプチドは、ペプチドを構成するアミノ酸残基に塩基性アミノ酸残基(アルギニン(Arg)、リシン(Lys)、又はヒスチジン(His))を多く含むものであることができる。カチオン性ペプチドは、水に溶解又は分散させた時にカチオン性を示す限り特に限定されることはなく、例えば、前記塩基性アミノ酸残基のポリマーであるポリアルギニン、ポリリシン、又はポリヒスチジン等を使用することができる。カチオン性ペプチドとしては、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン(CAS RN68915-25-3)を使用することが好ましい。ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチンは、商品名Promois(登録商標)WK-HCAQとして成和化成株式会社から市販されている。
(接触させる工程)
本発明の免疫測定方法は、カチオン性物質の存在下で、被検出物質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む。カチオン性物質と被検出物質を含む試料とをガラス製材料に接触させる順序は特に限定されない。すなわち、カチオン性物質を被検出物質を含む試料より先に、同時に、又は後に、ガラス製材料に接触させることができる。被検出物質を含む試料とカチオン性物質とを接触させた後で、又は接触させるのと同時に、被検出物質を含む試料をガラス製材料に接触させることが好ましく、被検出物質を含む試料とカチオン性物質とを接触させた後で、被検出物質を含む試料をガラス製材料に接触させることがより好ましい。被検出物質を含む試料とカチオン性物質とを接触させた後で、被検出物質を含む試料をガラス製材料に接触させる免疫測定方法は、例えば、以下の工程(1)~(4)を含むことが好ましい。
(1)被検出物質を含む試料を、カチオン性物質を含む検体希釈液に接触させる工程
(2)前記カチオン性物質の存在下で、被検出物質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程
(3)被検出物質と、標識物質が直接的又は間接的に結合している結合パートナーとの複合体を形成させる工程
(4)標識物質由来のシグナルを検出する工程
前記工程(2)は、(2-1)検体希釈液で希釈した試料を、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターを用いて濾過する工程であることができ、又は、(2-2)検体希釈液で希釈した試料を、イムノクロマトグラフィーテストストリップの、ガラス繊維を含むサンプルパッドに接触させる工程であることもできる。また、本発明の免疫測定方法は、前記工程(2)として、工程(2-1)及び工程(2-2)の両方を含むこともできる。工程(2-1)を含む場合、工程(2-2)のイムノクロマトグラフィーテストストリップはガラス製材料を含まなくともよい。
カチオン性物質の濃度は、被検出物質の種類、試料の種類、及び免疫測定方法の種類に応じて、適宜修正することができるが、以下に濃度を例示する。なお、以下の濃度は、カチオン性物質が検体希釈液に含まれる場合とカチオン性物質が検体希釈液ではなく固相に配置されている場合とのいずれにおいても適用できる。
カチオン性物質の濃度は、金属塩であれば、検体希釈液又は固相への添加液基準で、例えば0.1~1,000mM、1~750mM、2~500mM、又は50~500mMである。また、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、又はカチオン性ペプチドであれば、検体希釈液又は固相への添加液基準で、例えば0.0001~20質量%、0.0005~10質量%、0.001~5質量%、0.01~1質量%、又は0.01~0.5質量%である。
検体希釈液又は固相への添加液が、金属塩と、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、又はカチオン性ペプチドとを含む場合でも、それぞれの成分の濃度は上記の範囲を採用できる。
(結合パートナー)
本明細書において、「結合パートナー」とは、抗原抗体反応により、被検出物質に結合する物質を意味する。
本発明において、被検出物である等電点9.5以上のタンパク質が抗体である場合、結合パートナーは抗体であってもよく、抗体以外のタンパク質であってもよい。また、本発明において、被検出物である等電点9.5以上のタンパク質が抗体以外のタンパク質である場合、結合パートナーは抗体、すなわちモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である。
(抗体)
本発明の免疫測定方法において使用される抗体は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体のいずれも公知の方法に従って作製することができるが、モノクローナル抗体が好ましい。モノクローナル抗体は、例えば、被検出物質又はそのフラグメントで免疫した非ヒト哺乳動物から抗体産生細胞である脾臓細胞あるいはリンパ節細胞を単離し、これを高い増殖能を有する骨髄腫由来の細胞株等と融合させてハイブリドーマを作製し、このハイブリドーマが産生した抗体を精製することによって得ることができる。また、ポリクローナル抗体は、被検出物質又はそのフラグメントで免疫した動物の血清から得ることができる。フラグメントは被検出物質の部分的な断片であり、フラグメントに結合する抗体は、被検出物質を認識する。
抗体としては、抗体分子全体のほかに抗原抗体反応活性を有する抗体のフラグメントを使用することも可能である。本明細書で「抗体」に言及する場合は、その断片も含んでいる。前記のように動物への免疫工程を経て得られたもののほか、遺伝子組み換え技術を使用して得られるもの、又はキメラ抗体を用いることも可能である。抗体の断片としては機能性の断片であることが好ましく、例えば、F(ab’)、Fab’、scFvなどが挙げられる。これらのフラグメントは前記のようにして得られる抗体をタンパク質分解酵素(例えば、ペプシンやパパインなど)で処理すること、あるいは該抗体のDNAをクローニングして大腸菌や酵母を用いた培養系で発現させることにより調製できる。
抗体を、例えば、後述の競合法を採用して、一種のみ用いることにより、免疫測定をすることができる。しかしながら、抗体を2種類用いて、サンドイッチ系を構築することが好ましい。この場合、2種類の抗体は、異なるエピトープを認識することが好ましい。「異なるエピトープを認識する」とは、エピトープとして認識するアミノ酸配列が重複しないことを意味する。なお、抗体を「2種類」用いるとは、抗体を「少なくとも2種類」用いていれば足り、2種類よりも多くの抗体を用いている実施形態を、本発明の範囲から除外するものではない。
サンドイッチ系を構築する場合、2種類の抗体のうち少なくとも1つは、固相抗体であり、少なくとも1つは、標識抗体であることが好ましい。本明細書において、固相抗体とは、固相上に直接的又は間接的に固相化された抗体を意味する。本明細書において、標識抗体とは、標識物質由来のシグナル測定時に、後述する当業者に周知慣用の標識物質で直接的又は間接的に標識されている抗体を意味する。
本明細書において、抗体又は抗体断片が特定の物質又はアミノ酸配列と「反応する」、「認識する」、及び「結合する」は、同義で用いられる。抗体が抗原(化合物)と「反応する」か否かの確認は、抗原固相化ELISA、競合ELISA、又はサンドイッチELISAなどにより行うことができる。その他、表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)の原理を利用した方法(SPR法)などにより行うことができる。SPR法は、Biacore(登録商標)の名称で市販されている、装置、センサー、又は試薬類を使用して行うことができる。
本発明の免疫測定方法に使用される、被検出物質と結合する抗体と直接的に結合可能な抗体を用いることにより、被検出物質に結合した抗体の量を測定することもできる。本明細書では、被検出物質と結合する抗体に結合し、且つ標識物質を結合させた抗体を二次抗体と称する。この二次抗体を用いて、標識物質を被検出物質と結合する抗体に間接的に結合させてもよい。
(固相)
固相の形状は特に限定されず、板状(例えば、マイクロプレートやメンブレン)、ビーズ若しくは粒子状(例えば、ラテックス粒子、磁性粒子)、又は筒状(例えば、試験管)など任意の形状を選択できる。例えば、固相に結合パートナーを物理的に吸着させる、又は化学的に結合(適当なスペーサーを介してよい)させることにより固相が結合した結合パートナーを製造することができる。固相としては、ポリスチレン樹脂などの高分子基材、ガラスなどの無機基材、又はセルロースやアガロースなどの多糖類基材などからなる固相を用いることができるが、ガラス製材料を用いることが好ましい。本明細書において、結合パートナーを固相に物理的又は化学的に担持させること又は担持させた状態を「固定化」又は「固相化」と表現することがある。
(標識物質)
本発明では、結合パートナー、好ましくは抗体に標識物質が間接的又は直接的に結合していることが好ましい。標識物質が発するシグナルの強さを測定して、試料中の被検出物質の量を測定することができる。
標識物質が結合した結合パートナー、好ましくは標識抗体を調製するための標識物質としては、例えば金属錯体、酵素、不溶性粒子、蛍光物質、化学発光物質、ビオチン、アビジン、放射性同位体、金コロイド粒子、又は着色ラテックスが挙げられる。標識物質と結合パートナーとの結合法としては、当業者に利用可能な物理吸着、グルタルアルデヒド法、マレイミド法、ピリジルジスルフィド法、又は過ヨウ素酸法を用いることができる。ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)又はアルカリホスファターゼ(ALP)などの酵素を標識物質として用いる場合には、その酵素の特異的基質を用いて酵素活性を測定することができる。例えば、酵素がHRPの場合には、O-フェニレンジアミン(OPD)又は3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)を用いることができ、ALPの場合にはp-ニトロフェニル・ホスフェートを用いて酵素活性を測定することができる。ビオチンを標識物質として用いる場合には、結合パートナーをビオチンで標識し、酵素、色素、又は蛍光標識(好ましくはHRP)で標識したアビジン又はストレプトアビジンを反応させることもできる。
「分析」、「検出」、又は「測定」という用語は、被検出物質の存在の証明及び被検出物質の定量を含む。
(免疫測定方法)
「免疫測定方法」とは、抗原と抗体の反応を利用して、試料の中に含まれる物質のレベルを測定する方法である。「レベル」とは、物質の量、濃度、又は存在若しくは不存在の確認等を含む。
以下、結合パートナーが抗体である場合の、免疫測定方法の実施形態について説明する。
本発明の免疫測定方法では、異なるエピトープを認識する2種類の抗体を用いることが好ましい。なお、便宜上、一方の抗体を第一抗体と称し、他方の抗体を第二抗体と称することがある。
結合パートナーとして抗体を用いた本発明の免疫測定方法の代表例として、以下の第一実施形態と第二実施形態がある。感度が高くなることから、第一実施形態の方が好ましい。
本発明の免疫測定方法の第一実施形態は、以下の工程(1)~(5)を含む。
(1)被検出物質を含む試料を、カチオン性物質が含まれる検体希釈液に接触させる工程、
(2)前記カチオン性物質の存在下で、検体希釈液で希釈した試料をガラス製材料に接触させる工程、
(3)被検出物質と第一抗体との第一複合体を形成させる工程、
(4)前記第一複合体と、第二抗体とを接触させ、第二複合体(被検出物質、標識物質、第一抗体、及び第二抗体を含む)を形成させる工程、
(5)標識物質に由来するシグナルを測定する工程。
第一実施形態の特徴は、被検出物質を含む試料を、カチオン性物質が含まれる検体希釈液に接触させる工程を含むことである。第一実施形態では、被検出物質を含む試料とカチオン性物質とが接触した後で、ガラス製材料(例えば、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルター、ガラス繊維製の多孔性メンブレン、イムノプレート等)と検体希釈液で希釈した試料とが接触する。
前記工程(2)は、
(2-1)前記カチオン性物質の存在下で、検体希釈液で希釈した試料をガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターで濾過する工程
であることが好ましい。
又は、前記工程(2)は、
(2-2)検体希釈液で希釈した試料を、イムノクロマトグラフィーテストストリップの、ガラス繊維を含むサンプルパッドに接触させる工程
であることもできる。
また、本発明の免疫測定方法は、前記工程(2)として、工程(2-1)及び工程(2-2)の両方を含むこともできる。工程(2-1)を含む場合、工程(2-2)のイムノクロマトグラフィーテストストリップはガラス製材料を含まなくともよいが、含むことが好ましい。
また、第一抗体及び第二抗体の一方が標識抗体であり、もう一方が、固相抗体である。第一抗体が、標識抗体であり、そして、第二抗体が、固相抗体であることが好ましい。
シグナルの測定は、標識物質に応じて、当業者に周知の測定方法を採用することができる。シグナルの測定は、測定機器を用いて行ってもよく、目視により行ってもよい。
本発明の免疫測定方法の第二実施形態は、以下の工程(1)~(4)を含むことができる。
(1)カチオン性物質の存在下で、被検出物質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程
(2)被検出物質と第一抗体との第一複合体を形成させる工程、
(3)前記第一複合体と、第二抗体とを接触させ、第二複合体(被検出物質、標識物質、及び第一抗体、及び第二抗体を含む)を形成させる工程、
(4)標識物質に由来するシグナルを測定する工程。
第二実施形態の特徴は、第一実施形態における(1)被検出物質を含む試料をカチオン性物質が含まれる検体希釈液に接触させる工程を含まないことである。第二実施形態では、被検出物質を含む試料とガラス製材料が接触する前に、ガラス製材料(例えば、ガラス繊維製の多孔性メンブレン、イムノプレート等)とカチオン性物質とは接触している。工程(1)が、(1-1)カチオン性物質の存在下で、被検出物質を含む試料を、イムノクロマトグラフィーテストストリップの、ガラス繊維を含むサンプルパッドに接触させる工程であることが好ましい。
また、第一抗体及び第二抗体の一方が標識抗体であり、もう一方が、固相抗体である。第一抗体が、標識抗体であり、そして、第二抗体が、固相抗体であることが好ましい。
本発明の免疫測定方法では、必要に応じて得られたシグナルの強さを第一閾値と比較する工程を含んでもよい。第一閾値は、感度及び試料等の種類を考慮して、適宜設定することができる。
本発明の免疫測定方法では、シグナルの強さが第一閾値より低い(高い)場合は、呼吸器感染ウイルスに感染していると判定する工程を含むことができ、又はシグナルの強さが第一閾値より高い(低い)場合は、呼吸器感染ウイルスに感染していないと判定する工程を含むことができる。
本発明の免疫測定方法としては、イムノクロマトグラフィー、電気化学発光免疫測定法(ECL法)、酵素免疫測定法(ELISA)、ラテックス免疫比濁法(LTIA法)、化学発光免疫測定法、及び蛍光抗体法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の免疫測定方法は、好ましくは、イムノクロマトグラフィーである。
本発明の免疫測定方法は、インビボ又はインビトロの免疫測定方法であることができる。また、感度を増強するために、増感剤を使用することもできる。
以下、イムノクロマトグラフィーを例として、測定の手順及び原理を説明する。下記は本発明の一実施形態における測定の手順及び原理を単に例示するものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。また、下記の実施形態では、結合パートナーが抗体であるものとして説明されているが、結合パートナーは抗体以外のタンパク質でもよい。
(イムノクロマトグラフィー)
イムノクロマトグラフィーとは、被検出物質に結合した標識抗体、及び標識抗体がメンブレン上を流れる性質を利用した免疫測定方法である。イムノクロマトグラフィーにおける被検出物質を測定する一般的な原理は以下のとおりである。
被検出物質に対する抗体を、クロマトグラフ媒体である不溶性メンブレン担体上に固定化して、固定相である検出部を作製する。そして、コンジュゲート(上記被検出物質と結合可能な抗体によって感作された標識物質)を移動相として用いる。被検出物質と移動相であるコンジュゲートとを特異的に反応させ、さらに固定相である検出部において、コンジュゲートと結合した被検出物質を、検出部に固定化された抗体に特異的に反応させる。
本発明の免疫測定方法として、イムノクロマトグラフィーを採用する場合の測定手順及び原理は、以下のとおりである。
(1)サンプルパッド上のサンプル供給部と被検出物質を含む試料とを接触させる。
(2)試料中の被検出物質とコンジュゲートとが接触し、第一複合体(被検出物質、標識物質、及び第一抗体を含む)が形成される。コンジュゲートは、標識物質に第一抗体が結合したものである。
(3)前記第一複合体と、検出部に固定化された第二抗体とが接触し、第二複合体(被検出物質、標識物質、第一抗体、及び第二抗体を含む)が形成される。
(4)コンジュゲートに含まれる標識物質に由来するシグナルの強度を測定することにより、前記第二複合体の形成を確認する。
この場合、サンプルパッドはガラス繊維で製造されていることが好ましい。
また、本発明の免疫測定方法は、前記測定手順(1)の前に、以下の手順を採用することが好ましい。
・被検出物質を含む試料を、カチオン性物質が含まれる検体希釈液に接触させる
・前記カチオン性物質の存在下で、検体希釈液で希釈した試料を検体濾過用のフィルターで濾過する。
標識物質としては、金コロイド粒子、白金コロイド粒子、カラーラテックス粒子、及び磁性粒子などを挙げることができる。金コロイド粒子が好ましい。
2.イムノクロマトグラフィーキット
(イムノクロマトグラフィーテストストリップ)
本発明のイムノクロマトグラフィーキットは、イムノクロマトグラフィーテストストリップを含む。以下、イムノクロマトグラフィーテストストリップを単にテストストリップと呼ぶことがある。
本発明のテストストリップは、等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するガラス製材料を含む。前記ガラス製材料は、検体濾過用のフィルター、サンプルパッド、サードパッド、及びコンジュゲートパッドからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
本発明のテストストリップは、等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するカチオン性物質を含む。前記カチオン性物質は、検体希釈液及び/又はテストストリップに含まれており、検体希釈液、サンプルパッド、サードパッド、及びコンジュゲートパッドからなる群から選択される少なくとも一つに含まれていることが好ましく、検体希釈液に含まれていることが最も好ましい。
本発明で使用できるテストストリップの一実施形態の構成を図3に示す。図3に示されるテストストリップでは、試料の流れ方向の上流より下流に向かって、サンプルパッド、サードパッド、コンジュゲートパッド、不溶性メンブレン担体、吸収パッドの順で配置されている。それぞれのパッドが、上下のパッドと少なくとも一部が重複するように配置される。不溶性メンブレン担体上には、テストライン(検出部)とコントロールラインとが配置されている。サンプルパッド、サードパッド、及びコンジュゲートパッドの少なくとも1つに、カチオン性物質が添加されていることが好ましい。
(テストストリップ)
テストストリップは、プラスチック製粘着シートのような固相支持体(バッキングシート)上に配置させることが好ましい。該固相支持体は、サンプル及びコンジュゲートの毛管流を妨げない物質で構成する。また、テストストリップを固相支持体上に接着剤等で固定化してもよい。
テストストリップは、サンプルパッドと不溶性メンブレン担体とを含み、測定条件及びサンプルに応じて他の構成をさらに含んでもよい。他の構成とは、例えば、コンジュゲートパッド、サードパッド、又は吸収パッドなどである。テストストリップのサンプルパッド、コンジュゲートパッド、及びサードパッドのうち少なくとも1つがガラス繊維を含むことが好ましい。しかしながら、サンプルパッドに試料を接触させる前に、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターで試料の濾過をしている場合は、テストストリップのサンプルパッド、コンジュゲートパッド、及びサードパッドのいずれもガラス繊維を含まなくともよい。
(サンプルパッド)
本発明のテストストリップでは、パッド状の多孔質材料を、サンプルパッドとして用いることができる。サンプルパッドは、その一部にサンプル供給部を有する。また、サンプル供給部の下流には、多孔質材料部分が存在している。
上記サンプル供給部は、被検出物質を含有する可能性のあるサンプルを供給する部位である。このサンプル供給部は、多孔質材料の一部に形成されており、サンプル供給部がサンプルパッドの上流側となる。サンプルパッドは、不溶性メンブレン担体と流体接続するように配置される。
(コンジュゲートパッド)
本明細書において、「コンジュゲートパッド」とは、コンジュゲートをパッド状の多孔質材料に含浸させて乾燥させたものである。コンジュゲートパッドは、サンプルがコンジュゲートパッドを通過する際、コンジュゲートと被検出物質とが複合体を形成する機能を有する。前述のサンプル供給部とコンジュゲートパッドは同一の多孔質材料上に配置することもできる。
(不溶性メンブレン担体)
本発明で用いることができる不溶性メンブレン担体は、被検出物質を捕捉して検出するための検出部を少なくとも1つ有する。検出部は、ライン状であることが好ましい。検出部には、被検出物質に対して免疫学的に反応する結合パートナー、好ましくは抗体が固定化されていることが好ましい。被検出物質に対して免疫学的に反応する抗体の不溶性メンブレン担体への固定化は、従来公知の方法で実施することができる。サンプル供給部と不溶性メンブレン担体との間にサードパッドを配置することもできる。
上記サンプルパッド、サードパッド、コンジュゲートパッド、及び不溶性メンブレン担体を構成する多孔質材料としては、紙、セルロース混合物、ニトロセルロース、ポリエステル、アクリロニトリルコポリマー、ガラス繊維、レーヨン等のような不織繊維からなるパッドが挙げられる。中でもサンプルパッド及びコンジュゲートパッドは、ガラス繊維又はポリエステルからなるパッドが好ましく、不溶性メンブレン担体はニトロセルロースからなるメンブレンが好ましい。
(吸収パッド)
本発明のテストストリップにおいては、上記不溶性メンブレン担体の下流側端部に吸収パッドを設置するのが好ましい。吸収パッドとは、不溶性メンブレン担体を移動・通過したサンプルを吸収することにより、サンプルの展開を制御する液体吸収性を有する部位である。吸収パッドとしては、従来からテストストリップに用いられている公知の吸収パッドが用いられ、例えば、ろ紙を用いることができる。
(検体希釈液)
本発明のイムノクロマトグラフィーキットは、検体希釈液を含む。検体希釈液が、販売時にカチオン性物質を含んでいることが好ましいが、イムノクロマトグラフィーキットが、検体希釈液とは別途カチオン性物質を含んでいてもよい。この場合、イムノクロマトグラフィーを行う者が、カチオン性物質と検体希釈液とを混合することができる。なお、「カチオン性物質が、前記検体希釈液に含まれる」とは、販売時に、カチオン性物質が、前記検体希釈液に溶解されている実施形態、及び、販売時には、カチオン性物質が、前記検体希釈液に溶解されていないが、測定時にイムノクロマトグラフィーを行う者が、カチオン性物質を検体希釈液に溶解させる実施形態を含むものとする。
カチオン性物質の濃度は、金属塩であれば、検体希釈液基準で、例えば0.1~1,000mM、1~750mM、2~500mM、又は50~500mMである。
カチオン性物質の濃度は、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、又はカチオン性ペプチドであれば、検体希釈液基準で、例えば0.0001~20質量%、0.0005~10質量%、0.001~5質量%、0.01~1質量%、又は0.01~0.5質量%である。
検体希釈液が、金属塩と、カチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、又はカチオン性ペプチドとを含む場合でも、それぞれの成分の濃度は上記の範囲を採用できる。
検体希釈液は、緩衝液を含むことが好ましい。「緩衝液」は、pHの緩衝作用を有する溶液を意味する。
本発明において用いられる緩衝液は、以下に限定されるものではないが、例えば、PBS(phosphate buffered saline)、MES(2-(N-morpholino)ethanesulfonic acid)、PIPES(piperazine-N,N′-bis(2-ethanesulfonic acid)、ACES(N-(2-Acetamido)-2-aminoethanesulfonic acid)、ADA(N-(2-Acetamido)iminodiacetic acid)、Bis―Tris(2,2-Bis(hydroxyethyl)-(iminotris)-(hydroxymethyl)-methane)、Tris(tris(hydroxymethyl)aminomethane)、MOPS(3-Morpholinopropanesulfonic acid)、HEPES(4-(2-hydroxyethyl)-1-piperazineethanesulfonic acid)、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液又はリン酸緩衝液などの公知の緩衝液を適宜用いることができる。本発明において用いられる緩衝液は、好ましくはリン酸緩衝液である。
本発明のイムノクロマトグラフィーキットは、ほかに、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルター、検体採取用の綿棒、標準抗原物質、精度管理用抗原試料といった、他の検査試薬及び/又は使用説明書などを含むこともできる。本発明のキットは、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターを含むことが好ましい。
3.等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法
本発明の濾過方法によれば、検体濾過用のフィルターに被検出物質が吸着するのを防止することができる。したがって、免疫測定や核酸検出等の幅広い用途において、測定又は検出前に、被検出物質が検体濾過用のフィルターに吸着することを防止することができる。
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、特に説明のない限り、%は質量%を意味する。
〔抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の調製〕
以下の試験に用いる抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体は、抗原としてリコンビナント抗SARS-CoV-2核タンパクを用い、マウスに免疫し、当業者がモノクローナル抗体を製造するために通常行う方法を用いて得られた。
〔SARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップ作製〕
1)金コロイド粒子標識抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体(コンジュゲート)の作製
1) 金コロイド標識抗体液の調製
1OD/mLの金コロイド溶液20mLに、25μg/mLの抗SARS-CoV-2抗体を含むりん酸バッファー1mLを添加し、室温で10分間攪拌した。続いて金コロイド溶液に10%BSA溶液2mLを添加し、室温で5分間攪拌した。得られた溶液を、10℃、10,000rpmで45分間遠心し上清を除去した。残渣を、Conjugate Dilution Buffer(Scripps社)で懸濁し、金コロイド標識抗体液を得た。
2) コンジュゲートパッドの作製
1)で調製した金コロイド標識抗体液を、1.33%カゼイン、4%スクロース溶液(pH7.5)で4OD/mLに希釈しコンジュゲート液を調製した。コンジュゲート液をガラス繊維パッド又はポリエステル繊維パッドにライン状に塗布し、コンジュゲート液を乾燥させてコンジュゲートパッドを得た。
3) 抗体固相化メンブレンの作製
0.75mg/mLの抗SARS-CoV-2抗体及び2.5%スクロースを含むPBSを調製し、テストライン塗布液とした。1.0mg/mLヤギ抗マウスIgGモノクローナル抗体及び2.5%スクロースを含むPBSを調製し、コントロールライン塗布液とした。イムノクロマト法用ディスペンサー「XYZ3050」(BIO DOT社)を用い、ニトロセルロースメンブレン上に、テストライン塗布液及びコントロールライン塗布液をそれぞれ1.0μL/cmで塗布し、乾燥させることで、抗体固相化メンブレンを得た。
4) テストデバイスの作製
プラスチック製粘着シートに抗体固相化メンブレン、コンジュゲートパッド、吸収パッドを貼付し、5mm幅に裁断することで、SARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップを得た。
≪分析例1≫ 抗原液のフィルター濾過による感度への影響評価
以下の抗原を、ラピッドテスタ FLU・NEXT(積水メディカル社)に付属の検体希釈液にそれぞれ添加し、試料を調製した。
A型インフルエンザウイルス抗原:Kitakyusyu 159/93株由来
B型インフルエンザウイルス抗原:Lee 40株由来
RSウイルス抗原:RSV Antigen, Long strain inactivated antigen (Meridian社)
アデノウイルス抗原:Adenovirus Antigen(Fitzgerald社)
SARS-CoV-2抗原:SARS-CoV-2 Nucleocapsid Recombinant Protein(Icosagen社)
試料の一部を、ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体濾過用のフィルターで濾過し、濾過済み試料を得た。試料及び濾過済み試料を、表1に示す条件で測定し、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を算出した。
Figure 2023026069000001
検体濾過用のフィルターにより試料を濾過した際の濾過回収率を、下記式により算出した。
回収率(%)=濾過済み試料測定時吸光度/試料測定時(濾過なし)吸光度×100
各抗原の濾過回収率を表2に示す。A型インフルエンザウイルス抗原、B型インフルエンザウイルス抗原、RSウイルス抗原、アデノウイルス抗原は、いずれも濾過回収率が100±15%以内と、試料を検体濾過用のフィルターで濾過した際の測定値への影響を認めなかった。一方SARS-CoV-2抗原では濾過回収率が47%と、他の抗原と比較して顕著に低くなり、試料を検体濾過用のフィルターを用いて濾過した際に測定感度が低下することが分かった。
Figure 2023026069000002
≪分析例2 フィルター部材への抗原吸着評価≫
SARS-CoV-2抗原を、ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液に添加し、試料を調製した。ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体濾過用のフィルターから、開口側フィルター保持材(ポリビニルアルコール(PVA)製)、フィルター部材(ガラス繊維製)、先端側フィルター保持材(PVA製)を取り出し、それぞれを500μLの試料に10分間浸漬し、フィルター部材浸漬試料を得た。試料及びフィルター部材浸漬試料120μLをそれぞれSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下した。抗原液滴下から15分後、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。
検体濾過用のフィルター部材を試料に浸漬した際の抗原の回収率を、下記式により算出した。
回収率(%)=フィルター部材浸漬試料測定時吸光度/試料測定時吸光度(フィルター部材の浸漬なし)×100
各部材を試料に浸漬した際の抗原の回収率を表3に示す。PVA製のフィルター保持材を試料に浸漬した場合の抗原回収率が70%程度であったのに対し、ガラス繊維製のフィルター材を試料に浸漬した場合の回収率は10%程度であった。
Figure 2023026069000003
≪分析例3 コンジュゲートパッド素材への抗原吸着評価≫
分析例2のフィルター部材を、表4に示すコンジュゲートパッド素材に変更し、試料120μL当たり140mm2のコンジュゲートパッド素材を浸漬した以外は、分析例2と同様の操作を行った。結果を表4に示す。ポリエステル繊維パッドでは、パッド素材を試料に浸漬したことによる回収率低下を認めなかったのに対し、ガラス繊維パッドでは回収率が低下した。
Figure 2023026069000004
分析例2、3の結果より、抗原とガラス繊維とが接触することにより、その後のイムノクロマトグラフィーに供される抗原量が減少し、回収率が低下したと考えられた。
ここで、分析例1に用いた各抗原に含まれ、各測定試薬が検出するタンパク質の等電点を表5に示す。各タンパク質の等電点は、UniProtKBをExpaxy Compute pI/Mw(https://www.expasy.org/resources/compute-pi-mw)に入力することにより算出した。表5よりSARS-CoV-2のNucleocapsid proteinの等電点のみが9.5以上と高いことが分かる。ガラス繊維は中性の検体希釈液と接触すると負の電荷をもつのに対し、等電点が10.07のSARS-CoV-2のNucleocapsid proteinは正の電荷をもつ。よって、SARS-CoV-2のNucleocapsid proteinは等電点が9.5未満の他の抗原タンパク質と比較してガラス繊維に吸着し易いと考えられる。したがって、ガラス繊維と抗原液との接触による測定感度低下を抑制するためには、ガラス繊維と抗原液が接触する際に、正の電荷を有する化合物を共存させることが有効であると予想された。
Figure 2023026069000005
≪実施例1≫カチオン性物質によるSARS-CoV-2抗原測定感度への影響
ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液に、表6に記載の各カチオン性物質及びSARS-CoV-2 Nucleocapsid Recombinant Protein(Icosagen社)を450 TCID50/mLの濃度で添加したものを試料とした。試料120μLをそれぞれSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下した。抗原液添加から10分後、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。使用したイムノクロマトグラフィーテストストリップの構成は、図2と同じである。
結果を表6に示す。カチオン性物質を添加したすべての条件で、添加剤を添加しなかった条件と比較して、SARS-CoV-2抗原測定時の吸光度が上昇した。SARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップは、ガラス繊維パッドを含むため、カチオン性物質によって、SARS-CoV-2抗原のガラス繊維への吸着が抑制されたと考えられる。
Figure 2023026069000006
≪実施例2≫カチオン性物質による各抗原測定感度への影響
表7に記載のカチオン性物質を用い、実施例1と同様の操作を実施した。加えて、以降に記載の通り、A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原測定に対するカチオン性物質の影響を評価した。ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液に、表7に記載の各カチオン性物質及び、A型インフルエンザウイルス抗原(6.25×10 TCID50/mL)又はB型インフルエンザウイルス抗原(1.0×10 TCID50/mL)を添加したものを試料とした。試料120μLをそれぞれラピッドテスタ FLU・NEXTテストデバイスに滴下した。抗原液添加から10分後、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を算出した。結果を表7に示す。SARS-CoV-2抗原測定においては、カチオン性物質によって測定感度が向上した一方、インフルエンザ抗原では測定感度変動をほぼ認めないか、又は測定感度の低下を認めた。
Figure 2023026069000007
≪実施例3≫カチオン性物質による臨床検体測定感度への影響
ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液に、表8に記載のカチオン性物質を添加し、カチオン添加検体希釈液をそれぞれ調製した。SARS-CoV-2 Validation Panel(Boca Biolistics社)20例に、Universal Transport Medium(BD社)を添加して検体とした。ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の滅菌綿棒で検体を採取し、ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液及びカチオン添加検体希釈液をそれぞれ懸濁後した。ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液は、リン酸緩衝液を含んでいる。検体を懸濁した希釈液をラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体濾過用のフィルターで濾過し、試料とした。濾過済み試料120μLをSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下し、試料滴下から10分後、ラピッドテスタリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。
同じ検体から、QIAmp(登録商標) Viral RNA mini Kit(QIAGEN社)を用いてRNAを抽出した。国立感染症研究所の『病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1』に基づき、NセットNo.2のプライマーを用いてRT-PCRを実施し、イムノクロマトグラフィー1テスト当たりのSARS-CoV-2コピー数を算出した。結果を表8に示す。
SARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップによる検査で陽性となった検体すべてにおいて、カチオンを添加していない検体希釈液よりも、カチオンを添加した検体希釈液を用いた方がテストラインの吸光度が高くなった。さらに、検体希釈液を用いた測定では陰性であった検体1は、0.05% Lipidure-BL502、250mM NaClを添加した検体希釈液を用いることによって陽性判定となった。いずれの希釈液を用いた場合も陰性となった検体2~6は、いずれも低コピー数の検体であった。
Figure 2023026069000008
≪実施例4≫カチオン性物質による特異性への影響評価
ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液に、表9に記載のカチオン性物質を添加し、カチオン添加検体希釈液をそれぞれ調製した。検体希釈液及びカチオン添加検体希釈液それぞれ500μLで、同一の健常人由来の鼻拭い綿棒2本から検体を抽出し、検体濾過用のフィルターで濾過したものを試料とした。実施例3と同様にイムノクロマトグラフィーによる測定を実施した。テストラインの吸光度は試料滴下から10分及び30分後に測定した。結果を表9に示す。すべての希釈液で、測定時間10分、30分いずれにおいても全検体が陰性判定となった。カチオンを検体希釈液に添加したことによる、イムノクロマトグラフィーの特異性への悪影響を認めなかった。
Figure 2023026069000009
本発明によれば、等電点9.5以上のタンパク質を高感度で検出可能な免疫測定方法及びイムノクロマトグラフィーキットを提供することができる。本発明によれば、等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法を提供することができる。
(a)バッキングシート
(b)コンジュゲートパッド
(c)吸収パッド
(d)不溶性メンブレン担体
(e)コンジュゲートライン
(f)テストライン(検出部)
(g)コントロールライン
(h)サンプルパッド
(i)サードパッド
検体濾過用のフィルター又は多孔性メンブレン等を用いて、免疫測定に影響を及ぼす生体試料由来の不溶性物質を除去する技術は多く存在する。特許文献1においても、免疫測定方法を行う前に、検体濾過用のフィルターを用いて検体を濾過している。本発明者らは、等電点9.5以上のタンパク質と、検体濾過用のフィルター又は多孔性メンブレン等のガラス製材料とを接触させると、タンパク質がガラス製材料に吸着し、測定感度が低下することを発見した(分析例1~3)。これまで、被検出物質が検体濾過用のフィルター等に吸着することにより測定感度が低下すること、そして、そのような測定感度低下を抑制
する方法については議論されてこなかった。
本発明者らはさらに検討を重ね、カチオン性物質の存在下で、等電点9.5以上のタンパク質をガラス製材料に接触させることにより、等電点9.5以上のタンパク質のガラス製材料への吸着を防止できることを見出した。したがって、本発明者らは、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は以下のとおりである。
<1>
等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法であって、
金属塩である塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、又は硫酸マグネシウム、カチオン性ポリマーである臭化ヘキサジメトリン、又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤であるラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチンであるカチオン性ペプチドからなる群から選択される少なくとも一つのカチオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程
を含む前記方法。
<2>
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む前記試料と前記カチオン性物質とを接触させた後で、前記タンパク質を前記ガラス製材料に接触させる、<1>に記載の免疫測定方法。
<3>
前記ガラス製材料が、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである<1>又は<2>に記載の免疫測定方法。
<4>
前記接触させる工程の前に、前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程をさらに含み、
前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、<1>~<3>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<5>
前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<1>~<>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<6>
前記免疫測定方法が、イムノクロマトグラフィーである、<1>~<>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<7>
前記ガラス製材料が、イムノクロマトグラフィーのサンプルパッド、サードパッド、又はコンジュゲートパッドである<>に記載の免疫測定方法。
<8>
以下の工程をさらに含む、<1>~<>のいずれかに記載の免疫測定方法
前記等電点9.5以上のタンパク質と、標識物質が直接的又は間接的に結合している結合パートナーとの複合体を形成する工程、及び
前記標識物質由来のシグナルを検出する工程。
<9>
前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<1>~<>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<10>
前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<>に記載の免疫測定方法。
<11>
前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<10>に記載の免疫測定方法。
<12>
検体希釈液とイムノクロマトグラフィーテストストリップとを含む、等電点9.5以上のタンパク質を検出するためのイムノクロマトグラフィーキットであって、
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するガラス製材料と
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触する、金属塩である塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、又は硫酸マグネシウム、カチオン性ポリマーである臭化ヘキサジメトリン、又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤であるラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びカチオン性ペプチドであるココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチンからなる群から選択される少なくとも一つのカチオン性物質と
を含む、前記イムノクロマトグラフィーキット。
<13>
検体濾過用のフィルター、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサンプルパッド、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサードパッド、及び前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のコンジュゲートパッドからなる群から選択される少なくとも一つの部材を有し、前記部材の少なくとも一つが、前記ガラス製材料を含む、<12>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<14>
前記カチオン性物質が、前記検体希釈液に含まれる、<12>又は<13
に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<15>
前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<12>~<14>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<16>
前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<12>~<15>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<17>
前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<16>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<18>
前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<17>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<19>
<1>~<11>のいずれかに記載の免疫測定方法に使用するための、カチオン性物質を含む検体希釈液。
<20>
等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法であって、
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程と検体希釈液で希釈した前記試料を、ガラス製材料を含む検体濾過用のフィルターで濾過する工程と
を含み、検体希釈液が金属塩である塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、又は硫酸マグネシウム、カチオン性ポリマーである臭化ヘキサジメトリン、又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤であるラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びカチオン性であるペプチドココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチンからなる群から選択される少なくとも一つのカチオン性物質を含む、前記方法。
<21>
等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法において、前記タンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法であって、
金属塩である塩化ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、又は硫酸マグネシウム、カチオン性ポリマーである臭化ヘキサジメトリン、又は2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンを構成単位として有するカチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤であるラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、又はドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、及びカチオン性ペプチドであるココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチンからなる群から選択される少なくとも一つのカチオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む前記方法。
(金属塩)
金属塩としては、水溶液内で電離して金属イオンを生じるものを、制限なく使用することができる。上記のようなカチオン性の官能基を有しなくとも、水と接触したときに電離する金属塩は、金属イオンがカチオン性となる。金属イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、又はマグネシウムイオンなどを挙げることができ、ナトリウムイオン又はマグネシウムイオンなどが好ましい。金属塩としては、塩化ナトリウム又は硫マグネシウムが最も好ましい。
〔抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体の調製〕
以下の試験に用いる抗SARS-CoV-2モノクローナル抗体は、抗原としてリコンビナントSARS-CoV-2核タンパクを用い、マウスに免疫し、当業者がモノクローナル抗体を製造するために通常行う方法を用いて得られた。
2) コンジュゲートパッドの作製
1)で調製した金コロイド標識抗体液を、1.33%カゼイン、4%スクロース溶液(pH7.5)で4OD/mLに希釈しコンジュゲート液を調製した。コンジュゲート液をガラス繊維パッドにライン状に塗布し、コンジュゲート液を乾燥させてコンジュゲートパッドを得た。
≪実施例3≫カチオン性物質による臨床検体測定感度への影響
ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液に、表8に記載のカチオン性物質を添加し、カチオン添加検体希釈液をそれぞれ調製した。SARS-CoV-2 Validation Panel(Boca Biolistics社)20例に、Universal Transport Medium(BD社)を添加して検体とした。ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の滅菌綿棒で検体を採取し、ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液及びカチオン添加検体希釈液それぞれ懸濁した。ラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体希釈液は、リン酸緩衝液を含んでいる。検体を懸濁した希釈液をラピッドテスタ FLU・NEXTに付属の検体濾過用のフィルターで濾過し、試料とした。濾過済み試料120μLをSARS-CoV-2測定用イムノクロマトグラフィーテストストリップに滴下し、試料滴下から10分後、ラピッドテス
タリーダー(積水メディカル社)でテストラインの吸光度を測定した。
同じ検体から、QIAmp(登録商標) Viral RNA mini Kit(QIAGEN社)を用いてRNAを抽出した。国立感染症研究所の『病原体検出マニュアル 2019-nCoV Ver.2.9.1』に基づき、NセットNo.2のプライマーを用いてRT-PCRを実施し、イムノクロマトグラフィー1テスト当たりのSARS-CoV-2コピー数を算出した。結果を表8に示す。
検体濾過用のフィルター又は多孔性メンブレン等を用いて、免疫測定に影響を及ぼす生体試料由来の不溶性物質を除去する技術は多く存在する。特許文献1においても、免疫測定方法を行う前に、検体濾過用のフィルターを用いて検体を濾過している。本発明者らは、等電点9.5以上のタンパク質と、検体濾過用のフィルター又は多孔性メンブレン等のガラス製材料とを接触させると、タンパク質がガラス製材料に吸着し、測定感度が低下することを発見した(分析例1~3)。これまで、被検出物質が検体濾過用のフィルター等に吸着することにより測定感度が低下すること、そして、そのような測定感度低下を抑制する方法については議論されてこなかった。
本発明者らはさらに検討を重ね、カチオン性物質の存在下で、等電点9.5以上のタンパク質をガラス製材料に接触させることにより、等電点9.5以上のタンパク質のガラス製材料への吸着を防止できることを見出した。したがって、本発明者らは、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は以下のとおりである。
<1> 等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法であって
チオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む前記方法。
<2> 前記等電点9.5以上のタンパク質を含む前記試料と前記カチオン性物質とを接触させた後で、前記タンパク質を前記ガラス製材料に接触させる、<1>に記載の免疫測定方法。
<3> 前記ガラス製材料が、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである<1>又は<2>に記載の免疫測定方法。
<4> 前記接触させる工程の前に、前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程をさらに含み、
前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、<1>~<3>のいずれかに記載の免疫測定方法。
<5> 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、<1>~<4>のいずれかに記載の免疫測定方法。
> 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<1>~<4>のいずれかに記載の免疫測定方法。
> 前記免疫測定方法が、イムノクロマトグラフィーである、<1>~<>のいずれかに記載の免疫測定方法。
> 前記ガラス製材料が、イムノクロマトグラフィーのサンプルパッド、サードパッド、又はコンジュゲートパッドである<>に記載の免疫測定方法。
> 以下の工程をさらに含む、<1>~<>のいずれかに記載の免疫測定方法
前記等電点9.5以上のタンパク質と、標識物質が直接的又は間接的に結合している結合パートナーとの複合体を形成する工程、及び
前記標識物質由来のシグナルを検出する工程。
10> 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<1>~<>のいずれかに記載の免疫測定方法。
11> 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<10>に記載の免疫測定方法。
12> 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<11>に記載の免疫測定方法。
13> 検体希釈液とイムノクロマトグラフィーテストストリップとを含む、等電点9.5以上のタンパク質を検出するためのイムノクロマトグラフィーキットであって、
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するガラス製材料と
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するカチオン性物質と
を含む、前記イムノクロマトグラフィーキット。
14> 検体濾過用のフィルター、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサンプルパッド、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサードパッド、及び前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のコンジュゲートパッドからなる群から選択される少なくとも一つの部材を有し、前記部材の少なくとも一つが、前記ガラス製材料を含む、<13>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
15> 前記カチオン性物質が、前記検体希釈液に含まれる、<13>又は<14>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
<16> 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、<13>~<15>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
17> 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、<13>~<16>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
18> 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、<13>~<17>のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
19> 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、<18>に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
20> 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、<19>に記載の免疫測定方法。
21> <1>~<12>のいずれかに記載の免疫測定方法に使用するための、カチオン性物質を含む検体希釈液。
22> 等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法であって、
前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程と
検体希釈液で希釈した前記試料を、ガラス製材料を含む検体濾過用のフィルターで濾過する工程と
を含み、検体希釈液がカチオン性物質を含む、前記方法。
23> 等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法において、前記タンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法であって
チオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程
を含む前記方法。

Claims (23)

  1. 等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法であって、
    カチオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む前記方法。
  2. 前記等電点9.5以上のタンパク質を含む前記試料と前記カチオン性物質とを接触させた後で、前記タンパク質を前記ガラス製材料に接触させる、請求項1に記載の免疫測定方法。
  3. 前記ガラス製材料が、ガラス繊維を含む検体濾過用のフィルターである請求項1又は2に記載の免疫測定方法。
  4. 前記接触させる工程の前に、前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程をさらに含み、
    前記カチオン性物質が前記検体希釈液に含まれる、請求項1~3のいずれかに記載の免疫測定方法。
  5. 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項1~4のいずれかに記載の免疫測定方法。
  6. 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、請求項1~4のいずれかに記載の免疫測定方法。
  7. 前記免疫測定方法が、イムノクロマトグラフィーである、請求項1~6のいずれかに記載の免疫測定方法。
  8. 前記ガラス製材料が、イムノクロマトグラフィーのサンプルパッド、サードパッド、又はコンジュゲートパッドである請求項7に記載の免疫測定方法。
  9. 以下の工程をさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載の免疫測定方法
    前記等電点9.5以上のタンパク質と、標識物質が直接的又は間接的に結合している結合パートナーとの複合体を形成する工程、及び
    前記標識物質由来のシグナルを検出する工程。
  10. 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、請求項1~9のいずれかに記載の免疫測定方法。
  11. 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、請求項10に記載の免疫測定方法。
  12. 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、請求項11に記載の免疫測定方法。
  13. 検体希釈液とイムノクロマトグラフィーテストストリップとを含む、等電点9.5以上のタンパク質を検出するためのイムノクロマトグラフィーキットであって、
    前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するガラス製材料と
    前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料と接触するカチオン性物質と
    を含む、前記イムノクロマトグラフィーキット。
  14. 検体濾過用のフィルター、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサンプルパッド、前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のサードパッド、及び前記イムノクロマトグラフィーテストストリップ中のコンジュゲートパッドからなる群から選択される少なくとも一つの部材を有し、前記部材の少なくとも一つが、前記ガラス製材料を含む、請求項13に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  15. 前記カチオン性物質が、前記検体希釈液に含まれる、請求項13又は14に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  16. 前記カチオン性物質が、金属塩、カチオン性ポリマー、及びカチオン性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも一つである、請求項13~15のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  17. 前記カチオン性物質が、金属塩及びカチオン性ポリマーの混合物である、請求項13~16のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  18. 前記等電点9.5以上のタンパク質が、呼吸器感染ウイルスに由来する、請求項13~17のいずれかに記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  19. 前記呼吸器感染ウイルスが、コロナウイルスである、請求項18に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  20. 前記コロナウイルスが、SARS-CoV-2である、請求項19に記載のイムノクロマトグラフィーキット。
  21. 請求項1~12のいずれかに記載の免疫測定方法に使用するための、カチオン性物質を含む検体希釈液。
  22. 等電点9.5以上のタンパク質を含む試料の濾過方法であって、
    前記等電点9.5以上のタンパク質を含む試料を検体希釈液に接触させる工程と
    検体希釈液で希釈した前記試料を、ガラス製材料を含む検体濾過用のフィルターで濾過する工程と
    を含み、検体希釈液が、カチオン性物質を含む、前記方法。
  23. 等電点9.5以上のタンパク質を検出するための免疫測定方法において、前記タンパク質がガラス製材料に吸着することを抑制する方法であって、
    カチオン性物質の存在下で、前記タンパク質を含む試料をガラス製材料に接触させる工程を含む前記方法。
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