JP2023024368A - スピネル型マンガン酸リチウム及びその製造方法並びにその用途 - Google Patents

スピネル型マンガン酸リチウム及びその製造方法並びにその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】 高温下における充放電特性に優れるスピネル型マンガン酸リチウム及び高温下における充放電特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供する。
【解決手段】 化学式Li1+XMn2-X-Y(式中、0.02≦X≦0、35、0.01≦Y≦0.30であり、MはAlまたはMgである。)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムであって、プレス後の平均粒子径保持率が50%以上であり、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.005cm/g以上0.050cm/g以下であるスピネル型マンガン酸リチウム及びその製造方法、並びにその用途。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スピネル型マンガン酸リチウム及びその製造方法並びにその用途に関するものである。より詳しくは、プレス後の粒子径保持率が50%以上であるスピネル型マンガン酸リチウム及びその製造方法、並びにこれを電極に用いたリチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は他の蓄電池に比べてエネルギー密度が高いことから、携帯端末用の蓄電池として幅広く使用されている。また、最近では、定置用や車載用といった大型で大容量と高出力が必要とされる用途への適用等、更なる高性能化を目指した研究が進められている。
現在使用されているリチウムイオン二次電池の正極材料において、携帯電話等の民生用小型電池には主にコバルト系材料(LiCoO)、また定置用や車載用にはニッケル系材料(LiNi0.8Co0.15Al0.05)やニッケル-コバルト-マンガン三元系材料(LiNi0.5Co0.2Mn0.3等)がある。しかし、コバルト系材料やニッケル系材料は資源が豊富であるわけでなく高価であり、また、出力特性があまり高くはない。
一方、マンガン系材料の一つであるスピネル型マンガン酸リチウムは、原料のマンガンが資源的に豊富で安価であり、また、出力特性と安全性に優れることから、大型電池や高出力を必要とする用途に適した材料の一つである。
しかしながら、スピネル型マンガン酸リチウムは高温安定性、すなわち、高温における充放電特性、特にカーボン対極充放電特性や保存特性に問題があり、この課題の解決が望まれていた。例えば、特許文献1及び特許文献2では、いずれもリン酸塩を含有したスピネル型マンガン酸リチウムが提案されているが、高温における充放電特性において改善の余地を残している。
特許第5556983号公報 特開2017-31006号公報
本発明の目的は、高温における充放電特性、特にカーボン対極充放電特性に優れるとともに、抵抗が小さく出力特性に優れるスピネル型マンガン酸リチウムを提供するものであり、さらには、スピネル型マンガン酸リチウムを正極に用いるリチウムイオン二次電池を提供するものである。
本発明者らは、スピネル型マンガン酸リチウムについて検討を重ねた結果、下記を要旨とする本発明が、上記課題を達成しうることを見出した。すなわち、本発明は特許請求の範囲のとおりであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]化学式Li1+XMn2-X-Y(式中、0.02≦X≦0.35、0.01≦Y≦0.30であり、MはAlまたはMgである。)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムであって、プレス後の平均粒子径保持率が50%以上であり、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.005cm/g以上0.050cm/g以下であるスピネル型マンガン酸リチウム。
[2]リン酸塩を含有する上記[1]に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[3]リン/マンガンモル比が0以上0.1以下である上記[1]又は[2]に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[4]BET比表面積が0.7m/g以上1.5m/g以下である上記[1]~[3]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[5]二次粒子の平均粒子径が6μm以上15μm以下である上記[1]~[4]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[6]SOの含有量が0.8wt%以下である上記[1]~[5]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[7]Naの含有量が500wtppm以下である上記[1]~[6]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[8]ホウ素の含有量が100wtppm以上1,500wtppm以下である上記[1]~[7]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[9]Li対極のCR2032型コインセルで、50%充電状態における直流抵抗が25Ω以下である上記[1]~[8]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
[10]溶液にマンガン化合物、リチウム化合物、上記[1]に記載のMの元素を含む化合物及びホウ素化合物を加えてこれらの混合物が分散したスラリーを作製し、該混合物の平均粒子径が1μm以下であって、該スラリーを噴霧乾燥により顆粒化した後、大気中、又は、高濃度酸素雰囲気中(純粋酸素雰囲気中を含む)において750℃以上900℃以下で焼成し、解砕するものであり、ホウ素の添加量が300wtppm以上2,500wtppm以下である上記[1]~[9]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。
[11]焼成後、水洗によりホウ素を100wtppm以上1,500wtppm以下まで除去する上記[10]に記載のスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。
[12]上記[1]~[9]のいずれかひとつに記載のスピネル型マンガン酸リチウムを含む電極。
[13]上記[12]に記載の電極を正極に有するリチウムイオン二次電池。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、これをリチウムイオン二次電池用正極材料に使用する場合、従来に比べて高温における充放電特性、特にカーボン対極充放電特性に優れるとともに、抵抗が小さく出力特性に優れるリチウムイオン二次電池の提供が可能になる。
実施例3で得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムのプレス前後の細孔分布である。 比較例1で得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムのプレス前後の細孔分布である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、化学式Li1+XMn2-X-Y(式中、0.02≦X≦0、35、0.01≦Y≦0.30を満たす。MはAlまたはMgである。)で表される。Xの値が0.02未満であると高温における充放電での容量低下が起きやすくなり、0.35を超えると十分な充放電容量が得られない。また、Yの値が0.01未満であると高温における充放電での容量低下が起きやすくなり、0.30を超えると十分な充放電容量が得られない。スピネル型マンガン酸リチウムのX、Yは組成分析から求めることができる。その方法としては、例えば、誘導結合プラズマ発光分析、原子吸光分析等が例示される。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、3ton/cmの力で一軸プレスした際の二次粒子の平均粒子径保持率が50%以上である。平均粒子径保持率が50%以上であることで、リチウムイオン二次電池の正極(スピネル型マンガン酸リチウムと導電剤とバインダーの混合物)を塗布・乾燥・プレスして作製する際に、スピネル型マンガン酸リチウムの二次粒子の崩壊が抑制される。二次粒子の崩壊が抑制されると正極中のスピネル型マンガン酸リチウムと導電剤の間の導電パスが維持され、その結果、充放電サイクル特性が向上する。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、プレス後の平均粒子径保持率が50%以上である。プレス後の平均粒子径保持率が50%未満であると、リチウムイオン二次電池の正極を作製してプレスを行った際に二次粒子の崩壊及び微細化が生じ易くなるため、スピネル型マンガン酸リチウムと導電剤とバインダーの接触が失われ易くなり、その結果、電池特性が低下し易くなる。プレス後の平均粒子径保持率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。スピネル型マンガン酸リチウムのプレス後の平均粒子径保持率は粒子径分布測定により、プレス前後での二次粒子の平均粒子径より算出することができる。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.005cm/g以上0.050cm/g以下である。細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.005cm/g以上0.050cm/g以下であることで、リチウムイオン二次電池正極として用いた場合にスピネル型マンガン酸リチウム二次粒子内部に電解液が含有され、スピネル型マンガン酸リチウム粒子と電解液の接触面積が増加するため、抵抗が低減し出力特性が向上する。細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.005cm/g未満になると、スピネル型マンガン酸リチウム二次粒子内部に含有される電解液が不十分になり、スピネル型マンガン酸リチウム粒子と電解液の接触面積が減少し抵抗が大きくなり、その結果、出力特性が低下し易くなり、好ましくない。細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.050cm/gより大きくなると、プレス時の平均粒子径保持率が低下し易くなり、その結果、リチウムイオン二次電池正極として用いた場合に高温における耐久性が低下し易くなるため、好ましくない。細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積は0.008cm/g以上0.047cm/g以下であることがより好ましい。スピネル型マンガン酸リチウムの細孔容積は水銀圧入法により測定することができる。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リン酸塩を含有しないものの、リン酸塩を含有してもよい。リン酸塩を含有することで、本発明のスピネル型マンガン酸リチウムをリチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際に、高温下において優れた充放電特性を得ることが可能となる。リン酸塩の含有量は、0質量%以上13質量%以下があげられ、さらに1質量%以上5質量%以下があげられる。
リン酸塩としては、例えば、リン酸三リチウム(LiPO)、LiPO等のリチウムのリン酸塩、NaPO、NaHPO、NaHPO等のナトリウムのリン酸塩、KPO、KHPO、KHPO等のカリウムのリン酸塩等が例示される。好ましくはリン酸三リチウム(LiPO)、LiPOであり、より好ましくはリン酸三リチウム(LiPO)である。ここに、スピネル型マンガン酸リチウムがリン酸塩を含有するとは、例えば、リン酸塩がスピネル型マンガン酸リチウムの表面に微粒子として存在している、膜として存在している等があげられる。リン酸塩の性状には特に制限はなく、結晶質性のもの、結晶質性で多孔性のもの、結晶質性で緻密な状態のもの、非晶質性のもの、非晶質性で多孔性のもの、非晶質性で緻密な状態のもの等が例示されるが、これらに制限されない。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際に、リチウムイオン二次電池の電解液中に僅かに含まれるフッ化水素をリン酸塩で捕捉する反応が速やかに進行し、その結果、フッ化水素とスピネル型マンガン酸リチウムの反応に起因するマンガン溶出がより抑制され、高温における充放電での容量低下をより抑制するため、リン/マンガンモル比で0以上0.1以下が好ましく、0.0015以上0.1以下がより好ましく、0.016以上0.08以下がさらに好ましく、0.02以上0.05以下が特に好ましい。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際に、高温において優れた充放電特性を得ることが可能になるとともに、抵抗を低減し、より優れた出力特性を得ることが可能になるため、BET比表面積が0.7m/g以上1.5m/g以下であることが好ましく、0.8m/g以上1.2m/g以下であることがより好ましい。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際に、スピネル型マンガン酸リチウム粒子内のリチウム拡散距離が小さくなり、より優れた出力特性を得ることが可能になるとともに、正極合剤の充填性をより高くすることが可能となり、さらにはプレス時の平均粒子径維持率が高くなり充放電サイクル特性の向上が可能となるため、二次粒子の平均粒子径が6μm以上15μm以下であることが好ましく、9μm以上12μm以下であることがより好ましい。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際の充放電容量をより大きくするとともに、高温においてより優れた充放電特性を得ることができるため、SOの含有量が0.8wt%以下であることが好ましく、0.5wt%以下であることがより好ましい。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際の充放電容量をより大きくするとともに、結晶性を高くし、高温においてより優れた充放電特性を得ることができるため、Naの含有量が500wtppm以下であることが好ましく、400wtppm以下であることがさらに好ましい。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際の充放電容量をより大きくするとともに、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用する際に、リチウムイオン二次電池の電解液中に僅かに含まれるフッ化水素をホウ素化合物で捕捉し、その結果、フッ化水素とスピネル型マンガン酸リチウムの反応に起因するマンガン溶出が抑制され、高温における充放電での容量低下をより抑制するため、ホウ素の含有量が100wtppm以上1,500wtppm以下であることが好ましく、120wtppm以上500wtppm以下であることがより好ましい。ホウ素の含有量は、スピネル型マンガン酸リチウムに含有されるマンガンに対する含有量である。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、リチウムイオン二次電池として使用する際に出力特性をより大きくするため、Li対極のCR2032型コインセルで、50%充電状態における直流抵抗が25Ω以下であることが好ましく、20Ω以下であることがより好ましい。直流抵抗の測定条件は、正極にはスピネル型マンガン酸リチウムと導電剤であるアセチレンブラックとバインダーであるポリフッ化ビニリデンを94:3:3で混合した合剤をアルミニウム箔に塗布したものを用い、負極にはLi箔を用いたCR2032型コインセルにおいて、50%充電状態で測定した。正極中のスピネル型マンガン酸リチウムの塗布量は5mg/cmとし、測定温度は24℃とした。
次に、本発明のスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法について説明する。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、溶液にマンガン化合物、リチウム化合物、請求項1に記載のMの元素を含む化合物及びホウ素化合物を加えてこれらの混合物が分散したスラリーを作製し、該混合物の平均粒子径が1μm以下であって、該スラリーを噴霧乾燥により顆粒化した後、大気中、又は、高濃度酸素雰囲気中(純粋酸素雰囲気中を含む)で750℃以上900℃以下で焼成し、解砕するもので、ホウ素の添加量が300wtppm以上2,500wtppm以下であることによって得られる。なお、リン酸塩を含むスピネル型マンガン酸リチウムを製造する場合は、混合工程では、溶液にマンガン化合物、リチウム化合物、請求項1に記載のMの元素を含む化合物、リン酸化合物及びホウ素化合物を加えてこれらの混合物が分散したスラリーを作製する。
ホウ素の添加量は300wtppm以上2,500wtppm以下である。300wtppm未満の場合は、プレス後の平均粒子径保持率が50%未満になり易くなり、2,500wtppmを超える場合は、スピネル型マンガン酸リチウムの酸素欠損が増加し易くなり、その結果、充放電サイクル性能が低下し易くなる。ホウ素の添加量は1,000wtppm以上2,000wtppm以下が好ましい。ホウ素の添加量は、スピネル型マンガン酸リチウムに含有されるマンガンに対する添加量である。
混合物の平均粒子径が1μmを超えると、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.005cmよりも小さくなりやすくなる。
マンガン化合物、リチウム化合物、請求項1に記載のMを含む化合物、リン酸化合物、ホウ素化合物はいずれも水溶性物質であっても良い。
マンガン化合物に特に制限はなく、例えば、電解二酸化マンガン、Mn、Mn等が例示されるが、これらに制限されない。
リチウム化合物に特に制限はなく、例えば、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウム、ヨウ化リチウム、シュウ酸リチウム等が例示されるが、これらに制限されない。
リン酸化合物は特に制限はなく、例えば、リン酸三リチウム(LiPO)、LiPO等のリチウムのリン酸塩、NaPO、NaHPO、NaHPO等のナトリウムのリン酸塩、KPO、KHPO、KHPO等のカリウムのリン酸塩等、Mg(PO、MgHPO、Mg(HPO等のマグネシウムのリン酸塩、NHPO、(NHHPO等のアンモニウムのリン酸、HPO等の水素のリン酸塩が例示されるが、これらに制限されない。
請求項1に記載のM(AlまたはMg)の元素を含む化合物は特に制限はなく、例えば、Al(OH)、AlOOH、Al、Mg(OH)、MgO等が例示されるが、これらに制限されない。
ホウ素化合物は特に制限はなく、例えば、ホウ酸(HBO)、B、LiO・nB(n=1~5)等が例示されるが、これらに制限されない。
マンガン化合物、リチウム化合物、請求項1に記載のMの元素を含む化合物及びホウ素化合物を含む混合物が分散したスラリー、又はマンガン化合物、リチウム化合物、請求項1に記載のMの元素を含む化合物、リン酸化合物及びホウ素化合物を含む混合物が分散したスラリーは、該混合物の平均粒子径として1μm以下であるが、0.3μm以上0.8μm以下であることが好ましい。このような平均粒子径は、化合物を溶液に加え、粉砕混合することで得られる。粉砕混合装置としては、例えば、湿式媒体攪拌式ミル、ボールミル、振動ミル等が使用できる。マンガン化合物、リチウム化合物、請求項1に記載のMの元素を含む化合物、リン酸化合物、ホウ素化合物は、一部または全部が水に溶解した状態でも良い。
化合物を加える溶液は、例えば、純水、水等が例示される。
湿式粉砕混合により得られたスラリーは、噴霧乾燥により顆粒化される。噴霧乾燥には、スラリーを回転ディスクまたは流体ノズルで噴霧し、液滴を熱風で乾燥する通常のスプレードライヤーを使用することができる。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムを得るための焼成は、大気中、又は、高濃度酸素雰囲気中(純粋酸素雰囲気中を含む)、即ち、酸素含有量が18~100vol%の酸素雰囲気中で、750℃以上900℃以下で行う。750℃より低温では結晶性が低下するとともにプレス時の平均二次粒子径保持率が低下しやすくなり、充放電サイクル特性の劣化に繋がり、900℃を超えると細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が減少し、出力特性が低下しやすくなる。焼成は800℃以上850℃以下で行うことが好ましい。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、充放電サイクル特性向上、及び、抵抗低減のため、水洗を行い、ホウ素を除去することが好ましい。水洗により、ホウ素を100wtppm以上1,500wtppm以下になるまで除去することが好ましい。
スピネル型マンガン酸リチウムは、焼成時に二次粒子同士が固結し易いため、目的の粒子径を得るために解砕を行うことが好ましい。解砕方法は、微粉生成をより抑制するため、せん断力による解砕が好ましい。
スピネル型マンガン酸リチウムを解砕した後、正極の厚みを超える粗大粒子を除去するため、篩を通過させることが好ましい。篩の目開きは200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましい。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムをリチウムイオン二次電池の正極とすることで、従来では得ることができなかった、高温における充放電サイクル特性に優れるリチウムイオン二次電池を構成することが可能になる。
正極以外のリチウムイオン二次電池の構成としては、特に制限はないが、負極にはLiを吸蔵放出する材料、例えば、炭素系材料、酸化錫系材料、LiTi12、SiO、Liと合金を形成する材料等が例示される。Liと合金を形成する材料としては、例えば、シリコン系材料やアルミニウム系材料等が例示される。電解質には、例えば、有機溶媒にLi塩や各種添加剤を溶解した有機電解液や、Liイオン伝導性の固体電解質、これらを組み合わせたもの等が例示される。
本発明の具体的な実施例にて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
<組成分析、SO含有量、Na含有量、ホウ素含有量、リン酸塩含有量の測定>
実施例および比較例で得られたスピネル型マンガン酸リチウムの組成、SO含有量、Na含有量、ホウ素含有量、リン酸塩含有量は、スピネル型マンガン酸リチウムを塩酸-過酸化水素混合水溶液に溶解した後、誘電結合プラズマ発光分析装置(商品名:ICP-AES、パーキンエルマージャパン製)で分析した。また、Al含有量は塩酸-過酸化水素混合水溶液に溶解させたものに加圧酸分解を行い、上記装置によって分析した。
<細孔容積の測定>
実施例および比較例で得られたスピネル型マンガン酸リチウムについて、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の測定を自動水銀ポロシメータ細孔分布測定装置(商品名:AutoPoreV9600、MICROMERITICS製)で行った。水銀圧入圧力は0.48~33,000psiaとした。
<BET比表面積の測定>
試料0.5gをBET比表面積測定用のガラスセルに入れ、窒素気流下で150℃、最低20分間脱水処理を行い、粉体粒子に付着した水分の除去を行った。
処理後の試料を、BET測定装置(商品名:MICROMETRITICS DeSorbIII、島津製作所製)で、吸着ガスに窒素30%-ヘリウム70%の混合ガスを使用し、1点法でBET比表面積の測定を行った。
<スピネル型マンガン酸リチウムの二次粒子の平均粒子径の測定>
粒度分布測定装置(商品名:MT3000IIシリーズ、MicrotracBEL製)を使用してスピネル型マンガン酸リチウムの二次粒子の平均粒子径(D50)を測定した。プレス操作は、粉末1gを13mmφの金型を用いて3ton/cmで一軸プレスを行い、上記装置にて二次粒子の平均粒子径の測定を行った。プレス後の平均粒子径保持率は、プレス前の二次粒子の平均粒子径に対するプレス後の二次粒子の平均粒子径の割合((プレス後の二次粒子の平均粒子径/プレス前の二次粒子の平均粒子径)×100)から算出した。
<初期容量の測定、直流抵抗の測定>
正極は、実施例、比較例で得られたスピネル型マンガン酸リチウム1.0gとアセチレンブラック(商品名:デンカブラック、デンカ製)0.032gと10wt%ポリフッ化ビニリデン/N-メチル-2-ピロリドン溶液0.307mL(ポリフッ化ビニリデン0.032g)とN-メチル-2-ピロリドン0.751mL(重量比でスピネル型マンガン酸リチウム:アセチレンブラック:ポリフッ化ビニリデン=94:3:3)を自転公転ミキサー(商品名:AR-100、シンキー製)で混合して正極材スラリーを作製し、得られた正極材スラリーをアルミニウム箔に塗布し、150℃で30分乾燥後、直径15.958mmに打ち抜き、3ton/cmで一軸プレスし、150℃で2時間減圧乾燥して使用した。塗布量はスピネル型マンガン酸リチウム量が5mg/cmとなるようにした。
負極としてLi箔を直径16mmに打ち抜いたものを用いて、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:2)にLiPFを1mol/dm溶解した電解液と、セパレータ(商品名:セルガード、ポリポア製)を用いてCR2032型コインセルを作製した。
作製した電池を用いて、24℃において、電圧4.3Vと3.0Vの間で電流0.1mAで1サイクル充放電を行い、放電容量を初期容量とした。
次に、初期容量に対し50%の容量まで充電を行い、24℃で直流抵抗を測定した。直流抵抗は、電流2mAで10秒間充電して閉回路電圧を測定した後、電流0.2mAで100秒間放電及び1時間休止を行い、次いで電流5mAで10秒間充電して閉回路電圧を測定した後、電流0.2mAで250秒間放電及び1時間休止を行い、次いで電流10mAで10秒間充電して閉回路電圧を測定した後、電流0.2mAで500秒間放電及び1時間休止を行い、各電流値に対する閉回路電圧をプロットし、傾きを直流抵抗とした。
<カーボン対極充放電サイクル試験>
正極には、初期容量の測定で作製したものと同じものを用いた。
負極は、球状化天然黒鉛2.0gと10wt%ポリフッ化ビニリデン/N-メチル-2-ピロリドン溶液2.104mL(ポリフッ化ビニリデン0.221g)(重量比で黒鉛:ポリフッ化ビニリデン=90:10)を自転公転ミキサー(商品名:AR-100、シンキー製)で混合して負極材スラリーを作製し、得られた負極材スラリーを銅箔に塗布し、150℃で30分乾燥後、直径16.156mmに打ち抜き、3ton/cmで一軸プレスし、150℃で2時間減圧乾燥して使用した。塗布量は球状化天然黒鉛が1.8mg/cmとなるようにした。
正極、負極と、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:2)にLiPFを1mol/dm溶解した電解液0.2mLと、セパレータ(商品名:セルガード、ポリポア製)を用いてCR2032型コインセルを作製した。
作製した電池を用いて、24℃において、セル電圧4.25Vと3.0Vの間で電流0.1mAで定電流定電圧充電-定電流放電を1サイクル行った。次いで、24℃で、セル電圧が4.25Vと3.0Vの間で、電流0.2mAで定電流定電圧充電-定電流放電を1サイクル行い、放電容量をセル容量とした。次に、45℃で、セル電圧が4.25Vと3.0Vの間で、電池容量に対し1時間放電率の電流密度において定電流定電圧充電-定電流放電を50サイクル行い、50サイクル目と1サイクル目の放電容量の比からカーボン対極充放電サイクル維持率を求めた。なお、定電圧充電の終了条件は、充電電流が定電流充電時の1/10まで減衰した時点とした。
実施例1
純水に電解二酸化マンガン766gと炭酸リチウム182gと水酸化アルミニウム37gとリン酸三リチウム31gとホウ酸4g(マンガンに対するホウ素の添加量:1,500wtppm)を加えて固形分濃度20wt%のスラリーを調製し、粉砕機(商品名:ダイノーミル、シンマルエンタープライズ製)で3時間粉砕した。電解二酸化マンガン、炭酸リチウム、水酸化アルミニウム、リン酸三リチウム及びホウ酸の混合物の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(商品名:MT3000IIシリーズ、MicrotracBEL製)により測定した結果、0.6μmであった。得られたスラリーをスプレードライヤー(株式会社プリス製)により水を蒸発させ、D50が5μmである球状の顆粒乾燥粒子を得た。
顆粒乾燥粒子6gを箱型炉にて空気を8L/minの速度で流通させながら900℃で6時間焼成を行い、室温まで冷却した。昇温速度は100℃/hrとし、降温速度は900℃から600℃までは20℃/hr、600℃から室温までは100℃/hrとした。次に純水を加えて1時間撹拌をし、濾過後110℃で乾燥した後、小型粉砕機で解砕し、目開き32μmの篩を通過させてリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.09Mn1.81Al0.10であり、リン酸三リチウムの含有量は2.9質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の平均粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の測定結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。
Figure 2023024368000001
Figure 2023024368000002
Figure 2023024368000003
実施例2
乾燥顆粒粒子の平均粒子径D50が7μmであること、焼成温度を800℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.08Mn1.82Al0.10であり、リン酸三リチウムの含有量は2.7質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の平均粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の測定結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。
実施例3
顆粒乾燥粒子の平均粒子径が9μmであること以外は実施例2と同様の方法でリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.09Mn1.81Al0.10であり、リン酸三リチウムの含有量は3.0質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の平均粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の測定結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。プレス前後での粒子細孔分布を図1に示す。
実施例4
乾燥顆粒粒子の平均粒子径D50が12μmであること、焼成温度を750℃としたこと以外は、実施例1と同様の方法でリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.09Mn1.81Al0.10であり、リン酸三リチウムの含有量は3.2質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の平均粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の測定結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。
実施例5
純水に電解二酸化マンガン1577gと炭酸リチウム369gと水酸化マグネシウム53gとリン酸三リチウム63gとホウ酸5.7g(マンガンに対するホウ素の添加量:1,000wtppm)を加えて固形分濃度20wt%のスラリーを調製し、粉砕機(商品名:ダイノーミル、シンマルエンタープライズ製)で3時間粉砕した。電解二酸化マンガン、炭酸リチウム、水酸化マグネシウム、リン酸三リチウム及びホウ酸の混合物の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(商品名:MT3000IIシリーズ、MicrotracBEL製)により測定した結果、0.6μmであった。得られたスラリーをスプレードライヤー(株式会社プリス製)により水を蒸発させ、D50が9μmである球状の顆粒乾燥粒子を得た。
顆粒乾燥粒子6gを箱型炉にて空気を8L/minの速度で流通させながら800℃で6時間焼成を行い、室温まで冷却した。昇温速度は100℃/hrとし、降温速度は900℃から600℃までは20℃/hr、600℃から室温までは100℃/hrとした。次に純水を加えて1時間撹拌をし、濾過後110℃で乾燥した後、小型粉砕機で解砕し、目開き32μmの篩を通過させてリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.14Mn1.81Mg0.05であり、リン酸三リチウムの含有量は2.7質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。
実施例6
ホウ酸を1.7g(マンガンに対するホウ素の添加量:300wtppm)としたことと、焼成温度を850℃にしたこと以外は実施例5と同様の方法でリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.16Mn1.79Mg0.05であり、リン酸三リチウムの含有量は2.6質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。
実施例7
ホウ酸を2,8g(マンガンに対するホウ素の添加量:500wtppm)としたこと以外は実施例6と同様の方法でリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.19Mn1.76Mg0.05であり、リン酸三リチウムの含有量は2.5質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。
実施例8
リン酸三リチウムを添加しなかったことと、焼成温度を780℃としたこと以外は実施例3と同様の方法でスピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたスピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.02Mn1.88Al0.10であった。またXRD測定から、得られたスピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)の単相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。
比較例1
純水に電解二酸化マンガン1916gと炭酸リチウム455gと水酸化アルミニウム91gとリン酸三リチウム57gとホウ酸2g(マンガンに対するホウ素の添加量:250wtppm)を加えて固形分濃度20wt%のスラリーを調製し、粉砕機(商品名:ダイノーミル、シンマルエンタープライズ製)で3時間粉砕した。電解二酸化マンガン、炭酸リチウム水酸化アルミニウム、リン酸三リチウム及びホウ酸の混合物の平均粒子径(D50)を粒度分布測定装置(商品名:MT3000IIシリーズ、MicrotracBEL製)により測定した結果、0.6μmであった。得られたスラリーをスプレードライヤー(大河原化工機製)により水を蒸発させ、D50が5μmである球状の顆粒乾燥粒子を得た。
顆粒乾燥粒子6gを箱型炉にて空気を8L/minの速度で流通させながら810℃で6時間焼成を行い、室温まで冷却した。昇温速度は100℃/hrとし、降温速度は810℃から600℃までは20℃/hr、600℃から室温までは100℃/hrとした。次に純水を加えて1時間撹拌をし、濾過後110℃で乾燥した後、小型粉砕機で解砕し、目開き32μmの篩を通過させてリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.09Mn1.81Al0.10であり、リン酸三リチウムの含有量は2.6質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の平均粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の測定結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。リン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムのプレス前後での細孔分布を図2に示す。
比較例2
ホウ酸を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムを得た。
得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムの組成はLi1.09Mn1.81Al0.10であり、リン酸三リチウムの含有量は2.8質量%であった。またXRD測定から、得られたリン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムはJCPDSのNo.35-782(LiMn)とNo.25-1030(LiPO)の混合相であった。平均粒子径、BET比表面積、プレス後の平均粒子径保持率を表1に示し、SO量、Na量、リン/マンガンモル比、ホウ素(B)量、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積の測定結果を表2に示し、電池性能を表3に示す。リン酸塩含有スピネル型マンガン酸リチウムのプレス前後での細孔分布を図2に示す。
本発明のスピネル型マンガン酸リチウムは、特異的な細孔容積を有する細孔を有し、プレス後の平均粒子径保持率が高いため、高温における充放電特性、特にカーボン対極充放電特性に優れるとともに、出力特性に優れたリチウム二次電池の正極活物質として使用することができる。

Claims (13)

  1. 化学式Li1+XMn2-X-Y(式中、0.02≦X≦0.35、0.01≦Y≦0.30であり、MはAlまたはMgである。)で表されるスピネル型マンガン酸リチウムであって、プレス後の平均粒子径保持率が50%以上であり、細孔径0.6μm以下の細孔の細孔容積が0.005cm/g以上0.050cm/g以下であるスピネル型マンガン酸リチウム。
  2. リン酸塩を含有する請求項1に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  3. リン/マンガンモル比が0以上0.1以下である請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  4. BET比表面積が0.7m/g以上1.5m/g以下である請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  5. 二次粒子の平均粒子径が6μm以上15μm以下である請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  6. SOの含有量が0.8wt%以下である請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  7. Naの含有量が500wtppm以下である請求項又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  8. ホウ素の含有量が100wtppm以上1,500wtppm以下である請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  9. Li対極のCR2032型コインセルで、50%充電状態における直流抵抗が25Ω以下である請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウム。
  10. 溶液にマンガン化合物、リチウム化合物、請求項1に記載のMの元素を含む化合物及びホウ素化合物を加えてこれらの混合物が分散したスラリーを作製し、該混合物の平均粒子径が1μm以下であって、該スラリーを噴霧乾燥により顆粒化した後、大気中、又は、高濃度酸素雰囲気中(純粋酸素雰囲気中を含む)において750℃以上900℃以下で焼成し、解砕するものであり、ホウ素の添加量が300wtppm以上2,500wtppm以下である請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。
  11. 焼成後、水洗によりホウ素を100wtppm以上1,500wtppm以下まで除去する請求項10に記載のスピネル型マンガン酸リチウムの製造方法。
  12. 請求項1又は請求項2に記載のスピネル型マンガン酸リチウムを含む電極。
  13. 請求項12に記載の電極を正極に有するリチウムイオン二次電池。
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