JP2023024099A - 核酸増幅装置および核酸検査システム - Google Patents

核酸増幅装置および核酸検査システム Download PDF

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健司 赤間
Kenji Akama
翼 世取山
Tasuku Setoriyama
友希男 岩▲崎▼
Yukio Iwasaki
栄二 三井
Eiji Mitsui
裕史 三井
Yasushi Mitsui
利彦 宮崎
Toshihiko Miyazaki
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Abstract

【課題】温度変化に伴う検出精度の低下を軽減した核酸増幅装置を提供する。【解決手段】この核酸増幅装置100は、第1筐体10と、第1筐体10の上方から設置される反応容器110を保持するホルダ31と、第1筐体10の内部に設けられ、ホルダ31に保持された反応容器110に収容された試料の温度を調整する温度調整部40と、第1筐体10の外部に設けられ、ホルダ31を開閉可能に覆う第2筐体20と、第2筐体20の内部に設けられ、ホルダ31に保持された反応容器110から、核酸増幅に伴う光信号を検出する光検出部53と、を備える。【選択図】図1

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、核酸増幅装置および核酸検査システムに関する。
特許文献1には、増幅核酸分子の検出用に構成された装置が開示されている。特許文献1の装置は、反応チューブを収容するための反応チューブウェルを有する加熱ブロックと、加熱ブロックを挟んだ両側に設けられた第1光源バンクおよび第2光源バンクと、加熱ブロックの底部に設けられた第1検出器バンクおよび第2検出器バンクと、を備えており、これらが光学収容部に収容されている。特許文献1の装置では、光学収容部に上部カバーをした状態で、第1光源バンクおよび第2光源バンクから加熱ブロックに収容された反応チューブに向けて光を照射し、反応チューブから出射された光を第1検出器バンクおよび第2検出器バンクによって検出している。
特表2016-537994号公報
上記特許文献1に開示された装置では、加熱ブロック、第1検出器バンクおよび第2検出器バンクが光学収容部に収容されているため、第1検出器バンクおよび第2検出器バンクが加熱ブロックの温度変化の影響を受けて、第1検出器バンクおよび第2検出器バンクの検出精度が低下するおそれがある。例えば、第1検出器バンクおよび第2検出器バンクの感光素子としてフォトダイオードを用いる場合、フォトダイオードの温度に依存して、高温になるほど検出信号に含まれるノイズが増大してしまう。
この発明は、温度変化に伴う検出精度の低下を軽減した核酸増幅装置および核酸検査システムを提供することに向けたものである。
上記目的を達成するため、本発明の核酸増幅装置は、図1、図3、図11に示すように、第1筐体(10)と、第1筐体(10)の上方から設置される反応容器(110)を保持するホルダ(31)と、第1筐体(10)の内部に設けられ、ホルダ(31)に保持された反応容器(110)に収容された試料の温度を調整する温度調整部(40)と、第1筐体(10)の外部に設けられ、ホルダ(31)を開閉可能に覆う第2筐体(20)と、第2筐体(20)の内部に設けられ、ホルダ(31)に保持された反応容器(110)から、核酸増幅に伴う光信号を検出する光検出部(53)と、を備える。
本発明の核酸増幅装置は、第1筐体(10)の上方から反応容器(110)を設置できるようにホルダ(31)を設け、第1筐体(10)の内部に温度調整部(40)を設ける一方、第1筐体(10)の外部に設けられた第2筐体(20)の内部に光検出部(53)を設けたので、温度調整部(40)から光検出部(53)への熱の伝達を抑制できる。すなわち、光検出部(53)が、温度調整部(40)を収容する第1筐体(10)の外部の第2筐体(20)の内部に設けられるので、第1筐体(10)内で温度調整部(40)から発生する熱の伝達が、第1筐体(10)と第2筐体(20)との間で抑制され、その結果、光検出部(53)への熱の伝達が抑制される。そのため、光検出部(53)と温度調整部(40)とが同一の構造内に収容される場合と比較して、光検出部(53)が温度変化の影響を受けにくくできるので、温度変化に伴う検出精度の低下を軽減できる。
本発明の核酸検査システムは、図1、図3、図11、図14に示すように、複数の核酸増幅装置(100)と、複数の核酸増幅装置(100)の各々に対して、反応容器(110)を搬送するロボット(230)と、を備え、複数の核酸増幅装置(100)の各々は、第1筐体(10)と、第1筐体(10)の上方から設置される反応容器(110)を保持するホルダ(31)と、第1筐体(10)の内部に設けられ、ホルダ(31)に保持された反応容器(110)に収容された試料温度を調整する温度調整部(40)と、第1筐体(10)の外部に設けられ、ホルダ(31)を開閉可能に覆う第2筐体(20)と、第2筐体(20)の内部に設けられ、ホルダ(31)に保持された反応容器(110)から、核酸増幅に伴う光信号を検出する光検出部(53)と、を含み、複数の核酸増幅装置(100)は、互いに隣り合うように配置され、ロボット(230)は、反応容器(110)を把持するハンド部(232)を有するロボットアーム部(231)と、ロボットアーム部(231)を支持する胴体部(233)と、を含み、反応容器(110)をホルダ(31)に保持させる。
本発明の核酸検査システムでは、本発明の核酸増幅装置と同様に、第1筐体(10)の上方から反応容器(110)を設置できるようにホルダ(31)を設け、第1筐体(10)の内部に温度調整部(40)を設ける一方、第1筐体(10)の外部に設けられた第2筐体(20)の内部に光検出部(53)を設けた核酸増幅装置(100)を備えるので、温度変化に伴う検出精度の低下を軽減できる。
本発明によれば、温度変化に伴う検出精度の低下を軽減した核酸増幅装置および核酸検査システムを提供することができる。
核酸増幅装置の第2筐体を開放した状態を示した斜視図である。 核酸増幅装置の第2筐体を閉じた状態を示した斜視図である。 反応容器の構成例を示した模式的な斜視図である。 核酸増幅装置の長手方向に沿った断面を示した模式的な断面図である。 図4における容器セット部付近を拡大した拡大断面図である。 凹状部材を第1筐体の上面から分離させた分解斜視図である。 核酸増幅装置の短手方向に沿った断面を示した模式的な断面図である。 図7における容器セット部付近を拡大した拡大断面図である。 第1筐体を上方から見た模式的な平面図である。 ロボットのハンド部が反応容器の設置後に容器セット部から退避した状態を説明するための図である。 光検出部の構造を説明するための模式的な断面図である。 第2筐体の下面を下方から上方に向けて見た模式的な平面図である。 核酸増幅装置の制御に関わる構成を説明するためのブロック図である。 核酸検査システムの構成例を示した模式図である。 核酸検査システムの制御に関わる構成を説明するためのブロック図である。 核酸検査システムの動作例を示したフローチャートである。 核酸増幅装置の動作例を示したフローチャートである。 核酸検査システムにおける複数の核酸増幅装置の配置の第1変形例を示した図である。 核酸検査システムにおける複数の核酸増幅装置の配置の第2変形例を示した図である。 核酸検査システムにおける複数の核酸増幅装置の配置の第3変形例を示した図である。
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
[核酸増幅装置]
まず、図1~図13を参照して、核酸増幅装置100について説明する。
(核酸増幅装置100の概要)
図1に示すように、核酸増幅装置100は、反応容器110(図3参照)に収容された試料に含まれる核酸を増幅し、増幅産物を検出する装置である。具体的には、核酸増幅装置100は、検体と試薬とを含む試料を収容した反応容器110に対して、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)処理を行い、検体に含有される核酸の増幅および核酸の標識を行う。核酸増幅装置100は、増幅産物と結合した標識物質を光学的に測定する。
核酸増幅装置100は、後述するように、複数台の核酸増幅装置100を組み合わせた核酸検査システム300(図14参照)を構築するのに適した構造を有している。また、核酸増幅装置100は、ロボット230のロボットアーム部231(図14参照)によって、核酸増幅装置100に対する反応容器110の設置および取り出しを行うのに適した構造を有する。
核酸増幅装置100は、図4に示すように、第1筐体10と、第1筐体10の上方から設置される反応容器110(図3参照)を保持するホルダ31と、第1筐体10の内部に設けられ、ホルダ31に保持された反応容器110に収容された試料温度を調整する温度調整部40と、第1筐体10の内部に設けられ、第1筐体10内で空気流を形成する排熱部60と、第1筐体10の外部に設けられ、ホルダ31を開閉可能に覆う第2筐体20と、第2筐体20の内部に設けられ、ホルダ31に保持された反応容器110から、核酸増幅に伴う光信号を検出する光検出部53と、を備える。
各図において、X方向およびY方向は、水平面内で互いに直交する方向である。Y方向は、核酸増幅装置100の前後方向である。X方向は、核酸増幅装置100の幅方向(左右方向)である。Z方向は、上下方向である。核酸増幅装置100は、装置の幅方向(X方向)の寸法が装置の前後方向(Y方向)の寸法よりも小さく、縦長の形状(前後方向に長い形状)を有する。
核酸増幅装置100が測定対象とする試料は、被検者検体の標的核酸と、核酸を増幅するための試薬と、標的核酸を標識するためのプローブと、を含む。核酸増幅装置100による標的核酸は、ウイルスの特定の塩基配列(標的核酸)である。検査対象のウイルスは、たとえばSARS-CoV-2である。標的核酸は、検査対象がSARS-CoV-2ウイルスである場合、SARS-CoV-2ウイルスの核酸(RNA又は人工合成DNA)または核酸断片である。
被検者から採取される被検者検体は、唾液である。なお、被検者検体は、咽頭拭い液、鼻孔拭い液、鼻汁、喀痰、うがい液などの呼吸系由来の他の種類の検体であってもよい。また、被検者検体は、標的核酸を含むものであれば特に限定されない。
核酸を増幅するための試薬は、酵素試薬およびプライマー試薬を含む。酵素試薬は、主要成分として、DNAポリメラーゼ、dNTP、逆転写酵素を含む。なお、試料は、純水または緩衝液を含んでいてもよい。プローブは、標的核酸に特異的に結合する。プローブは、蛍光物質を含む蛍光プローブである。蛍光プローブが標的核酸に結合すると、標的核酸が蛍光物質により標識される。なお、試料は、標的核酸が異なる複数種類の蛍光プローブを含んでいてもよい。
(反応容器)
図3に示すように、核酸増幅装置100に設置される反応容器110は、直線状に連結された複数の容器111を有する。反応容器110は、複数の容器111を直線状に並べて、隣り合う容器111の上端面の外縁部同士を連結部112により互いに連結して、一繋がりの帯状(ストリップ状)の構造物として形成したものである。具体的には、反応容器110は、8連のPCRチューブストリップであり、8つの容器111を含む。個々の容器111は、液体試料を収容可能なPCRチューブである。個々の容器111は、円筒形状を有し、一端(上端)に開口111aを有し、閉塞された他端(下端)に向けて外径が縮小する先細り形状を有する。個々の容器111の一端には、開口111aを封止するための封止体113が1つずつ接続されている。封止体113は、封止体113と容器111との接続部114を折り曲げることで、開口111aに装着される。封止体113は透光性を有している。
(核酸増幅装置100の構造)
〈第1筐体〉
図1及び図2に示すように、第1筐体10は、前面11および背面12と、一対の側面13と、上面14および下面15とを有する箱状の形状を有する。第1筐体10は、内部に空間を有する。上面14は、長方形状を有する。上面14の後方端部に、第2筐体20が取り付けられている。第1筐体10は、下方向に凹んだ凹部16を有し、凹部16の底面には、複数のホルダ31に対向する位置に貫通孔17a(図6参照)が形成されている。下面15には、核酸増幅装置100を設置面に固定するための固定部材80が設けられる。第1筐体10は、金属材料により形成されている。第1筐体10を構成する金属材料は、アルミニウム合金である。
前面11および背面12は、平面視(図9参照)で、第1筐体10の長手方向(Y方向)に対向する。前面11および背面12は、それぞれ第1筐体10の上面14の一対の短辺を構成する面である。前面11および背面12は、それぞれ平坦面である。
一対の側面13は、第1筐体10の短手方向(X方向)に対向する。一対の側面13は、それぞれ第1筐体10の上面14の一対の長辺を構成する面である。一対の側面13の各々は、平坦面である。
〈ホルダ〉
図5に示すように、複数のホルダ31は、容器セット部30に設けられている。容器セット部30は、反応容器110を受け入れるように構成されている。容器セット部30には、直線状に連結された複数の容器111を有する反応容器110が設置される。
容器セット部30は、それぞれ保持孔31aを有する複数のホルダ31と、複数のホルダ31が接続された1つのベース板31bとを含む。容器セット部30は、複数のホルダ31の下端部がそれぞれベース板31bに接合されることにより、複数のホルダ31を一体的に備えている。複数のホルダ31およびベース板31bは、高熱伝導材料により形成されており、具体的にはアルミニウム合金により構成されている。これにより、温度調整部40からの熱が1つのベース板31bを介して各々のホルダ31に均一に伝達されるので、複数のホルダ31の温度ばらつきを低減できる。
容器セット部30は、温度調整部40上に設けられている。複数のホルダ31が、凹部16の底面16aに形成された貫通孔17aを介して底面16aの上方に突出し、複数のホルダ31が凹部16の内部空間に収容されるように配置されている。具体的には、図6に示すように、凹部16は、第1筐体10の上面14に形成された開口部14aを上方から覆う凹状部材17に形成されている。凹部16は、底面16aと、底面16aの周囲を囲む内周面16bとを有する。底面16aに、貫通孔17aが形成されている。貫通孔17aは、複数のホルダ31を通過させるように、長手方向(Y方向)に延びる長円形状を有する。凹状部材17が、容器セット部30の上方から上面14に取り付けられている。これにより、貫通孔17aを介して複数のホルダ31が凹部16内に配置される一方、ベース板31bおよび温度調整部40(図5参照)が、底面16aよりも下方に配置され底面16aにより覆われている。なお、凹状部材17は、ねじ挿通孔17cを通過したねじ部材17bが開口部14aの縁部に設けられた取付孔14bに締結されることにより、上面14に取り付けられている。
複数のホルダ31は、凹部16の長手方向(Y方向)に沿って配列され、反応容器110の複数の容器111をそれぞれ保持する。これにより、複数の容器111を複数のホルダ31によって個別に保持できるので、保持の安定性が増大する。凹部16内に複数のホルダ31が配置される構成では、第2筐体20の厚みを小さくできる。その結果、第2筐体20の重量が増大することを抑制できるので、ロボットアーム部231(図14参照)や開閉装置101による第2筐体20の開閉に要求されるトルクを低減できる。なお、上面14に凹部16を設けずに、平坦な上面14に複数のホルダ31を設けてもよい。
図5に示すように、ホルダ31は、8連の容器111(図3参照)に対応して、8個設けられている。それぞれのホルダ31は、上部が開口し下部が塞がれた筒状形状を有する。すなわち、ホルダ31は、ホルダ31の上面に開口し、容器111の下部を受け入れるように凹んだ保持孔31aを有する。保持孔31aは、容器111の下部の外形形状に対応した内面形状を有する。ホルダ31は、保持孔31aの内面が容器111の外表面と面接触するように容器111を保持する。複数のホルダ31のそれぞれの下端部が、1枚のベース板31bの上面に接続されている。
図9に示すように、平面視で、前面11および背面12は、それぞれ幅W1を有する。一対の側面13は、それぞれ長さL1を有する。幅W1は、長さL1よりも小さい。上面14は、幅W1、長さL1の長方形状を有する。このため、核酸増幅装置100は、幅寸法が奥行寸法よりも小さい外形形状を有する。
上面14に設けられた凹部16は、平面視で、幅W2、長さL2を有し、上面14よりも一回り小さい長方形状を有する。凹部16内に配置された容器セット部30は、長手方向(Y方向)に沿って延び、反応容器110(図3参照)の長辺が長手方向(Y方向)に沿うように、反応容器110を受け入れる。
容器セット部30の複数のホルダ31は、1つの反応容器110の複数の容器111(図3参照)をそれぞれ保持可能なように、1列設けられている。つまり、8個のホルダ31が、長手方向に沿って直線状に配列されている。容器セット部30は、8個のホルダ31によって、X方向に幅W0を有し、Y方向に長さL0を有する。
これにより、1台の核酸増幅装置100に1つの反応容器110(図3参照)が設置可能となるので、核酸増幅装置100の全幅を小さくすることができる。また、ロボット230(図14参照)により反応容器110の設置および取り出しを自動的に行う場合に、自動化システムを容易に構築できる。
凹部16は、短手方向(X方向)において、複数のホルダ31と凹部16の内周面16bとの間に、複数のホルダ31の幅W0よりも大きい空間16cを有する。空間16cは、X方向に距離L3を有する。凹部16の幅W2=L3+W0+L3であり、L3>W0である。これにより、ロボット230により反応容器110の設置および取り出しを行う場合に、ロボット230のハンド部232(二点鎖線参照)が凹部16の内周面16bと接触することを抑制できる。そのため、自動化システムを容易に構築できる。凹部16は、ハンド部232が容器セット部30に対して短手方向(X方向)のどちら側に配置されてもよいように、容器セット部30の両側方に、空間16cを有する。
図10に示すように、ロボット230のハンド部232(二点鎖線参照)は、反応容器110を容器セット部30に設置した後、X方向に移動して、容器セット部30の各ホルダ31とハンド部232とが干渉しない退避位置まで退避する。空間16cのX方向の距離L3は、ハンド部232の反応容器110を把持する部分の幅Whよりも大きい。このため、反応容器110の設置後にハンド部232が凹部16内から離脱する場合に、ハンド部232の傾斜角度を変化させながら上方に引き抜く複雑で精密な動作を行うことなく、X方向の水平移動とZ方向の並進移動との単純な組み合わせで反応容器110の設置およびハンド部232の退避が可能となる。このため、ロボット230による反応容器110の設置動作および取り出し動作の信頼性を、容易に向上させることができる。なお、測定済の反応容器110を容器セット部30から取り出す場合は、上記の逆の順序で、退避位置にハンド部232を配置してから、容器セット部30に向けてハンド部232がX方向に移動することにより、ハンド部232が反応容器110を取り出す動作となる。
〈温度調整部〉
図4に示すように、温度調整部40は、第1筐体10の内部で容器セット部30の下方に位置する。温度調整部40は、核酸増幅サイクルを繰り返すように反応容器110に収容された試料の温度を調整する。温度調整部40は、容器セット部30と熱的に接続されている。具体的には、温度調整部40は、ベース板31bの下面と接続された熱電素子41(図5参照)を含む。熱電素子41は、ペルチェ素子である。熱電素子41は、電力供給を受けることにより、ベース板31bとの接続面において放熱または吸熱するように動作する。
〈排熱部〉
図4に示すように、排熱部60は、第1筐体10内に設けられ、第1筐体10内で空気流を形成する。これにより、排熱部60は、温度調整部40(熱電素子41)の下面において発生した不要な熱を、核酸増幅装置100の外部への排出するように構成されている。排熱部60は、空冷式の冷却装置であり、第1筐体10の前面11に形成された吸気口11aを介して装置外部から空気を取り込み、第1筐体10の背面12に形成された排気口12aを介して装置外部へ空気を排出する。排熱部60は、吸気口11aから排気口12aへ向かう長手方向(Y方向)の空気流AFを形成するように構成されている。図4では、空気流AFを矢印で表現している。
これにより、温度調整部40で発生する熱を、前面11から背面12に向かって前後方向に排出できる。そのため、複数の核酸増幅装置100を幅方向に配列して核酸検査システム300を構築する場合に、隣り合う核酸増幅装置100の間隔を小さくしても、隣り合う核酸増幅装置100に向けて熱が排出されることを防止できる。
なお、吸気口11aは、図1および図2に示したように、第1筐体10の前面11に、外周部を除く略全体に亘って多数形成されている。吸気口11aは、前面11を構成する外装板を厚み方向に貫通するパンチ孔である。前面11には、多数の小径の吸気口11aが規則的に配列されている。
図4に示すように、排気口12aも吸気口11aと同様に、背面12を構成する外装板を厚み方向に貫通するパンチ孔である。背面12には、多数の小径の排気口12aが規則的に配列されている。
排熱部60は、ヒートシンク61と第1ファン62とを含む。ヒートシンク61は、温度調整部40の下方に配置されている。具体的には、ヒートシンク61は、熱電素子41の下面と熱的に接続されている。図5に示したように、ヒートシンク61の上面に熱電素子41が設置され、熱電素子41の上面に容器セット部30のベース板31bが設置されている。ヒートシンク61の上面上には、ヒートシンク61の上面の外周縁に沿って熱電素子41およびベース板31bの周囲を取り囲むように、環状の断熱部材64(図6参照)が設けられている。
ヒートシンク61は、長手方向に延びる筒状形状を有する。つまり、ヒートシンク61は、図7に示すように、周壁61aと、周壁61aの内面によって区画された長手方向に延びる貫通孔を有している。ヒートシンク61は、周壁61aの内面から、中央側に向けて突出する放熱フィン61bを有する。ヒートシンク61は、アルミニウム合金の高熱伝導材料により形成されている。
図4に戻り、第1ファン62は、ヒートシンク61と前面11との間に設けられた送風機である。具体的は、第1ファン62は、ヒートシンク61の前面11側の端面に取り付けられ、ヒートシンク61の端面開口を覆うように設けられている。これにより、第1ファン62は、筒状のヒートシンク61の内部に空気を送り込む。
これにより、温度調整部40で生じた熱を、筒状のヒートシンク61の内部を通過する空気流AFによって排出できる。このため、排熱を背面12側へ集中的に放出できる。また、一対の側面13とヒートシンク61の外面との間に熱が放出されにくくなるので、隣り合う核酸増幅装置100の間での熱伝達を効果的に抑制できる。
また、排熱部60は、ヒートシンク61と背面12との間に設けられた第2ファン63をさらに含んでいる。第2ファン63は、ヒートシンク61の内部を通過して背面12側へ送られた空気を、排気口12aへ向けて送風する。
これにより、第1ファン62によって吸気口11aからヒートシンク61内に空気を送り込み、第2ファン63によってヒートシンク61内から排気口12aへ空気を送り出すことができる。この結果、より効率的に排熱を装置外へ放出できる。
なお、ヒートシンク61の下方には、温度コントローラ92が設けられている。温度コントローラ92は、温度調整部40と、後述する加温機構29(図8参照)とを制御する機能を有する。
図7に示すように、容器セット部30、ヒートシンク61および第1ファン62(図4参照)は、組立体(サブアッセンブリ)として構成されている。この組立体は、X方向の両側に設けられた一対の支持板70に取り付けられている。一対の支持板70は、第1筐体10の一対の側面13に沿って、Z方向およびY方向に延びる。
X1側の支持板70とX1側の側面13との間、および、X2側の支持板70とX2側の側面13との間には、それぞれの側面13に沿って長手方向に延びる空間が形成されている。これらの空間を利用して、核酸増幅装置100の制御回路が設置されている。
たとえば、光測定部50を制御する制御部90(図13参照)が、排熱部60と、一対の側面13の少なくとも一方との間に配置されている。具体的には、一対の支持板70の各々の外側(側面13と対向する側)の面に、それぞれ制御用の基板71が組み付けられている。基板71は、一対の側面13に沿って延びる回路基板である。一対の支持板70の各々に組み付けられた複数の基板71に、光測定部50を制御する制御部90(図13参照)、記憶部91(図13参照)、通信インターフェース93(図13参照)などが個別に実装されている。
このように、温度調整部40および排熱部60が上下に並んでY方向に延びる配置になることを利用し、温度調整部40および排熱部60の構造体と側面13との間のスペースに配置した基板71に制御部90を設けることができる。このため、全幅を低減した第1筐体10内に水平方向に沿って基板を設置する場合、十分な設置面積を確保しにくいのに対して、側面13に沿って基板71を配置することによって、省スペースでありながら容易に制御部90の設置面積を確保できる。
なお、核酸増幅装置100に排熱部60を設けなくてもよい。
〈第2筐体〉
次に、図1及び図2を参照し、第2筐体20の構造を説明する。第2筐体20は、箱体24と、光測定部50と、押圧部25とを備える。第2筐体20は、第1筐体10の上面14を覆う板ではなく、光測定部50を収容する内部空間を有する。つまり、第1筐体10が下部ケース、第2筐体20が上部ケースとなっている。なお、以下の説明において、各部の位置は、第2筐体20が閉じられた状態を前提とする。
第2筐体20は、第1筐体10の外部に設けられており、容器セット部30を開閉可能に覆う。第2筐体20は、第1筐体10の上面14上に設けられている。第2筐体20は、容器セット部30を覆う位置から移動されることにより容器セット部30を開放し、容器セット部30を核酸増幅装置100の外部に露出させる。第2筐体20は、容器セット部30を開放する位置から移動されることにより容器セット部30を覆い、容器セット部30に設置された反応容器110を核酸増幅装置100の内部に収容させる。
図4に示すように、箱体24は、略直方体の形状を有し、内部に収容空間を有する。光測定部50は、箱体24の内部の収容空間に収容される。また、第2筐体20は、ホルダ31を覆う状態でホルダ31と光検出部53との間に配置された放熱部材22を含む。放熱部材22は、高い熱伝導率を有する金属材料により形成されている。放熱部材22を構成する金属材料は、具体的には、アルミニウム合金である。これにより、温度調整部40によって加温されたホルダ31の熱が第2筐体20に伝達されるとき、伝達された熱が放熱部材22によって分散されるため、熱が光検出部53に伝達されることを抑制できる。
図4の例では、箱体24の第1筐体10側の表面が、放熱部材22により構成されている。つまり、放熱部材22は、箱体24の下面を構成する下面板である。光検出部53を含む光測定部50が、第2筐体20の下面を構成する放熱部材22の上に設置されている。放熱部材22は、箱体24の下面板であるため、第2筐体20の第1筐体10側の表面(下面)の全体を構成している。このため、第1筐体10側から第2筐体20に伝達される熱を、すべて放熱部材22に入力できる。そして、第2筐体20に占める放熱部材22の面積が大きいので、第1筐体10側から伝達される熱を効果的に分散させることができる。
また、本実施形態では、放熱部材22のみならず、箱体24の全体が、放熱部材22と同じ高熱伝導率の金属材料によって形成されている。これにより、箱体24の全体が放熱部材として機能する。入熱を箱体24の全体に分散させることができるので、光検出部53を含む光測定部50の温度上昇を効果的に抑制できる。
押圧部25は、箱体24の下面の外部側に取り付けられ、第1筐体10の容器セット部30に設置された反応容器110を下方に向けて押圧する。つまり、押圧部25は、箱体24の外部で放熱部材22の下面側に設けられている。押圧部25は、第1筐体10の凹部16と対向する位置に設けられている。第2筐体20の平面形状は、後述する取手部21を除いて、第1筐体10の上面14の形状と略一致する。つまり、第2筐体20は、第1筐体10の上面14の全体を覆うように構成されている。
第2筐体20は、背面12側の端部20aにおいて第1筐体10に接続され、背面12側の端部20aを中心に上下方向に回動可能に設けられている。これにより、第2筐体20を回動させることにより、第1筐体10の上面14の広い範囲が露出するように第2筐体20を開放できる。このため、ロボットアーム部231(図14参照)により反応容器110を容器セット部30に設置させる場合に、第2筐体20が設置動作の邪魔になりにくくできる。そのため、ロボットアーム部231の動作を単純化することができるので、核酸検査システム300の構築を容易に行える。
第2筐体20は、前面11側の端部20bに、前面11よりも前側へ突出するように設けられた取手部21を更に有する。これにより、ロボットアーム部231(図14参照)や作業者が取手部21を把持して第2筐体20を開閉することができる。そのため、ロボットアーム部231による開閉が容易なだけでなく、メンテナンスを行う作業者にとっても開閉が容易となるので作業性を向上させることができる。
なお、図2の例のように、核酸増幅装置100には、第2筐体20を開閉する開閉装置101を接続することができる。開閉装置101は、核酸増幅装置100の背面12側に設置され、取手部21に接続されたレバー101aを有する。開閉装置101は、駆動部によりレバー101aを動作させることにより、第2筐体20を回動させて第2筐体20を開閉する。この構成によれば、開放状態の第2筐体20の取手部21にロボットアーム部231(図14参照)が届かないような離れた位置にも核酸増幅装置100を設置できる。また、ロボットアーム部231によって開閉動作を行わずに済むので、検体の処理効率の向上を図ることができる。
第2筐体20は、上面14を覆う状態で、磁力により第2筐体20を第1筐体10に固定する磁石23を備えている。図12では、磁石23は、第2筐体20の放熱部材22における前面側の端部20bの近傍に設けられている。磁石23は、磁力によって上面14を吸着し、第2筐体20の前面側の端部20bを第1筐体10の上面14に向けて押圧する。これにより、第2筐体20が閉じられた状態を維持する。第2筐体20の前面側の端部20bを上方向に回動させる力が、磁石23による吸着力を上回ると、第2筐体20が上方向に回動されて第2筐体20が開放される。
これにより、機械的なロック機構を設けることなく、磁力を用いた吸着によって第2筐体20を固定できる。そのため、第2筐体20の開閉のためにロック機構を制御する必要がなく、ロボット230(図14参照)が解除スイッチを操作する必要もない。そのため、ロボット230を用いて反応容器110を出し入れするための構成を簡素化しつつ、反応容器110の出し入れ制御の信頼性を高めることができる。
図7に示すように、押圧部25は、第2筐体20がホルダ31を覆う状態で、ホルダ31と上下方向に対向するように箱体24に設けられている。押圧部25により反応容器110に加えられる押圧力により、反応容器110の8個の容器111(図8参照)の各々が、対応する8個のホルダ31内に向けて押圧される。
これにより、反応容器110の個々の容器111を、容器セット部30のそれぞれのホルダ31内に押圧できるので、反応容器110の複数の容器111をホルダ31の適正位置に確実に配置できる。また、個々の容器111が、ホルダ31の保持孔31aの内面に押し付けられるので、温度調整部40からの熱を、ベース板31bおよびホルダ31を介して容器111へ効率的に伝導させることができる。
図8に示すように、押圧部25は、箱体24から、第1筐体10の凹部16の内部へ突出するように設けられている。押圧部25は、箱体24の放熱部材22から吊り下げられるように、放熱部材22に取り付けられている。第2筐体20が閉じられた状態で、押圧部25は、凹部16の内側に収容される。
押圧部25は、ホルダ31の上方および周囲を覆うカバー部26と、カバー部26に挿通された支持ピン27と、カバー部26を付勢する付勢部材28と、を含む。
カバー部26は、長手方向(Y方向)に延びて、8個のホルダ31(図5参照)の上方を覆う。カバー部26は、ホルダ31と対向する下面側に、上方へ向けて凹む第2凹部26aを有する。カバー部26は、8個のホルダ31を第2凹部26aの内側に収容するように設けられている。これにより、8個のホルダ31は、上方および周囲をカバー部26の第2凹部26aの内面によって取り囲まれている。カバー部26(図12参照)の四隅に貫通孔(図8参照)が設けられており、それぞれの貫通孔に1つずつ支持ピン27が挿入されている。
図8に示すように、それぞれの支持ピン27は、上端部が箱体24の放熱部材22に固定されている。支持ピン27の下端部は、カバー部26を通過してカバー部26の下側に位置し、抜け止めのためのストッパ27aが設けられている。これにより、カバー部26は、支持ピン27に沿ってストローク可能なように保持されている。
付勢部材28は、箱体24の放熱部材22とカバー部26との間に配置され、カバー部26を放熱部材22から離れる方向に付勢している。これにより、カバー部26が、支持ピン27に沿って、放熱部材22と対向する容器セット部30に向けて付勢されている。付勢部材28は、筒状のコイルばねであり、コイルばねの内側に支持ピン27が挿入されている。
これにより、カバー部26は、付勢部材28によって、ストッパ27aと当接する下限位置に向けて付勢されている。容器セット部30に反応容器110が設置されている場合、図8に示すように、カバー部26の下面が容器111の上面(封止体113)と接触し、各容器111によって、カバー部26が付勢部材28の付勢力に抗して上方向に押し返される。この結果、付勢部材28の付勢力が反応容器110に作用して、反応容器110が容器セット部30に向けて押圧される。
また、押圧部25は、カバー部26を加温する加温機構29を含む。加温機構29は、たとえば棒状のカートリッジヒーターを有し、カバー部26内に形成された設置孔に挿入されている。加温機構29は、発熱によりカバー部26を所定温度に加温する。このため、容器セット部30に設置された反応容器110は、上側からカバー部26を介して加温された状態で、下側から温度調整部40により温度が調整される。
これにより、容器セット部30に設置された反応容器110の上部を、押圧部25を用いて加温することができる。すなわち、容器セット部30の下方の温度調整部40によって反応容器110が加温された場合に、反応容器110内の下部と上部とで温度差が大きくなると、反応容器110の内部が結露することにより光検出の妨げとなる可能性がある。押圧部25によって反応容器110内に温度差が形成されるのを抑制できるので、反応容器110内の結露を防止できる。また、反応容器110を覆うカバー部26により、凹部16内に保温空間(第2凹部26aの内部空間)を形成できるので、反応容器110から周囲の雰囲気への放熱による試料の温度低下を効果的に抑制できる。
一方、カバー部26は、付勢部材28によって放熱部材22から離れる方向に付勢されており、放熱部材22から離れた位置で反応容器110を押圧する。このため、加温機構29の熱がカバー部26から放熱部材22に直接伝わることが防止される。加温機構29の熱は、接触面積の小さい支持ピン27の部分でのみ、放熱部材22に伝わる。このように発熱源である加温機構29を有する押圧部25を第2筐体20から吊り下げ支持する構成によって、第2筐体20内の光検出部53への熱伝導を抑制しつつ、反応容器110の上部の加温が可能となる。
なお、図5に示すように、押圧部25は、光検出部53とホルダ31との間に配置され、反応容器110からの光信号を通過させる貫通孔26bを有する。貫通孔26bは、容器セット部30の8個のホルダ31の直上位置に1つずつ、合計8個形成されている。これにより、第2筐体20に光測定部50および押圧部25を設ける構成でも、貫通孔26bを介して、光測定部50の光検出部53(図11参照)による光信号の検出ができる。光測定部50の対物レンズ54e(図11参照)から出射される励起光は、放熱部材22の貫通孔22aと押圧部25の貫通孔26bとを通って容器111に照射され、容器111の封止体113を透過して容器111内の試料に到達する。容器111内の試料から出射される蛍光は、容器111の封止体113を透過し、押圧部25の貫通孔26bと、放熱部材22の貫通孔22aとを通って、光測定部50の対物レンズ54eに入射する。
図12に示すように、カバー部26の第2凹部26aは、8個の貫通孔26bを取り囲むように設けられている。第2凹部26aは、X方向に幅W4、Y方向に長さL4を有しており、幅W4は、凹部16の幅W2(図9参照)よりも小さく、8個のホルダ31の幅W0(図9参照)よりも大きい。長さL4は、凹部16の長さL2(図9参照)よりも小さく、8個のホルダ31の長さL0(図9参照)よりも大きい。
〈光測定部(光検出部)〉
図7に示すように、光測定部50は、箱体24の放熱部材22の上に設置されている。
光測定部50は、容器セット部30に設置された反応容器110の各々の容器111から、核酸増幅に伴う光信号を検出する光検出部53(図11参照)を含んでいる。光検出部53は、第2筐体20が閉じられた状態で、容器セット部30と上下に対向するように配置されている。
図11に示すように、光測定部50は、反応容器110に収容された試料中の標的核酸を検出するために光を照射する第1光源51と、反応容器110中の検体の有無を検出するために光を照射する第2光源52と、反応容器110から出射された光を検出する光検出部53と、を含む。
これにより、第1光源51、第2光源52および光検出部53のそれぞれを第1筐体10とは別に第2筐体20の内部に集約することができる。これにより、第1筐体10が大型化することを抑制できるとともに、第1筐体10に設けられた温度調整部40および排熱部60からの熱が光検出部53に影響することを抑制でき、温度変化に伴う光検出部53の検出精度の低下を軽減できる。また、後述するように第1光源51および第2光源52が半導体発光素子により構成される場合、半導体発光素子には温度に依存して光量が変動し、高温にさらされると劣化が促進されるという特性がある。そのため、第1光源51および第2光源52が収容された第2筐体20自体が熱源である温度調整部40から隔離されることで、温度変動に伴う光量変動や素子の劣化が抑制できる。
光測定部50は、第1光源51、第2光源52および光検出部53と、光学系54とをケース55に組み付けた組立体(サブアッセンブリ)として構成されている。ケース55は遮光性を有し、ケース55の内部に光学系54を組み付けるための光路空間が設けられている。
第1光源51は、第1波長の励起光λ1を出射する。第1光源51は、半導体発光素子からなり、具体的にはLED(light emitting diode)により構成される。第1光源51から出射される励起光λ1は、試料中の第1蛍光プローブが標的核酸と結合している場合に、第1蛍光プローブの蛍光物質を励起して第3波長の蛍光λ3を生じさせる。第1波長は、第1蛍光プローブの蛍光物質の吸収波長に合わせて設定されている。蛍光物質はたとえばFAM(登録商標)であり、第1波長の励起光λ1は、約495nmの青色光である。蛍光λ3の第3波長は、中心波長で約520nmである。第1蛍光プローブの標的核酸は、SARS-CoV-2ウイルスのRNAである。
第1光源51から出射された励起光λ1は、レンズ54aを通過し、第1ミラー54bで反射され、光学フィルタ54cを通って第2ミラー54dに照射される。励起光λ1は、第2ミラー54dで反射され、対物レンズ54eを通って、容器111中の試料へ向けて出射される。
第2光源52は、第2波長の励起光λ2を出射する。第2光源52は、半導体発光素子からなり、具体的にはLEDにより構成される。第2光源52から出射される励起光λ2は、試料中の第2蛍光プローブが内部参照用の標的核酸と結合している場合に、第2蛍光プローブの蛍光物質を励起して第4波長の蛍光λ4を生じさせる。第2波長は、第2蛍光プローブの蛍光物質の吸収波長に合わせて設定されている。蛍光物質はHEX(登録商標)であり、第2波長は約535nmの緑色光である。蛍光λ4の第4波長は、中心波長で約553nmである。第2蛍光プローブの標的核酸は、ヒトβ2ミクログロブリンのRNAである。
第2光源52から出射された励起光λ2は、レンズ54fおよび第1ミラー54bを透過し、光学フィルタ54cを通って第2ミラー54dに照射される。励起光λ2は、第2ミラー54dで反射され、対物レンズ54eを通って、容器111中の試料へ向けて出射される。光学フィルタ54cは、第1波長(約495nm)および第2波長(約535nm)の光を透過する。光学フィルタ54cは、励起光により生じる蛍光と同じ波長の光を吸収する。つまり、光学フィルタ54cは、第3波長(約520nm)の光および第4波長(約553nm)の光を少なくとも吸収する。
光検出部53は、半導体光検出素子からなり、具体的にはAPD(アバランシェフォトダイオード)により構成されている。光検出部53は、第1蛍光プローブの蛍光物質が発生する蛍光λ3を検出する。第1蛍光プローブの蛍光強度は、第1蛍光プローブと結合した標的核酸の量を反映するため、光検出部53は、第1蛍光プローブの蛍光物質が発生する蛍光λ3を、標的核酸の存在量を示す光信号として検出する。光検出部53は、第2蛍光プローブの蛍光物質が発生する蛍光λ4を検出する。第2蛍光プローブの蛍光強度は、第2蛍光プローブと結合した標的核酸の量を反映するため、光検出部53は、蛍光λ4を、検体中の標的核酸の存在量を示す光信号として検出する。なお、光検出部53は、光電子増倍管や光電管であってもよい。
容器111中の試料から出射された蛍光λ3、λ4は、対物レンズ54eを通り、第2ミラー54dに照射される。蛍光λ3、λ4は、第2ミラー54dを透過し、光学フィルタ54gおよびレンズ54hを通って光検出部53に照射される。光検出部53は、受光した蛍光の強度に応じた電気信号を出力する。光学フィルタ54gは、励起光λ1に対応する蛍光λ3(約520nm)、および、励起光λ2に対応する蛍光λ4(約553nm)を透過する。光学フィルタ54gは、各励起光λ1、λ2と同じ波長の光を吸収する。光学フィルタ54gは、第1波長(約495nm)の光および第2波長(約535nm)の光を少なくとも吸収する。
光測定部50の光学系54は、これらのレンズ54a、レンズ54f、レンズ54h、第1ミラー54b、第2ミラー54d、光学フィルタ54c、光学フィルタ54g、および対物レンズ54eを含む。
光測定部50は、容器セット部30の8個のホルダ31に対して、第1光源51、第2光源52、光検出部53および光学系54を、1セットずつ含む。つまり、光測定部50は、第1光源51、第2光源52、光検出部53および光学系54をそれぞれ8個ずつ備えている。ケース55には、図11に示した構造が、長手方向に沿って8セット、設けられている。なお、第2筐体20の放熱部材22には、それぞれの対物レンズ54eの位置に、励起光および蛍光を通過させるための貫通孔22aが設けられている。
〈核酸増幅装置100の制御に関わる構成〉
図13に示すように、核酸増幅装置100は、制御部90と、記憶部91と、温度コントローラ92と、通信インターフェース93とを備える。
制御部90は、核酸増幅装置100の各部を制御する機能を有する。制御部90は、CPU、FPGA、ASICなどのプロセッサにより構成されている。プロセッサが、記憶部91に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより、核酸増幅装置100を制御する制御部90として機能する。
制御部90は、通信インターフェース93を介して、測定処理を開始するための測定開始通知を受け付ける。制御部90は、測定開始通知に応じて、温度調整部40によるサーマルサイクル処理の制御、および、光測定部50による光信号の検出動作の制御をそれぞれ実行する。
測定処理は、サイクル毎の核酸増幅量を時系列的に測定するリアルタイムPCR処理である。制御部90は、温度調整部40により1サイクルの温度調整を行う度に、光測定部50から蛍光強度の測定データを収集する。したがって、測定データは、サイクル毎の蛍光強度の時系列データ群である。制御部90は、サイクル毎に収集した測定データを解析し、増幅曲線の立ち上がりサイクル数(Ct値)を算出する。制御部90は、増幅曲線における蛍光強度が閾値を超えたときのサイクル数に基づいてCt値を算出する。閾値は、蛍光強度のベースラインシグナルに対して有意な増加が見られるシグナルレベルに予め設定されている。
制御部90は、時系列の測定データ群と、算出したCt値とを、通信インターフェース93を介して接続された外部装置(後述するPCR制御部260、図14参照)に送信する。測定処理は、容器セット部30に設置された反応容器110が有する複数(8個)の容器111に収容された試料それぞれに対して、実行される。その結果、制御部90は、1回の測定処理で、8検体のそれぞれについて、時系列の測定データ群とCt値とを含む測定結果を生成し、8個の測定結果を含む測定結果データセットを送信する。
記憶部91は、プロセッサが実行するためのプログラム、測定処理に用いられる各種の設定情報、および、測定処理により生成された測定結果を記憶する。記憶部91は、RAM、ROM、ハードディスク等により構成される。
温度コントローラ92は、サーマルサイクル処理を実行するように温度調整部40を駆動する。温度コントローラ92は、制御部90の制御下で、予め設定された温度変化条件に従って、熱電素子41を駆動する。サーマルサイクル処理は、所定の周期で反応容器110を加温および冷却する核酸増幅サイクルを繰り返す処理であり、たとえば、95℃に加温して60℃に冷却する核酸増幅サイクルが45回行われる。なお、容器セット部30の温度は、温度センサによって検出される。また、温度コントローラ92は、測定処理の間、押圧部25に設けられた加温機構29を駆動し、カバー部26を所定温度に維持する。所定温度は、たとえば100℃である。カバー部26は、サーマルサイクルによる容器セット部30の調整温度以上の温度に維持される。温度コントローラ92は、測定処理の間、排熱部60の第1ファン62および第2ファン63を駆動する。
通信インターフェース93は、外部装置との通信を行う。通信インターフェース93は、たとえばイーサネット通信モジュールである。通信インターフェース93は、第1筐体10の背面12に設けられた接続コネクタを介して、核酸増幅装置100の外部に設置される外部装置(PCR制御部260、図14参照)と有線接続できる。
なお、本実施形態では、核酸増幅装置100は、液晶ディスプレイからなる表示部を備えていないディスプレイレス型の装置である。核酸増幅装置100は、タッチパネルや操作キーなどの操作入力部を備えていない。上記の通り、核酸増幅装置100は、通信インターフェース93を介して測定コマンドが入力されることにより、測定動作を開始し、通信インターフェース93を介して測定結果を送信するように構成されている。これにより、通信インターフェース93を介して、核酸増幅装置100に対する操作、設定入力を全て外部装置によって行えるので、核酸増幅装置100に表示部や多数の操作キーを設けずに済む。その結果、核酸増幅装置100をより効果的に小型化することができる。
以上のように、本実施形態の核酸増幅装置100は、第1筐体10の上方から反応容器110を設置できるように容器セット部30を設け、第1筐体10の内部に温度調整部40を設ける一方、第1筐体10の外部に設けられた第2筐体20の内部に光検出部53を設けたので、温度調整部40から光検出部53への熱の伝達を抑制できる。すなわち、光検出部53が、温度調整部40を収容する第1筐体10の外部の第2筐体20の内部に設けられるので、第1筐体10内で温度調整部40から発生する熱の伝達が、第1筐体10と第2筐体20との間で抑制され、その結果、光検出部53への熱の伝達が抑制される。そのため、光検出部53と温度調整部40とが同一の構造内に収容される場合と比較して、光検出部53が温度変化の影響を受けにくくできるので、温度変化に伴う検出精度の低下を軽減できる。
[核酸検査システム]
次に、図14および図15を参照して、本実施形態の核酸増幅装置100を用いて構築される核酸検査システム300について説明する。
核酸検査システム300は、検体と試薬とから試料を作製し、反応容器110に分注する試料作製ロボット210と、複数の核酸増幅装置100から構成された測定部220と、試料作製ロボット210によって準備された反応容器110を測定部220の核酸増幅装置100に搬送する測定ロボット230と、を備える。核酸検査システム300は、各ロボットを制御するロボット制御部250と、核酸増幅装置100を制御するPCR制御部260と、核酸検査システム300の全体の動作を制御するシステム制御部240とを主として備える。
核酸検査システム300は、空港や駅などの公共交通施設、介護施設、災害避難所などの様々な施設に設置することが想定されている。一例として、核酸検査システム300は、空港に設置され、飛行機に搭乗予定の被検者から採取された検体について、全自動でウイルス検査を行う。
〈試料作製ロボット〉
試料作製ロボット210は、ロボット制御部250による制御の下、複数の検体の各々から複数の試料を調製する。また、試料作製ロボット210は、陽性および/または陰性の対照試料を調製する。試料作製ロボット210は、調製した試料を、反応容器110の複数(8個)の容器111に、分注する。反応容器110の個々の容器111には、異なる検体から調製された試料が分注される。反応容器110に含まれる1つ以上の容器111には、検査試料の他に対照試料が分注されうる。
被検者検体は、前処理により被検者から採取された唾液に含まれる核酸が抽出された核酸抽出液の状態で、核酸検査システム300に供給される。被検者検体は、ウェルプレート120に収容された状態で、コンベアベルト271により核酸検査システム300に供給される。コンベアベルト271には、検査依頼の発生に応じて1つ以上のウェルプレート120が順次供給される。ウェルプレート120は、複数のウェルを有し、各ウェルには被検者検体がそれぞれ個別に収容されている。1枚のウェルプレート120には、複数人の被検者検体が収容される。
試料作製ロボット210は、多関節ロボットである。試料作製ロボット210は、ロボットアーム部211を備え、ロボットアーム部211の先端にハンド部212を備える。ハンド部212は、ツールとしてシリンジポンプを備え、ノズルチップ保管部274にあるノズルチップを先端に着脱自在に取り付けることができる。試料作製ロボット210は、ノズルチップを装着したハンド部212により、試料の分取および分取した試料の分注ができる。
核酸検査システム300は、試料作製ロボット210の周囲に、コンベアベルト271と、試薬保管部272と、対照検体保管部273と、ノズルチップ保管部274と、反応容器置き場275とを備える。
コンベアベルト271は、ベルト駆動装置271aによって駆動されることにより、被検者検体としての核酸抽出液を複数収容したウェルプレート120を、試料作製ロボット210が移動可能な位置まで搬送する。ウェルプレート120には、例えば96個のウェルが設けられている。
試薬保管部272は、酵素試薬を保管する冷凍庫、およびプライマー試薬を保管する冷蔵庫を含む。試薬保管部272は、酵素試薬を収容した酵素試薬容器と、プライマー試薬を収容したプライマー試薬容器を保管する。試料作製ロボット210は、酵素試薬容器とプライマー試薬容器から、それぞれ所定量の試薬を分取することにより、試料セットの作製に用いる試薬を調製する。
対照検体保管部273は、対照検体(陽性対照および陰性対照)を保管する冷蔵庫を含む。陽性対照は、既知濃度の標的核酸を含む。陰性対照は、標的核酸を含まない検体であり、例えば純水または緩衝液である。
ノズルチップ保管部274は、試料作製ロボット210がロボットアーム部211の先端のハンド部212に着脱可能な複数のノズルチップを保管する。ノズルチップはディスポーザブルな材料からなり、試料作製ロボット210による使用後に廃棄される。
反応容器置き場275は、試料作製ロボット210と測定ロボット230の間に配置され、反応容器110を複数保持する。
試料作製ロボット210は、コンベアベルト271により供給されるウェルプレート120から所定量の被検者検体を分取し、分取した被検者検体と試薬とを混合して検査試料を調製する。なお、対照試料を調製する場合、既知濃度の標的核酸を含む対照検体から対照試料が調製される。試料作製ロボット210は、調製した複数の試料を反応容器110の8個の容器111の1つ1つに分注する。したがって、対照試料も含めて8検体分の複数の試料が、1単位の試料セットとして、反応容器110の個々の容器111に分注される。
試料作製ロボット210は、反応容器110の容器111に被検者検体と混合試薬とを分注して混合することで、検査試料を調製する。試料作製ロボット210は、同様に、反応容器110の容器111に陽性対照または陰性対照と混合試薬とを分注して混合することで、対照試料を調製する。
〈測定部〉
測定部220は、複数の核酸増幅装置100により構成されている。複数の核酸増幅装置100は、互いに独立に、かつ並行して核酸増幅および増幅核酸の測定が可能である。核酸増幅装置100は、PCR制御部260の制御の下、測定動作を行い、測定結果を出力する。上記の通り、1台の核酸増幅装置100には、1つの反応容器110を設置可能である。1台の核酸増幅装置100において、最大8つの試料の核酸増幅処理を同時に行うことができる。
図14では、測定部220が16台の核酸増幅装置100(以下、「核酸増幅装置U1~U16」という場合がある)を含んでいる例を示す。測定部220は、測定ロボット230の周囲に配置されている。測定部220を構成する複数の核酸増幅装置100は、短手方向に、互いに隣り合うように配置されている。つまり、複数の核酸増幅装置100の各々は、側面13同士が向かい合うように、直線状に並んでいる。
このように、短手方向に並ぶ複数の核酸増幅装置100によって、核酸増幅装置100の列221が構成されている。図14の例では、測定部220は、複数の核酸増幅装置100の列221を、3つ備えている。具体的には、それぞれ5台の核酸増幅装置100で構成された列221aおよび列221bが、設置高さを異ならせることで上下に並んで配置されている。さらに、6台の核酸増幅装置100で構成された列221cが、列221aおよび列221bに対して平面視で直交する向きで配置されている。つまり、列221aおよび列221bと列221cとは、測定ロボット230の周囲に沿って配置されている。このように、互いに異なる列221を構成する核酸増幅装置100同士は、短手方向に隣り合っていなくてよい。
合計16台の核酸増幅装置100の各々は、前面11が測定ロボット230側に向くように配置されている。図14の例では、複数の核酸増幅装置100に1つずつ、合計16台の開閉装置101(図2参照)が設けられている。本実施形態では、開閉装置101の動作によって、各核酸増幅装置100の第2筐体20が開閉される。
〈測定ロボット〉
測定ロボット230は、複数の核酸増幅装置100の各々に対して、直線状に連結された複数の容器111を有する反応容器110を搬送する。測定ロボット230は、反応容器110を把持するハンド部232(232a、232b)を有するロボットアーム部231と、ロボットアーム部231を支持する胴体部233と、を含む。
図14の例では、測定ロボット230は、2つのロボットアーム部231を備える双腕ロボットである。それぞれのロボットアーム部231は、垂直多関節型のロボットアームである。2つのロボットアーム部231の先端に、1つずつ、ハンド部232aとハンド部232bが設けられている。ハンド部232a、232bには、反応容器110を掴んで移動することが可能なツールが取り付けられている。2つのロボットアーム部231は、それぞれ、反応容器置き場275に移動できる。
測定ロボット230は、ロボット制御部250の制御の下、試料セットが収容された反応容器110を反応容器置き場275から取り出して搬送し、核酸増幅装置100の容器セット部30に設置する。測定ロボット230は、反応容器110の長辺が長手方向(Y方向、図9参照)に沿うように、反応容器110を容器セット部30に設置する。
測定ロボット230は、測定が終了した反応容器110を核酸増幅装置100の容器セット部30から取り出す。測定ロボット230は、取り出した測定済みの反応容器110を図示しない廃棄部に廃棄する。
ロボットアーム部231を有する測定ロボット230は、単腕、複椀のいずれの場合でも、平面視で、ロボットアーム部231を支える胴体部233を中心とした円形の範囲に移動可能である。胴体部233の設置面積と比較して、ハンド部232が移動可能な範囲を大きく確保できるので、測定ロボット230は、核酸検査システム300を小型化するために有効である。このため、全幅が小さい核酸増幅装置100を幅方向に配列することによって、より多くの核酸増幅装置100を、ハンド部232が移動可能な範囲内に配置することができる。また、1つの反応容器110を保持可能な核酸増幅装置100を単位として核酸検査システム300が構成されるので、核酸増幅装置100の設置台数を調製することにより、様々な設置場所の大きさに適合する冗長性の高い核酸検査システム300が構築できる。
本実施形態の核酸検査システム300は、試料作製ロボット210と測定ロボット230とを別々に設けているので、供給されたウェルプレート120に収容された被検者検体からの検査試料の調製と、複数の核酸増幅装置100による各検査試料の測定処理とを並列して実行することができる。
〈核酸検査システム300の制御に関わる構成〉
図15に示すように、ベルト駆動装置271a、試料作製ロボット210、測定ロボット230、開閉装置101は、ロボット制御部250と通信可能に接続され、ロボット制御部250により動作が制御される。測定部220を構成する各核酸増幅装置100は、PCR制御部260と通信可能に接続され、PCR制御部260により動作が制御される。PCR制御部260は、各核酸増幅装置100から測定結果を受信する。ロボット制御部250およびPCR制御部260は、システム制御部240と通信可能に接続されている。
システム制御部240は、核酸検査システム300を統括的に制御する装置であって、CPU241と、記憶部242と、通信インターフェース243と、表示部244と、入力部245とを有する。システム制御部240は、記憶部242に格納されたソフトウェアを実行することにより、ロボット制御部250およびPCR制御部260に制御信号を出力して、試料セットの作製、試料セットの分配、PCR測定に係る処理を行う。システム制御部240は、ホストコンピュータ301と通信可能に接続されている。ホストコンピュータ301は、検体毎の識別情報、検体毎の検査依頼の情報、検体毎の測定結果などを記録および管理する。
記憶部242は、RAM、ROM、ハードディスク等で構成されている。記憶部242には、CPU241が上記処理を実行するためのコンピュータプログラムが格納されている。表示部244は、ディスプレイ装置により構成され、核酸検査システム300の動作状況、測定結果などを表示する。入力部245は、キーボードおよびマウスにより構成され、例えばウェルプレート120に収容された検体の識別情報や検体の検査依頼の入力に使用される。通信インターフェース243は、たとえばイーサネット通信モジュールである。
ロボット制御部250は、ベルト駆動装置271a、試料作製ロボット210、測定ロボット230および開閉装置101を制御する装置であって、CPU251と、記憶部252と、通信インターフェース253とを有する。
PCR制御部260は、ロボット制御部250と同様に、CPU261と、記憶部262と、通信インターフェース263とを有する。各核酸増幅装置100(核酸増幅装置U1~U16)は、それぞれの固有の装置識別番号が割り当てられており、装置識別番号によってPCR制御部260に個別に制御される。
PCR制御部260は、各核酸増幅装置100に分配する各試料に関する情報をシステム制御部240から取得し、記憶部262に記憶している。各試料に関する情報は、各試料の識別情報であって、試料が収容された反応容器110の容器111の位置情報と対応付けられている。PCR制御部260は、上述のように、各核酸増幅装置100からそれぞれ測定結果を取得する。測定結果は、測定データ(光測定部50により検出される蛍光強度)と、測定データに基づき算出されるCt値とを含む。PCR制御部260は、各試料の識別情報と、試料毎の測定結果とを関連付けた測定結果データセットをシステム制御部240に出力する。
(核酸検査システムおよび核酸増幅装置の動作)
図16は、核酸検査システム300の動作を示すフローチャートであって、核酸検査システム300を構成するシステム制御部240、ロボット制御部250、PCR制御部260および核酸増幅装置100の連携を示している。図16において破線の矢印は、情報の送信を示している。
ステップS1において、システム制御部240は、試料セットの作製、PCR測定、および測定データの解析を含む一連の分析プロセスを開始させる開始コマンドをロボット制御部250に送信する。システム制御部240は、たとえば、コンベアベルト271に新たなウェルプレート120が投入されたことに基づいて、開始コマンドの送信を行う。
開始コマンドを受信したロボット制御部250は、ステップS2において、ウェルプレート120の被検者検体等から試料セットを作製し、作製した試料セットを反応容器110に分注するように試料作製ロボット210を制御する。
具体的には、ロボット制御部250は、ベルト駆動装置271aを制御して試料作製ロボット210により移動可能な位置までウェルプレート120を移動させる。ロボット制御部250は、試料作製ロボット210を制御して、ウェルプレート120の各ウェルに収容された各被検者検体を反応容器110の各容器111に分注し、混合試薬容器に収容された混合試薬を各容器111に分注し試料を調製する。これにより、最大8つの試料を含む試料セットが作製される。その結果、8個の容器111にそれぞれ検査試料(または対照試料)が収容された反応容器110が準備される。
ステップS3において、ロボット制御部250は、所定の規則にしたがって、測定部220のいずれか1つの核酸増幅装置100(核酸増幅装置U1~U16のうちのいずれか1つ)を選択し、選択した核酸増幅装置100に反応容器110を設置するように、測定ロボット230および開閉装置101を制御する。所定の規則は、例えば、個々の核酸増幅装置100に割り当てられた装置識別番号の順序である。ロボット制御部250は、選択した核酸増幅装置100の第2筐体20を開くように開閉装置101を制御する。ロボット制御部250は、試料セットが収容された反応容器110を反応容器置き場275から取り出して、封止体113を閉じるように測定ロボット230を制御する。その後、ロボット制御部250は、反応容器110の長辺が長手方向に沿う向きで反応容器110を容器セット部30に設置するように、測定ロボット230を制御する。測定ロボット230による反応容器110の設置動作の後、ロボット制御部250は、反応容器110が設置された核酸増幅装置100の第2筐体20を閉じるように開閉装置101を制御する。
核酸増幅装置100の第2筐体20を閉じた後、ステップS4において、ロボット制御部250は、セット完了通知をシステム制御部240に送信する。セット完了通知は、核酸増幅装置100に反応容器110が設置されたことを知らせる通知であり、反応容器110が設置された1つの核酸増幅装置100の装置識別情報を含む。
システム制御部240は、セット完了通知を受信すると、ステップS5において、PCR制御部260に測定コマンドを送信する。測定コマンドは、セット完了通知に対応する装置識別情報の核酸増幅装置100において、PCR測定動作を開始させるための制御指令である。測定コマンドは、最大8検体の各試料の識別情報を含む。
PCR制御部260は、測定コマンドを受信すると、ステップS6において、測定コマンドで指定された装置識別情報の核酸増幅装置100に測定開始通知を送信する。測定開始通知は、核酸増幅装置100に測定動作を実行させるための制御指令であり、測定コマンドに含まれていた各試料の識別情報を含む。核酸増幅装置100の制御部90が、通信インターフェース93を介して、測定開始通知を受信する。
核酸増幅装置100の制御部90は、測定開始通知に応じて、ステップS7において、測定動作を開始する。測定動作の詳細は、後述する。核酸増幅装置100の制御部90は、測定動作によって、測定結果を生成する。測定結果を生成すると、核酸増幅装置100の制御部90は、ステップS8において、各試料の識別情報とその試料の測定結果とを対応付けて、最大8検体分の測定結果を含む測定結果データセットを生成し、生成した測定結果データセットをPCR制御部260に送信する。
測定結果データセットを受信したPCR制御部260は、ステップS9において、測定結果データセットをシステム制御部240へ送信する。測定結果データセットを受信したシステム制御部240は、ステップS10において、反応容器110を核酸増幅装置100から取り出すための取り出しコマンドを、装置識別情報とともにロボット制御部250に送信する。システム制御部240は、ステップS11において、ホストコンピュータ301へ測定結果データセットを送信する。
取り出しコマンドを受信したロボット制御部250は、ステップS12において、測定済みの反応容器110を核酸増幅装置100から取り出すように、測定ロボット230および開閉装置101を制御する。具体的には、ロボット制御部250は、装置識別情報で特定された核酸増幅装置100の第2筐体20を開くように開閉装置101を制御する。ロボット制御部250は、核酸増幅装置100の容器セット部30から、測定済みの反応容器110を取り出して、所定の場所に移動させるように測定ロボット230を制御する。所定の場所は、例えば、測定済みの反応容器110を収容する廃棄ボックスである。反応容器110の取り出しの後、ロボット制御部250は、反応容器110が取り出された核酸増幅装置100の第2筐体20を閉じるように開閉装置101を制御する。
ロボット制御部250は、ステップS13において、反応容器110を核酸増幅装置100から取り出したことを示す取出完了通知をシステム制御部240へ送信する。
以上により、1台の核酸増幅装置100に対する1回の核酸検査動作の処理が完了する。システム制御部240、ロボット制御部250およびPCR制御部260は、以上の処理動作を、複数の核酸増幅装置100の各々について、並列的に実行する。これにより、複数の核酸増幅装置100の各々で、別々の反応容器110に対して、核酸増幅および増幅産物の検出処理が、同時並行で実施される。システム制御部240、ロボット制御部250およびPCR制御部260は、以上の処理動作を、反復実施する。これにより、個々の核酸増幅装置100では、反応容器110の設置、核酸増幅および増幅産物の検出、反応容器110の取り出し、という一連の測定処理が繰り返し実施される。
次に、図17を参照して、1つの核酸増幅装置100における測定処理動作を説明する。核酸増幅装置100の制御は、制御部90が行う。
ステップS31において、制御部90は、通信インターフェース93を介してPCR制御部260からの測定開始通知(図16のステップS6)を受信する。制御部90は、測定開始通知を受信したことに応じて、核酸増幅および増幅産物の検出を開始する。測定開始通知には、容器セット部30に設置された反応容器110の各試料の識別情報が含まれている。
ステップS32において、制御部90は、逆転写反応処理の制御を行う。逆転写反応処理は、試料を加温することで、酵素試料に含まれる逆転写酵素により、試料中の標的核酸の逆転写反応を進行させる処理である。制御部90は、予め設定された一定時間、所定の逆転写反応温度(例えば、45℃)に反応容器110を加温するように、温度コントローラ92を介して温度調整部40を制御する。
ステップS33において、制御部90は、リアルタイムPCR反応処理の制御を行う。ステップS33のリアルタイムPCR反応処理は、所定回数(たとえば45回)の核酸増幅サイクルの1回分の処理に相当する。温度コントローラ92が、制御部90による制御の下、95℃への加温と60℃への冷却とを75秒周期で変化させるように温度調整部40を駆動する。
制御部90は、蛍光検出を行うように光測定部50を制御する。蛍光検出は、1サイクルにつき1回、核酸増幅サイクルの特定のタイミングで行われる。たとえば、試料が60℃に冷却されたタイミングで蛍光検出が実行される。
制御部90は、8個の第1光源51からそれぞれ励起光λ1を発生させ、反応容器110の8個の容器111中の試料に励起光λ1を照射させる。制御部90は、8個の光検出部53を制御して、各容器111に収容された試料中の標的核酸(SARS-CoV-2ウイルスRNAの増幅産物)と結合した第1蛍光プローブの蛍光物質から発生する蛍光λ3をそれぞれ検出させる。また、制御部90は、8個の第2光源52からそれぞれ励起光λ2を発生させ、各容器111中の試料に励起光λ2を照射させる。制御部90は、8個の光検出部53を制御して、各容器111に収容された試料中の標的核酸(ヒトβ2ミクログロブリンRNAの増幅産物)と結合した第2蛍光プローブの蛍光物質から発生する蛍光λ4をそれぞれ検出させる。
制御部90は、8個の光検出部53から、それぞれの蛍光強度を反映した測定データを取得する。第1光源51からの励起光λ1の照射により得られた蛍光λ3の測定データと、第2光源52からの励起光λ2の照射により得られた蛍光λ4の測定データとが、それぞれ取得される。これにより、1サイクルの核酸増幅および蛍光検出が完了する。制御部90は、サーマルサイクルのサイクル数をカウントする。
ステップS33において、制御部90は、サーマルサイクルの実行回数が、所定のサイクル数(45回)に到達したか否かを判断する。サーマルサイクルの実行回数が、所定のサイクル数(45回)に到達していない場合、制御部90は、処理をステップS33に戻し、次のリアルタイムPCR反応処理のサイクルを実行する。サーマルサイクルの実行回数が所定のサイクル数(45回)に到達するまで、ステップS33およびS34が繰り返される。その結果、制御部90は、蛍光λ3の測定データ(第1蛍光プローブに由来する蛍光強度)を45サイクル分の時系列データとして取得し、蛍光λ4の測定データ(第2蛍光プローブに由来する蛍光強度)を45サイクル分の時系列データとして取得する。サーマルサイクルの実行回数が所定のサイクル数(45回)に到達すると、制御部90は、ステップS35に処理を進める。
ステップS33において、制御部90は、45サイクル分の時系列の測定データの解析を行う。制御部90は、1つの検体試料について、第1蛍光プローブに由来する蛍光強度のCt値と、第2蛍光プローブに由来する蛍光強度のCt値と、の2つのCt値を取得する。2種類の時系列の測定データおよび2種類のCt値は、記憶部91に記憶される。
ステップS36において、制御部90は、得られた測定結果のデータをPCR制御部260に送信する。送信されるデータは、8検体の各試料の識別情報に関連付けられた8つの測定結果データセットを含む。1つの測定結果は、2種類の時系列の測定データおよび2種類のCt値を含む。
以上により、核酸増幅装置100における測定動作が実行される。
なお、PCR制御部260からホストコンピュータ301に送信された測定結果に対して、ホストコンピュータ301により、測定結果が陽性か陰性かの判定が実施される。判定は、第1蛍光プローブに由来する蛍光強度のCt値(SARS-CoV-2ウイルスの核酸増幅量)に基づいて行われる。一例として、たとえば、Ct値が所定の閾値以下であれば陽性、Ct値が所定の閾値よりも大きい場合に要再検査、Ct値が未検出の場合に陰性、と判定される。第2蛍光プローブに由来する蛍光強度のCt値(ヒトβ2ミクログロブリンの核酸増幅量)が、検体の有無の確認に用いられる。たとえばCt値が所定の閾値以上または未検出の場合、検体なし又は検体量不足、検体異常、などが疑われるため要再検査と判定される。
以上のように、本実施形態の核酸検査システム300では、第1筐体10の上方から反応容器110を設置できるように容器セット部30を設け、第1筐体10の内部に温度調整部40を設ける一方、第1筐体10の外部に設けられた第2筐体20に光検出部53を設けた核酸増幅装置100を備えるので、温度変化に伴う検出精度の低下を軽減できる。また、ロボットアーム部231を含む測定ロボット230が、反応容器110の長辺が長手方向(Y方向)に沿うように、反応容器110を容器セット部30に設置するように構成されているので、反応容器110の設置および取り出し動作について、高い自由度を確保できる。そのため、核酸増幅装置100の位置がシステムの設置場所に応じて設定される場合でも、極力小さな専有スペースで複数の核酸増幅装置100に対する反応容器110の設置および取り出しが可能となる。これらにより、処理能力を確保しつつ、設置場所に応じて配置可能な核酸検査システムを構築できる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
上記実施形態では、第1筐体10の上面14に容器セット部30を収容した凹部16を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。上面14が平坦面でもよい。また、上面14に、上面14から上方向に突出する凸部を設けて、凸部に容器セット部30を設けてもよい。
上記実施形態では、容器セット部30に複数のホルダ31を1列設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。複数のホルダ31を2列以上設けてもよい。ただし、核酸増幅装置100の全幅を極力小さくする観点、および、測定ロボット230のハンド部232と設置済みの反応容器110との接触防止の観点から複数のホルダ31を1列のみ設ける構成が特に好ましい。
上記実施形態では、短手方向において、複数のホルダ31と凹部16の内周面16bとの間に、複数のホルダ31の幅寸法よりも大きい空間16cを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。複数のホルダ31の幅寸法と同じかそれ以下の幅の空間を設けてもよい。
上記実施形態では、第2筐体20に押圧部25を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押圧部25を設けなくてもよい。
上記実施形態では、押圧部25に、複数の容器111の各々からの光信号を通過させる複数の貫通孔26bを設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押圧部25に貫通孔26bを設けなくてもよい。その代わりに、複数の容器111の直上位置を避けるような形状に押圧部25を形成してもよい。たとえば押圧部を平面視で櫛歯状に形成し、櫛歯状の押圧部が複数の容器111の間の連結部112(図3参照)を押圧するように構成してもよい。
上記実施形態では、押圧部25が、容器セット部30の上方および周囲を覆うカバー部26と、カバー部26を加温する加温機構29とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、押圧部25が容器セット部30の上方および周囲を覆わなくてもよい。押圧部25の形状は、単純な平板形状でもよい。また、押圧部25に加温機構29を設けなくてもよい。加温機構29と押圧部25とを別々に設けてもよい。
上記実施形態では、第1筐体10の前面11に吸気口11aを設け、背面12に排気口12aを設け、吸気口11aから排気口12aへ向かう長手方向の空気流AFを形成する排熱部60を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、一対の側面13の一方に吸気口、他方に排気口を設けて、排熱部60が短手方向に空気流を形成する構成でもよい。また、吸気口11aおよび排気口12aの少なくとも一方が、第1筐体10の下面、または第2筐体20に設けられてもよい。
上記実施形態では、排熱部60が、筒状のヒートシンク61を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヒートシンク61が筒状ではなく、一般的な柱状(ブロック形状)であってもよい。
上記実施形態では、排熱部60が、ヒートシンク61と前面11との間に設けられた第1ファン62と、ヒートシンク61と背面12との間に設けられた第2ファン63とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば第1ファン62と第2ファン63とのうち、いずれか一方のみを設けてもよい。
上記実施形態では、排熱部60と、一対の側面13との間に、一対の側面13に沿って延びる基板71を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。基板71は、排熱部60に対して、いずれか片方の側面13の側だけに設けられてもよい。また、たとえば基板71を、排熱部60と側面13との間に配置する代わりに、基板71を排熱部60の下方の位置に配置してもよい。
上記実施形態では、光測定部50が、反応容器110に収容された試料中の標的核酸を検出するための第1光源51と、反応容器110中の検体の有無を検出するための第2光源52と、光検出部53と、を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。光測定部50に第2光源52を設けなくてもよい。また、たとえば、標的核酸を化学発光物質により標識する場合、試料に励起光を照射する必要がないため、光測定部50は第1光源51および第2光源52を備えていなくてもよい。
上記実施形態では、第2筐体20が背面12側の端部20aを中心に上下方向に回動可能に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2筐体20が上面14に沿ってスライド移動することにより上面14を開閉するように、第2筐体20を構成してもよい。
上記実施形態では、磁力により第2筐体20を第1筐体10に押圧させる磁石23を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、磁石に代えて、核酸増幅装置100が、第2筐体20と第1筐体10との固定と固定解除とを切り替え可能な機械式のロック機構を備えていてもよい。
上記実施形態では、第2筐体20に取手部21を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2筐体20に取手部21と設けなくてもよい。
上記実施形態では、核酸増幅装置100に表示部や操作入力部を設けない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、核酸増幅装置が表示部および操作入力部を備えていてもよい。
上記実施形態では、核酸検査システム300に、5台の核酸増幅装置100で構成された列221aおよび列221bと、6台の核酸増幅装置100で構成された列221cと、を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。核酸検査システム300における核酸増幅装置100の列221の数、列221の配置や、列221を構成する核酸増幅装置100の数は、任意である。
たとえば図18に示すように、短手方向に直線状に配列した核酸増幅装置100の列221を、1列だけ設けてもよい。図18では、16台の核酸増幅装置100で構成された列221dを、測定ロボット230の正面に1列だけ設けている。
また、図19の例では、測定ロボット230の一方のロボットアーム部231に対して8台の核酸増幅装置100で構成された列221dを設け、測定ロボット230の他方のロボットアーム部231に対して8台の核酸増幅装置100で構成された列221eを設け、合計で16台の核酸増幅装置100を設けた例を示す。核酸増幅装置100の列221dと列221eとは、測定ロボット230の周りに、平面視で互いに直交するように配置されている。図18および図19のように、複数の列221を上下に並べるのではなく、水平面に沿って配列してよい。
また、図20の例では、測定ロボット230の正面に、それぞれ5台の核酸増幅装置100で構成された列221fおよび列221gが、上下に配置されている。図20は、合計で10台の核酸増幅装置100を備えた、よりコンパクトな核酸検査システム300の例を示している。なお、図20では、測定ロボット230がロボットアーム部231を1つだけ備えた単腕型のロボットである例を示している。
上記実施形態では、核酸検査システム300に、試料作製ロボット210を設けた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、核酸検査システム300に、試料作製ロボット210を設けなくてもよい。核酸検査システム300には、被検者検体に代えて、被験者検体から調製済みの検査試料が、反応容器110の個々の容器111に収容された状態で供給されてもよい。あるいは、核酸検査システム300には、被験者検体から調製済みの検査試料がウェルプレート120に収容された状態で供給されてきて、ウェルプレート120に収容された検査試料を反応容器110の個々の容器111に分注するロボットが設けられてもよい。
10:第1筐体、11:前面、11a:吸気口、12:背面、12a:排気口、13:側面、14:上面、16:凹部、16a:底面、16b:内周面、16c:空間、20:第2筐体、21:取手部、22:放熱部材、22a:貫通孔、23:磁石、24:箱体、25:押圧部、26:カバー部、26b:貫通孔、29:加温機構、31:ホルダ、40:温度調整部、50:光測定部、51:第1光源、52:第2光源、53:光検出部、60:排熱部、61:ヒートシンク、62:第1ファン、63:第2ファン、71:基板、90:制御部、93:通信インターフェース、100:核酸増幅装置、110:反応容器、111:容器、211:ロボットアーム部、212:ハンド部、230:測定ロボット、231:ロボットアーム部、232:ハンド部、232a:ハンド部、232b:ハンド部、233:胴体部、300:核酸検査システム

Claims (22)

  1. 第1筐体と、
    前記第1筐体の上方から設置される反応容器を保持するホルダと、
    前記第1筐体の内部に設けられ、前記ホルダに保持された前記反応容器に収容された試料の温度を調整する温度調整部と、
    前記第1筐体の外部に設けられ、前記ホルダを開閉可能に覆う第2筐体と、
    前記第2筐体の内部に設けられ、前記ホルダに保持された前記反応容器から、核酸増幅に伴う光信号を検出する光検出部と、を備える、核酸増幅装置。
  2. 前記第2筐体は、前記ホルダを覆う状態で前記ホルダと前記光検出部との間に配置された放熱部材を含む、請求項1に記載の核酸増幅装置。
  3. 前記第2筐体は、前記光検出部の収容空間が形成された箱体を含み、
    前記箱体の前記第1筐体側の表面が、前記放熱部材により構成されている、請求項2に記載の核酸増幅装置。
  4. 前記第1筐体は、平面視で、長手方向に対向する前面および背面と、短手方向に対向する一対の側面とを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  5. 前記第1筐体は、下方向に凹んだ凹部を上面に有し、
    前記ホルダは、前記凹部の前記長手方向に沿って複数設けられている、請求項4に記載の核酸増幅装置。
  6. 前記複数のホルダは、前記反応容器の直線状に連結された複数の容器をそれぞれ保持可能なように、1列設けられている、請求項5に記載の核酸増幅装置。
  7. 前記凹部は、前記短手方向において、前記複数のホルダと前記凹部の内周面との間に、前記複数のホルダの幅寸法よりも大きい空間を有する、請求項6に記載の核酸増幅装置。
  8. 前記第2筐体は、前記背面側の端部において前記第1筐体に接続され、前記背面側の端部を中心に上下方向に回動可能に設けられている、請求項4~7のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  9. 前記第2筐体が前記第1筐体の上面を覆う状態で、磁力により前記第2筐体を前記第1筐体に固定する磁石をさらに備える、請求項8に記載の核酸増幅装置。
  10. 前記第2筐体は、前記前面よりも前側へ突出するように設けられた取手部を有する、請求項8または9に記載の核酸増幅装置。
  11. 前記第2筐体は、前記ホルダを覆う状態で前記ホルダと上下方向に対向するように、前記ホルダに保持された前記反応容器を前記ホルダに向けて押圧する押圧部を有する、請求項4~10のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  12. 前記押圧部は、前記光検出部と前記ホルダとの間に配置され、前記反応容器からの前記光信号を通過させる貫通孔を有する、請求項11に記載の核酸増幅装置。
  13. 前記押圧部は、前記ホルダの上方および周囲を覆うカバー部と、前記カバー部を加温する加温機構と、を含む、請求項11または12に記載の核酸増幅装置。
  14. 前記第1筐体の内部に設けられ、前記第1筐体内で空気流を形成する排熱部をさらに備える、請求項4~13のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  15. 前記前面は、吸気口を有し、
    前記背面は、排気口を有し
    前記排熱部は、前記吸気口から前記排気口へ向かう前記長手方向の空気流を形成するように構成されている、請求項14に記載の核酸増幅装置。
  16. 前記排熱部は、前記温度調整部の下方に配置され、前記長手方向に延びる筒状のヒートシンクと、前記ヒートシンクと前記前面との間に設けられた第1ファンと、を含む、請求項15に記載の核酸増幅装置。
  17. 前記排熱部は、前記ヒートシンクと前記背面との間に設けられた第2ファンをさらに含む、請求項16に記載の核酸増幅装置。
  18. 前記光検出部を制御する制御部をさらに備え、
    前記制御部は、前記排熱部と、前記一対の側面の少なくとも一方との間に配置され、前記一対の側面に沿って延びる基板に設けられている、請求項14~17のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  19. 前記第2筐体の内部に設けられ、前記反応容器に収容された試料中の標的核酸を検出するために光を照射する第1光源をさらに備える、請求項1~18のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  20. 前記第2筐体の内部に設けられ、前記反応容器中の検体の有無を検出するために光を照射する第2光源をさらに備える、請求項1~19のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  21. 表示部を備えておらず、
    外部装置との通信を行うための通信インターフェースをさらに備える、請求項1~20のいずれか1項に記載の核酸増幅装置。
  22. 複数の核酸増幅装置と、前記複数の核酸増幅装置の各々に対して、反応容器を搬送するロボットと、を備え、
    前記複数の核酸増幅装置の各々は、
    第1筐体と、
    前記第1筐体の上方から設置される前記反応容器を保持するホルダと、
    前記第1筐体の内部に設けられ、前記ホルダに保持された前記反応容器に収容された試料温度を調整する温度調整部と、
    前記第1筐体の外部に設けられ、前記ホルダを開閉可能に覆う第2筐体と、
    前記第2筐体の内部に設けられ、前記ホルダに保持された前記反応容器から、核酸増幅に伴う光信号を検出する光検出部と、を含み、
    前記複数の核酸増幅装置は、互いに隣り合うように配置され、
    前記ロボットは、前記反応容器を把持するハンド部を有するロボットアーム部と、前記ロボットアーム部を支持する胴体部と、を含み、前記反応容器を前記ホルダに保持させる、核酸検査システム。
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