JP2023022780A - 粘着テープ - Google Patents

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Yoshinori Nagao
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Abstract

【課題】基板または部品のような被着体の上面を優れた精度で研削・研磨することができ、かつ、この研削・研磨の後に、被着体から粘着テープを、優れた精度で剥離させることができる粘着テープを提供すること。【解決手段】粘着テープ100は、基材5と、粘着層2とを備え、粘着層2は、エネルギーの付与により、粘着層2上に積層された基板または部品に対する粘着力が低下するものであり、また、前記エネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η*(25℃、1Hz)が5.0×105mPa・s以上9.5×106mPa・s以下であり、かつ、温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで測定した複素粘度η*(80℃、100Hz)が1.0×105mPa・s以上5.0×106mPa・s以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、基板または部品を仮固定して用いられる粘着テープに関するものである。
近年の電子機器の高機能化とモバイル用途への拡大に対応して半導体装置の高密度化、高集積化の要求が強まり、ICパッケージの大容量高密度化が進んでいる。
この半導体装置としては、部品としての半導体素子を基板上に実装してモジュール化したものが挙げられるが、この半導体装置を、一括して複数製造する製造方法として、例えば、半導体素子をウエハー・レベル・半導体装置(WLP)に封止して埋め込む基板技術(FOWLP;Fan Out Wafer Level Package)が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
かかる製造方法では、例えば、まず、支持基板を用意し、その後、この支持基板上に剥離層と粘着層とをこの順で積層した後に、複数の半導体素子を、このものが有する電極パッドが支持基板の反対側となるように載置する。
その後、支持基板に載置された半導体素子を覆うように封止部で封止することで、支持基板上に、複数の半導体素子が封止部により封止された半導体封止連結体を形成する。
次いで、支持基板と、粘着層とを半導体封止連結体から取り除くことにより、基板としての半導体封止連結体を得る。
次いで、基材と、この基材上に積層された粘着層とを備える粘着テープを用意し、その後、この粘着テープの粘着層上に、得られた半導体封止連結体を、前述した支持基板と同様に、このものが備える半導体素子が有する電極パッドが粘着テープの反対側となるように載置する。
次いで、半導体素子を覆う封止部の上面、すなわち半導体封止連結体の上面を研削・研磨することで、半導体素子が有する電極パッドを半導体封止連結体の上面から露出させるとともに、半導体封止連結体の薄型化および軽量化を図る。
そして、研削・研磨された半導体封止連結体から粘着テープを剥離させた後に、この半導体封止連結体の前記電極パッドが露出する側の面(上面)に対して、この電極パッドに電気的に接続された、配線およびバンプ等を備える回路基板を形成した後に、半導体封止連結体と回路基板とを、その厚さ方向に対して、封止された半導体素子毎に切断して個片化することで、複数の半導体装置を一括して得る。
以上のようにして、複数の半導体装置を一括して製造することができるが、上述した半導体封止連結体の上面に対する研削・研磨を、優れた精度で実施し、さらに、この研削・研磨の後に、半導体封止連結体から粘着テープを、優れた精度で剥離させるには、粘着テープが備える粘着層上に、半導体封止連結体を、このものが備える半導体素子が有する電極パッドが粘着テープの反対側となるように載置した際に、半導体封止連結体と粘着層との間に気泡が噛み込まないこと、また、半導体封止連結体の上面に対する研削・研磨の際に、半導体封止連結体が、粘着テープが備える粘着層上に安定的に固定されていること、さらには、半導体封止連結体から粘着テープを剥離させる際に、半導体封止連結体に対して糊残りが生じないことの3点を満足していることが求められるが、これら3点の全てを満足させることは技術的に困難であった。
特開2013-58520号公報
本発明の目的は、半導体封止連結体を含む各種基板または各種部品のような被着体を粘着テープで固定する際に、被着体と粘着層との間に気泡が噛み込まないこと、被着体の上面を研削・研磨する際に、粘着テープからの被着体の位置ズレが的確に抑制または防止されていること、および、被着体から粘着テープを剥離させる際に、被着体に対して糊残りが生じないことを満足して、優れた精度で被着体の上面を研削・研磨することができ、かつ、この研削・研磨の後に、被着体から粘着テープを、優れた精度で剥離させることができる粘着テープを提供することにある。
このような目的は、下記(1)~(8)に記載の本発明により達成される。
(1) 樹脂材料を含有する基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層と、を備える積層体により構成され、基板または部品を仮固定して用いられる粘着テープであって、
前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂と、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂とを含有し、前記エネルギーの付与により、前記粘着層上に積層された前記基板または部品のうちの少なくとも一方に対する粘着力が低下するものであり、また、
前記エネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であり、かつ、温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで測定した複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であることを特徴とする粘着テープ。
(2) 前記ベース樹脂は、アクリル系樹脂である上記(1)に記載の粘着テープ。
(3) 前記硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートおよびビスフェノールA系のエポキシアクリレートのうちの少なくとも1種である上記(1)または(2)に記載の粘着テープ。
(4) 当該粘着テープは、前記基板を仮固定した状態で、前記粘着層上に積層された前記基板の前記粘着層と反対の面側を研削して、その厚さを薄くする研削加工を施す際に用いられるものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の粘着テープ。
(5) 前記基板は、複数の半導体素子が封止材により封止された半導体封止連結体であり、
当該粘着テープは、前記半導体素子が有する電極パッドが、前記粘着層の反対側となるように、前記半導体封止連結体を、当該粘着テープに仮固定した状態で、前記半導体封止連結体の前記粘着層と反対の面側を研削して、前記封止材から前記電極パッドを露出させる際に用いられるものである上記(4)に記載の粘着テープ。
(6) 当該粘着テープは、下記要件Aを満足する上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の粘着テープ。
要件A:エポキシ樹脂を主材料として含有し、板状をなす樹脂基板上に、当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、前記エネルギーの付与前において、25℃環境下において、当該粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて3000mm/分の速度で、当該粘着テープを引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度が60cN/20mm以上200cN/20mm以下であること。
(7) 前記粘着層は、その厚さが15μm以上30μm以下である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の粘着テープ。
(8) 前記基材は、前記粘着層と反対側の表面における表面抵抗率が1.0×1015(Ω/□)以下である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の粘着テープ。
本発明によれば、粘着テープが備える粘着層は、このものに対するエネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であり、かつ、温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで測定した複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下に設定されている。そのため、半導体封止連結体を含む各種基板または各種部品のような被着体を粘着テープで固定する際に、被着体と粘着層との間に気泡が噛み込むのを的確に抑制または防止することができる。そして、前記被着体の上面を研削・研磨する際に、粘着テープからの前記被着体の位置ズレを的確に抑制または防止して、優れた精度で前記被着体の上面を研削・研磨することができる。さらに、前記研削・研磨の後に、被着体から粘着テープを剥離させる際に、被着体に対して糊残りが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。 図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。 図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。 本発明の粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明の粘着テープについて詳細に説明する。
まず、本発明の粘着テープを説明するのに先立って、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置について説明する。
<半導体装置>
図1は、本発明の粘着テープを用いて製造された半導体装置の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
半導体装置20は、FOWLP型の半導体装置であり、図1に示すように、半導体素子26と、半導体素子26の下面側を、この半導体素子26が備える電極パッド261を露出させつつ封止する封止部27(モールド部)と、半導体素子26の下面側を、封止部27を介して被覆し、かつ半導体素子26が備える電極パッド261を露出させるように設けられた、開口部251を備える第1被覆部25と、開口部251を埋め、かつ第1被覆部25の一部を覆うことで半導体素子26が備える電極パッド261に電気的に接続された配線23と、配線23に電気的に接続されたバンプ(端子)21と、配線23を被覆し、かつバンプ21を露出させるように設けられた第2被覆部22とを有している。
半導体素子26(半導体チップ)は、電極パッド261をその下面側に有し、この電極パッド261が露出するように半導体素子26の下面側が封止部27で被覆されており、また、この電極パッド261に対応して第1被覆部25が備える開口部251が配置されるように、第1被覆部25が半導体素子26の下面側に封止部27を介して形成されている。
かかる位置に半導体素子26に対して第1被覆部25が配置された状態で、封止部27は、前記の通り、電極パッド261を露出させるように半導体素子26の下面側を被覆するとともに、第1被覆部25の上面側をほぼ全て覆うように形成される。なお、本実施形態では、封止部27は、半導体素子26の上面側を被覆しておらず、半導体素子26は、半導体装置20において、その上面を露出している。
第1被覆部25は、半導体素子26の下面側を被覆する被覆層であり、その平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされ、平面視において半導体素子26を包含するように半導体素子26に対して大きく形成され、これにより、第1被覆部25を覆うように形成される配線23、ひいては、この配線23に電気的に接続して設けられるバンプ21を形成する位置の選択性の幅が広がる。この第1被覆部25には、半導体素子26が備える電極パッド261に対応して、その厚さ方向に貫通する複数(本実施形態では3つ)の開口部251(スルーホール)が形成されている。
また、第1被覆部25の下面には、所定形状に形成された配線23が開口部251を埋めるように設けられ、この配線23が開口部251における上側の端部で、半導体素子26が備える電極パッド261と電気的に接続される。
さらに、配線23の下面には、バンプ21が電気的に接続されており、これにより、半導体素子26とバンプ21とが、電極パッド261および配線23を介して電気的に接続される。
そして、バンプ21をその下側から露出させるための開口部221を備える第2被覆部22が配線23を被覆するように設けられている。
なお、上述した半導体装置20が備える各部のうち、配線23、第2被覆部22およびバンプ21により半導体素子26に電気的に接続された配線層が構成される。
以上のような構成をなす半導体装置20は、本発明の粘着テープを用いた半導体装置の製造方法により、以下のようにして製造される。
<半導体装置の製造方法>
以下、本発明の粘着テープを用いた半導体装置20の製造方法の一例について詳述する。
この半導体装置20の製造方法は、本実施形態では、いわゆるFace Up Die First型の方法であり、平板状をなし、上面に粘着層が形成された支持基板を用意し、粘着層を介して、この支持基板上に、電極パッドが支持基板の反対側となるように半導体素子を配置する配置工程と、半導体素子が配置されている側の面に、支持基板と半導体素子とを覆うように封止して封止部を形成することにより、支持基板上に半導体封止連結体を得る封止部形成工程と、半導体封止連結体と粘着層との積層体から支持基板を剥離した後に、半導体封止連結体から粘着層を剥離する第1剥離工程と、本発明の粘着テープを用意し、粘着テープが備える粘着層上に、半導体素子が備える電極パッドが粘着層の反対側となるように半導体封止連結体を接合(仮固定)する接合工程と、半導体封止連結体の上面を研削および/または研磨する研削・研磨工程と、半導体封止連結体から粘着テープを剥離する第2剥離工程と、半導体封止連結体の電極パッドが形成されている面側に、この電極パッドが露出するように、開口部を備える第1被覆部を形成する第1被覆部形成工程と、第1被覆部の半導体封止連結体とは反対の面側に、第1被覆部が備える開口部で露出する電極パッドに電気的に接続する配線を形成する配線形成工程と、半導体封止連結体とは反対の面側に、配線の一部が露出するように、開口部を備える第2被覆部を形成する第2被覆部形成工程と、開口部で露出する前記配線に、バンプを電気的に接続するバンプ接続工程と、半導体素子毎に対応するように、半導体封止連結体を個片化することにより、複数の半導体装置を一括して得る個片化工程とを有する。
図2、図3は、図1に示す半導体装置を、本発明の粘着テープを用いて製造する方法を説明するための縦断面図である。なお、以下の説明では、図2、図3中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
[1]まず、図2(a)に示すように、上面に粘着層102が形成された支持基板101を用意し、粘着層102を介して支持基板101上に、複数の半導体素子26を、このものが有する電極パッド261が支持基板101の反対側(上側)となるように配置(載置)する(配置工程)。
なお、本工程において支持基板101上に配置される半導体素子26を、予め評価試験を行い良品と判断されたものを選定する構成とすることにより、本実施形態で一括して製造される半導体装置20の歩留まりの向上を図ることができるとともに、信頼性の高い半導体装置20が得られる。
この支持基板101は、半導体素子26を支持し得る程度の硬度を有するものが用いられ、例えば、金属基板、ガラス基板、コア材で構成されるコア基板、ビルドアップ材で構成されるビルドアップ基板のようなリジット基板(硬性基板)またはフレキシブル基板(可撓性基板)が用いられる。
また、粘着層102は、本工程[1]~後工程[3]において、支持基板101に半導体素子26を接着(接合)する機能を有し、かつ、後工程[4]、後工程[5]において、支持基板101、および、半導体封止連結体270(半導体素子26)を剥離させ得る程度の強度で半導体素子26に接着するものが選択される。
[2]次に、支持基板101の上面、すなわち半導体素子26が配置され、この半導体素子26の電極パッド261が形成されている側の面を、支持基板101と半導体素子26とを覆うように封止部27を形成する(図2(b)参照。;封止部形成工程)。
これにより、粘着層102を介して、支持基板101上に、複数の半導体素子26が封止部27により封止された半導体封止連結体270を得る。なお、この際、半導体素子26が備える電極パッド261が封止部27から露出することなく、電極パッド261の全体が封止部27中に埋没される厚さとなるまで、半導体素子26を封止部27で被覆する。
封止部27を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、金型が備える凹部内に顆粒状のエポキシ樹脂組成物を収納した状態で、支持基板101、半導体素子26を覆うように支持基板101の上面を、このエポキシ樹脂組成物に接触させた後、金型を用いてエポキシ樹脂組成物を加熱・圧縮成形する方法(コンプレッションモールド成形方法)が挙げられる。かかる方法によれば、半導体素子26を支持基板101上において容易かつ高密度に封止部27で封止することができる。
また、エポキシ樹脂組成物で構成される封止部27により支持基板101上に配置された半導体素子26を取り囲むようにして半導体素子26を封止する構成とすることにより、支持基板101と封止部27との間での熱線膨張係数の差を小さく設定することができる。これにより、支持基板101から半導体封止連結体270を剥離する際には、通常、これらを加熱することになるが、この際に、支持基板101と封止部27との間で反りが生じ、これに起因して、封止部27に亀裂が生じてしまうのを的確に抑制または防止することができる。
顆粒状のエポキシ樹脂組成物は、その構成材料として、エポキシ樹脂を含有するものである。
このエポキシ樹脂としては、例えば、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量および分子構造を特に限定するものではない。具体的には、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等の結晶性エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格含有ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂等の3官能型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂等の変性フェノール型エポキシ樹脂;トリアジン核含有エポキシ樹脂等の複素環含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エポキシ樹脂組成物は、その構成材料として、無機充填材を含有しているものであってもよい。
無機充填材としては、特に限定されず、例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等のシリカ;アルミナ;チタンホワイト;水酸化アルミニウム;タルク;クレー;マイカ;ガラス繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に溶融球状シリカが好ましい。
[3]次に、図2(c)に示すように、半導体封止連結体270と粘着層102との積層体から支持基板101を剥離した後に、さらに、半導体封止連結体270(半導体素子封止体)から粘着層102を引き剥がすことにより、半導体封止連結体270から粘着層102を剥離する(取り除く)(第1剥離工程)。
これにより、半導体封止連結体270の下面が粘着層102により被覆された積層体が得られた後に、半導体封止連結体270を、その下側の面側(他方の面側)から半導体素子26の電極パッド261と反対側の面(下面)が露出した状態で得ることができる。
なお、支持基板101の剥離は、例えば、支持基板101の一端を指または把持部を備える治具等で持ち、その後、この状態で支持基板101を、一端側から他端側に向かって、順次、引き剥がすことにより行うことができる。また、粘着層102の剥離は、例えば、粘着層102の一端を指または把持部を備える治具等で持ち、その後90°以上180°以下の方向を維持した状態で粘着層102を引き剥がすことにより行うことができる。
また、上記の配置工程[1]、封止部形成工程[2]および第1剥離工程[3]および第2剥離工程[5]を経ることにより、半導体素子26が備える電極パッド261が露出していない状態で、複数の半導体素子26が封止部27により封止された半導体封止連結体270を製造することができる。
[4]次に、図2(d)に示すように、基材5と、この基材5上に積層された粘着層2とを備える粘着テープ100を用意し、この粘着テープ100の粘着層2上に、半導体封止連結体270を、このものが備える半導体素子26が有する電極パッド261が粘着テープ100と反対側(上側)となるように接合することで固定(仮固定)する(接合工程)。
この本工程[4]における、粘着テープ100に対する半導体封止連結体270の固定に、本発明の粘着テープ100が用いられる。すなわち、本工程[4]において、粘着テープ100として、粘着層2へのエネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であるものが用いられる。
そのため、本工程[4]において、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270を接合する際に、半導体封止連結体270と粘着層2との間に気泡が噛み込むのを的確に抑制または防止することができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
[5]次に、図2(e)に示すように、封止部27の上面、すなわち、半導体封止連結体270の上面を、研削および研磨のうちの少なくとも一方を実施する。換言すれば、半導体封止連結体270の上面を、研削加工および/または研磨加工する(研削・研磨工程)。そして、この半導体封止連結体270の上面における研削・研磨を、半導体封止連結体270の上面から半導体素子26が備える電極パッド261が露出するまで実施する。
これにより、半導体封止連結体270の上面から半導体素子26が備える電極パッド261を露出させることができるとともに、不要な封止部27を除去し得ることから、半導体封止連結体270、ひいては、半導体封止連結体270から得られる半導体装置20の薄型化および軽量化が図られることとなる。
この封止部27の研削および/または研磨は、例えば、研削装置(グラインダー)が備える研削盤を用いて行うことができる。
この本工程[5]において、本発明の粘着テープ100が用いられる。すなわち、本工程[5]における基板としての半導体封止連結体270の上面における研削および/または研磨において、粘着テープ100として、粘着層2へのエネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで測定した複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であるものが用いられる。
そのため、本工程[5]において、半導体封止連結体270の上面側を研削および/または研磨する際、すなわち不要な封止部27を除去する際に、粘着テープ100により半導体封止連結体270を研削・研磨する際の衝撃を的確に吸収するとともに、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270が位置ズレするのを的確に抑制または防止することができるため、優れた精度で半導体封止連結体270の上面を研削および/または研磨し得るが、その詳細な説明は後に行うこととする。
[6]次に、図2(f)に示すように、半導体封止連結体270から粘着テープ100を剥離する(取り除く)(第2剥離工程)。これにより、上面側が研削・研磨された半導体封止連結体270を得る。
これにより、複数の半導体素子26が、封止部27により封止された半導体封止連結体270を、その上側の面側(研削面側)から半導体素子26が備える電極パッド261が露出した状態で得ることができる。
この本工程[6]における、半導体封止連結体270からの粘着テープ100の剥離に、本発明の粘着テープ100が用いられる。すなわち、本工程[6]において、粘着テープ100として、粘着層2へのエネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であるものが用いられる。
そのため、本工程[6]において、半導体封止連結体270から粘着テープ100を剥離させる際に、粘着層2に対してエネルギーを付与することで、半導体封止連結体270に対する粘着テープ100の粘着力を的確に低下させることができるため、半導体封止連結体270に糊残りするのを的確に抑制または防止することができるが、その詳細な説明は後に行うこととする。
また、粘着テープ100の剥離は、粘着テープ100が備える粘着層2にエネルギーを付与することで、粘着層2の半導体封止連結体270に対する粘着性を低下させて、粘着層2と半導体封止連結体270との間で剥離が生じる状態とし、その後、例えば、粘着テープ100の一端を指または把持部を備える治具等で持った後に、90°以上180°以下の方向を維持した状態で粘着テープ100を、一端側から他端側に向かって、順次、引き剥がすことにより行うことができる。
粘着層2にエネルギーを付与する方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着層2にエネルギー線を照射する方法、粘着層2を加熱する方法等が挙げられるが、中でも、粘着層2にエネルギー線を粘着テープ100の基材5側から照射する方法を用いるのが好ましい。
かかる方法は、半導体装置20が不要な熱履歴を経る必要がなく、また、粘着層2に対して比較的簡単に効率よくエネルギーを付与することができるので、エネルギーを付与する方法として好適に用いられる。
また、エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、イオンビームのような粒子線等や、またはこれらのエネルギー線を2種以上組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、特に、紫外線を用いるのが好ましい。紫外線によれば、粘着層2の半導体封止連結体270に対する粘着性を効率よく低下させることができる。
上記のような、本発明の粘着テープ100を用いた、研削・研磨工程[5]および第2剥離工程[6]を経ることで、半導体封止連結体270の上面(研削・研磨面)側から半導体素子26が備える電極パッド261が露出する、薄型化および軽量化が図られた半導体封止連結体270を製造することができる。すなわち、粘着テープ100は、半導体封止連結体270を、粘着層2上に基板として積層した状態で、半導体封止連結体270の封止部27を研削することで、半導体封止連結体270の上面(研削・研磨面)側から半導体素子26が備える電極パッド261を露出させるとともに、半導体封止連結体270の厚さを薄くする研削・研磨加工を施した後に、この半導体封止連結体270を粘着テープ100から剥離させる際に用いられる。
[7]次に、図3(a)に示すように、半導体封止連結体270の電極パッド261が形成されている面側(下面側)に、この電極パッド261が露出するように、開口部251を備える第1被覆部25を形成する(第1被覆部形成工程)。なお、図2では、半導体封止連結体270の上面側を研削・研磨することで、その上面側から半導体素子26が備える電極パッド261が露出していたが、図3では、この半導体封止連結体270を上下反転させて、半導体封止連結体270の電極パッド261が下側の面(下面)側から露出している場合を提示している。
この第1被覆部25の形成は、感光性を有する絶縁性材料を含有する液状材料(ワニス)を、塗布法等を用いて半導体封止連結体270の電極パッド261が形成されている面(下面)側に供給し、次いで、形成すべき開口部251の形状に対応するフォトマスクを介して露光した後、現像液(エッチング液)で開口部251とすべき領域を除去することにより形成される。
ここで、本工程において用いられる、感光性を有する絶縁性材料としては、特に限定されないが、優れた密着性、厚さ均一性および段差埋め込み性を有するものとして、例えば、アルカリ可溶性樹脂と感光剤とを含有するアルカリ可溶系樹脂組成物が好適に用いられる。
なお、このようなアルカリ可溶系樹脂組成物は、通常、アルカリ可溶性樹脂と感光剤とを溶媒に溶解し、液状材料(ワニス状)にして使用される。
[8]次に、図3(b)に示すように、第1被覆部25の半導体封止連結体270とは反対の面側に、開口部251で露出する電極パッド261に電気的に接続するように、所定形状にパターニングされた配線23を、開口部251を埋めた状態で形成する(配線形成工程)。
この配線23を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、I:電解メッキ法、無電解メッキ法のようなメッキ法を用いて配線23を形成する方法、II:導電性材料を含有する液状材料を供給し乾燥・固化することにより配線23を形成する方法等が挙げられるが、Iの方法、特に電解メッキ法を用いて配線23を形成するのが好ましい。電解メッキ法によれば、半導体素子26が有する電極パッド261に対して、優れた密着性を発揮する配線23を容易かつ確実に形成することができる。
[9]次に、図3(c)に示すように、第1被覆部25の半導体封止連結体270とは反対の面側に、配線23の一部が露出するように、開口部221を備える第2被覆部22を形成する(第2被覆部形成工程)。
なお、この開口部221は、次工程[10]において、バンプ21を形成する位置に対応するように形成される。
また、開口部221から露出する配線23上には、被覆層(アンダー・バリア・メタル層(UBM層))を形成するのが好ましい。これにより、例えば、配線23がCuや、Cu系合金で構成される場合には、配線23からバンプ21に対するCu原子の溶出を的確に抑制または防止することができる。
このような、被覆層は、通常、主としてNiで構成される下層上に、主としてAuで構成される上層を積層した積層体で構成され、例えば、無電解メッキ法を用いて形成される。
この第2被覆部22の形成は、感光性を有する絶縁性材料を含有する液状材料(ワニス)を塗布法等を用いて第1被覆部25の半導体封止連結体270とは反対の面側に供給し、次いで、形成すべき開口部221の形状に対応するフォトマスクを介して露光した後、現像液(エッチング液)で開口部221とすべき領域を除去することにより形成される。
ここで、本工程において用いられる、感光性を有する絶縁性材料としては、特に限定されないが、優れた密着性、厚さ均一性および段差埋め込み性を有するものとして、例えば、アルカリ可溶性樹脂と感光剤とを含有するアルカリ可溶系樹脂組成物が好適に用いられる。
なお、このようなアルカリ可溶系樹脂組成物は、通常、アルカリ可溶性樹脂と感光剤とを溶媒に溶解し、液状材料(ワニス状)にして使用される。
[10]次に、図3(d)に示すように、開口部221から露出する配線23に電気的に接続するようにバンプ21を形成する(バンプ接続工程)。
ここで、本実施形態のように、電極パッド261とバンプ21との接続を、配線23を介して行う構成とすることにより、バンプ21を、第1被覆部25の面方向において、開口部251とは異なる位置に配置することができる。換言すれば、バンプ21と開口部251との中心部が重ならないように、これらを配置することができる。したがって、得られる半導体装置20における下面の所望の位置にバンプ21を形成することができる。
このバンプ21を配線23に接合する方法としては、特に限定されないが、例えば、バンプ21と配線23との間に、粘性を有するフラックスを介在させることにより行われる。
また、バンプ21の構成材料としては、例えば、半田、銀ろう、銅ろう、燐銅ろうのようなろう材等が挙げられる。
なお、上記のような工程[7]~工程[10]により、半導体封止連結体270が有する半導体素子26に電気的に接続された、第1被覆部25、配線23、第2被覆部22およびバンプ21を備える配線層を形成する配線層形成工程が構成される。
[11] 次に、図3(e)に示すように、半導体素子26毎に対応するように、第2被覆部22等が設けられた半導体封止連結体270を個片化することにより、複数の半導体装置20を一括して得る(個片化工程)。
この半導体封止連結体270の個片化は、例えば、半導体封止連結体270を粘着テープに仮固定した状態で、半導体封止連結体270の厚さ方向に、ダイシングソー等を用いて、厚さ方向において半導体素子26に対応しない位置で、封止部27、第1被覆部25および第2被覆部22を切断し、その後、粘着テープを剥離させることにより行うことができる。
以上のような工程を経て、複数の半導体装置20が製造される。
このような半導体装置20の製造方法によれば、半導体素子26を備える半導体装置20を、一括して製造することが可能となる。
さらに、前記工程[5]~[6]において用いる粘着テープとして、本発明の粘着テープ100を用いることにより、半導体封止連結体270の上面における研削および/または研磨、すなわち不要な封止部27の除去を、優れた精度で実施することができ、かつ、この研削・研磨の後に、半導体封止連結体270から粘着テープ100を、優れた精度で剥離させることができる。したがって、前記工程[10]で得られる複数の半導体装置20は、薄型化および軽量化が図られ、かつ、信頼性の高いものとなる。
なお、半導体装置20は、本実施形態では、FOWLP型の半導体装置であり、かかる構成の半導体装置20は、前述の通りの工程を経て製造される、Face Up Die First型の製造方法を用いて製造することができるが、その他、いわゆるFace Down Die First型およびFace Down Die Last型等の製造方法を用いても製造することができる。
また、粘着テープ100は、上記のような半導体装置20の製造方法、すなわち、半導体封止連結体270の上面を研削・研磨する場合に適用し得る他、例えば、基板としてのガラス基板、セラミック基板、樹脂材料基板および金属材料基板の上面を研削・研磨する場合においても適用が可能である。
以下、本発明が適用された粘着テープ100ついて説明する。
<粘着テープ>
図4は、粘着テープの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
粘着テープ100は、基材5と、この基材5の上面(一方の面)に積層された粘着層2とを備える積層体により構成され、半導体封止連結体270(基板)を仮固定して用いるものであり、前述したように、粘着層2は、粘着性を有するベース樹脂と、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂とを含有し、エネルギーの付与により、粘着層2上に載置された半導体封止連結体270に対する粘着力が低下するものであり、また、エネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であり、かつ、温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで測定した複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下である。
ここで、粘着層2に対するエネルギーの付与前において、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した粘着層2の前記複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であることは、常温時において、適度な複素粘度範囲となり、粘着層2が優れた柔軟性を有していることを示している。
このように、本発明では、前記複素粘度η(25℃、1Hz)が9.5×10mPa・s以下に設定されており、粘着層2が優れた柔軟性を示していると言える。そのため、前記工程[4]において、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270を接合する際に、半導体封止連結体270と粘着層2との間に気泡が噛み込むのを的確に抑制または防止することができる。ここで、前記工程[5]における半導体封止連結体270の研削および/または研磨では、上面に研削水を供給しつつ、この研削および/または研磨が実施されるが、前記工程[4]において、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270を接合する際に、半導体封止連結体270と粘着層2との間に気泡が噛み込むのが的確に抑制または防止されている。そのため、噛み込んだ気泡を介して、研削水が半導体封止連結体270に対して浸入し、これを起点として、半導体封止連結体270から粘着テープ100が剥離するのを的確に抑制または防止することができる。また、前記工程[6]において、半導体封止連結体270から粘着テープ100を剥離させるために、粘着層2に対してエネルギーを付与することで粘着層2の粘着力を低下させる際に、半導体封止連結体270と粘着層2との間に気泡が噛み込むのが的確に抑制または防止されていることから、この気泡に対応する位置で、粘着層2の粘着力が低下しなくなるのを的確に抑制または防止し得る。その結果、前記工程[6]における、半導体封止連結体270からの粘着テープ100の剥離を、半導体封止連結体270に糊残りするのを的確に抑制または防止して、実施することができる。
また、本発明では、前記複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上に設定されており、粘着層2が優れた柔軟性を示しつつ、適度な硬度を有していると言える。そのため、前記工程[6]において、半導体封止連結体270から粘着テープ100を剥離させる際に、粘着層2に対してエネルギーを付与することで粘着層2の粘着力を低下させたとしても、粘着層2が過度に柔らかくなるのを的確に抑制または防止することができる。その結果、かかる観点からも、半導体封止連結体270からの粘着テープ100の剥離を、半導体封止連結体270に糊残りするのを的確に抑制または防止して、実施することができる。
さらに、粘着層2に対するエネルギーの付与前において、温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで測定した粘着層2の前記複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であることは、加熱時および高振動時において、適度な複素粘度範囲となり、保持性を備えることにより、前記工程[6]において、半導体封止連結体270を研削および/または研磨して、その厚さを薄くする際に、研削装置(グラインダー)から発生する振動により、粘着テープ100から半導体封止連結体270が位置ズレするのを的確に抑制または防止し得る。したがって、半導体封止連結体270の上面を優れた精度で研削および/研磨することができる。また、前記工程[6]において、研削装置を用いた半導体封止連結体270の研削および/または研磨時(バックグラインド時)に、摩擦熱が発生しても半導体封止連結体270に対する糊残りの発生を的確に抑制または防止することができる。
以上のことから、半導体封止連結体270の上面に対して研削・研磨する際に、粘着テープ100として本発明の粘着テープを用いることで、半導体封止連結体270の研削・研磨を、優れた精度で実施し得るとともに、この研削・研磨の後に、半導体封止連結体270から粘着テープ100を、優れた精度で剥離させることができる。
以下、このような粘着テープ100(バックグラインドテープ)が有する、基材5および粘着層2について、詳述する。
<基材5>
基材5は、主として樹脂材料から成り、シート状をなしており、この基材5上に設けられた粘着層2を支持する機能を有している。さらに、前記工程[5]において、半導体封止連結体270の上面を研削および/または研磨する際に、粘着層2を介して、半導体封止連結体270を支持する機能を有するものである。
かかる樹脂材料としては、特に限定されず、例えば、オレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂(エステル類高分子)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトンのようなポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン系高分子)、アクリル樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリビニルイソプレン、ポリカーボネート(カーボネート系高分子)等の熱可塑性樹脂や、これらの熱可塑性樹脂の混合物が用いられる。
これらの樹脂材料は、光(可視光線、近赤外線、紫外線)、X線、電子線等のエネルギー線を透過し得る材料であることから、エネルギー線を基材5側から基材5を透過させて粘着層2に照射する場合に好ましく用いることができる。そのため、エネルギー線を基材5側から粘着層2に照射することで、粘着層2の粘着性を低下させて半導体封止連結体270から粘着テープ100を容易に剥離させることができる。
特に、樹脂材料としては、オレフィン系樹脂を用いることが好ましい。オレフィン系樹脂を用いることで、前記工程[5]において、半導体封止連結体270の上面を研削および/または研磨する際に、半導体封止連結体270に対して、均一な支持力で支持することができる。そのため、半導体封止連結体270の上面を、優れた精度で研削および/または研磨することができる。
かかるオレフィン系樹脂としては、特に限定されないが、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレンのようなポリエチレン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン-メタクリレート共重合体(EMAA)や、亜鉛イオン架橋体、ナトリウムイオン架橋体またはカリウムイオン架橋体としてのエチレン系アイオノマー等のアイオノマーのようなエチレン共重合体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、基材5は、導電性を有する導電性材料を含有することが好ましい。このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記研削・研磨工程[5]、および、前記第2剥離工程[6]における、半導体封止連結体270での静電気の発生を的確に抑制または防止することができる。
この導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、例えば、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属材料、金属酸化物材料および炭素系材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらのうち界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤等が挙げられる。
永久帯電防止高分子(IDP)としては、例えば、ポリエーテルとポリオレフィンブロックポリマー系列、ポリエーテルエステルアミドのようなポリエーテル系列、ポリエステルアミド系列、ポリエステルアミド、ポリウレタン系列等の全てのIDPを用いることができる。
また、金属材料としては、金、銀、銅または銀コート銅、ニッケル等が挙げられ、これらの金属粉が好ましく用いられる。
金属酸化物材料としては、インジウムティンオキサイド(ITO)、インジウムオキサイド(IO)、アンチモンティンオキサイド(ATO)、インジウムジンクオキサイド(IZO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、等が挙げられ、これらの金属酸化物粉が好ましく用いられる。
さらに、炭素系材料としては、カーボンブラック、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのようなカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、CNナノチューブ、CNナノファイバー、BCNナノチューブ、BCNナノファイバー、グラフェン等が挙げられる。
これらの中でも、導電性材料としては、界面活性剤、永久帯電防止高分子(IDP)、金属酸化物材料およびカーボンブラックのうちの少なくとも1種であることが好ましい。これらのものは、抵抗率の温度依存性が小さいものであることから、前記工程[5]において、半導体封止連結体270を研削および/または研磨する際に、基材5が加熱されたとしても、その表面抵抗率の変化量を小さくすることができる。
また、基材5が導電性材料を含有する場合、基材5は、粘着層2と反対側の表面における表面抵抗率が1.0×1015(Ω/□)以下であることが好ましく、1.0×1012(Ω/□)以下であることがより好ましい。これにより、基材5に導電性材料を含有させることにより得られる効果を、より顕著に発揮させることができる。
さらに、基材5は、鉱油のような軟化剤、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、マイカ、クレーのような充填材、酸化防止剤、光安定剤、滑剤、分散剤、中和剤、着色剤等を含有するものであってもよい。
基材5の厚さは、例えば、30μm以上160μm以下であるのが好ましく、80μm以上120μm以下であるのがより好ましい。基材5の厚さがこの範囲内であると、基材5としての機能をより確実に発揮させて、前記工程[5]における半導体封止連結体270の研削および/または研磨を、優れた作業性により実施することができる。
さらに、基材5は、その表面に、粘着層2に含まれる構成材料と反応性を有する、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基のような官能基が露出していてもよい。
また、基材5は、異なる前記樹脂材料で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
<粘着層2>
粘着層2は、前記工程[5]において、半導体封止連結体270を研削および/または研磨する際に、半導体封止連結体270に粘着して支持し、かつ、前記工程[6]において、粘着層2にエネルギーを付与して粘着層2が硬化することにより、半導体封止連結体270から剥離させ得る程度の粘着性を有するものである。特に、この粘着層2は、本発明では、粘着層2に対するエネルギーの付与前において、粘着層2の前記複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であり、かつ、粘着層2の前記複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であることを満足している。そのため、前記工程[4]における、半導体封止連結体270の粘着テープ100に対する接合の際に、半導体封止連結体270と粘着層2との間に気泡が噛み込むのを的確に抑制または防止し得ることから、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270を、優れた精度で接合することができる。また、前記工程[5]における、半導体封止連結体270の研削および/または研磨の際に、半導体封止連結体270を優れた精度で支持することができる。したがって、半導体封止連結体270の研削および/または研磨を、優れた精度で実施することができる。
このような粘着層2は、(1)粘着性を有するベース樹脂と、(2)粘着層2を硬化させる硬化性樹脂と、を主材料として含有する樹脂組成物で構成される。
以下、この樹脂組成物に含まれる各成分について、順次、詳述する。
(1)ベース樹脂
ベース樹脂は、粘着性を有し、半導体封止連結体270に対する粘着性を粘着層2に付与するために、樹脂組成物中に含まれるものである。
このようなベース樹脂としては、アクリル系樹脂(粘着剤)、シリコーン系樹脂(粘着剤)、ポリエステル系樹脂(粘着剤)、ポリ酢酸ビニル系樹脂(粘着剤)、ポリビニルエーテル系樹脂(粘着剤)、スチレン系エラストマー樹脂(粘着剤)、ポリイソプレン系樹脂(粘着剤)、ポリイソブチレン系樹脂(粘着剤)またはウレタン系樹脂(粘着剤)のような粘着層成分として用いられる公知のものが挙げられるが、中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。ベース樹脂としてアクリル系樹脂を用いることにより、粘着層2の前記複素粘度η(25℃、1Hz)および前記複素粘度η(80℃、100Hz)の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。また、アクリル系樹脂は、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できることから、かかる観点からも、ベース樹脂として好ましく用いられる。
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルをモノマー主成分とするポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー)をベースポリマーとするもののことを言う。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルのような(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸フェニルのような(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルのような(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、特に、耐熱性に優れ、また、比較的容易かつ安価に入手できる。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの双方を含む意味で用いることとする。
アクリル系樹脂は、凝集力、耐熱性等の改質等を目的として、必要に応じて、ポリマーを構成するモノマー成分として、共重合性モノマーを含むものが用いられる。
このような共重合性モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシルのようなヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸グリシジルのようなエポキシ基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸のようなカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸のような酸無水物基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドのようなアミド系モノマー、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルのようなアミノ基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリルのようなシアノ基含有モノマー、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンのようなオレフィン系モノマー、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのようなスチレン系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステル系モノマー、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルのようなビニルエーテル系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデンのようなハロゲン原子含有モノマー、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルのようなアルコキシ基含有モノマー、N-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン等の窒素原子含有環を有するモノマー等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら共重合性モノマーの含有量は、アクリル系樹脂を構成する全モノマー成分に対して、40重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
また、共重合性モノマーは、アクリル系樹脂を構成するポリマーにおける主鎖の末端に含まれるものであってもよいし、その主鎖中に含まれるもの、さらには、主鎖の末端と主鎖中との双方に含まれるものであってもよい。
さらに、共重合性モノマーには、ポリマー同士の架橋等を目的として、多官能性モノマーが含まれていてもよい。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ブチルジ(メタ)アクリレート、ヘキシルジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよび酢酸ビニルポリマー等も、共重合性モノマー成分として用いることができる。
なお、このようなアクリル系樹脂(ポリマー)は、単一のモノマー成分または2種以上のモノマー成分の混合物を重合させることにより生成させることができる。また、これらモノマー成分の重合は、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、懸濁重合方法等の重合方法を用いて実施することができる。
アクリル系樹脂は、前記工程[6]において、半導体封止連結体270から粘着テープ100を剥離する際に、アクリル系樹脂による半導体封止連結体270等の汚染を防止するという観点から、低分子量物の含有量が少ないものであることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは30万~500万に設定され、より好ましくは50万~500万に設定され、さらに好ましくは80万~300万に設定される。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量が、モノマー成分の種類等によっては、50万未満であると、半導体封止連結体270等に対する汚染防止性が低下し、その結果、半導体封止連結体270を剥離させた際に、半導体封止連結体270に糊残りが生じるおそれがある。
なお、アクリル系樹脂は、ヒドロキシル基やカルボキシル基(特に、ヒドロキシル基)のような、架橋剤や光重合開始剤に対して反応性を有する官能基(反応性官能基)を有していることが好ましい。これにより、架橋剤や光重合開始剤がポリマー成分であるアクリル系樹脂に連結するため、粘着層2からこれら架橋剤や光重合開始剤が漏出することを的確に抑制または防止することができる。その結果、前記工程[6]におけるエネルギー線照射により、粘着層2の半導体封止連結体270に対する粘着性が確実に低下される。
(2)硬化性樹脂
硬化性樹脂は、例えば、エネルギー線の照射により硬化する硬化性を備えるものである。この硬化によってベース樹脂が硬化性樹脂の架橋構造に取り込まれた結果、粘着層2の粘着力が低下する。
このような硬化性樹脂としては、例えば、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射によって三次元架橋可能な重合性炭素-炭素二重結合を、官能基として少なくとも2個以上分子内に有する低分子量化合物が用いられる。具体的には、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、1,4-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、エステルアクリレートオリゴマー、2-プロペニル-ジ-3-ブテニルシアヌレート等の炭素-炭素二重結合含有基を有しているシアヌレート系化合物、トリス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2-メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、2-ヒドロキシエチル ビス(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ビス(2-アクリロキシエチル)2-[(5-アクリロキシヘキシル)-オキシ]エチルイソシアヌレート、トリス(1,3-ジアクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(1-アクリロキシエチル-3-メタクリロキシ-2-プロピル-オキシカルボニルアミノ-n-ヘキシル)イソシアヌレート、トリス(4-アクリロキシ-n-ブチル)イソシアヌレートのような炭素-炭素二重結合含有基を有しているイソシアヌレート系化合物、市販のオリゴエステルアクリレート、芳香族系、脂肪族系等のウレタンアクリレート、ビスフェノールA系のエポキシアクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ウレタンアクリレートおよびビスフェノールA系のエポキシアクリレートのうちの少なくとも1種が含まれることが好ましい。これにより、エネルギー線の照射により硬化性樹脂をより確実に硬化させることができる。また、粘着層2の前記複素粘度η(25℃、1Hz)および前記複素粘度η(80℃、100Hz)の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
また、硬化性樹脂には、特に限定されないが、重量平均分子量の異なる2つ以上の硬化性樹脂が混合されているのが好ましい。このような硬化性樹脂を利用すれば、エネルギー線照射による樹脂の架橋度を容易に制御することができ、前記工程[6]における半導体封止連結体270からの粘着テープ100の剥離性を向上させることができる。また、このような硬化性樹脂として、例えば、第1の硬化性樹脂と、第1の硬化性樹脂よりも重量平均分子量が大きい第2の硬化性樹脂との混合物等が用いられてもよい。
硬化性樹脂を、第1の硬化性樹脂と、第2の硬化性樹脂との混合物とする場合、第1の硬化性樹脂の重量平均分子量は、100~1000程度であることが好ましく、200~500程度であることがより好ましい。また、第2の硬化性樹脂の重量平均分子量は、1000~30000程度であることが好ましく、1000~10000程度であることがより好ましく、2000~5000程度であることがさらに好ましい。さらに、第1の硬化性樹脂の官能基数は、1~5官能基であることが好ましく、第2の硬化性樹脂の官能基数は、6官能基以上であることが好ましい。かかる関係を満足することにより、前記効果をより顕著に発揮させることができる。
硬化性樹脂は、ベース樹脂100重量部に対して50重量部以上200重量部以下で配合されることが好ましく、100重量部以上180重量部以下で配合されることがより好ましい。これにより、樹脂組成物中に、硬化性樹脂およびベース樹脂を、それぞれ添加することにより発揮される機能を、硬化性樹脂とベース樹脂との双方に確実に発揮させることができる。
なお、この硬化性樹脂は、前述したアクリル系樹脂として、二重結合導入型アクリル系樹脂を用いた場合、すなわち、炭素-炭素二重結合を、側鎖、主鎖中または主鎖の末端に有しているものを用いた場合には、その樹脂組成物中への添加を省略するようにしてもよい。これは、アクリル系樹脂が二重結合導入型アクリル系樹脂である場合には、エネルギー線の照射により、二重結合導入型アクリル系樹脂が備える炭素-炭素二重結合の機能によって、粘着層2が硬化し、これにより、粘着層2の粘着力が低下することによる。
(3)光重合開始剤
また、粘着層2は、エネルギー線の照射により半導体封止連結体270に対する粘着性が低下するものであるが、エネルギー線として紫外線等を用いる場合には、粘着層2を構成する樹脂組成物には、硬化性樹脂の重合開始を容易とするために光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、α-ヒドロキシ-α,α’-ジメチルアセトフェノン、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ミヒラーズケトン、アセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)-フェニル]-2-モルホリノプロパン-1、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジル、ベンゾイン、ジベンジル、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキシメチルフェニルプロパン、2-ナフタレンスルホニルクロリド、1-フェノン-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、o-アクリルオキシベンゾフェノン、p-アクリルオキシベンゾフェノン、o-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-(メタ)アクリルオキシエトキシベンゾフェノン、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,2-エタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,8-オクタンジオールモノ(メタ)アクリラートのようなアクリラートのベンゾフェノン-4-カルボン酸エステル、チオキサンソン、2-クロロチオキサンソン、2-メチルチオキサンソン、2,4-ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4-ジクロロチオキサンソン、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン、アゾビスイソブチロニトリル、β-クロールアンスラキノン、カンファーキノン、ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート、ポリビニルベンゾフェノン、クロロチオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-エチルアントラキノン、t-ブチルアントラキノン、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの中でも、ベンゾフェノン誘導体およびアルキルフェノン誘導体であることが好ましい。これらの化合物は分子中に反応性官能基として水酸基を備えるものであり、この反応性官能基を介して、ベース樹脂や硬化性樹脂に連結することができ、光重合開始剤としての機能をより確実に発揮させることができる。
光重合開始剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.1重量部以上50重量部以下で配合されることが好ましく、0.5重量部以上10重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように光重合開始剤の配合量を調整することによって、樹脂組成物中に、光重合開始剤を添加することにより発揮される機能を、光重合開始剤に確実に発揮させることができる。
(4)架橋剤
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤が含まれることで、粘着層2を適度な硬さを有するものに調整することができる。また、粘着層2の前記複素粘度η(25℃、1Hz)および前記複素粘度η(80℃、100Hz)の大きさを、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、尿素樹脂系架橋剤、メチロール系架橋剤、キレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、多価金属キレート系架橋剤、酸無水物系架橋剤、ポリアミン系架橋剤、カルボキシル基含有ポリマー系架橋剤等が挙げられる。これらの中でもイソシアネート系架橋剤が好ましい。
イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、多価イソシアネートのポリイソシアネート化合物およびポリイソシアネート化合物の三量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート化合物の三量体または末端イソシアネートウレタンプレポリマーをフェノール、オキシム類等で封鎖したブロック化ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、多価イソシアネートとして、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、1,4-キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-〔2,2-ビス(4-フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも2,4-トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートから成る群より選択される少なくとも1種の多価イソシアネートが好ましい。
架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上50重量部以下で配合されることが好ましく、5重量部以上50重量部以下で配合されることがより好ましい。上記のように架橋剤の配合量を調整することで、樹脂組成物中に、架橋剤を添加することにより発揮される機能を、架橋剤に確実に発揮させることができる。
(5)その他の成分
さらに、粘着層2を構成する樹脂組成物には、上述した各成分(1)~(4)の他に他の成分として、導電性材料、粘着付与剤、老化防止剤、粘着調整剤、充填材、着色剤、難燃剤、軟化剤、酸化防止剤、可塑剤、界面活性剤等のうちの少なくとも1種が含まれていてもよい。
なお、これらのうち導電性材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されないが、前記基材5に含まれる導電性材料として説明したのと、同様のものを用いることができる。
このような導電性材料が含まれることで、導電性材料に帯電防止剤としての機能を発揮させて、前記研削・研磨工程[5]、および、前記第2剥離工程[6]における、半導体封止連結体270での静電気の発生が的確に抑制または防止される。
基材5および粘着層2のうちの一方に導電性材料を含有させる構成とする場合には、基材5に導電性材料を含有させることが好ましい。これにより、半導体封止連結体270に導電性材料を確実に付着させることなく、半導体封止連結体270での静電気の発生をより的確に抑制または防止することができる。
また、これらのうち粘着付与剤としては、特に限定されないが、例えば、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族共重合系石油樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上のような、粘着層2に含まれる、成分(1)、(2)を必須成分とする各成分(1)~(5)の種類、および含有量を適宜選択することにより、前記複素粘度η(25℃、1Hz)および複素粘度η(80℃、100Hz)の大きさを、それぞれ、5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下および1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下に設定することができるが、前記複素粘度η(25℃、1Hz)は、7.0×10mPa・s以上8.5×10mPa・s以下であることが好ましく、9.0×10mPa・s以上8.0×10mPa・s以下であることがより好ましい。また、前記複素粘度η(80℃、100Hz)は、4.0×10mPa・s以上4.0×10mPa・s以下であることが好ましく、7.0×10mPa・s以上3.0×10mPa・s以下であることがより好ましい。これにより、前記複素粘度η(25℃、1Hz)を、前記範囲内に設定することにより得られる効果、すなわち、前記工程[4]において、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270を接合する際に、半導体封止連結体270と粘着層2との間に気泡が噛み込むのを的確に抑制または防止することができると言う効果、さらには、前記工程[6]において、半導体封止連結体270から粘着テープ100を剥離させる際に、半導体封止連結体270に糊残りするのを的確に抑制または防止することができると言う効果を、より顕著に発揮させることができる。また、前記複素粘度η(80℃、100Hz)を、前記範囲内に設定することにより得られる効果、すなわち、前記工程[5]において、半導体封止連結体270の上面を研削および/または研磨する際、すなわち不要な封止部27を除去して電極パッド261を露出させる際に、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270が位置ズレするのを的確に抑制または防止して、優れた精度で半導体封止連結体270の上面を研削および/または研磨することができると言う効果を、より顕著に発揮させることができる。
また、前記工程[4]において、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270を固定させる際に、粘着層2に求められる粘着力の程度、さらには、前記工程[5]において、半導体封止連結体270の上面を研削および/または研磨する際に、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270が位置ズレすることなく、粘着テープ100で半導体封止連結体270を保持する程度は、例えば、以下に示すように設定されていることが好ましい。
すなわち、エポキシ樹脂を主材料として含有し、板状をなす樹脂基板上に、粘着テープ100を貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、前記エネルギーの付与前において、25℃環境下において、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて3000mm/分の速度で、粘着テープ100を引き剥がしたときに測定される引き剥がし強度が60cN/20mm以上200cN/20mm以下であることが好ましく、70cN/20mm以上180cN/20mm以下であることがより好ましい。これにより、半導体封止連結体270を粘着テープ100で固定する際に、半導体封止連結体270に対して粘着テープ100を安定的に貼付し得ると言うことができる程度の強度で、半導体封止連結体270に対して粘着テープ100が接合されていることから、前記工程[4]における、粘着テープ100に対する半導体封止連結体270の固定時に、半導体封止連結体270と粘着テープ100との間に気泡が噛み込むのを的確に抑制または防止することができる。さらには、半導体封止連結体270が粘着テープ100で優れた保持性をもって保持されていると言うことができる程度の強度で、半導体封止連結体270に対して粘着テープ100が貼付されていることから、前記工程[5]において、研削装置(グラインダー)を用いて半導体封止連結体270の研削および/研磨時に、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270が位置ズレするのを的確に抑制または防止することができる。
また、粘着層2の厚さは、特に限定されないが、例えば、15μm以上30μm以下であるのが好ましく、20μm以上27μm以下であるのがより好ましい。粘着層2の厚さをかかる範囲内とすることで、前記工程[4]において、粘着テープ100に対して半導体封止連結体270を固定する際に、半導体封止連結体270と粘着テープ100との間に気泡が噛み込むのをより的確に抑制または防止することができる。
なお、粘着層2は、異なる前記樹脂組成物で構成される層を複数積層した積層体(多層体)で構成されるものであってもよい。
以上のような粘着テープ100は、その粘着テープ100の保管・輸送時には、その両面には、セパレーターが積層されていてもよい。これにより、粘着テープ100の保管・輸送時において、粘着テープ100の表面が汚染されるのを確実に防止することができる。
また、セパレーターとしては、特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム等が挙げられる。
なお、本発明の粘着テープ100を用いて製造された半導体装置20は、例えば、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーション、パーソナルコンピュータ、ゲーム機、液晶テレビ、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プリンタ等に広く用いることができる。
また、本実施形態では、半導体装置20を、ファン・アウト・ウエハ・レベル・パッケージ(FOWLP)に適用し、かかる構成の半導体装置20を、粘着テープ100を用いて製造する場合について説明したが、かかる場合に限定されず、各種の形態の半導体パッケージの製造に、粘着テープを適用することができ、例えば、ファン・イン・ウエハ・レベル・パッケージ(FIWLP)、デュアル・インライン・パッケージ(DIP)、プラスチック・リード付きチップ・キャリヤ(PLCC)、ロー・プロファイル・クワッド・フラット・パッケージ(LQFP)、スモール・アウトライン・パッケージ(SOP)、スモール・アウトライン・Jリード・パッケージ(SOJ)、薄型スモール・アウトライン・パッケージ(TSOP)、薄型クワッド・フラット・パッケージ(TQFP)、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、マトリクス・アレイ・パッケージ・ボール・グリッド・アレイ(MAPBGA)、チップ・スタックド・チップ・サイズ・パッケージ等のメモリやロジック系素子に適用することができる。
以上、本発明の粘着テープについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の粘着テープは、上述した、基材5と粘着層2との2層構成をなす積層体で構成される場合の他、例えば、中間層を備える3層以上の積層体で構成されるものであってもよし、基材5の粘着層2とは反対側の面に、帯電防止層を備える積層体で構成されるものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
なお、本発明はこれらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1.原材料の準備
まず、各実施例および各比較例の粘着テープの製造に用いた原材料を以下に示す。
(ポリオレフィン系樹脂1)
ポリオレフィン系樹脂1として、低密度ポリエチレン(住友化学社製、「スミカセンF200-0」、比重:0.92g/cm)を用意した。
(帯電防止剤1)
帯電防止剤1として、ポリエーテル系帯電防止剤(三洋化成社製、「ペレクトロンPVL」)を用意した。
(ベース樹脂1~2)
ベース樹脂1~2として、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸、アクリル酸2-ヒドロキシエチル、N,N-ジメチルアクリルアミド、酢酸ビニルのうちの少なくとも2種を混合し、常法によりトルエン溶媒中にて溶液重合させて生成されたアクリル共重合体を用意した。
なお、ベース樹脂(アクリル共重合体)1~2におけるガラス転移点および重量平均分子量は、以下に示す通りであった。
ベース樹脂1(ガラス転移点:-37℃、重量平均分子量:60万)
ベース樹脂2(ガラス転移点:-45℃、重量平均分子量:50万)
(硬化性樹脂1)
硬化性樹脂1として、ウレタンアクリレート(日本化薬社製、品番:UX-5000)を用意した。
(硬化性樹脂2)
硬化性樹脂2として、ビスフェノールA系のエポキシアクリレート(ビスA型エポキシアクリレート)(ダイセル・オルネクス社製、品番:EBECRYL3708)を用意した。
(架橋剤1)
架橋剤1として、イソシアネート系架橋剤であるポリイソシアネート(東ソー社製、品番:コロネートL)を用意した。
(架橋剤2)
架橋剤2として、エポキシ系架橋剤である多官能エポキシ樹脂(三菱ガス化学社製、品番:TETRAD-C)を用意した。
(光重合開始剤1)
光重合開始剤1として、ベンジルジメチルケタール(IGM Resins B.V.社製、品番:Omnirad651)を用意した。
2.粘着テープの作製
[実施例1]
ポリオレフィン系樹脂1を押出し機で押し出して、厚さ100μmの基材5を作製した。
次に、ベース樹脂1(100重量部)、硬化性樹脂1(ベース樹脂100重量部に対して43重量部)、架橋剤1(ベース樹脂100重量部に対して4重量部)および光重合開始剤1(ベース樹脂100重量部に対して6重量部)が配合された樹脂組成物を含有する液状材料を作製した。この液状材料を、乾燥後の粘着層2の厚さが25μmになるようにして基材5にバーコート塗工した後、80℃で1分間乾燥させて、基材5の上面(一方の面)に粘着層2を形成することで、実施例1の粘着テープ100を得た。
なお、粘着テープ100が備える粘着層2について、エネルギーの付与前において、回転レオメーター(アントンパール社製、「MCR102」)を用いて、Φ8mmパラレルプレート、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで複素粘度η(25℃、1Hz)および温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで複素粘度η(80℃、100Hz)を測定したところ、それぞれ、6.3E+06mPa・sおよび1.1E+06mPa・sであった。
[実施例2~4、比較例1~3]
基材5の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料、および、粘着層2の形成に用いた樹脂組成物中に含まれる各構成材料として、表1に示すものを用い、さらに、各構成材料の含有量を表1に示すように変更して、表1に示す厚さの基材5を形成したこと以外は、前記実施例1と同様にして、実施例2~4、比較例1~3の粘着テープを作製した。
3.評価
得られた各実施例および各比較例の粘着テープを、以下の方法で評価した。
3-1.樹脂基板に対する引き剥がし強度の確認
各実施例および各比較例の幅を20mmとした粘着テープ100を、それぞれ、粘着層2が樹脂基板側となるように、多官能型エポキシ樹脂(住友ベークライト社製、EME-G730 ver GR)を主材料として含有し、板状をなす樹脂基板上に貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、エネルギーの付与前において、25℃環境下において、JIS G 3469に準拠して、粘着テープ100の一端を持ち、30°の方向にて3000mm/分の速度で、粘着テープ100を引き剥がしたときの引き剥がし強度(ピール強度)を、剥離解析装置(協和界面科学社製、「VPA-H100」)を用いて測定した。
3-2.ダミー基板の水侵入性の評価
1) 被着体としてのダミー基板の作成
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、「NC-3000P」)を57重量部、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製、「MEH-7851ss」)を43重量部、さらに溶融球状シリカ(平均粒径20μm、最大粒径100μm)を730重量部、カーボンブラックを2重量部、トリフェニルホスフィンを1.5重量部、カルナバワックスを2重量部ずつ、それぞれ、用意し、まず、これらを室温で混合し、次いで、熱ロールを用いて、105℃で8分間混練、冷却粉砕して半導体封止材料を得た。そしてコンプレッション成形機を用いて、厚み800μm、直径150mm、表面粗さRa0.6μm程度の形状に成型することで、封止材層の単層からなるダミー基板を得た。
2) ダミー基板に対する水浸入の確認
前記1)において被着体として用意した前記ダミー基板に対して、各実施例および各比較例の粘着テープ100を、この粘着テープ100の粘着層2側をダミー基板側として、マウンターを用いて、25℃にて、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで、貼付した。
その後、#2000番ホイールを備える研削装置(グラインダー)を用いて、研削水を供給しつつ、封止材層の厚みが400μmになるまで、ダミー基板の粘着テープ100を貼りつけた面の反対面を研削した。その後、粘着層2に紫外線照度:55W/cm、紫外線照射量:200mJ/cmの条件で紫外線を照射することで、エネルギーを付与して粘着層2を硬化させて、粘着層2の粘着力を低下させた。
そして、各実施例および各比較例の粘着テープ100において、目視にて研削時のダミー基板と粘着テープ100との間に対する水侵入に起因するテープ剥離の発生有無について観察し、以下の基準にしたがって評価した。
(裏面への水侵入性評価)
〇:ダミー基板の粘着テープ100を貼付した面内の全域について、水侵入による剥離が発生していなかった
△:ダミー基板の粘着テープ100を貼付した面内の5%未満が水侵入により剥離していた
×:ダミー基板の粘着テープ100を貼付した面内の5%以上が水侵入により剥離していた
3-3.ダミー基板の研削精度の評価
1) 被着体としてのダミー基板の作成
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、「NC-3000P」)を57重量部、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製、「MEH-7851ss」)を43重量部、さらに溶融球状シリカ(平均粒径20μm、最大粒径100μm)を730重量部、カーボンブラックを2重量部、トリフェニルホスフィンを1.5重量部、カルナバワックスを2重量部ずつ、それぞれ、用意し、まず、これらを室温で混合し、次いで、熱ロールを用いて、105℃で8分間混練、冷却粉砕して半導体封止材料を得た。そしてコンプレッション成形機を用いて、厚み800μm、直径150mm、表面粗さRa0.6μm程度の形状に成型することで、封止材層の単層からなるダミー基板を得た。
2) ダミー基板の研削精度の確認
前記1)において被着体として用意した前記ダミー基板に対して、各実施例および各比較例の粘着テープ100を、この粘着テープ100の粘着層2側をダミー基板側として、マウンターを用いて、25℃にて、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで、貼付した。
その後、#2000番ホイールを備える研削装置(グラインダー)を用いて、研削水を供給しつつ、封止材層の厚みが400μmになるまで、ダミー基板の粘着テープ100を貼りつけた面の反対面を研削した。その後、粘着層2に紫外線照度:55W/cm、紫外線照射量:200mJ/cmの条件で紫外線を照射することで、エネルギーを付与して粘着層2を硬化させて、粘着層2の粘着力を低下させた。
次いで、粘着テープ100の一端を持った後に、180°の方向を維持した状態で、一端側から他端側に向かって粘着テープ100を、3000mm/分の速度でダミー基板から剥離させた。
そして、各実施例および各比較例の粘着テープにおける、粘着テープが剥離されたダミー基板について、接触式厚み計を用いてTTV値(ダミー基板の平坦度適用領域での厚さ(研削基準面からの距離)の最大値と最小値の差)を測定した。そして、測定されたTTV値について、以下の基準にしたがって、ダミー基板の研削精度を評価した。
(上面の研削精度の評価)
〇:測定されたTTV値が6μm未満である
△:測定されたTTV値が6μm以上15μm以下である
×:測定されたTTV値が15μm超である
3-4.剥離後の糊残りの確認
1) 被着体としてのダミー基板の作成
ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、「NC-3000P」)を57重量部、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(明和化成社製、「MEH-7851ss」)を43重量部、さらに溶融球状シリカ(平均粒径20μm、最大粒径100μm)を730重量部、カーボンブラックを2重量部、トリフェニルホスフィンを1.5重量部、カルナバワックスを2重量部ずつ、それぞれ、用意し、まず、これらを室温で混合し、次いで、熱ロールを用いて、105℃で8分間混練、冷却粉砕して半導体封止材料を得た。そしてコンプレッション成形機を用いて、厚み800μm、直径150mm、表面粗さRa0.6μm程度の形状に成型することで、封止材層の単層からなるダミー基板を得た。
2) ダミー基板の研削精度の確認
前記1)において被着体として用意した前記ダミー基板に対して、各実施例および各比較例の粘着テープ100を、この粘着テープ100の粘着層2側をダミー基板側として、マウンターを用いて、25℃にて、直径35mm、400mm幅のローラーを圧力0.5MPaの条件で押し付けることで、貼付した。
その後、#2000番ホイールを備える研削装置(グラインダー)を用いて、研削水を供給しつつ、封止材層の厚みが400μmになるまで、ダミー基板の粘着テープ100を貼りつけた面の反対面を研削した。その後、粘着層2に紫外線照度:55W/cm、紫外線照射量:200mJ/cmの条件で紫外線を照射することで、エネルギーを付与して粘着層2を硬化させて、粘着層2の粘着力を低下させた。
次いで、粘着テープ100の一端を持った後に、180°の方向を維持した状態で、一端側から他端側に向かって粘着テープ100を3000mm/分の速度でダミー基板から剥離させた。
次いで、粘着テープ100が引き剥がされたダミー基板の表面を、平面視にて5cm×5cmの領域を光学顕微鏡(倍率x100倍)にて観察し、5cm×5cmの領域において粘着層2が残存している領域の面積(cm)を測定することで、粘着層2が残存している残存率(%)を求めた。
(残存率評価)
〇:粘着層2のダミー基板に対する残存率が5%未満である。
△:粘着層2のダミー基板に対する残存率が5%以上10%未満である
×:粘着層2のダミー基板に対する残存率が10%以上である
3-5.基材の抵抗率の評価
各実施例および各比較例の粘着テープについて、その基材5における粘着層2と反対側の表面抵抗率を、それぞれ、JIS K 6911に従って、抵抗値測定装置(アドバンテスト社製、「R8340」)を用いて測定した。
以上のようにして実施した、各種評価の評価結果を表1に示す。
Figure 2023022780000002
表1に示したように、各実施例の粘着テープ100では、複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であり、かつ、複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であることを満足しており、その結果、ダミー基板に対して研削水が浸入するのが的確に抑制または防止された状態で、ダミー基板を優れた保持性をもって保持して、ダミー基板を優れた精度で研削・研磨し得るとともに、ダミー基板に対して粘着層2が残存することなく、ダミー基板から粘着テープ100を剥離させ得る結果を示した。
これに対して、各比較例の粘着テープでは、複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であり、かつ、複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であることを満足しておらず、その結果、少なくとも、ダミー基板に対して研削水が浸入するのが的確に抑制または防止された状態で、ダミー基板を優れた保持性をもって保持して、ダミー基板を優れた精度で研削・研磨し得ないことが明らかとなった。
2 粘着層
5 基材
20 半導体装置
21 バンプ
22 第2被覆部
23 配線
25 第1被覆部
26 半導体素子
27 封止部
100 粘着テープ
101 支持基板
102 粘着層
221 開口部
251 開口部
261 電極バッド
270 半導体封止連結体

Claims (8)

  1. 樹脂材料を含有する基材と、該基材の一方の面に積層された粘着層と、を備える積層体により構成され、基板または部品を仮固定して用いられる粘着テープであって、
    前記粘着層は、粘着性を有するベース樹脂と、エネルギーの付与により硬化する硬化性樹脂とを含有し、前記エネルギーの付与により、前記粘着層上に積層された前記基板または部品のうちの少なくとも一方に対する粘着力が低下するものであり、また、
    前記エネルギーの付与前において、回転レオメーターを用いて、温度25℃、歪量1mrad、周波数1Hzで測定した複素粘度η(25℃、1Hz)が5.0×10mPa・s以上9.5×10mPa・s以下であり、かつ、温度80℃、歪量1mrad、周波数100Hzで測定した複素粘度η(80℃、100Hz)が1.0×10mPa・s以上5.0×10mPa・s以下であることを特徴とする粘着テープ。
  2. 前記ベース樹脂は、アクリル系樹脂である請求項1に記載の粘着テープ。
  3. 前記硬化性樹脂は、ウレタンアクリレートおよびビスフェノールA系のエポキシアクリレートのうちの少なくとも1種である請求項1または2に記載の粘着テープ。
  4. 当該粘着テープは、前記基板を仮固定した状態で、前記粘着層上に積層された前記基板の前記粘着層と反対の面側を研削して、その厚さを薄くする研削加工を施す際に用いられるものである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の粘着テープ。
  5. 前記基板は、複数の半導体素子が封止材により封止された半導体封止連結体であり、
    当該粘着テープは、前記半導体素子が有する電極パッドが、前記粘着層の反対側となるように、前記半導体封止連結体を、当該粘着テープに仮固定した状態で、前記半導体封止連結体の前記粘着層と反対の面側を研削して、前記封止材から前記電極パッドを露出させる際に用いられるものである請求項4に記載の粘着テープ。
  6. 当該粘着テープは、下記要件Aを満足する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の粘着テープ。
    要件A:エポキシ樹脂を主材料として含有し、板状をなす樹脂基板上に、当該粘着テープを貼付し、次いで、23℃・1時間の条件で保持した後に、前記エネルギーの付与前において、25℃環境下において、当該粘着テープの一端を持ち、30°の方向にて3000mm/分の速度で、当該粘着テープを引き剥がしたときに測定される前記引き剥がし強度が60cN/20mm以上200cN/20mm以下であること。
  7. 前記粘着層は、その厚さが15μm以上30μm以下である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の粘着テープ。
  8. 前記基材は、前記粘着層と反対側の表面における表面抵抗率が1.0×1015(Ω/□)以下である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の粘着テープ。
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