JP2023021891A - スクリーニング方法 - Google Patents
スクリーニング方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023021891A JP2023021891A JP2021188445A JP2021188445A JP2023021891A JP 2023021891 A JP2023021891 A JP 2023021891A JP 2021188445 A JP2021188445 A JP 2021188445A JP 2021188445 A JP2021188445 A JP 2021188445A JP 2023021891 A JP2023021891 A JP 2023021891A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- lip
- skeletal muscle
- muscle cells
- test substance
- derived
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
- Cosmetics (AREA)
Abstract
【課題】口唇を形成する組織にアプローチして、ハリがあり、ふっくらとした厚み感がある口唇を叶える成分を探索することを目的とし、そのための新たなスクリーニング方法を確立することを課題とする。【解決手段】唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤をスクリーニングする方法であって、被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含み、前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質は前記向上作用を有すると判定する、方法。【選択図】図5
Description
本発明は、唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤、及び口唇印象改善剤をスクリーニングする方法に関する。
ハリがあり、ふっくらとした厚み感がある口唇は、若々しい印象を与えるため、これを叶える手法への関心は高い。例えば、リップグロス等の化粧料を塗布することによりぷっくりとした外観を演出する手法がある。また、肌にハリやボリュームを持たせるための成分としてはヒアルロン酸が知られており、真皮におけるヒアルロン酸量を増加させる成分を配合した化粧料や、口唇にヒアルロン酸を注入することにより直接的にハリやボリュームを持たせる美容医療も知られている(特許文献1)。ヒアルロン酸による肌へのハリやボリューム感の付与は、主にヒアルロン酸の保水力によるものであり、口唇それ自体にふっくらとした厚みが生じるものではない。そのため、口唇をより若々しく魅力的なものとするべく、口唇を形成する組織にアプローチすることは新たな手法となり得る。
ところで、一般に、生体組織においては近接する細胞間では一方向又は双方向の働きかけ(細胞間コミュニケーション)が存することが知られている。しかしながら口唇においては、赤唇部では真皮と筋肉組織が近接しているが、それぞれの細胞間の相互作用については知られていない。
本発明は、口唇を形成する組織にアプローチして、ハリがあり、ふっくらとした厚み感がある口唇を叶える成分を探索することを目的とし、そのための新たなスクリーニング方法を確立することを課題とする。
本発明者らは、唇由来線維芽細胞とその近接する骨格筋細胞との間に細胞間コミュニケーションが存することを見出した。すなわち、唇由来線維芽細胞が近接する骨格筋細胞を活性化させる、具体的には筋線維構成タンパク質の発現を増加させることを見出した。さらに、インビトロにて抗老化遺伝子として知られるLINC00942の発現が亢進した唇由来線
維芽細胞は近接する骨格筋細胞における筋線維構成タンパク質をより増加させることをも見出した。かかる知見に基づき、唇由来線維芽細胞の培養上清を添加した骨格筋細胞における筋線維構成タンパク質の発現量を指標として、骨格筋細胞の活性化を評価することができることに想到し、唇由来線維芽細胞を介して骨格筋細胞を活性化させる成分をスクリーニングする方法を完成させた。
維芽細胞は近接する骨格筋細胞における筋線維構成タンパク質をより増加させることをも見出した。かかる知見に基づき、唇由来線維芽細胞の培養上清を添加した骨格筋細胞における筋線維構成タンパク質の発現量を指標として、骨格筋細胞の活性化を評価することができることに想到し、唇由来線維芽細胞を介して骨格筋細胞を活性化させる成分をスクリーニングする方法を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤をスクリーニングする方法であって、
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、
前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び
前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重
鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含み、
前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質は前記向上作用を有すると判定する、方法。
[2]口唇印象改善剤をスクリーニングする方法であって、
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、
前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び
前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含み、
前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質は前記改善作用を有すると判定する、方法。
[3][2]に記載の方法により口唇印象改善剤をスクリーニングする工程を含む、口唇用化粧料の設計方法。
[1]唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤をスクリーニングする方法であって、
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、
前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び
前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重
鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含み、
前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質は前記向上作用を有すると判定する、方法。
[2]口唇印象改善剤をスクリーニングする方法であって、
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、
前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び
前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含み、
前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質は前記改善作用を有すると判定する、方法。
[3][2]に記載の方法により口唇印象改善剤をスクリーニングする工程を含む、口唇用化粧料の設計方法。
本発明により、口唇用化粧料に含有させるのに好適な唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤として有効な成分を探索できる。本発明のスクリーニング方法は、真皮を介して唇の内側の筋肉にまで働きかけて作用し得る化粧料の設計などに役立つ。またかかる有効成分は、口唇印象改善剤としても有用となることが期待される。
本発明のスクリーニング方法は、被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含む。
後述の実施例で示される通り、唇由来線維芽細胞を培養した上清を添加して骨格筋細胞を培養すると、筋線維構成タンパク質(ミオシン重鎖タンパク質;MYH2、MYH7)が増加したことから、唇由来線維芽細胞からは骨格筋細胞の活性に関わる何らかの物質が放出されていると推認される。すなわち、唇由来線維芽細胞と骨格筋細胞との間には、細
胞間コミュニケーションが存すると考えられる。
また、後述の実施例で示される通り、抗老化抑制作用を発揮させた、具体的には抗老化遺伝子として知られるLINC00942の発現を亢進させた唇由来線維芽細胞の培養上清を骨格
筋細胞に添加して培養すると、MYH2及びMYH7の遺伝子発現量が増加したことから、唇由来線維芽細胞において特に限られないがLINC00942の発現が亢進するなど何らかの
抗老化作用が生じると、骨格筋細胞の活性に関わる何らかの物質の放出を増加させることができ、それにより近接する骨格筋細胞における筋線維構成タンパク質を増加させることができると推認される。
筋線維構成タンパク質の増加は、骨格筋細胞の活性化を反映するものである。また、筋線維構成タンパク質が増加すると、口唇の筋線維が増大し、唇がふっくらとボリュームアップして、口唇の印象が改善すると推認される。
そのため、唇由来線維芽細胞の培養上清を添加して培養した骨格筋細胞におけるMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を指標とすることにより、唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤、あるいは唇印象改善剤として有効な成分をスクリーニングすることができる。
後述の実施例で示される通り、唇由来線維芽細胞を培養した上清を添加して骨格筋細胞を培養すると、筋線維構成タンパク質(ミオシン重鎖タンパク質;MYH2、MYH7)が増加したことから、唇由来線維芽細胞からは骨格筋細胞の活性に関わる何らかの物質が放出されていると推認される。すなわち、唇由来線維芽細胞と骨格筋細胞との間には、細
胞間コミュニケーションが存すると考えられる。
また、後述の実施例で示される通り、抗老化抑制作用を発揮させた、具体的には抗老化遺伝子として知られるLINC00942の発現を亢進させた唇由来線維芽細胞の培養上清を骨格
筋細胞に添加して培養すると、MYH2及びMYH7の遺伝子発現量が増加したことから、唇由来線維芽細胞において特に限られないがLINC00942の発現が亢進するなど何らかの
抗老化作用が生じると、骨格筋細胞の活性に関わる何らかの物質の放出を増加させることができ、それにより近接する骨格筋細胞における筋線維構成タンパク質を増加させることができると推認される。
筋線維構成タンパク質の増加は、骨格筋細胞の活性化を反映するものである。また、筋線維構成タンパク質が増加すると、口唇の筋線維が増大し、唇がふっくらとボリュームアップして、口唇の印象が改善すると推認される。
そのため、唇由来線維芽細胞の培養上清を添加して培養した骨格筋細胞におけるMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を指標とすることにより、唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤、あるいは唇印象改善剤として有効な成分をスクリーニングすることができる。
なお、LINC00942は、加齢によりその発現が減少することが知られるRNAであり、こ
れを指標として皮膚老化を抑制する効果を判断できることが報告されている(例えば特開2015-130857号公報、特開2017-112892号公報)。近年は、LINC00942を抗老化遺伝子として、その発現を促進する成分が見出され、かかる成分を配合した
抗老化化粧料も提案されている(特願2020-012419)。
ただし、本発明のスクリーニング方法においては、唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用は、唇由来線維芽細胞におけるLINC00942の発現亢進を介しているものであっ
てもよいし、他のメカニズムを介するものであってもよく、特に限定されない。
れを指標として皮膚老化を抑制する効果を判断できることが報告されている(例えば特開2015-130857号公報、特開2017-112892号公報)。近年は、LINC00942を抗老化遺伝子として、その発現を促進する成分が見出され、かかる成分を配合した
抗老化化粧料も提案されている(特願2020-012419)。
ただし、本発明のスクリーニング方法においては、唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用は、唇由来線維芽細胞におけるLINC00942の発現亢進を介しているものであっ
てもよいし、他のメカニズムを介するものであってもよく、特に限定されない。
本発明においては、MYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量(コントロール)と比較して大きい場合に、前記被験物質は唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上作用、又は唇印象改善作用を有すると判定される。
ここで、発現量とは、MYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子のmRNAの転写量と、該タンパク質の翻訳量との何れかを指すものとする。また、発現量が大きいことの程度としてはコントロールに対して120%以上が好ましい。
ここで、発現量とは、MYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子のmRNAの転写量と、該タンパク質の翻訳量との何れかを指すものとする。また、発現量が大きいことの程度としてはコントロールに対して120%以上が好ましい。
本発明のスクリーニング方法に用いる細胞としては、唇由来線維芽細胞及び骨格筋細胞を用い、通常は、いずれもヒト由来の正常な細胞を用いる。
細胞の培養の条件としては、通常の培養条件の他、本発明のスクリーニング方法の実行を妨げない、具体的にはMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量の測定を妨げない培養条件であれば、特段の限定なく適用することができる。
細胞の培養の条件としては、通常の培養条件の他、本発明のスクリーニング方法の実行を妨げない、具体的にはMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量の測定を妨げない培養条件であれば、特段の限定なく適用することができる。
本発明のスクリーニング方法が対象とする被験物質は、純物質、動植物由来の抽出物、またはそれらの混合物等のいずれであってもよい。
動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物又は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花、花蕾、果実等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される一種又は二種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位又はその乾燥物1質量部に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
動植物由来の抽出物は、動物又は植物由来の抽出物自体のみならず、抽出物の画分、精製した画分、抽出物又は画分、精製物の溶媒除去物の総称を意味するものとし、植物由来の抽出物は、自生若しくは生育された植物、漢方生薬原料等として販売されるものを用いた抽出物、市販されている抽出物等が挙げられる。
抽出操作は、植物部位の全草を用いるほか、植物体、地上部、根茎部、木幹部、葉部、茎部、花、花蕾、果実等の部位を使用することできるが、予めこれらを粉砕あるいは細切して抽出効率を向上させることが好ましい。抽出溶媒としては、水、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、1,3-ブタンジオール、ポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等の極性溶媒から選択される一種又は二種以上が好適なものとして例示することができる。具体的な抽出方法としては、例えば、植物体等の抽出に用いる部位又はその乾燥物1質量部に対して、溶媒を1~30質量部加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬し、室温まで冷却した後、所望により不溶物及び/又は溶媒除去し、カラムクロマトグラフィー等で分画精製する方法が挙げられる。
本発明のスクリーニング方法における手順の一例を以下に挙げるが、本発明の趣旨を逸脱しない限り以下の内容に限定されるものではなく、適宜変更して実施することができる。
まず、プレ培養した唇由来線維芽細胞に被験物質を添加し、24~72時間インキュベーションする。その後、培養上清を回収し、プレ培養した骨格筋細胞に添加し、24~72時間インキュベーションする。その後、該骨格筋細胞におけるMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を定法により測定する。コントロールとして被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞においても該発現量を測定する。被験物質を添加した唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量(コントロール)に対して大きい場合、前記被験物質は唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上作用、又は唇印象改善作用を有すると判定する。
まず、プレ培養した唇由来線維芽細胞に被験物質を添加し、24~72時間インキュベーションする。その後、培養上清を回収し、プレ培養した骨格筋細胞に添加し、24~72時間インキュベーションする。その後、該骨格筋細胞におけるMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を定法により測定する。コントロールとして被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞においても該発現量を測定する。被験物質を添加した唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量(コントロール)に対して大きい場合、前記被験物質は唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上作用、又は唇印象改善作用を有すると判定する。
本発明において「唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用」とは、唇由来線維芽細胞が何らかの物質の放出等のコミュニケーションにより、近接する骨格筋細胞を活性化すること、例えば骨格筋細胞における筋線維構成タンパク質等の遺伝子発現を亢進させること等をいう。また、該活性化作用の「向上作用」とは、平時に比して活性化の程度が高まること、あるいは加齢等により活性化が衰えるのを抑制することを含む。
本発明において「唇印象」とは、口唇の外観から判断される厚み・ボリューム感の有無、そしてそれにより受ける若々しさ又は老けた感じの印象をいう。また、唇印象の「改善」とは、口唇の外観において厚み・ボリュームが大きいと感じ、それにより若々しく、又は魅力を感じる、好ましい現象をいう。
本発明のスクリーニング方法により唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上作用を有すると判定された物質(唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤)あるいは唇印象改善作用を有すると判定された物質(唇印象改善改善剤)は、任意の調製方法により組成物に含有させることができる。すなわち、本発明のスクリーニング方法は、唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上用組成物、又は唇印象改善用組成物の設計に好適に用いることができる。かかる組成物としては、例えば皮膚外用組成物が好ましく、口唇用化粧料がより好ましく、具体的にはリップクリーム、リップスティック、リップグロス、リップバーム等が好適に挙げられる。
本発明のスクリーニングにより有効性が判定された物質を組成物に含有させる場合、その含有量(配合量)は、通常、0.00001質量%以上、好ましくは0.0001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上であり、通常15質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。有効成分の含有量(配合量)が少なすぎると所望の効果が得られにくい場合があり、多すぎると効果が頭打ちになるばかりか組成物の処方の自由度を損なう場合があるからである。また、組成物に含有させる有効成分の種類は、1種類のみでなく2種類以上であってもよい。なお、動植物抽出物等につ
いてはその配合量は固形物換算量とする。
いてはその配合量は固形物換算量とする。
本発明に係る唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤や唇印象改善改善剤を皮膚外用組成物に含有させる場合、その製造に際しては、化粧料、医薬部外品、医薬品などの製剤化で通常使用される成分を任意に配合することができる。
かかる任意成分としては例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。
該皮膚外用組成物は、常法に従って前述の成分を処理・配合することにより製造することができる。
かかる任意成分としては例えば、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスなどの炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス、オレイン酸オクチルドデシルなどのエステル類、オリーブ油、牛脂、椰子油などのトリグリセライド類、ステアリン酸、オレイン酸、レチノイン酸などの脂肪酸、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブタンジオール等の多価アルコール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色剤、防腐剤、粉体等を任意に配合することができる。
該皮膚外用組成物は、常法に従って前述の成分を処理・配合することにより製造することができる。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>唇由来線維芽細胞培養上清の骨格筋細胞での筋線維構成タンパク質への影響
10%FBS含有D-MEM培地に懸濁した正常ヒト唇由来線維芽細胞NF125(Chinese, Female, Cell Research Corporation)1000μLを、24wellプレートに播種した(3.0×104cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、上清を300μL/well回収した。
増殖培地(SkGM-2 BulletKit(Lonza:CC-3245))に懸濁した正常ヒト骨格筋筋芽細胞HSMM(Caucasian, Female, CC-2580, Lonza)500μLを、24wellプレートに播種した(9.0×104 cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、培地を除去し、PBS 1000μL/wellで洗浄した。そこに、分化培地(SkMC Differentiation medium(TaKaRa:D12045))250μL/wellと、先に回収した唇由来線維芽細胞培養上清をD-MEM培地で100, 50, 又は25(v/v)%になるように希釈したもの250μL/wellとを添加した。また溶媒対照としては
、分化培地250μL/wellとD-MEM培地250μL/wellとを添加した。37℃、5%CO2環境下で2
4時間培養した後、骨格筋細胞を回収し、Superscript VILO cDNA Synthesis kit 250T(インビトロジェン:11754-250)、RNeasy Mini Kit-8 (250)(QIAGEN:74106)、Fast SYBR Green Master Mix(アプライド:4385617)、Hs_MYH2_1_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT00082495)、Hs_MYH7_1_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT01680476)、Hs_ACTB_2_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT01680476)を用いて、定量的リアルタイムPCR法により、筋線維構成タンパク質(MYH2、MYH7)遺伝子の発現量
を解析し、溶媒対照での発現量を1とした場合の相対値を求めた。結果をもとに、溶媒対
照群に対するDunnett検定を行った。
また、上記で唇由来線維芽細胞培養上清の終濃度50(v/v)%で培養した細胞を37℃、5%CO2環境下で72時間培養した後の細胞を、抗MYH2抗体又は抗MYH7抗体を用いて蛍光免疫染色し、蛍光顕微鏡で観察した。
10%FBS含有D-MEM培地に懸濁した正常ヒト唇由来線維芽細胞NF125(Chinese, Female, Cell Research Corporation)1000μLを、24wellプレートに播種した(3.0×104cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、上清を300μL/well回収した。
増殖培地(SkGM-2 BulletKit(Lonza:CC-3245))に懸濁した正常ヒト骨格筋筋芽細胞HSMM(Caucasian, Female, CC-2580, Lonza)500μLを、24wellプレートに播種した(9.0×104 cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、培地を除去し、PBS 1000μL/wellで洗浄した。そこに、分化培地(SkMC Differentiation medium(TaKaRa:D12045))250μL/wellと、先に回収した唇由来線維芽細胞培養上清をD-MEM培地で100, 50, 又は25(v/v)%になるように希釈したもの250μL/wellとを添加した。また溶媒対照としては
、分化培地250μL/wellとD-MEM培地250μL/wellとを添加した。37℃、5%CO2環境下で2
4時間培養した後、骨格筋細胞を回収し、Superscript VILO cDNA Synthesis kit 250T(インビトロジェン:11754-250)、RNeasy Mini Kit-8 (250)(QIAGEN:74106)、Fast SYBR Green Master Mix(アプライド:4385617)、Hs_MYH2_1_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT00082495)、Hs_MYH7_1_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT01680476)、Hs_ACTB_2_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT01680476)を用いて、定量的リアルタイムPCR法により、筋線維構成タンパク質(MYH2、MYH7)遺伝子の発現量
を解析し、溶媒対照での発現量を1とした場合の相対値を求めた。結果をもとに、溶媒対
照群に対するDunnett検定を行った。
また、上記で唇由来線維芽細胞培養上清の終濃度50(v/v)%で培養した細胞を37℃、5%CO2環境下で72時間培養した後の細胞を、抗MYH2抗体又は抗MYH7抗体を用いて蛍光免疫染色し、蛍光顕微鏡で観察した。
図1及び2に、骨格筋細胞の蛍光染色写真を示す。唇由来線維芽細胞を培養した上清を添加して培養した骨格筋細胞では、MYH2量及びMYH7量がそれぞれコントロールに比べて増加していることが分かる。
図3及び4に骨格筋細胞におけるMYH2遺伝子及びMYH7遺伝子の各相対発現量を示す。唇由来線維芽細胞を培養した上清を添加して培養した骨格筋細胞では、MYH2遺伝子及びMYH7遺伝子の発現量がそれぞれコントロールに比べて亢進していることが分かる。
図3及び4に骨格筋細胞におけるMYH2遺伝子及びMYH7遺伝子の各相対発現量を示す。唇由来線維芽細胞を培養した上清を添加して培養した骨格筋細胞では、MYH2遺伝子及びMYH7遺伝子の発現量がそれぞれコントロールに比べて亢進していることが分かる。
<実施例2>LINC00942の発現が亢進した唇由来線維芽細胞培養上清の骨格筋細胞での筋
線維構成タンパク質への影響
10%FBS含有D-MEM培地に懸濁した正常ヒト唇由来線維芽細胞NF125(Chinese, Female, Cell Research Corporation)1000μLを、24wellプレートに播種した(3.0×104cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した。
培養後の線維芽細胞にプラスミドをトランスフェクションした。すなわち、Lipofectamine 3000 Reagent(Thermofisher Scientific)をOpti-MEM培地で希釈後、2-3秒ボルテックスし軽く遠心したものと、プラスミド(コントロールプラスミド:pcDNA-DEST47(Thermofisher Scientific)、又はLINC00942発現プラスミド:pcDNA-DEST47-3E)、P3000をOpti-MEMで希釈後、ピペッティングしてよく混ぜたものとを、それぞれ同量混合し、5 min、
室温でインキュベートした。インキュベート後のプラスミド溶液50μLと、D-MEM培地500
μLとを、線維芽細胞に添加し、37℃、5%CO2環境下で72時間培養した。培養後に培地
を除去し、PBS 1000μL/wellで洗浄した線維芽細胞に、10%FBS含有D-MEM培地を500 μL/well添加し、37℃、5%CO2環境下で24時間さらに培養した。培養後の上清を300μL/well回収した。
増殖培地(SkGM-2 BulletKit(Lonza:CC-3245))に懸濁した正常ヒト骨格筋筋芽細胞HSMM(Caucasian, Female, CC-2580, Lonza)500μLを、24wellプレートに播種した(9.0×104 cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、培地を除去し、PBS 1000
μL/wellで洗浄した。そこに、分化培地(SkMC Differentiation medium(TaKaRa:D12045))250μL/wellと、先に回収した唇由来線維芽細胞培養上清をD-MEM培地で50(v/v)%になるように希釈したもの250μL/wellとを添加した。37℃、5%CO2環境下で48時間培養
した後、骨格筋細胞を回収し、実施例1と同様に定量的リアルタイムPCR法により、筋線
維構成タンパク質(MYH2、MYH7)遺伝子の発現量を解析し、コントロールプラスミドを導入した線維芽細胞培養上清を添加したときの発現量を1とした場合の相対値を求
めた。
線維構成タンパク質への影響
10%FBS含有D-MEM培地に懸濁した正常ヒト唇由来線維芽細胞NF125(Chinese, Female, Cell Research Corporation)1000μLを、24wellプレートに播種した(3.0×104cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した。
培養後の線維芽細胞にプラスミドをトランスフェクションした。すなわち、Lipofectamine 3000 Reagent(Thermofisher Scientific)をOpti-MEM培地で希釈後、2-3秒ボルテックスし軽く遠心したものと、プラスミド(コントロールプラスミド:pcDNA-DEST47(Thermofisher Scientific)、又はLINC00942発現プラスミド:pcDNA-DEST47-3E)、P3000をOpti-MEMで希釈後、ピペッティングしてよく混ぜたものとを、それぞれ同量混合し、5 min、
室温でインキュベートした。インキュベート後のプラスミド溶液50μLと、D-MEM培地500
μLとを、線維芽細胞に添加し、37℃、5%CO2環境下で72時間培養した。培養後に培地
を除去し、PBS 1000μL/wellで洗浄した線維芽細胞に、10%FBS含有D-MEM培地を500 μL/well添加し、37℃、5%CO2環境下で24時間さらに培養した。培養後の上清を300μL/well回収した。
増殖培地(SkGM-2 BulletKit(Lonza:CC-3245))に懸濁した正常ヒト骨格筋筋芽細胞HSMM(Caucasian, Female, CC-2580, Lonza)500μLを、24wellプレートに播種した(9.0×104 cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、培地を除去し、PBS 1000
μL/wellで洗浄した。そこに、分化培地(SkMC Differentiation medium(TaKaRa:D12045))250μL/wellと、先に回収した唇由来線維芽細胞培養上清をD-MEM培地で50(v/v)%になるように希釈したもの250μL/wellとを添加した。37℃、5%CO2環境下で48時間培養
した後、骨格筋細胞を回収し、実施例1と同様に定量的リアルタイムPCR法により、筋線
維構成タンパク質(MYH2、MYH7)遺伝子の発現量を解析し、コントロールプラスミドを導入した線維芽細胞培養上清を添加したときの発現量を1とした場合の相対値を求
めた。
図5及び6に骨格筋細胞におけるMYH2遺伝子及びMYH7遺伝子の各相対発現量を示す。
発現プラスミドの導入によりLINC00942の発現を亢進させた唇由来線維芽細胞の培養上
清を添加して培養した骨格筋細胞では、MYH2遺伝子及びMYH7遺伝子の発現量がそれぞれコントロールに比べて亢進していることが分かる。
発現プラスミドの導入によりLINC00942の発現を亢進させた唇由来線維芽細胞の培養上
清を添加して培養した骨格筋細胞では、MYH2遺伝子及びMYH7遺伝子の発現量がそれぞれコントロールに比べて亢進していることが分かる。
<実施例3>植物抽出物を添加した唇由来線維芽細胞におけるLINC00942発現促進作用の
確認
10%FBS含有D-MEM培地に懸濁した正常ヒト唇由来線維芽細胞NF125(Chinese, Female, Cell Research Corporation)1000μLを、24wellプレートに播種した(3.0×104cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、培地を除去し、セージエキス(一丸ファルコス社)含有培地450μL(エキス終濃度0.5v/v%)と、オオバナサルスベリエキス(御木本製薬)含有培地50μL(エキス終濃度0.125v/v%)とを各ウェルに添加した。また、
コントロールとしてエキスを含有しない培地500μLを各ウェルに添加した。各群4ウェル
ずつ設けた。37℃、5%CO2環境下でさらに24時間培養した後、細胞を回収し、Fast SYBR Green Master Mix(アプライド:4385617)、RNeasy Mini Kit-8(250)(キアゲン社:74106)、Superscript VILO cDNA Synthesis kit 250T(インビトロジェン:11754-250)、Hs_LINC00942_2_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT02305933)、Hs_ACTB_2_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT01680476)を用いて、定量的リアルタイムPCR法により
、LINC00942の発現量を解析し、コントロールでの発現量を1とした場合の相対値を求めた。結果をもとに、コントロールに対するt検定を行った。
確認
10%FBS含有D-MEM培地に懸濁した正常ヒト唇由来線維芽細胞NF125(Chinese, Female, Cell Research Corporation)1000μLを、24wellプレートに播種した(3.0×104cells/mL)。37℃、5%CO2環境下で24時間培養した後、培地を除去し、セージエキス(一丸ファルコス社)含有培地450μL(エキス終濃度0.5v/v%)と、オオバナサルスベリエキス(御木本製薬)含有培地50μL(エキス終濃度0.125v/v%)とを各ウェルに添加した。また、
コントロールとしてエキスを含有しない培地500μLを各ウェルに添加した。各群4ウェル
ずつ設けた。37℃、5%CO2環境下でさらに24時間培養した後、細胞を回収し、Fast SYBR Green Master Mix(アプライド:4385617)、RNeasy Mini Kit-8(250)(キアゲン社:74106)、Superscript VILO cDNA Synthesis kit 250T(インビトロジェン:11754-250)、Hs_LINC00942_2_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT02305933)、Hs_ACTB_2_SG QuantiTect Primer Assay(QIAGEN:QT01680476)を用いて、定量的リアルタイムPCR法により
、LINC00942の発現量を解析し、コントロールでの発現量を1とした場合の相対値を求めた。結果をもとに、コントロールに対するt検定を行った。
結果を図7に示す。コントロールに比して、セージエキス及びオオバナサルスベリエキスを添加した唇由来線維芽細胞においてLINC00942遺伝子の有意な発現増加が確認された
。
。
実施例1で示された通り、唇由来線維芽細胞は骨格筋細胞の活性に関わる何らかの物質を放出し、骨格筋細胞における筋構成タンパク質を増加させることができ、かかる作用は唇由来線維芽細胞においてLINC00942の発現が亢進するとより高まることが実施例2から
理解できる。
そして、実施例3に示された通り、唇由来線維芽細胞においてLINC00942の発現を亢進
させるエキスは、唇由来線維芽細胞のコミュニケーションを介して骨格筋細胞を活性化させ得ることが明らかに推測できる。そして、該エキスを口唇用化粧料等の唇に適用(塗布)する皮膚外用剤に配合すれば、その適用により唇における筋構成タンパク質を増加させ、唇印象を改善できることが期待できる。
理解できる。
そして、実施例3に示された通り、唇由来線維芽細胞においてLINC00942の発現を亢進
させるエキスは、唇由来線維芽細胞のコミュニケーションを介して骨格筋細胞を活性化させ得ることが明らかに推測できる。そして、該エキスを口唇用化粧料等の唇に適用(塗布)する皮膚外用剤に配合すれば、その適用により唇における筋構成タンパク質を増加させ、唇印象を改善できることが期待できる。
<実施例4>唇由来線維芽細胞に添加したときの培養上清が骨格筋細胞においてMYH2、MYH7を増加させる成分を含む化粧料
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び前記骨格筋細胞におけるMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を行う。前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きくなった被験物質を、口唇用化粧料に配合する。被験者に、前記口唇用化粧料を口唇に所定期間連用してもらい、熟練の評価者により唇印象改善効果が得られるか評価を行う。
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び前記骨格筋細胞におけるMYH2及び/又はMYH7をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を行う。前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きくなった被験物質を、口唇用化粧料に配合する。被験者に、前記口唇用化粧料を口唇に所定期間連用してもらい、熟練の評価者により唇印象改善効果が得られるか評価を行う。
<実施例5>セージエキス及びオオバナサルスベリエキスを含有する口唇用化粧料の連用による口唇部への影響の検討
表1に示す処方成分全てを、均一に分散するまで攪拌混合して、セージエキス及びオオバナサルスベリエキスを含有するリキッドタイプの口唇用化粧料を調製した。
表1に示す処方成分全てを、均一に分散するまで攪拌混合して、セージエキス及びオオバナサルスベリエキスを含有するリキッドタイプの口唇用化粧料を調製した。
健常な日本人成人女性25名(30~54歳、平均43.32歳)に、前記化粧料の連用試験に自由意思で協力してもらった。被験者は、唇に立体感のないこと等の唇に関する悩みを有する人とした。被験者には、日焼け止め(SPF50、PA+++)を毎朝適量、全顔に塗布してもらい、また前記口唇用化粧料を毎朝昼夕に適量、口唇部に塗布してもらった。連用開始から0、4、及び12週間後に、被験者の口唇部を評価した。具体的には、クレンジングと洗顔料によりメークを落とした後、恒温恒湿室(23℃前後、湿度50±5%)で肌を10分間順化した後、デジタル一眼レフカメラを用い、画像補正用カラーチャートを眉間に貼付した状態で、正面、左右45度、及び左右90度の顔を開眼の状態で撮影した。
図8に、前記被験者のうち4週時と12週時とで口唇部のボリューム感、縦じわが著しく改善した2名(被験者A及びB)の写真を示す。
図8に、前記被験者のうち4週時と12週時とで口唇部のボリューム感、縦じわが著しく改善した2名(被験者A及びB)の写真を示す。
セージエキス及びオオバナサルスベリエキスの組み合わせは、唇由来線維芽細胞におけるLINC00942遺伝子の発現を亢進させることが実施例3で確認されている。また、唇由来
線維芽細胞においてLINC00942の発現が亢進すると、隣接する骨格筋細胞における筋線維
構成タンパク質を増加させる作用がより高まることは実施例2で示される通りである。し
たがって、セージエキス及びオオバナサルスベリエキスを含有する口唇用化粧料により、口唇部における筋線維構成タンパク質が増加して筋線維が肥大し、唇がふっくらとボリュームアップし、縦じわが改善して、口唇の印象が改善したものと推測される。
線維芽細胞においてLINC00942の発現が亢進すると、隣接する骨格筋細胞における筋線維
構成タンパク質を増加させる作用がより高まることは実施例2で示される通りである。し
たがって、セージエキス及びオオバナサルスベリエキスを含有する口唇用化粧料により、口唇部における筋線維構成タンパク質が増加して筋線維が肥大し、唇がふっくらとボリュームアップし、縦じわが改善して、口唇の印象が改善したものと推測される。
Claims (3)
- 唇由来線維芽細胞による骨格筋細胞活性化作用の向上剤をスクリーニングする方法であって、
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、
前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び
前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含み、
前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質は前記向上作用を有すると判定する、方法。 - 口唇印象改善剤をスクリーニングする方法であって、
被験物質を添加して唇由来線維芽細胞を培養する工程、
前記線維芽細胞の培養上清を骨格筋細胞に添加して培養する工程、及び
前記骨格筋細胞におけるミオシン重鎖タンパク質2(MYH2)及び/又はミオシン重鎖タンパク質7(MYH7)をコードする遺伝子又は前記タンパク質の発現量を測定する工程を含み、
前記発現量が、被験物質を添加しなかった唇由来線維芽細胞培養上清を添加した骨格筋細胞における発現量と比較して大きい場合に、前記被験物質は前記改善作用を有すると判定する、方法。 - 請求項2に記載の方法により口唇印象改善剤をスクリーニングする工程を含む、口唇用化粧料の設計方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021126507 | 2021-08-02 | ||
JP2021126507 | 2021-08-02 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023021891A true JP2023021891A (ja) | 2023-02-14 |
Family
ID=85201286
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021188445A Pending JP2023021891A (ja) | 2021-08-02 | 2021-11-19 | スクリーニング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023021891A (ja) |
-
2021
- 2021-11-19 JP JP2021188445A patent/JP2023021891A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US20150044317A1 (en) | Topical Compositions for Reducing Visible Signs of Aging and Methods of Use Thereof | |
CN112220719B (zh) | 一种乌发组合物及其制备方法和应用 | |
KR20210145227A (ko) | 노화 방지 화장품 조성물 | |
JP6460426B2 (ja) | 肌の色調改善剤のスクリーニング法 | |
CN110022853B (zh) | 蛋白质l-异天冬氨酸甲基转移酶活化用组合物 | |
KR101160926B1 (ko) | 탈모방지 및 모발생장 촉진용 생약재 추출물의 정제방법 및 이를 이용한 화장료 조성물 | |
KR20120122874A (ko) | 탈모방지 및 모발생장 촉진용 생약재 추출물의 정제방법 및 이를 이용한 화장료 조성물 | |
JP2012020950A (ja) | エンドセリン作用抑制剤及び美白剤 | |
JP2023021891A (ja) | スクリーニング方法 | |
WO2019239035A1 (fr) | Utilisation d'un extrait de bixa orellana | |
JP6696097B2 (ja) | タルミ改善剤のスクリーニング法 | |
WO2021125346A1 (ja) | Mpc1抑制により皮膚幹細胞を活性化する方法および皮膚幹細胞活性化剤 | |
CN108883142B (zh) | 来自人参植物(panax spp.)的生物活性组合物及其生产和使用方法 | |
JP2021092534A (ja) | 抗老化成分のスクリーニング方法 | |
JP6726034B2 (ja) | 線維芽細胞の増殖促進剤 | |
JP2009242333A (ja) | ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤、及びそのペルオキシソーム増殖剤応答性受容体活性化剤を配合した皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、飲食品 | |
JP4129475B2 (ja) | コラーゲン合成促進剤及びこれを含む皮膚外用剤組成物 | |
FR3084256A1 (fr) | Extrait de lespedeza capitata pour son utilisation dans le domaine capillaire | |
WO2022034833A1 (ja) | Il-8抑制剤、皮膚抗老化剤、およびそれを用いて皮膚老化を抑制する方法 | |
CH706016A2 (de) | Auf Stammzellen der Epidermis und Dermis und auf deren Mikro-Umgebung wirkende kosmetische Zusammensetzung. | |
CN117357462B (zh) | 一种抑制脂褐素的组合物及其制备方法和应用 | |
KR20220042759A (ko) | 스피루리나 추출물을 포함하는 탈모의 예방 또는 치료용 조성물 | |
FR3072287B1 (fr) | Utilisation d'un extrait de cassia alata contre le vieillissement des cheveux | |
JP7408269B2 (ja) | メラノソーム分解促進剤 | |
JP2024004732A (ja) | デスモプラキン発現亢進剤 |