JP2023020232A - エンジンシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】冷間始動時に副室内の混合気を適切に燃焼させる。【解決手段】エンジンシステム1は、主燃焼室25と、主燃焼室25と隔壁(64)により隔てられかつ当該隔壁(64)に形成された連通孔66を通じて主燃焼室25と連通する副室60と、主燃焼室25に導入される吸気が流通する吸気導入路(8)と、主燃焼室25に燃料を噴射する第1燃料噴射装置(26)と、吸気導入路(8)に燃料を噴射する第2燃料噴射装置(28)と、副室60内の混合気に点火する点火装置(62)と、各装置を制御する制御器(100)とを備える。エンジン水温が閾値未満の条件でエンジンが始動される冷間始動時、制御器(100)は、第2燃料噴射装置(28)から吸気行程中に燃料が噴射されかつ当該燃料噴射の後に点火装置(62)による点火が行われるように、第2燃料噴射装置(28)及び点火装置(62)を制御する。【選択図】図8

Description

本発明は、主燃焼室と副室とを備えたエンジンシステムに関する。
シリンダブロック、シリンダヘッド、及びピストンにより画成された主燃焼室と、主燃焼室と隣接する副室とを備え、かつ副室を規定する壁に連通孔が形成されたエンジンが知られている。例えば、下記特許文献1には、主燃焼室及び副室と、吸気ポートに燃料を噴射する主燃料噴射弁と、副室に燃料を噴射する副燃料噴射弁と、主燃焼室内の混合気に点火する主点火プラグと、副室内の混合気に点火する副点火プラグとを備えたエンジンが開示されている。このエンジンでは、主燃焼室内の混合気が燃焼した後に副室内の混合気が燃焼するように、上記各燃料噴射弁及び各点火プラグが制御される。副室内の混合気が燃焼すると、副室から連通孔を通じて主燃焼室に火炎が噴出され、この噴出された火炎(トーチ火炎)により主燃焼室内の未燃混合気が燃焼する。これにより、主燃焼室に未燃混合気が残留することが抑制され、燃費性能及び排ガス性能が高まるとされている。
特開2007-255370号公報
ここで、上記特許文献1のエンジンを改変し、副室ではなく主燃焼室に燃料噴射弁を設けることが考えられる。しかしながら、このようにすると、特にエンジンの冷間始動時に副室で失火が起きる可能性が高くなる。すなわち、エンジンの冷間始動時は、燃料の微粒化及び蒸発が進み難いので、主燃焼室に燃料が噴射されてから当該主燃焼室内の混合気が均質化するまでに要する所要時間が長くなり易い。このことは、主燃焼室から連通孔を通じて副室に導入される混合気の濃度が上昇し難いことを意味する。副室内の混合気の濃度が薄いと、副点火プラグにより副室内の混合気に点火しても混合気が燃焼しない現象、つまり失火が起きる可能性が高くなる。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、冷間始動時に副室内の混合気を適切に燃焼させることが可能なエンジンシステムを提供することを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、気筒を形成するシリンダブロック及びシリンダヘッドと、前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、前記主燃焼室と隔壁により隔てられ、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、前記主燃焼室に導入される吸気が流通する吸気導入路と、前記主燃焼室に燃料を噴射する第1燃料噴射装置と、前記吸気導入路に燃料を噴射する第2燃料噴射装置と、前記副室内の混合気に点火する点火装置と、前記シリンダブロック及び前記シリンダヘッドの内部を流通する冷却水の温度であるエンジン水温を検出する水温検出部と、前記水温検出部、前記第1燃料噴射装置、前記第2燃料噴射装置、及び前記点火装置と電気的に接続され、前記水温検出部から前記エンジン水温の検出情報を表す電気信号を受け付けるとともに、前記第1及び第2燃料噴射装置と前記点火装置とに制御用の電気信号を出力する制御器とを備え、検出された前記エンジン水温が所定の閾値未満の条件でエンジンが始動される冷間始動時に、前記制御器は、前記第2燃料噴射装置から吸気行程中に燃料が噴射されかつ当該燃料噴射の後に前記点火装置による点火が行われるように、前記第2燃料噴射装置及び前記点火装置を制御する、ことを特徴とするものである。
なお、本発明において、「吸気行程中に燃料が噴射され」とは、1燃焼サイクル分の所要燃料の少なくとも一部が吸気行程中に噴射されるという意味であり、必ずしも所要燃料の全部が吸気行程中に噴射されることを意味しない。
本発明によれば、エンジンの冷間始動時に、吸気導入路に燃料を噴射する第2燃料噴射装置から吸気行程中に燃料が噴射されるので、当該第2燃料噴射装置からの噴射燃料を、吸気導入路から主燃焼室に勢いよく流入する吸気と共に主燃焼室に導入することができ、燃料の流動性を高めることができる。これにより、点火装置による副室での点火の前に、燃料と空気とを十分に混合することができ、主燃焼室に十分に均質な混合気を形成することができる。主燃焼室内の混合気が均質化すると、隔壁に形成された連通孔を通じて主燃焼室から副室に導入される混合気の濃度が安定化するので、点火時点で副室に形成される混合気の濃度不足を解消することができる。つまり、点火装置による副室での点火の前に、燃焼(火炎伝播)に適した所期の濃度の混合気を副室に形成することが可能になる。これにより、点火装置の点火をきっかけに副室内の混合気を適切に燃焼させることができ、副室から連通孔を通じて主燃焼室に火炎を噴出させることができる。連通孔から噴出された火炎は、主燃焼室内の混合気を十分な速度で燃焼させる。これにより、冷間始動時の熱効率を高めることができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
好ましくは、前記吸気導入路は、前記シリンダヘッドに形成された吸気ポートを含み、前記シリンダヘッドには、前記吸気ポートに燃料を噴射する前記第2燃料噴射装置と、前記吸気ポートを開閉する吸気弁とが設けられ、前記制御器は、前記冷間始動時に、前記吸気弁の開弁時期よりも前に前記第2燃料噴射装置に燃料噴射を開始させる。
この構成によれば、特に吸気ポートから主燃焼室に勢いよく吸気が流入する吸気弁の開弁直後に、第2燃料噴射装置からの噴射燃料を当該吸気と共に主燃焼室に導入することができる。これにより、主燃焼室内の混合気を十分に均質化することができ、副室内の混合気の濃度を十分に確保することができる。
好ましくは、前記エンジンシステムは、前記主燃焼室内の混合気に点火する追加点火装置をさらに備え、前記制御器は、前記冷間始動時に、前記点火装置の点火時期よりも前に前記追加点火装置に点火を行わせる。
着火性の低い冷間始動時に、前記点火装置による副室での点火(副点火)よりも前に、追加点火装置による主燃焼室での点火(主点火)を行っても、この主点火は、主燃焼室内の混合気を燃焼させる作用をもたらさない。ただし、主点火は、主燃焼室内の温度を放電エネルギーにより上昇させる作用をもたらす。主燃焼室内の温度が上昇すると、主燃焼室から副室に導入される混合気の温度が上昇するので、その後の副点火時に失火が生じるのをより高い確率で防止することができる。これにより、冷間始動時の混合気の燃焼性を高めることができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
検出された前記エンジン水温が前記閾値以上の条件でエンジンが始動される通常始動時に、前記制御器は、前記第1燃料噴射装置に燃料を噴射させることが好ましい。
この構成によれば、着火性が相対的に良好な通常始動時に、第1燃料噴射装置から主燃焼室に直接噴射された燃料に基づく混合気を効率よく燃焼させることができる。
以上説明したように、本発明のエンジンシステムによれば、冷間始動時に副室内の混合気を適切に燃焼させることができる。
本発明の一実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図である。 エンジン本体の概略断面図である。 副点火ユニットの先端部を側方から見た部分断面図である。 副点火ユニットの先端部を下方から見た平面図である。 エンジンシステムの制御系統を示す機能ブロック図である。 エンジンの運転中に実行される制御の詳細を示すフローチャートである。 図6のステップS3の制御の詳細を示すサブルーチンである。 冷間始動時における燃料噴射及び火花点火の各タイミングを示すタイムチャートである。 通常始動時における燃料噴射及び火花点火の各タイミングを示すタイムチャートである。 非アイドリング運転時における燃料噴射及び火花点火の各タイミングを示すタイムチャートである。 図6及び図7の制御により実現される動作の一例を示すタイムチャートである。
以下、図面に基づいて、本発明の一実施形態に係るエンジンシステムについて詳細に説明する。本実施形態にて例示されるエンジンシステムは、自動車等の車両を走行駆動するための動力源として前記車両に搭載される車載用のエンジンシステム1である。
[エンジンの全体構成]
図1は、エンジンシステム1の概略構成図である。エンジンシステム1は、エンジン本体2と、エンジン本体2に導入される空気(吸気)が流通する吸気通路4と、エンジン本体2から導出された排気ガスが流通する排気通路6とを備える。エンジン本体2は、ガソリンを含む燃料の供給を受ける4ストロークのガソリンエンジンである。
図2は、エンジン本体2の概略断面図である。エンジン本体2は、複数の気筒22を有する多気筒エンジンである。例えば、エンジン本体2は、一列に並ぶ(図1の紙面と直交する方向に並ぶ)4つの気筒22を有する。エンジン本体2は、シリンダブロック52、シリンダヘッド54、及び複数のピストン24を備える。気筒22は、シリンダブロック52及びシリンダヘッド54によって形成されている。すなわち、複数の気筒22に対応する複数の円筒空間がシリンダブロック52の内部に形成されるとともに、当該円筒空間を上から閉塞するようにシリンダヘッド54がシリンダブロック52の上面に取り付けられている。ピストン24は、各気筒22にそれぞれ往復摺動可能に収容されている。なお、本実施形態では、シリンダブロック52からシリンダヘッド54に向かう側を上、その逆を下として扱うが、これは説明の便宜のためであって、エンジン本体2の据付姿勢を限定する趣旨ではない。
各気筒22のピストン24の上方には、主燃焼室25が形成されている。主燃焼室25は、気筒22の側周面(シリンダライナー)を規定するシリンダブロック52の内周面22aと、気筒22の上面を規定するシリンダヘッド54の底面54aと、ピストン24の冠面24aとによって画成された空間である。主燃焼室25には、後述するインジェクタ26,28からの噴射によって燃料が供給される。供給された燃料と空気との混合気は主燃焼室25で燃焼し、当該燃焼による膨張力を受けてピストン24は上下方向に往復運動する。
シリンダブロック52の下部(ピストン24の下方)には、エンジン本体2の出力軸であるクランク軸20が設けられている。クランク軸20は、各気筒22のピストン24とコネクティングロッド21を介して連結されており、ピストン24の往復運動に応じて中心軸回りに回転する。
クランク軸20は、始動モータ45と係脱可能に連結されている。始動モータ45は、エンジンの始動時にクランク軸20と係合してこれを強制回転(クランキング)させる電動式のモータである。
シリンダヘッド54には、各気筒22の主燃焼室25に連通する吸気ポート8及び排気ポート12が形成されている。また、シリンダヘッド54には、吸気弁10及び排気弁14の組合せが、気筒22ごとにそれぞれ装備されている。吸気ポート8は、吸気通路4から供給される空気を主燃焼室25に導入するためのポートである。排気ポート12は、主燃焼室25で生成された既燃ガス(排気ガス)を排気通路6に導出するためのポートである。吸気弁10は、吸気ポート8の主燃焼室25側の開口を開閉するバルブである。排気弁14は、排気ポート12の主燃焼室25側の開口を開閉するバルブである。本実施形態では、気筒22ごとに2つの吸気弁10及び2つの排気弁14が設けられる。
吸気弁10及び排気弁14は、それぞれ、シリンダヘッド54に配設された動弁機構16,18により開閉駆動される。動弁機構16,18は、例えばクランク軸20に連係された一対のカムシャフトを含み、クランク軸20の回転に連動して各気筒22の吸気弁10及び排気弁14を開閉駆動する。吸気弁10用の動弁機構16には、吸気弁10の開閉タイミングを可変的に設定する電動式の可変バルブ機構である吸気S-VT16aが内蔵されている。
シリンダヘッド54には、直噴インジェクタ26、ポートインジェクタ28、主点火プラグ32、及び副点火ユニット30の組合せが、気筒22ごとにそれぞれ装備されている。なお、直噴インジェクタ26は、本発明における「第1燃料噴射装置」に相当し、ポートインジェクタ28は、本発明における「第2燃料噴射装置」に相当する。また、主点火プラグ32は、本発明における「追加点火装置」に相当する。
直噴インジェクタ26は、主燃焼室25に燃料を噴射する噴射弁である。直噴インジェクタ26は、主燃焼室25を上方から臨む先端部26aを有している。この直噴インジェクタ26の先端部26aには噴口が形成され、当該噴口から主燃焼室25に向けて燃料が噴射される。直噴インジェクタ26は、その先端部26aが主燃焼室25の天井面の中央、より詳しくは気筒22の軸線上に位置するようにシリンダヘッド54に取り付けられている。
ポートインジェクタ28は、吸気ポート8に燃料を噴射する噴射弁である。ポートインジェクタ28は、吸気ポート8を上方から臨む先端部28aを有している。このポートインジェクタ28の先端部28aには噴口が形成され、当該噴口から吸気ポート8に向けて燃料が噴射される。ポートインジェクタ28から吸気ポート8に噴射された燃料は、吸気ポート8を流れる吸気と共に主燃焼室25に導入される。
主点火プラグ32は、主燃焼室25内の混合気に点火する主点火を行うプラグである。主点火プラグ32の先端には、火花を放電するための電極部32xが備えられている。電極部32xは、中心電極32aとアース用の側方電極32bとを含む。主点火プラグ32は、その電極部32xが主燃焼室25を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。主点火プラグ32の電極部32xは、主燃焼室25の天井面のうち直噴インジェクタ26の先端部26aよりも吸気側に配置されている。
副点火ユニット30は、主燃焼室25に火炎を噴出するための装置である。副点火ユニット30の構造については後で詳述する。
吸気通路4は、各気筒22の吸気ポート8と連通するようにシリンダヘッド54の一側面に接続されている。吸気通路4には、その上流側から順に、吸気中の異物を除去するエアクリーナ34と、吸気の流量を調整する開閉可能なスロットル弁36と、サージタンク38とが設けられている。吸気通路4におけるサージタンク38よりも下流側の部分は、複数の通路に分岐しており、これら各分岐通路がそれぞれ各気筒22の吸気ポート8に接続されている。なお、吸気通路4及び吸気ポート8の組合せは、本発明における「吸気導入路」に相当する。
排気通路6は、各気筒22の排気ポート12と連通するように、シリンダヘッド54の一側面(吸気通路4と反対側の面)に接続されている。排気通路6には、三元触媒等の触媒41が内蔵された触媒装置40が設けられている。
[副点火ユニットの詳細]
図3は、副点火ユニット30の先端部30xを側方から見た部分断面図、図4は、先端部30xを下方から見た平面図である。本図に示すように、副点火ユニット30は、副点火プラグ62と、この副点火プラグ62の先端を覆うカバー部材64と、カバー部材64の内部空間である副室60とを備える。なお、副点火プラグ62は、本発明における「点火装置」に相当し、カバー部材64は、本発明における「隔壁」に相当する。
副点火プラグ62は、副室60内の混合気に点火する副点火を行うプラグである。副点火プラグ62の先端には、火花を放電する電極部62xが備えられている。電極部62xは、中心電極62aと、アース用の側方電極62bとを含む。
カバー部材64は、副点火ユニット30の先端部30xの外郭を構成するカバーであり、副点火プラグ62の電極部62xの周囲を覆うように取り付けられている。カバー部材64は、下方に向けて膨出する半球型(ドーム型)の形状を有している。
副室60は、副点火プラグ62の電極部62xの周囲空間であり、カバー部材64によって囲まれている。このような空間であるゆえ、副室60のサイズは、主燃焼室25のサイズに比べると狭小である。副点火プラグ62の電極部62xは、副室60に臨むように配設されており、当該副室60に火花を放電することで上記副点火を行う。
図2に示すように、副点火ユニット30は、その先端部30xが主燃焼室25を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。副点火ユニット30の先端部30xは、主燃焼室25の天井面のうち直噴インジェクタ26の先端部26aよりも排気側に配置されている。この取付状態において、カバー部材64のほぼ全体が主燃焼室25に露出している。言い換えると、カバー部材64は、副室60と主燃焼室25とを隔てる隔壁として機能している。
カバー部材64には、その表裏を貫通して主燃焼室25と連通する複数の連通孔66が形成されている。カバー部材64の内側空間である副室60は、これら連通孔66を介して主燃焼室25と連通している。本実施形態では、カバー部材64に3つの連通孔66が形成された例を示している。図4に示すように、3つの連通孔66は、カバー部材64の頂点Qを通るカバー部材64の軸線回りに120度間隔で配置されている。また、図3に示すように、各連通孔66は、側面視で、頂点Qから約45度斜め上の位置に配置されている。本実施形態では、カバー部材64の半径が5mm、厚みが1mmであり、各連通孔66の直径が1.2mmである。
上記の構成を有する副点火ユニット30は、主燃焼室25に火炎を噴出するための装置として機能する。直噴インジェクタ26及びポートインジェクタ28の少なくとも一方から主燃焼室25に燃料が噴出されて主燃焼室25内に燃料と空気との混合気が形成されると、この混合気の一部は連通孔66を介して副室60内に導入される。副室60内に混合気が存在する状態で副点火が行われ、副点火プラグ62の電極部62xから火花が放電されると、副室60内で混合気が燃焼を開始し、副点火プラグ62の電極部62x付近から周囲へと火炎が伝播していく。そして、当該火炎は連通孔66を通じて主燃焼室25に噴出され、主燃焼室25内の混合気に伝搬する。
[制御系統]
図5は、エンジンシステム1の制御系統を示す機能ブロック図である。本図に示すように、エンジンシステム1は、当該エンジンシステム1に備わる各機能部を統括的に制御するECU100を備える。ECU100は、各種演算処理を行うプロセッサ(CPU)と、ROM及びRAM等のメモリーと、各種の入出力バスとを含むマイクロコンピュータにより構成された制御器である。ECU100は、上述の直噴インジェクタ26、ポートインジェクタ28、主点火プラグ32、副点火プラグ62、吸気S-VT16a、及びスロットル弁36等の機器と電気的に接続され、これらの機器に制御用の電気信号を出力する。
ECU100には、エンジンシステム1等に備わる各種センサにより検出された情報が電気信号として逐次入力される。ECU100は、当該各種センサからの入力種情報に基づいて種々の判定や演算等を実行しつつエンジンの各部を制御する。具体的に、エンジンシステム1には、エアフローセンサSN1、吸気温センサSN2、吸気圧センサSN3、水温センサSN4、及びクランク角センサSN5が設けられている。また、エンジンシステム1を搭載した車両には、アクセル開度センサSN6が設けられている。ECU100は、これら各センサSN1~SN6と電気的に接続されるとともに、当該各センサSN1~SN6により検出された情報を逐次受け付ける。なお、水温センサSN4は、本発明における「水温検出部」に相当する。
エアフローセンサSN1は、吸気通路4を通過してエンジン本体2に導入される吸気の流量を検出するセンサである。吸気温センサSN2及び吸気圧センサSN3は、エンジン本体2に導入される吸気の温度及び圧力をそれぞれ検出するセンサである。水温センサSN4は、エンジン本体2を冷却するためにシリンダブロック52及びシリンダヘッド54の内部を流通する冷却水の温度であるエンジン水温を検出するセンサである。クランク角センサSN5は、クランク軸20の回転角度であるクランク角、及びクランク軸20の回転数であるエンジン回転数を検出するセンサである。アクセル開度センサSN6は、車両に備わるアクセルペダル(不図示)の開度であるアクセル開度を検出するセンサである。
さらに、ECU100には、車両に備わるイグニッションスイッチSW1の操作信号も入力される。イグニッションスイッチSW1は、エンジンシステム1を起動又は停止する際に乗員により操作されるスイッチである。ECU100には、当該イグニッションスイッチSW1の操作状態を表す情報が電気信号として逐次入力される。
[制御動作]
次に、エンジンシステム1の具体的な制御例について図6~図10を用いて説明する。図6及び図7は、エンジンの運転中にECU100により実行される制御の詳細を示すフローチャートである。図8~図10は、燃料噴射及び火花点火の各タイミングを示すタイムチャートであり、図8は冷間始動時のものを、図9は通常始動時のものを、図10は非アイドリング運転時のものを、それぞれ示している。
図6に示す制御がスタートすると、ECU100は、イグニッションスイッチSW1がオン操作されたか否かを判定する(ステップS1)。例えば、ECU100は、イグニッションスイッチSW1がオフ状態からオン状態に切り替わったことを表すIG・ONの信号がイグニッションスイッチSW1から入力された場合に、イグニッションスイッチSW1がオン操作されたと判定する。
上記ステップS1でYESと判定されてイグニッションスイッチSW1のオン操作が確認された場合、ECU100は、各種情報を読み込む(ステップS2)。例えば、ECU100は、水温センサSN4により検出されるエンジン水温と、クランク角センサSN5により検出されるエンジン回転数と、アクセル開度センサSN6により検出されるアクセル開度とを少なくとも読み込む。
次いで、ECU100は、エンジンを始動させる始動制御を実行する(ステップS3)。この始動制御の詳細を図7を用いて説明する。始動制御が開始されると、ECU100は、吸気弁10の開閉タイミングが相対的に遅くなるように吸気S-VT16aを制御する(ステップS21)。具体的に、ECU100は、吸気弁10のリフト量の変化であるリフトカーブが図8又は図9に示すようなカーブとなるように、つまり吸気弁10が吸気行程の途中の時点t1で開弁しかつ圧縮行程の途中の時点t2で閉弁するように、吸気S-VT16aを制御する。言い換えると、エンジンの始動時は、吸気行程の始まりである排気上死点(排気行程と吸気行程との間のTDC)から所定のクランク角だけ遅れて吸気弁10が開弁し、かつ吸気行程の終わりである吸気下死点(吸気行程と圧縮行程との間のBDC)から所定のクランク角だけ遅れて吸気弁10が閉弁するように、吸気S-VT16aによる吸気弁10の開閉タイミングが設定される。
次いで、ECU100は、エンジンのクランキングを開始する(ステップS22)。すなわち、ECU100は、始動モータ45を駆動してクランク軸20に回転力を付与することにより、クランク軸20を強制的に回転させる。なお、このステップS22におけるクランキングは、上記ステップS21における吸気S-VT16aの駆動と同時並行的に実行することが可能である。
次いで、ECU100は、上記ステップS2で水温センサSN4から取得されたエンジン水温、つまりイグニッション・オンの時点でのエンジンの冷却水の温度が、予め定められた閾値Tx未満であるか否かを判定する(ステップS23)。閾値Txは、エンジンの特性に応じて適宜設定されるが、例えば0℃前後に設定することが可能である。
上記ステップS23でYESと判定されてエンジン水温が閾値Tx未満であることが確認された場合、ECU100は、ポートインジェクタ28に燃料を噴射させる(ステップS24)。具体的に、ECU100は、図8に示すように、1燃焼サイクル分の所要燃料が主に吸気行程の初期に噴射されるようにポートインジェクタ28を制御する。図8には、ポートインジェクタ28の噴射パルスが排気上死点(吸気行程の始まり)と吸気弁10の開弁時期t1との間に含まれる例が示される。この場合、ポートインジェクタ28による燃料噴射は、排気上死点以降に開始され、かつ吸気弁10の開弁時期t1以前に終了される。ただし、これはあくまで一例であって、図8以外のタイミングも許容される。例えば、ポートインジェクタ28は、吸気弁10の開弁時期t1を跨ぐ期間に亘って燃料を噴射してもよい。また、ポートインジェクタ28は、燃料噴射期間(噴射パルス)の一部が排気行程に含まれ、かつ残りの一部が吸気行程に含まれるようなタイミングで燃料を噴射してもよい。言い換えると、エンジン水温が閾値Tx未満の条件でのエンジン始動(以下、これを冷間始動という)において、ポートインジェクタ28による燃料噴射のタイミングは、吸気弁10の開弁時期t1よりも前に噴射が開始され、かつ所要燃料の少なくとも一部が吸気行程中に噴射されるようなタイミングであればよい。エンジンの冷間始動時、ECU100は、このようなタイミングでポートインジェクタ28から燃料が噴射されるようにポートインジェクタ28を制御する。
ここで、上記ステップS24において吸気弁10の開弁前にポートインジェクタ28から噴射される燃料は、少なくともその一部が吸気ポート8の壁面に付着することが想定される。ただし、仮に吸気ポート8の壁面に燃料が付着しても、その付着燃料は、吸気弁10の開弁直後に吸気ポート8が負圧化するのに伴い蒸発し、吸気ポート8を流れる吸気と共に無駄なく主燃焼室25へと導入される。
上述のとおり、エンジンの冷間始動時は、所要燃料が全てポートインジェクタ28からの噴射によって賄われる。言い換えると、冷間始動時は、燃料の供給源としてポートインジェクタ28のみが作動し、直噴インジェクタ26は停止される。
次いで、ECU100は、主点火プラグ32に点火を行わせる(ステップS25)。具体的に、ECU100は、図8に示すように、吸気弁10の閉弁時期t2よりも遅角側でかつ圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程との間のTDC)よりも進角側にあたる圧縮行程の適宜のタイミングで主点火プラグ32に点火(主点火)を行わせる。ただし、ここでの主点火は、混合気を直接燃焼させるための点火ではない。言い換えると、主点火のタイミングは、主燃焼室25に存在する混合気が着火(燃焼)しないようなタイミングに設定される。すなわち、主点火が行われるステップS25の時点で、主燃焼室25には、上記ステップS24でポートインジェクタ28から噴射された燃料に由来する混合気が形成されているが、当該混合気が主点火によって着火しないように、主点火は主燃焼室25が十分に高温・高圧化する前に実行される。このようなタイミングで実行される主点火は、混合気の燃焼にはつながらないものの、放電エネルギーにより主燃焼室25を高温化させる作用をもたらす。このことは、続く副点火による混合気の燃焼を促進させる。
次いで、ECU100は、副点火プラグ62に点火を行わせる(ステップS26)。具体的に、ECU100は、図8に示すように、上記ステップS25の主点火よりも遅くかつ圧縮上死点に近いタイミングで副点火プラグ62に点火(副点火)を行わせる。この副点火は、カバー部材64の内部つまり副室60に存在する混合気を燃焼させる。副室60内の混合気が燃焼すると、カバー部材64の複数の連通孔66を通じて火炎が主燃焼室25に噴出され、当該火炎の噴出を受けて主燃焼室25内の混合気が燃焼する。なお、図8には、圧縮上死点の進角側の近傍で(つまり圧縮行程の終期に)副点火が行われる例が示されているが、副点火のタイミングは、副室60及び主燃焼室25内の混合気が燃焼するようなタイミングであればよく、図8のものに限られない。例えば、圧縮上死点に一致するタイミングで副点火を行ってもよいし、圧縮上死点の遅角側の近傍で(つまり膨張行程の初期に)副点火を行ってもよい。
次いで、ECU100は、エンジンの始動が完了したか否かを判定する(ステップS27)。例えば、ECU100は、クランク角センサSN5により検出されるエンジン回転数が予め定められた基準回転数を超えた場合に、エンジン始動が完了したと判定する。ここでの判定がNOである間、つまりエンジン回転数が基準回転数以下である間は、上述したステップS24~S26の制御が対象気筒を変えつつ繰り返される。すなわち、ポート噴射、主点火、及び副点火をこの順に行って混合気を燃焼させる制御が、エンジン回転数が基準回転数を超えるまで各気筒22に対し順次実行される。一方、エンジン回転数が基準回転数を超えてステップS27の判定がYESになると、フローは図6のステップS4へと移行する。
次に、上記ステップS23でNOと判定された場合、つまりエンジン水温が閾値Tx以上である場合の制御について説明する。この場合、ECU100は、直噴インジェクタ26に燃料を噴射させる(ステップS28)。具体的に、ECU100は、図9に示すように、1燃焼サイクル分の所要燃料が吸気行程中に噴射されるように直噴インジェクタ26を制御する。より詳しくは、ECU100は、直噴インジェクタ26の噴射パルスが吸気弁10の開弁時期t1から吸気下死点までの間に含まれるように、直噴インジェクタ26を制御する。言い換えると、エンジン水温が閾値Tx以上の条件でのエンジン始動(以下、これを通常始動という)において、直噴インジェクタ26は、吸気行程と吸気弁10の開弁期間との双方に重複するタイミングで燃料を噴射する。
上述のとおり、エンジンの通常始動時は、所要燃料が全て直噴インジェクタ26からの噴射によって賄われる。言い換えると、通常始動時は、燃料の供給源として直噴インジェクタ26のみが作動し、ポートインジェクタ28は停止される。
次いで、ECU100は、副点火プラグ62に点火を行わせる(ステップS29)。具体的に、ECU100は、図9に示すように、圧縮上死点に近いタイミングで副点火プラグ62に点火(副点火)を行わせる。なお、図9には、圧縮上死点の進角側の近傍で副点火が行われる例が示されているが、副点火のタイミングは、圧縮上死点に一致するタイミングであってもよいし、圧縮上死点の遅角側の近傍でであってもよい。この副点火により、副室60内の混合気が燃焼するとともに、当該燃焼に伴いカバー部材64の連通孔66から噴出する火炎により主燃焼室25内の混合気が燃焼する。
次いで、ECU100は、エンジンの始動が完了したか否かを判定する(ステップS30)。ここでの判定の詳細は上述したステップS27と同様である。当該ステップS30で始動完了が確認されるまでは上述のステップS28,S29の制御(直接噴射及び副点火)が対象気筒を変えつつ繰り返され、始動完了が確認された時点でフローは図6のステップS4へと移行する。
図6に戻って、エンジンの始動が完了した後の制御について説明する。エンジンの始動後、ECU100は、エンジンがアイドリング運転されているか否かを判定する(ステップS4)。アイドリング運転は、周知のとおり、車両が実質的に停止しかつアクセル開度が実質的にゼロである条件で、エンジンが安定した自律回転をするのに必要な最小限の燃焼トルクを発生させる運転のことである。例えば、ECU100は、クランク角センサSN5及びアクセル開度センサSN6の各検出値等からエンジン負荷及びエンジン回転数を特定し、特定したエンジン負荷及びエンジン回転数が共に最低レベルである場合に、エンジンがアイドリング運転されていると判定する。
上記ステップS4でYESと判定されてエンジンがアイドリング運転されていることが確認された場合、ECU100は、水温センサSN4により検出されたエンジン水温が閾値Tx未満であるか否かを判定する(ステップS5)。
上記ステップS5でYESと判定されてエンジン水温が閾値Tx未満であることが確認された場合、ECU100は、ポートインジェクタ28に燃料を噴射させて当該噴射燃料に基づく混合気を燃焼させる制御を実行する(ステップS6)。ここでの制御は、上述した始動制御(図7)におけるステップS24~S26の制御と同様である。すなわち、ECU100は、ポート噴射、主点火、及び副点火をこの順に行って混合気を燃焼させる制御を実行する(図8参照)。
一方、上記ステップS5でNOと判定されてエンジン水温が閾値Tx以上であることが確認された場合、ECU100は、直噴インジェクタ26に燃料を噴射させて当該噴射燃料に基づく混合気を燃焼させる制御を実行する(ステップS7)。ここでの制御は、上述した始動制御(図7)におけるステップS28,S29の制御と同様である。すなわち、ECU100は、直接噴射及び副点火をこの順に行って混合気を燃焼させる制御を実行する(図9参照)。
上記ステップS6,S7のいずれかで燃焼が行われた後、ECU100は、イグニッションスイッチSW1がオフ操作されたか否かを判定する(ステップS8)。例えば、ECU100は、イグニッションスイッチSW1がオン状態からオフ状態に切り替わったことを表すIG・OFFの信号がイグニッションスイッチSW1から入力された場合に、イグニッションスイッチSW1がオフ操作されたと判定する。ここでの判定がNOである間、つまりイグニッション・オンの状態が継続されている間は、上記ステップS4以降の制御が繰り返される。一方、イグニッションスイッチがオフ操作されてステップS8の判定がYESになると、フローはリターンされる。
次に、上記ステップS4でNOと判定された場合、つまりエンジンがアイドリング運転されていない場合の制御について説明する。この場合、エンジンの各気筒22では、アイドリング運転時よりも高いトルク(つまり車両の走行に寄与するトルク)を発生させる燃焼が行われる。以下では、このような運転のことを非アイドリング運転という。当該非アイドリング運転に該当する場合、ECU100は、吸気弁10の開閉タイミングがアイドリング運転時よりも早い通常タイミングになるように吸気S-VT16aを制御する(ステップS10)。これにより、吸気弁10は、吸気行程の全部又は大部分の期間に亘って開弁するようになる。図10には、吸気弁10の開弁期間が吸気行程の全部と重複する例が示される。この場合、吸気弁10は、排気上死点の進角側の近傍の時点t11で開弁し、かつ吸気下死点の遅角側の近傍の時点t12で閉弁する。もちろん、図10に対しやや進角又は遅角したタイミングであってもよく、具体的なタイミングはエンジンの運転条件等に応じて適宜設定され得る。
次いで、ECU100は、直噴インジェクタ26に燃料を噴射させる(ステップS11)。具体的に、ECU100は、吸気弁10の開弁時期t11から圧縮上死点までの間に1燃焼サイクル分の所要燃料が噴射されるように直噴インジェクタ26を制御する。図10には、直噴インジェクタ26の噴射パルスが吸気行程(排気上死点から吸気下死点までの間)に含まれる例が示されるが、噴射パルスの全部又は一部が圧縮行程に含まれていてもよい。
次いで、ECU100は、主点火プラグ32による点火(主点火)と副点火プラグ62による点火(副点火)とが適宜の順で実行されるように、主点火プラグ32及び副点火プラグ62を制御する(ステップS12)。図10には、主点火と副点火とが副点火→主点火の順に実行される例が示されるが、これとは逆の主点火→副点火の順であってもよい。点火順序は、非アイドリング運転時のエンジン負荷及びエンジン回転数等の条件に応じて適宜設定され得る。いずれの点火順序の場合でも、主点火及び副点火の各時期は圧縮上死点の近傍に設定される。
上記のように主点火及び副点火が圧縮上死点の近傍で行われることにより、混合気の燃焼が複数の位置で開始される。すなわち、主点火プラグ32の電極部32xからの火炎伝播により主燃焼室25内の混合気が燃焼し始めるとともに、副点火プラグ62の電極部62xからの火炎伝播により副室60内の混合気が燃焼し始める。さらに、副室60内の混合気の燃焼は、複数の連通孔66からの火炎の噴出をもたらし、この噴出火炎によっても主燃焼室25内の混合気が燃焼する。このように複数の位置から燃焼が開始されることにより、主燃焼室25での混合気の燃焼速度が速まり、燃費性能が向上する。
上記ステップS12での点火の後、ECU100は、イグニッションスイッチSW1がオフ操作されたか否かを判定し(ステップS8)、その結果に応じて、上記ステップS4以降の制御を繰り返すか、もしくはフローをリターンさせる。
[動作例]
次に、上述した図6及び図7の制御により実現される動作の一例を図11のタイムチャートを用いて説明する。図11の動作例では、時点taにおいて、エンジン水温は閾値Tx未満であり、この条件でエンジンが始動(冷間始動)される。その後、時点tbでエンジンはアイドリング運転に移行し、さらに時点tcからは非アイドリング運転(車両の走行)が開始される。この期間(時点ta~tc)の間、エンジン水温は閾値Tx未満に留まっており、エンジンの冷間状態が継続されている。その後、エンジンは時点tdで一旦停止され、時点teで再び始動される。この再始動の時点teにおいて、エンジン水温は閾値Txより高い値まで上昇しており、エンジンは非冷間状態に移行している。時点te以降は、非冷間状態のままアイドリング運転及び非アイドリング運転が適宜行われる。
上記のような運転が行われた場合、各気筒22への燃料噴射は次のように遷移することになる。すなわち、冷間状態での始動及びアイドリング運転が行われる時点taから時点tcまでの期間は、ポートインジェクタ28による燃料噴射が行われ、直噴インジェクタ26は停止される。一方、時点tcから時点tdまでの期間は、エンジンが冷間状態で非アイドリング運転されるか、もしくはエンジンが非冷間状態にある期間であるから、直噴インジェクタ26による燃料噴射が行われ、ポートインジェクタ28は停止される。エンジンが再始動される時点te以降は、エンジンは非冷間状態にあるから、やはり直噴インジェクタ26による燃料噴射が行われ、ポートインジェクタ28は停止される。
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態では、エンジンが冷間始動される場合、つまりエンジン水温が閾値Tx未満の条件でエンジンが始動される場合に、ポートインジェクタ28から燃料が噴射され、その後に副点火プラグ62による点火(副点火)が行われる。ポートインジェクタ28は、吸気弁10の開弁時期t1よりも前に燃料噴射を開始し、副点火プラグ62は、圧縮上死点の近傍で副点火を行う。このような構成によれば、アイドリング運転時に副室60内の混合気を適切に燃焼させることができ、エンジンの燃費性能を向上できるという利点がある。
すなわち、本実施形態では、冷間始動の際に、吸気弁10の開弁時期t1よりも前にポートインジェクタ28による燃料噴射が開始されるので、特に吸気ポート8から主燃焼室25に勢いよく吸気が流入する吸気弁10の開弁直後に、ポートインジェクタ28からの噴射燃料を当該吸気と共に主燃焼室25に導入することができ、燃料の流動性を高めることができる。これにより、副点火プラグ62による点火(副点火)の前に燃料と空気とを十分に混合することができ、主燃焼室25に十分に均質な混合気を形成することができる。主燃焼室25内の混合気が均質化すると、副点火の時点で副室60に形成される混合気の濃度不足が解消されるので、副点火をきっかけに混合気を適切に燃焼させることができる。
例えば、主燃焼室25の温度が低い冷間始動時は、燃料の微粒化及び蒸発が進み難いので、仮にポートインジェクタ28ではなく直噴インジェクタ26から燃料を噴射してしまうと、副点火までの間に主燃焼室25内の混合気が十分に均質化しない可能性がある。この場合、副室60内の混合気の濃度が十分に上昇せず、副点火を行っても混合気が燃焼しない(失火が起きる)可能性がある。これに対し、本実施形態では、冷間始動時にポートインジェクタ28から燃料が噴射されるので、燃料の流動性を高めて主燃焼室25内の混合気を十分に均質化することができ、連通孔66を通じて主燃焼室25から副室60に導入される混合気の濃度を安定化させることができる。これにより、燃焼(火炎伝播)に適した所期の濃度の混合気を副点火の前に副室60に形成し得るので、副点火をきっかけに副室60内の混合気を適切に燃焼させることができ、副室60から連通孔66を通じて主燃焼室25に火炎を噴出させることができる。連通孔66から噴出された火炎は、主燃焼室25内の混合気を十分な速度で燃焼させる。これにより、冷間始動時の熱効率を高めることができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、エンジンの冷間始動時に、副点火プラグ62による点火(副点火)よりも前に主点火プラグ32による点火(主点火)が行われる。着火性が低い冷間始動時に副点火に先んじて主点火を行っても、この主点火は、主燃焼室25内の混合気を燃焼させる作用をもたらさない。ただし、主点火は、主燃焼室25内の温度を放電エネルギーにより上昇させる作用をもたらす。主燃焼室25内の温度が上昇すると、主燃焼室25から副室60に導入される混合気の温度が上昇するので、その後の副点火時に失火が生じるのをより高い確率で防止することができる。これにより、冷間始動時の混合気の燃焼性を高めることができ、エンジンの燃費性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、エンジン水温が閾値Tx以上の条件でエンジンが始動される通常始動時に、直噴インジェクタ26から燃料が噴射され、その後に副点火プラグ62による点火(副点火)が行われる。このような構成によれば、着火性が相対的に良好な通常始動時に、直噴インジェクタ26から主燃焼室25に直接噴射された燃料に基づく混合気を効率よく燃焼させることができる。
[変形例]
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような変形例をも包含し得る。
上記実施形態では、冷間始動時にポートインジェクタ28から燃料を噴射する際に、吸気弁10の開弁時期t1よりも前に燃料噴射が開始されるようにポートインジェクタ28を制御したが(図8参照)、冷間始動時のポートインジェクタ28からの燃料噴射のタイミングは、1燃焼サイクル分の所要燃料の少なくとも一部が吸気行程に含まれるタイミングであればよく、その限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、吸気弁10の開弁時期t1と同時もしくはその直後にポートインジェクタ28の燃料噴射を開始させてもよい。
上記実施形態では、シリンダヘッド54に設けられたポートインジェクタ28から吸気ポート8に燃料を噴射するようにしたが、このようなポートインジェクタ28に代えて、例えば吸気通路4の下流部(サージタンク38とエンジン本体2との間の部分)に燃料を噴射するインジェクタを設けてもよい。言い換えると、本発明における第2燃料噴射装置は、主燃焼室に導入される吸気が流通する吸気導入路のいずれかの位置に燃料を噴射するものであればよく、その限りにおいて第2燃料噴射装置の取付位置は適宜変更し得る。
上記実施形態では、副点火ユニット30のカバー部材64として、半球型(ドーム型)の形状を有しかつ3つの連通孔66を有するものを例示したが(図3及び図4参照)、カバー部材64の形状は円錐台型や直方体型など他の形状であってもよい。また、連通孔66の数やサイズは適宜設定することができる。さらに、副点火ユニット30の取り付け位置も図2に示した位置に限られない。例えば、副点火ユニット30は、直噴インジェクタ26の先端部26aに対して吸気ポート8側に設けられてもよい。
上記実施形態では、副点火ユニット30(副点火プラグ62)に加えて主点火プラグ32を設けたが、主点火プラグ32は必須ではなく、省略してもよい。
1 エンジンシステム
4 吸気通路(吸気導入路)
8 吸気ポート(吸気導入路)
10 吸気弁
22 気筒
24 ピストン
25 主燃焼室
26 直噴インジェクタ(第1燃料噴射装置)
28 ポートインジェクタ(第2燃料噴射装置)
32 主点火プラグ(追加点火装置)
52 シリンダブロック
54 シリンダヘッド
60 副室
62 副点火プラグ(点火装置)
64 カバー部材(隔壁)
66 連通孔
100 ECU(制御器)
SN4 水温センサ(水温検出部)

Claims (4)

  1. 気筒を形成するシリンダブロック及びシリンダヘッドと、
    前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、
    前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、
    前記主燃焼室と隔壁により隔てられ、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、
    前記主燃焼室に導入される吸気が流通する吸気導入路と、
    前記主燃焼室に燃料を噴射する第1燃料噴射装置と、
    前記吸気導入路に燃料を噴射する第2燃料噴射装置と、
    前記副室内の混合気に点火する点火装置と、
    前記シリンダブロック及び前記シリンダヘッドの内部を流通する冷却水の温度であるエンジン水温を検出する水温検出部と、
    前記水温検出部、前記第1燃料噴射装置、前記第2燃料噴射装置、及び前記点火装置と電気的に接続され、前記水温検出部から前記エンジン水温の検出情報を表す電気信号を受け付けるとともに、前記第1及び第2燃料噴射装置と前記点火装置とに制御用の電気信号を出力する制御器とを備え、
    検出された前記エンジン水温が所定の閾値未満の条件でエンジンが始動される冷間始動時に、前記制御器は、前記第2燃料噴射装置から吸気行程中に燃料が噴射されかつ当該燃料噴射の後に前記点火装置による点火が行われるように、前記第2燃料噴射装置及び前記点火装置を制御する、ことを特徴とするエンジンシステム。
  2. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記吸気導入路は、前記シリンダヘッドに形成された吸気ポートを含み、
    前記シリンダヘッドには、前記吸気ポートに燃料を噴射する前記第2燃料噴射装置と、前記吸気ポートを開閉する吸気弁とが設けられ、
    前記制御器は、前記冷間始動時に、前記吸気弁の開弁時期よりも前に前記第2燃料噴射装置に燃料噴射を開始させる、ことを特徴とするエンジンシステム。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記主燃焼室内の混合気に点火する追加点火装置をさらに備え、
    前記制御器は、前記冷間始動時に、前記点火装置の点火時期よりも前に前記追加点火装置に点火を行わせる、ことを特徴とするエンジンシステム。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のエンジンシステムにおいて、
    検出された前記エンジン水温が前記閾値以上の条件でエンジンが始動される通常始動時に、前記制御器は、前記第1燃料噴射装置に燃料を噴射させる、ことを特徴とするエンジンシステム。
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