JP2023020233A - エンジンシステム - Google Patents

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諒平 大野
Ryohei Ono
雄司 原田
Yuji Harada
健司 内田
Kenji Uchida
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Abstract

Figure 2023020233000001
【課題】トルクショックを抑制しつつ燃費性能を確実に高める。
【解決手段】主燃焼室、副室、主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置、主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置および副室内の混合気に点火する副点火装置を設け、所定の領域において、副点火装置の点火時期である副点火時期が主点火装置の点火時期である主点火時期よりも遅角側となるように、主点火装置及び前記副点火装置を制御し、所定の領域での車両の加速時において主燃焼室の空燃比がその目標値に対して不足するという空燃比不足条件が成立すると、主点火時期に対する副点火時期の遅角量である点火位相差を増大補正する。
【選択図】図9

Description

本発明は、主燃焼室と副室とを備えたエンジンシステムに関する。
従来より、車両等に搭載されるエンジンにおいて、その燃費性能や排ガス性能を高めるために主燃焼室とこれと連通する副室とを設けることが検討されている。具体的に、主燃焼室とこれと連通する副室とを設けて、副室で生成された火炎を主燃焼室に噴出させれば、主燃焼室での燃焼速度を高めて燃費性能の向上が図れるとともに、未燃混合気の残留を抑制して排ガス性能の向上を図ることができる。
例えば、特許文献1には、シリンダブロック、シリンダヘッドおよびピストンにより区画された主燃焼室(特許文献1における主室)と、これと連通する副室と、吸気ポートに設けられて吸気ポートを介して主燃焼室に燃料を供給する主燃料噴射弁と、主燃焼室内の混合気に点火を行う主室点火プラグと、副室に燃料を直接噴射する副燃料噴射弁と、副室内の混合気に点火を行う副室点火プラグとを備えたエンジンが開示されている。このエンジンでは、主燃焼室に形成された混合気であって主燃料噴射弁から噴射された燃料と空気の混合気が主室点火プラグによって先ず点火され、その後、副室に形成された混合気であって副燃料噴射弁から噴射された燃料と空気の混合気が副室点火プラグによって点火されるようになっている。
特開2007-255370号公報
特許文献1のエンジンでは、主燃焼室と副室とにそれぞれ個別に燃料が噴射されるように構成されており、1つの気筒に対して2つの燃料噴射弁が必要となる。そのため、構造が複雑化するとともにコスト面で不利になる。これに対して、主燃焼室と副室とを有するエンジンにおいて、主燃焼室にのみ燃料噴射弁を設けることが考えられる。ただし、主燃焼室にのみ燃料噴射弁を設ける構成では、主燃焼室から副室への混合気の流入具合によって副室および主燃焼室での混合気の燃焼状態が変化する。そのため、主燃焼室に導入される空気量が不足するおそれのある加速時において主燃焼室と副室の双方で確実に混合気を燃焼させる点で工夫が求められる。
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、主燃焼室と副室とを備えるエンジンシステムにおいて加速時に副室および主燃焼室で混合気を適切に燃焼させることを目的とする。
前記課題を解決するためのものとして、本発明は、車両に搭載されるエンジンシステムにおいて、気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、前記燃料噴射装置、前記主点火装置および前記副点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、所定の領域において、前記副点火装置の点火時期である副点火時期が前記主点火装置の点火時期である主点火時期よりも遅角側となるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御し、前記所定の領域での車両の加速時において前記主燃焼室の空燃比がその目標値に対して不足するという空燃比不足条件が成立すると、前記主点火時期に対する前記副点火時期の遅角量である点火位相差を増大補正する、ことを特徴とする。
本発明では、所定の領域において、主点火装置による点火が行われ後に副点火装置による点火が行われる。そのため、主点火装置による点火によって主燃焼室で混合気を燃焼させて、これにより生じた主燃焼室の圧力上昇を利用して副室に混合気を押し込むことができる。従って、主燃焼室と副室との双方で混合気を適切に燃焼させて燃費性能および排ガス性能を高めることができる。
しかも、本発明では、主燃焼室の空燃比がその目標値に対して不足しており、これに伴って主燃焼室から副室に十分な空気が導入されにくい加速時に、点火位相差が増大補正される。点火位相差が増大補正されると、主燃焼室の圧力上昇に伴う混合気の副室への導入が開始してから副点火装置による点火が行われるまでの期間が長くなる。そのため、副室に十分な空気が導入されにくい加速時においても、副室内の空気量を確保して副室内での混合気の適切な燃焼を実現できる。そして、この副室での混合気の燃焼により主燃焼室での燃焼を促進することができ、主燃焼室での混合気の適切な燃焼を実現できるとともにエンジントルクを高めて加速性を良好にできる。
前記構成において、好ましくは、前記制御装置は、前記所定の領域での車両の加速時において、当該車両に設けられたアクセルペダルの開度の変化率が所定の基準変化率以上の場合に、空燃比不足条件が成立すると判定する(請求項2)。
この構成によれば、アクセルペダルの開度の変化率に基づいて空燃比不足条件の成否を容易に判定できる。
前記構成において、好ましくは、前記制御装置は、前記空燃比不足条件の成立時において、前記主燃焼室の空燃比の目標値に対する不足量が大きいほど前記点火位相差の補正量を大きくする(請求項3)。
この構成によれば、主燃焼室の空燃比の不足量が大きく主燃焼室から副室への空気の導入が特に困難になるときに、点火位相差の補正量が特に大きくされることで、エンジントルクを確保することができる。また、主燃焼室の空燃比の不足量が比較的小さく主燃焼室から副室へ空気が比較的導入されやすいときに、点火位相差が過大になることひいては燃焼期間が過大のを防止でき、燃費性能を良好にできる。
前記構成において、好ましくは、前記制御装置は、前記空燃比不足条件の成立時に前記主点火時期を進角側に補正する(請求項4)。
この構成によれば、点火位相差の増大に加えて主点火時期の進角によってもエンジントルクを高めることができ、加速性を確実に良好にできる。
前記構成において、好ましくは、前記制御装置は、前記空燃比不足条件の成立時において、前記主燃焼室の空燃比の目標値に対する不足量が所定値以上の場合、前記副点火時期を遅角側に補正する(請求項5)。
この構成によれば、空燃比の目標値に対する不足量が特に大きく副室への空気の導入がより困難になるときに、主点火時期の進角と併せて副点火時期の遅角が行われることで、点火位相差を確実に増大できる。従って、副室での燃焼および主燃焼室での燃焼をより確実に促進して加速性をより確実に良好にできる。
以上説明したように、本発明のエンジンシステムによれば、副室および主燃焼室において混合気を適切に燃焼させることができる。
本発明の実施形態に係るエンジンシステムの概略構成図である。 エンジン本体の概略断面図である。 副点火ユニットの先端部を側方から見た部分断面図である。 副点火ユニットの先端部の平面図である。 エンジンの制御ブロックを示した図である。 エンジンの運転領域を示したマップである。 第2領域のインジェクタの駆動パルスおよび点火時期の一例を示した図である。 アクセル開度の変化率と空燃比の不足量との関係を示した図である。 主点火プラグおよび副点火プラグの制御手順を示したフローチャートである。 第2領域での加速時の主点火時期および副点火時期の一例を示した図であって、(a)は緩加速時の図、(b)は急加速時の図、(c)は中間加速時の図である。 アクセル開度の変化率と点火時期の補正量および点火位相差の補正量の関係を示したグラフである。 第2領域での加速時の各パラメータの時間変化を示したタイムチャートである。
(エンジンの全体構成)
図1は、本発明のエンジンシステムの好ましい実施形態を示す概略構成図である。エンジンシステム1は、エンジン本体2と、エンジン本体2に導入される空気(吸気)が内側を流通する吸気通路4と、エンジン本体2から導出された排気ガスが内側を流通する排気通路6と、EGR装置50とを備える。エンジンシステム1は、車両にその走行用の動力源等として搭載される。エンジン本体2は、主としてガソリンを燃料とする4ストロークのガソリンエンジンであり、ガソリンを含む燃料がエンジン本体2に供給される。
図2は、エンジン本体2の概略断面図である。本実施形態では、エンジン本体2は、複数の気筒22を有する多気筒エンジンである。例えば、エンジン本体2は、一列に並ぶ(図1の紙面と直交する方向に並ぶ)4つの気筒22を有する。エンジン本体2は、複数の気筒22が内部に形成されたシリンダブロック52と、各気筒22の上端開口を塞ぐ底面54aを有してシリンダブロック52の上面に取り付けられるシリンダヘッド54と、各気筒22にそれぞれ往復摺動可能に収容された複数のピストン24とを備える。なお、本実施形態では、シリンダブロック52からシリンダヘッド54に向かう側を上、その逆を下として扱うが、これは説明の便宜のためであって、エンジンの据付姿勢を限定する趣旨ではない。
各気筒22のピストン24の上方には、主燃焼室26がそれぞれ区画されている。主燃焼室26は、シリンダブロック52に形成された気筒22の内周面22aと、シリンダヘッド54の底面(下面)54aと、ピストン24の冠面24aとによって画成されている。主燃焼室26には後述するインジェクタ28からの噴射によって燃料が供給される。ピストン24は、この燃料と空気の混合気の燃焼による膨張力を受けて上下方向に往復動する。
シリンダブロック52の下部(ピストン24の下方)には、エンジン本体2の出力軸であるクランク軸20が設けられている。クランク軸20は、各気筒22のピストン24とコネクティングロッド21を介して連結されており、ピストン24の往復運動に応じて中心軸回りに回転する。
シリンダヘッド54には、主燃焼室26と吸気通路4とを連通して吸気通路4から供給される空気を主燃焼室26に導入するための吸気ポート8と、主燃焼室26と排気通路6とを連通して主燃焼室26で生成された排気ガスを排気通路6に導出するための排気ポート12とが、それぞれ気筒22ごとに形成されている。シリンダヘッド54には、吸気ポート8の主燃焼室26側の開口を開閉する吸気弁10と、排気ポート12の主燃焼室26側の開口を開閉する排気弁14とが、それぞれ気筒22ごとに設けられている。本実施形態では、1つの気筒22につき2つの吸気弁10および2つの排気弁14が設けられている。
吸気弁10および排気弁14は、それぞれ、シリンダヘッド54に配設された動弁機構16、18により、クランク軸20の回転に連動して開閉駆動される。吸気弁10用の動弁機構16には、吸気弁10のバルブリフト量および開閉タイミングを電動で可変に制御する可変バルブリフト機構(吸気S-VT)16aが設けられている。同様に、排気弁14用の動弁機構18にも、排気弁14のバルブリフト量および開閉タイミングを電動で可変に制御する可変バルブリフト機構(排気S-VT)18aが設けられている。
シリンダヘッド54には、インジェクタ28、主点火プラグ32および副点火ユニット30が各気筒22につきそれぞれ1組ずつ設けられている。インジェクタ28は請求項の「燃料噴射装置」に相当し、主点火プラグ32は請求項の「主点火装置」に相当する。
インジェクタ28は、主燃焼室26に燃料を噴射する噴射弁である。インジェクタ28の先端部28xには、燃料を噴射する噴射口が形成されている。インジェクタ28は、その先端部28xが主燃焼室26を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。本実施形態では、インジェクタ28は、その先端部28xが主燃焼室26の天井面の中央(詳細には、気筒22の軸線上)に位置するように配設されている。
主点火プラグ32は、主燃焼室26内の混合気に火花放電によって点火する主点火を行うものである。主点火プラグ32の先端には、火花を放電するための電極部32xが設けられている。この電極部32xは、中心電極32aと側方電極(アース)32bとを含む。主点火プラグ32は、その電極部32xが燃焼室5を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。本実施形態では、主点火プラグ32は、その電極部32xが主燃焼室26の天井面のうちインジェクタ28の先端部28xよりも吸気ポート8側に位置するように配設されている。
副点火ユニット30は、主燃焼室26に火炎を噴出するための装置である。副点火ユニット30の詳細については後述する。
吸気通路4は、各気筒22の吸気ポート8と連通するようにシリンダヘッド54の一側面に接続されている。吸気通路4には、その上流側から順に、エアクリーナ34と、スロットル弁36と、サージタンク38とが設けられている。エアクリーナ34は、吸気中の異物を除去する装置であり、サージタンク38は所定の容積を有するタンクである。スロットル弁36は、吸気通路4を開閉して吸気通路4を流通する吸気の流量を調整するバルブである。スロットル弁36はこれを駆動する駆動手段によってその開度が変更されるようになっている。吸気通路4を流通する吸気の流量ひいては吸気通路4を通って主燃焼室26に流入する吸気(空気)の量は、スロットル弁36の開度によって調整される。
吸気通路4の下流端は複数の通路に分岐している。各分岐通路はそれぞれ1つの吸気ポート8に接続されている。各気筒22について、2つの吸気ポート8の一方につながる分岐通路には、これを開閉するスワールバルブ56(図5参照)が設けられている。
排気通路6は、各気筒22の排気ポート12と連通するようにシリンダヘッド54の一側面(吸気通路4と反対側の面)に接続されている。排気通路6には、三元触媒等の触媒41が内蔵された触媒装置40が設けられている。
EGR装置50は、排気ガスの一部をEGRガスとして吸気通路4に還流させて、吸気通路4を介してこれと連通する主燃焼室26に導入する(還流させる)ための装置である。EGR装置50は、排気通路6と吸気通路4とを連通するEGR通路42と、EGR通路42にそれぞれ設けられたEGR弁46とEGRクーラ44とを有する。EGR通路42の上流端は、触媒装置40の下流端であって触媒41よりも下流側の排気通路6に接続され、EGR通路42の下流端は、サージタンク38に接続されている。EGR弁46は、EGR通路42を開閉してEGRガスの流量を調整するバルブである。EGRクーラ44は、EGRガスを冷却する熱交換器である。EGRクーラ44は、EGR弁46よりも下流側に配設されている。
(副点火ユニット)
図3は、副点火ユニット30の先端部30xを側方から見た部分断面図である。図4は、副点火ユニット30の先端部30xの平面図(先端側から見た)である。
副点火ユニット30は、火花放電によって混合気に点火を行う副点火プラグ62を有する。副点火プラグ62の先端には、火花を放電するための電極部62xが設けられている。電極部62xは、中心電極62aと側方電極(アース)62bとを含む。副点火ユニット30は、その先端部30xに設けられて副点火プラグ62の電極部62xを覆うカバー部材64を備える。カバー部材64の内側には、所定の空間である副室60が区画されている。換言すると、副点火プラグ62は、その電極部62xが副室60を臨むように配設されており、副室60内の混合気に点火する副点火を行う。カバー部材64は、副点火ユニット30の先端側に向かって膨出する中空の半球状を呈している。上記の副点火プラグ62は請求項の「副点火装置」に相当し、上記のカバー部材64は請求項の「隔壁」に相当する。
図2に示すように、副点火ユニット30は、その先端部30xが主燃焼室26を上方から臨むようにシリンダヘッド54に取り付けられている。本実施形態では、副点火ユニット30は、主燃焼室26の天井面のうちインジェクタ28よりも排気ポート12側の位置に取り付けられている。本実施形態では、この取付状態において、カバー部材64のほぼ全体が主燃焼室26内に位置している。
カバー部材64には、その表裏を貫通して主燃焼室26と副室60とを連通する複数の連通孔66が形成されている。カバー部材64の内側空間つまり副室60は、これら連通孔66を介して主燃焼室26と連通している。このように、本実施形態では、エンジン本体2に上記のように構成された副点火ユニット30が取り付けられることで、カバー部材64によって主燃焼室26と隔てられ、且つ、連通孔66を通じて主燃焼室26と連通する副室60がエンジン本体2に形成されている。
本実施形態では、カバー部材64に3つの連通孔66が形成されている。図4に示すように、3つの連通孔66はカバー部材64の頂点Aを通るカバー部材64の軸線回りに120度間隔で形成されている。また、図3に示すように、各連通孔66は、側面視で、頂点Aから45度の位置に形成されている。また、カバー部材64の半径および厚みはそれぞれ5mm、1mmとされて、各連通孔66の直径は1.2mmとされている。
副点火ユニット30は、主燃焼室26に火炎を噴出する。具体的に、インジェクタ28から主燃焼室26内に燃料が噴射されて主燃焼室26内で空気と燃料の混合気が形成されると、この混合気の一部は連通孔66を介して副室60内に導入される。副室60内に十分量の混合気が存在する状態で副点火プラグ62によって火花放電が行われると、副室60内にて混合気は燃焼を開始し、副点火プラグ62の電極部62x付近から周囲へと火炎が伝播していく。そして、この火炎は連通孔66を介して主燃焼室26に噴出/放出され、主燃焼室26内の混合気に伝搬する。
ここで、上記のように、主点火プラグ32による点火が行われると、主点火プラグ32の電極部32x付近からも周囲へと火炎が伝搬していく。これより、主点火プラグ32と副点火プラグ62の双方により点火が行われて主燃焼室26および副室60内で適切に混合気が燃焼すれば、主燃焼室26内の混合気には複数の位置から火炎が伝搬されることになり、主燃焼室26内での混合気の燃焼速度が高められて燃費性能が高められるとともにノッキングの発生および未燃混合気の残留が抑制されることになる。
(制御系統)
図5は、エンジンの制御系統を示すブロック図である。本図に示されるECU100は、エンジンを統括的に制御する装置であり、各種演算処理を行うプロセッサ(CPU)と、ROMおよびRAM等のメモリーと、各種の入出力バスとを含むマイクロコンピュータにより構成されている。ECU100は、請求項の「制御装置」に相当する。
ECU100には、各種センサによる検出情報が入力される。例えば、ECU100には、エンジンシステム1に設けられたエアフローセンサSN1、吸気温センサSN2、吸気圧センサSN3、水温センサSN4およびクランク角センサSN5や、車両に設けられたアクセル開度センサSN6の検出値が入力される。エアフローセンサSN1は、吸気通路4を通過してエンジン本体2に導入される吸気の流量を検出する。吸気温センサSN2および吸気圧センサSN3は、エンジン本体2に導入される吸気の温度および圧力をそれぞれ検出する。水温センサSN4は、エンジン本体2を冷却するエンジン冷却水の温度を検出する。クランク角センサSN5は、クランク軸20の回転角度であるクランク角およびエンジン回転数を検出する。アクセル開度センサSN6は、車両に備わるアクセルペダル70の開度であるアクセル開度を検出する。
ECU100は、各種センサからの入力信号に基づいて種々の判定や演算等を行う。ECU100は、インジェクタ28、主点火プラグ32、副点火プラグ62、EGR装置50(詳細には、EGR弁46)等と電気的に接続されており、演算結果等に基づいて、これら装置に制御用の電気信号を出力する。
図6は、横軸をエンジン回転数、縦軸をエンジン負荷としたエンジンの運転領域を示すマップである。図6に示すように、エンジンの運転領域は、燃焼形態に応じて2つの領域A1、A2(第1領域A1、第2領域A2)に大別される。第1領域A1は、エンジン回転数が所定の切替回転数N1以下且つエンジン負荷が所定の切替負荷Tq1以下の低速低負荷領域であり、第2領域A2は、その他の領域である。なお、第2領域A2は、請求項の「所定の領域」に相当する。
(第1領域)
第1領域A1では、HCCI燃焼(予混合圧縮着火燃焼、HCCI:Homogeneous Compression Charge Ignition)が実現されるように、インジェクタ28および点火プラグ32、62が制御される。具体的に、第1領域A1では、吸気行程中にインジェクタ28から燃料が噴射される。また、点火プラグ32、62の駆動(これら点火プラグ32、62による点火)が停止される。
上記のようにインジェクタ28は主燃焼室26を臨んでおり、インジェクタ28から噴射された燃料は主燃焼室26の全体に拡散可能となっている。これより、第1領域A1では、吸気行程中にインジェクタ28から燃料が噴射されることで、圧縮上死点に到達するまでの間に主燃焼室26内で燃料と空気とが十分に混合される。そして、第1領域A1では、この十分に混合された混合気(予混合気)がピストン24の圧縮により高温・高圧化されることで圧縮上死点付近において自着火する。HCCI燃焼では、混合気の空燃比(主燃焼室26内の燃料重量に対する主燃焼室26内の空気重量の割合)を、火炎伝播が不可能なレベルにまでリーンに(高く)して燃費性能を高めることができる。これより、第1領域A1では、主燃焼室26内の混合気の空燃比が理論空燃比(14.7)よりもリーンに(高く)なるように、スロットル弁36の開度が調整される。
また、第1領域A1では、ECU100は、EGRガスを吸気通路4および主燃焼室26に還流させるEGRを実施する。つまり、第1領域A1ではEGR弁46が開弁されてEGRガスが吸気通路4および主燃焼室26に還流される。
(第2領域での通常運転時の制御)
第2領域A2で行われる通常運転時の制御(加速時ではないときの制御)について説明する。
第2領域A2では、ECU100によって、混合気がSI燃焼(SI:Spark Ignition)つまり火炎伝播燃焼するようにエンジンの各部が制御される。
具体的に、第2領域A2では、ECU100は、主点火と副点火とを実施する。つまり、ECU100は、主点火プラグ32および副点火プラグ62を駆動して、これら点火プラグ32、62に点火(火花放電)を行わせる。点火プラグ32、62による火花放電が行われると、これら点火プラグ32、62の電極部32x、62x回りに火炎核が生成されて、火炎核から周囲へと火炎が伝搬していくSI燃焼が実現される。
図7は、第2領域A2でのインジェクタ28の駆動パルス、主点火プラグ32の点火時期である主点火時期tm(主点火プラグ32が点火つまり火花放電を行うクランク角での時期tm)および副点火プラグ62の点火時期である副点火時期ts(副点火プラグ62が点火つまり火花放電を行うクランク角での時期ts)を示した図である。
図7に示すように、第2領域A2では、ECU100は、燃料噴射時期tinjを吸気行程中の時期に設定して、インジェクタ28に吸気行程中の所定時期から燃料噴射を開始させる。なお、第2領域A2のうちエンジン回転数が低くエンジン負荷が高い領域であってプリイグニッション(点火が行われる前に混合気が自着火してしまう現象)が生じやすい領域では、プリイグニッションの発生を確実に回避するべく燃料噴射時期を圧縮行程中の時期としてもよい。
図7に示すように、第2領域A2において、ECU100は、副点火時期tsを主点火時期tmよりも遅角側の時期に設定する。つまり、ECU100は、先ず主点火プラグ32に点火を行わせ、その後副点火プラグ62に点火を行わせる。本実施形態では、主点火時期tmは圧縮行程中の時期に設定され、副点火時期tsは膨張行程中の時期に設定される。通常運転時のこれら点火時期tm、tsである基本点火時期(基本主点火時期tm_base、基本副点火時期ts_base)は、各運転ポイントについて予め設定されてECU100に記憶されている。本実施形態では、基本主点火時期tm_baseおよび基本副点火時期ts_baseが、それぞれエンジン回転数とエンジン負荷とについて予め設定されてマップで記憶されており、ECU100は、このマップからエンジン回転数とエンジン負荷に対応する時期をそれぞれ抽出して、主点火時期tmおよび副点火時期tsに設定する。
第2領域A2では、ECU100は、主燃焼室26内の混合気の空燃比が理論空燃比になるように、スロットル弁36の開度を調整する。つまり、第2領域A2では、主燃焼室26の空燃比の目標値が理論空燃比とされ、スロットル弁36はこの目標値が実現するように制御される。
第2領域A2では、ECU100は、各運転ポイントにおいて予め設定された目標のEGR率が実現されるようにEGR弁46の開度を調整する。EGR率は、主燃焼室26および副室60に存在する全ガス中に占めるEGRガスの割合(重量割合)である。本実施形態では、第2領域A2のうち、エンジン回転数が高い領域およびエンジン負荷が高い領域では目標のEGR率がゼロとされてEGRは停止される(EGR弁46が全閉にされる)。一方、第2領域A2のうちの残りの領域では、EGR率はゼロよりも大きい値とされてEGR弁46は開弁される。
(第2領域での加速時制御)
次に、第2領域A2内での加速時、つまり、図6の矢印のように、運転ポイントが第2領域A2内の運転ポイントP1から、これよりもエンジン負荷が高い第2領域A2内の運転ポイントP2に移行したときに、ECU100により実施される主点火プラグ32および副点火プラグ62の制御について説明する。
車両の加速開始時、つまり、車両を加速させるべく運転者がアクセルペダル70を踏み込んだとき、ECU100はエンジン負荷を上昇させるべくインジェクタ28から噴射される燃料の量を増大させる。また、ECU100は、主燃焼室26に導入される空気の量を増大させるべくスロットル弁36やEGR弁46の開度を調整する。ただし、ガスの流れには遅れがある。そのため、加速開始直後では、主燃焼室26内の既燃ガスが十分に排出されないこと、および、スロットル弁36等の開度変更がすぐには主燃焼室26内の空気量に反映されないことで、主燃焼室26に導入される空気の量が十分に増大せず、主燃焼室26の空燃比が目標値に対して不足する場合がある。主燃焼室26の空燃比が目標値に対して不足すると、つまり、主燃焼室26に導入される空気の量が不足すると、副室60に十分な混合気(空気)が導入されず副室60で混合気が適切に燃焼しない。そして、副室60で混合気が適切に燃焼しないと、副室60からの火炎による主燃焼室26での燃焼促進効果が得られないのでエンジントルクが十分に高められず加速性が低下するおそれがある。
ここで、副点火時期tsの主点火時期tmに対する遅角量(つまり主点火時期tmから副点火時期tsまでのクランク角での期間)である点火位相差dtを増大すれば、主燃焼室26の圧力上昇に伴う混合気の副室60への導入が開始してから副点火プラグ62による点火が行われるまでの期間が長くなる。これより、点火位相差dtを増大すれば、副室60への空気の導入を促進して副室60内での混合気の適切な燃焼を実現でき、副室60から主燃焼室26に火炎を噴出させて主燃焼室26での混合気の燃焼を促進できる。つまり、主燃焼室26で混合気を適切に燃焼させることができ、エンジントルクを高めて加速性を良好にできる。
そこで、ECU100は、第2領域A2内での加速時であって、主燃焼室26の空燃比が目標値(理論空燃比)に対して不足しているという空燃比不足条件が成立したときは、点火位相差dtを増大補正する。具体的に、ECU100は、空燃比不足条件の成立時、点火位相差dtが通常運転時よりも増大するように、主点火時期tmと副点火時期tsの少なくとも一方を補正する。以下では、適宜、主燃焼室26の空燃比の目標値(理論空燃比)に対する不足量を、単に空燃比の不足量という。なお、本明細書でいう、主燃焼室26の空燃比が目標値(理論空燃比)に対して不足する状態とは、不足量が厳密にゼロ以上である状態に限らず、実質的に不足している状態、つまり、エンジントルクに影響を及ぼす程度に不足している状態を含む。
以下では、空燃比不足条件成立時の加速であって、主燃焼室26の空燃比が目標値(理論空燃比)に対して不足する加速(エンジントルクに影響を及ぼす程度に実質的に不足する加速)のことを強加速という。また、以下では、空燃比不足条件の非成立時の加速であって、主燃焼室26の空燃比が目標値(理論空燃比)に対して不足しておらず(実質的に不足しておらず)、この不足量がエンジントルクに影響を及ぼさない程度に小さく抑えられる加速のことを、緩加速という。
図8は、第2領域A2内の加速開始時におけるアクセル開度の変化率(アクセルペダル70の開度の変化速度)と、空燃比の不足量の関係を示した図である。図8に示すように、加速開始時のアクセル開度の変化率が大きい方が、空燃比の不足量は大きくなる。これより、本実施形態では、ECU100は、加速開始時のアクセル開度の変化率に基づいて強加速時であるか緩加速時であるか(空燃比不足条件の成否)を判定する。具体的に、ECU100は、アクセル開度の変化率が所定の第1判定値未満(且つ0よりも大きいとき)であって空燃比の不足量が第1不足量未満(0よりも大きい値)の量でありエンジントルクに影響を及ぼさない量に抑えられるときは緩加速が開始されたと判定し、アクセル開度変化率が第1判定値以上であって空燃比の不足量が所定の第1不足量以上のエンジントルクに影響を及ぼす量になるときは強加速が開始されたと判定する。
ここで、本実施形態では、後述するように、強加速時において、アクセル開度の変化率が第1判定値よりも大きい第2判定値以上であるか否かに応じて点火時期の制御を異ならせており、以下では、適宜、加速開始時のアクセル開度の変化率が第2判定値以上の加速、つまり、空燃比の不足量が第1不足量よりも大きい所定の第2不足量以上の加速のことを急加速という。また、アクセル開度の変化率が第1判定値以上且つ第2判定値未満の加速、つまり、空燃比の不足量が第1不足量以上且つ第2不足量未満の加速のことを中間加速という。上記の第2不足量は、請求項の「所定値」に相当する。
次に、図9のフローチャートを用いて、第2領域A2内での加速時の点火プラグ32、62の具体的な制御手順を説明する。
ECU100は、まず、各種情報を読み込む(ステップS1)。ECU100は、クランク角センサSN5により検出されたエンジン回転数、アクセル開度センサSN6により検出されたアクセル開度等を読みこむ。
次に、ECU100は、エンジンに要求されているトルクである要求トルクつまりエンジン負荷を算出する(ステップS2)。ECU100は、ステップS1で読み込んだエンジン回転数およびアクセル開度に基づいて要求トルク(エンジン負荷)を算出する。
次に、ECU100は、基本点火時期(基本主点火時期tm_base、基本副点火時期ts_base)を設定する(ステップS3)。上記のように、本実施形態では、ECU100は、主点火時期tmと副点火時期tsとについて予め設定されて記憶しているマップから現在のエンジン回転数およびエンジン負荷に対応する値をそれぞれ抽出して、抽出した各値を基本主点火時期tm_baseおよび基本副点火時期ts_baseに設定する。
次に、ECU100は、車両の加速が開始されたか否かを判定する(ステップS4)。具体的に、ECU100は、アクセル開度の変化率が0以下の状態から0よりも大きい値に変化すると、加速が開始されたと判定する。
ステップS4の判定がYESであって車両の加速が開始されたと判定すると、ECU100は、ステップS5にて、アクセル開度の変化率が第1判定値以上であるか否か、つまり、強加速時であるか否かを判定する(ステップS4)。第1判定値は0よりも大きい値であり、予め設定されてECU100に記憶されている。
ステップS4の判定がYESであってアクセル開度の変化率が第1判定値以上である場合、ECU100は、アクセル開度の変化率が第2判定値以上であるか否か、つまり、急加速であるかを判定する(ステップS5)。上記のように第2判定値は第1判定値よりも大きい値であり、予め設定されてECU100に記憶されている。なお、ステップS4~S6の判定は、ステップS1で読み込まれたアクセル開度に基づいて行われる。
ステップS5の判定がYESであってアクセル開度の変化率が第2判定値以上である場合、つまり、急加速時の場合、ECU100は、点火時期の補正を行う(ステップS8)。
図10(a)は、図7の一部を拡大して示した図であって、主点火時期tmが基本主点火時期tm_baseであり副点火時期tsが基本副点火時期ts_baseのときのこれら点火時期を示した図である。図10(b)は、急加速時の主点火時期tmおよび副点火時期tsを示した図である。
図10(b)に示すように、急加速時では(ステップS8では)、ECU100は、主点火時期tmを、基本主点火時期tm_baseに対してこれよりも進角側の時期に補正する。つまり、ECU100は、基本主点火時期tm_baseよりも進角側の時期を主点火時期tmに決定する。また、ECU100は、副点火時期tsを、ステップS3で設定した基本副点火時期ts_baseに対してこれよりも遅角側の時期に補正する。つまり、ECU100は、基本副点火時期ts_baseよりも遅角側の時期を副点火時期tsに決定する。これにより、点火位相差dtは増大補正される。つまり、点火位相差dtは、点火時期が基本点火時期のときの点火位相差である基本点火位相差dt_baseに対して増大される。ステップS8にて点火時期を決定した後は、ECU100はステップS9に進む。
図9に戻り、ステップS6の判定がNOであってアクセル開度の変化率が第2判定値未満(且つ第1判定値以上)の場合つまり中間加速時の場合、ECU100は、ステップS7に進む。ステップS7においてもECU100は点火時期の補正を行う。
図10(c)は、中間加速時の主点火時期tmおよび副点火時期tsを示した図である。図10(c)に示すように、中間加速時でも(ステップS7でも)、ECU100は、急加速時(ステップS8)と同様に、主点火時期tmを基本主点火時期tm_baseに対してこれよりも進角側の時期に補正する。つまり、ECU100は、基本主点火時期tm_baseよりも進角側の時期を主点火時期tmに決定する。一方、中間加速時は(ステップS7では)、ECU100は、副点火時期tsの補正は行わず、ステップS3で設定した基本副点火時期ts_baseを副点火時期tsに決定する。ステップS7にて点火時期を決定した後は、ステップS9に進む。
図11は、加速開始時のアクセル開度の変化率と点火時期の補正量および点火位相差の補正量との関係を示した図である。図11に示すように、アクセル開度変化率が第1判定値以上であって強加速時(中間加速時および急加速時)の場合、ECU100は、加速開始時のアクセル開度の変化率が大きいほど、つまり、空燃比の不足量が大きいほど、主点火時期tmの補正量(進角量)を大きくする。また、アクセル開度変化率が第2判定値以上であって急加速時の場合、ECU100は、加速開始時のアクセル開度の変化率が大きいほど、つまり、空燃比の不足量が大きいほど、副点火時期tsの補正量(遅角量)を大きくする。これより、強加速時では、加速開始時のアクセル開度の変化率が大きく空燃比の不足量が大きいほど、点火位相差dtの補正量(増大量)は大きくされる。
本実施形態では、ECU100は、予め設定されたアクセル開度の変化率と点火時期tm、tsの補正量との関係を予めマップで記憶しており、このマップから加速開始時のアクセル開度の変化率に対応する補正量を抽出して、抽出した補正量を用いて基本主点火時期tm_base、ts_baseを補正する。
図9のステップS4に戻り、ステップS4の判定がNOであって加速開始時ではないと判定した場合、ECU100は、点火時期の補正中で、且つ、補正開始からの経過時間が所定の基準期間未満であるか否かを判定する(ステップS10)。基準期間は、予め設定されてECU100に記憶されている。
ステップS10の判定がYESであって、点火時期の補正が行われており且つ補正が開始されてから未だ基準期間が経過していない場合、ECU100は、点火時期の補正を継続する(ステップS11)。ただし、ECU100は、点火時期の補正量を時間とともに漸減させていく。つまり、ECU100は、強加速が開始されてからの経過時間が長くなるほど点火時期の補正量が小さくなるように補正量を設定して、基本点火時期をこの補正量で補正した時期を点火時期に決定する。なお、急加速時は、主点火時期tmと副点火時期tsの双方について各補正量を漸減させていき、中間加速時は、主点火時期tmの補正量を漸減させていく。このように、本実施形態では、強加速(中間加速あるいは急加速)の開始に伴って点火時期の補正がいったん開始されると、基準期間が経過するまで点火時期の補正が継続される。ステップS11にて点火時期を決定した後は、ステップS9に進む。
一方、ステップS10の判定がNOであって、点火時期の補正が行われていない、あるいは、点火時期の補正が行われてからの経過時間が基準期間以上の場合、ECU100は、点火時期の補正は行わず、ステップS3で設定した基本点火時期を点火時期に決定する(ステップS12)。ステップS12にて点火時期を決定した後は、ステップS9に進む。
ステップS7、S8、S11、S12のいずれかのステップの後に進むステップS9では、ECU100は、上記いずれかのステップで設定された主点火時期tmおよび副点火時期tsで主点火プラグ32および副点火プラグ62による点火が行われるようにこれらを駆動する。ステップS9の実施後は、再びステップS1に戻る。なお、以上のステップS1~S12は、第2領域A2での運転中、所定のタイミングで繰り返し実施される。
図12は、第2領域A2での加速時において上記の制御を実施したときの各パラメータの時間変化を示したタイムチャートである。図12において、細線は緩加速時の時間変化を、鎖線は中間加速時の時間変化を、太線は急加速時の時間変化を示している。
図12の例では、時刻t1にてアクセル開度の変化率が0よりも大きくなり加速が開始される。
細線に示すように、緩加速時は、加速が開始されても空燃比はほぼ理論空燃比に維持され、空燃比の不足量はほぼ0に維持される。ここで、図12の例では、時刻t1以前の各点火時期tm、tsの補正量はゼロであり、点火時期の補正が行われていない状態で緩加速が開始される。つまり、図12の緩加速の例は、ステップS4の判定がYESで、ステップS5の判定がNOで、且つ、ステップS10の判定がNOの場合の例である。これより、この例では、ステップS12が実施されることになり、時刻t1以降、点火時期の補正は行われず、時刻t1以降も主点火時期tmおよび副点火時期tsの各補正量はゼロとされ、点火位相差dtの補正量もゼロに維持される。
一方、鎖線に示すように、中間加速時は、加速が開始された直後、空燃比は理論空燃比よりも低くなり空燃比の不足量は0よりも大きい値となる。上記のように、中間加速の開始時は、ステップS4およびステップS5の判定がYESとなり且つステップS6の判定がNOとなることで、ステップS7が実施される。つまり、副点火時期tsの補正は行われない一方主点火時期tmが進角側の補正される。これより、鎖線に示したように、中間加速時は、時刻t1の直後、主点火時期tmの補正量(進角量)が増大され、点火位相差dtの補正量も増大される。また、上記のように、点火時期の補正が開始されると基準期間が経過するまでの間、点火時期の補正が継続される。これより、時刻t1から基準期間が経過する時刻t2までの間、主点火時期tmおよび点火位相差dtの補正量はゼロよりも大きい値とされる。また、この期間中、主点火時期tmの補正量(進角量)は漸減されていき、これに伴い点火位相差dtの補正量(増大量)も漸減していく。ここで、基準期間は、強加速が開始してから空燃比が理論空燃比に戻るまでの期間と同程度に設定されており、図12の例では、時刻t2にて空燃比の不足量はほぼゼロになるのとほぼ同時に主点火時期tmの補正量(進角量)および点火位相差dtの補正量(増大量)はゼロになる。
また、太線に示すように、急加速時も、加速が開始された直後、空燃比は理論空燃比よりも低くなり空燃比の不足量は0よりも大きい値となる。急加速時は、この不足量が特に大きくなり中間加速時よりも大きくなる。上記のように、急加速の開始時は、ステップS4、ステップS5およびステップS6の判定がYESとなることで、ステップS8が実施される。つまり、副点火時期tsが遅角側に補正されるともに主点火時期tmが進角側の補正される。これにより、図12の太線に示すように、急加速時は、時刻t1の直後、主点火時期tmの補正量(進角量)および副点火時期tsの補正量(遅角量)が増大され、点火位相差dtの補正量が大幅に増大される。そして、急加速時は、時刻t1から主点火時期tmの補正量(進角量)、副点火時期tsの補正量(遅角量)および点火位相差dtの補正量(増大量)が漸減されて、時刻t1から基準期間が経過した時刻t2にてこれら補正量がゼロとされる。
(作用等)
以上のように、上記実施形態のエンジンシステム1では、第2領域A2において、主点火プラグ32による点火が行われ後に副点火プラグ62による点火が行われる。そのため、主点火プラグ32による点火によって主燃焼室26で混合気を燃焼させて、これにより生じた主燃焼室26の圧力上昇を利用して副室60に混合気を押し込むことができる。従って、主燃焼室26と副室60との双方で混合気を燃焼させることができ燃費性能および排ガス性能を高めることができる。
しかも、第2領域A2内において空燃比が目標値(理論空燃比)に対して不足する(実質的に不足する)強加速時であって、副室60に十分な混合気が導入されにくく加速性が低下するおそれのある加速時には、点火位相差dtが増大補正されて副室60に混合気が導入される期間が長くされる。そのため、上記実施形態のエンジンシステム1によれば、副室60内での混合気の適切な燃焼を実現できる。そして、副室60から主燃焼室26に火炎を噴出させて主燃焼室での燃焼を促進し(主燃焼室での適切な燃焼を実現し)、これによりエンジントルクを高めて加速性を良好にすることができる。
また、空燃比が目標値(理論空燃比)に対して不足しておらず(実質的に不足しておらず)副室60の混合気量が確保される緩加速時は、点火位相差dtの増大補正が停止される。そのため、緩加速時において、加速性を良好にしつつ、主燃焼室26内での燃焼開始後の比較的早い時期に副室60での燃焼を開始させることで燃焼期間を短くして燃費性能をより確実に高めることができる。
また、上記実施形態では、アクセル開度の変化率に基づいて、点火時期および点火位相差dtを補正する強加速時であるか否か(空燃比不足条件の成否)の判定が行われており、この判定を容易に行うことができる。
また、上記実施形態では、強加速時に主点火時期tmが進角側の補正される。そのため、上記の点火位相差dtを長くすることによるエンジントルクの増大効果に加えて、点火時期の進角によるエンジントルクの増大効果を得ることができ、加速性を確実に良好にできる。
また、上記実施形態では、強加速時のうち特にアクセル開度の変化率が高く空燃比の不足量が大きい急加速時において、主点火時期tmの進角補正に加えて副点火時期tsの遅角補正が行われる。そのため、空燃比の不足量が特に大きいことで副室60への空気の導入がより困難になるときに、点火位相差dtを確実に長くして副室60内の混合気量を確保することができる。従って、加速性を確実に良好にできる。
(変形例)
上記実施形態では、緩加速時であるか強加速時であるかの判定、および、強加速時における中間加速時であるか急加速時であるかの判定が、アクセル開度の変化率に基づいて行われる場合を説明したが、これらの判定に用いるパラメータはアクセル開度に限られない。例えば、エアフローセンサSN1の検出結果、あるいは、排気通路6に設けた空燃比を検出可能なセンサの検出結果に基づいて、上記の判定を行ってもよい。
また、上記実施形態では、強加速の開始に伴って点火時期の補正が開始された後、基準期間が経過したタイミングで当該補正が終了される場合を説明したが、点火時期の補正を終了するタイミングはこれに限られない。例えば、エアフローセンサSN1等のセンサの検出結果に基づいて主燃焼室26の空燃比の目標値に対する不足量が所定値以下になったと判定されたタイミングで上記補正を終了させてもよい。また、上記実施形態では、点火時期の補正を開始した後、当該点火時期の補正量を時間とともに徐々に低減させる場合を説明したが、点火時期の補正開始後の補正量は空燃比の不足量に基づいて設定されてもよい。
また、上記実施形態では、空燃比の不足量が0よりも大きい第1不足量以上のときに空燃比不足条件が成立したと判定して、点火時期および点火位相差dtの補正を実施する場合を説明したが、空燃比の不足量が0よりも大きい場合に空燃比不足条件が成立したと判定してもよい。つまり、上記の第1不足量を0に設定してもよい。
また、上記実施形態では、第2領域A2の主燃焼室26の空燃比の目標値が理論空燃比である場合を説明したが、この目標値は理論空燃比に限られない。
また、副点火ユニット30のカバー部材64の具体的形状および寸法は、上記に限られない。また、カバー部材64に設けられる連通孔66の数および寸法は上記に限られない。また、副点火ユニット30の取付位置は上記に限られない。例えば、副点火ユニット30は、インジェクタ28の先端部28xに対して排気ポート12側に設けられてもよい。
また、エンジン本体2の気筒数等の詳細構造は上記に限られない。
1 エンジンシステム
2 エンジン本体
4 吸気通路
24 ピストン
28 インジェクタ(燃料噴射装置)
26 主燃焼室
30 副点火ユニット
32 主点火プラグ(主点火装置)
36 スロットル弁(空燃比変更装置)
52 シリンダブロック
54 シリンダヘッド
60 副室
62 副点火プラグ(副点火装置)
64 カバー部材(隔壁)
66 連通孔
70 アクセルペダル
100 ECU(制御装置)

Claims (5)

  1. 車両に搭載されるエンジンシステムにおいて、
    気筒を形成するシリンダブロックおよびシリンダヘッドと、
    前記気筒に往復動可能に収容されたピストンと、
    前記シリンダブロック、前記シリンダヘッド、及び前記ピストンにより画成された主燃焼室と、
    前記主燃焼室と隔壁により隔てられるとともに、当該隔壁に形成された連通孔を通じて前記主燃焼室と連通する副室と、
    前記主燃焼室に燃料を噴射する燃料噴射装置と、
    前記主燃焼室内の混合気に点火する主点火装置と、
    前記副室内の混合気に点火する副点火装置と、
    前記燃料噴射装置、前記主点火装置および前記副点火装置に電気的に接続されて当該各装置に制御用の電気信号を出力する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、所定の領域において、前記副点火装置の点火時期である副点火時期が前記主点火装置の点火時期である主点火時期よりも遅角側となるように、前記主点火装置及び前記副点火装置を制御し、
    前記所定の領域での車両の加速時において前記主燃焼室の空燃比がその目標値に対して不足するという空燃比不足条件が成立すると、前記主点火時期に対する前記副点火時期の遅角量である点火位相差を増大補正する、ことを特徴とするエンジンシステム。
  2. 請求項1に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御装置は、前記所定の領域での車両の加速時において、当該車両に設けられたアクセルペダルの開度の変化率が所定の基準変化率以上の場合に、空燃比不足条件が成立すると判定する、ことを特徴とするエンジンシステム。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御装置は、前記空燃比不足条件の成立時において、前記主燃焼室の空燃比の目標値に対する不足量が大きいほど前記点火位相差の補正量を大きくする、ことを特徴とするエンジンシステム。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御装置は、前記空燃比不足条件の成立時に前記主点火時期を進角側に補正する、ことを特徴とするエンジンシステム。
  5. 請求項4に記載のエンジンシステムにおいて、
    前記制御装置は、前記空燃比不足条件の成立時において、前記主燃焼室の空燃比の目標値に対する不足量が所定値以上の場合、前記副点火時期を遅角側に補正する、ことを特徴とするエンジンシステム。

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