JP2023016790A - 自動車の座席 - Google Patents

Abstract

【課題】対応する中空本体が膨張する場合に、持ち上げが正しい方向へ生じる自動車の座席を提供する。【解決手段】自動車の座席は、互いに流体連通する少なくとも２つのチャンバを備える少なくとも一つの中空本体を備え、中空本体は、座席部分又は背もたれに取り付けられ、可撓性で、流体充填可能である。チャンバは重なり合って配置されていて、かつチャンバ間の流体交換を可能にするよう対応した通路をチャンバの壁に備える。チャンバは、通路の領域内で、互いに固定して接続されていて、座席部分又は背もたれに隣接する最下部チャンバの容積が最大であり、かつ他の各チャンバの容積は、各チャンバの下にあるそれぞれのチャンバの容積に対して小さくなる。チャンバは、流体で中空本体を充填した場合に、流体充填可能な中空本体の最大持ち上げが最下部チャンバにおいて、チャンバの中心から外側におかれるように、重なり合って配置されている。【選択図】図１

Description

本発明は、自動車の座席に関する。

対応する座席の場合には、座席領域における調整を変更するために、流体充填可能な中空本体がしばしば使用される。相応の持ち上げを発揮するために、重なり合って載置され、かつ互いに接続されている複数のチャンバから形成された流体充填可能な中空本体を使用することも知られている。

特許文献１では、このような中空本体が、互いに載置され、次々と小さくなっていく複数のチャンバから成る空気式クッション構造が知られていている。これらのチャンバは、重なり合って配置されていて、かつ壁内に互いに整列されている通路を備える。これらの通路を介して、チャンバが、充填中に連続的に空気で充填され、これによってクッション構造全体が持ち上げを実施する。チャンバの同心状の配置により、最大持ち上げは中心軸に対して平行に生じる。この配置は、例えば自動車の座席内の肩サポートシステムの場合での最大持ち上げ方向、したがって自動車乗員に対する最大の力の印加方向が、特許文献１に記載されている配置の場合に実際の必要条件に対応しないので、不利である。その上、方向は、全体の持ち上げ過程にわたって一定のままである。

欧州特許第１９０４３３８号明細書

したがって、本発明の課題は、対応する中空本体が膨張する場合に、持ち上げが正しい方向へ生じるように、自動車の座席をさらに開発することである。

この課題は、請求項１の特徴を有する自動車の座席によって解決される。

有利な実施形態は、従属請求項で見られる。

背もたれと座席部分とを備える本発明による自動車の座席は、互いに流体連通する少なくとも２つのチャンバを備える少なくとも一つの中空本体を備え、この中空本体は、座席部分又は背もたれに取り付けられ、可撓性で、流体充填可能である。好ましくは、流体充填可能な中空本体が背もたれに配置され、この場合、肩サポートシステム又は肩マッサージシステムの一部を形成する。チャンバは重なり合って配置されている、即ち上下に載置され、チャンバ間の流体交換を可能にするよう対応した通路をチャンバの壁に備える。流体としては、好ましくは空気が使用される。

チャンバは、通路の領域で、互いに固定して接続されている。例えば、それらが互いに溶着され得る。好ましくは、各チャンバは、外側縁部に沿って連続的に、互いに接続されている２つの壁から形成されていて、この壁は合成樹脂フィルムから成る。特に熱可塑性合成樹脂フィルムを使用する場合は、壁を互いに溶着することができ、その結果、個々のチャンバが形成され、かつチャンバが互いに接続され得る。当然ながら、例えば接着などの他の接続形態も可能である。

チャンバは最下部チャンバから始まって次々と小さくなり、その際、座席部分又は背もたれに隣接する最下部チャンバの容積が最大であり、かつ他の各チャンバの容積は、各チャンバの下にあるそれぞれのチャンバの容積に対して小さくなる。本発明によって、チャンバは、流体で中空本体を充填した場合に、流体充填可能な中空本体の最大持ち上げが最下部チャンバにおいて、チャンバの中心から外側におかれるように、重なり合って配置されている。

この中心から外れた持ち上げは、持ち上げベクトル、すなわち、最下部チャンバから最も離れて載置されているチャンバの最高点が、充填中に最下部チャンバの中心点上に載置しないようにする。特に、未充填状態での最下部チャンバの一方の壁若しくは両方の壁に対して垂直にある中心軸又は中心点が中心とみなされる。従って、この文脈において、中心から外れているということは、中空本体を充填するときの持ち上げが、移動経路、例えば、中心軸に対して角度を形成する直線上で生じることを意味する。

装置技術としては、それが、例えば、別のチャンバのうちの少なくとも１つがほぼ三角形又は台形の形状を備えるという点で達成することができる。この場合、好ましくは、流体充填可能な中空本体の未充填状態において、最下部チャンバの片側、及び１つ若しくはは複数の別のチャンバの、三角形状の場合には、１つ若しくは複数の基部、又は、台形状の場合には、１つ若しくは複数の基部の長い方が、ほぼ重なり合って配置されていることがさらに企図されている。その結果、中空本体の充填時に膨張する場合、非対称、即ち、中心線に対して非平行で、延在する持ち上げ移動が達成される。

流体でチャンバを充填するために、最下部チャンバの下壁が、流体ラインと接続されている少なくとも１つの注入開口部を有する、ことが好ましくは企図されている。当然ながら、別のチャンバは、このような注入開口部を有することも可能であるが、最下部チャンバが座席に取り付けられていて、かつ充填中でも座席構造に対するその相対的な位置が変化しないという利点がある。従って、流体ラインも移動せずに、ポンプ又はバルブブロックまでの座席構造における配置を単純化する。

好ましくは、流体充填可能な中空本体は、３つのチャンバを備える。このようにして、一方では十分な持ち上げ過程を利用できるようにし、他方では充填時間をあまり延長させないようにした。さらに、最下部チャンバは、ほぼ長方形の形状を備え得る。その結果、最大容積のチャンバの充填が加速される複数の注入開口部が設けられ得る。チャンバ間の通路の数は、最下部チャンバから最上部チャンバへ減少するように形成され得る。好ましい３チャンバーシステムの場合には、例えば、最下部チャンバと最下部チャンバの上に載置されているチャンバとの間に２つの通路、かつ最下部チャンバの上に載置されているチャンバと最上部チャンバとの間に１つの通路が設けられ得る。当然ながら、チャンバ間の通路の数は、当業者の意向で設置されている。

本発明は、図１～６に記載されている実施例を参照して、以下でより詳細に説明される。

本発明による自動車の座席の正面図を示す。 本発明による中空本体の分解図を示す。 本発明による未充填状態での中空本体を平面図で示す。 本発明による未充填状態での中空本体を側面図で示す。 本発明による充填状態での中空本体を平面図で示す。 本発明による充填状態での中空本体を側面図で示す。

本発明による自動車の座席１は、図１に概略的に描画されているように、既知の方法で座席部３と背もたれ部２とを備える。ここで、図示されている例では、背もたれ２の領域において、流体充填可能な少なくとも１つの中空本体４が背もたれ２に配置されている。描画されている図では、これら中空本体４のうちの２つは、座席の乗客候補の肩の高さに配置されている。通常、このような流体充填可能な中空本体４は、適切な方法で背もたれ２に接続される。

基本的には、本発明による自動車の座席１に対して、１つ又は複数のこのような流体充填可能な中空本体４を、背もたれ２及び／又は座席部分３に配置することができる。ここで、このような流体充填可能な中空本体４の例示的な構造が、図２を参照してより詳細に説明される。これは、流体充填可能な中空本体４が複数のチャンバから構成されている分解図を示し、その際、図示されている例では、３つのチャンバが設けられている。しかし、２つ又は３つ以上のチャンバが存在することも可能である。好適には、各チャンバは、好ましくは熱可塑性の、フィルムから形成されている２つの壁４１、４２若しくは４３、４４若しくは４５、４６から形成されていて、この壁は、接続線に沿って互いに接続されている。好ましくは、少なくとも熱可塑性材料が使用される場合、チャンバのそれぞれの壁は、記載されている接続線に沿って溶着されている。壁４５及び４６によって形成される最下部のチャンバは、好ましくは、長方形の形状である。これらの壁に対して垂直にある中心軸は、壁４５の中心点Ｐ１及び壁４６の中心点Ｐ２によって定義される。図示されている例における別のチャンバは、ほぼ三角形又はほぼ台形である。最下部チャンバの底部の壁４６には、流体、好ましくは空気が、例えば、ポンプ又はバルブブロックを介して、外部ライン（図３の位置５を参照）を介して中空本体４内に導入することができるか、中空本体から排気することができる、通路４６ａ～４６ｄが設けられている。別のチャンバに流体を供給するために、壁４５内には、ここでは例として２つの通路４５ａと４５ｂが示されていて、これらの通路は、別のチャンバの壁４４内で対応する通路４４ａと４４ｂとが同列に並んでいる。さらに、壁４３には、次のチャンバの壁４２内の通路４２ａと対応して同列に並んだ通路４３ａが設けられている。ここで、３チャンバーシステムが描画されていても、当然ながら、３っつのチャンバ未満又は３っつのチャンバ以上でも使用することができる。

以下、それから図３～図６では、チャンバが、Ａ（壁４１及び４２から形成される最上部チャンバ）、Ｂ（壁４３及び４４によって形成される中間チャンバ）及びＣ（壁４５及び４６によって形成される最下部チャンバ）と示される。

図３には、（少なくとも部分的に）排気されている位置での中空本体４の平面図が示されている。Ｍは最下部チャンバＣの中心軸を示し、Ｐは充填プロセス中に最大の持ち上げを発揮する最上部チャンバＡの点であり、すなわち、中空本体４をさらに充填する場合には、Ｍから最も離れる点を示す。既に言及したように、チャンバＡとチャンバＢが、好ましくは、ほぼ三角形又は台形であり、特に、丸い角で形成されている。図４から分かるように、チャンバＡ、Ｂ、Ｃのベース若しくは基部、すなわち側面Ａ１、Ｂ１、Ｃ１は、排気されている状態又は少なくとも部分的に排気されている状態で、ほぼ重なり合って位置する。Ｌは、中心点Ｐ１、Ｐ２に対する若しくは中心軸Ｍに対する持ち上げベクトル、即ち、持ち上げ長さと持ち上げ方向を示す。αは、持ち上げベクトルＬの角度を中心軸Ｍに対して相対的に示す。

ここで、中空本体４が、例えば流体ライン５を介して充填されると、図５と図６に描画されているように、個々のチャンバＡ、Ｂ、Ｃが膨張する。

持ち上げベクトルＬが図４の状態に対して、著しく長くなっていることが分かる。その結果、点Ｐは、最下部チャンバＣの中心Ｐ１、Ｐ２から更に離れる。

このようにして、中心線Ｍに対して平行に延在する持ち上げ移動を実施するのではなく、持ち上げ移動の持ち上げ方向が中心線Ｍに対して傾いて延びる持ち上げ移動を実施する中空本体４を作製することが可能である。これは、本発明が肩サポートシステム又は肩マッサージシステムとして自動車の座席１に使用される場合に特に有利である新しい可能性を与える。

Claims (9)

1. 背もたれ（２）と座席部分（３）とを備える自動車の座席（１）であって、互いに流体連通する少なくとも２つのチャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）を備える少なくとも一つの中空本体（４）を備える、当該自動車の座席（１）において、
   前記中空本体は、座席部分（３）又は背もたれに（２）取り付けられ、可撓性で、流体充填可能であり、
   チャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）は重なり合って配置されていて、かつチャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）間の流体交換を可能にするよう対応した通路（４２ａ、４３ａ、４４ａ、４４ｂ、４５ａ、４５ｂ）をチャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）の壁（４２、４３、４４、４５）に備え、
   チャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）は、通路の領域内で、互いに固定して接続されていて、
   座席部分（３）又は背もたれ（２）に隣接する最下部チャンバ（Ｃ）の容積が最大であり、かつ他の各チャンバ（Ａ、Ｂ）の容積は、各チャンバの下にあるそれぞれのチャンバの容積に対して小さくなり、
   チャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）は、流体で中空本体（４）を充填した場合に、流体充填可能な中空本体（４）の最大持ち上げ（Ｐ）が最下部チャンバ（Ｃ）において、チャンバの中心（Ｍ、Ｐ１、Ｐ２）から外側におかれるように、重なり合って配置されている、ことを特徴とする自動車の座席（１）。
2. 別のチャンバ（Ａ、Ｂ）のうちの少なくとも１つがほぼ三角形又は台形の形状を備える、ことを特徴とする請求項１に記載の自動車の座席（１）。
3. 流体充填可能な中空本体（４）の未充填状態において、最下部チャンバ（Ｃ）の片側、及び１つ若しくは複数の別のチャンバの１つ若しくは複数の基部、又は１つ若しくは複数の基部の長い方が、ほぼ重なり合って配置されている、ことを特徴とする請求項１又は２に記載の自動車の座席。
4. 最下部チャンバ（Ｃ）の下壁（４６）が、流体ライン（５）と接続されている少なくとも１つの注入開口部（４６ａ～４６ｄ）を有する、ことを特徴とする請求項１～３のいずれか一項に記載の自動車の座席（１）。
5. 流体充填可能な中空本体（４）が、３っつのチャンバを有する、ことを特徴とする請求項１～４のいずれか一項に記載の自動車の座席（１）。
6. 最下部チャンバ（Ｃ）は、ほぼ長方形の形状を備える、ことを特徴とする請求項１～５のいずれか一項に記載の自動車の座席（１）。
7. チャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）間の通路の数は、最下部チャンバ（Ｃ）から最上部チャンバ（Ａ）へ減少する、ことを特徴とする請求項１～６のいずれか一項に記載の自動車の座席。
8. 各チャンバ（Ａ、Ｂ、Ｃ）は、外側縁部に沿って連続的に、互いに接続されている２つの壁（４１、４２；４３、４４；４５、４６）から形成されていて、この壁は合成樹脂フィルムから成る、ことを特徴とする請求項１～７のいずれか一項に記載の自動車の座席（１）。
9. 流体充填可能な中空本体（４）は、背もたれ（２）に配置されていて、かつ肩サポートシステム又は肩マッサージシステムの一部である、ことを特徴とする請求項１～８のいずれか一項に記載の自動車の座席（１）。

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