JP2023016753A - コークス炉ガスの精製方法 - Google Patents

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【課題】工業用水の使用量を削減できるコークス炉ガスの精製方法を提案する。【解決手段】硫化水素を含むコークス炉ガス1を処理して酸化液8とした後、該酸化液8に含まれる塩素を脱塩素樹脂に吸収させて除去し、得られた硫安母液10から結晶硫酸アンモニウムを晶析させて回収するコークス炉ガスの精製方法において、結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水13の少なくとも一部を、脱塩素樹脂の再生液として供給することを特徴とする。【選択図】図6

Description

本発明はコークス炉ガス精製に関し、特に工業用水の使用量を削減できるコークス炉ガスの精製方法に関するものである。
従来、コークス炉の炭化室に石炭を挿入して乾留する際に発生するガス(以下、「Cガス」と称する)は、水素やメタン、一酸化炭素等の燃料成分を多く含み、20000kJ/mを超える高い熱量を有しているため、回収して高炉や、コークス炉、加熱炉、ボイラー用の燃料ガスとして再利用されている。
その際、コークス炉から排出された状態のCガスにはタール分や水分、アンモニアや硫化水素、シアン等の様々な物質が混入しており、燃料として使用するためには、これらの燃焼を阻害する物質や有害物質を除去する必要がある。そのため、これらの燃焼阻害物質及び有害物質を除去する精製を経て燃料ガスとするのが通例である(例えば、特許文献1参照)。
また、上記Cガスの精製工程では、石炭由来の水分が排水として大量に発生する。この排水は多量のアンモニアおよび有機物を含んでいるため、排水処理設備にてアンモニアおよび有機物等を除去した後に、海に放流されている。
図1は、一般的なCガスの精製フローを示す図である。Cガスの燃料ガスへの精製は、具体的には以下のように行われる。すなわち、まず、コークス炉(図示せず)から排出されたCガスを冷却した後に設備閉塞の原因となるナフタレンを回収したCガス1を、脱硫設備2に導入して硫化水素を除去する(脱硫工程)。次いで、硫化水素を除去したCガス3を脱アンモニア設備4に導入して、Cガス3から窒素酸化物(NO)の原因となるアンモニア分を除去する(脱アンモニア工程)。その後、アンモニアが除去されたCガス5を冷却し、Cガス5中の軽油分を回収してコークス炉から排出されたCガスを燃料ガスに精製する。
上記脱硫工程における脱硫方法としては、アルカリ性水溶液等の吸収液をCガスと接触させて、Cガスに含まれる硫化水素を吸収液に吸収させるタカハックス法やフマックス法等の湿式の脱硫方法が知られている。また、これら湿式脱硫方法として、充填層を有する吸収塔内に吸収液を噴霧し、この吸収塔内にCガスを通過させて噴霧されたアルカリ水溶液にCガス中の硫化水素を吸収させることにより脱硫する方法が知られている。
図2は、こうした湿式脱硫法に基づく脱硫設備の一例を示す図である。この図に示した脱硫設備2は、Cガス1に含まれる硫化水素を吸収液Lに吸収させる吸収塔21と、硫化水素を吸収して活性を失った吸収液Lから硫化水素をストリッピング(除去)して再生させる再生塔22とを有する。
この脱硫設備2におけるCガス1の脱硫処理は以下のように行う。すなわち、まず、アンモニア水等のアルカリ性の吸収液Lを吸収塔21の上部に導いてスプレーにより噴霧し、吸収塔21内に導入されたCガス1と吸収液Lとを向流に接触させる。すると、アルカリ性を有する吸収液Lは硫化水素を吸収する能力を有するため、Cガス1に含まれる硫化水素を吸収して、吸収塔21の下部に滞留する吸収液L中に落下する。こうして、吸収液Lを吸収塔21内で循環させ、Cガス1に含まれる硫化水素を噴霧された吸収液Lに吸収させて、硫化水素が除去されたCガス3を吸収塔21の頂部から排出する。
一方、吸収塔21の下部に滞留する、硫化水素を吸収して不活性となった吸収液Lの一部を再生塔22に導き、再生空気Gを再生塔22内に導入し、吸収液Lに吸収された硫化水素を除去することにより吸収液Lを再生する。除去された硫化水素は廃空気Gとして塔外に排出され、再生された活性な吸収液Lは吸収塔21の上部に導かれて再度硫化水素の吸収に使用される。こうして、吸収液Lを吸収塔21と再生塔22との間で循環させることにより、Cガス1を連続的に脱硫することができる。
上記した脱硫設備2においては、吸収液Lに含まれる不純物等を抜き出して吸収液Lの性状を一定に保つために、吸収塔21から排出された吸収液Lの所定量が脱硫設備2の外に抜き出される。そして、この抜き出された吸収液Lを補給するために、吸収塔21に工業用水が添加されている。また、吸収液Lの硫化水素の吸収効率を高めるために、アンモニア水も別途添加されている。
脱硫設備2から抜き出された吸収液Lは、脱硫廃液6と呼ばれ、湿式酸化設備7に補給されて脱硫廃液6に含まれる硫黄分が硫酸塩または硫酸へと酸化される。硫黄分が酸化された脱硫廃液6(以下、「酸化液」8と称する)は、その後、脱塩素設備9にて塩素分が除去される(脱塩素工程)。
図3は、脱塩素設備9の一例を示す図である。この図に示した脱塩素設備9は、酸化液8に含まれる塩素を樹脂に吸収させる脱塩素樹脂塔43と、塩素を吸収して吸収力を失った脱塩素樹脂に再生液として供給する工業用水を貯蔵する硫安凝縮水タンク41と、硫安凝縮水タンク41に貯蔵された工業用水を脱塩素樹脂塔43に供給する硫安凝縮水ポンプ42とを有する。
湿式酸化設備7から排出された酸化液8は、脱塩素設備9の脱塩素樹脂塔43に導入され、酸化液8に含まれる塩素を脱塩素樹脂に吸収させる。塩素が除去された酸化液8は、硫安母液(第1の硫安母液)10として脱塩素樹脂塔43から排出され、後述する硫安晶析装置11に導入される。
また、脱塩素樹脂塔43に収容された脱塩素樹脂は、酸化液8に含まれる塩素の吸収を繰り返すにつれて、その吸収力を失う。そのため、必要に応じて、硫安凝縮水ポンプ42により硫安凝縮水タンク41に貯蔵されている工業用水を脱塩素樹脂塔43に導入して脱塩素樹脂に供給して脱塩素樹脂を再生させる。脱塩素樹脂の再生に使用した工業用水は、後述する排水処理設備15に送られる。
図1に戻ると、脱硫工程を経たCガス3は、脱アンモニア設備4に導入されてCガス3に含まれるアンモニアが除去される。このアンモニアの除去は、Cガスと希硫酸とを反応させて硫酸アンモニウム(以下、「硫安」と称する)として回収することにより行うことができる。図4は、脱アンモニア設備の一例を示す図である。この図に示した脱アンモニア設備4は、硫安飽和塔51と、母液循環槽52と、ポンプ53とを有する。
この脱アンモニア設備4において、脱硫工程を経て硫化水素が除去されたCガス3を硫安飽和塔51に導入し、スプレーにより希硫酸を噴霧して、硫安飽和塔51内に導入されたCガス3と向流に接触させる。すると、Cガス3に含まれるアンモニアを吸収して、硫安飽和塔51の下部に硫安母液Lとして落下して滞留する。
ここで、硫安飽和塔51の下部に滞留する硫安母液Lの一部は、母液循環槽52に回収され、該母液循環槽52にて濃硫酸Sが添加された後、ポンプ53により硫安飽和塔51の上部に導かれて再度噴霧される。こうして、硫安母液Lを硫安飽和塔51と母液循環槽52との間を循環させてCガス3中のアンモニア分を連続的に除去し、アンモニアが除去されたCガス5を硫安飽和塔51から排出する。
一方、硫安飽和塔51の下部に滞留する硫安母液Lの残りは硫安飽和塔51から硫安母液(第2の硫安母液)10として排出される。排出された硫安母液10は、脱塩素設備9から排出された硫安母液(第1の硫安母液)10とともに硫安晶析装置11に導入されて、硫安母液10に含まれる硫安が晶出されて結晶硫安として回収される。図5は、硫安母液10に含まれる硫安を晶出させる硫安晶析装置の一例を示している。この図に示した硫安晶析装置11は、硫安晶析槽71と、加熱器72と、蒸発槽73と、凝縮器74とを有する。
このような硫安晶析装置11の硫安晶析槽71に、脱塩素設備9及び硫安飽和塔51から排出された硫安母液10を導入する。導入された硫安母液10は、加熱器72により加熱されて蒸発槽73に供給され、硫安母液10に含まれる水分を蒸発させて濃縮する。濃縮された硫安母液10は硫安晶析槽71に戻され、再度加熱器72により加熱されて蒸発槽73に供給される。こうして、硫安母液10を硫安晶析槽71と蒸発槽73との間を循環させることにより、硫安を結晶化させて析出させる。析出した結晶硫安を含むスラリーを硫安晶析槽71の下部から排出し、硫安乾燥設備(図示せず)に搬送して、遠心分離器および乾燥機等を用いて乾燥させる。こうして、乾燥した結晶硫安を回収することができる。
一方、蒸発槽73の頂部から、硫安を含有する蒸気12が排出される。排出された硫安含有蒸気12は凝縮器74により凝縮され、得られた硫安凝縮水13は、排水処理設備15に送られて硫安凝縮水13に含まれるアンモニアを分解した後、放流水16として海に放流される。
上記凝縮器74により得られた硫安凝縮水13には、硫安母液10由来の遊離アンモニアが多く含まれているが、このような硫安凝縮水13を排水処理設備15にて処理すると、排水処理設備15の負荷が増加する。また、特に工業地区においては、工業用水の不足が顕在化しており、工業用水の使用量削減も工場の課題となっていた。
そこで、本出願人は、特許文献2において、硫安凝縮水13を脱硫設備2における硫化水素の吸収液Lとして使用することによって、排水処理設備15の負荷を低減するとともに、工業用水の使用量を削減する方法を提案した。
特開2001-81479号公報 特開2016-035015号公報
上記特許文献2に記載された方法によって、排水処理設備15の負荷を低減するとともに、工業用水の使用量を削減することができる。しかし、工業用水の使用量削減に対する要求は年々厳しさを増しており、工業用水の使用量削減について改善の余地を残していた。
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、工業用水の使用量を削減できるコークス炉ガスの精製方法を提案することにある。
発明者らは、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。その結果、従来、排水処理設備および脱硫工程における硫化水素の吸収液として補給していた硫安凝縮水の少なくとも一部を、脱塩素工程に用いる脱塩素樹脂の再生液として供給することが極めて有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)硫化水素を含むコークス炉ガスを処理して酸化液とした後、該酸化液に含まれる塩素を脱塩素樹脂に吸収させて除去し、得られた硫安母液から結晶硫酸アンモニウムを晶析させて回収するコークス炉ガスの精製方法において、
前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の少なくとも一部を、前記脱塩素樹脂の再生液として供給することを特徴とするコークス炉ガスの精製方法。
(2)コークス炉から排出されるコークス炉ガスを吸収液に接触させて前記コークス炉ガスに含まれる硫化水素を前記吸収液に吸収させて除去し、次いで、前記硫化水素を除去したコークス炉ガスに希硫酸を噴霧して前記コークス炉ガスに含まれるアンモニアを前記希硫酸に吸収させて除去して、前記コークス炉ガスを燃料ガスへと精製する一方、前記硫化水素を吸収した前記吸収液の一部を酸化して酸化液とした後、該酸化液に含まれる塩素を脱塩素樹脂に吸収させて除去して得られた第1の硫安母液、および前記アンモニアを吸収した前記希硫酸である第2の硫安母液から結晶硫酸アンモニウムを晶析させて回収するコークス炉ガスの精製方法において、
前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の少なくとも一部を、前記脱塩素樹脂の再生液として供給することを特徴とするコークス炉ガスの精製方法。
(3)前記硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の少なくとも一部のpHを4以上7以下に調整した後、前記脱塩素樹脂の再生液として供給する、前記(1)または(2)に記載のコークス炉ガスの精製方法。
(4)前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の一部を、前記コークス炉ガスから硫化水素を回収する際の吸収液の補給水として供給する、前記(1)~(3)のいずれか一項に記載のコークス炉ガスの精製方法。
(5)前記吸収液はアンモニア水である、前記(2)~(4)のいずれか一項に記載のコークス炉ガスの精製方法。
(6)前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の一部を、前記硫化水素を吸収した前記吸収液の一部を酸化して酸化液とする際の補給水として供給する、前記(2)~(5)のいずれか一項に記載のコークス炉ガスの精製方法。
本発明によれば、従来、排水処理設備に供給していた硫安凝縮水を、脱塩素設備における脱塩素樹脂の再生液として供給するようにしたため、工業用水の使用量を削減できる。
従来のCガスの精製方法のフロー図である。 脱硫設備の一例を示す図である。 脱塩素設備の一例を示す図である。 脱アンモニア設備の一例を示す図である。 硫安晶析装置の一例を示す図である。 本発明に係るCガスの精製方法のフロー図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図6は、本発明に係るCガスの精製方法のフロー図を示している。なお、図1に示された構成と同一の構成には同一の符号が付されている。この図に示すように、本発明に係るCガスの精製方法は、硫安母液から硫安を晶出させる際に生じる硫安凝縮水13の少なくとも一部を、脱塩素工程において塩素を吸収した脱塩素樹脂を再生する際の工業用水の代替として補給することに特徴を有している。
本発明者は、製鉄所などの工場で使用される工業用水の使用量を削減する方途について鋭意検討する過程で、脱塩素設備9において使用される工業用水に着目した。上述のように、脱塩素設備9の脱塩素樹脂塔43に収容された脱塩素樹脂は、塩素の吸収を継続することにより塩素の吸収力を失うため、工業用水を用いて脱塩素樹脂の吸収力を再生させている。その際に使用した工業用水は、排水処理設備15に導入されて処理された後に海に放流されている。
一方、硫安晶析装置11の凝縮器74により得られた硫安凝縮水13についても、排水処理設備15に導入されて、硫安凝縮水13に含まれるアンモニアを分解処理した後に海に放流されている。
そこで、発明者らは、排水処理設備15に送られていた硫安凝縮水13の少なくとも一部を、脱塩素樹脂の再生に従来使用されていた工業用水の代替として補給することに想到し、本発明を完成させたのである。以下、本発明のCガスの精製方法の各工程について説明する。
まず、コークス炉から排出されたコークス炉ガスは1000℃程度の高温であるため、ドライメインでアンモニア水(安水)を接触させて直接冷却した後に、直接式および/または間接式プライマリークーラー等により35℃程度まで冷却する。
次に、上記冷却されたCガスをナフタレン回収設備に導入し、冷却されたCガスから設備閉塞の原因となるナフタレンを回収する。ナフタレンの回収方法としては、吸収油による除去方法が広く知られており、本発明においても使用することができる。
続いて、ナフタレンが除去されたCガス1を脱硫設備2に導入し、Cガス1に含まれる硫化水素を除去する。図2に示した脱硫設備2を用いた具体的な脱硫方法は上述の通りであり、説明を省略する。
その後、硫化水素が除去されたCガス3を脱アンモニア設備4に導入し、Cガス3に含まれるアンモニアを除去する。図4に示した脱アンモニア設備4を用いた具体的な脱アンモニア方法は上述の通りであり、説明を省略する。図1に示した従来の方法において、凝縮器74により得られた硫安凝縮水13の全てを排水処理設備15に供給して処理していたところ、本発明においては、図6に示したように、硫安凝縮水13の少なくとも一部を、脱塩素工程における脱塩素樹脂の再生液として脱塩素設備9に供給する。これにより、工業用水の使用量を削減することができる。
その後、硫安飽和塔51の頂部から排出された、アンモニアが除去されたCガス5を軽油回収設備(図示せず)に導入し、Cガス5に含まれる軽油分を回収する。軽油分の回収方法としては、吸収油による吸収法により行うのが一般的であり、Cガス5と吸収油とを向流接触させてCガス5に含まれる軽油分を吸収油に物理的に吸収させる。
なお、硫安凝縮水13は、上述のように、脱硫工程においてCガス1に含まれる硫化水素を吸収する遊離アンモニアを多く含んでおり、アルカリ溶液となっている。そのため、硫安凝縮水13をそのまま脱塩素設備9に供給すると、酸化液8に含まれるカルシウム分が析出して脱塩素設備9を閉塞させるおそれがある。そこで、図6に示すように、脱塩素設備9の上段にpH調整槽14を設け、硫安凝縮水13のpHを4以上7以下に調整した後に、脱塩素樹脂の再生液として供給することが好ましい。これにより、脱塩素設備9において酸化液8に含まれるカルシウム分が析出するのを防止して、脱塩素設備9の閉塞を防止することができる。
こうして、従来、排水処理設備15に供給していた硫安凝縮水13の少なくとも一部を、脱塩素工程に用いる脱塩素樹脂の再生液として補給するようにしたため、工業用水の使用量を削減してコークス炉ガスを精製することができる。
なお、上述の本発明の方法に加えて、特許文献3に記載された、硫安凝縮水13の一部を脱硫設備2においてCガス1から硫化水素を回収する際の吸収液Lの補給水として供給することが好ましい。これにより、工業用水の使用量をさらに削減することができる。
また、硫安凝縮水13の一部を、湿式酸化設備7において硫化水素を吸収した吸収液Lの一部(脱硫廃液6)を酸化して酸化液8とする際の補給水として供給することが好ましい。供給された硫安凝縮水13は、ポンプのシール水や脱硫廃液6の希釈用の補給水として使用することができる。これにより、工業用水の使用量をさらに削減することができる。
以上の説明においては、硫安晶析装置11において結晶硫安を晶析する際に、脱塩素設備9において塩素が除去された酸化液8である硫安母液(第1の硫安母液)10、および硫安飽和塔51から排出された硫安母液(第2の硫安母液)10の双方を硫安晶析装置11に導入しているが、本発明者がさらに検討を進めた結果、脱塩素設備9から排出された硫安母液(第1の硫安母液)10のみを硫安晶析装置11に導入して結晶硫安を晶析してもよいことを見出した。この場合にも、工業用水の使用量を削減することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は実施例に限定されない。
(発明例1)
図6に示したCガスの精製フローに従って、コークス炉ガスを精製した。すなわち、まず、コークス炉から排出され、冷却してナフタレンを除去したCガス1を脱硫設備2に導入して硫化水素を除去した。
次いで、硫化水素を除去したCガス3を脱アンモニア設備4に導入して、硫化水素が除去されたCガス3から窒素酸化物の原因となるアンモニア分を除去した。
一方、脱硫設備2の脱硫塔21から排出された脱硫廃液6は、湿式酸化設備7に導入されて硫黄分が酸化され、得られた酸化液8は脱塩素設備9に導入されて、酸化液8に含まれる塩素を除去した。得られた硫安母液(第1の硫安母液)10は硫安晶析装置11に導入された。
また、脱アンモニア設備4の硫安飽和塔51から排出された硫安母液(第2の硫安母液)10は、脱塩素設備9から得られた硫安母液10とともに硫安晶析装置11に導入され、硫安母液10に含まれる硫安を晶析させて結晶硫安を得た。その際、蒸発槽73から排出された硫安含有蒸気12は凝縮器74により凝縮されて硫安凝縮水13が得られた。1日当たり得られた硫安凝縮水13(432トン)のうち、151トンを脱硫設備2の吸収液Lの補給水として供給し、120トンを湿式酸化設備7の補給水として供給し、144トンを脱塩素設備9の脱塩素樹脂の再生液として供給し、残りの17トン及び工場排水を排水処理設備15に導入して、硫安凝縮水13に含まれるアンモニアを分解した後、放流水16として海に放流した。なお、脱塩素設備9の上段にpH調整槽14を設け、硫安凝縮水13のpHを6~8に調整した後に、脱塩素設備9の凝縮水タンク41に供給した。
一方、脱アンモニア設備4の硫安飽和塔から排出された、アンモニアが除去されたCガス5は、冷却された後にCガス5に含まれる軽油分を除去した。こうしてコークス炉から排出されたCガスを燃料ガスへと精製した。Cガス精製における各条件を表1に示す。
(比較例)
図1に示したCガスの精製フローに従って、コークス炉から排出されたCガスの精製を行った。すなわち、発明例において得られた硫安凝縮水13の全てを排水処理設備15に供給した。また、脱硫設備2には、工業用水を1日当たり151トン、湿式酸化設備7には、工業用水を1日当たり120トン、脱塩素設備9には、工業用水を1日当たり144トン供給した。その他の条件は発明例と全て同じである。Cガス精製における各条件を表1に示す。
(発明例2)
発明例1と同様に、図6に示したCガスの精製フローに従って、コークス炉ガスを精製した。ただし、脱アンモニア設備4の硫安飽和塔51から排出された硫安母液(第2の硫安母液)10を硫安晶析装置11に導入せず、脱塩素設備9から得られた硫安母液(第1の硫安母液)10のみを硫安晶析装置11に導入して、硫安母液(第1の硫安母液)10に含まれる硫安を晶析させて結晶硫安を得た。1日当たり得られた硫安凝縮水13(312トン)のうち、144トンを脱硫設備2の吸収液Lの補給水として供給し、24トンを湿式酸化設備7の補給水として供給し、144トンを脱塩素設備9の脱塩素樹脂の再生液として供給した。なお、脱塩素設備9の上段にpH調整槽14を設け、硫安凝縮水13のpHを6~8に調整した後に、脱塩素設備9の凝縮水タンク41に供給した。
一方、脱アンモニア設備4の硫安飽和塔から排出された、アンモニアが除去されたCガス5は、冷却された後にCガス5に含まれる軽油分を除去した。こうしてコークス炉から排出されたCガスを燃料ガスへと精製した。その他の条件は、発明例1と全て同じである。Cガス精製における各条件を表1に示す。
Figure 2023016753000002
表1から明らかなように、発明例1および2においては、脱塩素設備9に工業用水を供給せずに済み、比較例に比べて工業用水の使用量を削減できていることが分かる。
産業上の利用の可能性
本発明によれば、従来、排水処理設備に供給していた硫安凝縮水の少なくとも一部を、脱塩素工程における脱塩素樹脂の再生液として補給するようにし、工業用水の使用量を削減できるため、製鉄業において有用である。
1,3,5 Cガス
2 脱硫設備
4 脱アンモニア設備
6 脱硫廃液
7 湿式酸化設備
8 酸化液
9 脱塩素設備
10 硫安母液
11 硫安晶析装置
12 硫安含有蒸気
13 硫安凝縮水
14 pH調整槽
15 排水処理設備
16 放流水
21 吸収塔
22 再生塔
41 硫安凝縮水タンク
42 硫安凝縮水ポンプ
43 脱塩素樹脂塔
51 硫安飽和塔
52 母液循環槽
53 ポンプ
71 硫安晶析槽
72 加熱器
73 蒸発槽
74 凝縮器
再生空気
廃空気
吸収液
硫安母液

Claims (6)

  1. 硫化水素を含むコークス炉ガスを処理して酸化液とした後、該酸化液に含まれる塩素を脱塩素樹脂に吸収させて除去し、得られた硫安母液から結晶硫酸アンモニウムを晶析させて回収するコークス炉ガスの精製方法において、
    前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の少なくとも一部を、前記脱塩素樹脂の再生液として供給することを特徴とするコークス炉ガスの精製方法。
  2. コークス炉から排出されるコークス炉ガスを吸収液に接触させて前記コークス炉ガスに含まれる硫化水素を前記吸収液に吸収させて除去し、次いで、前記硫化水素を除去したコークス炉ガスに希硫酸を噴霧して前記コークス炉ガスに含まれるアンモニアを前記希硫酸に吸収させて除去して、前記コークス炉ガスを燃料ガスへと精製する一方、前記硫化水素を吸収した前記吸収液の一部を酸化して酸化液とした後、該酸化液に含まれる塩素を脱塩素樹脂に吸収させて除去して得られた第1の硫安母液、および前記アンモニアを吸収した前記希硫酸である第2の硫安母液から結晶硫酸アンモニウムを晶析させて回収するコークス炉ガスの精製方法において、
    前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の少なくとも一部を、前記脱塩素樹脂の再生液として供給することを特徴とするコークス炉ガスの精製方法。
  3. 前記硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の少なくとも一部のpHを4以上7以下に調整した後、前記脱塩素樹脂の再生液として供給する、請求項1または2に記載のコークス炉ガスの精製方法。
  4. 前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の一部を、前記コークス炉ガスから硫化水素を回収する際の吸収液の補給水として供給する、請求項1または2に記載のコークス炉ガスの精製方法。
  5. 前記吸収液はアンモニア水である、請求項2に記載のコークス炉ガスの精製方法。
  6. 前記結晶硫酸アンモニウムを晶析させる際に生じる硫酸アンモニウム含有硫安凝縮水の一部を、前記硫化水素を吸収した前記吸収液の一部を酸化して酸化液とする際の補給水として供給する、請求項2に記載のコークス炉ガスの精製方法。
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