JP2023015602A - 窒化タンタル被覆炭素材料及び化合物半導体成長装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化タンタル被覆炭素材料と同等程度の耐久性を有しながら、炭化タンタル被覆炭素材料よりも高い熱放射率を有する窒化タンタル被覆炭素材料、及びその窒化タンタル被覆炭素材料を使用した化合物半導体成長装置を提供する。【解決手段】本発明は、炭素基材13と、炭素基材13の少なくとも一部を被覆する窒化タンタル被覆膜11とを含む窒化タンタル被覆炭素材料であり、窒化タンタル被覆膜11が、TaNx(0<x≦1.67)で表される窒化タンタルを含む。本発明の化合物半導体成長装置は本発明の窒化タンタル被覆炭素材料を使用したものである。【選択図】図1
Description
本発明は、炭素基材の表面を窒化タンタル被覆膜で被覆した窒化タンタル被覆炭素材料、及びその窒化タンタル被覆炭素材料を使用した化合物半導体成長装置に関する。
SiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)などの半導体単結晶は2000℃以上の環境下で製造することがあり、これらの製造装置内を構成する部材や使用される治具には、炭素基材の表面を炭化ケイ素などで被覆してある炭素複合材料が利用されていた。
特許文献1には、炭素基材の表面を耐NH3に優れた炭化ケイ素で被覆した炭化ケイ素被覆炭素材料が記載されている。
特許文献2および特許文献3には、炭素基材を被覆する炭化タンタルの結晶配向性を制御することによって化学的安定性を高めた炭化タンタル被覆炭素材料が記載されている。
特許文献1には、炭素基材の表面を耐NH3に優れた炭化ケイ素で被覆した炭化ケイ素被覆炭素材料が記載されている。
特許文献2および特許文献3には、炭素基材を被覆する炭化タンタルの結晶配向性を制御することによって化学的安定性を高めた炭化タンタル被覆炭素材料が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載されている炭化ケイ素被覆炭素材料は、1300℃以上の高温下ではNH3などの腐食性ガスによって腐食されてしまい、使用可能温度が低く、耐久性が乏しいという課題がある。
また、特許文献2及び3に記載されている炭化タンタル被覆炭素材料は、炭化ケイ素被覆炭素材料に比べて、使用可能温度が高く、耐久性に優れているものの、表面の炭化タンタル層の熱放射率が低く、製造装置の高温環境における加熱部材として使用する場合、電力から熱へのエネルギー変換効率が低いという課題がある。
そこで、本発明は、炭化タンタル被覆炭素材料と同等程度の耐久性を有しながら、炭化タンタル被覆炭素材料よりも高い熱放射率を有する窒化タンタル被覆炭素材料及びその窒化タンタル被覆炭素材料を使用した化合物半導体成長装置を提供することを目的とする。
また、特許文献2及び3に記載されている炭化タンタル被覆炭素材料は、炭化ケイ素被覆炭素材料に比べて、使用可能温度が高く、耐久性に優れているものの、表面の炭化タンタル層の熱放射率が低く、製造装置の高温環境における加熱部材として使用する場合、電力から熱へのエネルギー変換効率が低いという課題がある。
そこで、本発明は、炭化タンタル被覆炭素材料と同等程度の耐久性を有しながら、炭化タンタル被覆炭素材料よりも高い熱放射率を有する窒化タンタル被覆炭素材料及びその窒化タンタル被覆炭素材料を使用した化合物半導体成長装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、炭素基材表面を窒化タンタル膜で被覆することで、1300℃以上の高温下における腐食性ガスへの優れた耐久性を及び高い熱放射率を炭素基材に付与できることを見出し、本発明を完成させた。本発明の要旨は、以下のとおりである。
[1]炭素基材と、前記炭素基材の少なくとも一部を被覆する窒化タンタル被覆膜とを含む窒化タンタル被覆炭素材料であって、前記窒化タンタル被覆膜が、下記一般式(1)で表される窒化タンタルを含むことを特徴とする窒化タンタル被覆炭素材料。
TaNx(0<x≦1.67) (1)
[2]前記炭素基材と前記窒化タンタル被覆膜との間に、少なくとも1層の中間層をさらに含み、前記中間層が炭化タンタル被覆膜を含むことを特徴とする上記[1]に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[3]前記窒化タンタル被覆膜の表面の算術平均粗さRaが0.5~40μmであることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[4]25℃の測定温度及び2~22μmの測定波長の条件下で測定した前記窒化タンタル被覆膜の表面における熱放射率が0.20超であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[5]前記炭素基材の熱膨張係数が0.2~9.3×10-6/℃であることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[6]前記窒化タンタル被覆膜の膜厚が0.1~100μmであることを特徴とする上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[7]前記窒化タンタル被覆膜におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度が1500質量ppm以下であることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[8]上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料を使用することを特徴とする化合物半導体成長装置。
[1]炭素基材と、前記炭素基材の少なくとも一部を被覆する窒化タンタル被覆膜とを含む窒化タンタル被覆炭素材料であって、前記窒化タンタル被覆膜が、下記一般式(1)で表される窒化タンタルを含むことを特徴とする窒化タンタル被覆炭素材料。
TaNx(0<x≦1.67) (1)
[2]前記炭素基材と前記窒化タンタル被覆膜との間に、少なくとも1層の中間層をさらに含み、前記中間層が炭化タンタル被覆膜を含むことを特徴とする上記[1]に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[3]前記窒化タンタル被覆膜の表面の算術平均粗さRaが0.5~40μmであることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[4]25℃の測定温度及び2~22μmの測定波長の条件下で測定した前記窒化タンタル被覆膜の表面における熱放射率が0.20超であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[5]前記炭素基材の熱膨張係数が0.2~9.3×10-6/℃であることを特徴とする上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[6]前記窒化タンタル被覆膜の膜厚が0.1~100μmであることを特徴とする上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[7]前記窒化タンタル被覆膜におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度が1500質量ppm以下であることを特徴とする上記[1]~[6]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
[8]上記[1]~[7]のいずれか1つに記載の窒化タンタル被覆炭素材料を使用することを特徴とする化合物半導体成長装置。
本発明によれば、炭化タンタル被覆炭素材料と同等程度の耐久性を有しながら、炭化タンタル被覆炭素材料よりも高い熱放射率を有する窒化タンタル被覆炭素材料、及びその窒化タンタル被覆炭素材料を使用した化合物半導体成長装置を提供することができる。
[窒化タンタル被覆炭素材料]
以下、本実施形態に係る窒化タンタル被覆炭素材料を例に挙げて、本発明の窒化タンタル被覆炭素材料を説明する。
以下、本実施形態に係る窒化タンタル被覆炭素材料を例に挙げて、本発明の窒化タンタル被覆炭素材料を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る窒化タンタル被覆炭素材料は、炭素基材13と、炭素基材13の少なくとも一部を被覆する窒化タンタル被覆膜11とを含む窒化タンタル被覆炭素材料であり、窒化タンタル被覆膜11が、下記一般式(1)で表される窒化タンタルを含むことを特徴とする。これにより、窒化タンタル被覆炭素材料は、炭化タンタル被覆炭素材料と同等程度の耐久性を有しながら、炭化タンタル被覆炭素材料よりも高い熱放射率を有することができる。
TaNx(0<x≦1.67) (1)
上記一般式(1)において、xの値が0であると、窒化タンタル被覆炭素材料はタンタル被覆炭素材料となり、耐久性が悪く、光沢の発現により熱放射率が低下する。また、上記一般式(1)において、xの値が1.67よりも大きな窒化タンタル被覆膜を作製することは難しい。このような観点から、上記一般式(1)のxの値は0.1~1.67であることが好ましく、0.5~1.67であることがより好ましく、1.0~1.67であることがさらに好ましい。なお、上記一般式(1)で表される窒化タンタルには、例えば、α-TaN~0.05(体心立方)、β-Ta2N(六方晶、ε-Fe2N型)、θ-TaN(六方晶、WC型)、δ-TaN(立方晶、NaCl型)、ε-TaN(六方晶、ε-TaN型)、Ta3N5(正方晶)、Ta4N5(正方晶)、Ta5N6(六方晶)等が挙げられる。なお、これらの中で、α、β、及びδ相が不定比化合物として知られている。
窒化タンタル被覆膜11の組成は、XRD回折パターンから同定することができる。
窒化タンタル被覆膜11における上記一般式(1)で表される窒化タンタルの含有量は好ましくは99質量%以上であり、より好ましくは99.9質量%以上である。また、窒化タンタル被覆膜11における上記一般式(1)で表される窒化タンタルの含有量の範囲の上限値は100質量%である。
TaNx(0<x≦1.67) (1)
上記一般式(1)において、xの値が0であると、窒化タンタル被覆炭素材料はタンタル被覆炭素材料となり、耐久性が悪く、光沢の発現により熱放射率が低下する。また、上記一般式(1)において、xの値が1.67よりも大きな窒化タンタル被覆膜を作製することは難しい。このような観点から、上記一般式(1)のxの値は0.1~1.67であることが好ましく、0.5~1.67であることがより好ましく、1.0~1.67であることがさらに好ましい。なお、上記一般式(1)で表される窒化タンタルには、例えば、α-TaN~0.05(体心立方)、β-Ta2N(六方晶、ε-Fe2N型)、θ-TaN(六方晶、WC型)、δ-TaN(立方晶、NaCl型)、ε-TaN(六方晶、ε-TaN型)、Ta3N5(正方晶)、Ta4N5(正方晶)、Ta5N6(六方晶)等が挙げられる。なお、これらの中で、α、β、及びδ相が不定比化合物として知られている。
窒化タンタル被覆膜11の組成は、XRD回折パターンから同定することができる。
窒化タンタル被覆膜11における上記一般式(1)で表される窒化タンタルの含有量は好ましくは99質量%以上であり、より好ましくは99.9質量%以上である。また、窒化タンタル被覆膜11における上記一般式(1)で表される窒化タンタルの含有量の範囲の上限値は100質量%である。
炭素基材13は炭素を主成分とする基材である。炭素基材13の材料には、例えば、等方性黒鉛、押出成形黒鉛、熱分解黒鉛、炭素繊維強化炭素複合材料(C/Cコンポジット)等が挙げられる。炭素基材13の形状や特性は特に限定されず、用途などに応じて任意形状に加工したものを用いることができる。
窒化タンタル被覆膜11の表面の算術平均粗さRaは、好ましくは0.5~40μmである。窒化タンタル被覆膜11の表面の算術平均粗さRaが0.5~40μmであると、窒化タンタル被覆膜11の熱放射率をさらに高くすることができる。このような観点から、窒化タンタル被覆膜11の表面の算術平均粗さRaは、より好ましくは1~30μmであり、さらに好ましくは3~10μmである。なお、窒化タンタル被覆膜11の表面の算術平均粗さRaは、JIS B 0633:2001(ISO 4288:1996)に基づいて測定した値である。
窒化タンタル被覆膜11の表面の算術平均粗さRaは、例えば、炭素基材13の表面粗さを調整することにより調整することができる。例えば、窒化タンタル被覆膜11の膜厚が40μm程度である場合、炭素基材13の表面粗さがそのまま窒化タンタル被覆膜11の表面粗さとなる。また、炭素基材13に窒化タンタル被覆膜11を形成した後、研磨剤ややすり等を使用して窒化タンタル被覆膜11の表面を磨くことにより、窒化タンタル被覆膜11の表面の算術平均粗さRaを調整してもよい。
25℃の測定温度及び2~22μmの測定波長の条件下で測定した窒化タンタル被覆膜11の表面における熱放射率は、好ましくは0.20超である。窒化タンタル被覆膜11の表面における熱放射率が0.20超であると、窒化タンタル被覆炭素材料の熱放射率を炭化タンタル被覆炭素材料の熱放射率よりも高めることができる。熱放射による熱伝達速度向上の観点から、窒化タンタル被覆膜11の表面における熱放射率は、より好ましくは0.30以上であり、さらに好ましくは0.50以上であり、よりさらに好ましくは0.60以上であり、よりさらに好ましくは0.70以上である。また、25℃の測定温度及び2~22μmの測定波長の条件下で測定した窒化タンタル被覆膜11の表面における熱放射率の範囲の上限値は、特に限定されないが、通常、0.90以下である。なお、表面における熱放射率は、後述の実施例に記載の方法により測定することができる。このような熱放射率の高い窒化タンタル被覆炭素材料は加熱部材に用いる炭素材料として好適に使用できる。
炭素基材13の熱膨張係数は、好ましくは0.2~9.3×10-6/℃である。炭素基材13の熱膨張係数が0.2~9.3×10-6/℃であると、窒化タンタル被覆炭素材料の表面におけるマイクロクラックの発生をさらに抑制することができる。このような観点から、炭素基材13の熱膨張係数は、より好ましくは3.0~9.3×10-6/℃であり、さらに好ましくは5.8~6.5×10-6/℃である。
窒化タンタル被覆膜11の膜厚は、好ましくは0.1~100μmである。窒化タンタル被覆膜11の膜厚が0.1μm以上であると、窒化タンタル被覆膜11の熱放射率に対する炭素基材13から拡散する不純物の影響を抑制することができる。窒化タンタル被覆膜11が100μm以下であると、窒化タンタル被覆膜11の成膜時間を短くすることができ、本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料の生産効率を改善することができる。このような観点から、窒化タンタル被覆膜11の膜厚は、より好ましくは1~80μmであり、さらに好ましくは10~60μmであり、よりさらに好ましくは20~50μmである。
窒化タンタル被覆膜11におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度は、好ましくは1500質量ppm以下である。窒化タンタル被覆膜11におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度が1500質量ppm以下であると。本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料を化合物半導体成長装置に用いた場合、化合物半導体成長装置により製造される化合物半導体への不純物混入をさらに抑制することができる。このような観点から、窒化タンタル被覆膜11におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度は、より好ましくは100質量ppm以下である。なお、窒化タンタル被覆膜11におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度は、低ければ低いほどさらに好ましい。なお、窒化タンタル被覆膜11におけるTa及びNの成分は、好ましくは上記一般式(1)で表される窒化タンタルのTa及びNの成分である。窒化タンタル被覆膜11におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度は、グロー放電質量分析法(GDMS)で分析することができる。
本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料は、熱放射率が高いので、炭化ケイ素エピタキシャルウェハ成長装置、窒化ガリウムエピタキシャルウェハ製造成長装置、窒化アルミニウムエピタキシャル成長装置等の化合物半導体成長装置に、好適に使用することができる。
図2に示すように、本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料は、炭素基材13と窒化タンタル被覆膜11との間に、少なくとも1層の中間層12をさらに含んでもよい。そして、中間層12は炭化タンタル被覆膜を含み、好ましくは炭化タンタル被覆膜のみからなる。これにより、本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料の耐久性をさらに改善することができる。
炭化タンタル被覆膜は、炭化タンタルを主成分とし、TaC結晶を含む。炭化タンタル被覆膜は、TaCのみから構成されていてもよい。なお、炭化タンタル被覆膜の熱膨張係数はおよそ6.3×10-6/℃である。
窒化タンタル被覆膜11と中間層12との密着度は高く、窒化タンタル被覆膜11及び中間層12の積層構造膜を炭素基材13から意図的に剥離させると、窒化タンタル被覆膜11と中間層12が積層構造膜として一体となって炭素基材13から剥離する。そのため、窒化タンタル被覆膜11及び中間層12を積層構造にすることで、本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料は、炭化タンタル被覆膜によるさらに高い耐久性を有し、かつ窒化タンタル被覆膜11による高い熱放射率を有するようになる。
窒化タンタル被覆膜11および中間層12は、それぞれが1層以上存在することが好ましい。窒化タンタル被覆膜11及び中間層12が2層以上重なっていても構わない。
窒化タンタル被覆膜11及び中間層12の積層構造膜の最表面は窒化タンタル被覆膜11であると、本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料の熱放射率はさらに高まる。このため、窒化タンタル被覆膜11及び中間層12の積層構造膜の最表面は窒化タンタル被覆膜11であることが好ましい。
中間層12の膜厚は、好ましくは0.1~100μmであり、より好ましくは10~80μmである。
窒化タンタル被覆膜11および中間層12は、それぞれが1層以上存在することが好ましい。窒化タンタル被覆膜11及び中間層12が2層以上重なっていても構わない。
窒化タンタル被覆膜11及び中間層12の積層構造膜の最表面は窒化タンタル被覆膜11であると、本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料の熱放射率はさらに高まる。このため、窒化タンタル被覆膜11及び中間層12の積層構造膜の最表面は窒化タンタル被覆膜11であることが好ましい。
中間層12の膜厚は、好ましくは0.1~100μmであり、より好ましくは10~80μmである。
炭化タンタル被覆膜におけるTa及びCを除いた他の成分の濃度は、1500質量ppm以下であることが好ましく、100質量ppm以下であることがより好ましい。なお、炭化タンタル被覆膜におけるTa及びCを除いた他の成分の濃度は、低ければ低いほどさらに好ましい。
中間層中の炭化タンタル被覆膜の組成は、XRD回折パターンから同定することができる。
中間層中の炭化タンタル被覆膜の組成は、XRD回折パターンから同定することができる。
本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料は、本発明の窒化タンタル被覆炭素材料の一例であり、本発明の窒化タンタル被覆炭素材料を限定しない。
本実施形態の化合物半導体成長装置は、本実施形態の窒化タンタル被覆炭素材料を使用するものである。これにより、耐久性が優れ、熱放射率が高い炭素材料を化合物半導体成長装置の加熱部材として用いることができる。なお、本実施形態の化合物半導体成長装置は、本発明の化合物半導体成長装置の一例であり、本発明の化合物半導体成長装置を限定しない。
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下のようにして、実施例1~16の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料、及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料を作製した。
(実施例1)
先ず、図3に示す外熱型減圧CVD装置21の反応室内22に、炭素基材24を載置した。炭素基材24として等方性黒鉛(円板部材(φ100mm、厚さ10mm、熱膨張係数6.0×10-6/℃))を用いた。炭素基材24は先端が尖った形状の支持部を3つ有する支持手段25によって支持された。炭素基材24は、ブラスト処理を行い、炭素基材24の表面の算術平均粗さRaを5.0μmに調整した。
先ず、図3に示す外熱型減圧CVD装置21の反応室内22に、炭素基材24を載置した。炭素基材24として等方性黒鉛(円板部材(φ100mm、厚さ10mm、熱膨張係数6.0×10-6/℃))を用いた。炭素基材24は先端が尖った形状の支持部を3つ有する支持手段25によって支持された。炭素基材24は、ブラスト処理を行い、炭素基材24の表面の算術平均粗さRaを5.0μmに調整した。
次に、内部圧力100Paの反応室22内で、炭素基材24を1000℃の温度に加熱した。加熱した炭素基材24に、原料供給部28からアンモニア(NH3)ガス、窒素(N2)ガス、水素(H2)ガス、五塩化タンタル(TaCl5)ガス及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭素基材24の表面に、窒化タンタル被覆膜11としてTaN結晶(40μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりアンモニアガス、窒素ガス、水素ガス、五塩化タンタルガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1SLM(Standard Litter/Minutes)1SLM、1SLM、1SLM及び3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
図4に実施例1の窒化タンタル被覆炭素材料の断面のSEM画像を示す。また、表1に実施例1の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
図4に実施例1の窒化タンタル被覆炭素材料の断面のSEM画像を示す。また、表1に実施例1の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
(実施例2)
実施例1と同様の炭素基材24を、同様のブラスト処理にて炭素基材24の表面の算術平均粗さRaを5.0μmに調整し、同様の方法で反応室内22内に載置した。
次に、内部圧力100Paの反応室22内で、炭素基材24を1000℃の温度に加熱した。加熱した炭素基材24に原料供給部28からメタン(CH4)ガス、水素(H2)ガス、五塩化タンタル(TaCl5)ガス及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭素基材24の表面に炭化タンタル被覆膜12としてTaC結晶(20μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりメタンガス、水素ガス、五塩化タンタルガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1SLM(Standard Litter/Minutes)、1SLM、1SLM、及び3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
実施例1と同様の炭素基材24を、同様のブラスト処理にて炭素基材24の表面の算術平均粗さRaを5.0μmに調整し、同様の方法で反応室内22内に載置した。
次に、内部圧力100Paの反応室22内で、炭素基材24を1000℃の温度に加熱した。加熱した炭素基材24に原料供給部28からメタン(CH4)ガス、水素(H2)ガス、五塩化タンタル(TaCl5)ガス及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭素基材24の表面に炭化タンタル被覆膜12としてTaC結晶(20μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりメタンガス、水素ガス、五塩化タンタルガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1SLM(Standard Litter/Minutes)、1SLM、1SLM、及び3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
その後、原料供給部28からアンモニア(NH3)ガス、窒素(N2)ガス、水素(H2)ガス、五塩化タンタル(TaCl5)ガス及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭化タンタル被覆膜12の表面に窒化タンタル被覆膜11としてTaN結晶(20μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりアンモニアガス、窒素ガス、水素ガス、五塩化タンタルガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1SLM(Standard Litter/Minutes)、1SLM、1SLM、1SLM及び3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
図5に実施例2の窒化タンタル被覆炭素材料の断面のSEM画像を示す。また、表1に実施例2の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
図5に実施例2の窒化タンタル被覆炭素材料の断面のSEM画像を示す。また、表1に実施例2の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
(実施例3及び4)
実施例1と同様の方法で、炭素基材24の表面に、窒化タンタル被覆膜11としてTaN結晶(40μm)を形成した。このとき、反応室22内に、あらかじめタングステン(W)、ニオブ(Nb)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)金属試料を各1gずつ投入し、窒化タンタル被覆膜11に含まれるTaN以外の不純物濃度を高めた。
表1に実施例3、4の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
実施例1と同様の方法で、炭素基材24の表面に、窒化タンタル被覆膜11としてTaN結晶(40μm)を形成した。このとき、反応室22内に、あらかじめタングステン(W)、ニオブ(Nb)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、モリブデン(Mo)金属試料を各1gずつ投入し、窒化タンタル被覆膜11に含まれるTaN以外の不純物濃度を高めた。
表1に実施例3、4の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
(実施例5~8)
成膜時の炭素基材24の温度、アンモニア(NH3)ガス、窒素(N2)ガス、水素(H2)ガス、及び五塩化タンタル(TaCl5)ガスの流量比を調節して、TaN結晶とは組成の異なるTaNx結晶を形成した以外は、実施例1と同様の方法でTaNx結晶(40μm)を形成した。
表1に実施例5~8の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
成膜時の炭素基材24の温度、アンモニア(NH3)ガス、窒素(N2)ガス、水素(H2)ガス、及び五塩化タンタル(TaCl5)ガスの流量比を調節して、TaN結晶とは組成の異なるTaNx結晶を形成した以外は、実施例1と同様の方法でTaNx結晶(40μm)を形成した。
表1に実施例5~8の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
(実施例9~12)
ブラスト処理を調整して炭素基材24の表面の算術平均粗さRaを、実施例1で使用した炭素基材24の表面の算術平均粗さRaと異なるようにした以外は、実施例1と同様の方法でTaNx結晶(40μm)を形成した。
表1に実施例9~12の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
ブラスト処理を調整して炭素基材24の表面の算術平均粗さRaを、実施例1で使用した炭素基材24の表面の算術平均粗さRaと異なるようにした以外は、実施例1と同様の方法でTaNx結晶(40μm)を形成した。
表1に実施例9~12の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
(実施例13~16)
実施例1で使用した炭素基材24と熱膨張率が異なる炭素基材24を使用した以外は、実施例1と同様の方法で炭素基材24の表面に、TaNx結晶(40μm)を形成した。
表1に実施例13~16の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
実施例1で使用した炭素基材24と熱膨張率が異なる炭素基材24を使用した以外は、実施例1と同様の方法で炭素基材24の表面に、TaNx結晶(40μm)を形成した。
表1に実施例13~16の窒化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
(参考例1)
実施例1と同様の方法で、表面の算術平均粗さRaが5.0μmである炭素基材24を作製した。そして、炭素基材24の表面に膜を形成しないで、炭素基材24の特性を評価した。
表1に参考例1の炭素材料の特性データを示す。
実施例1と同様の方法で、表面の算術平均粗さRaが5.0μmである炭素基材24を作製した。そして、炭素基材24の表面に膜を形成しないで、炭素基材24の特性を評価した。
表1に参考例1の炭素材料の特性データを示す。
(参考例2)
実施例1と同様の方法で、表面の算術平均粗さRaが5.0μmである炭素基材24を作製した。
次に、内部圧力100Paの反応室22内で、炭素基材24を1000℃の温度に加熱した。加熱した炭素基材24に原料供給部28からメタン(CH4)ガス、水素(H2)ガス、五塩化タンタル(TaCl5)ガス及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭素基材24の表面に炭化タンタル被覆膜12としてTaC結晶(40μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりメタンガス、水素ガス、五塩化タンタルガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1LM、1SLM、1SLM、3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
表1に参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
実施例1と同様の方法で、表面の算術平均粗さRaが5.0μmである炭素基材24を作製した。
次に、内部圧力100Paの反応室22内で、炭素基材24を1000℃の温度に加熱した。加熱した炭素基材24に原料供給部28からメタン(CH4)ガス、水素(H2)ガス、五塩化タンタル(TaCl5)ガス及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭素基材24の表面に炭化タンタル被覆膜12としてTaC結晶(40μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりメタンガス、水素ガス、五塩化タンタルガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1LM、1SLM、1SLM、3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
表1に参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料の特性データを示す。
(参考例3)
実施例1と同様の方法で、表面の算術平均粗さRaが5.0μmである炭素基材24を作製した。
次に、内部圧力100Paの反応室22内で、炭素基材24を1000℃の温度に加熱した。加熱した炭素基材24に原料供給部28からメタン(CH4)ガス、水素(H2)ガス、四塩化ケイ素(SiCl4)及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭素基材24の表面に炭化タンタル被覆膜12としてSiC結晶(40μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりメタンガス、水素ガス、四塩化ケイ素ガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1LM、1SLM、1SLM、3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
表1に参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料の特性データを示す。
実施例1と同様の方法で、表面の算術平均粗さRaが5.0μmである炭素基材24を作製した。
次に、内部圧力100Paの反応室22内で、炭素基材24を1000℃の温度に加熱した。加熱した炭素基材24に原料供給部28からメタン(CH4)ガス、水素(H2)ガス、四塩化ケイ素(SiCl4)及びアルゴン(Ar)ガスを反応室22へ供給し、炭素基材24の表面に炭化タンタル被覆膜12としてSiC結晶(40μm)を形成した。なお、マスフローコントローラーによりメタンガス、水素ガス、四塩化ケイ素ガス及びアルゴンガスの流量を、それぞれ1LM、1SLM、1SLM、3SLMになるように制御した。原料ガス供給時間は5時間であった。
表1に参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料の特性データを示す。
以上のように作製した実施例1~16の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料、及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料について以下の評価を行った。
(1)表面の算術平均粗さRa
実施例1~16及び参考例1~3の炭素材料の表面の算術平均粗さRaは、JIS B 0633:2001(ISO 4288:1996)に基づいて測定した。
実施例1~16及び参考例1~3の炭素材料の表面の算術平均粗さRaは、JIS B 0633:2001(ISO 4288:1996)に基づいて測定した。
(2)不純物濃度
実施例1~16の窒化タンタル被覆炭素材料における窒化タンタル被覆膜の不純物濃度(Ta及びNを除いた他の成分の濃度)、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料における炭化タンタル被覆膜の不純物濃度(Ta及びCを除いた他の成分の濃度)、及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料における炭化ケイ素被覆膜の不純物濃度(Si及びCを除いた他の成分の濃度)は、それぞれグロー放電質量分析法(GDMS)で測定した。
実施例1~16の窒化タンタル被覆炭素材料における窒化タンタル被覆膜の不純物濃度(Ta及びNを除いた他の成分の濃度)、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料における炭化タンタル被覆膜の不純物濃度(Ta及びCを除いた他の成分の濃度)、及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料における炭化ケイ素被覆膜の不純物濃度(Si及びCを除いた他の成分の濃度)は、それぞれグロー放電質量分析法(GDMS)で測定した。
(3)室温における熱放射率測定
実施例1~16および参考例1~3の各サンプル表面に対して、熱放射率測定器(商品名「TSS-5X」、ジャパンセンサー株式会社製)を用いて、室温(25℃)の測定温度及び2~22μmの測定波長の条件下での熱放射率測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1~16および参考例1~3の各サンプル表面に対して、熱放射率測定器(商品名「TSS-5X」、ジャパンセンサー株式会社製)を用いて、室温(25℃)の測定温度及び2~22μmの測定波長の条件下での熱放射率測定を行った。結果を表1に示す。
(4)誘導加熱による昇温時間測定
先ず、図6に示すように、SiCウェハ45と、作製サンプル44として実施例1~16の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料のいずれか一つを石英管42内に、それぞれ載置した。その後、石英管42内を減圧し、下記の条件で誘導加熱を開始した。SiCウェハ45の中心の表面温度を放射温度計(商品名「FLHX-TNE-0090-200-B-003-00-5」、ジャパンセンサー株式会社製)で測定し、1500℃の温度に到達するまでの時間を測定した。測定結果を表1に示す。
先ず、図6に示すように、SiCウェハ45と、作製サンプル44として実施例1~16の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料のいずれか一つを石英管42内に、それぞれ載置した。その後、石英管42内を減圧し、下記の条件で誘導加熱を開始した。SiCウェハ45の中心の表面温度を放射温度計(商品名「FLHX-TNE-0090-200-B-003-00-5」、ジャパンセンサー株式会社製)で測定し、1500℃の温度に到達するまでの時間を測定した。測定結果を表1に示す。
[測定条件]
加熱方法:誘導加熱
電源出力:2kW
周波数:50kHz
アルゴン流量:2 SLM
熱放射率設定値:1.0
測定波長:1.95~2.6μm
測定温度:1500℃
SiCウェハ:3インチ
作製サンプルサイズ:φ100mm×10mm
加熱方法:誘導加熱
電源出力:2kW
周波数:50kHz
アルゴン流量:2 SLM
熱放射率設定値:1.0
測定波長:1.95~2.6μm
測定温度:1500℃
SiCウェハ:3インチ
作製サンプルサイズ:φ100mm×10mm
(5)NH3腐食試験による重量変化の測定
先ず、図7に示すように、石英管42内に実施例1~4の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料のいずれか一つを作製サンプル44として載置した。その後、石英管42内を減圧し、下記の条件で腐食試験を行った。
先ず、図7に示すように、石英管42内に実施例1~4の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料のいずれか一つを作製サンプル44として載置した。その後、石英管42内を減圧し、下記の条件で腐食試験を行った。
[試験条件]
サンプル表面温度:1500℃
NH3:1.0SLM
サンプル表面温度:1500℃
NH3:1.0SLM
また、下記の式からそれぞれのサンプルについての重量比率を算出した。
試験後の重量比率(%)=試験後の炭素材料重量(g)÷試験前の炭素材料重量(g)
25時間おきにサンプルの重量を測定し、500時間まで試験を行った。実施例1~4の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料の試験後の重量比率を図8に示す。
試験後の重量比率(%)=試験後の炭素材料重量(g)÷試験前の炭素材料重量(g)
25時間おきにサンプルの重量を測定し、500時間まで試験を行った。実施例1~4の窒化タンタル被覆炭素材料、参考例1の炭素材料、参考例2の炭化タンタル被覆炭素材料及び参考例3の炭化ケイ素被覆炭素材料の試験後の重量比率を図8に示す。
表1より実施例1~8、10~12で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の熱放射率は0.80程度で、参考例3で作製した炭化ケイ素0.79と近い値であることがわかった。そして誘導加熱による昇温時間測定結果も、実施例1~8、10~12で作製した窒化タンタル被覆炭素材料による昇温時間は、参考例3で作製した炭化ケイ素被覆炭素材料による昇温時間と同程度で、参考例1で作製した炭素材料よりやや遅い程度である。このことから、実施例1~8、10~12で作製した窒化タンタル被覆炭素材料は、加熱部材に用いる炭素材料として、参考例3で作製した炭化ケイ素被覆炭素材料と同程度の、参考例1で作製した炭素材料よりやや劣る程度の、加熱能力を持つことがわかった。
一方で、参考例2で作製した炭化タンタル被覆炭素材料は、熱放射率が0.20であり、実施例1~16で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の熱放射率よりも小さい。さらに誘導加熱による昇温時間測定結果も、参考例2で作製した炭化タンタル被覆炭素材料は、実施例1~8、10~12で作製した窒化タンタル被覆炭素材料に比べて大幅に遅い。このことから、参考例2で作製した炭化タンタル被覆炭素材料は、加熱部材に用いる炭素材料として、実施例1~8、10~12で作製した窒化タンタル被覆炭素材料より劣る加熱能力を持つことがわかった。
実施例9~12に関して、算術平均粗さRaが0.1μm程度だと熱放射率が低くなることがわかった。また、算術平均粗さRaが40μmの場合、膜厚を均一にすることが難しい。そのため、窒化タンタル被覆膜の表面の算術平均粗さRaは1~30μmであることが好ましいことがわかった。
図8のNH3腐食試験による重量変化の測定結果について説明する。実施例1~3で作製した窒化タンタル被覆炭素材料及び参考例2で作製した炭化タンタル被覆炭素材料は、試験200時間後において、99.5%以上の重量比率を維持した。
一方で、参考例1で作製した炭素材料及び参考例3で作製した炭化ケイ素被覆炭素材料は、試験200時間後において、99.5%以下の重量比率となった。
参考例1に関しては、炭素材料がNH3によって腐食されたことが、試験200時間後において重量比率が99.5%以下となった原因であると考えられる。
参考例3に関しては、試験200時間までは炭化ケイ素被覆膜の消耗が、試験200時間より後は、炭化ケイ素の消耗と、炭化ケイ素の消耗により露出した炭素材料が腐食されたことが重量比率低下の原因であると考えられる。
これに対して実施例1~3及び参考例2に関しては、試験200時間までの耐NH3腐食性能は、参考例1及び参考例3よりも高いと言える。
一方で、参考例1で作製した炭素材料及び参考例3で作製した炭化ケイ素被覆炭素材料は、試験200時間後において、99.5%以下の重量比率となった。
参考例1に関しては、炭素材料がNH3によって腐食されたことが、試験200時間後において重量比率が99.5%以下となった原因であると考えられる。
参考例3に関しては、試験200時間までは炭化ケイ素被覆膜の消耗が、試験200時間より後は、炭化ケイ素の消耗と、炭化ケイ素の消耗により露出した炭素材料が腐食されたことが重量比率低下の原因であると考えられる。
これに対して実施例1~3及び参考例2に関しては、試験200時間までの耐NH3腐食性能は、参考例1及び参考例3よりも高いと言える。
続いて実施例1~3及び参考例2を比較する。
実施例1に関しては、試験時間400時間を超えたあたりで、TaNx結晶の変質による炭素材料の露出が発生し、その後、重量比率が減少していったと考えられる。そのため、実施例1で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能は、実施例2で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能よりも劣る。
実施例2及び参考例2に関しては、試験時間500時間を超えても99.5%の以上の重量比率を維持し、耐NH3腐食性能が非常に高いと言える。しかしながら、前述したとおり、実施例2は参考例2よりも熱放射率が高いため、加熱部材に用いる炭素材料としては実施例2の方が優れている。
実施例3の重量比率減少の推移は実施例1と同様であった。実施例4に関しては、試験時間275時間を超えたあたりで、TaNx結晶内に含まれる不純物が放出されたことによるTaNx結晶のクラックやポーラスが発生したと考えられる。そして、TaNx結晶のクラックやポーラスにより炭素材料の露出が発生し、その後、重量比率が減少していったと考えられる。そのため実施例4で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能は、実施例1~3で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能よりも劣る。このことから窒化タンタル被覆11に含まれる不純物濃度は1500質量ppm以下であることが好ましいことがわかった。また、加熱時にTaNx結晶内に含まれる不純物が放出されてしまう可能性があるため、不純物濃度は少ないほどよいこともわかった。
実施例1に関しては、試験時間400時間を超えたあたりで、TaNx結晶の変質による炭素材料の露出が発生し、その後、重量比率が減少していったと考えられる。そのため、実施例1で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能は、実施例2で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能よりも劣る。
実施例2及び参考例2に関しては、試験時間500時間を超えても99.5%の以上の重量比率を維持し、耐NH3腐食性能が非常に高いと言える。しかしながら、前述したとおり、実施例2は参考例2よりも熱放射率が高いため、加熱部材に用いる炭素材料としては実施例2の方が優れている。
実施例3の重量比率減少の推移は実施例1と同様であった。実施例4に関しては、試験時間275時間を超えたあたりで、TaNx結晶内に含まれる不純物が放出されたことによるTaNx結晶のクラックやポーラスが発生したと考えられる。そして、TaNx結晶のクラックやポーラスにより炭素材料の露出が発生し、その後、重量比率が減少していったと考えられる。そのため実施例4で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能は、実施例1~3で作製した窒化タンタル被覆炭素材料の耐NH3性能よりも劣る。このことから窒化タンタル被覆11に含まれる不純物濃度は1500質量ppm以下であることが好ましいことがわかった。また、加熱時にTaNx結晶内に含まれる不純物が放出されてしまう可能性があるため、不純物濃度は少ないほどよいこともわかった。
11 窒化タンタル被覆膜(TaNx)
12 炭化タンタル被覆膜(TaC)
13 炭素基材
21 外熱型減圧CVD装置
22 反応室
23 ヒーター
24 炭素基材
25 支持手段
26 ターンテーブル
27 排気部
28 原料供給部
39 放射温度計
41 RFコイル
42 石英管
43 断熱材
44 作製サンプル
45 SiCウェハ
46 ガス供給部
47 ガス排気部
12 炭化タンタル被覆膜(TaC)
13 炭素基材
21 外熱型減圧CVD装置
22 反応室
23 ヒーター
24 炭素基材
25 支持手段
26 ターンテーブル
27 排気部
28 原料供給部
39 放射温度計
41 RFコイル
42 石英管
43 断熱材
44 作製サンプル
45 SiCウェハ
46 ガス供給部
47 ガス排気部
Claims (8)
- 炭素基材と、前記炭素基材の少なくとも一部を被覆する窒化タンタル被覆膜とを含む窒化タンタル被覆炭素材料であって、
前記窒化タンタル被覆膜が、下記一般式(1)で表される窒化タンタルを含むことを特徴とする窒化タンタル被覆炭素材料。
TaNx(0<x≦1.67) (1) - 前記炭素基材と前記窒化タンタル被覆膜との間に、少なくとも1層の中間層をさらに含み、
前記中間層が炭化タンタル被覆膜を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。 - 前記窒化タンタル被覆膜の表面の算術平均粗さRaが0.5~40μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
- 25℃の測定温度及び2~22μmの測定波長の条件下で測定した前記窒化タンタル被覆膜の表面における熱放射率が0.20超であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
- 前記炭素基材の熱膨張係数が0.2~9.3×10-6/℃であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
- 前記窒化タンタル被覆膜の膜厚が0.1~100μmであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
- 前記窒化タンタル被覆膜におけるTa及びNを除いた他の成分の濃度が1500質量ppm以下であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の窒化タンタル被覆炭素材料。
- 請求項1~7のいずれか1項に記載の窒化タンタル被覆炭素材料を使用することを特徴とする化合物半導体成長装置。
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