JP2023014644A - 自動分析装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高い洗浄力により検体間キャリーオーバーの抑制や微量分注時の精度を確保すること。【解決手段】 実施形態に係る自動分析装置は、プローブ、洗浄部及び振動部を備えている。前記プローブは、試薬またはサンプルを分注する。前記洗浄部は、前記プローブを洗浄する。前記振動部は、前記プローブを共振振動させる。前記自動分析装置は、前記洗浄部で前記プローブを洗浄する際、前記振動部で前記プローブを共振振動させる。【選択図】図1

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、自動分析装置に関する。
臨床検査用の自動分析装置では、血液および尿などの生体試料(以下、試料と称する)と試薬とを一定量混合して反応させ、この混合液に光を当てて得られる透過光または散乱光の光量を測定することで、測定対象物質の濃度、活性値、および変化に掛かる時間などを求めている。
一般的な自動分析装置は、試薬アームに取り付けられたプローブにより試薬を吸引してサンプルへ吐出する構造である。サンプルを分注するとき、異なる試料を同一のプローブで分注することから、分注する毎にプローブを洗浄している。このようなプローブの洗浄は、基本的に流体(流水)による洗浄や、洗剤による洗浄(その他化学的洗浄を含む)が主である。しかし、流水や洗剤だけで洗浄するには限界がある。このような限界に対して、高い洗浄力により検体間のキャリーオーバーを抑制し、微量分注時の精度を確保する為には新たな洗浄技術が必要となっている。
特開平7-311204号公報
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、高い洗浄力により検体間キャリーオーバーの抑制や微量分注時の精度を確保することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る自動分析装置は、プローブ、洗浄部及び振動部を備えている。前記プローブは、試薬またはサンプルを分注する。前記洗浄部は、前記プローブを洗浄する。前記振動部は、前記プローブを共振振動させる。前記自動分析装置は、前記洗浄部で前記プローブを洗浄する際、前記振動部で前記プローブを共振振動させる。
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置の機能構成を示すブロック図である。 図2は、図1の分析機構の構成を例示する図である。 図3は、図2のサンプル分注アームに設けられた振動部を説明するための模式図である。 図4は、図3の振動部による振動を説明するための模式図である。 図5は、図2の試薬分注アームに設けられた振動部を説明するための模式図である。 図6は、図5の振動部による振動を説明するための模式図である。 図7は、図2のプローブ洗浄ユニットの機能構成を示すブロック図である。 図8は、図7の洗浄部の構成を例示する断面図である。 図9は、第1の実施形態における洗浄動作を説明するためのフローチャートである。 図10は、第2の実施形態に係る自動分析装置における分析機構の構成を例示する図である。 図11は、図10のサンプル分注アームに対する固定部に設けられた振動部を説明するための模式図である。 図12は、図10の試薬分注アームに対する固定部に設けられた振動部を説明するための模式図である。 図13は、第2の実施形態における洗浄動作を説明するためのフローチャートである。
以下、図面を参照しながら、自動分析装置の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る自動分析装置1の機能構成を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2と、解析回路3と、駆動機構4と、入力インタフェース5と、出力インタフェース6と、通信インタフェース7と、記憶回路8と、制御回路9(制御部とも称する)とを備える。
分析機構2は、血液または尿などの試料(サンプル)と、各検査項目で用いられる試薬溶液とを混合する。また、分析機構2は、検査項目によっては、所定の倍率で希釈した標準液と、この検査項目で用いられる試薬溶液とを混合する。分析機構2は、サンプルまたは標準液と、試薬溶液との混合液の光学的な物性値を測定する。この測定により、例えば、透過光強度または吸光度、および散乱光強度などで表される標準データおよび被検データが生成される。
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データおよび被検データを解析することで、検量データおよび分析データを生成するプロセッサである。解析回路3は、例えば、記憶回路8から解析プログラムを読み出し、読み出した解析プログラムに従って標準データおよび被検データを解析する。尚、解析回路3は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベアおよびリードスクリューなどにより実現される。
入力インタフェース5は、例えば、操作者が測定を指示したサンプルまたは病院内ネットワークNWを介して測定を依頼されたサンプルに係る各検査項目の分析パラメータなどの設定を受け付ける。また、入力インタフェース5は、予め検査種別毎に、後述する振動部による共振振動の実行可否を設定するといったプローブ洗浄に関する設定を受け付ける。当該プローブ洗浄に関する設定としては、例えば、共振振動の周波数に関する設定を含んでもよい。共振振動の周波数に関する設定としては、例えば、共振振動の周波数が一定の場合には当該周波数の値であり、共振振動の周波数をスイープする場合には当該スイープする周波数の範囲である。当該スイープする周波数の範囲としては、例えば、プローブの先端部を共振させるように1次モードの周波数を含むようにしてもよい。具体的には、当該スイープする周波数の範囲としては、例えば、50~400Hzの範囲としてもよい。また、当該スイープする周波数の範囲としては、例えば、20kHz以上の超音波の範囲を含んでもよい。また、入力インタフェース5により受け付けられた設定は、制御回路9が保持してもよく、記憶回路8に保存されてもよい。入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド、およびタッチパネルなどにより実現される。入力インタフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。
なお、入力インタフェース5は、本明細書において、マウスおよびキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、入力インタフェース5には、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路が含まれてもよい。
出力インタフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インタフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路および音声デバイスなどにより実現される。
表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイおよびプラズマディスプレイなどが含まれる。また、表示回路には、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路が含まれてもよい。印刷回路は、例えば、プリンタなどを含む。また、印刷回路には、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路が含まれてもよい。音声デバイスは、例えば、スピーカなどを含む。また、音声デバイスには、音声信号を外部へ出力する出力回路が含まれてもよい。尚、出力インタフェース6は、入力インタフェース5と共にタッチパネル、或いはタッチスクリーンとして実現されてもよい。
通信インタフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。尚、通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システム(Laboratory Information System:LIS)を介してHISとデータ通信を行ってもよい。
記憶回路8は、プロセッサにより読み取り可能な記憶媒体などを含む。これらの記憶媒体は、例えば、磁気的記憶媒体、光学的記憶媒体または半導体メモリなどである。尚、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶媒体(記憶装置)により実現される必要は無い。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
記憶回路8は、解析回路3で実行される解析プログラム、および制御回路9に備わる機能を実現するための制御プログラムを記憶している。記憶回路8は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。記憶回路8は、解析回路3により生成される分析データをサンプル毎に記憶する。記憶回路8は、操作者から入力された検査オーダ、または通信インタフェース7が病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダを記憶する。また、記憶回路8は、例えば、入力インタフェース5により受け付けられた設定を記憶する。例えば、記憶回路8は、予め検査種別毎に、後述する振動部による共振振動の実行可否を設定するといったプローブ洗浄に関する設定を記憶する。当該プローブ洗浄に関する設定としては、例えば、共振振動の周波数に関する設定を含んでもよい。共振振動の周波数に関する設定としては、例えば、共振振動の周波数が一定の場合には当該周波数の値であり、共振振動の周波数をスイープする場合には当該スイープする周波数の範囲である。当該スイープする周波数の範囲としては、例えば、プローブの先端部を共振させるように1次モードの周波数を含むようにしてもよい。記憶回路8及び入力インタフェース5は、設定部の一例である。
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、記憶回路8に記憶されているプログラムを実行することで、実行したプログラムに対応する機能を実現する。尚、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えてもよい。この場合、制御回路9は、例えば、入力インタフェース5により受け付けられた設定内容を記憶領域に記憶してもよい。制御回路9及び入力インタフェース5は、設定部の他の一例である。
制御回路9は、例えば、制御プログラムを実行することで、システム制御機能91を有する。尚、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能91が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能91を実現しても構わない。制御回路9は、制御部及び実行制御部の一例である。
システム制御機能91は、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。例えば、システム制御機能91において制御回路9は、検査項目に応じた測定を実施するように駆動機構4を駆動し、分析機構2で生成される標準データおよび被検データを解析するように解析回路3を制御する。
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図2に示される分析機構2は、反応ディスク201、恒温部202、サンプルディスク203、第1試薬庫204、および第2試薬庫205を備える。また、分析機構2は、サンプル分注アーム206、サンプル分注プローブ207、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、電極ユニット212、測光ユニット213、洗浄ユニット214、攪拌ユニット215、およびプローブ洗浄ユニット216、216A、216Bを備える。
まず、反応ディスク201、恒温部202、サンプルディスク203、第1試薬庫204、第2試薬庫205について説明する。
反応ディスク201は、複数の反応容器2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、複数の反応容器2011を所定の経路に沿って搬送する。具体的には、反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔(以下、1周期、或いは1サイクルと称する)、例えば4.5秒または9秒ごとに回動と停止とが交互に繰り返される。反応容器2011は、例えば、ガラス、ポリプロピレン(polypropylene:PP)またはアクリルにより形成されている。尚、反応ディスク201上の複数の位置には、サンプル吐出位置、第1試薬吐出位置、第2試薬吐出位置、および攪拌位置などが設定されている。
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留し、貯留する熱媒体に反応容器2011を浸漬させることで、反応容器2011に収容される混合液を昇温する。
サンプルディスク203は、測定を依頼されたサンプルを収容する複数のサンプル容器を、環状に配列させて保持する。サンプルディスク203は、複数のサンプル容器を所定の経路に沿って搬送する。図2に示す例では、サンプルディスク203は、反応ディスク201と隣り合って配置されている。尚、サンプルディスク203上の所定の位置には、サンプル吸引位置が設定されている。また、サンプルディスク203は、着脱自在なカバーにより覆われてもよい。
第1試薬庫204は、サンプルに含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器を複数保冷する。図2に示す例では、第1試薬庫204は、反応ディスク201と隣り合って配置されている。第1試薬庫204内には、第1試薬ラックが回転自在に設けられている。第1試薬ラックは、複数の試薬容器を円環状に配列して保持する。第1試薬ラックは、駆動機構4により回動される。尚、第1試薬庫204上の所定の位置には、第1試薬吸引位置が設定されている。試薬容器は、試薬ボトルと呼ばれてもよい。また、第1試薬庫204は、着脱自在な試薬カバーにより覆われてもよい。
第2試薬庫205は、第2試薬を収容する試薬容器を複数保冷する。図2に示す例では、第2試薬庫205は、反応ディスク201の内側に配置されている。第2試薬庫205内には、第2試薬ラックが回転自在に設けられている。第2試薬ラックは、複数の試薬容器を円環状に配列して保持する。第2試薬ラックは、駆動機構4により回動される。尚、第2試薬庫205上の所定の位置には、第2試薬吸引位置が設定されている。また、第2試薬庫205は、着脱自在な試薬カバーにより覆われてもよい。
次に、サンプル分注アーム206、サンプル分注プローブ207、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、電極ユニット212、測光ユニット213、洗浄ユニット214、攪拌ユニット215、およびプローブ洗浄ユニット216、216A、216Bについて説明する。
サンプル分注アーム206は、反応ディスク201とサンプルディスク203との間に設けられている。サンプル分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、且つ水平方向に回動自在に設けられている。サンプル分注アーム206は、一端にサンプル分注プローブ207及び振動部220を保持する。詳しくは図3に示すように、サンプル分注アーム206は、先端部に振動部220が設けられている。
振動部220は、後述する洗浄部310でサンプル分注プローブ207を洗浄する際、当該サンプル分注プローブ207を共振振動させる。振動部220としては、例えば、偏心した重りを設けた回転軸を回転させるモータを備え、当該モータの駆動による回転軸の偏心回転によりサンプル分注プローブ207を共振振動させてもよい。また、振動部220としては、圧電素子を備え、当該圧電素子の駆動によりサンプル分注プローブ207を共振振動させてもよい。また、振動部220は、制御回路9により制御され、予め検査種別毎に設定された共振振動の実行可否に応じて駆動されてもよい。この場合、制御回路9は、入力された検査種別と設定内容とに基づいて、共振振動の実行を制御する。また、振動部220による共振振動としては、共振振動の周波数を一定とした振動でもよく、共振振動の周波数をスイープした振動でもよい。当該スイープする周波数の範囲としては、例えば、サンプル分注プローブ207の先端部を共振させるように1次モードの周波数を含むようにしてもよく、2次モード又は3次モードの周波数を含んでもよい。図4(a)に1次モードの振動を示し、図4(b)に2次モードの振動を示し、図4(c)に3次モードの振動を示す。但し、図4は振動を説明するために大幅に誇張して示した模式図であり、実際の振動幅が1mm以下であるため、図4(a)~(c)の振動モードを見た目で識別することは困難である。但し、振動幅の数値は一例であり、これに限定されない。共振振動の周波数のスイープは、定在波をプローブの同一箇所に集中させない観点から、実行されることが好ましい。
サンプル分注プローブ207は、サンプル分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、サンプル吐出位置、洗浄位置、およびサンプル吸引位置がある。サンプル吐出位置は、例えば、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に円環状に配列される反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。洗浄位置は、例えば、プローブ洗浄ユニット216に設けられた洗浄部310の開口部に相当する。サンプル吸引位置は、例えば、サンプル分注プローブ207の回動軌道と、サンプルディスク203に円環状に配列されるサンプル容器の移動軌道との交点に相当する。
サンプル分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、反応ディスク201に保持される反応容器2011の開口部の直上(サンプル吐出位置)、洗浄部310の開口部の直上(洗浄位置)、およびサンプルディスク203に保持されるサンプル容器の開口部の直上(サンプル吸引位置)においてそれぞれ上下方向に移動する。
また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、サンプル吸引位置の直下に位置するサンプル容器からサンプルを吸引する。また、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引したサンプルを、サンプル吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。さらに、サンプル分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、洗浄位置の直下に位置する洗浄部310において洗浄される。サンプル分注プローブ207は、サンプルの吸引および吐出の一連の分注動作、およびサンプルの吐出後に行われる洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に実施する。
第1試薬分注アーム208は、例えば、反応ディスク201と第1試薬庫204との間に設けられている。第1試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、且つ水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム208は、一端に第1試薬分注プローブ209を保持する。詳しくは図5に示すように、第1試薬分注アーム208は、先端部に振動部220Aが設けられている。
振動部220Aは、後述する洗浄部310で第1試薬分注プローブ209を洗浄する際、当該第1試薬分注プローブ209を共振振動させる。振動部220Aとしては、例えば、偏心した重りを設けた回転軸を回転させるモータを備え、当該モータの駆動による回転軸の偏心回転により第1試薬分注プローブ209を共振振動させてもよい。また、振動部220Aとしては、圧電素子を備え、当該圧電素子の駆動により第1試薬分注プローブ209を共振振動させてもよい。また、振動部220Aは、制御回路9により制御され、予め検査種別毎に設定された共振振動の実行可否に応じて駆動されてもよい。この場合、制御回路9は、入力された検査種別と設定内容とに基づいて、共振振動の実行を制御する。また、振動部220Aによる共振振動としては、共振振動の周波数を一定とした振動でもよく、共振振動の周波数をスイープした振動でもよい。当該スイープする周波数の範囲としては、例えば、第1試薬分注プローブ209の先端部を共振させるように1次モードの周波数を含むようにしてもよく、2次モード又は3次モードの周波数を含んでもよい。図6(a)に1次モードの振動を示し、図6(b)に2次モードの振動を示し、図6(c)に3次モードの振動を示す。但し、図6は振動を説明するために大幅に誇張して示した模式図であり、実際の振幅の例としては第1試薬分注プローブ209の外径の0.5~2倍程度であるため、人間の見た目では図6(a)~(c)の振動モードの識別は困難である。なお、外径の0.5倍は固定端や節の振幅であり、外径の2倍程度の振幅は自由端や腹の振幅である。振幅の数値は一例であり、これに限定されない。共振振動の周波数のスイープは、定在波をプローブの同一箇所に集中させない観点から、実行されることが好ましい。
第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1試薬吸引位置、洗浄位置、および第1試薬吐出位置がある。第1試薬吸引位置は、例えば、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、第1試薬ラックに円環状に配列される試薬容器の開口部の移動軌道との交点に相当する。洗浄位置は、例えば、プローブ洗浄ユニット216Aに設けられた洗浄部310の開口部に相当する。また、第1試薬吐出位置は、例えば、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に円環状に配列される反応容器2011の移動軌道との交点に相当する。
第1試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、第1試薬ラックに保持される試薬容器の開口部の直上(第1試薬吸引位置)、または反応ディスク201に保持される反応容器2011の開口部の直上(第1試薬吐出位置)において上下方向に移動する。
また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、第1試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第1試薬を吸引する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。さらに、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、洗浄位置の直下に位置する洗浄部310において洗浄される。第1試薬分注プローブ209は、吸引および吐出の一連の分注動作、及び吐出後の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。尚、これら一連の分注動作は、第1試薬分注プローブ209が第2試薬を分注する場合も同様である。
第2試薬分注アーム210は、例えば、反応ディスク201と第2試薬庫205との間に設けられている。第2試薬分注アーム210は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、且つ水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム210は、一端に第2試薬分注プローブ211を保持する。詳しくは図5に示すように、第2試薬分注アーム210は、先端部に振動部220Bが設けられている。この振動部220Bは、前述した振動部220Aと同様のものであり、ここでは重複した説明を省略する。すなわち、振動部220Bの説明は、図5及び図6を用いた説明中、振動部220A及び第1試薬分注プローブ209に代えて、振動部220B及び第2試薬分注プローブ211を用いることにより、図5及び図6を用いた説明から読み替え可能である。
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注アーム210の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第2試薬吸引位置、洗浄位置、および第2試薬吐出位置がある。第2試薬吸引位置は、例えば第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、第2試薬ラックに円環状に配列される試薬容器の開口部の移動軌道との交点に相当する。洗浄位置は、例えば、プローブ洗浄ユニット216Bに設けられた洗浄部310の開口部に相当する。また、第2試薬吐出位置は、例えば、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に円環状に配列される反応容器2011の移動軌道の交点に相当する。
第2試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、第2試薬ラックに保持される試薬容器の開口部の直上(第2試薬吸引位置)、または反応ディスク201に保持される反応容器2011の開口部の直上(第2試薬吐出位置)において上下方向に移動する。
また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、第2試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応容器2011へ吐出する。さらに、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、洗浄位置の直下に位置する洗浄部310において洗浄される。第2試薬分注プローブ211は、吸引および吐出の一連の分注動作、及び吐出後の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
電極ユニット212は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。電極ユニット212は、反応容器2011内に吐出されたサンプルと試薬との混合液の電解質濃度を測定する。電極ユニット212は、イオン選択性電極(Ion Selective Electrode:ISE)および参照電極を有する。電極ユニット212は、制御回路9の制御に従い、測定対象のイオンを含む混合液について、ISEと参照電極との間の電位を測定する。電極ユニット212は、電位を測定したデータを標準データまたは被検データとして解析回路3へと出力する。
測光ユニット213は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。測光ユニット213は、反応容器2011内に吐出されたサンプルと試薬との混合液における所定の成分を光学的に測定する。測光ユニット213は、光源および光検出器を有する。測光ユニット213は、制御回路9の制御に従い、光源から光を照射する。照射された光は、反応容器2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。測光ユニット213は、反応容器2011から出射された光を、光検出器により検出する。
具体的には、例えば、光検出器は、反応容器2011内の標準試料(標準サンプル)と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度などにより表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応容器2011内の被検試料(被検サンプル)と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度などにより表される被検データを生成する。測光ユニット213は、生成した標準データおよび被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット214は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。洗浄ユニット214は、電極ユニット212または測光ユニット213において混合液の測定が終了した反応容器2011の内部を洗浄する。この洗浄ユニット214は、反応容器2011を洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給ポンプ(図示せず)を備えている。また、洗浄ユニット214は、洗浄液供給ポンプから供給された洗浄液の反応容器2011内への吐出や、反応容器2011内の混合液、及び洗浄液の各液体の吸引を行う洗浄ノズルを備えている。
攪拌ユニット215は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。攪拌ユニット215は、攪拌子を有し、この攪拌子により、反応ディスク201上の攪拌位置に位置する反応容器2011内に収容されているサンプルと第1試薬との混合液を攪拌する。または、攪拌ユニット215は、反応容器2011内に収容されているサンプル、第1試薬、および第2試薬の混合液を攪拌する。
プローブ洗浄ユニット216は、反応ディスク201とサンプルディスク203との間に設けられている。プローブ洗浄ユニット216は、サンプルを吐出した後のサンプル分注プローブ207を洗浄する。
プローブ洗浄ユニット216Aは、反応ディスク201と第1試薬庫204との間に設けられている。プローブ洗浄ユニット216Aは、第1試薬を吐出した後の第1試薬分注プローブ209を洗浄する。
プローブ洗浄ユニット216Bは、反応ディスク201と第2試薬庫205との間に設けられている。プローブ洗浄ユニット216Bは、第2試薬を吐出した後の第2試薬分注プローブ211を洗浄する。
続いて、プローブ洗浄ユニット216、216A、216Bの具体的な構成について、図7を用いて説明する。
図7は、図2のプローブ洗浄ユニット216、216A、216Bの機能構成を示すブロック図である。図7に示されるプローブ洗浄ユニット216、216A、216Bは、洗浄部310および純水供給部340を備える。なお、プローブ洗浄ユニット216、216A、216Bは、互いに略同一構成であるので、ここでは、プローブ洗浄ユニット216を例に挙げて述べる。
洗浄部310は、サンプルを吐出した直後のサンプル分注プローブ207を洗浄する。洗浄部310は、例えば、純水を用いたシャワーによりサンプル分注プローブ207の表面に付着した汚れを洗浄してもよく、水が貯留された洗浄プールに浸水したサンプル分注プローブ207の表面に付着した汚れを洗浄してもよく、その両方としてもよい。なお、シャワーによる洗浄は、洗浄プールへの浸水前のサンプル分注プローブ207に施してもよく、洗浄プールでの洗浄後のサンプル分注プローブ207に施してもよく、その両方としてもよい。洗浄部310で用いられる純水は、例えば、純水供給部340からチューブを介して供給される。
純水供給部340は、洗浄部310に純水を供給する。純水供給部340は、例えば、ポンプおよび電磁バルブを用いて純水の供給を制御する。純水供給部340は、制御回路9の制御に従い、洗浄部310で用いられる純水の供給を制御する。尚、純水供給部340は、ボトルに注入された純水を用いてもよいし、水から不純物を除去することによって純水を生成してもよい。
次に、洗浄部310の具体的な構成について、図8を用いて説明する。なお、プローブ洗浄ユニット216、216A、216Bに設けられた洗浄部310は、互いに略同一構成であるので、ここでは、プローブ洗浄ユニット216に設けられた洗浄部310を例に挙げて述べる。
図8は、図7の洗浄部310の構成を例示する断面図である。図8に示される洗浄部310は、上部に開口部を有し、内部に空間(以降では、空間の上方をシャワー洗浄空間311aと称し、空間の下方を洗浄プール311bと称する)を有し、下部に排出口としての廃液バルブ314を有する。
洗浄部310には、シャワー洗浄空間311aを挟んで、噴射口312aおよび噴射口312bが対向して形成されている。噴射口312aおよび噴射口312bは、シャワー部としてのシャワー用ノズル313aおよびシャワー用ノズル313bのそれぞれの内部貫通孔の一方の開口である。廃液バルブ314には、廃液パイプ315が接続されている。また、洗浄部310には、洗浄プール311bが形成される側面において、流入口316が形成されている。
シャワー用ノズル313a、シャワー用ノズル313b及び流入口316には、図示していないチューブが個別に接続され、純水供給部340から個別に純水が供給される。
次に、以上のように構成された第1の実施形態に係る自動分析装置1におけるプローブの洗浄動作について制御回路9の処理手順に従って説明する。なお、以下の説明は、サンプル分注プローブ207、第1試薬分注プローブ209及び第2試薬分注プローブ211のうち、サンプル分注プローブ207の洗浄動作を代表例に挙げて述べる。すなわち、第1試薬分注プローブ209及び第2試薬分注プローブ211の洗浄動作については、重複した記載を省略するが、サンプル分注プローブ207の洗浄動作と同様に実施される。但し、第1試薬分注プローブ209及び第2試薬分注プローブ211の洗浄動作は、必須ではなく、省略してもよい。すなわち、洗浄精度が所定の精度を満たす場合、第1試薬分注プローブ209及び第2試薬分注プローブ211の洗浄処理を省略してもよい。これらのことは、以下の各実施形態でも同様である。
図9は、第1の実施形態におけるサンプル分注プローブの洗浄動作の一例を説明するためのフローチャートである。
なお、以降では、サンプル分注プローブ207などの動作において、駆動機構4が各部を駆動させる際の「駆動機構4により」という文言、或いは「駆動機構4によって駆動され」などの文言の記載を省略する。また、特に記載しない限り、いずれの動作も、制御回路9が各部を制御するものとする。また、制御回路9は、洗浄動作に先立って、流入口316をON状態にして流入口316から純水を洗浄部310に流入させ、プローブの先端部を浸すための水を溜める洗浄プール311bを形成するものとする。
(ステップST10)
制御回路9は、サンプル分注プローブ207を用いて反応容器2011にサンプルを吐出させる。具体的には、サンプル分注プローブ207は、サンプル吐出位置の直下にある反応容器2011にサンプルを吐出する。サンプルを吐出した後、サンプル分注プローブ207は、回動軌道に沿って、洗浄位置まで回動する。これにより、サンプル分注プローブ207は、洗浄プール311bを有するプローブ洗浄ユニット216の上方に配置される。
(ステップST20)
制御回路9は、洗浄位置に配置されたサンプル分注プローブ207の下降を開始させる。この下降を契機として、制御回路9は、洗浄部310のシャワーをON状態にしてもよい。シャワーがON状態となる場合、シャワー用ノズル313aおよびシャワー用ノズル313bは、純水を噴射する。但し、この例では、シャワーをオン状態としない。
(ステップST30)
制御回路9は、サンプル分注プローブ207を下降させ続ける。なお、ステップST20でシャワーをON状態にした場合には、サンプル分注プローブ207が噴射口312aおよび噴射口312bの位置に到達すると、純水がサンプル分注プローブ207の表面に付着した汚れを洗浄する。洗浄後の廃液は、洗浄プール311bに貯留される。但し、この例では、シャワーをオン状態としない。
制御回路9は、サンプル分注プローブ207の先端部が洗浄プール311bに浸水すると、下降を停止させる。制御回路9は、例えば、サンプル分注プローブ207の先端が所定の位置(例えば、洗浄プール311bの中央付近)に到達したことを契機として、サンプル分注プローブ207の下降を停止させる。なお、浸水する「先端部」は先端を含む一定領域である。所定の位置に到達する「先端」は、「先端部」の中の自由端である。
(ステップST40)
制御回路9は、洗浄部310でサンプル分注プローブ207を洗浄する際、振動部220でサンプル分注プローブ207を共振振動させる。具体的には、制御回路9は、振動部220を制御し、振動部220からサンプル分注プローブ207を加振して洗浄プール311b内で洗浄する。洗浄プール311b内での共振振動により、サンプル分注プローブ207の先端部から汚れが除去される。このとき、制御回路9は、振動部220に対して共振振動の周波数を一定とした振動を行わせてもよく、共振振動の周波数をスイープした振動を行わせてもよい。いずれにしても、洗浄プール311b内での共振振動によれば、仮に粘着質の汚れであっても、サンプル分注プローブ207から除去することができる。また、この共振振動は、所定時間だけ実行される。
(ステップST50)
制御回路9は、サンプル分注プローブ207を上昇させる。制御回路9は、例えば、所定の時間、共振振動させたことを契機として、サンプル分注プローブ207の上昇を開始させる。このとき、制御回路9は、廃液バルブ314を開状態にして、洗浄後の廃液を廃液パイプ315により図示していない廃液ボトルへ貯留させる。また、制御回路9は、洗浄部310のシャワーをON状態にする。これにより、シャワー用ノズル313aおよびシャワー用ノズル313bが純水を噴射し、純水がサンプル分注プローブ207の表面に残った汚れを洗浄する。但し、シャワーをON状態にすることは、必須ではなく、省略してもよい。いずれにしても、制御回路9は、所定位置までサンプル分注プローブ207を上昇させ続ける。
(ステップST60)
制御回路9は、サンプル分注プローブ207の上昇を停止させ、洗浄部310のシャワーをOFF状態にする。制御回路9は、例えば、サンプル分注プローブ207の上昇が停止したことを契機として、シャワーをOFF状態とする。
以上により、サンプル分注プローブ207の洗浄動作が終了する。
上述したように第1の実施形態によれば、試薬またはサンプルを分注するプローブと、プローブを洗浄する洗浄部と、プローブを共振振動させる振動部とを備えている。また、洗浄部で当該プローブを洗浄する際、振動部で当該プローブを共振振動させる。従って、プローブを共振振動させることで生じる高い洗浄力によりプローブの汚れを除去するので、検体間キャリーオーバーの抑制や微量分注時の精度を確保することができる。
また、第1の実施形態によれば、試薬またはサンプルを分注するプローブと、プローブを洗浄する洗浄部と、プローブを共振振動させる振動部と、振動部による共振振動の周波数をスイープするように制御する制御部とを備えている。また、洗浄部で当該プローブを洗浄する際、制御部に制御された振動部で当該プローブを共振振動させる。従って、共振振動の周波数をスイープしながら当該プローブを共振振動させることで生じる高い洗浄力によりプローブの汚れを除去するので、検体間キャリーオーバーの抑制や微量分注時の精度を確保することができる。
また、第1の実施形態によれば、当該スイープする周波数の範囲は、プローブの先端部を共振振動させるように1次モードの周波数を含んでもよい。この場合、前述した作用効果に加え、プローブの先端が大きく振動するので、より高い洗浄力で汚れを除去することが期待できる。
また、第1の実施形態によれば、プローブを移動可能に保持する分注アームを更に備え、振動部は、分注アームの先端部に設けられていてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、後述する固定部を有する第2の実施形態よりも、振動部を容易に設けることができる。
また、第1の実施形態によれば、予め検査種別毎に、振動部による共振振動の実行可否を設定し、入力された検査種別と、当該設定内容とに基づいて、共振振動の実行を制御してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、洗浄精度が所定の精度を満たす検査種別によっては共振振動の実行を省略できるので、全ての検査で共振振動を実施する場合に比べ、共振振動によるプローブや分注アームへのダメージを低減させることができる。
また、第1の実施形態によれば、洗浄部は、プローブの先端部を浸すための水を溜める洗浄プールを有してもよい。この場合、前述した作用効果に加え、洗浄プールに先端部を浸した状態でプローブが共振振動されるので、例えば、粘着質の汚れであっても、プローブから除去することができる。
また、第1の実施形態によれば、洗浄部は、プローブに水を噴射するシャワー部を備えてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、プローブの先端部を洗浄プールに浸す前、及び/又は、浸した後にプローブに水が噴射されるので、汚れの再付着を防ぎつつ、プローブを洗浄することができる。また、第1の実施形態において、洗浄プール内での共振振動に加え、プローブの先端部を洗浄プールに浸す前、及び/又は、浸した後にプローブに水を噴射した状態でプローブを共振振動させてもよい。この場合、前述した効果に加え、より一層、高い洗浄力で汚れを除去することを期待できる。また、第1の実施形態は、洗浄プールを省略した洗浄部に変形し、シャワー部からプローブに水を噴射した状態でプローブを共振振動させてもよい。この場合、前述した効果に加え、洗浄部から洗浄プールを省略することができる。また、プローブに水を噴射した状態でプローブを共振振動させる場合には、洗浄部の外部への水の飛散を防止するカバーを洗浄部の開口部に設けてもよい。この場合、プローブの共振振動による水の飛散を防止することができる。
また、第1の実施形態によれば、振動部は、偏心した重りを設けた回転軸を回転させるモータを備え、モータの駆動による回転軸の偏心回転によりプローブを共振振動させてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、比較的、安価な構成で振動部を実現することができる。
また、第1の実施形態によれば、振動部は、圧電素子を備え、圧電素子の駆動によりプローブを共振振動させてもよい。この場合、前述した作用効果に加え、比較的、高い精度で周波数に応じた共振振動を行う振動部を実現することができる。
いずれにしても、第1の実施形態によれば、高い洗浄力により検体間キャリーオーバーの抑制や微量分注時の精度を確保することができる。例えば、従来の自動分析装置では、0.1ppmまでのプローブ洗浄が限界である。これに対し、第1の実施形態に係る自動分析装置では、0.01ppmまでのプローブ洗浄を期待することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、分注アームに設けた振動部によりプローブを共振振動させる例について説明した。他方、第2の実施形態では、分注アームとは別体の固定ユニット(固定部)に設けた振動部によりプローブを共振振動させる例について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る自動分析装置における分析機構の構成を例示する図であり、図2と略同一部分には同一符号を付してその詳しい説明を省略し、主に、異なる部分について述べる。
図10中、プローブ洗浄ユニット216、216A、216Bの上方に固定ユニット230、230A、230Bが設けられている。
固定ユニット230は、図11に示すように、サンプル分注プローブ207の先端部が洗浄部310に挿入されると、サンプル分注プローブ207の中間部を着脱自在に固定する。固定ユニット230は、例えば洗濯ばさみのように、サンプル分注プローブ207の中間部を挟むことにより固定してもよい。また、固定ユニット230は、例えば、プローブ洗浄ユニット216の上方に常に配置されてもよく、あるいは、図示しない旋回アームに保持され、洗浄動作のときのみプローブ洗浄ユニット216の上方に配置されてもよい。
これに伴い、振動部220は、固定ユニット230の下方に設けられ、中間部が固定されたサンプル分注プローブ207の先端部側を共振振動させる。ここで、サンプル分注プローブ207のうち、当該サンプル分注プローブ207の先端と振動部220の間は、共振振動する範囲Rvとなる。また、サンプル分注プローブ207のうち、固定ユニット230に固定された中間部とサンプル分注アーム206との間は、共振振動しないか又は共振振動が抑制された範囲Rnvとなる。
固定ユニット230A、230Bについても同様である。なお、固定ユニット230A、230Bは、互いに同一構成のため、ここでは、固定ユニット230Aを代表例に挙げて説明する。以下の説明は、固定ユニット230A、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209及びプローブ洗浄ユニット216Aに代えて、固定ユニット230B、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211及びプローブ洗浄ユニット216Bを用い、固定ユニット230Bの説明に読み替え可能である。
固定ユニット230Aは、図12に示すように、第1試薬分注プローブ209の先端部が洗浄部310に挿入されると、第1試薬分注プローブ209の中間部を着脱自在に固定する。固定ユニット230Aは、例えば洗濯ばさみのように、第1試薬分注プローブ209の中間部を挟むことにより固定してもよい。また、固定ユニット230Aは、例えば、プローブ洗浄ユニット216Aの上方に常に配置されてもよく、あるいは、図示しない旋回アームに保持され、洗浄動作のときのみプローブ洗浄ユニット216Aの上方に配置されてもよい。
これに伴い、振動部220は、固定ユニット230Aの下方に設けられ、中間部が固定された第1試薬分注プローブ209の先端部側を共振振動させる。ここで、第1試薬分注プローブ209のうち、当該第1試薬分注プローブ209の先端と振動部220の間は、共振振動する範囲Rvとなる。また、第1試薬分注プローブ209のうち、固定ユニット230Aに固定された中間部と第1試薬分注アーム208との間は、共振振動しないか又は共振振動が抑制された範囲Rnvとなる。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成された第2の実施形態に係る自動分析装置1におけるプローブの洗浄動作について制御回路9の処理手順に従って説明する。なお、以下の説明は、前述同様に、サンプル分注プローブ207の洗浄動作を代表例に挙げて述べる。
図13は、第2の実施形態におけるサンプル分注プローブの洗浄動作の一例を説明するためのフローチャートである。図13中、破線で囲ったステップST41a~ST41cの処理が、主に、第1の実施形態と異なる部分である。
いま、ステップST10~ST30が前述同様に実行され、サンプル分注プローブ207の先端部が洗浄プール311bに浸水した状態で、サンプル分注プローブ207の下降が停止したとする。
(ステップST41a)
制御回路9は、例えば、サンプル分注プローブ207の先端が所定の位置(例えば、洗浄プール311bの中央付近)に到達したことを契機として、固定ユニット230にサンプル分注プローブ207の中間部をクリップさせる。これにより、サンプル分注プローブ207の中間部は固定される。
(ステップST42a)
制御回路9は、洗浄部310でサンプル分注プローブ207を洗浄する際、振動部220でサンプル分注プローブ207の先端部側を共振振動させる。具体的には、制御回路9は、固定ユニット230の下方に設けた振動部220を制御し、振動部220からサンプル分注プローブ207の下方側を加振して洗浄プール311b内で洗浄する。洗浄プール311b内での共振振動により、サンプル分注プローブ207の先端部から汚れが除去される。このとき、制御回路9は、振動部220に対して共振振動の周波数を一定とした振動を行わせてもよく、共振振動の周波数をスイープした振動を行わせてもよい。いずれにしても、洗浄プール311b内での共振振動によれば、仮に粘着質の汚れであっても、サンプル分注プローブ207から除去することができる。また、この共振振動は、所定時間だけ実行される。
(ステップST43a)
制御回路9は、例えば、所定の時間、共振振動させたことを契機として、振動部220による共振振動を停止させた後、サンプル分注プローブ207のクリップを解除する。これにより、サンプル分注プローブ207は、固定ユニット230から開放される。
(ステップST50)
制御回路9は、サンプル分注プローブ207を上昇させる。制御回路9は、例えば、固定ユニット230からサンプル分注プローブ207を開放させたことを契機として、サンプル分注プローブ207の上昇を開始させる。このとき、制御回路9は、廃液バルブ314を開状態にして、洗浄後の廃液を廃液パイプ315により図示していない廃液ボトルへ貯留させる。また、制御回路9は、洗浄部310のシャワーをON状態にする。これにより、シャワー用ノズル313aおよびシャワー用ノズル313bが純水を噴射し、純水がサンプル分注プローブ207の表面に残った汚れを洗浄する。但し、シャワーをON状態にすることは、必須ではなく、省略してもよい。いずれにしても、制御回路9は、所定位置までサンプル分注プローブ207を上昇させ続ける。
(ステップST60)
以下、前述同様にステップST60が実行され、サンプル分注プローブ207の洗浄動作が終了する。
上述したように第2の実施形態によれば、プローブの先端部が洗浄部に挿入されると、プローブの中間部を着脱自在に固定する固定部を備えている。振動部は、固定部の下方に設けられ、中間部が固定された当該プローブの先端部側を共振振動させる。従って、プローブの一部(先端部側)を共振振動させることで生じる高い洗浄力によりプローブの汚れを除去するので、検体間キャリーオーバーの抑制や微量分注時の精度を確保することができる。
また、第2の実施形態によれば、第1の実施形態の作用効果に加え、分注アームに対して共振振動が伝搬しないように固定ユニットにより共振振動を抑制できるので、共振振動による分注アームのダメージを抑制することができる。
第1及び第2の実施形態では、制御回路9は、シャワー及び洗浄プールの両方を用いた洗浄処理を実施するがこれに限らない。例えば、洗浄精度が所定の精度を満たす場合、制御回路9は、シャワー又は洗浄プールを省略した洗浄処理を実施してもよい。
同様に、第1及び第2の実施形態では、制御回路9は、プローブの共振振動を用いた洗浄処理を実施するがこれに限らない。例えば、様々な検査種別のうち、洗浄精度が所定の精度を満たす検査種別によっては、制御回路9は、共振振動を実行せず、シャワーを用いた洗浄処理を実施してもよい。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、高い洗浄力により検体間キャリーオーバーの抑制や微量分注時の精度を確保することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 自動分析装置
201 反応ディスク
2011 反応容器
202 恒温部
203 サンプルディスク
204 第1試薬庫
205 第2試薬庫
206 サンプル分注アーム
207 サンプル分注プローブ
208 第1試薬分注アーム
209 第1試薬分注プローブ
210 第2試薬分注アーム
211 第2試薬分注プローブ
212 電極ユニット
213 測光ユニット
214 洗浄ユニット
215 攪拌ユニット
216,216A,216B プローブ洗浄ユニット
2161 筐体
220 振動部
230,230A,230B 固定ユニット
310 洗浄部
311a シャワー洗浄空間
311b 洗浄プール
312a,312b 噴射口
313a,313b シャワー用ノズル
314 廃液バルブ
315 廃液パイプ
316 流入口
340 純水供給部
Rnv 無振動範囲
Rv 振動範囲

Claims (10)

  1. 試薬またはサンプルを分注するプローブと、
    前記プローブを洗浄する洗浄部と、
    前記プローブを共振振動させる振動部と
    を備え、
    前記洗浄部で前記プローブを洗浄する際、前記振動部で前記プローブを共振振動させる、自動分析装置。
  2. 試薬またはサンプルを分注するプローブと、
    前記プローブを洗浄する洗浄部と、
    前記プローブを共振振動させる振動部と、
    前記振動部による共振振動の周波数をスイープするように制御する制御部と
    を備え、
    前記洗浄部で前記プローブを洗浄する際、前記制御部に制御された前記振動部で前記プローブを共振振動させる、自動分析装置。
  3. 前記スイープする周波数の範囲は、前記プローブの先端部を共振振動させるように1次モードの周波数を含む、請求項2に記載の自動分析装置。
  4. 前記プローブを移動可能に保持する分注アーム
    を更に備え、
    前記振動部は、前記分注アームの先端部に設けられた、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  5. 前記プローブの先端部が前記洗浄部に挿入されると、前記プローブの中間部を着脱自在に固定する固定部と
    を更に備え、
    前記振動部は、前記固定部の下方に設けられ、前記中間部が固定された前記プローブの先端部側を共振振動させる、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  6. 予め検査種別毎に、前記振動部による共振振動の実行可否を設定する設定部と、
    入力された検査種別と前記設定部の設定内容とに基づいて、前記共振振動の実行を制御する実行制御部と
    を更に備えた請求項1乃至5のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  7. 前記洗浄部は、前記プローブの先端部を浸すための水を溜める洗浄プールを有する、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  8. 前記洗浄部は、前記プローブに水を噴射するシャワー部を備えた、
    請求項1乃至7のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  9. 前記振動部は、偏心した重りを設けた回転軸を回転させるモータを備え、前記モータの駆動による前記回転軸の偏心回転により前記プローブを共振振動させる、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  10. 前記振動部は、圧電素子を備え、前記圧電素子の駆動により前記プローブを共振振動させる、
    請求項1乃至8のいずれか一項に記載の自動分析装置。
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