JP2023014487A - フレキソ印刷用水性ヒートシール剤、ヒートシール積層体および包装材 - Google Patents

フレキソ印刷用水性ヒートシール剤、ヒートシール積層体および包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、フレキソ印刷適性が良好であり、ヒートシール強度および耐ブロッキング性に優れるフレキソ印刷用水性ヒートシール剤、並びに、当該ヒートシール剤を用いたヒートシール積層体を提供することを目的とする。【解決手段】オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂、並びに、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩から選ばれる少なくとも一種を含有するフレキソ印刷用水性ヒートシール剤。【選択図】なし

Description

本発明は、フレキソ印刷用水性ヒートシール剤およびそれを用いた印刷物に関する。
包装分野では、紙基材や各種プラスチックフィルム基材に対し、ヒートシール性剤をコーティングしてヒートシール層を設けた包装材料が広く利用されている(特許文献1)。ヒートシール層を形成する方法としては、ヒートシール性樹脂組成物を基材へ印刷により塗工し、水または溶剤などの媒体を乾燥させる方法が一般的に知られている。このようなヒートシール剤の中でも、環境対応の面から水性ヒートシール剤が望まれており、技術開発がなされている(特許文献2)。
例えば特許文献3には、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂をアイオノマーとして含む水性ヒートシール剤についての発明が記載されている。ただし一般に当該水性ヒートシール剤の塗工はグラビア印刷により実施される場合が多い。一方で、フレキソ印刷に適したヒートシール剤の開発は技術的に困難であった。
これは、グラビア印刷においては凹版印刷であるためヒートシール剤を基材へ転移させることが容易である一方、フレキソ印刷は凸版印刷による転移であり、アニロックスロールからフレキソ版へ、フレキソ版から基材へと複数回転移する過程が必要であるため、ヒートシール剤に求められるレオロジー特性がグラビア印刷とフレキソ印刷で異なり、フレキソ印刷適性を満たすことが難しいためと考えられる。
また、水性ヒートシール剤をフレキソ印刷対応とするために、樹脂種・配合比率等を変更すると、物性面においては、ヒートシール強度等を満たさない場合があり、上記フレキソ印刷適性およびヒートシール適性の両方を満たす水性ヒートシール剤を得ることは困難であった。
特開2018-165302号公報 特開2006-282968号公報 特開2021-31060号公報
本発明は、フレキソ印刷適性が良好であり、ヒートシール強度および耐ブロッキング性に優れるフレキソ印刷用水性ヒートシール剤、並びに、当該ヒートシール剤を用いたヒートシール積層体を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、下記のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤を使用することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂、並びに、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩から選ばれる少なくとも一種を含有するフレキソ印刷用水性ヒートシール剤に関する。
また、本発明は、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂が、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂を含有する、上記フレキソ印刷用水性ヒートシール剤に関する。
また、本発明は、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂の、流動中点温度が100~150℃である、上記フレキソ印刷用水性ヒートシール剤に関する。
また、本発明は、ポリエーテル系樹脂が、ウレタン変性ポリエーテル樹脂である、上記フレキソ印刷用水性ヒートシール剤に関する。
また、本発明は、紙基材上に、上記フレキソ印刷用水性ヒートシール剤からなるヒートシール層を備えたヒートシール積層体に関する。
また、本発明は、更に、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含むアンカーコート層を有する、上記ヒートシール積層体に関する。
また、本発明は、上記ヒートシール積層体からなる包装材に関する。
また、本発明は、紙基材に、アンカーコート層とヒートシール層とをこの順に備えたヒートシール積層体の製造方法であって、
前記紙基材上に、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含むアンカーコート剤をフレキソ印刷してアンカーコート層を形成する工程、その後、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含む水性ヒートシール剤をフレキソ印刷してヒートシール層を形成する工程を含む、ヒートシール積層体の製造方法に関する。
また、本発明は、紙基材に、アンカーコート層とヒートシール層とをこの順に備えたヒートシール積層体の製造方法であって、
前記紙基材上に、アンカーコート剤をフレキソ印刷してアンカーコート層を形成する工程、その後、上記フレキソ印刷用水性ヒートシール剤をフレキソ印刷してヒートシール層を形成する工程を含む、ヒートシール積層体の製造方法に関する。
本発明により、フレキソ印刷適性が良好であり、ヒートシール強度および耐ブロッキング性に優れるフレキソ印刷用水性ヒートシール剤、並びに、当該ヒートシール剤を用いたヒートシール積層体を提供することが可能となった。
以下に本発明の構成要件を詳細に説明するが、以下は本発明の一実施形態であり、本発明はこれらに限定されない。
以下の説明において、「フレキソ印刷用水性ヒートシール剤」を「水性ヒートシール剤」あるいは「ヒートシール剤」と表記する場合があるが同義である。また、以下の記載において、「(メタ)アクリル樹脂」とは、「メタクリル樹脂」の場合と「アクリル樹脂」の場合とを、いずれか一方もしくは両方含むものである。「(メタ)アクリルモノマー」とは、「メタクリルモノマー」の場合と「アクリルモノマー」の場合とを、いずれか一方もしくは両方含むものである。例えば、「(メタ)アクリル酸ブチルエステル」は、「メタクリル酸ブチルエステル」と「アクリル酸ブチルエステル」の、いずれか一方もしくは両方含むことを表す。
以下、本発明のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤について詳細に説明する。
本発明は、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含有し、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩から選ばれる少なくとも一種を含有する、フレキソ印刷用水性ヒートシール剤に関する。オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂がヒートシール性を向上させ、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は、フレキソ印刷に適するように当該水性ヒートシール剤の粘弾性を調整するように働く。ただし以下に記載する要件も含めて、これら要件は、まとまりある構成として作用して本願発明の課題を満たす。
(オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂)
本発明において、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂とは、オレフィン系モノマーと(メタ)アクリルモノマーを共重合してなる樹脂をいう。オレフィン系モノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン等のα-オレフィン、およびこれらの変性物などが挙げられる。中でもエチレンを含むことが好ましい。(メタ)アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシ(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂は、適当な温度で加熱すると軟化して可塑性を有し、冷却すると固化する樹脂である形態(熱可塑性)を示し、ヒートシール剤にヒートシール性を付与する。当該オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂としては、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂、等が好適であり、中でもエチレン-メタクリル酸共重合樹脂がより好ましい。
なお、当該オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂は水中においてエマルジョンその他の分散体を形成することが好ましい。オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂の分散体におけるpHは、4.0以上7.5以下であることが好適である。4.5以上7.0以下であることがより好ましい。当該範囲であれば、樹脂エマルジョン同士の分散凝集が抑制され、フレキソ印刷において、印刷中の分散安定性や転移性向上、およびヒートシール剤保管時の保存安定性向上の効果を生むためである。オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂分散体のpHは、樹脂そのものの酸価や、アニオン系、カチオン系の界面活性剤の添加、加水分解等により調整することができ、その調整方法は限定されない。
なお、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂は、フレキソ印刷用水性ヒートシール剤の固形分総質量中に30質量%以上含むことが好ましく、50質量%以上含むことがなお好ましく、70質量%以上含むことがさらに好ましい。また、99.99質量%以下で含むことが好ましく、99質量%以下で含むことがなお好ましい。
(流動中点温度)
上記オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂の流動中点温度とは、フローテスター1/2法により測定された値をいい、ヒートシール加工時の生産性向上、およびヒートシール強度と耐ブロッキング性の観点から、100~150℃であることが好ましい。
上記フローテスター1/2法により測定される流動中点温度の測定方法は、公知の方法が挙げられる。具体的には、高架式のフローテスターに秤量された上記樹脂試料をシリンダー内に入れ、シリンダーに挿入されたプランジャーに荷重をかけながら、一定温度で加温し、温度とプランジャーの降下量とを測定する。横軸に温度、縦軸にプランジャー降下量をプロットして得られる曲線(フローテスター流動曲線)において、シリンダー先端のノズルから流出する時点の温度を流動開始温度とし、この流動開始温度と得られたS字曲線の最高点との高さをhとしたとき1/2hのときの温度がフローテスター1/2法により測定される流動中点温度と定義される。
(エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂)
上記エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂は、公知のものを用いることができる。エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂は、エチレン由来の構成単位および(メタ)アクリル酸由来の構成単位を含む共重合樹脂であり、必要に応じて、(メタ)アクリル酸部分が部分的にエステル化されたものであってもよい。この場合、共重合後に、共重合樹脂のカルボキシル基をエステル化してもよいし、共重合の際に、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを併用してもよい。
また、上記エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂の重量平均分子量は、特に制限はないが、耐ブロッキング適性とヒートシール適性との両立の観点から、10,000~900,000が好ましく、50,000~500,000がなお好ましい。
上記エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂のアクリル酸モノマーとしては、アクリル酸(メタクリル酸含む)のようにカルボキシル基を含有するモノマーの他、スルホン酸基、水酸基、エポキシ基、メチロール基、アミノ基、アミド基等の官能基を含有する各種アクリル酸モノマーも用いることができる。また、後述のスチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂に使用される(メタ)アクリルモノマー等も適宜併用することができる。
上記エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂は、公知の方法で製造することができる。例えば、水にアクリル酸、乳化剤及び重合触媒を添加し、次いでこの系にエチレンガスを所定量加えて加温し、乳化重合を行うことによりエマルジョン状態として得ることができる。このときの温度、圧力等の条件、重合触媒等は通常使用される条件や重合触媒を使用することができる。さらに、上記乳化剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤があげられ、これらは単独で用いられても、二種以上が併用されてもよい。
また、上記界面活性剤に加えて、反応性の二重結合を有する反応性界面活性剤や、ポリビニルアルコール、デンプン等の水溶性高分子を併用することもできる。
このような上記エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂は市販品を使用することもできる。例えば、三井化学社製 ケミパールS100、S111、S120、S650、S200、S300、S420、S500、ジャパンコーティングレジン社製 アクアテックスAC3100、AC-M1970、住友精化社製 ザイクセンAC、A、AC-HW-10、L、NC、N等を使用することができる。
この上記エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂は、ヒートシール適性、フレキソ印刷適性、耐ブロッキング性、などの点から固形分が20~80質量%の分散体として使用することが好ましい。
(ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩)
本発明において、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は、粘弾性調整剤として機能する形態を含む。粘弾性調整剤とは動的粘弾性において粘性を付与するものでありフレキソ印刷においてアニロックス-版、版-原反(印刷される基材)への転移性を向上させることが可能となる。当該ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は水中においてエマルジョンその他の分散体を形成することが好ましい。
当該ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩分散体においてのpHは、4.0以上7.5以下であることが好適である。4.5以上7.0以下であることが好ましい。フレキソ印刷において、オレフィン系共重合樹脂分散体の粘性および分散安定性を向上させ、転移性向上効果を生むためである。ポリエーテル系樹脂および/またはアクリル系樹脂分散体のpHは、例えばアニオン系、カチオン系の界面活性剤の添加、加水分解等により調整することができ、その調整方法は限定されない。なおポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は、フレキソ印刷用水性ヒートシール剤の固形分総質量中に0.01~40質量%含むことが好ましく、0.03~20質量%含むことがなお好ましく、0.05~10.0質量%含むことが更に好ましい。
(ポリエーテル系樹脂)
上記ポリエーテル系樹脂は、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドその他のポリエーテル構造を有していればよいが、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂に該当する場合は含まない。当該ポリエーテル系樹脂は、例えば、ウレタン変性ポリエーテル系樹脂や、ポリエチレングリコール樹脂、ポリプロピレングリコール樹脂、ポリテトラメチレングリコールおよびこれらの共重合樹脂に例示されるポリエーテルポリオール樹脂などが挙げられ、ウレタン変性ポリエーテル系樹脂としては、サンノプコ社製のSN-シックナー603、SN-シックナー607、SN-シックナー612、SN-シックナー612N、SN-シックナー619、SN-シックナー621N、SN-シックナー621TF、SN-シックナー623N、SN-シックナー624N、SN-シックナー625N、SN-シックナー629N、ノパール700N、SN-シックナー660T、SN-シックナー665T、SN-シックナーA-812、SN-シックナーA-814、エレメンティス・ジャパン社製のレオレート244、レオレート278、レオレート300、レオレート212などが挙げられる。また、ポリエーテルポリオール樹脂としてはサンノプコ社製のSNシックナー601、ノパール710N、SNシックナーA-801、SNシックナーA-816などが挙げられる。
上記においては、ヒートシール適性、フレキソ印刷適性、ブロッキング適性の観点から、ポリエーテル系樹脂がウレタン変性ポリエーテル系樹脂を含むことが好ましい。また、ポリエーテル系樹脂の重量平均分子量は、1000~100,000であることが好ましく、5000~50,000であることがなお好ましい。
上記ポリエーテル系樹脂は、オレフィン系共重合樹脂とともに、フレキソ印刷用水性ヒートシール剤のレオロジー調整が可能である。詳しくは後述する。
(ウレタン変性ポリエーテル系樹脂)
ウレタン変性ポリエーテル系樹脂は、上記ポリエーテルポリオール樹脂などをイソシアネート化合物で変性して得られる。当該イソシアネート化合物は、モノイソシアネート、ジイソシアネートなどが好適に使用され、モノイソシアネート、ジイソシアネートはウレタン樹脂の合成に使用される公知のイソシアネート化合物を使用することができる。モノイソシアネートとしては、例えば、2-イソシアナトプロパン、2-イソシアナト-2-メチルプロパン、イソシアナトシクロヘキサン、1-イソシアナト-4-イソプロペニル-1-メチル-シクロヘキサン、4-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)-1-メチル-1-シクロヘキセン、1,3-ジメチル-5-イソシアナトアダマンタンまたは1-(1-イソシアナト-1-メチルエチル)-3-イソプロペニルベンゼン(TMI)等が挙げられ、ジイソシアネートとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
(ポリ(メタ)アクリル酸樹脂、およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩)
ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂である場合を除く。
上記ポリ(メタ)アクリル酸樹脂は、(メタ)アクリル酸を含むモノマーの重合体であるポリ(メタ)アクリル酸樹脂や、ウレタン変性されたポリ(メタ)アクリル酸樹脂等が好適挙げられ、塩基性化合物(塩基性金属化合物を除く)で中和されていてもよい。また、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は、上記ポリ(メタ)アクリル酸樹脂のアクリル酸単位を塩基性金属化合物で中和した金属塩の形態であり、ウレタン変性されている場合も好ましい。
ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は、粘弾性調整効果が高くフレキソ印刷適性の向上を促すものである。上記塩基性化合物(塩基性金属化合物を除く)として例えば、アミン化合物を好適に挙げられる。具体的には、上記アミン化合物としては、アンモニア、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン等のアルキルアミン、モノエタノールアミン、エチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を挙げることができる。また、上記塩基性金属化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が好適に挙げられる。また、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩は、エマルジョン状またはアルカリ可溶型のものであっても好適に使用できる。
(アンカーコート層を形成するためのアンカーコート剤)
本発明にて使用するアンカーコート剤は、限定されるものではないが、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含むことが好ましい。当該アンカーコート剤の構成成分が、基材上でアンカーコート層を形成し、ヒートシール剤の基材への浸透を抑制することで、基材表面に均一な膜厚のヒートシール層を形成させることができ、上記ヒートシール剤とともに使用することで、ヒートシール強度および耐ブロッキング性を向上させることができる。
(スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂)
上記スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂は、スチレンモノマーおよび(メタ)アクリルモノマー由来の構成単位を有していれば限定はないが、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩に該当する場合を除く。当該(メタ)アクリルモノマーとしては、以下の(メタ)アクリルモノマーが好適に挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ボルニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどのアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中でも、アルキル基の炭素数が1~6であることが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルが、基材に対して良好な密着性を得やすいという点からより好ましい。
(メタ)アクリルモノマーは、水酸基含有アルキル(メタ)アクリレートを含有してもよく、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
(メタ)アクリルモノマーは、他にカルボキシル基含有アクリルモノマー、アミド結合基含有(メタ)アクリルモノマー、アミノ基含有(メタ)アクリルモノマー、芳香環含有(メタ)アクリルモノマー、エポキシ基含有(メタ)アクリルモノマーなどを含有してもよい。
上記スチレン系モノマーとして、例えば、α-メチルスチレン、スチレンなどが好ましく用いられる。上記酸性モノマーは、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、および2-アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェートなどが挙げられる。
本発明において、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂はスチレン、(メタ)アクリルモノマーの他に、酸性モノマー((メタ)アクリルモノマーを除く)を構成単位として含むことも好ましい。
上記中でも、(メタ)アクリルモノマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート等が好ましく、酸性モノマーとしてはマレイン酸、イタコン酸を含むことが好ましい。
上記スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-30~50℃であることが好ましく、ヒートシール加工時の生産性向上、耐ブロッキング性およびヒートシール強度の観点から-10~10℃が好ましい。ガラス転移温度(Tg)はDSC(示差走査熱量測定測定)により求めた。なお、測定機は株式会社リガク製 DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~250℃、昇温速度10℃/分、DSC曲線におけるガラス転移に基づく吸熱開始温度と終了温度との中点をガラス転移温度とした。
このような上記スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂は市販品を使用することもできる。例えば、BASF社製 ジョンクリルPDX-7351、7182、7362、7616A、7732、7741、7787、7356、7734、7777、7615、7775、7692、7164、7430、7198、星光PMC社製 ハイロスXP-8812、ハイロスXP-8829、ハイロスQE-2101、ハイロスQE-2149、ハイロスQE-2263、ハイロス-RE2095、ハイロスHE-2342、ハイロスNE2009、ハイロスKE-2536、ハイロスKE1095、ハイロスME2243等を使用することができる。
(水性媒体)
本発明において、フレキソ印刷用水性ヒートシール剤は水性媒体を含む。水性媒体は、水を主成分(全媒体中50質量%以上)とし、水以外にも必要に応じて水性有機溶剤を含んでよい。具体的には、印刷条件(スピード、版深、デザイン、乾燥温度)に応じてアルコール系有機溶剤、グリコール系有機溶剤を含むことができる。アルコール系有機溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、ノルマルブタノール、ターシャリブタノール、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、が挙げられる。グリコール系有機溶剤としては、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジピロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジブチルグリコール、等を挙げることができる。
中でもイソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが好ましい。フレキソ印刷用水性ヒートシール剤の貯蔵安定性や増粘、乾燥性の観点から、水以外の水性溶剤はフレキソ印刷用水性ヒートシール剤の総質量中に、30質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
(添加剤)
本発明のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤、およびアンカーコート剤には、必要に応じて各種添加剤を使用することができる。例えば、体質顔料、無機系微粒子及び粘着性樹脂、レベリング剤、消泡剤、ワックス、造膜剤を挙げることができる。具体的には、耐摩擦性を向上させるためにポリエチレンワックス等のワックス樹脂微粒子分散体、乾燥性や塗膜隠蔽性を向上させるために、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、クレー、タルク等の体質顔料、防滑性を付与するために無機系微粒子、レベリング性を向上させるためのレベリング剤、消泡性を付与するための消泡剤、再溶解性を付与するための水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物、造膜助剤等の各種添加剤を挙げることができる。
(フレキソ印刷用水性ヒートシール剤のレオロジー調整)
フレキソ印刷適性での転移性を向上させるためのレオロジー調整について説明する。本発明のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤は、25℃において動的粘弾性測定した場合において、角周波数1~100rad/sにおける損失係数tanδは、1~100であることが好ましい。損失係数tanδはフレキソ印刷における転移性の指標とでき、当該角周波数において当該範囲内であればよい。tanδを1~100とするためには、上記オレフィン系共重合樹脂並びにポリエーテル系樹脂および/またはアクリル系樹脂の合計の固形分質量中の、ポリエーテル系樹脂および/またはアクリル系樹脂の固形分質量比は、0.01~40質量%含むことが好ましく、0.03~20質量%含むことがなお好ましく、0.05~10.0質量%含むことが更に好ましい。
また、上記オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂としてエチレン-メタクリル酸共重合樹脂を選択し、ウレタン変性ポリエーテル系樹脂、ポリアクリル酸樹脂、およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩から選ばれる少なくとも一種を選択することで当該範囲とすることができる。
また、固形分を10~70質量%に調整することが好ましく、30~60質量%に調整することがなお好ましい。更に、25℃の粘度(ザーンカップ粘度 No.4)を6秒~25秒に調整することが好ましく、10秒~20秒に粘度を調整することがなお好ましい。
なお、上記動的粘弾性の各パラメータは、動的粘弾性測定機を用いて測定することができる。当該動的粘弾性測定機は例えば、TAインスツルメント社製 DHR2を挙げることができる。
(フレキソ印刷用水性ヒートシール剤の製造)
本発明のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤は公知の方法で製造することができる。具体的には、例えば、水、オレフィン系共重合樹脂を測り取り、羽根つき攪拌装置を用いて撹拌混合した後に、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩のうち一種または二種以上、必要に応じて添加剤等を添加した後、さらに均一に撹拌混合することで得ることができる。羽根つき攪拌装置は、従来公知のものを用いることができ、例えば、プロペラ翼等を備えたベッセル等のバッチ式混合装置や、インラインミキサー等の連続式混合装置が挙げられる。
(フレキソ印刷)
フレキソ印刷方式としては、2ロール方式、ドクター方式、ドクターチャンバー方式が挙げられる。ドクター方式、ドクターチャンバー方式にも表面にセルが形成されたアニロックスロールに水性ヒートシール剤を供給し、ドクターブレードによりアニロックスロール表面の余分な水性ヒートシール剤を掻き落とす工程を経て、樹脂版を通して、最終的に基材に印刷される。水性ヒートシール剤をフレキソ印刷方式で印刷すると、表面の粗い紙基材に対しても、美粧性に優れた印刷物が得られる。
(フレキソ印刷方法;アニロックスロール)
本発明のフレキソ印刷物の製造方法に使用されるフレキソ印刷に使用されるアニロックスとしては、セル彫刻が施されたセラミックアニロックスロール、クロムメッキアニロックスロール等を使用することができる。セルの形状は、ハニカムパターン、ダイヤパターン、ヘリカルパターン等があり、いずれのパターンを使用することができる。
(フレキソ印刷方法;フレキソ版)
本発明の印刷物の製造方法に使用される版としてはUV光源による紫外線硬化を利用する感光性樹脂版またはダイレクトレーザー彫刻方式を使用するエラストマー素材版が挙げられる。版を貼るスリーブやクッションテープについては任意のものを使用することができる。
(フレキソ印刷方法;印刷機)
フレキソ印刷機としてはCI型多色フレキソ印刷機、ユニット型多色フレキソ印刷機等があり、インキ供給方式についてはチャンバー方式、2ロール方式が挙げることが出来、適宜の印刷機を使用することができる。
(ヒートシール積層体)
本発明のヒートシール積層体は、基材上に上記ヒートシール剤をフレキソ印刷してヒートシール層を形成することで得ることができる。なお、ヒートシール積層体は、基材とヒートシール層の間にアンカーコート層を含むことが好ましい。当該アンカーコート層は上記アンカーコート剤をフレキソ印刷することで得ることができる。
(水性ヒートシール剤およびアンカーコート剤により形成されたヒートシール積層体の製造方法)
水性ヒートシール剤およびアンカーコート剤により形成されたヒートシール積層体の製造方法としては、基材上に、スチレン-アクリル系樹脂を含むアンカーコート剤をフレキソ印刷してアンカーコート層を形成する工程、その後、アンカーコート層上にオレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含む水性ヒートシール剤をフレキソ印刷してヒートシール層を形成する工程を含む方法が例示できる。フレキソ印刷においては、印刷速度10~400m/分であることが好ましい。また、ヒートシール層、アンカーコート層の乾燥塗布量としては、1~10g/mであることが好ましい。
更に、ヒートシール層を有する積層体の印刷構成としては、上記積層体の構成以外にも、オーバーコート層(OP層)および印刷層(インキ層)を任意に組み合わせることが可能である。当該インキ層等は、例えば、特開2000-025164号公報、特開2017-202142号公報、特開2020-002253号公報および特開平09-066578号公報などに記載された各層や印刷構成を適宜使用することができる。なお、積層体の構成は例えば、
基材/ヒートシール層
基材/アンカー層/ヒートシール層
インキ層/基材/ヒートシール層
インキ層/基材/アンカー層/ヒートシール層
OP層/インキ層/基材/ヒートシール層
OP層/インキ層/基材/アンカー層/ヒートシール層
OP層/基材/ヒートシール層
OP層/基材/アンカー層/ヒートシール層
OP層/基材/インキ層/ヒートシール層
OP層/基材/インキ層/アンカー層/ヒートシール層
OP層/アンカー層 /基材/アンカー層/ヒートシール層
OP層/アンカー層/基材/ヒートシール層
などを好適に挙げることができる。
(基材)
印刷用の基材(被印刷体)としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン基材、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル基材、ナイロン等のポリアミド基材に挙げられるようなプラスチックフィルム、紙基材、アルミニウム箔等、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム、シート等が挙げられる。本発明においては、特に紙基材を用いることが好ましい。紙基材としては、ノンコート紙、基材の片側が処理されている片艶クラフト紙、晒しクラフト紙、未晒しクラフト紙等から選ばれる紙基材であることが好ましい。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本実施例において、特に断らない限り「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」である。また、表中の各材料の分量の数字についても「質量部」である。
(固形分)
試料を約1g秤量し、熱風循環乾燥機で150℃の温度で、15分乾燥させたのち重量を測定した。そして、下記式に基づいて固形分を算出した。
固形分=(乾燥後の試料の重量/乾燥前の試料の重量)×100
(ガラス転移温度(Tg))
JISK0129に記載の方法に従って求めた。具体的には、DSC(示差走査熱量測定測定)により測定を行い、測定機は株式会社リガク製 DSC8231を使用し、測定温度範囲-70~100℃、昇温速度10℃/分、DSC曲線におけるガラス転移に基づく吸熱開始温度と終了温度との中点をガラス転移温度とした。
(流動中点温度)
上記水性ヒートシール剤を室温下で24時間放置した後、室温下で真空乾燥を6時間実施し、これを約1g秤量して試料とし、高架式フローテスター(島津製作所(株)製:CFT-500)を用いて、フローテスター1/2法による流動中点温度を測定した。シリンダー内のプランジャーの先端面の面積は1cmであり、またシリンダー先端のノズル(排出孔)は直径1mm、長さ1mmである。荷重は10kgfとし、昇温開始温度は30℃、昇温速度は5.0℃/minで加温した。
(製造例1)[アンカーコート剤S1の作製]
スチレン-アクリル共重合樹脂-1(固形分50質量%、ガラス転移温度(Tg)0℃)95部、水4.8部、消泡剤(エボニック社製 テゴフォーメックス810 固形分100質量%)0.2部を撹拌混合しアンカーコート剤S1を得た。
(製造例2~6)[アンカーコート剤S2~S6の作製]
表1に記載した原料および配合を変更した以外は、製造例1と同様の方法により、アンカーコート剤を得た。表中、単位の標記のない数値は、部を表し、空欄は配合していないことを表す。なお、表中の略称は以下を表す。
スチレン-アクリル共重合樹脂-2(固形分50質量%、ガラス転移温度(Tg)10℃)
スチレン-アクリル共重合樹脂-3(固形分50質量%、ガラス転移温度(Tg)-10℃)
スチレン-アクリル共重合樹脂-4(固形分50質量%、ガラス転移温度(Tg)-30℃)
スチレン-アクリル共重合樹脂-5(固形分50質量%、ガラス転移温度(Tg)50℃)
アクリル樹脂(エマルジョン):ビニブランSS-1008(固形分30%、ガラス転移温度(Tg)0℃)
(実施例1)[水性ヒートシール剤SS1の作製]
オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂(エチレン-メタクリル酸共重合樹脂-1;固形分50質量% 流動中点温度150℃)92部、ウレタン変性ポリエーテル系樹脂(サンノプコ社製 SNシックナー624N 固形分30質量%)2部、水5.8部、消泡剤(エボニック社製 テゴフォーメックス810 固形分100質量%)0.2部を撹拌混合し水性ヒートシール剤SS1を得た。
(実施例2~8)[水性ヒートシール剤SS2~SS8の作製]
表2に記載した原料および配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、水性ヒートシール剤を得た。表中、単位の標記のない数値は、部を表し、空欄は配合していないことを表す。なお、表中の略称は以下を表す。
エチレン-メタクリル酸共重合樹脂-2;固形分50質量% 流動中点温度100℃
ポリエーテル系樹脂:サンノプコ社製 ノパール710N 固形分30%
ポリアクリル酸:日本触媒社製 アクワリックL HL415 固形分30%
ウレタン変性ポリアクリル酸樹脂ナトリウム塩:サンノプコ社製 SNシックナー618 固形分 固形分30%
(実施例9~22)[積層体L1~L13の作製]
上記製造例にて得られたアンカーコート剤S1~S6を漂白したクラフトパルプを使用した、片面に艶面を有する晒紙(大王製紙社製 ナゴヤ晒竜王N 坪量60g/m)の艶を有しない面に、印刷速度120m/minでフレキソ印刷しヒートシール塗膜を形成した。その後、上記SS1~SS8の水性ヒートシール剤を、上記基材のアンカーコート剤が塗工された面に、印刷速度120m/minでフレキソ印刷しヒートシール積層体を得た。
(実施例23)[積層体L14の作製]
上記実施例にて得られたヒートシール剤SS1を漂白したクラフトパルプを使用した、片面に艶面を有する晒紙(大王製紙社製 ナゴヤ晒竜王N 坪量60g/m)の艶を有しない面に、印刷速度120m/minで2度重ねてフレキソ印刷しヒートシール塗膜を形成してヒートシール積層体L14を得た。ヒートシール剤の転移性評価は5、ヒートシール強度評価は5、耐ブロッキング性評価は3であった。
(比較例1~3)[水性ヒートシール剤TT1~TT3]
表4に記載された原料および配合を変更した以外は、実施例1と同様の方法により、水性ヒートシール剤を得た。なお、表中の略称は以下を表す。
アクリルエマルジョン樹脂:星光PMC社製 ハイロスPE2273
ポリエチレン樹脂: 三井化学社製 ケミパールA400
(比較例4~6)[積層体M1~M3の作製]
上記製造例にて得られたアンカーコート剤S1を漂白したクラフトパルプを使用した、片面に艶面を有する晒紙(大王製紙社製 ナゴヤ晒竜王N 坪量60g/m)の艶を有しない面に、印刷速度120m/minでフレキソ印刷しヒートシール塗膜を形成した。その後、上記TT1~TT3の水性ヒートシール剤を、上記基材のアンカーコート剤が塗工された面に、印刷速度120m/minでフレキソ印刷しヒートシール積層体を得た。
(印刷および評価)
上記製造例、実施例および比較例にて得られたアンカーコート剤および水性ヒートシール剤、並びにヒートシール積層体印刷物を用いて以下の評価を行い、評価結果は表3および表5に示した。
(転移性)
上記製造例で得られたアンカーコート剤を、漂白したクラフトパルプを使用した、片面に艶面を有する晒紙(大王製紙社製 ナゴヤ晒竜王N 坪量60g/m)の艶を有しない面に、印刷速度120m/minでフレキソ印刷し、アンカーコート剤が基材に転移した面積比率、およびアンカーコート剤の転移重量比率(実測転移重量g/mをアニロックスロール塗布量g/mで除し、100を掛けた値)を、また上記実施例および比較例にて得られた水性ヒートシール剤を上記基材のアンカーコート剤が塗工された面に、印刷速度120m/minでフレキソ印刷し、ヒートシール剤が上記基材のアンカーコート剤が塗工された面に転移した面積比率、およびヒートシール剤の転移重量比率(実測転移重量g/mをアニロックスロール塗布量g/mで除し、100を掛けた値)を下記基準にて評価した。
5:基材への転移面積比率が100%であり、転移重量比率が30%以上である。
4:基材への転移面積比率が100%であり、転移重量比率が20%以上30%未満である。
3:基材への転移面積比率が100%であり、転移重量比率が20%未満である。
2:基材への転移面積比率が50%以上100%未満である。
1:基材への転移面積比率が50%未満である。
上記で産業上利用できるレベルの評価は3、4および5である。
(ヒートシール強度)
上記実施例および比較例で得られたヒートシール積層体を15mm×100mmの大きさに切り取り、基材裏面側ヒートシール層の面同士を、以下の装置および条件でヒートシールし、ヒートシール強度および剥離状態を評価した。
<ヒートシール条件>
装置:テスター産業株式会社製ヒートシールテスター、シール幅:10mm、ヒーター温度:130℃、シール圧力:0.45MPa、シール時間:1sec
<ヒートシール強度測定>
装置:インテスコ社製 小型引張試験機(モデル;IM-20)、試験片幅:15mm、剥離モード:90°剥離、引張速度:300mm/min
5:剥離抵抗が4N/15mm以上で、ヒートシール面積のうち100%で紙剥けする。
4:剥離抵抗が4N/15mm以上で、ヒートシール面積のうち50%以上100%未満で紙剥けする。
3:剥離抵抗が3N/15mm以上4N/15mm未満で、ヒートシール面積のうち50%以上100%で原紙が毛羽立つように剥離する。
2:剥離抵抗が0.5N以上3N/15mm未満で、紙剥けしない。
1:剥離抵抗が0.5N未満で、ヒートシールされない。
上記で産業上利用できるレベルの評価は3、4および5である。
(耐ブロッキング性)
上記実施例および比較例で得られたヒートシール積層体の基材艶面(ヒートシール層と有しない面)に、インキ層として、東洋インキ社製 アクワPKバイオコンク39藍を250線のアニロックスロールを用いて上記印刷速度で印刷したのち、さらにインキ層に重ねるように、オーバーコート層として、東洋インキ社製 アクワTOP撥水ワニスを180線のアニロックスロールを用いて印刷した。
前記印刷物を40mm×40mmの大きさに切り取り、オーバーコート層の面とヒートシール層の面とを圧着し、温度:40℃、湿度:80%RH、荷重:1kg/mの環境下で、18時間静置したのち、圧着面を剥離した際の剥離抵抗、および剥離面の状態を下記基準にて評価した。
5:剥離抵抗が全くない。
4:剥離抵抗はあるが、インキ層またはオーバーコート層の剥がれは見られない。
3:剥離抵抗が4よりは強いが、インキ層またはオーバーコート層の剥がれは見られない。
2:剥離抵抗が強く、インキ層またはオーバーコート層の剥がれが印刷面積の0%を超え20%未満である。
1:剥離抵抗が非常に強く、インキ層またはオーバーコート層の剥がれが印刷面積の20%以上である。
上記で産業上利用できるレベルの評価は3、4および5である。
Figure 2023014487000001
Figure 2023014487000002
Figure 2023014487000003
Figure 2023014487000004
Figure 2023014487000005

Claims (9)

  1. オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂、並びに、ポリエーテル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸樹脂およびポリ(メタ)アクリル酸樹脂金属塩から選ばれる少なくとも一種を含有するフレキソ印刷用水性ヒートシール剤。
  2. オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂が、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合樹脂を含有する、請求項1に記載のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤。
  3. オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂の、流動中点温度が100~150℃である、請求項1または2に記載のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤。
  4. ポリエーテル系樹脂が、ウレタン変性ポリエーテル樹脂である、請求項1~3いずれかに記載のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤。
  5. 紙基材上に、請求項1~4のいずれかに記載のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤からなるヒートシール層を備えたヒートシール積層体。
  6. 更に、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含むアンカーコート層を有する、請求項5に記載のヒートシール積層体。
  7. 請求項5または6に記載のヒートシール積層体からなる包装材。
  8. 紙基材に、アンカーコート層とヒートシール層とをこの順に備えたヒートシール積層体の製造方法であって、
    前記紙基材上に、スチレン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含むアンカーコート剤をフレキソ印刷してアンカーコート層を形成する工程、その後、オレフィン-(メタ)アクリル共重合樹脂を含む水性ヒートシール剤をフレキソ印刷してヒートシール層を形成する工程を含む、ヒートシール積層体の製造方法。
  9. 紙基材に、アンカーコート層とヒートシール層とをこの順に備えたヒートシール積層体の製造方法であって、
    前記紙基材上に、アンカーコート剤をフレキソ印刷してアンカーコート層を形成する工程、その後、請求項1~4のいずれかに記載のフレキソ印刷用水性ヒートシール剤をフレキソ印刷してヒートシール層を形成する工程を含む、ヒートシール積層体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR102597988B1 (ko) * 2023-02-24 2023-11-06 주식회사 오리온 플렉소 인쇄용 수성 플렉소 잉크 및 이를 이용하여 포장재를 제조하는 방법

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