JP2023013210A - ロータリー圧縮機、および、空気調和装置 - Google Patents

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雄大 岩井
Yudai Iwai
拓也 石野
Takuya Ishino
順英 樋口
Yorihide Higuchi
嘉人 田畔
Yoshito Taaze
剛 福永
Takeshi Fukunaga
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Abstract

【課題】圧縮室と背圧室との差圧によってブッシュが傾斜すると、ブッシュのエッジとベーンとの摺動が激しくなってブッシュの焼き付きが発生しやすくなる。【解決手段】ロータリー圧縮機21は、圧縮室40と背圧室42とを内部に有する圧縮機構15を備える。圧縮機構15は、ベーン81bと第1ブッシュ82aと第2ブッシュ82bとを有する。ベーン81bは、圧縮室40を低圧室40aと高圧室40bとに仕切る。第1ブッシュ82aは、低圧室40aと背圧室42との間に配置される。第2ブッシュ82bは、高圧室40bと背圧室42との間に配置される。第1ブッシュ82aは、ベーン81bと摺動する第1支持面83aを有する。第1支持面83aは、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって延びる第1油溝91を有する。第1油溝91は、低圧室40aの側において低圧室40aと連通し、かつ、背圧室42の側において背圧室42と連通しない。【選択図】図6

Description

ロータリー圧縮機、および、空気調和装置に関する。
特許文献1(特開2014-037813号公報)に開示されるロータリー圧縮機は、圧縮機構を有する。この圧縮機構は、偏心回転するピストンと、ピストンと一体成形されるベーンと、ベーンを支持する一対のブッシュとを有する。圧縮機構の内部には、冷媒が圧縮される圧縮室と、圧縮室の冷媒より高圧の冷媒が流入する背圧室とが形成される。
圧縮室と背圧室との差圧によってブッシュが傾斜すると、ブッシュのエッジとベーンとの摺動が激しくなってブッシュの焼き付きが発生しやすくなる。
第1観点のロータリー圧縮機は、冷媒が圧縮される圧縮室と、圧縮室内の冷媒よりも高圧の冷媒が流入する背圧室とを内部に有する圧縮機構を備える。圧縮機構は、ベーンと、第1ブッシュと、第2ブッシュとを有する。ベーンは、圧縮室を低圧室と高圧室とに仕切る。第1ブッシュは、低圧室と背圧室との間に配置される。第2ブッシュは、高圧室と背圧室との間に配置される。ベーンは、第1ブッシュと第2ブッシュとの間で進退可能に保持される。第1ブッシュは、進退するベーンと第1方向に沿って摺動する第1面を有する。第1面は、低圧室の側から背圧室の側に向かって延びる第1溝を有する。第1溝は、低圧室の側の第1端部を有する。第1端部の位置は、ベーンの進退に伴って変動する。第1溝は、低圧室の側において低圧室と連通し、かつ、背圧室の側において背圧室と連通しない。
このロータリー圧縮機では、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)は、ベーンと摺動する面(第1面)に形成される溝であって、低圧室から潤滑油が供給される溝(第1溝)を有する。そのため、このロータリー圧縮機では、ブッシュの圧縮室側端部が潤滑油によって冷却されやすいので、ブッシュの圧縮室側端部とベーンとの摺動による焼き付きが抑制される。
第2観点のロータリー圧縮機は、第1観点のロータリー圧縮機であって、第1面は、複数の第1溝を有する。
このロータリー圧縮機では、ブッシュの圧縮室側端部に供給される潤滑油の量を増加させることで、ブッシュの圧縮室側端部とベーンとの摺動による焼き付きが抑制される効果が向上する。
第3観点のロータリー圧縮機は、第1観点または第2観点のロータリー圧縮機であって、第1溝は、低圧室の側から背圧室の側に向かって、徐々に深さが小さくなっている。
このロータリー圧縮機では、ブッシュとベーンとの摺動によってブッシュの油溝(第1溝)内の潤滑油の圧力が上昇しやすいので、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)の軸受負荷能力が向上する。
第4観点のロータリー圧縮機は、第1観点または第2観点のロータリー圧縮機であって、第1溝は、低圧室の側から背圧室の側に向かって、段階的に深さが小さくなっている。
このロータリー圧縮機では、ブッシュとベーンとの摺動によってブッシュの油溝(第1溝)内の潤滑油の圧力が上昇しやすいので、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)の軸受負荷能力が向上する。
第5観点のロータリー圧縮機は、第3観点または第4観点のロータリー圧縮機であって、第1溝は、低圧室の側から背圧室の側に向かって、第1方向と交差する第2方向の寸法が一定である。
このロータリー圧縮機では、ブッシュとベーンとの摺動によってブッシュの油溝(第1溝)内の潤滑油の圧力が上昇しやすいので、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)の軸受負荷能力が向上する。
第6観点のロータリー圧縮機は、第1観点または第2観点のロータリー圧縮機であって、第1溝は、低圧室の側から背圧室の側に向かって、第1方向と交差する第2方向の寸法が徐々に小さくなっている。
このロータリー圧縮機では、ブッシュとベーンとの摺動によってブッシュの油溝(第1溝)内の潤滑油の圧力が上昇しやすいので、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)の軸受負荷能力が向上する。
第7観点のロータリー圧縮機は、第1観点または第2観点のロータリー圧縮機であって、第1溝は、低圧室の側から背圧室の側に向かって、第1方向と交差する第2方向の寸法が段階的に小さくなっている。
このロータリー圧縮機では、ブッシュとベーンとの摺動によってブッシュの油溝(第1溝)内の潤滑油の圧力が上昇しやすいので、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)の軸受負荷能力が向上する。
第8観点のロータリー圧縮機は、第6観点または第7観点のロータリー圧縮機であって、第1溝は、低圧室の側から背圧室の側に向かって、深さが一定である。
このロータリー圧縮機では、ブッシュとベーンとの摺動によってブッシュの油溝(第1溝)内の潤滑油の圧力が上昇しやすいので、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)の軸受負荷能力が向上する。
第9観点のロータリー圧縮機は、第1乃至第8観点のいずれか1つのロータリー圧縮機であって、第1面は、背圧室と連通し第1溝と連通しない第2溝をさらに有する。
このロータリー圧縮機では、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)は、ベーンと摺動する面(第1面)に形成される溝であって、背圧室から潤滑油が供給される溝(第2溝)をさらに有する。そのため、このロータリー圧縮機では、ブッシュの摺動面(第1面)が潤滑油によって効率的に冷却されるので、ブッシュとベーンとの摺動による焼き付きが抑制される。
第10観点のロータリー圧縮機は、第1乃至第9観点のいずれか1つのロータリー圧縮機であって、第1溝の第1方向に沿う長さは、第1ブッシュの第1方向に沿う長さの半分以下である。
このロータリー圧縮機では、ベーンの摺動方向(第1方向)におけるブッシュの油溝(第1溝)の寸法の最大値が設定されることで、油溝内の潤滑油の圧力が十分に確保されるので、低圧室側のブッシュ(第1ブッシュ)の軸受負荷能力が向上する。
第11観点のロータリー圧縮機は、第1乃至第10観点のいずれか1つのロータリー圧縮機であって、第1溝は、第1方向と交差する方向における第1ブッシュの中心と重なる位置に配置される。
このロータリー圧縮機では、焼き付きが発生しやすい位置にブッシュの油溝(第1溝)が形成されるので、ブッシュの圧縮室側端部とベーンとの摺動による焼き付きが抑制される効果が向上する。
第12観点のロータリー圧縮機は、第1乃至第11観点のいずれか1つのロータリー圧縮機であって、ケーシングをさらに備える。ケーシングは、圧縮機構が内部に配置され、かつ、内部において潤滑油が貯留される。第1溝は、低圧室から潤滑油が供給される。
このロータリー圧縮機では、圧縮機構の駆動中、ケーシング内の潤滑油がブッシュの摺動面(第1面)に供給されるので、ブッシュとベーンとの摺動による焼き付きが抑制される。
第13観点のロータリー圧縮機は、第1乃至第12観点のいずれか1つのロータリー圧縮機であって、圧縮機構は、シリンダと、ピストンとをさらに有する。ピストンは、シリンダと接し、かつ、偏心回転する。ベーンは、シリンダおよびピストンと共に圧縮室を形成する。
このロータリー圧縮機では、圧縮機構内部の焼き付きが抑制されるので、ロータリー圧縮機の寿命が向上する。
第14観点のロータリー圧縮機は、第13観点のロータリー圧縮機であって、ベーンは、ピストンと一体に形成されている。
このロータリー圧縮機では、圧縮機構内部の焼き付きが抑制されるので、ロータリー圧縮機の寿命が向上する。
第15観点の空気調和装置は、第1乃至第14観点のいずれか1つのロータリー圧縮機を備える。
この空気調和装置では、ロータリー圧縮機の圧縮機構内部の焼き付きが抑制されるので、空気調和装置の寿命が向上する。
実施形態の空気調和装置1の概略構成図である。 ロータリー圧縮機21の縦断面図である。 図2の線分A―Aにおける圧縮機構15の断面図である。 シリンダ84の外観図である。 第1ブッシュ82aおよび第2ブッシュ82bの斜視図である。 第1ブッシュ82aの側面図である。 第1油溝91内の潤滑油が供給されやすい第1領域R1を示す図である。 第1ブッシュ82aに作用する力を説明するための図である。 第1変形例の第1ブッシュ82aの側面図である。 第2変形例の第1ブッシュ82aの断面図である。 第3変形例の第1ブッシュ82aの断面図である。 第4変形例の第1ブッシュ82aの側面図である。 第5変形例の第1ブッシュ82aの側面図である。 第5変形例の第1ブッシュ82aの側面図である。 第6変形例の第1ブッシュ82aの側面図である。
本開示の一実施形態のロータリー圧縮機21を備える空気調和装置1について、図面を参照しながら説明する。
(1)空気調和装置
(1-1)全体構成
図1に示されるように、空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことによって、建物等の室内の冷房および暖房を行うことが可能な装置である。空気調和装置1は、主として、室外ユニット2と、室内ユニット3と、液冷媒連絡管4と、ガス冷媒連絡管5とを備える。液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5は、室外ユニット2と室内ユニット3とを接続する。空気調和装置1の蒸気圧縮式の冷媒回路6は、室外ユニット2と室内ユニット3とが液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5を介して接続されることによって構成される。
(1-2)詳細構成
(1-2-1)室内ユニット
室内ユニット3は、室内(居室および天井裏空間等)に設置され、冷媒回路6の一部を構成する。室内ユニット3は、主として、室内熱交換器31を有する。室内熱交換器31は、冷房運転時には冷媒の吸熱器(蒸発器)として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器(凝縮器)として機能して室内空気を加熱する。室内熱交換器31の液側は、液冷媒連絡管4に接続される。室内熱交換器31のガス側は、ガス冷媒連絡管5に接続される。
(1-2-2)室外ユニット
室外ユニット2は、室外(建物の屋上、および、建物の壁面近傍等)に設置され、冷媒回路6の一部を構成する。室外ユニット2は、主として、ロータリー圧縮機21と、四路切換弁22と、室外熱交換器23と、室外膨張弁24と、アキュムレータ25と、液閉鎖弁26と、ガス閉鎖弁27とを有する。
ロータリー圧縮機21は、低圧のガス冷媒を圧縮して高圧のガス冷媒にする。ロータリー圧縮機21は、圧縮機用モータによって駆動される。
四路切換弁22は、室外ユニット2の内部配管の接続状態を切り替える。空気調和装置1が冷房運転を行う場合、四路切換弁22は、図1の破線で示される接続状態を実現する。空気調和装置1が暖房運転を行う場合、四路切換弁22は、図1の実線で示される接続状態を実現する。
室外熱交換器23は、冷媒回路6を循環する冷媒と、室外空気との熱交換を行う。室外熱交換器23は、冷媒が流れる冷媒流路と、室外空気と接する伝熱フィンとを有する。室外熱交換器23は、冷房運転時には冷媒の放熱器(凝縮器)として機能し、暖房運転時には冷媒の吸熱器(蒸発器)として機能する。
室外膨張弁24は、開度調整が可能な電動弁または電磁弁である。室外膨張弁24は、室外ユニット2の内部配管を流れる冷媒を減圧させる。室外膨張弁24は、室外ユニット2の内部配管を流れる冷媒の流量を制御する。
アキュムレータ25は、ロータリー圧縮機21の吸入側の配管に設置される。アキュムレータ25は、冷媒回路6を流れる気液混合冷媒を、ガス冷媒と液冷媒とに分離して、液冷媒を貯留する。アキュムレータ25で分離されたガス冷媒は、ロータリー圧縮機21の吸入ポートに送られる。
液閉鎖弁26およびガス閉鎖弁27は、冷媒流路を遮断することが可能な弁である。液閉鎖弁26は、室内熱交換器31と室外膨張弁24との間に配置される。ガス閉鎖弁27は、室内熱交換器31と四路切換弁22との間に配置される。液閉鎖弁26およびガス閉鎖弁27は、例えば、空気調和装置1の設置時等において、作業者によって開閉される。
制御部28は、室外ユニット2の構成機器を制御するコンピュータである。制御部28は、主として、演算装置と記憶装置とを備える。演算装置は、例えば、CPUまたはGPUである。演算装置は、記憶装置に記憶されるプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の演算処理を行う。演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶される情報を読み出したりする。
(1-2-3)冷媒連絡管
液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5は、冷媒回路6を備える空気調和装置1をビル等の設置場所に設置する際に、現地にて施工される冷媒配管である。液冷媒連絡管4およびガス冷媒連絡管5の長さおよび管径は、空気調和装置1の設置場所、および、室外ユニット2と室内ユニット3との組み合わせ等の設置条件に応じて決定される。液冷媒連絡管4を流れる冷媒は、液体であってもよく、気液二相であってもよい。
(1-3)動作
図1を参照しながら、空気調和装置1の冷房運転および暖房運転時の動作について説明する。
(1-3-1)暖房運転
空気調和装置1が暖房運転を行う場合、四路切換弁22は、図1の実線で示される状態に切り換えられる。冷媒回路6において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、ロータリー圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。ロータリー圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22、ガス閉鎖弁27およびガス冷媒連絡管5を通じて、室内熱交換器31に送られる。室内熱交換器31に送られた高圧のガス冷媒は、室内熱交換器31において、室内空気と熱交換を行って凝縮して、高圧の液冷媒になる。これにより、室内空気が加熱される。室内熱交換器31で凝縮した液冷媒は、液冷媒連絡管4および液閉鎖弁26を通じて、室外膨張弁24に送られる。室外膨張弁24に送られた冷媒は、室外膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧される。室外膨張弁24で減圧された低圧の冷媒は、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた低圧の冷媒は、室外熱交換器23において、室外空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒となる。室外熱交換器23で蒸発した低圧の冷媒は、四路切換弁22およびアキュムレータ25を通じて、再び、ロータリー圧縮機21に吸入される。
(1-3-2)冷房運転
空気調和装置1が冷房運転を行う場合、四路切換弁22は、図1の破線で示される状態に切り換えられる。冷媒回路6において、冷凍サイクルの低圧のガス冷媒は、ロータリー圧縮機21に吸入され、冷凍サイクルの高圧になるまで圧縮された後に吐出される。ロータリー圧縮機21から吐出された高圧のガス冷媒は、四路切換弁22を通じて、室外熱交換器23に送られる。室外熱交換器23に送られた高圧のガス冷媒は、室外熱交換器23において、室外空気と熱交換を行って凝縮して、高圧の液冷媒となる。室外熱交換器23で凝縮した液冷媒は、室外膨張弁24によって冷凍サイクルの低圧まで減圧される。室外膨張弁24で減圧された低圧の冷媒は、液閉鎖弁26および液冷媒連絡管4を通じて、室内熱交換器31に送られる。室内熱交換器31に送られた冷媒は、室内熱交換器31において、室内空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。これにより、室内空気は冷却される。室内熱交換器31で蒸発したガス冷媒は、ガス冷媒連絡管5、ガス閉鎖弁27、四路切換弁22およびアキュムレータ25を通じて、再び、ロータリー圧縮機21に吸入される。
(2)ロータリー圧縮機
(2-1)全体構成
図2に示されるように、ロータリー圧縮機21は、主として、ケーシング10と、圧縮機構15と、駆動モータ16と、クランクシャフト17と、吸入管19と、吐出管20とを備える。
(2-1-1)ケーシング
ケーシング10は、円筒形の胴部11と、ボウル形の頂部12と、ボウル形の底部13とから構成される。頂部12は、胴部11の上端部と気密状に連結される。底部13は、胴部11の下端部と気密状に連結される。
ケーシング10は、ケーシング10の内部空間および外部空間の圧力および温度の変化によって変形および破損が起こりにくい剛性部材で成形される。ケーシング10は、胴部11の円筒形の軸方向が鉛直方向に沿うように設置される。ケーシング10の内部空間の下部は、潤滑油が貯留される油貯留部10aである。潤滑油は、ケーシング10の内部の摺動部の潤滑性を向上させるために用いられる冷凍機油である。
ケーシング10は、主として、圧縮機構15と、駆動モータ16と、クランクシャフト17とを収容する。圧縮機構15は、クランクシャフト17を介して駆動モータ16と連結される。吸入管19および吐出管20は、ケーシング10を貫通するように、ケーシング10と気密状に連結される。
(2-1-2)圧縮機構
図2および図3に示されるように、圧縮機構15は、主として、フロントヘッド83と、シリンダ84と、リアヘッド85と、ピストン81と、ブッシュ82とから構成される。フロントヘッド83、シリンダ84およびリアヘッド85は、ボルト等によって一体的に締結される。圧縮機構15の上方の空間は、圧縮機構15によって圧縮された冷媒が吐出される高圧空間S1である。
圧縮機構15は、油貯留部10aに貯留される潤滑油に浸漬される。油貯留部10aの潤滑油は、差圧等によって、圧縮機構15の内部の摺動部に供給される。次に、圧縮機構15の各構成要素について説明する。
(2-1-2-1)シリンダ
図4に示されるように、シリンダ84は、主として、シリンダ孔84aと、吸入孔84bと、吐出切り欠き84cと、ブッシュ収容孔84dと、ベーン収容孔84eと、断熱孔84fとを有する。シリンダ84は、フロントヘッド83とリアヘッド85との間に位置する。シリンダ84の上側の端面である第1シリンダ端面86aは、フロントヘッド83の下面と接する。シリンダ84の下側の端面である第2シリンダ端面86bは、リアヘッド85の上面と接する。
シリンダ孔84aは、第1シリンダ端面86aから第2シリンダ端面86bに向かって、鉛直方向にシリンダ84を貫通する円柱状の孔である。シリンダ孔84aは、シリンダ84の内周面であるシリンダ内周面86cによって囲まれる空間である。シリンダ孔84aは、クランクシャフト17の偏心軸部17a、および、ピストン81を収容する。
吸入孔84bは、シリンダ84の外周面であるシリンダ外周面86dからシリンダ内周面86cに向かって、シリンダ84の径方向に沿って貫通する孔である。
吐出切り欠き84cは、シリンダ内周面86cの一部が切り欠かれることによって、鉛直方向にシリンダ84を貫通することなく形成される空間である。吐出切り欠き84cは、第1シリンダ端面86aの側に形成される。
ブッシュ収容孔84dは、鉛直方向にシリンダ84を貫通し、かつ、シリンダ84を鉛直方向に沿って見た場合において吸入孔84bと吐出切り欠き84cとの間に配置される孔である。ブッシュ収容孔84dは、ベーン81bの一部、および、ブッシュ82を収容する。
ベーン収容孔84eは、鉛直方向にシリンダ84を貫通し、かつ、ブッシュ収容孔84dと連通する孔である。ベーン収容孔84eは、ベーン81bの一部を収容する。
断熱孔84fは、シリンダ外周面86dとシリンダ内周面86cとの間において、鉛直方向にシリンダ84を貫通する孔である。シリンダ84は、複数の断熱孔84fを有する。
(2-1-2-2)ピストン
ピストン81は、シリンダ84のシリンダ孔84aに挿入される略円筒状の部材である。ピストン81の上側の端面は、フロントヘッド83の下面と接する。ピストン81の下側の端面は、リアヘッド85の上面と接する。
ピストン81は、クランクシャフト17の偏心軸部17aに嵌め込まれた状態で、シリンダ84のシリンダ孔84aに挿入される。これにより、ピストン81は、クランクシャフト17の軸回転によって偏心回転して、クランクシャフト17の回転軸17gを中心とする公転運動を行う。ピストン81は、圧縮機構15を上面視した場合に、時計回りに公転する。
ベーン81bは、シリンダ84のブッシュ収容孔84dおよびベーン収容孔84eに収容される。ベーン81bは、ピストン81と一体に形成される。ベーン81bは、ピストン81の径方向外側に突出するように、ピストン81の径方向に沿って延びる。ピストン81が公転することで、ベーン81bは、揺動しながら、その長手方向に沿って進退する。
圧縮機構15は、シリンダ84と、ピストン81と、ベーン81bと、フロントヘッド83と、リアヘッド85とによって囲まれる空間である圧縮室40を有する。圧縮室40には、油貯留部10aの潤滑油が供給される。
圧縮室40は、ピストン81およびベーン81bによって、吸入孔84bと連通する低圧室40aと、吐出切り欠き84cと連通する高圧室40bとに区画される。図3において、低圧室40aおよび高圧室40bは、シリンダ内周面86cと、ピストン81の外周面であるピストン外周面81cとによって囲まれる領域である。低圧室40aおよび高圧室40bの容積は、ピストン81の位置に応じて変化する。
(2-1-2-3)ブッシュ
ブッシュ82は、一対の略半円柱状の部材である。ブッシュ82は、ベーン81bを挟み込むようにして、シリンダ84のブッシュ収容孔84dに収容される。ブッシュ82は、シリンダ84と摺動可能である。
(2-1-2-4)フロントヘッド
フロントヘッド83は、シリンダ84の第1シリンダ端面86aを覆う部材である。フロントヘッド83は、ボルト等によって、ケーシング10に締結される。フロントヘッド83は、クランクシャフト17を支持するための上部軸受部23aを有する。
フロントヘッド83は、吐出ポート23bを有する。吐出ポート23bは、フロントヘッド83を鉛直方向に貫通する円筒形状の孔である。吐出ポート23bは、鉛直方向下側において、吐出切り欠き84cおよび圧縮室40(高圧室40b)と連通する。吐出ポート23bは、鉛直方向上側において、高圧空間S1と連通する。吐出ポート23bは、圧縮機構15によって圧縮された冷媒を、高圧室40bから高圧空間S1に送るための流路である。
フロントヘッド83の上面には、吐出ポート23bを塞ぐ吐出弁23cが取り付けられる。吐出弁23cは、高圧空間S1から高圧室40bへの冷媒の逆流を防ぐための弁である。吐出弁23cは、吐出ポート23b内部の冷媒の圧力によって上方に持ち上げられる。これにより、吐出ポート23bが開き、吐出ポート23bは、高圧空間S1と連通する。
(2-1-2-5)リアヘッド
リアヘッド85は、シリンダ84の第2シリンダ端面86bを覆う部材である。リアヘッド85は、クランクシャフト17を支持するための下部軸受部25aを有する。シリンダ84のシリンダ孔84aは、フロントヘッド83およびリアヘッド85によって閉塞される。
(2-1-3)駆動モータ
駆動モータ16は、ケーシング10の内部に収容され、圧縮機構15の上方に配置されるブラシレスDCモータである。駆動モータ16は、主として、ケーシング10の内壁面に固定されるステータ51と、ステータ51の内側に回転自在に収容されるロータ52とから構成される。ステータ51とロータ52との間には、エアギャップが設けられる。
ステータ51は、ステータコア61と、ステータコア61の鉛直方向の両端面に取り付けられる一対のインシュレータ62とを有する。ステータコア61は、円筒部と、円筒部の内周面から径方向内側に向かって突出する複数のティース(図示せず)とを有する。ステータコア61のティースは、一対のインシュレータ62と共に、導線が巻き付けられる。これにより、ステータコア61の各ティースには、コイル72aが形成される。
ステータ51の外側面には、ステータ51の上端面から下端面に亘り、かつ、周方向に所定間隔をおいて、切欠形成される複数のコアカット部(図示せず)が設けられる。コアカット部は、胴部11とステータ51との間を鉛直方向に延びるモータ冷却通路を形成する。
ロータ52は、鉛直方向に積層される複数の金属板から構成されるロータコア52aと、ロータコア52aに埋め込まれる複数の磁石52bとを有する。磁石52bは、ロータコア52aの周方向に沿って、等間隔に配置される。ロータ52は、その回転中心を鉛直方向に貫通するクランクシャフト17に連結される。ロータ52は、クランクシャフト17を介して、圧縮機構15と接続される。
(2-1-4)クランク軸
クランクシャフト17は、ケーシング10の内部に収容され、その軸方向が鉛直方向に沿うように配置される。クランクシャフト17は、駆動モータ16のロータ52、および、圧縮機構15のピストン81に連結される。クランクシャフト17は、偏心軸部17aを有する。偏心軸部17aは、シリンダ84のシリンダ孔84aに挿入されるピストン81に連結される。クランクシャフト17の上側の端部は、駆動モータ16のロータ52に連結される。クランクシャフト17は、フロントヘッド83の上部軸受部23a、および、リアヘッド85の下部軸受部25aによって支持される。クランクシャフト17は、回転軸17gを中心として回転する。
(2-1-5)吸入管
吸入管19は、ケーシング10の胴部11を貫通する管である。ケーシング10の内部にある吸入管19の端部は、シリンダ84の吸入孔84bに嵌め込まれる。ケーシング10の外部にある吸入管19の端部は、冷媒回路6に接続される。吸入管19は、冷媒回路6から圧縮機構15に冷媒を供給するための管である。
(2-1-6)吐出管
吐出管20は、ケーシング10の頂部12を貫通する管である。ケーシング10の内部にある吐出管20の端部は、駆動モータ16の上方の空間に位置する。ケーシング10の外部にある吐出管20の端部は、冷媒回路6に接続される。吐出管20は、圧縮機構15によって圧縮された冷媒を冷媒回路6に供給するための管である。
(2-2)動作
ロータリー圧縮機21の動作について説明する。駆動モータ16が始動すると、クランクシャフト17の偏心軸部17aは、クランクシャフト17の回転軸17gを中心に偏心回転する。これにより、偏心軸部17aに連結されるピストン81は、シリンダ84のシリンダ孔84a内で公転する。ピストン81が公転している間、ピストン外周面81cは、シリンダ内周面86cと接する。ピストン81の公転によって、ベーン81bは、その両側面をブッシュ82に挟まれながら進退する。
ピストン81の公転に伴い、吸入孔84bと連通する圧縮室40(低圧室40a)は、徐々に容積を増加させる。このとき、ケーシング10の外部から吸入管19を経由して、低圧室40aに低圧の冷媒が流入する。ピストン81の公転に伴い、低圧室40aは、吐出切り欠き84cと連通する高圧室40bとなり、高圧室40bは、徐々に容積を減少させて、再び低圧室40aとなる。これにより、吸入管19から吸入孔84bを経由して低圧室40aに流入した低圧の冷媒は、圧縮室40(高圧室40b)で圧縮される。高圧室40bで圧縮された高圧の冷媒は、吐出切り欠き84cおよび吐出ポート23bを経由して、高圧空間S1に吐出される。高圧空間S1に吐出された冷媒は、駆動モータ16のモータ冷却通路を通過して上方に向かって流れた後、吐出管20からケーシング10の外部に吐出される。
(2-3)詳細構成
図3に示されるように、ロータリー圧縮機21の圧縮機構15は、圧縮室40(低圧室40aおよび高圧室40b)と、背圧室42とを内部に有する。圧縮室40は、シリンダ孔84aの一部であって、ピストン81の公転に伴い容積が変化することで冷媒が圧縮される空間である。背圧室42は、ベーン収容孔84eの一部であって、ベーン81bの一部が揺動しながら進退する空間である。背圧室42は、圧縮室40内の冷媒よりも高圧の冷媒が流入する空間である。そのため、圧縮機構15が駆動している間、背圧室42の圧力は圧縮室40の圧力よりも高く、圧縮室40と背圧室42との間には差圧が形成される。
ベーン81bは、ピストン81と共に、圧縮室40を、低圧室40aと高圧室40bとに仕切る。図3において、低圧室40aは、吸入孔84bと連通する空間であり、高圧室40bは、吐出切り欠き84cと連通する空間である。ピストン81の公転により、ピストン81と一体に形成されるベーン81bが揺動するので、ブッシュ82は、ブッシュ収容孔84dにおいて回転しながらベーン81bを支持する。
図3および図5に示されるように、ブッシュ82は、第1ブッシュ82aと第2ブッシュ82bとから構成される。図5には、圧縮室40に向かう方向と、背圧室42に向かう方向とが矢印で示されている。第1ブッシュ82aは、低圧室40aと背圧室42との間に配置され、低圧室40aと背圧室42とを仕切る。第2ブッシュ82bは、高圧室40bと背圧室42との間に配置され、高圧室40bと背圧室42とを仕切る。第1ブッシュ82aおよび第2ブッシュ82bは、ベーン81bが第1方向D1に沿って進退可能なように、ベーン81bを挟み込みながら保持する。第1方向D1は、水平面に平行な方向である。
第1ブッシュ82aは、ベーン81bを支持する第1支持面83aを有する。第2ブッシュ82bは、ベーン81bを支持する第2支持面83bを有する。第1支持面83aおよび第2支持面83bは、進退するベーン81bと第1方向D1に沿って摺動する面である。第1支持面83aおよび第2支持面83bは、ベーン81bが進退する第1方向D1、および、第1方向D1と交差する第2方向D2に平行な面である。第2方向D2は、例えば、鉛直方向である。
図6に示されるように、第1ブッシュ82aは、第1支持面83aに形成される、1つの第1油溝91を有する。図6には、圧縮室40(低圧室40a)に向かう方向と、背圧室42に向かう方向とが矢印で示されている(図7,9~12も同様)。第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって延びる。図6では、第1油溝91は、第1方向D1に沿って延びる。第1油溝91は、低圧室40aの側において低圧室40aと連通し、かつ、背圧室42の側において背圧室42と連通しない。言い換えると、第1油溝91は、圧縮室40とのみ連通する。第1油溝91は、低圧室40aの側の第1端部91aと、背圧室42の側の第2端部91bとを有する。第1端部91aは、低圧室40aの側において、第1支持面83aの外縁に位置する。第2端部91bは、第1支持面83aの外縁から離れている。
ベーン81bが揺動しながら進退している間、第1ブッシュ82aおよび第2ブッシュ82bは、ブッシュ収容孔84dにおいてベーン81bを挟み込みながら揺動する。そのため、第1油溝91の第1端部91aの位置は、ベーン81bの進退に伴って変動する。
第1油溝91の第1方向D1に沿う第1長さL1は、第1ブッシュ82aの第1方向D1に沿う第2長さL2の半分以下である。第1長さL1は、好ましくは、第2長さL2の8分の1以上かつ4分の1以下である。第1油溝91は、第2方向D2において、第1ブッシュ82aの第2方向D2における中心位置Cと重なるように配置される。第1油溝91の幅(第2方向D2の寸法)は、特に限定されないが、例えば1mmである。第1油溝91の深さは、特に限定されないが、例えば0.5mmである。第1油溝91の幅および深さは、第1端部91aから第2端部91bに亘って一定である。
低圧室40a内の潤滑油は、第1端部91aから第1油溝91に流入する。第1ブッシュ82aに対してベーン81bが第1方向D1に沿って背圧室42に向かって移動する際に、第1端部91aから第2端部91bに向かって低圧室40aから第1油溝91に潤滑油が引き込まれる。第1油溝91内の潤滑油は、第1ブッシュ82aとベーン81bとの間の摺動部に供給される。第1油溝91内の潤滑油は、図7に示される第1領域R1に供給されやすい。第1領域R1は、第1支持面83aの低圧室40a側の端部である第1エッジT1の中央付近の領域である。第1油溝91の第1端部91aは、第1エッジT1に位置している。
(3)特徴
(3-1)
ロータリー圧縮機21では、圧縮機構15の第1ブッシュ82aは、低圧室40aとのみ連通する第1油溝91が形成される第1支持面83aを有する。低圧室40a内の潤滑油は、ベーン81bの進退によって低圧室40aから第1油溝91に引き込まれて、第1油溝91から、第1ブッシュ82aとベーン81bとの間の摺動部(以下、ベーン摺動部と呼ぶ。)に供給される。これにより、ベーン摺動部が潤滑油によって冷却されるので、ベーン摺動部の焼き付きが抑制される。
また、ロータリー圧縮機21では、圧縮室40と背圧室42との間に差圧が形成される。特に、ケーシング10の内部空間に高圧空間S1が形成される、いわゆる高圧ドーム型のロータリー圧縮機21においては、背圧室42と、ケーシング10の内部空間とを連通させた場合、低圧室40aと背圧室42との間の差圧は大きくなる。この差圧によって、図8の白矢印で示されるように、第1ブッシュ82aは、ブッシュ収容孔84dの内周面に向かって押し付けられる力を受ける。同時に、この差圧によって、図8の黒矢印で示されるように、第1ブッシュ82aは、第1ブッシュ82aの背圧室42側の端部がベーン81bから離れるように回転する力を受ける。これらの力を受けて第1ブッシュ82aが傾斜すると、第1ブッシュ82aの圧縮室40側の端部(第1エッジT1)がベーン81bに向かって押し付けられる。第1エッジT1に潤滑油が十分に供給されないと、第1エッジT1において、第1ブッシュ82aとベーン81bとの間の摺動が激しくなり、焼き付きが発生しやすくなる。
本実施形態では、第1ブッシュ82aの第1支持面83aには第1油溝91が形成されるので、第1支持面83aにおける、第1エッジT1の近傍の領域には、第1油溝91から十分な量の潤滑油が供給される。そのため、第1エッジT1の近傍の領域が潤滑油によって効率的に冷却される。従って、ロータリー圧縮機21では、ベーン摺動部の焼き付きが発生しやすい箇所が効率的に抑制される。
(3-2)
ロータリー圧縮機21では、第1ブッシュ82aに対してベーン81bが第1方向D1に沿って背圧室42に向かって移動する際に、第1端部91aから第2端部91bに向かって低圧室40aから第1油溝91に潤滑油が引き込まれる。これにより、第1油溝91内の潤滑油の圧力が上昇する。第1油溝91の第1方向D1に沿う第1長さL1が長すぎると、第1油溝91内の潤滑油の圧力が十分に上昇せず、ベーン摺動部に潤滑油が十分に供給されないおそれがある。
しかし、ロータリー圧縮機21では、第1長さL1は、第1ブッシュ82aの第1方向D1に沿う第2長さL2の半分以下に設定されるので、第1油溝91内の潤滑油の圧力が十分に確保される。そのため、第1油溝91からベーン摺動部に潤滑油が十分に供給されるので、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが抑制される。
(3-3)
ロータリー圧縮機21では、第1ブッシュ82aの第1支持面83aにおいて、第1油溝91は、第1エッジT1の中央付近の第1領域R1を通過する位置に形成される。第1領域R1は、第1支持面83aにおいて、焼き付きが特に発生しやすい領域である。そのため、ロータリー圧縮機21では、第1油溝91から第1領域R1に十分な量の潤滑油が供給されるので、第1領域R1が潤滑油によって効率的に冷却される。従って、ロータリー圧縮機21では、ベーン摺動部の焼き付きが発生しやすい箇所が効率的に抑制される。
(3-4)
ロータリー圧縮機21では、第1ブッシュ82aの第1支持面83aにおいて、第1油溝91の第2端部91bは、背圧室42と連通しない。そのため、第1端部91aから第2端部91bに向かって低圧室40aから第1油溝91に潤滑油が引き込まれる際に、第1油溝91内の潤滑油が背圧室42に排出されることが抑制される。これにより、第1油溝91内の潤滑油の圧力の低下が抑制される。そのため、第1油溝91からベーン摺動部に潤滑油が十分に供給されるので、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが抑制される。
(3-5)
ロータリー圧縮機21の圧縮機構15内部の焼き付きが抑制されるので、ロータリー圧縮機21を備える空気調和装置1の製品寿命が向上する。
(4)変形例
(4-1)第1変形例
図9に示されるように、第1ブッシュ82aの第1支持面83aには、複数の第1油溝91が形成されてもよい。複数の第1油溝91は、第2方向D2に沿って所定の間隔を空けて配置される。低圧室40a内の潤滑油は、ベーン81bの進退によって低圧室40aからそれぞれの第1油溝91に引き込まれて、ベーン摺動部に供給される。本変形例では、第1支持面83aに複数の第1油溝91を形成することで、ベーン摺動部に供給される潤滑油の量を増加させることができ、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが抑制される効果が向上する。本変形例は、他の変形例にも適用可能である。
(4-2)第2変形例
図10は、図6の線分B―Bにおける第1ブッシュ82aの断面図である。図10には、ベーン81bの断面図も示されている。図10に示されるように、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、徐々に深さが小さくなってもよい。
第1油溝91の深さは、第1端部91aから第2端部91bに向かって徐々に小さくなる。そのため、第1端部91aから第2端部91bに向かって低圧室40aから第1油溝91に潤滑油が引き込まれる際に、第1油溝91内の潤滑油の圧力が上昇しやすい。これにより、ベーン摺動部に十分な量の潤滑油が供給されるので、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが効果的に抑制される。また、第1油溝91内の潤滑油の圧力が高いほど、軸受として機能する第1ブッシュ82aに対してベーン81bから作用する荷重である軸受負荷が低減する。そのため、第1ブッシュ82aの軸受負荷能力が向上する。
本変形例では、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、幅が一定であってもよい。
(4-3)第3変形例
図11は、図6の線分B―Bにおける第1ブッシュ82aの断面図である。図11には、ベーン81bの断面図も示されている。図11に示されるように、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、段階的に深さが小さくなってもよい。
第1油溝91の深さは、第1端部91aから第2端部91bに向かって段階的に小さくなる。そのため、第1端部91aから第2端部91bに向かって低圧室40aから第1油溝91に潤滑油が引き込まれる際に、第1油溝91内の潤滑油の圧力が上昇しやすい。これにより、ベーン摺動部に十分な量の潤滑油が供給されるので、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが効果的に抑制される。また、第1油溝91内の潤滑油の圧力が高いほど、軸受として機能する第1ブッシュ82aに対してベーン81bから作用する荷重である軸受負荷が低減する。そのため、第1ブッシュ82aの軸受負荷能力が向上する。
本変形例では、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、幅が一定であってもよい。
(4-4)第4変形例
第1ブッシュ82aの第1支持面83aには、第1油溝91の他に、第2油溝92がさらに形成されてもよい。図12に示されるように、第2油溝92は、背圧室42と連通し、かつ、第1油溝91と連通しない。
第2油溝92の形状、配置、数および向きは特に限定されない。例えば、図12に示されるように、第2油溝92は、第1方向D1に沿って延びる第1分岐溝92aと、第2方向D2に沿って延びる第2分岐溝92bとがT字状に接続される形状を有してもよい。
本変形例では、背圧室42内の潤滑油は、ベーン81bの進退、および、背圧室42と低圧室40aとの間の差圧によって背圧室42から第2油溝92に引き込まれて、ベーン摺動部に供給される。そのため、ベーン摺動部は潤滑油によって効率的に冷却されるので、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが効果的に抑制される。
(4-5)第5変形例
図13に示されるように、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、徐々に幅が小さくなってもよい。この場合、第2変形例と同様に、第1端部91aから第2端部91bに向かって低圧室40aから第1油溝91に潤滑油が引き込まれる際に、第1油溝91内の潤滑油の圧力が上昇しやすい。これにより、ベーン摺動部に潤滑油が十分に供給されるので、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが効果的に抑制される。また、第1ブッシュ82aの軸受負荷能力が向上する。
本変形例では、図14に示されるように、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって幅が一定の部分と、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって幅が徐々に小さくなる部分とを有してもよい。
本変形例では、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、深さが一定であってもよい。
(4-6)第6変形例
図15に示されるように、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、段階的に幅が小さくなってもよい。この場合、第3変形例と同様に、第1端部91aから第2端部91bに向かって低圧室40aから第1油溝91に潤滑油が引き込まれる際に、第1油溝91内の潤滑油の圧力が上昇しやすい。これにより、ベーン摺動部に潤滑油が十分に供給されるので、第1ブッシュ82aの第1支持面83aの焼き付きが効果的に抑制される。また、第1ブッシュ82aの軸受負荷能力が向上する。
本変形例では、第1油溝91は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、深さが一定であってもよい。
(4-7)第7変形例
第1油溝91は、第1方向D1に沿って延びていなくてもよい。例えば、第1油溝91は、第1方向D1と所定の角度を成す方向に沿って延びてもよい。この場合においても、低圧室40a内の潤滑油は、ベーン81bの進退によって低圧室40aから第1油溝91に引き込まれて、ベーン摺動部に供給される。
第1油溝91内の潤滑油の圧力を効果的に上昇させるためには、第1方向D1は低圧室40aの側から背圧室42の側に向かう途中で分岐しないことが好ましい。また、第1方向D1の深さまたは幅は、低圧室40aの側から背圧室42の側に向かって、徐々にまたは段階的に大きくならないことが好ましい。
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
1 :空気調和装置
10 :ケーシング
15 :圧縮機構
21 :ロータリー圧縮機
40 :圧縮室
40a :低圧室
40b :高圧室
42 :背圧室
81 :ピストン
81b :ベーン
82a :第1ブッシュ
82b :第2ブッシュ
83a :第1支持面(第1面)
84 :シリンダ
91 :第1油溝(第1溝)
91a :第1端部
92 :第2油溝(第2溝)
D1 :第1方向
特開2014-037813号公報

Claims (15)

  1. 冷媒が圧縮される圧縮室(40)と、前記圧縮室内の冷媒よりも高圧の冷媒が流入する背圧室(42)とを内部に有する圧縮機構(15)を備え、
    前記圧縮機構は、
    前記圧縮室を低圧室(40a)と高圧室(40b)とに仕切るベーン(81b)と、
    前記低圧室と前記背圧室との間に配置される第1ブッシュ(82a)と、
    前記高圧室と前記背圧室との間に配置される第2ブッシュ(82b)と、
    を有し、
    前記ベーンは、前記第1ブッシュと前記第2ブッシュとの間で進退可能に保持され、
    前記第1ブッシュは、進退する前記ベーンと第1方向(D1)に沿って摺動する第1面(83a)を有し、
    前記第1面は、前記低圧室の側から前記背圧室の側に向かって延びる第1溝(91)を有し、
    前記第1溝は、前記低圧室の側の第1端部(91a)を有し、
    前記第1端部の位置は、前記ベーンの進退に伴って変動し、
    前記第1溝は、前記低圧室の側において前記低圧室と連通し、かつ、前記背圧室の側において前記背圧室と連通しない、
    ロータリー圧縮機(21)。
  2. 前記第1面は、複数の前記第1溝を有する、
    請求項1に記載のロータリー圧縮機。
  3. 前記第1溝は、前記低圧室の側から前記背圧室の側に向かって、徐々に深さが小さくなっている、
    請求項1または2に記載のロータリー圧縮機。
  4. 前記第1溝は、前記低圧室の側から前記背圧室の側に向かって、段階的に深さが小さくなっている、
    請求項1または2に記載のロータリー圧縮機。
  5. 前記第1溝は、前記低圧室の側から前記背圧室の側に向かって、前記第1方向と交差する第2方向(D2)の寸法が一定である、
    請求項3または4に記載のロータリー圧縮機。
  6. 前記第1溝は、前記低圧室の側から前記背圧室の側に向かって、前記第1方向と交差する第2方向(D2)の寸法が徐々に小さくなっている、
    請求項1または2に記載のロータリー圧縮機。
  7. 前記第1溝は、前記低圧室の側から前記背圧室の側に向かって、前記第1方向と交差する第2方向(D2)の寸法が段階的に小さくなっている、
    請求項1または2に記載のロータリー圧縮機。
  8. 前記第1溝は、前記低圧室の側から前記背圧室の側に向かって、深さが一定である、
    請求項6または7に記載のロータリー圧縮機。
  9. 前記第1面は、前記背圧室と連通し前記第1溝と連通しない第2溝(92)をさらに有する、
    請求項1から8のいずれか1項に記載のロータリー圧縮機。
  10. 前記第1溝の前記第1方向に沿う長さは、前記第1ブッシュの前記第1方向に沿う長さの半分以下である、
    請求項1から9のいずれか1項に記載のロータリー圧縮機。
  11. 前記第1溝は、前記第1方向と交差する方向における前記第1ブッシュの中心と重なる位置に配置される、
    請求項1から10のいずれか1項に記載のロータリー圧縮機。
  12. 前記圧縮機構が内部に配置され、かつ、内部において潤滑油が貯留されるケーシング(10)をさらに備え、
    前記第1溝は、前記低圧室から潤滑油が供給される、
    請求項1から11のいずれか1項に記載のロータリー圧縮機。
  13. 前記圧縮機構は、
    シリンダ(84)と、
    前記シリンダと接し、かつ、偏心回転するピストン(81)と、
    をさらに有し、
    前記ベーンは、前記シリンダおよび前記ピストンと共に前記圧縮室を形成する、
    請求項1から12のいずれか1項に記載のロータリー圧縮機。
  14. 前記ベーンは、前記ピストンと一体に形成されている、
    請求項13に記載のロータリー圧縮機。
  15. 請求項1から14のいずれか1項に記載のロータリー圧縮機を備える、
    空気調和装置(1)。
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