JP2023012946A - 封止樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

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Takeshi Saito
和也 上村
Kazuya Kamimura
光昭 襖田
Mitsuaki Fusumada
周平 根来
Shuhei Negoro
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Abstract

【課題】隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性に優れる封止樹脂組成物を提供すること。【解決手段】封止樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、着色剤とを含有し、前記着色剤が、表面処理された着色剤を含む。【選択図】なし

Description

本開示は、封止樹脂組成物及び半導体装置に関する。
電子機器の軽薄短小化に伴って、半導体パッケージの小型化及び薄型化が進んでいる。半導体素子を熱硬化性樹脂封止材で封止することで、上述した半導体パッケージを得ているが、半導体パッケージの薄型化に伴い半導体素子を封止する封止樹脂層も薄型化が進んでいる。
樹脂封止された半導体パッケージでは、製造ロット番号、ロゴマーク等の各種識別情報が封止樹脂層表面に印字されている。封止樹脂層表面への印字方法の一つとして、レーザーマーキング法が知られている。レーザーマーキング法とは、レーザー光により封止樹脂層表面を削り取り印字を行う技術である。レーザーマーキング法によれば、封止樹脂層を直接彫り込むため洗浄等の追加工程が不要で印刷法より生産効率が高く、印字部の耐久性が向上する。
レーザーマーキング性を考慮した封止樹脂組成物として、例えば、特許文献1~3に開示された組成物が挙げられる。
特開2006-278959号公報 特開2016-113566号公報 特開2018-162351号公報
封止樹脂層の薄型化に伴い、半導体素子が透けやすくなり、半導体装置としての外観不良を生ずることがある。
また、半導体素子を封止する封止樹脂層を薄型化すると、それに伴って封止樹脂層における半導体素子上に位置する箇所の厚みも薄型化する。そのため、封止樹脂層における半導体素子上に位置する箇所にレーザーマーキング法により印字を行うと、半導体素子上の封止樹脂層がさらに薄くなるか又は半導体素子が露出し、封止樹脂層としての機能を発揮できなくなる可能性がある。そのため、印字のために封止樹脂層を削り取ることのできる深さが制限され、半導体素子上に印字された各種識別情報の視認性が低下することがある。
本開示の一態様は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性に優れる封止樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、着色剤とを含有し、
前記着色剤が、表面処理された着色剤を含む封止樹脂組成物。
<2> 前記着色剤が、カーボンブラック及び黒色酸化チタンを含み、前記黒色酸化チタンが表面処理されたものである<1>に記載の封止樹脂組成物。
<3> 前記カーボンブラックの前記黒色酸化チタンに対する質量基準の含有比率が、0.01~10.0である<2>に記載の封止樹脂組成物。
<4> 前記着色剤の含有率が、0.01質量%以上である<1>~<3>のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
<5> 25℃で固体であり、且つ、175℃での粘度が、200Pa・s以下である<1>~<4>のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
<6> スパイラルフローが、60cm以上である<1>~<5>のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
<7> 円板フローが、70mm以上である<1>~<6>のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
<8> 175℃におけるゲルタイムが、30秒~90秒である<1>~<7>のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
<9> 半導体素子と、前記半導体素子を封止する<1>~<8>のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
<10> 前記半導体素子上における前記硬化物の平均厚みが、100μm以下である<9>に記載の半導体装置。
本開示の一態様によれば、隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性に優れる封止樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置を提供することができる。
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、複数種の粒子が含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
<封止樹脂組成物>
本開示の封止樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、着色剤とを含有し、前記着色剤が、表面処理された着色剤を含むものである。
本発明者等は、表面処理された着色剤を用いることで、隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性が向上することを見出し、本発明を完成させた。
以下、本開示の封止樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
(エポキシ樹脂)
本開示の封止樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含有する。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有型エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アミノフェノールのグリシジルエーテルであるアミノフェノール型エポキシ樹脂等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐熱性と流動性のバランスの観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれるエポキシ樹脂(これらを「特定エポキシ樹脂」と称する)が好ましい。特定エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂が特定エポキシ樹脂を含む場合、特定エポキシ樹脂の性能を発揮する観点からは、その含有率がエポキシ樹脂全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
特定エポキシ樹脂の中でも、流動性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂又は硫黄原子含有型エポキシ樹脂がより好ましく、耐熱性の観点からは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂又はアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であるYX-4000H(三菱ケミカル株式会社、商品名)、全てのRが水素原子である4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合及びRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基でそれ以外のRが水素原子である場合の混合品であるYL-6121H(三菱ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000001
式(II)中、Rは水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~18の芳香族基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
スチルベン型エポキシ樹脂は、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合と、Rのうち3,3’,5,5’位のうちの3つがメチル基であり、1つがt-ブチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合との混合品等が挙げられる。
Figure 2023012946000002
式(III)中、R及びR10は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂は、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子であり、R12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のR12が水素原子であるYSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000003
式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
硫黄原子含有型エポキシ樹脂は、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’位がt-ブチル基であり、6,6’位がメチル基であり、それ以外のR13が水素原子であるYSLV-120TE(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000004
式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂をグリリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子であり、R15がメチル基であり、i=1であるESCN-190及びESCN-195(住友化学株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=0であるN-770及びN-775(DIC株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=0である部分と、i=1でありR15が-CH(CH)-Phである部分と、を有するスチレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂であるYDAN-1000-10C(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=1でありR15がメチル基である部分と、i=2でありR15のうち一つがメチル基で一つがベンジル基である部分と、を有するベンジル基変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000005
式(VI)中、R14は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP-7200(DIC株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000006
式(VII)中、R16は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、トリフェニルメタン骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限されない。例えば、芳香族アルデヒド化合物とフェノール性化合物とから得られたトリフェニルメタン型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、kが0である1032H60(三菱ケミカル株式会社、商品名)、EPPN-502H(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000007
式(VIII)中、R17及びR18は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ナフトール化合物及びフェノール化合物と、アルデヒド化合物とから得られるノボラック樹脂をエポキシ化した共重合型エポキシ樹脂は、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でiが1であり、jが0であり、kが0であるNC-7300(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000008
式(IX)中、R19~R21は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、jは各々独立に0~2の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。l及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(l+m)は0~10の数を示す。式(IX)で表されるエポキシ樹脂の末端は、下記式(IX-1)又は(IX-2)のいずれか一方である。式(IX-1)及び(IX-2)において、R19~R21、i、j及びkの定義は式(IX)におけるR19~R21、i、j及びkの定義と同じである。nは1(メチレン基を介して結合する場合)又は0(メチレン基を介して結合しない場合)である。
Figure 2023012946000009
上記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂としては、l個の構造単位及びm個の構造単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体等が挙げられる。これらのいずれか1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合型エポキシ樹脂としては、下記2種の構造単位をランダム、交互又はブロックの順序で含むメトキシナフタレン・クレゾールホルムアルデヒド共縮合型エポキシ樹脂であるエピクロンHP-5000(DIC株式会社、商品名)もまた好ましい。下記一般式では、n及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(n+m)は0~10の数を示し、好ましくはn及びmはそれぞれ平均値であり、1~9の数であり、(n+m)は2~10の数を示す。
Figure 2023012946000010
アラルキル型エポキシ樹脂は、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体とから合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。
下記一般式(X)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、R38が水素原子であるNC-3000S(日本化薬株式会社、商品名)、iが0であり、R38が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を質量比80:20で混合したCER-3000(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。また、下記一般式(XI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、lが0であり、jが0であり、kが0であるESN-175(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000011
式(X)及び(XI)において、R38は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R37、R39~R41は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、lはそれぞれ独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(II)~(XI)中のR~R21及びR37~R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8~88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR~R21及びR37~R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R~R21及びR37~R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(III)~(XI)における炭素数1~18の1価の有機基はアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
上記一般式(II)~(XI)中のnは、平均値であり、それぞれ独立に0~10の範囲であることが好ましい。nが10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、封止樹脂組成物の溶融成形時の粘度が低下し、充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等の発生が抑制される傾向にある。nは0~4の範囲に設定されることがより好ましい。
以上、封止樹脂組成物に使用可能な好ましいエポキシ樹脂の具体例を上記一般式(II)~(XI)に沿って説明したが、より具体的な好ましいエポキシ樹脂として、耐熱性の観点からは、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニルが挙げられ、成形性及び耐熱性の観点からは、4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)-ビフェニルが挙げられる。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。成形性、耐熱性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、60g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂は、液状であっても固形であってもよい。エポキシ樹脂が固形である場合、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐熱性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、封止樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
本開示において、軟化点は、JIS K 7234:1986の環球法により測定された値をいう。
本開示において、融点は、JIS K 0064:1992の目視による方法に則って測定された値をいう。
封止樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%~60質量%であることが好ましく、2質量%~50質量%であることがより好ましい。
(硬化剤)
本開示の封止樹脂組成物は、硬化剤を含有する。
硬化剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂の硬化剤として一般に使用されているものから選択できる。硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤としては、アミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性の観点から、硬化剤としてはフェノール系硬化剤又はアミン系硬化剤が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂及び多価フェノール化合物が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤の中でも、耐熱性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(これらを「特定フェノール系硬化剤」と称する)が好ましい。特定フェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤が特定フェノール系硬化剤を含む場合、それらの性能を充分に発揮する観点から、特定フェノール系硬化剤の含有率はフェノール系硬化剤全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。アラルキル型フェノール樹脂は、さらに他のフェノール樹脂と共重合していてもよい。共重合したアラルキル型フェノール樹脂としては、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂等が挙げられる。
アラルキル型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XII)~(XIV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
Figure 2023012946000012
式(XII)~(XIV)において、R23は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R22、R24、R25及びR28は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R26及びR27は水酸基又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、pはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(XII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R23が全て水素原子であるMEH-7851(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるXL-225、XLC(三井化学株式会社、商品名)、MEH-7800(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIV)で表されるフェノール樹脂の中でも、jが0であり、kが0であり、pが0であるSN-170(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)、jが0であり、kが1であり、R27が水酸基であり、pが0であるSN-395(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であるフェノール樹脂が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000013
式(XV)中、R29は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂は、芳香族アルデヒド化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるMEH-7500(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000014
式(XVI)中、R30及びR31は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、0~10の数である。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂は、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であり、qが0であるHE-510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000015
式(XVII)中、R32~R34は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、qはそれぞれ独立に0~5の整数である。l及びmはそれぞれ平均値であり、それぞれ独立に0~11の数である。ただし、lとmの合計は1~11の数である。
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社、商品名)、H-4(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023012946000016
式(XVIII)中、R35は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R36は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるR22~R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23~R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22~R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22及びR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30及びR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるnは、0~10の範囲であることが好ましい。10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、封止樹脂組成物の溶融成形時の粘度も低くなり、充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等が発生し難くなる。1分子中の平均nは0~4の範囲に設定されることが好ましい。
アミン系硬化剤としては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n-プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン等の脂肪族アミン化合物、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、2-メチルアニリン等の芳香族アミン化合物、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール等のイミダゾール化合物、イミダゾリン、2-メチルイミダゾリン、2-エチルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物などが挙げられる。これらの中でも保存安定性の観点からは、芳香族アミン化合物が好ましく、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン及びジメチルチオトルエンジアミンがより好ましい。
硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量、アミン系硬化剤の場合は活性水素当量)は、特に制限されない。成形性、耐熱性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、10g/eq~1000g/eqであることが好ましく、30g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
フェノール硬化剤の場合における水酸基当量は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出された値をいう。また、アミン系硬化剤の場合における活性水素当量は、JIS K7237:1995に準拠して測定されたアミン価に基づいて算出された値をいう。
硬化剤が固体である場合の軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐熱性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、封止樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比(樹脂中のエポキシ基のモル数/硬化剤の活性水素のモル数)は、特に制限はないが、それぞれの未反応分を少なく抑える観点から、例えば、0.7~1.6であることが好ましく、0.8~1.4であることがより好ましく、0.9~1.2であることがさらに好ましい。
(硬化促進剤)
封止樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂の種類、封止樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
具体的には、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;エチルホスフィン、フェニルホスフィン等の1級ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の2級ホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の3級ホスフィンなどの、有機ホスフィン;前記有機ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン、アントラキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート等のテトラ置換ホスホニウムのテトラフェニルボレート塩、テトラ置換ホスホニウムとフェノール化合物との塩などの、テトラ置換ホスホニウム化合物;ホスホベタイン化合物;ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物などが挙げられる。
低温硬化が可能な硬化促進剤としては、トリブチルホスフィンと1,4-ベンゾキノンの付加物、ジメチルアミノピリジン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
封止樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、硬化促進剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤との合計量に対して、0.1質量%~8質量%であることが好ましい。
(無機充填材)
封止樹脂組成物は、無機充填材を含有する。
無機充填材の種類は、特に制限されない。具体的には、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは球状シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填材は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填材の状態としては粉末、粉末を球形化したビーズ、繊維等が挙げられる。
無機充填材の含有率は特に制限されない。流動性及び強度の観点からは、封止樹脂組成物全体の30体積%~90体積%であることが好ましく、35体積%~85体積%であることがより好ましく、40体積%~80体積%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率が封止樹脂組成物全体の30体積%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が封止樹脂組成物全体の90体積%以下であると、封止樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
無機充填材の平均粒子径は、特に制限されない。例えば、体積平均粒子径が20μm以下であることが好ましく、0.1μm~20μmであることがより好ましく、0.2μm~18μmであることがさらに好ましく、0.3μm~15μmであることが特に好ましい。体積平均粒子径が20μm以下であると、狭い隙間への充填性が向上する傾向にある。また、体積平均粒子径が0.1μm以上であると、封止樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。
無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により、体積平均粒子径(D50)として測定することができる。
無機充填材の最大粒子径(カットポイントともいう)は特に制限されない。狭い隙間への充填性の観点からは、無機充填材の最大粒子径は150μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、55μm以下であることがさらに好ましく、20μm以下であることが特に好ましい。
封止樹脂組成物の流動性の観点からは、無機充填材の粒子形状は角形よりも球形が好ましく、また無機充填材の粒度分布は広範囲に分布したものが好ましい。
(着色剤)
封止樹脂組成物は、着色剤を含有する。着色剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。本開示の封止樹脂組成物では、着色剤が、表面処理された着色剤を含む。
着色剤としてはカーボンブラック、黒色酸化チタン、有機染料、有機顔料、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。これらの中でも、隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性をさらに向上する観点から、カーボンブラック及び黒色酸化チタンを併用することが好ましい。
着色剤としてカーボンブラック及び黒色酸化チタンを併用する場合、少なくとも黒色酸化チタンが表面処理されていることが好ましく、表面処理された黒色酸化チタンと、表面処理されていないカーボンブラックとを併用することがより好ましい。
黒色酸化チタンは、Ti(2n-1)(nは正の整数)として存在する。本開示において用いられる黒色酸化チタンTi(2n-1)としては、nが4~6であるものを用いることが好ましい。nを4以上とすることにより、封止樹脂組成物中における黒色酸化チタンの分散性を向上させることができる傾向にある。一方、nを6以下とすることにより、レーザーマーキング法による印字性をより向上させることができる傾向にある。封止樹脂組成物は、黒色酸化チタンとしてTi、Ti、及びTi11のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
表面処理された着色剤としては、表面処理剤により表面処理された着色剤が挙げられる。
着色剤に用いる表面処理剤は、着色剤の種類に応じて適宜選択される。例えば、黒色酸化チタンの表面処理剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン及びメタクリロキシオクチルトリメトキシシランを挙げることができる。
チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート及びテトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネートを挙げることができる。
着色剤の表面処理方法は、着色剤の種類に応じて適宜選択される。黒色酸化チタンの表面処理方法は、黒色酸化チタンを含むスラリーに、カップリング剤を含む溶液を加えて、撹拌した後、表面処理された黒色酸化チタンを濾過等により分離して乾燥する方法、カップリング剤を黒色酸化チタンに噴霧し乾燥する方法等を挙げることができる。
黒色酸化チタンの平均粒子径は、特に制限されない。例えば、黒色酸化チタンの体積平均粒子径は0.01μm~1μmであることが好ましく、0.015μm~0.1μmであることがより好ましく、0.02μm~0.07μmであることがさらに好ましい。黒色酸化チタンの体積平均粒子径が0.01μm以上であると、封止樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。黒色酸化チタンの体積平均粒子径が1μm以下であると、狭い隙間への充填性がより向上する傾向にある。
カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック等が挙げられる。
封止樹脂組成物中における着色剤の含有率は、レーザーマーキング法による印字性を向上させる観点から、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることがさらに好ましく、1.2質量%以上であることが特に好ましい。
一方で、封止樹脂組成物中における着色剤の含有率は、増粘の観点から、3.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以下であることがより好ましく、2.0質量%以下であることがさらに好ましい。
着色剤としてカーボンブラックと黒色酸化チタンとが併用される場合、カーボンブラックの黒色酸化チタンに対する質量基準の含有比率(カーボンブラック/黒色酸化チタン)は、0.01~10.0であることが好ましく、0.1~2.0であることがより好ましく、0.2~1.0であることがさらに好ましい。
(各種添加剤)
封止樹脂組成物は、上述の成分に加えて、以下に例示するカップリング剤、イオン交換体、離型剤、難燃剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含有してもよい。封止樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を含有してもよい。
-カップリング剤-
封止樹脂組成物は、エポキシ樹脂と無機充填材との接着性を高めるために、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。
封止樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の量は、無機充填材100質量部に対して0.05質量部~5質量部であることが好ましく、0.1質量部~2.5質量部であることがより好ましい。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して0.05質量部以上であると、部材との接着性がより向上する傾向にある。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
-イオン交換体-
封止樹脂組成物は、イオン交換体を含有してもよい。特に、半導体装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含有することが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、ハイドロタルサイト化合物、並びに、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の含水酸化物が挙げられる。イオン交換体は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO ……(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
封止樹脂組成物がイオン交換体を含有する場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、エポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~5質量部であることがより好ましい。
-離型剤-
封止樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含有してもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
封止樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量はエポキシ樹脂100質量部に対して0.01質量部~15質量部が好ましく、0.1質量部~10質量部がより好ましい。離型剤の量がエポキシ樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。15質量部以下であると、より良好な接着性が得られる傾向にある。
-難燃剤-
封止樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
封止樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、その含有量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部~300質量部であることが好ましく、2質量部~150質量部であることがより好ましい。
-応力緩和剤-
封止樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含有してもよい。応力緩和剤を含有することにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シリコーン系応力緩和剤が好ましい。シリコーン系応力緩和剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられる。
(封止樹脂組成物の調製方法)
封止樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。封止樹脂組成物が固形である場合、一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー、2軸押出機等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
封止樹脂組成物が液状である場合、一般的な手法としては、所定の配合量の成分を秤量し、三本ロール、らい潰機、プラネタリーミキサー、ハードミキサー、ホモミキサー等によって分散し混練を行う方法を挙げることができる。また、各配合成分を予備分散及び予備加熱させたマスターバッチを用いる手法が、均一分散性及び流動性の点から好ましい。
封止樹脂組成物が固形である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状、ペレット状等が挙げられる。封止樹脂組成物がタブレット状又はペレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
封止樹脂組成物が液状である場合、25℃における粘度は、1000Pa・s未満であることが好ましく、800Pa・s以下であることがより好ましく、500Pa・s以下であることがさらに好ましい。
本開示において、25℃における粘度は、コーンプレート(直径48mm、コーン角1°)を装着した回転式のせん断粘度計を用いて、10回転/分のせん断速度で測定される値をいう。
封止樹脂組成物が25℃で固体である場合、封止樹脂組成物の175℃での粘度は、200Pa・s以下であることが好ましく、180Pa・s以下であることがより好ましく、150Pa・s以下であることがさらに好ましい。封止樹脂組成物が固体である場合、封止樹脂組成物の175℃での粘度は、30Pa・s以上であってもよい。
本開示の封止樹脂組成物は表面処理された着色剤を含むため175℃での流動性に優れ、充填性に優れる傾向にある。
175℃での粘度は、レオメータ粘度計により、パラレルプレート20mm、せん断速度(5 1/s)の条件により測定された値をいう。
封止用樹脂組成物の175℃におけるゲルタイムは、30秒~90秒であることが好ましく、30秒~70秒であることがより好ましい。
175℃におけるゲルタイムの測定は、以下のようにして行う。具体的には、封止用樹脂組成物の試料0.5gを175℃に熱した熱板上に乗せ、治具を用いて20回転/分-25回転/分の回転速度で、試料を直径が2.0cm~2.5cmの円状に均一に広げる。試料を熱板に乗せてから、試料の粘性がなくなり、ゲル状態となって熱板から剥がれるようになるまでの時間を計測し、これをゲルタイム(秒)とする。
封止樹脂組成物のスパイラルフローは、24インチ(60cm)以上であることが好ましく、28インチ(70cm)以上であることがより好ましく、31インチ(80cm)以上であることがさらに好ましく、35インチ(90cm)以上であることが特に好ましく、39インチ(100cm)以上であることが極めて好ましい。スパイラルフローは、99インチ(250cm)以下であってもよい。なお、括弧内の数値(cm)は換算値を表す。
スパイラルフローは、例えば、規格(EMMI-1-66)に準拠したスパイラルフロー測定用金型を用いて、封止樹脂組成物を、プランジャー底部圧力換算値の油圧70kgf/cm(約6.86MPa)で注入し、175℃、120秒の条件で成形したときの成形物の長さとして測定される流動距離により評価することができる。
封止樹脂組成物の180℃における円板フローは、ワイヤ流れを低減する観点から、70mm以上であることが好ましく、80mm以上であることがより好ましく、90mm以上であることがさらに好ましい。封止樹脂組成物の180℃における円板フローは、200mm以下であってもよい。
円板フローは、200mm(W)×200mm(D)×25mm(H)の上型と200mm(W)×200mm(D)×15mm(H)の下型を有する円板フロー測定用平板金型を用いて、上皿天秤にて秤量した封止樹脂組成物5gを、180℃に加熱した下型の中心部にのせ、5秒後に、180℃に加熱した上型を閉じて、荷重78N、硬化時間90秒の条件で圧縮成形し、ノギスで成形品の長径(mm)及び短径(mm)を測定して、その平均値(mm)として得られた値である。
<半導体装置>
本開示の半導体装置は、半導体素子と、半導体素子を封止する本開示の封止樹脂組成物の硬化物と、を有する。
封止樹脂組成物を用いて半導体素子を封止する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することが可能である。例えば、トランスファーモールド法、コンプレッションモールド法、インジェクション成形法等が挙げられる。これらの中でも、封止樹脂層の薄型化の観点から、コンプレッションモールド法が好ましい。
本開示の半導体装置は、半導体素子上における硬化物の平均厚みが、100μm以下であってもよい。本開示の封止樹脂組成物は隠蔽性に優れるため、半導体素子上における硬化物の平均厚みが100μm以下であっても、半導体素子を容易に隠蔽することができる傾向にある。また、本開示の封止樹脂組成物はレーザーマーキング法による印字の視認性に優れるため、半導体素子上における硬化物の平均厚みが100μm以下であっても、半導体素子上に印字された各種識別情報の視認性の低下が抑制される傾向にある。半導体素子上における硬化物の平均厚みは、80μm以下であってもよく、60μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。また、半導体素子上における硬化物の平均厚みは、20μm以上であってもよい。
硬化物の平均厚みは、電子顕微鏡を用いて、測定対象の断面を観察することで測定することができる。硬化物の平均厚みは、5点の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。
本開示の半導体装置を構成する半導体素子は、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等が挙げられる。
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
-封止樹脂組成物の調製-
表1に示す成分を表1に示す量(質量部)にて混合し、封止樹脂組成物を調製した。具体的には、材料を混合後、装置内部温度が70℃~100℃に調整された2軸押出機により混練し、冷却後粉砕して封止樹脂組成物を得た。
各成分の詳細は下記の通りである。
エポキシ樹脂1…ビフェニル型エポキシ樹脂
エポキシ樹脂2…ジフェニルメタン型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)
硬化剤1…ノボラック型フェノール樹脂
硬化剤2…アラルキル型フェノール樹脂
硬化促進剤…リン系硬化促進剤
カップリング剤…N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
着色剤1…カーボンブラック
着色剤2…体積平均粒子径が0.5μmのカップリング剤で表面処理されていない黒色酸化チタン
着色剤3…体積平均粒子径が0.5μmのカップリング剤で表面処理されていない黒色酸化チタン(低α線グレード)
着色剤4…体積平均粒子径が0.05μmのカップリング剤で表面処理された処理黒色酸化チタン
無機充填材1…体積平均粒子径が0.6μmの球状シリカ
無機充填材2…体積平均粒子径が12μmの球状シリカ
-色差ΔEの測定-
色差ΔEを、下記方法に則って測定した。色差ΔEが低いほど、隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性に優れるといえる。
圧縮成形装置PMC1040-S(TOWA株式会社)を用い、成形品の体積に見合う量の封止樹脂組成物を配置して上下金型で挟み、自動加熱プレスして硬化させることにより、厚みが60μmの箇所を有する硬化物を得た。
得られた硬化物における厚みが60μmの箇所について、下記方法により色差ΔEを求めた。得られた結果を表1に示す。
CM-3600A(コニカミノルタ株式会社)を用いてL色空間(CIE1976)で表される色空間座標(L1 、a1 、b1 )を測定した。測定した値L1 、a1 及びb1 を用いて下記式より座標(L=0、a=0、b=0)との色差ΔEを算出した。
ΔE=[(L -0)+(a -0)+(b -0)1/2
硬化物の測定箇所における厚みは、電子顕微鏡を用いて、測定対象の断面を観察することで測定した。
-透け性評価-
240mm×70mmのガラスエポキシ基板の上に、10mm×10mm×400μmのシリコンチップを搭載した。さらに、基板に搭載されたシリコンチップ上面に厚さ30μmのポリイミドテープを貼り付けた。その後シリコンチップを搭載された基板を、ポリイミドテープ上の樹脂層の厚みが40μmとなるように、比較例及び実施例に記載の封止樹脂組成物にて封止して、封止成形物を得た。
ここで、封止成形物の成形は、圧縮成形装置PMC1040-S(TOWA株式会社)を用い、175℃で120秒の条件で行った。そうして得られた封止成形物を樹脂層上から見たときに、ポリイミドテープが透けているかどうかを6人の評価者が目視により下記基準で評価した。得られた結果を表1に示す。
A:透けない
B:見る角度によっては透けるが、実用上問題ない
C:透ける
-視認性評価-
比較例及び実施例に記載の封止樹脂組成物の硬化物に対しグラボテック株式会社のEnergyHYBRID H20を用いて「ABC」の文字を一文字あたり1mm×1mmの大きさでマーキングした。マーキング深さが10μmになるようマーキング条件は適宜設定した。そうして得られた「ABC」の文字を6人の評価者が目視により下記基準で評価した。得られた結果を表1に示す。
A:視認性良好
B:視認可能であり、実用上問題ない
C:視認不可
-スパイラルフローの評価-
スパイラルフローは、先述の方法で測定した。得られた結果を表1に示す。
-ゲルタイムの評価-
ゲルタイムは、先述の方法で測定した。得られた結果を表1に示す。
-粘度の評価-
175℃での粘度は、先述の方法で測定した。得られた結果を表1に示す。
Figure 2023012946000017
表1の評価結果から明らかなように、実施例の封止樹脂組成物は、隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性に優れることがわかる。

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、着色剤とを含有し、
    前記着色剤が、表面処理された着色剤を含む封止樹脂組成物。
  2. 前記着色剤が、カーボンブラック及び黒色酸化チタンを含み、前記黒色酸化チタンが表面処理されたものである請求項1に記載の封止樹脂組成物。
  3. 前記カーボンブラックの前記黒色酸化チタンに対する質量基準の含有比率が、0.01~10.0である請求項2に記載の封止樹脂組成物。
  4. 前記着色剤の含有率が、0.01質量%以上である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
  5. 25℃で固体であり、且つ、175℃での粘度が、200Pa・s以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
  6. スパイラルフローが、60cm以上である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
  7. 円板フローが、70mm以上である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
  8. 175℃におけるゲルタイムが、30秒~90秒である請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物。
  9. 半導体素子と、前記半導体素子を封止する請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の封止樹脂組成物の硬化物と、を有する半導体装置。
  10. 前記半導体素子上における前記硬化物の平均厚みが、100μm以下である請求項9に記載の半導体装置。
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