JP2023023486A - エポキシ樹脂組成物、硬化物、及び電子部品装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電気的信頼性に優れる電子部品装置を作製可能なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに前記エポキシ樹脂組成物を用いた電子部品装置を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、下記式(B1)の構成単位及び式(B2)の構成単位を有する化合物を含む硬化剤と、無機充填材と、特定のハイドロタルサイト化合物を含有する。式(B1)及び式(B2)中、R2~R5は、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の有機基を表す。JPEG2023023486000010.jpg60146【選択図】なし

Description

本開示は、エポキシ樹脂組成物、硬化物、及び電子部品装置に関する。
半導体パッケージを封止する封止用組成物として、エポキシ樹脂を含むものが広く用いられている。しかし、エポキシ樹脂はエピクロロヒドリンを用いて合成される場合が多く、このようなエポキシ樹脂を含む封止用組成物中には、エピクロロヒドリンに由来する塩素イオン等の不純物イオンが残留する傾向にある。このような封止用組成物を用いて半導体パッケージを作製すると、不純物イオンの存在によってワイヤの腐食が進みやすい。そこで、半導体パッケージの耐湿信頼性を向上させるために、不純物イオンを捕捉するイオントラップ剤としてハイドロタルサイト化合物をエポキシ樹脂組成物中に含有させることが試みられている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015-44898号公報
一方、ハイドロタルサイト化合物を配合したエポキシ樹脂組成物を電子部品装置に用いた場合の電気的信頼性には改良の余地がある。本開示は、電気的信頼性に優れる電子部品装置を作製可能なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに前記エポキシ樹脂組成物を用いた電子部品装置の提供に関する。
上記課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1> エポキシ樹脂と、
下記式(B1)の構成単位及び式(B2)の構成単位を有する化合物を含む硬化剤と、
無機充填材と、
MgとAlのモル比(Mg/Al)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物を含む、ハイドロタルサイト化合物と、
を含有する、エポキシ樹脂組成物。
Figure 2023023486000001
式(B1)及び式(B2)中、
~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の有機基を表し、
X2及びX3は、それぞれ独立に、0~4の整数を表し、
X4及びX5は、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、
n1は1~10の数を表し、
n2は1~10の数を表し、
式(B2)の構成単位は式(B1)の構成単位とは別個に存在する。
<2> 前記硬化剤の全質量に対する前記式(B1)の構成単位及び式(B2)の構成単位を有する化合物の含有率が30質量%~100質量%である、<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 前記無機充填材の含有率が、前記エポキシ樹脂組成物の全体積に対して50体積%~95体積%である、<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> 前記MgとAlのモル比(Mg/Al)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物の体積平均粒子径が20μm以下である、<1>~<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 前記MgとAlのモル比(Mg/Al)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物の含有量が、エポキシ樹脂の全質量に対して、0.01質量%以上である、<1>~<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> <1>~<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
<7> プレッシャークッカー試験における121℃、2.1気圧下での20時間後の吸水率が0.30質量%以下である、<6>に記載の硬化物。
<8> 素子と、前記素子を封止する<6>又は<7>に記載の硬化物と、を備える電子部品装置。
本開示によれば、電気的信頼性に優れる電子部品装置を作製可能なエポキシ樹脂組成物及びその硬化物、並びに前記エポキシ樹脂組成物を用いた電子部品装置が提供される。
以下、本開示の実施形態を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示の実施形態は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示の実施形態を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示においてエポキシ樹脂組成物中の「樹脂成分」とはエポキシ樹脂組成物から無機充填材を除く成分を意味する。
本開示においてエポキシ樹脂組成物中の各成分の含有量又は含有率は、エポキシ樹脂組成物中に溶剤等の揮発成分が存在する場合には、当該揮発成分を除いた量に基づく含有量又は含有率を意味する。「揮発成分」とは、150℃、1時間の加熱により揮発する成分を意味する。
≪エポキシ樹脂組成物≫
エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂と、下記式(B1)の構成単位及び式(B2)の構成単位を有する化合物(以下、「特定硬化剤」ともいう)を含む硬化剤と、無機充填材と、MgとAlのモル比(Mg/Al)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物(以下、「特定ハイドロタルサイト化合物」ともいう)を含む、ハイドロタルサイト化合物と、を含有する。
Figure 2023023486000002
式(B1)及び式(B2)中、
~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の有機基を表し、
X2及びX3は、それぞれ独立に、0~4の整数を表し、
X4及びX5は、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、
n1は1~10の数を表し、
n2は1~10の数を表し、
式(B2)の構成単位は式(B1)の構成単位とは別個に存在する。
本開示のエポキシ樹脂組成物は電気的信頼性に優れる電子部品装置を作製可能である。この理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。特定ハイドロタルサイト化合物は良好な不純物イオン捕捉能を有するが、水分の存在により凝集しやすく、良好な分散性を得られにくい。一方、特定硬化剤を含有する本開示のエポキシ樹脂組成物によれば、樹脂材料の吸水を抑制することができ、特定ハイドロタルサイト化合物が樹脂材料内に良好に分散すると考えられる。この結果、特定ハイドロタルサイト化合物のイオン捕捉能が特に良好に発揮され、良好な電気的信頼性を得ることができると考えられる。
以下、エポキシ樹脂組成物の各成分について詳述する。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂組成物はエポキシ樹脂を含有する。エポキシ樹脂は1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。エポキシ樹脂は25℃、大気圧下で固体であっても液体であってもよく、固体であることが好ましい。
具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選択される少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有型エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐リフロー性と流動性のバランスの観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂からなる群より選択されるエポキシ樹脂(これらを「特定エポキシ樹脂」と称する)が好ましい。特定エポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂が特定エポキシ樹脂を含む場合、特定エポキシ樹脂の性能を発揮する観点からは、その合計含有率がエポキシ樹脂全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
特定エポキシ樹脂の中でも、流動性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、及び硫黄原子含有型エポキシ樹脂がより好ましく、耐熱性の観点からは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。
一態様において、エポキシ樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂を含んでもよい。
エポキシ樹脂がフェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂を含む場合、当該共重合型エポキシ樹脂の含有率はエポキシ樹脂の全質量に対して50質量%~100質量%であってもよく、70質量%~100質量%であってもよく、90質量%~100質量%であってもよい。
ナフトール化合物及びフェノール化合物と、アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化した共重合型エポキシ樹脂は、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でiが1であり、jが0であり、kが0であるNC-7300(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023023486000003

式(IX)中、R19~R21は炭素数1~18の1価の有機基(好ましくはアルキル基又はアリール基)を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、jは各々独立に0~2の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。l及びmはそれぞれ平均値であり、0超10以下の数であり、(l+m)は0超10以下の数を示す。式(IX)で表されるエポキシ樹脂の末端は、下記式(IX-1)又は(IX-2)である。式(IX-1)及び(IX-2)において、R19~R21、i、j及びkの定義は式(IX)におけるR19~R21は、i、j及びkの定義と同じである。nは1(メチレン基を介して結合する場合)又は0(メチレン基を介して結合しない場合)である。
Figure 2023023486000004
上記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂としては、l個の構成単位及びm個の構成単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体等が挙げられる。これらのいずれか1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合型エポキシ樹脂としては、下記2種の構造単位をランダム、交互又はブロックの順序で含むメトキシナフタレン・クレゾールホルムアルデヒド共縮合型エポキシ樹脂である下記の一般式で表されるエピクロンHP-5000(DIC株式会社、商品名)もまた好ましい。下記一般式では、n及びmはそれぞれ平均値であり、0超10以下の数であり、(n+m)は0超10以下の数を示し、好ましくはn及びmはそれぞれ平均値であり、1~9の数であり、(n+m)は2~10の数を示す。
Figure 2023023486000005
エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。成形性、耐リフロー性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100g/eq~1000g/eqであることが好ましく、150g/eq~500g/eqであることがより好ましく、160g/eq~300g/eqであることがさらに好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
エポキシ樹脂が固体である場合、その軟化点又は融点は特に制限されない。エポキシ樹脂の軟化点又は融点は、成形性と耐リフロー性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
エポキシ樹脂の融点は示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、エポキシ樹脂の軟化点はJIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点からは0.5質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~30質量%であることがより好ましい。
<硬化剤>
エポキシ樹脂組成物は、下記式(B1)の構成単位及び式(B2)の構成単位を有する化合物(すなわち特定硬化剤)を含む硬化剤を含有する。
Figure 2023023486000006
式(B1)及び式(B2)中、
~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の有機基を表し、
X2及びX3は、それぞれ独立に、0~4の整数を表し、
X4及びX5は、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、
n1は1~10の数を表し、
n2は1~10の数を表し、
式(B2)の構成単位は式(B1)の構成単位とは別個に存在する。
以下、式(B1)の構成単位を(B1)単位ともいい、式(B2)の構成単位を(B2)単位ともいう。
「式(B2)の構成単位は式(B1)の構成単位とは別個に存在する」とは、(B2)単位が(B1)単位の一部ではなく、(B1)単位を形成する成分とは別個の重合成分に基づく構成単位であることを意味する。
特定硬化剤はn1個の(B1)単位とn2個の(B2)単位とを有する。(B1)単位と(B2)単位の連結様式は特に制限されない。特定硬化剤が(B1)単位及び(B2)単位をそれぞれ複数有する場合には、(B1)単位と(B2)単位の連結様式は例えばブロック共重合又はランダム共重合であってもよく、ブロック共重合が好ましい。
特定硬化剤は、下記式(B)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023023486000007
式(B)中、
~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の有機基を表し、
X1~X3は、それぞれ独立に、0~4の整数を表し、
X4及びX5は、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、
n1は1~10の数を表し、
n2は1~10の数を表す。
式(B1)、式(B2)及び式(B)において、R~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の有機基であり、炭素数1~3の1価の有機基であることが好ましい。R~Rで表される炭素数1~6の1価の有機基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソプロピル基、イソブチル基、t-ブチル基等が挙げられる。
式(B1)、式(B2)及び式(B)において、X1~X3は、それぞれ独立に、0~2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
式(B1)、式(B2)及び式(B)において、X4及びX5は、それぞれ独立に、0~2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
式(B1)、式(B2)及び式(B)において、n1及びn2はそれぞれ括弧内の構造単位の繰り返し数の平均値である。
特定硬化剤の水酸基当量は、130g/eq~200g/eqであることが好ましく、150g/eq~180g/eqであることがより好ましい。特定硬化剤の水酸基当量は後述の方法により測定される。
特定硬化剤が固体である場合、その軟化点又は融点は特に制限されず、成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。流動性を向上させる観点及びエポキシ樹脂組成物の硬化物の高温弾性率を低下させ、耐リフロー性を向上させる観点からは、特定硬化剤の軟化点又は融点は50℃~100℃であることが好ましく、50℃~75℃であることがより好ましく、50℃~70℃であることがさらに好ましい。
特定硬化剤は、いずれか1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
硬化剤としては、特定硬化剤以外にさらに他の硬化剤を併用してもよい。硬化剤の全質量に対する特定硬化剤の含有率は、30質量%~100質量%であることが好ましく、40質量%~100質量%であることがより好ましく、50質量%~100質量%であってもよく、70質量%~100質量%であってもよい。
特定硬化剤以外の硬化剤としては、フェノール硬化剤(フェノール性水酸基を分子中に有する化合物;特定硬化剤を除く)、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。耐熱性向上の観点からは、硬化剤は、フェノール硬化剤が好ましい。硬化剤は、25℃、大気圧下において固体であっても液状であってもよく、固体であることが好ましい。
フェノール硬化剤として具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選択される少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等と、から合成される、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂(特定硬化剤を除く);パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンと、から共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。フェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール硬化剤の中でも、耐リフロー性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。これらのフェノール硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特定硬化剤以外の硬化剤の官能基当量(フェノール硬化剤の場合は水酸基当量、アミン硬化剤の場合は活性水素当量)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、特定硬化剤以外の硬化剤の官能基当量は70g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
フェノール硬化剤の場合における水酸基当量は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出された値をいう。また、アミン系硬化剤の場合における活性水素当量は、JIS K7237:1995に準拠して測定されたアミン価に基づいて算出された値をいう。
硬化剤が固体である場合、その軟化点又は融点は、特に制限されない。硬化剤の軟化点又は融点は、成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
エポキシ樹脂と硬化剤との当量比、すなわちエポキシ樹脂中のエポキシ基数に対する硬化剤中の官能基数の比(硬化剤中の官能基数/エポキシ樹脂中のエポキシ基数)は、特に制限されない。それぞれの未反応分を少なく抑える関連からは、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比は0.5~2.0の範囲に設定されることが好ましく、0.6~1.3の範囲に設定されることがより好ましい。成形性と耐リフロー性の観点からは、エポキシ樹脂と硬化剤との当量比は0.8~1.2の範囲に設定されることがさらに好ましい。
<無機充填材>
エポキシ樹脂組成物は、無機充填材を含有する。無機充填材の材質は特に制限されない。
無機充填材の材質として具体的には、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。
無機充填材の中でも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカ等のシリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。
無機充填材の形状は特に制限されず、充填性及び金型摩耗性の点からは、球形が好ましい。
無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、「無機充填材を2種以上併用する」とは、例えば、同じ成分で平均粒子径が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合、平均粒子径が同じで成分の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合並びに平均粒子径及び種類の異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
無機充填材が粒子状である場合、その平均粒子径は、特に制限されない。例えば、無機充填材全体の体積平均粒子径は、80μm以下であることが好ましく、50μm以下であってもよく、40μm以下であってもよく、30μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。また、無機充填材全体の体積平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。無機充填材の体積平均粒子径が0.1μm以上であると、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇が抑制される傾向がある。無機充填材の体積平均粒子径が80μm以下であると、狭い隙間への充填性がより向上する傾向にある。無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、商品名:LA920)により測定される体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
無機充填材は、狭い隙間への充填性の向上の観点から、最大粒子径が制御されていることが好ましい。無機充填材の最大粒子径は適宜調整してよく、充填性の観点からは、105μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、60μm以下であってもよく、40μm以下であってもよい。最大粒子径はレーザー回折散乱式粒子径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製、商品名:LA920)により測定される体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が90%となるときの粒子径(D90)とする。
無機充填材の含有率は特に制限されない。無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物の全体積に対して50体積%以上であることが好ましく、60体積%以上であることがより好ましく、70体積%以上であることがさらに好ましく、75体積%以上であることが特に好ましく、80体積%以上であることが極めて好ましい。無機充填材の含有率をエポキシ樹脂組成物全体の50体積%以上とすることによって、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性を好適に向上させることができる傾向にある。
また、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物の全体積に対して95体積%以下であることが好ましく、90体積%以下であることがより好ましく、87体積%以下であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率がエポキシ樹脂組成物全体の95体積%以下であると、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
以上の観点から、無機充填材の含有率はエポキシ樹脂組成物の全体積に対して50体積%~95体積%であることが好ましく、60体積%~95体積%であることがより好ましく、70体積%~95体積%であることがさらに好ましく、75体積%~90体積%であることが特に好ましく、80体積%~87体積%であることが極めて好ましい。
エポキシ樹脂組成物の硬化物中の無機充填材の含有率は、次のようにして測定することができる。まず、硬化物の総質量を測定し、該硬化物を400℃で2時間、次いで700℃で3時間焼成し、樹脂成分を蒸発させ、残存した無機充填材の質量を測定する。得られた各質量及びそれぞれの比重から体積を算出し、硬化物の総体積に対する無機充填材の体積の割合を得て、無機充填材の含有率とする。
<ハイドロタルサイト化合物>
エポキシ樹脂組成物はハイドロタルサイト化合物を含有し、前記ハイドロタルサイト化合物は、元素としてMgとAlを含み、MgとAlのモル比(Mg/Al)(以下、「Mg/Al比」ともいう)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物(すなわち特定ハイドロタルサイト化合物)を含む。
本開示において、ハイドロタルサイト化合物は、天然ハイドロタルサイトであっても合成ハイドロタルサイト(ハイドロタルサイト様化合物)であってもよい。
ハイドロタルサイト化合物は、未焼成ハイドロタルサイト化合物であってもよく、焼成ハイドロタルサイト化合物であってもよく、両者を併用してもよい。
ハイドロタルサイト化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上のハイドロタルサイト化合物を用いる場合としては、Mg/Al比、平均粒子径、比表面積等の異なる2種類以上のハイドロタルサイト化合物を用いる場合が挙げられる。
特定ハイドロタルサイト化合物は元素としてMgとAlを含みMg/Al比が2.4以上のものであれば構造は特に制限されない。特定ハイドロタルサイト化合物としては、例えば下記式(1)で表される化合物が挙げられる。
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO ……(1)
(0<X≦0.29、mは正数)
式(1)において、XはMgのAlへの置換量を表す正数であり、0<X≦0.29であり、0.20≦X≦0.29であることがより好ましい。
mは0を超える正数を表し、0<m≦2であることが好ましい。
特定ハイドロタルサイト化合物のMg/Al比は2.4以上であり、2.5以上であることが好ましく、2.6以上であることがより好ましく、2.7以上であることがさらに好ましく、2.8以上であることが特に好ましい。また、Mg/Al比は、4.0以下であることが好ましく、3.5以下であってもよく、3.2以下であってもよい。以上の観点から、Mg/Al比は、2.4~4.0であってもよく、2.5~4.0であってもよく、2.6~4.0であってもよく、2.7~3.5であってもよく、2.8~3.2であってもよい。
Mg/Al比が大きいほど、結晶中の層間距離が長くなる傾向にある。Mg/Al比が2.4以上であると、層間距離が狭くなりすぎず、効率的に不純物イオンを捕捉できると考えられる。また、Mg/Al比が4.0以下であると、適度な層状構造が維持され、効率的に不純物イオンを捕捉できると考えられる。
Mg/Al比はエネルギー分散型X線分析によって測定することができる。
特定ハイドロタルサイト化合物の製造方法は特に制限されず、通常の方法で合成することができる。特定ハイドロタルサイト化合物のMg/Al比は、例えば、原料として使用するMg塩とAl塩のモル比を調整することで所望の値に設定することができる。
特定ハイドロタルサイト化合物の形状は特に制限されず、粒子状であることが好ましい。粒子形状は例えば球状であってもよく、多面体であってもよい。
特定ハイドロタルサイト化合物が粒子状である場合の体積平均粒子径は特に制限されない。特定ハイドロタルサイト化合物の体積平均粒子径は、例えば0.01μm~20μmであってもよい。一態様において、特定ハイドロタルサイト化合物の体積平均粒子径は、20μm以下であってもよく、15μm以下であってもよく、10μm以下であってもよい。また、特定ハイドロタルサイト化合物の体積平均粒子径は0.01μm以上であってもよく、0.05μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよい。体積平均粒子径が20μm以下であると、優れた電気的信頼性が得られる傾向にある。体積平均粒子径が0.1μm以上であると、樹脂組成物中での分散性が良好になる傾向にある。以上の観点からは、体積平均粒子径は、0.01μm~20μmであってもよく、0.05μm~15μmであってもよく、0.1μm~10μmであってもよい。
本開示において、特定ハイドロタルサイト化合物の体積平均粒子径に言及する場合、当該粒子径は二次粒子の体積平均粒子径を表す。
本開示においてハイドロタルサイト化合物の体積平均粒子径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
特定ハイドロタルサイト化合物の比表面積は特に制限されず、5m/g~300m/gであることが好ましく、10m/g~250m/gであることがより好ましく、15m/g~200m/gであることがさらに好ましい。ハイドロタルサイト化合物の比表面積は、BET法により測定された値とする。
特定ハイドロタルサイト化合物の含有量は、エポキシ樹脂の全質量に対して、0.01質量%~15質量%であることが好ましく、0.03質量%~15質量%であることがより好ましく、0.1質量%~15質量%であることがさらに好ましい。また、本開示のエポキシ樹脂組成物では、ハイドロタルサイト化合物の凝集を抑制することができるため、イオン捕捉能の向上を期待して特定ハイドロタルサイト化合物の含有量を高めてもよい。例えば、特定ハイドロタルサイト化合物の含有率は、エポキシ樹脂の全質量に対して、2.0質量%以上であってもよく、2.5質量%以上であってもよく、3.0質量%以上であってもよい。
特定ハイドロタルサイト化合物と、特定ハイドロタルサイト化合物以外のハイドロタルサイト化合物と、を併用してもよい。特定ハイドロタルサイト化合物による優れた電気的信頼性を好適に発揮する観点からは、ハイドロタルサイト化合物の全質量に対する特定ハイドロタルサイト化合物の含有率は50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
特定ハイドロタルサイト化合物以外のハイドロタルサイト化合物は特に制限されず、例えば下記式(2)で表される化合物(特定ハイドロタルサイト化合物を除く)が挙げられる。
〔M 1-x (OH)〕(Ax/n・mHO) ・・・(2)
式(2)中、Mは2価の金属を表す。Mは3価の金属を表す。x及びmは各々独立に正数を表す。AはCO、HPO、又は飽和脂肪族モノカルボン酸を表す。nはAの価数を表す。
式(1)中、Mで表される2価の金属としては、Mg、Fe、Zn、Ca、Cu、Co等が挙げられ、Mg、Zn又はCaであることが好ましく、Mgであることがより好ましい。
で表される3価の金属としては、Al、Ce、Fe、Mn、In、Cr等が挙げられ、Al又はCeであることが好ましく、Alであることがより好ましい。
xは正数を表し、0<x≦0.50であることが好ましく、0.20≦x≦0.33であることがより好ましい。
mは正数を表し、0<m≦2であることが好ましい。
AはCO、HPO、又は飽和脂肪族モノカルボン酸を表し、COであることが好ましい。
ハイドロタルサイト化合物の全含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。ハイドロタルサイト化合物の全含有量はエポキシ樹脂の全質量に対して、0.01質量%~15質量%であることが好ましく、0.03質量%~15質量%であることがより好ましく、0.1質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
<各種添加剤>
エポキシ樹脂組成物は、上述の成分に加えて、硬化促進剤、カップリング剤、イオン交換体、離型剤、難燃剤、着色剤、応力緩和剤等の各種添加剤を含有してもよい。エポキシ樹脂組成物は、以下に例示する添加剤以外にも必要に応じて当技術分野で一般的に用いられる各種添加剤を含有してもよい。
(硬化促進剤)
エポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の種類は、特に制限されず、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;エチルホスフィン、フェニルホスフィン等の1級ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の二級ホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の三級ホスフィンなどの、有機ホスフィン;前記有機ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン、アントラキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート等のテトラ置換ホスホニウムのテトラフェニルボレート塩、テトラ置換ホスホニウムとフェノール化合物との塩などの、テトラ置換ホスホニウム化合物;ホスホベタイン化合物;ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物などが挙げられる。硬化促進剤は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に好適な硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンとキノン化合物との付加物等が挙げられる。
硬化促進剤の含有量は、樹脂成分100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~15質量部であることがより好ましい。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.1質量部以上であると、短時間で良好に硬化する傾向にある。硬化促進剤の量が樹脂成分100質量部に対して30質量部以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
(カップリング剤)
エポキシ樹脂組成物は、カップリング剤を含有してもよい。カップリング剤の種類は特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物が挙げられる。具体的には、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、カップリング剤の量は、無機充填材100質量部に対して0.05質量部~20質量部であることが好ましく、0.1質量部~15質量部であることがより好ましい。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して0.05質量部以上であると、金属部材との接着性が向上する傾向にある。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して20質量部以下であると、成形性が向上する傾向にある。
(イオン交換体)
エポキシ樹脂組成物は、ハイドロタルサイト化合物以外のイオン交換体を含有してもよい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選択される少なくとも1種の元素の含水酸化物等が挙げられる。
エポキシ樹脂組成物がハイドロタルサイト化合物以外のイオン交換体を含有する場合、ハイドロタルサイト化合物及び他のイオン交換体の合計量は、エポキシ樹脂の全質量に対して0.01質量%~15質量%であることが好ましく、0.03質量%~15質量%であることがより好ましく、0.1質量%~15質量%であることがさらに好ましい。
(離型剤)
エポキシ樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含有してもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その量は樹脂成分100質量部に対して0.01質量部~10質量部が好ましく、0.1質量部~5質量部がより好ましい。離型剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。離型剤の量が樹脂成分100質量部に対して10質量部以下であると、良好な接着性及び硬化性が得られる傾向にある。
(難燃剤)
エポキシ樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、その量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、難燃剤の量は樹脂成分100質量部に対して1質量部~30質量部であることが好ましく、2質量部~20質量部であることがより好ましい。
(着色剤)
エポキシ樹脂組成物は、着色剤をさらに含有してもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(応力緩和剤)
エポキシ樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含有してもよい。応力緩和剤を含有することにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔エポキシ樹脂組成物の調製方法〕
エポキシ樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、各成分をミキサー等によって充分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分を撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
エポキシ樹脂組成物は、25℃、大気圧下において固体であっても液状であってもよく、固体であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物が固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物がタブレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
≪エポキシ樹脂組成物の硬化物≫
本開示の一態様における硬化物は、前述のエポキシ樹脂組成物の硬化物である。
〔吸水率〕
エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸水率は低いほど好ましい。以下の条件で測定したときの硬化物の吸水率は、0.50質量%以下であることが好ましく、0.40質量%以下であることがより好ましく、0.30質量%以下であることがさらに好ましい。
硬化物を、121℃、2.1気圧のプレッシャークッカー試験装置に投入し、20時間後に取り出す。投入直前の硬化物の質量からの質量増加率(%)を求め、吸水率とする。吸水率は下式より求められる。
吸水率(質量%)={(吸水後の質量-吸水前の質量)/吸水前の質量}×100
硬化前のエポキシ樹脂組成物について、硬化物の吸水率を測定する場合、175℃、90秒で成形した後、175℃で5時間の後硬化を実施して硬化物を作製し、吸水率を測定するものとする。吸水率は、具体的には実施例に記載の方法で測定することができる。
≪電子部品装置≫
本開示の一態様である電子部品装置は、素子と、前記素子を封止する前述のエポキシ樹脂組成物の硬化物と、を備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等の支持部材に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載して得られた素子部をエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、エポキシ樹脂組成物を用いてトランスファ成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した素子をエポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した素子を、エポキシ樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、エポキシ樹脂組成物で素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、プリント配線板においてもエポキシ樹脂組成物を好適に使用することができる。
エポキシ樹脂組成物を用いて電子部品装置を封止する方法としては、低圧トランスファ成形法、インジェクション成形法、圧縮成形法等が挙げられる。
次に本開示の実施形態を実施例により具体的に説明するが、本開示の実施形態はこれらの実施例に限定されない。
〔エポキシ樹脂組成物の調製〕
以下の成分を用意した。
・エポキシ樹脂:メトキシナフタレン・クレゾールホルムアルデヒド共縮合型エポキシ樹脂(HP-5000(商品名)、DIC株式会社、エポキシ当量250g/eq、軟化点58℃)
・硬化剤1:式(B)において、x1~x5はいずれも0、n1は1~10、n2は1~10である化合物(MEHC-7841(商品名)、明和化成株式会社、水酸基当量164g/eq~168g/eq、軟化点58℃~65℃)
・硬化剤2:フェノールノボラック型フェノール樹脂(H-4(商品名)、明和化成株式会社、水酸基当量103g/eq~107g/eq、軟化点67℃~75℃)
・硬化剤3:アラルキル型フェノール樹脂(MEH-7800(商品名)、明和化成株式会社、水酸基当量167g/eq~180g/eq、軟化点61℃~90℃)
・硬化剤4:トリフェニルメタン型フェノール樹脂(商品名:MEH-7500、明和化成株式会社、水酸基当量95g/eq~99g/eq、軟化点107℃~113℃)
・硬化促進剤:トリブチルホスフィンと1,4-ベンゾキノンの付加物
・カップリング剤1:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤2:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・離型剤:カルナバワックス
・顔料:カーボンブラック
・ハイドロタルサイト化合物1:(NAOX-41A(商品名)、Mg/Al=3.0、体積平均粒子径(二次粒子径)20μm以下、比表面積50m/g)
・ハイドロタルサイト化合物2:Mg4.3Al(OH)12.6CO・mHO(DHT-4A(登録商標)、協和化学工業株式会社、Mg/Al=2.15、体積平均粒子径(二次粒子径)20μm以下、比表面積10.1m/g)
・無機充填材1:球状シリカ(体積平均粒子径19.0μm)
・無機充填材2:球状シリカ(体積平均粒子径0.5μm)
表1に示す各成分を同表に示す量で配合し(単位は別段の指定がない限り質量部)ミキサーにて充分混合した後、2軸混練機を用い混練部温度平均がおよそ100℃となる条件下で溶融混練した。次に、この溶融物を冷却した後、固体状になったものを粉末状に粉砕することにより目的とする粉末状エポキシ樹脂組成物を調製した。表中、空欄は成分が配合されていないことを表す。
〔吸水率の測定〕
エポキシ樹脂組成物を175℃、90秒で成形した後、175℃で5時間の後硬化を実施して硬化物を作製した。製造直後の直径50mm、厚み3mmの板状の硬化物を、121℃、2.1気圧のプレッシャークッカー試験装置に投入し、20時間後に取り出し、投入直前の硬化物の質量からの質量増加率(%)を求めた。吸水率は下式より求めた。
吸水率(質量%)={(吸水後の質量-吸水前の質量)/吸水前の質量}×100
〔HAST試験〕
調製したエポキシ樹脂組成物を用いて、トランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力70kgf/cm(約6.86MPa)、硬化時間120secの条件で半導体素子を封止して、評価用のSOPパッケージを作製した。後硬化は175℃、5時間の条件で行った。パッケージの電極には、Al/Si/Cu=98.9%/0.8%/0.3%、幅60μmのパッドを使用し、ワイヤには純銅ワイヤを用いた。この評価基板を130℃、相対湿度85%雰囲気の高温高湿槽に入れ、電圧5Vを印加し、槽内HAST試験(Highly Accelerated temperature and humidity Stress Test、超加速寿命試験)を行った。各パッケージについて、銅ワイヤの断線不良が発生するまでの時間を測定した。
評価は以下の基準で行った。
A:不良発生までの時間が1500時間超
B:不良発生までの時間が1000時間超、1500時間未満
C:不良発生までの時間が500時間超、1000時間未満
D:不良発生までの時間が100時間超、500時間未満
E:不良発生までの時間が100時間以下
Figure 2023023486000008
表に示される通り、実施例1ではHAST試験における不良発生までの時間が長く、電気的信頼性に優れていた。これは、実施例1では硬化物の吸水率が低く、ハイドロタルサイト化合物1が良好に分散し、イオン捕捉能を効果的に発揮したためと推察される。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂と、
    下記式(B1)の構成単位及び式(B2)の構成単位を有する化合物を含む硬化剤と、
    無機充填材と、
    MgとAlのモル比(Mg/Al)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物を含む、ハイドロタルサイト化合物と、
    を含有する、エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2023023486000009

    式(B1)及び式(B2)中、
    ~Rは、それぞれ独立に、炭素数1~6の1価の有機基を表し、
    X2及びX3は、それぞれ独立に、0~4の整数を表し、
    X4及びX5は、それぞれ独立に、0~3の整数を表し、
    n1は1~10の数を表し、
    n2は1~10の数を表し、
    式(B2)の構成単位は式(B1)の構成単位とは別個に存在する。
  2. 前記硬化剤の全質量に対する前記式(B1)の構成単位及び式(B2)の構成単位を有する化合物の含有率が30質量%~100質量%である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記無機充填材の含有率が、前記エポキシ樹脂組成物の全体積に対して50体積%~95体積%である、請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 前記MgとAlのモル比(Mg/Al)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物の体積平均粒子径が20μm以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 前記MgとAlのモル比(Mg/Al)が2.4以上のハイドロタルサイト化合物の含有量が、エポキシ樹脂の全質量に対して、0.01質量%以上である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
  7. プレッシャークッカー試験における121℃、2.1気圧下での20時間後の吸水率が0.30質量%以下である、請求項6に記載の硬化物。
  8. 素子と、前記素子を封止する請求項6又は請求項7に記載の硬化物と、を備える電子部品装置。
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