JP2023040897A - 熱硬化性樹脂組成物及び電子部品装置 - Google Patents

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東哲 姜
Dong-Cheol Kang
貴耶 山本
Takaya Yamamoto
貴和 金
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亜唯 横倉
Ai YOKOKURA
和也 上村
Kazuya Kamimura
健 齋藤
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Abstract

【課題】カーボンブラック及び黒色酸化チタンを含まないか又はこれら成分の含有量が少ないものの隠蔽性が維持され、流動性及び絶縁性に優れる熱硬化性樹脂組成物の提供。【解決手段】熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、前記無機充填材の少なくとも一部が、黒色シリカ粒子とされたものである。【選択図】なし

Description

本開示は、熱硬化性樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化等に伴って、半導体パッケージの小型化及び薄型化が進んでいる。半導体素子を熱硬化性樹脂組成物で封止することで、上述した半導体パッケージを得ているが、半導体パッケージの薄型化に伴い半導体素子を封止する封止樹脂層も薄型化が進んでいる。
熱硬化性樹脂組成物は、一般に、熱硬化性樹脂と硬化剤と無機充填材と硬化物の隠蔽性を確保するための着色剤とを含んで構成される。着色剤としては、隠蔽性に優れるカーボンブラックが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
また、樹脂封止された半導体パッケージでは、製造ロット番号、ロゴマーク等の各種識別情報が封止樹脂層表面に印字されることがある。封止樹脂層表面への印字方法の一つとして、レーザーマーキング法が知られている。レーザーマーキング性を考慮した熱硬化性樹脂組成物として、例えば、着色剤として黒色酸化チタンを用いた組成物が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
特開2002-275350号公報 特開2006-278959号公報
カーボンブラックは熱硬化性樹脂組成物の着色剤として優れた隠蔽性を発現できるものの、導電性を示す材料でもあるため、その含有率はできるだけ少ないことが望ましい。
また、黒色酸化チタンはカーボンブラックに比較して比重が高く、熱硬化性樹脂組成物中で黒色酸化チタンが偏在しやすい傾向にある。
そのため、カーボンブラック及び黒色酸化チタンを含まないか又はこれら成分の含有量の少ない熱硬化性樹脂組成物の開発が求められていた。
本開示は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、本開示の一形態は、カーボンブラック及び黒色酸化チタンを含まないか又はこれら成分の含有量が少ないものの隠蔽性が維持され、流動性及び絶縁性に優れる熱硬化性樹脂組成物、並びに、この熱硬化性樹脂組成物を用いた電子部品装置を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、
前記無機充填材の少なくとも一部が、黒色シリカ粒子である熱硬化性樹脂組成物。
<2> 前記黒色シリカ粒子が、炭素を含む<1>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<3> 前記黒色シリカ粒子中の前記炭素の含有率が、0.1質量%以上である<2>に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<4> 前記無機充填材の粒度分布が、少なくとも2つのピークを有する<1>~<3>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<5> 前記無機充填材の粒度分布が、3つのピークを有する<1>~<4>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<6> 厚みが70μmの硬化物としたときに、前記硬化物の表面におけるCIE 1976(L*、a*、b*)色空間における座標(L*=0、a*=0、b*=0)との色差ΔEが、50以下である<1>~<5>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
<7> 素子と、前記素子を封止する<1>~<6>のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を備える電子部品装置。
本開示の一形態によれば、カーボンブラック及び黒色酸化チタンを含まないか又はこれら成分の含有量が少ないものの隠蔽性が維持され、流動性及び絶縁性に優れる熱硬化性樹脂組成物、並びに、この熱硬化性樹脂組成物を用いた電子部品装置を提供することができる。
(A)は本実施例にかかる体積抵抗率の測定に用いた試験片の一方の面における電極構造を示す概略平面図であり、(B)は本実施例にかかる体積抵抗率の測定に用いた試験片の他方の面における電極構造を示す概略平面図である。
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において、各成分に該当する粒子には、複数種の粒子が含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
<熱硬化性樹脂組成物>
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、無機充填材の少なくとも一部が、黒色シリカ粒子とされたものである。
本発明者等は鋭意検討の結果、封止樹脂層の隠蔽性を維持しながら絶縁性を確保するのに好適な材料として黒色シリカ粒子を採用した。黒色シリカ粒子を無機充填材の少なくとも一部に用いることで、カーボンブラック及び黒色酸化チタンを含まないか又はこれら成分の含有量が少ないものの隠蔽性が維持され、流動性及び絶縁性に優れる熱硬化性樹脂組成物が得られ、本発明の完成に至った。
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
以下に、本開示の熱硬化性樹脂組成物に含有される各成分について詳細に説明する。
(熱硬化性樹脂)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含有する。
熱硬化性樹脂の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、チオール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、マレイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。本開示では、エポキシ基を含有するアクリル樹脂等の、熱可塑性と熱硬化性の両方の性質を示すものは「熱硬化性樹脂」に含めるものとする。熱硬化性樹脂は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)で固体であっても液体であってもよい。熱硬化性樹脂は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有型エポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリ(アルキレングリコール)ジグリシジルエーテル、アルケニレングリコールジグリシジルエーテルなどの分子内にエポキシ基を2つ有する二官能脂肪族エポキシ化合物が挙げられる。
また、エポキシ樹脂としては、グリシジルアミン型エポキシ樹脂が挙げられる。グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、2官能であっても3官能以上であってもよい。硬化後の耐熱性向上の観点からは3官能以上(1分子中にエポキシ基を3つ以上有する)のグリシジルアミン型エポキシ樹脂が好ましい。2官能のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、N,N-ジグリシジルアニリン、N,N-ジグリシジル-o-トルイジン等が挙げられる。3官能以上のグリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、トリグリシジル-p-アミノフェノール、4,4’-メチレンビス[N,N-ビス(オキシラニルメチル)アニリン]等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記エポキシ樹脂の中でも、耐熱性と流動性のバランスの観点から、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂、硫黄原子含有型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、共重合型エポキシ樹脂及びアラルキル型エポキシ樹脂からなる群より選ばれるエポキシ樹脂(これらを「特定エポキシ樹脂」と称する)が好ましい。特定エポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂が特定エポキシ樹脂を含む場合、特定エポキシ樹脂の性能を発揮する観点からは、その含有率がエポキシ樹脂全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
特定エポキシ樹脂の中でも、流動性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、ジフェニルメタン型エポキシ樹脂又は硫黄原子含有型エポキシ樹脂がより好ましく、耐熱性の観点からは、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂又はアラルキル型エポキシ樹脂が好ましい。以下、好ましいエポキシ樹脂の具体例を示す。
ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂の中でもRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であるYX-4000H(三菱ケミカル株式会社、商品名)、全てのRが水素原子である4,4’-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)ビフェニル、全てのRが水素原子の場合及びRのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基でそれ以外のRが水素原子である場合の混合品であるYL-6121H(三菱ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000001
式(II)中、Rは水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~18の芳香族基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
スチルベン型エポキシ樹脂は、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂の中でも、Rのうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合と、Rのうち3,3’,5,5’位のうちの3つがメチル基であり、1つがt-ブチル基であり、それ以外のRが水素原子であり、R10の全てが水素原子である場合との混合品等が挙げられる。
Figure 2023040897000002
式(III)中、R及びR10は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂は、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R11の全てが水素原子であり、R12のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’,5,5’位がメチル基であり、それ以外のR12が水素原子であるYSLV-80XY(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000003
式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
硫黄原子含有型エポキシ樹脂は、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R13のうち酸素原子が置換している位置を4及び4’位としたときの3,3’位がt-ブチル基であり、6,6’位がメチル基であり、それ以外のR13が水素原子であるYSLV-120TE(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000004
式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化等の手法を用いてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R14の全てが水素原子であり、R15がメチル基であり、i=1であるESCN-190及びESCN-195(住友化学株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=0であるN-770及びN-775(DIC株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=0である部分と、i=1でありR15が-CH(CH)-Phである部分と、を有するスチレン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂であるYDAN-1000-10C(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)、R14の全てが水素原子であり、i=1でありR15がメチル基である部分と、i=2でありR15のうち一つがメチル基で一つがベンジル基である部分と、を有するベンジル基変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000005
式(VI)中、R14は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、i=0であるHP-7200(DIC株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000006
式(VII)中、R16は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、トリフェニルメタン骨格を持つ化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば特に制限されない。例えば、芳香族アルデヒド化合物とフェノール性化合物とから得られたトリフェニルメタン型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(VIII)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、kが0である1032H60(三菱ケミカル株式会社、商品名)、EPPN-502H(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000007
式(VIII)中、R17及びR18は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
ナフトール化合物及びフェノール化合物と、アルデヒド化合物とから得られるノボラック樹脂をエポキシ化した共重合型エポキシ樹脂は、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を用いたノボラック型フェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂の中でも、R21がメチル基でiが1であり、jが0であり、kが0であるNC-7300(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000008
式(IX)中、R19~R21は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、jは各々独立に0~2の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。l及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(l+m)は0~10の数を示す。式(IX)で表されるエポキシ樹脂の末端は、下記式(IX-1)又は(IX-2)のいずれか一方である。式(IX-1)及び(IX-2)において、R19~R21、i、j及びkの定義は式(IX)におけるR19~R21、i、j及びkの定義と同じである。nは1(メチレン基を介して結合する場合)又は0(メチレン基を介して結合しない場合)である。
Figure 2023040897000009
上記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂としては、l個の構造単位及びm個の構造単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体等が挙げられる。これらのいずれか1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
共重合型エポキシ樹脂としては、下記2種の構造単位をランダム、交互又はブロックの順序で含むメトキシナフタレン・クレゾールホルムアルデヒド共縮合型エポキシ樹脂であるエピクロンHP-5000(DIC株式会社、商品名)もまた好ましい。下記一般式では、n及びmはそれぞれ平均値であり、1~10の数であり、(n+m)は2~10の数を示し、好ましくはn及びmはそれぞれ平均値であり、1~9の数であり、(n+m)は2~10の数を示す。
Figure 2023040897000010
アラルキル型エポキシ樹脂は、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体とから合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。
下記一般式(X)で表されるエポキシ樹脂の中でも、iが0であり、R38が水素原子であるNC-3000S(日本化薬株式会社、商品名)、iが0であり、R38が水素原子であるエポキシ樹脂と一般式(II)の全てのRが水素原子であるエポキシ樹脂を質量比80:20で混合したCER-3000(日本化薬株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。また、下記一般式(XI)で表されるエポキシ樹脂の中でも、lが0であり、jが0であり、kが0であるESN-175(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000011
式(X)及び(XI)において、R38は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R37、R39~R41は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、lはそれぞれ独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(II)~(XI)中のR~R21及びR37~R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8~88個のRの全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR~R21及びR37~R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R~R21及びR37~R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、RとR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(III)~(XI)における炭素数1~18の1価の有機基はアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
上記一般式(II)~(XI)中のnは、平均値であり、それぞれ独立に0~10の範囲であることが好ましい。nが10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、熱硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度が低下し、充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等の発生が抑制される傾向にある。nは0~4の範囲に設定されることがより好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。成形性、耐熱性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、エポキシ樹脂のエポキシ当量は、60g/eq~1000g/eqであることが好ましく、80g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
エポキシ樹脂は、液状であっても固形であってもよい。エポキシ樹脂が固形である場合、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐熱性の観点からは40℃~180℃であることが好ましく、熱硬化性樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃~130℃であることがより好ましい。
本開示において、軟化点は、JIS K 7234:1986の環球法により測定された値をいう。
本開示において、融点は、JIS K 0064:1992の目視による方法に則って測定された値をいう。
熱硬化性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%~60質量%であることが好ましく、2質量%~50質量%であることがより好ましい。
(硬化剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含有する。
硬化剤の種類は特に制限されず、併用する熱硬化性樹脂と硬化反応を生じる化合物であれば特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂と併用する硬化剤としては、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤、活性エステル化合物等が挙げられる。硬化剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。硬化剤は、常温常圧下(例えば、25℃、大気圧下)で固体であっても液体であってもよい。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤は、耐熱性の観点から、フェノール系硬化剤又はアミン系硬化剤が好ましい。また、硬化剤は、アンダーフィル材等の液状封止材を調製する観点から、酸無水物系硬化剤が好ましい。また、硬化剤は、耐吸水性に優れ、低誘電率化、低誘電正接化等の電気特性への影響を低減した高周波対応材料を得る観点から、活性エステル化合物が好ましい。
フェノール系硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂及び多価フェノール化合物が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤の中でも、耐熱性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、及びノボラック型フェノール樹脂からなる群より選択される少なくとも1種(これらを「特定フェノール系硬化剤」と称する)が好ましい。特定フェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール系硬化剤が特定フェノール系硬化剤を含む場合、それらの性能を充分に発揮する観点から、特定フェノール系硬化剤の含有率はフェノール系硬化剤全体の30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。アラルキル型フェノール樹脂は、さらに他のフェノール樹脂と共重合していてもよい。共重合したアラルキル型フェノール樹脂としては、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂等が挙げられる。
アラルキル型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XII)~(XIV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
Figure 2023040897000012
式(XII)~(XIV)において、R23は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R22、R24、R25及びR28は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R26及びR27は水酸基又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、pはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
上記一般式(XII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R23が全て水素原子であるMEH-7851(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるXL-225、XLC(三井化学株式会社、商品名)、MEH-7800(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
上記一般式(XIV)で表されるフェノール樹脂の中でも、jが0であり、kが0であり、pが0であるSN-170(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)、jが0であり、kが1であり、R27が水酸基であり、pが0であるSN-395(日鉄ケミカル&マテリアル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であるフェノール樹脂が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000013
式(XV)中、R29は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂は、芳香族アルデヒド化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であるMEH-7500(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000014
式(XVI)中、R30及びR31は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、0~10の数である。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂は、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、kが0であり、qが0であるHE-510(エア・ウォーター・ケミカル株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000015
式(XVII)中、R32~R34は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、qはそれぞれ独立に0~5の整数である。l及びmはそれぞれ平均値であり、それぞれ独立に0~11の数である。ただし、lとmの合計は1~11の数である。
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂の中でも、iが0であり、R35が全て水素原子であるタマノル758、759(荒川化学工業株式会社、商品名)、H-4(明和化成株式会社、商品名)等が市販品として入手可能である。
Figure 2023040897000016
式(XVIII)中、R35は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R36は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるR22~R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23~R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22~R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22及びR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30及びR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるnは、0~10の範囲であることが好ましい。10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、熱硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度も低くなり、充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等が発生し難くなる。1分子中の平均nは0~4の範囲に設定されることが好ましい。
アミン系硬化剤としては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n-プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン等の脂肪族アミン化合物、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、2-メチルアニリン等の芳香族アミン化合物、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール等のイミダゾール化合物、イミダゾリン、2-メチルイミダゾリン、2-エチルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物などが挙げられる。これらの中でも保存安定性の観点からは、芳香族アミン化合物が好ましく、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン及びジメチルチオトルエンジアミンがより好ましい。
酸無水物系硬化剤としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、メチルハイミック酸無水物、ハイミック酸無水物、無水コハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、クロレンド酸無水物、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸マレイン酸付加物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、水素化メチルナジック酸無水物、無水マレイン酸とジエン化合物からディールス・アルダー反応で得られ、複数のアルキル基を有するトリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸等の各種環状酸無水物が挙げられる。
活性エステル化合物は、エポキシ基と反応するエステル基を分子中に1個以上有する化合物であればその種類は特に制限されない。
活性エステル化合物としては、フェノールエステル化合物、チオフェノールエステル化合物、N-ヒドロキシアミンエステル化合物、複素環ヒドロキシ化合物のエステル化物等が挙げられる。
活性エステル化合物としては、例えば、脂肪族カルボン酸及び芳香族カルボン酸の少なくとも1種と脂肪族ヒドロキシ化合物及び芳香族ヒドロキシ化合物の少なくとも1種とから得られるエステル化合物が挙げられる。脂肪族化合物を重縮合の成分とするエステル化合物は、脂肪族鎖を有することによりエポキシ樹脂との相溶性に優れる傾向にある。芳香族化合物を重縮合の成分とするエステル化合物は、芳香環を有することにより耐熱性に優れる傾向にある。
活性エステル化合物の具体例としては、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基との縮合反応にて得られる芳香族エステルが挙げられる。中でも、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルプロパン、ジフェニルメタン、ジフェニルエーテル、ジフェニルスルホン酸等の芳香環の水素原子の2~4個をカルボキシ基で置換した芳香族カルボン酸成分と、芳香環の水素原子の1個を水酸基で置換した1価フェノールと、芳香環の水素原子の2~4個を水酸基で置換した多価フェノールとの混合物を原材料として、芳香族カルボン酸とフェノール性水酸基との縮合反応にて得られる芳香族エステルが好ましい。すなわち、上記芳香族カルボン酸成分由来の構造単位と上記1価フェノール由来の構造単位と上記多価フェノール由来の構造単位とを有する芳香族エステルが好ましい。
活性エステル化合物の具体例としては、特開2012-246367号公報に記載されている、脂肪族環状炭化水素基を介してフェノール化合物が結節された分子構造を有するフェノール樹脂と、芳香族ジカルボン酸又はそのハライドと、芳香族モノヒドロキシ化合物とを反応させて得られる構造を有する活性エステル樹脂が挙げられる。
活性エステル化合物の別の具体例としては、特開2014-114352号公報に記載されている活性エステル樹脂が挙げられる。
活性エステル化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤の官能基当量(フェノール系硬化剤の場合は水酸基当量、アミン系硬化剤の場合は活性水素当量、酸無水物系硬化剤の場合には酸無水物当量)は、特に制限されない。成形性、耐熱性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、10g/eq~1000g/eqであることが好ましく、30g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
また、活性エステル化合物のエステル当量(分子量/活性エステル基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、150g/eq~400g/eqが好ましく、170g/eq~300g/eqがより好ましく、200g/eq~250g/eqがさらに好ましい。
フェノール系硬化剤の場合における水酸基当量は、JIS K0070:1992に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出された値をいう。また、アミン系硬化剤の場合における活性水素当量は、JIS K7237:1995に準拠して測定されたアミン価に基づいて算出された値をいう。
なお、酸無水物系硬化剤の酸無水物当量は、酸無水物系硬化剤の分子構造をNMR、液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等で特定して分子量を求め、分子量を酸無水物系硬化剤中に含まれる酸無水物基の数で割ることで算出された値をいう。
活性エステル化合物のエステル当量は、JIS K 0070:1992に準じて測定されたエステル価に基づいて算出された値をいう。
硬化剤が固体である場合の軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐熱性の観点からは、40℃~180℃であることが好ましく、熱硬化性樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、50℃~130℃であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂である場合、硬化剤の官能基(例えば、アミン系硬化剤の場合にはアミノ基に含まれる活性水素、フェノール系硬化剤の場合にはフェノール性水酸基、酸無水物系硬化剤の場合には酸無水物基、活性エステル化合物の場合には活性エステル基)の当量数とエポキシ樹脂の当量数との比(硬化剤の当量数/エポキシ樹脂の当量数)を、0.6~1.4の範囲に設定することが好ましく、0.7~1.3の範囲に設定することがより好ましく、0.8~1.2の範囲に設定することがさらに好ましい。
(無機充填材)
熱硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含有する。無機充填材の少なくとも一部は、黒色シリカ粒子とされる。以下、黒色シリカ粒子以外の無機充填材を、その他の無機充填材と称することがある。
-黒色シリカ粒子-
黒色シリカ粒子は、黒色を呈するシリカ粒子であれば特に限定されるものではない。
黒色シリカ粒子は、炭素を含有するものであってもよい。黒色シリカ粒子が炭素を含有する場合、炭素の含有率は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましく、0.3質量%以上であることがさらに好ましい。炭素の含有率は、25質量%以下であってもよく、22質量%以下であってもよく、20質量%以下であってもよい。
黒色シリカ粒子中の炭素の含有率は、炭素・硫黄分析装置により測定することができる。
黒色シリカ粒子の体積平均粒子径は、0.1μm~75μmが好ましく、0.2μm~55μmがより好ましく、0.3μm~45μmがさらに好ましい。
黒色シリカ粒子は、いかなる方法で製造されたものであってもよい。
黒色シリカ粒子の製造方法は、例えば、シリカ粒子とアルカリ金属と有機物とを混合しその後加熱することで、シリカ粒子を焼結させ、さらにはシリカ粒子中の有機物を炭化して黒色シリカ粒子を得るものであってもよい。
また、シリカ粒子をフッ化水素酸、ケイフッ化水素酸又はホウフッ化水素酸等のフッ化化合物と、メタノール、エタノール等の1価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の2価アルコールなどの有機溶剤と接触させ、次いで加熱することで黒色シリカ粒子を得るものであってもよい。
また、アルカリ性に保たれた金属酸化物又は金属水酸化物を含む水-アルコール系分散液に、金属アルコキシドを添加して得られた粒子を熱処理して、黒色シリカ粒子を得るものであってもよい。
また、アルキル基、アクリロイルオキシ基等で置換されたトリアルコキシシランの縮合物を含む粒子とアクリロニトリル等のビニル系モノマーとを混合し、次いでビニル系モノマーを重合して複合粒子を得た後、窒素雰囲気下で加熱して、黒色シリカ粒子を得るものであってもよい。
-その他の無機充填材-
その他の無機充填材の種類は、特に制限されない。具体的には、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ベーマイト、ベリリア、酸化マグネシウム、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ、チタン酸塩等の無機材料が挙げられる。難燃効果を有する無機材料をその他の無機充填材として用いてもよい。難燃効果を有するその他の無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。中でも、線膨張係数低減の観点からは球状シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。その他の無機充填材は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。無機充填材の状態としては粉体状、粉体を球形化したビーズ、繊維等が挙げられる。
なお、本開示においてその他の無機充填材に含まれるシリカの炭素含有率は、0.1質量%未満のものである。
その他の無機充填材のトップカット径は特に制限されない。
ある態様では、その他の無機充填材のトップカット径は、1μm~100μmが好ましく、5μm~90μmがより好ましく、10μm~80μmがさらに好ましい。
また、ある態様では、30μm以下の狭い隙間への充填性の観点からは、その他の無機充填材のトップカット径は10μm以下であることが好ましく、7μm以下であることがより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましく、5μm以下であることが特に好ましい。その他の無機充填材のトップカット径は、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇抑制の観点から、1μm以上であってもよい。
本開示において、その他の無機充填材のトップカット径とは、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により、小径側から体積累積分布曲線を描いた場合に、体積積算値が90体積%となるときの粒径値をいう。
その他の無機充填材の平均粒子径は、特に制限されない。例えば、体積平均粒子径が30μm以下であることが好ましく、0.1μm~30μmであることがより好ましく、1μm~25μmであることがさらに好ましく、2μm~20μmであることが特に好ましい。体積平均粒子径が30μm以下であると、狭い隙間への充填性が向上する傾向にある。また、体積平均粒子径が0.1μm以上であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇がより抑制される傾向がある。
無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により、体積平均粒子径(D50)として測定することができる。
熱硬化性樹脂組成物の流動性の観点からは、無機充填材の粒子形状は角形よりも球形が好ましい。また、無機充填材の粒度分布は、黒色シリカ粒子を含む無機充填材全体として、広範囲に分布したものが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物中の無機充填材の含有率は特に制限されない。流動性及び強度の観点からは、熱硬化性樹脂組成物全体の30体積%~95体積%であることが好ましく、35体積%~90体積%であることがより好ましく、40体積%~80体積%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の30体積%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が熱硬化性樹脂組成物全体の95体積%以下であると、熱硬化性樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
無機充填材に占める黒色シリカ粒子の含有率は、着色性の観点から1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。ある態様では、無機充填材の全てが黒色シリカ粒子であってもよい。つまり、無機充填材に占める黒色シリカ粒子の含有率は、100質量%であってもよい。
無機充填材の粒度分布は、少なくとも2つのピークを有してもよい。無機充填材の粒度分布が少なくとも2つのピークを有する場合、無機充填材の組み合わせとしては、黒色シリカ粒子とその他の無機充填材との組み合わせが挙げられる。これら無機充填材を組み合わせた場合、無機充填材全体の粒度分布において、黒色シリカ粒子由来のピークとその他の無機充填材由来のピークとが観察される。
無機充填材の粒度分布は、3つのピークを有してもよい。この場合、平均粒子径の異なる3種類の黒色シリカ粒子を用いてもよい。3種類の黒色シリカ粒子を用いる場合、最も平均粒子径の大きい黒色シリカ粒子の平均粒子径を粒子径Aとし、2番目に平均粒子径の大きい黒色シリカ粒子の平均粒子径を粒子径Bとし、最も平均粒子径の小さい黒色シリカ粒子の平均粒子径を粒子径Cとしたときに、粒子径Aは、20μm~40μmであり、粒子径Bが粒子径Aの1/2~1/4であり、粒子径Cが粒子径Bの1/2~1/4であってもよい。
(硬化促進剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、熱硬化性樹脂の種類、熱硬化性樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
具体的には、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;エチルホスフィン、フェニルホスフィン等の1級ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の2級ホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の3級ホスフィンなどの、有機ホスフィン;前記有機ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン、アントラキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート等のテトラ置換ホスホニウムのテトラフェニルボレート塩、テトラ置換ホスホニウムとフェノール化合物との塩などの、テトラ置換ホスホニウム化合物;ホスホベタイン化合物;ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物などが挙げられる。
例えば熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合に特に好適な硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンとキノン化合物との付加物等が挙げられる。
また、例えば熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合において、低温硬化が可能な硬化促進剤としては、トリブチルホスフィンと1,4-ベンゾキノンの付加物、ジメチルアミノピリジン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール等が挙げられる。
硬化促進剤は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が硬化促進剤を含有する場合、その含有率は、熱硬化性樹脂と硬化剤との合計量に対して、0.1質量%~8質量%であることが好ましく、0.3質量%~6質量%であることがより好ましく、0.5質量%~5質量%であることがさらに好ましい。
(着色剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、着色剤を含有してもよい。
着色剤としてはカーボンブラック、黒色酸化チタン、有機染料、有機顔料、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が着色剤を含有する場合、その含有率は、熱硬化性樹脂組成物全体の0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.05質量%~3質量%であることがより好ましい。
また、本開示の熱硬化性樹脂組成物におけるカーボンブラックの含有率は、熱硬化性樹脂組成物全体の2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。本開示の熱硬化性樹脂組成物のカーボンブラックの含有率は、熱硬化性樹脂組成物全体の0質量%であってもよい。
(カップリング剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤としては、エポキシシラン、メルカプトシラン、アミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン等のシラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウム/ジルコニウム系化合物などの公知のカップリング剤が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物がカップリング剤を含む場合、カップリング剤の量は、無機充填材100質量部に対して0.05質量部~5質量部であることが好ましく、0.1質量部~2.5質量部であることがより好ましい。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して0.05質量部以上であると、フレームとの接着性がより向上する傾向にある。カップリング剤の量が無機充填材100質量部に対して5質量部以下であると、パッケージの成形性がより向上する傾向にある。
(イオン交換体)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、イオン交換体(イオントラップ剤)を含有してもよい。
特に、半導体装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、イオン交換体を含有することが好ましい。イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、ハイドロタルサイト化合物、並びに、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物が挙げられる。イオン交換体は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが好ましい。
Mg(1-X)Al(OH)(COX/2・mHO ……(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
熱硬化性樹脂組成物がイオン交換体を含有する場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~5質量部であることがより好ましい。
(離型剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、成形時における金型との良好な離型性を得る観点から、離型剤を含有してもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が離型剤を含有する場合、その含有量は熱硬化性樹脂100質量部に対して0.01質量部~15質量部が好ましく、0.1質量部~10質量部がより好ましい。離型剤の量が熱硬化性樹脂100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。離型剤の量が熱硬化性樹脂100質量部に対して15質量部以下であると、より良好な接着性が得られる傾向にある。
(難燃剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、難燃剤を含有してもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性樹脂組成物が難燃剤を含有する場合、その含有量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して1質量部~30質量部であることが好ましく、2質量部~20質量部であることがより好ましい。
(応力緩和剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含有してもよい。熱硬化性樹脂組成物が応力緩和剤を含有することにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、NR(天然ゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シリコーン系応力緩和剤が好ましい。シリコーン系応力緩和剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物が応力緩和剤を含有する場合、その含有量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~5質量部であることがより好ましい。
(有機溶剤)
本開示の熱硬化性樹脂組成物には、低粘度化のために必要に応じて有機溶剤を配合することができる。特に、固体のエポキシ樹脂及び硬化剤を用い、熱硬化性樹脂組成物を25℃で液体とする場合には、熱硬化性樹脂組成物を得るために、有機溶剤を配合することが好ましい。
有機溶剤としては、特に制限はなく、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等のラクトン系溶剤、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤などが挙げられ、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、熱硬化性樹脂組成物を硬化する際の急激な揮発による気泡形成を避ける観点からは沸点が170℃以上の有機溶剤が好ましい。
有機溶剤等を含む揮発分の含有率は、熱硬化性樹脂組成物を硬化する際に気泡を形成しない程度であれば特に制限はなく、熱硬化性樹脂組成物全体に対して5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
本開示において、熱硬化性樹脂組成物の揮発分は、熱硬化性樹脂組成物を180℃にて30分の条件で加熱し、加熱前後の重量差に基づいて算出される。
(熱硬化性樹脂組成物の調製方法)
熱硬化性樹脂組成物の調製方法は、特に制限されない。熱硬化性樹脂組成物が25℃で固体の場合、一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に撹拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
熱硬化性樹脂組成物が25℃で固体である場合の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状、ペレット状、グラニュール状等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物がタブレット状又はペレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
熱硬化性樹脂組成物が25℃で液体の場合、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる手法を用いて熱硬化性樹脂組成物を調製してもよい。例えば、成分を秤量し、3本ロール、らいかい機、ミキシングロール、プラネタリミキサ等を用いて混合及び混練し、必要に応じて脱泡することによって熱硬化性樹脂組成物を得ることができる。
(熱硬化性樹脂組成物の物性)
熱硬化性樹脂組成物の粘度は、特に制限されない。成形方法、熱硬化性樹脂組成物の組成等に応じて所望の粘度となるよう調整することが好ましい。熱硬化性樹脂組成物を封止材用途で使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物は25℃で固体であることが好ましい。また、成形時のワイヤ流れの起こりやすさに応じて熱硬化性樹脂組成物の粘度を調整することが好ましい。
例えば、熱硬化性樹脂組成物を封止材用途で使用する場合、ワイヤ流れの低減等の観点から、熱硬化性樹脂組成物の粘度は175℃で200Pa・s以下であることが好ましく、150Pa・s以下であることがより好ましく、100Pa・s以下であることがさらに好ましく、70Pa・s以下であることが特に好ましく、50Pa・s以下であることが極めて好ましい。熱硬化性樹脂組成物の粘度の下限値は特に限定されず、例えば、175℃で2Pa・s以上であってもよい。
熱硬化性樹脂組成物の175℃での粘度は、高化式フローテスター(例えば、株式会社島津製作所製)によって測定することができる。
熱硬化性樹脂組成物をアンダーフィル材等の用途で使用する場合には、熱硬化性樹脂組成物は25℃で液体であることが好ましい。熱硬化性樹脂組成物が液体である場合、熱硬化性樹脂組成物の粘度は特に制限されない。中でも高流動性の観点から、25℃において0.1Pa・s~50.0Pa・sであることが好ましく、1.0Pa・s~50.0Pa・sであることがより好ましく、10.0Pa・s~50.0Pa・sであることがさらに好ましい。なお、熱硬化性樹脂組成物の粘度は、E型粘度計(コーン角3°、回転数10回転/分)を用いて、25℃において測定される。
また、熱硬化性樹脂組成物をアンダーフィル材等の用途で用いる場合、100℃~120℃付近で数十μm~数百μmの狭ギャップ間に熱硬化性樹脂組成物を充填する際の充填のしやすさの指標として、110℃の粘度が0.20Pa・s以下であることが好ましく、0.15Pa・s以下であることがより好ましい。なお、110℃での熱硬化性樹脂組成物の粘度は、レオメーターAR2000(TAインストルメント製、アルミコーン40mm、せん断速度32.5/sec)により測定される。
また、熱硬化性樹脂組成物が25℃で液体である場合、E型粘度計を用いて25℃で測定される回転数が2.5回転/分における粘度と回転数が10回転/分における粘度との比である揺変指数[(2.5回転/分における粘度)/(10回転/分における粘度)]が、0.3~1.5であることが好ましく、0.5~1.2であることがより好ましい。揺変指数が上記範囲であると、充填性がより向上する傾向にある。なお、熱硬化性樹脂組成物の粘度及び揺変指数は、熱硬化性樹脂組成物の組成、無機充填材の含有率等を適宜選択することで所望の範囲とすることができる。
本開示の熱硬化性樹脂組成物を厚みが70μmの硬化物としたときに、前記硬化物の表面におけるCIE 1976(L、a、b)色空間における座標(L=0、a=0、b=0)との色差ΔEは、50以下であることが好ましく、10以下がより好ましく、5以下がさらに好ましく、1以下が特に好ましい。本開示において、色差ΔEの下限値は特に限定されるものではなく、0.01以上であってもよい。
厚みが70μmの硬化物としたときの当該硬化物表面における色差ΔEを50以下とすることで、隠蔽性及びレーザーマーキング法による印字の視認性がより向上する傾向にある。
本開示において、色差ΔEの測定方法は、以下の通りである。
本開示の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して厚みが70μmの硬化物を得る。なお、厚みが70μmの硬化物は、厚みが70μmの領域を有するものであればよく、硬化物が必ずしも全体にわたって厚みが70μmのシート状硬化物でなくともよい。
厚みが70μmの硬化物は、コンプレッション成形、トランスファー成形等の方法で作製することができる。例えば圧縮成形装置PMC1040-S(TOWA株式会社)を用い、成形品の体積に見合う量の熱硬化性樹脂組成物を配置して上下金型で挟み、自動加熱プレスして硬化させることにより硬化物を得ることができる。成形の条件は熱硬化性樹脂組成物の組成により適宜設定される。
得られた厚みが70μmの硬化物について、下記方法により色差ΔEを求める。
CM-3600A(コニカミノルタ株式会社)を用いてL色空間(CIE1976)で表される色空間座標(L1 、a1 、b1 )を測定する。測定した値L1 、a1 及びb1 を用いて下記式より座標(L=0、a=0、b=0)との色差ΔEを算出する。
ΔE=[(L -0)+(a -0)+(b -0)1/2
硬化物の測定箇所における厚みは、電子顕微鏡を用いて、測定対象の断面を観察することで測定することができる。
(熱硬化性樹脂組成物の用途)
本開示の熱硬化性樹脂組成物の用途は特に制限されず、例えば電子部品装置の封止材、アンダーフィル材等として種々の実装技術に用いることができる。また、本開示の熱硬化性樹脂組成物は、各種モジュール用樹脂成形体、モーター用樹脂成形体、車載用樹脂成形体、電子回路用保護材用封止材等、樹脂組成物が良好な流動性及び硬化性を有することが望ましい種々の用途に用いることができる。
<電子部品装置>
本開示の一実施形態である電子部品装置は、素子と、前記素子を封止する上述の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を備える。
電子部品装置としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等の支持部材に、素子(半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子など)を搭載して得られた素子部を熱硬化性樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等で接続した後、熱硬化性樹脂組成物を用いてトランスファ成形等によって封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した素子を熱硬化性樹脂組成物で封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した素子を、熱硬化性樹脂組成物で封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、熱硬化性樹脂組成物で素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)などが挙げられる。また、プリント配線板においても本開示の熱硬化性樹脂組成物を好適に使用することができる。
また、本開示の熱硬化性樹脂組成物が液状である場合、信頼性に優れたフリップチップ用のアンダーフィル材として好適である。本開示の熱硬化性樹脂組成物が特に好適に適用されるフリップチップの分野としては、配線基板と半導体素子を接続するバンプ材質が従来の鉛含有はんだである場合のみならず、Sn-Ag-Cu系等の鉛フリーはんだを用いたフリップチップ半導体部品である場合も挙げられる。従来の鉛はんだと比較して物性的に脆い鉛フリーはんだを用いてバンプ接続をしたフリップチップに対しても、本開示の熱硬化性樹脂組成物は良好な信頼性を維持できる傾向にある。また、ウエハーレベルCSP(Chip Size Package)等のチップスケールパッケージを基板に実装する際にも本開示の熱硬化性樹脂組成物を適用することで、信頼性の向上を図ることができる傾向にある。
以下、上記実施形態を実施例により具体的に説明するが、上記実施形態の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
―熱硬化性樹脂組成物の調製―
表1に示す成分を表1に示す量(質量部)にて混合し、各実施例及び参考例の熱硬化性樹脂組成物を調製した。具体的には、材料を混合後、装置内部温度が70℃~100℃に調整された2軸押出機により混練し、冷却後粉砕して熱硬化性樹脂組成物を得た。
各成分の詳細は下記の通りである。
エポキシ樹脂1…ジフェニルメタン型エポキシ樹脂(エポキシ当量:192g/eq)
エポキシ樹脂2…ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量:186g/eq)
硬化剤1…トリフェニルメタン型フェノール樹脂(水酸基当量:102g/eq)
硬化剤2…ビフェニル骨格を有するアラルキル型フェノール樹脂(水酸基当量:205g/eq)
硬化促進剤…リン系触媒
カップリング剤1…3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
カップリング剤2…N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
離型剤…モンタン酸エステル
顔料1…カーボンブラック
顔料2…黒色酸化チタン
添加剤…ハイドロタルサイト系イオントラップ剤
無機充填材1…シリカ粒子(体積平均粒子径:15μm、トップカット径:75μm、その他の無機充填材)
無機充填材2…シリカ粒子(体積平均粒子径:9μm、トップカット径:20μm、その他の無機充填材)
黒色シリカ1…体積平均粒子径:4μm
黒色シリカ2…体積平均粒子径:30μm
黒色シリカ3…体積平均粒子径:11μm
<流動性>
(スパイラルフロー(SF)の評価)
EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形機により、金型温度180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間120秒間の条件で成形して流動距離(inch)を求めた。結果を表1に示す。
(円板フロー(DF)の評価)
200mm(W)×200mm(D)×25mm(H)の上型と200mm(W)×200mm(D)×15mm(H)の下型を有する円板フロー測定用平板金型を用いて、上皿天秤にて秤量した熱硬化性樹脂組成物5gを、180℃に加熱した下型の中心部にのせ、5秒後に、180℃に加熱した上型を閉じて、荷重78N、硬化時間120秒の条件で圧縮成形し、ノギスで成形品の長径(mm)及び短径(mm)を測定して、その平均値(mm)を円板フローとした。結果を表1に示す。
(熱時硬度の評価)
熱硬化性樹脂組成物の熱時硬度の評価を以下のようにして行った。
熱硬化性樹脂組成物を、トランスファー成形機により、金型温度175℃~180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で熱時硬度測定用の試験片(直径50mm×厚さ3mmの円板)に成形した。成形後直ちにショアD型硬度計を用いて試験片の熱時硬度(ショアD)を測定した。結果を表1に示す。
(175℃における溶融粘度)
熱硬化性樹脂組成物を加熱して溶融させ、高化式フローテスターを用いて175℃における溶融粘度(ηFT)を測定した。結果を表1に示す。
(ゲルタイムの測定)
熱硬化性樹脂組成物のゲルタイム(GT)は、JSRトレーディング株式会社のキュラストメータを用いて測定した。熱硬化性樹脂組成物3gに対し、JSRトレーディング株式会社のキュラストメータを用いた測定を180℃で実施し、トルク曲線の立ち上がりまでの時間をゲルタイム(秒)とした。結果を表1に示す。
(色差ΔEの測定)
色差ΔEの測定方法は、以下の通りとした。
240mm×70mmのガラスエポキシ基板の上に、10mm×10mm×400μmのシリコンチップを搭載した。さらに、基板に搭載されたシリコンチップ上面に厚さ30μmのポリイミドテープを貼り付けた。その後、ポリイミドテープ上の樹脂層の厚みが70μmとなるように、熱硬化性樹脂組成物にて封止して、封止成形物を得た。封止成形物は、圧縮成形装置PMC1040-S(TOWA株式会社)を用い、成形品の体積に見合う量の封止樹脂組成物を金型内に配置して前述の基板を上下金型で挟み、自動加熱プレスして硬化させることにより得た。
得られた封止成形物におけるポリイミドテープ上の樹脂層の厚みが70μmの箇所において、下記方法により色差ΔEを求めた。
CM-3600A(コニカミノルタ株式会社)を用いてL色空間(CIE1976)で表される色空間座標(L1 、a1 、b1 )を測定した。測定した値L1 、a1 及びb1 を用いて下記式より座標(L=0、a=0、b=0)との色差ΔEを算出した。
ΔE=[(L -0)+(a -0)+(b -0)1/2
硬化物の測定箇所における厚みは、電子顕微鏡を用いて、測定対象の断面を観察することで測定した。結果を表1に示す。
(高温体積抵抗率)
直径100mm×厚さ3mmの円板状の試験片を成形する金型を用いて、上記で得られた熱硬化性樹脂組成物をトランスファー成形機により、金型温度175℃~180℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形して、175℃で5時間後硬化して試験片を作製した。マスクシール及び導電性シルバーペイントを用いて、得られた試験片10の一方の面上に図1(A)に示すように内円部2と外円部4からなる表面電極を形成した。また同様に試験片10の他方の面上に図1(B)に示すような裏面電極6を形成した。電極が形成された試験片10を150℃の環境下に配置し、500Vの電圧印加1分後の体積抵抗計の値を読み取った。下式(2)により150℃における高温体積抵抗率を求めた。結果を表1に示す。
体積抵抗率(Ω・cm)=(πd/4t)×(Rv)・・・式(2)
d:表面電極の内円の外形=5.0(cm)
t:試験片の厚さ=0.3(cm)
Rv:体積抵抗値(MΩ)
π:円周率=3.14
(吸湿後体積抵抗率)
高温体積抵抗率の測定に用いられた試験片と同じ試験片を用い、この試験片に対してプレッシャークッカー試験条件(2気圧(0.2MPa)/121℃/100%RH)で20時間の処理をした。処理後の試験片表面の水滴を拭き取り、25℃の環境下に配置し、500Vの電圧印加1分後の体積抵抗計の値を読み取った。上式(2)により吸湿後体積抵抗率を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2023040897000017
表1から明らかなように、実施例の熱硬化性樹脂組成物によれば、参考例の熱硬化性樹脂組成物と同等の隠蔽性、流動性及び絶縁性が確保される。

Claims (7)

  1. 熱硬化性樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、
    前記無機充填材の少なくとも一部が、黒色シリカ粒子である熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記黒色シリカ粒子が、炭素を含む請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 前記黒色シリカ粒子中の前記炭素の含有率が、0.1質量%以上である請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 前記無機充填材の粒度分布が、少なくとも2つのピークを有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  5. 前記無機充填材の粒度分布が、3つのピークを有する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  6. 厚みが70μmの硬化物としたときに、前記硬化物の表面におけるCIE 1976(L*、a*、b*)色空間における座標(L*=0、a*=0、b*=0)との色差ΔEが、50以下である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  7. 素子と、前記素子を封止する請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物と、を備える電子部品装置。
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