JP2023012910A - 液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法 - Google Patents

液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法 Download PDF

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Norio Inami
真司 小山
Shinji Koyama
勇人 篠原
Isato Shinohara
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Abstract

【課題】シリコンを含有するアルミニウム合金の接合強度を一層向上することができる、液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法を提供する。【解決手段】本開示のインサート材100は、第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22を、この順で備える。第一外側層21及び第二外側層22は、アルミニウムと共晶反応する金属等を含有しており、内側層10は、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方のアルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属等を含有しており、内側層10は、第一外側層21及び第二外側層22よりも高融点を有しており、内側層10は、第一外側層21及び第二外側層22と共晶反応する。本開示の液相拡散接合方法は、インサート材100を用いて、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220を液相拡散接合する。【選択図】図2

Description

本開示は、液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法に関する。本開示は、特に、シリコンを含有するアルミニウム合金の液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法に関する。
近年、地球環境保全の観点から、輸送機器等に用いられる構造部材の軽量化が求められている。このことから、構造部材のアルミニウム合金化が進められている。また、アルミニウム合金の接合方法が種々検討されている。
例えば、非特許文献1には、亜鉛シートを基本とした液相拡散接合用インサート材及びそれを用いたアルミニウム合金の液相拡散接合方法が開示されている。
篠原 勇人、小山 真司、「ギ酸塩被膜付与Znシートを用いたAl合金の大気中液相拡散接合強度に及ぼす接合面粗さの影響」、日本機械学会第13回生産加工・工作機械部門講演会概要集、2019、13巻、C34。
非特許文献1には、表面にギ酸塩被膜を付与した亜鉛シートでできている液相拡散接合用インサート材が開示されている。また、非特許文献1には、そのインサート材を用いて、シリコンを含有するアルミニウム合金を液相拡散接合する方法が開示されている。
非特許文献1には、亜鉛シートの表面にギ酸塩被膜を付与することにより、酸化皮膜がギ酸塩に置換され、接合面での酸化皮膜が除去され、そして、接合面の再酸化を防止できることが開示されている。また、非特許文献1には、そのようなインサート材を用いて、アルミニウム合金を液相拡散接合すると、接合強度が向上することが開示されている。
しかし、そのアルミニウム合金がシリコンを含有するとき、接合強度の向上は認められるものの、その向上の程度が低下する。このことから、シリコンを含有するアルミニウム合金を液相拡散接合する際に、その接合強度の一層の向上が望まれている、という課題を本発明者らは見出した。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本開示は、シリコンを含有するアルミニウム合金の接合強度を一層向上することができる、液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示の液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法を完成させた。本開示の液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法は、次の態様を含む。
〈1〉少なくとも一方が、シリコンを含有するアルミニウム合金製である、第一アルミニウム部材と第二アルミニウム部材の液相拡散接合用インサート材であって、
第一外側層、内側層、及び第二外側層を、この順で備えており、
前記第一外側層及び前記第二外側層が、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成されており、
前記内側層が、前記第一アルミニウム部材及び前記第二アルミニウム部材の少なくとも一方の前記アルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金で構成されており、
前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも高融点を有しており、かつ、
前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層と共晶反応する、
液相拡散接合用インサート材。
〈2〉前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方が、金属亜鉛又は亜鉛合金で構成されている、〈1〉項に記載の液相拡散接合用インサート材。
〈3〉前記内側層が、金属アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている、〈1〉又は〈2〉項に記載の液相拡散接合用インサート材。
〈4〉前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくともいずれかの外側に、さらに、表面層を備えており、
前記表面層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも低融点であり、前記表面層自身のみで溶融する、あるいは、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成されている、
〈1〉~〈3〉項のいずれか一項に記載の液相拡散接合用インサート材。
〈5〉前記表面層が、金属錫、金属ビスマス、金属インジウム、金属ガリウム、錫合金、ビスマス合金、インジウム合金、及びガリウム合金からなる群より選ばれる一種以上で構成されている、〈4〉項に記載の液相拡散接合用インサート材。
〈6〉前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方の片面又は両面に、ギ酸塩被膜、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜からなる群より選ばれる一種以上を備えている、〈1〉~〈5〉項のいずれか一項に記載の液相拡散接合用インサート材。
〈7〉少なくとも一方が、シリコンを含有するアルミニウム合金製である、第一アルミニウム部材と第二アルミニウム部材との液相拡散接合方法であって、
第一外側層、内側層、及び第二外側層をこの順で積層して、インサート材を得ること、
前記第一アルミニウム部材と前記第二アルミニウム部材の間に、前記インサート材を配置し、前記第一アルミニウム部材、前記第二アルミニウム部材、及び前記インサート材を加熱しつつ、前記第一アルミニウム部材と前記第二アルミニウム部材の少なくとも一方を介して、前記インサート材に荷重を負荷して、前記第一アルミニウム部材と前記第二アルミニウム部材を液相拡散接合すること、
を含み、
前記第一外側層及び前記第二外側層が、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成され、
前記内側層が、前記第一アルミニウム部材及び前記第二アルミニウム部材の少なくとも一方の前記アルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金で構成され、
前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも高融点を有し、かつ、
前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層と共晶反応する、
液相拡散接合方法。
〈8〉前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方が、金属亜鉛又は亜鉛合金で構成される、〈7〉項に記載の液相拡散接合方法。
〈9〉前記内側層が、金属アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される、〈7〉又は〈8〉項に記載の液相拡散接合方法。
〈10〉前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくともいずれかの外側に、さらに、表面層を積層して、インサート材を得ること、
を含み、
前記表面層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも低融点であり、前記表面層自身のみで溶融する、あるいは、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成される、
〈7〉~〈9〉項のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
〈11〉前記表面層が、金属錫、金属ビスマス、金属インジウム、金属ガリウム、錫合金、ビスマス合金、インジウム合金、及びガリウム合金からなる群より選ばれる一種以上で構成される、〈10〉項に記載の液相拡散接合方法。
〈12〉前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方の片面又は両面に、さらに、ギ酸塩被膜、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜からなる群より選ばれる一種以上を形成して、インサート材を得る、〈7〉~〈11〉項のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
本開示によれば、接合対象部材のアルミニウム合金よりもシリコン含有割合の小さい金属又は合金を、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で挟んだインサート材によって、接合対象部材に由来するシリコンの粗大凝集物が接合部に残存することを抑制できる。これにより、本開示によれば、シリコン粗大凝集物が接合部に残存することを抑制して、シリコンを含有するアルミニウム合金の接合強度を一層向上することができる、液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法を提供することができる。
図1は、本開示の液相拡散接合用インサート材の一態様を示す断面模式図である。 図2は、本開示の液相拡散接合方法の一態様を示す断面模式図である。 図3は、本開示の液相拡散接合用インサート材の別の態様を示す断面模式図である。 図4は、第一外側層及び第二外側層の表面に、ギ酸塩被膜を備えている、本開示の液相拡散接合用インサート材の一態様を示す断面模式図である。 図5は、第一外側層及び第二外側層の表面に、ギ酸塩被膜を備えている、本開示の液相拡散接合用インサート材の別の態様を示す断面模式図である。 図6は、液相拡散接合時の接合圧力と接合温度の時間変化を示すグラフである。 図7は、実施例1の試料の接合部のSEM像である。 図8は、比較例2の試料の接合部のSEM像である。
以下、本開示の液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法の態様を詳細に説明する。なお、以下に示す態様は、本開示の液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法を限定するものではない。
理論に拘束されないが、本開示の液相拡散接合用インサート材を用いてアルミニウム合金を液相拡散接合すると、アルミニウム合金がシリコンを含有していても、接合強度が一層向上する理由について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明で、本開示の液相拡散接合用インサート材を、単に「本開示のインサート材」ということがある。
図1は、本開示のインサート材の一態様を示す断面模式図である。図2は、本開示の液相拡散接合方法の一態様を示す断面模式図である。
図1に示すように、本開示のインサート材100(以下、単に「インサート材100」ということがある。)は、第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22を、この順で備えている。そして、図2に示すように、本開示のインサート材100を、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220で挟み、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220を液相拡散接合する。すなわち、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220が、接合対象部材である。
インサート材を用いて接合対象部材を液相拡散接合するとき、インサート材の少なくとも一部が溶融して液相になる。そして、その液相が接合対象部材と接する部位及びその近傍で、その液相の少なくとも一部と接合対象部材の少なくとも一部が相互拡散して、接合対象部材が接合する。
図2に示した態様の場合、インサート材100を用いて第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220を液相拡散接合するとき、インサート材100の少なくとも一部が溶融して液相を形成する。そして、その液相が第一アルミニウム部材210と接する部位及びその近傍で、その液相と第一アルミニウム部材210が相互拡散する。同様に、その液相が第二アルミニウム部材220と接する部位及びその近傍で、その液相と第二アルミニウム部材220が相互拡散する。このとき、インサート材100のうち、第一外側層21の少なくとも一部及び第二外側層22の少なくとも一部が溶融して液相を形成するようにする。そのため、第一外側層21及び第二外側層22は、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成されている。これによって、接合中は、主としてインサート材100の少なくとも一部、より詳細には、第一外側層21の少なくとも一部及び第二外側層22の少なくとも一部が溶融して液相を形成する。「『主として』インサート材100の少なくとも一部が溶融して液相を形成する」とは、インサート材100の少なくとも一部以外も溶融して液相を形成していてもよいことを意味する。具体的には、インサート材100の少なくとも一部が溶融して液相を形成し、その液相が、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220と相互拡散している部分の一部が液相を形成していてもよいことを意味する。これは、相互拡散により、その相互拡散部分の融点が低下するためである。
第一アルミニウム部材210がシリコンを含有する場合、インサート材100の少なくとも一部が液相を形成したとき、その液相中に、第一アルミニウム部材210中のシリコンが溶出し排出される。同様に、第二アルミニウム部材220がシリコンを含有する場合、インサート材100の少なくとも一部が液相を形成したとき、その液相中に、第二アルミニウム部材220中のシリコンが溶出し排出される。このとき、インサート材100が内側層10を備えていないと、インサート材100中にシリコンが残存したまま、その液相部分が凝固する。その凝固の際、シリコンを多く含有する相(以下、単に「シリコン相」ということがある。)が、凝集及び粗大化して残存する。そして、このように、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220の接合部に、凝集及び粗大化したシリコン相が残存すると、接合強度が低下することを、本発明者らは知見した。理論に拘束されないが、シリコン相は硬質相であるため、凝集及び粗大化したシリコン相は、接合部が脆性破壊する原因になると考えられる。
凝集及び粗大化したシリコン相が接合部に残存しないようにするためには、インサート材100の、第一外側層21と第二外側層22の間に、内側層10を配置すればよいことを、本発明者らは知見した。そして、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方のアルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金を内側層10が含有していればよいことを、本発明者らは知見した。さらに、内側層10が、第一外側層21及び第二外側層22よりも高融点を有しており、かつ、内側層10が、第一外側層21及び第二外側層22と共晶反応すればよいことを、本発明者らは見出した。
第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220を液相拡散接合する際には、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220でインサート材100を圧縮する荷重を負荷する。
第一外側層21及び第二外側層22それぞれの少なくとも一部が溶融した液相に、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220から溶出したシリコンが排出され始めたとき、内側層10は固相を維持していると考えられる。これは、内側層10が、第一外側層21及び第二外側層22よりも高融点を有しているからである。この状態で、インサート材100を圧縮する荷重を負荷すると、その液相は、内側層10に沿って(図2の左右方向に沿って)、インサート材100の外に排出されると考えられる。
第一外側層21及び第二外側層22に由来する液相が、内側層10に沿って排出される際、液相拡散接合が進行するにつれて、内側層10が、その外側(第一外側層21及び第二外側層22と接する側)から徐々に共晶反応して溶融し、液相を形成する。そして、内側層10に由来する液相も、インサート材100の外に排出されると考えられる。内側層10は、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方のアルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい。そのため、内側層10に由来する液相の一部が、インサート材100の外に排出される途中で、凝固を開始しシリコン相を形成しても、そのシリコン相の形成量は少ない。このことから、内側層10に由来する液相が、インサート材100の外に排出されることを、シリコン相が阻害することはほとんどなく、むしろ、未凝固の液相とともに、シリコン相もインサート材100の外に排出されると考えられる。このようにして、液相拡散接合後の第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220の接合部に、凝集及び粗大化したシリコンが残存することを回避又は抑制できると考えられる。そして、第一アルミニウム部材と第二アルミニウム部材220の接合強度を一層向上することができる。
これまでに説明した知見等によって完成された、本開示のインサート材及び液相拡散接合方法の構成要件を、次に説明する。
《液相拡散接合用インサート材》
図2に示したように、本開示のインサート材100は、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220で挟んで用いる。第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220については、「《液相拡散接合方法》」で詳述する。
図1に示したように、本開示のインサート材100は、第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22を、この順で備えている。図3は、本開示のインサート材の別の態様を示す断面模式図である。図3に示したように、本開示のインサート材100は、任意で、第一外側層21及び第二外側層22の外側に、さらに、第一表面層31及び第二表面層32を備えていてよい。以下、本開示のインサート材100が備えている、これらそれぞれについて、詳細に説明する。
〈内側層〉
内側層10は、第一外側層21と第二外側層22に挟まれて配置されている。内側層10は、接合対象部材のアルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金で構成されている。これにより、上述したように、液相拡散接合後の接合部に、内側層に由来して、シリコンが凝集及び粗大化することを回避又は抑制することができる。ここで「シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金で『構成されている』」とは、所望の金属又は合金以外の組成物を含有し得ることを意味し、所望の金属又は合金の含有割合は、例えば、質量%で、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってよい。
接合対象部材、すなわち、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方は、シリコンを含有するアルミニウム合金製である。したがって、内側層10は、第一アルミニウム部材210材及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方のアルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金で構成されている。なお、本明細書等では、特に断りのない限り、「金属」とは合金化されていない金属を意味し、「合金」とは、二種類以上の元素を含有し、それらが互いに合金化している組成物を意味する。
内側層10は、第一外側層21及び第二外側層22よりも高融点を有している。これにより、上述したように、第一外側層21及び第二外側層22それぞれの少なくとも一部が溶融した液相に、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220から溶出したシリコンが排出され始めたとき、内側層10は固相を維持することができる。そして、第一外側層21及び第二外側層22に由来する液相が、内側層10に沿って、インサート材100の外に排出される。このようにして、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220から第一外側層21及び第二外側層22に排出したシリコンが、液相拡散接合後の接合部に凝集及び粗大化して残存することを、回避又は抑制することができる。
内側層10は、第一外側層21及び第二外側層22と共晶反応する。これにより、上述したように、液相拡散接合の初期に固相を維持していた内側層10は、その外側から徐々に第一外側層21及び第二外側層22に由来する液相と共晶反応して、内側層10自体も、その外側から徐々に液相化する。そして、内側層10に由来する液相の多くが、インサート材100の外に排出される。
これまで説明したような内側層10は、典型的には、金属アルミニウム、すなわち、アルミニウム以外の金属と合金化されていないアルミニウムで構成されている。金属アルミニウムの純度は、質量%で、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってよく、100%であってもよい。なお、例えば、純度が90%以上の金属アルミニウムは、90%以上のアルミニウムを含有しており、残部が不可避的不純物である、ということができる。純度が、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の場合も同様である。本明細書では、「不可避的不純物」とは、原材料に含まれる不純物、あるいは、製造工程で混入してしまう不純物等、その含有を回避することができない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物のことをいう。製造工程で混入してしまう不純物等には、製造上の都合により、接合強度等に影響を与えない範囲で含有させる物質を含む。
内側層10は、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方のアルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さいアルミニウム合金で構成されている。これにより、上述したように、内側層10に由来して、液相拡散接合後の接合部に、凝集及び粗大化したシリコン相が残存することを回避又は抑制することができる。第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方を構成しているアルミニウム合金の組成については後述する。第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の少なくとも一方を構成しているアルミニウム合金のシリコン含有割合と、内側層10が含有するアルミニウム合金のシリコン含有割合の差は、例えば、質量%で、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、又は2%以上であってよく、30%、25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、又は5%以下であってよい。
内側層10の厚さについては、液相拡散接合後の接合部に、接合強度に悪影響を及ぼさない程度に内側層10が残存する、あるいは、液相拡散接合後の接合部に内側層10が残存しないように、液相拡散接合条件等を考慮して、適宜決定すればよい。内側層10の厚さは、0.2mm以上、0.3mm以上、0.4mm以上、又は0.5mm以上であってよく、1.2mm以下、1.0mm以下、0.8mm以下、又は0.6mm以下であってよい。
〈第一外側層及び第二外側層〉
第一外側層21及び第二外側層22は、内側層10を挟んで、内側層10の外側に配置されている。
第一外側層21及び第二外側層22が、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220中のアルミニウムと共晶反応することによって、第一外側層21及び第二外側層22が溶融して液相を形成する。そして、この液相が第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220に拡散して、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材を液相拡散接合する。このことから、第一外側層21及び第二外側層22は、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成されている。ここで「構成されている」とは、所望の金属又は合金以外の組成物を含有し得ることを意味し、所望の金属又は合金の含有割合は、例えば、質量%で、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってよい。
上述のような第一外側層21及び第二外側層22は、典型的には、金属亜鉛で構成されている。金属亜鉛の純度は、質量%で、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってよく、100%であってもよい。なお、例えば、純度が90%以上の金属亜鉛は、90%以上の亜鉛を含有しており、残部が不可避的不純物である、ということができる。純度が、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の場合も同様である。
第一外側層21及び第二外側層22は、亜鉛合金で構成されていてもよい。亜鉛合金とは、亜鉛の他に、亜鉛と合金化する元素を含有している組成物を意味する。このような合金化元素の含有割合は、質量%で、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、又は3%以上であってよく、15%以下、10%以下、7%以下、又は5%以下であってよい。複数の合金化元素を含有する場合には、その合計の含有割合である。このような合金化元素としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、鉛、錫、カドミウム、及び鉄等が挙げられる。なお、このような亜鉛合金は、質量%で、0.1~15%の合金化元素を含有し、残部が亜鉛及び不可避的不純物である、ということができる。
第一外側層21及び第二外側層22の厚さについては、液相拡散接合後の接合部に、第一外側層21及び第二外側層22に由来する物質が残存して、接合強度に悪影響を及ぼさないように、液相拡散接合条件等を考慮して、適宜決定すればよい。第一外側層21及び第二外側層22の厚さは、0.2mm以上、0.4mm以上、又は0.6mmであってよく、1.6mm以下、1.4mm以下、1.2mm以下、1.0mm以下、又は0.8mm以下であってよい。
第一外側層21と第二外側層22は、それぞれが上述した要件を満たしていれば、第一外側層21と第二外側層22は同じ材料でできていてもよいし、異なる材料でできていてもよい。
〈第一表面層及び第二表面層〉
図3に示したように、本開示のインサート材100は、任意で、第一外側層21及び第二外側層22の外側に、表面層30を備えていてもよい。典型的には、図3に示したように、図1に示したインサート材100の両外側に、第一表面層31及び第二表面層32を備えているが、どちらか一方でもよい。すなわち、本開示のインサート材100は、第一外側層21及び第二外側層22の少なくともいずれかの外側に、さらに、表面層30を備えていてもよい。
第一表面層31及び第二表面層32は、第一外側層21及び第二外側層22よりも低融点であり、かつアルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成されている。これにより、液相拡散接合時に、第一表面層31及び第二表面層32は、第一表面層31及び第二表面層32自身のみで溶融する、あるいは、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220中のアルミニウムと共晶反応し、第一外側層21及び第二外側層22よりも早期に溶融し液相を形成する。そして、その液相が、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材の接合面を包囲し、この接合面が外部雰囲気と接触することを回避又は抑制することができる。これにより、液相拡散接合時に、接合部が酸化することを回避又は抑制することができる。また、第一表面層31及び第二表面層32が金属錫又は錫合金で構成されている場合には、金属錫及び錫合金は軟質であるため、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の表面の微小凹凸に、金属錫又は合金錫が入り込む。その際、微小凹凸に存在する空気を追い出し、また、接合時に、再度、微小凹凸に空気が入り込むことを抑制するため、接合部の酸化抑制に寄与する。なお、「構成されている」とは、所望の金属又は合金以外の組成物を含有し得ることを意味し、所望の金属又は合金の含有割合は、例えば、質量%で、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってよい。
本開示のインサート材100が、第一表面層31及び第二表面層32を備えている態様では、液相拡散接合の初期に、第一表面層31及び第二表面層32が溶融して、液相を形成する(以下、この液相を「第一表面層31及び第二表面層32に由来する液相」ということがある。)。そして、液相拡散接合の進行に伴い、第一外側層21及び第二外側層22が溶融して、液相を形成する(以下、この液相を「第一外側層21及び第二外側層22に由来する液相」ということがある。)。この態様においては、液相拡散接合の進行に伴い、第一外側層21及び第二外側層22に由来する液相を形成する前に、第一表面層31及び第二表面層32に由来する液相が、第一外側層21及び第二外側層22に沿って、インサート材100の外に排出される。
このような第一表面層31及び第二表面層32は、例えば、金属錫、金属ビスマス、金属インジウム、金属ガリウムで構成されており、典型的には金属錫で構成されている。金属錫の純度は、質量%で、90%以上、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってよく、100%であってもよい。なお、例えば、純度が90%以上の金属錫は、90%以上の錫を含有しており、残部が不可避的不純物である、ということができる。純度が、95%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上の場合も同様である。これらのことは、金属ビスマス、金属インジウム、及び金属ガリウムについても同様である。
第一表面層31及び第二表面層32は、錫合金で構成されていてもよい。錫合金とは、錫の他に、錫と合金化する元素を含有している組成物を意味する。このような合金化元素の含有割合は、質量%で、0.1%以上、0.5%以上、1%以上、又は3%以上であってよく、15%以下、10%以下、7%以下、又は5%以下であってよい。複数の合金化元素を含有する場合には、その合計の含有割合である。このような合金化元素としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、鉛、亜鉛、カドミウム、及び鉄等が挙げられる。なお、このような錫合金は、質量%で、0.1~15%の合金化元素を含有し、残部が錫及び不可避的不純物である、ということができる。
第一表面層31及び第二表面層32の厚さについては、液相拡散接合後の接合部に、第一表面層31及び第二表面層32に由来する物質が残存して、接合強度に悪影響を及ぼさないように、液相拡散接合条件等を考慮して、適宜決定すればよい。第一表面層31及び第二表面層32の厚さは、0.005mm以上、0.006mm以上、又は0.007mm以上であってよく、1.6mm以下、1.4mm以下、1.2mm以下、1.0mm以下、0.80mm以下、0.60mm以下、0.40mm以下、0.20mm以下、0.10mm以下、0.080mm以下、0.040mm以下、0.020mm以下、0.010mm以下、0.009mm以下、又は0.008mm以下であってよい。
第一表面層31と第二表面層32は、それぞれが上述した要件を満たしていれば、第一表面層31と第二表面層32は同じ材料でできていてもよいし、異なる材料でできていてもよい。
〈ギ酸塩被膜等〉
第一外側層21及び第二外側層22の少なくとも一方の片面又は両面に、ギ酸塩被膜40を備えていてもよい。図4は、第一外側層及び第二外側層それぞれの両面に、ギ酸塩被膜を備えている一態様を示す断面模式図である。図5は、第一外側層及び第二外側層それぞれの両面に、ギ酸塩被膜40を備えている別の態様を示す断面模式図である。
図4に示す態様では、第一外側層21及び第二外側層22それぞれの両面に、第一ギ酸塩被膜41及び第二ギ酸塩被膜42を備えているが、これに限られない。例えば、第一外側層21の両面のみに第一ギ酸塩被膜41を備えており、第二外側層22の表面には第二ギ酸塩被膜42を備えていなくてもよい。また、図4に示す態様では、第一外側層21の両面に第一ギ酸塩被膜41を備えているが、片面のみに第一ギ酸塩被膜41を備えていてもよい。あるいは、例えば、図5に示した態様のように、第一ギ酸塩被膜41及び第二ギ酸塩被膜42の外側に、さらに第一表面層31及び第二表面層32を備えていてもよい。また、図5に示した態様では、第一表面層31及び第二表面層32の両方を備えているが、これに限られず、第一表面層31及び第二表面層32の片方のみを備えていてもよい。
第一外側層21及び第二外側層22の少なくとも一方が、その少なくとも片面に、ギ酸塩被膜40を備えていると、接合面での酸化皮膜を除去することができ、また、接合面の再酸化を回避又は抑制することができる。これにより、接合強度を向上させることができる。理論に拘束されないが、これは、液相拡散接合時にギ酸塩被膜が熱分解して、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の接合面との共晶反応を生じやすくするためであると考えられる。
ギ酸塩被膜と同様の働きをするものとしては、例えば、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜が挙げられる。したがって、第一外側層及び第二外側層の少なくとも一方の片面又は両面には、ギ酸塩被膜、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜からなる群より選ばれる一種以上を備えていてもよい。ギ酸塩被膜等の詳細は、「《液相拡散接合方法》」で説明する。また、ギ酸塩被膜については、非特許文献1を参照することができる。
《液相拡散接合方法》
次に、本開示の液相拡散接合方法について説明する。本開示の液相拡散接合方法は、図2に示したように、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220を接合する。本明細書では、特に断りのない限り、「アルミニウム部材」は、金属アルミニウム部材及びアルミニウム合金部材の少なくともいずれかを意味する。なお、以下の第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220に関する記載は、上述した本開示のインサート材100にも適用することができる。以下、接合対象部材、すなわち、第一アルミニウム部材及び第二アルミニウム部材について説明する。
〈第一アルミニウム部材及び第二アルミニウム部材〉
本開示の液相拡散接合方法においては、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材の少なくとも一方が、シリコンを含有するアルミニウム合金製である。「シリコンを含有するアルミニウム合金製である」とは、シリコンを含有するアルミニウム合金以外の組成物を含み得ることを意味する。例えば、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の両方がシリコンを含有するアルミニウム合金である場合、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220それぞれに対して、シリコンを含有するアルミニウム合金の含有割合は、例えば、質量%で、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、又は99%以上であってよい。
本開示の液相拡散方法によれば、第一アルミニウム部材210又は第二アルミニウム部材220中の、シリコンを含有するアルミニウム合金に由来するシリコン粗大凝集物が、接合部に残存することを回避又は抑制することができる。
第一アルミニウム部材210又は第二アルミニウム部材220中のアルミニウム合金がシリコンを僅かにでも含有すれば、接合部にシリコン粗大凝集物が接合部に残存する可能性があり、本開示の液相拡散接合方法の効果を享受することができる。典型的には、シリコンを含有するアルミニウム合金は、シリコンを含有する展伸材用及び鋳造用アルミニウム合金である。展伸材用アルミニウム合金には、鍛造用アルミニウム合金を含み、また、鋳造用アルミニウム合金には、ダイカスト用アルミニウム合金を含む。したがって、シリコンを含有するアルミニウム合金においては、シリコンの含有割合は、例えば、質量%で、0.1%以上、0.5%以上、0.7%以上、1.0%以上、1.5%以上、2.0%以上、4.0%以上、6.0%以上、又は8.0%以上であってよく、24.0%以下、22.0%以下、20.0%以下、18.0%以下、16.0%以下、14.0%以下、12.0%以下、又は10.0%以下であってよい。展伸材用及び鋳造用アルミニウム合金のいずれも、時効硬化性、耐食性、耐熱性、及び/又は耐摩耗性等の向上のために、その用途によって、シリコンの他に、例えば、銅、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、チタン、鉛、錫、及びクロム等を含有していてもよい。そして、シリコン以外のそれら元素の合計含有割合は、例えば、質量%で、0.05%以上、0.1%以上、0.5%以上、1.0%以上、3.0%以上、又は5.0%以上であってよく、15.0%以下、13.0%以下、10.0%以下、又は7.0%以下であってよい。そして、残部がアルミニウム及び不可避的不純物であってよい。
本開示の液相拡散接合は、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材の少なくとも一方が、鋳造用アルミニウム合金のように、シリコン含有割合が高い場合に、特に有用である。したがって、シリコンを含有するアルミニウム合金においては、シリコンの含有割合は、質量%で、4.0%以上、6.0%以上、又は8.0%以上であり、24.0%以下、22.0%以下、20.0%以下、18.0%以下、16.0%以下、14.0%以下、12.0%以下、又は10.0%以下であってよい。
展伸材用アルミニウム合金としては、例えば、質量%で、0.01~5.0%の銅、0.1~1.5%のシリコン、0.01~3.0%のマグネシウムを含有し、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、チタン、鉛、錫、及びクロムを、合計で、0~2.0%含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物である合金が挙げられる。特に、展伸材用アルミニウム合金としては、例えば、日本産業規格の1000系、2000系、3000系、4000系、6000系、又は7000系等であってよく、特に、4000系、6000系、又は7000系等であってよい。
鋳造用アルミニウム合金としては、例えば、質量%で、0.10~5.0%の銅、4.0~24.0%のシリコン、0.1~2.0%のマグネシウムを含有し、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、チタン、鉛、錫、及びクロムを、合計で、0~5.0%含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物である合金が挙げられる。特に、鋳造用アルミニウム合金は、例えば、日本産業規格のAC2A、AC2B、AC2C、AC3A、AC4B、AC4C、AC4CH、AC4D、AC8A、AC8B、AC8C、AC9A、又はAC9B等であってよい。
特に、AC2Cは、例えば、質量%で、0.5~1.1%の銅、6.5~7.5%のシリコン、0.2~0.4%のマグネシウム、0~0.1%の亜鉛、0~0.1%のマンガン、0~0.1%ニッケル、及び0~0.1%の錫を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物であってよい。なお、本明細書で、特に断りがない限り、0%とは、当該成分を含有しなくてもよいことを意味する。
鋳造用アルミニウム合金は、ダイカスト用合金であってもよく、例えば、質量%で、0.10~5.0%の銅、5.0~20.0%のシリコン、0~2.0%のマグネシウムを含有し、亜鉛、鉄、マンガン、ニッケル、チタン、鉛、錫、及びクロムを、合計で、0~5.0%含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物である合金が挙げられる。特に、ダイカスト用アルミニウム合金は、例えば、日本産業規格のADC3、ADC10、ADC10Z、ADC12、ADC12Z、又はADC14等であってよく、特に、ADC10、ADC12、及びADC14等であってよい。
特に、ADC12は、例えば、質量%で、1.5~3.5%の銅、9.6~12.0%のシリコン、0~0.3%のマグネシウム、0~0.3%の亜鉛、0~0.5%のマグネシウム、0~0.5%のニッケル、及び0~0.3%の錫を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物であってよい。
本開示の液相拡散接合方法は、これまでに説明した第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220を、次のように接合する。
本開示の液相拡散接合方法は、インサート材準備工程及び液相拡散接合工程を含む。また、本開示の液相拡散接合方法は、任意で、表面層付加工程及びギ酸塩被膜等付加工程を含んでもよい。以下、それぞれについて説明する。
〈インサート材準備工程〉
図1に示したように、第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22を、この順で積層して、インサート材100を得る。
第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22の各層を隙間なく積層することができれば、積層方法に特に制限はない。
積層方法としては、例えば、第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22の各層の板材及び/又は箔材を準備し、それらを積層すること等が挙げられる。積層前に、各層の板材及び/又は箔材の表面を脱脂及び/又は研磨等により、清浄しておくことが好ましい。これにより、接合部に酸化物及び/又は介在物が残存することを回避又は抑制することができ、その結果、接合強度を向上することができる。
あるいは、積層方法としては、内側層10の両外側表面に、第一外側層21及び第二外側層22を成膜することが挙げられる。成膜方法は、成膜時に、各層、特に内側層10を変質等させることがなければ、特に制限はない。成膜方法としては、溶射法、めっき法、堆積法等が挙げられる。成膜法を用いると、各層を隙間なく積層することが比較的容易であり、接合強度の向上につながる。また、各層が離別することがなく、インサート材のハンドリングに有利である。
板材及び/又は箔材の積層と成膜とを組み合わせてもよい。例えば、内側層10の一方の表面に第一外側層21を成膜し、内側層10の他方の表面に第二外側層22の板材及び/又は箔材を積層してもよい。
第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22の各層に関し、材質(組成)及び厚さ等は、「《液相拡散接合用インサート材》」で説明したとおりである。
〈液相拡散接合工程〉
図2に示したように、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220の間に、インサート材100を配置する。そして、第一アルミニウム部材210、第二アルミニウム部材220、及びインサート材100を加熱しつつ、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220の少なくとも一方を介して、インサート材100に荷重を負荷する。このようにして、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220を液相拡散接合することができる。
液相拡散接合温度は、第一外側層21及び第二外側層22が、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220中のアルミニウムと共晶反応し、かつ、内側層10の融点以下であるように適宜決定すればよい。第一外側層21及び第二外側層22が金属亜鉛で構成されており、内側層10が金属アルミニウムで構成されている場合には、液相拡散接合温度は、例えば、380℃以上、400℃以上、又は450℃以上であってよく、660℃以下、650℃以下、600℃以下、550℃以下、又は500℃以下であってよい。
液相拡散接合圧力は、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材でインサート材100を挟持してインサート材100が位置ずれしない圧力以上、接合部が大きく変形しない圧力以下で、適宜決定すればよい。液相拡散接合圧力は、典型的には、1MPa以上、2MPa以上、3MPa以上、又は4MPa以上であってよく、25MPa以下、20MPa以下、15MPa以下、10MPa以下、又は5MPa以下であってよい。
液相拡散接合時間は、インサート材100、特に、第一外側層21及び第二外側層22が濃縮して接合部に残存しない時間で適宜決定すればよい。液相拡散接合温度が、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の溶体化(固溶化)温度以上である場合には、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220の溶体化(固溶化)も考慮して、液相拡散接合時間を決定することができる。液相拡散接合時間としては、例えば、10分以上、30分以上、60分以上、90分以上、120分以上、又は150分以上であってよく、300分以下、270分以下、240分以下、210分以下、又は180分以下であってよい。
〈表面層付加工程〉
インサート材準備工程において、図3に示したように、第一外側層21及び第二外側層22の外側に、さらに、第一表面層31及び第二表面層32を積層してもよい。図3に示した態様では、図1に示したインサート材100の両外側に、さらに、第一表面層31及び第二表面層32を積層しているが、これに限られず、第一表面層31及び第二表面層32のいずれか一方を積層してもよい。すなわち、第一外側層21及び第二外側層22の少なくともいずれかの外側に、さらに、表面層30を積層して、インサート材100を得てもよい。
第一表面層31及び第二表面層32それぞれを、隙間なく積層することができれば、積層方法に特に制限はない。
積層方法としては、例えば、第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22の各層の板材及び/又は箔材を準備し、それらを積層した後、その外側に、さらに、第一表面層31及び第二表面層32の板材及び/又は箔材を積層すること等が挙げられる。積層前に、各層の板材及び/又は箔材の表面を脱脂及び/又は研磨等により、清浄しておくことが好ましい。これにより、接合部に酸化物及び/又は介在物が残存することを回避又は抑制することができ、その結果、接合強度を向上することができる。
あるいは、積層方法としては、内側層10の表面に、第一外側層21及び第二外側層22を成膜した後に、その外側に、さらに第一表面層31及び第二表面層32を成膜することが挙げられる。成膜方法としては、成膜時に、各層、特に内側層10を変質等させることがなければ、特に制限はない。成膜方法としては、溶射法、めっき法、堆積法等が挙げられる。成膜法を用いると、各層を隙間なく積層することが比較的容易であり、接合強度の向上につながる。また、各層が離別することがなく、インサート材のハンドリングに有利である。
板材及び/又は箔材の積層と成膜を組み合わせてもよい。例えば、内側層10の両外側表面に第一外側層21及び第二外側層22を成膜した後、その両外側に、第一表面層31及び第二表面層32の板材及び/又は箔材を積層してもよい。
第一表面層31及び第二表面層32に関し、材質(組成)及び厚さ等は、「《液相拡散接合用インサート材》」で説明したとおりである。
第一表面層31及び第二表面層32をさらに積層した場合でも、上述の液相拡散接合温度、圧力、及び時間を適用することができる。特に、液相拡散接合温度は、第一外側層21及び第二外側層22が、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220中のアルミニウムと共晶反応し、かつ、内側層10の融点以下であるように適宜決定する。第一表面層31及び第二表面層32は、第一外側層21及び第二外側層22よりも低融点であるため、第一表面層31及び第二表面層32は、第一外側層21及び第二外側層22よりも早期に溶融し、液相を形成する。そのため、その液相で、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220の接合面が、外部雰囲気と接触することを回避又は抑制することができる。
〈ギ酸塩被膜等付加工程〉
第一外側層21及び第二外側層22の少なくとも一方の片面又は両面に、さらに、ギ酸塩被膜等を形成して、インサート材100を得てもよい。ギ酸塩被膜「等」とは、ギ酸塩被膜の他に、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び/又は酒石酸塩被膜を形成してもよいことを意味する。すなわち、第一外側層21及び第二外側層22の少なくとも一方の片面又は両面に、さらに、ギ酸塩被膜、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜からなる群より選ばれる一種以上を形成して、インサート材100を得てもよい。以下の説明では、形成する被膜がギ酸塩被膜であるが、これに限られない。すなわち、以下の説明で、形成する被膜は、ギ酸塩被膜、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜からなる群より選ばれる一種以上であってよい。図4に示した形態では、第一外側層21及び第二外側層22それぞれの両面に、第一ギ酸塩被膜41及び第二ギ酸塩被膜42を形成しているが、これに限られず、例えば、第一外側層21及び第二外側層22それぞれの外側面のみに、第一ギ酸塩被膜41及び第二ギ酸塩被膜42を形成してもよい。ギ酸塩被膜の形成は、周知の方法を適用することができ、また、非特許文献1を参照することができる。例えば、第一外側層21用の箔材と、第二外側層22用の箔材を、それぞれ、沸騰させたギ酸中に1~5分にわたり浸漬した後、水洗する方法が挙げられる。この方法によって、第一外側層21の両面に第一ギ酸塩被膜41を形成し、第二外側層22の両面に第二ギ酸塩被膜42を形成することができる。そして、第一ギ酸塩被膜41付の第一外側層21、内側層10、及び第二ギ酸塩被膜42付の第二外側層22を、この順で積層することによって、図4に示した態様のインサート材100を得ることができる。酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜を形成する場合には、ギ酸に代えて、それぞれ、酢酸、クエンさん、及び酒石酸を用いること以外、同様の方法を適用することができる。以下の説明においても同様である。
あるいは、図1に示したインサート材100を、内側層10用の箔材の両面に、第一外側層21及び第二外側層22を溶射等で成膜して得る。このようにして得たインサート材100を、沸騰させたギ酸中に、1~5分にわたり浸漬した後、水洗すると、第一ギ酸塩被膜41、第一外側層21、内側層10、第二外側層22、及び第二ギ酸塩被膜42を備えているインサート材100を得ることができる。すなわち、第一外側層21及び第二外側層22の外側片面のみに、第一ギ酸塩被膜41及び第二ギ酸塩被膜42をそれぞれ形成することができる。
また、例えば、図5に示したように、第一ギ酸塩被膜41及び第二ギ酸塩被膜42の外側に、さらに第一表面層31及び第二表面層32を積層してもよい。
《変形》
これまで説明してきたこと以外でも、本開示のインサート材及び液相拡散接合方法は、特許請求の範囲に記載した内容の範囲内で種々の変形を加えることができる。例えば、本開示のインサート材は、大気雰囲気中及び不活性ガス雰囲気中のいずれの雰囲気中でも、用いることができる。不活性ガス雰囲気中で本開示のインサート材を用いて液相拡散接合すると、大気雰囲気中で本開示のインサート材を用いて液相拡散接合する場合よりも、さらに接合強度を向上させることができる。しかし、大気雰囲気中で本開示のインサート材を用いて液相拡散接合する場合でも、実用上問題ない接合強度が得られる。これは、第一外側層及び第二外側層に由来する液相によって、接合部が外部雰囲気と接触することを回避又は抑制することができ、接合部に酸化物等の介在物が残存し難いためである。特に、本開示のインサート材が、第一表面層及び第二表面層を備えている場合には、接合部と外部雰囲気との接触を一層回避又は抑制することができる。なお、不活性ガス雰囲気とは、第一アルミニウム部材及び第二アルミニウム部材並びに本開示のインサート材等の酸化に対して不活性であるガス雰囲気を意味する。このような不活性ガス雰囲気は、典型的には、長周期表の第18族元素のガスの雰囲気の他に、窒素ガス雰囲気等も含まれ、これらのガスと、水素等の還元性元素のガスとの混合ガス雰囲気であってもよい。
以下、本開示のインサート材及び液相拡散接合方法を実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示のインサート材及び液相拡散接合方法は、以下の実施例で用いた条件に限定されない。
《接合接手試料の準備》
次の要領で、接合接手試料を準備した。
〈実施例1〉
第一外側層21、内側層10、及び第二外側層22それぞれに用いる箔材を準備した。第一外側層21及び第二外側層22に用いる箔材は、厚さが0.6mmの亜鉛合金箔であった。内側層10に用いる箔材は、厚さが0.8mmの金属アルミニウム箔であった。亜鉛合金箔は、質量%で、0.30%の銅、0.002%のアルミニウム、0.02%のチタン、0.02%未満の鉛、0.01%未満のカドミウム、及び0.01%未満の鉄を含有し、残部が亜鉛及び不可避的不純物である組成を有していた。
第一外側層21及び第二外側層22それぞれを、沸騰したギ酸に2分間にわたり浸漬し、第一外側層21及び第二外側層22の両面に、第一ギ酸塩被膜41及び第二ギ酸塩被膜42を形成した。以下、第一外側層21の両面に第一ギ酸塩被膜41を形成した箔材を「第一ギ酸塩被膜付第一外側層用箔材」、第一外側層21の両面に第二ギ酸塩被膜42を形成した箔材を「第二ギ酸塩被膜付第二外側層用箔材」という。
第一ギ酸塩被膜付第一外側層用箔材、内側層用箔材、第二ギ酸塩被膜付第二外側層用箔材を、この順で積層し、図4に示した態様のインサート材100を得た。ずなわち、図4に示したように、第一ギ酸塩被膜41、第一外側層21、第一ギ酸塩被膜41、内側層10、第二ギ酸塩被膜42、第二外側層22、及び第二ギ酸塩被膜42を、この順で備えるインサート材100を得た。
図4に示したインサート材100を、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220で挟持し、第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220を液相拡散接合し、実施例1の接合接手試料を得た。
第一アルミニウム部材210は、日本産業規格AC2C-T6鋳造用アルミニウム合金でできており、この合金は、質量%で、0.5~1.1%の銅、6.5~7.5%のシリコン、0.2~0.4%のマグネシウム、0.1%未満の亜鉛、0.1%未満のマンガン、0.1%未満のニッケル、及び0.1%未満の錫を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物である組成を有していた。第二アルミニウム部材220は、日本産業規格ADC12ダイカスト用合金でできており、この合金は、質量%で、1.5~3.5%の銅、9.6~12%のシリコン、0.3%未満のマグネシウム、3.0%未満の亜鉛、0.5%未満のマンガン、0.5%未満のニッケル、及び0.3%未満の錫を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物である組成を有していた。第一アルミニウム部材210と第二アルミニウム部材220の接合面(インサート材100と接触する面)は、接合前に、#1200の研磨紙を用いて粗面化しておいた。
液相拡散接合条件は、下記のとおりであった。
接合温度:400℃
接合圧力:20MPa
接合時間:15分
接合雰囲気:大気
図6に、液相拡散接合時の接合圧力と接合温度の時間変化を示す。
〈実施例2〉
実施例1で用いたインサート材の両外側に、さらに、第一表面層31及び第二表面層32を積層したこと以外、実施例1と同様に、実施例2の接合接手試料を準備した。
実施例2では、第一表面層31及び第二表面層32として、厚さが0.007mmの金属錫箔を用いて、これらを積層し、インサート材100を得た。すなわち、実施例2では、図5に示したインサート材100を得た。具体的には、第一表面層31、第一ギ酸塩被膜41、第一外側層21、第一ギ酸塩被膜41、内側層10、第二ギ酸塩被膜42、第二外側層22、第二ギ酸塩被膜42、及び第二表面層32を、この順で備えるインサート材100を得た。
〈比較例1〉
厚さが0.8mmの亜鉛合金の箔材単層で構成するインサート材を用いたこと、第一アルミニウム部材及び第二アルミニウム部材の両方がAC2C-T6鋳造用アルミニウム合金でできていることを除き、実施例1と同様に、比較例1の接合接手試料を準備した。
〈比較例2〉
比較例1で用いた箔材の両面にギ酸塩被膜を形成したこと以外、比較例1と同様に、比較例2の接合接手試料を準備した。なお、ギ酸塩被膜は、比較例1で用いた箔材を、沸騰したギ酸に2分間にわたり浸漬して形成した。
《評価》
各接合接手試料を引張試験し、接合強度(破断強度)を測定した。引張方向は、インサート材の積層面に対して略垂直であった。引張速度は、10mm/分であった。また、走査型電子顕微鏡を用いて、実施例1及び比較例2の接合部(接合のまま)の組織を観察した。図7は、実施例1の試料の接合部のSEM像である。図8は、比較例2の試料の接合部のSEM像である。
接合強度の測定結果は、次のとおりであった。
比較例1 66.27MPa
比較例2 108.05MPa
実施例1 121.95MPa
実施例2 138.45MPa
比較例1(ギ酸塩被膜なし亜鉛合金単層インサート材)と比較例2(ギ酸塩被膜付亜鉛合金単層インサート材)を比べると、比較例2の試料の接合強度が向上している。これは、ギ酸塩被膜によって、接合面の酸化皮膜が除去されたためであると考えられる。また、実施例1(図4を参照)及び実施例2(図5を参照)の試料も、ともに、第一外側層21及び第二外側層22の両面にギ酸塩被膜を備えており、比較例2(ギ酸塩被膜付亜鉛合金単層インサート材)の試料の接合強度を、さらに上回っている。これは、図8に示すように、比較例2の試料では、接合部に、図8中で黒い粒子状のシリコン相が凝集及び粗大化して残存しており、このシリコン相によって接合強度が低下していると考えられる。これに対し、図7に示すように、実施例1の試料では、接合部に凝集及び粗大化したシリコン相が残存しておらず、接合強度が向上したと考えられる。これは、本開示のインサート材100では、内側層10に沿って、第一アルミニウム部材210及び第二アルミニウム部材220に由来するシリコン相が、接合部から排出されるためであると考えられる。また、実施例2で用いたインサート材100(図5参照)では、第一表面層31及び第二表面層32によって、接合部の酸化が一層抑制され、接合強度が向上したと考えられる。
以上の結果から、本開示の液相拡散接合用インサート材及び液相拡散接合方法の効果を確認できた。
10 内側層
21 第一外側層
22 第二外側層
30 表面層
31 第一表面層
32 第二表面層
40 ギ酸塩被膜
41 第一ギ酸塩被膜
42 第二ギ酸塩被膜
100 本開示のインサート材
210 第一アルミニウム部材
220 第二アルミニウム部材

Claims (12)

  1. 少なくとも一方が、シリコンを含有するアルミニウム合金製である、第一アルミニウム部材と第二アルミニウム部材の液相拡散接合用インサート材であって、
    第一外側層、内側層、及び第二外側層を、この順で備えており、
    前記第一外側層及び前記第二外側層が、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成されており、
    前記内側層が、前記第一アルミニウム部材及び前記第二アルミニウム部材の少なくとも一方の前記アルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金で構成されており、
    前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも高融点を有しており、かつ、
    前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層と共晶反応する、
    液相拡散接合用インサート材。
  2. 前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方が、金属亜鉛又は亜鉛合金で構成されている、請求項1に記載の液相拡散接合用インサート材。
  3. 前記内側層が、金属アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されている、請求項1又は2に記載の液相拡散接合用インサート材。
  4. 前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくともいずれかの外側に、さらに、表面層を備えており、
    前記表面層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも低融点であり、前記表面層自身のみで溶融する、あるいは、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成されている、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の液相拡散接合用インサート材。
  5. 前記表面層が、金属錫、金属ビスマス、金属インジウム、金属ガリウム、錫合金、ビスマス合金、インジウム合金、及びガリウム合金からなる群より選ばれる一種以上で構成されている、請求項4に記載の液相拡散接合用インサート材。
  6. 前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方の片面又は両面に、ギ酸塩被膜、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜からなる群より選ばれる一種以上を備えている、請求項1~5のいずれか一項に記載の液相拡散接合用インサート材。
  7. 少なくとも一方が、シリコンを含有するアルミニウム合金製である、第一アルミニウム部材と第二アルミニウム部材との液相拡散接合方法であって、
    第一外側層、内側層、及び第二外側層をこの順で積層して、インサート材を得ること、
    前記第一アルミニウム部材と前記第二アルミニウム部材の間に、前記インサート材を配置し、前記第一アルミニウム部材、前記第二アルミニウム部材、及び前記インサート材を加熱しつつ、前記第一アルミニウム部材と前記第二アルミニウム部材の少なくとも一方を介して、前記インサート材に荷重を負荷して、前記第一アルミニウム部材と前記第二アルミニウム部材を液相拡散接合すること、
    を含み、
    前記第一外側層及び前記第二外側層が、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成され、
    前記内側層が、前記第一アルミニウム部材及び前記第二アルミニウム部材の少なくとも一方の前記アルミニウム合金よりも、シリコンの質量含有割合が小さい金属又は合金で構成され、
    前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも高融点を有し、かつ、
    前記内側層が、前記第一外側層及び前記第二外側層と共晶反応する、
    液相拡散接合方法。
  8. 前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方が、金属亜鉛又は亜鉛合金で構成される、請求項7に記載の液相拡散接合方法。
  9. 前記内側層が、金属アルミニウム又はアルミニウム合金で構成される、請求項7又は8に記載の液相拡散接合方法。
  10. 前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくともいずれかの外側に、さらに、表面層を積層して、インサート材を得ること、
    を含み、
    前記表面層が、前記第一外側層及び前記第二外側層よりも低融点であり、前記表面層自身のみで溶融する、あるいは、アルミニウムと共晶反応する金属又は合金で構成される、
    請求項7~9のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
  11. 前記表面層が、金属錫、金属ビスマス、金属インジウム、金属ガリウム、錫合金、ビスマス合金、インジウム合金、及びガリウム合金からなる群より選ばれる一種以上で構成される、請求項10に記載の液相拡散接合方法。
  12. 前記第一外側層及び前記第二外側層の少なくとも一方の片面又は両面に、さらに、ギ酸塩被膜、酢酸塩被膜、クエン酸塩被膜、及び酒石酸塩被膜からなる群より選ばれる一種以上を形成して、インサート材を得る、請求項7~11のいずれか一項に記載の液相拡散接合方法。
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