JP2023012803A - 軌条車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】ダブルスキン構体に対する補強材の位置合わせが容易であり、なおかつ補強後の車内空間を広く確保できる補強構造の軌条車両を提供する。【解決手段】補強材によって補強されたダブルスキン構造の補強部において、車内側面板の車内側表面と、車外側面板の車外側表面とを、最短直線経路で結ぶ面板間距離が、周辺の非補強部における面板間距離よりも短い。補強材はCFRPであると良い。CFRPの補強材における炭素繊維は、車両のレール方向、枕木方向、又は上下方向にそれぞれ1方向に配向されるか、車両のレール方向と枕木方向との2方向に配向されるか、又は車両のレール方向と上下方向の2方向に配向されて少なくとも2方向以上に配向される。補強材は、ダブルスキン構造に対し、接着剤か、機械締結か、粘着性テープのうち、少なくとも2つ以上の手法を併用して結合される。【選択図】図4

Description

本発明は、ダブルスキン構造の軌条車両に関する。
近年、高速鉄道車両には、アルミダブルスキン構造で形成される構体が適用されている。このような構体では、ダブルスキン構造の側構体、屋根、台枠、及び前後の妻構体が結合され、強度信頼性や乗り心地の快適さを向上させるために、部品を別途設けて強度や剛性を補う。このような別体の部品とダブルスキン構体とは溶接結合されることが多く、製造性の悪化や、車体の重量増加につながる問題が生じる。
このような問題を解決するダブルスキン構体の応力集中部の補強構造が特許文献1に開示されている。特許文献1の技術によれば、アルミよりも軽量かつ高強度、高剛性である炭素繊維強化樹脂(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastic)の補強板をダブルスキン構体の応力集中部に設け、発生応力の低減を図っている。
特開2013-86588号公報
しかしながら、特許文献1に記載の補強構造では、ダブルスキン構体の車内側にCFRP補強板を設ける場合、補強板の厚さ分だけ車内の空間が狭くなる。また、補強板を配置する際の位置合わせが困難であるため、補強に要する負担が増加するという課題が生じる。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、ダブルスキン構体に対する補強材の位置合わせが容易であり、なおかつ補強後の車内空間を広く確保できる補強構造の軌条車両を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、代表的な本発明の軌条車両の一つは、ダブルスキン構造を有する軌条車両であって、補強材によって補強されたダブルスキン構造の補強部12において、車内側面板の車内側表面と、車外側面板の車外側表面とを、最短直線経路で結ぶ面板間距離が、周辺の非補強部における面板間距離よりも短いことで達成される。
本発明によれば、ダブルスキン構体に対する補強材の位置合わせが容易であり、なおかつ補強後の車内空間を広く確保した補強構造の軌条車両を提供できる。上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
実施例1に係る軌条車両(以下、「鉄道車両」又は「本車両」ともいう)の車端近傍部をレール方向に切断した室内を視認した縦断面図である。 図1のA-A線に沿って切断した断面斜視図である。 図1の本車両に採用される構体の補強構造を模式的に示す斜視図である。 図1の本車両に採用される補強部12の構造を模式的に示す断面図である。 図3に対応し、実施例2に係る本車両に採用される構体の補強構造を模式的に示す斜視図である。 図3及び図5に対応し、実施例3に係る本車両に採用される構体の補強構造を模式的に示す斜視図である。
以下、図示した実施形態に基づいて本発明を説明する。なお、各実施形態において、同一構成部品には同符号を使用する。また、軌条車両は、敷設される軌道に沿って運行される車両であり、鉄道車両、モノレール車両、路面電車、及び新交通車両等を含む。つぎの実施例1~3に係る軌条車両の代表例として、鉄道車両を取り上げて説明する。
図1は、本車両(鉄道車両)1の車端近傍部をレール方向に切断した室内を視認した縦断面図である。図1に示すように、本車両(軌条車両)1は、構体2と、出入口3と、複数の窓4と、により概略構成されている。構体2は、ダブルスキン構造を有する側構体5と、屋根6と、台枠7と、妻構体8と、により構成される。なお、窓4の位置や数は例示的であり、これ以外の位置と数を採り得ることは言うまでもない。
図2は、図1のA-A線に沿って切断した断面斜視図である。図2に示すように、側構体5、及び台枠7のほか、図示していない屋根6(図1)もダブルスキン構造を有する。このダブルスキン構造は、一方の面を車内に露出し、他方の面を車外に露出するように、車内外それぞれに片面ずつ露出した別板の2枚が所定隙間を保持し、これら別板2枚の面板がトラス構造を挟んで合板を形成する。
実施例1の本車両1では、補強対象を側構体5及び台枠7に限って説明するが、それにとどまらず、屋根構体等もダブルスキン構造であれば、それらに対しても本発明の特徴的な技術を適用可能である。
図3は、図1の本車両1に採用される構体の補強構造を模式的に示す斜視図である。すなわち、図3は、台枠7と、側構体5と、それぞれの補強構造を示しており、ここでは、レール方向に延伸した補強材11を用いて補強している。
実施例1の本車両1では、補強材11としてCFRPを採用している。このCFRPは、炭素繊維とプラスチックを組み合わせて、それぞれの特長を活かすように、軽量で、高強度、かつ高剛性の物性を有する。すなわち、軽さの点において、CFRPの比重は、鉄の1/5である。また、強さの点において、鉄やガラス繊維よりも、CFRPの方が強度、及び剛性ともに優れている。
つまり、CFRPは、基本的に軽くて強いばかりか、衝撃吸収力が高く、錆び難く、腐食し難く、設計自由度が高く、二次加工の必要性が少なく、電磁波を遮蔽し、熱膨張率が低い材料である、といった特徴がある。
そのCFRPは、台枠7と側構体5と、それぞれに接着剤を用いて貼付けられている。このように、接着剤で補強材11を補強対象に貼付けた場合、両者間を伝達される応力荷重は、局所的でなく、面結合された界面を介して滑らかに伝わるという利点がある。ただし、接着剤の代わりにボルトやリベット等の機械的な締結手法により補強材11を固定しても良いし、接着剤と機械締結を併用しても良い。
また、接着剤の代わりに粘着性のテープを使用しても良い。あるいは、接着剤と粘着性テープを併用しても良い。もしくは、接着剤と、機械締結と、粘着性テープと、の少なくとも何れか2つを併用しても良い。特に、機械締結を併用した場合には、結合部の信頼性を高められる。また、補強材11にアルミ等の金属を使用する場合には、補強材11と鉄道車両構体を金属どうしの溶接により結合させることもできる。
図4は、図1の本車両1に採用される補強部12の構造を模式的に示す断面図である。すなわち、図4に示すように、図3に示した台枠7の一部であるダブルスキン構体に、補強材11が取り付けられて形成された台枠7の補強部12を示している。
このように、補強材11が取り付けられる補強部12において、車内側面板の車内側表面と、車外側面板の車外側表面とを、最短直線経路で結ぶ面板間距離Dが、補強材11によって補強されていない周辺の非補強部13における面板間距離D’よりも短く設定されている。
図4に示した構造により、面板間距離の短い補強部12に補強材11を設けても、車内の空間は狭くならない。すなわち、車内の空間を維持したまま、車両構体を補強できる。また、補強部12が凹んでいるため、補強材11を設ける位置を容易に確認でき、補強材11の位置合わせを簡便にできる。また、補強材11が凹んだ補強部12に収納されるため、万が一補強材11が剥がれた場合であっても、補強材11の自由移動を抑制できる。
図4に示すような補強部12の形状は、目的とする補強強度に基づいて決定される。まず、補強部12のダブルスキン構造の面板間距離Dを周辺の非補強部13と比較して短くすると、当該部のダブルスキン構造自体の剛性は減少する。
この剛性の減少分を補う高剛性な材料、例えばCFRPの補強材11を用いることで、ダブルスキン構造の剛性を、面板間距離を短くする前の元構造の剛性よりも高めることができる。
すなわち、面板間距離をD’からDへと短くすることによるダブルスキン構造の剛性について、減少分よりも、補強による増加分が上回るように、面板間距離Dと補強材11の板厚を設定する。特に、CFRPは、所望通りに形成し易く、二次加工の必要性が少ないため、設計自由度が高いという特徴がある。したがって、図4に示すCFRPの補強材11は、その面積、形状、薄さ、及び炭素繊維の配向までも、規定どおりに適合させることが容易である。
その際、最適化手法を用いた数値計算等によって、面板間距離Dと、補強材11と、それぞれの板厚を設定することが好ましい。これにより、本車両1の強度、及び剛性を補強するだけでなく、本車両1を軽量化する効果も期待できる。
また、補強材11を含めた補強部12の高さが、非補強部13の高さと同等以下、すなわち補強材11が非補強部13に対して凸状に出っ張らないように設計すると、車両製作時の後工程において、補強部12をベニヤ板等で保護できる。これにより、車両の製作工程中に、補強部12を誤って破損することを防止できる。
実施例1の本車両1では、補強材11としてCFRPを採用しており、CFRPの炭素繊維の配向も適切に設定することが好ましい。特に、炭素繊維を1方向に配向した1方向CFRPを用いると、本車両1の強度、及び剛性を高くする補強効果が期待できる。
図3に示したように、実施例1の本車両1では、炭素繊維をレール方向に配向した1方向CFRP補強材11を用いている。これにより、鉄道車両構体が上下あるいは枕木方向にたわむ変形に対する強度、及び剛性を補強できる。
実施例1の本車両1では、レール方向の全長に渡ってCFRP補強材11で補強している。ただし、レール方向の全長ではなくとも、鉄道車両のレール方向長さの一部分のみを補強することもできる。その補強範囲は、構造計算によって決定することが好ましい。なお、補強範囲は、車両一両のなかで複数個所あっても良い。その場合、台枠7と、側構体5と、屋根6とのうち、少なくとも何れか一つ以上を補強しても良い。
つぎに、図5を用いて、実施例2を説明する。実施例1では、CFRP補強材11の炭素繊維を、レール方向に配向していたが、実施例2では、炭素繊維の配向方向を変更した構造とする。図5は、図3に対応し、実施例2に係る本車両1に採用される構体の補強構造を模式的に示す斜視図である。
図5に示すように、CFRP補強材11の炭素繊維を、台枠7では枕木方向、側構体5では上下方向に配向した構造を示す。ただし、補強部12の断面構造は、図4に示した構造と同じく、補強部12の面板間距離Dは、周辺の非補強部13の面板間距離D’より短い。図5に示した実施例2の構造により、鉄道車両構体が上下あるいは枕木方向にたわむ変形に対する強度、及び剛性を効果的に補強できる。
つぎに、図6の実施例3に示すような、炭素繊維を複数の方向に配向した構造について説明する。図6は、図3及び図5に対応し、実施例3に係る本車両1に採用される構体の補強構造を模式的に示す斜視図である。図6は、CFRP補強材11の炭素繊維を、直交する2方向に配向した構造を示す。ただし、補強部12の断面構造は、図4に示した構造と同じく、補強部12の面板間距離Dは、周辺の非補強部13の面板間距離D’より短い。
図6に示した構造により、鉄道車両構体が上下あるいは枕木方向にたわむ変形に対する強度、及び剛性を効果的に補強できる。また、炭素繊維が直交する2方向に配向されているため、CFRP補強材11の面内せん断剛性を、1方向CFRP補強材11と比べて高くできる。したがって、鉄道車両構体が捩じれる(Twist)変形に対する強度、及び剛性を効果的に補強できる。
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
本車両1は、以下のように総括できる。
[1]図4に示すように、ダブルスキン構造を有する本車両1であって、補強材11によって補強されたダブルスキン構造の補強部12において、車内側面板の車内側表面と、車外側面板の車外側表面とを、最短直線経路で結ぶ面板間距離Dが、周辺の非補強部13における面板間距離D’よりも短い。
図4に示した構造により、面板間距離Dの短い補強部12に補強材11を設けても、車内の空間は狭くならない。すなわち、車内の空間を維持したまま、車両構体を補強できる。また、補強部12が凹んでいるため、位置決め寸法を計測し直さなくても、補強材11を設ける位置を容易に確認でき、補強材11の位置合わせが簡単である。
また、補強材11が凹んだ補強部12に嵌着されるため、万が一補強材11が剥がれかけた場合であっても、補強材11は自由移動を抑制されており、完全剥離する不具合を避け易い。このように本車両1は、ダブルスキン構体に対する補強材11の嵌合による位置合わせが容易であり、なおかつ補強後の車内空間を広く確保できる。
[2]上記[1]において、補強材11はCFRPであることが好ましい。このCFRPは、基本的に軽くて強いばかりか、衝撃吸収力が高く、錆び難く、腐食し難く、設計自由度が高く、二次加工の必要性が少なく、熱膨張率が低い、といった材料である特徴を本車両1において生かし易い。このようなCFRPであれば、より薄い補強材11で補強目的を達成できる。その結果、本車両1は、補強後の車内空間をより広く確保できる。
[3]上記[2]において、図3の実施例1に示した本車両1のように、CFRPの補強材11における炭素繊維をレール方向の1方向に配向すると良い。これにより、鉄道車両構体が上下あるいは枕木方向にたわむ変形に対する強度、及び剛性を補強できる。
[4]上記[2]において、図5に示すように、CFRPの補強材11における炭素繊維は、本車両1の枕木方向に1方向に配向されても効果的である。
[5]上記[2]において、図5に示すように、CFRPの補強材11における炭素繊維は、本車両1の上下方向に1方向に配向されても効果的である。
[6]上記[2]において、CFRPの補強材11における炭素繊維は、本車両1のレール方向(図3)と枕木方向の2方向に配向されても効果的である。
[7]上記[2]において、CFRPの補強材11における炭素繊維は、本車両1のレール方向(図3)と上下方向(図5)の2方向に配向されても効果的である。
[8]上記[2]において、図5に示すように、CFRPの補強材11における炭素繊維は、少なくとも2方向以上に配向される。
上記[4]~[8]について、CFRP補強材11の炭素繊維を、台枠7ではレール方向(図3)か、又は枕木方向(図5)、側構体5ではレール方向(図3)か、又は上下方向(図5)に配向した構造を励磁列挙した。これら図3及び図5に示した実施例1,2の構造により、鉄道車両構体が上下あるいは枕木方向にたわむ変形に対する強度、及び剛性を効果的に補強できる。
[9]上記[1]~[8]の何れかにおいて、補強材11は、ダブルスキン構造に接着剤によって結合されると良い。このように、接着剤で補強材11を補強対象に貼付けた場合、両者間を伝達される応力荷重は、局所的でなく、面結合された界面を介して滑らかに伝わるという利点もあるため、より薄い補強材11で補強目的を達成できる。その結果、本車両1は、補強後の車内空間をより広く確保できる。
[10]上記[1]~[8]の何れかにおいて、補強材11は、ダブルスキン構造に機械締結又は溶接によって固定されても良い。このように、接着剤の代わりにボルトやリベット等の機械的な締結手法、あるいは溶接により補強材11を固定することにより、信頼性を向上させられる。
[11]上記[1]~[8]の何れかにおいて、補強材11は、ダブルスキン構造に粘着性テープによって結合される。
[12]上記[1]~[8]の何れかにおいて、補強材11は、ダブルスキン構造に、接着剤と、機械締結と、粘着性テープとのうち、少なくとも何れか2つ以上の手法を併用して結合される。なお、粘着性テープも接着剤に含めるように文言解釈しても良い。[10]~[12]のように、接着剤と機械締結を併用した場合、結合部の信頼性を高められる。
1…鉄道車両、2…構体、3…出入口、4…窓、5…側構体、6…屋根、7…台枠、8…妻構体、11…補強材、12…補強部12、13…非補強部、D’…(非補強部13における)面板間距離、D…(補強部12における)面板間距離

Claims (12)

  1. ダブルスキン構造を有する軌条車両であって、
    補強材によって補強されたダブルスキン構造の補強部において、車内側面板の車内側表面と、車外側面板の車外側表面とを、最短直線経路で結ぶ面板間距離が、周辺の非補強部における面板間距離よりも短い、
    軌条車両。
  2. 前記補強材はCFRP(炭素繊維強化樹脂:Carbon Fiber Reinforced Plastic)である、
    請求項1に記載の軌条車両。
    軌条車両。
  3. 前記CFRPの補強材における炭素繊維は、車両のレール方向に1方向に配向される、
    請求項2に記載の軌条車両。
  4. 前記CFRPの補強材における炭素繊維は、車両の枕木方向に1方向に配向される、
    請求項2に記載の軌条車両。
  5. 前記CFRPの補強材における炭素繊維は、車両の上下方向に1方向に配向される、
    請求項2に記載の軌条車両。
  6. 前記CFRPの補強材における炭素繊維は、車両のレール方向と枕木方向の2方向に配向される、
    請求項2に記載の軌条車両。
  7. 前記CFRPの補強材における炭素繊維は、車両のレール方向と上下方向の2方向に配向される、
    請求項2に記載の軌条車両。
  8. 前記CFRPの補強材における炭素繊維は、少なくとも2方向以上に配向される、
    請求項2に記載の軌条車両。
  9. 前記補強材は、前記ダブルスキン構造に接着剤によって結合される、
    請求項1乃至8の何れか1項に記載の軌条車両。
  10. 前記補強材は、前記ダブルスキン構造に機械締結によって結合される、
    請求項1乃至8の何れか1項に記載の軌条車両。
  11. 前記補強材は、前記ダブルスキン構造に粘着性テープによって結合される、
    請求項1乃至8の何れか1項に記載の軌条車両。
  12. 前記補強材は、前記ダブルスキン構造に、接着剤と、機械締結と、粘着性テープとのうち、少なくとも何れか2つ以上の手法を併用して結合される、
    請求項1乃至8の何れか1項に記載の軌条車両。
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