JP2023012729A - 紙葉類収納装置 - Google Patents

Abstract

【課題】ドラムに巻き取られた紙葉類の膨らみを抑制する。【解決手段】紙葉類収納装置１００は、回転ドラム１０１と、紙葉類１０４を回転ドラムに巻き付ける、少なくとも一のテープ１０２と、回転ドラムの軸方向においてテープからずれて位置しかつ、紙葉類を回転ドラムの外周面に押し当てる少なくとも一の第１の押し当て部材１０３と、を備え、第１の押し当て部材は、回転ドラムに巻き取られるテープが回転ドラムに対して最初に接触する開始位置又は開始位置の付近において、紙葉類を回転ドラムに押し当てる。【選択図】図１

Description

ここに開示する技術は、紙葉類収納装置に関する。

特許文献１には、紙幣収納装置が記載されている。紙幣収納装置は、ドラムと、ガイドとを備えている。ドラムの外周面には、テープと共に紙幣が巻き付けられる。ガイドは、テープ及び紙幣を、ドラムへ案内する。ガイドは、ドラムの外径に応じて揺動する。尚、ここでいうドラムの外径とは、ドラムに巻き取られたテープ及び紙幣を含む、巻き取り外径である。

ガイドには、ドラムに巻き取られた紙幣に接触するローラーが取り付けられている。ローラーは、ドラムの回転軸の方向に並んだ二本のテープの間に位置している。ローラーが紙幣に接触することによって、ガイドが揺動する。ローラーはまた、紙幣をドラムに押し付ける。それによってローラーは、ドラムに巻き取られた紙幣の中央部の膨らみを押さえる。

特開２０１３－８３４１号公報

従来の紙幣収納装置において、ローラーは、ガイドの先端近くに取り付けられている。ローラーは、紙幣がドラムの外周面に巻き取られた後で、紙幣をドラムに押し付ける。二本のテープが紙幣の両端部を押さえる力が強くなると、ローラーが紙幣の中央部をドラムに押し付けても、中央部の膨らみを更正しにくい場合があった。従来の紙幣収納装置は、紙幣を巻き取ったドラムが、凸のクラウン形状になる不具合を招く場合もあった。

また、一本のテープが紙幣の中央部を押さえる従来の紙幣収納装置は、テープを挟んだ両側が膨らむため、紙幣を巻き取ったドラムが、凹のクラウン形状になる不具合を招く場合もあった。

ここに開示する技術は、ドラムに巻き取られた紙葉類の膨らみを抑制する。

ここに開示する技術は、紙葉類収納装置に係る。この紙葉類収納装置は、回転ドラムと、前記回転ドラムの外周面に巻き取られることによって、紙葉類を前記回転ドラムに巻き付ける、少なくとも一のテープと、前記回転ドラムの軸方向において前記テープからずれて位置しかつ、紙葉類を前記回転ドラムの外周面に押し当てる少なくとも一の第１の押し当て部材と、を備え、前記第１の押し当て部材は、前記回転ドラムに巻き取られる前記テープが前記回転ドラムに対して最初に接触する開始位置又は前記開始位置の付近において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる。

第１の押し当て部材は、適切な位置で紙葉類を回転ドラムに押し当てるから、ドラムに巻き取られた紙葉類の膨らみが抑制される。

前記第１の押し当て部材は、前記開始位置又は前記開始位置よりも前記テープが前記回転ドラムに巻き取られるときの前記テープの進行方向の上流位置において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる、としてもよい。

第１の押し当て部材は、テープが紙葉類を押さえる前に、紙葉類を回転ドラムに押し当てるから、紙葉類が膨らむことが、未然に抑制される。

前記第１の押し当て部材は、少なくとも、前記回転ドラムに一枚目の紙葉類が巻き取られる場合に、前記開始位置又は前記開始位置の付近において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる、としてもよい。

回転ドラムの径が小さい場合に、第１の押し当て部材は、ドラムに巻き取られる紙葉類が膨らむことを抑制できる。

前記第１の押し当て部材は、前記回転ドラムに所定枚数以上の紙葉類が巻き取られた状態において、前記開始位置よりも前記テープが前記回転ドラムに巻き取られるときの前記テープの進行方向の下流位置において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる、としてもよい。

前記テープは、第１のテープと、前記軸方向において前記第１のテープからずれて前記回転ドラムの外周面に巻き取られる第２のテープとを含み、前記第１の押し当て部材は、前記軸方向に並んだ前記第１のテープと前記第２のテープとの間に位置している、としてもよい。

第１の押し当て部材は、紙葉類における、テープによって押さえられていない箇所を回転ドラムに押し当てることができる。

複数の前記第１の押し当て部材は、前記軸方向に並んだ前記第１のテープと前記第２のテープとの間に位置している、としてもよい。

前記第１の押し当て部材は、前記軸方向において、前記テープよりも前記回転ドラムの外側に位置している、としてもよい。

第１の押し当て部材は、紙葉類における、テープによって押さえられていない箇所を回転ドラムに押し当てることができる。

前記第１の押し当て部材は、前記回転ドラムの外周面に接触しかつ、前記回転ドラムによって回されるローラーである、としてもよい。

回転するローラーは、回転ドラムの回転に対する抵抗を低減させる。

前記紙葉類収納装置は、前記回転ドラムの径が変化することに応じて変位しかつ、前記回転ドラムに巻き取られる前記テープ及び紙葉類を前記回転ドラムへ案内する可動ガイドをさらに備え、前記可動ガイドは、前記第１の押し当て部材を支持している、としてもよい。

可動ガイドは、回転ドラムの径が変化しても、第１の押し当て部材を回転ドラムに押し付けることができる。

前記可動ガイドは、前記第１の押し当て部材を前記可動ガイドに対し変位可能に支持している、としてもよい。

可動ガイドに対して変位可能な第１の押し当て部材は、紙葉類を回転ドラムに、より効果的に押し当てることができる。

前記可動ガイドに対し揺動可能に取り付けられた第１揺動部材をさらに備え、前記第１揺動部材は、前記第１の押し当て部材を支持している、としてもよい。

前記紙葉類収納装置は、前記回転ドラムの径が変化することに応じて揺動しかつ、前記回転ドラムに巻き取られる前記テープ及び紙葉類を案内する可動ガイドと、前記可動ガイドから独立して、前記回転ドラムに対し近づく方向及び離れる方向に揺動する第２揺動部材と、をさらに備え、前記第２揺動部材は、前記第１の押し当て部材を支持している、としてもよい。

前記紙葉類収納装置は、前記回転ドラムに巻き取られた前記テープを前記回転ドラムに押し当てる第２の押し当て部材をさらに備えている、としてもよい。

第２の押し当て部材は、テープと紙葉類との密着性を高める。回転ドラムは、テープ及び紙葉類を安定的に巻き取ることができる。

前記第１の押し当て部材と、前記第２の押し当て部材とは、前記回転ドラムの周方向に位置がずれている、としてもよい。

第１の押し当て部材及び第２の押し当て部材はそれぞれ、紙葉類及びテープを適切に、回転ドラムに押し当てることができる。

前記可動ガイドは、前記第２の押し当て部材を支持している、としてもよい。

前記の紙葉類収納装置は、ドラムに巻き取られた紙葉類の膨らみを抑制できる。

図１は、紙葉類収納装置の第１構成を例示する。 図２の（ａ）（ｂ）はそれぞれ、第１構成の紙葉類収納装置における、例示的な押し当て部材の位置を示す。 図３の（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）はそれぞれ、第１構成の紙葉類収納装置における、例示的な押し当て部材の位置を示す。 図４は、第２構成の紙葉類収納装置を備えた紙葉類処理装置を例示する。 図５は、第２構成の紙葉類収納装置を例示する。 図６は、例示的な可動ガイドを示す。 図７は、満量になった紙葉類収納装置を例示する。 図８の（ａ）（ｂ）（ｃ）はそれぞれ、第１の押し当て部材の変形例を示す。 図９は、例示的な第２揺動部材を示す。 図１０は、紙葉類処理装置の、例示的な制御構成を示す。

以下、紙葉類収納装置の実施形態が、図面を参照しながら説明される。ここで説明される紙葉類収納装置は例示である。

（第１構成）
図１は、第１構成の紙葉類収納装置１００を例示している。図１は、紙葉類収納装置１００の内部の構成を示している。紙葉類収納装置１００は、回転ドラム１０１と、第１のテープと第２のテープとの二本のテープ１０２と、押し当て部材１０３（第１の押し当て部材）と、を備えている。

回転ドラム１０１は、回転軸Ｘ１を中心に回転する。回転ドラム１０１は、図１に実線の矢印で示す正方向に回転すると、その外周面に紙葉類１０４を巻き取る。回転ドラム１０１は、図１に破線の矢印で示す逆方向に回転すると、紙葉類１０４を繰り出す。紙葉類１０４は、例えば、紙幣、小切手、商品券、証券である。回転ドラム１０１の外径は、比較的小さい。回転ドラム１０１の外径が小さいと、回転ドラム１０１は多数の紙葉類１０４を巻き取ることができる。つまり、紙葉類収納装置１００の容量は、大きい。

テープ１０２は、可撓性を有しかつ、回転ドラム１０１が回転をすると、回転ドラム１０１の外周面に巻き取られる。二本のテープ１０２は、回転軸Ｘ１の方向に間隔を空けて並んでいる。二本のテープ１０２はそれぞれ、細長い紙葉類１０４の端部に当たって、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に巻き付ける。

尚、テープの数は二本に限らない。紙葉類収納装置は、一本のテープを備えてもよい。一本のテープは、紙葉類１０４の中央部に当たって、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に巻き付ける。紙葉類収納装置は、三本のテープを備えてもよい。三本のテープの内の二本のテープはそれぞれ、紙葉類１０４の端部に当たって、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に巻き付ける。三本のテープの内の一本のテープは、紙葉類１０４の中央部に当たって、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に巻き付ける。一本のテープは、紙葉類１０４と回転ドラム１０１との間に位置してもよい。紙葉類収納装置は、四本のテープを備えてもよい。四本のテープの内の二本のテープは、紙葉類１０４の第１端部において、紙葉類１０４を厚み方向に挟んでもよい。残りの二本のテープは、紙葉類１０４の第２端部において、紙葉類１０４を厚み方向に挟んでもよい。

押し当て部材１０３は、回転ドラム１０１に巻き取られる紙葉類１０４を、回転ドラム１０１の外周面に押し当てる。第１構成の押し当て部材１０３は、回転ローラーである。回転ローラーの回転軸は、回転ドラム１０１の回転軸Ｘ１と平行である。押し当て部材１０３は、回転ドラム１０１の外周面に当たっている。押し当て部材１０３は、回転ドラム１０１が回転をすることによって回転する。回転ローラーは、回転ドラム１０１の回転抵抗を低減させる。押し当て部材１０３は、ローラーに限定されない。押し当て部材１０３は、紙葉類１０４を回転ドラム１０１の外周面に押し当てる機能を有するものであればよい。

押し当て部材１０３は、第１のテープと第２のテープとの二本のテープ１０２の間に位置している。押し当て部材１０３は、紙葉類１０４の中央部を、回転ドラム１０１に押し当てる。図２は、テープ１０２の走行方向における、押し当て部材１０３の位置を例示している。図２（ａ）は、回転ドラム１０１に巻き取られるテープ１０２が、回転ドラム１０１に対して最初に接触する開始位置に、押し当て部材１０３が位置している例を示している（図２（ａ）の一点鎖線参照）。テープ１０２と共に回転ドラム１０１に巻き取られる紙葉類１０４は、回転ドラム１０１の外周面に沿うように曲げられる。押し当て部材１０３は、紙葉類１０４において、テープ１０２によって押さえられない箇所を、回転ドラム１０１に押し当てることができる。紙葉類１０４において、テープ１０２によって押さえられない箇所が、回転ドラム１０１から離れる方向に膨らむことが抑制される。

紙葉類１０４の膨らみは、回転ドラム１０１に巻き取られている紙葉類１０４の枚数が少ない場合に問題となる。巻き取られている紙葉類１０４の枚数が少ないと、回転ドラム１０１の外径が小さい。回転ドラム１０１の外径が小さい場合、紙葉類１０４を強く曲げないと、紙葉類１０４において、テープ１０２によって押さえられない箇所が膨らみやすい。回転ドラム１０１に巻き取られた紙葉類１０４が膨らんでしまうと、その後、回転ドラム１０１に巻き取られる紙葉類１０４の枚数が増えるに従い、膨らんだ紙葉類１０４の上に紙葉類１０４が重なる。その結果、回転ドラム１０１が、例えば凸のクラウン形状になってしまう。

押し当て部材１０３は特に、回転ドラム１０１に向かって進む紙葉類１０４の前端と、後端とのそれぞれを回転ドラム１０１に押し当てることができる。その結果、回転ドラム１０１に巻き取られている紙葉類１０４の枚数が少ない場合、換言すれば、回転ドラム１０１の径が小さい場合においても、紙葉類１０４は、回転ドラム１０１の外周面に沿うように強く曲げられる。紙葉類１０４において、テープ１０２によって押さえられない箇所が膨らむことが抑制される。

尚、回転ドラム１０１に巻き取られている紙葉類１０４の枚数にかかわらず、押し当て部材１０３が常に紙葉類１０４を回転ドラム１０１に押し当てるようにしてもよい。しかし、回転ドラム１０１に巻き取られている紙葉類１０４の枚数が多くなると、回転ドラム１０１の外径は大きくなる。紙葉類１０４を曲げる曲率は小さいから、紙葉類１０４が膨らむことは抑制される。

従って、押し当て部材１０３が、回転ドラム１０１に巻き取られている紙葉類１０４の枚数が少ない場合に、紙葉類１０４が膨らむことを防止するようにしてもよい。少なくとも、回転ドラム１０１に一枚目の紙葉類１０４が巻き取られる場合に、押し当て部材１０３が、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に押し当てるようにしてもよい。このことによって、回転ドラム１０１に巻き取られた紙葉類１０４の枚数が増えた場合に、回転ドラム１０１がクラウン形状になってしまうことを効果的に防止できる。

図２（ｂ）は、押し当て部材１０３の位置の変形例を示している。押し当て部材１０３は、回転ドラム１０１に巻き取られるテープ１０２が、回転ドラム１０１に対して最初に接触する開始位置よりも、テープ１０２の進行方向の上流位置に位置している。この位置では、紙葉類１０４がテープ１０２と回転ドラム１０１との間に挟まれていない。押し当て部材１０３が紙葉類１０４を回転ドラム１０１に押し当てることによって、紙葉類１０４が膨らんでしまうことが、効果的に抑制される。

但し、押し当て部材１０３が、開始位置から上流側へ大きく離れてしまうと、テープ１０２の走行方向における、押し当て部材１０３の位置とテープ１０２が回転ドラム１０１に対して最初に接触する開始位置との距離が大きくなる。この結果、紙葉類１０４の先端は、テープ１０２と回転ドラム１０１との間に挟まれる直前で、押し当て部材１０３により回転ドラム１０１に押し当てられない区間が大きくなる。これは、紙葉類１０４が回転ドラム１０１に安定的に巻き取られることを阻害する恐れがある。押し当て部材１０３は、開始位置付近に位置している方が好ましい。

また、押し当て部材１０３は、開始位置の付近であれば、開始位置よりも、回転ドラム１０１に巻き取られるテープ１０２の進行方向の下流位置に位置してもよい。押し当て部材１０３が、開始位置よりも下流位置に大きく離れていると、テープ１０２に押さえられた紙葉類１０４が既に膨らんでしまっている可能性がある。テープ１０２が、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に強く押さえているため、押し当て部材１０３が紙葉類１０４を押し当てても、膨らみを更正できない。

これに対し、開始位置の付近では、紙葉類１０４は、未だテープ１０２によって強く押さえられていない。紙葉類１０４が既に膨らんでしまっていても、押し当て部材１０３が紙葉類１０４を回転ドラム１０１に押し当てることによって、その膨らみを更正できる。

従って、押し当て部材１０３は、開始位置又は開始位置の付近において、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に押し当てる。

回転ドラム１０１に一枚目の紙葉類１０４が巻き取られる場合において、テープ１０２が回転ドラム１０１に最初に接触する開始位置をPt、押し当て部材１０３が回転ドラム１０１に接触する位置をPr、PrとPtの間の弧の長さをlとする。押し当て部材１０３が開始位置の付近にある場合とは、弧の長さlが所定の長さL以下であることである。Lは、実験的に定められる値であってもよい。Lは例えば10mmである。押し当て部材１０３が半径rの回転ローラーである場合、Lは2rであってもよい。Lはrであってもよい。押し当て部材１０３としての回転ローラーの半径が大きいほど、押し当て部材１０３の位置をより広い範囲から選択することができる。

図３は、押し当て部材１０３の、回転ドラム１０１の回転軸Ｘ１の方向に対する配置例を示している。図３（ａ）において、押し当て部材１０３は、第１のテープと第２のテープとの二本のテープ１０２の間に、一つ配置されている。押し当て部材１０３は、二本のテープ１０２の間の紙葉類１０４の膨らみを、効果的に抑制できる。

図３（ｂ）において、押し当て部材１０３は、二本のテープ１０２の間に、二つ配置されている。二つの押し当て部材１０３は、回転軸Ｘ１の方向に並んでいる。複数の押し当て部材１０３は、紙葉類１０４の膨らみを、より効果的に抑制できる。尚、テープ１０２とテープ１０２との間に配置される押し当て部材１０３の数は、三つ以上であってもよい。

図３（ｃ）は、押し当て部材１０３が、回転軸Ｘ１の方向に長く延びている。押し当て部材１０３は、二本のテープ１０２の間の広い範囲にわたって、紙葉類１０４を回転ドラム１０１に押し当てることができる。

図３（ｄ）は、押し当て部材１０３が、回転軸Ｘ１の方向において、テープ１０２よりも回転ドラム１０１の外側に位置している、図３（ｄ）の例は特に、テープ１０２が一本であり、二つの押し当て部材１０３が、テープ１０２の両側それぞれに配置されている。尚、テープ１０２は一本に限らない。二つの押し当て部材１０３が、紙葉類１０４の両端部を回転ドラム１０１に押し当てる。テープ１０２が一本である場合、紙葉類１０４の両端部それぞれが膨らむ結果、回転ドラム１０１が、凹のクラウン形状になる恐れがある。図３（ｄ）の構成例は、回転ドラム１０１が凹のクラウン形状になってしまうことを、効果的に抑制できる。

尚、図３（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）の構成を、適宜組み合わせることができる。

（第２構成）
図４は、第２構成の紙葉類収納装置を備えた紙葉類処理装置を例示している。第２構成の紙葉類収納装置は、第１構成の紙葉類収納装置１００の変形例である。

（紙葉類処理装置の全体構成）
紙葉類処理装置は、例えば銀行等の金融機関に設置される。紙葉類処理装置は、バラ紙幣を処理する紙幣処理装置１である。紙幣処理装置１は、例えば銀行のテラーカウンターに設置される。紙幣処理装置１は、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する。尚、紙幣処理装置１は、金融機関に設置する以外に、例えば小売店舗のバックオフィス等に設置して使用できる。

紙幣処理装置１は、前後方向に細長い形状を有している。紙幣処理装置１の前は、後述する入金口２１１及び出金口２２１が形成されている部位を指す。紙幣処理装置１の後は、入金口２１１及び出金口２２１が形成されている部位とは逆の部位を指す。紙幣処理装置１の左右方向は、前後方向に直交する方向である。紙幣処理装置１の左は、紙幣処理装置１の正面に向かって左であり、紙幣処理装置１の右は、紙幣処理装置１の正面に向かって右である。

尚、各図には、理解を容易にするために、左から右へ向かう方向をＸ軸正方向、前から後へ向かう方向をＹ軸正方向、下から上へ向かう方向をＺ軸正方向として、Ｘ軸、Ｙ軸、及びＺ軸を示す。

紙幣処理装置１は、上部の処理部１１と、下部の金庫部１３とを有している。処理部１１の中には、入金部２１、出金部２２、一時保留部２４、識別部２５、及び、上側搬送部４１が配設されている。上側搬送部４１は、搬送部４の一部である。金庫部１３の中には、複数の収納装置３１～３１０、第１下側搬送部４２、第２下側搬送部４３、及び、第３下側搬送部４４が配設されている。第１下側搬送部４２、第２下側搬送部４３、第３下側搬送部４４は、搬送部４の一部である。

入金部２１は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣が投入される部分である。入金部２１は、入金口２１１を有している。入金口２１１は、上部筐体１１１の前部において、上向きに開口している。操作者は、入金口２１１を通じて、入金部２１に、一枚又は複数枚の紙幣を手で投入する。入金部２１は、紙幣を一枚ずつ紙幣処理装置１内に送る機構を有している。

出金部２２は、例えば出金処理の際に、収納装置３１～３１０から送り出された紙幣が搬送される部分である。出金部２２は、出金口２２１を有している。出金口２２１は、入金口２１１よりも前の位置において、上向きに開口している。操作者は、出金部２２に集積されている紙幣を、出金口２２１を通じて手で取り出すことができる。

一時保留部２４は、例えば入金処理の際に、入金対象の紙幣を一時的に収納する。一時保留部２４は、収納した紙幣を送り出すことができる。一時保留部２４は、テープ式の収納装置である。一時保留部２４は、紙幣を、テープと共にドラムに巻き付けることによって、紙幣を収納する。テープ式の収納装置は、紙幣の収納時及び紙幣の繰出時において、紙幣の順番の入れ替わりがほとんど発生しないという利点を有している。また、テープ式の収納装置は、様々なサイズの紙幣を、混合状態で収納することができる、という利点も有している。一時保留部２４は、テープ式の収納装置の、公知の構成を採用できる。一時保留部２４は、収納装置３１～３１０と同じ構成としてもよい。

識別部２５は、後述する第１搬送路４１１に配設されている。識別部２５は、第１搬送路４１１に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、少なくとも、真偽、金種及び正損を識別する。識別部２５はまた、紙幣の記番号を取得する。

紙幣処理装置１は、第１収納装置３１、第２収納装置３２、第３収納装置３３、第４収納装置３４、第５収納装置３５、第６収納装置３６、第７収納装置３７、第８収納装置３８、第９収納装置３９、及び、第１０収納装置３１０を有している。これらの収納装置は、金庫部１３の中において、前後方向に並んでいると共に、上下に重なっている。第１～第１０収納装置３１～３１０は、収納部３を構成する。

第１～第１０収納装置３１～３１０は、テープ式の収納装置である。第１～第１０収納装置３１～３１０の構成の詳細は、後述する。第１～第１０収納装置３１～３１０は、例えば異なる金種の紙幣を収納してもよい。

搬送部４は、紙幣処理装置１内で、紙幣と紙幣との間に間隔を空けて、紙幣を一枚ずつ搬送する。搬送部４は搬送路を有している。搬送路は、多数のローラー、複数のベルト、これらを駆動するモータ、及び、複数のガイドの組み合わせによって構成されている。搬送部４は、例えば紙幣の長辺の縁を前にして、紙幣を搬送する。搬送部４は、紙幣の短辺の縁を前にして、紙幣を搬送してもよい。

搬送部４は、上側搬送部４１と、第１下側搬送部４２と、第２下側搬送部４３と、第３下側搬送部４４と、を有している。上側搬送部４１は、前述したように、処理部１１内に配設されている。第１下側搬送部４２と、第２下側搬送部４３と、第３下側搬送部４４と、は、金庫部１３内に配設されている。上側搬送部４１と第１下側搬送部４２とは、処理部１１と金庫部１３と隔てる壁に形成された搬送路を介して、つながっている。

上側搬送部４１は、ループ状に構成された第１搬送路４１１を有している。搬送部４は、紙幣を、第１搬送路４１１に沿って、図４における時計回り方向（つまり、正方向）及び反時計回り方向（つまり、逆方向）のそれぞれに搬送する。第１搬送路４１１は、紙幣を循環搬送する。

上側搬送部４１はまた、第２搬送路４１２、第３搬送路４１３、第４搬送路４１４、及び、第５搬送路４１５を有している。

第２搬送路４１２は、入金部２１と第１搬送路４１１とを互いにつなぐ。第２搬送路４１２は、入金部２１から第１搬送路４１１へ向かって、紙幣を搬送する。

第３搬送路４１３は、出金部２２と第１搬送路４１１とを互いにつなぐ。第３搬送路４１３は、第１搬送路４１１から出金部２２へ向かって、紙幣を搬送する。第３搬送路４１３と第１搬送路４１１との接続箇所には、図示は省略するが、紙幣の搬送先を変える分岐部が設けられている。

第４搬送路４１４は、一時保留部２４と第１搬送路４１１とを互いにつなぐ。第４搬送路４１４は、第１搬送路４１１から一時保留部２４へ向かって、紙幣を搬送すると共に、一時保留部２４から第１搬送路４１１へ向かって、紙幣を搬送する。第４搬送路４１４と第１搬送路４１１との接続箇所には、分岐部が設けられている。

第５搬送路４１５は、第１下側搬送部４２と第１搬送路４１１とを互いにつなぐ。第５搬送路４１５は、第１搬送路４１１から第１下側搬送部４２へ向かって、紙幣を搬送すると共に、第１下側搬送部４２から第１搬送路４１１へ向かって、紙幣を搬送する。第５搬送路４１５と第１搬送路４１１との接続箇所には、分岐部が設けられている。

第１下側搬送部４２は、第１収納装置３１と第９収納装置３９との間に配設されている。第１下側搬送部４２は、第５搬送路４１５と、第２下側搬送路４３及び第３下側搬送路４４とをつなぐ。

第２下側搬送部４３は、第１、第３、第５、第７収納装置３１、３３、３５、３７と、第２、第４、第６、第８収納装置３２、３４、３６、３８との間に形成されている。第１～第８収納装置３１～３８はそれぞれ、分岐部を有している。各分岐部は、第２下側搬送部４３によって搬送される紙幣を、対応する収納装置へ引き込む。また、各分岐部は、対応する収納装置から送り出された紙幣を、第２下側搬送部４３へ送る。

第３下側搬送部４４は、第９収納装置３９と、第１０収納装置３１０との間に形成されている。第９及び第１０収納装置３９、３１０はそれぞれ、分岐部を有している。各分岐部は、第３下側搬送部４４によって搬送される紙幣を、対応する収納装置へ引き込む。また、各分岐部は、対応する収納装置から送り出された紙幣を、第３下側搬送部４４へ送る。

尚、図２の紙幣処理装置１における収納部３の構成は一例である。金庫筐体１３１内に収容する収納装置の数、及び、配置、並びに、各収納装置の構造は、図４の構成に限定されない。

紙幣処理装置１は、コントローラー１５を備えている。コントローラー１５は、ＣＰＵ（Central Processing Unit）、メモリ、及び、Ｉ／Ｏ回路を含んで構成することができる。ＣＰＵは、プログラムを実行する。メモリは、紙幣処理装置１の動作のためのプログラム及びデータを格納する。メモリは、例えばＲＡＭ（Random Access Memory）及び／又はＲＯＭ（Read Only Memory）である。Ｉ／Ｏ回路は、コントローラー１５とコントローラー１５に接続された各機器との間の電気信号の入出力を行う。コントローラー１５には、入金部２１、出金部２２、一時保留部２４、識別部２５、搬送部４、第１収納装置３１、第２収納装置３２、第３収納装置３３、第４収納装置３４、第５収納装置３５、第６収納装置３６、第７収納装置３７、第８収納装置３８、第９収納装置３９、及び、第１０収納装置３１０が、それぞれ信号の授受可能に接続されている。コントローラー１５は、各種の処理が実行されるよう、入金部２１、出金部２２、一時保留部２４、識別部２５、搬送部４、第１収納装置３１、第２収納装置３２、第３収納装置３３、第４収納装置３４、第５収納装置３５、第６収納装置３６、第７収納装置３７、第８収納装置３８、第９収納装置３９、及び、第１０収納装置３１０を制御する。

（紙葉類収納装置の構成）
次に、第１～第１０収納装置３１～３１０の構成を、図面を参照しながら説明する。図５～７は、例えば第２収納装置３２の構成を示している。尚、第１～第１０収納装置３１～３１０の構成は、実質的に同じである。以下においては、第１～第１０収納装置３１～３１０を総称して、紙幣収納装置９と呼ぶ。紙幣収納装置９は、第２構成の紙葉類収納装置に対応する。

図５は、紙幣収納装置９に紙幣が収納されていない状態、つまり、紙幣収納装置９がエンプティである状態を示している。図７は、紙幣収納装置９に紙幣が満量まで収納されている状態、つまり、紙幣収納装置９がフルである状態を示している。

紙幣収納装置９は、収納機構９０と、収納機構９０を収容するフレーム９１と、を備えている。紙幣収納装置９の上面には、紙幣が出入する開口９１０が設けられている。

収納機構９０は、テープとテープとの間に挟んだ紙幣を、テープと共にドラム９３に巻き取るよう構成されている。収納機構９０は、二つの第１リール９２１と、二つの第２リール９２２と、ドラム９３と、を備えている。尚、図５においては、リールが一つのみ図示されている。これは、合計四つのリール９２１、９２２が、Ｘ軸方向に位置がずれていると共に、Ｙ軸方向及びＺ軸方向に同じ位置に位置しているためである。このようなリールの配置は、特開２０２０－０４７２５８号公報（出願人：グローリー株式会社）に詳細に記載されている。

第１リール９２１には、第１テープ９４１の基端が固定されていると共に、第１テープ９４１が巻かれている。第２リール９２２には、第２テープ９４２の基端が固定されていると共に、第２テープ９４２が巻かれている。第１テープ９４１の先端、及び、第２テープ９４２の先端はそれぞれ、ドラム９３の外周面に係合している。

第１リール９２１から引き出された第１テープ９４１と、第２リール９２２から引き出された第２テープ９４２とは、重なった状態で、ドラム９３の外周面に巻き取られる。紙幣は、第１テープ９４１と第２テープ９４２との間に挟まれる。

ドラム９３は、紙幣及びテープの巻き取り方向、及び、紙幣及びテープの繰り出し方向に回転する。図５の例において、ドラム９３が、紙幣及びテープを巻き取る方向は、時計回り方向であり、紙幣及びテープを繰り出す方向は、反時計回り方向である。

ここで、ドラム９３の径は比較的小さい。ドラム９３の径が小さいため、紙幣収納装置９は、そのフレーム９１のサイズを大きくしなくても、容量を大にできる。つまり、ドラム９３は、多数の紙幣を巻き取っても径が大きくなることが抑制される。

開口９１０とドラム９３との間には、搬送路９２０が形成されている。搬送路９２０は、ローラー対と、固定されたガイド部材と、後述する可動ガイド７によって構成されている。紙幣は、搬送路９２０に沿って、開口９１０からドラム９３に向かう方向に、又は、ドラム９３から開口９１０に向かう方向に搬送される。

第１リール９２１から引き出された第１テープ９４１は、第１テープ経路８１０に沿って走行することにより、ドラム９３に到達する。第１テープ経路８１０は、第１テーププーリ８１１０、第２テーププーリ８１２０、第３テーププーリ８１３０、第４テーププーリ８１４０、第５テーププーリ８１５０、第６テーププーリ８１６０、及び第７テーププーリ８１７０によって構成されている。第１テープ経路８１０は、ドラム９３を迂回するように形成されている。尚、第１テーププーリ８１１０、第２テーププーリ８１２０、第３テーププーリ８１３０、第４テーププーリ８１４０、第５テーププーリ８１５０、第６テーププーリ８１６０、及び第７テーププーリ８１７０は、二本の第１テープ９４１に対応して、二つずつ存在している。

第２テーププーリ８１２０及び第３テーププーリ８１３０はそれぞれ、回転軸が、Ｘ軸に対して傾いている。第１リール９２１から引き出された第１テープ９４１は、回転軸が傾いた第２テーププーリ８１２０及び第３テーププーリ８１３０に巻きかけられることにより、Ｘ軸方向の位置が、第１リール９２１の位置から、第２リール９２２の位置へと変わる。第１テープ９４１はその後、第４テーププーリ８１４０、第５テーププーリ８１５０、及び第６テーププーリ８１６０に巻きかけられて、第７テーププーリ８１７０に至る。このときに、第１テープ９４１は、Ｘ軸方向について、第２テープ９４２と同じ位置に位置している。

第２リール９２２から引き出された第２テープ９４２は、第２テープ経路８２０に沿って走行することにより、ドラム９３に到達する。第２テープ経路８２０は、第８テーププーリ８２１０、第９テーププーリ８２２０、第１０テーププーリ８２３０、及び前記の第７テーププーリ８１７０によって構成されている。第８テーププーリ８２１０、第９テーププーリ８２２０、及び第１０テーププーリ８２３０も、二本の第２テープ９４２に対応して、二つずつ存在している。

第７テーププーリ８１７０は、第１テープ９４１と第２テープ９４２とを重ねて、これら第１テープ９４１及び第２テープ９４２を、ドラム９３の外周面に向かって案内する。紙幣は、第７テーププーリ８１７０の位置において、第１テープ９４１と第２テープ９４２とに挟まれる。

ドラム９３が正転すると、第１テープ９４１と第２テープ９４２とに挟まれた紙幣は、第１テープ９４１と第２テープ９４２と共に、ドラム９３の外周面に巻き取られる。紙幣収納装置９は、紙幣を収納する。

ドラム９３が逆転すると、第１テープ９４１と第２テープ９４２とに挟まれた紙幣は、第１テープ９４１と第２テープ９４２と共に、ドラム９３の外周面から繰り出される。その後、紙幣は、搬送路９２０を通って、開口９１０から紙幣収納装置９の外へ送り出される。

可動ガイド７は、第１テープ９４１、第２テープ９４２及び紙幣を、ドラム９３に向かって案内する。

可動ガイド７の基端部、つまり、図５における上端部は、フレーム９１に対して回動可能に取り付けられている。可動ガイド７は、第１０テーププーリ８２３０と、第１０テーププーリ８２３０に対向配置されるプーリ８２３１の接点の近辺に設けられる回動軸を支点として回動する。回動軸は、フレーム９１に固定される。可動ガイド７は、捩りばね７０によって、図５における時計回り方向に付勢されている。可動ガイド７は、図５及び図７に示すように、ドラム９３の径の大きさに応じて、時計回り方向及び反時計回り方向に回動する。

図６は、可動ガイド７を例示している。可動ガイド７は、本体部７１と、揺動部材７２（第２揺動部材）とを備えている。本体部７１は、Ｘ方向及びＺ方向に広がる板状である。本体部７１の上端部が、前述したように、フレーム９１に固定される回動軸に枢支される。

本体部７１の上部には、第７テーププーリ８１７０が取り付けられている。第７テーププーリ８１７０は、Ｘ方向に間隔を空けて二つ、本体部７１に取り付けられている。二つの第７テーププーリ８１７０の間隔は、二本の第１テープ９４１の間隔に対応する。

本体部７１の下部には、第２の押し当て部材７３が取り付けられている。第２の押し当て部材７３は、ローラーであって、Ｘ軸方向に伸びる回転軸を中心に回転する。第２の押し当て部材７３は、本体部７１に対して二つ取り付けられている。二つの第２の押し当て部材７３の間隔は、二本の第１テープ９４１の間隔に対応している。第２の押し当て部材７３は、図５又は図７に示すように、ドラム９３に巻き取られる第１テープ９４１、第２テープ９４２、及び、第１テープ９４１と第２テープ９４２とに挟まれた紙幣を、ドラム９３に押し当てる。これにより、第２の押し当て部材７３は、第１テープ９４１と第２テーププーリ８１２０と紙幣との密着性を高める。ドラム９３は、第１及び第２テープ９４１、９４２及び紙幣を安定的に巻き取ることができる。

可動ガイド７は、第２の押し当て部材７３がドラム９３の最外径部に当たることにより、ドラム９３の径が大きくなるに従って回動する。より詳細に、可動ガイド７は、捩りばね７０によって、図５における時計回り方向に付勢されているため、ドラム９３の径が大きくなると、図７に示すように、可動ガイド７は、反時計回り方向に回動をする。可動ガイド７は、ドラム９３の径が変化しても、第１及び第２テープ９４１、９４２と紙幣とを、ドラム９３へ案内することができる。

揺動部材７２は、本体部７１の中央部に取り付けられている。より詳細に、揺動部材７２は、第７テーププーリ８１７０と第２の押し当て部材７３との間でかつ、二本の第１テープ９４１の間に位置している。揺動部材７２は、図５に示すように、略上下方向に伸びる板状であり、揺動部材７２の上端部が、本体部７１に対して枢支されている。揺動部材７２の枢支軸は、可動ガイド７の本体部７１の枢支軸から、ずれている。これにより、揺動部材７２は、本体部７１と共に、ドラム９３に対して近づく方向及び離れる方向に揺動することに加えて、本体部７１とは別に、ドラム９３に対して近づく方向及び離れる方向に揺動できる。揺動部材７２の枢支部分には、付勢部材としての捩りばね７２１が取り付けられている。捩りばね７２１は、揺動部材７２を、図５における時計回り方向に付勢している。

揺動部材７２の中央部には、ローラー７４が取り付けられている。ローラー７４は、ドラム９３に巻き取られる紙幣を、ドラム９３の外周面に押し当てる。ローラー７４は、第１押し当て部材である。ローラー７４は、Ｘ軸方向に伸びる回転軸を中心に回転するよう、揺動部材７２に取り付けられている。揺動部材７２は、ローラー７４を支持している。

ローラー７４は、Ｘ軸方向に間隔を空けて二つ、揺動部材７２に取り付けられている。揺動部材７２は、二つの第１テープ９４１（及び第２テープ９４２）の間に位置しているため、二つのローラー７４もまた、二つの第１テープ９４１（及び第２テープ９４２）の間に位置している。換言すれば、二つのローラー７４は、二つの第１テープ９４１及び第２テープ９４２に対して、Ｘ軸方向に位置がずれている。

ローラー７４は、可動ガイド７及び揺動部材７２がそれぞれ、捩りばね７０及び捩りばね７２１によって付勢されていることにより、ドラム９３の外周面に当接する。ドラム９３が回転すると、ローラー７４も回転する。

第２の押し当て部材７３もまた、前述したように、ドラム９３の外周面に当接している。図５又は図７に示すように、ローラー７４と第２の押し当て部材７３とは、ドラム９３の周方向に位置がずれている。より詳細に、ドラム９３に第１テープ９４１及び第２テープ９４２が巻き取られる際の、第１テープ９４１及び第２テープ９４２の走行方向を基準にした場合、ローラー７４は、第２の押し当て部材７３よりも、第１テープ９４１及び第２テープ９４２の走行方向の上流に位置している。

ローラー７４が揺動部材７２に支持され、第２の押し当て部材７３が可動ガイド７に支持されていることにより、ローラー７４及び第２の押し当て部材７３は共に、ドラム９３の径が変化しても常時、ドラム９３の外周面に当接することができる。

図５に拡大して示すように、ローラー７４は、ドラム９３に巻き取られる第１テープ９４１及び第２テープ９４２が、ドラム９３に対して最初に接触する開始位置に位置している（一点鎖線参照）。ローラー７４は、第１及び第２テープ９４１、９４２と共にドラム９３に巻き取られる紙幣において、第１及び第２テープ９４１、９４２によって押さえられない箇所を、ドラム９３に押し当てることができる。紙幣において、第１及び第２テープ９４１、９４２によって押さえられない箇所が、ドラム９３から離れる方向に膨らむことが抑制される。尚、ローラー７４は、ドラム９３に巻き取られる第１テープ９４１及び第２テープ９４２が、ドラム９３に対して最初に接触する開始位置の付近に位置していてもよい。

ここで、図７に示すように、ドラム９３に巻き取られた紙幣の量が増えると、開始位置と、ローラー７４との位置関係が逆転する（一点鎖線参照）。つまり、ローラー７４は、開始位置よりも、テープの走行方向の下流位置に位置している。この状態においては、ローラー７４による、紙幣の膨らみを抑制する効果が低下する。しかし、前述したように、紙幣の膨らみは、ドラム９３に巻き取られている紙幣の枚数が少ない場合に問題となり、ドラム９３に巻き取られている紙幣の枚数が多くなってドラム９３の外径が大きくなると、紙幣を曲げる曲率が小さいから、紙幣が膨らむことは抑制できる。ローラー７４が、開始位置よりも、テープの走行方向の下流位置に位置することに起因する不都合は生じない。ドラム９３に巻き取られた紙幣の枚数が所定枚数未満であれば、ローラー７４は、前記の開始位置又は開始位置付近となり、ドラム９３に巻き取られた紙幣の枚数が所定枚数以上であれば、ローラー７４は、前記の開始位置よりも、テープがドラム９３に巻き取られるときのテープの走行方向の下流位置に位置する。

また、揺動部材７２には、図６に拡大して示すように、複数のリブ７２２が一体に設けられている。リブ７２２は、二つのローラー７４の間と、ローラー７４の側方とのそれぞれに位置している。各リブ７２２は、テープの走行方向に沿うように、Ｚ軸方向に伸びている。複数のリブ７２２は、Ｘ軸方向に間隔を空けて並んでいる。ローラー７４は、紙幣に直接当たって紙幣をドラム９３に押し当てるが、リブ７２２は、例えば一部分が破れた紙幣がローラー７４を通過する際に、その紙幣の一部分と干渉する。このことによって、紙幣が、回転するローラー７４に巻き込まれることを抑制する。リブ７２２は、紙幣の詰まりが発生してしまうことを抑制する。

（第１押し当て部材に関する変形例）
図８は、第１押し当て部材に関する変形例を示している。図８（ａ）に示すように、第１押し当て部材は、回転軸の方向に長い幅広ローラー７４１であってもよい。幅広ローラー７４１は、紙幣の中央部の広い範囲を、ドラム９３に押し当てることができる。

図８（ｂ）に示すように、第１押し当て部材は、揺動部材７２のリブ７２２によって構成してもよい。つまり、第１押し当て部材は、ローラーに限定されない。

図８（ｃ）に示すように、第１押し当て部材であるローラー７４は、可動ガイド７に直接取り付けられてもよい。前述したように、ローラー７４は、揺動部材７２に取り付けられることによって常時、ドラム９３に当たることができる。ローラー７４が、可動ガイド７に直接取り付けられると、ドラム９３の径が大きくなった場合に、第２の押し当て部材７３がドラム９３に当たる一方で、ローラー７４がドラム９３から離れる場合がある。しかしながら、ドラム９３の径が大きくなれば、ローラー７４による、紙幣の膨らみを抑制する効果は不要になるため、ローラー７４がドラム９３から離れても、それに起因する不都合は生じない、又は、不都合は小さい。

尚、第1押し当て部材は、可動ガイド７に対して、変位可能に取り付けられてもよい。

図９は、第１押し当て部材に関する、さらに別の変形例を示している。図９の構成例は、ローラー７４が、可動ガイド７から独立した第２揺動部材７５に支持されている。第２揺動部材７５は、前述した（第１）揺動部材７２と同様に、略上下方向に伸びる板状であり、第２揺動部材７５の上端部が、紙幣収納装置９のフレーム９１に対して枢支されている。これにより、第２揺動部材７５は、可動ガイド７から独立して揺動することができる。第２揺動部材７５の枢支部分には、付勢部材としての捩りばね７５１が取り付けられている。捩りばね７５１は、第２揺動部材７５を、図９における時計回り方向に付勢している。

この構成においても、ローラー７４は、ドラム９３に対し常時当接することができる。また、可動ガイド７は、ドラム９３の径が変化することに応じて、位置を変えることができる。

（紙幣処理装置の電力マネジメント）
紙幣処理装置１は、紙幣に関する様々な処理を実行する。紙幣処理装置１は、通常モードと、省電力モードとを切り替える。通常モードにおいて紙幣処理装置１は、全センサ及び全アクチュエータへの電力供給を行う。省電力モードにおいて紙幣処理装置１は、一定時間、処理を行わないと、全センサ及び全アクチュエータへの電力供給を、一斉にオフにする。

ここに開示する紙幣処理装置１は、これに加えて、処理の実行に使用しないセンサ及びアクチュエータへの電力供給を、個別にオフにする。これにより、紙幣処理装置１は、さらなる省電力化を実現している。

図１０は、紙幣処理装置１における電力供給に関する構成を例示している。前述したように、紙幣処理装置１は、入金部２１、出金部２２、搬送部４、識別部２５等を備えている。各部は、センサ、及び／又は、アクチュエータを有している。例えば入金部２１は、入金部２１に残っている紙幣を検知する残留センサ２１２、及び、入金部２１から紙幣処理装置１内へ紙幣を送る繰出モータ２１３を有している。出金部２２は、残留センサ２２２を有している。搬送部４は、搬送路に配置されかつ、紙幣の通過を検知する通過センサ４０１、及び、紙幣を搬送するための搬送モータ４０２を有している。識別部２５は、紙幣の特徴を検知するための光学センサ及び磁気センサ、並びに、紙幣の厚みを検知するための厚みセンサを有している。紙幣処理装置１が有するセンサは他にも、金庫部１３に設けられた扉の開閉を検知する開閉センサ、及び、各収納装置３１～３１０の着脱を検知する着脱センサ等がある。また、紙幣処理装置１が有するアクチュエータは他にも、搬送路の分岐箇所に設けられたロータリーソレノイド、及び、各収納装置３１～３１０において紙幣を運ぶ駆動用モータ等がある。

紙幣処理装置１は、各センサ、及び、各アクチュエータについて、個別にスイッチ６１～６６を有している。コントローラー１５は、各スイッチ６１～６６を個別に、オンオフすることによって、各センサ、及び、各アクチュエータへの電力供給を、個別に切り替えることができる。

例えば、入金処理時に、入金部２１から一時保留部２４へ紙幣を送る場合、金庫部１３には紙幣が送られないため、コントローラー１５は、金庫部１３内の各部のセンサ及びアクチュエータへの電力供給を停止する。

また、例えば出金処理時に、出金対象でない紙幣を収納している収納装置は、紙幣を繰り出さないため、当該収納装置のセンサ及びアクチュエータへの電力供給を停止する。

紙幣処理装置１は、電力マネジメントを最適化できる。

１００ 紙葉類収納装置
１０１ 回転ドラム
１０２ テープ
１０３ 押し当て部材
１０４ 紙葉類
７ 可動ガイド
７２ 揺動部材
７２２ リブ（第１押し当て部材）
７３ 第２の押し当て部材
７４ ローラー（第１押し当て部材）
７５ 第２揺動部材
９ 紙幣収納装置
９３ ドラム
９４１ 第１テープ
９４２ 第２テープ

Claims (15)

1. 回転ドラムと、
   前記回転ドラムの外周面に巻き取られることによって、紙葉類を前記回転ドラムに巻き付ける、少なくとも一のテープと、
   前記回転ドラムの軸方向において前記テープからずれて位置しかつ、紙葉類を前記回転ドラムの外周面に押し当てる少なくとも一の第１の押し当て部材と、を備え、
   前記第１の押し当て部材は、前記回転ドラムに巻き取られる前記テープが前記回転ドラムに対して最初に接触する開始位置又は前記開始位置の付近において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる、
   紙葉類収納装置。
2. 前記第１の押し当て部材は、前記開始位置又は前記開始位置よりも前記テープが前記回転ドラムに巻き取られるときの前記テープの進行方向の上流位置において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる、
   請求項１に記載の紙葉類収納装置。
3. 前記第１の押し当て部材は、少なくとも、前記回転ドラムに一枚目の紙葉類が巻き取られる場合に、前記開始位置又は前記開始位置の付近において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる、
   請求項１又は２に記載の紙葉類収納装置。
4. 前記第１の押し当て部材は、前記回転ドラムに所定枚数以上の紙葉類が巻き取られた状態において、前記開始位置よりも前記テープが前記回転ドラムに巻き取られるときの前記テープの進行方向の下流位置において、紙葉類を前記回転ドラムに押し当てる、
   請求項１～３のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
5. 前記テープは、第１のテープと、前記軸方向において前記第１のテープからずれて前記回転ドラムの外周面に巻き取られる第２のテープとを含み、
   前記第１の押し当て部材は、前記軸方向に並んだ前記第１のテープと前記第２のテープとの間に位置している、
   請求項１～４のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
6. 複数の前記第１の押し当て部材は、前記軸方向に並んだ前記第１のテープと前記第２のテープとの間に位置している、
   請求項５に記載の紙葉類収納装置。
7. 前記第１の押し当て部材は、前記軸方向において、前記テープよりも前記回転ドラムの外側に位置している、
   請求項１～４のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
8. 前記第１の押し当て部材は、前記回転ドラムの外周面に接触しかつ、前記回転ドラムによって回されるローラーである、
   請求項１～７のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
9. 前記回転ドラムの径が変化することに応じて変位しかつ、前記回転ドラムに巻き取られる前記テープ及び紙葉類を前記回転ドラムへ案内する可動ガイドをさらに備え、
   前記可動ガイドは、前記第１の押し当て部材を支持している、
   請求項１～８のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
10. 前記可動ガイドは、前記第１の押し当て部材を前記可動ガイドに対し変位可能に支持している、
    請求項９に記載の紙葉類収納装置。
11. 前記可動ガイドに対し揺動可能に取り付けられた第１揺動部材をさらに備え、
    前記第１揺動部材は、前記第１の押し当て部材を支持している、
    請求項９又は１０に記載の紙葉類収納装置。
12. 前記回転ドラムの径が変化することに応じて揺動しかつ、前記回転ドラムに巻き取られる前記テープ及び紙葉類を案内する可動ガイドと、
    前記可動ガイドから独立して、前記回転ドラムに対し近づく方向及び離れる方向に揺動する第２揺動部材と、をさらに備え、
    前記第２揺動部材は、前記第１の押し当て部材を支持している、
    請求項１～８のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
13. 前記回転ドラムに巻き取られた前記テープを前記回転ドラムに押し当てる第２の押し当て部材をさらに備えている、
    請求項１～１２のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
14. 前記第１の押し当て部材と、前記第２の押し当て部材とは、前記回転ドラムの周方向に位置がずれている、
    請求項１３に記載の紙葉類収納装置。
15. 前記回転ドラムに巻き取られた前記テープを前記回転ドラムに押し当てる第２の押し当て部材をさらに備え、
    前記可動ガイドは、前記第２の押し当て部材を支持している、
    請求項９～１２のいずれか１項に記載の紙葉類収納装置。
    

Images