以下、紙葉類収納装置及び紙葉類処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明は、紙葉類収納装置及び紙葉類処理装置の一例である。図1は、紙葉類処理装置としての紙幣処理装置1を示している。紙幣処理装置1は、例えば銀行等の金融機関に設置されかつ、入金処理及び出金処理を含む各種の処理を実行する装置である。尚、紙幣処理装置1は、金融機関に設置する以外に、例えば小売店舗のバックオフィス等に設置して用いることも可能である。
(紙幣処理装置の全体構成)
図1は、紙幣処理装置1の外観を例示している。図2は、紙幣処理装置1の内部の構造を例示している。以下においては、説明の便宜上、図1に示すように、紙幣処理装置1の背面から正面へ向かう方向をX方向、紙幣処理装置1の正面を向いたときの左から右へ向かう方向をY方向、紙幣処理装置1の底面から上面に向かう方向をZ方向とする。
紙幣処理装置1は、バラ紙幣の処理を行う。紙幣処理装置1は、上部の処理部11と、下部の金庫部13とを有している。
処理部11は、入金部21、第1出金部22、第2出金部23、識別部24、一時保留部3、搬送部4の一部、及び、制御部25を備えている。これらは、ハウジング111の中に配設されている。ユーザは、図2に一点鎖線で示すように、入金部21、第1出金部22、第2出金部23、識別部24、一時保留部3、及び、搬送部4の一部を、X方向に移動させることにより、ハウジング111の外に引き出すことができる。
入金部21は、例えば入金処理を行う際に、紙幣が投入される部分である。入金部21は、入金口211を有している。入金口211は、ハウジング111の上面に開口している。ユーザは、入金口211を通じて、入金部21に紙幣を投入する。入金部21は、投入された紙幣を、一枚ずつ装置の中に取り込む機構を有している。
第1出金部22及び第2出金部23は、例えば出金処理の際に、紙幣が払い出される部分である。第1出金部22及び第2出金部23は、出金処理以外の用途に利用することも可能である。第1出金部22及び第2出金部23は、同じ構成を有している。第1出金部22及び第2出金部23はそれぞれ、複数枚の紙幣を集積するよう構成されている。第1出金部22及び第2出金部23はそれぞれ、出金口221、231を有している。出金口221、231は、ハウジング111の上面に開口している。ユーザは、第1出金部22に集積されている紙幣を出金口221を通じて取り出すことが可能である。ユーザは、第2出金部23に集積されている紙幣を出金口231を通じて取り出すことが可能である。
識別部24は、後述するループ搬送路41に配設されている。識別部24は、ループ搬送路41に沿って搬送される紙幣の一枚一枚について、少なくとも、真偽、金種及び正損を識別する。
一時保留部3は、後述する紙幣収納装置6によって構成されている。一時保留部3は、紙幣を一時保留部3の中に取り込んで収納すること、及び、一時保留部3の中に収納している紙幣を繰り出すこと、が可能である。一時保留部3は、例えば入金処理を行う際に、入金対象の紙幣を一時的に収納する。入金処理が確定すると、一時保留部3は、収納している紙幣を繰り出す。繰り出された紙幣は、後述する収納部5に収納される。一時保留部3は、その他の用途に利用することも可能である。
一時保留部3は、ハウジング111の中の前側の位置に配設されている。一時保留部3は、ハウジング111の中に、着脱可能に配置されている。一時保留部3が無くても、紙幣処理装置1は動作することが可能である。一時保留部3を構成する紙幣収納装置6の詳細は、後述する。
金庫部13は、金庫筐体131によって構成されている。金庫筐体131の中には、収納部5と、搬送部4の一部とが配設されている。金庫筐体131は、収納部5を、所定以上の防護レベルで防護する。金庫筐体131の防護レベルは、ハウジング111の防護レベルよりも高い。
金庫筐体131の前部には、開閉扉132が取り付けられている。開閉扉132には、施錠部133が取り付けられている。ユーザは、予め設定された暗証番号を施錠部133に入力すれば、開閉扉132を開けることができる。
収納部5は、複数のテープ式収納ユニット51を有している。図例の紙幣処理装置1は、合計10個のテープ式収納ユニット51を有している。テープ式収納ユニット51は、金庫筐体131の中に、上下方向及び水平方向に並んで配置されている。尚、テープ式収納ユニット51の数、及び、テープ式収納ユニット51の配置は、どのようなものであってもよい。
各テープ式収納ユニット51は、紙幣をテープ式収納ユニット51の中に取り込んで収納すること、及び、テープ式収納ユニット51の中に収納している紙幣を繰り出すこと、が可能に構成されている。
搬送部4は、搬送路を有している。搬送部4は、例えば紙幣の長辺を前にして、紙幣と紙幣との間に間隔を空けて、紙幣を一枚ずつ、搬送路に沿って搬送するよう構成されている。搬送部4は、図示は省略するが、多数のローラ、複数のベルト、これらを駆動するモータ、及び複数のガイドの組み合わせによって構成されている。
搬送部4は、ハウジング111の中に設けられたループ搬送路41を有している。ループ搬送路41は、前述したように識別部24を通る。搬送部4は、紙幣を、ループ搬送路41に沿って、図2における時計回り方向及び反時計回り方向に搬送する。
入金部21、第1出金部22、及び第2出金部23は、接続路を介して、ループ搬送路41に接続されている。また、一時保留部3もループ搬送路41に接続されている。
尚、図示は省略するが、ループ搬送路41と、入金部21、第1出金部22、第2出金部23、及び一時保留部3との間には、紙幣の搬送先を切り替える分岐機構が設けられている。
搬送部4は、金庫筐体131内に、搬送モジュール42を有している。搬送モジュール42は、金庫筐体131に対して着脱可能である。搬送モジュール42は、ループ搬送路41と、各テープ式収納ユニット51とを結ぶ搬送路を有している。搬送モジュール42は、図示は省略するが、紙幣の搬送先を切り替える分岐機構を有している。
搬送路における各所には、図示を省略するが、紙幣の通過を検知する通過センサが配設されている。搬送部4は、制御部25からの指令を受けると、通過センサの検知信号に基づいて各分岐機構を制御することにより、紙幣を、所定の搬送先に搬送する。
ここで、入金処理及び出金処理を実行する際における、紙幣処理装置1の動作について、簡単に説明する。
(入金処理)
ユーザは、入金対象の紙幣を入金部21に投入する。入金部21は、紙幣を一枚一枚、装置の中に取り込む。搬送部4は、紙幣を識別部24に搬送する。識別部24は、紙幣を識別する。搬送部4は、識別部24を通過した紙幣を、搬送モジュール42を経て、複数のテープ式収納ユニット51のいずれかに搬送する。テープ式収納ユニット51は、紙幣を収納する。入金可能な紙幣が全て、テープ式収納ユニット51に収納されれば、入金処理は終了する。
尚、入金処理時に一時保留部3を利用する場合、搬送部4は、識別部24を通過した紙幣を一時保留部3に搬送する。一時保留部3は紙幣を収納する。入金金額が確定した後、一時保留部3は、収納している紙幣を繰り出す。搬送部4は、一時保留部3が繰り出した紙幣を、搬送モジュール42を経て、複数のテープ式収納ユニット51のいずれかに搬送する。
(出金処理)
テープ式収納ユニット51は、出金処理時に、出金対象の紙幣を繰り出す。搬送部4は、テープ式収納ユニット51が繰り出した紙幣を、搬送モジュール42からループ搬送路41を通って、識別部24に搬送する。識別部24は、紙幣の識別を行う。搬送部4は、識別後の紙幣を、第1出金部22及び/又は第2出金部23に搬送する。出金対象の紙幣が全て、第1出金部22又は第2出金部23に出金されれば、出金処理は終了する。
(紙幣収納装置の構成例)
図3~図6は、紙幣収納装置6の構成例を示している。前述の通り、紙幣収納装置6は、一時保留部3を構成している。
図3は、紙幣収納装置6を側方から見た断面図に相当し、図4は、紙幣収納装置6の底面図に相当する。図3の実線は、紙幣収納装置6の収納量がゼロのとき、つまり、紙幣収納装置6に紙幣が収納されていないときの状態を示している。図3の一点鎖線は、紙幣収納装置6の収納量が満量のときの状態を示している。
図3において符号40は、搬送部材である。搬送部材40は、ハウジング111内に配設されかつ、前述したループ搬送路41及び接続路の一部を構成している。紙幣収納装置6の側面(図3の例では右の面)には、紙幣が出入する出入口610が設けられている。搬送部材40は、紙幣収納装置6の出入口610に接続されている。より詳細には、出入口610には、図示しない櫛歯形状の接続ガイドが設けられる。また、搬送部材40にも図示しない櫛歯形状の接続ガイドが設けられる。具体的には、ループ搬送路41から紙幣収納装置6へ延びる接続路の端部に、櫛歯形状の接続ガイドが設けられる。2つの接続ガイドの櫛歯形状の部分が互いにオーバーラップすることにより、搬送部材40は、紙幣収納装置6の出入口610に接続されている。搬送部材40は、出入口610に向かって紙幣を搬送し、紙幣は、出入口610を通って紙幣収納装置6の中に入る。また、搬送部材40は、出入口610を通って紙幣収納装置6の外に出た紙幣を、搬送する。
紙幣収納装置6は、収納機構600と、収納機構600を収容するフレーム61と、を備えている。収納機構600は、テープとテープとの間に挟んだ紙幣100(図5参照)を、テープと共にドラム63に巻き取るよう構成されている。紙幣100は、紙幣100の長辺がドラム63の回転軸と平行になるように、ドラム63に巻き取られる。収納機構600は、第1リール621と、第2リール622と、ドラム63と、を備えている。フレーム61は、第1フレーム部611と、第2フレーム部612とを有している。
第1リール621には、第1テープ641の一端が固定されていると共に、第1テープ641が巻かれている。第2リール622には、第2テープ642の一端が固定されていると共に、第2テープ642が巻かれている。第1テープ641の他端、及び、第2テープ642の他端はそれぞれ、ドラム63の外周面に固定されている。
第1リール621は、出入口610に対してドラム63より近い位置に配設されている。第2リール622は、出入口610に対してドラム63より遠い位置に配設されている。第1リール621と第2リール622とは、図3に示すように、第1フレーム部611と第2フレーム部612とによって、後述する搬送路620が形成されている状態において、ドラム63を挟んで対向する位置に配設されている。
第1リール621は、図4に示すように、Y方向に間隔を空けて二つ配設されている。二つの第1リール621とシャフト6511とが一体化することによって、第1リールユニット651が構成されている。シャフト6511は、二つの第1リール621を別々に支持すると共に、第1リール621の回転中心を構成する。第1リール621は、例えばトルクリミッタを介してシャフト6511に支持される。第1リールユニット651の基端には、後述する第1リールギア73が取り付けられている。
同様に、第2リール622も、Y方向に間隔を空けて二つ配設されている。二つの第2リール622とシャフト6521とが一体化することによって、第2リールユニット652が構成されている。シャフト6521は、二つの第2リール622を別々に支持すると共に、第2リール622の回転中心を構成する。第2リール622は、例えばトルクリミッタを介してシャフト6521に支持される。第2リールユニット652の基端には、後述する第2リールギア74が取り付けられている。
第1リールユニット651は、第1フレーム部611に支持されている。二つの第1リール621は、第1フレーム部611に支持されている。第1リール621は、第1テープ641の繰り出し方向(図3における時計回り方向)、及び、第1テープ641の巻き取り方向(図3における反時計回り方向)に回転する。二つの第1リール621は、第1テープ641の張力に応じて、互いに独立して回転する。
第2リールユニット652は、第2フレーム部612に支持されている。二つの第2リール622は、第2フレーム部612に支持されている。第2リール622は、第2テープ642の繰り出し方向(図3における時計回り方向)、及び、第2テープ642の巻き取り方向(図3における反時計回り方向)に回転する。二つの第2リール622は、第2テープ642の張力に応じて、互いに独立して回転する。
ドラム63は、図3に示すように、第1フレーム部611と第2フレーム部612とによって、後述する搬送路620が形成されている状態において、第1リール621と第2リール622との間に配設されている。ドラム63のシャフト630は、第2フレーム部612に支持されている。ドラム63の回転中心は、Y方向に延びる。ドラム63の回転中心と、第1リール621の回転中心と、第2リール622の回転中心とは互いに平行である。ドラム63は、紙幣100及びテープの巻き取り方向、及び、紙幣100及びテープの繰り出し方向に回転する。図3の例において、ドラム63が、紙幣100及びテープを巻き取る方向は、時計回り方向であり、紙幣100及びテープを繰り出す方向は、反時計回り方向である。
第1リール621から引き出された第1テープ641は、第1テープ経路81に沿って走行することにより、ドラム63に到達する。第1テープ経路81は、第1テーププーリ811と、第2テーププーリ812とによって構成されている。第1テーププーリ811及び第2テーププーリ812は共に、第1フレーム部611に支持されている。
第2リール622から引き出された第2テープ642は、第2テープ経路82に沿って走行することにより、ドラム63に到達する。第2テープ経路82は、第3テーププーリ821、第4テーププーリ822、及び第5テーププーリ823によって構成されている。第3テーププーリ821、第4テーププーリ822、及び第5テーププーリ823は全て、第2フレーム部612に支持されている。
第1テーププーリ811は、第2テーププーリ812より第1リール621に近い位置に配設されている。第2テーププーリ812は、第1テーププーリ811よりドラム63に近い位置に配設されている。第2テーププーリ812は、紙幣の搬送路620の位置に配設されている。第1リール621から引き出された第1テープ641は、第1テーププーリ811及び第2テーププーリ812の順に、第1テーププーリ811と第2テーププーリ812とに巻き掛けられる。第2テーププーリ812に巻き掛けられた第1テープ641は、搬送路620に沿うように走行し、ドラム63に到達する。
第3テーププーリ821は、第4テーププーリ822および第5テーププーリ823より第2リール622に近い位置に配設されている。第4テーププーリ822は、第3テーププーリ821と第5テーププーリ823との間に配設されている。第5テーププーリ823は、搬送路620の位置に配設されている。第5テーププーリ823と第2テーププーリ812とは、搬送路620を挟んで向かい合っている。
第2リール622から引き出された第2テープ642は、第3テーププーリ821、第4テーププーリ822、及び第5テーププーリ823の順に、第3テーププーリ821と第4テーププーリ822と第5テーププーリ823とに巻き掛けられる。第5テーププーリ823に巻き掛けられた第2テープ642は、第1テープ641と向かい合って、搬送路620に沿うように走行し、ドラム63に到達する。
第1テープ641及び第2テープ642がドラム63に巻き取られる巻き取り位置631は、ドラム63と第1リール621との間に位置している。第2テープ642は、第2リール622から引き出された後、ドラム63を迂回して巻き取り位置631に到達する。第1テープ641と第2テープ642とは、重なった状態で、ドラム63の外周面に巻き取られる。なお、第1テーププーリ811、第2テーププーリ812、第3テーププーリ821、第4テーププーリ822、及び第5テーププーリ823は、必ずしもプーリである必要はなく、テープの走行方向を変換するガイドであってもよい。
出入口610とドラム63との間には、図3に仮想線で示すように、搬送路620が形成されている。搬送路620は、出入口ローラ対66と、第1ベルト671及び第2ベルト672と、第1ガイド部材681及び第2ガイド部材682と、グリップローラ対69と、によって構成されている。紙幣100は、搬送路620に沿って、出入口610からドラム63に向かう方向に、又は、ドラム63から出入口610に向かう方向に搬送される。
出入口ローラ対66は、第1出入口ローラ661と第2出入口ローラ662とによって構成されている。第1出入口ローラ661は、第1フレーム部611に支持され、第2出入口ローラ662は、第2フレーム部612に支持されている。出入口ローラ対66は、出入口610を通じて、紙幣100を紙幣収納装置6内に取り込んだり、出入口610を通じて、紙幣100を紙幣収納装置6内から送り出したりする。第1出入口ローラ661は、搬送部材40に支持される構成としてもよい。
第1ベルト671は、二つのローラに巻き掛けられている。第1ベルト671は、第1フレーム部611に支持されている。第2ベルト672は、第1ベルト671とは別の二つのローラに巻き掛けられている。第2ベルト672は、第2フレーム部612に支持されている。
第1ベルト671は、紙幣100の搬送路620に沿って走行する。第2ベルト672も、搬送路620に沿って走行する。第1ベルト671と第2ベルト672とは、紙幣100を厚み方向に挟むよう対向している。第1ベルト671及び第2ベルト672は、紙幣100を、出入口610からドラム63に向かって、又は、ドラム63から出入口610に向かって搬送する。
図5は、ドラム63においてグリップローラ対69が配設された箇所を示している。図5の下図は、当該箇所を側方から見た図であり、上図は、当該箇所を上方から見下ろした図である。グリップローラ対69は、Y方向に間隔を空けて二つ配設されている。二つのグリップローラ対69は、紙幣100の長辺方向における所定の箇所を挟み、紙幣100を、出入口610からドラム63に向かって、又は、ドラム63から出入口610に向かって搬送する。
より詳細に、グリップローラ対69は、第1グリップローラ691と、第2グリップローラ692と、によって構成されている。第1グリップローラ691と、第2グリップローラ692とは対向している。
第1グリップローラ691は、第2テーププーリ812と同軸に配設されている。第1グリップローラ691は、第1フレーム部611に支持されている。第1グリップローラ691は、第2テーププーリ812よりも径が大きい。第1グリップローラ691はまた、第2テーププーリ812よりも、ドラム63の軸が延びる方向について、ドラム63の中央に近い位置に配設されている。
第2グリップローラ692は、第5テーププーリ823と同軸に配設されている。第2グリップローラ692は、第2フレーム部612に支持されている。第2グリップローラ692は、第5テーププーリ823よりも径が大きい。第2グリップローラ692はまた、第5テーププーリ823よりも、ドラム63の軸が延びる方向について、ドラム63の中央に近い位置に配設されている。
第1グリップローラ691と、第2グリップローラ692とを比較したときに、ドラム63の回転中心から第1グリップローラ691までの距離L1は、ドラム63の回転中心から第2グリップローラ692までの距離L2よりも長い。また、第2グリップローラ692の径は、第1グリップローラ691の径よりも小さい。尚、第5テーププーリ823の径は、第2テーププーリ812の径よりも小さい。
ここで、図5の一点鎖線の円は、ドラム63に紙幣100が巻き取られることによって、ドラム63の径が最大になったときのドラム63の外周位置を示している。尚、ここで言うドラム63の径の大きさは、ドラム63に巻き付けられた第1テープ641及び第2テープ642、並びに、紙幣100による最外径を意味する。
グリップローラ対69は、ドラム63から繰り出される紙幣100を、最初に挟み込んで搬送する機能を有している。ドラム63は、前述したように、紙幣100の長辺がドラム63の回転軸と平行になるように、紙幣100を巻き取る。ドラム63と、グリップローラ対69との間隔は、ドラム63に巻き取る紙幣100の短辺の長さによって定まる。具体的には、ドラム63の径の大きさが最も小さいときの巻き取り位置631と、グリップローラ対69のグリップ位置との間隔は、紙幣100の短辺の長さより小さい。
一方、紙幣収納装置6の収納量は、ドラム63の最外径が、グリップローラ対69と干渉しない範囲に制限される。紙幣収納装置6の収納量を多くしようとすると、ドラム63と、グリップローラ対69との間隔を広げた方が有利である。しかし、前述の通り、ドラム63とグリップローラ対69との間隔は、紙幣100の短辺の長さによって定まってしまう。
ドラム63の回転中心に近い第2グリップローラ692の径を、第1グリップローラ691の径よりも小さくすると、図5の下図に一点鎖線で示す円と第2グリップローラ692との位置関係から明らかなように、ドラム63とグリップローラ対69との間隔を広げずに、ドラム63の径を、より大きくすることが可能になる。つまり、前述した構成は、紙幣収納装置6の収納量を大きくすることができる。
また、第1グリップローラ691は、第1テープ641を案内する第2テーププーリ812に対してY方向に位置をずらして配設されていると共に、第2テーププーリ812よりも径が大きい。第2グリップローラ692は、第2テープ642を案内する第5テーププーリ823に対してY方向に位置をずらして配設されていると共に、第5テーププーリ823よりも径が大きい。グリップローラ対69は、第1テープ641及び第2テープ642よりも、ドラム63の軸方向に対して、ドラム63の中央に近い位置に配設されている。詳細には、2つの第1グリップローラ691は、2つの第2テーププーリ812の間に配設される。2つの第2グリップローラ692は、2つの第5テーププーリ823の間に配設される。
この構成によって、グリップローラ対69が、第1テープ641及び第2テープ642と接触してしまうことが抑制される。第1テープ641及び第2テープ642の表面が傷んでしまうことが抑制されるから、第1テープ641及び第2テープ642の寿命が長くなる。
図3に戻り、第1ガイド部材681は、第1ベルト671と、第1グリップローラ691との間に配設されている。第2ガイド部材682は、第2ベルト672と、第2グリップローラ692との間に配設されている。第1ガイド部材681及び第2ガイド部材682は、ドラム63から出入口610へ向かう方向に搬送される紙幣100が、グリップローラ対69による挟持から解放されるときに、紙幣100の搬送を案内する。また、第1ガイド部材681及び第2ガイド部材682は、出入口610からドラム63へ向かう方向に搬送される紙幣100が、第1ベルト671及び第2ベルト672による挟持から解放されるときに、紙幣100の搬送を案内する。当該箇所は、ドラム63と出入口610との間を搬送される紙幣100の詰まりが生じやすい箇所である。
紙幣収納装置6は、可動ガイド632を有している。可動ガイド632は、ドラム63と第1リール621との間に配設されている。可動ガイド632の基端は、第1グリップローラ691の回転中心に枢支されている。可動ガイド632は、第1グリップローラ691の回転中心を中心として回動するよう構成されている(図3の実線及び一点鎖線参照)。
可動ガイド632は、図示を省略する付勢部材(例えば、ばね)によって、図3における時計回り方向に付勢されている。可動ガイド632は、ドラム63の径の大きさに応じて、時計回り方向及び反時計回り方向に回動する。
可動ガイド632の中間部には、押さえローラ633が取り付けられている。押さえローラ633は、ドラム63に巻いた第1テープ641及び第2テープ642のうち、径方向の外側に位置する第1テープ641に当接する。押さえローラ633は、第1テープ641及び第2テープ642を押さえる。
可動ガイド632をドラム63と第1リール621との間に配設することによって、ドラム63と第2リール622との間に、可動ガイド632を配設するスペースを設ける必要がない。配設スペースを節約することができる分、ドラム63の径を大きくすることが可能になる。または、配設スペースを節約することができる分、第2テープ経路82をドラム63に近づけることができる。
図3に一点鎖線で示すように、ドラム63の径が大きくなったときに、第2テープ経路82を走行する第2テープ642と、ドラム63の外周面とが接触してもよい。尚、ドラム63がテープの巻き取り方向(図3における時計回り方向)に回転するときに、ドラム63に接触している第2テープ642は第2リール622から繰り出される。第2テープ642の走行方向は、ドラム63の巻き取り方向と同じ方向(図3における紙面左から右方向)である。逆に、ドラム63がテープの繰り出し方向(図3における反時計回り方向)に回転するときに、ドラム63に接触している第2テープ642は第2リール622に巻き取られる。第2テープ642の走行方向は、ドラム63の繰り出し方向と同じ方向(図3における紙面右から左方向)である。第2テープ642と、ドラム63の外周面とが接触していても、不具合は生じない。
紙幣収納装置6は、二つの第1リール621のそれぞれから繰り出される二本の第1テープ641と、二つの第2リール622のそれぞれから繰り出される二本の第2テープ642と、の合計四本のテープを有している。第1テープ641と第2テープ642とは、搬送路620に沿って搬送される紙幣100の、長辺方向の両端部付近のそれぞれを、紙幣100の厚み方向に挟む。第1テープ641と第2テープ642との間に挟まれた紙幣100は、第1テープ641と第2テープ642と共に、ドラム63に巻き取られる。
紙幣収納装置6は、重なり合った第1テープ641及び第2テープ642との間に紙幣100を挟んだ状態で、紙幣100及び第1テープ641及び第2テープ642をドラム63に巻き取るため、紙幣100を、安定的にドラム63に巻くことができる。四本のテープを用いた収納構成は、破れや切れ目を有する紙幣100であっても、安定して紙幣100を収納しかつ、紙幣100を繰り出すことを可能にする。
(ドラム及びリールの回転機構)
紙幣収納装置6は、ドラム63、並びに、第1リール621及び第2リール622を回転させるギア連結機構7を有している。ギア連結機構7は、紙幣100をドラム63に巻き取るとき、及び、紙幣100をドラム63から繰り出すときに、ドラム63、並びに、第1リール621及び第2リール622を同期して回転させる。このことによって、ギア連結機構7は、第1テープ641及び第2テープ642に所定の張力を付与しつつ、ドラム63に第1テープ641及び第2テープ642を巻き取ったり、ドラム63から第1テープ641及び第2テープ642を繰り出したりする。ギア連結機構7は、後述するように、駆動機構の一例である。
図6は、紙幣収納装置6のギア連結機構7の構成を例示している。図6においては、ギア連結機構7の構成の理解を容易にするために、ギア連結機構7に含まれる各ギアの歯は、一部分のみ図示している。尚、図6は、図3に示す紙幣収納装置6を、Y方向の逆側から見たときの構成に相当する。従って、図6における第1リールユニット651及び第2リールユニット652は、図3における第1リールユニット651及び第2リールユニット652に対して、左右が入れ替わっている。
ギア連結機構7は、一つの電動モータ70を有している。ギア連結機構7は、一つの電動モータ70の回転力を、ドラム63、並びに、第1リール621及び第2リール622のそれぞれに伝達する。電動モータ70は、図3に示すように、第2フレーム部612に支持されている。
ギア連結機構7は、モータギア71と、ドラムギア72と、第1リールギア73と、第2リールギア74と、第1アイドルギア75と、第2アイドルギア76と、を有している。モータギア71は、電動モータ70の出力軸に取り付けられている。ドラムギア72は、ドラム63に取り付けられている。第1リールギア73は、第1リール621に取り付けられている。第2リールギア74は、第2リール622に取り付けられている。第1アイドルギア75は、ドラムギア72と第1リールギア73との間に配設されている。第2アイドルギア76は、ドラムギア72と第2リールギア74との間に配設されている。図8又は図9に示すように、第1リールギア73及び第1アイドルギア75はそれぞれ、第1フレーム部611に支持されている。モータギア71、ドラムギア72、第2リールギア74及び第2アイドルギア76はそれぞれ、第2フレーム部612に支持されている。第1アイドルギア75は、後述するように、第1フレーム部611に支持されかつ、第1フレーム部611と一緒に、第2フレーム部612に対して相対的に移動する第1部材の一例である。第1リールギア73は、第1部材である第1アイドルギア75が第2フレーム部612に対して相対的に移動することを受けて、第1リール621を、テープを巻き取る方向に回転させる第2部材の一例である。
ドラムギア72の回転中心は、ドラム63の回転中心と一致している。また、第1リールギア73の回転中心は、第1リール621の回転中心と一致していると共に、第2リールギア74の回転中心は、第2リール622の回転中心と一致している。
モータギア71は、第2アイドルギア76と噛み合っている。第2アイドルギア76は、モータギア71、ドラムギア72及び第2リールギア74の間で、これらモータギア71、ドラムギア72及び第2リールギア74のそれぞれと噛み合っている。モータギア71は第2アイドルギア76よりも径が小さい。第2リールギア74は第2アイドルギア76よりも径が小さい。ドラムギア72は、第2アイドルギア76よりも径が大きい。
図6に矢印で示すように、電動モータ70の回転力は、モータギア71及び第2アイドルギア76を介して、ドラムギア72に伝達される。電動モータ70の回転力はまた、モータギア71及び第2アイドルギア76を介して、第2リールギア74に伝達される。電動モータ70からドラム63までの間に介在するギアの数と、電動モータ70から第2リール622までの間に介在するギアの数とは一致している。
ギア連結機構は一般的に、ギア間のガタ(バックラッシュ)を有している。例えばギア連結機構を、ドラムギアとリールギアとを連結しかつ、電動モータの回転力をドラムギアからリールギアに伝達するよう構成すると、電動モータからリールまでの間に介在するギアの数が、電動モータからドラムまでの間に介在するギアの数よりも多くなる。このようなギア連結機構においては、電動モータからドラムまでの間のギアのガタ量と、電動モータからリールまでの間のギアのガタ量とは一致しない。電動モータが回転を開始してドラムが回転を開始することに遅れて、リールが回転を開始するようになる。ドラムの回転とリールの回転とのタイミングがずれると、テープの張力が緩んでしまう。
これに対し、電動モータ70からドラム63までの間に介在するギアの数と、電動モータ70から第2リール622までの間に介在するギアの数とが一致していると、電動モータ70からドラム63までの間のギアのガタ量と、電動モータ70から第2リール622までの間のギアのガタ量とは等しい。ギア連結機構7において、ドラム63が回転を開始するタイミングと、第2リール622が回転を開始するタイミングとは一致する。ドラム63に紙幣100を巻き取るとき、及び、ドラム63から紙幣100を繰り出すときのそれぞれにおいて、第2テープ642の張力が緩むことが抑制される。第1テープ641及び第2テープ642との間に紙幣100を挟んだ状態で、紙幣100、第1テープ641及び第2テープ642をドラム63に巻き取ったとき、第2テープ642は紙幣100及び第1テープ641よりも径方向の内側に位置する。よって、ドラム63の中心に近い第2テープ642の張力が緩むことが抑制される。この構成は、テープに張力を付与するための付勢部材(例えばトーションスプリング等)が不要になるという利点がある。
尚、第1リール621に対しては、モータギア71、第2アイドルギア76、ドラムギア72、第1アイドルギア75、及び、第1リールギア73を介して、電動モータ70の回転力が伝達される。第1リールギア73は第1アイドルギア75よりも径が小さい。ドラムギア72は、第1アイドルギア75よりも径が大きい。第1アイドルギア75と第2アイドルギア76とは同じ径である。第1リールギア73と第2リールギア74とは同じ径である。第1リール621と第2リール622とは等速で回転する。
また、前記の構成とは異なり、電動モータ70を第1リール621の近辺に配置し、モータギア71が、第1アイドルギア75と噛み合うようにしてもよい。この場合は、電動モータ70の回転力は、モータギア71及び第1アイドルギア75を介して、ドラムギア72に伝達される。それと共に、電動モータ70の回転力は、モータギア71及び第1アイドルギア75を介して、第1リールギア73に伝達される。電動モータ70からドラム63までの間に介在するギアの数と、電動モータ70から第1リール621までの間に介在するギアの数とは一致している。これにより、ドラム63に紙幣100を巻き取るとき、及び、ドラム63から紙幣100を繰り出すときのそれぞれにおいて、第1テープ641の張力が緩むことが抑制される。第1テープ641及び第2テープ642との間に紙幣100を挟んだ状態で、紙幣100、第1テープ641及び第2テープ642をドラム63に巻き取ったとき、第1テープ641は紙幣100及び第2テープ642よりも径方向の外側に位置する。外側に位置する第1テープ641の張力が緩むことが抑制されるため、第1テープ641の内側にある紙幣100及び第2テープ642をしっかりと巻くことができる。
(搬送路の開閉構造)
紙幣収納装置6は、搬送路620を開放することが可能に構成されている。ユーザは、紙幣収納装置6内において紙幣100の詰まり等が発生したときに、図2に一点鎖線で示すように、紙幣収納装置6を紙幣処理装置1の内部から外に引き出しかつ、搬送路620を開放することによって、紙幣収納装置6の中から紙幣100を容易に取り除くことができる。ユーザは、紙幣収納装置6のメンテナンスを容易に行うことができる。
紙幣収納装置6において、搬送路620を形成する第1フレーム部611及び第2フレーム部612は、相対的に移動することが可能に構成されている。第1フレーム部611及び第2フレーム部612は、図3に示す搬送路620を形成している状態では、Z方向に対向して配置されている。第1フレーム部611は、第2フレーム部612に対し、第1の枢支軸としてのシャフト630の位置において、枢支されている。第1フレーム部611は、図7に示すように、第2フレーム部612に対して、ドラム63の回転中心を中心として、回動することが可能である。
紙幣収納装置6の出入口610は、前述したように、搬送部材40に接続されている。出入口ローラ対66は、出入口610を構成する。出入口ローラ対66の第1出入口ローラ661は、第1フレーム部611に取り付けられている。第1出入口ローラ661は、搬送部材40に対して、着脱可能に取り付けられている。尚、前述したように、第1出入口ローラ661は、搬送部材40に支持されてもよい。
紙幣収納装置6の第2フレーム部612は、詳細な構成の図示は省略するが、紙幣処理装置1に対し、第2の枢支軸623の位置において、回動可能に取り付けられている。第2の枢支軸623は、紙幣処理装置1に支持されている。第2の枢支軸623は、第2フレーム部612において、出入口610とは逆の側部に位置している。第1フレーム部611と第2フレーム部612とによって搬送路620が形成されている状態において、第1の枢支軸としてのシャフト630は、第2の枢支軸623と出入口610の間に位置している。
紙幣収納装置6は、紙幣処理装置1に取り付けた状態のままで、搬送路620を開放することが可能である。図7に実線の矢印で示すように、第2フレーム部612を、第2の枢支軸623を中心として上向きに回動させた場合に、第1フレーム部611の第1出入口ローラ661は搬送部材40との相対位置が大きく変化しないように配設されている。図7に一点鎖線の矢印で示すように、第1フレーム部611が、ドラム63の回転中心を中心として、第2フレーム部612に対し相対的に下向きに回動する。第1フレーム部611及び第2フレーム部612が相対的に回動することに伴い、出入口ローラ対66の第1出入口ローラ661と第2出入口ローラ662とが離れ、第1ベルト671と第2ベルト672とが離れ、第1ガイド部材681と第2ガイド部材682とが離れ、そして、グリップローラ対69の第1グリップローラ691と第2グリップローラ692とが離れる。その結果、第1フレーム部611と第2フレーム部612との間に形成されていた搬送路620の少なくとも一部と、出入口610とが、共に開放する。ユーザは、搬送路620や、その他の箇所に詰まっていた紙幣100を、容易に取り除くことができる。尚、図7の構成例は、搬送路620の全体を開放している。
搬送路620を開放したときに、第1フレーム部611の第1出入口ローラ661が、搬送部材40につながっている。より詳細には、前述したように、第1フレーム部611の第1出入口ローラ661の近傍には、櫛歯形状の接続ガイドが設けられている。また、搬送部材40にも櫛歯形状の接続ガイドが設けられている。第1フレーム部611と搬送部材40とがつながっている状態は、第1フレーム部611の接続ガイドの櫛歯形状の部分と、搬送部材40の接続ガイドの櫛歯形状の部分とが、互いにオーバーラップしている(噛み合っている)状態である。搬送路620を開放したときに、第1出入口ローラ661の搬送部材40に対する相対位置はわずかに変化するが、第1フレーム部611の接続ガイドの櫛歯形状の部分と、搬送部材40の接続ガイドの櫛歯形状の部分とが、互いにオーバーラップしている状態を維持している。これにより、搬送路620に残っていた紙幣100が搬送路620から落下してしまうことが抑制される。ユーザが搬送路620を開放したときに、紙幣収納装置6内に存在していた紙幣100を紛失してしまうことが抑制される。ユーザが紙幣処理装置1においてエラー解除を行うことに起因して、違算が発生してしまうことを抑制することができる。
紙幣収納装置6において搬送路620を開放する構成についてさらに詳細に説明をする。第1フレーム部611が、第2フレーム部612に対して相対的に回動をしたときに、第1フレーム部611に支持されている第1リール621及び第1テープ経路81は、第1フレーム部611と一緒に、第2フレーム部612に対して相対的に回動する。
第1フレーム部611は、ドラム63の回転中心を中心として回動するから、第1リール621及び第1テープ経路81も、ドラム63の回転中心を中心として回動する。これにより、第1リール621からドラム63までの第1テープ経路81の形状及び長さは変化しない、又は、ほぼ変化しない。第1テープ641がドラム63又は第1リール621から引き出されることが抑制される。つまり、搬送路620を開放することに伴い、第1テープ641が弛んでしまうことが抑制される。紙幣収納装置6において第1テープ641の弛みを防止するトーションスプリング等の部品が不要になるため、紙幣収納装置6の構成が簡略化する。
尚、第2リール622及び第2テープ経路82は、ドラム63と共に第2フレーム部612に支持されている。搬送路620を開放しても、第2リール622からドラム63までの第2テープ経路82の形状及び長さが変化しない。よって、搬送路620を開放することに伴い、第2テープ642が弛んでしまうことも抑制される。
紙幣収納装置6において開放していた搬送路620を閉じるときには、第2フレーム部612を、第2の枢支軸623を中心として下向きに回動させる。第1フレーム部611は、ドラム63の回転中心を中心として、相対的に上向きに回動する。これにより、出入口ローラ対66の第1出入口ローラ661と第2出入口ローラ662とが近づき、第1ベルト671と第2ベルト672とが近づき、第1ガイド部材681と第2ガイド部材682とが近づき、そして、グリップローラ対69の第1グリップローラ691と第2グリップローラ692とが近づく。そして、第1フレーム部611と第2フレーム部612との間に、搬送路620及び出入口610が形成される。
つまり、紙葉類収納装置の一例としての紙幣収納装置6は、第1テープ641が巻かれた第1リール621と前記第1テープ641と共に紙幣100を巻き取るドラム63と、前記紙幣100が通過する出入口610と、前記出入口610から前記ドラム63まで前記紙幣100を搬送する搬送路620の少なくとも一部を形成するフレーム61と、を備えている。前記フレーム61は、第1フレーム部611及び第2フレーム部612を有し、前記第1フレーム部611及び前記第2フレーム部612は、前記搬送路620を形成する状態と、前記搬送路620の少なくとも一部を開放する状態との間で、相対的に移動するよう構成されている。そして、前記第1フレーム部611は、前記第1リール621を支持すると共に、前記第1リール621から前記ドラム63までの間の第1テープ経路81を形成し、前記第1フレーム部611は、前記第1リール621及び前記第1テープ経路81と一緒に、前記第2フレーム部612に対して相対的に移動する。
(テープの巻き取り構成)
紙幣収納装置6は、搬送路620を開放するときに、ギア連結機構7におけるギアの連結状態を維持するよう構成されている。具体的には、第1フレーム部611に支持されている第1アイドルギア75は、ドラムギア72及び第1リールギア73の両方に噛み合ったまま、ドラム63の回転中心を中心として回動する。
紙幣収納装置6はまた、ギア連結機構7によって、搬送路620を開放するときにテープを巻き取るよう構成されている。ギア連結機構7は、第1フレーム部611から第2フレーム部612に渡って配置されかつ、第1フレーム部611が第2フレーム部612に対して相対的に移動することに伴い、ドラム63又はリールを、テープを巻き取る方向に回転させる駆動機構を構成する。
図8は、紙幣収納装置6の搬送路620を開閉することに伴う、ギア連結機構7における各ギアの回転状態を説明する遷移図である。図8における一点鎖線の円は、ギア連結機構7における各ギアを示している。図8のP81は、紙幣収納装置6の搬送路620が閉じている状態であり、P82は、閉じていた搬送路620を開放した状態である。図8においては、搬送路620を開放する際に、第1フレーム部611が、第2フレーム部612に対して相対的に、図8における時計回り方向に回動をするよう描いている(一点鎖線の矢印参照)。
第1フレーム部611が、図8における時計回り方向に、第2フレーム部612に対して相対的に回動をすると、第1アイドルギア75は、ドラム63の回転中心を中心として、時計回り方向に回動(つまり、公転)する。
ここで、ギア連結機構7は、抑制部材77を有している。抑制部材77は、第1アイドルギア75が噛み合っているドラムギア72、及び、ドラムギア72が取り付けられているドラム63が、搬送路620を開放する方向に第1フレーム部611を回動する時に、図8における時計回り方向に回転することを抑制する。抑制部材77は、例えばドラム63のシャフト630に取り付けてもよい。
抑制部材77は、例えばワンウェイクラッチによって構成することによって、ドラムギア72及びドラム63が時計回り方向に回転しないようにしてもよい。抑制部材77は、搬送路620の開放時に、ドラムギア72及びドラム63に対して回転方向の抵抗を与える機能を有していてもよい。第1アイドルギア75が時計回り方向に公転する角度に比べて、ドラムギア72及びドラム63が時計回り方向に回転する角度が小さくなるよう、抑制部材77は、ドラムギア72及びドラム63に回転方向の抵抗を与えてもよい。第1アイドルギア75が公転する角度と、ドラムギア72が回転する角度との差は、第1アイドルギア75が回転(つまり、自転)することにより吸収される。
抑制部材77がドラムギア72及びドラム63の回転を抑制することにより、ドラム63の回転中心を中心として公転する第1アイドルギア75は、図8の下図に実線の矢印で示すように、時計回り方向に回転(つまり、自転)する。つまり、第1アイドルギア75は、自転しながら、ドラム63の回転中心を中心に公転する。搬送路620を開放するときに、ギア連結機構7は差動歯車装置となる。第1アイドルギア75は、第1フレーム部611に支持されかつ、第1フレーム部611と一緒に、第2フレーム部612に対して相対的に移動する第1部材を構成する。
第1アイドルギア75に噛み合っている第1リールギア73は、第1アイドルギア75が時計回り方向に自転することにより、図8における反時計回り方向に回転する(図8の下図の実線の矢印参照)。第1リールギア73が反時計回り方向に回転することにより、第1リール621は、第1テープ641を巻き取る方向に回転する。第1リールギア73は、第1部材である第1アイドルギア75が第2フレーム部612に対して相対的に移動することを受けて、第1リール621を、第1テープ641を巻き取る方向に回転させる第2部材の一例である。ドラム63の回転は抑制されているため、第1テープ641が、ドラム63又は第1リール621から繰り出されることが抑制される。搬送路620の開放時に、ギア連結機構7が第1リール621をテープの巻き取り回転させることにより、図8に破線の矢印で示すように第1テープ641が引っ張られるから、第1テープ641が弛んでしまうことが抑制される。
ドラムギア72及びドラム63の回転が抑制されるため、ドラムギア72に対して、第2アイドルギア76を介して噛み合っている第2リールギア74の回転も抑制される。搬送路620を開放する時に、第2テープ642が弛んでしまうことも抑制される。
開放していた搬送路620を閉じるときには、第1リールギア73と第1リール621との連結を解除する。これにより、第1フレーム部611を、図8における反時計回り方向に、第2フレーム部612に対して相対的に回動させたときに、第1アイドルギア75が、自転をしながら、ドラム63の回転中心を中心として、反時計回り方向に公転する。第1アイドルギア75に噛み合った第1リールギア73も回転する。このときに、第1リールギア73と第1リール621との連結を解除しているから、第1リール621が回転をせずに、第1アイドルギア75及び第1リールギア73が空回りする。前述の通り、第1フレーム部611は、第1リール621及び第1テープ経路81と一緒に回動するため、第1テープ経路81の形状及び長さは変化しない、又は、ほぼ変化しない。よって、搬送路620を閉じる時に、第1テープ641が弛んでしまうことが抑制される。また、搬送路620が閉じるときに、ドラムギア72が回転することが抑制されるため、ドラムギア72に対して、第2アイドルギア76を介して噛み合っている第2リールギア74の回転も抑制される。よって、搬送路620を閉じる時に、第2テープ642が弛んでしまうことも抑制される。
図9は、図8とは異なるギア連結機構7の構成例を示している。図9に示すギア連結機構7は、搬送路620を開放するときに、第1部材としての第1アイドルギア75をドラム63の回転中心を中心として公転させることにより、ドラムギア72及びドラム63を、テープの巻き取り方向に回転させる。
図9のギア連結機構7は、第1フレーム部611を、搬送路620を開放する方向に回動する時に、第1リールギア73及び第1リール621が回転することを抑制する第2抑制部材78を有している。第2抑制部材78は、P91に示す搬送路620を閉じた状態から、P92に示す搬送路620を開放する状態へと移行するときに、第1リールギア73及び第1リール621が回転することを抑制する。第2抑制部材78は、第1リールユニット651に取り付けてもよい。
第2抑制部材78は、例えばワンウェイクラッチによって構成することによって、第1リールギア73及び第1リール621が回転しないようにしてもよい。第2抑制部材78は、搬送路620の開放時に、第1リールギア73及び第1リール621に対して回転方向の抵抗を与える機能を有していてもよい。第1アイドルギア75が自転する角度に比べて、第1リールギア73及び第1リール621が回転する角度が小さくなるよう、第2抑制部材78は、第1リールギア73及び第1リール621に回転方向の抵抗を与えてもよい。第1アイドルギア75が自転する角度と、第1リールギア73が回転する角度との差は、ドラムギア72が回転することにより吸収される。
第2抑制部材78が第1リールギア73及び第1リール621の回転を抑制することにより、第1リールギア73に噛み合った第1アイドルギア75の自転も抑制される。自転が抑制された第1アイドルギア75が、ドラム63の回転中心を中心として公転することにより、第1アイドルギア75に噛み合ったドラムギア72及びドラム63は、図9の下図に実線の矢印で示すように、時計回り方向に回転する。ドラムギア72は、第1部材である第1アイドルギア75が第2フレーム部612に対して相対的に移動することを受けて、ドラム63を、第1テープ641及び第2テープ642を巻き取る方向に回転させる第2部材の一例である。図9の構成においても、ギア連結機構7は、搬送路620を開放するときに、差動歯車装置となる。尚、第2抑制部材78は、第1アイドルギア75の軸に取り付けてもよい。
図9のギア連結機構7において、搬送路620を開放するときに、第2リールギア74と第2リール622との連結は解除される。ドラムギア72に噛み合った第2アイドルギア76、及び、第2アイドルギア76に噛み合った第2リールギア74はそれぞれ、ドラムギア72が時計回り方向に回転するときに回転するが、第2リール622は回転しない。第2アイドルギア76及び第2リールギア74は空回りする。
ドラムギア72及びドラム63が、図9の下図における時計回り方向に回転することにより、ドラム63は第1テープ641及び第2テープ642を巻き取る。第1リール621は、前述の通り回転が抑制されている。第2リール622は、第2リールギア74との連結が解除されている。第1テープ641及び第2テープ642は共に、図9に破線の矢印で示すように引っ張られるから、第1テープ641及び第2テープ642が弛んでしまうことが抑制される。
開放していた搬送路620を閉じるときには、前述したように、第1リールギア73と第1リール621との連結を解除してもよい。これにより、第1フレーム部611を、図9における反時計回り方向に、第2フレーム部612に対して相対的に回動させたときに、ドラムギア72、第2アイドルギア76、及び第2リールギア74が回転しない一方、第1アイドルギア75が、自転しながらドラム63の回転中心を中心として公転する。第1アイドルギア75が自転することにより第1リールギア73も回転するが、第1リールギア73と第1リール621との連結が解除されているため、第1リール621は回転しない。搬送路620を閉じる時に、第1テープ641及び第2テープ642が弛んでしまうことを抑制することができる。
(リールユニットの着脱構造)
テープ式の紙幣収納装置において、例えば、テープが切断した等のテープ障害が発生すると、テープ及びリールは交換をしなければならない。従来の紙幣収納装置は、テープ及びリールの交換を行うために、ユーザが紙幣収納装置を紙幣処理装置から取り外し、紙幣収納装置を修理工場へ送らなければならなかった。
これに対し、紙幣収納装置6は、第1リールユニット651及び第2リールユニット652がそれぞれ、フレーム61に対して着脱可能に取り付けられている。ここで第1リールユニット651は、二つの第1リール621や第1リールギア73の他にも、第1リール621の回転トルクを制限するトルクリミッタ653を有している。同様に、第2リールユニット652は、二つの第2リール622や第2リールギア74の他にも、第2リール622の回転トルクを制限するトルクリミッタ654を有している。
第1リールユニット651は、第1フレーム部611に対して着脱可能である。具体的には、図4に示すように、第1リールユニット651の先端部6512(図4における上端部)が、第1フレーム部611の軸受部613に挿入されると共に、シャフト6511の基端部6514が、第1フレーム部611に設けた開口部(図示省略)に挿入される。第1リールユニット651における二箇所が、第1フレーム部611に対し回転可能に支持される。尚、第1リールギア73は、基端部6514よりも、第1リールユニット651の外端部に取り付けられている。
第1リールユニット651のシャフト6511には、Rピン(スナップピン)6513が取り付けられる。Rピン6513は、第1リールユニット651が、第1フレーム部611に対して軸方向、つまり、図4における紙面の下方向に移動することを規制する。Rピン6513が取り付けられることによって、第1リールユニット651は、第1フレーム部611に支持された状態を維持する。ユーザは、Rピン6513を第1リールユニット651から取り外すことによって、第1リールユニット651を第1フレーム部611に対して軸方向に移動させることができる。第1リールユニット651を軸方向に移動させると、第1リールユニット651の先端部6512が第1フレーム部611の軸受部613から外れる。この状態で、ユーザは、シャフト6511の基端部6514を第1フレーム部611の開口部から外すことにより、第1リールユニット651を第1フレーム部611から取り外すことができる(図4の矢印参照)。第1リールユニット651は、ドラム63から離れる方向に、第1フレーム部611から外れる(図4の二点鎖線、又は、図10の二点鎖線参照)。尚、Rピンに代えてEリングを用いて、第1リールユニット651のシャフト6511を第1フレーム部611に取り付けるよう構成してもよい。
第2リールユニット652は、第2フレーム部612に対して着脱可能である。具体的には、図4に示すように、第2リールユニット652の先端部6522が、第2フレーム部612の軸受部614に挿入されると共に、シャフト6521の基端部6524が、第2フレーム部612に設けた開口部(図示省略)に挿入される。第2リールユニット652における二箇所が、第2フレーム部612に回転可能に支持される。尚、第2リールギア74は、基端部6524よりも、第2リールユニット652の外端部に取り付けられている。
第2リールユニット652のシャフト6521には、Rピン(スナップピン)6523が取り付けられる。Rピン6523は、第2リールユニット652が、第2フレーム部612に対して軸方向、つまり、図4における紙面の下方向に移動することを規制する。Rピン6523が取り付けられることによって、第2リールユニット652は、第2フレーム部612に支持された状態を維持する。ユーザは、Rピン6523を第2リールユニット652から取り外すことによって、第2リールユニット652を第2フレーム部612に対して軸方向に移動させることができる。第2リールユニット652を軸方向に移動させると、第2リールユニット652の先端部6522が第2フレーム部612の軸受部614から外れる。この状態で、ユーザは、シャフト6521の基端部6524を第2フレーム部612の開口部から外すことにより、第2リールユニット652を第2フレーム部612から取り外すことができる(図4の矢印参照)。第2リールユニット652は、ドラム63から離れる方向に、第2フレーム部612から外れる(図4の二点鎖線、又は、図3の二点鎖線参照)。尚、Rピンに代えてEリングを用いて、第2リールユニット652のシャフト6521を第2フレーム部612に取り付けるよう構成してもよい。
この構成により、紙幣処理装置1のメンテナンスを行う保守員は、紙幣収納装置6の第1リールユニット651及び第2リールユニット652を、紙幣収納装置6から手で容易に取り外すことができる。テープ障害が発生したときに、紙幣処理装置1が設置されている現場において、紙幣収納装置のテープ及びリールを交換することが可能になる。紙幣収納装置6は、保守コストが低減する。
具体的に保守員は、紙幣収納装置6を紙幣処理装置1の内部から外に引き出した状態で、図3に示すように、第2リールユニット652を、紙幣収納装置6から装置の前方、つまり、図3における紙面左方向に取り外すことができる。また、保守員は、図10に示すように、紙幣収納装置6を、第2の枢支軸623を中心として上向きに回動させると、搬送部材40との干渉を避けて、第1リールユニット651を、紙幣収納装置6から装置の後方、つまり、図10における紙面右方向に取り外すことができる。
保守員はまた、第2リールユニット652を紙幣収納装置6に取り付けるときには、前記とは逆に、紙幣収納装置6の前方から、第2リールユニット652を紙幣収納装置6に取り付けることができる。また、保守員は、第1リールユニット651を紙幣収納装置6に取り付けるときには、前記とは逆に、紙幣収納装置6の後方から、第1リールユニット651を紙幣収納装置6に取り付けることができる。保守員は、紙幣収納装置6を紙幣処理装置1から取り外さなくても、第1リールユニット651及び第2リールユニット652を交換することができる。
第1リールユニット651及び第2リールユニット652を紙幣収納装置6から取り外すときには、第1テープ641の先端及び第2テープ642の先端をドラム63の外周面から取り外さなければならない。また、第1リールユニット651を紙幣収納装置6に取り付けるときには、第1テープ641を第1テーププーリ811及び第2テーププーリ812に巻き掛けると共に、第1テープ641の先端を、ドラム63の外周面に取り付けなければならない。同様に、第2リールユニット652を紙幣収納装置6に取り付けるときには、第2テープ642を第3テーププーリ821、第4テーププーリ822及び第5テーププーリ823に巻き掛けると共に、第2テープ642の先端を、ドラム63の外周面に取り付けなければならない。
前述したように、紙幣収納装置6のフレーム61は、第1の枢支軸としてのシャフト630及び第2の枢支軸623を有している。シャフト630及び第2の枢支軸623のそれぞれにおいて、第1フレーム部611及び第2フレーム部612を回動させると、図7に示すように、紙幣収納装置6の内部を大きく開放することができる。そのため、保守員は、紙幣収納装置6を紙幣処理装置1に取り付けた状態のままで、例えば図7及び図10に白抜きの矢印で示すように、様々な方向から、紙幣収納装置6の内部に手を入れて、テープの取り回しに係る作業をすることができる。つまり、保守員は、ドラム63の外周面に固定している第1テープ641及び第2テープ642の先端をドラム63から取り外したり、ドラム63の外周面に第1テープ641及び第2テープ642の先端を固定したりすることを容易に行うことができる。また、第1テープ641を第1テーププーリ811及び第2テーププーリ812に巻き掛けたり、第2テープ642を第3テーププーリ821、第4テーププーリ822及び第5テーププーリ823に巻き掛けたりすることを、保守員は容易に行うことができる。紙幣収納装置6は、メンテナンス性が高い。
尚、第1テープ641の端に、第1テープ641よりも剛性の高い部材を取り付けてもよい。同様に、第2テープ642の端に、第2テープ642よりも剛性の高い部材を取り付けてもよい。この構成により、保守員は、容易に、第1テープ641の端をドラム63又は第1リール621から取り外したり、ドラム63や第1リール621に固定したりすることができる。同様に、保守員は、第2テープ642の端をドラム63又は第2リール622から取り外したり、ドラム63や第2リール622に固定したりすることができる。
また、前記の構成は、二つの第1リール621を有する第1リールユニット651、及び、二つの第2リール622を有する第2リールユニット652をフレーム61に対して着脱する構成である。各第1リール621や、各第2リール622を、紙幣収納装置6のフレーム61に対して着脱する構成ではないため、保守員は、テープ及びリールの交換を、容易に行うことが可能になる。
(紙幣収納装置の第2の構成例)
図11~図14は、紙幣収納装置9の第2の構成例を示している。紙幣収納装置9の側面(図11の例では右の面)には、紙幣100が出入する出入口910が設けられている。紙幣収納装置9は、収納機構900と、収納機構900を収容するフレーム91と、を備えている。収納機構900は、前述した収納機構600と同様に、テープとテープとの間に挟んだ紙幣100を、テープと共にドラム93に巻き取るよう構成されている。収納機構900は、二つの第1リール921と、二つの第2リール922と、ドラム93と、を備えている。フレーム91は、第1フレーム部911と、第2フレーム部912とを有している。尚、図11においては、リールが一つのみ図示されている。これは、後述するように、合計四つのリールが、Y方向に位置がずれていると共に、X方向及びZ方向に同じ位置に位置しているためである。
第1フレーム部911は、第2フレーム部912に対して、枢支軸923の位置において、枢支されている。枢支軸923は、出入口910とは逆の側部に位置している。図13に示すように、第1フレーム部911が枢支軸923を中心に回動すると、出入口910からドラム93に至る搬送路920の少なくとも一部が開放される。図13の構成例では、紙幣収納装置9は、搬送路920の全てを開放するよう構成されている。
第1リール921から引き出された第1テープ941と、第2リール922から引き出された第2テープ942とは、重なった状態で、ドラム93の外周面に巻き取られる。紙幣100は、第1テープ941と第2テープ942との間に挟まれる。
図12に示すように、紙幣収納装置9において、二つの第1リール921と、二つの第2リール922とは、同軸に配置されている。つまり、第1リール921と第2リール922とは、Y方向に位置がずれていると共に、X方向及びZ方向に同じ位置に位置している。第1リール921及び第2リール922を支持するシャフト924は、第2フレーム部912に支持されている。シャフト924は、二つの第1リール921及び二つの第2リール922が互いに独立して回転するよう、これら四つのリールを支持している。四つのリールを同軸に配置することによって、紙幣収納装置9は、リールを配置するスペースを節約することができる。紙幣収納装置9は、紙幣の収納量を減らさずに、小型化することができる。
二つの第1リール921は、Y方向に間隔を空けて配設されている。二つの第2リール922も、Y方向に間隔を空けて配設されている。図12における紙面左側に配設された一つの第1リール921と一つの第2リール922とからなる一つの組において、第2リール922は、紙幣収納装置9におけるY方向の中央側に配置され、第1リール921は、紙幣収納装置9におけるY方向の外側に配置されている。同様に、図12における紙面右側に配設された一つの第1リール921と一つの第2リール922とからなる一つの組において、第2リール922は、紙幣収納装置9におけるY方向の中央側に配置され、第1リール921は、紙幣収納装置9におけるY方向の外側に配置されている。
第1リール921から引き出された第1テープ941は、第1テープ経路810に沿って走行することにより、ドラム93に到達する。第2リール922から引き出された第2テープ942は、第2テープ経路820に沿って走行することにより、ドラム93に到達する。第1テープ経路810は、第1テーププーリ8110、第2テーププーリ8120、第3テーププーリ8130、第4テーププーリ8140、第5テーププーリ8150、第6テーププーリ8160、及び第7テーププーリ対8170によって構成されている。尚、図示は省略するが、第1テーププーリ8110、第2テーププーリ8120、第3テーププーリ8130、第4テーププーリ8140、第5テーププーリ8150、第6テーププーリ8160、及び第7テーププーリ対8170は、二本の第1テープ941に対応して、二つずつ存在している。第2テープ経路820は、第8テーププーリ8210、第9テーププーリ8220、第10テーププーリ8230、及び前記の第7テーププーリ対8170によって構成されている。第8テーププーリ8210、第9テーププーリ8220、及び第10テーププーリ8230も、二本の第2テープ942に対応して、二つずつ存在している。
第2リール922から引き出された第2テープ942は、第8テーププーリ8210、第9テーププーリ8220、第10テーププーリ8230、及び第7テーププーリ対8170の順に巻き掛けられてドラム93に至る。第8テーププーリ8210、第9テーププーリ8220、第10テーププーリ8230、及び第7テーププーリ対8170の一つのプーリは、第2フレーム部912に取り付けられている。第2フレーム部912は、第2テープ経路820の一部を形成する。
第1リール921から引き出された第1テープ941は、第1テーププーリ8110、第2テーププーリ8120、第3テーププーリ8130、第4テーププーリ8140、第5テーププーリ8150、第6テーププーリ8160、及び第7テーププーリ対8170の順に巻き掛けられてドラム93に至る。第1テープ経路810は、ドラム93を迂回するように形成されている。第1テーププーリ8110は、第2フレーム部912に取り付けられている。第2テーププーリ8120、第3テーププーリ8130、第4テーププーリ8140、第5テーププーリ8150、第6テーププーリ8160、及び第7テーププーリ対8170の一つのプーリは、第1フレーム部911に取り付けられている。第1フレーム部911は、第1テープ経路810の一部を形成する。
第7テーププーリ対8170の一つのプーリは、より詳細には、可動ガイド932に取り付けられている。可動ガイド932は、第1フレーム部911に支持されている。可動ガイド932の基端部、つまり、図11における右端部は、第1フレーム部911に対して回動可能に取り付けられている。可動ガイド932は、図示を省略する付勢部材(例えば、ばね)によって、図11における時計回り方向に付勢されている。可動ガイド932は、ドラム93の径の大きさに応じて、時計回り方向及び反時計回り方向に回動する。
各第2テーププーリ8120は、第1テープ941の走行方向を、X方向とZ方向との間で変える。各第2テーププーリ8120はまた、図12に示すように、回転軸が傾いている。より詳細に、各第2テーププーリ8120は、Y方向について、第1リール921の配設位置と同じ位置、又は、ほぼ同じ位置に配設されている。各第2テーププーリ8120の回転軸は、Y方向の外側が低くかつ、Y方向の中央側が高くなるように、傾いている。図12の紙面左に配設された第2テーププーリ8120の回転軸は、右上がりである。図12の紙面右に配設された第2テーププーリ8120の回転軸は、右下がりである。
各第3テーププーリ8130は、第1テープ941の走行方向を、X方向とZ方向との間で変える。各第3テーププーリ8130も、図12に示すように、回転軸が傾いている。各第3テーププーリ8130は、Y方向について、第2リール922の配設位置と同じ位置、又は、ほぼ同じ位置に配設されている。各第3テーププーリ8130の回転軸は、各第2テーププーリ812の回転軸と平行である。つまり、各第3テーププーリ8130の回転軸は、Y方向の外側が低くかつ、Y方向の中央側が高くなるように、傾いている。図12の紙面左に配設された第3テーププーリ8130の回転軸は、右上がりである。図12の紙面右に配設された第3テーププーリ8130の回転軸は、右下がりである。
第1リール921から引き出された第1テープ941は、第2テーププーリ8120及び第3テーププーリ8130に巻き掛けられることにより、Y方向の位置が、第1リール921の位置から、第2リール922の位置へと変わる。第1テープ941はその後、前述したように、第4テーププーリ8140、第5テーププーリ8150、及び第6テーププーリ8160に巻き掛けられて、第7テーププーリ対8170に至る。このときに、第1テープ941は、Y方向について、第2テープ942と同じ位置に位置している。第7テーププーリ対8170は、第1テープ941と第2テープ942とを重ねて、これら第1テープ941及び第2テープ942を、ドラム93の外周面に向かって案内する。紙幣100は、第7テーププーリ対8170の位置において、第1テープ941と第2テープ942とに挟まれる。
ドラム93から引き出された第1テープ941は、前記とは逆に、第3テーププーリ8130及び第2テーププーリ8120に巻き掛けられることにより、Y方向の位置が、第2リール922の位置から、第1リール921の位置へと変わる。その後、第1テープ941は、第1テーププーリ8110を経て第1リール921へ至る。
紙幣収納装置9も、搬送路920を開放するときにテープを巻き取るよう構成されている。紙幣収納装置9は、駆動機構700を備えている。駆動機構700は、図11~図13に示すように、ドラムギア720と、アイドルギア750と、フレームギア790とを有している。ドラムギア720は、ドラム93に取り付けられている。フレームギア790は、第1フレーム部911に取り付けられている。アイドルギア750は、ドラムギア720に噛み合っている。駆動機構700は、第1フレーム部911から第2フレーム部912に渡って配置されている。フレームギア790は、後述するように、第1フレーム部911に支持されかつ、第1フレーム部911と一緒に、第2フレーム部912に対して相対的に移動する第1部材の一例である。ドラムギア720及びアイドルギア750は、第1部材であるフレームギア790が第2フレーム部912に対して相対的に移動することを受けて、ドラム63を、テープを巻き取る方向に回転させる第2部材の一例である。
ドラムギア720の回転中心は、ドラム93の回転中心と一致している。ドラムギア720とドラム93との間には、図示を省略するワンウェイクラッチが介設している。ドラムギア720が、図13における時計回り方向に回転すると、ワンウェイクラッチは回転力をドラム93に伝えることによって、ドラム93を時計回り方向に回転させる。ドラムギア720が、図13における反時計回り方向に回転すると、ワンウェイクラッチは回転力をドラム93に伝えないことによって、ドラム93を回転させない。ドラムギア720は空回りする。
ドラムギア720とアイドルギア750とは噛み合っている。アイドルギア750が回転すると、ドラムギア720が回転する。フレームギア790は、第1フレーム部911と第2フレーム部912とが搬送路920を形成している状態、つまり、図11に示す紙幣収納装置9の使用状態では、アイドルギア750と噛み合わない。第1フレーム部911が枢支軸923を中心に回動した際に、枢支軸923を中心に回動することによって、図13に示すように、フレームギア790は、アイドルギア750と噛み合う。
フレームギア790は、枢支軸923を中心としたギアの一部分である。第1フレーム部911が、図13に一点鎖線の矢印で示すように、時計回り方向に、第2フレーム部912に対して相対的に回動をすると、フレームギア790は、枢支軸923を中心として回動し、アイドルギア750に噛み合う。フレームギア790とアイドルギア750とが噛み合うと、図13に矢印で示すように、アイドルギア750が反時計回り方向に回転する。これにより、アイドルギア750に噛み合うドラムギア720が、図13において時計回り方向に回転をする。ドラム93は、第1テープ941及び第2テープ942を巻き取る方向に回転する。
ここで、図示を省略する抑制部材が第1リール921及び第2リール922の回転を抑制する。このことにより、図13に破線の矢印で示すように、第1テープ941及び第2テープ942が引っ張られ、第1テープ941及び第2テープ942が弛んでしまうことが抑制される。
開放していた搬送路920を閉じるために第1フレーム部911を、図13における反時計回り方向に、第2フレーム部912に対して相対的に回動させると、フレームギア790は、枢支軸923を中心として、反時計回り方向に回動する。フレームギア790に噛み合ったアイドルギア750は時計回り方向に回転し、ドラムギア720は、反時計回り方向に回転する。この場合、前述したワンウェイクラッチが、ドラムギア720を空回りさせるから、ドラム63は回転をしない。第1フレーム部911は、第1テープ経路810の一部と一緒に回動するため、第1テープ経路810の長さは変化しない、又は、ほぼ変化しない。よって、搬送路920を閉じる時に、第1テープ941が弛んでしまうことが抑制される。また、搬送路920が閉じるときに、ドラム93が回転することが抑制されるため、第2テープ942が弛んでしまうことも抑制される。
フレームギア790は、紙幣収納装置9の使用状態においては、アイドルギア750と噛み合っていないため、ドラム93の回転に影響を与えない。駆動機構700は、紙幣収納装置9の使用時に、ドラム93を回転させるモータの負荷を上げてしまうことを避けることができる。
(搬送路の開放時の可動ガイドの動き)
前述したように、可動ガイド932は、付勢部材によって、図11における時計回り方向に付勢されている。可動ガイド932は、ドラム93に巻かれた紙幣100、第1テープ941及び第2テープ942を押さえる。
図13に示すように、可動ガイド932は、第1フレーム部911を回動して搬送路920を開放した状態においても、付勢部材によって、時計回り方向に付勢されているようにしてもよい。こうすることで、可動ガイド932は、搬送路920を開放した状態においても、紙幣100、第1テープ941及び第2テープ942を押さえることができる。紙幣収納装置9は、紙幣100の収納状態を維持することができる。
可動ガイド932はまた、付勢部材の付勢を、ユーザが手動によって解除することができるよう構成してもよい。搬送路920を開放する前に、ユーザが可動ガイド932の付勢を解除すれば、例えば図14に例示するように、搬送路920を開放したときに、可動ガイド932は、ドラム93の外周面から離れる。ユーザが詰まった紙幣を取り除く際に可動ガイド932とドラム93との間に紙幣の一部が挟まってしまう、といった不具合の発生を抑制することができる。
尚、可動ガイド932の付勢解除は、手動によって解除することに限らず、例えば、搬送路920を開放するように第1フレーム部911を回動させることに連動して、付勢が解除され、搬送路920を閉じるように第1フレーム部911を回動させることに連動して、解除されていた付勢が復帰するよう、紙幣収納装置9を構成してもよい。
また、可動ガイド932の付勢を解除するタイミングは、任意のタイミングにすることができる。例えば第1フレーム部911を回動して搬送路920を開放した際には、可動ガイド932は、図13に示すように、付勢部材によって、時計回り方向に付勢されているようにしてもよい。その後、ユーザが、必要に応じて、付勢部材の付勢を、手動によって解除すれば、図14に示すように、可動ガイド932をドラム93の外周面から離すことができる。尚、ユーザは、搬送路920を閉じる前、又は、搬送路920を閉じた後の適宜のタイミングで、解除していた付勢を復帰させる操作を行う。また、前述したように、搬送路920を閉じるように第1フレーム部911を回動させることに連動して、解除されていた付勢が復帰するよう、紙幣収納装置9を構成してもよい。
図15は、図11とは異なる駆動機構701の構成例を示している。図15に示す駆動機構701は、搬送路920を開放するときに、第1リール921及び第2リール922を回転させることにより、第1テープ941及び第2テープ942の弛みを抑制する。
駆動機構701は、前述したフレームギア790と、フレームギア790に噛み合う第1ギア751と、リールのシャフト924に取り付けられたリールギア730と、リールギア730に噛み合う第2ギア752とを有している。図15の構成例において、第1ギア751と第2ギア752とは、ベルト753によってつながっている。ベルト753は、第1ギア751と第2ギア752との間で回転力を伝達する。駆動機構701は、第1フレーム部911から第2フレーム部912に渡って配置されている。フレームギア790は、後述するように、第1フレーム部911に支持されかつ、第1フレーム部911と一緒に、第2フレーム部912に対して相対的に移動する第1部材の一例である。第1ギア751、第2ギア752、ベルト753、及びリールギア730は、第1部材であるフレームギア790が第2フレーム部912に対して相対的に移動することを受けて、第1リール921及び第2リール922を、テープを巻き取る方向に回転させる第2部材の一例である。
フレームギア790は、図15の上図に示す紙幣収納装置9の使用状態P151では、第1ギア751と噛み合わない。図15の下図に示すように、第1フレーム部911が枢支軸923を中心に回動した際に(P152)、枢支軸923を中心に回動することによって、フレームギア790は、第1ギア751と噛み合う。フレームギア790と第1ギア751とが噛み合うと、図15の下図に矢印で示すように、第1ギア751が反時計回り方向に回転する。これにより、ベルト753を介して、第2ギア752も反時計回り方向に回転する。第2ギア752に噛み合うリールギア730は、図15において時計回り方向に回転をする。第1リール921及び第2リール922は、第1テープ941及び第2テープ942を巻き取る方向に回転する。
図示を省略する抑制部材が、ドラム93の回転を抑制する。このことにより、図15の下図に破線の矢印で示すように、第1テープ941及び第2テープ942が引っ張られ、第1テープ941及び第2テープ942が弛んでしまうことが抑制される。
開放していた搬送路920を閉じるために第1フレーム部911を、図15における反時計回り方向に、第2フレーム部912に対して相対的に回動させたときに、フレームギア790は、枢支軸923を中心として、反時計回り方向に回動する。フレームギア790に噛み合った第1ギア751は時計回り方向に回転し、第2ギア752も時計回り方向に回転する。第2ギア752に噛み合ったリールギア730は、反時計回り方向に回転するが、リールギア730とシャフト924との間にワンウェイクラッチを介設し、ワンウェイクラッチがリールギア730を空回りさせれば、第1リール921及び第2リール922は回転をしない。搬送路920を閉じる時に、第1テープ941及び第2テープ942が弛んでしまうことが抑制される。
尚、紙幣処理装置1のテープ式収納ユニット51は、図3~図6に示す紙幣収納装置6又は図11~図12に示す紙幣収納装置9と同じ構成にしてもよい。収納部5を構成するテープ式収納ユニット51は、紙葉類収納装置の一例である。
前記の紙幣収納装置は、二本の第1テープと二本の第2テープとを有しているが、ここに開示する技術が適用可能な紙幣収納装置は、テープの本数に制限がない。テープの本数は適宜の数にすることができる。また、紙幣収納装置は、第1テープと第2テープとの間に挟んだ紙幣を収納しているが、テープ式の紙幣収納装置において、紙幣を収納する構成にも制限がない。テープ式の紙幣収納装置の構成は、様々な構成を採用することができる。
ドラムは、第1フレーム部に支持されていてもよい。
前記の紙幣収納装置は、互いに相対移動をする第1フレーム部と第2フレーム部とを有しているが、紙幣収納装置は、例えば第3フレーム部をさらに有していてもよい。例えば紙幣収納装置は、ドラムを、第3フレームに支持するよう構成してもよい。
また、ここに開示する技術は、紙幣処理装置、及び、紙幣収納装置に適用されることに限らない。ここに開示する技術は、例えば小切手、商品券、及び、各種の有価証券を含む紙葉類を処理する紙葉類処理装置、及び、紙葉類収納装置に、広く適用することが可能である。