JP2023012721A - 非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形体、その製造方法、当該発泡成形体の製造に使用される発泡粒子及び樹脂粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体よりもリサイクルに有利な非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体、その製造方法、当該発泡成形体の製造に使用される発泡粒子及び樹脂粒子の提供。【解決手段】非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体であって、130~150℃の融点を有し、ゲル分率が3.0質量%以下であり、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、前記アクリル系高分子の含有量が前記エラストマー100質量部当り1.0~10質量部である、発泡成形体。【選択図】なし

Description

本発明は、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形体、その製造方法、当該発泡成形体の製造に使用される発泡粒子及び樹脂粒子等に関する。
エラストマーは反発弾性に優れており、また、機械的強度も高いため、エンジニアリングエラストマーとして位置付けられ、生活用品、電化製品部品、スポーツ用品、自動車用部品、建築土木部材等の様々な用途での使用が検討されている。このエラストマーを発泡させた成形体は、軽量且つエラストマーの本来有する高い反発弾性を有することが期待されるため、エラストマー樹脂から調製された発泡粒子を型内で加熱し、融着及び発泡させて成形されている。
エラストマーの発泡体として、オレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体が検討されている。オレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体には、低密度となりにくい(その結果、軽量性が損なわれる)、ボイドができやすい(その結果、発泡成形体の外観が損なわれる)等の短所があった。また、オレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡粒子は、粒子同士の合着性が高く、発泡成形前に合着することで発泡成形性(特に融着性)が低下する短所があった。これらの短所をカバーするため、架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用した発泡粒子が利用されている(例えば、特許文献1)。
しかし、架橋オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体はリサイクルが難しく、リサイクルのニーズの高まりを受けて、架橋オレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体の代替品が要望され、検討されている(例えば特許文献2、3)。例えば、特許文献2では、「非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを含み、かつ鉱物性油を含まない発泡粒子の融着体から構成され、0.015~0.5g/cmの密度と25%以下の圧縮永久ひずみとを有する発泡成形体。」が請求項1に記載され、具体例では融点が106℃、152℃、154℃、155℃、160℃の非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの使用が記載されている。
特開2000-344924号公報 国際公開第2016/052112号 特開2017-066361号公報
本発明は、架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡体よりもリサイクルに有利な非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体、その製造方法、当該発泡成形体の製造に使用される発泡粒子及び樹脂粒子の提供を目的とする。
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体の製造に際し、発泡成形に要するエネルギー低減の観点から、比較的融点の低い非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用すると、低密度の発泡体を得ることが難しい、発泡粒子同士の合着性が高く発泡成形性が低下する等の短所があった。
さらに、本発明者は、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体の製造に際し、融点が150℃以上の非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用すると、発泡成形に高温の蒸気を要し、高温条件で得られる発泡成形体は収縮しやすくなって、発泡体表面に皺又はボイド(隙間)が発生しやすくなり、外観に悪影響を及ぼす傾向があることに気付いた。
本発明者は、130~150℃の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを基材樹脂として使用し、さらにアクリル系高分子を混合することで、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体であっても、密度を低くでき、ボイドができにくく、発泡粒子の融着性が高いことを見出した。本発明はかかる知見に基づくものであり、代表的な本発明は以下の通りである。
項1.
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体であって、130~150℃の融点を有し、ゲル分率が3.0質量%以下であり、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、前記アクリル系高分子の含有量が前記エラストマー100質量部当り1.0~10質量部である、発泡成形体。
項2.
前記エラストマーの融点が130~150℃である、項1に記載の発泡成形体。
項3.
前記アクリル系高分子が、アクリル酸由来構造単位、アクリル酸メチル由来構造単位、アクリル酸エチル由来構造単位、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、アクリル酸イソブチル由来構造単位、メタクリル酸由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸エチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、項1又は2に記載の発泡成形体。
項4.
前記アクリル系高分子が、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、項1~3のいずれかに記載の発泡成形体。
項5.
前記エラストマーが、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する、項1~4のいずれかに記載の発泡成形体。
項6.
密度が0.05g/cm~0.3g/cmである、項1~5のいずれかに記載の発泡成形体。
項7.
130~150℃の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、前記アクリル系高分子の含有量が前記エラストマー100質量部当り1.0~10質量部である、型内発泡成形用の発泡粒子。
項8.
前記アクリル系高分子が、アクリル酸由来構造単位、アクリル酸メチル由来構造単位、アクリル酸エチル由来構造単位、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、アクリル酸イソブチル由来構造単位、メタクリル酸由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸エチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、項7に記載の発泡粒子。
項9.
前記アクリル系高分子が、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、項7又は8に記載の発泡粒子。
項10.
前記エラストマーが、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する、項7~9のいずれかに記載の発泡粒子。
項11.
130~150℃の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、前記アクリル系高分子の含有量が前記エラストマー100質量部当り1.0~10質量部である、型内発泡成形体製造用の樹脂粒子。
項12.
項7~10のいずれかに記載の発泡粒子を、型に充填、加熱及び発泡させる、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形体の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、密度が低い、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体、その製造方法、当該発泡成形体の製造に使用される発泡粒子及び樹脂粒子を提供できる。
本発明の一実施形態によれば、ボイドの発生が少なく、外観に優れた、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体、その製造方法、当該発泡成形体の製造に使用される発泡粒子及び樹脂粒子を提供できる。
本発明の一実施形態によれば、発泡粒子同士の融着性が強い、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体、その製造方法、当該発泡成形体の製造に使用される発泡粒子及び樹脂粒子を提供できる。
本発明の一実施形態によれば、低い温度で発泡成形できる、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡粒子を提供できる。
本明細書において、語句「含有する」は、語句「から本質的になる」、及び語句「からなる」を包含することを意図して用いられる。
本明細書において、材料、中間品、最終品等の物性、含有量等の数値は、その特定方法が実施例に記載されているときは、実施例に記載された特定方法により決定された数値である。
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体は、通常、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを基材樹脂とし、この基材樹脂を適宜の大きさにカットして基材樹脂粒子とし、この基材樹脂から発泡性粒子を経て発泡粒子を調製し、この発泡粒子が型内発泡成形工程に供されて、発泡粒子が発泡及び融着して融着体を構成し、発泡成形体が製造される。本発明では、基材樹脂として、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー(好ましくは130~150℃の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー)を使用し、基材樹脂にアクリル系高分子を混合した樹脂から樹脂粒子を使用する。
本明細書において、非架橋とは、エラストマーを溶解可能な、キシレンのような有機溶剤に、サンプルを溶解させたときに、不溶分のゲル分率が3.0質量%以下のものを意味する。ゲル分率は以下のように測定した値である。
サンプル(例えば、熱可塑性エラストマーの樹脂粒子、発泡成形体)の質量W1を測定する。次に沸騰キシレン80ミリリットル中にサンプルを3時間還流加熱する。次にキシレン中の残渣を80メッシュの金網を用いてろ過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいてサンプルのゲル分率を算出することができる。
ゲル分率(質量%)=100×W2/W1
(非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー)
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、好ましくは130~150℃の融点を有する。非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントを組み合わせた構造を有するものが挙げられる。このような構造は、常温でゴム弾性を示し、高温では可塑化され成形可能となるという性質を与える。
例えば、ハードセグメントがポリプロピレン系樹脂であり、ソフトセグメントがポリエチレン系樹脂である非架橋オレフィン系熱可塑性エラストマーが挙げられる。
前者のポリプロピレン系樹脂としては、ポリプロピレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリプロピレン系樹脂は、アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック等から選択される立体規則性を有していてもよい。
後者のポリエチレン系樹脂としては、ポリエチレンを主成分とする樹脂が使用できる。ポリエチレン以外の成分としてはポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン、酢酸ビニル等が挙げられる。
特に、アクリル系高分子との相溶性に優れる点から、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントとしてポリプロピレン系樹脂、ソフトセグメントとしてエチレン-酢酸ビニルコポリマーを組み合わせた構造を有するものが好ましい。
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの融点は130~150℃が好ましい。より好ましい融点は140~150℃であり、さらに好ましい融点は140~148℃である。融点がこの範囲内にある非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを、アクリル系高分子と併用すると、(1)150℃超の非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用したときよりも低い温度で発泡成形が可能となり、発泡成形体の皺及びボイドの発生が抑制され、発泡成形体の表面硬度を高くでき、(2)低密度の発泡成形体を製造できるため、有利である。融点は実施例に記載した方法で特定できる。
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーには、軟化剤が含まれていてもよい。軟化剤としては、たとえば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩、ナフテン酸またはその金属石鹸、パイン油、ロジンまたはその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。中でも石油系軟化剤と炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとなるモノマーとソフトセグメントとなるモノマーの重合を行い、重合反応容器内において直接製造される重合タイプのエラストマーであっても、バンバリーミキサー、二軸押出機等の混練機を用いてハードセグメントとなるポリプロピレン系樹脂と、ソフトセグメントとなるポリエチレン系樹脂とを物理的に分散させて製造されたブレンドタイプのエラストマーであってもよい。
なお、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーは、製造された発泡成形体のリサイクル性を向上できるという効果も奏する。また、通常のポリオレフィン系樹脂を発泡成形する場合と同様の発泡機での製造が容易である。従って、発泡成形体をリサイクルし再び発泡機へ供給して発泡成形をする場合でも、ゴム成分の発生による発泡不良を抑制できる。
樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体における非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの含有量は、例えば70~99質量%とでき、80~99質量%が好ましく、90~99質量%がより好ましい。
(アクリル系高分子)
アクリル系高分子を使用することは、融点が130~150℃の非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーを使用することと同様、本発明の重要な特徴である。アクリル系高分子を使用するによって、発泡成形体の皺及びボイドの発生を抑制でき、また、発泡成形体における融着率を高くできる。
アクリル系高分子は、樹脂成形において、加工助剤等として利用されるものであってよい。アクリル系高分子は、アクリル酸、アクリル酸アルキル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のアクリル系化合物をモノマーとして重合された高分子である。このような高分子はモノマー(つまり、アクリル系化合物)に由来する構造単位(例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル)を有するものであってよい。アクリル系高分子は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アクリル系高分子は、アクリル系化合物に由来する構造単位を、全構造単位数に対して、例えば、50%以上、55%以上、60%以上、70%以上、80%以上の割合で有してよい。
構造単位としては、アクリル酸由来構造単位、アクリル酸メチル由来構造単位、アクリル酸エチル由来構造単位、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、アクリル酸イソブチル由来構造単位、メタクリル酸由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸エチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位から選択される少なくとも一種の構造単位が好ましい。
構造単位としては、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位から選択される少なくとも一種の構造単位がより好ましい。
アクリル系高分子の質量平均分子量は、所望の効果が得られれば特に制限されない。質量平均分子量は、例えば50万~500万とでき、300万~500万がアクリル系高分子鎖による擬似架橋の効果が増す点で好ましい。アクリル系高分子の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定したポリスチレン(PS)換算質量平均分子量であり、以下のようにして決定され得る。
試料20mgをTHF(テトラヒドロフラン)6mLに溶解させ(浸漬時間:6±1.0h)、試料溶液を得る。(株)島津ジーエルシー製非水系0.45μmシリンジフィルターにて試料溶液を濾過してろ液を得る。クロマトグラフを用い、次の測定条件にてろ液を測定する。質量平均分子量は、予め作成しておいた標準ポリスチレン検量線から求める。

使用装置=東ソー(株)製「HLC-8320GPC Eco SEC」ゲル浸透クロマトグラフ(RI検出器・UV検出器内蔵)

<GPC測定条件>
サンプル側
ガードカラム=東ソー(株)製 TSK guardcolumn SuperMP(HZ)-H(4.6mmI. D. ×2cm)×1本
測定カラム=東ソー(株)製 TSKgel SuperMultiporeHZ-H(4.6mmI. D. ×15cm)×2本直列
リファレンス側
東ソー(株)製 TSKgel Super HZ1000(6.0mmI. D. ×15cm)×1本
カラム温度=40℃
移動相=THF
移動相流量
サンプル側ポンプ=0.2mL/min
リファレンス側ポンプ=0.2mL/min
検出器=RI検出器
試料濃度=0.1wt%
注入量=20μL
測定時間=26min
サンプリングピッチ=200msec

検量線用標準ポリスチレン試料は、昭和電工(株)製の製品名「STANDARD SM-105」および「STANDARD SH-75」で質量平均分子量が5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、151,000、53,500、17,000、7,660、2,900、1,320のものを用いる。上記検量線用標準ポリスチレンをA(5,620,000、1,250,000、151,000、17,000、2,900)およびB(3,120,000、442,000、53,500、7,660、1,320)にグループ分けした後、Aを(2mg、3mg、4mg、4mg、4mg)秤量後THF30mLに溶解し、Bも(3mg、4mg、4mg、4mg、4mg)秤量後THF30mLに溶解する。標準ポリスチレン検量線は、作製したAおよびB溶解液を20μL注入して測定後に得られた保持時間から較正曲線(一次式)を作成することにより得る。その検量線を用いて質量平均分子量を算出した。
樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体におけるアクリル系高分子の含有量は、例えば1.0~9.1質量%とでき、2.9~5.7質量%が好ましい。前記範囲内とすることによって、発泡成形体の皺及びボイドの発生を抑制でき、また、発泡成形体における融着率を高くできる。
また、樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体におけるアクリル系高分子の含有量は、前記エラストマー100質量部当り、例えば1.0~10質量部とでき、3.0~6.0質量部が好ましい。前記範囲内とすることによって、発泡成形体の皺及びボイドの発生を抑制でき、また、発泡成形体における融着率を高くできる。
(樹脂粒子)
樹脂粒子は、130~150℃(好ましくは140~150℃、より好ましくは140~148℃)の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有する。基材樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー以外に、他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂は、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂であってもよい。
粒子樹脂の形状は、特に限定されず、真球状、楕円球状(卵状)、円柱状、角柱状、ペレット状又はグラニュラー状等が挙げられる。
樹脂粒子の大きさは、所望の発泡性及び成形性が得られる限り特に制限されず、後述の発泡粒子の平均粒子径を考慮して選択することができるが、例えば、0.5~8.0mmの平均粒子径を有することが、発泡性及び成形性の点で好ましい。より好ましい平均粒子径は、1.0~6.0mmである。
樹脂粒子には、他の成分が含有されてもよい。この点は、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体も同様である。他の成分としては、難燃剤、着色剤、結合防止剤、帯電防止剤、展着剤、可塑剤、難燃助剤、充填剤、滑剤、気泡調整剤等を含んでいてもよい。他の成分の含有量は、樹脂粒子の質量に対して、10質量%以下であってよく、5質量%以下が好適であり、2質量%以下が特に好適である。樹脂粒子が他の成分を含有する場合、その含有量の下限値は、例えば0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.5質量%、1質量%、2質量%等とできる。これらの下限値は、前記上限値、つまり、10質量%、5質量%及び2質量%と適宜組み合わせられて、他の成分の含有量の範囲を形成できる。
難燃剤としては、ヘキサブロモシクロドデカン、トリアリルイソシアヌレート6臭素化物等が挙げられる。
着色剤としては、カーボンブラック、酸化鉄、グラファイト等が挙げられる。
結合防止剤(合着防止剤)としては、タルク、炭酸カルシウム、及び水酸化アルミニウム等が挙げられる。
帯電防止剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、及びステアリン酸モノグリセリド等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、及びシリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸塩、無機気泡核剤、化学気泡剤等が挙げられる。
(発泡性粒子)
発泡性粒子は、130~150℃(好ましくは140~150℃、より好ましくは140~148℃)の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子と、発泡剤を含有する。代表的には、発泡性粒子は、前記樹脂粒子と発泡剤を含有する。
発泡剤としては、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、イソヘキサン等の有機系ガス、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気等の無機系ガスを使用できる。これら発泡剤は、単独もしくは2種以上混合して用いることができる。有機系ガスとしては、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタンのいずれか又はこれらの組み合わせが好適である。
発泡性粒子は、例えば、樹脂粒子に発泡剤を含浸することで得ることができる。含浸は、それ自体公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉式の容器中で行い、容器中に発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、例えば、樹脂粒子が投入された密閉式の容器中に、発泡剤を圧入することにより行うことができる。
発泡剤の含有量は、発泡性粒子100質量部に対して、5~25質量部が好適である。
樹脂粒子100質量部対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)は、以下のようにして測定される。
樹脂粒子を圧力容器に入れる前の質量Xgを測定する。圧力容器内で、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、圧力容器から含浸物を取り出した後の質量Ygを測定する。下記式により、樹脂粒子100質量部に対して含浸された発泡剤の含有量(含浸量)が求められる。
発泡剤の含有量(質量部)=((Y-X)/X)×100
(発泡粒子)
発泡粒子は、130~150℃の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有する。
発泡粒子(一般には、予備発泡粒子と称されることもある。)は、発泡剤を含有する樹脂粒子を予備的に発泡させた粒子である。例えば、発泡剤を含浸した上記発泡性粒子を発泡させることにより発泡粒子が得られる。発泡粒子は、上記樹脂粒子を原料として使用することにより、発泡粒子同士の合着を抑制できるとともに、これを用いての発泡成形温度を高くする必要がなく、外観及び融着性に優れ、低密度の発泡成形体をもたらすことができる。
発泡粒子の嵩密度は、0.02g/cm~0.45g/cmが好適であり、0.03g/cm~0.4g/cmがより好適であり、0.05g/cm~0.3g/cmが更に好適である。嵩密度がこの範囲内にあると、発泡成形体の皺及びボイドを抑制する点、発泡成形体が軽量になる点で有利である。嵩密度は実施例に記載した方法で特定できる。
発泡粒子の形状は球状~略球状であることが好ましい。その平均粒子径は、1.0mm~9.0mmであることが好ましく、2.0mm~6.4mmであることがより好ましい。平均粒子径が前記範囲内にあると、金型への充填性が良い点で有利である。
発泡粒子は、発泡性粒子を、公知の方法で所望の嵩密度に発泡(予備発泡)させることで得ることができる。発泡は、好ましくは0.005MPa~0.05MPa(ゲージ圧)、より好ましくは0.006MPa~0.04MPaの加熱蒸気を使用して発泡性粒子を発泡させることにより得ることができる。
(発泡成形体)
発泡成形体は、130~150℃の融点を有し、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、例えば上記発泡粒子を発泡成形させて得られる。上記発泡粒子は、常圧に近い蒸気圧力でも適切に発泡できるため、省エネルギーで発泡成形体を製造できる。
発泡成形体の融点は130~150℃であり、140~150℃が好ましく、140~148℃がより好ましい。発泡成形体の融点は実施例に記載した方法で特定できる。発泡成形体の融点は、基材樹脂である非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの融点とほぼ一致することから、発泡成形体の融点が実施例に記載した方法で特定し難いときは、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの融点を発泡成形体の融点とみなすことができる。
発泡成形は、好ましくは0.005MPa~0.35MPa(ゲージ圧)、より好ましくは0.006MPa~0.30MPaの加熱蒸気を使用して発泡性粒子を発泡させることにより得ることができる。
発泡成形体は、0.05g/cm~0.3g/cmの密度を有することが好ましい。この範囲内であれば、エラストマー特有の柔軟性を維持できる適度な硬度となる点、皺及びボイドの発生を抑制できる点で有利である。密度は0.10g/cm~0.20g/cmでもよい。密度は実施例に記載した方法で特定できる。
発泡成形体の表面硬度は、高分子計器社製のデュロメーター(タイプC)で測った時の値が30~60であってよく、35~55が好ましく、42~49がより好ましい。表面硬度がこの範囲内であればエラストマー特有の柔軟性を維持しつつ皺及びボイドの発生を抑制できる点で有利である。表面硬度は実施例に記載した方法で特定できる。
発泡成形体の融着率は、40~100%であってよく、50~100%が好ましく、65~100%がより好ましい。融着率がこの範囲内であれば発泡成形体に十分な強度を付与できる点で有利である。融着率は実施例に記載した方法で特定できる。
発泡成形体は、発泡粒子を発泡成形機の金型内に充填し、加熱して発泡粒子を発泡させながら、発泡粒子同士を熱融着させることで得ることができる。加熱用の媒体は水蒸気が好適に使用できる。
本発明の発泡粒子は、低圧(例:ゲージ圧0.3MPa以下)の媒体(例:水蒸気)でも十分に発泡及び融着するため、発泡成形に要するコストを低減できるとともに、高温の発泡成形で生じやすい発泡成形体表面の皺及びボイドの発生を抑制できる。
発泡成形体は、例えば、シューズのソールを構成するミッドソール、インソール、アウトソール等、ラケットやバット等のスポーツ用品の打具類の芯材、パットやプロテクター等のスポーツ用品の防具類、パットやプロテクター等の医療・介護・福祉・ヘルスケア用品、自転車や車椅子等のタイヤ芯材、自動車等の輸送機器の内装材、シート芯材、衝撃吸収部材・振動吸収部材、防舷剤やフロート等の衝撃吸収材、ボールやブロック、積み木等の玩具、床下地材、壁材、鉄道車両や飛行機の座席シート芯材、ベッドのマットレス、クッション等に用いることができる。
以下、実施例等によって本発明の一実施態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
物性の測定方法
実施例等に記載の物性、評価等は次の方法により特定した。
[基材樹脂の融点]
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの融点はJIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下のようにした。
示差走査熱量計装置 DSC7000X、AS-3(日立ハイテクサイエンス社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20ml/minのもと、0℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から0℃まで降温(Cооling)、10分間保持後0℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温及び降温の速度は10℃/minとし、基準物質としてはアルミナを用いた。
本発明において、融点とは、前記装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程で見られる最も高温側の融解ピークのトップの温度を読み取った値である。
[発泡粒子の嵩密度]
先ず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させた後、メスシリンダーの底をたたいて試料の見掛け体積(V)cmを一定にし、その質量と体積を測定し、下記式に基づいて発泡粒子の嵩密度を測定した。
嵩密度(g/cm)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
[発泡粒子の平均粒子径]
発泡粒子約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き16.00mm、13.20mm、11.20mm、9.50mm、8.00mm、6.70mm、5.60mm、4.75mm、4.00mm、3.35mm、2.80mm、2.50mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mmのJIS標準篩で5分間分級した。篩網上の試料質量を測定し、その結果から得られた累積質量分布曲線を元にして累積質量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径とした。
[発泡成形体の密度]
成形直後に発泡成形体を温度40℃で12時間乾燥し、乾燥後に温度23±2℃、湿度50±5%の環境下で72時間状態調節した。状態調節した発泡成形体の質量a(g)を小数点2桁まで測定すると共に、外寸をデジマチックキャリパ(ミツトヨ社製)で1/100mmまで測定して、見掛けの体積b(cm)を求めた。発泡成形体の密度を次式により算出した。
発泡成形体密度(g/cm)=a/b
[成形体の外観]
成形体表面の発泡粒子間の隙間(ボイド)の状態を目視で観察し、以下の基準にて評価した。
〇:成形体表面に皺がなく、発泡粒子間のボイドがない又はボイドが6個以内である。
×:成形体表面に皺がある、又は、発泡粒子間に多数のボイドがある。
ここで、ボイドは2mm角以上のものをいう。
[融着率]
発泡成形体(400mm×300mm×厚み20mm)の表面に、一対の長辺の中心同士を結ぶ直線に沿ってカッターナイフで深さ約5mmの切り込み線を入れた後、この切り込み線に沿って発泡成形体を2分割した。この2分割された発泡成形体の破断面において、破断面に現れた100個の発泡粒子を含む任意の範囲を設定し、この範囲において発泡粒子内で破断している発泡粒子数(a)と発泡粒子同士の界面で破断している発泡粒子数(b)を数え、下記式により融着率F(%)を算出した。
F(%)=a/(a+b)×100
[発泡成形体の表面硬度]
高分子計器社製のデュロメーター(タイプC)を用いて、発泡成形体の表面硬度を測定した。表面硬度の測定は、発泡粒子の融着部に近い領域は避け、1つの発泡粒子表面を対象として行った。表面硬度は5点の測定値の平均値とした。
[発泡成形体の融点]
発泡成形体の融点はJIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に記載されている方法で測定した。但し、サンプリング方法及び温度条件に関しては以下のようにした。
示差走査熱量計装置 DSC7000X、AS-3(日立ハイテクサイエンス社製)を用い、アルミニウム製測定容器の底にすきまのないよう試料を約6mg充てんして、窒素ガス流量20ml/minのもと、0℃から220℃まで昇温(1st Heating)、10分間保持後220℃から0℃まで降温(Cооling)、10分間保持後0℃から220℃まで昇温(2nd Heating)した時のDSC曲線を得た。なお、全ての昇温及び降温の速度は10℃/minとし、基準物質としてはアルミナを用いた。
前記装置付属の解析ソフトを用いて、2nd Heating過程で見られる最も高温側の融解ピークのトップの温度を読み取り、融点とした。
[発泡成形体のゲル分率]
発泡成形体の質量W1を測定した。次に沸騰キシレン80ミリリットル中に発泡成形体を3時間還流加熱した。次にキシレン中の残渣を80メッシュの金網を用いてろ過し、金網上に残った残渣を130℃にて1時間に亘って乾燥させて、金網上に残った残渣の質量W2を測定し、下記式に基づいて発泡成形体のゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=100×W2/W1
実施例1
(1)樹脂粒子の製造
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂として「ESPOLEX 901」(融点145℃、住友化学社製)100質量部と、加工助剤としてアクリル系高分子(商品名「メタブレン P-1050」、三菱ケミカル社製)1質量部と、気泡調整剤として重曹クエン酸系の化学発泡剤(商品名「ファインセルマスター PO410K」、大日精化社製)1質量部とを、10kg/時間のペースで単軸押出機に供給して溶融混錬した。なお、溶融混練中の単軸押出機内の温度は、溶融混練当初は160℃とした後に200℃まで昇温させた。
溶融状態の混練物を冷却した後、単軸押出機の前端に取り付けたマルチノズル金型(直径1.0mmのノズルを9穴有する)の各ノズルから混練物を押出し、20~50℃の水中でカットして樹脂粒子を製造した。
(2)発泡性粒子の製造
内容積5Lの撹拌機付オートクレーブに、得られた樹脂粒子2.0kg(100質量部)、蒸留水1.5L、及び界面活性剤(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、商品名:「ニューレックスR」、油化産業社製)5gを投入し、密閉し、撹拌しながら発泡剤のブタン(ノルマルブタン:イソブタン=7:3(容量比))15質量部を圧入した。次に、オートクレーブを30℃で2時間加熱して、25℃まで冷却した。冷却完了後にオートクレーブを除圧し、直ちに蒸留水で界面活性剤を洗浄し、脱水することで発泡性粒子を得た。発泡性粒子の含浸ガス量は、12.6質量%であった。
(3)発泡粒子の製造
得られた発泡性粒子2.0kgを内容積50Lの撹拌機付円筒型予備発泡機に投入し、撹拌しながらゲージ圧0.01MPaの水蒸気で加熱して予備発泡させ、発泡粒子を得た。得られた発泡粒子の嵩密度及び平均粒子径を測定した。
(4)発泡成形体の製造
得られた発泡粒子をオートクレーブに投入し、ゲージ圧0.55MPaで空気を圧入した後、室温で18時間静置して、発泡粒子に空気を含浸(内圧付与)させた。空気の含浸量は、1.2質量%であった。
内圧付与された発泡粒子をオートクレーブから取り出して、直ちに、水蒸気孔を有する成形用キャビティー(400mm×300mm×厚み20mm)内に充填し、0.20MPaの水蒸気で加熱して発泡成形を行い、発泡体を得た。得られた発泡成形体の物性等を表1に示した。
実施例2
前記アクリル系高分子の使用量を5質量部に変更し、嵩密度及び成形蒸気圧を表1に示した条件とした以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の物性等を表1に示した。
実施例3
前記アクリル系高分子の使用量を10質量部に変更し、嵩密度及び成形蒸気圧を表1に示した条件とした以外は、実施例1と同様の方法で発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の物性等を表1に示した。
比較例1
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を「Vistamaxx 3980FL」(融点75℃、ExxonMobil Chemical社製)へ変更した以外は、実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造しようとしたが、発泡粒子中に気泡が全く形成されなかったため、発泡性を有する発泡粒子を得ることができなかった。
比較例2
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を「Engage 8480」(融点103℃、ダウ・ケミカル社製)へ変更し、嵩密度及び成形蒸気圧を表1に示した条件とした以外は、実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造した。なお、基材樹脂の融点が低いため、成形蒸気圧も低くしている。得られた発泡成形体の物性等を表1に示した。
比較例3
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を「INFUSE 9530」(融点123℃、ダウ・ケミカル社製)へ変更した以外は、実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造しようとしたが、発泡成形工程において、発泡粒子の2次発泡性が著しく低く、発泡粒子同士が一体化しなかったため、発泡成形体を製造できなかった。
比較例4
非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂を「プライムTPO R110E」(融点154℃、プライムポリマー社製)へ変更し、嵩密度、発泡蒸気圧及び成形蒸気圧を表1に示した条件とした以外は、実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造した。なお、基材樹脂の融点が高いため、成形蒸気圧も高くしている。得られた発泡成形体の物性等を表1に示した。
比較例5
アクリル系高分子を使用せず、嵩密度及び成形蒸気圧を表1に示した条件としたこと以外は、実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の物性等を表1に示した。なお、成形蒸気圧を0.08MPaより大きくすると、発泡成形体が収縮及び融解したため、成形蒸気圧を0.08MPaとしている。
比較例6
アクリル系高分子の使用量を0.5質量部へ変更し、嵩密度及び成形蒸気圧を表1に示した条件としたこと以外は、実施例2と同様の方法で発泡成形体を製造した。得られた発泡成形体の物性等を表1に示した。
Figure 2023012721000001
樹脂の融点が75℃、103℃及び123℃であると、アクリル系高分子を併用しても、発泡粒子が得られない(比較例1)、発泡成形体の外観不良(比較例2)、融着不良(比較例2)との結果となった。
樹脂の融点が154℃であると、アクリル系高分子を併用しても、発泡成形体の外観不良、融着率が低い、発泡成形に高い蒸気圧を要するとの結果となった(比較例4)。
樹脂の融点が145℃であっても、アクリル系高分子を併用しないと、発泡成形体の密度を低くできない、発泡成形体の外観不良、融着不良との結果となった(比較例5)。
樹脂の融点が145℃であり、アクリル系高分子を併用しても、アクリル系高分子の使用量がエラストマー樹脂100質量部当り0.5質量部であると、発泡成形体の密度を低くできない、発泡成形体の外観不良、融着不良との結果となった(比較例6)。
一方、実施例1~3では、非架橋のエラストマー樹脂100質量部に、1、5又は10質量部のアクリル系高分子を併用すると、低蒸気圧で発泡成形が可能であり、得られる発泡成形体を低密度、外観良好、高融着率、適度な表面硬度とすることができた。

Claims (12)

  1. 非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマーの発泡成形体であって、130~150℃の融点を有し、ゲル分率が3.0質量%以下であり、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、前記アクリル系高分子の含有量が前記エラストマー100質量部当り1.0~10質量部である、発泡成形体。
  2. 前記エラストマーの融点が130~150℃である、請求項1に記載の発泡成形体。
  3. 前記アクリル系高分子が、アクリル酸由来構造単位、アクリル酸メチル由来構造単位、アクリル酸エチル由来構造単位、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、アクリル酸イソブチル由来構造単位、メタクリル酸由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸エチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、請求項1又は2に記載の発泡成形体。
  4. 前記アクリル系高分子が、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、請求項1~3のいずれかに記載の発泡成形体。
  5. 前記エラストマーが、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する、請求項1~4のいずれかに記載の発泡成形体。
  6. 密度が0.05g/cm~0.3g/cmである、請求項1~5のいずれかに記載の発泡成形体。
  7. 130~150℃の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、前記アクリル系高分子の含有量が前記エラストマー100質量部当り1.0~10質量部である、型内発泡成形用の発泡粒子。
  8. 前記アクリル系高分子が、アクリル酸由来構造単位、アクリル酸メチル由来構造単位、アクリル酸エチル由来構造単位、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、アクリル酸イソブチル由来構造単位、メタクリル酸由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸エチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、請求項7に記載の発泡粒子。
  9. 前記アクリル系高分子が、アクリル酸-n-ブチル由来構造単位、メタクリル酸メチル由来構造単位、メタクリル酸-n-ブチル由来構造単位、及びメタクリル酸イソブチル由来構造単位からなる群より選択される少なくとも一種の構造単位を有する、請求項7又は8に記載の発泡粒子。
  10. 前記エラストマーが、ポリプロピレン系樹脂及びエチレン-酢酸ビニルコポリマーを含有する、請求項7~9のいずれかに記載の発泡粒子。
  11. 130~150℃の融点を有する非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー及びアクリル系高分子を含有し、前記アクリル系高分子の含有量が前記エラストマー100質量部当り1.0~10質量部である、型内発泡成形体製造用の樹脂粒子。
  12. 請求項7~10のいずれかに記載の発泡粒子を、型に充填、加熱及び発泡させる、非架橋のオレフィン系熱可塑性エラストマー発泡成形体の製造方法。
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