JP2023010548A - 欠陥監視装置、欠陥監視方法、溶接支援システム及び溶接システム - Google Patents

欠陥監視装置、欠陥監視方法、溶接支援システム及び溶接システム Download PDF

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Abstract

【課題】溶接中に欠陥の発生しそうな部位を特定して、欠陥の発生を未然に防止させる欠陥監視装置、欠陥監視方法、溶接支援システム及び溶接システムを提供する。【解決手段】欠陥監視装置170は、既設の溶着ビードの形状プロファイルを取得する形状プロファイル取得部33と、形状プロファイルに含まれる複数の既設の溶着ビードが形成する凹部形状の特徴量を抽出する特徴量抽出部35と、抽出された特徴量に応じて溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する欠陥位置特定部37と、溶接装置が新たに溶着ビードを形成すると形状プロファイル取得部33に形状プロファイルを更新させ、特徴量抽出部35による前記特徴量の抽出、及び欠陥位置特定部37による欠陥候補箇所の特定を繰り返し実行させる制御部11と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、欠陥監視装置、欠陥監視方法、溶接支援システム及び溶接システムに関する。
アーク溶接において、溶接された構造物に発生した欠陥を検出して適正な溶接施工がなされているかを判定する技術が知られている。例えば特許文献1には、半自動溶接中に溶接士の挙動、溶融プール形状ならびにワイヤ突出し長さ等に関する複数の情報を取得して、溶接施工の良否の判定を行う技術が開示されている(特許文献1)。
特開2008-110388号公報
例えば、溶加材を溶融及び凝固させて形成する溶着ビードを積層し、多層状の造形物を造形する場合、溶着ビードの形状や配置によっては、造形後の造形物の内部に空洞等の欠陥が生じる。例えば、溶着ビードを枠状に積層した壁部の形成後、壁部の内側領域を溶着ビードで充填する際、溶着ビードの狙い位置が、隣り合う既設の溶着ビードによって狭くなったり、既設の溶着ビードの側面の傾斜が大きく、下地との間に微小な凹みを生じたりする。すると、溶着ビードの溶融金属が、狙い位置の充填予定領域の全体に流れ込むことができず、局所的な空洞(未溶着部位)を生じることがある。このことは、積層造形に限らず、通常の溶接においても生じ得る。
このような未溶着部位等の欠陥を確認するには、溶接後に非破壊検査により溶着ビードの全線にわたって検査すること、又は溶接した構造物を切断することで欠陥の発生部位を特定できる。また、溶接工程を記録した生産ログと照合して確認する等の手法も考えられる。しかしながら、いずれの手法も手間と時間を要する煩雑な作業となり、現実的ではない。さらに、製品となる構造物を切断した場合、製品として復旧させるには非常に手間と時間がかかる。
また、発生する未溶着部位の欠陥については、構造物の品質に与える影響度合いを評価できることがさらに望ましい。これは、欠陥が発生した場合に補修を行うべきか、それとも溶接を続行してもよいかの判断が容易となり、結果的に生産性と品質のバランスを良好にできる。具体的な評価指標の例として、欠陥サイズが挙げられるが、複雑な形状をもつ構造物に対しては、超音波探傷等の非破壊検査では欠陥サイズを十分に評価することが難しい。
そこで本発明は、溶接中に欠陥の発生しそうな部位を特定して、欠陥の発生を未然に防止させる欠陥監視装置、欠陥監視方法、溶接支援システム及び溶接システムの提供を目的とする。
本発明は、下記の構成からなる。
(1) 溶接装置によって溶加材を溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードを、層状に重ねて構造物を形成する際に、前記溶接装置が前記溶着ビードを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測する欠陥監視装置であって、
既設の溶着ビードの形状プロファイルを取得する形状プロファイル取得部と、
前記形状プロファイルに含まれる複数の前記既設の溶着ビードが形成する凹部形状の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
抽出された前記特徴量に応じて前記溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する欠陥位置特定部と、
前記溶接装置が新たに前記溶着ビードを形成すると前記形状プロファイル取得部に前記形状プロファイルを更新させ、前記特徴量抽出部による前記特徴量の抽出、及び前記欠陥位置特定部による前記欠陥候補箇所の特定を繰り返し実行させる制御部と、
を備える欠陥監視装置。
(2) 溶接装置によって溶加材を溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードを、層状に重ねて構造物を形成する際に、前記溶接装置が前記溶着ビードを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測する欠陥監視方法であって、
既設の溶着ビードの形状プロファイルを取得する工程と、
前記形状プロファイルに含まれる複数の前記既設の溶着ビードが形成する凹部形状の特徴量を抽出する工程と、
抽出された前記特徴量に応じて前記溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する工程と、
前記溶接装置が新たに前記溶着ビードを形成すると前記形状プロファイルを更新し、前記特徴量の抽出と前記欠陥候補箇所の特定とを繰り返し実行する工程と、
を備える欠陥監視方法。
(3) (1)に記載の欠陥監視装置と、
検出された前記欠陥候補箇所の前記溶接欠陥を改善させる指示情報を生成する指示情報生成装置と、
を備える、溶接支援システム
(4) (3)に記載の溶接支援システムと、
前記溶着ビードを形成する前記溶接装置と、
形成した構造物の前記溶着ビードの欠陥候補箇所を加工するビード加工装置と、
を備える溶接システム。
本発明によれば、積層造形中に欠陥の発生しそうな部位を特定することで、欠陥の発生を未然に防止させることを可能にする。
図1は、溶接システムの全体構成図である。 図2は、制御部の概略的な機能ブロック図である。 図3は、欠陥の発生を監視する手順を示すフローチャートである。 図4は、溶接トーチ及び形状検出部と、溶着ビードのビード形成軌道とを示す模式図である。 図5Aは、隣り合って形成された既設溶着ビードの断面形状を模式的に示す図であって、既設溶着ビードB同士が適正に離隔して配置された場合の断面図である。 図5Bは、隣り合って形成された既設溶着ビードの断面形状を模式的に示す図であって、既設溶着ビード同士が接近して配置された場合の断面図である。 図6は、表示部に表示される欠陥候補箇所の情報の一例を示す説明図である。 図7は、欠陥候補箇所の判定結果の例をビード形成軌道に沿って示したグラフである。 図8は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面における他の特徴量の例を示す説明図である。 図9は、図8に示す既設溶着ビードの間隔を変化させた様子を示す説明図である。 図10は、図8に示す既設溶着ビードの間隔を変化させた様子を示す説明図である。 図11は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面における他の特徴量の例を示す説明図である。 図12は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、既設溶着ビードを台形近似した場合の特徴量の例を示す説明図である。 図13は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、既設溶着ビードの特徴量の例を示す説明図である。 図14は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、壁部の内側の充填部に溶着ビードを形成した場合の特徴量の例を示す説明図である。 図15は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、複数の溶着ビードが積層された場合の各溶着ビードのピッチを示す説明図である。 図16は、形状プロファイルを曲線近似した様子を示す説明図である。 図17は、既設溶着ビードが積層された造形物の形状を予測した結果を示す説明図である。 図18は、欠陥に対する影響因子を示す説明図である。 図19は、図19は、既設溶着ビードと、新設溶着ビードのビード形成予定面とを示す平面図である。 図20は、図19に示すXX―XX線に沿った断面図である。 図21は、図19に示すXXI-XXI線に沿った断面図である。 図22は、後加工の一例を説明する平面図である。 図23は、図22に示すXXIII-XXIII線に沿った断面図である。 図24は、発生した突出部を再溶融させる様子を示す平面図である。 図25は、図24のXXV-XXV線に沿った断面図である。
以下、本発明の構成例について、図面を参照して詳細に説明する。ここでは、溶着ビードを積層して積層造形物を造形する積層造形を例に説明するが、隅肉溶接、突き合わせ溶接等の一般的な溶接についても本発明の適用が可能である。
<溶接システムの構成>
図1は、溶接システムの全体構成図である。
溶接システム100は、溶接装置110と、ビード加工装置130と、溶接支援システム150とを備える。溶接支援システム150は、ここでは溶接装置110の制御部11に含まれる構成を例示するが、溶接装置110とは別体に構成されていてもよい。
(溶接装置)
まず、溶接装置110の構成を説明する。
溶接装置110は、制御部11と、それぞれ制御部11に接続される溶接ロボット13と、ロボット駆動部15と、溶加材供給部17と、溶接電源部19と、形状検出部21と、表示部23と出力部25とを備える。
溶接ロボット13は、多関節ロボットであり、その先端軸に溶接トーチ27が装着されている。ロボット駆動部15は、溶接ロボット13を駆動する指令を出力し、溶接トーチ27の位置及び姿勢をロボットアームの自由度の範囲で3次元的に任意に設定する。また、溶接トーチ27の先端には、連続供給される溶加材(溶接ワイヤ)Mが支持される。
溶接トーチ27は、不図示のシールドノズルを有し、シールドノズルからシールドガスが供給されるガスメタルアーク溶接用のトーチである。アーク溶接法としては、被覆アーク溶接や炭酸ガスアーク溶接等の消耗電極式、TIG溶接やプラズマアーク溶接等の非消耗電極式のいずれであってもよく、作製する造形物(構造物)に応じて適宜選定される。例えば、消耗電極式の場合、シールドノズルの内部にはコンタクトチップが配置され、溶融電流が給電される溶加材Mがコンタクトチップに保持される。溶接トーチ27は、溶加材Mを保持しつつ、シールドガス雰囲気で溶加材Mの先端からアークを発生する。
溶加材供給部17は、溶加材Mが巻回されたリール17aを備える。溶加材Mは、溶加材供給部17からロボットアーム等に取り付けられた繰り出し機構(不図示)に送られ、必要に応じて繰り出し機構により正逆送給されながら溶接トーチ27へ送給される。
溶加材Mとしては、あらゆる市販の溶接ワイヤを使用できる。例えば、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ(JIS Z 3312)、軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ(JIS Z 3313)等で規定される溶接ワイヤが使用可能である。さらに、求められる特性に応じてアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル基合金等の溶加材Mの使用も可能である。
溶接電源部19は、トーチ先端からアークを発生させるための溶接電流及び溶接電圧を溶接トーチ27に供給する。
形状検出部21は、溶接ロボット13の先端軸又は先端軸の近傍に設けられ、溶接トーチ27の先端付近を計測領域とする。形状検出部21は、溶接トーチ27とは別位置に設けた他の検出手段であってもよい。
本構成の形状検出部21は、溶接ロボット13の駆動によって溶接トーチ27とともに移動され、溶着ビードB及び溶着ビードBを形成する際の下地となる部分の形状を計測する。この形状検出部21としては、例えば、照射したレーザ光の反射光を高さデータとして取得するレーザセンサを使用できる。また、形状検出部21として、3次元形状計測用のカメラ等、他の検出手段を用いてもよい。
表示部23は、液晶パネルや有機ELパネル等のディスプレイであり、指やペンを接触させて各種の処理を行うUI(ユーザーインターフェース)型の入力機能付きのタッチパネルであってもよい。表示部23には、溶接システム100の各種操作に必要な情報が表示される。また、表示部23は、形状検出部21で計測したレーザ反射光の各断面における線分を集合させた3D画像の表示、後述する欠陥候補箇所の情報の表示、溶接条件の表示、等を行ってもよい。
さらに、制御部11は、出力部25と電気的に接続されていてもよい。出力部25には、表示部23に出力される情報、造形プログラム等の各種の情報が出力される。
上記構成の溶接装置110によれば、ロボット駆動部15に、作製しようとする造形物に応じた造形プログラムが制御部11から送信されてくる。造形プログラムは、多数の命令コードにより構成され、造形物の形状データ(CADデータ等)、材質、入熱量等の諸条件に応じて、適宜なアルゴリズムに基づいて作成される。
ロボット駆動部15は、受信した造形プログラムを実行して、溶接ロボット13、溶加材供給部17及び溶接電源部19等を駆動し、造形プログラムに応じて溶着ビードBを形成する。つまり、ロボット駆動部15は、溶接ロボット13を駆動して、造形プログラムに設定された溶接トーチ27の軌道(ビード形成軌道)に沿って溶接トーチ27を移動させる。これとともに、設定された溶接条件に応じて溶加材供給部17及び溶接電源部19を駆動して、溶接トーチ27の先端の溶加材Mをアークによって溶融、凝固させる。これにより、ベースプレートP上に、溶接トーチ27の軌道に沿って溶着ビードBが形成される。溶着ビードBは互いに隣接して形成されて、複数の溶着ビードBからなる溶着ビード層を形成する。この溶着ビード層の上に次層の溶着ビード層が積層される等して、所望の3次元形状の造形物WKが造形される。
(ビード加工装置)
ビード加工装置130は、先端軸に加工工具51が装着されたロボットアーム53を加工駆動部55が駆動することで、溶着ビードBを機械加工する。加工駆動部55は、制御部11からの駆動指令を受けて、ロボットアーム53を移動させ、加工工具51を所望の位置、姿勢に配置する。そして、加工工具51によって後述する溶着ビードBの一部を除去する。
(制御部)
図2は、制御部11の概略的な機能ブロック図である。
制御部11は、図1に示すロボット駆動部15、溶加材供給部17、溶接電源部19、形状検出部21及び表示部23を統括して制御する機能を有する他に、造形プログラム生成部31と、溶接支援システム150とを備えていてもよい。
造形プログラム生成部31は、入力された造形対象、造形条件等に応じて、造形物を造形するための溶着ビードBの形成順序を表すビード形成軌道を決定し、前述した造形プログラムを生成する。
溶接支援システム150は、溶接装置110によって溶加材Mを溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードBを、層状に重ねて造形物を造形する際に、溶接装置110が溶着ビードBを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測し、予測した溶接欠陥を改善させる指示情報を生成する。溶接支援システム150には、欠陥監視装置170と指示情報生成装置190とが含まれる。欠陥監視装置170と指示情報生成装置190の詳細については後述する。
上記した機能を有する制御部11は、図示を省略するが、CPU等のプロセッサと、ROM、RAM等のメモリと、HD(ハードディスクドライブ)、SSD(ソリッドステートドライブ)等の記憶部とを含むコンピュータデバイスにより構成される。上記した制御部11の各構成要素は、それぞれCPUの指令によって動作して、それぞれの機能を発揮する。また、制御部11は、溶接装置110と離隔して配置され、ネットワーク等の通信手段を介して遠隔地から溶接装置110に接続される構成であってもよい。造形プログラムは、制御部11で作成される以外にも、他の装置で作成され、通信又は記憶媒体を介して制御部11に入力されたものであってもよい。
(欠陥監視装置)
欠陥監視装置170は、図1に示す溶接装置110によって溶加材Mを溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードを、層状に重ねて造形物を造形する際に、溶接装置110が溶着ビードを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測する。つまり、予め定めた造形プログラムに従って溶接装置110が溶着ビードBを形成する際、溶接欠陥が発生しそうな箇所を、溶接部の形状を表す特徴量を用いて予測する。この欠陥監視装置170は、形状プロファイル取得部33と、特徴量抽出部35と、欠陥位置特定部37と、形成部位識別部39と、欠陥サイズ予測部41とを備える。上記した各部の機能を、以下に示す造形例を用いて概略的に説明する。
<欠陥監視方法>
図3は、欠陥の発生を監視する手順を示すフローチャートである。
(形状プロファイル取得工程)
まず、図1に示す溶接装置110により、駆動プログラムに設定された溶接トーチ27の移動軌道であるビード形成軌道に沿って溶接トーチ27を移動させ、溶着ビードを形成する。このビード形成とともに、形状検出部21が溶着ビード、及び溶着ビードの下地となるビード形成予定面の形状を計測する(S1)
図4は、溶接トーチ27及び形状検出部21と、溶着ビードBのビード形成軌道とを示す模式図である。
溶着ビードBは、溶接トーチ27がベースプレートP上で、予め作成されたビード形成軌道に沿って移動することで順次に形成される。また、溶接トーチ27を移動させると同時に、形状検出部21により、既設の溶着ビードB及びビード形成予定面Gの表面形状を計測する。そして、形状検出部21は、溶着ビードB及びビード形成予定面Gの表面形状(これらを纏めて形状プロファイルという)を制御部11に出力する。
形状プロファイルの計測は、溶着ビードBの形成時と同時に実施することが好ましい。例えば、溶接トーチ27を固定した状態でワークを動かしつつ溶着ビードを積層する場合は、固定位置に形状検出部21を配置してもよいし、溶接トーチ27を動かしつつ溶着ビードを積層する場合は、溶接トーチ27の周囲に形状検出部が固定されるように配置してもよい。これによれば、溶接トーチ27の移動によって溶着ビードBを形成しつつ、その移動パスで、形成した溶着ビードBの形状を効率よく計測できるため、タクトタイムの短縮が図れる。この形状プロファイルの計測は、溶着ビードBの形成時とは別のタイミングで実施してもよく、種々の条件に応じて所望のタイミングで行ってよい。以下、これから形成する予定の形成前の溶着ビードを「新設溶着ビード」、既に形成した溶着ビードを「既設溶着ビード」ともいう。
ここで示す造形物WKは、溶着ビードBにより形成された枠状の壁部Awと、壁部Awに囲まれた領域内を溶着ビードBで充填する充填部Afとを有する。この充填部Afは、壁部Awを形成した後に形成される。つまり、壁部Awを形成した後、壁部Awの内側で充填部Afとなる溶着ビードBを、点線で示すビード形成軌道F1~F3に沿って形成する。その後、ビード形成軌道F4に沿って溶着ビードBを形成する。なお、充填部Af内の溶着ビードBの形成順は任意である。
壁部Awを形成する溶着ビードは、形状精度を高めて造形することが優先され、壁部Awで囲まれた充填部Afを形成する溶着ビードは、精度よりも、早く多量に溶着ビードで埋めることが優先される。充填部Afに溶着ビードを形成する際、特に空洞等の欠陥が生じやすくなるが、このような欠陥を発生させないことが重要である。
例えば、ビード形成軌道F2,F3のビード形成時に、図2に示す形状プロファイル取得部33は、形状検出部21を駆動して既設溶着ビードBの形状プロファイルを計測し、その形状プロファイルを取得する。つまり、ビード形成軌道F4の両脇に存在する一対の既設溶着ビードBと、ビード形成予定面Gとの形状プロファイルを求める。
(特徴量抽出工程)
そして、図2に示す特徴量抽出部35は、取得された形状プロファイルから所定の特徴量を抽出する。
特徴量抽出部35は、これから形成しようとする新設溶着ビードのビード形成軌道と隣り合う既設溶着ビードを特定する。そして、特定された既設溶着ビード及びビード形成予定面の形状プロファイルの情報を用いて、特徴量を求める(S2)。
図5Aは、隣り合って形成された既設溶着ビードBの断面形状を模式的に示す図であって、既設溶着ビードB同士が適正に離隔して配置された場合の断面図である。図5Bは、隣り合って形成された既設溶着ビードBの断面形状を模式的に示す図であって、既設溶着ビードB同士が接近して配置された場合の断面図である。
図5Aに示すように、隣り合う一対の既設溶着ビードBが適正に離隔して配置された場合に、点線で示される新設溶着ビードBaがビード形成予定面G上に形成されるとする。このときのビード形成方向の直交方向(図5Aの左右方向)に関して、互いに隣り合って配置されて谷部を形成する一対の既設溶着ビードBの、谷底における既設溶着ビード同士の間隔(ビード形成領域幅)を底部間隔U、ビード頂部Pt1とビード頂部Pt2との間の間隔をビード間隔Wとする。底部間隔Uは、一対の既設溶着ビードのビード止端(ビード形成の開始端、終了端)同士の間隔であってもよい。
また、既設溶着ビードBのビード形成方向に直交する断面において、ビード頂部Pt2を有する既設溶着ビードBが、その既設溶着ビードBの下地面FLと接する位置P1での接線をL1とする。また、その接線L1と下地面FLとの交差角のうち、接線L1に接する既設溶着ビードB側の角を根元角θとする。ビード頂部Pt1を有する既設溶着ビードBについても、同様に根元角θが求められる。なお、ここでは、ビード頂部Pt1,Pt2の各既設溶着ビードBの根元角θは、互いに等しいとみなすが、それぞれの平均値、最大値等を根元角θの代表値として決定してもよい。
図5Bに示すように、既設溶着ビードB同士が接近して形成された場合、底部間隔Unは図5Aに示す場合よりも狭くなる(Un<U)。また、既設溶着ビードBの側面の根元角θnが大きくなる(θn>θ)。その場合、既設溶着ビードB同士の間には狭隘部Kが形成される。この狭隘部Kに新たに溶着ビードを形成しようとすると、新設溶着ビードの溶融金属が、既設溶着ビードBとビード形成予定面Gとの間の狭い空間に完全に流れ込まず、微小な空間が残存して空洞を生じることがある。この空洞は、欠陥(未溶着部位)となって溶接品質を低下させ、ひいては造形物の強度を低下させる。
そこで、欠陥監視装置170は、上記した新たに溶着ビードを形成する幅となる底部間隔U(Un)と、根元角θ(θn)との特徴量を監視して、欠陥になりそうな欠陥候補箇所を特定する。
特徴量として、底部間隔U(Un)と根元角θ(θn)とを併用すれば、一つの特徴量を用いる場合よりも欠陥候補の検出精度の向上が期待できる。さらに、特徴量としてビード間隔Wを併用してもよい。
図5A,図5Bは、互いに隣り合う一対の既設溶着ビードBの間に新設溶着ビードを形成する例であるが、既設溶着ビードが片側にしか存在しない場合もある。その場合は、片側の既設溶着ビードと、新設溶着ビードのビード形成軌道(予定線)との間の距離を、上記した底部間隔U又はビード間隔Wと同様に特徴量として扱ってもよい。つまり、特徴量は、既設溶着ビードBの配置状態に応じて適宜に選定できる。
この特徴量の抽出には、予め形状プロファイルと特徴量とを関係付けた形状データベースDB1を用いてもよい。形状データベースDB1は、形状検出部21により計測された形状プロファイルの情報を、ビード形成軌道の位置(座標、パス)に関連付けて登録されたものである。形状プロファイルの情報には、例えば、溶着ビードBの表面形状と、計測した位置の座標値、既設溶着ビードBのビード幅及びビード高さ、等が含まる。例えば、形状検出部21がレーザセンサである場合、レーザ光の反射プロファイルの情報を形状データベースDB1に記録すればよい。また、反射プロファイルの情報から上記した既設溶着ビードの形状に関する情報を演算により求めて記録してもよい。
形状データベースDB1を用いる場合、図2に示す特徴量抽出部35は、形状データベースDB1を参照して、計測した形状プロファイルと近似できる特定の形状プロファイルの情報を形状データベースDB1から抽出し、抽出した形状プロファイルに応じた特徴量を求める。この特徴量は、形状データベースDB1から取得した形状プロファイルの情報から求めてもよく、形状データベースDB1に予め記録された既設溶着ビードの形状に関する情報を特徴量として設定してもよい。
このようにして、特徴量抽出部35は、求めた特徴量の情報を欠陥位置特定部37に出力する。
(欠陥位置特定工程)
次に、欠陥位置特定部37は、抽出された特徴量に応じて溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する(S3)。つまり、求めた溶着ビードBの特徴量に応じて、これから形成しようとする新設溶着ビードに、欠陥の発生が予測される欠陥候補箇所を特定する。
例えば、底部間隔Uが、予め定めた閾値より大きい許容範囲外である場合、又は根元角θが予め定めた閾値より大きい許容範囲外である場合に、その位置を欠陥候補箇所に設定する。また、上記した閾値により設定される許容範囲を、底部間隔Uと根元角θとが共に超えた場合に、その位置を欠陥候補箇所としてもよい。他方、底部間隔Uが予め定めた閾値より小さい場合は溶融金属が底部に十分流れ込まなくなる可能性を想定して、その位置を欠陥候補箇所に設定してもよい。
欠陥候補箇所を決定する上記の閾値は、例えば、既存の要素試験やシミュレーションから、底部間隔U、根元角θ等の特徴量に対する欠陥発生の関係を調べることで求められる。また、閾値は、特徴量毎に個別に設定してもよく、複数の特徴量を組合せて設定してもよい。例えば、ビード形成予定面Gの溶着可能な空間の断面積について、底部間隔Uと根元角θの値を用いた所定の演算により閾値を求めてもよい。
以上の工程により抽出された欠陥候補箇所の情報は、例えば、図1に示す表示部23に表示して、作業者が確認可能にしてもよい。また、欠陥候補箇所の情報を出力部25に出力して、適宜な外部装置により読み取られることであってもよい。
図6は、表示部23に表示される欠陥候補箇所の情報の一例を示す説明図である。
抽出された欠陥候補箇所Pfは、表示部23に現在の溶着ビード形成位置Pkと共に表示されてもよい。これにより、作業者による欠陥候補箇所の把握が容易になる。また、表示部23に、溶着ビードを形成した現在のパスの次に、新たな溶着ビードを形成するパス(ビード形成軌道Fn)を表示してもよい。その場合、次のパスで欠陥が生じやすい箇所を事前に把握できる。そして、図示はしないが、溶接速度、溶加材の供給速度等の現在の溶接条件、欠陥候補箇所に対する溶接条件等、推奨作業の内容を表示してもよい。
さらに、表示部23の画面に表示された3Dモデルに対して、形成が進行中の溶着ビードBを温度毎に色分けすること、欠陥候補箇所をドットで表示すること、等により、ビード形成途中の状況を視覚的に把握し易く表示してもよい。また、欠陥候補箇所数が一定数以上になった場合に、後加工の推奨作業又は変更する溶接条件等の情報を表示してもよい。そうすることで、既設の溶着ビードの補修、次のパスの溶接条件の変更、造形停止の有無等を、作業者が視覚的に容易に判断できるようになる。
上記した欠陥候補箇所の特定は、溶着ビードを形成する全パスについて行うことでもよいが、処理の軽減のため、一部のパスのみに限定することもよい。
例えば、前述した図4に示すように、造形物WKが、溶着ビードBにより形成された枠状の壁部Awと、壁部Awに囲まれた領域内を溶着ビードBで充填する充填部Afとを有する場合、図2に示す形成部位識別部39は、既設の溶着ビードBが、壁状に連なった壁部Awか充填部Afかを識別する。この識別には、例えば計測された形状プロファイルから得られる各既設溶着ビードの幅、既設溶着ビードの高さ分布等から判断してもよく、造形物WKの造形計画で設定された各溶着ビードの溶着体積やビード幅等の情報に基づいて判断してもよい。
形成部位識別部39が、既設の溶着ビードBから充填部Afを識別して、次のパスが充填部Af上に形成されることが判断できれば、欠陥候補箇所の特定を実施する。一方、既設の溶着ビードBから壁部Awを識別して、次のパスが壁部Aw上に形成されることが判断できれば、その次のパスにおいては、欠陥候補箇所の特定を省略する。このように、特に欠陥が生じやすい充填部Afを形成するパスの場合にだけ欠陥候補箇所の特定を実施することで、工程を簡略化でき、タクトタイムを短縮できる。
なお、図4には、充填部Afの四辺が壁部Awにより囲まれた形態を示しているが、充填部Afが囲まれる形態はこれに限らない。例えば、並設される一対の壁部同士の間に充填部Afが配置された、二辺に囲まれる形態であってもよく、並設される一対の壁部同士と、その一対の壁部の端部同士を接合する他の壁部とによって囲まれる領域に充填部Afが配置された、三辺に囲まれる形態であってもよい。また、充填部Afの形状も四角形に限らず、5角形以上の多角形であってもよく、円形、楕円形であってもよく、任意である。
また、図2に示す欠陥サイズ予測部41は、抽出された欠陥候補箇所の位置情報から欠陥サイズを予測する。つまり、欠陥候補箇所がビード形成軌道に沿って連続して発生する場合に、それら欠陥候補箇所が一つの塊状の欠陥であると判断して、連続する欠陥候補箇所の領域を1つの欠陥の欠陥サイズとみなす。
図7は、欠陥候補箇所の判定結果の例をビード形成軌道に沿って示したグラフである。
欠陥サイズ予測部41は、欠陥位置特定部37がビード形成軌道に沿った位置毎に特徴量を求めた結果から、特徴量が予め定めた許容範囲を超えるか否かを判定する。図7では、特徴量が許容範囲を超えた場合は「1」、超えない場合は「0」として区別した例を示している。
欠陥サイズ予測部41は、欠陥位置特定部37からビード形成軌道に沿って連続的に出力される特徴量の判定結果から、欠陥候補箇所の大きさを予測する。つまり、特徴量が許容範囲を超えて判定結果が「1」となった領域Lc1,Lc2を抽出する。この判定結果の「1」となる領域の長さ(ビード規制軌道に沿った長さ)から、欠陥長さを予測する。欠陥サイズ予測部41は、欠陥候補箇所と、予測した欠陥長さとの情報を、表示部23に表示させる。また、各情報を出力部25に出力させてもよい。
これによれば、欠陥候補箇所の位置に加え、その欠陥長さが予測できるため、詳細を後述する欠陥の発生を防止させる具体的な処置内容を正確に設定できる。
以上説明した本溶接システム100においては、制御部11が、溶接装置110により新たに溶着ビードを形成すると、形状プロファイル取得部33に形状プロファイルを更新させ、特徴量抽出部35による特徴量の抽出と、欠陥位置特定部37による欠陥候補箇所の特定とを繰り返し実行させる。このようにして求めた欠陥候補箇所の既設溶着ビードを、ビード加工装置130により機械加工、再溶着等の後加工、又は新設溶着ビードの溶接条件を変更することにより、欠陥候補箇所での欠陥の発生を未然に防止できる。
(特徴量の他の例)
上記した特徴量として、例示した各パラメータの他にも種々のパラメータを採用できる。
図8は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面における他の特徴量の例を示す説明図である。
ベースプレート又は下層の既設溶着ビードの表面を表す下地面FL上に、互いに隣り合う一対の既設溶着ビードB1,B2が形成されている場合、前述した底部間隔U及びビード間隔Wに加え、下地面FLからビード頂部Pt1までの高さと、下地面FLからビード頂部Pt2までの高さとの平均高さHを特徴量としてもよい。平均高さHは、積層方向に関して、一対の既設溶着ビードB1,B2により形成される谷部の谷底までの谷深さに相当する。
図9、図10は、図8に示す既設溶着ビードの間隔を変化させた様子を示す説明図である。
図9に示すように、既設溶着ビードB1,B2が互いに接する位置まで接近した場合、底部間隔Uは0となり、平均高さHは、点線で示すPt1-Pt2-P1(P2)の三角形で表されるビード間の谷深さとなる。
更に図10に示すように、既設溶着ビードB1,B2同士が互いに重なる場合には、底部間隔Uは0であり、平均高さHは図8、図9に示す場合よりも浅くなる。
このように、特徴量として底部間隔U、ビード間隔W、平均高さHの組合せを含むことで、前述した根元角θを含む特徴量の組合せと略同等に、谷部の形状を特定できる。また、特徴量としては、根元角θ、ビード形成領域幅、ビード間隔W、平均高さH(谷深さ)、底部間隔U等のうち、少なくともいずれかを使用して計算される凹部形状の断面積であってもよい。特徴量として断面積を用いる場合、計測点の精度が計測場所毎にバラついていても、その影響を緩和しつつ評価できる。
図11は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面における他の特徴量の例を示す説明図である。
図11に示す一方の既設溶着ビードB1におけるビード中心Pc1からの半径距離をr1、他方の既設溶着ビードB2におけるビード中心Pc2からの半径距離をr2とする。また、任意の幅Waを設定し、既設溶着ビードB1と既設溶着ビードB2との距離が幅Waとなる表面位置Pr1,Pr2の高さ(直線L2の高さ)をHaとする。また、高さHaを任意に設定して、高さHaでの既設溶着ビードB1の表面位置をPr1、既設溶着ビードB2の表面位置をPr2とし、表面位置Pr1と表面位置Pr2との距離をWaとしてもよい。
上記の半径距離r1,r2、及び高さHaに対する表面位置Pr1,Pr2の少なくとも1つを特徴量とすることもできる。
また、既設溶着ビードB1,B2を台形に近似して特徴量を設定してもよい。
図12は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、既設溶着ビードを台形近似した場合の特徴量の例を示す説明図である。
既設溶着ビードB1を台形近似した台形Db1の下辺(下底)をTa1、上辺(上底)をTb1、高さをHb1とし、既設溶着ビードB2を台形近似した台形Db2の下辺をTa2、上辺をTb2、高さをHb2とする。また、台形Db1と台形Db2との下地面FL上における端部同士の距離を底部間隔Uとする。台形Db1と台形Db2の上辺の端部同士の距離をWbとする。これらの各パラメータを特徴量に設定してもよい。
図13は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、既設溶着ビードの特徴量の例を示す説明図である。
既設溶着ビードB1,B2の断面形状が、図11に示す半円よりもさらに円弧長が長い円である場合、下地面FLから既設溶着ビードB1と既設溶着ビードB2とが互いに最接近する表面位置Pn1、Pn2の距離をWc、この最接近する表面位置Pn1,Pn2の下地面FLからの高さ(直線L3)をHc、既設溶着ビードB1の下地面FLと接する位置P1から表面位置Pn1に対応する下地面FLに沿った位置までの間の溶接脚の深さをK1、既設溶着ビードB2の下地面FLと接する位置P2から表面位置Pn2に対応する下地面FLに沿った位置までの間の溶接脚の深さをK2とする。また、φ1,φ2は溶接脚の角度(180°から根元角を減じた角度)であり、前述したUは底部間隔である。
このように図13に示すWc,Hc,K1,K2,φ1,φ2、Uの少なくとも1つを特徴量に設定することもできる。
そして、上記した幅、高さ(谷深さ)は、互いに直交するビード積層方向(例えば鉛直方向)と下地面FLの面内方向との直交2軸の座標系で表した長さであるが、これと傾斜した座標系にて表した長さであってもよい。
図14は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、壁部Awの内側の充填部Afに溶着ビードを形成した場合の特徴量の例を示す説明図である。
枠状の壁部Awとなる一側の既設溶着ビードB1,B3と、他側の既設溶着ビードB4との間に、充填部Afとなる既設溶着ビードB2が配置された場合、既設溶着ビードB2と既設溶着ビードB3との間に狭隘部Pnpが形成される。この狭隘部Pnpを含む位置では、新たに溶着ビードを形成する際に空洞(欠陥)が生じやすくなる。
しかし、既設溶着ビードB3は既設溶着ビードB2の形成後に形成されたビードであり、狭隘部Pnpの向きは、ビード積層方向Dhから傾斜している。そこで、既設溶着ビードB2,B3との共通接線L4を求め、共通接線L4と既設溶着ビードB2との接点をPm1、共通接線L4と既設溶着ビードB3との接点をPm2とする。そして、狭隘部Pnpを通り共通接線L4に直交する傾斜方向Dnを求める。この傾斜方向Dnとビード積層方向Dhとのなす角を傾斜角ψとする。また、共通接線L4に沿った接点Pm1から接点Pm2までの距離をWdとし、傾斜方向Dnに沿った狭隘部Pnpから共通接線L4まで距離を高さHdとする。
このように図14に示すψ,Wd,Hdの少なくとも1つを特徴量に設定することもできる。
また、複数の溶着ビードを周期的に積層する場合には、各既設溶着ビードの大きさと配置ピッチが一定となることが多い。しかし、溶着ビードの形状が突発的に乱れた場合には、その乱れた溶着ビードに周囲よりも更に狭い狭隘部が形成される等、欠陥を誘引する形状が含まれる可能性がある。そこで、既設溶着ビードの配置ピッチを特徴量に設定してもよい。
図15は、既設溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、複数の溶着ビードが積層された場合の各溶着ビードのピッチを示す説明図である。
複数の既設溶着ビードBが配置される場合、それぞれの既設溶着ビードBのビード積層方向Dhに沿った配置ピッチPa、ビード並び方向Drに沿った配置ピッチPbを求め、各配置ピッチPa,Pbを特徴量に設定してもよい。また、求めた配置ピッチPa,Pbの基準値からのずれ量を特徴量に設定してもよい。
また、上記した各種の特徴量は、形状プロファイルから直接求めた値を設定する以外にも、形状プロファイルを曲線近似又は特定のモデル形状に近似した結果から求めてもよい。
図16は、形状プロファイルを曲線近似した様子を示す説明図である。
まず、計測された形状プロファイルから、溶着ビード部分以外の下地面となるベースラインBLを曲線近似により決定する。そして、決定した近似曲線ACから、前述した一対の既設溶着ビードのビード間隔W、底部間隔U、平均高さH等の特徴量を演算により求める。
ここで、平均高さHについては、近似曲線ACがベースラインBLより更に低くなった最下点Pdから、一方のビード頂部Pt1までの高さと、他方のビード頂部Pt2までの高さとの平均高さとしてもよい。
図17は、既設溶着ビードが積層された造形物の形状を予測した結果を示す説明図である。
溶着ビードを積層して得られる造形物WKの形状は、例えば、台形等の多角形状で溶着ビードの形状を模した形状モデルBMを設定し、この形状モデルBMを擬似的に積層することで、造形物WKの形状を予測できる。このように造形物WKの形状をシミュレーションにより予測する場合、そのシミュレーション結果の予測形状と、実際に計測した形状プロファイルとの差分に応じて特徴量を設定してもよい。この場合の特徴量としては、予測形状と形状プロファイルとの特定領域における断面積、例えば、狭隘部の断面積、溶着可能な領域の断面積等が挙げられる。
<欠陥候補箇所を改善する指示情報>
(指示情報生成装置)
溶接支援システム150では、上記したように計測した形状プロファイルから種々の特徴量を抽出し、得られた特徴量から欠陥候補箇所を特定する。そして、溶接支援システム150は、特定された欠陥候補箇所の情報に基づいて、ビード形成後の既設溶着ビードの後加工の指示、新たに形成する新設溶着ビードの溶接条件の変更の指示、の指示情報を生成する(S4)。
図2に示す指示情報生成装置190は、後加工条件設定部61と、溶接条件設定部63とを備える。
後加工条件設定部61は、検出された欠陥候補箇所に機械加工又は再溶融させて補修する後加工の条件を設定する。溶接条件設定部63は、検出された欠陥候補箇所に溶着ビードを形成するときの溶接条件を設定する
図18は、欠陥に対する影響因子を示す説明図である。
溶接条件設定部63は、欠陥候補箇所の情報から軌道計画で設定されている溶接条件を基準に、調整すべきプロセス条件を探索する。例えば、狭隘部Pnpが形成された場合に狭隘部Pnpの底部までビードが溶け込むように溶接時の入熱量を増加させるため、溶接電流、溶接電圧、溶加材送給速度、溶接速度又は溶接トーチ27の傾斜角α(後退角)等を設定する。また、溶接トーチ27から発生するアークに対して溶融金属が先行しないように溶接速度を増加させてもよい。さらに、狭隘部Pnpと溶接トーチ27との水平方向の距離δを設定してもよい。上記各プロセス条件の具体的な調整量については、ビードオンプレート(BOP)の要素試験等にて試行した条件に基づいて、溶着量を変更しない範囲で適宜決定すればよい。
また、後加工条件設定部61は、前層の溶着ビードの狭隘部Pnpの形状をグラインダ等による切削補修等を行って変更する。こうすることで、溶接条件による補正だけでは難しい場合であっても、確実に欠陥の発生を防止できる。
後加工条件設定部61と溶接条件設定部63とは、いずれも予め用意された欠陥防止条件データベースDB2を参照して、各条件を設定してもよい。欠陥防止条件データベースDB2には、想定される特徴量毎に、欠陥の発生を防止させる条件が要素試験又はシミュレーションにより対応付けられて保存されている。この欠陥防止条件データベースDB2を参照することで、欠陥候補箇所の特徴量に応じて、その欠陥候補箇所に欠陥を発生させない条件を特定できる。
(欠陥候補箇所の改善例)
次に、抽出された欠陥候補箇所の情報から欠陥の発生を防止させる処置例を説明する。
指示情報生成装置190は、抽出された欠陥候補箇所の情報に応じて、欠陥候補箇所における欠陥の発生を未然に防止する処置を決定する。
図19は、既設溶着ビードと、新設溶着ビードのビード形成予定面とを示す平面図である。図20は、図19に示すXX―XX線に沿った断面図、図21は、図19に示すXXI-XXI線に沿った断面図である。
ここで、図19に示すように、ビード形成予定面Gに隣接する既設溶着ビードBの一部に、溶融ダレによる突出部Bpが生じたとする。その場合、図20に示す他の部位における既設溶着ビードB同士の間の幅dと比較して、図21に示す既設溶着ビードB同士の幅dnは狭くなり、ビード間に狭隘部Kが発生する。また、突出部Bpが形成された既設溶着ビードBの根元角θnが大きくなる。これは、高温の溶融金属が必要以上に流れ出た場合、その先端は底面から冷却されて、さらにその上に溶融金属が重なって冷却されるため、突出部Bpの先端が切り立った形状になるためと考えられる。
狭隘部Kでは、新設溶着ビードを形成する際、溶融金属が狭隘部Kの隅まで流動せずに空洞(欠陥)が生じやすくなる。そこで、欠陥の発生を防止するため、後加工条件設定部61は、機械加工又は再溶融させて補修する後加工を行うための指示情報を生成する。
図22は、後加工の一例を説明する平面図であり、図23は、図22に示すXXIII-XXIII線に沿った断面図である。
図22、図23に示すように、後加工条件設定部61が生成した指示情報に基づいて、突出部Bpを、図1に示す砥石又はカッター等の加工工具51により除去する。これにより、狭隘部Kをなくし、図20に示す場合と同程度の幅dに戻すことができる。よって、突出部Bpを除去した後に溶着ビードを形成しても、狭隘部Kが存在しないため、欠陥の発生が抑制される。
図24は、発生した突出部Bpを再溶融させる様子を示す平面図である。図25は、図24のXXV-XXV線に沿った断面図である。
図24,図25に示すように、後加工条件設定部61が生成した指示情報に基づいて、突出部Bpを溶接トーチ27からのアークにより加熱して再溶融させる(TIG溶接における「ナメ付け」)。これにより、突出部Bpの溶融金属が狭隘部Kに流動して、狭隘部Kの傾斜が緩やかになり、また、表面が滑らかな溶着部Mtが形成される。溶着部Mtは、突出部Bp自体が溶融したものであって空洞等の欠陥を含まない。また、溶着部Mtの上に溶着ビードを形成した場合に、表面が滑らかであるために空洞を生じることがなく、欠陥の発生を抑制できる。
このような後加工により突出部Bpを補修することで、ビード形成予定面Gに溶着ビードBを形成しても空洞を生じることがなく、溶接不良の発生を未然に防止できる。
また、指示情報生成装置190は、突出部Bpを生じた箇所に溶着ビードを形成する際、溶接条件設定部63によって、その溶着ビードを形成する溶接条件を変更して欠陥の発生を防止させるための指示情報を生成してもよい。
その場合、制御部11は、指示情報生成装置190が出力する溶接条件の指示情報に応じて、突出部Bpに対応する位置のビード形成軌道での溶接条件を変更する。そうすることで、突出部Bpが残存した状態のまま溶着ビードを形成しても、空洞の発生を抑制できる。
溶接条件の具体的な変更内容としては、前述した溶接電流、溶接電圧、溶加材Mの供給速度、溶接速度、溶接トーチ27の傾斜角度(前進角、後退角)、前進法から後退法への変更等であり、入熱量を調整(増加)させる設定にすることが好ましい。上記のうち、例えば後退法へ変更した場合、ビード形成時の溶融金属がアークの前方に流れず、溶け込みが深くなり、突出部Bpによる影響を低減できる。また、アーク先行型の溶接であっても、溶接電流、溶接電圧、溶接速度を増加させることで同様の効果が得られる。
また、後加工、又は溶接条件の変更のいずれか一方の対処では欠陥抑制が難しい場合には、双方を共に実施してもよい。その場合、突出部Bpの対応範囲を拡大できる。
指示情報生成装置190は、上記した後加工を実施するか、又は溶接条件を変更するかの決定、及び、後加工又は溶接条件の詳細を、これから形成する溶着ビードに対応したビード形成軌道における特徴量に応じて、欠陥防止条件データベースDB2を参照して決定してもよい。また、指示情報生成装置190は、欠陥サイズ予測部41により推定された欠陥長さに応じて、後加工又は溶接条件の変更の内容を調整してもよい。
指示情報生成装置190は、特徴量に応じて決定する上記した各対処を、段階的に実施することもできる。例えば、欠陥候補箇所での特徴量が、正常な場合の特徴量(例えば、突出部Bpが存在しない場合の正常時特徴量)に近い第1レベルである場合は、溶接条件の変更により、次に形成する溶着ビードで対処する。正常時特徴量からのずれが第1レベルよりも大きい第2レベルである場合には、既設溶着ビードの再溶着で対処する。更に第2レベルより大きい第3レベルである場合には、機械加工を実施する。これによれば、発生が予想される欠陥の程度に応じて補修作業の負担を最小限に抑えられる。よって、作業効率が向上して、タクトタイムを短縮できる。
また、積層造形中に欠陥候補箇所が抽出された後の制御シーケンスとして、例えば、以下のパターン(A)~(D)、又はこれらを組み合わせた対処を実施してもよい。
(A) 溶着ビードを形成する途中で欠陥候補箇所が抽出された場合、溶着ビードの形成を一旦停止して、その欠陥候補箇所の既設溶着ビードを補修する。
(B) 溶着ビードを形成する途中で欠陥候補箇所が抽出された場合、予定されたビード形成軌道に沿ってそのままビード形成を続行し、図1に示す表示部23又は出力部25に欠陥候補箇所が抽出されたことを表す報知情報を出力する。
(C) さらに、(B)の後に作業者の指定するタイミングで溶着ビードの形成を停止し、欠陥候補箇所を補修する。補修後に表示部23又は出力部25に出力された報知信号による報知を解除する。
(D) 溶着ビードを形成する途中で欠陥候補箇所が抽出された場合、予定されたビード形成軌道に沿ってそのままビード形成を続行し、その欠陥候補箇所に新設溶着ビードを形成するときに、欠陥候補箇所の領域の範囲内でのみ溶接条件を変更する。
上記した欠陥監視方法によれば、造形中に未溶着の欠陥が発生しそうなパスを特定できるため、造形途中でこれに対処する余地が得られる。したがって、リアルタイムで欠陥の発生を防止でき、造形物の完成後に補修する等の手間が省ける。また、造形途中の対処内容をログデータに保存することで、完成後の造形物の欠陥を検査する際に、実際の欠陥部位とログデータの情報とを突き合わせて、欠陥原因等を特定できる。このように、トレーサビリティに優れた構成にできる。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせること、及び明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 溶接装置によって溶加材を溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードを、層状に重ねて構造物を形成する際に、前記溶接装置が前記溶着ビードを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測する欠陥監視装置であって、
既設の溶着ビードの形状プロファイルを取得する形状プロファイル取得部と、
前記形状プロファイルに含まれる複数の前記既設の溶着ビードが形成する凹部形状の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
抽出された前記特徴量に応じて前記溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する欠陥位置特定部と、
前記溶接装置が新たに前記溶着ビードを形成すると前記形状プロファイル取得部に前記形状プロファイルを更新させ、前記特徴量抽出部による前記特徴量の抽出、及び前記欠陥位置特定部による前記欠陥候補箇所の特定を繰り返し実行させる制御部と、
を備える欠陥監視装置。
この欠陥監視装置によれば、溶着ビードの形状プロファイルから特徴量を求め、求めた特徴量に応じて欠陥の生じ得る欠陥候補箇所を抽出することで、溶着ビードの形成の度に造形物に発生する欠陥候補箇所を特定できる。
(2) 前記特徴量は、前記溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、前記既設の溶着ビードが該溶着ビードの下地面と接した位置での接線と前記下地面との交差角のうち、前記溶着ビード側の角である根元角、及び新たに前記溶着ビードの形成を予定する領域のビード形成領域幅、の少なくともいずれかを含む、(1)に記載の欠陥監視装置。
この欠陥監視装置によれば、根元角、ビード形成を予定する幅を特徴量に設定することで、欠陥発生の確率が高い箇所を特定できる。
(3) 前記特徴量は、前記溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、互いに隣り合って配置されて谷部を形成する一対の前記既設の溶着ビードの、ビード頂部同士のビード間隔、前記ビード頂部から谷底までの谷深さ、前記谷底での前記溶着ビード同士の底部間隔、の少なくともいずれかを含む、(1)又は(2)に記載の欠陥監視装置。
この欠陥監視装置によれば、互いに隣り合う一対の既設溶着ビード間に形成される谷部の各距離を特徴量に含めることで、欠陥が発生しやすい箇所を、欠陥候補箇所として確実に特定できる。
(4) 前記特徴量は、前記特徴量のうち少なくともいずれかを使用して計算される前記凹部形状の断面積を含む、(3)に記載の欠陥監視装置。
この欠陥監視装置によれば、特徴量として断面積を用いる場合、計測点の精度が計測場所毎にバラついていても、その影響を緩和しつつ評価できる。
(5) 前記既設の溶着ビードが、壁状に連なった壁部か、前記壁部に囲まれた領域内の充填部かを識別する形成部位識別部を更に備える、(1)~(4)のいずれか1つに記載の欠陥監視装置。
この欠陥監視装置によれば、既設の溶着ビードが壁部か充填部かを識別することで、欠陥候補箇所の特定の実施、不実施を切り替えできる。よって、特に欠陥発生の確率が高い充填部を形成するパスにだけ欠陥候補箇所の特定を集中して実施でき、工程の簡略化と、タクトタイムの短縮が図れる。
(6) 前記欠陥候補箇所の位置情報、又は前記特徴量の大きさから欠陥サイズを予測する欠陥サイズ予測部をさらに備える、(1)~(5)のいずれか1つに記載の欠陥監視装置。
この欠陥監視装置によれば、各欠陥候補箇所での欠陥長さが予測できるため、欠陥が許容サイズか否かを判断できる。これにより、欠陥長さに応じて処置内容を切り替えできる。また、処置が必要となる箇所を精度良く特定でき、その箇所にのみ処置を実施することが可能になる。よって、工程を簡略化でき、タクトタイムを短縮できる。
(7) 溶接装置によって溶加材を溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードを、層状に重ねて構造物を形成する際に、前記溶接装置が前記溶着ビードを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測する欠陥監視方法であって、
既設の溶着ビードの形状プロファイルを取得する工程と、
前記形状プロファイルに含まれる複数の前記既設の溶着ビードが形成する凹部形状の特徴量を抽出する工程と、
抽出された前記特徴量に応じて前記溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する工程と、
前記溶接装置が新たに前記溶着ビードを形成すると前記形状プロファイルを更新し、前記特徴量の抽出と前記欠陥候補箇所の特定とを繰り返し実行する工程と、
を備える欠陥監視方法。
この欠陥監視方法によれば、溶着ビードの形状プロファイルから特徴量を求め、求めた特徴量に応じて欠陥の生じ得る欠陥候補箇所を抽出することで、溶着ビードの形成の度に造形物に発生する欠陥候補箇所を特定できる。
(8) 新たに前記溶着ビードを形成すると同時に、前記形状プロファイルを取得する、(7)に記載の欠陥監視方法。
この欠陥監視方法によれば、溶着ビードを形成するパスで、溶着ビードの形状を計測することで、効率よく形状プロファイルを取得できる。これにより、タクトタイムの短縮が図れる。
(9) 前記既設の溶着ビードが、壁状に連なった壁部か、前記壁部に囲まれた領域内の充填部かを区別して、前記充填部を形成するときにのみ前記特徴量を求める、(7)又は(8)に記載の欠陥監視方法。
この欠陥監視方法によれば、既設の溶着ビードが壁部か充填部かを識別することで、欠陥候補箇所の特定の実施、不実施を切り替えできる。よって、特に欠陥発生の確率が高い充填部を形成するパスにだけ欠陥候補箇所の特定を集中して実施でき、工程の簡略化と、タクトタイムの短縮が図れる。
(10) 前記欠陥候補箇所の位置情報、又は前記特徴量の大きさから欠陥サイズを予測する工程を更に備える、(7)~(9)のいずれか1つに記載の欠陥監視方法。
この欠陥監視方法によれば、各欠陥候補箇所での欠陥長さが予測できるため、欠陥が許容サイズか否かを判断できる。これにより、欠陥長さに応じて処置内容を切り替えできる。また、処置が必要となる箇所を精度良く特定でき、その箇所にのみ処置を実施することが可能になる。よって、工程を簡略化でき、タクトタイムを短縮できる。
(11) (1)~(6)のいずれか1つに記載の欠陥監視装置と、
特定された前記欠陥候補箇所での前記溶接欠陥を改善させる指示情報を生成する指示情報生成装置と、
を備える、溶接支援システム。
この溶接支援システムによれば、特定された欠陥候補箇所について、発生が予測される溶接欠陥を未然に防止することが促せる。
(12) 前記指示情報生成装置は、前記欠陥候補箇所を機械加工又は再溶融させて補修する条件を設定する後加工条件設定部を備える、(11)に記載の溶接支援システム。
この溶接支援システムによれば、欠陥候補箇所を後加工して、発生が予測される溶接欠陥を未然に防止することが促せる。
(13) 前記指示情報生成装置は、前記欠陥候補箇所に前記溶着ビードを形成する際の、溶接電流、溶接電圧、溶加材送給速度、溶接速度及びトーチ保持角度のうち、少なくともいずれかの溶接条件を設定する溶接条件設定部を備える、(11)又は(12)に記載の溶接支援システム。
この溶接支援システムによれば、各種の溶接条件を調整することで、溶接欠陥の発生を防止できる。
(14) (11)~(13)のいずれか1つに記載の溶接支援システムと、
前記溶着ビードを形成する前記溶接装置と、
形成した構造物の前記溶着ビードの欠陥候補箇所を加工するビード加工装置と、
を備える溶接システム。
この溶接システムによれば、溶接欠陥が発生しそうな箇所を特定でき、特定した欠陥候補箇所を加工することで、溶接欠陥の発生を防止できる。
11 制御部
13 溶接ロボット
15 ロボット駆動部
17 溶加材供給部
17a リール
19 溶接電源部
21 形状検出部
23 表示部
25 出力部
27 溶接トーチ
31 造形プログラム生成部
33 形状プロファイル取得部
35 特徴量抽出部
37 欠陥位置特定部
39 形成部位識別部
41 欠陥サイズ予測部
51 加工工具
53 ロボットアーム
55 加工駆動部
100 溶接システム
110 溶接装置
130 ビード加工装置
150 溶接支援システム
170 欠陥監視装置
190 指示情報生成装置
AC 近似曲線
Af 充填部
Aw 壁部
B,B1,B2,B3,B4 既設溶着ビード(溶着ビード)
Ba 新設溶着ビード
BL ベースライン
BM 形状モデル
Bp 突出部
d,dn 幅
DB1 形状データベース
DB2 欠陥防止条件データベース
Db1,Db2 台形
Dh ビード積層方向
Dn 傾斜方向
Dr ビード並び方向
F1,F2,F3,F4,Fn ビード形成軌道
FL 下地面
G ビード形成予定面
K 狭隘部
L1 接線
L2,L3 直線
L4 共通接線
Lc1,Lc2 領域
M 溶加材
Mt 溶着部
P ベースプレート
P1,P2 位置
Pa,Pb 配置ピッチ
Pc1,Pc2 ビード中心
Pd 最下点
Pf 欠陥候補箇所
Pk 溶着ビード形成位置
Pm1,Pm2 接点
Pn1,Pn2,Pr1,Pr2 表面位置
Pnp 狭隘部
Pt1,Pt2 ビード頂部
r1,r2 半径距離
U,Un 底部間隔
W ビード間隔
Wa 幅
WK 造形物(構造物)
θ,θn 根元角
φ1,φ2 溶接脚の角度
ψ 傾斜角

Claims (14)

  1. 溶接装置によって溶加材を溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードを、層状に重ねて構造物を形成する際に、前記溶接装置が前記溶着ビードを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測する欠陥監視装置であって、
    既設の溶着ビードの形状プロファイルを取得する形状プロファイル取得部と、
    前記形状プロファイルに含まれる複数の前記既設の溶着ビードが形成する凹部形状の特徴量を抽出する特徴量抽出部と、
    抽出された前記特徴量に応じて前記溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する欠陥位置特定部と、
    前記溶接装置が新たに前記溶着ビードを形成すると前記形状プロファイル取得部に前記形状プロファイルを更新させ、前記特徴量抽出部による前記特徴量の抽出、及び前記欠陥位置特定部による前記欠陥候補箇所の特定を繰り返し実行させる制御部と、
    を備える欠陥監視装置。
  2. 前記特徴量は、前記溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、前記既設の溶着ビードが該溶着ビードの下地面と接した位置での接線と前記下地面との交差角のうち、前記溶着ビード側の角である根元角、及び新たに前記溶着ビードの形成を予定する領域のビード形成領域幅、の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の欠陥監視装置。
  3. 前記特徴量は、前記溶着ビードのビード形成方向に直交する断面において、互いに隣り合って配置されて谷部を形成する一対の前記既設の溶着ビードの、ビード頂部同士のビード間隔、前記ビード頂部から谷底までの谷深さ、前記谷底での前記溶着ビード同士の底部間隔、の少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載の欠陥監視装置。
  4. 前記特徴量は、前記特徴量のうち少なくともいずれかを使用して計算される前記凹部形状の断面積を含む、請求項3に記載の欠陥監視装置。
  5. 前記既設の溶着ビードが、壁状に連なった壁部か、前記壁部に囲まれた領域内の充填部かを識別する形成部位識別部を更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の欠陥監視装置。
  6. 前記欠陥候補箇所の位置情報、又は前記特徴量の大きさから欠陥サイズを予測する欠陥サイズ予測部をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の欠陥監視装置。
  7. 溶接装置によって溶加材を溶融及び凝固させて形成する複数の溶着ビードを、層状に重ねて構造物を形成する際に、前記溶接装置が前記溶着ビードを形成した履歴情報から溶接欠陥の発生を予測する欠陥監視方法であって、
    既設の溶着ビードの形状プロファイルを取得する工程と、
    前記形状プロファイルに含まれる複数の前記既設の溶着ビードが形成する凹部形状の特徴量を抽出する工程と、
    抽出された前記特徴量に応じて前記溶接欠陥の発生が予想される欠陥候補箇所を特定する工程と、
    前記溶接装置が新たに前記溶着ビードを形成すると前記形状プロファイルを更新し、前記特徴量の抽出と前記欠陥候補箇所の特定とを繰り返し実行する工程と、
    を備える欠陥監視方法。
  8. 新たに前記溶着ビードを形成すると同時に、前記形状プロファイルを取得する、
    請求項7に記載の欠陥監視方法。
  9. 前記既設の溶着ビードが、壁状に連なった壁部か、前記壁部に囲まれた領域内の充填部かを区別して、前記充填部を形成するときにのみ前記特徴量を求める、
    請求項7又は8に記載の欠陥監視方法。
  10. 前記欠陥候補箇所の位置情報、又は前記特徴量の大きさから欠陥サイズを予測する工程を更に備える、
    請求項7~9のいずれか1項に記載の欠陥監視方法。
  11. 請求項1~6のいずれか1項に記載の欠陥監視装置と、
    特定された前記欠陥候補箇所での前記溶接欠陥を改善させる指示情報を生成する指示情報生成装置と、
    を備える、溶接支援システム。
  12. 前記指示情報生成装置は、前記欠陥候補箇所を機械加工又は再溶融させて補修する条件を設定する後加工条件設定部を備える、請求項11に記載の溶接支援システム。
  13. 前記指示情報生成装置は、前記欠陥候補箇所に前記溶着ビードを形成する際の、溶接電流、溶接電圧、溶加材送給速度、溶接速度及びトーチ保持角度のうち、少なくともいずれかの溶接条件を設定する溶接条件設定部を備える、
    請求項11又は12に記載の溶接支援システム。
  14. 請求項11~13のいずれか1項に記載の溶接支援システムと、
    前記溶着ビードを形成する前記溶接装置と、
    形成した構造物の前記溶着ビードの欠陥候補箇所を加工するビード加工装置と、
    を備える溶接システム。
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