JP2023010399A - ダンパ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ダンパ装置において、低トルク時における捩り特性を高剛性に設定した際の不具合を解消でき、しかも比較的高トルクで走行している場合に回転変動を減衰できるようにする。【解決手段】この装置は、入力回転体4と、ハブ51と、フランジ52と、内周側弾性連結部6と、外周側弾性連結部7と、を備えている。内周側弾性連結部6は、複数の内周側スプリング61,62を有し、入力トルクが第1領域の範囲において多段の捩り特性を有し、ハブ51とフランジ52とを回転方向に弾性的に連結する。外周側弾性連結部7は、内周側弾性部材6の径方向外方に配置されるとともに予圧縮された複数の外周側スプリング71を有し、入力トルクが第1領域を超えた第2領域の範囲で作動し、入力回転体4とフランジ52とを回転方向に弾性的に連結する。【選択図】図5
Description
本発明は、ダンパ装置に関する。
車輌に用いられるクラッチディスク組立体は、フライホイールに押圧されるクラッチディスクと、ダンパ装置と、を有している。ダンパ装置は、クラッチディスクを介してエンジンから伝達されたトルクをトランスミッション側に伝達するとともに、エンジンの回転変動を減衰する。
この種のダンパ装置が特許文献1に示されている。特許文献1のダンパ装置は、入力回転体と、出力回転体と、弾性連結部と、を備えている。入力回転体と出力回転体とは、互いに所定の角度範囲で相対回転可能である。弾性連結部は、複数のコイルスプリングを有しており、入力回転体と出力回転体とを回転方向に弾性的に連結する。複数のコイルスプリングは、予め圧縮された状態で、入力回転体と出力回転体との間に設けられている。
そして、この特許文献1のダンパ装置では、エンジンがアイドル状態になるまでの始動時と、エンジンがアイドル状態から停止するまでの間と、において、入力回転体が出力回転体に対して相対的に回転することが制限される。このため、エンジン始動時及びエンジン停止時において、ダンパ装置の共振による振動や騒音が抑制される。
特許文献1のダンパ装置では、入力回転体と出力回転体とを連結するコイルスプリングが、予め圧縮されて装着されている。すなわち、コイルスプリングにはプリロードがかけられている。そして、このコイルスプリングに対するプリロードによって、エンジン始動時及び停止時の低トルクのときに、入力回転体と出力回転体とが捩れないようにしている。
ここで、特に小排気量、たとえば、3気筒で排気量が1000cc程度の車両においては、エンジンが低トルクのときには、回転振動の減衰性能を損なわない範囲でダンパ装置の機能を制限することによってドライバビリティを向上させるとともに、エンジンが高トルクであって、ハイギヤで走行している際には、ダンパ装置の機能を発揮させるのが望ましい場合がある。
そこで、コイルスプリングに対するプリロードを大きくして走行領域における捩り特性の1段目を高剛性にしてドライバビリティを向上させ、かつ2段目を1段目よりも低剛性にしてダンパ機能を十分に発揮させることが考えられる。
しかし、捩り特性の1段目の剛性を高くしすぎると、ジャダーの発生、NV(騒音、振動)特性の悪化を招くおそれがある。また、走行領域における捩り特性の1段目剛性を高くしすぎると、アイドル状態等の領域における低剛性の捩り特性から走行領域の高剛性の捩り特性へスムーズに移行できない場合がある。この場合、振動の吸収・減衰特性が悪化する現象(ジャンピング現象)が生じることが考えられる。
本発明の課題は、ダンパ装置において、低トルク時における捩り特性を高剛性に設定した際の不具合を解消でき、しかも比較的高トルクで走行している場合に回転変動を減衰できるようにすることにある。
(1)本発明に係るダンパ装置は、入力回転体と、出力回転体と、内周側弾性連結部と、外周側弾性連結部と、を備えている。入力回転体はトルクが入力される。出力回転体は、互いに相対回転可能なハブ及びフランジを有し、入力回転体と相対回転可能である。内周側弾性連結部は、複数の内周側弾性部材を有し、入力トルクが第1領域の範囲において作動して多段の捩り特性を有し、入力回転体と出力回転体とを回転方向に弾性的に連結する。外周側弾性連結部は、内周側弾性部材の径方向外方に配置されるとともに予圧縮された複数の外周側弾性部材を有し、入力トルクが第1領域を超えた第2領域の範囲で作動し、入力回転体とフランジとを回転方向に弾性的に連結する。
ここでは、入力トルクが比較的小さい第1領域(例えば車両がアイドリング状態及び低トルク走行状態である領域)では、多段の捩り特性を有する内周側弾性連結部が作動する。このため、内周側弾性連結部の捩り特性を適宜調整することによって、ジャンピング現象を抑えることができる。また、第1領域をトルクが小さい走行領域まで広げれば、ジャダーの発生を抑えることができる。
また、入力トルクが比較的高い第2領域(例えば車両が走行している状態の領域)では、ある入力トルクまでは予圧縮された外周側弾性部材によって高い剛性の捩り特性を得ることができ、ドライバビリティを向上することができる。さらに、入力トルクが予圧縮された外周側弾性部材によるトルクに達すると、予圧縮された外周側弾性部材を並列に作動させることによって外周側弾性連結部の捩り特性の剛性を低く設定することができ、回転変動を効果的に減衰することができる。
(2)好ましくは、外周側弾性部材の一方の端面は、入力トルクが第2領域の範囲において片当たり状態から両当たり状態に移行する。
なお、「片当たり状態」とは、弾性部材を押圧して作動させる回転体に対して、弾性部材の端面の径方向内側及び外側の片方のみが当接している状態を意味する。また、「両当たり状態」とは、弾性部材を押圧して作動させる回転体に対して、弾性部材の端面の径方向内側及び外側の両方が当接している状態を意味する。
ここでは、例えば走行領域である第2領域では、入力トルクが大きくなるにしたがい片当たり状態から両当たり状態に移行する。このため、第2領域において、入力トルクが小さい領域では、ジャダー現象を抑えつつ、剛性の高い捩り特性を得ることができ、ドライバビリティを向上することができる。また、入力トルクが大きい領域では、剛性の低い捩り特性を得ることができ、回転変動を効果的に減衰することができる。
(3)好ましくは、内周側弾性連結部は、第1領域のうち入力トルクが0から第1トルクまでの領域において第1捩り特性を有するとともに、第1トルクを超え第2トルクまでの領域において第2捩り特性を有する。そして、第1捩り特性は第1剛性を有し、第2捩り特性は、第1剛性よりも高い第2剛性を有する。また、外周側弾性連結部は、第2領域のうち入力トルクが第2トルクを超え第3トルクまでの領域において第3捩り特性を有するとともに、第2領域において入力トルクが第3トルクを超えると第4捩り特性を有する。そして、第3捩り特性は、第2剛性よりも高い第3剛性を有し、第4捩り特性は、第3剛性よりも低い第4剛性を有する。
(4)好ましくは、入力回転体は複数の支持部を有し、フランジは、複数の支持部に対応する位置に複数の収容部を有している。そして、複数の外周側弾性部材は、支持部及び収容部に予圧縮されて配置されている。この場合、外周側弾性部材の一方の端面は、支持部及び収容部の一方の円周方向端部に対して片当たり状態から両当たり状態に移行する。
ここでは、複数の予圧縮された外周側弾性部材は、一方の端面が、入力回転体とフランジとが相対回転する際に、片当たり状態から両当たり状態に移行するように配置されている。
(5)好ましくは、支持部は円周方向に対向する1対の支持面を有し、収容部は円周方向に対向する1対の収容面を有している。そして、1対の支持面及び1対の収容面の一方の、円周方向の一方の端面は、径方向外方に向かって開くように傾斜している。これにより、外周側弾性部材を、作動に伴って片当たり状態から両当たり状態に移行させることができる。
(6)好ましくは、内周側弾性部材は、第1弾性部材と、第2弾性部材と、を有する。第2弾性部材は、第1弾性部材より高い剛性を有し、第1弾性部材と直列に作動する。
(7)好ましくは、内周側弾性部材は不等ピッチばねを有する。
(8)好ましくは、内周側弾性連結部は、中間回転体と、中間弾性部材と、を有する。中間回転体は、ハブ及びフランジに対して相対回転可能である。中間弾性部材は、径方向において内周側弾性部材と外周側弾性部材との間に配置され、中間回転体とフランジとを回転方向に弾性的に連結する。
(9)好ましくは、内周側弾性部材と中間弾性部材とは並列に作動する。
(10)好ましくは、中間回転体は、ハブに対して第1角度の範囲で相対回転可能である。また、フランジは、ハブに対して第1角度よりも大きい第2角度で相対回転可能である。
(11)好ましくは、入力回転体は原動機の部材に連結されるものである。そして、複数の外周側弾性部材は、原動機からの入力トルクが0から最大トルクの10%以上70%以下の間のいずれかのトルクを超えたときに両当たり状態になる。
以上のような本発明のダンパ装置では、低トルク時における捩り特性を高剛性に設定した際の不具合を解消でき、しかも比較的高トルクで走行している場合に回転変動を減衰することができる。
-第1実施形態-
[全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態としてのダンパ装置を有するクラッチディスク組立体1の断面図である。また、図2は、その正面図である。クラッチディスク組立体1は、車両のエンジンとトランスミッションとの間に配置される。図1において、O-O線がクラッチディスク組立体1の回転軸である。図1の左側にエンジン及びフライホイール(図示せず)が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置される。
[全体構成]
図1は、本発明の第1実施形態としてのダンパ装置を有するクラッチディスク組立体1の断面図である。また、図2は、その正面図である。クラッチディスク組立体1は、車両のエンジンとトランスミッションとの間に配置される。図1において、O-O線がクラッチディスク組立体1の回転軸である。図1の左側にエンジン及びフライホイール(図示せず)が配置され、図1の右側にトランスミッション(図示せず)が配置される。
なお、以下の説明において、軸方向とは、クラッチディスク組立体1の回転軸Oが延びる方向である。また、円周方向とは、回転軸Oを中心とした円の円周方向であり、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の径方向である。なお、円周方向とは、回転軸Oを中心とした円の円周方向に完全に一致している必要はない。また、径方向とは、回転軸Oを中心とした円の直径方向に完全に一致している必要はない。
クラッチディスク組立体1は、クラッチ部2と、ダンパ部3(ダンパ装置の一例)と、を備えている。
[クラッチ部2]
クラッチ部2は、図1及び図2に示すように、クッショニングプレート11と、1対の摩擦フェーシング12と、を有している。クッショニングプレート11は、環状部11aと、環状部11aから径方向外方に突出する複数のクッション部11bと、を有している。1対の摩擦フェーシング12は、環状であり、クッション部11bの軸方向両側にリベット13によって固定されている。
クラッチ部2は、図1及び図2に示すように、クッショニングプレート11と、1対の摩擦フェーシング12と、を有している。クッショニングプレート11は、環状部11aと、環状部11aから径方向外方に突出する複数のクッション部11bと、を有している。1対の摩擦フェーシング12は、環状であり、クッション部11bの軸方向両側にリベット13によって固定されている。
[ダンパ部3]
ダンパ部3は、入力回転体4と、出力回転体5と、内周側弾性連結部6と、外周側弾性連結部7と、ストッパ機構8と、ヒス発生機構9と、を備えている。
ダンパ部3は、入力回転体4と、出力回転体5と、内周側弾性連結部6と、外周側弾性連結部7と、ストッパ機構8と、ヒス発生機構9と、を備えている。
<入力回転体4>
入力回転体4は、クラッチプレート41とリティニングプレート42とを有している。クラッチプレート41及びリティニングプレート42は、ともに円板状かつ環状の部材であり、互いに対して軸方向に所定の間隔を開けて配置されている。そして、クラッチプレート41とリティニングプレート42とは、4つのストップピン45によって互いに相対回転不能及び軸方向移動不能に固定されている。これにより、クラッチプレート41とリティニングプレート42とは一体回転する。
入力回転体4は、クラッチプレート41とリティニングプレート42とを有している。クラッチプレート41及びリティニングプレート42は、ともに円板状かつ環状の部材であり、互いに対して軸方向に所定の間隔を開けて配置されている。そして、クラッチプレート41とリティニングプレート42とは、4つのストップピン45によって互いに相対回転不能及び軸方向移動不能に固定されている。これにより、クラッチプレート41とリティニングプレート42とは一体回転する。
クラッチプレート41及びリティニングプレート42には、それぞれ中心孔が形成されている。また、クラッチプレート41及びリティニングプレート42には、それぞれ4つの窓部43(支持部の一例)が円周方向に並べて形成されている。すべての窓部43は同じ形状であり、径方向において同じ位置に形成されている。窓部43は概ね円周方向に長く延びている。また、窓部43は、軸方向に貫通した孔と、その孔の外周部及び内周部に形成された縁部と、を有している。
ここで、窓部43の円周方向の両端面である1対の支持面43aは、回転中心から窓部43の幅方向の中心を通って延びる直線L(図2参照)に対して平行である。
<出力回転体5>
出力回転体5は、クラッチプレート41及びリティニングプレート42に対して相対回転可能である。出力回転体5は、互いに相対回転が可能なハブ51とフランジ52とを有している。
出力回転体5は、クラッチプレート41及びリティニングプレート42に対して相対回転可能である。出力回転体5は、互いに相対回転が可能なハブ51とフランジ52とを有している。
ハブ51は、筒状に形成され、クラッチプレート41及びリティニングプレート42の内周部に配置されている。ハブ51の内周面にはスプライン孔が形成されている。また、ハブ51の軸方向中央部には、大径部53が形成されている。図2の一部である図3に示すように、大径部53の外周面には、複数の外歯51aと、2つの第1切欠51bと、2つの第2切欠51cと、が形成されている。第1切欠51b及び第2切欠51cは、円周方向に所定の幅で、かつ外周側に開いて形成されている。また、第2切欠51cの幅は第1切欠51bの幅よりも狭い。
フランジ52は、図2及び図3に示すように、中心部に孔を有する概略円板状の部材である。フランジ52は、ハブ51の大径部53の径方向外方に配置されるとともに、クラッチプレート41とリティニングプレート42との軸方向間に配置されている。フランジ52の内周面には、複数の内歯52a及び4つの切欠52bが形成されている。複数の内歯52aは、ハブ51の外歯51aに隙間を介して噛み合い可能である。したがって、ハブ51とフランジ52とは、この隙間に相当する角度分(第1領域の一例)だけ互いに相対回転が可能である。切欠52bは、ハブ51の切欠51bと対向する位置に配置されている。4つの切欠52bは、円周方向に同じ長さの幅で、かつ内周側に開いて形成されている。そして、ハブ51及びフランジ52の切欠51b,52bによって、スプリング収容部54が形成されている。
また、フランジ52には、クラッチプレート41及びリティニングプレート42の各窓部43に対応する位置に、4つの窓孔55(収容部の一例)が形成されている。4つの窓孔55は、同じ形状であり、径方向において同じ位置に形成されている。各窓孔55は、概ね円周方向に長く延びている。
ここで、図4に示すように、窓孔55の円周方向の両端面である1対の収容面55aは、開き角度Dを有している。すなわち、収容面55aは、径方向内側から外側に向かって開いている。なお、図4では、理解の便宜のために開き角度を実際の角度よりも大きく示している。開き角度については、ダンパ装置が搭載されるエンジンの仕様等によって適宜設定される。
ここで、開き角度とは、直線Lに対する収容面55aの傾斜角度である。なお、直線Lと、後述する外周側スプリング71の円周方向の端面71aと、は平行である。したがって、開き角度は、外周側スプリング71の円周方向の端面に対する収容面55aの傾斜角度でもある。
<内周側弾性連結部6>
内周側弾性連結部6は、入力トルクが第1領域の範囲(ここでは、例えば車両がアイドリング状態における領域及び低トルクで走行している状態の領域)において2段の捩り特性を有し、ハブ51とフランジ52とを回転方向に弾性的に連結する。
内周側弾性連結部6は、入力トルクが第1領域の範囲(ここでは、例えば車両がアイドリング状態における領域及び低トルクで走行している状態の領域)において2段の捩り特性を有し、ハブ51とフランジ52とを回転方向に弾性的に連結する。
図2及び図3に示すように、内周側弾性連結部6は、2つの第1内周側スプリング61及び2つの第2内周側スプリング62を有している。第1内周側スプリング61のスプリング長さは、第2内周側スプリング62のそれよりも長い。第1内周側スプリング61の両端面は、スプリングシートを介してスプリング収容部54の端面に当接している。また、第2内周側スプリング62の両端面は、ハブ51の切欠51bの端面に当接している。しかし、第2内周側スプリング62の一方の端面は、フランジ52の切欠52bの端面52bに対して離れるようにしてスプリング収容部54に収容されている。すなわち、第2内周側スプリング62の一方の端面とフランジ52の切欠52bの端面との間には隙間が確保されている。
以上のような構成により、第2内周側スプリング62は、切欠52bとの間の隙間の角度分だけ、第1内周側スプリング61よりも遅れて作動する。すなわち、第1内周側スプリング61は、第1角度範囲及びこの第1角度範囲を超えた第2角度範囲で作動するが、第2内周側スプリング62は、第2角度範囲でのみ作動する。
<外周側弾性連結部7>
外周側弾性連結部7は、内周側弾性連結部6の径方向外方に配置され、入力回転体4とフランジ52とを回転方向に弾性的に連結する。外周側弾性連結部7は、内周側スプリング61,62の径方向外方に配置された4つの外周側スプリング71(外周側弾性部材の一例)を有している。すべての外周側スプリング71はコイルスプリングであり、入力回転体4の窓部43に、予め圧縮された状態で装着されている。
外周側弾性連結部7は、内周側弾性連結部6の径方向外方に配置され、入力回転体4とフランジ52とを回転方向に弾性的に連結する。外周側弾性連結部7は、内周側スプリング61,62の径方向外方に配置された4つの外周側スプリング71(外周側弾性部材の一例)を有している。すべての外周側スプリング71はコイルスプリングであり、入力回転体4の窓部43に、予め圧縮された状態で装着されている。
より詳細には、フランジ52の窓孔55の収容面55aは開き角度Dを有しているので、外周側スプリング71の端面71aは、径方向内側の一部のみが収容面55aに接触している。すなわち、外周側スプリング71の端面71aは、片当たり状態で収容面55aに接触している。なお、窓部43の支持面43aは、直線Lに平行である。したがって、外周側スプリング71の端面71aは、両当たり状態で窓部43の支持面43aに接触している。
外周側スプリング71は、第1及び第2内周側スプリング61,62よりも高い剛性を有しており、しかも予圧縮されて装着されている。そして、内周側の各スプリング61,62が作動する第1領域では、外周側スプリング71は作動しない剛性に設定されている。すなわち、外周側スプリング71は、第1領域では予圧縮状態からさらに圧縮されることはなく、入力トルクが第1領域を超えた第2領域の範囲(例えば、車両が比較的高トルクで走行している状態の領域)で作動する。
ここで、4つの外周側スプリング71は、すべて同じ自由長Fを有している。そして、窓部43の円周方向の幅W(径方向中央部における幅)に対して、自由長Fは、1.20倍(F=1.20×W)となっている。
なお、外周側スプリング71の自由長Fは、窓部43の幅Wに対して、1.02倍以上1.43倍以下(F=(1.02~1.43)×W)が好ましい。自由長Fが窓部43の幅Wの1.02倍未満の場合は、低トルクでの走行時におけるドライバビリティの向上が低下する。また、自由長Fが窓部43の幅Wの1.43倍を超えると、外周側スプリング71の作動時における応力が高くなり、外周側スプリング71の寿命が低下する。
<ストッパ機構8>
図2に示すように、フランジ52の外周縁には、円周方向に所定の幅を有する切欠52cが形成されている。この切欠52cを、ストップピン45が軸方向に通過している。この切欠52c及びストップピン45によって、ストッパ機構8が構成されている。すなわち、ストップピン45が切欠52cの円周方向端面に当接することにより、入力回転体4とフランジ52との相対回転が禁止される。
図2に示すように、フランジ52の外周縁には、円周方向に所定の幅を有する切欠52cが形成されている。この切欠52cを、ストップピン45が軸方向に通過している。この切欠52c及びストップピン45によって、ストッパ機構8が構成されている。すなわち、ストップピン45が切欠52cの円周方向端面に当接することにより、入力回転体4とフランジ52との相対回転が禁止される。
<ヒス発生機構9>
ヒス発生機構9は、入力回転体4と出力回転体5とが相対回転する際に、回転方向の摩擦抵抗であるヒステリシストルクを発生する。ヒス発生機構9は、クラッチプレート41及びリティニングプレート42と、ハブ51及びフランジ52と、の間に配置された複数のブッシュを有している。また、ヒス発生機構9は、各ブッシュを対応する部材に押圧するための複数のコーンスプリングを有している。
ヒス発生機構9は、入力回転体4と出力回転体5とが相対回転する際に、回転方向の摩擦抵抗であるヒステリシストルクを発生する。ヒス発生機構9は、クラッチプレート41及びリティニングプレート42と、ハブ51及びフランジ52と、の間に配置された複数のブッシュを有している。また、ヒス発生機構9は、各ブッシュを対応する部材に押圧するための複数のコーンスプリングを有している。
[動作]
図5に示す捩じり特性線図を用いて、クラッチディスク組立体1の動作について説明する。なお、図5において、トルクTiは、予圧縮された4つの外周側スプリング71のすべてが、予圧縮された状態から両当たり状態でさらに圧縮されるときの入力トルク(イニシャルトルク)である。また、ここでは、一例として、入力トルクが0~T2の範囲(捩り角度0~d2の第1領域)は、車両がアイドリングしている状態(アイドル領域)及び低トルクで走行している状態(低トルク走行領域)であり、入力トルクがT2(捩り角度d2)を超えた範囲(第2領域)は、車両が比較的高トルクで走行している状態(走行領域)とする。
図5に示す捩じり特性線図を用いて、クラッチディスク組立体1の動作について説明する。なお、図5において、トルクTiは、予圧縮された4つの外周側スプリング71のすべてが、予圧縮された状態から両当たり状態でさらに圧縮されるときの入力トルク(イニシャルトルク)である。また、ここでは、一例として、入力トルクが0~T2の範囲(捩り角度0~d2の第1領域)は、車両がアイドリングしている状態(アイドル領域)及び低トルクで走行している状態(低トルク走行領域)であり、入力トルクがT2(捩り角度d2)を超えた範囲(第2領域)は、車両が比較的高トルクで走行している状態(走行領域)とする。
入力トルクが小さいアイドル領域では、ハブ51の外歯51aとフランジ52の内歯52aとの間に隙間が存在するので、内周側弾性連結部6が作動し、ハブ51に対してフランジ52が相対回転する。より詳細には、トルクが0~T1の範囲では、第1内周側スプリング61のみが作動し、第1特性C1が得られる。そして、トルクがT1(捩り角度d1)になると、第2内周側スプリング62の端面がフランジ52の切欠52bに当接する。したがって、これ以降は、第1内周側スプリング61に加えて第2内周側スプリング62が作動する。したがって、第1特性C1よりも剛性の高い第2特性C2が得られる。
そしてさらに入力トルクが大きくなり、トルクがT2(捩り角度d2)になると、ハブ51の外歯51aとフランジ52の内歯52aとが接触し、両者51,52の相対回転が禁止される。すなわち、これ以降は、ハブ51とフランジ52とは一体的に回転する。
なお、前述のように、外周側スプリング71は予圧縮されて装着されており、かつ第1及び第2内周側スプリング61,62よりも高剛性であるので、トルクが0~T2(捩り角度0~d2)の範囲では作動せず、予圧縮された状態からさらに圧縮されることはない。
トルクがT2を超えた走行領域では、外周側弾性連結部7が作動する。すなわち、外周側スプリング71が片当たり状態で圧縮され、入力回転体4に対して出力回転体5(ハブ51及びフランジ52)が相対回転する。この状態では、第2特性C2よりも高い剛性の第3特性C3が得られる。そして、トルクがイニシャルトルクTi(捩り角度d3)になると、外周側スプリング71が両当たり状態になる。これ以降は、外周側スプリング71が予圧縮された状態からさらに両当たり状態で圧縮され、4つの外周側スプリング71が並列で作動し、比較的低い剛性の第4特性C4が得られる。
以上のような作動によって、入力トルクが0~T2のアイドル領域及び低トルク走行領域においては、2段の比較的剛性の低い捩り特性が得られるので、走行領域との間に生じるジャンピング現象を抑えることができる。また、走行領域においてトルクが比較的小さい領域では、第3特性C3が得られるので、ジャダーの発生等の不具合を抑えつつ、ドライバビリティを向上することができる。そして、さらにトルクがTiを超えた走行領域では、低剛性の第4特性C4によって、効果的にエンジンの回転変動を減衰することができる。
-第2実施形態-
図6は、本発明の第2実施形態の正面部分図である。この第2実施形態では、第1実施形態と、ハブ及びフランジの切欠によって形成されるスプリング収容部の数、及び内周側弾性連結部の構成が異なるが、他の構成は同じである。図6では、第1実施形態と同様あるいは対応する部材には、第1実施形態と同じ符号を付している。
図6は、本発明の第2実施形態の正面部分図である。この第2実施形態では、第1実施形態と、ハブ及びフランジの切欠によって形成されるスプリング収容部の数、及び内周側弾性連結部の構成が異なるが、他の構成は同じである。図6では、第1実施形態と同様あるいは対応する部材には、第1実施形態と同じ符号を付している。
図6で示すように、第1実施形態と同様に、ハブ51及びフランジ52には、互いに隙間を介して噛み合う複数の外歯51a及び内歯52aが形成されている。また、ハブ51の外周面には内周側に凹む2つの切欠51bが形成され、フランジ52の内周面には外周側に凹む2つの切欠52bが形成されている。これらによって、2つのスプリング収容部54が構成されている。
内周側弾性連結部6は、スプリング収容部54に装着された不等ピッチスプリング63によって構成されている。この不等ピッチスプリング63によって、第1実施形態と同様の捩り特性が得られる。
すなわち、入力されるトルクが0~T1の領域では、低剛性の第1特性C1が得られる。そして、トルクがT1になると、不等ピッチスプリング63の低剛性部が密着し、スプリング63の剛性は高くなる。このため、トルクがT1~T2の領域では、第2特性C2が得られる。その後は、第1実施形態と同様の動作で、外周側弾性連結部7によって第3特性C3及び第4特性C4が得られる。
-第3実施形態-
図7は本発明の第3実施形態の断面図であり、図8はその正面部分図である。この第3実施形態では、第1実施形態と、内周側弾性連結部及びそれに関係する構成が異なるが、他の構成は同様である。図7以降の図面において、第1実施形態と同様あるいは対応する部材には、第1実施形態と同じ符号を付している。
図7は本発明の第3実施形態の断面図であり、図8はその正面部分図である。この第3実施形態では、第1実施形態と、内周側弾性連結部及びそれに関係する構成が異なるが、他の構成は同様である。図7以降の図面において、第1実施形態と同様あるいは対応する部材には、第1実施形態と同じ符号を付している。
[構成]
内周側弾性連結部6は、2つの内周側スプリング64と、中間プレート65と、4つの中間スプリング66と、を有している。
内周側弾性連結部6は、2つの内周側スプリング64と、中間プレート65と、4つの中間スプリング66と、を有している。
2つの内周側スプリング64は、第2実施形態と同様に、ハブ51及びフランジ52に形成された2つのスプリング収容部54に装着されている。なお、ハブ51及びフランジ52は、各実施形態と同様に、互いに噛み合う複数の外歯51a及び内歯52aを有している。図9及び図10に拡大して示すように、外歯51aと内歯52aとは、円周方向に隙間を有しており、この隙間は、この第3実施形態では、捩り角度d2に相当している。したがって、ハブ51とフランジ52とは、捩り角度d2の範囲で互いに相対回転が可能である。
なお、図9は、ハブ51とフランジ52とが角度d1(d1<d2)だけ捩じれた状態を示し、図10は、ハブ51とフランジ52とが角度d2だけ捩じれた状態を示している。
中間プレート65は、環状に形成されており、ヒス発生機構9を構成するブッシュ91(クラッチプレート41側に配置されたブッシュ)とフランジ52との軸方向間に配置されている。中間プレート65は、ハブ51に対しては角度d1だけ相対回転が可能である。また、中間プレート65はフランジ52に対しても相対回転が可能である。
中間プレート65は、図7に示すように、内周面に形成された複数の内歯65aと、外周面に形成された4つの突出部67と、を有している。図9に示すように、内歯65aは、ハブ51の外歯51aと円周方向の隙間を介して噛み合い可能である。前述のように、ハブ51の外歯51aと中間プレート65の内歯65aとの隙間は、捩り角度d1に相当している。
4つの突出部67は、外周面から径方向に突出しており、この突出部67には窓孔68が形成されている。
中間スプリング66は、径方向において内周側スプリング64と外周側スプリング71との間に配置されている。中間スプリング66は、中間プレート65の窓孔68に収容されている。
ここで、第3実施形態のフランジ52は、外周側スプリング71を収容する窓孔55に加えて、4つの中間窓孔57を有している。中間窓孔57は、4つの窓孔55の径方向内方において、隣接する2つの窓孔55の円周方向間に形成されている。
また、図7に示すように、ブッシュ91には、中間プレート65の窓孔68に対応する位置に、軸方向に凹む4つの凹部91aが形成されている。
以上のような構成により、中間スプリング66は、中間プレート65の窓孔68に収容されるとともに、フランジ52の中間窓孔57及びブッシュ91の凹部91aによって支持されている。そして、中間スプリング66は、中間プレート65とフランジ52を回転方向に弾性的に連結している。なお、中間スプリング66の剛性は、内周側スプリング64の剛性より高く、外周側スプリング71の剛性より低い。
ここで、図7に示すように、ブッシュ91の外周端部には、中間プレート65の外周面を軸方向に超えて延びる複数の係合部91bが形成されている。一方、フランジ52の窓孔55の内周縁部において、幅方向の中央部には、所定の幅の複数の溝55bが形成されている。そして、この溝55bに、ブッシュ91の係合部91bが係合している。したがって、ブッシュ91とフランジ52とは相対回転が禁止され、一体として回転する。
[動作]
この第3実施形態における捩じり特性は、第1及び第2実施形態と同様であるので、図5を用いて第3実施形態の動作を説明する。なお、第1実施形態と同様に、トルクTiは、予圧縮された4つの外周側スプリング71のすべてが、予圧縮された状態から両当たり状態でさらに圧縮されるときの入力トルク(イニシャルトルク)である。また、入力トルクが0~T2の範囲(捩り角度0~d2)は、アイドル領域及び低トルク走行領域であり、入力トルクがT2(捩り角度d2)を超えた範囲は、走行領域である。
この第3実施形態における捩じり特性は、第1及び第2実施形態と同様であるので、図5を用いて第3実施形態の動作を説明する。なお、第1実施形態と同様に、トルクTiは、予圧縮された4つの外周側スプリング71のすべてが、予圧縮された状態から両当たり状態でさらに圧縮されるときの入力トルク(イニシャルトルク)である。また、入力トルクが0~T2の範囲(捩り角度0~d2)は、アイドル領域及び低トルク走行領域であり、入力トルクがT2(捩り角度d2)を超えた範囲は、走行領域である。
入力トルクが小さいアイドル領域では、ハブ51の外歯51aとフランジ52の内歯52aとの間に、捩り角度d2に相当する隙間が存在するので、ハブ51とフランジ52とは互いに相対回転する。より詳細には、トルクが0~T1の範囲では、内周側スプリング64のみが作動される。これにより、第1特性C1が得られる。
次に、トルクがT1(捩り角度d1)になると、図9に示すように、ハブ51の外歯51aが中間プレート65の内歯65aに接触する。したがって、トルクがT1を超えると、ハブ51によって中間プレート65が回転し、内周側スプリング64とともに中間スプリング66が作動する。すなわち、トルクがT1を超えると、内周側スプリング64と中間スプリング66とは並列に作動し、第2特性C2が得られる。
トルクがT2(捩り角度d2)になると、図10に示すように、ハブ51の外歯51aとフランジ52の内歯52aとが接触し、両者51,52の相対回転が禁止され、これ以降は、両者51,52は一体的に回転する。
なお、外周側スプリング71は予圧縮されて装着されており、かつ中間スプリング66よりも高剛性であるので、アイドル領域では作動せず、予圧縮された状態からさらに圧縮されることはない。
次に、トルクがT2を超えると、外周側スプリング71が片当たり状態で圧縮される。この状態では、第2特性C2よりも高い剛性の第3特性C3が得られる。そして、トルクがイニシャルトルクTiになると、外周側スプリング71が両当たり状態になる。これ以降は、4つの外周側スプリング71が予圧縮された状態からさらに両当たり状態で圧縮され、4つの外周側スプリング71が並列で作動し、比較的低い剛性の第4特性C4が得られる。
以上のような捩り特性によって、この第3実施形態においても、各実施形態と同様の作用効果が得られる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
(a)各実施形態において、弾性連結部を構成するスプリングの個数は実施形態に限定されない。
(b)各実施形態において、すべての外周側スプリングを予圧縮して装着したが、例えば4つの外周側スプリングのうちの2つを予圧縮して装着し、残りの2つの外周側スプリングを予圧縮せずに装着するようにしてもよい。
(c)内周側弾性連結部を多段特性にする構成は、前記実施形態に限定されない。例えば、複数の剛性の異なる弾性部材を用いてもよい。
(d)前記各実施形態では、本発明をクラッチディスク組立体に適用したが、別の動力伝達装置のダンパ装置としても本発明を同様に適用することができる。
(e)各窓部及び窓孔の少なくとも一方に、コイルスプリングの端面を受けるスプリングシートを配置し、このスプリングシートの受け面を、前記実施形態のような形状にしてもよい。
(f)各実施形態の外周側弾性連結部において、収容面を外開きにし、支持面をスプリングの端面と平行にしたが、これらは逆にしてもよい。すなわち、収容面をスプリングの端面と平行にし、支持面を外開きにしてもよい。また、1対の収容面(又は支持面)のうちの一方の面のみを外開きにしてもよい。
(g)前記各実施形態では、捩り角度d2~d3の間では、外周側スプリングが片当たり状態であるとして説明している。しかし、この角度の間の所定の角度において、外周側スプリングが両当たり状態になり、しかも外周側スプリングの予圧縮によるトルクがイニシャルトルクに到達しないような場合もあり得る。
この場合は、図5における特性C3は、捩り角度d2から所定の角度に至るまでは、図5に示すような傾斜した特性となり、所定の角度から捩り角度d3に至るまでは、直立した(所定の角度~捩り角度d3の間の角度は「0」)特性となる。
3 ダンパ部(ダンパ装置)
4 入力回転体
43 窓部(支持部)
43a 支持面
5 出力回転体
51 ハブ
52 フランジ
55 窓孔(収容部)
55a 収容面
6 内周側弾性連結部
61,62,64 内周側スプリング
63 不等ピッチスプリング
65 中間プレート(中間回転体)
7 外周側弾性連結部
71 外周側スプリング
4 入力回転体
43 窓部(支持部)
43a 支持面
5 出力回転体
51 ハブ
52 フランジ
55 窓孔(収容部)
55a 収容面
6 内周側弾性連結部
61,62,64 内周側スプリング
63 不等ピッチスプリング
65 中間プレート(中間回転体)
7 外周側弾性連結部
71 外周側スプリング
(6)好ましくは、内周側弾性部材は、第1弾性部材と、第2弾性部材と、を有する。第1弾性部材は、第1角度範囲及び第1角度範囲を超えた第2角度範囲で作動する。第2弾性部材は、第2角度範囲でのみ作動する。
(11)好ましくは、入力回転体は原動機の部材に連結されるものである。そして、複数の外周側弾性部材は、原動機からの入力トルクが0から最大トルクの10%以上70%以下の間のいずれかのトルクまでの範囲を超えたときに両当たり状態になる。
フランジ52は、図2及び図3に示すように、中心部に孔を有する概略円板状の部材である。フランジ52は、ハブ51の大径部53の径方向外方に配置されるとともに、クラッチプレート41とリティニングプレート42との軸方向間に配置されている。フランジ52の内周面には、複数の内歯52a及び4つの切欠52bが形成されている。複数の内歯52aは、ハブ51の外歯51aに隙間を介して噛み合い可能である。したがって、ハブ51とフランジ52とは、この隙間に相当する角度分(第1領域の一例)だけ互いに相対回転が可能である。切欠52bの2つは、ハブ51の切欠51bと対向する位置に配置されている。4つの切欠52bは、円周方向に同じ長さの幅で、かつ内周側に開いて形成されている。そして、ハブ51の切欠51b,51cとフランジ52の切欠52bによって、スプリング収容部54が形成されている。
図2及び図3に示すように、内周側弾性連結部6は、2つの第1内周側スプリング61及び2つの第2内周側スプリング62を有している。第1内周側スプリング61のスプリング長さは、第2内周側スプリング62のそれよりも長い。第1内周側スプリング61の両端面は、スプリングシートを介してスプリング収容部54の端面に当接している。また、第2内周側スプリング62の両端面は、ハブ51の第2切欠51cの端面に当接している。しかし、第2内周側スプリング62の一方の端面は、フランジ52の切欠52bの端面に対して離れるようにしてスプリング収容部54に収容されている。すなわち、第2内周側スプリング62の一方の端面とフランジ52の切欠52bの端面との間には隙間が確保されている。
Claims (11)
- トルクが入力される入力回転体と、
互いに相対回転可能なハブ及びフランジを有し、前記入力回転体と相対回転可能な出力回転体と、
複数の内周側弾性部材を有し、入力トルクが第1領域の範囲において作動して多段の捩り特性を有し、前記入力回転体と前記出力回転体とを回転方向に弾性的に連結する内周側弾性連結部と、
前記内周側弾性部材の径方向外方に配置されるとともに予圧縮された複数の外周側弾性部材を有し、入力トルクが前記第1領域を超えた第2領域の範囲で作動し、前記入力回転体と前記フランジとを回転方向に弾性的に連結する外周側弾性連結部と、
を備えた、ダンパ装置。 - 前記外周側弾性部材の一方の端面は、入力トルクが前記第2領域の範囲において片当たり状態から両当たり状態に移行する、
請求項1に記載のダンパ装置。 - 前記内周側弾性連結部は、前記第1領域のうち入力トルクが0から第1トルクまでの領域において第1捩り特性を有するとともに、前記第1トルクを超え第2トルクまでの領域において第2捩り特性を有し、前記第1捩り特性は第1剛性を有し、前記第2捩り特性は前記第1剛性よりも高い第2剛性を有し、
前記外周側弾性連結部は、前記第2領域のうち入力トルクが前記第2トルクを超え第3トルクまでの領域において第3捩り特性を有するとともに、前記第2領域において入力トルクが第3トルクを超えると第4捩り特性を有し、前記第3捩り特性は、前記第2剛性よりも高い第3剛性を有し、前記第4捩り特性は、前記第3剛性よりも低い第4剛性を有する、
請求項1又は2に記載のダンパ装置。 - 前記入力回転体は、複数の支持部を有し、
前記フランジは、前記複数の支持部に対応する位置に複数の収容部を有し、
複数の前記外周側弾性部材は、前記支持部及び前記収容部に予圧縮されて配置されており、
前記外周側弾性部材の一方の端面は、前記支持部及び前記収容部の一方の円周方向端部に対して片当たり状態から両当たり状態に移行する、
請求項1から3のいずれかに記載のダンパ装置。 - 前記支持部は円周方向に対向する1対の支持面を有し、
前記収容部は円周方向に対向する1対の収容面を有し、
前記1対の支持面及び前記1対の収容面の一方の、円周方向の一方の端面は、径方向外方に向かって開くように傾斜している、
請求項4に記載のダンパ装置。 - 前記内周側弾性部材は、
第1角度範囲及び前記第1角度範囲を超えた第2角度範囲で作動する第1弾性部材と、
前記第2角度範囲でのみ作動する第2弾性部材と、
を有する、
請求項1から5のいずれかに記載のダンパ装置。 - 前記内周側弾性部材は不等ピッチばねを有する、請求項1から5のいずれかに記載のダンパ装置。
- 前記内周側弾性連結部は、
前記ハブ及び前記フランジに対して相対回転可能な中間回転体と、
径方向において前記内周側弾性部材と前記外周側弾性部材との間に配置され、前記中間回転体と前記フランジとを回転方向に弾性的に連結する中間弾性部材と、
を有する、
請求項1から5のいずれかに記載のダンパ装置。 - 前記内周側弾性部材と前記中間弾性部材とは並列に作動する、請求項8に記載のダンパ装置。
- 前記中間回転体は、前記ハブに対して第1角度の範囲で相対回転可能であり、
前記フランジは、前記ハブに対して前記第1角度よりも大きい第2角度で相対回転可能である、
請求項8又は9に記載のダンパ装置。 - 前記第入力回転体は原動機の部材に連結されるものであり、
複数の前記外周側弾性部材は、前記原動機からの入力トルクが0から最大トルクの10%以上70%以下の間のいずれかのトルクを超えたときに両当たり状態になる、
請求項2に記載のダンパ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021114512A JP2023010399A (ja) | 2021-07-09 | 2021-07-09 | ダンパ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP2021114512A Pending JP2023010399A (ja) | 2021-07-09 | 2021-07-09 | ダンパ装置 |
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Country | Link |
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