JP2023009875A - 電子ビーム立体形状データ取得装置及び電子ビーム立体形状データ取得方法 - Google Patents

電子ビーム立体形状データ取得装置及び電子ビーム立体形状データ取得方法 Download PDF

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Abstract

【目的】マルチ1次電子ビームを照射可能な装置において、マルチ検出器を使って2次電子ビームの放出位置の立体形状を把握可能な装置を提供する。【構成】本発明の一態様の電子ビーム立体形状データ取得装置は、基板を載置するステージ105と、マルチ1次電子ビームを放出する成形アパーチャアレイ基板203と、マルチ1次電子ビームから所定の1次電子ビームを選択的に通過させるビーム選択アパーチャ基板232と、所定の1次電子ビームの照射に起因して基板から放出される2次電子ビームを所定の1次電子ビームから分離するE×B分離器214と、複数の検出素子を有し、所定の1次電子ビームから分離された2次電子ビームを複数の検出素子のうち2以上の検出素子で検出することによって、基板の2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得するマルチ検出器222と、2次電子ビームを2以上の検出素子に跨るように投影するレンズ224と、を備えたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、マルチ電子ビーム立体形状データ取得装置及びマルチ電子ビーム立体形状データ取得方法に関し、例えば、マルチ1次電子ビームを基板に照射して、基板から放出されるマルチ2次電子ビームを検出して基板上の立体形状を推測する手法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになっている。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。よって、半導体ウェハ上に転写された超微細パターンの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。その他、歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
検査装置では、例えば、電子ビームを使ったマルチビームを検査対象基板に照射して、検査対象基板から放出される各ビームに対応する2次電子をマルチ検出器で個別に検出して、パターン画像を撮像する。そして撮像された測定画像と、設計データ、あるいは基板上の同一パターンを撮像した測定画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、同一基板上の異なる場所の同一パターンを撮像した測定画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計された設計データをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、それとパターンを撮像した測定データとなる測定画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
マスクやウェハのマルチビーム検査において、平面的な形状の検査だけではなく、立体的な形状についても把握したいといった要求がある。例えば、基板上に生じた段差箇所でホワイトバンドが生じ得る。パターン寸法が微細になると両エッジで生じたホワイトバンドが重なりパターン形状の判別が困難になる場合がある。エッジ位置での立体形状がわかれば、パターン形状を判別できる。その他、例えば、EUVマスクは高精度な平坦度が要求される。マスクパターンの3次元形状の出来栄えがウェハのレジストパターンの3次元形状に影響することが考えられる。また、パターンに限らず位相欠陥を検査するためにEUVマスクの凹凸を把握したいといった要求がある。
ここで、試料面の近傍にビーム照射位置を挟んで対向する位置に2つの検出器を配置して2次電子を左右或いは前後の位置で検出することで試料の凹凸を測定するといった技術が開示されている(非特許文献1参照)。しかしながら、マルチ電子ビームを基板に照射する装置では、試料面の近傍にビーム毎に照射位置を挟んで対向する位置に2つの検出器を配置することは困難である。よって、マルチ2次電子ビームをビーム毎に個別に検出可能なマルチ検出器を使って立体形状を把握することが望ましい。
"SEMによる微細形状・粗さ測定",精密工学会誌Vol.75,No.3,p.363-366(2009)
本発明の実施形態では、1次電子ビームを照射可能な装置において、マルチ検出器を使って2次電子ビームの放出位置の立体形状を把握可能な装置および方法を提供する。
本発明の一態様の電子ビーム立体形状データ取得装置は、
基板を載置するステージと、
マルチ1次電子ビームを放出する放出源と、
マルチ1次電子ビームから所定の1次電子ビームを選択的に通過させるビーム選択機構と、
所定の1次電子ビームの照射に起因して基板から放出される2次電子ビームを所定の1次電子ビームから分離する分離器と、
複数の検出素子を有し、所定の1次電子ビームから分離された2次電子ビームを複数の検出素子のうち2以上の検出素子で検出することによって、基板の2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得するマルチ検出器と、
2次電子ビームを2以上の検出素子に跨るように投影するレンズと、
を備えたことを特徴とする。
本発明の他の態様の電子ビーム立体形状データ取得装置は、
基板を載置するステージと、
マルチ1次電子ビームを放出する放出源と、
マルチ1次電子ビームの照射に起因して基板から放出されるマルチ2次電子ビームをマルチ1次電子ビームから分離する分離器と、
マルチ1次電子ビームから分離されたマルチ2次電子ビームのクロスオーバー位置に配置され、開口部が形成され、マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部を通過させ、残部を遮蔽するアパーチャ基板と、
複数の検出素子を有し、通過した各2次電子ビームの一部を個別に検出するマルチ検出器と、
を備え、
マルチ検出器は、さらに、アパーチャ基板を通過させる一部の位置を変更した状態で、通過した各2次電子ビームの一部を個別に検出し、
各2次電子ビームの軌道中心から外れた異なる2か所以上の各2次電子ビームの一部を検出することによって、基板の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得することを特徴とする。
また、マルチ2次電子ビームの軌道上であってアパーチャ基板の上流側に配置され、アパーチャ基板を通過させる一部の位置を変更するようにマルチ2次電子ビームを偏向する第1の偏向器をさらに備えると好適である。
また、マルチ検出器は、各2次電子ビームあたり2以上の検出素子を有し、
アパーチャ基板とマルチ検出器との間に配置され、アパーチャ基板を通過させる一部の位置の変更に連動して、マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームがそれぞれ入射する検出素子を2以上の検出素子のうちで切り替えるようにマルチ2次電子ビームを偏向する第2の偏向器をさらに備えると好適である。
或いは、アパーチャ基板を通過させる一部の位置を変更するようにアパーチャ基板を移動させる駆動機構をさらに備えると好適である。
本発明の一態様の電子ビーム立体形状データ取得方法は、
マルチ1次電子ビームを放出する工程と、
マルチ1次電子ビームから所定の1次電子ビームを選択的に通過させる工程と、
所定の1次電子ビームの照射に起因して基板から放出される2次電子ビームを所定の1次電子ビームから分離する工程と、
複数の検出素子を有するマルチ検出器を用いて、所定の1次電子ビームから分離された2次電子ビームを複数の検出素子のうち2以上の検出素子で検出することによって、基板の2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得する工程と、
2次電子ビームを2以上の検出素子に跨るように投影する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の他の態様の電子ビーム立体形状データ取得方法は、
マルチ1次電子ビームを放出する工程と、
マルチ1次電子ビームの照射に起因して基板から放出されるマルチ2次電子ビームをマルチ1次電子ビームから分離する工程と、
マルチ1次電子ビームから分離されたマルチ2次電子ビームのクロスオーバー位置に配置され、開口部が形成されたアパーチャ基板を用いて、マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部を通過させ、残部を遮蔽する工程と、
複数の検出素子を有するマルチ検出器を用いて、通過した各2次電子ビームの一部を個別に検出する工程と、
マルチ検出器を用いて、さらに、アパーチャ基板を通過させる一部の位置を変更した状態で、通過した各2次電子ビームの一部を個別に検出する工程と、
を備え、
各2次電子ビームの軌道中心から外れた異なる2か所以上の各2次電子ビームの一部を検出することによって、基板の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得することを特徴とする。
また、マルチ2次電子ビームの軌道上であってアパーチャ基板の上流側に配置された第1の偏向器を用いて、アパーチャ基板を通過させる一部の位置を変更するようにマルチ2次電子ビームを偏向する工程をさらに備えると好適である。
また、マルチ検出器は、各2次電子ビームあたり2以上の検出素子を有し、
アパーチャ基板とマルチ検出器との間に配置された第2の偏向器を用いて、アパーチャ基板を通過させる一部の位置の変更に連動して、マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームがそれぞれ入射する検出素子を2以上の検出素子のうちで切り替えるようにマルチ2次電子ビームを偏向する工程をさらに備えると好適である。
或いは、アパーチャ基板を通過させる一部の位置を変更するようにアパーチャ基板を移動させる工程をさらに備えると好適である。
本発明の一態様によれば、マルチ1次電子ビームを照射可能な装置において、マルチ検出器を使って2次電子ビームの放出位置の立体形状を把握できる。
実施の形態1における検査装置の構成を示す構成図である。 実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。 実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。 実施の形態1における検査処理を説明するための図である。 実施の形態1における立体形状取得回路の内部構成の一例を示す図である。 実施の形態1における検査方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。 実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示す構成図である。 実施の形態1におけるパターンの斜面に電子ビームが照射された場合に放出される2次電子の様子を説明するための図である。 実施の形態1における基板表面の凹凸面に電子ビームが照射された場合に放出される2次電子の様子を説明するための図である。 実施の形態1における立体形状の検出方法を説明するための図である。 実施の形態1におけるビーム選択の仕方を説明するための図である。 実施の形態1における代表2次電子ビームと検出エレメントとの対応関係の一例を示す図である。 実施の形態1の変形例における代表2次電子ビームと検出エレメントとの対応関係の一例を示す図である。 実施の形態1における立体形状画像の一例を示す図である。 実施の形態1におけるプロファイルの一例を示す図である。 実施の形態2における検査方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。 実施の形態2における立体形状の検出方法を説明するための図である。 実施の形態2におけるマルチ2次電子ビームと各検出エレメントとの対応関係の一例を示す図である。 実施の形態3における立体形状の検出方法を説明するための図である。 実施の形態3の変形例におけるマルチ検出器の複数の検出エレメントの一例を示す図である。 実施の形態3の変形例におけるスキャン順序の一例を示す図である。 実施の形態3の変形例におけるスキャン順序の他の一例を示す図である。
以下、実施の形態では、マルチ電子ビーム画像取得装置の一例として、マルチ電子ビームを用いた検査装置について説明する。但し、これに限るものではない。マルチ1次電子ビームを照射して、基板から放出されるマルチ2次電子ビームを用いて画像を取得する装置であればよい。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1における検査装置の構成を示す構成図である。図1において、基板に形成されたパターンを検査する検査装置100は、マルチ電子ビーム検査装置の一例である。検査装置100は、画像取得機構150、及び制御系回路160を備えている。画像取得機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)及び検査室103を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ビーム選択アパーチャ基板232、駆動機構234、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ215、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、副偏向器209、E×B分離器214(ビームセパレーター)、偏向器218、電磁レンズ224、偏向器226、及びマルチ検出器222が配置されている。電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、ビーム選択アパーチャ基板232、電磁レンズ206、電磁レンズ215、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、及び副偏向器209によって1次電子光学系151(照明光学系)を構成する。また、電磁レンズ207、電磁レンズ215、E×B分離器214、偏向器218、電磁レンズ224、及び偏向器226によって2次電子光学系152(検出光学系)を構成する。
検査室103内には、少なくともXY方向に移動可能なステージ105が配置される。ステージ105上には、検査対象となる基板101(試料)が配置される。基板101には、露光用マスク基板、及びシリコンウェハ等の半導体基板が含まれる。基板101が半導体基板である場合、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されている。基板101が露光用マスク基板である場合、露光用マスク基板には、チップパターンが形成されている。チップパターンは、複数の図形パターンによって構成される。かかる露光用マスク基板に形成されたチップパターンが半導体基板上に複数回露光転写されることで、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されることになる。以下、基板101が半導体基板である場合を主として説明する。基板101は、例えば、パターン形成面を上側に向けてステージ105に配置される。また、ステージ105上には、検査室103の外部に配置されたレーザ測長システム122から照射されるレーザ測長用のレーザ光を反射するミラー216が配置されている。
また、マルチ検出器222は、電子ビームカラム102の外部で検出回路106に接続される。検出回路106は、チップパターンメモリ123に接続される。
マルチ検出器222は、アレイ状に配置される複数の検出エレメントを有する。
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、E×B制御回路133、立体形状取得回路134、ビーム選択アパーチャ制御回路136、磁気ディスク装置等の記憶装置109、メモリ118、及びプリンタ119に接続されている。また、偏向制御回路128は、DAC(デジタルアナログ変換)アンプ144,146,148,149に接続される。DACアンプ146は、主偏向器208に接続され、DACアンプ144は、副偏向器209に接続される。DACアンプ148は、偏向器218に接続される。DACアンプ149は、偏向器226に接続される。
また、チップパターンメモリ123は、比較回路108及び立体形状取得回路134に接続されている。また、ステージ105は、ステージ制御回路114の制御の下に駆動機構142により駆動される。駆動機構142では、例えば、ステージ座標系におけるX方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系が構成され、XYθ方向にステージ105が移動可能となっている。これらの、図示しないXモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。ステージ105は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、ステージ105の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。レーザ測長システム122は、ミラー216からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でステージ105の位置を測長する。ステージ座標系は、例えば、マルチ1次電子ビーム20の光軸に直交する面に対して、1次座標系のX方向、Y方向、θ方向が設定される。
電磁レンズ202、電磁レンズ205、電磁レンズ206、電磁レンズ207、電磁レンズ215、及び電磁レンズ224は、レンズ制御回路124により制御される。E×B分離器214は、E×B制御回路133により制御される。また、一括偏向器212は、2極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎に図示しないDACアンプを介してブランキング制御回路126により制御される。副偏向器209は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎にDACアンプ144を介して偏向制御回路128により制御される。主偏向器208は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎にDACアンプ146を介して偏向制御回路128により制御される。偏向器218は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎にDACアンプ148を介して偏向制御回路128により制御される。また、偏向器226は、4極以上の電極により構成される静電型の偏向器であって、電極毎にDACアンプ149を介して偏向制御回路128により制御される。
ビーム選択アパーチャ基板232は、駆動機構234により駆動され、駆動機構234は、ビーム選択アパーチャ制御回路136により制御される。
電子銃201には、図示しない高圧電源回路が接続され、電子銃201内の図示しないフィラメント(カソード)と引出電極(アノード)間への高圧電源回路からの加速電圧の印加と共に、別の引出電極(ウェネルト)の電圧の印加と所定の温度のカソードの加熱によって、カソードから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって放出される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、2次元状の横(x方向)m列×縦(y方向)n段(m,nは2以上の整数)の穴(開口部)22がx,y方向に所定の配列ピッチで形成されている。図2の例では、23×23の穴(開口部)22が形成されている場合を示している。各穴22は、共に同じ寸法形状の円形で形成される。或いは、同じ寸法形状の矩形であっても構わない。成形アパーチャアレイ基板203は、マルチ1次電子ビームを放出する放出源である。成形アパーチャアレイ基板203は、成形アパーチャアレイ基板203を形成し、放出する。具体的には、これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチ1次電子ビーム20が形成されることになる。次に、2次電子画像を取得する場合における画像取得機構150の動作について説明する。1次電子光学系151は、基板101をマルチ1次電子ビーム20で照射する。具体的には、以下のように動作する。
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、電磁レンズ202によって屈折させられ、成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、図2に示すように、複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、マルチ1次電子ビーム20が形成される。
形成されたマルチ1次電子ビーム20は、電磁レンズ205、及び電磁レンズ206によってそれぞれ屈折させられ、中間像およびクロスオーバーを繰り返しながら、マルチ1次電子ビーム20の各ビームの中間像面に配置されたE×B分離器214を通過して電磁レンズ215及び電磁レンズ207(対物レンズ)に進む。
マルチ1次電子ビーム20が電磁レンズ207(対物レンズ)に入射すると、電磁レンズ207は、マルチ1次電子ビーム20を基板101にフォーカスする。対物レンズ207により基板101(試料)面上に焦点が合わされ(合焦され)たマルチ1次電子ビーム20は、主偏向器208及び副偏向器209によって一括して偏向され、各ビームの基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。なお、一括ブランキング偏向器212によって、マルチ1次電子ビーム20全体が一括して偏向された場合には、制限アパーチャ基板213の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板213によってマルチ1次電子ビーム20全体が遮蔽される。一方、一括ブランキング偏向器212によって偏向されなかったマルチ1次電子ビーム20は、図1に示すように制限アパーチャ基板213の中心の穴を通過する。かかる一括ブランキング偏向器212のON/OFFによって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが一括制御される。このように、制限アパーチャ基板213は、一括ブランキング偏向器212によってビームOFFの状態になるように偏向されたマルチ1次電子ビーム20を遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板213を通過したビーム群により、画像取得用のマルチ1次電子ビーム20が形成される。
基板101の所望する位置にマルチ1次電子ビーム20が照射されると、かかるマルチ1次電子ビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチ1次電子ビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含む2次電子の束(マルチ2次電子ビーム300)が放出される。
基板101から放出されたマルチ2次電子ビーム300は、電磁レンズ207を通って、中間像面を形成する。マルチ2次電子ビーム300は、かかる中間像面位置を通過し、電磁レンズ215を通ってE×B分離器214に進む。そして、電磁レンズ215によって、E×B分離器214よりも2次軌道上の下流側に中間像面を形成する。
E×B分離器214は、コイルを用いた2極以上の複数の磁極と、2極以上の複数の電極とを有する。例えば、90°ずつ位相をずらした4極の磁極(電磁偏向コイル)と、同じく90°ずつ位相をずらした4極の電極(静電偏向電極)とを有する。そして、例えば対向する2極の磁極をN極とS極とに設定することで、かかる複数の磁極によって指向性の磁界を発生させる。同様に、例えば対向する2極の電極に符号が逆の電位Vを印加することで、かかる複数の電極によって指向性の電界を発生させる。具体的には、E×B分離器214は、マルチ1次電子ビーム20の中心ビームが進む方向(軌道中心軸)に直交する面上において電界と磁界を直交する方向に発生させる。電界は電子の進行方向に関わりなく同じ方向に力を及ぼす。これに対して、磁界はフレミング左手の法則に従って力を及ぼす。そのため電子の侵入方向によって電子に作用する力の向きを変化させることができる。E×B分離器214に上側から侵入してくるマルチ1次電子ビーム20には、電界による力と磁界による力が打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20は下方に直進する。これに対して、E×B分離器214に下側から侵入してくるマルチ2次電子ビーム300には、電界による力と磁界による力がどちらも同じ方向に働き、マルチ2次電子ビーム300は斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20の軌道上から分離する。
斜め上方に曲げられたマルチ2次電子ビーム300は、偏向器218に進み、偏向器218の中間位置に中間像面を形成する。マルチ2次電子ビーム300は、偏向器218によって、さらに曲げられ、電磁レンズ224に進み、電磁レンズ224の中間位置にクロスオーバーを形成する。マルチ2次電子ビーム300は、電磁レンズ224によって、屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。
マルチ検出器222は、検出器アパーチャアレイ基板228の開口部を通過して投影されたマルチ2次電子ビーム300を検出する。マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、マルチ検出器222の検出面において、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームに対応する検出エレメントに衝突して、電子を増幅発生させ、2次電子画像データを画素毎に生成する。マルチ検出器222にて検出された強度信号は、検出回路106に出力される。各1次電子ビームは、基板101上における自身のビームが位置するx方向のビーム間ピッチとy方向のビーム間ピッチとで囲まれるサブ照射領域内に照射され、当該サブ照射領域内を走査(スキャン動作)する。
図3は、実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。図3において、基板101が半導体基板(ウェハ)である場合、半導体基板(ウェハ)の検査領域330には、複数のチップ(ウェハダイ)332が2次元のアレイ状に形成されている。各チップ332には、露光用マスク基板に形成された1チップ分のマスクパターンが図示しない露光装置(ステッパ)によって例えば1/4に縮小されて転写されている。1チップ分のマスクパターンは、一般に、複数の図形パターンにより構成される。基板101がマスクである場合の図示は省略する。
図4は、実施の形態1における検査処理を説明するための図である。図4に示すように、各チップ332の領域は、例えばy方向に向かって所定の幅で複数のストライプ領域32に分割される。画像取得機構150によるスキャン動作は、例えば、ストライプ領域32毎に実施される。例えば、-x方向にステージ105を移動させながら、相対的にx方向にストライプ領域32のスキャン動作を進めていく。各ストライプ領域32は、長手方向に向かって複数の矩形領域33に分割される。対象となる矩形領域33へのビームの移動は、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。
図4の例では、例えば、5×5列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。1回のマルチ1次電子ビーム20の照射で照射可能な照射領域34は、(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じたx方向サイズ)×(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じたy方向サイズ)で定義される。照射領域34が、マルチ1次電子ビーム20の視野となる。そして、マルチ1次電子ビーム20を構成する各1次電子ビーム8は、自身のビームが位置するx方向のビーム間ピッチとy方向のビーム間ピッチとで囲まれるサブ照射領域29内に照射され、当該サブ照射領域29内を走査(スキャン動作)する。各1次電子ビーム8は、互いに異なるいずれかのサブ照射領域29を担当することになる。そして、各ショット時に、各1次電子ビーム8は、担当サブ照射領域29内の同じ位置を照射することになる。サブ照射領域29内の1次電子ビーム8の移動は、副偏向器209によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。かかる動作を繰り返し、1つの1次電子ビーム8で1つのサブ照射領域29内を順に照射していく。
各ストライプ領域32の幅は、照射領域34のy方向サイズと同様、或いはスキャンマージン分狭くしたサイズに設定すると好適である。図4の例では、照射領域34が矩形領域33と同じサイズの場合を示している。但し、これに限るものではない。照射領域34が矩形領域33よりも小さくても良い。或いは大きくても構わない。そして、マルチ1次電子ビーム20を構成する各1次電子ビーム8は、自身のビームが位置するサブ照射領域29内に照射され、副偏向器209によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって当該サブ照射領域29内を走査(スキャン動作)する。そして、1つのサブ照射領域29のスキャンが終了したら、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射位置が同じストライプ領域32内の隣接する矩形領域33へと移動する。かかる動作を繰り返し、ストライプ領域32内を順に照射していく。1つのストライプ領域32のスキャンが終了したら、ステージ105の移動或いは/及び主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射領域34が次のストライプ領域32へと移動する。以上のように各1次電子ビーム8の照射によってサブ照射領域29毎のスキャン動作および2次電子画像の取得が行われる。これらのサブ照射領域29毎の2次電子画像を組み合わせることで、矩形領域33の2次電子画像、ストライプ領域32の2次電子画像、或いはチップ332の2次電子画像が構成される。また、実際に画像比較を行う場合には、各矩形領域33内のサブ照射領域29をさらに複数のフレーム領域30に分割して、フレーム領域30毎のフレーム画像31について比較することになる。図21の例では、1つの1次電子ビーム8によってスキャンされるサブ照射領域29を例えばx,y方向にそれぞれ2分割することによって形成される4つのフレーム領域30に分割する場合を示している。
以上のように、画像取得機構150は、ストライプ領域32毎に、スキャン動作をすすめていく。上述したように、マルチ1次電子ビーム20を照射して、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300は、マルチ検出器222で検出される。検出されるマルチ2次電子ビーム300には、反射電子が含まれていても構わない。或いは、反射電子は、2次電子光学系152を移動中に分離され、マルチ検出器222まで到達しない場合であっても構わない。マルチ検出器222によって検出された各サブ照射領域29内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、比較回路108に転送される。
ここで、マルチ1次電子ビーム20は、サブ照射領域29内をスキャンするので、各2次電子ビームの放出位置は、サブ照射領域29内で刻々と変化する。よって、そのままでは、各2次電子ビームがマルチ検出器222の対応する検出エレメントからずれた位置に投影されてしまう。そこで、このように放出位置が変化した各2次電子ビームをマルチ検出器222の対応する検出領域内に照射させるように、偏向器226は、マルチ2次電子ビーム300を一括偏向する必要がある。そのため、偏向器226は、放出位置の変化に起因するマルチ2次電子ビームの位置移動を振り戻す(相殺する)偏向を行う。
図5は、実施の形態1における立体形状取得回路の内部構成の一例を示す図である。図5において、立体形状取得回路134内には、磁気ディスク装置等の記憶装置69、ビーム選択部60、2次ビーム径調整部61、スキャン処理部62、差分演算部63、及びプロファイル作成部64が配置される。ビーム選択部60、2次ビーム径調整部61、スキャン処理部62、差分演算部63、及びプロファイル作成部64といった各「~部」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。ビーム選択部60、2次ビーム径調整部61、スキャン処理部62、差分演算部63、及びプロファイル作成部64内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度図示しないメモリ、或いはメモリ118に記憶される。
図6は、実施の形態1における検査方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。図6において、実施の形態1における検査方法の要部工程は、被検査画像取得工程(S102)と、参照画像作成工程(S104)と、比較工程(S110)と、ビーム選択工程(S120)と、2次ビーム径調整工程(S122)と、スキャン/画像検出工程(S130)と、差分演算工程(S132)と、プロファイル作成工程(S134)と、いう一連の工程を実施する。画像検出によって得られた立体形状データがあれば良い場合、差分演算工程(S132)と、プロファイル作成工程(S134)を省略しても良い。
被検査画像取得工程(S102)として、画像取得機構150は、マルチ1次電子ビーム20を基板101に照射して、基板101から放出されたマルチ2次電子ビーム300による基板101の2次電子画像を取得する。言い換えれば、副偏向器208によりステージ105上に載置された基板101上をマルチ1次電子ビーム20で走査する。そして、基板101から放出されたマルチ2次電子ビーム300をマルチ検出器222で検出する。これにより基板101の2次電子画像を取得する。
そして、画像取得機構150は、上述したように、ストライプ領域32毎に、スキャン動作をすすめていく。検出されるマルチ2次電子ビーム300には、反射電子が含まれていても構わない。或いは、反射電子は、2次電子光学系152を移動中に分離され、マルチ検出器222まで到達しない場合であっても構わない。マルチ検出器222によって検出された各サブ照射領域29内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、比較回路108に転送される。
ステージ105が連続移動しながらマルチ1次電子ビーム20を基板101に照射する場合、マルチ1次電子ビーム20の照射位置がステージ105の移動に追従するように主偏向器208によって一括偏向によるトラッキング動作が行われる。そのため、マルチ2次電子ビーム300の放出位置がマルチ1次電子ビーム20の軌道中心軸に対して刻々と変化する。偏向器226では、かかるトラッキング動作による放出位置が変化した各2次電子ビームをマルチ検出器222の対応する検出領域内に照射させるように、さらに、マルチ2次電子ビーム300を一括偏向すると良い。
図7は、実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示す構成図である。図7において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置50,52,56、フレーム画像作成部54、位置合わせ部57、及び比較部58が配置される。フレーム画像作成部54、位置合わせ部57、及び比較部58といった各「~部」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。フレーム画像作成部54、位置合わせ部57、及び比較部58内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度図示しないメモリ、或いはメモリ118に記憶される。
比較回路108内に転送された測定画像データ(ビーム画像)は、記憶装置50に格納される。
そして、フレーム画像作成部54は、各1次電子ビーム8のスキャン動作によって取得されたサブ照射領域29の画像データをさらに分割した複数のフレーム領域30のフレーム領域30毎のフレーム画像31を作成する。そして、フレーム領域30を被検査画像の単位領域として使用する。なお、各フレーム領域30は、画像の抜けが無いように、互いにマージン領域が重なり合うように構成されると好適である。作成されたフレーム画像31は、記憶装置56に格納される。
参照画像作成工程(S104)として、参照画像作成回路112は、基板101に形成された複数の図形パターンの元になる設計データに基づいて、フレーム領域30毎に、フレーム画像31に対応する参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、この読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
上述したように、設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとなる。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに、所定のフィルタ関数を使ってフィルタ処理を施す。これにより、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データをマルチ1次電子ビーム20の照射によって得られる像生成特性に合わせることができる。作成された参照画像の画素毎の画像データは比較回路108に出力される。比較回路108内に転送された参照画像データは、記憶装置52に格納される。
比較工程(S110)として、まず、位置合わせ部57は、被検査画像となるフレーム画像31と、当該フレーム画像31に対応する参照画像とを読み出し、画素より小さいサブ画素単位で、両画像を位置合わせする。例えば、最小2乗法で位置合わせを行えばよい。
そして、比較部58は、取得された2次電子画像の少なくとも一部と所定の画像とを比較する。ここでは、ビーム毎に取得されたサブ照射領域29の画像をさらに分割したフレーム画像を用いる。そこで、比較部58は、フレーム画像31と参照画像とを画素毎に比較する。比較部58は、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎の階調値差が判定閾値Thよりも大きければ欠陥或いは欠陥候補と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、若しくはメモリ118に出力される、或いはプリンタ119より出力されればよい。
なお、上述した例では、ダイ-データベース検査について説明したが、これに限るものではない。ダイ-ダイ検査を行う場合であっても良い。ダイ-ダイ検査を行う場合、対象となるフレーム画像31(ダイ1)と、当該フレーム画像31と同じパターンが形成されたフレーム画像31(ダイ2)(参照画像の他の一例)との間で、上述した位置合わせと比較処理を行えばよい。
ここで、基板101のマルチビーム検査において、平面的な形状の検査だけではなく、立体的な形状についても把握したいといった要求がある。例えば、上述した形状欠陥検査で欠陥と判定された欠陥候補について立体的な形状を確認したいといった要求がある。かかる場合には、立体形状を確認の上、本当の欠陥かどうかを判定する。その他、上述したように、例えば、基板上に生じた段差箇所でホワイトバンドが生じ得る。パターン寸法が微細になると両エッジで生じたホワイトバンドが重なりパターン形状の判別が困難になる場合がある。エッジ位置での立体形状がわかれば、パターン形状を判別できる。また、例えば、EUVマスクは高精度な平坦度が要求される。マスクパターンの3次元形状の出来栄えがウェハのレジストパターンの3次元形状に影響することが考えられる。また、パターンに限らず位相欠陥を検査するためにEUVマスクの凹凸を把握したいといった要求がある。以下、実施の形態1では、一例として、上述した形状欠陥検査で欠陥と判定された欠陥候補について立体形状を測定する場合を説明する。
図8は、実施の形態1におけるパターンの斜面に電子ビームが照射された場合に放出される2次電子の様子を説明するための図である。図8において、立体的パターンの例えば左斜面に1次電子ビームが略垂直入射すると、2次電子は右側よりも左側に向かって多く放出される。逆に、立体的パターンの右斜面に1次電子ビームが略垂直入射すると、2次電子は左側よりも右側に向かって多く放出される。
図9は、実施の形態1における基板表面の凹凸面に電子ビームが照射された場合に放出される2次電子の様子を説明するための図である。図9の例では、EUVマスクブランクスの多層膜の一部を示している。EUVマスクでは、多層膜内の歪による位相欠陥を検出する必要がある。位相欠陥によって表面に凹凸が出来る。例えば、図9に示すように凸部の左斜面に1次電子ビームが垂直入射すると、右側よりも左側に多く2次電位が放出される。
そこで、実施の形態1では、1次電子ビームの照射位置からの2次電子ビームを放出方向毎に分離して検出することで、照射位置の立体形状として、斜面(立ち上がり部分、或いは立ち下がり部分)の有無と立体形状におけるその斜面の位置関係(斜面の配置方向)を取得する。また、マルチビームでは、基板101の照射位置付近に複数の検出器をビーム毎に個別に配置することは困難である。そこで、実施の形態1では、マルチ検出器222を用いて検出する。通常のままでは放出方向毎に分離して検出することは困難である。そのため、実施の形態1では以下のように工夫する。
図10は、実施の形態1における立体形状の検出方法を説明するための図である。図10では、マルチ1次電子ビーム20のうち代表1次電子ビーム21の中心軌道と結像系軌道を点線で示している。代表1次電子ビーム21として例えば中心ビームを示している。また、マルチ2次電子ビーム300のうち代表2次電子ビーム301の中心軌道と結像系軌道を実線で示している。代表2次電子ビーム301として例えば中心ビームを示している。また、代表2次電子ビーム301の中心軌道は、基板101上をスキャンした際のある位置で放出された軌道を一例として示している。実施の形態1では、1本のビームを用いて検出する場合を説明する。
ビーム選択工程(S120)として、ビーム選択部60は、マルチ1次電子ビーム20から代表1次電子ビーム21を選択する。例えば、マルチ1次電子ビーム20の中心ビームを代表1次電子ビーム21として選択する。
図11は、実施の形態1におけるビーム選択の仕方を説明するための図である。ビーム選択機構は、ビーム選択アパーチャ基板232及び駆動機構234を有する。ビーム選択アパーチャ基板232は、マルチ1次電子ビーム20から代表1次電子ビーム21を選択的に通過させる。具体的には以下のように動作する。ビーム選択アパーチャ基板232には、小開口13と大開口11が形成される。図11において、小開口13は、1次電子ビームが1本通過可能なサイズに形成される。大開口11は、マルチ1次電子ビーム20全体が通過可能なサイズに形成される。ビーム選択アパーチャ制御回路136の制御のもと、駆動機構234は、ビーム選択アパーチャ基板232を水平移動させることによって、マルチ1次電子ビーム20のうち1本の1次電子ビームの軌道上に小開口13の位置を合わせることで、かかる1本の1次電子ビームを選択的に通過させることができる。
ビーム選択アパーチャ基板232を通過した代表1次電子ビーム21は、E×B分離器214の高さ位置で中間像面を形成する。そして、代表1次電子ビーム21は、電磁レンズ215、及び電磁レンズ207によって屈折させられ、基板101上に結像する。基板101から放出された代表1次電子ビーム21に対応する代表2次電子ビーム301は、対物レンズとなる電位レンズ207を通過後に中間像面を形成し、電磁レンズ215に進む。代表2次電子ビーム301は、電磁レンズ215を通過後、E×B分離器214に進む。E×B分離器214は、代表1次電子ビーム21の照射に起因して基板101から放出される代表2次電子ビーム301を代表1次電子ビーム21から分離する。また、分離された代表2次電子ビーム301は、電磁レンズ215のレンズ作用によって偏向器218の中間位置に中間像面を形成する。代表2次電子ビーム301は、偏向器218によってさらに偏向され、電磁レンズ224に進む。代表2次電子ビーム301は、電磁レンズ224によってマルチ検出器222に投影される。
その際、通常、1本の2次電子ビーム301は、マルチ検出器222の対応する1つの検出エレメントで検出される。図10に示すように、代表1次電子ビーム21の照射位置では、広範囲の方向に2次電子が放出される。例えば、左上方向に放出される2次電子もある。また、右上方向に放出される2次電子もある。また、図10の紙面手前側上方向に放出される2次電子もある。また、図10の紙面奥側上方向に放出される2次電子もある。代表2次電子ビーム301は、各方向に放出された2次電子の集合体である。各方向に放出された2次電子は、代表2次電子ビーム301の軌道内において、それぞれの部分領域内を通過しながら進んでいく。実施の形態1では、代表2次電子ビーム301を基板101上からの放出方向毎に分離して別々の検出エレメントで検出する。そのために、次の動作を行う。
2次ビーム径調整工程(S122)として、2次ビーム径調整部61は、マルチ検出器222上に投影する2次ビーム径を調整する。例えば、マルチ検出器222の検出面上でのビーム径をマルチ検出器222の検出エレメントの3ピッチ分のサイズに調整する。レンズ制御回路124は、調整されたサイズになるように電磁レンズ224の励磁を制御する。これにより、電磁レンズ224は、代表2次電子ビーム301をマルチ検出器222の2以上の検出エレメント(検出素子)に跨るように投影する。
図12は、実施の形態1における代表2次電子ビームと検出エレメントとの対応関係の一例を示す図である。図12の例では、通常の画像取得時に使用する検出エレメントを中心に3×3個の検出エレメント17に跨るように代表2次電子ビーム301を投影する場合を示している。図12の例では、中心の検出エレメントを挟んで2次ビーム座標系のx方向に1個ずつの検出エレメントに跨るようにビームサイズを調整する場合を示している。同様に、中心の検出エレメントを挟んで2次ビーム座標系のy方向に1個ずつの検出エレメントに跨るようにビームサイズを調整する場合を示している。中心の検出エレメントを挟んで2次ビーム座標系の斜め方向にそれぞれ1個ずつの検出エレメントの一部に跨るようにビームサイズを調整する場合を示している。代表2次電子ビーム301は、対象の検出エレメント全体と重複する必要は無い。両側の検出エレメントで検出される強度の違いを取得したいので、中心の検出エレメントを挟んで両側の対称位置に配置される検出エレメント同士について、重複する割合が同じになるようにビーム径が調整できればよい。
図13は、実施の形態1の変形例における代表2次電子ビームと検出エレメントとの対応関係の一例を示す図である。図13の例では、前提として、例えば、偏向器218と電磁レンズ224との間に非点補正器227を配置する。そして、2次ビーム座標系のx方向或いはy方向にビームを扁平した状態で拡大する。これにより、x方向とy方向との一方の方向にだけ中心の検出エレメントを挟んで両側に1個ずつの検出エレメントに跨るようにビームサイズを調整できる。例えば、パターンの斜面の方向が一方向に決まっているのであれば、一方向だけ検出するようにしても好適である。
スキャン/画像検出工程(S130)として、偏向器209によるビーム偏向によって代表1次電子ビーム21で検出対象位置を含むスキャン領域をスキャン(走査)する。例えば、x方向のラインスキャン動作をy方向に向かって位置をずらしながら複数回行うことで所定のスキャン領域をスキャンできる。スキャン動作の各位置からは代表2次電子ビーム301が放出される。放出された代表2次電子ビーム301は、電磁レンズ207,215、E×B分離器214、偏向器218、及び電磁レンズ224を通過してマルチ検出器222に投影される。その際、電磁レンズ224は、代表2次電子ビーム301をマルチ検出器222の2以上の検出エレメント(検出素子)に跨るように投影する。代表2次電子ビーム301の中心を検出エレメント同士間に合わせれば、隣接する2つの検出エレメントによって、2方向の放出方向について分離して代表2次電子ビーム301を検出できる。図12の例では、代表2次電子ビーム301は、例えば、3×3個の検出エレメント(検出素子)に跨るように投影される。アレイ配置された複数の検出エレメントを有するマルチ検出器222は、代表1次電子ビーム21から分離された代表2次電子ビーム301を複数の検出エレメントのうち2以上の検出素子で検出する。マルチ検出器222は、かかる検出によって、基板101の代表2次電子ビーム301の放出位置の立体形状データを取得する。なお、スキャン動作によって刻々と変化する代表1次電子ビーム21の照射位置に追従するように、偏向器226は代表2次電子ビーム301を所定の2以上の検出エレメントに照射するように偏向する。
図12の例では、図10の基板101から右上に放出された2次電子は、3×3の検出エレメントのうち、例えば、下段の中央の検出エレメント17で検出される。図10の基板101から左上に放出された2次電子は、3×3の検出エレメントのうち、例えば、上段の中央の検出エレメント17で検出される。図10の基板101から真上に放出された2次電子は、3×3の検出エレメントのうち、例えば、中段の中央の検出エレメント17で検出される。各検出エレメントによって検出されたスキャン領域内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、立体形状取得回路134に転送される。立体形状取得回路134内では、各検出エレメントによって検出された測定画像データは、立体形状データとして記憶装置69に格納される。
図14は、実施の形態1における立体形状画像の一例を示す図である。ここでは、図14(a)に示す1次ビーム座標系のx、z方向断面及びy、z方向断面が台形状のピンドットパターンを撮像した場合を示す。図14(b)には、中心の検出エレメントを上下左右に1つずつの合計5個の検出エレメントで検出される画像の一例を示している。ここでは、2次電子がより多く放出される放出方向に合わせて5個の検出エレメントの配列位置を変えて示している。図14(b)の中心の検出エレメント(PD中心)で検出される画像では、矩形の中にもう1つの矩形が配置される画像が得られるものの、台形の斜面かどうかは判別困難である。これに対して、左の検出エレメント(PD上)では、2次電子の検出強度が大きい部分が台形の左斜面であることがわかる。同様に、右の検出エレメント(PD下)では、2次電子の検出強度が大きい部分が台形の右斜面であることがわかる。同様に、上の検出エレメント(PD右)では、2次電子の検出強度が大きい部分が台形の上斜面(y方向斜面)であることがわかる。同様に、下の検出エレメント(PD左)では、2次電子の検出強度が大きい部分が台形の上斜面(-y方向斜面)であることがわかる。このように、放出方向毎に分離して代表2次電子ビーム301を検出することで、台形状のピンドットパターンの立体形状を把握できる。
なお、上述した立体画像として立体形状データを得る場合の他、プロファイルとして立体形状を取得できる。
差分演算工程(S132)として、差分演算部63は、代表2次電子ビーム301の放出位置(画素)毎に、1次ビーム座標系のx方向に並ぶ両側の2つの検出エレメントで検出される強度の差分を演算する。例えば、左上に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力から右上に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力を差し引いた差分を演算する。或いは、単純な差分ではなく2乗差を算出してもよい。算出された結果が正の値であれば、x方向について立体形状の左側の斜面であることがわかる。算出された結果が負の値であれば、x方向について立体形状の右側の斜面であることがわかる。
例えば、手前上側に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力から奥側上に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力を差し引いた差分を演算する。或いは、単純な差分ではなく2乗差を算出してもよい。算出された結果が正の値であれば、y方向について立体形状の手前側の斜面であることがわかる。算出された結果が負の値であれば、x方向について立体形状の奥側の斜面であることがわかる。
3×3の検出エレメントで検出される場合には、斜め方向の両側の一方から放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力から他方から放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力を差し引いた差分を演算する。これにより、斜め方向についても斜面の配置位置を特定できる。
差分データは、立体形状データの一例である。差分データは記憶装置69に格納される。
プロファイル作成工程(S134)として、プロファイル作成部64は、1次ビーム座標系のx方向について立体形状のプロファイルを作成する。同様に、y方向について立体形状のプロファイルを作成する。同様に、斜め方向(例えば45度、135度)について立体形状のプロファイルを作成しても好適である。プロファイルデータは、立体形状データの一例である。プロファイルデータは記憶装置69に格納される。
図15は、実施の形態1におけるプロファイルの一例を示す図である。図15の例では、対象の方向について差分がゼロであるパターン(凸部)外の位置から正の値に切り替わりパターン(凸部)の左斜面となる。そして、また差分がゼロになりパターン(凸部)の頂面となった後、差分が負の値に切り替わりパターン(凸部)の右斜面となる。なお、立体形状の斜面の垂直方向からの角度θは以下の式(1)で定義できる。kは係数を示す。Aは左上に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力、Bは右上に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力を示す。Aは水平面の位置で左上に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力、Bは水平面の位置で右上に放出される2次電子を検出した検出エレメントの出力を示す。
(1) tanθ=k(A-B)/(A+B
取得された立体形状データは、記憶装置109、若しくはメモリ118に出力される、或いはプリンタ119より出力されればよい。或いは図示しないモニタに立体画像、差分データ、若しくはプロファイルとして表示される。
以上のように、実施の形態1によれば、マルチ1次電子ビームを照射可能な装置において、マルチ検出器222を使って2次電子ビームの放出位置の立体形状を把握できる。ユーザはかかる立体形状データから立体形状を把握できる。形状欠陥候補については、かかる立体形状を把握した上で最終的に欠陥かどうかを判断すればよい。
実施の形態2.
実施の形態1では、マルチ1次電子ビーム20から1本の代表ビームを選択して用いたが、これに限るものではない。実施の形態2では、マルチ1次電子ビーム20の本数分と同じ本数のマルチ2次電子ビーム300についてそれぞれ放出方向毎に分離した立体形状データを同時期に取得する構成について説明する。
図16は、実施の形態2における検査方法の要部工程の一例を示すフローチャート図である。図16において、実施の形態2における検査方法の要部工程は、ビーム選択工程(S120)と2次ビーム径調整工程(S122)との代わりに、アパーチャ位置調整工程(S124)を実施する点、アパーチャ位置調整工程(S124)とスキャン/画像検出工程(S130)とを繰り返す点、以外は、図6と同様である。また、画像検出によって得られた立体形状データがあれば良い場合、差分演算工程(S132)と、プロファイル作成工程(S134)を省略しても良い。
図17は、実施の形態2における立体形状の検出方法を説明するための図である。図17では、マルチ1次電子ビーム20のうち例えば中心1次電子ビーム7の中心軌道と結像系軌道を点線で示している。また、マルチ2次電子ビーム300のうち例えば中心2次電子ビーム303の中心軌道と結像系軌道を実線で示している。また、中心2次電子ビーム303の中心軌道は、基板101上をスキャンした際のある位置で放出された軌道を一例として示している。実施の形態1では、マルチ1次電子ビーム20全体を用いて検出する場合を説明する。或いはマルチ1次電子ビーム20のうち2以上の1次電子ビームを用いて検出する場合も同様である。
図17に示すように、実施の形態2における検査装置100の構成は、ビーム選択アパーチャ基板232及び駆動機構234が省略された点、電磁レンズ224が2以上の電磁レンズ224-1,224-2の組み合わせによる組み合わせレンズである点、電磁レンズ224-1,224-2の間にアパーチャ基板228が配置された点、及びアパーチャ基板228を2次ビーム座標系のx,y面の2次元方向に移動させる駆動機構229が配置された点、以外は、図1と同様である。また、アパーチャ基板228は、マルチ1次電子ビーム20から分離された後のマルチ2次電子ビーム300のクロスオーバー位置に配置される。言い換えれば、2次ビーム座標系のz方向に対してクロスオーバー位置に配置される。2次ビーム座標系のz方向はマルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸を示す。2次ビーム座標系のx、y方向はマルチ2次電子ビーム300の軌道中心軸と直交する面内の直交する2方向を示す。クロスオーバー位置での2次ビーム座標系のx方向は、例えば図17紙面の奥から手前に向かう方向を示す。クロスオーバー位置での2次ビーム座標系のy方向は、例えば図17紙面の下から上に向かう方向を示す。
アパーチャ基板228には、小開口19と大開口(図示せず)が形成される。但し、大開口は、クロスオーバー位置でのビーム径のマルチ2次電子ビーム300全体が通過可能なサイズに形成される。よって、図11に示したビーム選択アパーチャ基板232の大開口11よりは十分小さいサイズで良い。被検査画像取得工程(S102)では、かかる大開口をマルチ2次電子ビーム300全体が通過する。また、小開口19は、クロスオーバー位置でのビーム径より小さいサイズ、例えば、1/2未満のサイズで形成される。小開口19は、クロスオーバー位置で1点に集束したマルチ2次電子ビーム300の一部が通過可能なサイズに形成される。マルチ2次電子ビーム300の一部は、マルチ2次電子ビーム300の中心軌道軸から外れた領域を示す。図17の例では、例えば、回転対称に向きを変えた扇型の4つの小開口19がアパーチャ基板228に形成される。マルチ2次電子ビーム300がアパーチャ基板228に照射され、その一部が4つの小開口19の1つを通過する場合に、他の小口径19にマルチ2次電子ビーム300が重ならないように4つの小開口19は離れて形成される。
また、以下に説明する点以外の内容は、実施の形態1と同様である。
被検査画像取得工程(S102)と、参照画像作成工程(S104)と、比較工程(S110)と、の各工程の内容は実施の形態1と同様である。
アパーチャ位置調整工程(S124)として、駆動機構229は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部に小開口19が位置するようにアパーチャ基板228を移動させる。例えば、図17に示すように、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における下側領域に小開口19が位置するようにアパーチャ基板228を移動させる。これにより、アパーチャ基板228は、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部を通過させ、残部を遮蔽する。例えば、図17に示すように、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における下側領域部分を通過させ、残りを遮蔽する。小開口19を通過したマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの下側領域部分は、電磁レンズ224-1,224-2によってマルチ検出器222の対応する1つの検出エレメント17に結像される。例えば、中心2次電子ビーム303-1は、アパーチャ基板228によって軌道中心から外れた一部を残して残りが遮蔽される。中心2次電子ビーム303-1のうちアパーチャ基板228を通過した中心2次電子ビーム303-2がマルチ検出器222の対応する1つの検出エレメント17に結像される。図17の例では、クロスオーバー位置での中心2次電子ビーム303-1の断面のうち下側領域部分が中心2次電子ビーム303-2となってマルチ検出器222の対応する1つの検出エレメント17に結像される場合を示している。
その他の2次電子ビームについても同様にアパーチャ基板228によって軌道中心から外れた一部を残して残りが遮蔽される。そして、各2次電子ビームのアパーチャ基板228を通過した一部が、それぞれ対応する検出エレメントに結像される。
なお、電磁レンズ224-1,224-2は、各2次電子ビームのアパーチャ基板228を通過した一部をマルチ検出器222のそれぞれ対応する検出エレメントに分離して投影できれば良く、結像できていなくても構わない。言い換えれば、各2次電子ビームが分離できていれば各2次電子ビームはボケた状態であっても構わない。
スキャン/画像検出工程(S130)として、偏向器209によるマルチ1次電子ビーム20の一括偏向によってマルチ1次電子ビーム20でそれぞれ検出対象位置を含むスキャン領域をスキャン(走査)する。例えば、x方向のラインスキャン動作をy方向に向かって位置をずらしながら複数回行うことで各1次電子ビームがそれぞれの所定のスキャン領域をスキャンできる。スキャン動作の各位置からは2次電子ビームが放出される。よって、マルチ2次電子ビーム300が放出される。放出されたマルチ2次電子ビーム300は、電磁レンズ207,215、E×B分離器214、偏向器218、及び電磁レンズ224を通過してマルチ検出器222に結像(或いは投影)される。その際、アパーチャ基板228は、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部を通過させ、残部を遮蔽する。マルチ検出器222は、通過した各2次電子ビームの一部を個別に検出する。図17の例では、マルチ検出器222によって、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における下側領域部分が個別に検出される。なお、スキャン動作によって刻々と変化するマルチ1次電子ビーム20の照射位置に追従するように、偏向器226はマルチ2次電子ビーム300がそれぞれ対応する検出エレメントに照射されるようにマルチ2次電子ビーム300を一括偏向する。
駆動機構229は、アパーチャ基板228を通過させるマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの一部の位置を変更するようにアパーチャ基板228を移動させる。マルチ検出器222は、アパーチャ基板228を通過させる一部の位置を変更した状態で、通過した各2次電子ビームの一部を個別に検出する。各2次電子ビームの軌道中心から外れた異なる2か所以上の各2次電子ビームの一部を検出することによって、基板101の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得する。そのために、アパーチャ位置調整工程(S124)と、前回と同じ位置のスキャン/画像検出工程(S130)と、を繰り返す。例えば、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における上側領域部分を通過させ、残りを遮蔽する。そして、マルチ検出器222は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における上側領域部分を個別に検出する。同様に、例えば、アパーチャ基板228を通過させる一部の位置を変更し、マルチ検出器222は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における左側領域部分を個別に検出する。同様に、例えば、アパーチャ基板228を通過させる一部の位置を変更し、マルチ検出器222は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における右側領域部分を個別に検出する。マルチ検出器222は、かかる検出によって、基板101の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データをそれぞれ取得する。
図18は、実施の形態2におけるマルチ2次電子ビームと各検出エレメントとの対応関係の一例を示す図である。マルチ2次電子ビーム300のアパーチャ基板228を通過した各2次電子ビームの一部は、それぞれ対応する検出エレメント17で検出される。中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図17の基板101から右上に放出された2次電子は、1回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図17の基板101から左上に放出された2次電子は、2回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図17の基板101から手前上側に放出された2次電子は、3回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図17の基板101から奥上側に放出された2次電子は、4回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。
アパーチャ基板228が配置されるクロスオーバー位置でのビーム断面における各領域(上下左右の各領域)が、各2次電子ビームのどの放出方向に対応するのかは、2次電子ビーム毎に予め対応関係を実験或いはシミュレーション等により取得しておけばよい。
各検出エレメントによって検出されたスキャン領域内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、立体形状取得回路134に転送される。立体形状取得回路134内では、各検出エレメントによって検出された測定画像データは、立体形状データとして記憶装置69に格納される。
差分演算工程(S132)として、差分演算部63は、2次電子ビーム毎に、かつ当該2次電子ビームの放出位置(画素)毎に、1次ビーム座標系のx方向に並ぶ両側の2つの検出エレメントで検出される強度の差分を演算する。例えば、左上に放出される2次電子を検出した際の検出エレメントの出力から右上に放出される2次電子を検出した際の検出エレメントの出力を差し引いた差分を演算する。或いは、単純な差分ではなく2乗差を算出してもよい。算出された結果が正の値であれば、x方向について立体形状の左側の斜面であることがわかる。算出された結果が負の値であれば、x方向について立体形状の右側の斜面であることがわかる。
例えば、手前上側に放出される2次電子を検出した際の検出エレメントの出力から奥側上に放出される2次電子を検出した際の検出エレメントの出力を差し引いた差分を演算する。或いは、単純な差分ではなく2乗差を算出してもよい。算出された結果が正の値であれば、y方向について立体形状の手前側の斜面であることがわかる。算出された結果が負の値であれば、x方向について立体形状の奥側の斜面であることがわかる。
アパーチャ基板228の小開口19の位置を調整することで、斜め方向の両側の一方から放出される2次電子を検出した際の検出エレメントの出力から他方から放出される2次電子を検出した際の検出エレメントの出力を差し引いた差分を演算する。これにより、斜め方向についても斜面の配置位置を特定できる。
差分データは、立体形状データの一例である。差分データは記憶装置69に格納される。
プロファイル作成工程(S134)として、プロファイル作成部64は、2次電子ビーム毎に、1次ビーム座標系のx方向について立体形状のプロファイルを作成する。同様に、y方向について立体形状のプロファイルを作成する。同様に、斜め方向(例えば45度、135度)について立体形状のプロファイルを作成しても好適である。プロファイルデータは、立体形状データの一例である。プロファイルデータは記憶装置69に格納される。
取得された立体形状データは、記憶装置109、若しくはメモリ118に出力される、或いはプリンタ119より出力されればよい。或いは図示しないモニタに立体画像、差分データ、若しくはプロファイルとして表示される。
以上のように、実施の形態2によれば、マルチ1次電子ビームを照射可能な装置において、マルチ検出器222を使って各2次電子ビームの放出位置の立体形状を同時期に把握できる。
実施の形態3.
実施の形態2では、アパーチャ基板228を移動させることにより、各2次電子ビームの検出される領域を分離する構成について説明した。各2次電子ビームの検出される領域を分離する手法はこれに限るものではない。
図19は、実施の形態3における立体形状の検出方法を説明するための図である。図19では、マルチ1次電子ビーム20のうち例えば中心1次電子ビーム7の中心軌道と結像系軌道を点線で示している。また、マルチ2次電子ビーム300のうち例えば中心2次電子ビーム303の中心軌道と結像系軌道を実線で示している。また、中心2次電子ビーム303の中心軌道は、基板101上をスキャンした際のある位置で放出された軌道を一例として示している。実施の形態1では、マルチ1次電子ビーム20全体を用いて検出する場合を説明する。或いはマルチ1次電子ビーム20のうち2以上の1次電子ビームを用いて検出する場合も同様である。
図19に示すように、実施の形態3における検査装置100の構成は、ビーム選択アパーチャ基板232及び駆動機構234が省略された点、電磁レンズ224が2以上の電磁レンズ224-1,224-2の組み合わせによる組み合わせレンズである点、電磁レンズ224-1,224-2の間にアパーチャ基板231が配置された点、及び偏向器233を配置した点、以外は、図1と同様である。偏向器233は、偏向器218とアパーチャ基板231との間に配置される。言い換えれば、偏向器233は、マルチ2次電子ビーム300の軌道上であってアパーチャ基板231の上流側に配置される。また、アパーチャ基板229は、マルチ1次電子ビーム20から分離された後のマルチ2次電子ビーム300のクロスオーバー位置に配置される。言い換えれば、2次ビーム座標系のz方向に対してクロスオーバー位置に配置される。
アパーチャ基板229には、開口部(図示せず)が形成される。但し、開口部は、クロスオーバー位置でのビーム径のマルチ2次電子ビーム300全体が通過可能なサイズに形成される。よって、図11に示したビーム選択アパーチャ基板232の大開口11よりは十分小さいサイズで良い。開口部は、マルチ2次電子ビーム300の中心軌道軸に合わせて配置される。言い換えれば、2次ビーム座標系のx、y平面内のクロスオーバー位置に配置される。
また、実施の形態3における検査方法の要部工程の内容は図16と同様である。以下に説明する点以外の内容は、実施の形態2と同様である。
被検査画像取得工程(S102)と、参照画像作成工程(S104)と、比較工程(S110)と、の各工程の内容は実施の形態1と同様である。
アパーチャ位置調整工程(S124)として、偏向器233(第1の偏向器)は、アパーチャ基板231を通過させるマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの一部の位置を変更するようにマルチ2次電子ビーム300を偏向する。実施の形態2では、アパーチャ基板228を移動させることで小開口19を通過する各2次電子ビームの一部の位置を変更した。しかし、実施の形態3では、アパーチャ基板231の配置位置を固定させた状態で、ビーム偏向によりアパーチャ基板231の開口部を通過する各2次電子ビームの一部の位置を変更する。偏向器233は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部がパーチャ基板231の開口部と重なるようにマルチ2次電子ビーム300を偏向する。例えば、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの断面のうち下側領域部分にアパーチャ基板231の開口部を通過させる。この場合、偏向器233は、マルチ2次電子ビーム300を相対的に上側に偏向する。図19の例では、クロスオーバー位置での中心2次電子ビーム303-1の断面のうち下側領域部分が中心2次電子ビーム303-2となってマルチ検出器222の対応する1つの検出エレメント17に結像される場合を示している。
その他の2次電子ビームについても同様にアパーチャ基板228によって軌道中心から外れた一部を残して残りが遮蔽される。そして、各2次電子ビームのアパーチャ基板228を通過した一部が、それぞれ対応する検出エレメントに結像される。
スキャン/画像検出工程(S130)を実施する。スキャン/画像検出工程(S130)の内容は実施の形態2と同様である。
偏向器233は、アパーチャ基板231を通過させるマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームの一部の位置を変更するようにマルチ2次電子ビーム300を一括偏向する。マルチ検出器222は、アパーチャ基板228を通過させる一部の位置を変更した状態で、通過した各2次電子ビームの一部を個別に検出する。各2次電子ビームの軌道中心から外れた異なる2か所以上の各2次電子ビームの一部を検出することによって、基板101の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得する。そのために、アパーチャ位置調整工程(S124)と、前回と同じ位置のスキャン/画像検出工程(S130)と、を繰り返す。例えば、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における上側領域部分を通過させ、残りを遮蔽する。そして、マルチ検出器222は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における上側領域部分を個別に検出する。同様に、例えば、アパーチャ基板228を通過させる一部の位置を変更し、マルチ検出器222は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における左側領域部分を個別に検出する。同様に、例えば、アパーチャ基板228を通過させる一部の位置を変更し、マルチ検出器222は、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における右側領域部分を個別に検出する。マルチ検出器222は、かかる検出によって、基板101の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データをそれぞれ取得する。
そして、実施の形態2と同様、中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図19の基板101から右上に放出された2次電子は、1回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図19の基板101から左上に放出された2次電子は、2回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図19の基板101から手前上側に放出された2次電子は、3回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。中心2次電子ビーム303-1のうち、例えば、図19の基板101から奥上側に放出された2次電子は、4回目のスキャン/画像検出工程(S130)で検出される。
アパーチャ基板231が配置されるクロスオーバー位置でのビーム断面における各領域(上下左右の各領域)が、各2次電子ビームのどの放出方向に対応するのかは、2次電子ビーム毎に予め対応関係を実験或いはシミュレーション等により取得しておけばよい。
各検出エレメントによって検出されたスキャン領域内の画素毎の2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、立体形状取得回路134に転送される。立体形状取得回路134内では、各検出エレメントによって検出された測定画像データは、立体形状データとして記憶装置69に格納される。
以降の工程の内容は実施の形態2と同様である。
実施の形態3によれば、アパーチャ基板の位置を機械的に移動させなくてもビーム偏向により、各2次電子ビームの検出される領域を分離できる。また、ビーム偏向による切り替え動作により機械的動作を無くすことができるので各領域の切り替え動作を高速化できる。
ここで、上述した例では、各2次電子ビームにおいて、それぞれ分離された各領域の部分ビームは同じ検出エレメントで検出される場合を説明した。但し、これに限るものではない。
図20は、実施の形態3の変形例におけるマルチ検出器の複数の検出エレメントの一例を示す図である。図20において、マルチ検出器222は、各2次電子ビームあたり2以上の検出素子を有する。図20の例では、3×3本の2次電子ビームの個別検出領域18が示されている。図20の例では、各個別検出領域18内に3×3個の合計9個の検出エレメントがアレイ配置される。言い換えれば、1本の2次電子ビームのあたり3×3個の合計9個の検出エレメントが用意される場合を示している。
実施の形態3の変形例では、同じ位置について繰り返し行う各スキャン/画像検出工程(S130)において、検出する各2次電子ビームの領域毎に、検出エレメント17を分ける。ここで、偏向器226(第2の偏向器)は、アパーチャ基板231とマルチ検出器222との間に配置される。そこで、偏向器226を使って検出エレメント17を区別する。偏向器226は、アパーチャ基板231を通過させる各2次電子ビームの一部の位置の変更に連動する。言い換えれば、偏向器226は、偏向器233の偏向方向に同期して偏向する。そして、偏向器226は、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームがそれぞれ入射する検出エレメントを2以上の検出エレメントのうちで切り替えるようにマルチ2次電子ビーム300を偏向する。
例えば、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における下側領域部分を通過させ、残りを遮蔽する。この場合、マルチ検出器222の各個別検出領域18では、下段中央の検出エレメント17でそれぞれ各2次電子ビームのビーム断面における下側領域部分を検出する。
例えば、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における上側領域部分を通過させ、残りを遮蔽する。この場合、マルチ検出器222の各個別検出領域18では、上段中央の検出エレメント17でそれぞれ各2次電子ビームのビーム断面における上側領域部分を検出する。
例えば、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における左側領域部分を通過させ、残りを遮蔽する。この場合、マルチ検出器222の各個別検出領域18では、中段左の検出エレメント17でそれぞれ各2次電子ビームのビーム断面における左側領域部分を検出する。
例えば、クロスオーバー位置でのマルチ2次電子ビーム300の各2次電子ビームのビーム断面における右側領域部分を通過させ、残りを遮蔽する。この場合、マルチ検出器222の各個別検出領域18では、中段右の検出エレメント17でそれぞれ各2次電子ビームのビーム断面における右側領域部分を検出する。
例えば、各2次電子ビームのビーム断面における右斜め上側領域部分を通過させた場合に、各個別検出領域18では、上段右の検出エレメント17で検出する。例えば、各2次電子ビームのビーム断面における右斜め下側領域部分を通過させた場合に、各個別検出領域18では、下段右の検出エレメント17で検出する。例えば、各2次電子ビームのビーム断面における左斜め上側領域部分を通過させた場合に、各個別検出領域18では、上段左の検出エレメント17で検出する。例えば、各2次電子ビームのビーム断面における左斜め下側領域部分を通過させた場合に、各個別検出領域18では、下段左の検出エレメント17で検出する。
マルチ検出器222は、かかる検出によって、基板101の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データをそれぞれ取得する。
なお、被検査画像取得工程(S102)では、中段中央の検出エレメント17で検出すればよい。
実施の形態3の変形例によれば、検出エレメント17を分けることで、データの取り出し時間を遅く設定できる。よって、検出エレメントの応答性を下げることができる。よって、スペックに余裕を生むことができる。
図21は、実施の形態3の変形例におけるスキャン順序の一例を示す図である。図21(a)の例では、立体形状データを取得する場合に4回のスキャン動作を行う。数字はスキャン順序を示す。1回目のスキャン動作では、偏向器226によって右の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。2回目のスキャン動作では、偏向器226によって上の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。3回目のスキャン動作では、偏向器226によって左の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。4回目のスキャン動作では、偏向器226によって下の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。
図21(b)の例では、立体形状データを取得する場合に4回のスキャン動作を行う。数字はスキャン順序を示す。1回目のスキャン動作では、偏向器226によって右上の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。2回目のスキャン動作では、偏向器226によって左上の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。3回目のスキャン動作では、偏向器226によって左下の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。4回目のスキャン動作では、偏向器226によって右下の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。
図21(c)の例では、立体形状データを取得する場合に8回のスキャン動作を行う。数字はスキャン順序を示す。3×3個の検出エレメントについて、中心検出エレメントの右側の検出エレメントから反時計回りに8回のスキャン動作の各回で検出する検出エレメントが入れ替わる。
図22は、実施の形態3の変形例におけるスキャン順序の他の一例を示す図である。図22(a)では、左右方向の立体形状データを取得する場合に2回のスキャン動作を行う。数字はスキャン順序を示す。1回目のスキャン動作では、偏向器226によって右の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。2回目のスキャン動作では、偏向器226によって左の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。
図22(b)では、上下方向の立体形状データを取得する場合に2回のスキャン動作を行う。数字はスキャン順序を示す。1回目のスキャン動作では、偏向器226によって上の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。2回目のスキャン動作では、偏向器226によって下の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。
図22(c)では、右上がり斜め方向の立体形状データを取得する場合に2回のスキャン動作を行う。数字はスキャン順序を示す。1回目のスキャン動作では、偏向器226によって右上の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。2回目のスキャン動作では、偏向器226によって左下の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。
図22(d)では、右下がり斜め方向の立体形状データを取得する場合に2回のスキャン動作を行う。数字はスキャン順序を示す。1回目のスキャン動作では、偏向器226によって左上の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。2回目のスキャン動作では、偏向器226によって右下の検出エレメントに各2次電子ビームは誘導される。
図21と図22において、各検出エレメントの位置と、クロスオーバー位置でアパーチャ基板231を通過する各2次電子ビームの断面の領域位置との対応関係は一致することが好適である。但し、これに限るものではない。別の対応関係に設定しても構わない。
以上の説明において、一連の「~回路」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、検出器ステージ制御回路130、立体形状取得回路134、及びビーム選択アパーチャ制御回路136は、上述した少なくとも1つの処理回路で構成されても良い。例えば、これらの回路内での処理を制御計算機110で実施しても良い。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。図1の例では、1つの照射源となる電子銃201から照射された1本のビームから成形アパーチャアレイ基板203によりマルチ1次電子ビーム20を形成する場合を示しているが、これに限るものではない。複数の照射源からそれぞれ1次電子ビームを照射することによってマルチ1次電子ビーム20を形成する態様であっても構わない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチ荷電粒子ビーム位置合わせ方法及びマルチ荷電粒子ビーム検査装置は、本発明の範囲に包含される。
7 中心1次電子ビーム
8 1次電子ビーム
11 大開口
13,19 小開口
17 検出エレメント
18 個別検出領域
20 マルチ1次電子ビーム
21 代表1次電子ビーム
22 穴
29 サブ照射領域
30 フレーム領域
31 フレーム画像
32 ストライプ領域
33 矩形領域
34 照射領域
50,52,56 記憶装置
54 フレーム画像作成部
57 位置合わせ部
58 比較部
60 ビーム選択部
61 2次ビーム径調整部
62 スキャン処理部
63 差分演算部
64 プロファイル作成部
69 記憶装置
100 検査装置
101 基板
102 電子ビームカラム
103 検査室
105 ステージ
106 検出回路
107 位置回路
108 比較回路
109 記憶装置
110 制御計算機
111 マーク
112 参照画像作成回路
114 ステージ制御回路
117 モニタ
118 メモリ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 チップパターンメモリ
124 レンズ制御回路
126 ブランキング制御回路
128 偏向制御回路
133 E×B制御回路
134 立体形状取得回路
136 ビーム選択アパーチャ制御回路
138 画像合成回路
142 駆動機構
144,146,148,149 DACアンプ
150 画像取得機構
151 1次電子光学系
152 2次電子光学系
160 制御系回路
201 電子銃
202 電磁レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
205,206,207,224 電磁レンズ
208 主偏向器
209 副偏向器
212 一括ブランキング偏向器
213 制限アパーチャ基板
214 E×B分離器
215 電磁レンズ
216 ミラー
218 偏向器
222 マルチ検出器
226 偏向器
227 非点補正器
228,231 アパーチャ基板
229 駆動機構
232 ビーム選択アパーチャ基板
233 偏向器
234 駆動機構
300 マルチ2次電子ビーム
301 代表2次電子ビーム
303 中心2次電子ビーム
330 検査領域
332 チップ

Claims (12)

  1. 基板を載置するステージと、
    マルチ1次電子ビームを放出する放出源と、
    前記マルチ1次電子ビームから所定の1次電子ビームを選択的に通過させるビーム選択機構と、
    前記所定の1次電子ビームの照射に起因して前記基板から放出される2次電子ビームを前記所定の1次電子ビームから分離する分離器と、
    複数の検出素子を有し、前記所定の1次電子ビームから分離された2次電子ビームを前記複数の検出素子のうち2以上の検出素子で検出することによって、前記基板の2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得するマルチ検出器と、
    前記2次電子ビームを前記2以上の検出素子に跨るように投影するレンズと、
    を備えたことを特徴とする電子ビーム立体形状データ取得装置。
  2. 前記所定の1次電子ビームは、前記マルチ1次電子ビームのうち1本の1次電子ビームであること特徴とする請求項1記載の電子ビーム立体形状データ取得装置。
  3. 基板を載置するステージと、
    マルチ1次電子ビームを放出する放出源と、
    前記マルチ1次電子ビームの照射に起因して前記基板から放出されるマルチ2次電子ビームを前記マルチ1次電子ビームから分離する分離器と、
    前記マルチ1次電子ビームから分離された前記マルチ2次電子ビームのクロスオーバー位置に配置され、開口部が形成され、前記マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部を通過させ、残部を遮蔽するアパーチャ基板と、
    複数の検出素子を有し、通過した各2次電子ビームの前記一部を個別に検出するマルチ検出器と、
    を備え、
    前記マルチ検出器は、さらに、前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置を変更した状態で、通過した各2次電子ビームの前記一部を個別に検出し、
    各2次電子ビームの軌道中心から外れた異なる2か所以上の各2次電子ビームの前記一部を検出することによって、前記基板の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得することを特徴とする電子ビーム立体形状データ取得装置。
  4. 前記マルチ2次電子ビームの軌道上であって前記アパーチャ基板の上流側に配置され、前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置を変更するように前記マルチ2次電子ビームを偏向する第1の偏向器をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の電子ビーム立体形状データ取得装置。
  5. 前記マルチ検出器は、各2次電子ビームあたり2以上の検出素子を有し、
    前記アパーチャ基板と前記マルチ検出器との間に配置され、前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置の変更に連動して、前記マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームがそれぞれ入射する検出素子を前記2以上の検出素子のうちで切り替えるように前記マルチ2次電子ビームを偏向する第2の偏向器をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載の電子ビーム立体形状データ取得装置。
  6. 前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置を変更するように前記アパーチャ基板を移動させる駆動機構をさらに備えたことを特徴とする請求項3記載の電子ビーム立体形状データ取得装置。
  7. マルチ1次電子ビームを放出する工程と、
    前記マルチ1次電子ビームから所定の1次電子ビームを選択的に通過させる工程と、
    前記所定の1次電子ビームの照射に起因して前記基板から放出される2次電子ビームを前記所定の1次電子ビームから分離する工程と、
    複数の検出素子を有するマルチ検出器を用いて、前記所定の1次電子ビームから分離された2次電子ビームを前記複数の検出素子のうち2以上の検出素子で検出することによって、前記基板の2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得する工程と、
    前記2次電子ビームを前記2以上の検出素子に跨るように投影する工程と、
    を備えたことを特徴とする電子ビーム立体形状データ取得方法。
  8. 前記所定の1次電子ビームは、前記マルチ1次電子ビームのうち1本の1次電子ビームであること特徴とする請求項7記載の電子ビーム立体形状データ取得方法。
  9. マルチ1次電子ビームを放出する工程と、
    前記マルチ1次電子ビームの照射に起因して前記基板から放出されるマルチ2次電子ビームを前記マルチ1次電子ビームから分離する工程と、
    前記マルチ1次電子ビームから分離された前記マルチ2次電子ビームのクロスオーバー位置に配置され、開口部が形成されたアパーチャ基板を用いて、前記マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームの軌道中心から外れた位置の各2次電子ビームの一部を通過させ、残部を遮蔽する工程と、
    複数の検出素子を有するマルチ検出器を用いて、通過した各2次電子ビームの前記一部を個別に検出する工程と、
    前記マルチ検出器を用いて、さらに、前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置を変更した状態で、通過した各2次電子ビームの前記一部を個別に検出する工程と、
    を備え、
    各2次電子ビームの軌道中心から外れた異なる2か所以上の各2次電子ビームの前記一部を検出することによって、前記基板の各2次電子ビームの放出位置の立体形状データを取得することを特徴とする電子ビーム立体形状データ取得方法。
  10. 前記マルチ2次電子ビームの軌道上であって前記アパーチャ基板の上流側に配置された第1の偏向器を用いて、前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置を変更するように前記マルチ2次電子ビームを偏向する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項9記載の電子ビーム立体形状データ取得方法。
  11. 前記マルチ検出器は、各2次電子ビームあたり2以上の検出素子を有し、
    前記アパーチャ基板と前記マルチ検出器との間に配置された第2の偏向器を用いて、前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置の変更に連動して、前記マルチ2次電子ビームの各2次電子ビームがそれぞれ入射する検出素子を前記2以上の検出素子のうちで切り替えるように前記マルチ2次電子ビームを偏向する工程をさらに備えたことを特徴とする請求項10記載の電子ビーム立体形状データ取得装置。
  12. 前記アパーチャ基板を通過させる前記一部の位置を変更するように前記アパーチャ基板を移動させる工程をさらに備えたことを特徴とする請求項9記載の電子ビーム立体形状データ取得方法。
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