JP7267857B2 - マルチ荷電粒子ビーム画像取得装置およびマルチ荷電粒子ビーム画像取得方法 - Google Patents

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Description

本発明は、マルチ荷電粒子ビーム画像取得装置およびマルチ荷電粒子ビーム画像取得方法に関する。例えば、検査装置で撮像される、電子線によるマルチビームを照射して放出されるパターンの2次電子画像の取得手法に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化及び大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅はますます狭くなってきている。そして、多大な製造コストのかかるLSIの製造にとって、歩留まりの向上は欠かせない。しかし、1ギガビット級のDRAM(ランダムアクセスメモリ)に代表されるように、LSIを構成するパターンは、サブミクロンからナノメータのオーダーになっている。近年、半導体ウェハ上に形成されるLSIパターン寸法の微細化に伴って、パターン欠陥として検出しなければならない寸法も極めて小さいものとなっている。よって、半導体ウェハ上に転写された超微細パターンの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。その他、歩留まりを低下させる大きな要因の一つとして、半導体ウェハ上に超微細パターンをフォトリソグラフィ技術で露光、転写する際に使用されるマスクのパターン欠陥があげられる。そのため、LSI製造に使用される転写用マスクの欠陥を検査するパターン検査装置の高精度化が必要とされている。
検査手法としては、半導体ウェハやリソグラフィマスク等の基板上に形成されているパターンを撮像した測定画像と、設計データ、あるいは基板上の同一パターンを撮像した測定画像と比較することにより検査を行う方法が知られている。例えば、パターン検査方法として、同一基板上の異なる場所の同一パターンを撮像した測定画像データ同士を比較する「die to die(ダイ-ダイ)検査」や、パターン設計された設計データをベースに設計画像データ(参照画像)を生成して、これとパターンを撮像した測定データとなる測定画像とを比較する「die to database(ダイ-データベース)検査」がある。撮像された画像は測定データとして比較回路へ送られる。比較回路では、画像同士の位置合わせの後、測定データと参照データとを適切なアルゴリズムに従って比較し、一致しない場合には、パターン欠陥有りと判定する。
上述したパターン検査装置には、レーザ光を検査対象基板に照射して、この透過像或いは反射像を撮像する装置の他、検査対象基板上を1次電子ビームで走査(スキャン)して、1次電子ビームの照射に伴い検査対象基板から放出される2次電子を検出して、パターン像を取得する検査装置の開発も進んでいる。1本の電子ビームを用いたシングルビーム方式に限らず、複数の電子ビームを用いたマルチビーム方式で画像を取得する装置の開発も進んでいる。かかる電子ビームにより取得される画像にはノイズ成分が含まれる。かかるノイズ成分は、電子量を増やすことで低減することもできる。しかし、電子量を増やすと試料にダメージを与えかねない。そこで、フィルタ処理によりノイズ成分を低減することも検討されているが、フィルタ処理では異なる位置の画像を使って平均化するため画像にいわゆるボケが生じてしまう。そのため、同じラインを繰り返し複数回のスキャン動作を行うことで同じ画像を複数回取得して、繰り返した回数で画像データの平均化処理を行うことが検討されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、複数回のスキャン動作を行ったのでは時間がかかってしまい、画像取得時間が長くなってしまうといった問題がある。また、マルチビーム方式では、ビーム毎のばらつきが大きいと、得られた画像を用いた検査において検出感度の安定性に問題が生じ得る。画像のノイズ低減の問題は、検査装置に限らず、電子ビームで画像を取得する装置全般に生じ得る。
特開2011-003930号公報
そこで、本発明の一態様は、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減が可能な画像取得装置および方法を提供する。
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム画像取得装置は、
試料を配置するステージとアレイ配置されるマルチ荷電粒子ビームを偏向する偏向器とを有し、設定された画像平均化度数に応じて、マルチ荷電粒子ビームの各ビームでスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージの移動方向と平行にマルチ荷電粒子ビームのうちの複数のビームが並ばないようにステージの移動方向の角度とマルチ荷電粒子ビームの配列方向の角度とを相対的にずらして、偏向器により偏向されるマルチ荷電粒子ビームで試料をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する画像取得機構と、
ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する平均化処理部と、
を備えたことを特徴とする。
また、ステージの移動方向の角度とマルチ荷電粒子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージの移動方向と平行な方向に延びる試料に対する各ビームの個別スキャン担当領域を設定する個別担当領域設定部をさらに備え、
各ビームのスキャン領域幅は、ステージの移動方向と直交する方向に他のビームの個別スキャン担当領域が含まれるように可変に設定されると好適である。
また、画像平均化度数は、2~マルチ荷電粒子ビームのビーム本数までの間で可変に設定されると好適である。
また、マルチ荷電粒子ビームの各ビームには、隣接ビームとの間のビーム間ピッチを1辺とする四角形の個別ブロック領域が設定され、
各ビームのスキャン領域幅は、2次元方向に他のビームの個別ブロック領域が含まれるようにサイズを変えて設定されるように構成しても好適である。
本発明の一態様のマルチ荷電粒子ビーム画像取得方法は、
設定された画像平均化度数に応じて、アレイ配置されるマルチ荷電粒子ビームの各ビームでスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、試料を配置するステージの移動方向と平行にマルチ荷電粒子ビームのうちの複数のビームが並ばないようにステージの移動方向の角度とマルチ荷電粒子ビームの配列方向の角度とを相対的にずらして、偏向器により偏向されるマルチ荷電粒子ビームで試料をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する工程と、
ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化し、出力する工程と、
を備えたことを特徴とする。
本発明の一態様によれば、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減ができる。
実施の形態1におけるパターン検査装置の構成の一例を示す構成図である。 実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。 実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。 実施の形態1と比較例とにおけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。 実施の形態1におけるスキャン領域設定回路の内部構成の一例を示す図である。 実施の形態1における補正回路の内部構成の一例を示す図である。 実施の形態1における検査方法の一例の要部工程を示すフローチャート図である。 実施の形態1における各ビームのスキャン幅の一例と、平均化処理の一例とを説明するための図である。 実施の形態1における各ビームのスキャン幅の他の一例と、平均化処理の一例とを説明するための図である。 実施の形態1における各ビームのラインスキャン方向と得られる画像との関係を説明するための図である。 実施の形態1における平均化処理の内容の他の一例を示す図である。 実施の形態1における重み付け処理を説明するための図である。 実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示す構成図である。 実施の形態2におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。 実施の形態3におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。 実施の形態4におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。 実施の形態5におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。 実施の形態6におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。 実施の形態7におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成の一例を示す構成図である。図1において、基板に形成されたパターンを検査する検査装置100は、マルチ電子ビーム検査装置の一例である。検査装置100は、画像取得機構150(2次電子画像取得機構)、及び制御系回路160を備えている。画像取得機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)及び検査室103を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、副偏向器209、ビームセパレーター214、偏向器218、電磁レンズ224、電磁レンズ226、及びマルチ検出器222が配置されている。図1の例において、電子銃201、電磁レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、電磁レンズ205、一括ブランキング偏向器212、制限アパーチャ基板213、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、主偏向器208、及び副偏向器209は、マルチ1次電子ビーム20を基板101に照射する1次電子光学系を構成する。ビームセパレーター214、偏向器218、電磁レンズ224、及び電磁レンズ226は、マルチ2次電子ビーム300をマルチ検出器222に照射する2次電子光学系を構成する。その他、電磁レンズ206の磁場中に、マルチ1次電子ビーム像を回転可能な静電レンズ215を配置しても好適である。
検査室103内には、少なくともXY方向に移動可能なステージ105が配置される。ステージ105上には、検査対象となる基板101(試料)が配置される。基板101には、露光用マスク基板、及びシリコンウェハ等の半導体基板が含まれる。基板101が半導体基板である場合、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されている。基板101が露光用マスク基板である場合、露光用マスク基板には、チップパターンが形成されている。チップパターンは、複数の図形パターンによって構成される。かかる露光用マスク基板に形成されたチップパターンが半導体基板上に複数回露光転写されることで、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されることになる。以下、基板101が半導体基板である場合を主として説明する。基板101は、例えば、パターン形成面を上側に向けてステージ105上に配置される。また、ステージ105上には、検査室103の外部に配置されたレーザ測長システム122から照射されるレーザ測長用のレーザ光を反射するミラー216が配置されている。マルチ検出器222は、電子ビームカラム102の外部で検出回路106に接続される。
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、スキャン領域設定回路140、画像補正回路141、磁気ディスク装置等の記憶装置109、モニタ117、メモリ118、及びプリンタ119に接続されている。また、偏向制御回路128は、DAC(デジタルアナログ変換)アンプ144,146,148に接続される。DACアンプ146は、主偏向器208に接続され、DACアンプ144は、副偏向器209に接続される。DACアンプ148は、偏向器218に接続される。
また、検出回路106は、チップパターンメモリ123に接続される。チップパターンメモリ123は、画像補正回路141に接続されている。また、ステージ105は、ステージ制御回路114の制御の下に駆動機構142により駆動される。駆動機構142では、例えば、ステージ座標系におけるX方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X-Y-θ)モータの様な駆動系が構成され、XYθ方向にステージ105が移動可能となっている。これらの、図示しないXモータ、Yモータ、θモータは、例えばステッピングモータを用いることができる。ステージ105は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、ステージ105の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。レーザ測長システム122は、ミラー216からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でステージ105の位置を測長する。
電磁レンズ202、電磁レンズ205、電磁レンズ206、電磁レンズ207(対物レンズ)、電磁レンズ224、電磁レンズ226、及びビームセパレーター214は、レンズ制御回路124により制御される。また、一括ブランキング偏向器212は、2極以上の電極により構成され、電極毎に図示しないDACアンプを介してブランキング制御回路126により制御される。副偏向器209は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ144を介して偏向制御回路128により制御される。主偏向器208は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ146を介して偏向制御回路128により制御される。偏向器218は、4極以上の電極により構成され、電極毎にDACアンプ146を介して偏向制御回路128により制御される。静電レンズ215が配置される場合には、図示しないレンズ制御回路が配置される。
電子銃201には、図示しない高圧電源回路が接続され、電子銃201内の図示しないフィラメント(カソード)と引出電極(アノード)間への高圧電源回路からの加速電圧の印加と共に、別の引出電極(ウェネルト)の電圧の印加と所定の温度へのカソードの加熱によって、カソードから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって放出される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板203の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、2次元状の横(x方向)m列×縦(y方向)n段(m,nは、一方が2以上の整数、他方が1以上の整数)の穴(開口部)22がx,y方向に所定の配列ピッチで形成されている。図2の例では、23×23の穴(開口部)22が形成されている場合を示している。各穴22は、理想的には共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、理想的には同じ外径の円形であっても構わない。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、m×n本(=N本)のマルチ1次電子ビーム20が形成されることになる。
次に、検査装置100における画像取得機構150の動作について説明する。
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、電磁レンズ202によって屈折させられ、成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、図2に示すように、複数の穴(開口部)22が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、マルチ1次電子ビーム20が形成される。
形成されたマルチ1次電子ビーム20は、電磁レンズ205、及び電磁レンズ206によってそれぞれ屈折させられ、中間像およびクロスオーバーを繰り返しながら、マルチ1次電子ビーム20の各ビームのクロスオーバー位置に配置されたビームセパレーター214を通過して電磁レンズ207(対物レンズ)に進む。そして、電磁レンズ207は、マルチ1次電子ビーム20を基板101にフォーカス(合焦)する。電磁レンズ207(対物レンズ)により基板101(試料)面上に焦点が合わされた(合焦された)マルチ1次電子ビーム20は、主偏向器208及び副偏向器209によって一括して偏向され、各ビームの基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。なお、一括ブランキング偏向器212によって、マルチ1次電子ビーム20全体が一括して偏向された場合には、マルチ1次電子ビーム20は制限アパーチャ基板213の中心の穴から位置が外れ、制限アパーチャ基板213によって遮蔽される。一方、一括ブランキング偏向器212によって偏向されなかったマルチ1次電子ビーム20は、図1に示すように制限アパーチャ基板213の中心の穴を通過する。かかる一括ブランキング偏向器212のON/OFFによって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが一括制御される。このように、制限アパーチャ基板213は、一括ブランキング偏向器212によってビームOFFの状態になるように偏向されたマルチ1次電子ビーム20を遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成され、制限アパーチャ基板213を通過したビーム群により、検査用(画像取得用)のマルチ1次電子ビーム20が形成される。
基板101の所望する位置にマルチ1次電子ビーム20が照射されると、かかるマルチ1次電子ビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチ1次電子ビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含む2次電子の束(マルチ2次電子ビーム300)が放出される。
基板101から放出されたマルチ2次電子ビーム300は、電磁レンズ207を通って、ビームセパレーター214に進む。
ここで、ビームセパレーター214はマルチ1次電子ビーム20の中心ビームが進む方向(電子軌道中心軸)に直交する面上において電界と磁界を直交する方向に発生させる。電界は電子の進行方向に関わりなく同じ方向に力を及ぼす。これに対して、磁界はフレミング左手の法則に従って力を及ぼす。このため電子の侵入方向によって電子に作用する力の向きを変化させることができる。ビームセパレーター214に上側から侵入してくるマルチ1次電子ビーム20には、電界による力と磁界による力が打ち消し合い、マルチ1次電子ビーム20は下方に直進する。これに対して、ビームセパレーター214に下側から侵入してくるマルチ2次電子ビーム300には、電界による力と磁界による力がどちらも同じ方向に働き、マルチ2次電子ビーム300は斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20から分離する。
斜め上方に曲げられ、マルチ1次電子ビーム20から分離したマルチ2次電子ビーム300は、偏向器218によって、さらに曲げられ、電磁レンズ224,226によって、屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。マルチ検出器222は、投影されたマルチ2次電子ビーム300を検出する。マルチ検出器222には、反射電子及び2次電子が投影されても良いし、反射電子は途中で発散してしまい残った2次電子が投影されても良い。マルチ検出器222は、後述する2次元センサを有する。そして、マルチ2次電子ビーム300の各2次電子が2次元センサのそれぞれ対応する領域に衝突して、電子を発生し、2次電子画像データを画素毎に生成する。言い換えれば、マルチ検出器222には、マルチ1次電子ビーム20の1次電子ビームi(23×23本のマルチ1次電子ビーム20であれば、i=1~529)毎に、検出センサが配置される。そして、各1次電子ビームiの照射によって放出された対応する2次電子ビームを検出する。よって、マルチ検出器222の複数の検出センサの各検出センサは、それぞれ担当する1次電子ビーム10の照射に起因する画像用の2次電子ビームの強度信号を検出することになる。マルチ検出器222にて検出された強度信号は、検出回路106に出力される。
図3は、実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。図3において、基板101が半導体基板(ウェハ)である場合、半導体基板(ウェハ)の検査領域330には、複数のチップ(ウェハダイ)332が2次元のアレイ状に形成されている。各チップ332には、露光用マスク基板に形成された1チップ分のマスクパターンが図示しない露光装置(ステッパ)によって例えば1/4に縮小されて転写されている。各チップ332の領域は、例えばy方向に向かって所定の幅で複数のストライプ領域32に分割される。画像取得機構150によるスキャン動作は、例えば、ストライプ領域32毎に実施される。例えば、-x方向にステージ105を移動させながら、相対的にx方向にストライプ領域32のスキャン動作を進めていく。
図4は、実施の形態1と比較例とにおけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図4(a)及び図4(b)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。図4(a)の例では、実施の形態1の比較例について示している。1回のマルチ1次電子ビーム20の照射で照射可能な照射領域34は、(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じたx方向サイズ)×(基板101面上におけるマルチ1次電子ビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じたy方向サイズ)で定義される。各ストライプ領域32の幅は、照射領域34のy方向サイズと同様、或いはスキャンマージン分狭くしたサイズに設定すると好適である。そして、図4(a)の例では、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、自身のビームが位置するx方向のビーム間ピッチとy方向のビーム間ピッチとで囲まれるサブ照射領域29内に照射され、当該サブ照射領域29内を走査(スキャン動作)する。例えば、y方向へのラインスキャンを繰り返しながらスキャン方向であるx方向へとスキャン動作を進めていく。マルチ1次電子ビーム20を構成する各1次電子ビーム10は、互いに異なるいずれかのサブ照射領域29を担当することになる。そして、各ショット時に、各1次電子ビーム10は、担当サブ照射領域29内の同じ位置を照射することになる。サブ照射領域29内の1次電子ビーム10の移動は、副偏向器209によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって行われる。かかる動作を繰り返し、1つの1次電子ビーム10で1つのサブ照射領域29内を順に照射していく。そして、1つのサブ照射領域29のスキャンが終了したら、主偏向器208によるマルチ1次電子ビーム20全体での一括偏向によって照射位置が同じストライプ領域32内の隣接する照射領域34と同サイズの矩形領域33へと移動する。かかる動作を繰り返し、ストライプ領域32内を順に照射していく。かかるスキャン動作では、1つの領域が1回ずつ、いずれかのビームによってスキャンされる。このままでは、ビーム毎のノイズ成分の違いにより得られる画像に差が生じてしまう。そこで、例えば、比較例では、ステージ105を連続移動させ、1つのサブ照射領域29のスキャンが終了したら、例えばx方向に隣接するサブ照射領域29のスキャンを続けて行う。これにより、x方向に並ぶ3つのビームによって、同じ位置を重複してスキャンすることができる。これにより、同じラインを繰り返し複数回のスキャン動作を行わずとも、同じ領域の画像が、異なる3つのビームによって重複して得られる。そして、同じ領域の3つの画像を重ね合わせることで平均化することもできる。よって、x方向に並ぶビーム数だけ得られる画像を平均化できる。しかし、かかる手法では、常に、平均化度数(平均化回数)が、x方向に並ぶビーム数に限定されてしまう。よって、条件によっては必要以上の数で、或いは別の条件によっては必要数に不足した数で、画像を平均化することがあり得る。そのため、平均化するための度数(回数)を任意に設定できるようにすることが望ましい。また、かかる手法では、各ビームによって得られる画像の端部(画像境界)に位置する領域は、x方向に並ぶ他の2つのビームによって得られる画像でも常に端部(画像境界)に位置することになる。そのため、平均化する場合でも常に画像境界同士が重ねられてしまい、隣接する画像同士の繋ぎ部分(境界)で段差が生じやすくなってしまう。
そこで、実施の形態1では、図4(b)に示すように、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらす。例えば、成形アパーチャアレイ基板203の配置角度を回転させてずらす。或いは、ステージ105の移動方向を例えば-x方向ではなく、斜め方向に調整する。或いは、静電レンズ215により基板101上でのマルチ1次電子ビーム像を回転させるようにしても好適である。傾け角θ(rad)は、マルチ1次電子ビーム20のy方向のビームピッチを、x方向のビームピッチにx方向のビーム数を乗じた値で割った値を用いて、以下の式(1)で定義できる。
(1) θ=tan-1(yビームピッチ/(xビームピッチ×xビーム数))
図4(b)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の基板101上での配列方向を傾け角θだけ回転させることで、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにできる。これにより、図4(b)に示すように、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各1次電子ビーム10の個別スキャン担当領域27を設定できる。3×3列のマルチ1次電子ビーム20では、ビーム1~9まで、それぞれの個別スキャン担当領域27を設定できる。図4(b)では、x方向に延びるストライプ領域32をy方向に同じ幅でy方向に(1)~(9)までの短冊状の9つの個別スキャン担当領域27に分割できる。図4(b)において、あるストライプ領域32の個別スキャン担当領域27(n)をスキャンしている1次電子ビーム10がビームnであるとして説明を続ける(nは1から9迄の整数)。
ここで、各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を個別スキャン担当領域27の幅にしたら、各ビームがそれぞれ別々の領域の画像を取得することになる。これでは、画像を平均化できない。そこで、実施の形態1では、各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定する。
図5は、実施の形態1におけるスキャン領域設定回路140の内部構成の一例を示す図である。図5において、スキャン領域設定回路140内には、平均化度数設定部60、ラインスキャン方向設定部61、個別担当領域設定部62、及びスキャン幅設定部64が配置される。平均化度数設定部60、ラインスキャン方向設定部61、個別担当領域設定部62、及びスキャン幅設定部64といった各「~部」は、処理回路を含み、この処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。平均化度数設定部60、ラインスキャン方向設定部61、個別担当領域設定部62、及びスキャン幅設定部64内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度図示しないメモリ、或いはメモリ118に記憶される。
図6は、実施の形態1における画像補正回路141の内部構成の一例を示す図である。図6において、画像補正回路141内には、メモリ71、マルチ1次電子ビーム20のビーム数に応じた複数のゲイン補正部70(a~n)、ビーム数に応じた複数のバッファ72(a~n)、ビーム数に応じた複数の位置合わせ部74(a~n)、平均化処理部76、及び補正画像を記憶するための磁気ディスク装置等の記憶装置79が配置される。平均化処理部76内には、加算処理部77及び除算処理部78が配置される。複数のゲイン補正部70(a~n)、複数のバッファ72(a~n)、複数の位置合わせ部74(a~n)、及び平均化処理部76(加算処理部77及び除算処理部78)といった各「~部」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。複数のゲイン補正部70(a~n)、複数のバッファ72(a~n)、複数の位置合わせ部74(a~n)、及び平均化処理部76(加算処理部77及び除算処理部78)内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度メモリ71、或いは図1のメモリ118に記憶される。なお、複数のゲイン補正部70については、配置した方が望ましいが、省略しても構わない。
図7は、実施の形態1における検査方法の一例の要部工程を示すフローチャート図である。図7において、実施の形態1における検査方法は、パラメータ設定工程(S102)と、個別担当領域設定工程(S104)と、スキャン幅設定工程(S106)と、スキャン工程(S108)と、ストライプ移動工程(S110)と、重み付け処理工程(S120)と、平均化処理工程(S122)と、比較工程(S130)と、いう一連の工程を実施する。平均化処理工程(S122)は、内部工程として、加算処理工程(S124)と、除算処理工程(S126)とを実施する。なお、重み付け処理工程(S120)は、実施することが望ましいが省略しても構わない。
パラメータ設定工程(S102)として、パラメータの1つとして、平均化度数設定部60は、画像を平均化する画像平均化度数(回数)を設定する。画像平均化度数(回数)は、1~マルチ1次電子ビーム20のビーム本数までの間で可変に設定できる。但し、画像平均化度数が1の場合、結局、元の画像から変化しないので、平均化されているとは言えなくなる。よって、ここでは、1~マルチ1次電子ビームのビーム本数までの間で可変に設定される。例えば、3×3のマルチ1次電子ビーム20が照射可能であれば、画像平均化度数は、2~9まで設定可能となる。また、ラインスキャン方向設定部61は、パラメータの他の1つとして、各ビームのラインスキャン方向を設定する。ここでは、各ビームのラインスキャン方向を、傾け角θだけずらさずに、図4(b)に示すように、例えば、y方向に設定する。
個別担当領域設定工程(S104)として、個別担当領域設定部62は、ステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各ビームの個別スキャン担当領域27を設定する。図4(b)の例では、x方向に延びるストライプ領域32をy方向に同じ幅でy方向に9つの個別スキャン担当領域27に分割し、(1)~(9)までの短冊状の9つの個別スキャン担当領域27を設定する。
スキャン幅設定工程(S106)として、スキャン幅設定部64は、ステージ105の移動方向と直交する方向に他のビームの個別スキャン担当領域27が含まれるように各ビームのスキャン領域幅(個別ビームスキャン幅)を可変に設定する。スキャン幅設定部64は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定する。言い換えれば、画像平均化度数に応じて、各1次電子ビーム10のy方向のスキャン領域幅を拡大する。画像平均化度数が最大のマルチ1次電子ビーム20のビーム本数である9のとき、各1次電子ビーム10のy方向のスキャン領域幅は個別スキャン担当領域27×9の幅スキャンする必要がある。このため各1次電子ビーム10は、少なくともこの幅スキャンすることができる必要がある。
図8は、実施の形態1における各ビームのスキャン幅の一例と、平均化処理の一例とを説明するための図である。図8の例では、3×3のマルチ1次電子ビーム20を用いた場合を示している。また、画像平均化度数が3の場合を示している。画像平均化度数が3の場合は、各1次電子ビーム10は、自身の個別スキャン担当領域27の他に、隣接する2つの1次電子ビーム10の個別スキャン担当領域27を含む、合計3つの個別スキャン担当領域27分のy方向幅にスキャン幅(個別ビームスキャン幅)が設定される。図8の例では、各1次電子ビーム10は、自身の個別スキャン担当領域27の他に、y方向に隣接する2つ目の個別スキャン担当領域27と、さらにy方向に連続する3つ目の個別スキャン担当領域27との合計3つの個別スキャン担当領域27分のy方向幅にスキャン幅が設定される。よって、ビーム1は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(1)~(3)をスキャンすることになる。ビーム2は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(2)~(4)をスキャンすることになる。ビーム3は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(3)~(5)をスキャンすることになる。ビーム4は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(4)~(6)をスキャンすることになる。ビーム5は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(5)~(7)をスキャンすることになる。ビーム6は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(6)~(8)をスキャンすることになる。ビーム7は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(7)~(9)をスキャンすることになる。ビーム8は、k番目のストライプ領域32の2つの個別スキャン担当領域27(8),(9)と、次のk+1番目のストライプ32の1つの個別スキャン担当領域27(1)との3つの個別スキャン担当領域27(8),(9),(1)をスキャンすることになる。ビーム9は、k番目のストライプ領域32の1つの個別スキャン担当領域27(9)と、次のk+1番目のストライプ32の2つの個別スキャン担当領域27(1),(2)との3つの個別スキャン担当領域27(9),(1),(2)をスキャンすることになる。よって、マルチ1次電子ビーム20全体のスキャン幅(マルチビームスキャン幅)は、ストライプ領域32に次のストライプ領域32の2つの個別スキャン担当領域27を加えた、合計11個の個別スキャン担当領域27分のy方向幅になる。
スキャン工程(S108)として、画像取得機構150は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数のビームが並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらして、副偏向器209により偏向されるマルチ1次電子ビーム20で基板101をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する。
画像の取得は、上述したように、マルチ1次電子ビーム20を照射して、マルチ1次電子ビーム20の照射に起因して基板101から放出されるマルチ2次電子ビーム300をマルチ検出器222で検出する。マルチ検出器222によって検出された各ビームの2次電子の検出データ(測定画像データ:2次電子画像データ:被検査画像データ)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、チップパターンメモリ123に格納される。そして、得られた測定画像データは、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、画像補正回路141に転送される。図8に示したように、各ビームのスキャンにより、図8に示すように、1ビームのスキャンあたり、それぞれ3つの個別スキャン担当領域27分の画像データを画像補正回路141に出力することになる。
ストライプ移動工程(S110)として、1つのストライプ領域32のスキャン動作が終了すると、ステージ105を移動させて、隣接する次のストライプ領域32のスキャン動作開始位置に移動する。そして、スキャン工程(S108)に戻り、同様に、スキャン動作を実施する。
これにより、図8に示すように、k番目のストライプ領域32のスキャン動作により、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(1)内の画像データ(2次電子画像データ)がビーム1によるスキャンによって取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(2)内の画像データがビーム1,2でのスキャンによって重複して取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(3)内の画像データがビーム1~3でのスキャンによって重複して取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(4)内の画像データがビーム2~4でのスキャンによって重複して取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(5)内の画像データがビーム3~5でのスキャンによって重複して取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(6)内の画像データがビーム4~6でのスキャンによって重複して取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(7)内の画像データがビーム5~7でのスキャンによって重複して取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(8)内の画像データがビーム6~8でのスキャンによって重複して取得される。また、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(9)内の画像データがビーム7~9でのスキャンによって重複して取得される。また、k+1番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(1)内の画像データがビーム8,9でのスキャンによって重複して取得される。また、k+1番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(2)内の画像データがビーム9でのスキャンによって取得される。
よって、図8に示すように、個別スキャン担当領域(3)~(9)までの各個別スキャン担当領域27では、3つのビームによって3つの画像データが重複して得られる。ここで、k番目のストライプ領域32のスキャン動作では、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(1)について1つのビームによる1つの画像データしか得られない。同様に、k番目のストライプ領域32のスキャン動作では、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(2)について2つのビームによる2つの画像データしか得られない。しかしながら、k-1番目のストライプ領域32のスキャン動作によって、既に、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(1)について2つのビームによって2つの画像データが重複して得られている。同様に、k-1番目のストライプ領域32のスキャン動作によって、既に、k番目のストライプ領域32の個別スキャン担当領域(2)について1つのビームによる1つの画像データが得られている。このように、各ストライプ領域32の端部の個別スキャン担当領域27の不足分の画像データは、1つ前の隣接するストライプ領域32のスキャン動作によって取得できる。この結果、すべての個別スキャン担当領域27について、3つの画像データが重複して得られる。
平均化処理工程(S122)として、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。具体的には、各ビームの画像データは、ビーム毎のバッファ72に格納される。同じ個別スキャン担当領域27を複数のビームがスキャンする場合にスキャンする時刻に時間差が生じるため、バッファ72に一時的に格納する。そして、ビーム毎の位置合わせ部74に出力され、ビーム毎の位置合わせ部74が、同じ個別スキャン担当領域27をスキャンした他のビームの画像データと位置合わせを行う。具体的には、y方向のずれを補正する。そして、平均化処理部76に出力される。平均化処理部76内では、加算処理工程(S124)において加算処理部77が画像平均化度数の、同じ位置の画像データの階調値を加算(積算)する。そして、除算処理工程(S126)において除算処理部78が、加算された画像データの階調値を画像平均化度数で除算する。図8の例では、各個別スキャン担当領域27の画像データが3つずつ得られたので、加算処理部77がこれらを加算(積算)し、除算処理部78が3で割ることで、画像平均化度数が3で平均化された画像を得ることができる。なお、ここでは、加算後に画像平均化度数で除算しているが、これに限るものではない。加算するだけでも構わない。平均化処理された各個別スキャン担当領域27の画像データは比較回路108に出力される。
また、各個別スキャン担当領域27では、1つのビームでスキャンする3つの個別スキャン担当領域27のうちの一方の端部に位置する個別スキャン担当領域27と、1つのビームでスキャンする3つの個別スキャン担当領域27のうちの中央部に位置する個別スキャン担当領域27と、1つのビームでスキャンする3つの個別スキャン担当領域27のうちの他方の端部に位置する個別スキャン担当領域27と、の3つの画像データが得られる。例えば、個別スキャン担当領域(3)では、スキャン領域幅の一方の端部でビーム1によりスキャンされた画像データと、スキャン領域幅の中央部でビーム2によりスキャンされた画像データと、スキャン領域幅の他方の端部でビーム3によりスキャンされた画像データと、のスキャン位置の異なる3つの画像データが得られる。言い換えれば、合成する画像データについて、ビームの繋ぎ部を分散させることができる。この結果、隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差が生じにくい。このように、図4(a)に示した画像境界の位置では画像境界のデータ同士を使って平均化するといった場合に比べて、実施の形態1では、スキャン位置の異なる3つの画像データを積算するので、隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差の影響を軽減できる。
図9は、実施の形態1における各ビームのスキャン幅の他の一例と、平均化処理の一例とを説明するための図である。図9の例では、3×3のマルチ1次電子ビーム20を用いた場合を示している。また、画像平均化度数が9の場合を示している。画像平均化度数が9の場合は、各1次電子ビーム10は、自身の個別スキャン担当領域27の他に、y方向に隣接する8つの1次電子ビーム10の個別スキャン担当領域27を含む、合計9つの個別スキャン担当領域27分のy方向幅にスキャン幅(個別ビームスキャン幅)が設定される。よって、図9(a)に示すように、k番目のストライプ領域32のスキャン動作において、
ビーム1は、k番目のストライプ領域32の9つの個別スキャン担当領域27(1)~(9)をスキャンすることになる。ビーム2は、k番目のストライプ領域32の8つの個別スキャン担当領域27(2)~(9)とk+1番目のストライプ領域32の1つの個別スキャン担当領域27(1)をスキャンすることになる。ビーム3は、k番目のストライプ領域32の7つの個別スキャン担当領域27(3)~(9)とk+1番目のストライプ領域32の2つの個別スキャン担当領域27(1)~(2)をスキャンすることになる。ビーム4は、k番目のストライプ領域32の6つの個別スキャン担当領域27(4)~(9)とk+1番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(1)~(3)をスキャンすることになる。ビーム5は、k番目のストライプ領域32の5つの個別スキャン担当領域27(5)~(9)とk+1番目のストライプ領域32の4つの個別スキャン担当領域27(1)~(4)をスキャンすることになる。ビーム6は、k番目のストライプ領域32の4つの個別スキャン担当領域27(6)~(9)とk+1番目のストライプ領域32の5つの個別スキャン担当領域27(1)~(5)をスキャンすることになる。ビーム7は、k番目のストライプ領域32の3つの個別スキャン担当領域27(7)~(9)とk+1番目のストライプ領域32の6つの個別スキャン担当領域27(1)~(6)をスキャンすることになる。ビーム8は、k番目のストライプ領域32の2つの個別スキャン担当領域27(8)~(9)とk+1番目のストライプ領域32の7つの個別スキャン担当領域27(1)~(7)をスキャンすることになる。ビーム9は、k番目のストライプ領域32の1つの個別スキャン担当領域27(9)とk+1番目のストライプ領域32の8つの個別スキャン担当領域27(1)~(8)をスキャンすることになる。よって、マルチ1次電子ビーム20全体のスキャン幅(マルチビームスキャン幅)は、ストライプ領域32に次のストライプ領域32の9つの個別スキャン担当領域27を加えた、合計18個の個別スキャン担当領域27分のy方向幅になる。言い換えれば、マルチ1次電子ビーム20全体のスキャン幅(マルチビームスキャン幅)は、2つのストライプ領域32分のy方向幅になる。各ビームのスキャンにより、図9(b)に示すように、1ビームのスキャンあたり、それぞれ9つの個別スキャン担当領域27分の画像データを画像補正回路141に出力することになる。
よって、図9に示すように、各個別スキャン担当領域27では、9つのビームによって9つの画像データが重複して得られる。k番目のストライプ領域32の各個別スキャン担当領域27について、k番目のストライプ領域32のスキャン動作で得られない不足分の画像データは、k-1番目のストライプ領域32のスキャン動作で得られた画像データを組み合わせることで充足できる。この関係は、画像平均化度数が2~マルチ1次電子ビームのビーム数のいずれを設定する場合でも、成り立つ。
そして、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。図9の例では、各個別スキャン担当領域27の画像データが9つずつ得られたので、加算処理部77がこれらを加算(積算)し、除算処理部78が9で除算することで、画像平均化度数が9で平均化された画像を得ることができる。平均化処理された各個別スキャン担当領域27の画像データは比較回路108に出力される。
ここで、上述した例では、各ビームがスキャン動作を行う場合に、ラインスキャン方向をy方向にする場合について説明したが、これに限るものではない。
図10は、実施の形態1における各ビームのラインスキャン方向と得られる画像との関係を説明するための図である。図10(a)の例では、3×3のマルチ1次電子ビーム20を用いる場合を示している。また、ステージ105の移動方向に対してマルチ1次電子ビーム20の配列方向が傾け角θだけ回転させている。ここで、各1次電子ビーム10のラインスキャン方向をy方向に設定してラインスキャンした場合、図10(c)に示すようにy方向に並ぶ画像が得られる。これに対して、各1次電子ビーム10のラインスキャン方向をy方向から45度回転された方向にラインスキャン方向を設定してラインスキャンした場合、各画素の測定順に沿った時間遅延により図10(b)に示すようにy方向から-45度回転した方向に並ぶ画像が得られる。しかし、位置補正により、図10(c)に示すようにy方向に直線的に並ぶ画像にできる。よって、各1次電子ビーム10のラインスキャン方向は、y方向に限らず任意に設定できる。例えば、ステージ105の移動方向に対してマルチ1次電子ビーム20の配列方向が傾け角θだけずらしたので、ラインスキャン方向もy方向から傾け角θだけずらすことも可能である。
図11は、実施の形態1における平均化処理の内容の他の一例を示す図である。図11の例では、重み付け処理工程(S120)としてゲイン補正部70による重み付け処理をさらに実施する場合を説明する。画像補正回路141内では、1次電子ビーム10毎に、ゲイン補正部70、バッファ72、及び位置合わせ部74の組が配置される。図8に示したように画像平均化度数が3の場合、ビーム1でスキャンされた画像データには、個別スキャン担当領域(1)~(3)内の各画素の画像データが含まれる。同様に、ビーム2でスキャンされた画像データには、個別スキャン担当領域(2)~(4)内の各画素の画像データが含まれる。以下、同様に、ビーム3~9の各ビームでスキャンされた画像データには、自身の個別スキャン担当領域とさらに連続する2つの個別スキャン担当領域との合計3つずつの個別スキャン担当領域内の各画素の画像データが含まれる。そして、各ビームで得られた画像データは、画像補正回路141に出力され、ビーム毎のゲイン補正部70が入力する。
重み付け処理工程(S120)として、ビーム毎のゲイン補正部70は、入力された3つの個別スキャン担当領域の画像データに対して、重み付け処理を実施する。
図12は、実施の形態1における重み付け処理を説明するための図である。図12に示すように、ビーム毎のゲイン補正部70は、3つの個別スキャン担当領域のうち、両側の2つの個別スキャン担当領域の画像データの階調値が端部に向かって小さくなるように、入力された3つの個別スキャン担当領域の画像データの重み付け処理を行う。具体的には、終端ゲインを下げるようにゲイン調整を行う。終端部の重み付けを小さくすることで、画像の繋ぎ部分のずれを低減或いは無くすことができる。言い換えれば、各ビームの終端ゲインを下げることでビーム段差の影響を軽減できる。ゲイン調整が行われた各ビームの画像データは、ビーム毎のバッファ72に一時的に格納される。そして、同じ個別スキャン担当領域の画像データが揃った後に、ビーム毎の位置合わせ部74でy方向のずれを調整して、平均化処理部76に出力される。平均化処理部76内で、加算処理部77が同じ個別スキャン担当領域の画像データ同士を積算することで、図12に示すように、積算後の各個別スキャン担当領域の繋ぎ部の階調ずれを無くすことができる。以降は、同様に、除算処理部78が3で除算することで、画像平均化度数が3で平均化された画像を得ることができる。平均化処理された各個別スキャン担当領域27の画像データは比較回路108に出力される。
比較工程(S130)として、比較回路108は、平均化処理された各個別スキャン担当領域27の画像データを参照画像と比較する。これに先立ち、参照画像を作成する。
参照画像作成工程として、参照画像作成回路112は、基板101に形成された複数の図形パターンの元になる設計データに基づいて、矩形領域33毎の参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータを読み出し、この読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
上述したように、設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/2(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとなる。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに、所定のフィルタ関数を使ってフィルタ処理を施す。これにより、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データをマルチ1次電子ビーム20の照射によって得られる像生成特性に合わせることができる。作成された参照画像の画素毎の画像データは比較回路108に出力される。
図13は、実施の形態1における比較回路内の構成の一例を示す構成図である。図13において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置52,56、位置合わせ部57、及び比較部58が配置される。位置合わせ部57、及び比較部58といった各「~部」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。位置合わせ部57、及び比較部58内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度図示しないメモリ、或いはメモリ118に記憶される。
実施の形態1では、ストライプ領域32をさらに矩形の複数のフレーム領域に分割して、フレーム領域を被検査画像の単位領域として使用する。なお、各フレーム領域は、画像の抜けが無いように、互いにマージン領域が重なり合うように構成されると好適である。フレーム領域のx,y方向サイズとして、例えば、マルチ1次電子ビーム20の配列を斜めに回転させずにx,y方向に配列させた場合のマルチ1次電子ビーム20の基板101上におけるビーム間ピッチの整数分の1程度(例えば、1/2程度)に設定すると好適である。
比較回路108内では、転送された2次電子画像データが、フレーム領域毎の2次電子画像(被検査画像、フレーム画像)として記憶装置56に一時的に格納される。同様に転送された参照画像データが、フレーム領域毎の参照画像として記憶装置52に一時的に格納される。
そして、位置合わせ工程として、位置合わせ部57は、フレーム領域毎に、被検査画像となるフレーム画像と、当該フレーム画像に対応する参照画像とを読み出し、画素より小さいサブ画素単位で、両画像を位置合わせする。例えば、最小2乗法で位置合わせを行えばよい。
そして比較工程として、比較部58は、フレーム画像(2次電子画像)と参照画像とを比較する。言い換えれば、比較部58は、参照画像データと、フレーム画像と、を画素毎に比較する。比較部58は、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎の階調値差が判定閾値Thよりも大きければ欠陥と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、若しくはメモリ118に出力される、或いはプリンタ119より出力されればよい。
上述した例では、ダイ-データベース検査を行う場合を説明したが、これに限るものではない。被検査画像は、ダイ-ダイ検査を行う場合であっても構わない。ダイ-ダイ検査を行う場合について説明する。
位置合わせ工程として、位置合わせ部57は、ダイ1のフレーム画像(被検査画像)と、同じパターンが形成されたダイ2のフレーム画像(被検査画像)とを読み出し、画素より小さいサブ画素単位で、両画像を位置合わせする。例えば、最小2乗法で位置合わせを行えばよい。
比較工程として、比較部58は、ダイ1のフレーム画像と、ダイ2のフレーム画像とを比較する。比較部58は、所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎の階調値差が判定閾値Thよりも大きければ欠陥と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、若しくはメモリ118に出力される。
以上のように、実施の形態1によれば、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減ができる。よって、ノイズが低減された測定画像を用いるので、高精度に検査ができる。
実施の形態2.
実施の形態1では、各ビームがスキャン方向(ステージの移動方向)に重ならないように、各ストライプ領域32の長手方向に延びる個別スキャン担当領域27を設定して、連続的にスキャンする場合を説明したがこれに限るものではない。実施の形態2では、各ビームでスキャンする例えば矩形の個別ブロックを設定してスキャンする場合について説明する。実施の形態2におけるパターン検査装置の構成は、図1と同様である。また、実施の形態2におけるパターン検査装方法の要部工程のフローチャート図は、図7と同様である。以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1と同様である。
図14は、実施の形態2におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図14(a)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。図14(b)に示すように、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらす。図14(b)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の基板101上での配列方向を例えば式(1)に示した傾け角θだけ回転させることで、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにできる。
パラメータ設定工程(S102)として、パラメータの1つとして、平均化度数設定部60は、画像を平均化する画像平均化度数(回数)を設定する。画像平均化度数(回数)は、1~マルチ1次電子ビーム20のビーム本数までの間で可変に設定できる。但し、画像平均化度数が1の場合、結局、元の画像から変化しないので、平均化されているとは言えなくなる。よって、ここでは、1~マルチ1次電子ビームのビーム本数までの間で可変に設定される。例えば、3×3のマルチ1次電子ビーム20が照射可能であれば、画像平均化度数は、2~9まで設定可能となる。また、ラインスキャン方向設定部61は、パラメータの他の1つとして、各ビームのラインスキャン方向を設定する。ここでは、各ビームのラインスキャン方向を、傾け角θだけずらした、図14(a)に示すように、例えば、y軸から角度θ回転した方向に設定する。
個別担当領域設定工程(S104)として、個別担当領域設定部62は、ステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各ビームの個別スキャン担当領域の他の一例として、各ビームの個別ブロック領域28を設定する。実施の形態2において、マルチ1次電子ビーム20の各ビームには、隣接ビームとの間のビーム間ピッチを1辺とする四角形のブロックスキャン領域が設定される。図14(a)の例では、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、自身のビームが位置するx軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチとy軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチとで囲まれる領域を個別ブロック領域28として設定する。図14(a)の例では、x軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチとy軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチとで囲まれるビーム毎の領域を3×3個並べた1~9までの矩形の9つの個別ブロック領域28(個別スキャン担当領域)を設定する。この実施の形態2では、図14(a)中、1~9までの矩形の9つの個別ブロック領域28に対応する各ビームを、ビーム1~9とする。
スキャン幅設定工程(S106)として、スキャン幅設定部64は、ステージ105の移動方向(x方向)から角度θ回転した方向、及び/或いはステージ105の移動方向と直交するy軸から角度θ回転した方向に他のビームの個別ブロック領域28が含まれるように各ビームのスキャン領域幅(個別ビームスキャン幅)を可変に設定する。実施の形態2において、各1次電子ビーム10のスキャン領域幅は、2次元方向に他のビームのブロックスキャン領域が含まれるように設定できる。スキャン幅設定部64は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするx軸から角度θ回転した方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を可変に設定する。言い換えれば、画像平均化度数に応じて、各1次電子ビーム10のx軸から角度θ回転した方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を拡大する。図14(b)に示すように、1ビームあたりの最大スキャン領域は、各ビームの個別ブロック領域28を左下角部に位置する3×3に並ぶ9つの個別ブロック領域28となる。例えば、画像平均化度数が3の場合、各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅が、x軸から角度θ回転した方向に3つの個別ブロック領域28分であっても良いし、各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅が、y軸から角度θ回転した方向に3つの個別ブロック領域28分であっても良い。例えば、ビーム1でスキャンするスキャン領域が、ビーム1,2,3の個別ブロック領域28分であっても良いし、ビーム1,4,7の個別ブロック領域28分であっても良い。
スキャン工程(S108)として、画像取得機構150は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数のビームが並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらして、副偏向器209により偏向されるマルチ1次電子ビーム20で基板101をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する。図14(b)の例では、各ビームで1つずつの個別ブロック領域28をスキャンした後、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム数×ビームピッチをsinθで割った距離だけ移動して、次の各ビーム用の個別ブロック領域28をスキャンする。以降、これを繰り返す。図14(b)の例では、例えば、画像平均化度数が3の場合、例えば、ビーム1でビーム1,4,7の3つの個別ブロック領域28をスキャンする。図14(b)の例では、各ビームの個別スキャン担当領域のスキャンを一定ピッチで繰り返す。これにより、スキャン幅設定工程(S106)で設定される重複分以外に重なりの無い画像取得が可能となる。そして、スキャン幅設定工程(S106)で各ビームのスキャン幅を拡大することで、同一位置の画像を画像平均化度数に応じた複数のビームで取得できる。
以降の工程の内容は、実施の形態1と同様である。例えば、平均化処理工程(S122)として、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減ができる。よって、ノイズが低減された測定画像を用いるので、高精度に検査ができる。
また、実施の形態2によれば、x軸から角度θ回転した方向にスキャン幅を拡大する場合、x軸から角度θ回転した方向に隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差の影響を軽減できる。また、y軸から角度θ回転した方向にスキャン幅を拡大する場合、y軸から角度θ回転した方向に隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差の影響を軽減できる。x軸から角度θ回転した方向とy軸から角度θ回転した方向との両方にスキャン幅を拡大する場合、x軸から角度θ回転した方向とy軸から角度θ回転した方向との両方に隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差の影響を軽減できる。
実施の形態3.
実施の形態3では、実施の形態2の変形例について説明する。実施の形態3におけるパターン検査装置の構成は、図1と同様である。また、実施の形態3におけるパターン検査装方法の要部工程のフローチャート図は、図7と同様である。以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1或いは実施の形態2と同様である。
図15は、実施の形態3におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図15(a)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。図15(b)に示すように、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらす。図15(b)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の基板101上での配列方向を例えば式(1)に示した傾け角θだけ回転させることで、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにできる。
パラメータ設定工程(S102)の内容は、実施の形態2と同様である。また、ラインスキャン方向設定部61は、パラメータの他の1つとして、各ビームのラインスキャン方向を設定する。ここでは、各ビームのラインスキャン方向を、傾け角θだけずらした、図15(a)に示すように、例えば、y軸から角度θ回転した方向に設定する。
個別担当領域設定工程(S104)として、個別担当領域設定部62は、ステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各ビームの個別スキャン担当領域の他の一例として、各ビームの個別ブロック領域28を設定する。図15(a)の例では、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチをsinθで割った長さを1辺とし、y軸から角度θ回転した方向にビーム間ピッチを1辺とする平行四辺形の領域を個別ブロック領域28として設定する。図15(a)の例では、ビーム毎に、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチをsinθで割った長さを1辺とし、y軸から角度θ回転した方向にビーム間ピッチを1辺とする平行四辺形の領域を3×3個並べた1~9までの矩形の9つの個別ブロック領域28(個別スキャン担当領域)を設定する。
スキャン幅設定工程(S106)として、スキャン幅設定部64は、ステージ105の移動方向(x方向)及び/或いはステージ105の移動方向と直交するy軸から角度θ回転した方向に他のビームの個別ブロック領域28が含まれるように各ビームのスキャン領域幅(個別ビームスキャン幅)を可変に設定する。スキャン幅設定部64は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするx方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を可変に設定する。言い換えれば、画像平均化度数に応じて、各1次電子ビーム10のx方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を拡大する。図15(b)に示すように、1ビームあたりの最大スキャン領域は、各ビームの個別ブロック領域28を左下角部に位置するx方向に3個分の個別ブロック領域28の幅と、y軸から角度θ回転した方向に3個分の個別ブロック領域28の幅とで囲まれる領域となる。
スキャン工程(S108)として、画像取得機構150は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数のビームが並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらして、副偏向器209により偏向されるマルチ1次電子ビーム20で基板101をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する。図15(b)の例では、各ビームで各自の個別ブロック領域28をスキャンした後、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム数×ビームピッチをsinθで割った距離だけ移動して、次の各ビーム用の個別ブロック領域28をスキャンする。以降、これを繰り返す。図15(b)の例では、例えば、画像平均化度数が3の場合、y軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム3でビーム3,6,9の3つの個別ブロック領域28をスキャンする。一方、x方向にスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム3でビーム3の個別ブロック領域28とビーム1の個別ブロック領域28の一部とビーム4の個別ブロック領域28の一部とビーム2の個別ブロック領域28の一部とビーム5の個別ブロック領域28の一部とをスキャンする。このようにx方向に並ぶ個別ブロック領域28の境界をずらすことができる。
図15(b)の例では、各ビームの個別スキャン担当領域のスキャンを一定ピッチで繰り返す。これにより、スキャン幅設定工程(S106)で設定される重複分以外に重なりの無い画像取得が可能となる。そして、スキャン幅設定工程(S106)で各ビームのスキャン幅を拡大することで、同一位置の画像を画像平均化度数に応じた複数のビームで取得できる。
以降の工程の内容は、実施の形態1と同様である。例えば、平均化処理工程(S122)として、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態1,2と同様、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減ができる。よって、ノイズが低減された測定画像を用いるので、高精度に検査ができる。
また、実施の形態3によれば、x方向に並ぶ個別ブロック領域28のy方向境界がずれるので、x方向にスキャン幅を拡大する場合、x方向と共にy軸から角度θ回転した方向に隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差の影響を軽減できる。
実施の形態4.
実施の形態4では、実施の形態3の変形例について説明する。実施の形態4におけるパターン検査装置の構成は、図1と同様である。また、実施の形態4におけるパターン検査装方法の要部工程のフローチャート図は、図7と同様である。以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1~3のいずれかと同様である。
図16は、実施の形態4におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図16(a)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。図16(b)に示すように、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらす。図16(b)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の基板101上での配列方向を例えば式(1)に示した傾け角θだけ回転させることで、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにできる。
パラメータ設定工程(S102)の内容は、実施の形態2と同様である。また、ラインスキャン方向設定部61は、パラメータの他の1つとして、各ビームのラインスキャン方向を設定する。ここでは、各ビームのラインスキャン方向を、傾け角θだけずらした、図16(a)に示すように、例えば、y軸から角度θ回転した方向に設定する。
個別担当領域設定工程(S104)として、個別担当領域設定部62は、ステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各ビームの個別スキャン担当領域の他の一例として、各ビームの個別ブロック領域28を設定する。図16(a)の例では、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチをsinθで割った長さの半分を1辺とし、y軸から角度θ回転した方向にビーム間ピッチを1辺とする平行四辺形の領域を個別ブロック領域28として設定する。図16(a)の例では、図15(a)の例の個別ブロック領域28をx方向に2分割したものと同様である。図16(a)の例では、ビーム毎に、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチをsinθで割った長さの半分を1辺とし、y軸から角度θ回転した方向にビーム間ピッチを1辺とする平行四辺形の領域を3×3個並べた1~9までの矩形の9つの個別ブロック領域28(個別スキャン担当領域)を設定する。
スキャン幅設定工程(S106)として、スキャン幅設定部64は、ステージ105の移動方向(x方向)及び/或いはステージ105の移動方向と直交するy軸から角度θ回転した方向に他のビームの個別ブロック領域28が含まれるように各ビームのスキャン領域幅(個別ビームスキャン幅)を可変に設定する。スキャン幅設定部64は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするx方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を可変に設定する。言い換えれば、画像平均化度数に応じて、各1次電子ビーム10のx方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を拡大する。図16(b)に示すように、1ビームあたりの最大スキャン領域は、各ビームの個別ブロック領域28を左下角部に位置するx方向に3個分の個別ブロック領域28の幅と、y軸から角度θ回転した方向に3個分の個別ブロック領域28の幅とで囲まれる領域となる。
スキャン工程(S108)として、画像取得機構150は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数のビームが並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらして、副偏向器209により偏向されるマルチ1次電子ビーム20で基板101をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する。図16(b)の例では、各ビームで各自の個別ブロック領域28をスキャンした後、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム数×ビームピッチ×(1/2)をsinθで割った距離だけ移動して、次の各ビーム用の個別ブロック領域28をスキャンする。以降、これを繰り返す。図16(b)の例では、例えば、画像平均化度数が3の場合、y軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム3でビーム3,6,9の3つの個別ブロック領域28をスキャンする。一方、x方向にスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム3でビーム3の個別ブロック領域28とビーム2の個別ブロック領域28の一部とビーム5の個別ブロック領域28の一部とビーム1の個別ブロック領域28の一部とビーム4の個別ブロック領域28の一部とをスキャンする。このようにx方向に並ぶ個別ブロック領域28の境界をずらすことができる。
図16(b)の例では、各ビームの個別スキャン担当領域のスキャンを一定ピッチで繰り返す。実施の形態4によれば、ステージ移動方向の個別ブロック領域28を分割した場合でも隙間なく画像取得が可能となる。これにより、スキャン幅設定工程(S106)で設定される重複分以外に重なりの無い画像取得が可能となる。そして、スキャン幅設定工程(S106)で各ビームのスキャン幅を拡大することで、同一位置の画像を画像平均化度数に応じた複数のビームで取得できる。
以降の工程の内容は、実施の形態1と同様である。例えば、平均化処理工程(S122)として、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。
以上のように、実施の形態4によれば、実施の形態1~3と同様、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減ができる。よって、ノイズが低減された測定画像を用いるので、高精度に検査ができる。
また、実施の形態3と同様、x方向に並ぶ個別ブロック領域28のy方向境界がずれるので、x方向にスキャン幅を拡大する場合、x方向と共にy軸から角度θ回転した方向に隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差の影響を軽減できる。さらに、実施の形態4によれば、x方向の個別ブロック領域28のサイズを小さくできるので、マルチ1次電子ビーム20のx方向の偏向振り幅を小さくできる。
実施の形態5.
実施の形態5では、実施の形態4の変形例について説明する。実施の形態5におけるパターン検査装置の構成は、図1と同様である。また、実施の形態5におけるパターン検査装方法の要部工程のフローチャート図は、図7と同様である。以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1~4のいずれかと同様である。
図17は、実施の形態5におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図17(a)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。図17(b)に示すように、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらす。図17(b)の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の基板101上での配列方向を例えば式(1)に示した傾け角θだけ回転させることで、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにできる。
パラメータ設定工程(S102)の内容は、実施の形態2と同様である。また、ラインスキャン方向設定部61は、パラメータの他の1つとして、各ビームのラインスキャン方向を設定する。ここでは、各ビームのラインスキャン方向を、傾け角θだけずらさずに、図17(a)に示すように、例えば、y方向に設定する。
個別担当領域設定工程(S104)として、個別担当領域設定部62は、ステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各ビームの個別スキャン担当領域の他の一例として、各ビームの個別ブロック領域28を設定する。図17(a)の例では、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチをsinθで割った長さの半分を1辺とし、y方向にビーム間ピッチを1辺とする矩形(長方形)の領域を個別ブロック領域28として設定する。図17(a)の例では、ビーム毎に、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチをsinθで割った長さの半分を1辺とし、y方向にビーム間ピッチを1辺とする矩形の領域を3×3個並べた1~9までの矩形の9つの個別ブロック領域28(個別スキャン担当領域)を設定する。
スキャン幅設定工程(S106)として、スキャン幅設定部64は、ステージ105の移動方向(x方向)及び/或いはステージ105の移動方向と直交するy方向に他のビームの個別ブロック領域28が含まれるように各ビームのスキャン領域幅(個別ビームスキャン幅)を可変に設定する。スキャン幅設定部64は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするx方向及び/或いはy方向のスキャン領域幅を可変に設定する。言い換えれば、画像平均化度数に応じて、各1次電子ビーム10のx方向及び/或いはy方向のスキャン領域幅を拡大する。図17(b)に示すように、1ビームあたりの最大スキャン領域は、各ビームの個別ブロック領域28を左下角部に位置するx方向に3個分の個別ブロック領域28の幅と、y方向に3個分の個別ブロック領域28の幅とで囲まれる領域となる。
スキャン工程(S108)として、画像取得機構150は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数のビームが並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらして、副偏向器209により偏向されるマルチ1次電子ビーム20で基板101をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する。図17(b)の例では、各ビームで各自の個別ブロック領域28をスキャンした後、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム数×ビームピッチ×(1/2)をsinθで割った距離だけ移動して、次の各ビーム用の個別ブロック領域28をスキャンする。以降、これを繰り返す。図17(b)の例では、例えば、画像平均化度数が3の場合、y方向のスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム3でビーム3,6,9の3つの個別ブロック領域28をスキャンする。一方、x方向にスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム3でビーム3の個別ブロック領域28とビーム2の個別ブロック領域28の一部とビーム5の個別ブロック領域28の一部とビーム1の個別ブロック領域28の一部とビーム4の個別ブロック領域28の一部とをスキャンする。このようにx方向に並ぶ個別ブロック領域28の境界をずらすことができる。
図17(b)の例では、各ビームの個別スキャン担当領域のスキャンを一定ピッチで繰り返す。実施の形態5によれば、ステージ移動方向に対してビーム配列を傾ければ、個別ブロック領域28を傾けなくても隙間なく画像取得が可能となる。言い換えれば、x軸に対して90度スキャンが可能となる。これにより、スキャン幅設定工程(S106)で設定される重複分以外に重なりの無い画像取得が可能となる。そして、スキャン幅設定工程(S106)で各ビームのスキャン幅を拡大することで、同一位置の画像を画像平均化度数に応じた複数のビームで取得できる。
以降の工程の内容は、実施の形態1と同様である。例えば、平均化処理工程(S122)として、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。
以上のように、実施の形態5によれば、実施の形態1~4と同様、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減ができる。よって、ノイズが低減された測定画像を用いるので、高精度に検査ができる。
また、実施の形態3,4と同様、x方向に並ぶ個別ブロック領域28のy方向境界がずれるので、x方向にスキャン幅を拡大する場合、x方向と共にy軸から角度θ回転した方向に隣接する個別スキャン担当領域27同士間でのビーム繋ぎ部(画像境界)の階調値ずれによる段差の影響を軽減できる。さらに、実施の形態5によれば、x方向の個別ブロック領域28のサイズを小さくできるので、マルチ1次電子ビーム20のx方向の偏向振り幅を小さくできる。
実施の形態6.
実施の形態6では、実施の形態1の変形例について説明する。実施の形態6におけるパターン検査装置の構成は、図1と同様である。また、実施の形態6におけるパターン検査装方法の要部工程のフローチャート図は、図7と同様である。以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1~4のいずれかと同様である。
図18は、実施の形態6におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図18の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。図18に示すように、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらす。図18の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の基板101上での配列方向を例えば式(1)に示した傾け角θだけ回転させることで、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにできる。
パラメータ設定工程(S102)の内容は、実施の形態2と同様である。また、ラインスキャン方向設定部61は、パラメータの他の1つとして、各ビームのラインスキャン方向を設定する。ここでは、各ビームのラインスキャン方向を、傾け角θだけずらさずに、図18に示すように、例えば、y方向に設定する。
個別担当領域設定工程(S104)として、個別担当領域設定部62は、ステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各ビームの個別スキャン担当領域の他の一例として、各ビームの個別ブロック領域28を設定する。図18の例では、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、図4(b)に示したx方向に延びる各個別スキャン担当領域27をx方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム数×ビームピッチをsinθで割ったサイズで複数の個別ブロック領域28に分割する。また、y方向に隣接する個別ブロック領域28は、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビームピッチをsinθで割ったサイズだけずらして設定する。
スキャン幅設定工程(S106)として、スキャン幅設定部64は、ステージ105の移動方向と直交するy方向に他のビームの個別ブロック領域28が含まれるように各ビームのスキャン領域幅(個別ビームスキャン幅)を可変に設定する。スキャン幅設定部64は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするy方向のスキャン領域幅を可変に設定する。言い換えれば、画像平均化度数に応じて、各1次電子ビーム10のy方向のスキャン領域幅を拡大する。図18に示すように、1ビームあたりの最大スキャン領域は、各ビームの個別ブロック領域28を含むy方向に9個分の個別ブロック領域28の領域となる。
スキャン工程(S108)として、画像取得機構150は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数のビームが並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらして、副偏向器209により偏向されるマルチ1次電子ビーム20で基板101をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する。図18の例では、各ビームで各自の個別ブロック領域28をスキャンした後、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム数×ビームピッチをsinθで割った距離だけ移動して、次の各ビーム用の個別ブロック領域28をスキャンする。以降、これを繰り返す。図18の例では、例えば、画像平均化度数が3の場合、y方向のスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム3でビーム3の個別ブロック領域28とビーム4の個別ブロック領域28の一部とビーム5の個別ブロック領域28の一部とをスキャンする。このようにy方向に並ぶ個別ブロック領域28のx方向境界をずらすことができる。
実施の形態6によれば、実施の形態1に示した1次元スキャンを2次元スキャンの繰り返しとして実施することもできる。これにより、スキャン幅設定工程(S106)で設定される重複分以外に重なりの無い画像取得が可能となる。そして、スキャン幅設定工程(S106)で各ビームのスキャン幅を拡大することで、同一位置の画像を画像平均化度数に応じた複数のビームで取得できる。
以降の工程の内容は、実施の形態1と同様である。例えば、平均化処理工程(S122)として、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。
以上のように、実施の形態6によれば、実施の形態1~4と同様、マルチビームを用いて画像取得する場合に、必要な平均化度数分だけ同じ位置を繰り返しスキャンしなくても、必要な平均化度数分の平均化処理によるノイズ低減ができる。よって、ノイズが低減された測定画像を用いるので、高精度に検査ができる。
実施の形態7.
実施の形態7では、実施の形態3の変形例について説明する。実施の形態7におけるパターン検査装置の構成は、図1と同様である。また、実施の形態7におけるパターン検査装方法の要部工程のフローチャート図は、図7と同様である。以下、特に説明する点以外の内容は、実施の形態1~4のいずれかと同様である。
図19は、実施の形態7におけるマルチビームのスキャン動作を説明するための図である。図19の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の場合を示している。なお、図19では、各ビームの番号が、y方向に1,2,3の順、4,5,6の順、及び7,8,9の順でx方向に並ぶ場合を示している。図19に示すように、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらす。図19の例では、3×3列のマルチ1次電子ビーム20の基板101上での配列方向を例えば式(1)に示した傾け角θだけ回転させることで、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数の1次電子ビーム10が並ばないようにできる。
パラメータ設定工程(S102)の内容は、実施の形態2と同様である。また、ラインスキャン方向設定部61は、パラメータの他の1つとして、各ビームのラインスキャン方向を設定する。ここでは、各ビームのラインスキャン方向を、傾け角θだけずらした、図19(a)に示すように、例えば、y軸から角度θ回転した方向に設定する。
個別担当領域設定工程(S104)として、個別担当領域設定部62は、ステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、ステージ105の移動方向と平行な方向に延びる基板101に対する各ビームの個別スキャン担当領域の他の一例として、各ビームの個別ブロック領域28を設定する。図19(a)の例では、マルチ1次電子ビーム20の各ビームは、x軸から角度θ回転した方向のビーム間ピッチの長さの半分を1辺とし、y軸から角度θ回転した方向にビーム間ピッチを1辺とする矩形(長方形)の領域を個別ブロック領域28として設定する。図19(a)の例では、図14(a)の例の個別ブロック領域28をx方向に2分割したものと同様である。
スキャン幅設定工程(S106)として、スキャン幅設定部64は、ステージ105の移動方向(x方向)から角度θ回転した方向及び/或いはステージ105の移動方向と直交するy軸から角度θ回転した方向に他のビームの個別ブロック領域28が含まれるように各ビームのスキャン領域幅(個別ビームスキャン幅)を可変に設定する。スキャン幅設定部64は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするx軸から角度θ回転した方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を可変に設定する。言い換えれば、画像平均化度数に応じて、各1次電子ビーム10のx軸から角度θ回転した方向及び/或いはy軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を拡大する。図19(b)に示すように、1ビームあたりの最大スキャン領域は、各ビームの個別ブロック領域28を左下角部に位置するx軸から角度θ回転した方向に3個分の個別ブロック領域28の幅と、y軸から角度θ回転した方向に3個分の個別ブロック領域28の幅とで囲まれる領域となる。
スキャン工程(S108)として、画像取得機構150は、可変に設定可能な画像平均化度数に応じて、マルチ1次電子ビーム20の各1次電子ビーム10でスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、ステージ105の移動方向と平行にマルチ1次電子ビーム20のうちの複数のビームが並ばないようにステージ105の移動方向の角度とマルチ1次電子ビーム20の配列方向の角度とを相対的にずらして、副偏向器209により偏向されるマルチ1次電子ビーム20で基板101をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する。図19(b)の例では、各ビームで各自の個別ブロック領域28をスキャンした後、x方向にx軸から角度θ回転した方向のビーム数×ビームピッチ×(1/2)をsinθで割った距離だけ移動して、次の各ビーム用の個別ブロック領域28をスキャンする。以降、これを繰り返す。図19(b)の例では、例えば、画像平均化度数が3の場合、y軸から角度θ回転した方向のスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム1でビーム1,2,3の3つの個別ブロック領域28をスキャンする。一方、xから角度θ回転した方向にスキャン領域幅を拡大する場合、例えば、ビーム1でビーム1の個別ブロック領域28とビーム7の個別ブロック領域28の一部とビーム9の個別ブロック領域28の一部とビーム4の個別ブロック領域28とをスキャンする。このようにx軸から角度θ回転した方向に並ぶ個別ブロック領域28の境界をずらすことができる。
図19(b)の例では、各ビームの個別スキャン担当領域のスキャンを一定ピッチで繰り返す。実施の形態7によれば、ステージ移動方向の個別ブロック領域28を分割した場合でも隙間なく画像取得が可能となる。これにより、スキャン幅設定工程(S106)で設定される重複分以外に重なりの無い画像取得が可能となる。そして、スキャン幅設定工程(S106)で各ビームのスキャン幅を拡大することで、同一位置の画像を画像平均化度数に応じた複数のビームで取得できる。
以降の工程の内容は、実施の形態1と同様である。例えば、平均化処理工程(S122)として、画像補正回路141内の平均化処理部76は、ビーム毎の画像データを用いて、画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する。
以上のように、実施の形態7によれば、実施の形態2の効果の他に、さらに、x方向の個別ブロック領域28のサイズを小さくできるので、マルチ1次電子ビーム20のx方向の偏向振り幅を小さくできる。
以上の説明において、一連の「~回路」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「~回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、スキャン領域設定回路140、及び画像補正回路141は、上述した少なくとも1つの処理回路で構成されても良い。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。図1の例では、1つの照射源となる電子銃201から照射された1本のビームから成形アパーチャアレイ基板203によりマルチ1次電子ビーム20を形成する場合を示しているが、これに限るものではない。複数の照射源からそれぞれ1次電子ビームを照射することによってマルチ1次電子ビーム20を形成する態様であっても構わない。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全てのマルチ電子ビーム検査装置及びマルチ電子ビーム検査方法は、本発明の範囲に包含される。
10 1次電子ビーム
20 マルチ1次電子ビーム
22 穴
27 個別スキャン担当領域
28 個別ブロック領域
29 サブ照射領域
32 ストライプ領域
33 矩形領域
34 照射領域
52,56 記憶装置
57 位置合わせ部
58 比較部
60 平均化度数設定部
61 ラインスキャン方向設定部
62 個別担当領域設定部
64 スキャン幅設定部
71 メモリ
70 ゲイン補正部
72 バッファ
74 位置合わせ部
76 平均化処理部
77 加算処理部
78 除算処理部
79 記憶装置
100 検査装置
101 基板
102 電子ビームカラム
103 検査室
105 ステージ
106 検出回路
107 位置回路
108 比較回路
109 記憶装置
110 制御計算機
112 参照画像作成回路
114 ステージ制御回路
117 モニタ
118 メモリ
119 プリンタ
120 バス
122 レーザ測長システム
123 チップパターンメモリ
124 レンズ制御回路
126 ブランキング制御回路
128 偏向制御回路
140 スキャン領域設定回路
141 画像補正回路
142 駆動機構
144,146,148 DACアンプ
150 画像取得機構
160 制御系回路
200 電子ビーム
201 電子銃
202,205,206,207,224,226 電磁レンズ
203 成形アパーチャアレイ基板
208 主偏向器
209 副偏向器
212 一括ブランキング偏向器
213 制限アパーチャ基板
214 ビームセパレーター
215 静電レンズ
216 ミラー
218 偏向器
222 マルチ検出器
300 マルチ2次電子ビーム
330 検査領域
332 チップ

Claims (6)

  1. 試料を配置するステージと、アレイ配置されるマルチ荷電粒子ビームを偏向する偏向器とを有し、設定された画像平均化度数に応じて、前記マルチ荷電粒子ビームの各ビームでスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、前記ステージの移動方向と平行に前記マルチ荷電粒子ビームのうちの複数のビームが並ばないように前記ステージの移動方向の角度と前記マルチ荷電粒子ビームの配列方向の角度とを相対的にずらして、前記偏向器により偏向される前記マルチ荷電粒子ビームで前記試料をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する画像取得機構と、
    前記ビーム毎の画像データを用いて、前記画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化する平均化処理部と、
    を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム画像取得装置。
  2. 前記ステージの移動方向の角度と前記マルチ荷電粒子ビームのアレイ配置方向の角度とを相対的にずらすことにより、前記ステージの移動方向と平行な方向に延びる前記試料に対する各ビームの個別スキャン担当領域を設定する個別担当領域設定部をさらに備え、
    各ビームのスキャン領域幅は、前記ステージの移動方向と直交する方向に他のビームの前記個別スキャン担当領域が含まれるように可変に設定されることを特徴とする請求項1記載のマルチ荷電粒子ビーム画像取得装置。
  3. 前記画像平均化度数は、可変に設定可能であることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチ荷電粒子ビーム画像取得装置。
  4. 前記画像平均化度数は、2~前記マルチ荷電粒子ビームのビーム本数までの間で可変に設定されることを特徴とする請求項1又は2記載のマルチ荷電粒子ビーム画像取得装置。
  5. 前記マルチ荷電粒子ビームの各ビームには、隣接ビームとの間のビーム間ピッチを1辺とする四角形の個別ブロック領域が設定され、
    各ビームのスキャン領域幅は、2次元方向に他のビームの個別ブロック領域が含まれるように設定されることを特徴とする請求項1記載のマルチ荷電粒子ビーム画像取得装置。
  6. 設定された画像平均化度数に応じて、アレイ配置されるマルチ荷電粒子ビームの各ビームでスキャンするスキャン領域幅を可変に設定した状態で、試料を配置するステージの移動方向と平行に前記マルチ荷電粒子ビームのうちの複数のビームが並ばないように前記ステージの移動方向の角度と前記マルチ荷電粒子ビームの配列方向の角度とを相対的にずらして、偏向器により偏向される前記マルチ荷電粒子ビームで前記試料をスキャンすることにより、ビーム毎の画像データを取得する工程と、
    前記ビーム毎の画像データを用いて、前記画像平均化度数の、同じ位置の画像データを重ね合わせて画像データの誤差を平均化し、出力する工程と、
    を備えたことを特徴とするマルチ荷電粒子ビーム画像取得方法。
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