以下、実施の形態において、基板の画像を取得する装置の一例として、電子ビームによるマルチビームを被検査基板に照射して2次電子画像を撮像する検査装置について説明する。但し、これに限るものではない。電子ビームの他に、イオンビーム等の荷電粒子を用いたビームでも構わない。マルチビームを用いて画像を取得する装置であれば、検査装置でなくても構わない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。図1において、基板に形成されたパターンを検査する検査装置100は、画像取得装置の一例である。検査装置100は、画像取得機構150、及び制御系回路160(制御部)を備えている。画像取得機構150は、電子ビームカラム102(電子鏡筒)、検査室103、検出回路106、パターンメモリ123、駆動機構132、ステージ駆動機構142、及びレーザ測長システム122を備えている。電子ビームカラム102内には、電子銃201、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、ブランキングアパーチャアレイ機構204、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206、対物レンズ207、主偏向器208、副偏向器209、一括ブランキング偏向器212、縮小レンズ213、ビームセパレーター214、リターディング電極220、マルチ検出器222、投影レンズ224,226、偏向器228、広域検出器230、及びアライメントコイル232,234が配置されている。
検査室103内には、少なくともXY平面上を移動可能なXYステージ105が配置される。XYステージ105上には、検査対象となる基板101が配置される。基板101には、露光用マスク基板、及びシリコンウェハ等の半導体基板が含まれる。基板101が半導体基板である場合には、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されている。基板101が露光用マスク基板である場合には、露光用マスク基板には、チップパターンが形成されている。かかる露光用マスク基板に形成されたチップパターンが半導体基板上に複数回露光転写されることで、半導体基板には複数のチップパターン(ウェハダイ)が形成されることになる。以下、基板101が半導体基板である場合を主として説明する。基板101は、例えば、パターン形成面を上側に向けてXYステージ105に配置される。また、XYステージ105上には、検査室103の外部に配置されたレーザ測長システム122から照射されるレーザ測長用のレーザ光を反射するミラー216が配置されている。また、XYステージ105上には、マークパターンが異なるマーク217,218、及びビーム入射域を制限した透過マーク219が配置される。マーク217,218、及び透過マーク219の表面高さは基板101表面の高さに合わせると好適である。
マルチ検出器222及び広域検出器230は、電子ビームカラム102の外部で検出回路106に接続される。検出回路106は、パターンメモリ123に接続される。また、電子ビームカラム102及び検査室103内は、図示しない真空ポンプによって排気され、真空状態が形成されている。
広域検出器230としては、例えば、半導体検出器、表面に帯電防止様に膜をつけたプラスチックシンチレータに光電子検出器を接続したものを用いることも出来るし、単に導体で出来た板に電流計をつないだものを用いることも出来る。この場合流入電流測定の精度の点からは炭素等の2次電子発生効率の低い材料を表面に用いることが有利である。
例えば、照明レンズ202、成形アパーチャアレイ基板203、縮小レンズ205、縮小レンズ213、対物レンズ207、主偏向器208、及び副偏向器209によって、1次電子光学系が構成される。但し、これに限るものではなく、1次電子光学系に、その他のコイル、レンズ、或いは偏向器等が含まれても構わない。また、例えば、ビームセパレーター214、投影レンズ224,226、偏向器228、及びアライメントコイル232,234によって、2次電子光学系が構成される。但し、これに限るものではなく、2次電子光学系に、その他のコイル、レンズ、或いは偏向器等が含まれても構わない。
制御系回路160では、検査装置100全体を制御する制御計算機110が、バス120を介して、位置回路107、比較回路108、参照画像作成回路112、ステージ制御回路114、レンズ制御回路124、ブランキング制御回路126、偏向制御回路128、リターディング制御回路129、搬入/搬出制御回路130、検出回路134、磁気ディスク装置等の記憶装置109、モニタ117、メモリ118、及びプリンタ119に接続されている。
また、パターンメモリ123は、比較回路108に接続されている。また、XYステージ105は、ステージ制御回路114の制御の下に駆動機構142により駆動される。駆動機構142では、例えば、X方向、Y方向、θ方向に駆動する3軸(X−Y−θ)モータの様な駆動系が構成され、XYステージ105が移動可能となっている。これらの、図示しないXモータ、Yモータ、θモータは、例えばステップモータを用いることができる。XYステージ105は、XYθ各軸のモータによって水平方向及び回転方向に移動可能である。そして、XYステージ105の移動位置はレーザ測長システム122により測定され、位置回路107に供給される。レーザ測長システム122は、ミラー216からの反射光を受光することによって、レーザ干渉法の原理でXYステージ105の位置を測長する。
電子銃201には、図示しない高圧電源回路が接続され、電子銃201内の図示しないフィラメントと引出電極(アノード)間への高圧電源回路からの加速電圧の印加と共に、所定の引出電極(ウェネルト)の電圧の印加と所定の温度のカソードの加熱によって、カソードから放出された電子群が加速させられ、電子ビーム200となって放出される。照明レンズ202、縮小レンズ205、縮小レンズ213、対物レンズ207、及び投影レンズ224,226は、例えば電磁レンズが用いられ、共にレンズ制御回路124によって制御される。また、ビームセパレーター214もレンズ制御回路124によって制御される。一括ブランキング偏向器212、及び偏向器228は、それぞれ少なくとも2極の電極群により構成され、ブランキング制御回路126によって制御される。主偏向器208、及び副偏向器209は、それぞれ少なくとも4極の電極群により構成され、偏向制御回路128によって制御される。電極220は、中央部に貫通する通過孔が形成された円盤上に構成され、リターディング制御回路129によって、基板101と共に制御される。
ここで、図1では、実施の形態1を説明する上で必要な構成を記載している。検査装置100にとって、通常、必要なその他の構成を備えていても構わない。
図2は、実施の形態1における成形アパーチャアレイ基板の構成を示す概念図である。図2において、成形アパーチャアレイ基板203には、2次元状の横(x方向)m1列×縦(y方向)n1段(m1,n1は2以上の整数)の穴(開口部)22がx,y方向に所定の配列ピッチで形成されている。図2の例では、23×23の穴(開口部)22が形成されている場合を示している。各穴22は、共に同じ寸法形状の矩形で形成される。或いは、同じ外径の円形であっても構わない。これらの複数の穴22を電子ビーム200の一部がそれぞれ通過することで、マルチビーム20が形成されることになる。ここでは、横縦(x,y方向)が共に2列以上の穴22が配置された例を示したが、これに限るものではない。例えば、横縦(x,y方向)どちらか一方が複数列で他方は1列だけであっても構わない。また、穴22の配列の仕方は、図3のように、横縦が格子状に配置される場合に限るものではない。例えば、縦方向(y方向)k段目の列と、k+1段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法aだけずれて配置されてもよい。同様に、縦方向(y方向)k+1段目の列と、k+2段目の列の穴同士が、横方向(x方向)に寸法bだけずれて配置されてもよい。次に検査装置100における画像取得機構150の動作について説明する。
電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202によりほぼ垂直に成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、図2に示すように、矩形の複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、例えば矩形の複数の電子ビーム(マルチビーム)20a〜20d(図1の実線)が形成される。
形成されたマルチビーム20a〜20d(1次電子ビーム)は、ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過し、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。ここで、成形アパーチャアレイ基板203(ブランキングアパーチャアレイ機構204)と縮小レンズ205との間に配置された一括ブランキング偏向器212によって、マルチビーム20a〜20d全体が一括して偏向された場合には、制限アパーチャ基板206の中心の穴から位置がはずれ、制限アパーチャ基板206によって遮蔽される。一方、一括ブランキング偏向器212によって偏向されなかったマルチビーム20a〜20dは、図1に示すように制限アパーチャ基板206の中心の穴を通過する。かかる一括ブランキング偏向器212のON/OFFによって、ブランキング制御が行われ、ビームのON/OFFが一括制御される。このように、制限アパーチャ基板206は、一括ブランキング偏向器212によってビームOFFの状態になるように偏向されたマルチビーム20a〜20dを遮蔽する。そして、ビームONになってからビームOFFになるまでに形成された、制限アパーチャ基板206を通過したビーム群により、検査用のマルチビーム20a〜20dが形成される。
制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20a〜20dは、縮小レンズ213によって、光軸に向かって屈折させられ、クロスオーバー(C.O.)を形成する。そして、マルチビーム20のクロスオーバー位置に配置されたビームセパレーター214を通過した後、対物レンズ207に進む。ビームセパレーター214を通過したマルチビーム20a〜20dは、対物レンズ207により基板101面上に焦点が合わされ、基板101にマルチビーム20a〜20d(電子ビーム)を結像する。その際、マルチビーム20a〜20dは、所望の縮小率のパターン像(ビーム径)となり、主偏向器208及び副偏向器209によって、制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20全体が同方向に一括して偏向され、電極220の中央部の通過孔を通過して、各ビームの基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。かかる場合に、主偏向器208によって、マルチビーム20が走査するマスクダイの基準位置にマルチビーム20全体を一括偏向する。XYステージ105を連続移動させながらスキャンを行う場合にはさらにXYステージ105の移動に追従するように、トラッキング偏向を行う。そして、副偏向器209によって、各ビームがそれぞれ対応する領域内を走査するようにマルチビーム20全体を一括偏向する。一度に照射されるマルチビーム20は、理想的には成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22の配列ピッチに上述した所望の縮小率(1/a)を乗じたピッチで並ぶことになる。このように、電子ビームカラム102は、一度に2次元状のm1×n1本のマルチビーム20を基板101に照射する。基板101の所望する位置にマルチビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含む2次電子の束(マルチ2次電子300)(図1の点線)が放出される。
ここで、電極220と基盤101との間に、リターディング制御回路129によって、所望の基板上への1次電子ビームの入射エネルギーが得られる様に電圧が印加される。電極220は電子ビームカラム102と同じくグラウンド電位、基板101を所定の負電位に設定する。これにより、真空下で、高いエネルギーで加速された1次電子ビーム(マルチビーム20)を基板101に突入する直前に減速させると共に、基板101から放出される低いエネルギーの2次電子(マルチ2次電子300)をマルチ検出器222側に加速させることができる。
基板101から放出されたマルチ2次電子300は、電極220の通過孔を通過した後、対物レンズ207によって、マルチ2次電子300の中心側に屈折させられ、ビームセパレーター214に進む。
ここで、ビームセパレーター214(例えば、ウィーンフィルタ)はマルチビーム20が進む方向(光軸)に直交する面上において電界と磁界を直交する方向に発生させる。電界は電子の進行方向に関わりなく同じ方向に力を及ぼす。これに対して、磁界はフレミング左手の法則に従って力を及ぼす。そのため電子の侵入方向によって電子に作用する力の向きを変化させることができる。ビームセパレーター214に上側から侵入してくるマルチビーム20(1次電子ビーム)には、電界による力と磁界による力が打ち消し合い、マルチビーム20は下方に直進する。これに対して、ビームセパレーター214に下側から侵入してくるマルチ2次電子300には、電界による力と磁界による力がどちらも同じ方向に働き、マルチ2次電子300は斜め上方に曲げられる。
斜め上方に曲げられたマルチ2次電子300は、広域検出器230が光路上に搬入されていない状態において、投影レンズ224,226によって、屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。マルチ検出器222は、投影されたマルチ2次電子300を検出する。マルチ検出器222は、例えば図示しないダイオード型の2次元センサを有する。そして、マルチビーム20の各ビームに対応するダイオード型の2次元センサ位置において、マルチ2次電子300の各2次電子がダイオード型の2次元センサに衝突して、電子を発生し、2次電子画像データを後述する画素毎に生成する。XYステージ105が移動しながらスキャン動作を行う場合には、XYステージ105の移動に伴いマルチ検出器222におけるマルチ2次電子300の各2次電子の検出位置がずれないように、偏向器228が、XYステージ105の移動に追従するように、マルチ2次電子300を偏向する(トラッキング制御する)。
以上のように、検査装置100には、マルチビーム20(1次電子ビーム)の軌道(照射位置及び焦点等)を調整する1次電子光学系と、マルチ2次電子300(2次電子)の軌道(照射位置及び焦点等)を調整する2次電子光学系とが配置される。しかし、1次電子光学系及び2次電子光学系の調整(ビーム調整)ができていない状態では、上述したような電子の軌道は通常得られない。そのため、1次電子光学系及び2次電子光学系の調整が必要となる。
図3は、実施の形態1における検査装置の光学系調整方法の要部工程を示すフローチャート図である。図3において、実施の形態1における検査装置の光学系調整方法は、広域検出器搬入工程(S102)と、1次電子ビーム取り出し工程(S104)と、1次電子ビーム位置粗調整工程(S106)と、2次電子軌道粗調整工程(S110)と、1次電子ビーム調整工程(S112)と、広域検出器搬出工程(S114)と、1次電子ビーム取り出し工程(S116)と、2次電子軌道調整工程(S118)と、判定工程(S120)と、いう一連の工程を実施する。
かかる工程群のうち、広域検出器搬入工程(S102)と、1次電子ビーム取り出し工程(S104)と、1次電子ビーム位置粗調整工程(S106)と、2次電子軌道粗調整工程(S110)と、1次電子ビーム調整工程(S112と、によって1次電子光学系の調整が実行される。広域検出器搬出工程(S114)と、1次電子ビーム取り出し工程(S116)と、2次電子軌道調整工程(S118)と、判定工程(S120)と、によって2次電子光学系の調整が実行される。
広域検出器搬入工程(S102)として、搬入/搬出制御回路130による制御のもと、駆動機構132は、マルチビーム20を対象物に照射したことに起因して放出されるマルチ2次電子300を個別に検出可能なマルチ検出器222(第1の検出器)にマルチ2次電子300を誘導するための光路途中に広域検出器230を搬入し、配置する。広域検出器230(第2の検出器)は、可動式であって、マルチ2次電子300全体を検出可能なサイズの検出面を有する。
具体的には、広域検出器230は、ビームセパレーター214と投影レンズ224との間の光路途中に配置される。ここで、設計パラメータを初期値として1次電子光学系及び2次電子光学系にそれぞれ設定したとしても、マルチビーム20の各ビームが照射される基板101上の位置が所望の位置からずれてしまう場合がある。かかるマルチビーム20の各ビームの照射位置は、マルチ検出器222に2次電子が到達することによって2次電子像が得られることで確認が可能となる。そのため、まずはマルチ検出器222まで2次電子を到達させることが必要となる。しかしながら、ビームセパレーター214により2次電子が曲げられた2次電子の進む方向の角度が所望する角度からずれると、マルチ検出器222まで2次電子が到達しなくなってしまう場合が生じ得る。マルチビーム20の各ビームが照射される基板101上の位置が変われば、ビームセパレーター214により曲げられた2次電子の進む方向も変わってしまう。そして、検出面での位置ずれ量はビームセパレーター214からの距離に比例して大きくなる。実施の形態1における検査装置100では、ビームセパレーター214からマルチ検出器222までの距離が離れているので、ビームセパレーター214より曲げられた2次電子の進む方向の角度のずれが検出面での位置ずれに及ぼす影響が大きい。よって、1次電子光学系の調整(ビーム調整)ができていない状態では、ビームセパレーター214の設定が仮に合っていたとしても、ビームセパレーター214から遠いマルチ検出器222では位置ずれ量が大きすぎてそもそも2次電子を検出すること自体が難しい状態が起こり得る。その結果、2次電子像が得られず、1次電子光学系の調整自体が困難となる。そこで、実施の形態1では、マルチ検出器222に比べてビームセパレーター214からの距離が近い(短い)位置に広域検出器230を配置する。これにより、ビームセパレーター214より曲げられた2次電子の進む方向の角度のずれが位置ずれに及ぼす影響を大幅に下げることができる。また、広域検出器230は、1次電子光学系の調整とビームセパレーター214の調整とが完了していれば、マルチビーム20の照射領域全体のいずれから放出される2次電子でも検出可能な広域サイズの検出面を有している。よって、マルチビーム20の各ビームが照射される基板101上の位置がずれていた場合でも、少なくともいずれかのビームに対応する2次電子の検出は広域検出器230によって容易にできる。マルチビーム20の1次電子光学系の調整は、同じ設定値で各ビームが所望の照射位置になるように調整することになるが、少なくとも1本のビームの調整ができれば、残りのビームも所望の位置に近づけることができる。その結果、残りのビームに対応する2次電子の検出も広域検出器230によって可能にできる。
1次電子ビーム取り出し工程(S104)として、マルチビーム20(マルチ1次電子ビーム)のうち予め設定された複数の位置のビーム(1次電子ビーム)について、1本ずつビームを取り出す。上述したように、マルチビーム20の1次電子光学系の調整は、同じ設定値で各ビームが所望の照射位置になるように調整する。そのために、1本ずつビームを調整する。よって、マルチビーム20から各ビームを1本ずつ取り出すことが必要となる。例えば、m1列×n1段のマルチビーム20の中心ビームと、4隅のビームを順に取り出す。
ここで、実施の形態1では、一括ブランキング偏向器212によるマルチビーム20の一括ブランキング偏向の他に、さらに、ブランキングアパーチャアレイ機構204によるマルチビーム20の各ビームの個別ブランキング偏向が可能に構成される。
図4は、実施の形態1におけるブランキングアパーチャアレイ機構の構成を示す断面図である。ブランキングアパーチャアレイ機構204は、図4に示すように、支持台33上に例えばシリコン等からなる基板31が配置される。基板31の中央部は、例えば裏面側から薄く削られ、薄い膜厚hのメンブレン領域30(第1の領域)に加工されている。メンブレン領域30を取り囲む周囲は、厚い膜厚Hの外周領域32(第2の領域)となる。メンブレン領域30の上面と外周領域32の上面とは、同じ高さ位置、或いは、実質的に高さ位置になるように形成されると好適である。基板31は、外周領域32の裏面で支持台33上に保持される。支持台33の中央部は開口しており、メンブレン領域30の位置は、支持台33の開口した領域に位置している。
メンブレン領域30には、図2に示した成形アパーチャアレイ基板203の各穴22に対応する位置にマルチビーム20のそれぞれのビームの通過用の通過孔25(開口部)が開口される。言い換えれば、基板31のメンブレン領域30には、電子線を用いたマルチビームのそれぞれ対応するビームが通過する複数の通過孔25がアレイ状に形成される。そして、基板31のメンブレン領域30上であって、複数の通過孔25のうち対応する通過孔25を挟んで対向する位置に2つの電極を有する複数の電極対がそれぞれ配置される。具体的には、メンブレン領域30上に、図4に示すように、各通過孔25の近傍位置に当該通過孔25を挟んでブランキング偏向用の制御電極24と対向電極26の組(ブランカー:ブランキング偏向器)がそれぞれ配置される。また、基板31上には、各通過孔25用の制御電極24に偏向電圧を印加する配線(図示せず)が形成される。各制御電極24への個別の偏向電圧印加のON/OFFは、ブランキング制御回路126によって制御される。また、各ビーム用の対向電極26は、グランド接続される。
図5は、実施の形態1の個別ブランキング機構の一例を示す図である。図5において、ブランキング制御回路126内には、各制御電極24へ偏向電圧を個別に印加するための個別制御回路41が形成される。各制御回路41内には、アンプ46(スイッチング回路の一例)が配置される。図5の例では、アンプ46の一例として、CMOS(Complementary MOS)インバータ回路が配置される。そして、CMOSインバータ回路は正の電位(Vdd:ブランキング電位:第1の電位)(例えば、5V)(第1の電位)とグランド電位(GND:第2の電位)に接続される。CMOSインバータ回路の出力線(OUT)は制御電極24に接続される。一方、対向電極26は、グランド電位が印加される。
CMOSインバータ回路の入力(IN)には、閾値電圧よりも低くなるL(low)電位(例えばグランド電位)と、閾値電圧以上となるH(high)電位(例えば、1.5V)とのいずれかが制御信号として印加される。実施の形態1では、CMOSインバータ回路の入力(IN)にL電位が印加される状態では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)は正電位(Vdd)となり、対向電極26のグランド電位との電位差による電界により対応ビーム20を偏向し、制限アパーチャ基板206で遮蔽することでビームOFFになるように制御する。一方、CMOSインバータ回路の入力(IN)にH電位が印加される状態(アクティブ状態)では、CMOSインバータ回路の出力(OUT)はグランド電位となり、対向電極26のグランド電位との電位差が無くなり対応ビーム20を偏向しないので制限アパーチャ基板206を通過することでビームONになるように制御する。
各通過孔を通過する電子ビーム20は、それぞれ独立に対となる2つの制御電極24と対向電極26に印加される電圧によって個別に偏向される。かかる偏向によってブランキング制御される。具体的には、制御電極24と対向電極26の組は、それぞれ対応するスイッチング回路となるCMOSインバータ回路によって切り替えられる電位によってマルチビームの対応ビームをそれぞれ個別にブランキング偏向する。このように、複数のブランカーが、成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22(開口部)を通過したマルチビームのうち、それぞれ対応するビームのブランキング偏向を行う。
個別ブランキング機構としては、ブランキング制御回路126内に上述したようなCMOS回路を基板上に形成したものではなくても良い。例えば、ブランキング制御回路126内に、DC電源とリレイ回路とからなる簡易な電源回路を配置して、ブランキング制御回路126からブランキングアパーチャアレイ機構204の各電極に所望の電位を印加するように制御しても良い。また、ブランキング電極24,26と通過孔とを形成した個別ブランキングアパーチャアレイ機構に上記CMOS回路等の駆動回路を直接形成することも出来る。
実施の形態1では、以上のように、マルチビーム20が通過する位置に合わせて複数の通過孔25が形成された基板31と、通過孔25毎に当該通過孔25を挟んで対向する位置に配置された電極対(24,26)とを有するブランキングアパーチャアレイ機構204を用いてマルチビーム20のうち所望の1本のビーム以外の残りのビームをビームOFFになるように偏向することによって、1本ずつビームを取り出す。
かかるブランキングアパーチャアレイ機構204による各ビームの個別ブランキング制御は、検査装置100の光学系調整時に利用される。光学系調整後の通常のパターン検査の間は、すべてのビームがビームONになるように制御される。そして、通常のパターン検査の間、マルチビーム20は、一括ブランキング偏向器212によってビームON/OFFが一括して制御される。なお、ブランキングアパーチャアレイ機構204の各ブランカーを同期させて、同じタイミングですべてのビームのON/OFF制御を行うことで、一括ブランキング偏向器212の動作と同様の動作をすることもできる。かかる場合には、一括ブランキング偏向器212を省略しても構わない。
図6は、実施の形態1における個別ビーム取り出し機構の他の一例を示す図である。図6では、ブランキングアパーチャアレイ機構204の代わりに、シャッター機構215を配置する場合を示している。かかるシャッター機構215により、マルチビーム20の中から1本のビームを取り出すように構成しても好適である。シャッター機構215は、成形アパーチャアレイ基板203に形成される複数の穴22の配置ピッチから穴22の直径サイズを差し引いたサイズより小さく、各穴22のサイズよりも大きい少なくとも1つの開口部21が形成されたシャッター板23を有している。このように、マルチビーム20のうち所望の1本のビームを通過させる開口部21を有して、残りのビームを遮蔽する可動式シャッター機構215を用いて、1本ずつ1次電子ビームが取り出される。具体的には、シャッター板23と成形アパーチャアレイ基板203とを重ね合わせた場合に、シャッター機構215の図示しない駆動機構によりシャッター板23を平面移動させることで、開口部21を複数の穴22のいずれか1つと重なり、他の穴22をシャッター板23にて遮蔽する位置に配置する。逆にシャッター板23を平面移動させることで、すべての穴22をビームが通過可能に開放する。ここで、シャッター板23は、成形アパーチャアレイ基板203の上方に配置されると好適である。これにより、電子ビーム200のうち、開口部21を通過する1本のビーム以外の部分はシャッター板23により遮蔽でき、成形アパーチャアレイ基板203に不必要な電子ビームエネルギーを加えないようにできる。それにより、マルチビーム20のサイズを決定する穴22の変形等の形状劣化を抑制できる。
1次電子ビーム位置粗調整工程(S106)として、取り出された1本のビームの照射位置の粗調整を順に行う。ビームセパレーター214の設定が仮にできていたとしても、マルチビーム20から取り出された1本のビームの照射位置が設計位置からあまりにも遠くにずれていた場合、広域検出器230であっても2次電子を検出することが難しい。そこで、まずは、取り出された1本ずつのビームの照射位置の粗調整を順に行う。
図7は、実施の形態1における透過マークの構成の一例を示す断面図である。図7の例では、透過マーク219の上面には直径Dの貫通孔が形成される。貫通孔の直径Dは、マルチビーム20のビーム間ピッチPx’(及びPy’)より小さいと好適である。但し、ここでは粗調整なので、例えば、数ピッチ分のサイズであっても構わない。そして、透過マーク219の上面の高さ位置が、基板101上面と同じ高さ位置になるように調整される。透過マーク219内部は、上面に形成される貫通孔の下側に位置する領域が空洞に形成され、貫通孔を通過した測定対象のビーム20iは、電流検出器221に入射する。そして、電流検出器221は、入射されたビームiの電流値を測定する。電流検出器221で検出されたデータは、検出回路134に出力され、アナログデータからデジタルデータに変換の上、増幅されて位置回路107に出力される。かかる透過マーク219上を取り出されたビーム20iで走査する。まずは、取り出されたビーム20iの走査範囲に透過マーク219が位置するようにXYステージ105を移動させる。取り出されたビーム20iの走査は、偏向器208で偏向することで行うことができる。そして、電流値データの強度のピーク位置を当該ビームの位置として検出することができる。
そして、検出される当該ビームの位置が、設計位置から予め設定された閾値内に入るように1次電子光学系の粗調整を行うことにより当該ビームの位置を粗調整する。ビームの位置調整は、1次電子光学系を構成する各電磁レンズの他、図示しないアライメントコイルを用いても構わない。
2次電子軌道粗調整工程(S110)として、マルチビーム20から取り出された1本のビームの照射によって放出される2次電子が広域検出器230により検出可能な軌道に粗調整する。具体的には、ビームセパレーター214の設定値を調整する。ビームセパレーター214が発生する電場と磁場の強度を調整することでビームが曲がる方向を調整できる。
図8は、実施の形態1における2次電子軌道の粗調整の仕方を説明するための図である。透過マーク219を使った1次電子ビーム位置粗調整工程(S106)は既に終わっているので、ビームセパレーター214の設定を設計値に合わせることにより、ビームセパレーター214により軌道を曲げられた2次電子301は、広域検出器230の検出面に到達する場合が多い。特に、マルチビーム20の中心ビームを対象ビームとする場合には、2次電子301は、広域検出器230の検出面に通常到達する。しかし、広域検出器230で検出できない場合には、ビームセパレーター214の設定値を調整して、対象ビームの照射によって放出される2次電子301を広域検出器230の検出面に当てる。ビームセパレーター214の調整だけでは2次電子301を広域検出器230の検出面に当てることが難しい場合には、アライメントコイル232を使って2次電子301の軌道を広域検出器230の検出面に当てるように調整しても構わない。広域検出器230の検出面に当たったかどうかは、広域検出器230で2次電子301を検出できたかどうかで判断できる。
図9は、実施の形態1における広域検出器での検出位置の一例を示す図である。図9の例では、広域検出器230の矩形の検出面の右寄りのやや上方の位置で2次電子301が検出される場合を示している。広域検出器230の検出面は上述したように広域サイズなので、2次電子301を検出しやすい反面、検出面のどの位置で検出したのかその検出位置を特定することはできない。よって、2次電子301の軌道がそのままの状態で、マルチ検出器222の所望の位置に到達できるわけではない。しかし広域検出器230で対象ビームの2次電子301を検出できることで、2次電子301の像を取得できる。
1次電子ビーム調整工程(S112)として、広域検出器230(第2の検出器)を用いて、1本ずつ取り出されたビーム(1次電子ビーム)毎に、当該ビームに対応する2次電子301を広域検出器230により検出しながら1次電子光学系を用いて当該対象ビームの軌道の調整を行う。
図10は、実施の形態1における1次電子光学系の調整を説明するための図である。図10では、説明を簡略化するために、1次電子光学系の一部の光学系の記載を省略している。1次電子光学系の調整は、ビーム1本ずつ行う。ここでは、マルチビーム20の中心ビームを使って、まずは調整し、その後、マルチビーム20の4隅のビームを1本ずつ使って調整すると好適である。但し、これに限るものではない。マルチビーム20の中心ビームを使わずに、マルチビーム20の4隅のビームを1本ずつ使って調整するだけでも構わない。或いは、マルチビーム20のその他のビームを1本ずつ使って調整しても良い。図10において、ブランキングアパーチャアレイ機構204によって1本だけが取り出された対象ビームは、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206等を通過し、対物レンズ207によってマーク217,218,219のいずれかに照射される。実施の形態1において、1次電子ビーム位置の粗調整は、上述したように透過マーク219をスキャンすることによって行われる。1次電子ビームの調整(微調整)は、例えば、照射位置の調整と焦点調整とを行う。1次電子ビーム位置の調整(微調整)は、位置測定用パターンが形成されたマーク217をスキャンすることによって行われる。1次電子ビームの焦点調整は、焦点調整用パターンが形成されたマーク218をスキャンすることによって行われる。
図11は、実施の形態1における位置測定用パターンの一例を示す図である。マーク217の表面には、図11に示すように、位置測定用パターン12として、十字マークパターンが形成される。そして、まずは、取り出されたビーム20iの走査範囲にマーク217の十字マークパターンが位置するようにXYステージ105を移動させる。そして、かかるマーク217上を取り出されたビーム20iで走査する。取り出されたビーム20iの走査は、偏向器208で偏向することで行うことができる。十字マークパターンの中心を挟んでx方向、及びy方向にそれぞれ2か所ずつスキャンし、マーク217から放出される2次電子を広域検出器230で検出する。広域検出器230によって検出された2次電子301の検出データ(2次電子画像)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、パターンメモリ123に格納される。そして、比較回路108を介して位置回路107に転送される。位置回路107では、別途、レーザ測長システム122によって4か所のスキャン位置を測定しているので、画像強度のx方向2か所のピーク位置を結んだ線とy方向2か所のピーク位置を結んだ線との交点の位置を、取り出された対象ビーム20iの照射位置として測定する。そして、レンズ制御回路124は、かかる対象ビーム20iの照射位置が所望の位置(設計位置)になるように1次電子光学系を構成する各種レンズを調整する。例えば、ビームの屈折角度を調整することによって最終的な対象ビーム20iの基板101面高さにおける照射位置の調整を行う。ビームの位置調整は、1次電子光学系を構成する各電磁レンズの他、光軸等のずれについては図示しないアライメントコイルを用いても構わない。次に焦点調整を行う。
図12は、実施の形態1における焦点調整用パターンの一例を示す図である。マーク218の表面には、図12に示すように、焦点調整用パターン14として、サイズの異なる複数の円パターンが形成される。かかる複数の円パターンのサイズは、所望のビーム分解能を挟んで分解能限界未満のサイズから分解能限界よりも大きいサイズまで形成される。例えば、炭素材料上に金の微粒子を分散させることで形成できる。そして、まずは、取り出されたビーム20iの走査範囲にマーク218の焦点調整用パターン14が位置するようにXYステージ105を移動させる。そして、かかるマーク218上を取り出されたビーム20iで走査する。取り出されたビーム20iの走査は、偏向器208で偏向することで行うことができる。スキャンし、マーク218から放出される2次電子を広域検出器230で検出する。広域検出器230によって検出された2次電子301の検出データ(2次電子画像)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、パターンメモリ123に格納される。そして、比較回路108を介してレンズ制御回路124に転送される。レンズ制御回路124は、複数の円パターンのうち所望のビーム分解能の像が得られるように対物レンズ207で対象ビーム20iの基板101面高さに焦点を調整する。
以上のようにして、1次電子光学系を用いて取り出された当該ビームの軌道の調整(照射位置及び焦点)を行う。さらにレンズを増やせば、当該ビームの倍率、回転、或いは非点等の調整もできる。こうして得られた1次電子ビームの位置及び電流分布、及び個別のビーム形状等は図示していないメモリに記憶され、検査実施時に使用される。
また、上記に説明した方法に加えて、例えば、図1の例で、ブランキングアパーチャアレイ204の下流に1本のビームに1組の偏向器が割り当てられた偏向電極アレイを設けた構成としておき、個別ビームの位置を微調整することも可能である。偏向電極アレイの構造としては、ブランキングアパーチャアレイに似た構成として、2対また4対の偏向電極を、開口を囲む様に配置して、それぞれの電極に所定の電位を加えることで偏向電場を発生させ、ビーム軌道を曲げる方式が望ましい。また、個別ビームの調整精度としては若干劣るが、1組の偏向器に複数のビームを割り当てる方式を取り必要な電源数を減らすことも出来る。各電極への配線は偏向電極アレイ基板の外部と接続され、大気中に設置された図示されていない個別偏向調整電源と接続される。個別偏向調整電源から、各電極が所定の電位を得る様に電圧を供給する。
そして、1次電子ビーム取り出し工程(S104)から1次電子ビーム調整工程(S112)までの各工程をマルチビーム20の中心ビーム及び4隅のビームについて実施し、マルチビーム20全体について同じレンズ条件で同程度な2次電子像がそれぞれ得られるように1次電子光学系を調整する。かかる調整により、マルチビーム20の照射位置および焦点が合わされる(1次電子光学系の調整完了)。また、かかる調整により、マルチ2次電子300の外側の各2次電子が検出されるようになっているので、既に、マルチ2次電子300全体が、広域検出器230で検出できていることになる。
ここで、上述した図9に示す広域検出器230の検出面では、2次電子301の検出はできても、その位置を識別することは困難である。そのため、マルチビーム20の4隅のビームすべての対応する2次電子301を広域検出器230の検出面内に導く際にそれぞれの位置を想定しながら調整する必要があり、その分の手間がかかる。
図13は、実施の形態1における広域検出器の他の一例を示す図である。図13の例では、広域検出器230として、領域分割型の検出器を用いる場合を示している。ここでは、検出面が例えば3×3の9分割型の検出器を用いている。例えば、マルチビーム20の中心ビームを取り出した場合に、かかる中心ビームの2次電子301が3×3の9分割面のうち、中心領域面で検出されるように調整することができる。同様に、マルチビーム20の4隅のビームのうち、右上角のビームは、3×3の9分割面のうち例えば右上領域面で検出されるように調整することができる。同様に、右下角のビームは、3×3の9分割面のうち例えば右下領域面で検出されるように調整することができる。同様に、左上角のビームは、3×3の9分割面のうち例えば左上領域面で検出されるように調整することができる。同様に、左下角のビームは、3×3の9分割面のうち例えば左下領域面で検出されるように調整することができる。このように、それぞれの位置に応じた検出面で順に検出するように調整すれば、広域検出器230の検出面内に導く際にそれぞれの位置が大まかにわかるので、位置を想定しながら調整する手間がかからないようにできる。
以上のようにして、1次電子光学系の調整が完了したら、次に、2次電子光学系の調整を行う。
広域検出器搬出工程(S114)として、搬入/搬出制御回路130による制御のもと、駆動機構132は、広域検出器230を光路から光路外へと移動させる。これにより、マルチ2次電子300を2次電子光学系の光路内へと進ませることができる。
1次電子ビーム取り出し工程(S116)として、マルチビーム20(マルチ1次電子ビーム)のうち予め設定された複数の位置のビーム(1次電子ビーム)について、1本ずつビームを取り出す。各ビームの取り出しは、ブランキングアパーチャアレイ機構204によって対象ビームをビームON、残りのビームをすべてビームOFFに制御すればよい。まずは、マルチビーム20の中心ビームから調整していくと好適である。
2次電子軌道調整工程(S118)として、1本ずつ取り出された各ビーム(1次電子ビーム)の1次電子光学系での軌道の調整が終了後、広域検出器230を光路から光路外へと移動させた状態で、1本ずつ取り出されたビーム(1次電子ビーム)毎に、当該1次電子ビームに対応する2次電子301がマルチ検出器222の対応する領域にて検出されるように、2次電子光学系を用いて当該2次電子301の軌道の調整を行う。
図14は、実施の形態1における2次電子光学系の調整を説明するための図である。図14では、説明を簡略化するために、1次電子光学系の一部の光学系の記載を省略している。2次電子光学系の調整は、ビーム1本ずつ行う。ここでは、マルチビーム20の中心ビームを使って、まずは調整し、その後、残りのビームを1本ずつ使って調整すると好適である。但し、これに限るものではない。マルチビーム20の中心ビームを使わずに、マルチビーム20の他のビームから調整を開始しても構わない。図14において、ブランキングアパーチャアレイ機構204によって1本だけが取り出された対象ビームは、縮小レンズ205、制限アパーチャ基板206等を通過し、対物レンズ207によってマーク218に照射される。2次電子光学系の調整では、各ビームに対応する2次電子301がそれぞれマルチ検出器222の予め設定された位置の素子で検出されること、及び、かかる検出面に焦点を合わせることが求められる。レンズ制御回路124は、かかる対象ビーム20iの対応する2次電子301がマルチ検出器222の所望の位置(設計位置)で検出されるように2次電子光学系を構成する各種レンズを調整する。
例えば、取り出されたビーム20iの照射位置にマーク218の焦点調整用パターン14が位置するようにXYステージ105を移動させる。そして、かかるマーク218に取り出されたビーム20iを照射する。マーク218から放出される2次電子301をマルチ検出器222で検出する。マルチ検出器222によって検出された2次電子301の検出データ(2次電子画像)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、パターンメモリ123に格納される。そして、検査される電流分布のピークがマルチ検出器222の予め設定された素子(位置)になるように2次電子光学系を調整する。ビームの位置調整は、2次電子光学系を構成する投影レンズ224,226の他、光軸等のずれについてはアライメントコイル23を用いても構わない。次に焦点調整を行う。
まずは、取り出されたビーム20iの走査範囲にマーク218の焦点調整用パターン14が位置するようにXYステージ105を移動させる。そして、かかるマーク218上を取り出されたビーム20iで走査する。取り出されたビーム20iの走査は、偏向器208で偏向することで行うことができる。スキャンし、マーク218から放出される2次電子301をマルチ検出器222で検出する。マルチ検出器222によって検出された2次電子301の検出データ(2次電子画像)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、パターンメモリ123に格納される。そして、比較回路108を介してレンズ制御回路124に転送される。レンズ制御回路124は、複数の円パターンのうち所望のビーム分解能の像が得られるように投影レンズ226で対象ビーム20iの2次電子301をマルチ検出器222の検出面高さに焦点を調整する。
以上のようにして、2次電子光学系を用いて取り出された当該ビームに対応する2次電子301の軌道の調整(照射位置及び焦点)を行う。
また、1次電子ビーム系の入射位置を調整して、マルチ検出器222の検出素子の所望の位置に2次電子の到達位置が近づく様に1次ビームの入射位置を微調整することも可能である。更に、1次電子ビーム系が個別の偏向器アレイを有していて、1次ビームの入射位置を個別に調整出来る場合は、マルチ検出器222の検出素子の所望の位置に2次電子の入射位置が到達する様に1次ビームの入射位置を微調整することも可能である。
或いは、2次電子系にも個別の2次電子ビームに対応した偏向器アレイを設けておいて、2次電子ビーム用偏向器アレイの各開口を対応する2次電子ビームが通過する様に調整しておく。2次電子がマルチ検出器222の検出素子の所望の位置に到達する様に微調整することも出来る。或いは、個別ビームの調整精度としては若干劣るが、各開口に複数の2次電子ビームを対応させることで回路を少なくすることも出来る。
判定工程(S120)として、制御計算機110は、すべてのビームについての調整が終了したかどうかを判定する。そして、すべてもビームの調整が終了するまで、1次電子ビーム取り出し工程(S116)から2次電子ビーム調整工程(S118)までの各工程を繰り返し、マルチビーム20全体について同じレンズ条件でマルチ検出器222のそれぞれ所望する検出領域にて検出されると共に、同程度な2次電子像がそれぞれ得られるように2次電子光学系を調整する。かかる調整により、マルチビーム20の照射位置および焦点が合わされる(2次電子光学系の調整完了)。
実施の形態1では、1次電子光学系の調整によって、マルチ2次電子300が2次電子光学系の制御範囲内に進むので、2次電子光学系の調整が容易にできる。実際にはほとんど手間がかからずに済ますことができる。さらに、実施の形態1では、1次電子光学系の調整後、電子ビームカラム102内を大気開放することなく2次電子光学系の調整ができる。
以上のように、検査装置100の光学系が調整されることによって、2次電子画像(SEM画像)を取得できる。そして、取得される2次電子画像を使って、検査対象の基板101の検査を行う。
図15は、実施の形態1における2次電子画像の取得を説明するための図である。図15では、説明を簡略化するために、1次電子光学系の一部の光学系の記載を省略している。まずは、XYステージ105に検査対象の基板101を配置する。そして、後述するように、マルチビーム20の照射範囲に基板101が位置するようにXYステージ105を移動させる。そして、上述したように、電子銃201(放出源)から放出された電子ビーム200は、照明レンズ202によりほぼ垂直に成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203により、例えば矩形の複数の電子ビーム(マルチビーム)20a〜20dが形成される。そして、形成されたマルチビーム20a〜20d(1次電子ビーム)は、ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過し、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20a〜20dは、縮小レンズ213(図示せず)、及びビームセパレーター214を通過した後、対物レンズ207に進む。マルチビーム20a〜20dは、対物レンズ207により基板101面上に焦点が合わされ、基板101にマルチビーム20a〜20d(電子ビーム)を結像する。その際、主偏向器208及び副偏向器209によって、一括して偏向され、基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。基板101の所望する位置にマルチビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含むマルチ2次電子300が放出される。
基板101から放出されたマルチ2次電子300は、ビームセパレーター214によって、2次電子光学系へと軌道が曲げられる。そして、斜め上方に曲げられたマルチ2次電子300は、広域検出器230が光路上に搬入されていない状態において、投影レンズ224,226によって、屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。以上のようにして、画像取得機構150は、対物レンズ207を用いて焦点が基板101に合わせられたマルチビーム20(電子ビーム)が基板101に照射されることに起因して基板101から放出された反射電子を含むマルチ2次電子300を検出して、基板101の画像を取得する。画像取得機構150の動作は、上述した内容に加えて、以下のように動作する。
図16は、実施の形態1における半導体基板に形成される複数のチップ領域の一例を示す図である。図16の例では、基板101が半導体基板(ウェハ)の場合を示している。半導体基板(ウェハ)101の検査領域330には、複数のチップ(ウェハダイ)332が2次元のアレイ状に形成されている。各チップ332には、露光用マスク基板に形成された1チップ分のマスクパターンが図示しない露光装置(ステッパ)によって例えば1/4に縮小されて転写されている。各チップ332内は、例えば、2次元状の横(x方向)m2列×縦(y方向)n2段(m2,n2は2以上の整数)個の複数のマスクダイ333に分割される。実施の形態1では、かかるマスクダイ333が単位検査領域となる。
図17は、実施の形態1におけるマルチビームの照射領域と測定用画素との一例を示す図である。図17において、各マスクダイ333は、例えば、マルチビームのビームサイズでメッシュ状の複数のメッシュ領域に分割される。かかる各メッシュ領域が、測定用画素36(単位照射領域)となる。図17の例では、8×8列のマルチビームの場合を示している。1回のマルチビーム20の照射で照射可能な照射領域34は、(マルチビーム20のx方向のビーム間ピッチにx方向のビーム数を乗じたx方向サイズ)×(マルチビーム20のy方向のビーム間ピッチにy方向のビーム数を乗じたy方向サイズ)で定義される。図17の例では、照射領域34がマスクダイ333と同じサイズの場合を示している。但し、これに限るものではない。照射領域34がマスクダイ333よりも小さくても良い。或いは大きくても構わない。そして、照射領域34内に、1回のマルチビーム20の照射で照射可能な複数の測定用画素28(1ショット時のビームの照射位置)が示されている。言い換えれば、隣り合う測定用画素28間のピッチがマルチビームの各ビーム間のピッチとなる。図17の例では、隣り合う4つの測定用画素28で囲まれると共に、4つの測定用画素28のうちの1つの測定用画素28を含む正方形の領域で1つのサブ照射領域29を構成する。図17の例では、各サブ照射領域29は、4×4画素36で構成される場合を示している。
実施の形態1におけるスキャン動作では、マスクダイ333毎にスキャン(走査)される。図17の例では、ある1つのマスクダイ333を走査する場合の一例を示している。マルチビーム20がすべて使用される場合には、1つの照射領域34内には、x,y方向に(2次元状に)m1×n1個のサブ照射領域29が配列されることになる。1つ目のマスクダイ333にマルチビーム20が照射可能な位置にXYステージ105を移動させる。主偏向器208によって、マルチビーム20が走査するマスクダイ333の基準位置にマルチビーム20全体を一括偏向する。その位置でXYステージ105を停止させ、当該マスクダイ333を照射領域34として当該マスクダイ333内を走査(スキャン動作)する。XYステージ105を連続移動させながらスキャンを行う場合には、主偏向器208によって、さらにXYステージ105の移動に追従するように、トラッキング偏向を行う。マルチビーム20を構成する各ビームは、互いに異なるいずれかのサブ照射領域29を担当することになる。そして、各ショット時に、各ビームは、担当サブ照射領域29内の同じ位置に相当する1つの測定用画素28を照射することになる。図17の例では、副偏向器209によって、各ビームは、1ショット目に担当サブ照射領域29内の最下段の右から1番目の測定用画素36を照射するように偏向される。そして、1ショット目の照射が行われる。続いて、副偏向器209によってマルチビーム20全体を一括してy方向に1測定用画素36分だけビーム偏向位置をシフトさせ、2ショット目に担当サブ照射領域29内の下から2段目の右から1番目の測定用画素36を照射する。同様に、3ショット目に担当サブ照射領域29内の下から3段目の右から1番目の測定用画素36を照射する。4ショット目に担当サブ照射領域29内の下から4段目の右から1番目の測定用画素36を照射する。次に、副偏向器209によってマルチビーム20全体を一括して最下段の右から2番目の測定用画素36の位置にビーム偏向位置をシフトさせ、同様に、y方向に向かって、測定用画素36を順に照射していく。かかる動作を繰り返し、1つのビームで1つのサブ照射領域29内のすべての測定用画素36を順に照射していく。1回のショットでは、成形アパーチャアレイ基板203の各穴22を通過することによって形成されたマルチビームによって、最大で各穴22と同数の複数のショットに応じた2次電子300が一度に検出される。
以上のように、マルチビーム20全体では、マスクダイ333を照射領域34として走査(スキャン)することになるが、各ビームは、それぞれ対応する1つのサブ照射領域29を走査することになる。そして、1つのマスクダイ333の走査(スキャン)が終了すると、隣接する次のマスクダイ333が照射領域34になるように移動して、かかる隣接する次のマスクダイ333の走査(スキャン)を行う。かかる動作を繰り返し、各チップ332の走査を進めていく。マルチビーム20のショットにより、その都度、照射された測定用画素36から2次電子300が放出され、検出器222にて検出される。実施の形態1では、検出器222の単位検出領域サイズは、各測定用画素36から上方に放出された2次電子300を測定用画素36毎(或いはサブ照射領域29毎)に検出する。
以上のようにマルチビーム20を用いて走査することで、シングルビームで走査する場合よりも高速にスキャン動作(測定)ができる。なお、ステップアンドリピート動作で各マスクダイ333のスキャンを行っても良いし、XYステージ105を連続移動させながら各マスクダイ333のスキャンを行う場合であってもよい。照射領域34がマスクダイ333よりも小さい場合には、当該マスクダイ333中で照射領域34を移動させながらスキャン動作を行えばよい。
基板101が露光用マスク基板である場合には、露光用マスク基板に形成された1チップ分のチップ領域を例えば上述したマスクダイ333のサイズで短冊状に複数のストライプ領域に分割する。そして、ストライプ領域毎に、上述した動作と同様の走査で各マスクダイ333を走査すればよい。露光用マスク基板におけるマスクダイ333のサイズは、転写前のサイズなので半導体基板のマスクダイ333の4倍のサイズとなる。そのため、照射領域34が露光用マスク基板におけるマスクダイ333よりも小さい場合には、1チップ分のスキャン動作が増加する(例えば4倍)ことになる。しかし、露光用マスク基板には1チップ分のパターンが形成されるので、4チップよりも多くのチップが形成される半導体基板に比べてスキャン回数は少なくて済む。
以上のように、画像取得機構150は、マルチビーム20を用いて、図形パターンが形成された被検査基板101上を走査し、マルチビーム20が照射されたことに起因して被検査基板101から放出される、マルチ2次電子300を検出する。マルチ検出器222によって検出された各測定用画素36からの2次電子の検出データ(2次電子画像)は、測定順に検出回路106に出力される。検出回路106内では、図示しないA/D変換器によって、アナログの検出データがデジタルデータに変換され、パターンメモリ123に格納される。そして、例えば、1つのチップ332分の検出データが蓄積された段階で、チップパターンデータとして、位置回路107からの各位置を示す情報と共に、比較回路108に転送される。
図18は、実施の形態1における比較回路内の構成を示す内部構成図の一例である。図18において、比較回路108内には、磁気ディスク装置等の記憶装置50,52,56、分割部54、位置合わせ部68、及び比較部70が配置される。分割部54、位置合わせ部68、及び比較部70といった各「〜部」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「〜部」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。分割部54、位置合わせ部68、及び比較部70内に必要な入力データ或いは演算された結果はその都度図示しないメモリに記憶される。
図18では、ダイ−データベース検査とダイ−ダイ検査との両方を実施することが可能な構成を示している。ダイ−ダイ検査のみを行い、ダイ−データベース検査を行わない場合には、図18の構成における記憶装置52及び図1における参照画像作成回路112は無くても構わない。まずは、ダイ−データベース検査について説明する。画像取得機構150の具体的動作は上述した通りである。測定画像の一例となるチップパターンデータは上述したように比較回路108に転送される。比較回路108内では、記憶装置50に格納される。
分割工程として、分割部54は、チップパターンデータを単位検査領域となるマスクダイ333のサイズで、複数のマスクダイ画像(測定画像の一例)に分割する。各マスクダイ画像(測定画像の一例)は記憶装置56に格納される。
参照画像作成工程として、参照画像作成回路112は、基板101にパターンを形成する基になった設計パターンデータ、或いは基板101に形成されたパターンの露光イメージデータに基づいて、マスクダイ333毎に、参照画像を作成する。具体的には、以下のように動作する。まず、記憶装置109から制御計算機110を通して設計パターンデータ(露光イメージデータ)を読み出し、読み出された設計パターンデータに定義された各図形パターンを2値ないしは多値のイメージデータに変換する。
ここで、設計パターンデータに定義される図形は、例えば長方形や三角形を基本図形としたもので、例えば、図形の基準位置における座標(x、y)、辺の長さ、長方形や三角形等の図形種を区別する識別子となる図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データが格納されている。
かかる図形データとなる設計パターンデータが参照画像作成回路112に入力されると図形ごとのデータにまで展開し、その図形データの図形形状を示す図形コード、図形寸法などを解釈する。そして、所定の量子化寸法のグリッドを単位とするマス目内に配置されるパターンとして2値ないしは多値の設計パターン画像データに展開し、出力する。言い換えれば、設計データを読み込み、検査領域を所定の寸法を単位とするマス目として仮想分割してできたマス目毎に設計パターンにおける図形が占める占有率を演算し、nビットの占有率データを出力する。例えば、1つのマス目を1画素として設定すると好適である。そして、1画素に1/28(=1/256)の分解能を持たせるとすると、画素内に配置されている図形の領域分だけ1/256の小領域を割り付けて画素内の占有率を演算する。そして、8ビットの占有率データとして参照回路112に出力する。かかるマス目(検査画素)は、測定データの画素に合わせればよい。
次に、参照画像作成回路112は、図形のイメージデータである設計パターンの設計画像データに適切なフィルタ処理を施す。測定画像としての光学画像データは、光学系によってフィルタが作用した状態、言い換えれば連続変化するアナログ状態にあるため、画像強度(濃淡値)がデジタル値の設計側のイメージデータである設計画像データにもフィルタ処理を施すことにより、測定データに合わせることができる。
露光イメージデータが画素毎の階調データとして格納されている場合には、対象となるマスクダイの露光イメージデータを参照画像として用いればよい。露光イメージデータが、座標(x、y)、辺の長さ、図形コードといった情報で各パターン図形の形、大きさ、位置等を定義した図形データであれば、上述した設計パターンデータと同様の手法で参照画像を作成すればよい。作成された参照画像の画像データは比較回路108に出力される。比較回路108において、参照画像の画像データは記憶装置52に格納される。
位置合わせ工程として、位置合わせ部68は、測定画像となるマスクダイ333の画像(マスクダイ画像)と測定画像に対応する参照画像の位置合わせを行う。位置合わせは、例えば、最小二乗法等によって行われると好適である。
比較工程として、比較部70は、測定画像と参照画像とを、画素毎に比較する。所定の判定閾値を用いて所定の判定条件に従って画素毎に両者を比較し、例えば形状欠陥といった欠陥の有無を判定する。例えば、画素毎の階調値差が判定閾値Thよりも大きければ欠陥と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、若しくはメモリ118に出力されればよい。或いはプリンタ119より出力されればよい。
或いは、測定画像と参照画像とからそれぞれ画像内の図形パターンの輪郭線を生成して、マッチングする図形パターンの輪郭線同士のずれを比較して良い。例えば、輪郭線同士のずれが判定閾値Th’よりも大きければ欠陥と判定する。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、若しくはメモリ118に出力されればよい。或いはプリンタ119より出力されればよい。
次に、ダイ−ダイ検査を行う場合について説明する。かかる場合、画像比較は、例えばマスクダイ333の画像同士を比較する。
位置合わせ工程として、位置合わせ部68は、記憶装置56から被検査画像となるマスクダイ333の画像(マスクダイ画像)(ダイ1)と被検査画像に対応する参照画像となるマスクダイ333の画像(マスクダイ画像)(ダイ2)を読み出し、両画像の位置合わせを行う。位置合わせは、例えば、最小二乗法等によって行われると好適である。
比較工程の内容は、上述した内容と同様で構わない。そして、比較結果が出力される。比較結果は、記憶装置109、モニタ117、若しくはメモリ118に出力されればよい。或いはプリンタ119より出力されればよい。
以上のように、実施の形態1によれば、マルチビーム20を用いた画像取得装置において、1次光学系の調整と2次光学系の調整とができる。よって、高精度な画像を取得できる。その結果、高精度なパターン検査が可能となる。
実施の形態2.
実施の形態1では、可動式の広域検出器230をマルチ検出器222よりも上流側の光路内に配置する構成について説明した。しかし、光学系の調整方法はこれに限るものではない。実施の形態2では、光路外に配置された広域検出器に2次電子を誘導して検出する構成について説明する。
図19は、実施の形態2におけるパターン検査装置の構成の一部を示す構成図である。図19では、説明を簡略化するために、説明に必要な一部の構成以外の図示は省略している。また、1次電子光学系の一部の光学系の記載を省略している。図19の例では、図1の可動式の広域検出器230、搬入/搬出制御回路130、及び駆動機構132の代わりに、検査装置100は、広域検出器306、偏向器302,304を備えている。広域検出器306、偏向器302,304は、電子ビームカラム102内に配置される。その他の構成は図1と同様である。偏向器302,304は、それぞれ、例えば、2極の電極対によって構成される。
また、実施の形態2における検査装置の光学系調整方法は、図3に示した一連の工程のうち、1次電子ビーム取り出し工程(S104)と、1次電子ビーム位置粗調整工程(S106)と、2次電子軌道粗調整工程(S110)と、1次電子ビーム調整工程(S112)と、1次電子ビーム取り出し工程(S116)と、2次電子軌道調整工程(S118)と、判定工程(S120)と、いう一連の工程を実施する。
以下、特に説明しない点の内容は、実施の形態1と同様である。
1次電子ビーム取り出し工程(S104)と1次電子ビーム位置粗調整工程(S106)との内容は、実施の形態1と同様である。
ここで、偏向器302は、マルチ2次電子300を個別に検出可能なマルチ検出器222(第1の検出器)に、マルチ2次電子300を誘導するための光路途中に配置される。具体的には、偏向器302は、ビームセパレーター214と投影レンズ224との間の光路途中に配置される。そして、偏向器304は、ビームセパレーター214と投影レンズ224との間であって、偏向器302によってマルチ2次電子300の軌道を偏向可能な光路外の位置に配置される。そして、広域検出器306は、偏向器304によってマルチ2次電子300の軌道を偏向可能な光路外の位置に配置される。なお、偏向器302による偏向によって、光路外の位置でマルチ2次電子300が広域検出器306に到達可能に配置できれば、偏向器304を省略しても構わない。また、広域検出器306は、ビームセパレーター214と投影レンズ224との間の光路外の位置に配置されると好適である。但し、これに限るものではない。広域検出器306は、マルチ検出器222よりもビームセパレーター214に近い位置であれば、投影レンズ224よりもマルチ検出器222側に配置される場合であっても構わない。広域検出器306(第2の検出器)は、マルチ2次電子300全体を検出可能なサイズの検出面を有する。また、広域検出器306は可動式であっても構わないが、実施の形態2では可動することなく使用される。
上述したように、設計パラメータを初期値として1次電子光学系及び2次電子光学系にそれぞれ設定したとしても、マルチビーム20の各ビームが照射される基板101上の位置が所望の位置からずれてしまう場合がある。そして、まずはマルチ検出器222まで2次電子を到達させることが必要となる。しかしながら、ビームセパレーター214により2次電子が曲げられた2次電子の進む方向の角度が所望する角度からずれると、マルチ検出器222まで2次電子が到達しなくなってしまう場合が生じ得る。そして、検出面での位置ずれ量はビームセパレーター214からの距離に比例して大きくなる。よって、実施の形態2では、実施の形態1と同様、マルチ検出器222に比べてビームセパレーター214からの距離が近い(短い)位置に広域検出器306を配置する。これにより、ビームセパレーター214より曲げられた2次電子の進む方向の角度のずれが位置ずれに及ぼす影響を大幅に下げ、2次電子を検出し易くすることができる。しかし、実施の形態1では、広域検出器230が2次電子光学系の光路を塞いでしまうので、2次電子光学系の調整時や通常のパターン検査時には、広域検出器230を光路上から移動させる必要がある。そのため、広域検出器230を可動式に構成する必要が生じる。そこで、実施の形態2では、偏向器302,304を介することで、2次電子の軌道偏向が可能となり、広域検出器306を最初から光路外に配置することができる。
2次電子軌道粗調整工程(S110)として、マルチビーム20から取り出された1本のビームの照射によって放出される2次電子301が偏向器302の偏向領域内を通過するように2次電子301の軌道に粗調整する。具体的には、ビームセパレーター214の設定値を調整する。ビームセパレーター214が発生する電場と磁場の強度を調整することでビームが曲がる方向を調整できる点は上述した通りである。なお、透過マーク219を使った1次電子ビーム位置粗調整工程(S106)は既に終わっているので、ビームセパレーター214の設定を設計値に合わせることにより、ビームセパレーター214により軌道を曲げられた2次電子301は、偏向器302の偏向領域内を通過する場合が多い。特に、マルチビーム20の中心ビームを対象ビームとする場合には、偏向器302の偏向領域内を通常通過する。
そして、偏向制御回路128は、偏向器302の偏向領域内を通過する2次電子301が偏向器304の偏向領域内を通過するように偏向器302に印加する偏向電圧を制御する。同様に、偏向制御回路128は、偏向器304の偏向領域内を通過する2次電子301が広域検出器306に衝突するように偏向器304に印加する偏向電圧を制御する。広域検出器306の検出面は、実施の形態1と同様、広域を検出可能であり、偏向器302と偏向器304との間の距離、及び偏向器304と広域検出器306との間の距離を短く構成できるので、偏向器302,304に印加する偏向電圧については、設計値からずれたとしても、そのずれ量を小さくできる。
広域検出器306で検出できない場合には、まずはビームセパレーター214の設定値を調整して、対象ビームの照射によって放出される2次電子301を偏向器302,304を介して広域検出器306の検出面に当てる。ビームセパレーター214の調整だけでは2次電子301を広域検出器306の検出面に当てることが難しい場合には、偏向器302,304に印加する偏向電圧を調整して、2次電子301の軌道を広域検出器306の検出面に当てる。これでも2次電子301を広域検出器306の検出面に当てることが難しい場合には、アライメントコイル232を使って2次電子301の軌道を広域検出器306の検出面に当てるように調整しても構わない。広域検出器306の検出面に当たったかどうかは、広域検出器306で2次電子301を検出できたかどうかで判断できる。
広域検出器306の検出面は上述したように広域サイズなので、2次電子301を検出しやすい反面、検出面のどの位置で検出したのかその検出位置を特定することはできない。よって、2次電子301の軌道がそのままの状態で、偏向器302,304での偏向を止めたとしても、マルチ検出器222の所望の位置に到達できるわけではない。しかし、広域検出器306で対象ビームの2次電子301を検出できることで、2次電子301の像を取得できる。よって、次の1次電子ビームの調整を可能にすることができる。なお、広域検出器306は、実施の形態1と同様、領域分割型の検出器を用いても好適である。
1次電子ビーム調整工程(S112)として、マルチ検出器222にマルチ2次電子300を誘導するための光路途中に配置された偏向器302(及び必要に応じて偏向器304)によって2次電子301の軌道偏向を行うことにより、マルチ2次電子300全体を検出可能なサイズの検出面を有する広域検出器306(第2の検出器)を用いて、1本ずつ取り出されたビーム(1次電子ビーム)毎に、1本ずつ取り出されたビーム(1次電子ビーム)毎に、当該ビームに対応する2次電子301を広域検出器306により検出しながら1次電子光学系を用いて当該対象ビームの軌道の調整を行う。調整の仕方は、実施の形態1と同様である。
そして、1次電子ビーム取り出し工程(S104)から1次電子ビーム調整工程(S112)までの各工程をマルチビーム20の中心ビーム及び4隅のビームについて実施し、マルチビーム20全体について同じレンズ条件で同程度な2次電子像がそれぞれ得られるように1次電子光学系を調整する。かかる調整により、マルチビーム20の照射位置および焦点が合わされる(1次電子光学系の調整完了)。また、かかる調整により、マルチ2次電子300の外側の各2次電子が検出されるようになっているので、既に、マルチ2次電子300全体が、広域検出器306で検出できていることになる。
以上のようにして、1次電子光学系の調整が完了したら、次に、2次電子光学系の調整を行う。実施の形態2では、偏向器302によるビーム偏向を止めれば、2次電子光学系の光路を遮蔽するものはない。そのため、実施の形態1における広域検出器搬出工程(S114)は不要にできる。以降、1次電子ビーム取り出し工程(S116)と、2次電子軌道調整工程(S118)と、判定工程(S120)との各工程の内容は、実施の形態1と同様である。なお、2次電子軌道調整工程(S118)において、広域検出器306は、元々光路外に配置されているので、実施の形態1の広域検出器230が光路から光路外へと移動させた状態と実質的に同じ状態になっていることは言うまでもない。
以上のように、実施の形態2によれば、1次電子光学系の調整によって、マルチ2次電子300が2次電子光学系の制御範囲内に進むので、2次電子光学系の調整が容易にできる。実際にはほとんど手間がかからずに済ますことができる。さらに、実施の形態2では、1次電子光学系の調整後、実施の形態1と同様、電子ビームカラム102内を大気開放することなく2次電子光学系の調整ができる。さらに、広域検出器306の搬入/搬出動作も不要にできる。よって、広域検出器306の移動時にパーティクルが発生し得るリスクを回避できる。
以上のように、検査装置100の光学系が調整されることによって、2次電子画像(SEM画像)を取得できる。そして、実施の形態1と同様、取得される2次電子画像を使って、検査対象の基板101の検査ができる。
実施の形態3.
上述した各実施の形態1では、1本の電子ビーム200から成形アパーチャアレイ基板203を使ってマルチビーム20を形成する構成について説明したが、これに限るものではない。
図20は、実施の形態3におけるパターン検査装置の構成の一部を示す構成図である。図20では、説明を簡略化するために、説明に必要な一部の構成以外の図示は省略している。また、1次電子光学系の一部の光学系の記載を省略している。図20の例では、図1の電子銃201、照明レンズ202、及び成形アパーチャアレイ基板203の代わりに、マルチ電子銃14a,14b,・・・が配置される。その他の構成は図1と同様である。図20に示すように、マルチ電子銃14a,14b,・・・からマルチビーム20を直接照射する構成であっても、実施の形態1と同様の効果を発揮できる。なお、図20の例は、ブランキングアパーチャアレイ機構204の複数の通過孔の位置は、マルチ電子銃14a,14b,・・・から照射されるマルチビーム20の通過位置に合わせて形成される。或いは、マルチ電子銃14a,14b,・・・とブランキングアパーチャアレイ機構204との間に、図示しない複数段の電磁レンズを配置して、マルチ電子銃14a,14b,・・・から照射されるマルチビーム20の像の倍率を調整してマルチビーム20の通過位置をブランキングアパーチャアレイ機構204の複数の通過孔の位置に合わせても好適である。
図21は、実施の形態3におけるパターン検査装置の構成の一部の変形例を示す構成図である。複数の電子源を得る方法として、図21に示す様に、照明レンズ202の下流にレンズアレイ410を設けて複数のクロスオーバー像を結像させ、得られた配列されたクロスオーバー像をマルチ電子源として、試料面に縮小投影して用いることも出来る。レンズアレイとしては、例えば、アレイ状に配置された開口を有する3枚の導体電極411,412,413を光軸に沿って並べて、中央の電極412に電圧を加えてアインチェルレンズアレイとして用いる。この場合には、ブランキングアパーチャアレイ機構204の偏向中心にクロスオーバー像を結像させるとブランキング偏向器動作時に1次電子ビームの位置の変動を抑えることが出来て、好適である。
また、実施の形態3における検査装置の光学系調整方法は、図3と同様である。そして、実施の形態3において特に説明しない点の内容は、実施の形態1と同様である。
以上のように、実施の形態3によれば、1次電子光学系の調整によって、マルチ2次電子300が2次電子光学系の制御範囲内に進むので、2次電子光学系の調整が容易にできる。さらに、1次電子光学系の調整後、電子ビームカラム102内を大気開放することなく2次電子光学系の調整ができる点も上述した各実施の形態と同様である。
以上のように、検査装置100の光学系が調整されることによって、2次電子画像(SEM画像)を取得できる。そして、実施の形態1と同様、取得される2次電子画像を使って、検査対象の基板101の検査ができる。
実施の形態4.
上述した各実施の形態では、成形アパーチャアレイ基板203で形成されたマルチビーム20全体の光軸が基板101まで直線に構成される場合について説明したが、これに限るものではない。
図22は、実施の形態4におけるパターン検査装置の構成を示す構成図である。図22において、基板101に形成されたパターンを検査する検査装置100では、以下のように構成される。
電子銃201(放出源)から横方向に放出された電子ビーム200は、照明レンズ202によりほぼ水平に成形アパーチャアレイ基板203全体を照明する。成形アパーチャアレイ基板203には、図2に示すように、矩形の複数の穴22(開口部)が形成され、電子ビーム200は、すべての複数の穴22が含まれる領域を照明する。複数の穴22の位置に照射された電子ビーム200の各一部が、かかる成形アパーチャアレイ基板203の複数の穴22をそれぞれ通過することによって、例えば矩形の複数の電子ビーム(マルチビーム)20が形成される。
形成されたマルチビーム20(1次電子ビーム)は、ブランキングアパーチャアレイ機構204を通過し、縮小レンズ205によって、縮小され、制限アパーチャ基板206に形成された中心の穴に向かって進む。
制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20は、縮小レンズ213によって、光軸に向かって屈折させられ、クロスオーバー(C.O.)を形成する。そして、マルチビーム20のクロスオーバー位置に配置されたビームセパレーター402を通過した後、90度曲げられ、下方の対物レンズ207に進む。ビームセパレーター402を通過したマルチビーム20は、対物レンズ207により基板101面上に焦点が合わされ、基板101にマルチビーム20(電子ビーム)を結像する。その際、主偏向器208及び副偏向器209によって、制限アパーチャ基板206を通過したマルチビーム20全体が同方向に一括して偏向され、各ビームの基板101上のそれぞれの照射位置に照射される。かかる場合に、主偏向器208及び副偏向器209によって、マルチビーム20が走査するマスクダイの基準位置にマルチビーム20全体を一括偏向する。そして、基板101の所望する位置にマルチビーム20が照射されたことに起因して基板101からマルチビーム20の各ビームに対応する、反射電子を含む2次電子の束(マルチ2次電子300)が放出される。
基板101から放出されたマルチ2次電子300は、対物レンズ207によって、マルチ2次電子300の中心側に屈折させられ、ビームセパレーター402に進む。
ここで、ビームセパレーター402として、例えば、電磁プリズムが用いられる。ビームセパレーター402は、入射ビームと出射ビーム軌道を逆向きに90度偏向して分離させる。図21の例では、ビームセパレーター402に左側から侵入してくるマルチビーム20(1次電子ビーム)を下方に90°偏向し、出力する。これにより、マルチビーム20は下方に直進する。これに対して、ビームセパレーター402に下側から侵入してくるマルチ2次電子300には、右側に90°偏向し、出力する。これにより、マルチ2次電子300は右側に直進する。
右側に曲げられたマルチ2次電子300は、広域検出器230が光路上に搬入されていない状態において、投影レンズ224,226によって、屈折させられながらマルチ検出器222に投影される。マルチ検出器222は、投影されたマルチ2次電子300を検出する。マルチ検出器222は、例えば図示しないダイオード型の2次元センサを有する。そして、マルチビーム20の各ビームに対応するダイオード型の2次元センサ位置において、マルチ2次電子300の各2次電子がダイオード型の2次元センサに衝突して、電子を発生し、2次電子画像データを後述する画素毎に生成する。XYステージ105が移動しながらスキャン動作を行う場合には、XYステージ105の移動に伴いマルチ検出器222におけるマルチ2次電子300の各2次電子の検出位置がずれないように、偏向器228が、XYステージ105の移動に追従するように、マルチ2次電子300を偏向する(トラッキング制御する)。
以上のように、検査装置100には、マルチビーム20(1次電子ビーム)の軌道(照射位置及び焦点等)を調整する1次電子光学系と、マルチ2次電子300(2次電子)の軌道(照射位置及び焦点等)を調整する2次電子光学系とが配置される。しかし、1次電子光学系及び2次電子光学系の調整(ビーム調整)ができていない状態では、上述したような電子の軌道は通常得られない。そのため、1次電子光学系及び2次電子光学系の調整が必要となる。
実施の形態4における検査装置の光学系調整方法は、図3と同様である。そして、実施の形態4において特に説明しない点の内容は、実施の形態1と同様である。
図22の例においても、搬入/搬出制御回路130による制御のもと、駆動機構132は、マルチビーム20を対象物に照射したことに起因して放出されるマルチ2次電子300を個別に検出可能なマルチ検出器222(第1の検出器)にマルチ2次電子300を誘導するための光路途中に可動式の広域検出器230を搬入し、配置する。具体的には、広域検出器230は、ビームセパレーター402と投影レンズ224との間の光路途中に配置される。そして、ビーム1本ずつ1次電子光学系の調整を行い、その後、広域検出器230を搬出する。そして、ビーム1本ずつ2次電子光学系の調整を行う。
以上のように、電磁プリズムで構成されるビームセパレーター402を用いる場合にも、可動式の広域検出器230を使った電子光学系の調整は有効である。
以上のように、実施の形態4によれば、1次電子光学系の調整によって、マルチ2次電子300が2次電子光学系の制御範囲内に進むので、2次電子光学系の調整が容易にできる。さらに、1次電子光学系の調整後、電子ビームカラム102内を大気開放することなく2次電子光学系の調整ができる点も上述した各実施の形態と同様である。
以上のように、検査装置100の光学系が調整されることによって、2次電子画像(SEM画像)を取得できる。そして、実施の形態1と同様、取得される2次電子画像を使って、検査対象の基板101の検査ができる。
以上の説明において、一連の「〜回路」は、処理回路を含み、その処理回路には、電気回路、コンピュータ、プロセッサ、回路基板、量子回路、或いは、半導体装置等が含まれる。また、各「〜回路」は、共通する処理回路(同じ処理回路)を用いてもよい。或いは、異なる処理回路(別々の処理回路)を用いても良い。プロセッサ等を実行させるプログラムは、磁気ディスク装置、磁気テープ装置、FD、或いはROM(リードオンリメモリ)等の記録媒体に記録されればよい。例えば、位置回路107、比較回路108、及び参照画像作成回路112等は、上述した少なくとも1つの処理回路で構成されても良い。
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態3,4についても、実施の形態2のように、可動式の広域検出器230の代わりに、偏向器302,304と広域検出器306を配置する構成を適用できる。
また、装置構成や制御手法等、本発明の説明に直接必要しない部分等については記載を省略したが、必要とされる装置構成や制御手法を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての画像取得装置の光学系調整方法、パターン検査方法及びパターン検査装置は、本発明の範囲に包含される。