JP2023008374A - 抗肥満剤用組成物、機能性食品 - Google Patents

抗肥満剤用組成物、機能性食品 Download PDF

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光 中曽根
Hikari Nakasone
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Abstract

【課題】ヒトに対して有効な抗肥満用組成物を提供する。【解決手段】緑茶抽出物に含まれるカテキンと、柑橘類抽出物に含まれるフラバノン配糖体と含む組成物が優れた抗肥満作用を有する。【選択図】図9

Description

本発明は、カテキン等の緑茶抽出物と、柑橘類抽出物又はフラバノン配糖体を含む組成物、機能性食品等に関する。
緑茶に含まれる主要なカテキンの一種であるEGCG (エピガロカテキンガレート;Epigallocatechin-O-gallate) は抗がん作用を有することが報告されており (非特許文献1)、血液がんの一種である慢性リンパ性白血病患者において第二相臨床試験が行われている (非特許文献2)。EGCGが細胞膜上の標的分子67-kDa Laminin Receptor (67LR) に結合することで抗がん作用を発揮することが知られているが、EGCGの白血病細胞や多発性骨髄腫細胞に対する致死作用は限定的であり (非特許文献2)、EGCGを抗がん剤として利用する上でその作用増強が強く望まれている。
また、非特許文献3には、雄C57BL/6Jマウスに対して、高脂肪及び高ショ糖食に緑茶エキス粉末及びエリオジクチオールを添加して与えた場合、高脂肪及び高ショ糖食のみを与えた場合と比較して体重が低く、総コレステロールや低密度リポ蛋白質(LDL)レベルについて変化が見られなかったことが開示されている。また、特許文献1には、柑橘類抽出物又はフラバノン配糖体がカテキンの抗がん作用等を増強すること、カテキン等の緑茶抽出物と柑橘類抽出物又はフラバノン配糖体とを含む組成物が抗がん作用、抗筋萎縮作用、抗肥満作用などの各種作用を有することが開示されている。
WO2015/199169
Khan N, Afaq F, Saleem M, et al. Targeting multiple signaling pathways by green tea polyphenol (-)-epigallocatechin-3-gallate.Cancer. res., 2006;66:2500-2505. Shanafelt TD, Call TG, and Zent CS, et al. Phase I trial of daily oral Polyphenon E in patients with asymptomatic Rai stage 0 to II chronic lymphocytic leukemia. J. Clin. Oncol., 2009;27:3808-3814. Mai YAMASHITA, Motofumi KUMAZOE, Yuki NAKAMURA, Yeong Seon WON, Jaehoon BAE, Shuya YAMASHITA, Hirofumi TACHIBANA, The Combination of Green Tea Extract and Eriodictyol Inhibited High-Fat/High-Sucrose Diet-Induced Cholesterol Upregulation Is Accompanied by Suppression of Cholesterol Synthesis Enzymes. J. Nutr. Sci. Vitaminol. 2016 Volume 62 Issue 4 Pages 249-256
非特許文献3によれば、モデルマウスにおいて緑茶エキス粉末及びエリオジクチオールが抗肥満作用を有することが示されているものの、これらの知見がヒトに対して適用できるか不明であった。また、エリオジクチオールの構造類自体である糖転移ヘスペリジンが、エリオジクチオール同様な機能を有するか、すなわち、緑茶エキス粉末と組み合わされて抗肥満作用を示すか全く不明であった。
そこで、本発明は、このような実情に鑑み、ヒトに対して有効な抗肥満用組成物、機能性食品を提供することを目的としている。
上述した目的を達成するために、本発明者らが鋭意検討した結果、緑茶抽出物に含まれるカテキンと、柑橘類抽出物に含まれるフラバノン配糖体と含む組成物が優れた抗肥満作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)カテキン類とフラバノン配糖体とを含む、抗肥満用組成物。
(2)上記カテキン類を含む緑茶抽出物を含むことを特徴とする(1)記載の抗肥満用組成物。
(3)上記フラバノン配糖体を含む柑橘類抽出物を含むことを特徴とする(1)記載の抗肥満用組成物。
(4)上記カテキン類は、エピガロカテキンガレートであることを特徴とする(1)記載の抗肥満用組成物。
(5)上記フラバノン配糖体は、糖転移ヘスペリジンであることを特徴とする(1)記載の抗肥満用組成物。
(6)飲料であることを特徴とする(1)記載の抗肥満用組成物。
(7)上記カテキン類であるエピガロカテキンガレート(A)と上記フラバノン配糖体(B)との比(B/A)が0.2<B/A<1.6であることを特徴とする(1)記載の抗肥満用組成物。
(8)上記比(B/A)が0.4≦B/A≦0.8であることを特徴とする(7)記載の抗肥満用組成物。
本発明において、カテキン類は緑茶抽出物に含有される成分であるが、緑茶抽出物に含まれるカテキン類としては、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びメチル化カテキンからなる群から選ばれる少なくとも1種のカテキンを挙げることができる。
本発明において、フラバノン配糖体は柑橘類抽出物に含まれるが、柑橘類抽出物には、フラバノン配糖体以外に、エリオジクチオール及びナリンゲニン等が含まれている。本発明に係る抗肥満用組成物には、エリオジクチオール及びナリンゲニン等の柑橘類抽出物が含まれていても良い。なおフラバノン配糖体としては、糖転移ヘスペリジンを挙げることができる。
さらに、本発明は、カテキン類とフラバノン配糖体とを含む抗肥満剤である。
さらに、本発明は、カテキン類とフラバノン配糖体とを含む組成物を被検体に摂取させることを特徴とする、肥満の改善・予防方法(ヒトに対する医療行為を除く)である。
さらにまた、本発明は、カテキン類とフラバノン配糖体とを含み、上記カテキン類の抗肥満作用の増強剤である。
さらに、本発明は、カテキン類とフラバノン配糖体とを含む組成物を被検体に摂取させることを特徴とする、カテキン類の、前記被検体における抗肥満作用を増強させる方法(ヒトに対する医療行為を除く)である。
本発明に係る抗肥満用組成物は、カテキン類とフラバノン配糖体とを含み、ヒトに対して優れた抗肥満作用を示すことができる。
被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した内臓脂肪面積の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した腹部総脂肪面積の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した腹部皮下脂肪面積の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した総コレステロール(TC)の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定したLDL-Cの変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定したHDL-Cの変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した中性脂肪(TG)の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定したLDL/HDLの変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した体重の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した体脂肪率の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定したBMIの変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した除脂肪体重の変化量を示す特性図である。 被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群について測定した筋肉量の変化量を示す特性図である。 柑橘成分配合茶粉末による抗肥満効果をまとめた表である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る抗肥満用組成物は、カテキン類とフラバノン配糖体とを含み、ヒトに対して優れた抗肥満作用を示す。抗肥満作用とは、体脂肪が過剰に蓄積した状態である肥満への進行を抑制する作用である。肥満は、一般的には肥満度によって評価される。肥満度の一般的な指標には、BMI(Body Mass Index)=[体重(kg)]÷[身長(m)2]が用いられる。しかし、本明細書において、肥満度は、BMIにより評価されるものに限定されず、体脂肪率や体重、筋肉量などの各種測定値により肥満度を総合的に評価するものであってもよい。したがって、本発明に係る抗肥満用組成物とは、言い換えると、BMI増加抑制用組成物、体脂肪率増加抑制用組成物、体重増加抑制用組成物と同義である。
特に、本発明に係る抗肥満用組成物は、通常の生活を送る中で運動量の減少により進行する肥満に対して、その進行度を抑制する作用に優れている。また、本発明に係る抗肥満用組成物は、脂肪摂取や炭水化物摂取による摂取エネルギーが増加することによる肥満に対しても、その進行度を抑制する作用を有する。
本発明に係る抗肥満用組成物に含まれるカテキン類は、特に限定されないが、緑茶抽出物から単離生成したもの、人工的に合成したものの何れでも良い。また、カテキン類は緑茶抽出物に含まれるため、本発明に係る抗肥満用組成物は緑茶生成物を含むものであってもよい。
本発明に係る抗肥満用組成物に含まれるフラバノン配糖体は、特に限定されないが、柑橘類抽出物から単離生成したもの、人工的に合成したものの何れでも良い。また、フラバノン配糖体は柑橘類抽出物に含まれるため、本発明に係る抗肥満用組成物は柑橘類抽出物を含むものであってもよい。
よって、本発明に係る抗肥満用組成物は、単離生成又は人工合成したカテキン類と、単離生成又は人工合成したフラバノン配糖体とを含む組成物;カテキン類を含む緑茶抽出物と、単離生成又は人工合成したフラバノン配糖体とを含む組成物;単離生成又は人工合成したカテキン類と、フラバノン配糖体を含む柑橘類抽出物とを含む組成物;及び、カテキン類を含む緑茶抽出物と、フラバノン配糖体を含む柑橘類抽出物とを含む組成物のいずれでも良い。
本発明に係る抗肥満用組成物において、これら単離生成又は人工合成したカテキン類、単離生成又は人工合成したフラバノン配糖体、カテキン類を含む緑茶抽出物、あるいはフラバノン配糖体を含む柑橘類抽出物の組成比は任意とすることができる。一例としては、上記緑茶抽出物に含まれるエピガロカテキンガレート(A)と上記フラバノン配糖体(B)との比(B/A)を0.2<B/A<1.6の範囲、0.4≦B/A≦0.8の範囲とすることが好ましい。
(1)緑茶抽出物
緑茶抽出物は、ツバキ科の常緑樹である茶の木より作製した抽出物であり、少なくともエピガロカテキンガレートを含む抽出物である。緑茶の木としては、カメリアタリエンシス、カメリアシネンシスなどの茶の木が挙げられる。例えばチャノキ(Camellia sinensis (L.) Kuntze)、アッサムチャ(Camellia sinensis (L.) Kuntze var. assamica (J.W.Mast.) Kitam.)、カメリアシネンシスとカメリアタリエンシスの交配種、「やぶきた」、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「おくむさし」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「紅花」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまみどり」、「からべに」、「香駿」、「そうふう」、「ふくみどり」、「みねかおり」、「べにひかり」、「みなみかおり」、「いずみ」、「ふうしゅん」、「たまみどり」、「やまかい」、「くりたわせ」、「しゅんめい」、「さやまみどり」、「あさぎり」、「ほくめい」、「ただにしき」、「あさひ」、「さやまかおり」、「めいりょく」、「やまとみどり」、「あさつゆ」、「とよか」、「なつみどり」、「うじひかり」、「おおいわせ」、「ごこう」、「印雑 131」、「まきのはらわせ」、「たかちほ」、「こまかげ」、「さみどり」、「こまかげ」、「はつもみじ」、「りょうふう」、「みなみさやか」、「さえみどり」、「おくゆたか」、「ふじみどり」、「サンルージュ」及び「おくみどり」などの茶品種が用いられ、「やぶきた」、「べにふうき」、「かなやみどり」、「おくむさし」、「そうふう」、「ふうしゅん」、「ただにしき」、「サンルージュ」がより好ましい。また、これらの茶の木からの茶葉の例としては煎茶、玉露、番茶、茎茶、芽茶、玄米茶、粉茶、抹茶、釜煎り茶、甜茶、包種茶、ウーロン茶、紅茶等が挙げられる。
抽出溶媒としては、特に限定されないが、水若しくは有機溶剤、またはこれらの混合液が用いられる。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール等の炭素数1~4の低級アルコール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、アセトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類などの極性有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、またはジエチルエーテル等の非極性有機溶剤が挙げられる。更にこれら極性有機溶剤と非極性有機溶剤を適宜組み合わせた混合物を使用することもできる。好ましくは、熱水、エタノール、含水エタノールである。含水アルコールのアルコール濃度は、30v/v%~90v/v%、好ましくは40v/v%~70v/v%である。熱水の場合の温度は40~100℃、好ましくは60~100℃である。
緑茶抽出物を得るための抽出方法は、浸漬による抽出、加熱抽出、連続抽出、超臨界抽出等の公知の方法を挙げることができる。緑茶抽出物は、その後、公知の方法で濃縮してもよい。得られた緑茶抽出物または濃縮物等は、公知の方法で更に精製してもよい。精製方法としては、限外ろ過、吸着樹脂処理、分子クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、液-液抽出等が挙げられる。
乾燥方法は噴霧乾燥、凍結乾燥などが挙げられるが、これに限定されるものではない。緑茶抽出物中には、エピガロカテキンガレート以外のポリフェノールやカテキン類などが含まれていてもよい。緑茶抽出物は、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、メチル化カテキンなどが含まれていることが好ましい。
本発明におけるメチル化カテキンは主として、エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(以下、EGCG3”Meという)、エピカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(以下、ECG3”Meという)、エピカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート(以下、ECG4”Meという)、エピガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート(以下、EGCG4”Meという)、ガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(以下、GCG3”Meという)、カテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート(以下、CG3”Meという)、カテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート(以下、CG4”Meという)、又は、ガロカテキン-3-O-(4-O-メチル)ガレート(以下、GCG4”Meという)及びこれらの異性化体を含むことが好ましい。
緑茶抽出物の組成物における含有率は、組成物の剤型または投与形態によって異なるが、後述の柑橘類抽出物との含有率を考慮して適宜設定することができる。また、本発明においては、緑茶抽出物に含まれるカテキンとは別のカテキンを組成物に含有させることができる。例えば合成カテキンなどが挙げられる。合成カテキンは、公知方法により得ることができる(Chem. Asian J. 2010, 5, 2231-2248. DOI: 10.1002/asia.201000372)。
また、緑茶抽出物としては、市販のものを使用してもよい。市販の緑茶抽出物としては、三井農林株式会社製のポリフェノン(登録商標)を使用することができる。
(2)柑橘類抽出物
柑橘類抽出物は、柑橘類からの抽出処理物であり、少なくともエリオシトリン又はフラバノン配糖体を含有している。柑橘類としては、例えば以下のものが挙げられる。
ミカン属(カンキツ属)としては、オレンジ、グレープフルーツ、ユズ、ダイダイ、カボス、スダチ、ユコウ、ゆうこう、シークヮーサー、レモン、ライム、ナツミカン、ハッサク、イヨカン、ブンタン、マンダリンオレンジ、ウンシュウミカン、ポンカン、タチバナ、紀州ミカン、バレンシアオレンジ、ネーブルオレンジ、ブラッドオレンジ、ジャッファ・オレンジ、ベルガモット及びキノット等を挙げることができる。
また、上記ミカン属柑橘類のほかに、カラタチ類、キンカン類などを用いることができる。
柑橘類を抽出するために使用される抽出溶剤としては、前記と同様、水若しくは有機溶剤、またはこれらの混合液が用いられる。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール、tert-ブタノール等の炭素数1~4の低級アルコール、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、アセトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン類などの極性有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、またはジエチルエーテル等の非極性有機溶剤が挙げられる。好ましくは、水又はエタノールである。更にこれら極性有機溶剤と非極性有機溶剤を適宜組み合わせた混合物を使用することもできる。
柑橘類抽出物を得るための抽出方法は、浸漬による抽出、加熱抽出、連続抽出、超臨界抽出等の公知の方法を挙げることができる。抽出物は、その後、公知の方法で濃縮してもよい。得られた柑橘類抽出物または濃縮物等は、公知の方法で更に精製してもよい。精製方法としては、限外ろ過、吸着樹脂処理、分子クロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、液-液抽出等が挙げられる。
柑橘類抽出物中には、少なくとも。エリオシトリン又はフラバノン配糖体を含有している。フラバノン配糖体としては、特に限定されないが、ヘスペリジン、ナリンギン、ポンシリン及びサクラニン等を挙げることができる。また柑橘類抽出物中には、エリオシトリン及びフラバノン配糖体以外にブチン、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ホモエリオジクチオール、イソサクラネチン、ナリンゲニン、ピノセムブリン、サクラネチン及びステルビン等のフラバノンが含まれていても良い。
また、柑橘類抽出物に含まれるフラバノンやフラバノン配糖体とは別のフラバノンやその配糖体を組成物に含有させることができる。例えば合成フラバノン、フラバノンに糖を結合させた糖転移化合物、例えば糖転移ヘスペリジンなどが挙げられる。例えば、合成エリオジクチオール、合成ナリンゲニン及び合成ヘスペレチンなどが挙げられ、これらを1種又は複数種混合することができる。合成エリオジクチオール、合成ナリンゲニン及び合成ヘスペレチンなどは、公知手法により得ることができる(European J Org Chem., 2012(3): 449-462. doi:10.1002/ejoc.201101228)。糖転移ヘスペリジンとしては、例えば株式会社林原やグリコ栄養食品株式会社が販売する糖転移ヘスペリジンを使用することができる。
(3)組成物
本発明に係る組成物は、カテキン類とフラバノン配糖体とを任意の組成比で含むが、特に、カテキン類の一つである緑茶抽出物に含まれるエピガロカテキンガレート(A)と柑橘類抽出物に含まれるフラバノン配糖体(B)との比(B/A)を0.2<B/A<1.6とすることが好ましく、0.4≦B/A≦0.8とすることがより好ましく、0.5≦B/A≦0.7とすることが更に好ましい。
また、組成物は、上記の各成分以外に、食品用として許容可能な担体や公知または周知の他の添加剤を含んでいてもよい。上記添加剤としては、一般に医薬又は食品に使用される、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、矯味矯臭剤、乳化剤、界面活性剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、防腐剤、抗酸化剤、安定化剤、吸収促進剤等を挙げることができ、所望により、これらを適宜組み合わせて使用することもできる。
組成物は、液状、固形状、粉末、ゲル状のいずれの形態であってもよく、組成物の剤型は、経口用剤型、例えば錠剤、散剤、カプセル剤(ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤)、顆粒剤、丸剤、液剤、シロップ、等の形態としてもよい。これらの製剤は常法に従って調製することができる。組成物が溶液状の場合は、好ましく用いられる担体としては水等の水性媒体を挙げることができる。
また、組成物が固形状の場合は、添加成分としては、結晶セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の賦形剤、コーンスターチ、アルギン酸等の膨化剤を用いることができる。
また、粉末、固形剤又は液剤に成型するのに必要な化合物として、エリスリトール、マルチトール、ヒドロキシプロピルセルロース、カオリン、タルクなどが挙げられる。
本発明に係る抗肥満用組成物を摂取させる対象は、特に限定されるものではないが、ヒトのほか、ヒトを除く哺乳動物、例えば実験動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ等)、家畜(ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ等)、愛玩動物(イヌ、ネコ等のペット類)などが挙げられる。本発明の抗肥満用組成物によれば、肥満の進行を抑制することができる。特に、本発明の組成物によれば、体重の増加、BMIの増加、体脂肪率の増加、あるいは筋肉量の減少を抑制することができる。
また、本発明に係る抗肥満用組成物の摂取量は、体重1kgあたり、エピガロカテキンガレート量として一日0.1~30mgがより好ましく、0.1~20mgが更に好ましく、0.1~10mgが更にまた好ましく、0.1~5mgが最も好ましい。
(4)食品
本発明に係る抗肥満用組成物は、食品とすることができる。本発明に係る抗肥満用組成物を用いた食品(特に機能性食品)の形態としては、例えばサプリメント(散剤、顆粒剤、ソフトカプセル、ハードカプセル、錠剤、チュアブル錠、速崩錠)が挙げられるが、その他にも、飲料(お茶、炭酸飲料、乳酸飲料、スポーツ飲料等)、菓子(ガム、チョコレート、クッキー、キャンデー等)、油、油脂食品(マヨネーズ、ドレッシング、バター等)、調味料(ケチャップ、ソース等)、流動食、乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズ等)、パン類、麺類(うどん、そば、ラーメン、パスタ、冷麦、ビーフン等)等が挙げられる。但し、これらの形態に限定されるものではない。
食品を摂取させる対象は、特に限定されるものではないが、ヒトのほか、ヒトを除く哺乳動物、例えば実験動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ等)、家畜(ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ等)、愛玩動物(イヌ、ネコ等のペット類)などが挙げられる。
また、本発明の食品の摂取量は、体重1kgあたり、エピガロカテキンガレート量として一日0.1~30mgがより好ましく、0.1~20mgが更に好ましく、0.1~10mgが更にまた好ましく、0.1~5mgが最も好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例では、下記のように調製した柑橘成分配合茶粉末を12週間継続して摂取した際の内臓脂肪低減作用及び安全性をプラセボ対照ランダム化二重盲検並行群間比較試験にて検証した。本実施例において柑橘成分配合茶粉末とは、インスタント緑茶の形態となっており、糖転移ヘスペリジンを178mg/日、EGCgを146mg/日の量で含有するものである。
本試験の対象試験者は、BMIが23kg/m2以上で30kg/m2未満、且つ、LDL-Cが100mg/dl以上で140mg/dl未満の30歳以上75歳未満の日本人男女60名(選択基準に合致し、除外基準に該当せず、かつ試験責任医師が適格であると認めた者60名を選択)とした。これらの対象試験者を、柑橘成分配合茶粉末を摂取する被験食品摂取群:30名と、プラセボ食品摂取群:30名とに分けた。なお、プラセボ食品としてはインスタント麦茶(三井農林株式会社製)を使用した。
本試験では、試験開始段階(0週)と試験終了後(12週)においてCT検査により内臓脂肪面積、腹部総脂肪面積及び腹部皮下脂肪面積を測定して変化量を調べた。また、本試験では、試験開始段階(0週)と試験中(6週)と試験終了後(12週)において血液検査により、総コレステロール(TC)、LDL-C、HDL-C、中性脂肪(TG)及びLDL/HDLを測定して変化量を調べた。さらに、本試験では、試験開始段階(0週)と試験中(6週)と試験終了後(12週)において体組成計(タニタ社製、DC-430A)を用いて、体重、体脂肪率、BMI、除脂肪体重及び筋肉量を測定して変化量を調べた。
CT検査の結果、内臓脂肪面積の変化量を図1に示し、腹部総脂肪面積の変化量を図2に示し、腹部皮下脂肪面積の変化量を図3に示した。また、血液検査、総コレステロール(TC)の変化量を図4に示し、LDL-Cの変化量を図5に示し、HDL-Cの変化量を図6に示し、中性脂肪(TG)の変化量を図7に示し、LDL/HDLの変化量を図8に示した。体組成計による測定の結果、体重の変化量を図9に示し、体脂肪率の変化量を図10に示し、BMIの変化量を図11に示し、除脂肪体重の変化量を図12に示し、筋肉量の変化量を図13に示した。また、図1~13に示した結果を図14にまとめた。図14において、被験食品摂取群とプラセボ食品摂取群との間で有意差があり、被験食品摂取群において良好な結果を示した項目に白丸を付けた。
図1~14に示したように、本実施例で使用したカテキン類とフラバノン配糖体を含有する柑橘成分配合茶粉末には、抗肥満作用があることが明らかとなった。特に、柑橘成分配合茶粉末には、体重の増加を抑制する効果、BMIの増加を抑制する効果に優れることが明らかとなった。図14に示したように、当該柑橘成分配合茶粉末は、年齢層が50歳未満、女性、BMI値が25kg/m2未満といった層に対して特に有効であることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. カテキン類とフラバノン配糖体とを含む、抗肥満用組成物。
  2. 上記カテキン類を含む緑茶抽出物を含むことを特徴とする請求項1記載の抗肥満用組成物。
  3. 上記フラバノン配糖体を含む柑橘類抽出物を含むことを特徴とする請求項1記載の抗肥満用組成物。
  4. 上記カテキン類は、エピガロカテキンガレートであることを特徴とする請求項1記載の抗肥満用組成物。
  5. 上記フラバノン配糖体は、糖転移ヘスペリジンであることを特徴とする請求項1記載の抗肥満用組成物。
  6. 飲料であることを特徴とする請求項1記載の抗肥満用組成物。
  7. 上記カテキン類であるエピガロカテキンガレート(A)と上記フラバノン配糖体(B)との比(B/A)が0.2<B/A<1.6であることを特徴とする請求項1記載の抗肥満用組成物。
  8. 上記比(B/A)が0.4≦B/A≦0.8であることを特徴とする請求項7記載の抗肥満用組成物。
JP2021111896A 2021-07-06 2021-07-06 抗肥満剤用組成物、機能性食品 Pending JP2023008374A (ja)

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