JP2023007424A - ポリエステルフィルム及び剥離フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、長期保存後のポリエステルフィルムを用いて得られた剥離フィルムをセラミックグリーンシートの製造に用いた場合、凹凸欠陥の発生が抑制されたセラミックグリーンシートを製造できる、ポリエステルフィルム及び剥離フィルムの提供である。【解決手段】本発明のポリエステルフィルムは、粒子を含む粒子含有層と、粒子を実質的に含まないポリエステル基材と、粒子を実質的に含まない粒子不含層と、をこの順に有し、上記粒子不含層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面に剥離層を形成して、剥離フィルムを製造するために用いられる、ポリエステルフィルムであって、上記粒子不含層が、ポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルム及び剥離フィルムに関する。
2軸配向ポリエステルフィルムは、加工性、機械的性質、電気的性質、寸法安定性、透明性、及び、耐薬品性等の観点から幅広い用途に使用されている。例えば、2軸配向ポリエステルフィルムの表面に剥離層を積層してなる剥離フィルムが、積層セラミックコンデンサー製造用のセラミックグリーンシートの作製に使用されている。
例えば、特許文献1には、2層以上からなる2軸配向ポリエステルフィルムを基材とし、基材は、粒子を実質的に含まない表面層Aと粒子を含む表面層Bを有し、表面層Aの表面上に離型塗布層が積層され、かつ表面層Bの表面上に平滑化塗布層が積層されてなり、平滑化塗布層が特定の領域表面平均粗さ(Sa)及び最大突起高さ(P)を有する、セラミックシート製造用離型フィルムが開示されている。
特開2016-060158号公報
近年のセラミックコンデンサーの大容量化及び小型化に伴い、セラミックグリーンシートに対しては、より一層の薄膜化が求められている。その一方、セラミックグリーンシートの薄膜化が進めば進むほど、剥離フィルムの表面形状がセラミックグリーンシートの性能に及ぼす影響が大きくなると考えられる。例えば、剥離フィルムの剥離面に凹凸形状が存在すると、その凹凸形状がセラミックグリーンシートに転写されてセラミックグリーンシートの厚さが変動し、セラミックコンデンサー製品の性能が低下する可能性がある。
本発明者らは、特許文献1に記載されたような剥離フィルム製造用のポリエステルフィルムを長期保存した後、ポリエステルフィルムの一方の表面に剥離層を形成して得られた剥離フィルムをセラミックグリーンシートの製造に用いた場合、セラミックグリーンシートに微小な凹部及び凸部の少なくとも一方が生じる場合があり、改善の余地があることを明らかとした。なお、以下において、微小な凹部及び凸部を「凹凸欠陥」と総称する。
本発明は、上記実情に鑑みて、長期保存後のポリエステルフィルムを用いて得られた剥離フィルムをセラミックグリーンシートの製造に用いた場合、凹凸欠陥の発生が抑制されたセラミックグリーンシートを製造できる、ポリエステルフィルム及び剥離フィルムの提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、粒子を含む粒子含有層、粒子を実質的に含まないポリエステル基材、及び、粒子を実質的に含まずポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含む粒子不含層をこの順に有するポリエステルフィルムを用いた場合、所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明者らは、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
[1]
粒子を含む粒子含有層と、
粒子を実質的に含まないポリエステル基材と、
粒子を実質的に含まない粒子不含層と、をこの順に有し、
上記粒子不含層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面に剥離層を形成して、剥離フィルムを製造するために用いられる、ポリエステルフィルムであって、
上記粒子不含層が、ポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含む、ポリエステルフィルム。
[2]
上記剥離フィルムが、セラミックグリーンシート製造用の剥離フィルムである、[1]に記載のポリエステルフィルム。
[3]
上記粒子不含層に含まれる上記非ポリエステル樹脂が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、[1]又は[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]
上記粒子含有層が、ポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含む、[1]~[3]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[5]
上記粒子含有層に含まれる上記非ポリエステル樹脂が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、[4]に記載のポリエステルフィルム。
[6]
光学干渉計を用いて、上記粒子不含層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面の異なる100箇所について1箇所当たりの測定面積186μm×155μmとして測定した場合、高さ50nmを超える突起の合計数が40個以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[7]
走査型電子顕微鏡を用いて、上記粒子含有層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面の異なる40箇所について1箇所当たりの測定面積13μm×10μmとして測定した場合、直径1μmを超える異物の合計数が2個以下である、[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[8]
上記粒子不含層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面の最大突起高さSpが1~30nmであり、かつ、
上記粒子含有層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面の最大突起高さSpが10~1500nmである、[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[9]
上記粒子不含層の厚さ及び上記粒子含有層の厚さがそれぞれ、1~500nmである、[1]~[8]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[10]
上記粒子含有層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面の表面自由エネルギーが、30~45mJ/mである、[1]~[9]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[11]
上記ポリエステルフィルムの厚さが40μm以下である、[1]~[10]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[12]
[1]~[11]のいずれかに記載のポリエステルフィルムと、上記粒子不含層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面に配置された剥離層と、を有する、剥離フィルム。
[13]
光学干渉計を用いて、上記剥離層の上記粒子不含層とは反対側の表面の異なる100箇所について1箇所当たりの測定面積186μm×155μmとして測定した場合、高さ50nmを超える突起の合計数が40個以下である、[12]に記載の剥離フィルム。
[14]
上記粒子含有層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面の最大突起高さSpが10~1500nmであり、かつ、
上記剥離層の上記粒子不含層とは反対側の表面の最大突起高さSpが1~30nmである、[12]又は[13]に記載の剥離フィルム。
本発明によれば、長期保存後のポリエステルフィルムを用いて得られた剥離フィルムをセラミックグリーンシートの製造に用いた場合、凹凸欠陥の発生が抑制されたセラミックグリーンシートを製造できる、ポリエステルフィルム及び剥離フィルムを提供できる。
本発明のポリエステルフィルムの構成の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に何ら制限されず、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本明細書において、「長手方向」とは、ポリエステルフィルムの製造時におけるポリエステルフィルムの長尺方向を意味し、「搬送方向」及び「機械方向」と同義である。
本明細書において、「幅方向」とは、長手方向に直交する方向を意味する。本明細書において、「直交」は、厳密な直交に限られず、略直交を含む。「略直交」とは、90°±5°の範囲内で交わることを意味し、90°±3°の範囲内で交わることが好ましく、90°±1°の範囲内で交わることがより好ましい。
また、本明細書において、「フィルム幅」とは、ポリエステルフィルムの幅方向の両端間の距離を意味する。
[ポリエステルフィルム]
本発明のポリエステルフィルム(以下、「本フィルム」とも記載する。)は、粒子を含む粒子含有層と、粒子を実質的に含まないポリエステル基材と、粒子を実質的に含まない粒子不含層と、をこの順に有し、上記粒子不含層の上記ポリエステル基材とは反対側の表面に剥離層を形成して、剥離フィルムを製造するために用いられる。また、本フィルムにおいて、上記粒子不含層は、ポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含む。
本フィルムにおいて、粒子不含層のポリエステル基材とは反対側の表面を「第1主面」、粒子含有層のポリエステル基材とは反対側の表面を「第2主面」という場合がある。
本フィルムを長期保存した後、これを用いて得られた剥離フィルムをセラミックグリーンシートの製造に用いた場合、凹凸欠陥の発生が抑制されたセラミックグリーンシートが得られる。この理由の詳細は明らかではないが、概ね以下のように推定している。
ポリエステル基材にはオリゴマー等の不純物が含まれており、ポリエステルフィルム(又はポリエステルフィルムを用いて得られた剥離フィルム)を長期保存した場合に、上記不純物に起因する突起がポリエステル基材の表面に析出することがある。ここで、オリゴマーは、ポリエステル樹脂の重合時に生じる低分子量の副生成物である。
このようなポリエステルフィルムを用いて得られた剥離フィルムには不純物に起因する突起により、離型層に微小な凹部及び凸部の少なくとも一方が形成されて、剥離層の表面に形成されたセラミックグリーンシートにおいて、剥離層の微小な凹部又は凸部に基づいた凹凸欠陥が生じたと推測される。
この問題に対して、本フィルムは、セラミックグリーンシートが形成される側の面において、非ポリエステル樹脂を含む粒子不含層を有する。これにより、ポリエステル基材表面への不純物の析出の抑制、及び、ポリエステル基材表面に析出した不純物の成長の抑制ができたと推測される。その結果、セラミックグリーンシートの欠陥の発生を抑制できたと考えられる。
〔構成〕
本フィルムの構成を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本フィルムの構成の一例を示す断面図である。ポリエステルフィルム1は、粒子含有層12と、粒子含有層12上に配置されたポリエステル基材14と、ポリエステル基材14上に配置された粒子不含層16と、を有する。
粒子含有層12が図示しない粒子を含む一方で、ポリエステル基材14及び粒子不含層16は粒子を実質的に含まない。
粒子不含層16のポリエステル基材14とは反対側の表面(第1主面)は、ポリエステルフィルム1の最外層であり、剥離層(後述)を形成するための面である。すなわち、ポリエステルフィルム1の製造後、粒子不含層16のポリエステル基材14とは反対側の表面に剥離層を積層することにより、ポリエステルフィルム1と剥離層とを有する剥離フィルムが作製される。
粒子含有層12のポリエステル基材14とは反対側の表面(第2主面)は、ポリエステルフィルム1の最外層である。
本フィルムは、上記の粒子含有層、ポリエステル基材及び粒子不含層を有し、粒子不含層が非ポリエステル樹脂を含んでいれば、その具体的な態様は特に制限されず、図1に示す構成以外の態様を有していてもよい。
例えば、図1に示す構成では、粒子含有層12は、ポリエステル基材14の表面に接して配置されているが、粒子含有層12とポリエステル基材14との間にプライマー層等を設けてもよい。
以下、本フィルムが備える各層について詳しく説明する。
<粒子含有層>
粒子含有層は、粒子を含む層であり、ポリエステル基材の一方の面側に形成される。また、粒子含有層のポリエステル基材に対向する面とは反対側の表面は、第2主面を構成する。
本フィルムは、粒子含有層を有することで、ポリエステルフィルム及び剥離フィルムの搬送性を向上できる。より具体的には、巻き品質を向上(ブロッキングを抑制)し、搬送時のキズ及び欠陥の発生を抑制し、高速搬送における搬送シワを低減できる。
粒子含有層は、ポリエステル基材の表面に直接設けてもよく、他の層を介してポリエステル基材の表面に設けてもよいが、密着性がより優れる点で、ポリエステル基材の表面に直接設けることが好ましい。
粒子含有層としては、粒子を含むものであれば特に制限されないが、粒子に加えてポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。また、粒子含有層は、粒子及び非ポリエステル樹脂以外の添加剤を含んでいてもよい。
粒子含有層は、後述の架橋剤を用いて架橋された架橋膜であってもよい。
(粒子)
粒子含有層に含まれる粒子の平均粒子径は、特に制限されず、1~400nmが好ましく、搬送性がより優れる点及び転写痕が抑制できる点で、10~200nmがより好ましく、30~130nmが更に好ましい。
また、搬送性がより優れる点及び転写痕が抑制できる点で、粒子含有層に含まれる粒子の平均粒子径が10~200nm(より好ましくは30~130nm)であり、粒子含有層の厚さが1~200nm(より好ましくは10~100nm)であり、かつ、粒子の平均粒子径が粒子含有層の厚さよりも大きいことが好ましい。
粒子含有層に含まれる粒子としては、1種単独で用いてもよく、2種以上の粒子を用いてもよい。
粒子含有層が、粒子径の異なる2種以上の粒子を含む場合、粒子含有層は、平均粒子径が上記範囲内にある粒子を少なくとも1種含むことが好ましく、粒子径の異なる2種以上の粒子がいずれも平均粒子径が上記範囲内にある粒子であることがより好ましい。
粒子含有層に含まれる粒子としては、例えば、有機粒子及び無機粒子が挙げられる。中でも、フィルム巻き品質、ヘイズ、及び、耐久性(例えば、熱安定性)がより向上する観点から、無機粒子が好ましい。
有機粒子としては、樹脂粒子が好ましい。樹脂粒子を構成する樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、及び、スチレン-アクリル樹脂が挙げられる。樹脂粒子は、架橋構造を有することが好ましい。架橋構造を有する樹脂粒子としては、例えば、ジビニルベンゼン架橋粒子が挙げられる。
なお、本明細書において、アクリル樹脂とは、アクリレート又はメタクリレート由来の構成単位を含む樹脂を意味する。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子(二酸化ケイ素粒子、コロイダルシリカ)、チタニア粒子(酸化チタン粒子)、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、及び、アルミナ粒子(酸化アルミニウム粒子)が挙げられる。上記の中でも、無機粒子は、ヘイズ、及び、耐久性がより向上する観点から、シリカ粒子であることが好ましい。
粒子の形状は、特に制限されず、例えば、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、鱗片状、凝集状、及び、不定形状が挙げられる。凝集状とは、1次粒子が凝集した状態を意味する。凝集状にある粒子の形状は制限されないが、球状又は不定形状が好ましい。
凝集粒子としては、ヒュームドシリカ粒子が好ましい。入手可能な市販品としては、例えば、日本アエロジル株式会社のアエロジルシリーズが挙げられる。
非凝集粒子としては、コロイダルシリカ粒子が好ましい。入手可能な市販品としては、例えば、日産化学株式会社製のスノーテックスシリーズが挙げられる。
粒子含有層における粒子の含有量は、搬送性、及び、剥離層の塗布性の観点から、粒子含有層の全質量に対して、0.1~30質量%が好ましく、1~25質量%がより好ましく、1~15質量%が更に好ましい。
また、粒子の含有量は、ポリエステルフィルムの全質量に対して、0.0001~0.01質量%が好ましく、0.0005~0.005質量%がより好ましい。
(非ポリエステル樹脂)
粒子含有層は、非ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。非ポリエステル樹脂は、バインダーとして用いることができる。
粒子含有層に含まれる非ポリエステル樹脂としては、ポリエステル樹脂以外の樹脂であれば特に制限されないが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、アクリロニトリルブタジエン樹脂が挙げられ、本発明の効果がより優れる点から、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、又は、オレフィン樹脂が好ましく、アクリル樹脂、又は、オレフィン樹脂がより好ましい。
ここで、アクリル樹脂及びオレフィン樹脂と、ポリエステル樹脂とは、溶解度パラメータ(SP値)が離れている。つまり、アクリル樹脂及びオレフィン樹脂と、ポリエステル樹脂との相溶性が不十分であるので、ポリエステル基材からオリゴマー等の不純物が析出しにくくなる。これにより、ポリエステル基材に含まれる不純物に起因する突起が粒子含有層の表面に生じにくくなると推察している。また、ウレタン樹脂のうち、疎水性の高いウレタン樹脂(すなわち、ポリエステル樹脂とSP値が十分に離れたウレタン樹脂)についても、アクリル樹脂及びオレフィン樹脂と同様の理由によって、ポリエステル基材からオリゴマー等の不純物が析出することを抑制できる。
粒子含有層は、水分散体を塗布して形成されることが好ましい。その点で、粒子含有層に含まれる非ポリエステル樹脂としては、酸変性樹脂が好ましい。酸変性樹脂としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリル酸の共重合体、又は、カルボキシル基を有するオレフィン樹脂が好ましく、カルボキシル基を有するオレフィン樹脂がより好ましい。
また、粒子含有層に含まれる非ポリエステル樹脂としては、粒子含有層の表面自由エネルギーを後述の特定の範囲に調整することが容易である点で、アクリル樹脂、オレフィン樹脂又はウレタン樹脂が好ましく、アクリル樹脂又はオレフィン樹脂がより好ましく、アクリル樹脂が更に好ましい。アクリル樹脂、オレフィン樹脂及びウレタン樹脂としては、特に制限されず、公知の樹脂を利用できる。
オレフィン樹脂は、主鎖にオレフィンに由来する構成単位を含む樹脂であればよい。主鎖にオレフィン構造を有することで、ポリエステル樹脂との相溶性が不十分となり、結果として、長期保管における欠陥抑制をより向上することができる。
オレフィンとしては、特に制限されないが、炭素数2~6のアルケンが好ましく、エチレン、プロピレン、又は、ヘキセンがより好ましく、エチレンが更に好ましい。
オレフィン樹脂が有するオレフィンに由来する構成単位は、オレフィン樹脂の全ての構成単位に対して、50~99モル%が好ましく、60~98%がより好ましい。
オレフィン樹脂としては、剥離層を塗布する際の帯電を防止できる点で、酸変性オレフィン樹脂が好ましい。酸変性オレフィン樹脂としては、例えば、上記オレフィン樹脂を、不飽和カルボン酸又はその無水物等の酸変性成分で変性した共重合体が挙げられる。
酸変性成分としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、及び、クロトン酸、並びに、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、及び、ハーフアミドが挙げられ、樹脂の分散安定性の面から、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、又は、無水マレイン酸が好ましい。
酸変性オレフィン樹脂に含まれる酸性基としては、上記の酸変性成分に対応する酸性基である、カルボキシル基、スルホ基、及び、リン酸基が挙げられ、カルボキシル基が好ましい。酸性基は、酸無水物を形成していていもよいし、アルカリ金属、有機アミン及びアンモニアから選択される少なくとも1つで中和されていてもよい。
酸変性オレフィン樹脂は、酸性基を有する構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
酸変性オレフィン樹脂の市販品としては、例えば、ザイクセンAC、A、L、NC、N等のザイクセン(登録商標)シリーズ(住友精化(株)製)、ケミパールS100、S120、S200、S300、S650、SA100等のケミパール(登録商標)シリーズ(三井化学(株)製)、及び、ハイテックS3121、S3148K等のハイテック(登録商標)シリーズ(東邦化学(株)製)、アローベースSE-1013、SE-1010、SB-1200、SD-1200、SD-1200、DA-1010、DB-4010等のアローベース(登録商標)シリーズ(ユニチカ(株)製)、ハードレンAP-2、NZ-1004、NZ-1005(東洋紡(株)製)、セポルジョンG315、VA407(住友精化(株)製)が挙げられる。
また、特開2014-076632号公報の[0022]~[0034]に記載の酸変性オレフィン樹脂も好ましく用いることができる。
アクリル樹脂は、(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含む樹脂であり、スチレンなどのビニル単量体を共重合していてもよい。アクリル樹脂としては、特に制限されないが、炭素数1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことが好ましく、炭素数1~8のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含むことがより好ましい。
剥離層を塗布する際の帯電を防止できる点で、アクリル樹脂は、酸変性成分を有することが好ましい。アクリル樹脂は、酸変性成分として、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位を含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸は、酸無水物を形成していてもよいし、アルカリ金属、有機アミン及びアンモニアから選択される少なくとも1つで中和されていてもよい。
粒子含有層の製造にアクリル樹脂の水分散体を用いる場合には、アクリル樹脂と分散剤とを含む水分散体を好ましく用いることができる。
アクリル樹脂が有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位は、アクリル樹脂の全ての構成単位に対して、50~100モル%が好ましい。
アクリル樹脂の酸価は、30mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以下がより好ましい。酸価の下限は、特に制限されず、例えば、0mgKOH/gであるが、水分散体として塗布する観点からは、2mgKOH/g以上が好ましい。
ポリエステル樹脂との溶解度パラメータ(SP値)が離れたアクリル樹脂を用いた場合、アクリル樹脂とポリエステル樹脂との相溶性が不十分となり、結果として、長期保管における欠陥抑制をより向上することができる。このようなアクリル樹脂は、例えば、酸価を上記範囲にすること、及び、炭素数1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含ませること、の少なくとも一方を満たすように調節して得ることができる。中でも、アクリル樹脂は、酸価を上記範囲にすること、及び、炭素数1~12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含ませること、の両方を満たすようにして調節して得られたものであることが好ましい。
ウレタン樹脂としては、ウレタン結合を有する重合体であれば制限されず、イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応生成物等の公知のウレタン樹脂を利用できる。
粒子含有層の製造にウレタン樹脂を含む水分散体を用いる場合、水分散体は、酸性基(例えばカルボキシ基)を有するウレタン樹脂を含むこと、又は、ウレタン樹脂と分散剤とを含むことが好ましい。これにより、粒子含有層の製膜性が良好になる。
ウレタン樹脂は、例えば、原料となるポリオール化合物の構造、原料となるポリオールの疎水性又は親水性、原料となるイソシアネート化合物の構造、及び、原料となるイソシアネート化合物の疎水性又は親水性のうち、少なくとも1つを調節することで、所望のSP値とすることができる。このようにして、疎水的になるように調節されたウレタン樹脂を用いることで、ウレタン樹脂とポリエステル樹脂との相溶性が不十分となり、結果として、長期保管における欠陥抑制をより向上することができる。
ウレタン樹脂の中でも、疎水的であって、長期保管における欠陥抑制をより向上できる点から、ポリエステル構造を有するウレタン樹脂(ポリエステル系ウレタン樹脂)が好ましい。
ポリウレタンの市販品としては、例えば、ハイドラン(登録商標)AP-20、AP-40N、及び、AP-201(以上、DIC社製)、タケラック(登録商標)W-605、W-5030、及び、W-5920(以上、三井化学社製)、スーパーフレックス(登録商標)210、及び、130、並びに、エラストロン(登録商標)H-3-DF、E-37、及び、H-15(以上、第一工業製薬社製)が挙げられる。
粒子含有層は、1種単独の非ポリエステル樹脂を含んでいてもよく、2種以上の非ポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
非ポリエステル樹脂の含有量は、凹凸欠陥をより抑制する点から、粒子含有層の全質量に対して、30~99.8質量%が好ましく、50~99.5質量%がより好ましい。
(添加剤)
粒子含有層は、上記の粒子及び非ポリエステル樹脂以外の添加剤を含んでいてもよい。
粒子含有層に含まれる添加剤としては、例えば、界面活性剤ワックス、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、強化剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、防錆剤、及び、防黴剤が挙げられる。
粒子含有層は、第2主面において、粒子により形成される突起が存在する箇所以外の領域の平滑性が向上する点で、界面活性剤を含むことが好ましい。第2主面の上記領域の平滑性が向上し、粒子以外の要因で第2主面の表面粗さが小さくなることにより、最大突起高さSp(後述)を所望の範囲に制御し、本発明の効果を向上させることができる。
界面活性剤としては、特に制限されず、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及び、炭化水素系界面活性剤が挙げられる。第2主面における帯電を抑制できる観点から、炭化水素系界面活性剤が好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、疎水基としてケイ素含有基を有する界面活性剤であれば特に制限されず、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、及び、ポリメチルアルキルシロキサンが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、BYK(登録商標)-306、BYK-307、BYK-333、BYK-341、BYK-345、BYK-346、BYK-347、BYK-348、及び、BYK-349(以上、BYK社製)、並びに、KF-351A、KF-352A、KF-353、KF-354L、KF-355A、KF-615A、KF-945、KF-640、KF-642、KF-643、KF-6020、X-22-4515、KF-6011、KF-6012、KF-6015、及び、KF-6017(以上、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、疎水基としてフッ素含有基を有する界面活性剤であれば特に制限されず、例えば、パーフルオロオクタンスルホン酸、及び、パーフルオロカルボン酸が挙げられる。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファック(登録商標)F-114、F-410、F-440、F-447、F-553、及び、F-556(以上、DIC社製)、並びに、サーフロン(登録商標)S-211、S-221、S-231、S-233、S-241、S-242、S-243、S-420、S-661、S-651、及び、S-386(AGCセイミケミカル社製)が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、環境適性向上の観点から、パーフルオロオクタン酸(PFOA)及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)等の炭素数が7以上の直鎖状パーフルオロアルキル基を有する化合物の代替材料に由来する界面活性剤が好ましい。
炭化水素系界面活性剤としては、例えば、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、及び、脂肪酸塩が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリアルキレングリコールモノ又はジアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノ又はジアルキルエステル、及び、ポリアルキレングリコールモノアルキルエステル・モノアルキルエーテルが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第1級~第3級アルキルアミン塩、及び、第4級アンモニウム化合物が挙げられる。
両性界面活性剤としては、分子内にアニオン性部位とカチオン性部位の両者を有する界面活性剤が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、ラピゾール(登録商標)A-90、A-80、BW-30、B-90、及び、C-70(以上、日油(株)製)、NIKKOL(登録商標)OTP-100(以上、日光ケミカル(株)製)、コハクール(登録商標)ON、L-40、及び、フォスファノール(登録商標)702(以上、東邦化学工業(株)製)、並びに、ビューライト(登録商標)A-5000、及び、SSS(以上、三洋化成工業(株)製)が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の市販品としては、例えば、ナロアクティー(登録商標)CL-95、及び、HN-100(商品名:三洋化成工業(株)製)、リソレックスBW400(商品名:高級アルコール工業(株)製)、EMALEX(登録商標)ET-2020(以上、日本エマルジョン(株)製)、並びに、サーフィノール(登録商標)104E、420、440、465、及び、ダイノール(登録商標)604、607(以上、日信化学工業(株)製)が挙げられる。
酸変性樹脂と併用する場合には、樹脂の分散を阻害することなく表面が平滑な塗布層を形成できる観点で、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の少なくとも一方が好ましく、アニオン性界面活性剤がより好ましい。即ち、界面活性剤としては、表面平滑性の向上の観点で、アニオン性の炭化水素系界面活性剤がより好ましい。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤は、平滑性がより向上する点で、複数個の疎水性末端基を有することが好ましい。疎水性末端基は、炭化水素系界面活性剤が有する炭化水素基の一部であってよい。例えば、分岐鎖構造を有する炭化水素基を末端に有する炭化水素系界面活性剤は、複数個の疎水性末端基を有することになる。
複数個の疎水性末端基を有するアニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム(疎水性末端基を4つ有する)、スルホコハク酸ジ-2-エチルオクチルナトリウム(疎水性末端基を4つ有する)、及び、分岐鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(疎水性末端基を2つ有する)が挙げられる。
界面活性剤は1種用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、粒子含有層の全質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、表面平滑性により優れる点で、0.1~5質量%がより好ましく、0.5~2質量%が更に好ましい。
ワックスとしては、特に制限されず、天然ワックスも合成ワックスでもよい。天然ワックスとしては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ミツロウ、モンタンワックス、パラフィンワックス、及び、石油ワックスが挙げられる。その他、国際公開第2017/169844号明細書の[0087]の記載の滑り剤も使用できる。
ワックスの含有量は、粒子含有層の全質量に対して、0~10質量%が好ましい。
(厚さ)
粒子含有層は、例えば、粒子を含む組成物をポリエステル基材の一方の表面上に塗布して形成でき、その厚さが1μm以下になることが多い。
また、後述するポリエステル基材と粒子含有層の形成に用いる樹脂とを共押し出しすることで形成してもよく、その場合には、粒子含有層の厚さは、1~10μmになることが多い。
粒子含有層の厚さは、粒子含有層の製造適性、及び、ヘイズ低減の観点から、1~500nmが好ましく、1~250nmがより好ましく、10~100nmが更に好ましく、20~100nmが特に好ましい。
粒子含有層の厚さは、ポリエステルフィルムの主面に対して垂直な断面を有する切片を作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)又は透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)を用いて測定される、上記切片の5か所の厚さの算術平均値とする。
粒子含有層が柔らかく、安定して断面切片を作製することが難しい場合には、屈折率計を用いて測定してもよい。具体的には、測定される反射率スペクトルを粒子含有層及びポリエステル基材の膜厚及び屈折率とフィッテングすることにより、粒子含有層の膜厚を求めることができる。
粒子含有層の形成方法については、後述する「粒子含有層形成工程」において詳しく説明する。
<ポリエステル基材>
ポリエステル基材は、主たる重合体成分としてポリエステル樹脂を含み、粒子を実質的に含まないフィルム状の物体である。ここで、「主たる重合体成分」とは、フィルムに含まれる全ての重合体のうち最も含有量(質量)が多い重合体を意味する。
「粒子を実質的に含まない」とは、ポリエステル基材について、蛍光X線分析で粒子に由来する元素を定量分析した際に、粒子の含有量がポリエステル基材の全質量に対して50質量ppm以下であることで定義され、好ましくは10質量ppm以下であり、より好ましくは検出限界以下である。これは積極的に粒子をポリエステル基材中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分、原料樹脂、又は、ポリエステル基材の製造工程におけるラインもしくは装置に付着した汚れが剥離して、ポリエステル基材中に混入する場合があるためである。粒子としては、例えば、上述の粒子含有層が含む粒子が挙げられる。
ポリエステル基材は、1種単独のポリエステル樹脂を含んでいてもよく、2種以上のポリエステル樹脂を含んでいてもよい。
(ポリエステル樹脂)
ポリエステル樹脂は、主鎖にエステル結合を有する重合体である。ポリエステル樹脂は、通常、後述するジカルボン酸化合物とジオール化合物とを重縮合させることにより形成される。
ポリエステル樹脂としては特に制限されず、公知のポリエステル樹脂を利用できる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)、及び、それらの共重合体が挙げられ、PETが好ましい。
ポリエステル樹脂の固有粘度は、0.50dl/g以上0.80dl/g未満が好ましく、0.55dl/g以上0.70dl/g未満がより好ましい。
ポリエステル樹脂の融点(Tm)は、220~270℃が好ましく、245~265℃がより好ましい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、65~90℃が好ましく、70~85℃がより好ましい。
ポリエステル樹脂の製造方法は特に制限されず、公知の方法を利用できる。例えば、触媒存在下で、少なくとも1種のジカルボン酸化合物と、少なくとも1種のジオール化合物とを重縮合させることによりポリエステル樹脂を製造できる。
-触媒-
ポリエステル樹脂の製造に使用する触媒は、特に制限されず、ポリエステル樹脂の合成に使用可能な公知の触媒を利用できる。
触媒としては、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、カリウム化合物、ナトリウム化合物)、アルカリ土類金属化合物(例えば、カルシウム化合物、マグネシウム化合物)、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、ゲルマニウム化合物、及び、リン化合物が挙げられる。中でも、触媒活性及びコストの観点から、チタン化合物が好ましい。
触媒は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。カリウム化合物、ナトリウム化合物、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、及び、ゲルマニウム化合物から選択される少なくとも1種の金属触媒と、リン化合物とを併用することが好ましく、チタン化合物とリン化合物を併用することがより好ましい。
チタン化合物としては、有機キレートチタン錯体が好ましい。有機キレートチタン錯体は、配位子として有機酸を有するチタン化合物である。
有機酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、トリメリット酸、及び、リンゴ酸が挙げられる。
チタン化合物としては、特許第5575671号公報の[0049]~[0053]に記載されたチタン化合物も利用でき、上記公報の記載内容は、本明細書に組み込まれる。
-ジカルボン酸化合物-
ジカルボン酸化合物としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸化合物、脂環式ジカルボン酸化合物、及び、芳香族ジカルボン酸化合物等のジカルボン酸、並びに、それらジカルボン酸のメチルエステル化合物及びエチルエステル化合物等のジカルボン酸エステルが挙げられる。中でも、芳香族ジカルボン酸、又は、芳香族ジカルボン酸メチルが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、及び、エチルマロン酸が挙げられる。
脂環式ジカルボン酸化合物としては、例えば、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、及び、デカリンジカルボン酸が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルインダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、及び、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸が挙げられる。
中でも、テレフタル酸又は2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
ジカルボン酸化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ジカルボン酸化合物として、テレフタル酸を使用する場合、テレフタル酸単独で用いてもよく、イソフタル酸等の他の芳香族ジカルボン酸又は脂肪族ジカルボン酸と共重合してもよい。
-ジオール化合物-
ジオール化合物としては、例えば、脂肪族ジオール化合物、脂環式ジオール化合物、及び、芳香族ジオール化合物が挙げられ、脂肪族ジオール化合物が好ましい。
脂肪族ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、及び、ネオペンチルグリコールが挙げられ、エチレングリコールが好ましい。
脂環式ジオール化合物としては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、及び、イソソルビドが挙げられる。
芳香族ジオール化合物としては、例えば、ビスフェノールA、1,3-ベンゼンジメタノール,1,4-ベンゼンジメタノール、及び、9,9’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンが挙げられる。
ジオール化合物は、1種のみ用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
-末端封止剤-
ポリエステル樹脂の製造においては、必要に応じて、末端封止剤を用いてもよい。末端封止剤を用いることで、ポリエステル樹脂の末端に末端封止剤に由来する構造が導入される。
末端封止剤としては、制限されず、公知の末端封止剤を利用できる。末端封止剤としては、例えば、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物、及び、エポキシ系化合物が挙げられる。
末端封止剤としては、特開2014-189002号公報の[0055]~[0064]に記載の内容も参照でき、上記公報の内容は、本明細書に組み込まれる。
-製造条件-
反応温度は、制限されず、原材料に応じて適宜設定すればよい。反応温度は、260~300℃が好ましく、275~285℃がより好ましい。
圧力は、制限されず、原材料に応じて適宜設定すればよい。圧力は、1.33×10-3~1.33×10-5MPaが好ましく、6.67×10-4~6.67×10-5MPaがより好ましい。
ポリエステル樹脂の合成方法としては、特許第5575671号公報の[0033]~[0070]に記載された方法も利用でき、上記公報の内容は、本明細書に組み込まれる。
ポリエステル基材は、2軸配向ポリエステル基材であることが好ましい。
「2軸配向」とは、2軸方向に分子配向性を有する性質を意味する。分子配向性は、マイクロ波透過型分子配向計(例えば、MOA-6004、株式会社王子計測機器社製)を用いて測定する。二軸方向のなす角は、90°±5°の範囲内が好ましく、90°±3°の範囲内がより好ましく、90°±1°の範囲内が更に好ましい。
ポリエステル基材におけるポリエステル樹脂の含有量は、ポリエステル基材中の重合体の全質量に対して、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましい。
ポリエステル樹脂の含有量の上限は、制限されず、ポリエステル基材中の重合体の全質量に対して、100質量%以下の範囲で適宜設定できる。
ポリエステル基材がポリエチレンテレフタレートを含む場合、ポリエチレンテレフタレートの含有量は、ポリエステル基材中のポリエステル樹脂の全質量に対して、90~100質量%が好ましく、95~100質量%がより好ましく、98~100質量%が更に好ましく、100質量%が特に好ましい。
ポリエステル基材は、ポリエステル樹脂以外の成分(例えば、触媒、未反応の原料成分、粒子、及び、水等)を含んでいてもよい。
ポリエステル基材の厚さは、剥離性を制御できる点で、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。厚さの下限は特に制限されないが、強度が向上し、加工性が向上する点で、3μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。
ポリエステル基材の厚さは、後述の方法で測定される本フィルムの厚さから、上述の方法で測定される粒子含有層の厚さ、及び、後述の方法で測定される粒子不含層の厚さを減算して求めることができる。
<粒子不含層>
粒子不含層は、粒子を実質的に含まない層であり、ポリエステル基材の他方の面側に形成される。また、粒子不含層のポリエステル基材に対向する面とは反対側の表面は、第1主面を構成する。
「粒子を実質的に含有しない」とは、蛍光X線分析で粒子に由来する元素を定量分析した際に、粒子の含有量が粒子不含層の全質量に対して50質量ppm以下であることで定義され、好ましくは10質量ppm以下であり、より好ましくは検出限界以下である。このときの粒子としては、例えば、上述の粒子含有層に含まれる粒子が挙げられる。
粒子不含層としては、ポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含むものであれば特に制限されない。粒子不含層は、非ポリエステル樹脂以外の添加剤を含んでいてもよい。
粒子不含層は、後述の架橋剤を用いて架橋された架橋膜であってもよい。
(非ポリエステル樹脂)
粒子不含層に含まれる非ポリエステル樹脂としては、ポリエステル樹脂以外の樹脂であれば特に制限されないが、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、及び、アクリロニトリルブタジエン樹脂が挙げられ、本発明の効果がより優れる点から、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、又は、オレフィン樹脂が好ましく、アクリル樹脂、又は、オレフィン樹脂がより好ましい。アクリル樹脂又はオレフィン樹脂を用いた場合、上述したポリエステル樹脂とのSP値の観点から、ポリエステル基材に含まれる不純物に起因する突起が粒子不含層の表面に生じにくくなる。また、ウレタン樹脂のうち、疎水性の高いウレタン樹脂についても、アクリル樹脂及びオレフィン樹脂と同様の理由によって、ポリエステル基材からオリゴマー等の不純物が析出することを抑制できる。
オレフィン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂については、上記の粒子含有層に含まれる非ポリエステル樹脂として記載されたオレフィン樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂と、その好ましい態様も含めて同じであってよい。
粒子不含層は、非ポリエステル樹脂以外に添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、ワックス、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、強化剤、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤、防錆剤、及び、防黴剤が挙げられる。
界面活性剤については、上記の粒子含有層に含まれる界面活性剤と、その好ましい態様も含めて同じであってよい。
粒子不含層の厚さは、1μm以下であることが多く、1~500nmが好ましく、1~200nmがより好ましく、10~100nmが更に好ましく、20~100nmが特に好ましい。粒子不含層の厚さは、粒子含有層の厚さと同様の方法で測定できる。
粒子不含層は、インラインコーティングによりポリエステル基材の表面上に設けることが好ましい。インラインコーティングにより粒子不含層を設ける場合、後述する粒子含有層形成工程の直前もしくは直後、又は、粒子含有層形成工程と同時に設けることが好ましい。また、上述したポリエステル基材と粒子不含層の形成に用いる樹脂とを共押し出しして、ポリエステル基材の表面上に粒子不含層を設けてもよい。
本フィルムは、上記の粒子含有層、ポリエステル基材及び粒子不含層以外の層を備えていてもよいが、粒子含有層、ポリエステル基材及び粒子不含層からなる層構成を有することが好ましい。
〔物性等〕
次に、本フィルムの物性等について説明する。
(第1主面の表面自由エネルギー)
本フィルムの第1主面(すなわち、粒子不含層のポリエステル基材とは反対側の表面)の表面自由エネルギーは、25~65mJ/mが好ましく、30~45mJ/mがより好ましく、30~40mJ/mが更に好ましい。第1主面の表面自由エネルギーが30~45mJ/mの範囲にあることにより、ポリエステル樹脂とのSP値が離れ、ポリエステル基材からオリゴマー等の不純物が析出しにくくなるという理由により、本発明の効果がより優れる。
第1主面の表面自由エネルギーは、例えば、粒子不含層に含まれる非ポリエステル樹脂の種類及び添加剤等を選択することにより、調節できる。
本フィルムの第1主面の表面自由エネルギーは、後述の実施例欄に記載の方法に従って求められる。
(第2主面の表面自由エネルギー)
本フィルムの第2主面(すなわち、粒子含有層のポリエステル基材とは反対側の表面)の表面自由エネルギーは、25~65mJ/mが好ましく、30~45mJ/mがより好ましく、35~45mJ/mが更に好ましい。第2主面の表面自由エネルギーが30~45mJ/mの範囲にあることにより、ポリエステル基材から発生したオリゴマーが粒子含有層を通過して第2主面の表面に粒子状に析出するのを抑制できる。これにより、本フィルムをロール状に巻き取って保存した際に、第2主面の表面に付着した粒子が第1主面に付着することを抑制できる。
第2主面の表面自由エネルギーは、例えば、非ポリエステル樹脂、及び、添加剤等を選択することにより、調節できる。
本フィルムの第2主面の表面自由エネルギーは、後述の実施例欄に記載の方法に従って求められる。
(第1主面の最大突起高さSp、面平均粗さSa、局所突起数)
剥離層を平滑にする観点で、第1主面(すなわち、粒子不含層のポリエステル基材とは反対側の表面)はできるだけ平滑であることが好ましい。具体的には、第1主面の最大突起高さSpは、1~60nmが好ましく、1~50nmがより好ましく、1~30nmが更に好ましく、1~20nmが特に好ましい。
第1主面の面平均粗さSaは、0~10nmが好ましく、0~5nmがより好ましく、0~2nmが更に好ましい。
第1主面の局所突起数は、長期保管後の欠陥の発生を抑制する点で、70個以下が好ましく、剥離層を平滑にする点で、40個以下が好ましく、20個以下がより好ましく、10個以下が更に好ましい。第1主面の局所突起数の下限は、0個が好ましい。
ここで、第1主面の局所突起数とは、高さ50nmを超える突起の合計数を意味し、後述の実施例欄に記載の方法に従って測定される。
第1主面の最大突起高さSp、面平均粗さSa及び局所突起数は、粒子不含層に粒子を入れないこと、粒子不含層を形成する非ポリエステル樹脂及び添加剤(界面活性剤など)の種類を選択すること、並びに、平滑な塗布層を形成することにより、調整できる。
本フィルムの第1主面の最大突起高さSp、面平均粗さSa及び局所突起数は、後述の実施例欄に記載の方法に従って測定される。
なお、「面平均粗さSaが0nmである」とは、後述の測定方法で測定される面平均粗さSaが、測定限界以下であることを意味する。
(第2主面の最大突起高さSp、面平均粗さSa、異物数)
本フィルムの第1主面上に剥離層を形成して剥離フィルムを作製すると、本フィルムの第2主面が剥離層とは反対側の表面である搬送面に相当する。搬送面(第2主面)に突起形状を設けることにより搬送性が向上する一方、突起形状が大き過ぎると、剥離フィルムのロール保管時等において、剥離層に転写痕が形成されてしまう場合がある。そのため、第2主面の最大突起高さSpは、剥離層表面における転写痕の抑制及び搬送性の点から、所定範囲内にあることが好ましい。
具体的には、第2主面の最大突起高さSpは、10~2300nmが好ましく、10~2000nmがより好ましく、10~1500nmが更に好ましく、10~500nmが特に好ましく、20~60nmが最も好ましい。
第2主面の異物数は、長期保管後の欠陥の発生を抑制する点で、7個以下が好ましく、4個以下がより好ましく、2個以下が更に好ましく、1個以下が特に好ましい。第2主面の異物数の下限は、0個が好ましい。
ここで、第2主面の異物数とは、直径1μmを超える異物の合計数を意味し、後述の実施例欄に記載の方法に従って測定される。また、異物とは、粒子含有層に含まれる上述の粒子以外の粒状物を意味し、上述のオリゴマー等が挙げられる。
また、転写痕をより抑制できる点で、第2主面の面平均粗さSaは、1~15nmが好ましく、1~10nmがより好ましく、3~8nmが更に好ましい。
第2主面の最大突起高さSp及び面平均粗さSaは、例えば、粒子含有層に含まれる粒子の平均粒子径及び含有量、粒子含有層の厚さ、並びに、粒子含有層に含まれ得る非ポリエステル樹脂及び添加剤(界面活性剤など)の種類を選択することにより、調節できる。インラインコーティングにて粒子含有層を形成する場合には、上記の調整をより容易に行うことができる。
第2主面の最大突起高さSp及び面平均粗さSaは、後述の実施例欄に記載の方法に従って測定される。
(厚さ)
本フィルムの厚さは、剥離性がより優れる点で、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、40μm以下が更に好ましい。厚さの下限は特に制限されないが、ハンドリング性に優れる点で、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上が更に好ましい。
本フィルムの厚さは、連続式触針式膜厚計により測定される5か所の厚さの算術平均値とする。
〔製造方法〕
本フィルムの製造方法の第1実施形態としては、未延伸ポリエステル基材を2軸延伸する2軸延伸工程と、粒子を含む粒子含有層を形成する粒子含有層形成工程と、粒子を実質的に含まない粒子不含層を形成する粒子不含層形成工程と、を有する方法が挙げられる。
2軸延伸は、縦延伸及び横延伸を同時に行う同時2軸延伸であってもよく、縦延伸及び横延伸を2段階以上の多段階に分けて行う逐次2軸延伸であってもよい。逐次2軸延伸の形態としては、例えば、縦延伸→横延伸、縦延伸→横延伸→縦延伸、縦延伸→縦延伸→横延伸、及び、横延伸→縦延伸が挙げられ、縦延伸→横延伸が好ましい。
本製造方法としては、例えば、原料ポリエステル樹脂を含む溶融樹脂をフィルム状に押し出して、未延伸ポリエステル基材を形成する押出成形工程と、未延伸ポリエステル基材を搬送方向に延伸して1軸配向ポリエステル基材を形成する縦延伸工程、及び、1軸配向ポリエステル基材を幅方向に延伸して2軸配向ポリエステル基材を形成する横延伸工程からなる2軸延伸工程と、2軸配向ポリエステル基材を加熱して熱固定する熱固定工程と、熱固定工程により熱固定されたポリエステル基材を熱固定工程よりも低い温度で加熱して熱緩和する熱緩和工程と、熱緩和工程により熱緩和されたポリエステル基材を冷却する冷却工程と、冷却工程において、熱緩和されたポリエステル基材を幅方向に拡張する拡張工程と、粒子を含む粒子含有層形成用組成物を用いてインラインコーティング法によりポリエステル基材の一方の面に粒子含有層を設ける粒子含有層形成工程と、粒子を実質的に含まない粒子不含層形成用組成物を用いてインラインコーティング法によりポリエステル基材の他方の面に粒子不含層を設ける粒子不含層形成工程と、を有する方法が挙げられる。
<押出成形工程>
押出成形工程は、押出成形法により原料のポリエステル樹脂を含む溶融樹脂をフィルム状に押し出して、未延伸ポリエステル基材を形成する工程である。原料のポリエステル樹脂については、上記の(ポリエステル樹脂)の項目において説明したポリエステル樹脂と同義である。
押出成形法は、例えば押出機を用いて原料樹脂の溶融体を押し出すことによって、原料樹脂を所望の形状に成形する方法である。
押出ダイから押し出された溶融体は、冷却されることによってフィルム状に成形される。例えば、溶融体をキャスティングロールに接触させ、キャスティングロール上で溶融体を冷却及び固化することで、溶融体をフィルム状に成形できる。溶融体の冷却においては、更に、溶融体に風(好ましくは冷風)を当てることが好ましい。
<2軸延伸工程>
2軸延伸工程は、未延伸ポリエステル基材を搬送方向に延伸(以下、「縦延伸」ともいう。)して1軸配向ポリエステル基材を形成する縦延伸工程、及び、1軸配向ポリエステル基材を幅方向に延伸(以下、「横延伸」ともいう。)して2軸配向ポリエステル基材を形成する横延伸工程を有する。
(縦延伸工程)
縦延伸は、例えば、未延伸ポリエステル基材を長手方向に搬送しながら、搬送方向に設置した2対以上の延伸ロール間で緊張を与えることによって行うことができる。
縦延伸工程における延伸倍率は、用途によって適宜設定されるが、2.0~5.0倍が好ましく、2.5~4.0倍がより好ましく、2.8~4.0倍が更に好ましい。
縦延伸工程における延伸速度は、800~1500%/秒が好ましく、1000~1400%/秒がより好ましく、1200~1400%/秒が更に好ましい。ここで、「延伸速度」とは、縦延伸工程において1秒間に延伸されたポリエステル基材の搬送方向の長さΔdを、延伸前のポリエステル基材の搬送方向の長さd0で除した値を、百分率で表した値である。
縦延伸工程においては、未延伸ポリエステル基材を加熱することが好ましい。加熱により縦延伸が容易になるためである。
(横延伸工程)
横延伸工程は、1軸配向ポリエステル基材を横延伸する工程である。
横延伸工程においては、横延伸前に、ポリエステル基材を予熱することが好ましい。ポリエステル基材を予熱することで、ポリエステル基材を容易に横延伸できる。
横延伸工程における1軸配向ポリエステル基材の幅方向の延伸倍率(横延伸倍率)は特に制限されないが、上記縦延伸工程における延伸倍率より大きいことが好ましい。横延伸工程における延伸倍率は、3.0~6.0倍が好ましく、3.5~5.0倍がより好ましく、3.5~4.5倍が更に好ましい。
横延伸工程を延伸機の延伸部において実施する場合、横延伸倍率は、延伸部の搬入時のポリエステル基材幅L0に対する延伸部からの搬出時のポリエステル基材幅L1の比率(L1/L0)から求められる。
横延伸工程における延伸速度は、8~45%/秒が好ましく、10~30%/秒がより好ましく、15~20%/秒が更に好ましい。
<熱固定工程>
本製造方法では、横延伸工程により横延伸されたポリエステル基材に対する加熱処理として、熱固定工程を行うことが好ましい。
熱固定工程においては、横延伸工程により得られた2軸配向ポリエステル基材を加熱して、熱固定することができる。熱固定によってポリエステル樹脂を結晶化させることにより、ポリエステル基材の収縮を抑えることができる。
熱固定工程におけるポリエステル基材の表面温度(熱固定温度)は、特に制限されないが、240℃未満が好ましく、235℃以下がより好ましく、230℃以下が更に好ましい。下限は特に制限されないが、190℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましく、210℃以上が更に好ましい。
熱固定工程における加熱時間は、5~50秒間が好ましく、5~30秒間がより好ましく、5~10秒間が更に好ましい。
<熱緩和工程>
熱緩和工程においては、熱固定工程により熱固定されたポリエステル基材を、熱固定工程よりも低い温度で加熱することで熱緩和することが好ましい。熱緩和によってポリエステル基材の残留歪みを緩和できる。
熱緩和工程におけるポリエステル基材の表面温度(熱緩和温度)は、熱固定温度より、5℃以上低い温度が好ましく、15℃以上低い温度がより好ましく、25℃以上低い温度が更に好ましく、30℃以上低い温度が特に好ましい。即ち、熱緩和温度は、235℃以下が好ましく、225℃以下がより好ましく、210℃以下が更に好ましく、200℃以下が特に好ましい。
熱緩和温度の下限は、100℃以上が好ましく、110℃以上がより好ましく、120℃以上が更に好ましい。
<冷却工程>
本製造方法は、熱緩和されたポリエステル基材を冷却する冷却工程を有することが好ましい。
冷却工程におけるポリエステル基材の冷却速度は、特に制限されないが、本フィルムに積層される剥離層の厚みムラが低減し、剥離層の塗布性がより優れる点で、2000℃/分超4000℃/分未満が好ましく、2000~3500℃/分がより好ましく、2200℃/分超3000℃/分未満が更に好ましく、2300~2800℃/分が特に好ましい。
<拡張工程>
上記冷却工程において、熱緩和されたポリエステル基材を幅方向に拡張する工程を有することも好ましい。
拡張工程によるポリエステル基材の幅方向の拡張率、即ち、冷却工程の開始前におけるポリエステル基材幅に対する冷却工程の終了時におけるポリエステル基材幅の比率は、0%以上が好ましく、0.001%以上がより好ましく、0.01%以上が更に好ましい。
拡張率の上限は特に制限されないが、1.3%以下が好ましく、1.2%以下がより好ましく、1.0%以下が更に好ましい。
<粒子含有層形成工程>
本製造方法は、粒子を含む粒子含有層形成用組成物(以下、「組成物B」ともいう。)を用いてインラインコーティングする粒子含有層形成工程を有することが好ましい。粒子含有層形成工程によりポリエステル基材の一方の表面に形成される粒子含有層については、上記<粒子含有層>の項目において詳しく説明した層と同義である。
粒子含有層の形成は、本製造方法のいずれの段階で行ってもよく、例えば、未延伸又は延伸されたポリエステル基材の一方の表面上に塗布膜を形成し、必要に応じて乾燥する方法が挙げられる。
まず、組成物Bを用いて粒子含有層を形成する方法について、説明する。
組成物Bは、粒子含有層に含まれる粒子、必要に応じて添加される非ポリエステル樹脂及び添加剤、並びに、溶剤を混合することにより調製できる。
溶剤としては、例えば、水、エタノールが挙げられる。
組成物Bは、1種単独の溶剤を含んでいてもよく、2種以上の溶剤を含んでいてもよい。
溶剤の含有量は、組成物Bの全質量に対して、80~99.5質量%が好ましく、90~99.0質量%がより好ましい。
即ち、組成物Bにおいて、溶剤以外の成分(固形分)の合計含有量は、組成物Bの全質量に対して、0.5~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
組成物Bに含まれる粒子、非ポリエステル樹脂及び添加剤については、それらの好ましい態様も含めて、上記<粒子含有層>の項目において詳しく説明した通りである。
組成物Bにおける溶剤以外の各成分については、組成物Bの固形分の全質量に対する各成分の含有量が、上記の粒子含有層の全質量に対する各成分の好ましい含有量と同じになるように、塗布液における各成分の含有量を調整することが好ましい。
組成物Bは架橋剤を含んでいてもよい。
架橋剤としては、特に制限されず、公知のものを使用できる。
架橋剤としては、例えば、メラミン系化合物、オキサゾリン系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及び、カルボジイミド系化合物が挙げられ、オキサゾリン系化合物又はカルボジイミド系化合物が好ましい。市販品としては、例えば、カルボジライトV-02-L2(日清紡(株)製)及びエポクロスK-2020E(日本触媒(株)製)が挙げられる。エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、及び、メラミン系化合物の詳細については、特開2015-163457号公報の[0081]~[0083]の記載を参照することができる。国際公開第2017/169844号明細書の[0082]~[0084]の記載の架橋剤も好ましく使用できる。カルボジイミド化合物としては、特開2017-087421号公報の[0038]~[0040]の記載を参照できる。
オキサゾリン系化合物、カルボジイミド系化合物、及び、イソシアネート系化合物については、国際公開第2018/034294号明細書の[0074]~[0075]の記載の架橋剤も好ましく使用できる。
架橋剤の含有量は、組成物Bの固形分の全質量に対して、0~50質量%が好ましい。
組成物Bが非ポリエステル樹脂を含む場合、組成物Bは、非ポリエステル樹脂の粒子が水中に分散したラテックスであることが好ましい。この場合、非ポリエステル樹脂の粒子の平均粒子径は、10~1000nmが好ましく、20~500nmがより好ましく、50~200nmが更に好ましい。
非ポリエステル樹脂の粒子の平均粒子径が50nm以上であれば、第2主面の局所突起数を低減できるので、本発明の効果がより優れる。非ポリエステル樹脂の平均粒子径が200nm以下であれば、組成物Bの塗布性に優れる。
非ポリエステル樹脂の粒子の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(「LA-950」、株式会社堀場製作所製)を用いて測定される粒度分布より体積平均を算出して求められる50%径の値(D50)である。
組成物Bの塗布方法は特に制限されず、公知の方法を利用できる。塗布方法としては、例えば、スプレーコート法、スリットコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、バーコート法及びディップコート法が挙げられる。
粒子含有層形成工程においては、ポリエステル基材を搬送しながら、ポリエステル基材の一方の表面に塗布液を塗布するインラインコーティング法を適用することが好ましい。インラインコーティング法を適用することにより、製造工程におけるポリエステル基材の加熱時間が短くなり、熱履歴がかからないため、筋状欠陥領域を低減できる。
インラインコーティング法において、組成物Bを塗布するポリエステル基材は、未延伸のポリエステル基材であってもよく、1軸配向されたポリエステル基材であってもよよいが、1軸配向されたポリエステル基材であることが好ましい。即ち、粒子含有層形成工程が、縦延伸工程と横延伸工程との間に実施される塗布工程であることが好ましい。1軸配向されたポリエステル基材と粒子含有層とを同時に横延伸することにより、ポリエステル基材及び粒子含有層の密着性を向上できるためである。
<粒子不含層形成工程>
本製造方法は、粒子を実質的に含まない粒子不含層形成用組成物(以下、「組成物A」ともいう。)を用いてインラインコーティングする粒子不含層形成工程を有することが好ましい。粒子不含層形成工程によりポリエステル基材の他方の表面に形成される粒子不含層については、上記<粒子不含層>の項目において詳しく説明した層と同義である。
粒子不含層の形成は、本製造方法のいずれの段階で行ってもよく、例えば、未延伸又は延伸されたポリエステル基材の他方の表面上に塗布膜を形成し、必要に応じて乾燥する方法が挙げられる。
粒子不含層形成工程は、組成物Aを用いて、ポリエステル基材の他方の表面上に粒子不含層を形成する以外は、上記<粒子含有層形成工程>と同様である。
組成物Aは、非ポリエステル樹脂、必要に応じて添加される添加剤、及び、溶剤を混合することにより調製できる。
溶剤については、好ましい態様も含めて、上記<粒子含有層形成工程>の項目において説明した通りである。
組成物Aに含まれる非ポリエステル樹脂及び添加剤については、それらの好ましい態様も含めて、上記<粒子不含層>の項目において詳しく説明した通りである。
組成物Aにおける溶剤以外の各成分については、組成物Aの固形分の全質量に対する各成分の含有量が、上記の粒子不含層の全質量に対する各成分の好ましい含有量と同じになるように、塗布液における各成分の含有量を調整することが好ましい。
組成物Aは、架橋剤を含んでいてもよい。組成物Aに含まれる架橋剤については、好ましい態様も含めて、組成物Bに含まれる架橋剤と同様である。
組成物Aは、非ポリエステル樹脂の粒子が水中に分散したラテックスであることが好ましい。この場合、非ポリエステル樹脂の粒子の平均粒子径の好適範囲は、上述の組成物Bにおける非ポリエステル樹脂の粒子と同様である。
本製造方法は、上記の工程を経て得られた2軸配向ポリエステル基材を巻き取ることにより、ロール状の2軸配向ポリエステル基材を得る巻き取り工程を有していてもよい。
本製造方法の縦延伸工程以外の各工程におけるポリエステル基材の搬送速度は、特に制限されないが、横延伸工程、熱固定工程、熱緩和工程、冷却工程及び拡張工程を行う場合、生産性及び品質の点で、50~200m/分が好ましく、80~150m/分がより好ましい。
<本フィルムの製造方法の他の実施態様>
本フィルムの製造方法の第2実施形態としては、未延伸ポリエステル基材を形成するための原料ポリエステル樹脂を含む溶融樹脂と、粒子含有層を形成するための粒子及び非ポリエステル樹脂を含む粒子含有溶融樹脂と、を共押出しして、未延伸ポリエステル基材と粒子含有層とが積層された積層体Xを形成する工程(積層体X形成工程)と、粒子を実質的に含まない粒子不含層を塗布により形成する粒子不含層形成工程と、を有する方法が挙げられる。
上記原料ポリエステル樹脂、粒子及び非ポリエステル樹脂は、第1実施形態で説明した通りである。
積層体X形成工程における共押出しの方法は、溶融樹脂とともに粒子含有溶融樹脂を用いる以外は、第1実施形態における押出成形工程と同様にすることができる。
積層体Xを用いて、第1実施形態で説明した2軸延伸工程、熱固定工程、熱緩和工程、冷却工程、及び、拡張工程等の各工程を実施することが好ましい。
粒子不含層形成工程は、第1実施形態における粒子不含層形成工程と同様にすることができる。
本フィルムの製造方法の第3実施形態としては、未延伸ポリエステル基材を形成するための原料ポリエステル樹脂を含む溶融樹脂と、粒子含有層を形成するための粒子及び非ポリエステル樹脂を含む粒子含有溶融樹脂と、粒子不含層を形成するための非ポリエステル樹脂を含む非ポリエステル溶融樹脂と、を共押出しして、粒子不含層と未延伸ポリエステル基材と粒子含有層とがこの順に積層された積層体Yを形成する工程(積層体Y形成工程)を有する方法が挙げられる。
上記原料ポリエステル樹脂、粒子及び非ポリエステル樹脂は、第1実施形態で説明した通りである。
積層体Y形成工程における共押出しの方法は、溶融樹脂とともに、粒子含有溶融樹脂及び非ポリエステル溶融樹脂を用いる以外は、第2実施形態における押出成形工程と同様にすることができる。
積層体Yを用いて、第1実施形態で説明した2軸延伸工程、熱固定工程、熱緩和工程、冷却工程、及び、拡張工程等の各工程を実施することが好ましい。
本フィルムの製造方法において、国際公開第2020/241692号明細書の[0113]~[0169]の記載内容を参酌でき、この内容は本願明細書に組み込まれる。
上記で具体的に説明した本フィルムの製造方法において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[剥離フィルム]
本フィルムは、剥離フィルムの製造に使用できる。より具体的には、本フィルムの第1主面(粒子不含層のポリエステル基材とは反対側の表面)上に剥離層を設けることにより、本フィルムと、本フィルムの第1主面に配置された剥離層と、を有する剥離フィルムが製造できる。
剥離層は、剥離剤としての樹脂を少なくとも含む。剥離層に含まれる樹脂は特に制限されず、例えば、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アルキド樹脂、アクリル樹脂、各種ワックス、及び、脂肪族オレフィンが挙げられ、セラミックグリーンシートの剥離性の点から、シリコーン樹脂が好ましい。
シリコーン樹脂とは、分子内にシリコーン構造を有する樹脂を意味する。シリコーン樹脂としては、硬化型シリコーン樹脂、シリコーングラフト樹脂、及び、アルキル変性等の変性シリコーン樹脂が挙げられ、反応性の硬化型シリコーン樹脂が好ましい。
反応性の硬化型シリコーン樹脂としては、付加反応系のシリコーン樹脂、縮合反応系のシリコーン樹脂、及び、紫外線又は電子線硬化系のシリコーン樹脂が挙げられる。中でも、剥離層を低温で形成できることから、低温硬化性を有する付加反応系のシリコーン樹脂、又は、紫外線もしくは電子線硬化系のシリコーン樹脂が好ましい。
付加反応系のシリコーン樹脂としては、例えば、末端又は側鎖にビニル基を導入したポリジメチルシロキサンとハイドロジエンシロキサンとを、白金触媒を用いて反応させて硬化させることにより得られる樹脂が挙げられる。
縮合反応系のシリコーン樹脂としては、例えば、末端にOH基を有するポリジメチルシロキサンと、末端にH基を有するポリジメチルシロキサンを、有機錫触媒を用いて縮合反応させることにより形成される、3次元架橋構造を有する樹脂が挙げられる。
紫外線硬化系のシリコーン樹脂としては、シリコーンゴム架橋と同じラジカル反応を利用するもの、不飽和基を導入して光硬化させるもの、紫外線又は電子線でオニウム塩を分解して強酸を生成し、エポキシ基を開裂させて架橋させるもの、及び、ビニルシロキサンへのチオールの付加反応で架橋するものが挙げられる。より具体的には、アクリレート変性されたポリジメチルシロキサン、及び、グリシドキシ変性されたポリジメチルシロキサンが挙げられる。
剥離層は、上記樹脂以外に添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、剥離力を調整するための軽剥離添加剤及び重剥離添加剤、密着向上剤、硬化剤(架橋剤)、並びに、帯電防止剤等の添加剤等を添加してもよい。
剥離層に含まれる樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
剥離層における上記樹脂の含有量は、剥離層の全質量に対して、50~99質量%が好ましく、60~98質量%がより好ましい。剥離層における樹脂以外の残部は、上記の添加剤、並びに、剥離層の形成に使用した剥離層形成用塗布液に含まれる溶剤及び触媒等の残渣物の少なくとも一方であってよい。
剥離層の厚さは、その使用目的に応じて設定すればよく、特に制限されないが、剥離性能及び剥離層表面の平滑性がバランス良く優れる点で、0.005~2.0μmが好ましく、0.05~1.0μmがより好ましい。
(剥離面の表面自由エネルギー)
剥離フィルムを巻き取る際の帯電防止の観点で、剥離層の粒子不含層側とは反対側の表面(剥離面ともいう)の表面自由エネルギーは、30mJ/m以下が好ましく、1~30mJ/mがより好ましく、10~30mJ/mが更に好ましい。
剥離層の剥離面の表面自由エネルギーは、剥離層を形成する樹脂の種類及び添加剤により調整できる。
(剥離面の最大突起高さSp、面平均粗さSa、局所突起数)
剥離層に形成するセラミックグリーンシートなどの機能層を平滑にする点で、剥離面はできるだけ平滑であることが好ましい。具体的には、剥離面の最大突起高さSpは、1~60nmが好ましく、1~40nmがより好ましく、1~30nmが更に好ましい。
また、剥離面の面平均粗さSaは、0~10nmが好ましく、0~5nmがより好ましい。
また、剥離面の局所突起数は、70個以下が好ましく、剥離面の平滑性を向上する点で、40個以下が好ましく、20個以下がより好ましく、10個以下が更に好ましい。剥離面の局所突起数の下限は、0個が好ましい。
剥離面の最大突起高さSp、面平均粗さSa及び局所突起数は、例えば、剥離層を設ける際に剥離層に粒子を入れないこと、並びに、剥離層を形成する樹脂及び添加剤を選択することにより、調整できる。また、粒子不含層の最大突起高さSp、面平均粗さSa及び局所突起数を上述の範囲にすることでも調整できる。
剥離面の最大突起高さSp、面平均粗さSa及び局所突起数は、後述の実施例欄に記載の方法に従って測定される。
本フィルムの第1主面に剥離層を設ける方法は、特に制限されないが、剥離剤を溶剤に溶解又は分散させてなる剥離層形成用塗布液を、本フィルムの第1主面に塗布し、乾燥により溶剤を除去し、必要に応じて加熱又は光を照射して硬化物を形成する方法が挙げられる。
剥離層は、光(例えば紫外線)又は熱によって硬化した硬化物であることが好ましい。
剥離層形成用塗布液の塗布方法は特に制限されず、公知の方法を利用できる。塗布方法としては、例えば、スプレーコート法、スリットコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、バーコート法及びディップコート法が挙げられる。
剥離層の形成における加熱温度は、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、120℃以下が更に好ましい。下限は特に制限されず、60℃以上であってよい。
剥離層形成用塗布液は、上記の樹脂及び溶剤を含有し、必要に応じて、上記の添加剤及び樹脂の硬化に使用される上記の触媒の少なくとも一方を含有してもよい。剥離層形成用塗布液は、これらの成分を混合することにより調製できる。
溶剤としては、例えば、水、並びに、トルエン、メチルエチルケトン、エタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテル等の有機溶剤が挙げられ、有機溶剤が好ましい。
剥離層形成用塗布液は、1種単独の溶剤を含有していてもよく、2種以上の溶剤を含有していてもよい。
溶剤の含有量は、剥離層形成用塗布液の全質量に対して、80~99.5質量%が好ましく、90~99質量%がより好ましい。
即ち、剥離層形成用塗布液において、溶剤以外の成分(固形分)の合計含有量は、剥離層形成用塗布液の全質量に対して、0.5~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。
また、本フィルムと剥離層との密着性を向上させるために、剥離層を設ける前に、本フィルムの第1主面に、アンカーコート、コロナ処理、及び、プラズマ処理等の前処理を施してもよい。
<用途>
本フィルムを有する剥離フィルムは、セラミックグリーンシート製造用の剥離フィルム(キャリアフィルム)として用いることが好ましい。上記の剥離フィルムを用いて製造されるセラミックグリーンシートは、小型化及び大容量化に伴って内部電極の多層化が求められているセラミックコンデンサー、積層インダクタの製造に好適に用いることができる。
また、本フィルムを有する剥離フィルムは、ドライフィルムレジストの保護フィルム、プロセス製造用剥離フィルム等に用いてもよい。
上記剥離フィルムを使用してセラミックグリーンシートを製造する方法は、特に制限されず、公知の方法で実施できる。セラミックグリーンシートの製造方法としては、例えば、準備したセラミックスラリーを、上記剥離フィルムの剥離層表面に塗布し、セラミックスラリーに含まれる溶媒を乾燥除去する方法が挙げられる。
セラミックスラリーの塗布方法は、特に制限されず、例えば、セラミック粉体及びバインダー剤を溶媒に分散させてなるセラミックスラリーを、リバースロール法により塗布し、加熱乾燥により溶媒を除去する方法等の公知の方法が適用できる。バインダー剤としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラールが挙げられる。また、溶媒としても特に限定されず、例えば、エタノール及びトルエンが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本開示を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本開示の範囲は以下に示す具体例に制限されない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
〔実施例1〕
<押出成形工程>
重合触媒として特許第5575671号公報に記載のチタン化合物(クエン酸キレートチタン錯体、VERTEC AC-420、ジョンソン・マッセイ社製)を用いて、ポリエチレンテレフタレートのペレットを製造した。得られたペレットを、含水率が50ppm以下になるまで乾燥させた後、特許第6049648号公報に記載の二軸混練押出し機のホッパーに投入し、次いで、280℃で溶融して押出した。溶融体(メルト)を、濾過器(孔径3μm)に通した後、ダイから25℃の冷却ドラムに押し出すことにより、ポリエチレンテレフタレートからなる未延伸フィルムを得た。なお、押し出された溶融体(メルト)は、静電印加法により冷却ドラムに密着させた。
未延伸フィルムを構成するポリエチレンテレフタレートの融点(Tm)は258℃であり、ガラス転移温度(Tg)は80℃であった。
<縦延伸工程>
上記未延伸フィルムに対し、以下の方法により縦延伸工程を施した。
予熱された未延伸フィルムを、下記の条件にて、周速の異なる2対のロールの間に通過させて縦方向(搬送方向)に延伸することにより、1軸配向フィルムを作製した。
(縦延伸条件)
予熱温度:75℃
延伸温度:90℃
延伸倍率:3.4倍
延伸速度:1300%/秒
<塗布層形成工程(粒子不含層形成工程及び粒子含有層形成工程)>
縦延伸された1軸配向フィルム(ポリエステル基材)の、未延伸フィルム製膜時の冷却ドラム面に、下記の組成物A-1(粒子不含層形成用組成物)を、逆面に組成物B-1(粒子含有層形成用組成物)をバーコーターで塗布し、形成された塗布膜を100℃の熱風にて乾燥させて、ポリエステル基材の一方の面の表面に粒子含有層を形成し、ポリエステル基材の他方の面の表面に粒子不含層を形成した。このとき、成膜された粒子含有層及び粒子不含層の厚さがそれぞれ60nmとなるように、組成物A-1及びB-1の塗布量を調整した。
(組成物A-1、B-1)
下記に示す各成分を混合することにより、組成物A-1とB-1を調製した。調製された組成物A-1とB-1に対して、孔径が6μmであるフィルター(F20、株式会社マーレフィルターシステムズ製)を用いたろ過処理、及び、膜脱気(2x6ラジアルフロースーパーフォビック、ポリポア株式会社製)を実施した後、得られた組成物A-1とB-1を、1軸配向フィルムの両面に同時塗布した。
(組成物A-1)
・アクリル樹脂(メタクリル酸メチル、スチレン、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアクリル酸を質量比59:8:26:5:2で重合させてなる共重合体の水分散液、固形分濃度25質量%):212質量部
・アニオン性炭化水素系界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A-90、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム、日油株式会社製、固形分濃度1質量%水希釈液):12質量部
・カルボジイミド系架橋剤(カルボジライト(登録商標)V-02-L2、日清紡績(株)製、ポリカルボジイミド樹脂に親水性セグメントを付与させた水性架橋剤、固形分濃度40質量%)10質量部
・水:766質量部
(組成物B-1)
・酸変性オレフィン樹脂(ザイクセン(登録商標)NC、住友精化(株)製、オレフィン樹脂の水分散液、固形分濃度28質量%):140質量部
・アニオン性炭化水素系界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A-90、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム、日油株式会社製、固形分濃度1質量%水希釈液):56質量部
・粒子(スノーテックス(登録商標)ZL、日産化学(株)製、コロイダルシリカ、固形分濃度40質量%水分散液):11質量部
・水:793部
<横延伸工程>
縦延伸工程及び塗布層形成工程を行ったフィルムに対し、テンターを用いて下記の条件にて幅方向に延伸し、2軸配向フィルムを作製した。
(横延伸条件)
予熱温度:100℃
延伸温度:120℃
延伸倍率:4.2倍
延伸速度:50%/秒
<熱固定工程>
上記横延伸工程を施した2軸配向フィルムに対して、テンターを用いて下記条件で加熱することにより、フィルムを熱固定する熱固定工程を行った。
(熱固定条件)
熱固定温度:227℃
熱固定時間:6秒間
<熱緩和工程>
次いで、熱固定されたフィルムに対して、下記条件で加熱することにより、フィルムの緊張を緩和する熱緩和工程を行った。また、熱緩和工程において、フィルムの両端を把持するテンターの把持部材間の距離(テンター幅)を狭めることにより、熱固定工程終了時と比較してフィルム幅を縮小した。下記の熱緩和率Lrは、熱緩和工程の開始時におけるフィルム幅L1に対する熱緩和工程の終了時におけるフィルム幅L2から、Lr=(L1-L2)/L1×100の式により求めた。
(熱緩和条件)
熱緩和温度:190℃
熱緩和率Lr:4%
<冷却工程、及び、拡張工程>
熱緩和されたフィルムに対して、下記条件で冷却する冷却工程を行った。また、冷却工程において、テンター幅を広げることにより、熱緩和工程終了時と比較してフィルム幅を拡張する拡張工程を実施した。
下記の冷却速度は、フィルムが延伸機の冷却部に搬入されてから搬出されるまでの滞在時間を冷却時間taとして、冷却部への搬入時に測定したフィルム表面温度と冷却部の搬出時に測定したフィルム表面温度との温度差ΔT(℃)を、冷却時間taで割ることにより求めた。
また、下記の拡張率ΔLは、冷却工程の開始時におけるポリエステルフィルムのフィルム幅L2に対する冷却工程の終了時におけるフィルム幅L3から、ΔL=(L3-L2)/L2×100の式により求めた。
(冷却条件)
冷却速度:2500℃/分
(拡張条件)
拡張率ΔL:0.6%
<巻き取り工程>
冷却工程により冷却されたフィルムに対して、トリミング装置を用いて、フィルムの幅方向の両端から20cmの位置で搬送方向に沿って連続的にフィルムを切断して、フィルムの両端部をトリミングした。次いで、フィルムの両端から幅方向10mmまでの領域に対して、押出し加工(ナーリング)を行った後、張力40kg/mでフィルムを巻き取った。
以上の方法により、粒子不含層、ポリエステル基材及び粒子含有層がこの順に積層された2軸配向フィルム(ポリエステルフィルム)を作製した。得られた2軸配向フィルムの厚さは31μmであり、幅は1.5mであり、巻長は7000mであった。また、得られた2軸配向フィルムの粒子不含層及び粒子含有層の厚さを、ミクロトームで断面を出した後にArイオンでエッチング処理を行い、Pt蒸着して、走査型電子顕微鏡(S-4800、株式会社日立ハイテク製)を用いて測定したところ、粒子不含層及び粒子含有層の厚さはそれぞれ60nmであった。
〔2軸配向フィルムの物性測定〕
実施例1の2軸配向フィルムについて、以下の物性を測定した。
<最大突起高さSp、面平均粗さSa>
2軸配向フィルムが有する粒子不含層側の表面及び粒子含有層側の表面の面平均粗さSa、最大突起高さSpを、下記の方法で測定した。
製造された2軸配向フィルムの表面を、光学干渉計(Vertscan 3300G Lite、株式会社日立ハイテク製)を用いて下記の条件で測定し、その後、内蔵されているデータ解析ソフト(VS-Measure5)にて解析した。
面平均粗さSaの測定では、測定位置を変えた5回の測定で得られる測定値の平均値を採用し、最大突起高さSp(内蔵されているデータ解析ソフトではPと表記される)の測定では、測定位置を変えた5回の測定で得られる測定値の平均値を採用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:50倍
・測定面積:186μm×155μm
<局所突起数>
2軸配向フィルムの粒子不含層側の表面について、測定位置を変えた100回の測定を行った以外は上述の最大突起高さSp及び面平均粗さSaと同様にして、高さが50nmを超える突起の合計数を求めた。
<異物数>
2軸配向フィルムが有する粒子含有層の表面の異物数を、下記の方法で測定した。
粒子含有層の表面を、走査型電子顕微鏡(S-4800、株式会社日立ハイテク製)によって1万倍の拡大画像を観察して、測定面積(測定視野)13μm×10μmに存在する直径1μm以上の異物の数を計測した。この操作を、任意に測定位置を変えた合計40視野で行って、直径1μm以上の異物の合計数(異物数)を求めた。
ここで、直径1μm以上の異物とは、異物の外接円の直径が1μm以上であることを意味する。
なお、観察された異物を、同分析装置でEDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy,エネルギー分散型X線)分析にて元素分布の分析を行い、上述したオリゴマー(ポリエステル樹脂の重合時に生じる低分子量の副生成物)と判断した。また、観察された異物を、TOF-SIM(Time-of-Flight Secondary Ion Mass Spectrometry,飛行時間型二次イオン質量分析法)にて詳細な組成分析を行い、オリゴマーであることの再確認も行った。
<表面自由エネルギー>
2軸配向フィルムが有する粒子不含層側の表面及び粒子含有層側の表面の表面自由エネルギーを、下記の方法で測定した。
接触角計(協和界面化学社製、DROPMASTER-501)を用いて、25℃の条件にて、製造された2軸配向フィルムの粒子不含層側の表面又は粒子含有層側の表面に液滴を滴下し、液滴が表面に付着してから1秒後の接触角を測定した。液滴として精製水2μL、ヨウ化メチレン1μL及びエチレングリコール1μLを使用し、測定されたそれぞれの接触角から、北崎・畑の方法により表面自由エネルギーを算出した。
なお、上記の方法で得られた「表面自由エネルギー」は、表面自由エネルギーの極性成分及び水素結合成分の合計である。
〔凹凸欠陥(評価1)〕
<セラミックスラリーの調製>
チタン酸バリウム粉末(BaTiO;堺化学工業社製,製品名「BT-03」)100質量部、バインダーとしてのポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業社製,製品名「エスレックB・K BM-2」)8質量部、及び、可塑剤としてのフタル酸ジオクチル(関東化学社製,フタル酸ジオクチル 鹿1級)4質量部に、トルエン及びエタノールの混合液(質量比6:4)135質量部とを、ジルコニアビーズの存在下で、ボールミルにて混合し分散させて、ビーズを除去してセラミックスラリーを調製した。
<凹凸欠陥測定用サンプルの作製及び評価>
巻き取られた2軸配向フィルムのフィルムロールを常温常湿に1週間放置した後、放置後の2軸配向フィルムの粒子不含層の表面に離型層(厚さ1μm)を形成して、剥離フィルムを得た。ここで、離型層は、特開2015-195291号公報の実施例1に記載の剥離層形成用材料を用いた剥離剤層の形成方法に従って作製した。
上記セラミックスラリーをダイコーターにて乾燥後の膜厚が1μmになるように、幅250mm、長さ10mにわたって、剥離フィルムの離型層の表面に塗工し、その後、乾燥機にて80℃で1分間乾燥させた。セラミックグリーンシートと剥離フィルムとの積層フィルムについて、剥離フィルム側から蛍光灯を照らして、成形したすべてのセラミックグリーンシート面を目視で検査し、以下の判断基準により凹凸欠陥の評価を実施した。
A:セラミックグリーンシートに凹凸欠陥が確認できなかった
B:セラミックグリーンシートに1~5個の凹凸欠陥が確認された
C:セラミックグリーンシートに6~30個の凹凸欠陥が確認された
D:セラミックグリーンシートに31個以上の凹凸欠陥が確認された
〔凹凸欠陥(評価2)〕
常温常湿に3カ月間放置した後の2軸配向フィルムを用いた以外は、凹凸欠陥(評価1)と同様にして作製した積層フィルムを用いて、凹凸欠陥(評価1)と同様の評価を行った。
〔剥離フィルムの物性測定〕
上記「凹凸欠陥(評価1)」において得られた剥離フィルムを用いて、上記2軸配向フィルムの物性測定と同様にして、剥離フィルムの剥離面(剥離層の粒子不含層側とは反対側の表面)について、最大突起高さSp、面平均粗さSa及び局所突起数の測定を行った。
〔実施例2~7〕
組成物B-1に含まれる材料の一部を以下の材料に変更し、組成物B-2~B-7を得た。組成物B-1の代わりに組成物B-2~B-7のいずれかを用いた以外は、実施例1と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
(組成物B-2)
酸変性オレフィン樹脂を、以下のアクリル樹脂に変更した。
・アクリル樹脂(メタクリル酸メチル、スチレン、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアクリル酸を質量比59:8:26:5:2で重合させてなる共重合体の水分散液、固形分濃度25質量%)
(組成物B-3)
酸変性オレフィン樹脂を、以下のウレタン樹脂Aに変更した。
・ウレタン樹脂A(ハイドラン(登録商標)AP-40N、DIC(株)製、ポリエステル系ウレタン水分散液、固形分濃度35質量%を水で固形分濃度25質量%に調整)
(組成物B-4)
酸変性オレフィン樹脂を、以下のウレタン樹脂Bに変更した。
・ウレタン樹脂B(スーパーフレックス(登録商標)210、第一工業製薬(株)製、エステル系ウレタン水分散液、固形分濃度35質量%を水で固形分濃度25質量%に調整)
(組成物B-5)
酸変性オレフィン樹脂を、以下のウレタン樹脂Cに変更した。
・ウレタン樹脂C(アデカボンタイター(登録商標)HUX-370、ADEKA(株)製、ウレタン水分散液、固形分濃度35質量%を水で固形分濃度25質量%に調整)
(組成物B-6)
酸変性オレフィン樹脂を、以下のPVA樹脂に変更した。
・PVA樹脂(クラレポバール(登録商標) PVA-117H、クラレ(株)製、PVA水溶液、固形分濃度25質量%)
(組成物B-7)
酸変性オレフィン樹脂を、以下のNBR(アクリロニトリルブタジエン樹脂)樹脂に変更した。
・NBR樹脂(Nipol(登録商標)LX-407C5、日本ゼオン(株)製、アクリロニトリルブダジエンゴム水分散液、固形分濃度40質量%を水で固形分濃度25質量%に調整)
〔実施例8~13〕
組成物A-1に含まれる材料の一部を以下の材料に変更し、組成物A-2~A-7を得た。組成物A-1の代わりに組成物A-2~A-7のいずれかを用いた以外は、実施例1と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
(組成物A-2)
アクリル樹脂を、以下の酸変性オレフィン樹脂に変更した。
・酸変性オレフィン樹脂(ザイクセン(登録商標)NC、住友精化(株)製、オレフィン樹脂の水分散液、固形分濃度28質量%を水で固形分濃度25質量%に調整)
(組成物A-3)
アクリル樹脂を、上記ウレタン樹脂Aに変更した。
(組成物A-4)
アクリル樹脂を、上記ウレタン樹脂Bに変更した。
(組成物A-5)
アクリル樹脂を、上記ウレタン樹脂Cに変更した。
(組成物A-6)
アクリル樹脂を、上記PVA樹脂に変更した。
(組成物A-7)
アクリル樹脂を、上記NBR樹脂に変更した。
〔実施例14~16〕
組成物B-1を用いて、以下のようにして組成物B-8~B-10を調製した。組成物B-1の代わりに組成物B-8~B-10のいずれかを用いた以外は、実施例1と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
(組成物B-8)
NIPGEL(登録商標)AZ-204(東ソーシリカ(株)製)を、スノーテックスZLの固形分と同量加えた。
(組成物B-9)
NIPGEL(登録商標)AZ-204(東ソーシリカ(株)製)を、スノーテックスZLの固形分の10倍加えた。
(組成物B-10)
NIPGEL(登録商標)AZ-204(東ソーシリカ(株)製)を、スノーテックスZLの固形分の20倍加えた。
〔実施例17〕
成膜された粒子含有層の厚さが120nmとなるように、組成物B-9の塗布量を調整した以外は、実施例15と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
〔実施例18〕
組成物A-1の代わりに、下記組成物A-8を用いた以外は、実施例1と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
(組成物A-8)
・アクリル樹脂(メタクリル酸メチル、スチレン、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアクリル酸を質量比59:8:26:5:2で重合させてなる共重合体の水分散液、固形分濃度25質量%):141質量部
・ウレタン樹脂B(スーパーフレックス(登録商標)210、第一工業製薬(株)製、エステル系ウレタン水分散液、固形分濃度35質量%):38質量部
・アニオン性炭化水素系界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A-90、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム、日油株式会社製、固形分濃度1質量%水希釈液):12質量部
・カルボジイミド系架橋剤(カルボジライト(登録商標)V-02-L2、日清紡績(株)製、ポリカルボジイミド樹脂に親水性セグメントを付与させた水性架橋剤、固形分濃度40質量%)20質量部
・ベンジルアルコール:4質量部
・水:785質量部
〔実施例19〕
組成物B-1の代わりに、下記組成物B-11を用いた以外は、実施例18と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
(組成物B-11)
・有機粒子A(MP1000、綜研化学(株)製、非架橋アクリル粒子、固形分100質量%):8質量部
・有機粒子B(Nipol(登録商標)UFN1008、日本ゼオン(株)製、ポリスチレン水分散液、固形分20質量%):8質量部
・アクリル樹脂(メタクリル酸メチル、スチレン、2-エチルヘキシルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート及びアクリル酸を質量比59:8:26:5:2で重合させてなる共重合体の水分散液、固形分濃度25質量%):141質量部
・ウレタン樹脂B(スーパーフレックス(登録商標)210、第一工業製薬(株)製、エステル系ウレタン水分散液、固形分濃度35質量%):38質量部
・アニオン性炭化水素系界面活性剤(ラピゾール(登録商標)A-90、スルホコハク酸ジ-2-エチルヘキシルナトリウム、日油株式会社製、固形分濃度1質量%水希釈液):12質量部
・カルボジイミド系架橋剤(カルボジライト(登録商標)V-02-L2、日清紡績(株)製、ポリカルボジイミド樹脂に親水性セグメントを付与させた水性架橋剤、固形分濃度40質量%)20質量部
・ベンジルアルコール:4質量部
・水:769質量部
〔比較例1〕
ポリエステル基材の他方の面に粒子不含層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
なお、剥離層は、ポリエステル基材の粒子含有層とは反対側の表面に形成した。
〔比較例2〕
実施例1において、組成物A-1に含まれるアクリル樹脂を、国際公開第2017/199774号に記載のポリエステル水分散体Aw-1に変更し、組成物C-1を得た。組成物A-1の代わりに組成物C-1を用いた以外は、実施例1と同様にして、上述の各種物性測定、及び、各凹凸欠陥の評価を行った。
Figure 2023007424000001
表1中、「表面E」とは「表面自由エネルギー」を意味する。
表1に示すように、本発明に係る実施例1~17のポリエステルフィルム(2軸配向ポリエステルフィルム)を長期保存して得られた剥離フィルムをセラミックグリーンシートの製造に用いた場合、比較例1及び2に比べて、凹凸欠陥の発生が抑制できることが示された。
実施例1~7の対比から、粒子含有層に含まれる非ポリエステル樹脂が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であれば、セラミックグリーンシートの凹凸欠陥をより抑制できた(実施例1~5)。
実施例3~5の対比から、粒子含有層のポリエステル基材とは反対側の表面の表面自由エネルギーが30~45mJ/mであれば、セラミックグリーンシートの凹凸欠陥をより抑制できた(実施例3及び4)。
実施例1、8~13、18及び19の対比から、粒子不含層に含まれる非ポリエステル樹脂が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であれば、セラミックグリーンシートの凹凸欠陥(評価1)をより抑制できた(実施例1、8~11、18及び19)。
実施例9~11の対比から、粒子不含層のポリエステル基材とは反対側の表面の表面自由エネルギーが30~45mJ/mであれば、セラミックグリーンシートの凹凸欠陥(評価2)をより抑制できた(実施例9及び10)。
実施例1及び実施例14~17の対比から、粒子含有層のポリエステル基材とは反対側の表面の最大突起高さSpが10~1500nmであれば、セラミックグリーンシートの凹凸欠陥をより抑制できた(実施例1、14~16)。
粒子不含層の形成にアクリル樹脂とウレタン樹脂とを併用した場合(実施例18及び19)、剥離層の局所突起数が0個であり(局所突起が確認できず)、特に良好であることが確認できた。
1:ポリエステルフィルム
12:粒子含有層
14:ポリエステル基材
16:粒子不含有層

Claims (14)

  1. 粒子を含む粒子含有層と、
    粒子を実質的に含まないポリエステル基材と、
    粒子を実質的に含まない粒子不含層と、をこの順に有し、
    前記粒子不含層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面に剥離層を形成して、剥離フィルムを製造するために用いられる、ポリエステルフィルムであって、
    前記粒子不含層が、ポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含む、ポリエステルフィルム。
  2. 前記剥離フィルムが、セラミックグリーンシート製造用の剥離フィルムである、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記粒子不含層に含まれる前記非ポリエステル樹脂が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記粒子含有層が、ポリエステル樹脂以外の非ポリエステル樹脂を含む、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記粒子含有層に含まれる前記非ポリエステル樹脂が、アクリル樹脂、ウレタン樹脂及びオレフィン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項4に記載のポリエステルフィルム。
  6. 光学干渉計を用いて、前記粒子不含層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面の異なる100箇所について1箇所当たりの測定面積186μm×155μmとして測定した場合、高さ50nmを超える突起の合計数が40個以下である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  7. 走査型電子顕微鏡を用いて、前記粒子含有層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面の異なる40箇所について1箇所当たりの測定面積13μm×10μmとして測定した場合、直径1μmを超える異物の合計数が2個以下である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  8. 前記粒子不含層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面の最大突起高さSpが1~30nmであり、かつ、
    前記粒子含有層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面の最大突起高さSpが10~1500nmである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  9. 前記粒子不含層の厚さ及び前記粒子含有層の厚さがそれぞれ、1~500nmである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  10. 前記粒子含有層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面の表面自由エネルギーが、30~45mJ/mである、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  11. 前記ポリエステルフィルムの厚さが40μm以下である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
  12. 請求項1又は2に記載のポリエステルフィルムと、前記粒子不含層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面に配置された剥離層と、を有する、剥離フィルム。
  13. 光学干渉計を用いて、前記剥離層の前記粒子不含層とは反対側の表面の異なる100箇所について1箇所当たりの測定面積186μm×155μmとして測定した場合、高さ50nmを超える突起の合計数が40個以下である、請求項12に記載の剥離フィルム。
  14. 前記粒子含有層の前記ポリエステル基材とは反対側の表面の最大突起高さSpが10~1500nmであり、かつ、
    前記剥離層の前記粒子不含層とは反対側の表面の最大突起高さSpが1~30nmである、請求項12に記載の剥離フィルム。
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