JP2023005987A - Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期耐食性すなわち耐赤錆性に優れたZn-Al-Mg系合金めっき鋼板およびその製造方法を提供する。【解決手段】Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板は、鋼板の少なくとも一方の表面に、Zn-Mg金属間化合物相がZn-Al-Mg系合金めっき層の表面全体に対する面積率で80%を超えて存在するZn-Al-Mg系合金めっき層を有する。その製造方法では、Zn-Al系合金めっき層を有するZn-Al系合金めっき鋼板のめっき層上に、MgまたはMg-Zn層を形成し、Zn-Al系合金めっき層の融点より低い温度で加熱する熱処理を行う。【選択図】なし

Description

本発明は、Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板に関し、特に、自動車、建築、土木、家電等の分野で利用される耐食性に優れたZn-Al-Mg系合金めっき鋼板とその製造方法に関するものである。
Zn-Al系合金めっき鋼板は、Znめっきに比べ優れた耐食性を有することから、従来より、自動車、建築、土木、家電等の分野で広く利用されてきた。このZn-Al系合金めっき鋼板としては、めっき層中のAl含有量が0.30質量%以下の溶融亜鉛めっき鋼板、同Al含有量が約5質量%の溶融亜鉛-5%アルミニウム合金めっき鋼板、同Al含有量が約55質量%の溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板が代表的である。一方で近年、耐食性を向上させる目的でZn-Al系合金めっきにMgが添加されており、種々のAl、Mg含有量および金属組織を有するZn-Al-Mg系合金めっき鋼板が開発されている。
例えば特許文献1には、Alを1.0~10質量%、Mgを0.2~1.0質量%含有した溶融Zn-Al系合金めっき層が、Zn-Al-MgZnの3元共晶を、めっき層断面で10~30面積%含有する溶融Zn-Al系合金めっき鋼板が開示されている。また特許文献2には、Alを4.0~10.0重量%、Mgを1.0~4.0重量%含有した溶融Zn-Al-Mg系めっき層が、Al/Zn/ZnMgの三元共晶組織の素地中に、初晶Al相または初晶Al相とZn単相が混在した金属組織を有する耐食性に優れた溶融Zn-Al-Mg系めっき鋼板が開示されている。特許文献3には、Alを3~15重量%、Mgを4~10重量%含有した溶融Zn-Al-Mgめっき層中に、ZnMg又は/およびZn11Mgの単相を粒径0.5μm以上の大きさで析出させることで、加工部耐食性および塗装端面部の耐食性を向上させたZn-Al-Mgめっき鋼材が開示されている。また特許文献4には、Alを4~15質量%、Mgを2~8質量%含有したZn-Al-Mg系めっき層中に含有されるMg-Zn系化合物がめっき層と地鉄との界面からめっき表層方向に柱状に成長して、めっき層表面における露出面積率が15~60%である、乾湿繰り返し環境下での耐食性に優れたZn-Al-Mg系めっき鋼板が開示されている。
特開2008-138285号公報 特開平10-306357号公報 特開2001-20050号公報 特開2010-100897号公報
このように、Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板は、ZnとMgの金属間化合物であるZnMgやZn11Mgが生成するため、優れた耐食性を示す。さらに特許文献3、4のように、ZnMgあるいはZn11Mgが三元共晶中に微細に分布して存在するのではなく、ある程度の大きさの単相でめっき層中に存在した方が、MgによるZnの腐食遅延効果が大きくなり、優れた耐食性を示すと考えられている。
しかし、特許文献3および4に記載されている従来技術では、以下のような課題があることが分かった。
特許文献3に記載のZn-Al-Mgめっき鋼材の製造方法では、めっき層中のZn-Mg合金単相の存在位置は制御できないため、めっき層表面でのZn-Mg合金単相の露出面積が少ない場合がある。この場合、腐食初期からMgによるZnの腐食遅延効果が十分に得られず、耐食性が劣ることになる。
一方、特許文献4に記載のZn-Al-Mg系めっき鋼板では、めっき層中に含有されるMg-Zn系化合物を、めっき層と地鉄との界面からめっき層の表面方向に柱状に形成させている。このMg-Zn系化合物は周囲よりも優先腐食するため、Mg-Zn系化合物が存在する領域では、早期に地鉄の腐食が進行し、赤錆が発生する。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、Zn-Mg金属間化合物の存在形態を制御することで長期耐食性すなわち耐赤錆性に優れたZn-Al-Mg系合金めっき鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するために、鋭意研究を行い、以下の知見を得た。
(1)Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板のめっき層の表面において、めっき層の表面全体に対するZn-Mg金属間化合物相の面積率が80%を超えると、優れた耐食性を示す。
(2)Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相の厚み方向断面における平均厚みが0.5μm以上であれば、耐食性はさらに向上する。
(3)Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相中にAlを固溶させることで、耐食性はさらに向上する。
(4)Zn-Al-Mg系合金めっき層の地鉄/めっき界面から厚み方向1/2までの下部めっき層中のAl濃度がめっき層全体のAl濃度の1.5倍以上であると、耐食性がさらに向上する。
(5)Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面にZn-Mg金属間化合物相を、めっき層表面全体に対する面積率で80%を超えて存在させる方法として、Zn-Al系合金めっき鋼板のめっき層上にMgまたはMg―Zn層を形成し、熱処理を行う方法が好ましい。
(6)Zn-Al系合金めっき層の表面に、0.5g/m以上のMgまたはMg―Zn層を形成し、前記Zn-Al系めっき層の融点より低い温度で熱処理を施すと、めっき層の表面にZn-Mg金属間化合物相を、めっき層の表面全体に対する面積率で80%を超えて存在させやすくなり、好ましい。
本発明の要旨は、以下の構成から成る。
[1]鋼板の少なくとも一方の表面にZn-Al-Mg系合金めっき層を有するZn-Al-Mg系合金めっき鋼板であって、
前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相の前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面全体に対する面積率が80%超えであることを特徴とする、Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
[2]前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相は、Alが固溶したZnMgおよび/またはAlが固溶したZn11Mgを主成分とし、厚み方向断面において平均厚みが0.5μm以上であることを特徴とする、[1]に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
[3]前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の、地鉄/めっき界面から厚み方向1/2までの下部めっき層中のAl濃度が、めっき層全体のAl濃度の1.5倍以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
[4]前記Zn-Al-Mg系合金めっき層は、Alを0.1~70質量%含有することを特徴とする、[1]~[3]のいずれかに記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
[5]前記Zn-Al-Mg系合金めっき層は、さらにNiを0.005~0.1質量%含有することを特徴とする、[4]に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
[6]Zn-Al系合金めっき層を有するZn-Al系合金めっき鋼板の前記Zn-Al系合金めっき層上に、MgまたはMg-Zn層を形成し、前記Zn-Al系合金めっき層の融点より低い温度で加熱する熱処理を行うことを特徴とする、Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
[7]前記MgまたはMg-Zn層の付着量は、片面当たり0.5g/m以上であることを特徴とする、[6]に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
[8]前記Zn-Al系合金めっき層は、Alを0.1~70質量%、Mgを0~10質量%含有することを特徴とする、[6]または[7]に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
[9]前記Zn-Al系合金めっき層は、さらにNiを0.005~0.1質量%含有することを特徴とする、[8]に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
本発明によれば、長期耐食性すなわち耐赤錆性に優れたZn-Al-Mg系合金めっき鋼板を提供することができる。本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板は、自動車用途、家電用途、建材用途など、様々な用途に好適である。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明は、本発明の好適な一実施態様を示すものであり、本発明は、以下の説明によって何ら限定されるものではない。
本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板は、少なくとも一方の表面にZn-Al-Mg系合金めっき層を有する。本発明におけるZn-Al-Mg系合金めっき層の付着量は、優れた耐食性を得るために、片面あたり10g/m以上が好ましい。より好ましくは60g/m以上である。
本発明におけるZn-Al-Mg系合金めっき層は、Zn、Al、Mgおよび不可避的不純物からなり、さらにめっき層の表面において、Zn-Mg金属間化合物相が、めっき層の表面全体に対する面積率で80%を超えて存在していることを特徴とする。以下、その限定理由について説明する。
Zn-Mg金属間化合物は電気化学的に活性な金属であるZnとMgの合金であり、腐食環境下においては優先的に溶解反応が生じる。溶出したMgイオンは主に保護性の高い腐食生成物である塩基性塩化亜鉛中に取り込まれる。その結果、塩基性塩化亜鉛は安定化され、その後の腐食の進行を抑制する効果を発揮する。さらに溶出したMgは腐食環境下において、Mg(OH)とMgイオンとして存在し、これらの共存により、酸、アルカリいずれに対してもpH緩衝効果を示すという作用を有するため、腐食はより遅延される。
本発明者らは、Zn-Mg金属間化合物相の、めっき層の表面全体に対する面積率が80%超えであると、耐食性が著しく向上することを見出した。なお、ここでの耐食性とは、めっき鋼板の端面を除く平面部における耐食性のことを言う。ここでは、Zn-Mg金属間化合物相とは、ZnMgおよび/またはZn11Mgを主成分とし、さらにはZnMgや、ZnMg、Mg32(AlZn)49などのAlや不可避成分を含有する金属間化合物も含むものとする。なお、主成分とは、Zn-Mg金属間化合物相中のZnMgおよび/またはZn11Mgの含有量が、合計で60質量%以上であることを意味する。また、Zn/Al/ZnMg三元共晶組織やZn/Al二元共晶組織の中に含まれる微細なZn-Mg金属間化合物は除くものとする。Zn-Mg金属間化合物相の、めっき層の表面全体に対する面積率が80%超えであると、前述のMgイオンによる塩基性塩化亜鉛の安定化効果やpH緩衝効果が、腐食初期からめっき層のほぼ全面において発揮されるため、腐食はめっき鋼板のほぼ全面で均一に抑制される。以上の効果により、本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板においては、めっき層の表面全体に対するZn-Mg金属間化合物相の面積率は80%超えとする。より好ましくは90%以上である。
また本発明者らは、めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相が、めっき層の厚み方向断面における平均厚みが0.5μm以上であり、さらにZn-Mg金属間化合物相が、Alが固溶したZnMgおよび/またはAlが固溶したZn11Mgを主成分としているとより優れた耐食性を得られることを見出した。Zn-Mg金属間化合物相は、後述するが、めっき層上にMgまたはMg-Zn層を形成し、熱処理を行うことで、めっき層中のZnとめっき層上に形成したMgまたはMg-Zn層中のMgを相互拡散させて形成することができ、その場合、熱力学的安定性の高いZnMgおよびZn11Mgが主に生成する。ZnMg合金やZnMg合金に比べ、ZnMgおよびZn11Mg合金の方が高い耐食性を有することからも、これらの相を主成分とするのが好ましい。
Zn-Mg金属間化合物相のめっき層の厚み方向断面における平均厚みが0.5μm以上であれば、前述のMgイオンによる塩基性塩化亜鉛の安定化効果やpH緩衝効果が持続される期間が長くなり、腐食がより遅延されるため、優れた耐食性を示すことができる。好ましくは3.0μm以上、より好ましくは6.0μm以上である。
さらに、めっき層の表面に存在しているZn-Mg金属間化合物相中にAlが固溶していると、Zn-Mg金属間化合物相の腐食の進行に伴い、Alが表面に露出した際に、表面に緻密で難溶性の不動態皮膜が生成し、バリア効果を発現するために、耐食性がさらに向上する。なおAl固溶量の上限は固溶限によって決まる。Alの固溶量が固溶限を超えると、Alを主成分とした合金相が形成され、Zn-Mg金属間化合物相のめっき層の表面での面積率が低下してしまう。また上述の効果を得るために、Zn-Mg金属間化合物相中のAlの固溶量は0.1質量%以上が好ましい。
また本発明者らは、めっき層において、地鉄/めっき界面(鋼板とめっき層との界面)からめっき層の厚み方向1/2までの下部めっき層中のAl含有量が、めっき層全体のAl濃度の1.5倍以上であると、耐食性がさらに向上することを見出した。これは、めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相がすべて腐食した後でも、めっき下部のAl濃度が高いと、緻密で強固なAlの不動態皮膜によるバリア効果が持続的に発揮されるためである。
上記のように、めっき層の表面に存在しているZn-Mg金属間化合物相は、後述するが、Zn-Al系合金めっき層を有するZn-Al系合金めっき鋼板のめっき層上に、MgまたはMg-Zn層を形成し、熱処理を行うことで、前記Zn-Al系合金めっき層中のZnと前記MgまたはMg-Zn層中のMgを相互拡散させて形成することができる。一般にはZnはMgに比べて融点が低く、原子半径も小さいため、ZnがMg中に拡散する速度の方が、MgがZn中に拡散する速度よりも速いため、Zn比率の低いZnMgが生成した後にZn比率の高いZn11Mgが生成する。Mg付着量が少ない場合には、MgまたはMg-Zn層がほぼ全てZn11Mgにまで拡散変態するが、Mg付着量が増加するほど、拡散層の厚みが増加し、Zn11Mgにまで完全に拡散変態するのに要する時間は長くなる。そのため、加熱時間が同じ場合で比較すると、Mg付着量が多いほど、MgまたはMg-Zn層中でのZnMgの比率が増加する。また、Mg付着量が同じ場合、加熱温度が低く、熱処理時間が短いほど、MgまたはMg-Zn層中へのZn拡散量が少なくなるため、MgまたはMg-Zn層中のZnMgの比率が増加する。反対に、加熱温度が高く、熱処理時間が長いほど、MgまたはMg-Zn層中へのZn拡散量が多くなるため、MgまたはMg-Zn層中のZn11Mgの比率が増加する。したがって、形成されたZn-Mg金属間化合物相は、めっき層側にZn11Mgが存在し、表面側にZnMgが存在する構成となる。また、熱処理時には、めっき層中のAlはめっき層下部に濃縮する。このとき、加熱温度が高く、熱処理時間が長いほどAlの濃縮度は高くなる。
また本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板のめっき層中のAl含有量は0.1~70質量%とすることが好ましい。Al含有量が0.1質量%以上ではZn-Mg金属間化合物相中にAlが固溶するため、耐食性がさらに向上する。より好ましくは2.5質量%以上とする。一方で、Al含有量が70質量%を超えると、めっき層中のZnの地鉄に対する犠牲防食作用が低下するため、赤錆が発生しやすくなり、耐食性が低下する恐れがある。より好ましくは60質量%以下である。
また本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板のめっき層中には、耐黒変性を向上させる目的でNiを含有してもよい。Niを含有する場合は、めっき層中のNi含有量は0.005~0.1質量%とすることが好ましい。Ni含有量が0.005質量%未満では、優れた耐黒変性が得られない。一方で、Ni含有量が0.1質量%を超えると、後述するが、MgまたはMg-Zn層を形成する前のZn-Al系合金めっき層を形成する際に、めっき浴にNiを含有するAl系ドロスが発生し、ドロス付着により、めっき外観が損なわれる恐れがあるので好ましくない。
本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板は、Zn-Al系合金めっき層を有するZn-Al系合金めっき鋼板の前記Zn-Al系合金めっき層上に、MgまたはMg-Zn層を形成し、さらに前記Zn-Al系合金めっき層の融点より低い温度で熱処理を施すことにより製造される。
本発明の鋼板に関しては特に限定されず、冷延鋼板や熱延鋼板を用いることができる。
MgまたMg-Zn層を形成する前のZn-Al系合金めっき鋼板のめっき層は、Al:0.1~70質量%、Mg:0~10質量%を含有することが好ましい。また、前記成分以外の残部がZnおよび不可避的不純物からなることが好ましい。Zn-Al系合金めっき鋼板のめっき層は、Zn相、Zn/Al共晶を含有する。また、Zn-Al系合金めっき鋼板のめっき層がMgを含む場合、該めっき層は、Zn相、Zn/Al共晶、Zn/Al/ZnMg三元共晶を含有する。
MgまたはMg-Zn層を形成する前のZn-Al系合金めっき鋼板のめっき層中のAl含有量は0.1~70質量%であることが好ましい。より好ましくは2.5質量%以上とする。Al含有量の上下限の設定理由については上述の通りである。さらに、Alが70質量%を超えると、めっき浴中にAlを主成分としたトップドロスが発生しやすくなり、めっき外観を損なうという問題も生じるため、上限は70%が好ましい。
上記Zn-Al系合金めっき鋼板のめっき層は、Mgを含有してもよい。この場合、Mg含有量の上限は、10質量%とすることが好ましい。10質量%を超えると、ドロスの発生が顕著となり、めっき外観が劣化するため、10質量%を上限とすることが好ましい。
上記Zn-Al系合金めっき鋼板のめっき層はさらにNiを含有してもよい。この場合、Ni含有量は0.005~0.1質量%とすることが好ましい。Ni含有量の上下限の設定理由は上述の通りである。
本発明において、Zn-Al系合金めっき層上にMgまたはMg-Zn層を形成するにあたり、形成方法は、真空蒸着法、熱蒸発法、電磁浮揚誘導加熱蒸発法、スパッタリング法、電子ビーム蒸発法、イオンプレーティング法、または電磁浮揚物理気相蒸着法などいずれの方法をも選択できる。
本発明ではZn-Al系合金めっき層上にMgまたはMg-Zn層を形成する場合、MgまたはMg-Zn層の片面当たりの付着量は、0.5g/m以上が好ましい。MgまたはMg-Zn層の付着量は片面当たり0.5~10g/mであるのが好ましい。前記付着量が0.5g/m以上であればめっき層表面にZn-Mg金属間化合物相を、表面面積率80%超えで存在させやすくなる。前記付着量は、好ましくは2g/m以上、より好ましくは4g/m以上である。また、Mg-Zn層中のMg含有量は10質量%以上であることが好ましい。また、Mg-Zn層中のMg付着量が片面当たり0.5g/m以上となるようにMg-Zn層を形成することが好ましい。
本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板はZn-Al系合金めっき鋼板にMgまたはMg-Zn層を形成した後、前記Zn-Al系めっき層の融点より低い温度で加熱する熱処理を行う。ここでの融点とは、加熱した際に液相が出現する温度のことを言う。めっき層の融点より低い温度で熱処理を施すと、めっき層中のZn相又はZn/Al共晶中のZnとめっき層上に形成したMgまたはMg-Zn層中のMgとの相互拡散による固相変態が起こり、めっき層の表面においてZn-Mg金属間化合物相が形成される。また、めっき層の融点より低い温度で熱処理を行うことにより、前記Zn-Mg金属間化合物相中にAlが固溶され、より高い耐食性を有するZn-Al-Mg系合金めっき鋼板を得ることができる。
めっき層の融点以上の温度で加熱した場合は、液相が出現し、Zn-Mg金属間化合物相がめっき層内部に形成してしまうため、Zn-Mg金属間化合物相のめっき層の表面全体に対する面積率が80%超えとなる構造が得られなくなる。このため、熱処理温度はめっき層の融点より低い温度とする。一般にはAl:0.1~15質量%、Mg:0.5~10質量%の組成のZn-Al系合金めっき層の融点は340℃~420℃である。また、Al:50~70質量%、Mg:0~0.5質量%の組成のZn-Al系合金めっき層の融点は550~600℃である。一方で熱処理温度が240℃よりも低いと、ZnとMgの拡散が不十分、かつ長時間の熱処理を要してしまうため、熱処理温度は240℃以上とすることが好ましい。より好ましくは280℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。
熱処理における加熱方法は、特に限定されないが加熱炉を用いるのが好ましい。また、熱処理時間に関しても特に限定されないが、板温が目標温度に到達し、目標温度で保持する時間も考慮すると、炉に投入してから取り出すまでの時間は10分以上とするのが好ましい。また、めっき層中のMg、Alの酸化を抑制するために、N、Ar等の不活性ガス雰囲気下で加熱してもよい。
加熱後の冷却についても、特に限定されず、空冷、金型による冷却、ガス冷却、ミスト冷却などいずれの方法も選択できる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。下記の実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の要旨構成の範囲内で適宜変更することは、本発明の範囲に含まれるものとする。
鋼板表面に表1に示す組成および付着量となるように溶融Zn-Al系合金めっき層(ただし、No.12は、Alを含有しない溶融Zn系合金めっき層)を形成した。上記めっき層上に、真空蒸着法によって表1に示す量のMgまたはMg-Zn層を形成し、加熱炉を用いて表1に示す所定の温度および時間で熱処理を施すことで、Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板を作製した(ただし、No.12は、Alを含有しないZn-Mg系合金めっき鋼板)。
作製しためっき鋼板の任意の位置から20mmx20mmのサイズで10サンプルを採取し、薄膜X線回折法でZn-Mg金属間化合物相を同定した。次に、各サンプル表面について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、加速電圧15kVで、125μmx95μmの視野の反射電子像(BSE像)を取得するとともに、同エリアについてSEM-EDX面分析を行い、BSE像内のZn-Mg金属間化合物相を識別した。次に、画像解析ソフトを用いて、Zn/Al/ZnMg三元共晶中のZnMgを除く、Zn-Mg金属間化合物の面積率(めっき層の表面全体に対する面積率)を算出し、3視野×10サンプルの平均値をZn-Mg金属間化合物の面積率とした。
続いて、表面観察した10サンプルについて、樹脂断面埋め込み研磨を行い、加速電圧15kVで、幅50μmのBSE像を取得するとともに、同エリアについてSEM-EDX面分析を行い、BSE像内のZn-Mg金属間化合物相を識別し、Zn-Mg金属間化合物相の厚み(めっき層の厚み方向断面における厚み)を10点測り、3視野×10サンプルの平均値をZn-Mg金属間化合物相の厚みとした。
またZn-Mg金属間化合物相中のAl固溶量は、上記断面BSE像の1視野内のZn-Mg金属間化合物相の内、任意の30μm幅の領域に対し、SEM-EDX面分析よりAl濃度を求め、3視野×10サンプルのAl濃度の平均値をAl固溶量とした。めっき層全体のAl濃度に対する地鉄/めっき界面から厚み方向1/2までの下部めっき層中のAl濃度の比率は、以下のように算出した。
まず、上記断面BSE像の1視野内で、およそ10μmの間隔で12箇所について地鉄/めっき界面と表層(表面)を結ぶ垂線を引き、それぞれの垂線の中点を線で結ぶ。この線より下のめっき層を下部めっき層と定義する。めっき層の内、任意の場所において、30μm幅で下部めっき層およびめっき層全体についてそれぞれSEM-EDX面分析を行い、下部めっき層とめっき層のAl濃度を求め、めっき層全体のAl濃度に対する下部めっき層中のAl濃度の比率を算出した。前記処理を3視野×10サンプル行い、その平均値を下部Al濃縮度(めっき層全体のAl濃度に対する、地鉄/めっき界面から厚み方向1/2までの下部めっき層中のAl濃度の比)とした。
(1)耐食性
作製しためっき鋼板から150mm×50mmサイズのサンプルを切り出し、端面および裏面をテープシールしたのち、JIS Z 2371規格に従って塩水噴霧試験を行い、表面に赤錆が発生した時間を以下の判定基準で評価した。
<判定基準>
◎:赤錆発生時間4000時間以上
〇:赤錆発生時間3500時間以上4000時間未満
〇-:赤錆発生時間3000時間以上3500時間未満
〇=:赤錆発生時間2500時間以上3000時間未満
△:赤錆発生時間2000時間以上2500時間未満
×:赤錆発生時間2000時間未満
(2)耐黒変性
作製しためっき鋼板から切り出した50mm×50mmサイズのサンプルを温度:80℃、相対湿度:98%の雰囲気に制御した恒温恒湿槽に24時間静置する試験を行った際の明度(L値)の変化(ΔL=試験後のL値―試験前のL値)と、目視による外観観察により、以下の判定基準で評価した。L値は、日本電色工業(株)製のSR2000を使用し、SCIモード(正反射光を含む)で測定した。
<判定基準>
〇:-10<ΔL、かつ、ムラが無い均一な外観
〇-:-14<ΔL≦-10、かつ、ムラが無い均一な外観
△:-14<ΔL≦-10、かつ、軽微なムラのある外観
×:ΔL≦―14、または、顕著にムラのある外観
(3)外観
作製しためっき鋼板から切り出した230mm×350mmサイズのサンプルに対し、目視により、不めっき、めっき剥離、ヤケ、亀裂などの欠陥部の数をカウントし、以下の判定基準で評価した。
<判定基準>
〇:欠陥部なし
〇-:欠陥部1~2か所
△:欠陥部3~10か所
×:欠陥部11か所以上
Figure 2023005987000001
Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面において、Zn-Mg金属間化合物相が表面面積率80%超えで存在していると、優れた耐食性を示す。さらに、Zn-Mg金属間化合物相が厚み方向断面において、平均厚み0.5μm以上であり、さらにAlを固溶していると、耐食性はさらに向上する。また、地鉄/めっき界面から厚み断面方向1/2までの下部めっき層中のAl濃度がめっき層全体のAl濃度の1.5倍以上であると、耐食性がさらに向上する。
本発明のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板は、耐食性に優れ、自動車、電機、建材など幅広い分野に適用可能である。

Claims (9)

  1. 鋼板の少なくとも一方の表面にZn-Al-Mg系合金めっき層を有するZn-Al-Mg系合金めっき鋼板であって、
    前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相の前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面全体に対する面積率が80%超えであることを特徴とする、Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
  2. 前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の表面に存在するZn-Mg金属間化合物相は、Alが固溶したZnMgおよび/またはAlが固溶したZn11Mgを主成分とし、厚み方向断面において平均厚みが0.5μm以上であることを特徴とする、請求項1に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
  3. 前記Zn-Al-Mg系合金めっき層の、地鉄/めっき界面から厚み方向1/2までの下部めっき層中のAl濃度が、めっき層全体のAl濃度の1.5倍以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
  4. 前記Zn-Al-Mg系合金めっき層は、Alを0.1~70質量%含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
  5. 前記Zn-Al-Mg系合金めっき層は、さらにNiを0.005~0.1質量%含有することを特徴とする、請求項4に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板。
  6. Zn-Al系合金めっき層を有するZn-Al系合金めっき鋼板の前記Zn-Al系合金めっき層上に、MgまたはMg-Zn層を形成し、前記Zn-Al系合金めっき層の融点より低い温度で加熱する熱処理を行うことを特徴とする、Zn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
  7. 前記MgまたはMg-Zn層の付着量は、片面当たり0.5g/m以上であることを特徴とする、請求項6に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
  8. 前記Zn-Al系合金めっき層は、Alを0.1~70質量%、Mgを0~10質量%含有することを特徴とする、請求項6または7に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
  9. 前記Zn-Al系合金めっき層は、さらにNiを0.005~0.1質量%含有することを特徴とする、請求項8に記載のZn-Al-Mg系合金めっき鋼板の製造方法。
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