JP2023005479A - チェーンテンショナ - Google Patents

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Abstract

【課題】オイル消費量が少なく、かつ、チェックバルブのプランジャからの脱落を防止することが可能なチェーンテンショナを提供する。【解決手段】シリンダ側給油孔36と給油溝31とプランジャ側給油孔37とを有し、チェックバルブ15は、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端に隙間嵌めされ、リターンスプリング24は、チェックバルブ15をプランジャ10に押し付けるように圧力室17に組み込まれているチェーンテンショナにおいて、抜け止めリング収容溝50に、プランジャ10の外周を弾性的に締め付ける抜け止めリング51が収容され、プランジャ10の外周のうち、給油溝31よりもプランジャ10のシリンダ9からの突出端の側にずれた位置に抜け止めリング係合溝52が形成されている。【選択図】図2

Description

この発明は、チェーンの張力保持に用いられるチェーンテンショナに関する。
自動車等のエンジンに使用されるチェーン伝動装置として、例えば、クランクシャフトの回転をカムシャフトに伝達するものや、クランクシャフトの回転をオイルポンプやウォーターポンプやスーパーチャージャー等の補機に伝達するものや、クランクシャフトの回転をバランサシャフトに伝達するものや、ツインカムエンジンの吸気カムと排気カムを互いに連結するものなどがある。これらのチェーン伝動装置のチェーンの張力を適正範囲に保つために、チェーンテンショナが使用される。
このような用途に使用されるチェーンテンショナとして、本願の発明者は、既に、特許文献1に記載のものを提案している。特許文献1のチェーンテンショナは、軸方向の一端を閉塞端とし、軸方向の他端を開口端とする筒状のシリンダと、シリンダに軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャと、プランジャをシリンダから突出する方向に付勢するリターンスプリングとを有する。
プランジャは、シリンダ内への挿入端が開口し、シリンダからの突出端が閉塞した筒状に形成されている。プランジャのシリンダ内への挿入端にはチェックバルブが設けられ、そのチェックバルブによって、シリンダとプランジャとで囲まれる空間が、チェックバルブとプランジャとで囲まれた貯留室と、プランジャの軸方向移動に応じて容積が変化するようにチェックバルブとシリンダの閉塞端との間に形成された圧力室とに区画されている。
貯留室には、シリンダの外側から供給されるオイルを導入する給油通路が接続されている。給油通路は、シリンダの内周に開口するようにシリンダに形成されたシリンダ側給油孔と、そのシリンダ側給油孔と連通するようにプランジャの外周に形成された環状の給油溝と、その給油溝から貯留室にオイルを導入するようにプランジャを径方向に貫通して形成されたプランジャ側給油孔とで構成されている。
この特許文献1のチェーンテンショナは、エンジン作動中にチェーンの張力が大きくなると、そのチェーンの張力によって、プランジャがシリンダ内に押し込まれる方向(以下、「押し込み方向」という)に移動し、チェーンの緊張を吸収する。このとき、圧力室のオイルが、プランジャのシリンダ内への挿入端の外周に設けられた円筒面とシリンダの内周との間に形成されたリーク隙間を通って流出し、そのオイルの粘性抵抗によってダンパ力が発生するので、プランジャはゆっくりと移動する。
一方、エンジン作動中にチェーンの張力が小さくなると、リターンスプリングの付勢力によって、プランジャがシリンダから突出する方向(以下、「突出方向」という)に移動し、チェーンの弛みを吸収する。このとき、チェックバルブが開き、貯留室から圧力室内にオイルが流入するので、プランジャは速やかに移動する。
ここで、プランジャがチェーンの張力に応じて押し込み方向に移動するとき、圧力室からリーク隙間を通ってリークしたオイルが給油通路に戻り、循環するので、チェーンテンショナから外部に排出されるオイルの量が少なく、チェーンテンショナでのオイル消費量を抑えることが可能となっている。
特開2020-153383号公報
ところで、チェーンテンショナは、内装式のテンショナと、外装式のテンショナとに大別される。内装式のテンショナは、エンジン壁面に取り付けられ、その全体をエンジンカバーで覆った状態で使用されるタイプのものである。一方、外装式のテンショナは、エンジンカバーを貫通して形成されたテンショナ取り付け孔に、プランジャのシリンダから突出する方向がエンジンカバーの内側を向く状態で挿入して取り付けられるタイプのものである。内装式のテンショナは四輪車で多く用いられ、外装式のテンショナは二輪車で多く用いられる。
また、オーバーホールや修理の際に、チェーンテンショナを取り外すことがある。そして、チェーンテンショナを取り外すとき、内装式のテンショナにおいては、まずエンジンカバーを取り外し、チェーンテンショナの全体が露出した状態で、チェーンテンショナをエンジン壁面から取り外すので、チェーンテンショナを取り外すときに、プランジャのシリンダからの突出部分を手などで支えることが可能であり、プランジャがシリンダから脱落するという問題は生じにくい。
これに対し、外装式のテンショナにおいては、チェーンテンショナを取り外すとき、チェーンテンショナをエンジンカバーのテンショナ取り付け孔から抜き出す。このとき、プランジャのシリンダからの突出方向をエンジンカバーの内側に向けた状態でチェーンテンショナを抜き出すので、プランジャのシリンダからの突出部分を手などで支えることができず、プランジャがシリンダから脱落するおそれがある。特に、プランジャのシリンダからの突出方向が水平よりも下向きとなる姿勢でチェーンテンショナが取り付けられる場合、チェーンテンショナを取り外すときに、プランジャがシリンダから脱落しやすい。
特許文献1のチェーンテンショナは、内装式のテンショナなので、上述のとおり、プランジャがシリンダから脱落する問題は生じにくい。ここで、本願の発明者は、特許文献1のチェーンテンショナを外装式として使用することを想定し、特許文献1のチェーンテンショナのプランジャをシリンダから抜け止めすることを検討した。
すなわち、本願の発明者は、特許文献1のチェーンテンショナを取り外すときに、プランジャがシリンダから脱落するのを防止するため、特許文献1のチェーンテンショナのシリンダの開口端の内周に抜け止めリング収容溝を形成し、その抜け止めリング収容溝に、プランジャの外周を弾性的に締め付ける抜け止めリングを収容し、その抜け止めリングをプランジャの外周の給油溝に係合させることで、プランジャをシリンダから抜け止めする構成を検討した。
しかしながら、特許文献1のチェーンテンショナにおいて、上記構成によりプランジャをシリンダから抜け止めした場合、プランジャが最突出位置まで移動したときに、プランジャのシリンダ内への挿入端に設けられたチェックバルブが、プランジャから脱落するおそれがあることが分かった。
すなわち、プランジャがシリンダから突出する方向に移動したとき、そのプランジャの移動に応じてリターンスプリングは伸長する。そして、プランジャが最突出位置(抜け止めリングとプランジャの外周の給油溝との係合によってプランジャの突出方向の移動が阻止される位置)まで移動したとき、リターンスプリングを収容する圧力室の軸方向長さが、リターンスプリングの自由長よりも長くなる可能性がある。
一方、特許文献1のチェーンテンショナでは、チェックバルブをプランジャのシリンダ内への挿入端に取り付けるに際し、チェックバルブを圧入するのではなく、隙間嵌めするようにしている。そして、チェーンの張力変動に応じてプランジャが軸方向移動するときに、チェックバルブがそのプランジャと一体に軸方向移動するようにするため、圧力室内のリターンスプリングでチェックバルブをプランジャに押し付けるようにしている。
そのため、プランジャが最突出位置まで移動したときに、リターンスプリングを収容する圧力室の軸方向長さが、リターンスプリングの自由長よりも長くなると、リターンスプリングのチェックバルブに対する押圧力が無くなり、チェックバルブがプランジャのシリンダ内への挿入端から脱落するおそれがあることが分かった。
チェックバルブがいったんプランジャから脱落してしまうと、その後、作業者がチェックバルブをプランジャに組み付け直す際に、チェックバルブの組み付け方向を誤るなどの問題が生じる可能性がある。
この発明が解決しようとする課題は、オイル消費量が少なく、かつ、チェックバルブのプランジャからの脱落を防止することが可能なチェーンテンショナを提供することである。
上記課題を解決するため、この発明では、以下の構成のチェーンテンショナを提供する。
軸方向の一端を閉塞端とし、軸方向の他端を開口端とする筒状のシリンダと、
前記シリンダに軸方向に摺動可能に挿入され、前記シリンダ内への挿入端が開口し、前記シリンダからの突出端が閉塞した筒状のプランジャと、
前記プランジャの前記シリンダ内への挿入端に設けられたチェックバルブと、
前記チェックバルブと前記プランジャとで囲まれた貯留室と、
前記プランジャの軸方向移動に応じて容積が変化するように前記チェックバルブと前記シリンダの閉塞端との間に形成された圧力室と、
前記シリンダの内周に開口するように前記シリンダに形成されたシリンダ側給油孔と、
前記シリンダ側給油孔と連通するように前記プランジャの外周に形成された環状の給油溝と、
前記給油溝から前記貯留室にオイルを導入するように前記プランジャを径方向に貫通して形成されたプランジャ側給油孔と、
前記プランジャの前記シリンダ内への挿入端の外周に設けられた円筒面と前記シリンダの内周との間に形成されたリーク隙間と、
前記プランジャを前記シリンダから突出する方向に付勢するリターンスプリングと、を有し、
前記チェックバルブは、前記プランジャの前記シリンダ内への挿入端に隙間嵌めされ、
前記リターンスプリングは、前記チェックバルブを前記プランジャに押し付けるように前記圧力室に組み込まれているチェーンテンショナにおいて、
前記シリンダの内周に形成した抜け止めリング収容溝に、前記プランジャの外周を弾性的に締め付ける抜け止めリングが収容され、
前記プランジャの外周のうち、前記給油溝よりも前記プランジャの前記シリンダからの突出端の側にずれた位置に、前記抜け止めリングに係合して前記プランジャを前記シリンダから抜け止めする抜け止めリング係合溝が形成されていることを特徴とするチェーンテンショナ。
このようにすると、圧力室からリーク隙間を通ってリークしたオイルが、プランジャの外周の給油溝に戻り、循環するので、チェーンテンショナから外部に排出されるオイルの量が少なく、チェーンテンショナでのオイル消費量を抑えることが可能である。
また、プランジャをシリンダから抜け止めするために、抜け止めリングをプランジャの外周の給油溝に係合させるのではなく、その給油溝よりもプランジャのシリンダからの突出端の側にずれた位置に別個に設けた抜け止めリング係合溝に係合させる構成を採用しているので、プランジャが最突出位置まで移動したときに、リターンスプリングが自由長になるまで伸長するのを防止することができる。そのため、チェーンテンショナを取り外すときに、プランジャが最突出位置に移動しても、リターンスプリングのチェックバルブに対する押圧力が無くなるのを防止することができ、チェックバルブがプランジャのシリンダ内への挿入端から脱落するのを防止することが可能である。
前記抜け止めリング係合溝が前記抜け止めリングに係合する位置まで前記プランジャが前記シリンダから突出する方向に移動したときの前記圧力室の軸方向長さが前記リターンスプリングの自由長よりも短い構成を採用すると好ましい。
このようにすると、プランジャが最突出位置まで移動したときに、リターンスプリングが自由長になるまで伸長するのを確実に防止することができ、チェックバルブのプランジャからの脱落を確実に防止することが可能となる。
前記抜け止めリング係合溝は、抜け止めリング係合溝の溝底から前記プランジャの前記シリンダ内への挿入端の側に立ち上がる挿入端側の溝側面と、抜け止めリング係合溝の溝底から前記プランジャの前記シリンダからの突出端の側に立ち上がる突出端側の溝側面とを有し、
前記挿入端側の溝側面の立ち上がり角度は50°~80°の範囲に設定され、
前記突出端側の溝側面の立ち上がり角度は10°~30°の範囲に設定されている構成を採用すると好ましい。
このようにすると、プランジャの外周の抜け止めリング係合溝の突出端側の溝側面の立ち上がり角度が30°以下に設定されているので、その突出端側の溝側面が軸方向に移動して抜け止めリングに当接したときに、突出端側の溝側面に作用する分力によって抜け止めリングを径方向外方に押圧して拡径させることができる。そのため、チェーンテンショナを組み立てるときに、作業者が抜け止めリングを手で拡径させる等の操作をすることなしに、プランジャをシリンダに挿入することができ、チェーンテンショナを容易に組み立てることが可能である。また、プランジャの外周の抜け止めリング係合溝の挿入端側の溝側面の立ち上がり角度が50°以上に設定されているので、その挿入端側の溝側面が軸方向に移動して抜け止めリングに当接したときに、抜け止めリングが拡径変形するのが防止され、挿入端側の溝側面を抜け止めリングで確実に受け止めることができる。そのため、チェーンテンショナを取り外すときに、プランジャがシリンダから脱落するのを確実に防止することが可能である。
前記給油溝は、給油溝の溝底から前記プランジャの前記シリンダからの突出端の側に立ち上がるテーパ面を有し、
前記テーパ面の立ち上がり角度は10°~30°の範囲に設定されている構成を採用すると好ましい。
このようにすると、給油溝の溝底からプランジャのシリンダからの突出端の側に立ち上がるテーパ面の立ち上がり角度が30°以下に設定されているので、そのテーパ面が軸方向に移動して抜け止めリングに当接したときに、テーパ面に作用する分力によって抜け止めリングを径方向外方に押圧して拡径させることができる。そのため、チェーンテンショナを組み立てるときに、作業者が抜け止めリングを手で拡径させる等の操作をすることなしに、プランジャをシリンダに挿入することができ、チェーンテンショナを容易に組み立てることが可能である。
この発明は、前記シリンダの外周には、エンジンカバーを貫通して形成されたテンショナ取り付け孔に前記シリンダを挿入した状態で前記エンジンカバーの外面に固定されるフランジ部が形成されているテンショナ(すなわち、外装式のテンショナ)に好適に適用することができる。
この発明のチェーンテンショナは、圧力室からリーク隙間を通ってリークしたオイルが、プランジャの外周の給油溝に戻り、循環するので、チェーンテンショナから外部に排出されるオイルの量が少なく、チェーンテンショナでのオイル消費量が少ない。また、プランジャをシリンダから抜け止めするために、抜け止めリングをプランジャの外周の給油溝に係合させるのではなく、その給油溝よりもプランジャのシリンダからの突出端の側にずれた位置に別個に設けた抜け止めリング係合溝に係合させる構成を採用しているので、プランジャが最突出位置(抜け止めリングとプランジャの外周の抜け止めリング係合溝との係合によってプランジャの突出方向の移動が阻止される位置)まで移動したときに、リターンスプリングが自由長になるまで伸長するのを防止することができる。そのため、チェーンテンショナを取り外すときに、プランジャが最突出位置に移動しても、リターンスプリングのチェックバルブに対する押圧力が無くなるのを防止することができ、チェックバルブがプランジャのシリンダ内への挿入端から脱落するのを防止することが可能である。
この発明の第1実施形態のチェーンテンショナを組み込んだチェーン伝動装置を示す図 図1のII-II線に沿った断面図 図2に示すチェーンテンショナの初期セット状態を示す断面図 図3のIV-IV線に沿った断面図 図3のV-V線に沿った断面図 図3の抜け止めリングの近傍の拡大図 図3の抜け止めリング係合溝の近傍の拡大図 図2に示すチェーンテンショナが最突出位置まで移動し、抜け止めリングが抜け止めリング係合溝に係合した状態を示す断面図 図8の抜け止めリングの近傍の拡大図 この発明の第2実施形態のチェーンテンショナを水平に見た状態を示す図 図10のXI-XI線に沿った断面図 図10のチェーンテンショナの変形例を示す図 図10のチェーンテンショナの他の変形例を示す図 比較例のチェーンテンショナを示す部分断面図
図1に、この発明の第1実施形態のチェーンテンショナ1を組み込んだチェーン伝動装置を示す。このチェーン伝動装置は、エンジンのクランクシャフト2に固定されたスプロケット3と、カムシャフト4に固定されたスプロケット5とがチェーン6を介して連結されており、そのチェーン6がクランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達し、そのカムシャフト4の回転により燃焼室のバルブ(図示せず)の開閉を行なう。
エンジンが作動しているときのクランクシャフト2の回転方向は一定(図では右回転)であり、このときチェーン6は、クランクシャフト2の回転に伴ってスプロケット3に引き込まれる側(図の右側)の部分が張り側となり、スプロケット3から送り出される側(図の左側)の部分が弛み側となる。そして、チェーン6の弛み側の部分には、支点軸7を中心として揺動可能に支持されたチェーンガイド8が接触している。チェーンテンショナ1は、チェーンガイド8を介してチェーン6を押圧している。
図2に示すように、チェーンテンショナ1は、軸方向の一端を閉塞端とし、軸方向の他端を開口端とする筒状のシリンダ9と、シリンダ9に軸方向に摺動可能に挿入されたプランジャ10とを有する。プランジャ10のシリンダ9からの突出端はチェーンガイド8を押圧している。
シリンダ9は、エンジンカバー11内に開口端を向けた姿勢でエンジンカバー11のテンショナ取り付け孔12に挿入されている。テンショナ取り付け孔12は、エンジンカバー11を外面から内面まで貫通して形成された貫通孔である。シリンダ9の外周には、フランジ部13が形成されている。フランジ部13は、エンジンカバー11の外面にボルト14(図1参照)で固定されている。フランジ部13とエンジンカバー11の外面との間には図示しないガスケットが挟み込まれている。
プランジャ10は、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端が開口し、プランジャ10のシリンダ9からの突出端が閉塞した筒状に形成されている。プランジャ10のシリンダ9内への挿入端には、チェックバルブ15が設けられている。チェックバルブ15は、シリンダ9とプランジャ10とで囲まれる空間を、チェックバルブ15とプランジャ10とで囲まれた貯留室16と、プランジャ10の軸方向移動に応じて容積が変化するようにチェックバルブ15とシリンダ9の閉塞端との間に形成された圧力室17とに区画している。
チェックバルブ15は、弁孔18が形成されたバルブシート19と、弁孔18の圧力室17の側の端部を開閉する球状の弁体20と、弁体20を開弁位置から閉弁位置に向けて付勢するバルブスプリング21と、弁体20の移動範囲を規制するリテーナ22とを有する。弁孔18は、圧力室17と貯留室16の間を連通するようにバルブシート19に形成された軸方向の貫通孔である。チェックバルブ15は、圧力室17の側から貯留室16の側へのオイルの流れを制限し、貯留室16の側から圧力室17の側へのオイルの流れのみを許容する。
チェックバルブ15は、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端に隙間嵌めされている。すなわち、チェックバルブ15を構成するバルブシート19は、円筒状の外周面を有し、このバルブシート19が、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端の円筒状の内周面に締め代をもたない状態で嵌め込まれている。バルブシート19は、プランジャ10の内周に形成された段差部23で軸方向に位置決めされている。段差部23は、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端の側(図の左側)から、プランジャ10のシリンダ9からの突出端の側(図の右側)に向かって小径となる段差状の部分である。
圧力室17には、リターンスプリング24とアシストスプリング25が組み込まれている。リターンスプリング24とアシストスプリング25は、いずれも金属製の線材を螺旋状に巻回したコイルばねであり、軸方向に圧縮された状態で組み込まれている。
リターンスプリング24は、一端から他端に向かって次第に外径が小さくなる円錐状に形成されている。そして、リターンスプリング24は、一端がシリンダ9の閉塞端で支持され、他端がチェックバルブ15を介してプランジャ10を軸方向に押圧し、その押圧によって、プランジャ10をシリンダ9から突出する方向に付勢している。ここで、リターンスプリング24の他端(図では右端)は、チェックバルブ15のリテーナ22をバルブシート19に押し付けるとともに、バルブシート19をプランジャ10の段差部23に押し付けている。
アシストスプリング25は、リターンスプリング24の外径よりも大きい内径をもつ円筒状に形成され、リターンスプリング24の外周を囲むように同軸に配置されている。アシストスプリング25は、一端がシリンダ9の閉塞端で支持され、他端がプランジャ10のシリンダ9内への挿入端の軸方向端面を直接押圧し、その押圧によって、プランジャ10をシリンダ9から突出する方向に付勢している。
図3に示すように、プランジャ10の外周には、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端の側(図では左側)から、プランジャ10のシリンダ9からの突出端の側(図では右側)に向かって順に、第1の円筒面30、給油溝31、第2の円筒面32が形成されている。
第1の円筒面30は、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端の外周に形成された円筒面である。給油溝31は、プランジャ10の外周のうち、第1の円筒面30に対して、プランジャ10のシリンダ9からの突出端の側(図では右側)に隣接する部分に形成された環状の溝である。第2の円筒面32は、プランジャ10の外周のうち、給油溝31に対して、プランジャ10のシリンダ9からの突出端の側(図では右側)に隣接する部分に形成された、第1の円筒面30と同じ外径寸法をもつ円筒面である。つまり、給油溝31は、第1の円筒面30と第2の円筒面32の間に形成されている。
プランジャ10の外周の第1の円筒面30とシリンダ9の内周との間には、リーク隙間33が形成されている。リーク隙間33は、半径方向の幅が0.010~0.080mmの範囲に設定された円筒状の微小隙間である。同様に、プランジャ10の外周の第2の円筒面32とシリンダ9の内周との間には、ガイド隙間34が形成されている。ガイド隙間34も、リーク隙間33と同様、半径方向の幅が0.010~0.080mmの範囲に設定された円筒状の微小隙間である。
図2に示すように、エンジンカバー11には、エンジンのオイルポンプ(図示せず)から送り出されるオイルを、チェーンテンショナ1に供給するための油孔35が形成されている。油孔35は、テンショナ取り付け孔12の内周に開口している。
シリンダ9には、エンジンカバー11の油孔35から供給されるオイルをシリンダ9の内部に導入するシリンダ側給油孔36が設けられている。シリンダ側給油孔36は、シリンダ9を径方向に貫通して形成された貫通孔である。シリンダ側給油孔36の径方向外側の端部は、シリンダ9の外周のエンジンカバー11の油孔35と連通する位置に開口し、シリンダ側給油孔36の径方向内側の端部は、シリンダ9の内周のプランジャ10の外周と対向する部分に開口している。
給油溝31は、シリンダ側給油孔36の径方向内側の端部の開口と連通するように、プランジャ10の外周に形成されている。給油溝31の幅寸法は、チェーン6(図1参照)の経時伸びによるプランジャ10の移動ストロークよりも大きく設定され、例えば、10mm以上の大きさに設定される。
図4に示すように、プランジャ10には、給油溝31から貯留室16にオイルを導入するようにプランジャ10を径方向に貫通するプランジャ側給油孔37が形成されている。プランジャ側給油孔37の径方向外側の端部は、給油溝31の溝底面に開口している。
図3に示すように、このチェーンテンショナ1は、プランジャ10をシリンダ9内に押し込んだ初期セット状態(図に示す状態)に保持することを可能とするため、シリンダ9の開口端の内周に形成されたシリンダ側セット溝40と、シリンダ側セット溝40に収容されたセットリング41と、プランジャ10のシリンダ9からの突出端の外周に形成されたプランジャ側セット溝42とを有する。
図5に示すように、セットリング41は、円周の一部を切り離した形状のセットリング本体43と、セットリング本体43の両端に設けられた一対の縮径操作片44とからなる。セットリング41は、一本の金属線材を曲げて形成されている。一対の縮径操作片44は、周方向に間隔を空けて対向して配置され、その一対の縮径操作片44の操作によって、セットリング本体43の直径が縮小するようにセットリング本体43を弾性変形させることが可能となっている。縮径操作片44は、シリンダ9の開口端に半径方向に貫通して形成された切欠き45に収容されている。
図6に示すように、シリンダ側セット溝40は、セットリング41を構成する金属線材の線径よりも小さい深さをもつ浅溝部46と、セットリング41を構成する金属線材の線径よりも大きい深さをもつ深溝部47とで構成されている。深溝部47は、浅溝部46に対してプランジャ10のシリンダ9内への挿入端の側(図では左側)に連なって形成されている。
セットリング本体43は、シリンダ側セット溝40の浅溝部46に組み込んだときに、弾性的に縮径変形した状態となり、浅溝部46の溝底面に弾性的に押し付けられるような外径寸法をもつように形成されている。このシリンダ側セット溝40とプランジャ側セット溝42は、初期セット状態に保持されたプランジャ10をシリンダ9にさらに押し込む操作によって、プランジャ側セット溝42に対するセットリング41の係合が外れ、初期セットを解除することができるようになっている。
図3に示すように、チェーンテンショナ1は、シリンダ9の開口端の内周に形成された抜け止めリング収容溝50と、抜け止めリング収容溝50に収容された抜け止めリング51と、プランジャ10の外周に形成された抜け止めリング係合溝52とを有する。抜け止めリング収容溝50は、シリンダ9の内周のうち、シリンダ側セット溝40よりもプランジャ10のシリンダ内への挿入端の側(図では左側)にずれた位置に形成されている。また、抜け止めリング係合溝52は、プランジャ10の外周のうち、給油溝31よりもプランジャ10のシリンダ9からの突出端の側(図では右側)にずれた位置に形成されている。すなわち、抜け止めリング係合溝52は、第2の円筒面32に形成されている。
図5に示すように、抜け止めリング51は、円周の一部を切り離した形状の抜け止めリング本体53と、抜け止めリング本体53の両端に設けられた一対の拡径操作片54とからなる。抜け止めリング51は、一本の金属線材を曲げて形成されている。一対の拡径操作片54は、周方向に間隔を空けて対向して配置され、その一対の拡径操作片54の操作によって、抜け止めリング本体53の直径が拡大するように抜け止めリング本体53を弾性変形させることが可能となっている。拡径操作片54は、シリンダ9の開口端に半径方向に貫通して形成された切欠き45に収容されている。
図6に示すように、抜け止めリング収容溝50は、抜け止めリング51を構成する金属線材の線径よりも大きい深さを有するように形成されている。抜け止めリング本体53は、プランジャ10の外周の第2の円筒面32に嵌合したときに、弾性的に拡径変形した状態となり、第2の円筒面32を弾性的に締め付ける内径寸法をもつように形成されている。
図7に示すように、抜け止めリング係合溝52は、抜け止めリング係合溝52の溝底からプランジャ10のシリンダ9内への挿入端の側に立ち上がる挿入端側の溝側面55と、抜け止めリング係合溝52の溝底からプランジャ10のシリンダ9からの突出端の側に立ち上がる突出端側の溝側面56とを有する。挿入端側の溝側面55と突出端側の溝側面56は、いずれも軸直角方向に対して傾斜したテーパ状の面である。また、給油溝31は、給油溝31の溝底からプランジャ10のシリンダ9からの突出端の側に立ち上がるテーパ面57を有する。
挿入端側の溝側面55の立ち上がり角度θ1は50°~80°の範囲に設定されている。一方、突出端側の溝側面56の立ち上がり角度θ2は10°~30°の範囲に設定されている。抜け止めリング係合溝52の溝底の深さは、抜け止めリング51を構成する金属線材の線径よりも浅い。また、テーパ面57の立ち上がり角度θ3は10°~30°の範囲に設定されている。
次に、このチェーンテンショナ1の動作例を説明する。
エンジン作動中に、図1に示すチェーン6の張力が大きくなると、そのチェーン6の張力によって、図2に示すプランジャ10がシリンダ9内に押し込まれる方向に移動し、チェーン6の緊張を吸収する。このとき、圧力室17の圧力が貯留室16の圧力よりも高くなるので、チェックバルブ15は閉じた状態となる。また、プランジャ10の移動に応じて圧力室17の容積が縮小するので、その縮小した容積の分、圧力室17からリーク隙間33を通ってオイルがリークし、このときリーク隙間33を流れるオイルの粘性抵抗でダンパ力が発生し、そのダンパ力によってチェーン6のばたつきが防止される。そして、圧力室17からリーク隙間33を通ってリークしたオイルは、給油溝31に戻り、さらにプランジャ側給油孔37に流入したり、シリンダ側給油孔36に戻ったり、ガイド隙間34を通ってプランジャ10とシリンダ9の摺動面間を潤滑したりする。
一方、エンジン作動中に、図1に示すチェーン6の張力が小さくなると、図2に示すリターンスプリング24およびアシストスプリング25の付勢力によって、プランジャ10が突出方向に移動し、チェーン6の弛みを吸収する。このとき、プランジャ10の移動に応じて圧力室17の容積が拡大するので、圧力室17の圧力が貯留室16の圧力よりも低くなり、チェックバルブ15が開く。そして、貯留室16からチェックバルブ15を通って圧力室17にオイルが流入し、プランジャ10が速やかに移動する。このとき、エンジンカバー11の油孔35から、シリンダ側給油孔36、給油溝31、プランジャ側給油孔37を通って貯留室16にオイルが導入される。
このように、このチェーンテンショナ1は、圧力室17からリーク隙間33を通ってリークしたオイルが、プランジャ10の外周の給油溝31に戻り、循環するので、チェーンテンショナ1から外部に排出されるオイルの量が少なく、チェーンテンショナ1でのオイル消費量を抑えることが可能である。
ところで、オーバーホールや修理の際に、図1に示すチェーンテンショナ1を、エンジンカバー11のテンショナ取り付け孔12から抜き出すことがある。
このとき、プランジャ10のシリンダ9からの突出方向をエンジンカバー11の内側に向けた状態でチェーンテンショナ1を抜き出すので、プランジャ10のシリンダ9からの突出部分を手などで支えることができず、プランジャ10がシリンダ9から脱落する可能性がある。特に、プランジャ10のシリンダ9からの突出方向が水平よりも下向きとなる姿勢でチェーンテンショナ1が取り付けられる場合、チェーンテンショナ1を取り外すときに、プランジャ10がシリンダ9から脱落しやすい。
そこで、プランジャ10がシリンダ9から脱落するのを防止するため、図14に示すように、シリンダ9の開口端の内周に抜け止めリング収容溝50を形成し、その抜け止めリング収容溝50に、プランジャ10の外周を弾性的に締め付ける抜け止めリング51を収容し、その抜け止めリング51をプランジャ10の外周の給油溝31に係合させることで、プランジャ10をシリンダ9から抜け止めする構成を採用することが考えられる。
しかしながら、図14に示すように、抜け止めリング51をプランジャ10の外周の給油溝31に係合させることでプランジャ10の抜け止めを行なう構成を採用したのでは、プランジャ10が最突出位置まで移動したときに、リターンスプリング24を収容する圧力室17の軸方向長さが、リターンスプリング24の自由長よりも長くなり、その結果、リターンスプリング24のチェックバルブ15に対する押圧力が無くなり、チェックバルブ15がプランジャ10のシリンダ9内への挿入端から脱落するおそれがある。
そして、チェックバルブ15がプランジャ10からいったん脱落してしまうと、その後、作業者がチェックバルブ15をプランジャ10に組み付け直す際に、チェックバルブ10の組み付け方向を誤る(例えば、バルブシート19の表裏を反転して組み付ける)などの問題が生じる可能性がある。
この問題に対し、この実施形態のチェーンテンショナ1は、図8に示すように、プランジャ10をシリンダ9から抜け止めするために、抜け止めリング51をプランジャ10の外周の給油溝31に係合させるのではなく、その給油溝31よりもプランジャ10のシリンダ9からの突出端の側にずれた位置に別個に設けた抜け止めリング係合溝52に係合させる構成を採用しているので、プランジャ10が最突出位置(抜け止めリング51とプランジャ10の外周の抜け止めリング係合溝52との係合によってプランジャ10の突出方向の移動が阻止される位置)まで移動したときに、リターンスプリング24が自由長になるまで伸長するのを防止することができる。そのため、このチェーンテンショナ1は、テンショナ取り付け孔12(図1参照)から抜き出すときに、プランジャ10が最突出位置に移動しても、リターンスプリング24のチェックバルブ15に対する押圧力が無くなるのを防止することができ、チェックバルブ15がプランジャ10のシリンダ9内への挿入端から脱落するのを防止することが可能である。
ここで、図8に示すように、抜け止めリング係合溝52が抜け止めリング51に係合する位置までプランジャ10がシリンダ9から突出する方向に移動したときの圧力室17の軸方向長さLがリターンスプリング24の自由長よりも短くなるように、抜け止めリング係合溝52の位置を設定すると、プランジャ10が最突出位置まで移動したときに、リターンスプリング24が自由長になるまで伸長するのを確実に防止することができ、チェックバルブ15のプランジャ10からの脱落を確実に防止することが可能となる。
また、このチェーンテンショナ1はチェックバルブ15のバルブシート19を、プランジャ10のシリンダ9内への挿入端に圧入するのではなく、隙間嵌めしているので、バルブシート19の圧入等によりプランジャ10のシリンダ9内への挿入端の外周の第1の円筒面30の寸法が変化するのを防止することができ、リーク隙間33の大きさを、高い寸法精度をもって管理することが可能である。
すなわち、図2に示すチェックバルブ15のバルブシート19をプランジャ10のシリンダ9内への挿入端に圧入した場合、その圧入による変形で、プランジャ10の外径寸法がわずかに拡大する。ここで、プランジャ10の内径寸法は公差の範囲でばらつきを有し、バルブシート19の外径寸法も公差の範囲でばらつきを有するため、バルブシート19をプランジャ10に圧入したときのプランジャ10の外径寸法の拡大量もばらついたものとなり、プランジャ10の外径寸法を一定に管理することが難しい。そのため、バルブシート19をプランジャ10のシリンダ9内への挿入端に圧入した場合、リーク隙間33の大きさを一定に管理することが難しく、リーク隙間33を流れるオイルの粘性抵抗によって生じるダンパ力の大きさが不安定となる可能性がある。これに対し、この実施形態のチェーンテンショナ1では、チェックバルブ15のバルブシート19をプランジャ10のシリンダ9内への挿入端に隙間嵌めしているので、バルブシート19の圧入等によりプランジャ10のシリンダ9内への挿入端の外周の第1の円筒面30の寸法が変化するのを防止することができ、リーク隙間33の大きさを、高い寸法精度をもって管理することが可能となっている。
また、この実施形態のチェーンテンショナ1は、チェックバルブ15のバルブシート19をプランジャ10に隙間嵌めする構成なので、チェックバルブ15を組み付けるための圧入工程(プレス機を用いてバルブシート19をプランジャ10に圧入する工程)が不要であり、チェーンテンショナ1の組み立て性に優れる。
また、このチェーンテンショナ1は、図7に示すように、突出端側の溝側面56の立ち上がり角度θ2を30°以下に設定しているので、図9に示す突出端側の溝側面56が軸方向に移動して抜け止めリング51に当接したときに、突出端側の溝側面56に作用する分力によって抜け止めリング51を径方向外方に押圧して拡径させることができる。そのため、チェーンテンショナ1を組み立てるときに、作業者が抜け止めリング51を手で拡径させる等の操作をすることなしに、プランジャ10をシリンダ9に挿入することができ、チェーンテンショナ1を容易に組み立てることが可能である。
また、このチェーンテンショナ1は、図7に示すように、挿入端側の溝側面55の立ち上がり角度θ1を50°以上に設定しているので、図9に示すように、挿入端側の溝側面55が軸方向に移動して抜け止めリング51に当接したときに、抜け止めリング51が拡径変形するのが防止され、挿入端側の溝側面55を抜け止めリング51で確実に受け止めることができる。そのため、チェーンテンショナ1を取り外すときに、プランジャ10がシリンダ9から脱落するのを確実に防止することが可能である。
また、このチェーンテンショナ1は、図7に示すように、テーパ面57の立ち上がり角度θ3を30°以下に設定しているので、テーパ面57が軸方向に移動して図9に示す抜け止めリング51に当接したときに、テーパ面57に作用する分力によって抜け止めリング51を径方向外方に押圧して拡径させることができる。そのため、チェーンテンショナ1を組み立てるときに、作業者が抜け止めリング51を手で拡径させる等の操作をすることなしに、プランジャ10をシリンダ9に挿入することができ、チェーンテンショナ1を容易に組み立てることが可能である。
図10、図11に、この発明の第2実施形態のチェーンテンショナ1を示す。第2実施形態は、第1実施形態と比べて、シリンダ側給油孔36の構成のみが異なり、それ以外の構成は同一である。そのため、第1実施形態に対応する部分は同一の符号を付して説明を省略する。
図11に示すように、シリンダ9には、シリンダ9の下部を径方向に貫通するシリンダ側給油孔36と、シリンダ9の外周に形成されたオイル溝60とが形成されている。シリンダ側給油孔36の径方向外側の端部は、シリンダ9の外周下部に開口している。オイル溝60は、シリンダ側給油孔36の径方向外側の端部の開口と油孔35の間を連通するように、シリンダ9の外周を周方向に延びて形成されている。ここで、シリンダ側給油孔36の径方向外側の端部の開口は、油孔35よりも下側に位置している。
このチェーンテンショナ1は、エンジンカバー11(図1参照)の油孔35から供給されるオイルが、シリンダ9の外周のオイル溝60を通って下方に流れ、シリンダ9の外周下部からシリンダ9の内部に流入する構成であり、オイル溝60を流れるオイルの方向が、エアにはたらく浮力の方向とは逆向きなので、エンジン停止時に油孔35内のオイルの油面が下がり、その後、エンジンを再始動したときに、油孔35からシリンダ9の内部にエアが流入するのを効果的に抑制することが可能である。
図12に示すように、シリンダ9の外周のオイル溝60よりもシリンダ9の開口端の側(図では右側)にずれた位置にOリング61を装着することができる。このようにすると、油孔35から供給されるオイルが、シリンダ9の外周とテンショナ取り付け孔12(図1参照)の内周との間を通ってエンジンカバー11の内側に漏れるのを防止することができ、チェーンテンショナ1でのオイル消費量を効果的に抑制することが可能となる。
図13に示すように、シリンダ9の外周のオイル溝60よりもフランジ部13の側(図では左側)にずれた位置に、さらにOリング62を設けてもよい。フランジ部13とエンジンカバー11の間のガスケットが不要となり、エンジンカバー11(図1参照)の外面を仕上げ加工する必要がなくなるので、エンジンカバー11のコストを低減することが可能となる。
上記各実施形態では、チェーンテンショナ1を、クランクシャフト2の回転をカムシャフト4に伝達するチェーン伝動装置に組み込んだ例を挙げて説明したが、チェーンテンショナ1は、クランクシャフト2の回転をオイルポンプやウォーターポンプやスーパーチャージャー等の補機に伝達するチェーン伝動装置や、クランクシャフト2の回転をバランサシャフトに伝達するチェーン伝動装置や、ツインカムエンジンの吸気カムと排気カムを互いに連結するチェーン伝動装置に組み込むことも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 チェーンテンショナ
9 シリンダ
10 プランジャ
11 エンジンカバー
12 テンショナ取り付け孔
13 フランジ部
15 チェックバルブ
16 貯留室
17 圧力室
24 リターンスプリング
30 第1の円筒面
31 給油溝
33 リーク隙間
36 シリンダ側給油孔
37 プランジャ側給油孔
50 抜け止めリング収容溝
51 抜け止めリング
52 抜け止めリング係合溝
55 挿入端側の溝側面
56 突出端側の溝側面
57 テーパ面
L 圧力室の軸方向長さ
θ1 挿入端側の溝側面の立ち上がり角度
θ2 突出端側の溝側面の立ち上がり角度
θ3 テーパ面の立ち上がり角度

Claims (5)

  1. 軸方向の一端を閉塞端とし、軸方向の他端を開口端とする筒状のシリンダ(9)と、
    前記シリンダ(9)に軸方向に摺動可能に挿入され、前記シリンダ(9)内への挿入端が開口し、前記シリンダ(9)からの突出端が閉塞した筒状のプランジャ(10)と、
    前記プランジャ(10)の前記シリンダ(9)内への挿入端に設けられたチェックバルブ(15)と、
    前記チェックバルブ(15)と前記プランジャ(10)とで囲まれた貯留室(16)と、
    前記プランジャ(10)の軸方向移動に応じて容積が変化するように前記チェックバルブ(15)と前記シリンダ(9)の閉塞端との間に形成された圧力室(17)と、
    前記シリンダ(9)の内周に開口するように前記シリンダ(9)に形成されたシリンダ側給油孔(36)と、
    前記シリンダ側給油孔(36)と連通するように前記プランジャ(10)の外周に形成された環状の給油溝(31)と、
    前記給油溝(31)から前記貯留室(16)にオイルを導入するように前記プランジャ(10)を径方向に貫通して形成されたプランジャ側給油孔(37)と、
    前記プランジャ(10)の前記シリンダ(9)内への挿入端の外周に設けられた円筒面(30)と前記シリンダ(9)の内周との間に形成されたリーク隙間(33)と、
    前記プランジャ(10)を前記シリンダ(9)から突出する方向に付勢するリターンスプリング(24)と、を有し、
    前記チェックバルブ(15)は、前記プランジャ(10)の前記シリンダ(9)内への挿入端に隙間嵌めされ、
    前記リターンスプリング(24)は、前記チェックバルブ(15)を前記プランジャ(10)に押し付けるように前記圧力室(17)に組み込まれているチェーンテンショナにおいて、
    前記シリンダ(9)の内周に形成した抜け止めリング収容溝(50)に、前記プランジャ(10)の外周を弾性的に締め付ける抜け止めリング(51)が収容され、
    前記プランジャ(10)の外周のうち、前記給油溝(31)よりも前記プランジャ(10)の前記シリンダ(9)からの突出端の側にずれた位置に、前記抜け止めリング(51)に係合して前記プランジャ(10)を前記シリンダ(9)から抜け止めする抜け止めリング係合溝(52)が形成されていることを特徴とするチェーンテンショナ。
  2. 前記抜け止めリング係合溝(52)が前記抜け止めリング(51)に係合する位置まで前記プランジャ(10)が前記シリンダ(9)から突出する方向に移動したときの前記圧力室(17)の軸方向長さ(L)が前記リターンスプリング(24)の自由長よりも短い請求項1に記載のチェーンテンショナ。
  3. 前記抜け止めリング係合溝(52)は、抜け止めリング係合溝(52)の溝底から前記プランジャ(10)の前記シリンダ(9)内への挿入端の側に立ち上がる挿入端側の溝側面(55)と、抜け止めリング係合溝(52)の溝底から前記プランジャ(10)の前記シリンダ(9)からの突出端の側に立ち上がる突出端側の溝側面(56)とを有し、
    前記挿入端側の溝側面(55)の立ち上がり角度(θ1)は50°~80°の範囲に設定され、
    前記突出端側の溝側面(56)の立ち上がり角度(θ2)は10°~30°の範囲に設定されている請求項1または2に記載のチェーンテンショナ。
  4. 前記給油溝(31)は、給油溝(31)の溝底から前記プランジャ(10)の前記シリンダ(9)からの突出端の側に立ち上がるテーパ面(57)を有し、
    前記テーパ面(57)の立ち上がり角度(θ3)は10°~30°の範囲に設定されている請求項1から3のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
  5. 前記シリンダ(9)の外周には、エンジンカバー(11)を貫通して形成されたテンショナ取り付け孔(12)に前記シリンダ(9)を挿入した状態で前記エンジンカバー(11)の外面に固定されるフランジ部(13)が形成されている請求項1から4のいずれかに記載のチェーンテンショナ。
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