JP2023005210A - ウイスキーハイボール飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ソルティーなウイスキー以外の手段によって、ウイスキーハイボール飲料にソルティーな風味を付与することのできる技術を提供する。【解決手段】ウイスキーを含有し、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含有する、ウイスキーハイボール飲料。【選択図】なし
Description
本発明は、ウイスキーハイボール飲料及びその製造方法に関する。
ウイスキーハイボール飲料は、ウイスキーを含む炭酸飲料である。ウイスキーハイボール飲料は、容器に充填したRTD(レディ・トゥ・ドリンク)製品としても販売されている。
ウイスキーハイボール飲料に関連して、例えば、特許文献1(特開2020-188743号公報)には、炭酸ガス圧が3.0~3.5ガスボリュームであり、アルコール100%換算で5~50ml/Lのウイスキーを含有する、容器入り炭酸アルコール飲料が開示されている。
ところで、ウイスキーのなかには、「ソルティー」と形容される品種がある。「ソルティー」とは、塩味(呈味)とは異なり、潮の香りを想起させる風味のことである。ウイスキーのなかでも、スコッチ・ウイスキーに「ソルティー」な風味を有するものが多い。
本発明者らは、「ソルティー」な風味を有するウイスキーハイボール飲料を提供しようと考えた。ここで、原料となるウイスキーとして「ソルティー」なウイスキーを使用すれば、「ソルティー」な風味を有するハイボールを得ることができると考えられる。しかしながら、この場合には、原料として使用することのできるウイスキーが制限される。また、ソルティーなウイスキーを使用した場合であっても、その量が微量である場合には、「ソルティー」な風味を感じることはできない。そして、このような「ソルティー」な風味を香料によって表現することも難しい。
そこで、本発明の目的は、ソルティーなウイスキー以外の手段によって、ウイスキーハイボール飲料にソルティーな風味を付与することのできる技術を提供することにある。
本発明者らは、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを使用することにより、ソルティーな風味をウイスキーハイボール飲料に付与できることを見出した。すなわち、本発明は、以下のものを提供する。
[1]ウイスキーと、塩化ナトリウム又は塩化カリウムと、を含有する、ウイスキーハイボール飲料。
[2]前記塩化ナトリウム濃度が0.005g/L以上である、[1]に記載のウイスキーハイボール飲料。
[3]前記塩化カリウム濃度が0.005g/L以上である、[1]又は[2]に記載のウイスキーハイボール飲料。
[4]ヘビーピートウイスキーを含有しないか、又は、エタノール濃度40vol%換算でのビーピートウイスキーの含有量が、2vol%以下であり、前記ヘビーピートウイスキーは、エタノール濃度40vol%に換算したときに、フェノール含有濃度が0.10mg/L以上であり、グアイアコール含有濃度が0.05mg/L以上であり、o-クレゾール含有濃度が0.05mg/L以上であるウイスキーである、[1]~[3]のいずれかに記載のウイスキーハイボール飲料。
[5]エタノール濃度が8vol%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のウイスキーハイボール飲料。
[6]ウイスキーを含む飲料液に、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを添加する工程を含む、ウイスキーハイボール飲料の製造方法。
[1]ウイスキーと、塩化ナトリウム又は塩化カリウムと、を含有する、ウイスキーハイボール飲料。
[2]前記塩化ナトリウム濃度が0.005g/L以上である、[1]に記載のウイスキーハイボール飲料。
[3]前記塩化カリウム濃度が0.005g/L以上である、[1]又は[2]に記載のウイスキーハイボール飲料。
[4]ヘビーピートウイスキーを含有しないか、又は、エタノール濃度40vol%換算でのビーピートウイスキーの含有量が、2vol%以下であり、前記ヘビーピートウイスキーは、エタノール濃度40vol%に換算したときに、フェノール含有濃度が0.10mg/L以上であり、グアイアコール含有濃度が0.05mg/L以上であり、o-クレゾール含有濃度が0.05mg/L以上であるウイスキーである、[1]~[3]のいずれかに記載のウイスキーハイボール飲料。
[5]エタノール濃度が8vol%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のウイスキーハイボール飲料。
[6]ウイスキーを含む飲料液に、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを添加する工程を含む、ウイスキーハイボール飲料の製造方法。
本発明によれば、ソルティーなウイスキー以外の手段によって、ウイスキーハイボール飲料にソルティーな風味を付与することのできる技術が提供される。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るウイスキーハイボール飲料は、ウイスキーと、塩化ナトリウム又は塩化カリウムとを含有する。塩化ナトリウム又は塩化カリウムが含まれているため、ソルティーな風味がウイスキーハイボール飲料に付与される。
本実施形態に係るウイスキーハイボール飲料は、ウイスキーと、塩化ナトリウム又は塩化カリウムとを含有する。塩化ナトリウム又は塩化カリウムが含まれているため、ソルティーな風味がウイスキーハイボール飲料に付与される。
「ウイスキーハイボール飲料」とは、ウイスキーを含む炭酸飲料を指す。
本明細書において、「ウイスキー」とは、出願日時点で有効な日本国の酒税法の定義に従う。
但し、好ましくは、ウイスキーは、発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)、及び/又は、発芽させた穀類及び水によって穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)である。
但し、好ましくは、ウイスキーは、発芽させた穀類及び水を原料として糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)、及び/又は、発芽させた穀類及び水によって穀類を糖化させて、発酵させたアルコール含有物を蒸留したもの(当該アルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のものに限る。)である。
ウイスキーの総含有量は、エタノール濃度40vol%換算で、例えば0.10~5.0vol%、好ましくは0.5~4.0vol%、より好ましくは0.7~3.0vol%である。
尚、「エタノール濃度40vol%換算」とは、換算元のアルコール含有液をエタノール濃度が40vol%になるように濃縮又は希釈して換算後のアルコール含有液とし、この換算後のアルコール含有液を使用した場合の値を意味する。
尚、「エタノール濃度40vol%換算」とは、換算元のアルコール含有液をエタノール濃度が40vol%になるように濃縮又は希釈して換算後のアルコール含有液とし、この換算後のアルコール含有液を使用した場合の値を意味する。
「ウイスキー」としては、特に限定されるものではない。但し、ウイスキーハイボール飲料には、ヘビーピートウイスキーが含まれていないか、あるいは、ヘビーピートウイスキーが含まれていたとしても、少量であることが好ましい。具体的には、エタノール濃度40vol%換算でのヘビーピートウイスキーの含有量は、2vol%以下であることが好ましい。
尚、「ヘビーピートウイスキー」とは、エタノール濃度40vol%換算で、フェノール含有濃度が0.10mg/L以上であり、グアイアコール含有濃度が0.05mg/L以上であり、o-クレゾール含有濃度が0.05mg/L以上であるウイスキーを意味する。
好ましくは、ヘビーピートウイスキーにおいて、エタノール濃度40vol%換算で、フェノール含有濃度が1.0mg/L以上であり、グアイアコール含有濃度が0.5mg/L以上であり、o-クレゾール含有濃度が0.5mg/L以上である。
ヘビーピートウイスキーは、ピート香が強いウイスキーである。ピート香とは、泥炭の燻製香を意味する。ヘビーピートウイスキーは、ソルティーな風味を有していることが多い。そのため、ヘビーピートウイスキーを大量に使用すれば、ソルティーな風味を付与しやすい。
しかし、本実施形態によれば、ヘビーピートウイスキーを大量に使用しなくとも、ソルティーな風味をウイスキーハイボール飲料に付与することができる。
尚、「ヘビーピートウイスキー」とは、エタノール濃度40vol%換算で、フェノール含有濃度が0.10mg/L以上であり、グアイアコール含有濃度が0.05mg/L以上であり、o-クレゾール含有濃度が0.05mg/L以上であるウイスキーを意味する。
好ましくは、ヘビーピートウイスキーにおいて、エタノール濃度40vol%換算で、フェノール含有濃度が1.0mg/L以上であり、グアイアコール含有濃度が0.5mg/L以上であり、o-クレゾール含有濃度が0.5mg/L以上である。
ヘビーピートウイスキーは、ピート香が強いウイスキーである。ピート香とは、泥炭の燻製香を意味する。ヘビーピートウイスキーは、ソルティーな風味を有していることが多い。そのため、ヘビーピートウイスキーを大量に使用すれば、ソルティーな風味を付与しやすい。
しかし、本実施形態によれば、ヘビーピートウイスキーを大量に使用しなくとも、ソルティーな風味をウイスキーハイボール飲料に付与することができる。
好ましい一態様において、ウイスキーハイボール飲料は、ノンピートウイスキーを含有する。「ノンピートウイスキー」とは、エタノール濃度40vol%換算で、フェノール含有濃度が0.10mg/L未満であり、グアイアコール含有濃度が0.05mg/L未満であり、o-クレゾール含有濃度が0.05mg/L未満であるウイスキーを意味する。
一般的に、ノンピートウイスキーを使用する場合、ヘビーピートウイスキーと異なり、ソルティーな風味を付与し難い。これに対して、本実施形態によれば、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを使用することによりソルティーな風味が付与される。従って、ノンピートウイスキーを使用した場合であっても、ソルティーな風味を付与することができる。
ノンピートウイスキーの含有量は、エタノール40vol%換算で、例えば0.10~5.0vol%、好ましくは0.3~4.0vol%、より好ましくは0.5~3.0vol%である。
一般的に、ノンピートウイスキーを使用する場合、ヘビーピートウイスキーと異なり、ソルティーな風味を付与し難い。これに対して、本実施形態によれば、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを使用することによりソルティーな風味が付与される。従って、ノンピートウイスキーを使用した場合であっても、ソルティーな風味を付与することができる。
ノンピートウイスキーの含有量は、エタノール40vol%換算で、例えば0.10~5.0vol%、好ましくは0.3~4.0vol%、より好ましくは0.5~3.0vol%である。
ウイスキーハイボール飲料中のフェノール濃度は、例えば100μg/L以下、好ましくは70μg/L以下、より好ましくは60μg/L以下であり、例えば0.1μg/L以上、好ましくは0.5μg/L以上、より好ましくは1.0μg/L以上、さらに好ましくは5.0μg/L以上である。
あるいは、他の一態様において、フェノール濃度は、好ましくは5.0μg/L以下、より好ましくは1.0μg/L以下である。
あるいは、他の一態様において、フェノール濃度は、好ましくは5.0μg/L以下、より好ましくは1.0μg/L以下である。
ウイスキーハイボール飲料中のグアイアコール濃度は、例えば50μg/L以下、好ましくは30μg/L以下、より好ましくは20μg/L以下であり、例えば0.1μg/L以上、好ましくは0.5μg/L以上、より好ましくは1.0μg/L以上、さらに好ましくは1.5μg/L以上である。
あるいは、他の一態様において、グアイアコール濃度は、好ましくは5.0μg/L以下、より好ましくは1.0μg/L以下である。
あるいは、他の一態様において、グアイアコール濃度は、好ましくは5.0μg/L以下、より好ましくは1.0μg/L以下である。
ウイスキーハイボール飲料中のo-クレゾール濃度は、例えば100μg/L以下、好ましくは70μg/L以下、より好ましくは40μg/L以下であり、例えば0.1μg/L以上、好ましくは0.5μg/L以上、より好ましくは1.0μg/L以上、さらに好ましくは2.0μg/L以上である。
あるいは、他の一態様において、o-クレゾール濃度は、好ましくは5.0μg/L以下、より好ましくは1.0μg/L以下である。
あるいは、他の一態様において、o-クレゾール濃度は、好ましくは5.0μg/L以下、より好ましくは1.0μg/L以下である。
既述のように、ウイスキーハイボール飲料は、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含む。塩化ナトリウム又は塩化カリウムを含有することにより、ソルティーな風味を付与することができる。尚、「ソルティー」とは風味を意味するものであって、舌などで知覚される「塩味」とは異なるものであることに留意されたい。
ウイスキーハイボール飲料の塩化ナトリウム濃度は、例えば0.005g/L以上、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.02g/L以上、更に好ましくは0.03g/L以上である。このような濃度であれば、十分にソルティーな風味を付与できる。また、塩化ナトリウム濃度は、例えば、0.2g/L以下、好ましくは0.15g/L以下、より好ましくは0.10g/以下である。このような範囲であれば、塩味が大きく増すこともない。
ウイスキーハイボール飲料の塩化カリウム濃度は、例えば0.005g/L以上、好ましくは0.01g/L以上、より好ましくは0.02g/L以上、更に好ましくは0.03g/l以上である。このような濃度であれば、十分にソルティーな風味を付与できる。また、塩化カリウム濃度は、例えば、0.3g/L以下、好ましくは0.25g/L以下、より好ましくは0.20g/L以下である。このような範囲であれば、塩味が大きく増すこともない。
一態様において、塩化ナトリウムと塩化カリウムとが併用される。この場合、塩化ナトリウム及び塩化カリウムの合計濃度は、例えば0.005g/L以上、好ましくは0.01g/L以上であり、例えば0.2g/L以下、好ましくは0.15g/L以下である。
ウイスキーハイボール飲料のエタノール濃度は、特に限定されるものではないが、例えば8vol%以下、好ましくは0.1~8vol%である。
また、一態様において、ウイスキーハイボール飲料のエタノール濃度は、例えば4vol%以下、好ましくは3vol%以下、より好ましくは2vol%以下、更にさらに好ましくは1vol%以下である。
また、他の一態様において、ウイスキーハイボール飲料のエタノール濃度は、例えば3~0.5vol%、好ましくは1~0.5%である。
エタノール濃度は、例えば、原料用アルコール等を添加することにより、調整することができる。
また、一態様において、ウイスキーハイボール飲料のエタノール濃度は、例えば4vol%以下、好ましくは3vol%以下、より好ましくは2vol%以下、更にさらに好ましくは1vol%以下である。
また、他の一態様において、ウイスキーハイボール飲料のエタノール濃度は、例えば3~0.5vol%、好ましくは1~0.5%である。
エタノール濃度は、例えば、原料用アルコール等を添加することにより、調整することができる。
ウイスキーハイボール飲料には、必要に応じて、上記以外の成分が含まれていてもよい。例えば、他の成分として、スピリッツ、食物繊維、酸味料、甘味料、果汁、エキス、着色料、及び香料などが挙げられる。
本実施形態に係るウイスキーハイボール飲料の製造方法は、ウイスキーを含む飲料液に、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを添加する工程を含む。例えば、原料となるウイスキーを用意する。そして、ウイスキーを炭酸水と混合する。必要に応じて、原料用アルコール等を使用してアルコール度数を調整する。また、塩化ナトリウム又は塩化カリウムと、必要に応じてその他の原料を添加する。これにより、本実施形態に係るウイスキーハイボール飲料を得ることができる。尚、炭酸水ではなく通常の水を使用し、後からカーボネーションを行って炭酸を付与してもよい。
以下に、本発明についてより詳細に説明するため、実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定して解釈されるべきものではない。
エタノール濃度が54vol%であるヘビーピートウイスキーと、エタノール濃度が46vol%であるノンピートウイスキーとを準備した。
各ウイスキーについて、グアイアコール濃度、フェノール濃度、о‐クレゾール濃度を、下記文献に記載の方法により測定した。
「V. Mall and P. Schieberle, Sex, Smoke, and Spirits: The Role of Chemistry, 9, 107-116」
具体的には、以下の手順により、測定した。
〈測定方法〉
ウイスキーのサンプルに既知量の同位体標識内部標準物質(市販品:Sigma-Aldrich)を添加した後、SAFE(Solvent Assisted Flavor Evaporator)を用いて蒸留を行った。
蒸留液をジエチルエーテルで抽出し、食塩水で洗浄して有機層のエタノールを除去した後、ビグリューカラムで濃縮し、さらに微量蒸留を行って約0.2mLとした。
濃縮された蒸留液を、メタノールを反応ガスとするHRGC-イオントラップ型MS(CI法)にかけた。
フェノール誘導体(グアイアコール、フェノール、о‐クレゾール)とそれぞれの標識標準物質由来の分子イオンをモニターすることにより定量した。
「V. Mall and P. Schieberle, Sex, Smoke, and Spirits: The Role of Chemistry, 9, 107-116」
具体的には、以下の手順により、測定した。
〈測定方法〉
ウイスキーのサンプルに既知量の同位体標識内部標準物質(市販品:Sigma-Aldrich)を添加した後、SAFE(Solvent Assisted Flavor Evaporator)を用いて蒸留を行った。
蒸留液をジエチルエーテルで抽出し、食塩水で洗浄して有機層のエタノールを除去した後、ビグリューカラムで濃縮し、さらに微量蒸留を行って約0.2mLとした。
濃縮された蒸留液を、メタノールを反応ガスとするHRGC-イオントラップ型MS(CI法)にかけた。
フェノール誘導体(グアイアコール、フェノール、о‐クレゾール)とそれぞれの標識標準物質由来の分子イオンをモニターすることにより定量した。
試験例1:ヘビーピートウイスキーの含有量の検討
表2に示される濃度になるようにヘビーピートウイスキー又はノンピートウイスキーを炭酸水で希釈し、参考例1~8に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。
参考例1~8に係るウイスキーハイボール飲料について、官能評価により、ソルティー、複雑味、及び塩味を評価した。各項目については、参考例1を対照として、以下の5段階の基準で評価した。
(官能評点)
5:対照より強い
4:対照よりやや強い
3:対照と同等
2:対照よりやや弱い
1:対照より弱い
表2に示される濃度になるようにヘビーピートウイスキー又はノンピートウイスキーを炭酸水で希釈し、参考例1~8に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。
参考例1~8に係るウイスキーハイボール飲料について、官能評価により、ソルティー、複雑味、及び塩味を評価した。各項目については、参考例1を対照として、以下の5段階の基準で評価した。
(官能評点)
5:対照より強い
4:対照よりやや強い
3:対照と同等
2:対照よりやや弱い
1:対照より弱い
結果を表2に示す。表2に示されるように、ヘビーピートウイスキーの含有量が小さくなると、「ソルティー」な風味が弱くなる傾向にあった。エタノール濃度40vol%換算でのヘビーピートウイスキー割合が2vol%以下である参考例5~7では、特にソルティーな味が感じられ難かった。また、ウイスキーとしてノンピートウイスキーを使用した参考例8では、「ソルティー」な風味が感じられなかった。
試験例2:塩化ナトリウム及び塩化カリウムの検討(ヘビーピートウイスキー)
原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムを混合し、炭酸水によって各原料の濃度を調整し、比較例1及び実施例1~13に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。表3及び表4に、原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの濃度を示す(炭酸水の使用量については省略)。
調製したウイスキーハイボール飲料について、比較例1を対照として、試験例1と同様に、ソルティー、複雑味、及び塩味についての官能評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
表3及び表4に示されるように、実施例1~13は、いずれも、比較例1よりも「ソルティー」な風味が高まっていた。また、複雑味も増加していた。このことから、塩化ナトリウム及び塩化カリウムに、「ソルティー」な風味を付与する作用があることが判った。 一方で、塩味については、実施例1~5と、比較例1とで変わらなかった。すなわち、0.2g/Lまでの量で塩化カリウムを加えても、塩味に影響を与えないことが判った。
また、実施例10では塩味が増したが、実施例6~9では塩味は比較例1と変わらなかった。このことから、塩化ナトリウムについては、0.1g/Lまでの量で加えても、塩味に影響を与えないことが判った。
実施例11~13の塩味は、比較例1と変わらなかった。このことから、塩化カリウムと塩化ナトリウムを併用する場合、両者の合計含有量が0.10g/Lまでであれば、塩味に影響はないことが判った。
原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムを混合し、炭酸水によって各原料の濃度を調整し、比較例1及び実施例1~13に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。表3及び表4に、原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの濃度を示す(炭酸水の使用量については省略)。
調製したウイスキーハイボール飲料について、比較例1を対照として、試験例1と同様に、ソルティー、複雑味、及び塩味についての官能評価を行った。結果を表3及び表4に示す。
表3及び表4に示されるように、実施例1~13は、いずれも、比較例1よりも「ソルティー」な風味が高まっていた。また、複雑味も増加していた。このことから、塩化ナトリウム及び塩化カリウムに、「ソルティー」な風味を付与する作用があることが判った。 一方で、塩味については、実施例1~5と、比較例1とで変わらなかった。すなわち、0.2g/Lまでの量で塩化カリウムを加えても、塩味に影響を与えないことが判った。
また、実施例10では塩味が増したが、実施例6~9では塩味は比較例1と変わらなかった。このことから、塩化ナトリウムについては、0.1g/Lまでの量で加えても、塩味に影響を与えないことが判った。
実施例11~13の塩味は、比較例1と変わらなかった。このことから、塩化カリウムと塩化ナトリウムを併用する場合、両者の合計含有量が0.10g/Lまでであれば、塩味に影響はないことが判った。
試験例3:塩化ナトリウム及び塩化カリウムの検討(ノンピートウイスキー)
原料用アルコール、ノンピートウイスキー、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムを混合し、炭酸水によって各原料の濃度を調整し、比較例2及び実施例14~16に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。表5に、原料用アルコール、ノンピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの濃度を示す(炭酸水の使用量については省略)。
調製したウイスキーハイボール飲料について、比較例2を対照として、試験例1と同様に、ソルティー、複雑味、及び塩味についての官能評価を行った。結果を表5に示す。
表5に示すように、実施例14~16は、いずれも、比較例2よりも、「ソルティー」な風味が増していた。従って、ノンピートウイスキーを使用した場合であっても、塩化カリウム及び塩化ナトリウムを使用することにより、「ソルティー」な風味を付与できることが判った。
原料用アルコール、ノンピートウイスキー、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムを混合し、炭酸水によって各原料の濃度を調整し、比較例2及び実施例14~16に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。表5に、原料用アルコール、ノンピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの濃度を示す(炭酸水の使用量については省略)。
調製したウイスキーハイボール飲料について、比較例2を対照として、試験例1と同様に、ソルティー、複雑味、及び塩味についての官能評価を行った。結果を表5に示す。
表5に示すように、実施例14~16は、いずれも、比較例2よりも、「ソルティー」な風味が増していた。従って、ノンピートウイスキーを使用した場合であっても、塩化カリウム及び塩化ナトリウムを使用することにより、「ソルティー」な風味を付与できることが判った。
試験例4:エタノール濃度の検討
原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムを混合し、炭酸水によって各原料の濃度を調整し、実施例17~21に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。表6に、原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの濃度を示す(炭酸水の使用量については省略)。
調製したウイスキーハイボール飲料について、実施例17を対照として、試験例1と同様に、ソルティーについての官能評価を行った。加えて、「ピート香」についても、5段階で評価を行った(評点が大きいほどピート香が強い)。
結果を表6に示す。実施例17に比べて、実施例18~21では、ピート香が強まっていた。すなわち、エタノール濃度が低いほど、ピート香が感じられやすくなることが判った。このことから、エタノール濃度が低いウイスキーハイボール飲料において、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムを含有させると、「ソルティー」な風味が表現されるとともに、ピート香も感じやすくなることが判った。ソルティーな風味とピート香とが強まる結果、スコッチウイスキーハイボール様の本格感のあるハイボールテイスト飲料を実現できることが判る。
原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムを混合し、炭酸水によって各原料の濃度を調整し、実施例17~21に係るウイスキーハイボール飲料を調製した。表6に、原料用アルコール、ヘビーピートウイスキー、塩化カリウム及び塩化ナトリウムの濃度を示す(炭酸水の使用量については省略)。
調製したウイスキーハイボール飲料について、実施例17を対照として、試験例1と同様に、ソルティーについての官能評価を行った。加えて、「ピート香」についても、5段階で評価を行った(評点が大きいほどピート香が強い)。
結果を表6に示す。実施例17に比べて、実施例18~21では、ピート香が強まっていた。すなわち、エタノール濃度が低いほど、ピート香が感じられやすくなることが判った。このことから、エタノール濃度が低いウイスキーハイボール飲料において、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムを含有させると、「ソルティー」な風味が表現されるとともに、ピート香も感じやすくなることが判った。ソルティーな風味とピート香とが強まる結果、スコッチウイスキーハイボール様の本格感のあるハイボールテイスト飲料を実現できることが判る。
Claims (6)
- ウイスキーと、
塩化ナトリウム又は塩化カリウムと、
を含有する、ウイスキーハイボール飲料。 - 前記塩化ナトリウム濃度が0.005g/L以上である、請求項1に記載のウイスキーハイボール飲料。
- 前記塩化カリウム濃度が0.005g/L以上である、請求項1又は2に記載のウイスキーハイボール飲料。
- ヘビーピートウイスキーを含有しないか、又は、エタノール濃度40vol%換算でのヘビーピートウイスキーの含有量が、2vol%以下であり、
前記ヘビーピートウイスキーは、エタノール濃度40vol%に換算したときに、フェノール含有濃度が0.10mg/L以上であり、グアイアコール含有濃度が0.05mg/L以上であり、o-クレゾール含有濃度が0.05mg/L以上であるウイスキーである、
請求項1~3のいずれかに記載のウイスキーハイボール飲料。 - エタノール濃度が8vol%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のウイスキーハイボール飲料。
- ウイスキーを含む飲料液に、塩化ナトリウム又は塩化カリウムを添加する工程を含む、ウイスキーハイボール飲料の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2021106982A JP2023005210A (ja) | 2021-06-28 | 2021-06-28 | ウイスキーハイボール飲料及びその製造方法 |
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- 2021-06-28 JP JP2021106982A patent/JP2023005210A/ja active Pending
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