JP2023005017A - 銅合金板材および銅合金板材の製造方法 - Google Patents

銅合金板材および銅合金板材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来技術と同程度に、耐熱性に優れるとともに高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならず、更に導電性にも優れた、安価な銅合金板材及びその関連技術を提供する。【解決手段】0.0005質量%以上0.1質量%以下のNiと、0.0005質量%以上0.1質量%以下のSnと、100ppm以下のCと、800ppm以下のOと、10ppm以下のHと、50ppm以下のAgとを含み、残部がCuおよび不純物からなり、前記Niと前記Snとの含有量の合計が0.001質量%以上0.11質量%以下であり、前記不純物の含有量を、各元素の定量下限値を考慮してA~B(ppm)としてあらわしたとき(ここで、Aは定量下限値未満の元素の含有量を0ppmとした場合の不純物含有量の合計値であり、Bは定量下限値未満の元素の含有量を各元素の定量下限値とした場合の不純物含有量の合計値である。)、Aが100以下であり、Bが250以下である、銅合金板材を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、高導電材料や放熱部品材料に適した銅合金板材およびその製造方法等に係る。
近年、自動車等の分野の電動化や自動化が進み、それらの分野において用いられる高導電材料や放熱材料には、高導電性、高耐熱性、高強度といった特性が求められる。具体的には、例えば放熱部品用の材料としては、従来無酸素銅やタフピッチ銅が用いられているが、はんだ付け(250~350℃程度で行われる)等を行う製品に対しては耐熱性が不足しており、加熱により再結晶が起こり、(ホール・ペッチの関係より)強度が低下してしまう。強度が低下すると、例えば銅板材を放熱部品に使用した場合、放熱部品がヒートサイクルを受けた時に銅板材が反りやすく、放熱部品全体では割れが発生しやすくなってしまう。
この問題に関して例えば特許文献1には、Cu-Sn合金へ微量のFe、Pを添加したCu-Sn-Fe-P銅合金板材が提案され、高導電性と高耐熱性とを両立させた旨が記載されている。
なお特許文献2には、高強度、高導電性および優れた応力緩和特性を兼ね備えた銅合金板として、CuへAg、P、Sn、Fe、Ni等を添加した、銅合金板の圧延平行方向の熱伸縮率を所定の値に調整した銅合金板が記載されている。
特許第5260201号公報 特許第6270417号公報
特許文献1や2に開示された銅合金板(材)は、350℃程度に加熱されても実質的に強度が低下しない、優れた耐熱性を有している。
背景技術で説明したはんだ付け以外に、ろう付け処理(450~800℃程度で行われる)等を行う電子機器等の製品もあり、これに対して無酸素銅等の銅材料を用いた場合、前記ろう付け処理等の高温加熱により再結晶が(はんだ付けなどの350℃程度に加熱された場合よりも更に)進行し、結晶粒が更に粗大化し、強度が更に低下する。また、結晶粒は互いに異なる結晶方位に配向しているが、結晶粒が小さければ、結晶方位の違いによる光の反射の違いが肉眼等では認識できず、銅合金板(材)全体として均一な色調や光沢に見える。しかし前記の粗大化により結晶粒がある程度(結晶粒径として100μm程度が目安となる)以上に大きくなると、光の反射の違いが認識できるようになり、銅合金板(材)の外観が不良となる。
上記特許文献1及び2に開示された銅合金板(材)は、ろう付け処理等の高温加熱を受けても結晶粒はあまり大きくならず、強度低下や外観不良となりにくい。また上記の通り350℃程度に加熱されても強度が下がりにくく、耐熱性にも優れている。
しかしながら、これらの銅合金板(材)は導電性が不十分であり、近年の要求にかなうものではない。
そこで本発明は、従来技術と同程度に、耐熱性に優れるとともに高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならず、更に導電性にも優れた、安価な銅合金板材及びその関連技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の状況のもとで為されたものである。本発明者らは上述の課題を解決する為、鋭意研究を行い、Cuへ微量のNiおよびSnを添加し、且つ、C,O,H,Ag及び不純物量を所定量以下とすることにより、耐熱性に優れるとともに高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならず、更に導電性にも優れた、安価な銅合金板材が得られることを見出し、本発明を完成した。さらに本発明者は、前記銅合金板材に微量のSを添加すると、高温加熱を受けても結晶粒が特に大きくなりにくく、好適に小さいサイズを維持できることをも見出した。
即ち、上述の課題を解決する第1の発明は、
0.0005質量%以上0.1質量%以下のNiと、0.0005質量%以上0.1質量%以下のSnと、100ppm以下のCと、800ppm以下のOと、10ppm以下のHと、50ppm以下のAgとを含み、残部がCuおよび不純物からなり、
前記Niと前記Snとの含有量の合計が0.001質量%以上0.11質量%以下であり、
前記不純物の含有量を、各元素の定量下限値を考慮してA~B(ppm)としてあらわしたとき(ここで、Aは定量下限値未満の元素の含有量を0ppmとした場合の不純物含有量の合計値であり、Bは定量下限値未満の元素の含有量を各元素の定量下限値とした場合の不純物含有量の合計値である。)、Aが100以下であり、Bが250以下である、銅合金板材である。
第2の発明は、
1~50ppmのSを含む、第1の発明に記載の銅合金板材である。
第3の発明は、
前記銅合金板材の導電率が92~102%IACSである、第1または第2の発明に記載の銅合金板材である。
第4の発明は、
前記銅合金板材の平均結晶粒径が1~30μmである、第1乃至第3の発明のいずれかに記載の銅合金板材である。
第5の発明は、
前記銅合金板材を350℃で5分間保持した後のビッカース硬さ(HV)が100以上である、第1乃至第4の発明のいずれかに記載の銅合金板材である。
第6の発明は、
前記銅合金板材を800℃で1時間保持した後の平均結晶粒径が100μm以下である、第1乃至第5の発明のいずれかに記載の銅合金板材である。
第7の発明は、
0.0005質量%以上0.1質量%以下のNiと、0.0005質量%以上0.1質量%以下のSnと、100ppm以下のCと、800ppm以下のOと、10ppm以下のHと、50ppm以下のAgとを含み、残部がCuおよび不純物からなり、前記Niと前記Snとの含有量の合計が0.001質量%以上0.11質量%以下であり、前記不純物の含有量を、各元素の定量下限値を考慮してA~B(ppm)としてあらわしたとき(ここで、Aは定量下限値未満の元素の含有量を0ppmとした場合の不純物含有量の合計値であり、Bは定量下限値未満の元素の含有量を各元素の定量下限値とした場合の不純物含有量の合計値である。)、Aが100以下であり、Bが250以下である銅合金を熱間圧延した後、冷間圧延し、冷間圧延された銅合金を再結晶焼鈍し、その後銅合金に仕上圧延を施す、銅合金板材の製造方法である。
第8の発明は、
第1~第6の発明のいずれかに記載の銅合金板材を用いた放熱部品である。
第9の発明は、
第1~第6の発明のいずれかに記載の銅合金板材が絶縁基板と接合されてなる、電子部品である。
本発明に係る銅合金板材は、安価であり、従来技術と同程度に、耐熱性に優れるとともに高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならず、更に導電性にも優れている。
以下、本発明に係る銅合金板材について、[1]組成、[2]物性及び特性、[3]銅合金板材の製法、[4]評価方法、[5]銅合金板材を使用した電子部品、の順で説明する。
[1]組成
本発明に係る銅合金板材の組成は、0.0005質量%以上0.1質量%以下のNi(ニッケル)と、0.0005質量%以上0.1質量%以下のSn(スズ)と、100ppm以下のC(炭素)と、800ppm以下のO(酸素)と、10ppm以下のH(水素)と、50ppm以下のAg(銀)とを含み、残部がCu(銅)および不純物からなり、不純物の含有量を、その測定装置の定量下限値を考慮してA~B(ppm)としてあらわしたとき、Aが100以下であり、Bが250以下であり、NiとSnの含有量の合計が0.001質量%以上0.11質量%以下である銅合金板材である。この銅合金板材は、1~50ppmの、不純物であるS(硫黄)を含んでいてもよい。
以下、本発明に係る銅合金板材が含むNi及びSn、並びにC等のその他の成分や不純物の各成分の効果とその含有量について(1)Ni、(2)Sn、(3)NiとSnの含有量の合計、(4)C、(5)O及びH、(6)Ag、(7)不純物、(8)Sの順に説明する。
(1)Ni(ニッケル)
Niは、Cuマトリクス中に固溶して、銅合金板材の強度、弾性、耐熱性、結晶粒成長抑制効果の向上に寄与する元素である。本発明においては、Snとともに所定量含まれることで、銅合金板材の耐熱性を大きく高め、また高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならないようにする効果を発揮している。Niの含有量が0.0005質量%以上あれば、当該効果を発揮させることが出来る。この効果の発揮の観点から、銅合金板材中のNiの含有量は、0.0005質量%以上である必要があり、0.001質量%以上であるのが好ましく、0.002質量%以上であるのがさらに好ましく、0.003質量%以上であるのが最も好ましい。一方、銅合金板材中のNiの含有量が過剰であると、導電性が低下し易い。導電性の観点から、Niの含有量は0.1質量%以下である必要があり、0.07質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以下であるのがさらに好ましく、0.03質量%以下であるのが最も好ましい。
(2)Sn(スズ)
Snは、銅合金板材の固溶強化効果が大きい元素である。本発明においては、Niとともに所定量含まれることで、銅合金板材の耐熱性を大きく高め、また高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならないようにする効果を発揮している。これは、NiとSnとがコットレル雰囲気を形成し、銅合金板材中の転位を固着して、加熱された際の粒成長を抑制する為であると考えられる。銅合金板材中のSnの含有量が0.0005質量%以上あれば、前記の効果を発揮させることが出来る。この効果の発揮の観点から、銅合金板材中のSnの含有量は、0.0005質量%以上である必要があり、0.001質量%以上であるのが好ましく、0.002質量%以上であるのがさらに好ましく、0.003質量%以上であるのが最も好ましい。一方、銅合金板材中のSnの含有量が過剰であると、導電性が低下し易い。導電性の観点から、Snの含有量は、0.1質量%以下である必要があり、0.07質量%以下であるのが好ましく、0.05質量%以下であるのがさらに好ましく、0.03質量%以下であるのが最も好ましい。
(3)NiとSnの含有量の合計
上述したNiとSnとがコットレル雰囲気を形成し、協働して銅合金板材中の転位を固着して加熱された際の粒成長を抑制する観点と導電性の観点から、銅合金板材中のNiとSnとの合計含有量は0.001質量%以上、0.11質量%以下である。同様な観点から、前記合計含有量は、好ましくは0.003質量%以上0.07質量%以下、より好ましくは0.005質量%以上0.05質量%以下である。
(4)C(炭素)
Cは、銅合金板材を製造する際の溶解工程で製造原料やフラックス等から混入することがある。Cの含有量が100ppmを越えると、銅合金板材としての最低限の曲げ加工性が確保できず、電子部品に加工する際に割れを発生させるので好ましくない。そのため、本発明の銅合金板材におけるCの含有量は100ppm以下であり、80ppm以下であるのが好ましく、60ppm以下であるのがさらに好ましく、50ppm以下であるのが最も好ましい。なおCは、銅合金板材に含まれていなくてもよい(定量装置で測定したときに定量下限未満(非検出)であってもよい)。
(5)O(酸素)、H(水素)
OとHも、溶解工程で製造原料や大気中から混入する。OやHの含有量が多いと、銅合金板材にブローホールやフクレが発生し、銅合金板材としての最低限の曲げ加工性が確保できない。そのため、Oの含有量は800ppm以下であり、300ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることがさらに好ましく、100ppm以下であるのが最も好ましい。Hの含有量は10ppm以下であり、6ppm以下であることがより好ましく、4ppm以下であることがさらに好ましく、2ppm以下であるのが最も好ましい。なおO及びHは、銅合金板材に含まれていなくてもよい(定量装置で測定したときに定量下限未満(非検出)であってもよい)。
(6)Ag(銀)
Agは、銅原料に微量含有されることが多いが、微量であれば銅合金板材の導電性を低下させず、加熱されたときの結晶粒の成長抑制効果もある。しかし、AgはCu、Ni,Snよりも高価であり、結晶粒の成長抑制効果についてはNiとSnにより十分であるので、銅原料からの混入に加えて更に添加する必要はない。そのため、本発明の銅合金板材においてはAgの含有量は50ppm以下と設定され、前記含有量は45ppm以下であることがより好ましく、40ppm以下であることがさらに好ましく、30ppm以下であるのが最も好ましい。なおAgは、銅合金板材に含まれていなくてもよい(定量装置で測定したときに定量下限未満(非検出)であってもよい)。
(7)不純物
本発明に係る銅合金板材には、Ni、Sn、C、O、H、Ag及びCu以外に、不純物が含有される場合がある(本発明においては「不純物」にNi、Sn、C、O、H、Ag及びCuは含まれないものとする)。不純物としては製造原料等に起因して銅合金板材中に混入する不可避不純物や、(導電性以外の)何らかの機能付与や機能向上を意図して添加される微量添加元素が挙げられる。これらの元素の含有量の総量が増加するにつれて、銅合金板材の導電性は低下する。高い導電性を達成する観点から、本発明に係る銅合金板材において、不純物の含有量(不純物元素の含有量の合計である)は100ppm以下とする必要がある。
なお各種元素の定量において、測定装置には定量下限値があり、例えば銅合金板材中の元素Xについて、その定量下限値が10ppmである測定装置で測定して「非検出」との結果となった場合、銅合金板材中の元素Xの含有量は0~10ppmである(厳密には10ppmという端値は含まない)。また、定量下限値が1ppmである測定装置で測定して非検出の(不純物である)元素が50元素あれば、それらの含有量の合計は0~50ppmということになる(厳密には50ppmという端値は含まない)。本発明ではこのように測定装置の定量下限値を考慮して、不純物の含有量をA~B(ppm)という範囲であらわすものとする。なおAは定量下限値未満の(非検出の)元素の含有量を0ppmとした場合の不純物含有量の合計値であり、Bは定量下限値未満の(非検出の)元素の含有量を各元素の定量下限値とした場合の不純物含有量の合計値である。
高い導電性を達成する観点から、本発明の銅合金板材における不純物の含有量について、Aは100以下であり、Bは250以下である(なお、BはAより大きい数値である)。同様な観点から、好ましくはAは90以下でBは230以下であり、より好ましくはAは80以下でBは210以下であり、更に好ましくはAは70以下でBは200以下である。なお、Aは通常1以上であり、Bは通常80以上である。
また本発明者の検討により、Fe(鉄)、P(リン)、Si(ケイ素)は不純物の中でも銅合金板材の導電性への悪影響が大きいことがわかっている。
導電性の観点から、銅合金板材中の、
Feの含有量は50ppm以下であることが好ましく、20ppm以下であることがより好ましく、
Pの含有量は40ppm以下であることが好ましく、15ppm以下であることがより好ましく、
Siの含有量は60ppm以下であることが好ましく、25ppm以下であることより好ましい。
以上説明したように本発明の銅合金板材は、銅を主要元素とし、高価な銀の含有量が少なく、また他の高価な金属も不純物として含まれ得るが、それらの量も銅合金板材が十分な導電性を確保できる程度の少量に抑えられるので、安価である。
なお本発明に係る銅合金板材において、(Ni、Sn、C、O、H、Ag及びCu以外の)不純物とは、誘導結合プラズマ-質量分析法(ICP-MS、例えばAgilent製の7900)、炭素硫黄分析装置(例えばLECO製のCS844型)、酸素・窒素・水素分析装置(例えばLECO製のONH―836)及び燃焼-イオンクロマトグラフィ装置(例えばThermo Scientific製のDIONEX ICS―1600)により定量可能な元素であるものとする。これらの装置によれば、銅合金においてその導電性を有意に変化(低下)させうる量含有されうる全ての元素を定量することができる。
より具体的には、本発明においては、不純物として、
酸素・窒素・水素分析装置によりN(窒素)を定量し、
炭素硫黄分析装置によりS(硫黄)を定量し、
ICP-MSにより第2~第6周期の元素(C、N、O、第17族元素、第18族元素、Tc(テクネチウム)、Po(ポロニウム)、Pm(プロメチウム)を除く)を定量し、
燃焼-イオンクロマトグラフィ装置によりF(フッ素)、Cl(塩素)及びBr(臭素)を定量し、
当該定量において、N、F、Na、Si、P、K、Ca、Se、Br、Clについては定量下限値が10ppmの定量装置により定量を行い、
その他の元素(Li(リチウム)、Be(ベリリウム)、B(ホウ素)、Mg(マグネシウム)、Al(アルミニウム)、S(硫黄)、Sc(スカンジウム)、Ti(チタン)、V(バナジウム)、Cr(クロム)、Mn(マンガン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Zn(亜鉛)、Ga(ガリウム)、Ge(ゲルマニウム)、As(ヒ素)、Rb(ルビジウム)、Sr(ストロンチウム)、Y(イットリウム)、Zr(ジルコニウム)、Nb(ニオブ)、Mo(モリブデン)、Ru(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Cd(カドミウム)、In(インジウム)、Sb(アンチモン)、Te(テルル)、Cs(セシウム)、Ba(バリウム)、La(ランタン)、Ce(セリウム)、Pr(プラセオジム)、Nd(ネオジム)、Sm(サマリウム)、Eu(ユーロピウム)、Gd(ガドリニウム)、Tb(テルビウム)、Dy(ジスプロシウム)、Ho(ホルミウム)、Er(エルビウム)、Tm(ツリウム)、Yb(イッテルビウム)、Lu(ルテチウム)、Hf(ハフニウム)、Ta(タンタル)、W(タングステン)、Re(レニウム)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Pt(白金)、Au(金)、Hg(水銀)、Tl(タリウム)、Pb(鉛)、Bi(ビスマス))については定量下限値が1ppmの定量装置により定量を行う。
(8)S(硫黄)
Sは本発明の銅合金板材における任意成分(不純物)であるが、微量添加されることにより、銅合金板材の粒界に偏析し、加熱された際の粒成長を抑制する効果がある。当該効果は、上述したNiとSnとの協働によるコットレル雰囲気と相乗効果を発揮すると考えられる。当該相乗効果を発揮させる観点と銅合金板材の導電性の観点からは、銅合金板材中のSの含有量は1~50ppmであることが好ましく、2~40ppmであることがより好ましく、3~30ppmであることがさらに好ましく、4~20ppmであることが最も好ましい。
尤も、銅合金板材の使用用途によっては、銅合金板材中のS含有が忌避される場合がある。この場合は、銅合金板材中にSが実質的に含まれないようにし(上述の炭素硫黄分析装置で測定したときに非検出とする)、NiとSnとの協働によるコットレル雰囲気による効果によって、本発明の効果を得ることが出来る。
[2]物性及び特性
以下、以上説明した本発明の銅合金板材の各種物性及び特性について説明する。
(1)平均結晶粒径
本発明の銅合金板材の平均結晶粒径は、強度、良好な外観及び曲げ加工性の観点から、好ましくは1~30μmであり、より好ましくは2~25μm、更に好ましくは3~20μmである。
また本発明の銅合金板材は、上述の通り高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならない。具体的には、銅合金板材を大気下800℃で1時間保持した後の、銅合金板材の平均結晶粒径が、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは4~50μmである。
(2)耐熱性
本発明の銅合金板材は耐熱性に優れる。具体的には、銅合金板材を大気下350℃で5分間保持(加熱処理)した後のビッカース硬さHVの、加熱処理前の銅合金板材のビッカース硬さHVに対する割合((加熱処理後のビッカース硬さHV)/加熱処理前のビッカース硬さHV))が好ましくは0.80以上であり、より好ましくは0.82以上であり、更に好ましくは0.85以上である(通常0.98以下である)。
(3)導電性
本発明の銅合金板材は導電性に優れる。具体的には、銅合金板材の導電率は好ましくは92~102%IACSであり、より好ましくは94~102%IACSであり、更に好ましくは96~102%IACSである。
[3]銅合金板材の製造方法
本発明に係る銅合金板材の製造においては、公知の一般的な製造方法を適用すればよいが、製造方法の一例として、(1)溶解・鋳造、(2)熱処理、(3)熱間圧延、(4)冷間圧延、(5)再結晶焼鈍、(6)仕上圧延、(7)低温焼鈍を備える銅合金板材の製造方法を、その各工程毎に説明する。
(1)溶解・鋳造
本発明に係る銅合金板材の各成分を所定量配合して溶解し、インゴットを鋳造する工程である。溶解工程としては、大気中の溶解法、還元雰囲気中の溶解法、および、真空中の溶解法があるが、いずれの溶解法でも採用することができる。銅合金の原料を溶解した後、連続鋳造や半連続鋳造などにより、例えば厚さ10~500mmのインゴットを得る。
(2)熱処理
熱処理工程は、上述した溶解・鋳造工程にて得られたインゴットに熱処理を施す工程である。インゴットを好ましくは700℃~1000℃の温度で30分から10時間熱処理することで、鋳造時に生じた元素の偏析を少なくするというマクロ的な効果を発揮する工程である。
(3)熱間圧延
熱間圧延工程では、上記の熱処理においてインゴットを通常900℃以上の高温域で軟化させた状態で圧延する。これは、当該圧延中および圧延パス間の再結晶により、インゴットにおける鋳造組織の破壊というミクロ効果を発揮させることなどを目的として行われるものである。この圧延において、950℃を超える高温で圧延を行うと、合金成分の偏析部分など、融点が低下している部分で割れを生じる恐れがあるので、割れを抑制するためには950℃以下の温度で圧延を行うことが好ましい。また、熱間圧延工程中において、鋳造組織をすべて再結晶組織にする、いわゆる完全再結晶が確実に生じるようにするためには、650~950℃の温度域で(上記インゴットを基準として)圧延率70%以上の圧延を行うのが好ましく、これによって組織の均一化が一層促進される。圧延率70%未満の圧延では、歪(転位)の導入が不十分となり、完全再結晶に至りにくい。なお、1パスで70%以上の圧延率を得るためには大きな圧延荷重が必要になるので、多パスに分けてトータル70%以上の圧延率を確保すればよい。
また、熱間圧延工程では、上記の650~950℃の温度域での圧延の後、この後の再結晶焼鈍工程において再結晶を促進させるために、歪が生じ易い350℃以上650℃未満の温度域で一定時間の圧延を確保することが望ましい。この温度域においても複数パスの圧延を行うことができる。その際の最終パス温度は、350℃以上にするのが好ましく、350~600℃にするのが更に好ましい。なお、350℃以上650℃未満の温度域における圧延率は、35%以上であるのが好ましく、40%以上であるのが更に好ましい。
また、上記の350℃以上650℃未満の温度域での圧延を含めた熱間圧延におけるトータルの圧延率は、85~95%程度にすればよい。
(4)冷間圧延
冷間圧延は、熱間圧延を終えたインゴットの板厚を薄くする粗圧延工程である。その為、圧延率が50%以上であることが望ましい。この工程は、次の再結晶焼鈍(中間焼鈍)工程で、再結晶処理をするために重要な工程で、熱間圧延を終えたインゴットへ歪を導入するものである。導入された歪が、再結晶の駆動力となる。そして、圧延率が50%以上であれば、次の再結晶焼鈍工程において再結晶粒のサイズが好適に均一になると考えられる。しかし、圧延率が95%を超えると銅合金板材の端面に亀裂が生じ、破断する恐れがあるので、圧延率は95%以下にするのが好ましい。
(5)再結晶焼鈍
再結晶焼鈍は、冷間圧延を終えた板材へ熱処理を加えて、冷間圧延で加工硬化した組織を再結晶させて軟化させる工程である。熱処理は、250~650℃の温度で数秒~数時間保持するのが好ましい。温度が250℃以上であれば再結晶が十分に進む。一方、温度が650℃を超えた場合は、結晶粒径が粗大になり、所望の強度の銅合金板材が得られない場合がある。
(6)仕上圧延
仕上圧延は、中間焼鈍を終えた板材を狙いの板厚を有する銅合金板材とするため、および、銅合金板材の強度レベルを向上させるために行われる工程である。目的の強度レベルに応じて、圧延率を0%(仕上げ圧延無し)~95%の範囲で調整する。仕上圧延の圧延率が95%を超えると加工硬化が限界に達して強度が上昇しなくなり、伸びのない板材となり、加工性が悪化する場合がある。なお、最終的な銅合金板材の板厚は、用途によって最適な板厚にされるが、0.02~6.0mm程度にするのが好ましく、0.04~5.0mmにするのが更に好ましい。
(7)低温焼鈍
低温焼鈍は、仕上圧延された銅合金板材における残留応力を低減することにより、曲げ加工性を向上させ、また銅合金板材における空孔やすべり面上の転位を低減することにより、耐応力緩和特性を向上させる為に、必要に応じて行なわれる工程である。低温焼鈍は、500℃以下の温度で銅合金板材を熱処理することにより行うことが好ましく、より好ましくは150~470℃の加熱温度(上述した、再結晶焼鈍工程における焼鈍温度より低い温度であることが好ましい。)で低温焼鈍を行う。また、この加熱温度における保持時間は、連続式焼鈍炉では安定面から5秒間以上であるのが好ましく、バッチ式焼鈍炉ではコスト面から10時間以内であるのが好ましい。
[4]評価方法
本発明に係る銅合金板材がどのような特性を有しているのかを評価する為、後述する実施例において各種の評価を実施した。当該評価の方法について、(1)引張強さ、伸びの測定、(2)導電率の測定、(3)ビッカース硬さの測定、(4)ビッカース硬さ測定による耐熱性評価、(5)平均結晶粒径の測定、の順に説明する。
(1)引張強さ、伸びの測定
引張強さ、伸びの測定は、銅合金板材より、LD(圧延方向に対して平行な方向)の引張試験用の試験片(JIS Z2201の5号試験片)を採取し、JIS Z2241に準拠した引張試験を行い、LDの引張強さ、伸びを評価した。
(2)導電率の測定
導電率は、JIS H0505の導電率測定方法に拠って測定した。
導電率は高い程好ましいが、92%IACS以上であることが望ましい。
(3)ビッカース硬さの測定
ビッカース硬さは、JIS Z2244に準拠し、試験荷重500gfとして、銅合金板材のビッカース硬さHVを測定した。
(4)ビッカース硬さ測定による耐熱性評価
銅合金板材の耐熱性は、銅合金板材を350℃に加熱された大気雰囲気の炉内で5分間保持し、炉から取り出して室温まで水冷した後、ビッカース硬さHVを測定し、HVに対する割合を求めることによって評価した。HV/HVは、0.80以上であることが好ましい。
(5)平均結晶粒径の測定
平均結晶粒径は、銅合金板材の板面(圧延面)を研磨した後にエッチングし、その面を光学顕微鏡で観察して、JIS H0501の切断法により測定した。
銅合金板材における平均結晶粒径は、1~30μmであることが望ましい。
また、銅合金板材を800℃に加熱された(大気)炉内で1時間保持し、炉から取り出して室温まで水冷した後、同様に平均結晶粒径を測定した。加熱後の銅合金板材における平均結晶粒径は、100μm以下であることが求められる。
[5]銅合金板材を使用した電子部品
次に、本発明の銅合金板材を使用した電子部品について説明する。
本発明の銅合金板材は以上説明した通り、耐熱性に優れるとともに高温加熱を受けても結晶粒がある程度以上に大きくならず、更に導電性にも優れており、高導電材料や放熱材料として好適である。銅合金板材を放熱材料として使用した例としては、当該銅合金板材が絶縁基板とロウ付けされてなる電子部品が挙げられる。
以下、実施例を参照しながら本発明に係る銅合金板材およびその製造方法について具体的に説明する。但し、本発明は当該実施例に限定されない。
[実施例1]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体における含有量が、0.011質量%ずつとなるようにNi及びSnを添加した。この銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。
得られたインゴットから20t×40w×40l(mm)の試験片を切り出し、950℃で30分間均質化の為の熱処理を実施した後、熱間圧延により板厚20mmから3.6mmまで圧延した。熱間圧延では、650~950℃の温度域で圧延率70%の圧延を行い、次いで、350~650℃の温度域で圧延率40%の圧延を行い、最終パスは500℃で圧延を行った。熱間圧延後に、冷間圧延により板厚3.6mmから1.0mmまで圧延した。次に、400℃で30分間の中間焼鈍を実施し、圧延率が50%になるように仕上圧延を実施して、0.50mmの板厚を有する実施例1に係る銅合金板材に仕上げた。
実施例1に係る銅合金板材から試料を採取し、組成、引張強さ、伸び、導電率、ビッカース硬さ、耐熱性、平均結晶粒径を測定した。
(1)組成
前記銅合金板材から採取した試料の組成を分析した結果、Ni含有量は0.011質量%、Sn含有量は0.011質量%、C含有量は35ppm、O含有量は44ppm、H含有量は1.6ppm、Ag含有量は13ppmであり、不純物としてMgが9ppm、Feが3ppm、Znが10ppm検出され、検出された不純物の含有量は合計22ppmだった。その他の元素は非検出であった。上記インゴットからの銅合金板材の製造(圧延等)において元素の添加や抽出は行っていないので、上記インゴットも、同様の組成だったと考えられる。
なおO及びNは酸素・窒素・水素分析装置(LECO製 ONH―836)により定量し、Hは水素分析計(堀場製作所製 EMGA-921)により定量し、
C及びSは炭素硫黄分析装置(LECO製 CS844型)により定量し、
第2~第6周期の元素(C、N、O、第17族元素、第18族元素、Tc(テクネチウム)、Po(ポロニウム)Pm(プロメチウム)を除く)はICP-MS(Agilent 製 7900)により定量し、
F、Cl及びBrは燃焼-イオンクロマトグラフィ装置(Thermo Scientific製 DIONEX ICS―1600)により定量した。
以上の定量において、C、N、O、F、Na、Si、P、K、Ca、Se、Br、Clの定量下限値は10ppmであり、他の元素の定量下限値は1ppmであった。検出されなかった元素のうち定量下限値が10ppmのものは10個、1ppmのものは55個だったので、上記銅合金板材(及びインゴット)中の不純物の含有量を定量下限値を考慮してあらわすと、22~177ppmということになる。
(2)引張強さ、伸びの測定
引張強さは、銅合金板材より、LD(圧延方向に対して平行な方向)の引張試験用の試験片(JIS Z2201の5号試験片)を採取して、LDの引張強さと伸びとを求めた。その結果、LDの引張強さは、393N/mmであり、伸びは1.1%であった。
(3)導電率の測定
銅合金板材の導電率は98.1%IACSであった。
(4)ビッカース硬さの測定
銅合金板材のビッカース硬さ(HV)は126であった。
(5)ビッカース硬さ測定による耐熱性評価
加熱後における銅合金板材のビッカース硬さ(HV)は119であり、HV/HVは0.94であった。
(6)平均結晶粒径の測定
銅合金板材の平均結晶粒径は12μmであり、800℃で1時間加熱した後の平均結晶粒径は56μmであった。
以上説明した実施例1に係る銅合金板材の鋳造、加熱、圧延、焼鈍の各工程の条件、合金組成、引張強さ、伸び、導電率、ビッカース硬さ、耐熱性、結晶粒径の各測定結果を後掲の表1に記載する。以下、実施例2~6についても同様である。
[実施例2]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.001質量%となるようにNiを、0.01質量%となるようにSnを、14ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2に係る銅合金板材に仕上げた。
当該実施例2に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表1に記載する。
[実施例3]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.01質量%となるようにNiを、0.001質量%となるようにSnを、16ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。
そして、400℃で2時間の中間焼鈍を実施したこと、仕上圧延の後に250℃で30分間の低温焼鈍を実施したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例3に係る銅合金板材に仕上げた。
当該実施例3に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表1に記載する。
[実施例4]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.06質量%となるようにNiを、0.01質量%となるようにSnを、9ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。
そして、圧延率が30%になるように仕上圧延を実施して、0.70mmの板厚を有する銅合金板材に仕上げた以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例4に係る銅合金板材に仕上げた。
当該実施例4に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表1に記載する。
[実施例5]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.01質量%となるようにNiを、0.05質量%となるようにSnを、16ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。
そして、圧延率が60%になるように仕上圧延を実施して、0.40mmの板厚を有する銅合金板材に仕上げた以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例5に係る銅合金板材に仕上げた。
当該実施例5に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表1に記載する。
[実施例6]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.01質量%となるようにNiを、0.01質量%となるようにSnを、48ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。
そして、圧延率が約58%になるように冷間圧延を実施して、1.50mmの板厚とし、圧延率が約67%になるように仕上圧延を実施して、0.5mmの膜厚を有する銅合金板材に仕上げた以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例6に係る銅合金板材に仕上げた。
当該実施例6に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表1に記載する。
[比較例1]
高純度無酸素銅(C1011)に、Niを添加せず、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.02質量%となるようにSnを、12ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1に係る銅合金板材に仕上げた。
当該比較例1に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表2に記載する。
[比較例2]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.15質量%となるようにNiを、0.01質量%となるようにSnを、12ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例2に係る銅合金板材に仕上げた。
当該比較例2に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表2に記載する。
[比較例3]
高純度無酸素銅(C1011)に、Snを添加せず、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.02質量%となるようにNiを、12ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例3に係る銅合金板材に仕上げた。
当該比較例3に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表2に記載する。
[比較例4]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金全体において含有量が、0.01質量%となるようにNiを、0.15質量%となるようにSnを、12ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例4に係る銅合金板材に仕上げた。
当該比較例4に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表2に記載する。
[比較例5]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.06質量%となるようにNiを、0.06質量%となるようにSnを、12ppmとなるようにSを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例5に係る銅合金板材に仕上げた。
当該比較例5に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表2に記載する。
[比較例6]
高純度無酸素銅(C1011)に、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.01質量%となるようにNiを、0.01質量%となるようにSnを、12ppmとなるようにSを、80ppmとなるようにFeを、50ppmとなるようにPを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例6に係る銅合金板材に仕上げた。
当該比較例6に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を後掲の表2に記載する。
[比較例7]
高純度無酸素銅(C1011)に、Sを添加せず、添加した後の銅合金原料全体において含有量が、0.003質量%となるようにNiを、0.003質量%となるようにSnを添加した銅合金原料を、高周波溶解炉を用いてAr雰囲気で溶解し、40×40×150(mm)のインゴットに鋳造した。鋳造以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例7に係る銅合金板材に仕上げた。
当該比較例7に係る銅合金板材に対し、実施例1と同様の測定を実施した。各工程の条件及び測定結果を下記表2に記載する。
Figure 2023005017000001
Figure 2023005017000002
[まとめ]
0.0005質量%以上0.1質量%以下のNiと、0.0005質量%以上0.1質量%以下のSnと、100ppm以下のCと、800ppm以下のOと、10ppm以下のHと、50ppm以下のAgとを含み、残部がCuおよび不純物からなり、前記Niと前記Snとの含有量の合計が0.001質量%以上0.11質量%以下であり、前記不純物の含有量を、その測定装置の定量下限値を考慮してA~B(ppm)としてあらわしたとき(ここで、Aは定量下限値未満の元素の含有量を0ppmとした場合の不純物含有量の合計値であり、Bは定量下限値未満の元素の含有量を各元素の定量下限値とした場合の不純物含有量の合計値である。)、Aが100以下であり、Bが250以下である、実施例1から6に係る銅合金板材は、いずれも、引張強さ、伸び、ビッカース硬さ、導電率、耐熱性、結晶粒径の測定による特性評価において優れた特性を発揮した。

Claims (9)

  1. 0.0005質量%以上0.1質量%以下のNiと、0.0005質量%以上0.1質量%以下のSnと、100ppm以下のCと、800ppm以下のOと、10ppm以下のHと、50ppm以下のAgとを含み、残部がCuおよび不純物からなり、
    前記Niと前記Snとの含有量の合計が0.001質量%以上0.11質量%以下であり、
    前記不純物の含有量を、各元素の定量下限値を考慮してA~B(ppm)としてあらわしたとき(ここで、Aは定量下限値未満の元素の含有量を0ppmとした場合の不純物含有量の合計値であり、Bは定量下限値未満の元素の含有量を各元素の定量下限値とした場合の不純物含有量の合計値である。)、Aが100以下であり、Bが250以下である、銅合金板材。
  2. 1~50ppmのSを含む、請求項1に記載の銅合金板材。
  3. 前記銅合金板材の導電率が92~102%IACSである、請求項1または2に記載の銅合金板材。
  4. 前記銅合金板材の平均結晶粒径が1~30μmである、請求項1乃至3のいずれかに記載の銅合金板材。
  5. 前記銅合金板材を350℃で5分間保持した後のビッカース硬さ(HV)が100以上である、請求項1乃至4のいずれかに記載の銅合金板材。
  6. 前記銅合金板材を800℃で1時間保持した後の平均結晶粒径が100μm以下である、請求項1乃至5のいずれかに記載の銅合金板材。
  7. 0.0005質量%以上0.1質量%以下のNiと、0.0005質量%以上0.1質量%以下のSnと、100ppm以下のCと、800ppm以下のOと、10ppm以下のHと、50ppm以下のAgとを含み、残部がCuおよび不純物からなり、前記Niと前記Snとの含有量の合計が0.001質量%以上0.11質量%以下であり、前記不純物の含有量を、各元素の定量下限値を考慮してA~B(ppm)としてあらわしたとき(ここで、Aは定量下限値未満の元素の含有量を0ppmとした場合の不純物含有量の合計値であり、Bは定量下限値未満の元素の含有量を各元素の定量下限値とした場合の不純物含有量の合計値である。)、Aが100以下であり、Bが250以下である銅合金を熱間圧延した後、冷間圧延し、冷間圧延された銅合金を再結晶焼鈍し、その後銅合金に仕上圧延を施す、銅合金板材の製造方法。
  8. 請求項1~6のいずれかに記載の銅合金板材を用いた放熱部品。
  9. 請求項1~6のいずれかに記載の銅合金板材が絶縁基板と接合されてなる、電子部品。
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