JP2023003069A - 電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池用電極の製造効率及び品質を向上させることができる電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法を提供する。【解決手段】帯状の基材フィルムに対して積層された活物質であって、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向に搬送される活物質に対して、離形フィルムを供給する離形フィルム供給部と、前記基材フィルムに供給された前記活物質を、前記離形フィルムを介して圧縮する圧縮部とを備える、電池用電極製造装置。【選択図】図2
Description
本発明は、電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法に関する。
リチウムイオン電池は高容量の二次電池であり、近年様々な用途で使用されている。例えば、リチウムイオン電池は、集電体層、活物質層及びセパレータを積層した単セルを複数用いて構成される。このような単セルは、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているように、枚葉に製造することができる。具体的には、特許文献2に記載のように、集電体や活物質、セパレータを積層し、面プレスすることで、単セルにおける電池用電極を個別に製造することができる。但し、このような枚葉の手法は一般に時間がかかり、製造効率として高いとは言えない。
製造効率向上の観点から、電池用電極の製造を連続的に行なうことが考えられる。例えば、帯状の基材フィルム(集電体など)に対して活物質を連続的に供給し、これらを連続的にロールプレスすることで、電池用電極の活物質層を効率的に形成することが考えられる。
ロールプレスによって活物質を圧縮する場合、ロールプレス用のローラの表面に活物質が付着してしまう場合がある。圧縮時にローラ表面に活物質が付着するとすれば、形成される活物質層の表面が不均一になったり、電池用電極における活物質の量が不安定になったりすることが懸念される。本発明は、電池用電極の製造効率及び品質を向上させることができる電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、帯状の基材フィルムに対して積層された活物質であって、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向に搬送される活物質に対して、離形フィルムを供給する離形フィルム供給部と、前記基材フィルムに供給された前記活物質を、前記離形フィルムを介して圧縮する圧縮部とを備える、電池用電極製造装置である。
本発明の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法によれば、電池用電極の製造効率及び品質を向上させることができる。
(実施形態)
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、一部を省略して図示している場合がある。
以下、図面を参照して、本発明を適用した実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分を強調する目的で、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、同様の目的で、一部を省略して図示している場合がある。
<組電池(二次電池)>
実施形態の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法は、例えば、リチウムイオン電池の製造に適用される。リチウムイオン電池は、複数のリチウムイオン単電池(単セル又は電池セルとも記載する)を組み合わせてモジュール化した組電池、或いは、このような組電池を複数組み合わせて電圧及び容量を調整した電池パックの形態で使用される。
実施形態の電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法は、例えば、リチウムイオン電池の製造に適用される。リチウムイオン電池は、複数のリチウムイオン単電池(単セル又は電池セルとも記載する)を組み合わせてモジュール化した組電池、或いは、このような組電池を複数組み合わせて電圧及び容量を調整した電池パックの形態で使用される。
<単セル(電池セル)>
図1は、単セル10の断面模式図である。単セル10を複数組み合わせることで上記の組電池を作製することが可能である。例えば、単セル10は、2つの電極(電池用電極)としての正極20a及び負極20bと、セパレータ30とを有する。
図1は、単セル10の断面模式図である。単セル10を複数組み合わせることで上記の組電池を作製することが可能である。例えば、単セル10は、2つの電極(電池用電極)としての正極20a及び負極20bと、セパレータ30とを有する。
セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間に配置される。組電池において、複数の単セル10は、正極20aと負極20bとを同方向に向けて積層される。
セパレータ30には、電解質が保持される。これにより、セパレータ30は、電解質層として機能する。セパレータ30は、正極20a及び負極20bの電極活物質層22の間に配置され、これらが互いに接触することを抑制する。これにより、セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間の隔壁として機能する。
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液またはゲルポリマー電解質などが挙げられる。これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータの形態としては、例えば、上記電解質を吸収保持するポリマーや繊維からなる多孔性シートのセパレータや不織布セパレータなどを挙げることができる。
正極20a及び負極20bは、それぞれ、集電体21と、電極活物質層22と、枠体35とを有する。電極活物質層22と集電体21とは、セパレータ30側からこの順に並ぶ。枠体35は、額縁状(環状)である。枠体35は、電極活物質層22の周囲を囲む。正極20aの枠体35と負極20bの枠体35とは、互いに溶着され一体化されている。以下の説明において、正極20a及び負極20bの電極活物質層22を互いに区別する場合、これらをそれぞれ正極活物質層22a、負極活物質層22bと呼ぶ。
<正極集電体の具体例>
正極集電体層21aを構成する正極集電体としては、公知のリチウムイオン単電池に用いられる集電体を用いることができ、例えば、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012-150905号公報及び国際公開第2015-005116号等に記載の樹脂集電体等)を用いることができる。正極集電体層21aを構成する正極集電体は、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。
正極集電体層21aを構成する正極集電体としては、公知のリチウムイオン単電池に用いられる集電体を用いることができ、例えば、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012-150905号公報及び国際公開第2015-005116号等に記載の樹脂集電体等)を用いることができる。正極集電体層21aを構成する正極集電体は、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は、薄板や金属箔等の形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
樹脂集電体としては、導電性フィラーとマトリックス樹脂とを含むことが好ましい。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)等が挙げられるが、特に限定されない。また、導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択されれば特に限定されない。導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
樹脂集電体は、マトリックス樹脂及び導電性フィラーのほかに、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤等)を含んでいてもよい。また、複数の樹脂集電体を積層して用いてもよく、樹脂集電体と金属箔とを積層して用いても良い。
正極集電体層21aの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。複数の樹脂集電体を積層して正極集電体層21aとして用いる場合には、積層後の全体の厚さが5~150μmであることが好ましい。正極集電体層21aは、例えば、マトリックス樹脂、導電性フィラー及び必要により用いるフィラー用分散剤を溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形することにより得ることができる。
<正極活物質の具体例>
正極活物質層22aは、正極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。ここで、非結着体とは、正極活物質層中において正極活物質の位置が固定されておらず、正極活物質同士及び正極活物質同士及び正極活物質と集電体とが不可逆的に固定されていないことを意味する。正極活物質層22aが非結着体である場合、正極活物質同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層22aに応力がかかった場合でも正極活物質が移動することで正極活物質層22aの破壊を防止することができ好ましい。非結着体である正極活物質層22aは、正極活物質層22aを、正極活物質と電解液とを含みかつ結着剤を含まない正極活物質層22aにする等の方法で得ることができる。なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない。
正極活物質層22aは、正極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。ここで、非結着体とは、正極活物質層中において正極活物質の位置が固定されておらず、正極活物質同士及び正極活物質同士及び正極活物質と集電体とが不可逆的に固定されていないことを意味する。正極活物質層22aが非結着体である場合、正極活物質同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層22aに応力がかかった場合でも正極活物質が移動することで正極活物質層22aの破壊を防止することができ好ましい。非結着体である正極活物質層22aは、正極活物質層22aを、正極活物質と電解液とを含みかつ結着剤を含まない正極活物質層22aにする等の方法で得ることができる。なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない。
正極活物質としては、例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属元素が2種である複合酸化物、金属元素が3種類以上である複合酸化物等が挙げられるが、特に限定されない。
正極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆正極活物質であってもよい。正極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。
被覆材を構成する高分子化合物としては、特開2017-054703号公報及び国際公開第2015-005117号等に活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
被覆材には、導電剤が含まれていてもよい。導電剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様のものを好適に用いることができる。
正極活物質層22aには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調節したもの、及び、特開平10-255805号公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱などを使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着剤として用いられる溶液乾燥型の電極用バインダーは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質同士を強固に接着固定するものを意味する。したがって、上述した結着剤(溶液乾燥型の電極バインダー)と粘着性樹脂とは、異なる材料である。
正極活物質層22aには、電解質と非水溶媒を含む電解液が含まれていてもよい。電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用できる。非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの(例えば、リン酸エステル、ニトリル化合物等及びこれらの混合物等)等が使用できる。例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液を用いることができる。
正極活物質層22aには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
正極活物質層22aの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
<負極集電体の具体例>
負極集電体層21bを構成する負極集電体としては、正極集電体で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体層21bは、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。負極集電体層21bの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。
負極集電体層21bを構成する負極集電体としては、正極集電体で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体層21bは、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。負極集電体層21bの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。
<負極活物質の具体例>
負極活物質層22bは、負極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である負極活物質層22bを得る方法等は、正極活物質層22aが非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である正極活物質層22aを得る方法と同様である。
負極活物質層22bは、負極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である負極活物質層22bを得る方法等は、正極活物質層22aが非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である正極活物質層22aを得る方法と同様である。
負極活物質としては、例えば、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物などを用いることができるが、特に限定されない。
負極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆負極活物質であってもよい。負極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。
被覆材としては、被覆正極活物質を構成する被覆材と同様のものを好適に用いることができる。
負極活物質層22bは、電解質と非水溶媒を含む電解液を含有する。電解液の組成は、正極活物質層22aに含まれる電解液と同様の電解液を好適に用いることができる。
負極活物質層22bには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極活物質層22aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
負極活物質層22bには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、正極活物質層22aの任意成分である粘着性樹脂と同様のものを好適に用いることができる。
負極活物質層22bの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
<セパレータの具体例>
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液又はゲルポリマー電解質などが挙げられる。セパレータ30は、これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータ30の形態としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム等が挙げられるが、特に限定されない。
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液又はゲルポリマー電解質などが挙げられる。セパレータ30は、これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータ30の形態としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム等が挙げられるが、特に限定されない。
<枠体の具体例>
枠体35としては、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、例えば、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。枠体35を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。より具体的には、枠体35としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
枠体35としては、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、例えば、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。枠体35を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。より具体的には、枠体35としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
<製造装置及び電池用電極の製造方法>
次に、本実施形態の製造装置及び電池用電極の製造方法(以下、製造方法と略して呼ぶ)について説明する。例えば、電池製造装置及び製造方法では、まず正極20a及び負極20bが製造される。正極20aの製造方法と負極20bの製造方法とは、主に電極活物質層22に含まれる電極活物質が異なる。ここでは、電極20の製造方法として、正極20a及び負極20bの製造方法をまとめて説明する。
次に、本実施形態の製造装置及び電池用電極の製造方法(以下、製造方法と略して呼ぶ)について説明する。例えば、電池製造装置及び製造方法では、まず正極20a及び負極20bが製造される。正極20aの製造方法と負極20bの製造方法とは、主に電極活物質層22に含まれる電極活物質が異なる。ここでは、電極20の製造方法として、正極20a及び負極20bの製造方法をまとめて説明する。
図2は、製造装置1000の概略図である。例えば、製造装置1000は、チャンバ100、枠体供給装置200、活物質供給装置300、離型フィルム供給装置400、ローラ500及び離型フィルム回収装置600を含む。離型フィルム供給装置は、離型フィルム供給部の一例である。ローラ500は、圧縮部の一例である。なお、以下では、基材フィルムが帯状の集電体21Bである場合を一例として説明する。
チャンバ100は、内部を大気圧よりも減圧された状態に保持できる部屋である。チャンバ100の内部は、図示しない減圧ポンプにより大気圧よりも減圧される。なお、標準大気圧は、約1013hPa(約105Pa)である。
例えば、チャンバ100の外部に集電体ロール21Rが配置され、集電体ロール21Rから引き出された帯状の集電体21Bが、スリットを通してチャンバ100の内部に搬送される。なお、集電体21Bは、前記集電体21が所定の形状に切り出される前のものである。集電体21Bは、搬送方向Dに沿って搬送される。例えば、集電体21Bは、ベルトコンベア等の搬送装置によって、所定の速度で搬送される。以下では、集電体21Bが搬送される方向を下流側D1、その反対方向を上流側D2として説明する。なお、集電体ロール21Rが配置されるチャンバ100の外部空間は、常圧であってもよいし、チャンバ100と異なるチャンバによって減圧されていてもよい。
枠体供給装置200は、搬送される集電体21Bに対して枠体35を供給する。なお、図2では枠体供給装置200がチャンバ100の内部に配置される場合を示すが、枠体供給装置200はチャンバ100の外部に配置されてもよい。例えば、枠体供給装置200は、ロボットアームを有し、事前に製造された枠体35を、搬送される集電体21B上の所定の位置に配置する。なお、枠体35を集電体21Bに配置した後、集電体21B及び枠体35を挟み込むように、ローラ500と異なるロールプレスで圧縮することとしてもよい。
なお、枠体35を製造する方法については特に限定されるものではない。例えば、枠体35は、高分子材料等の所定の材料から成るシート乃至ブロックに対する切削加工によって、所定の形状に形成することができる。一例を挙げると、枠体35は、所定の材料から成る素材シートから打ち抜くことで得られる。
また、例えば、枠体35は、射出成形等の枠型を用いた手法によって、所定の形状に形成することができる。一例を挙げると、所定の形状の内部空間を有する金型が事前に作製され、当該金型に対する射出成形を行なうことにより、枠体35を所定の形状に形成することができる。
また、例えば、枠体35は、基材上に所定の材料を吐出したり塗布したりすることで、所定の形状に形成することができる。一例を挙げると、枠体35は、ディスペンサーによって所定の形状に形成することができる。即ち、ディスペンサーによる制御の下、ノズルから基材に対して所定の材料を所定の量だけ吐出させることにより、枠体35を形成することができる。別の例を挙げると、スクリーン印刷機等のコーターによって、基材上に所定の材料を所定の形状に塗布することで、枠体35を形成することができる。
より具体的には、枠体35は、ディスペンサーやコーター等によって、基材上に、所定の材料を所定の形状となるように吐出又は塗布し、乾燥後に基材から剥離させることで形成することができる。或いは、枠体35は、ディスペンサーやコーター等によって、基材上に、2液硬化樹脂やUV硬化用樹脂といった所定の材料を所定の形状となるように吐出又は塗布し、硬化後に基材から剥離させることで形成することができる。
その他、枠体35は、種々の手法によって所定の形状に形成することが可能である。例えば、所定の形状となるように、所定の材料から成るシート乃至ブロックを組むことによって、枠体35を所定の形状に形成してもよい。また、例えば、所定の材料から成るシートを基材の長手方向に配置し、垂直方向に当該材料を吐出又は塗布することで、枠体35を所定の形状に形成してもよい。或いは、枠体35は、任意方式の3Dプリンタによって製造することもできる。
また、図2においては予め製造された枠体35を集電体21B上に置くものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、枠体35は、集電体21Bの上で製造されてもよい。一例を挙げると、集電体21Bを基材とし、ディスペンサーやコーター等によって集電体21B上に所定の材料を所定の形状に吐出又は塗布することで、集電体21B上に枠体35を形成することができる。
活物質供給装置300は、図2に示す通り、チャンバ100内で搬送される集電体21B上に活物質22Cを供給する。活物質22Cは、電極活物質及び導電助剤を含む、複数の電極用造粒粒子のことを意味する。例えば、活物質供給装置300は、内部に活物質を保持するホッパと、当該ホッパの開口を開閉するシャッタとを備える。活物質供給装置300は、シャッタを開閉することにより、搬送される集電体21B上の搬送方向Dにおける所望の位置に、所望の量の活物質22Cを供給することができる。
図2に示す各工程の後、帯状の集電体21Bを所定単位ごとに分割することで、図1に示した集電体層21が形成される。活物質供給装置300は、分割される前の集電体層21(即ち、集電体21B)に対して活物質22Cを供給することで、集電体層21と活物質22Cとを含む部材が複数連なった部材シートを製造する。
離型フィルム供給装置400は、当該部材シートに対して、離型フィルム40Bを供給する。具体的には、離型フィルム供給装置400は、集電体21Bに対して積層された活物質22C対して、離型フィルム40Bを供給する。離型フィルム40Bの材質は特に限定されるものではないが、一例として、PET(Polyethylene terephthalate)を採用することができる。また、当該離型フィルム40Bの表面には離型剤を塗布することとしてもよい。例えば、離型フィルム供給装置400は、帯状の離型フィルム40Bをロール状に巻いた離型フィルムロール40Rと、離型フィルムロール40Rから離型フィルムを引き出す駆動機構とから構成される。離型フィルム供給装置400は、搬送方向Dに沿って所定速度で搬送される部材シートに対して、離型フィルム40Bを同じ所定速度で搬送しながら重ね合わせる。より具体的には、離型フィルム供給装置400は、搬送される部材シートの上方に位置するローラを駆動機構として備え、当該ローラにより、離型フィルム40Bを所定速度で搬送しながら部材シートに押し当てることで、部材シートに対して離型フィルム40Bを供給することができる。
ローラ500は、集電体21B上に供給された活物質22Cを圧縮することで、図1に示した活物質層22を形成する。具体的には、ローラ500は、集電体層21と離型フィルム40Bとの間に活物質22Cを挟んだ状態で部材シート及び離型フィルム40Bを挟み込んで圧縮する。即ち、ローラ500は、活物質22Cを、離形フィルム40Bを介して圧縮する。これにより、図1に示した単セル10のうち、一方の電極20が製造される。
離型フィルム回収装置600は、ローラ500によって圧縮された後の離形フィルム40Bを、活物質22Cから剥離させて回収する。例えば、離型フィルム回収装置600は、ローラ500によって圧縮された後の離型フィルム40Bを巻き取り、廃棄や再利用をしやすいロール状にして管理することができる。
図2に示したように、製造装置1000は、単セル10における一方の電極20を連続的に製造することができる。また、図2に示したように、製造装置1000において、活物質22Cの圧縮は、ローラ500と活物質22Cとの間に離型フィルム40Bを挟んで行われる。従って、製造装置1000は、ローラ500への活物質22Cの付着を防ぐことができる。即ち、製造装置1000は、活物質22Cの圧縮により形成される活物質層22の表面が不均一になったり、電極20に含まれる活物質22Cの量が不安定になったりすることを回避することができる。このように、製造装置1000は、電極20の製造効率及び品質を向上させることができる。
上述した各種工程の後、帯状の集電体21Bから集電体層21が適宜切り出されるなどして、電極20が製造される。また、一対の電極20(すなわち、正極20a及び負極20b)を、セパレータ30を介して互いに向かい合わせに積層するなどして、単セル10が製造される。例えば、図2に示した各種工程により、正極20a及び負極20bの一方の電極20が製造される。以下、図2に示した各種工程により製造された電極20を第1電極とし、他方の電極20を第2電極とする。即ち、図2に示した集電体21Bを切り出すことで形成される集電体層21、及び、ローラ500により活物質22Cを圧縮して形成される活物質層22は、第1電極側に対応する。
製造装置1000は、第1電極に対して、セパレータ30及び第2電極を合成することにより単セル10を製造する合成装置700を更に備えてもよい。図3に合成装置700の一例を示す。
例えば、合成装置700は、集電体層21bと、活物質層22bと、セパレータ30とを含む他極部材シートを保持する。集電体層21bは、第2電極側に対応する他極集電体層の一例である。また、活物質層22bは、集電体層21bに対して積層された、第2電極側に対応する他極活物質層の一例である。また、合成装置700は、集電体層21aと、活物質層22aとを含む部材シートを保持する。当該部材シートは、図2に示したローラ500により圧縮された後の部材シートである。そして、合成装置700は、図3に示すように、セパレータ30と活物質層22aとが接するように、他極部材シートを、ローラ500により圧縮された後の活物質22C及び集電体21Bに対して合成することで、単セル10を製造する。
上述した他極部材シートの製造方法は特に限定されるものではない。また、他極部材シートの合成は、単セル10ごと枚葉に行なってもよいし、例えば帯状の集電体21Bから集電体層21を切り出す前段階において連続的に行なってもよい。また、複数の単セル10を厚さ方向に積層し、複数の単セル10を外装体でシーリングすることなどにより、電池が製造することができる。
以上説明したように、実施形態の製造装置1000は、帯状の集電体21Bに対して積層された活物質22Cであって、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ100内で搬送方向Dに搬送される活物質22Cに対して、離形フィルム40Bを供給する離形フィルム供給装置400と、集電体21Bに供給された活物質22Cを、離形フィルム40Bを介して圧縮するローラ500とを備える。これにより、製造装置1000は、電極20の製造効率及び品質を向上させることができる。
また、製造装置1000は、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ100内で、集電体21B上への活物質22Cの供給や、活物質22Cの圧縮を行なう。これにより、製造装置1000は、活物質22Cに空気が含まれにくくすることができる。従って、製造装置1000は、活物質22Cの圧縮後の各種工程や電池の使用時等において、空気の膨張によって活物質層22の表面に凹凸が形成されるといった事態を回避することができる。
なお、上述した実施形態では、基材フィルムが集電体であるものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図2に示した帯状の集電体21Bに代えて、帯状のセパレータシート30Bを基材フィルムとしてもよい。この場合、セパレータシート30Bから切り出して製造されるセパレータ30は、基材フィルム層の一例である。また、製造装置1000は、セパレータ30と離形フィルム40Bとの間に活物質22Cを挟んだ状態で圧縮工程を行なうことにより、セパレータ30と活物質層22から成る部材を連続的に製造することができる。また、製造装置1000は、当該部材に対し、他極の活物質層22と、両極の集電体層を供給することにより、単セル10を製造することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。更に、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。例えば、実施形態では、枠体供給装置200は、活物質供給装置300よりも下流側D1に配置されてもよい。すなわち、集電体21B上に活物質22Cを供給した後で、集電体21B上に枠体35を供給してもよい。この場合、枠体供給装置200は、集電体21B上に供給された活物質22Cが枠体35の内部空間に入るように、集電体21B上に枠体35を供給する。この変形例のように構成することにより、集電体21B上に活物質22Cを供給した後で、集電体21B上に枠体35を供給することができる。また、集電体21Bに枠体35を供給する前に集電体21B上にマスクを形成しておき、その後の任意のタイミングで、マスクの位置に枠体35を供給してもよい。或いは、製造装置1000は、枠体供給装置200を備えなくてもよい。
10 単セル
21B 集電体
22C 活物質
35 枠体
40B 離型フィルム
100 チャンバ
200 枠体供給装置
300 活物質供給装置
400 離型フィルム供給装置
500 ローラ
600 離型フィルム回収装置
700 合成装置
D 搬送方向
D1 下流側
D2 上流側
21B 集電体
22C 活物質
35 枠体
40B 離型フィルム
100 チャンバ
200 枠体供給装置
300 活物質供給装置
400 離型フィルム供給装置
500 ローラ
600 離型フィルム回収装置
700 合成装置
D 搬送方向
D1 下流側
D2 上流側
Claims (4)
- 帯状の基材フィルムに対して積層された活物質であって、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向に搬送される活物質に対して、離形フィルムを供給する離形フィルム供給部と、
前記基材フィルムに供給された前記活物質を、前記離形フィルムを介して圧縮する圧縮部と
を備える、電池用電極製造装置。 - 前記圧縮部によって圧縮された後の前記離形フィルムを、前記活物質から剥離させる離形フィルム回収部を更に備える、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
- 前記基材フィルムは、集電体であり、
前記集電体及び前記活物質は、正極及び負極のいずれかである第1電極側に対応し、
前記第1電極側と異なる第2電極側に対応する他極集電体と、当該他極集電体に対して積層された前記第2電極側に対応する他極活物質と、当該他極活物質に対して積層されたセパレータとを含む他極部材シートを、前記セパレータと前記活物質とが接するように、前記圧縮部によって圧縮された後の前記活物質及び前記集電体に対して合成する合成部を更に備える、請求項2に記載の電池用電極製造装置。 - 帯状の基材フィルムに対して積層された活物質であって、内部が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で搬送方向に搬送される活物質に対して、離形フィルムを供給し、
前記基材フィルムに供給された前記活物質を、前記離形フィルムを介して圧縮する
ことを含む、電池用電極製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021104011A JP2023003069A (ja) | 2021-06-23 | 2021-06-23 | 電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法 |
PCT/JP2022/025201 WO2022270604A1 (ja) | 2021-06-23 | 2022-06-23 | 電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2021104011A Pending JP2023003069A (ja) | 2021-06-23 | 2021-06-23 | 電池用電極製造装置及び電池用電極製造方法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2023003069A (ja) |
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2021
- 2021-06-23 JP JP2021104011A patent/JP2023003069A/ja active Pending
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