JP2023002311A - 積層フィルム、包装袋、および包装体 - Google Patents

積層フィルム、包装袋、および包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】レトルト臭を低減することができるとともにラミネート強度が良好である積層フィルム、包装袋、および包装体を提供する。【解決手段】積層フィルム50は、所定の層10と、接着剤成分と、接着剤成分に混合された多価金属粒子または多価金属化合物粒子と、を含有する接着層20と、シーラント層30と、がこの順に積層しており、多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子が形成する凝集体の最小径に対する、凝集体の最大径の倍率は14.0倍以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、積層フィルム、包装袋、および包装体に関する。
被包装物の包装に用いられる包装材料は、被包装物の品質劣化を抑制する機能を有することが求められる。例えば、包装材料としては、一対の積層フィルムを貼り合わせて構成される包装袋が知られている。このような包装袋は、被包装物の品質劣化を防ぐために、優れた密封性を有することが求められる。
被包装物の例としては、食料品が挙げられる。食料品のうち、肉製品、および卵製品などの含硫アミノ酸を含む食品をボイル殺菌またはレトルト殺菌すると、特有の臭気が発生することがある。この臭気は、含硫アミノ酸の加水分解によって発生する硫化水素などの硫黄化合物に起因する。特許文献1、2では、このようなレトルト臭を低減するために、包装袋に多価金属化合物を含有する層を設けることが提案されている。
特開2014-61682号公報 特開2017-94533号公報
しかしながら、上記のような従来技術には以下のような問題がある。
包装体の被包装物は多種多様であり、被包装物は様々な成分を含有する。このうち特定の成分が、包装袋を形成する積層フィルムの各層を構成する成分と反応して、ラミネート強度に影響を及ぼす場合がある。例えば、特許文献1の多価金属化合物から形成される層は、被包装物の含有成分によっては積層フィルムの層間のラミネート強度に影響を及ぼす可能性がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、レトルト臭を低減することができるとともにラミネート強度が良好である積層フィルム、包装袋、および包装体を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る積層フィルムは、所定の層と、接着剤成分と、前記接着剤成分に混合された多価金属粒子または多価金属化合物粒子と、を含有する接着層と、シーラント層と、この順に積層しており、前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子が形成する凝集体の最小径に対する、前記凝集体の最大径の倍率は14.0倍以下である。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記凝集体の平均凝集体径は、150nm以下であってもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記凝集体のうち平均粒子径の10~200%の大きさの前記凝集体は、60個以上であってもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、径が3.0μm以上の前記凝集体はなくてもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、平均凝集体径と同程度の径の前記凝集体について、隣り合う前記凝集体どうしの距離の平均値である凝集体間の距離は、3.0μm以下であってもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記所定の層は、バリア層を有する基材フィルムであってもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記基材フィルムは、ナイロン層を有していてもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記接着層は、前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子を0.5質量%以上10質量%以下、含有していてもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子の平均粒子径が、10nm以上45nm以下であってもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子の比表面積が1m/g以上であってもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記接着層は、前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子を前記接着剤成分中に分散させる分散剤をさらに含んでもよい。
また、本発明に係る積層フィルムでは、前記接着剤成分は、2液硬化型接着剤の硬化物であってもよい。
また、本発明に係る包装袋は、フィルムを貼り合わせてなる包装袋であって、フィルムは、上記のいずれか1に記載された積層フィルムを含む。
また、本発明に係る包装体は、上記に記載の包装袋と、前記包装袋の中に収容される被包装物と、を備える。
また、本発明に係る包装体では、前記被包装物は、硫黄化合物を含有していてもよい。
本発明に係る積層フィルム、包装袋、および包装体によれば、レトルト臭を低減することができるとともにラミネート強度が良好である。
本発明の第1の実施形態に係る積層フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る積層フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る積層フィルムの一例を示す模式的な断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る包装袋および包装体の一例を示す模式的な正面図である。 本発明の第4の実施形態に係る包装袋の製造方法を示す模式的な斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係る包装袋および包装体の一例を示す模式的な斜視図である。 実施例2のSEM像観察の画像の例である。 比較例5のSEM像観察の画像の例である。
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づく。
以下、特定の数値範囲下において好適な数値範囲が複数例示される場合、好ましい最大の数値範囲に含まれれば、特に断らない限り、上限値と下限値との組合せは例示された組合せには限定されない。例えば、x1<x2<x3<x4とし、量Xの好ましい範囲として、「x1以上x4以下」と、「x2以上x3以下」と、が例示された場合、例えば、「x1を超えx4未満」、「x2以上x4以下」、「x3以上x4以下」などの各数値範囲も好ましい範囲である。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る積層フィルムについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る積層フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
図1に示す本実施形態の積層フィルム50は、基材フィルム(所定の層)10、接着層20、およびシーラント層30と、を備える。積層フィルム50における基材フィルム10、接着層20、およびシーラント層30は、この順に積層している。基材フィルム10、接着層20、およびシーラント層30はそれぞれ可視光を透過する光透過性を有する。このため、積層フィルム50は、厚さ方向(図示上下方向)に可視光が透過する光透過部を有する。図1に示す例では、光透過部は積層フィルム50の全体である。なお、積層フィルム50には、光透過部が設けられていなくてもよい。
積層フィルム50の光透過部は、JIS-K-7136に規定されるヘーズの測定方法に準拠して測定したヘーズが30%以下である。以下では、JIS-K-7136に規定されるヘーズを、単に「ヘーズ」と記載する。
基材フィルム10は、樹脂層12と、バリア層14と、を有する。なお、基材フィルム10は、バリア層14を備えていなくてもよい。
樹脂層12は、例えば、樹脂フィルムで構成される。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等で形成されたポリエステルフィルム;ポリエチレン、ポリプロピレン等で形成されたポリオレフィンフィルム;ポリスチレンフィルム;66-ナイロン等のポリアミドで形成されたポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリアクリロニトリルフィルム;ポリイミドフィルム;およびその他のエンジニアリングプラスチックで形成されたエンジニアリングプラスチックフィルム等が挙げられる。
樹脂層12を構成する樹脂フィルムは、上述の1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
例えば、樹脂層12は、同種の樹脂フィルムを複数積層することによって構成されてもよい。
樹脂フィルムは、延伸フィルムおよび未延伸フィルムのいずれであってもよい。樹脂フィルムは、少なくとも一つの延伸フィルムと少なくとも一つの未延伸フィルムとが積層されている多層フィルムであってもよい。
樹脂層12は、二軸方向に任意に延伸されたフィルムを有していてもよい。この場合、機械強度および寸法安定性を向上することができる。
樹脂層12は、特に強度と柔軟性を両立する観点では、ポリエステルフィルムおよび二軸延伸ポリプロピレンフィルムの一方または両方を有することがより好ましい。
樹脂層12は、特に強度を向上しコストを低減する観点では、ポリプロピレンフィルムおよびポリエチレンテレフタレートフィルムの一方または両方を有することがより好ましい。
樹脂層12は、特に強度を向上する観点では、ナイロンフィルムを有することがより好ましい。ナイロンフィルムは柔軟性に優れるため、ピンホールが生じにくい。このため、積層フィルム50を用いた包装袋で包装体を形成する場合に、積層フィルム50にピンホールが生じて被包装物が劣化してしまうことを抑制することができる。このような作用は、被包装物が食品である場合に特に有用である。
樹脂層12の厚さは、用途または必要な特性に応じた厚さとすることができ、特に限定されない。樹脂層12の厚さは、例えば、3μm以上100μm以下であってもよく、6μm以上50μm以下であることがより好ましい。
樹脂層12は適宜の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、フィラー、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、および酸化防止剤等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
樹脂層12の表面12aは、包装袋を形成する際に積層フィルム50の外面を形成する表面である。
樹脂層12の表面12bは、厚さ方向において表面12aと反対側の表面であり、後述するバリア層14との接合面である。
積層フィルム50には適宜の表面処理が施されてもよい。例えば、表面12bには、バリア層14の密着性を向上する適宜の表面処理が施されてもよい。表面処理の例としては、例えば、薬品処理、溶剤処理、コロナ処理、プラズマ処理、およびオゾン処理から選ばれる少なくとも1つの処理が挙げられる。
バリア層14は、少なくとも酸素および水蒸気に対するバリア性を有する層である。バリア層14は、樹脂層12の表面12bに積層される。
バリア層14の層数は、少なくとも1層のバリア性を有する層を含んでいれば、特に限定されない。
例えば、バリア層14が単層からなる場合の例としては、無機物からなる蒸着層、バリア性を有する樹脂からなるバリアフィルムなどが挙げられる。
例えば、バリア層14が多層で構成される場合の例としては、樹脂フィルムなどの表面にバリア性を有する無機物がコーティングされたバリアフィルムなどが挙げられる。
バリア層14に用いることができる無機物としては、シリカ、アルミニウム、ケイ素等が挙げられる。このような無機物は、単層でバリア層14を形成する場合、樹脂層12の表面に蒸着されてもよい。
バリア層14に用いることができる、バリアフィルムとしては、ナイロン系バリアフィルム、エチレンビニルアルコール系バリアフィルムなどが挙げられる。このようなバリアフィルムは、単層でバリア層14を形成する場合、押し出しラミネート、ドライラミネート、ウェットコーティングなどによって、樹脂層12に積層されてもよい。
例えば、バリア層14として、無機物がコーティングされたバリアフィルムが用いられる場合、無機物としては、シリカ、アルミニウム、ケイ素等などが用いられてもよい。この場合、バリアフィルムは、ドライラミネートなどによって、樹脂層12に積層されてもよい。
バリア層14は、以上に例示した1種が単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
バリア層14の層厚は特に限定されない。例えば、バリア層14が蒸着層からなる場合、層厚は、5nm以上100nm以下であってもよい。
バリア層14は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)、ドライラミネート法、エクストルージョンラミネート法等によって形成することができる。
接着層20は、バリア層14と、後述するシーラント層30とを接着する層である。
接着層20は、接着剤成分と、接着剤成分に混合された多価金属粒子または多価金属化合物粒子と、を含有する。
接着剤成分としては、例えば、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤、およびイソシアネート系接着剤などの硬化物が挙げられる。
接着層20における接着剤成分は、後述する多価金属粒子または多価金属化合物粒子の変質を抑制しやすい点で、2液硬化型接着剤で形成されることがより好ましい。
このような変質の抑制効果は、2液硬化型のウレタン系接着剤を用いた場合に一層顕著に現れる傾向にある。このため、2液硬化型接着剤の中では、ウレタン系接着剤を用いることが特に好ましい。
多価金属粒子は、多価イオンを生成する金属(以下、多価金属)で形成された粒子である。多価金属化合物粒子は、多価金属の化合物で形成された粒子である。
多価金属粒子または多価金属化合物粒子は、レトルト臭の原因となる物質(以下、臭い原因物質と称する場合がある)、例えば硫黄化合物などを、接着層20内で捕捉する目的で用いられる。臭い原因物質となる硫黄化合物としては、硫化水素、メルカプタン、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。
多価金属粒子および多価金属化合物粒子によって臭い原因物質を捕捉できる原理について、理論的に解明されているわけではないが、臭い原因物質の低減に効果があることは実験的に確かめることができる。
接着層20に混合する多価金属粒子および多価金属化合物粒子は、レトルト臭の原因となる化合物の捕捉作用があり、接着層20の接着剤成分の内部で、安定的に存在できれば特に限定されない。
多価金属粒子として、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属の粒子;チタン、ジルコニウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの遷移金属の粒子;およびアルミニウムの粒子などが用いられてもよい。
多価金属粒子は、接着層20の内部で安定的に存在しやすいように、表面に酸化被膜が形成されていたり、表面がコーティングされたりしていてもよい。
多価金属化合物粒子としては、例えば、多価金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩(例えば、酢酸塩)、無機酸塩などの粒子が挙げられる。多価金属化合物粒子としては、例えば、多価金属酸化物のアンモニウム錯体、多価金属酸化物の2~4級アミン錯体、またはそれらの炭酸塩もしくは有機酸塩の粒子が用いられてもよい。
接着層20の内部でより安定的に存在しやすい点では、多価金属化合物粒子が用いられることがより好ましい。
多価金属化合物粒子としては、接着剤成分中の安定性と、製造の容易さと、の観点では、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、マグネシウム化合物等の粒子が用いられることがより好ましい。扱いやすさと、コストと、の観点では、多価金属化合物粒子として、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの粒子が用いられることが特に好ましい。
以下では、簡単のため、接着剤成分中に混合する多価金属粒子または多価金属化合物粒子を「添加物粒子」と称する場合がある。
接着層20において、接着剤成分中に混合する添加物粒子は、1種類または2種類以上を用いることができる。
接着層20における添加物粒子の含有量は、特に限定されない。
添加物粒子の含有量が多いほど、臭い原因物質の捕捉量が増えるので、レトルト臭を抑制しやすい。一方、添加物粒子の含有量が多くなると、接着層20のラミネート強度が低下しやすくなったり、積層フィルム50の透明性が低下したりする可能性がある。
例えば、接着層20のラミネート強度および積層フィルムの透明性と、レトルト臭の低減作用と、を両立しやすい点では、接着層20における添加物粒子の含有量は、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以上5質量%以下であることがさらに好ましい。
添加物粒子の含有量が1質量%未満であると、レトルト臭の抑制効果が低すぎる可能性がある。
添加物粒子の含有量が10質量%を越えると、接着層20のラミネート強度が低くなりすぎたり、積層フィルムの透明性が低くなりすぎたりする可能性がある。
接着層20における添加物粒子の分布は、偏りが少ないことがより好ましい。例えば、凝集などによって添加物粒子の分布が特定の部位に集中すると、積層フィルム50における透明性にムラが生じやすくなる。接着層20における添加物粒子の分布の偏りは、ヘーズを低下させたり、ラミネート強度を低下させたりする原因にもなる。
特に、接着層20において、添加物粒子の大きな凝集体が形成されると粒状のムラになって目立ち易い。特に、粒状のムラが近接して並んだ場合、スジムラが形成されて一層目立ち易くなる。例えば、積層フィルム50が包装袋に使用され、光透過部によって包装袋の被包装物を外部から視認できるようにする場合、粒状のムラやスジムラが見えないことが好ましい。
例えば、接着層20のラミネート強度を向上する観点では、凝集体の最小径に対する凝集体の最大径の倍率は、14.0倍以下であることが好ましい。また、凝集体の平均凝集体径は、150nm以下であることが好ましい。
凝集体の径の測定は、積層フィルム50をミクロトームで断裁して断面をSEMで観察する。測定方法は、倍率10000倍で接着層20に沿い連続して10μmを5枚撮影する。撮影した5枚の中に含まれる凝集体の径(長径)のうち最大長さを「凝集体の最大径」とする。撮影した5枚の中に含まれる凝集体の径のうち最小長さを「凝集体の最小径」とする。「凝集体の最大径」を「凝集体の最小径」で割ったものが、「凝集体の最小径に対する凝集体の最大径の倍率」となる。「凝集体の平均凝集体径」は、撮影した5枚の中に含まれる凝集体の径(長径)を全て合計して、凝集体の個数で割ったものである。
ここで、「凝集体」は、広義の意味で用いており、厚さ方向において顕微鏡などで観察したときの見かけ上の塊を意味する。見かけ上の塊が、添加物粒子の凝集現象によって形成されているか、一定の領域における厚さ方向から見た分布密度が高いために塊状に見えるのか、は特に区別しない。
例えば、添加物粒子は、接着層20に浸透する臭い原因物質を吸着することによって、捕捉すると考えられる。
添加物粒子が臭い原因物質を効率的に捕捉できるようにするには、添加物粒子の比表面積が大きいほどより好ましい。ここで、比表面積は、添加物粒子の単位質量当たりの表面積を表す。例えば、添加物粒子の比表面積は、1m/g以上であってもよく、5m/g以上であることがより好ましい。
比表面積が大きくなると添加物粒子の粒径が小さくなりすぎ、例えば、環境中に飛散しやすくなるので、取り扱いに注意を要する。製造工程において添加物粒子の取り扱いを容易にする観点では、添加物粒子の比表面積は、100m/g以下であってもよく、50m/gであることがより好ましい。
添加物粒子の一次粒子としての平均粒子径が大きすぎると、3.0μmを超える凝集体が形成されやすくなるので、添加物粒子の平均粒子径は小さい方がより好ましい。ただし、添加物粒子に平均粒子径がある程度小さいと、凝集体の最大径は製造工程における混合方法によって変化し、平均粒子径の大きさと凝集体の最大径との相関は弱くなる。
以下、特に断らない限り、添加物粒子の一次粒子としての平均粒子径を、単に添加物粒子の平均粒子径と表記する。平均粒子径は、粉体を透過型電子顕微鏡(TEM)にて5万~20万倍に拡大した像から、面積円相当径を求め、以下の一般式から算出される。平均粒子径=測定粒子の面積円相当径の総和/測定粒子数(測定粒子数は少なくとも100個以上)の式で表される。
添加物粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、5nm以上100nm以下であってもよく、10nm以上60nm以下であることがより好ましく、20nm以上45nm以下であることがさらに好ましい。
例えば、添加物粒子の平均粒子径が5nm未満であると、製造コストが高くなったり、製造工程における取り扱いが難しくなったりする可能性がある。
例えば、添加物粒子の平均粒子径が100nmを超えると、比表面積が小さくなるので臭い原因物質の捕捉効果が低下する可能性がある。
接着剤成分中における添加物粒子の凝集体の大きさを低減するために、接着層20には、添加物粒子100質量部に対して、分散剤を1質量部以上50質量部以下含有していてもよい。
分散剤の種類は、接着剤成分を形成するための液状の接着剤成分中に添加物粒子を分散させることができれば特に限定されない。
例えば、分散剤としては、(ポリ)エステル酸塩、ポリエーテルリン酸エステル、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルフォコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、芳香族リン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、アルキルアリル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ソルビタンアルキルエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの分散剤は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
接着層20のラミネート強度は、JIS Z 0238:1998に準拠して、テンシロン型引張試験機を用いてT型剥離法(クロスヘッドスピード:300mm/分)で測定する。
接着層20のラミネート強度は、例えば、6N/15mm幅以上であればよく、7N/15mm幅以上であることがより好ましい。
接着層20の厚さは、積層フィルム50を包装袋に形成する場合のラミネート強度が良好であり、かつ臭い原因物質の低減効果が良好であれば、特に限定されない。
接着層20の厚さは、例えば、0.01μm以上5μm以下であってもよく、0.03μm以上3μm以下であることがより好ましい。
接着層20の厚さが0.01μm未満であると、ラミネート強度が低下するとともに、臭い原因物質の捕捉量が少なすぎる可能性がある。
接着層20の厚さが5μmを越えると、積層フィルム50が厚くなり過ぎる可能性がある。
シーラント層30は、積層フィルム50を他の積層フィルムと熱融着によって貼り合わせるための層である。シーラント層30は、熱によって溶融し、他の積層フィルムにおけるシーラント層と相互に融着することができれば、特に限定されない。
シーラント層30の材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーアクリル酸メチル共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン共重合体などの樹脂が挙げられる。シーラント層30に用いる樹脂は、例示された樹脂のいずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
例えば、積層フィルム50によってボイル殺菌またはレトルト殺菌をする包装体を形成する場合には、十分な密着性を維持する観点から、シーラント層30として、無延伸のポリプロピレン樹脂を含むことがより好ましい。
シーラント層30は、樹脂組成物を押出しラミネーションによって成膜しながら接着層20の上に積層してもよいし、フィルム化したシートを接着層20に貼り合わせてもよい。
シーラント層30の厚さは、例えば10μm以上150μm以下であってもよく、30μm以上80μm以下であることがより好ましい。
次に積層フィルム50の製造方法の例を説明する。
まず、樹脂層12を形成する樹脂フィルムに、バリア層14が積層された基材フィルム10を準備する。
この後、基材フィルム10のバリア層14上に接着層20と、シーラント層30と、をこの順に積層する。
積層方法として、例えば、ドライラミネーションが用いられてもよい。
例えば、硬化後に接着層20の接着剤成分を形成する接着剤に、添加物粒子を混合した塗工液を調製し、ドライラミネーション機によって、塗工液を基材フィルム10のバリア層14の表面に塗工、乾燥させ、シーラント層30を形成する樹脂フィルムと基材フィルム10とを熱ロールを用いて熱圧着する。
塗工液の塗工方法としては、特に限定されない。例えば、塗工液は、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布できる。
なお、積層方法としてはノンソルラミネータを使用することができ、接着層20の接着成分としてノンソル接着剤添加物粒子を混合した塗工液を使用することもできる。
塗工液を調製する際には、接着剤成分を形成する接着剤に添加物粒子を混合し、添加物粒子の凝集体の大きさが3.0μm以下になるように充分に撹拌することがより好ましい。撹拌を行うことによって、添加物粒子が塗工液に分散する。
添加物粒子の凝集体の大きさを小さくするために、塗工液には、分散剤を添加することがより好ましい。分散剤は、添加物粒子とともに接着剤に直接添加されてもよいが、添加物粒子と分散剤とを溶剤に分散させた粒子分散液を形成した後に粒子分散液と接着剤とを混合し、撹拌して、塗工液を調製することがより好ましい。この場合、塗工液中の添加物粒子の分散が促進される。
添加物粒子は、添加物粒子と分散剤と溶媒を混合した状態で、添加物粒子を微細化する物理的解繊処理を施すことがより好ましい。これにより、塗工液中の添加物粒子の微細化と分散とが促進される。
物理的解繊処理としては、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、ボールミル、ロールミル、カッターミル、遊星ミル、ジェットミル、アトライター、グラインダー、ジューサーミキサー、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、ナノジナイザー、水中対向衝突などの機械的処理が挙げられる。
上述の1以上の手段を用いて、塗工液中に微細化された添加物粒子を分散させる分散処理を行うことによって、塗工液中の凝集体の成長を抑制することができる。
分散処理を行うことによって、塗工液における沈殿物の発生も抑制されるので、添加物粒子を効率的に塗工液中に分散させることができる。
塗工液が準備されたら、塗工前にろ過処理を行うことがより好ましい。
積層フィルム50は、酸素および水蒸気に対するバリア性を有するバリア層14を備えるため、樹脂層12を透過した酸素および水蒸気が、接着層20とシーラント層30とを透過することが抑制される。このため、酸素や水蒸気等が包装袋内に侵入することを抑制することができる。これにより、積層フィルム50によって形成された包装袋に被包装物を収容した包装体では、酸素および水蒸気の少なくとも一方に起因する被包装物の劣化を抑制することができる。外部から浸透する酸素および水蒸気の少なくとも一方に起因する多価金属粒子または多価金属化合物粒子の劣化も同様に抑制できる。
積層フィルム50は、基材フィルム10とシーラント層30との間に、多価金属粒子または多価金属化合物粒子を含有する接着層20を有するので、シーラント層30を通して接着層20に浸透した硫黄化合物などの臭い原因物質を吸着することができる。このため、積層フィルム50によって形成された包装袋に被包装物を収容した包装体では、被包装物に由来する硫黄化合物などの臭い原因物質が接着層20に浸透するにつれて、多価金属粒子または多価金属化合物粒子に捕捉される。この結果、被包装物におけるレトルト臭を低減することができる。
多価金属粒子または多価金属化合物粒子が含有されていることで、接着層20のラミネート強度の低下が抑制される。多価金属粒子または多価金属化合物粒子は、接着層20の接着剤成分に混合されているので、多価金属粒子または多価金属化合物粒子が被包装物に含まれる酢酸やアミノ酸などの成分と反応して変質することも抑制できる。このため、臭い原因物質の低減効果と、ラミネート強度と、が経時的に低下しにくくなる。
以上説明したように、本実施形態の積層フィルム50によれば、レトルト臭を低減することができるとともにラミネート強度が良好である積層フィルムを提供することができる。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る積層フィルムについて説明する。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る積層フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
図2に示す本実施形態の積層フィルム60は、第1の実施形態の積層フィルム50における基材フィルム10に代えて基材フィルム(所定の層)10Aを備える。
基材フィルム10Aは、バリア層14と接着層20との間に、接着層16と、中間層18と、をこの順に備える。以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
接着層16は、バリア層14と中間層18とを接着する層である。
接着層16は、接着層20における接着剤成分として例示された材料のうち、1種以上の材料が用いられる。接着層16は、積層フィルム60における接着層20と同様の材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。
接着層16には、添加物粒子が含まれていなくてもよいし、添加物粒子が含まれていてもよい。
接着層16に添加物粒子が含まれる場合、積層フィルム60は、添加物粒子が含まれる接着層を複数有する場合の例になっている。
接着層16に添加物粒子が含まれる場合、接着層16における添加物粒子の種類、含有量、比表面積、層厚、および平均粒子径は、特に限定されない。
例えば、接着層16における添加物粒子の種類、含有量、比表面積、層厚、および平均粒子径は、積層フィルム50における接着層20において例示されたのと同様な種類および好適な数値範囲であることがより好ましい。
積層フィルム60における接着層20の種類、含有量、比表面積、層厚、および平均粒子径も同様である。
接着層16に添加物粒子が含まれる場合、積層フィルム60における添加物粒子の凝集体の最大径および分布は、特に限定されない。
積層フィルム60における添加物粒子の凝集体の最大径は、積層フィルム60における接着層20、16のそれぞれが、積層フィルム50における接着層20の好ましい範囲であることがより好ましい。
積層フィルム60における添加物粒子の凝集体の分布は、積層フィルム60において接着層20、16のそれぞれが、積層フィルム50における接着層20の好ましい範囲であることがより好ましい。
中間層18は、バリア層14とシーラント層30の間に配置された樹脂層である。中間層18は、接着層16を介してバリア層14に、接着層20を介してシーラント層30に、それぞれ接着されている。
中間層18の材料は、特に限定されない。
中間層18の種類は、積層フィルム60の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、酸素バリア性、水蒸気バリア性、機械的強度、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性、および耐遮光性のうち少なくとも1つの特性に優れる樹脂フィルムを選択すれば、当該特性が積層フィルム60において向上する。
例えば、中間層18の好適な材料として、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン-プロピレン共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、または蒸着層を有する樹脂フィルムが挙げられる。
例えば、中間層18としてナイロンを用いることによって、柔軟性が向上し、大きな外力が加わった場合であっても、ピンホールの発生を抑制することができる。このため、積層フィルム50を用いた包装袋で包装体を形成する場合に、積層フィルム60にピンホールが生じて被包装物が劣化してしまうことを抑制することができる。このような作用は、被包装物が食品である場合に特に有用である。
本実施形態の積層フィルム60は、基材フィルム10に代えて、バリア層14に接着層16と中間層18とを積層させた基材フィルム10Aを形成する以外は、積層フィルム50と同様にして製造できる。
特に接着層16が添加物粒子を含む場合、接着層16は、第1の実施形態における接着層20と同様にして製造できる。
本実施形態の積層フィルム60によれば、バリア層14と接着層20の間に、接着層16と中間層18とが積層された以外は、第1の実施形態の積層フィルム50と同様の構成を有するのでレトルト臭を低減することができるとともにラミネート強度が良好である積層フィルムを提供することができる。
特に、積層フィルム60によれば、中間層18を含むので、中間層18の特性に応じて積層フィルム60の特性を向上できる。
さらに、接着層16に多価金属粒子または多価金属化合物粒子を含む場合、臭い原因物質を捕捉する層が2層あるので、臭い原因物質の低減効果を向上できる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る積層フィルムについて説明する。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る積層フィルムの一例を示す模式的な断面図である。
図3に示す本実施形態の積層フィルム70は、第2の実施形態の積層フィルム70における基材フィルム10Aに代えて基材フィルム(所定の層)10Bを備える。積層フィルム70は、樹脂層12と、接着層16と、中間層18と、接着層16Bと、中間層18Bと、を備え、この順に積層されている。以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
接着層16は、樹脂層12と中間層18とを接着する層である。接着層16Bは、中間層18と、中間層18Bとを接着する層である。
接着層16,16Bは、接着層20における接着剤成分として例示された材料のうち、1種以上の材料が用いられる。接着層16,16Bは、積層フィルム70における接着層20と同様の材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。
接着層16,16Bには、添加物粒子が含まれていなくてもよいし、添加物粒子が含まれていてもよい。
接着層16,16Bに添加物粒子が含まれる場合、積層フィルム70は、添加物粒子が含まれる接着層を複数有する場合の例になっている。
接着層16,16Bに添加物粒子が含まれる場合、接着層16,16Bにおける添加物粒子の種類、含有量、比表面積、層厚、および平均粒子径は、特に限定されない。
例えば、接着層16,16Bにおける添加物粒子の種類、含有量、比表面積、層厚、および平均粒子径は、積層フィルム50における接着層20において例示されたのと同様な種類および好適な数値範囲であることがより好ましい。
積層フィルム70における接着層20の種類、含有量、比表面積、層厚、および平均粒子径も同様である。
接着層16,16Bに添加物粒子が含まれる場合、積層フィルム70における添加物粒子の凝集体の最大径および分布は、特に限定されない。
積層フィルム70における添加物粒子の凝集体の最大径は、積層フィルム70における接着層16、16Bのそれぞれが、積層フィルム50における接着層20の好ましい範囲であることがより好ましい。
積層フィルム70における添加物粒子の凝集体の分布は、積層フィルム70において接着層16、16Bのそれぞれが、積層フィルム50における接着層20の好ましい範囲であることがより好ましい。
中間層18は、樹脂層12と中間層18Bとの間に配置された樹脂層である。中間層18は、接着層16を介して樹脂層12に、接着層16Bを介して中間層18Bに、それぞれ接着されている。
中間層18の材料は、特に限定されない。
中間層18の種類は、積層フィルム70の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、酸素バリア性、水蒸気バリア性、機械的強度、耐屈曲性、耐突き刺し性、耐衝撃性、耐磨耗性、耐寒性、耐熱性、耐薬品性、および耐遮光性のうち少なくとも1つの特性に優れる樹脂フィルムを選択すれば、当該特性が積層フィルム70において向上する。
例えば、中間層18の好適な材料として、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン-プロピレン共重合体、およびエチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルム、または蒸着層を有する樹脂フィルムが挙げられる。
例えば、中間層18としてナイロンを用いることによって、柔軟性が向上し、大きな外力が加わった場合であっても、ピンホールの発生を抑制することができる。このため、積層フィルム70を用いた包装袋で包装体を形成する場合に、積層フィルム70にピンホールが生じて被包装物が劣化してしまうことを抑制することができる。このような作用は、被包装物が食品である場合に特に有用である。
中間層18Bは、中間層18とシーラント層30との間に配置された層である。中間層18Bは、接着層16Bを介して中間層18に、接着層20を介してシーラント層30に、それぞれ接着されている。
例えば、中間層18,18Bとしてアルミフィルム箔を用いることができる。アルミフィルム箔は、気体や液体を通しにくく、光を遮光する特性を有している。このため、積層フィルム70を用いた包装袋で包装体を形成する場合に、被包装物が劣化してしまうことを抑制することができる。また、匂いを逃がさないため、香りが抜けて風味が劣化してしまうことを抑制することができる。このような作用は、被包装物が食品である場合に特に有用である。
本実施形態の積層フィルム70によれば、レトルト臭を低減することができるとともにラミネート強度が良好である積層フィルムを提供することができる。
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態に係る包装袋および包装体について説明する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る包装袋および包装体の一例を示す模式的な正面図である。
図4に示すように、本実施形態の包装体200は、本実施形態の包装袋100と、包装袋100の内部に収容された被包装物110と、を備える。
包装袋100は、略矩形に切断された一対の積層フィルム50の周縁を貼り合わせてなるシール部101と、シール部101によって囲まれた一対の積層フィルム50の間に形成された収容部102と、を備える。すなわち、包装袋100は、側端部、下端部および上端部がシール部101によってシールされている。
収容部102は、一対の積層フィルム50の間に挟まれシール部101に包囲された収容空間を形成しており、例えば、食料品等の被包装物110が収容されている。
例えば、包装体200は、食料品からなる被包装物110を加熱殺菌し、包装袋100で密封したレトルト食品であってもよい。
一対の積層フィルム50は、第1の実施形態の積層フィルム50を適宜の大きさに切断して形成される。
一対の積層フィルム50は、それぞれのシーラント層30同士が対向するように重ね合わせられている。各シーラント層30は、一対の積層フィルム50の外周部において熱融着されている。これにより、シール部101が形成されている。
包装袋100は、開封手段120を備えている。例えば、開封手段120は、側端部のシール部101に形成される一対の易開封加工部124と、一対の易開封加工部124の間に切り開きの軌道となるハーフカット線121と、を有する。
易開封加工部124は、包装袋100を容易に開封できる構成であれば、特に限定されない。例えば、易開封加工部124は、シール部101の表面に形成された微細な凹部の集まりからなる傷痕群によって形成されていてもよい。例えば、易開封加工部124は、シール部101の端縁において厚さ方向に貫通するノッチであってもよい。ノッチの形状は特に限定されず、例えば、V字状、U字、I字状等のノッチであってもよい。
例えば、ハーフカット線121は、レーザー加工によって形成することができる。
包装袋100および包装体200の製造方法について説明する。
図5は、本発明の第4の実施形態に係る包装袋の製造方法を示す模式的な斜視図である。
包装袋100の外形に合わせて切断された一対の積層フィルム50を準備する。
この後、図5に示すように、各積層フィルム50のシーラント層30同士を対向させ、各積層フィルム50の下端部および側端部のシーラント層30同士を熱融着する。
これにより、下端部および側端部にシール部101が形成される。シール部101でU字状に包囲された各積層フィルム50の内側には、収容部102が形成される。
包装袋100の上端には、収容部102に連通する開口部が形成される。
この後、未シール状態にある包装袋100の上端部から被包装物110を充填する。この後、上端部において互いに対向する積層フィルム50のシーラント層30同士を熱融着して、上端部にもシール部101を形成する。このようにして、図4に示すような包装体200を製造することができる。
本実施形態の包装袋100においては、収容部102が第1の実施形態と同様の積層フィルム50によって形成されている。
各積層フィルム50は、バリア層14を有するので、外部から内部に浸透する酸素および水蒸気を抑制し、酸素および水蒸気に起因するバリア層14よりも内側の部材および被包装物110の劣化を抑制できる。
各積層フィルム50は、バリア層14よりも内側(被包装物側)の接着層20内に、多価金属粒子または多価金属化合物粒子を含んでいる。このため、被包装物110から発生する硫黄化合物などのレトルト臭の原因物質を長期間に亘って吸着することができる。このため、包装袋100は、収容部102内の被包装物110の内部に蓄積するレトルト臭の原因物質が収容部102内に被包装物110に蓄積するのを抑制することができる。
この結果、包装体200を開封した場合に発生するレトルト臭を低減することができる。
被包装物110は、その種類に応じて、多価金属粒子または多価金属化合物粒子を変質させ、レトルト臭の捕捉作用を劣化させる成分(劣化原因成分)が含まれている場合がある。例えば、種々の食品に含まれる酢酸などの酸は、多価金属粒子または多価金属化合物粒子を変質させやすい。
本実施形態では、多価金属粒子または多価金属化合物粒子が接着剤成分中に混合され、接着剤成分で覆われているので、例えば、多価金属粒子または多価金属化合物粒子と、劣化原因成分との化学反応が抑制されるため、多価金属粒子または多価金属化合物粒子が劣化しにくい。
以上説明したように、本実施形態の包装袋100および包装体200によれば、第1の実施形態の積層フィルム50を備えるので、第1の実施形態と同様、レトルト臭を低減することができるとともにラミネート強度が良好である包装袋および包装体を提供することができる。なお、積層フィルム50に代えて、第2の実施形態の積層フィルム60または第3の実施形態の積層フィルム70を採用しても同様の作用を備える。
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態に係る包装袋および包装体について説明する。
図6は、本発明の第5の実施形態に係る包装袋および包装体の一例を示す模式的な斜視図である。
図6に示すように、本実施形態の包装体210は、包装袋150と、第4の実施形態と同様の被包装物110と、を備える。
包装袋150は、1対の積層フィルム50と、各積層フィルム50の下端部に接着された底テープとを備えるスタンディングパウチである。底テープ152は、積層フィルム50と同様の層構成を有する積層フィルムで構成される。
本実施形態の包装袋150および包装体210は、底テープ152を含むことにより、スタンディングパウチの形状に形成されている以外は、第4の実施形態の包装袋100および包装体200と同様に構成される。
包装体210は、一対の積層フィルム50および底テープ152を用いた周知のスタンディングパウチの製造方法によって上端部に開口が形成された包装袋150を製造した後、上端部から被包装物110を充填し、上端部をシールしてシール部101を形成することによって製造できる。
本実施形態の包装袋150および包装体210は、第4の実施形態と同様、積層フィルム50を備えるので、第4の実施形態と同様の作用を備える。なお、積層フィルム50に代えて、第2の実施形態の積層フィルム60または第3の実施形態の積層フィルム70を採用しても同様の作用を備える。
なお、上記各実施形態では、積層フィルム50、60の全体が光透過部になっている例で説明した。
しかし、積層フィルム50、60の適宜の部位に、印刷層を設けることによって、積層フィルム50、60の一部に遮光部を形成することによって、積層フィルム50、60の一部に光透過部を形成してもよい。
例えば、第4の実施形態のように、一対の積層フィルム50によって包装袋100を形成する場合、一対の積層フィルム50の一方または両方には、印刷層による遮光部が形成されてもよい。
例えば、積層フィルム50、60において、印刷層は、樹脂層12とバリア層14との間に設けられてもよい。
印刷層は、例えば、ウレタン系、アクリル系、ニトロセルロース系、またはゴム系などのバインダー樹脂に、各種顔料、可塑剤、乾燥剤、および安定剤などを添加してなるインキにより構成される層である。この印刷層によって、文字、絵柄などを表示することができる。印刷方法としては、例えば、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷などの公知の印刷方法を用いることができる。
印刷層を形成する樹脂層12の表面12bには、予め前処理としてコロナ処理またはオゾン処理を施してもよい。この場合、印刷層と樹脂層12との密着性を向上させることができる。
上記第1および第2の実施形態における積層フィルムの層構成は、一例である。例えば、積層フィルムは、接着層20とシーラント層30の間、または樹脂層12とバリア層14の間に、積層フィルムの機能を大きく損なわない範囲で、任意の層または薄膜を備えていてもよい。
上記第2の実施形態の説明では、多価金属粒子または多価金属化合物粒子が、積層フィルム60の接着層20に含有されている例と、積層フィルム60の接着層20、16の両方に含有されている例と、を説明した。しかし、多価金属粒子または多価金属化合物粒子は、接着層16のみに含有されていてもよい。
上記第2の実施形態の説明では、中間層が1層の例で説明した。しかし、積層フィルムには、中間層が2層以上含まれてもよい。
樹脂層12と、接着層16と、中間層18と、接着層16と、アルミニウムを含むバリア層14と、接着層20と、シーラント層30とがこの順に積層されていてもよい。
樹脂層12と、接着層16と、アルミニウムを含むバリア層14と、接着層20と、シーラント層30とが、この順に積層されていてもよい。
バリア層14と、接着層16と、中間層18と、接着層20と、シーラント層30とが、この順に積層されていてもよい。
樹脂層12と、接着層16と、中間層18と、接着層20と、シーラント層30とが、この順に積層されていてもよい。
中間層18と、接着層20と、シーラント層30とが、この順に積層されていてもよい。
樹脂層12と、接着層20と、シーラント層30とが、この順に積層されていてもよい。
中間層18と、バリア層14と、接着層20と、シーラント層30とがこの順に積層されていてもよい。
シーラント層30は、樹脂層12と同様に構成であってもよい。
遮光印刷によって遮光性を付与するように構成されていてもよい。
ベタ印刷層は、樹脂層12またはバリア層14に設けられていてもよい。例えば、樹脂層12と、接着層16と、中間層18と、接着層20と、シーラント層30とがこの順に積層されている場合には、樹脂層12に設けられたベタ印刷層は、樹脂層12と接着層16との間に配置される。
また例えば、樹脂層12と、バリア層14と、接着層16と、中間層18と、接着層20と、シーラント層30とがこの順に積層されている場合には、バリア層14に設けられたベタ印刷層は、バリア層14と接着層16との間に配置される。
上記第4の実施形態では、一対の積層フィルム50を用いて包装袋100および包装体200を形成する例で説明した。
しかし、図4、5に示すように、一対の積層フィルム50に代えて、一対の積層フィルム60、70によって、包装袋100Aおよび包装体200Aを形成してもよい。
包装袋100Aおよび包装体200Aは、一対の積層フィルム50に代えて一対の積層フィルム60を用いる以外は、包装袋100および包装体200と同様にして製造できる。
包装袋100Aおよび包装体200Aは、一対の積層フィルム60を備えるので、積層フィルム60と同様の作用を備える。
上記第4の実施形態では、一対の積層フィルム50を用いて包装袋150および包装体210を形成する例で説明した。
しかし、図6に示すように、一対の積層フィルム50に代えて、一対の積層フィルム60、70によって、包装袋150Aおよび包装体210Aを形成してもよい。
包装袋150Aおよび包装体210Aは、一対の積層フィルム50に代えて一対の積層フィルム60を用いる以外は、包装袋150および包装体210と同様にして製造できる。
包装袋150Aおよび包装体210Aは、一対の積層フィルム60を備えるので、積層フィルム60と同様の作用を備える。
上記第4および第5の実施形態では、一対の積層フィルム50を用いて包装袋および包装体を形成する例で説明した。しかし、包装袋および包装体の一部の外周部に積層フィルム50が使用されていれば、他の外周部の積層フィルムは、積層フィルム50と異なる層構成を備えていてもよい。
例えば、1枚の積層フィルム50に含有される多価金属粒子または多価金属化合物粒子によって、レトルト臭を抑制できる場合には、他の積層フィルムには、多価金属粒子または多価金属化合物粒子が含有されなくてもよい。
上記第4および第5の実施形態では、包装袋が、四方袋およびスタンディングパウチの例で説明したが、包装袋の形状は、これらには限定されず、周知の他の袋形状を有していてもよい。
例えば、包装袋の形状は、二方袋、三方袋、または合掌袋でもよい。
例えば、包装袋は、口栓または帯状の突起部と、帯状の溝部と、が嵌合することによって繰り返し密封することが可能な合成樹脂製のファスナーを備えていてもよい。
包装袋は、レトルト包材、ボイル包材、電子レンジ包材などのいずれか一または複数の機能を有していてもよい。
上記第4および第5の実施形態では、被包装物110が食料品の例で説明したが、被包装物110は、食料品には限定されない。
被包装物110は、カレー、おでん、麺つゆ、調味液、パスタソース、惣菜、スープ、釜めしの素およびペットフードであってもよい。
次に、本発明の実施形態の実施例1~31について、比較例1~20とともに説明する。実施例1~22および比較例1~14構成は、本発明の第2の実施形態の構成である。実施例23~31及び比較例15~20の構成は、本発明の第3の実施形態の構成である。
まず、実施例1~31および比較例1~20の積層フィルムの製造に用いた粒子分散液についてまとめて説明する。各粒子分散液は、多価金属化合物粒子を含有する接着剤の製造に用いられた。
下記の[表1]に実施例1~31および比較例1~20の積層フィルムの製造に用いた粒子分散液の組成と分散処理とを示す。
Figure 2023002311000002
[粒子分散液11Aa]
[表1]に示すように、粒子分散液11Aaは、酢酸エチル中に、多価金属酸化物である酸化亜鉛(ZnO)の微粒子(以下、酸化亜鉛粒子)を分散させて調製された。
粒子分散液11Aaは以下のように調製された。
まず、溶媒である酢酸エチルに、酸化亜鉛粒子を添加して混合液を形成した。酸化亜鉛粒子としては、平均粒子径が35nmのFINEX-30(商品名;堺化学工業(株)製)が用いられた。FINEX(登録商標)-30の添加量は、混合液の固形分濃度が30質量%となる量とされた。
この後、混合液に、ポリエステル酸アミドアミン塩と、アルキルシクロヘキサンと、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを含有する分散剤Aを添加した。分散剤Aは、高分子量ポリエステル酸のアマインドアミン酸を主成分とする分散剤である。
分散剤Aの添加量は、混合液における酸化亜鉛粒子の固形分を100質量部として、5質量部とした。
この混合液に、遊星型ボールミルを用いた分散処理([表1]には「ビーズミル」と記載)を施した。
これにより、溶媒中に酸化亜鉛粒子が分散した粒子分散液11Aaが調製された。
[粒子分散液11Ba]
粒子分散液11Baは、分散剤の添加量を40質量部とした以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。
[粒子分散液11Ca]
粒子分散液11Caは、分散剤の添加量を20質量部とした以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。
[粒子分散液12Aa、12Ba]
粒子分散液12Aaは、分散剤として、分散剤Aに代えて、リン酸エステルを含有する分散剤Bを用いた以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。分散剤Bは、ポリエーテル燐酸エステル化合物系の分散剤である。
粒子分散液12Baは、分散剤の添加量を40質量部とした以外は、粒子分散液12Aaと同様にして調製された。
[粒子分散液13Aa、13Ba]
粒子分散液13Aaは、分散剤として、分散剤Aに代えて、塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合物と、アセトンと、メタノールを含有する分散剤Cを用いた以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。分散剤Cは、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂を主成分とする分散剤である。
粒子分散液13Baは、分散剤の添加量を40質量部とした以外は、粒子分散液13Aaと同様にして調製された。
[粒子分散液14Aa、14Ba、14Ca]
粒子分散液14Aaは、一次粒子としての平均粒子径が35nmのFINEX-30(登録商標)に代えて一次粒子としての平均粒子径が20nmの酸化亜鉛粒子であるFINEX(登録商標)-50(商品名;堺化学工業(株)製)が用いられた以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。
粒子分散液14Baは、分散剤の添加量を40質量部とした以外は、粒子分散液14Aaと同様にして調製された。
粒子分散液14Caは、分散剤の添加量を20質量部とした以外は、粒子分散液14Aaと同様にして調製された。
[粒子分散液15Aa、15Ba]
粒子分散液15Aaは、FINEX(登録商標)-30に代えて、一次粒子としての平均粒子径が60nmの酸化亜鉛粒子であるFINEX(登録商標)-20を用いた以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。
粒子分散液15Baは、分散剤の添加量を40質量部とした以外は、粒子分散液15Aaと同様にして調製された。
[粒子分散液100a、200a、300a、400a]
粒子分散液100aは、分散剤が添加されなかった以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。
粒子分散液200aは、酸化亜鉛粒子に代えて、富士フィルム和光純薬(株)製の酸化アルミニウム(Al2O3)の粒子(以下、酸化アルミニウム粒子)が用いられた以外は、粒子分散液100aと同様にして調製された。酸化アルミニウム粒子の平均粒子径は45nmであった。
粒子分散液300aは、酸化亜鉛粒子に代えて、Stream Chemicals社製の酸化マグネシウム(MgO)の粒子(以下、酸化マグネシウム粒子)が用いられた以外は、粒子分散液100aと同様にして調製された。酸化マグネシウム粒子の平均粒子径は20nmであった。
粒子分散液400aは、FINEX(登録商標)-30に代えて、FINEX(登録商標)-50を用いた以外は、粒子分散液100aと同様にして調製された。
[粒子分散液11Ab、11Bb、11Cb]
粒子分散液11Abは、遊星型ボールミルを用いた分散処理を行わず、混合液を、攪拌翼を用いて10分間撹拌した([表1]には「撹拌のみ」と記載)以外は、粒子分散液11Aaと同様にして調製された。
粒子分散液11Bbは、分散剤の添加量を40質量部とした以外は、粒子分散液11Abと同様にして調製された。
粒子分散液11Cbは、分散剤の添加量を20質量部とした以外は、粒子分散液11Abと同様にして調製された。
[粒子分散液14Ab、14Bb]
粒子分散液14Abは、遊星型ボールミルを用いた分散処理を行わず、混合液を、攪拌翼を用いて10分間撹拌した以外は、粒子分散液14Aaと同様にして調製された。
粒子分散液14Bbは、分散剤の添加量を40質量部とした以外は、粒子分散液14Abと同様にして調製された。
[粒子分散液100b、200b、300b、400b]
粒子分散液100bは、遊星型ボールミルを用いた分散処理を行わず、混合液を、攪拌翼を用いて10分間撹拌した以外は、粒子分散液100aと同様にして調製された。
粒子分散液200bは、遊星型ボールミルを用いた分散処理を行わず、混合液を、攪拌翼を用いて10分間撹拌した以外は、粒子分散液200aと同様にして調製された。
粒子分散液300bは、遊星型ボールミルを用いた分散処理を行わず、混合液を、攪拌翼を用いて10分間撹拌した以外は、粒子分散液300aと同様にして調製された。
粒子分散液400bは、遊星型ボールミルを用いた分散処理を行わず、混合液を、攪拌翼を用いて10分間撹拌した以外は、粒子分散液400aと同様にして調製された。
下記[表2]に実施例1~31および比較例1~20の製造条件と、評価結果とを示す。
Figure 2023002311000003
[実施例1]
実施例1では、樹脂層12として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである東洋紡エステル(登録商標)フィルム E5100(商品名;東洋紡(株)製)が用いられた。E5100は、厚さが12μm、長さが500m、幅が600mmであった。
樹脂層12の一方の表面12bをコロナ処理し、コロナ処理された表面12b上に、真空蒸着機を使用して、SiOxからなるバリア層14を形成した。
具体的には、金属ケイ素粉末および二酸化ケイ素粉末を混合した蒸着材料を準備し、真空蒸着機によって、表面12b上に、元素比O/Siが1.5(x=1.5)の蒸着層が形成されるように蒸着が行われた。バリア層14の厚さ50nmであった。
この後、バリア層14の上に、ドライラミネーション機を用いて、2液硬化型のポリウレタン系接着剤A626/A50(商品名;三井化学(株)製)を塗工し、厚さ15μmのナイロンフィルムであるエンブレム(登録商標)ON(商品名;ユニチカ(株)製)を積層した。これにより、接着層16と中間層18とが形成された。
粒子分散液11Aaを用いて、接着層20を形成するための塗工液を以下のようにして調製した。
上述の2液硬化型ポリウレタン系接着剤であるA626とA50とを、質量比が8:1となるように混合し、酢酸エチルで希釈して固形分濃度が30質量%の接着剤を形成した。この後、接着剤に粒子分散液11Aaを加え、接着剤の固形分と酸化亜鉛粒子の固形分との合計質量に対する酸化亜鉛粒子に固形分の比率が、1.5質量%になるように調整した。
以下、簡単のため、「接着剤の固形分と多価金属化合物粒子の固形分との合計質量に対する多価金属化合物粒子に固形分の比率」を、「塗工液における粒子量」と称する。[表2]には「粒子量」と記載した。
この後、接着剤と粒子分散液11Aaとの混合液を、攪拌翼によって、30分間撹拌した。この後に、混合液を孔径3μmのメンブレンフィルターでろ過することによって、実施例1に用いる塗工液11Aaを得た。分散処理が行われた粒子分散液11Aaでは、酸化亜鉛粒子が凝集しにくかったので、混合液における酸化亜鉛粒子の大部分はメンブレンフィルターを透過した。
この後、中間層18上に、ドライラミネーション機を用いて塗工液11Aaを塗工し、シーラント層30として、厚さ80μmのポリオレフィン系無延伸共押出フィルムと貼り合わせた。
このようにして、図2に示す積層構造を有する積層フィルム60を得た。すなわち、この積層フィルム60は、ポリオレフィン系無延伸共押出フィルムからなるシーラント層30、酸化亜鉛粒子を含む接着層20、ナイロンフィルムからなる中間層18、酸化亜鉛粒子を含まない接着層16、バリア層14、および樹脂層12をこの順に有していた。
接着層20における酸化亜鉛粒子の粒子量は、塗工液における粒子量と同様、1.5質量%であった。
この後、実施例1の積層フィルム60を、シーラント層30同士が対向するように貼り合わせて、図5に示すような三方袋である実施例1の包装袋100Aを作製した。
この後、被包装物110を包装袋100A内に収容して密封して、実施例1の包装体200Aを製造した。
被包装物110としては、システィンを0.03質量%含むシスティン水溶液が用いられた。
[実施例2~22]
[表2]に示すように、実施例2~22は、塗工液11Aaに代えて、それぞれの欄に記載の塗工液を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層フィルム60、包装袋100A、および包装体200Aを作製した。
塗工液11Aaにおける酸化亜鉛粒子の粒子量が1.5質量%であるのに対して、塗工液11Aa+における酸化亜鉛粒子の粒子量が9.5質量%であり、塗工液11Aa-における酸化亜鉛粒子の粒子量が0.8質量%であり、塗工液11Aa++における酸化亜鉛粒子の粒子量が11質量%である。
塗工液11Caにおける酸化亜鉛粒子の粒子量が3.0質量%であるのに対して、塗工液11Ca+における酸化亜鉛粒子の粒子量が5.0質量%である。
塗工液14Caにおける酸化亜鉛粒子の粒子量が3.0質量%であるのに対して、塗工液14Ca+における酸化亜鉛粒子の粒子量が5.0質量%である。
塗工液100aにおける酸化亜鉛粒子の粒子量が1.5質量%であるのに対して、塗工液100a+における酸化亜鉛粒子の粒子量が9.5質量%である。
[実施例23]
実施例23では、樹脂層12として、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである東洋紡エステル(登録商標)フィルム E5100(商品名;東洋紡(株)製)が用いられた。E5100は、厚さが12μm、長さが500m、幅が600mmであった。
樹脂層12の上に、ドライラミネーション機を用いて、2液硬化型のポリウレタン系接着剤A525/A52(商品名;三井化学(株)製)を塗工し、厚さ15μmのナイロンフィルムであるエンブレム(登録商標)ON(商品名;ユニチカ(株)製)を中間層18として積層した。これにより、接着層16と中間層18とが形成された。
続いて、中間層18の上に再度同様に接着剤を塗工し、厚さ7μmのアルミフィルム箔を中間層18Bとして積層した。これにより、接着層16Bと中間層18Bとが形成された。
粒子分散液11Aaを用いて、接着層20を形成するための塗工液を以下のようにして調製した。
上述の2液硬化型ポリウレタン系接着剤であるA525とA52とを、質量比が8:1となるように混合し、酢酸エチルで希釈して固形分濃度が30質量%の接着剤を形成した。この後、接着剤に粒子分散液11Aaを加え、接着剤の固形分と酸化亜鉛粒子の固形分との合計質量に対する酸化亜鉛粒子に固形分の比率が、1.5質量%になるように調整した。
以下、簡単のため、「接着剤の固形分と多価金属化合物粒子の固形分との合計質量に対する多価金属化合物粒子に固形分の比率」を、「塗工液における粒子量」と称する。[表2]には「粒子量」と記載した。
この後、接着剤と粒子分散液11Aaとの混合液を、攪拌翼によって、30分間撹拌した。この後に、混合液を孔径3μmのメンブレンフィルターでろ過することによって、実施例19に用いる塗工液11Aaを得た。分散処理が行われた粒子分散液11Aaでは、酸化亜鉛粒子が凝集しにくかったので、混合液における酸化亜鉛粒子の大部分はメンブレンフィルターを透過した。
この後、中間層18B上に、ドライラミネーション機を用いて塗工液11Aaを塗工し、シーラント層30として、厚さ80μmのポリオレフィン系無延伸共押出フィルムと貼り合わせた。
このようにして、図3に示す積層構造を有する積層フィルム70を得た。すなわち、この積層フィルム70は、ポリオレフィン系無延伸共押出フィルムからなるシーラント層30、酸化亜鉛粒子を含む接着層20、アルミ箔からなる中間層18B、酸化亜鉛粒子を含まない接着層16B、ナイロンフィルムからなる中間層18、酸化亜鉛粒子を含まない接着層16、および樹脂層12をこの順に有していた。
接着層20における酸化亜鉛粒子の粒子量は、塗工液における粒子量と同様、1.5質量%であった。
この後、実施例1の積層フィルム70を、シーラント層30同士が対向するように貼り合わせて、図5に示すような三方袋である実施例1の包装袋100Aを作製した。
この後、被包装物110を包装袋100A内に収容して密封して、実施例1の包装体200Aを製造した。
被包装物110としては、システィンを0.03質量%含むシスティン水溶液が用いられた。
[実施例24~31]
[表2]に示すように、実施例24~31は、塗工液11Aaに代えて、それぞれの欄に記載の塗工液を用いた以外は、実施例23と同様にして、積層フィルム70、包装袋100A、および包装体200Aを作製した。
[比較例1~14]
比較例1では、多価金属粒子および多価金属化合物粒子を用いずに、ポリウレタン系接着剤のみを用いて接着層を形成したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の積層フィルム60、包装袋100A、および包装体200Aを作製した。
比較例2では、塗工液100aに代えて、塗工液100bN(酸化亜鉛粒子の粒子量が1.5質量%)を用いた以外は、実施例9と同様にして、比較例2の積層フィルム60、包装袋100A、および包装体200Aを作製した。塗工液100bNは、接着剤と粒子分散液100bとを30分間撹拌した後、メンブレンフィルターでろ過しなかった以外は、塗工液100aと同様にして形成された。
比較例3~14は、それぞれの欄に記載の塗工液を用いた以外は、比較例2と同様に撹拌処理がされ、積層フィルム60、包装袋100A、および包装体200Aを作製した。
塗工液100bNにおける酸化亜鉛粒子の粒子量が1.5質量%であるのに対して、塗工液100bPにおける酸化亜鉛粒子の粒子量が3.0質量%であり、塗工液100b+における酸化亜鉛粒子の粒子量が9.5質量%である。
塗工液200bにおける酸化アルミニウム粒子の粒子量が1.5質量%であるのに対して、塗工液200b+における酸化アルミニウム粒子の粒子量が9.5質量%である。
塗工液300bにおける酸化マグネシウム粒子の粒子量が1.5質量%であるのに対して、塗工液300b+における酸化マグネシウム粒子の粒子量が9.5質量%である。
[比較例15~20]
比較例15では、塗工液11Aaに代えて、塗工液11Ab(酸化亜鉛粒子の粒子量が1.5質量%)を用いた以外は、実施例23と同様にして、比較例16の積層フィルム70、包装袋100A、および包装体200Aを作製した。塗工液11Abは、接着剤と粒子分散液11Abとを30分間撹拌した後、メンブレンフィルターでろ過しなかった以外は、塗工液11Aaと同様にして形成された。
比較例16~20は、それぞれの欄に記載の塗工液を用いた以外は、実施例23と同様に撹拌処理がされ、積層フィルム70、包装袋100A、および包装体200Aを作製した。
[評価方法]
各実施例、各比較例を評価するため、SEM像観察、硫化水素(HS)濃度、およびラミネート強度が測定された。
SEM像観察結果は、積層フィルムをミクロトームで断裁して断面をSEMで観察する。倍率10000倍で接着層20に沿い連続して10μmを5枚撮影する。撮影した5枚の中に含まれる凝集体の径(長径)のうち最大長さ(凝集体の最大径)を、[表2]の「最大凝集体径」欄に記載した。撮影した5枚の中に含まれる凝集体の径のうち最小長さ(凝集体の最小径)を、[表2]の「最小凝集体径」欄に記載した。「凝集体の最大径」を「凝集体の最小径」で割ったもの(凝集体の最小径に対する凝集体の最大径の倍率)を、[表2]の「倍率」欄に記載した。撮影した5枚の中に含まれる凝集体の径(長径)を全て合計して、凝集体の個数で割ったもの(凝集体の平均凝集体径)を、[表2]の「平均凝集体径」欄に記載した。撮影した5枚の中に含まれる凝集体のうち平均粒子径の10~200%の大きさの凝集体の個数を[表2]の「凝集体数1」欄に記載した。撮影した5枚の中に含まれる凝集体のうち、径(長径)3μm以上の凝集体の個数を、[表2]の「凝集体数2」欄に記載した。撮影した5枚の中に含まれる凝集体のうち、平均凝集体径と同程度の径(平均凝集体径の10%~200%)の凝集体について、隣り合う凝集体どうしの距離の平均値を、[表2]の「凝集体間距離」欄に記載した。
硫化水素濃度測定には、各実施例および各比較例におけるシスティン水溶液を収容した包装体を被検試料として使用した。
各被検試料の包装体に対して、120℃で60分間加熱するレトルト処理を行った。レトルト処理の後、包装体を冷蔵庫で1週間保存した。この後の各包装体内の水溶液を採取し、メチレンブルー法(波長:668nm)によって硫化水素濃度を求めた。硫化水素濃度の算出にあたっては、予め作成しておいた検量線を用いた。硫化水素濃度の測定結果を[表2]に示した。
ラミネート強度の測定の被検試料としては、各実施例および各比較例における、レトルト処理前に対応する包装袋と、レトルト処理後の包装袋と、を用いた。
レトルト処理前に対応する包装袋は、45℃、4日間の条件でエージングした。この後、ナイロン層とシーラント層との間のラミネート強度を、JIS Z 0238:1998に準拠して測定した。具体的には、テンシロン万能材料試験機(商品名;(株)エー・アンド・デイ製)を用いてT型剥離法(クロスヘッドスピード:300mm/分)で各被検試料のラミネート強度を測定した。測定結果を[表2]のラミネート強度 処理前」欄に示した。
レトルト処理後の包装袋の被検試料を用いて、レトルト処理前に対応する包装袋と同様にしてラミネート強度(N/15mm幅)を測定した。測定結果を[表2]のラミネート強度 処理後」欄に示した。ただし、[表2]では、(N/15mm幅)を単に(N)と表記した。
[評価結果]
[表2]に示すように、実施例1~31の積層フィルムで、接着層20において、「倍率」は、2.86~13.33であった。また、「平均凝集体径」は、25nm~110nmであった。また、「凝集体数1」は、60~5000個で、「凝集体数2」は、0個であった。また、「凝集体間距離」は、0.3~2.7μmであった。
また、実施例1~19、21~30の積層フィルムでは、レトルト処理後のラミネート強度が8N/15mm幅以上であった。さらに、実施例20、31の積層フィルムでは、レトルト処理後のラミネート強度が6N/15mm幅以上であった。
実施例1~31では、「倍率」は、2.86~13.33である。比較例2~20では、「倍率」は、77.78~180.00である。比較例2~20では、レトルト臭の吸着効果及びレトルト処理後のラミネート強度の両方において結果が劣っているため、「倍率」は14.0倍以下の方が、レトルト臭の吸着効果を高めつつ及びレトルト処理後のラミネート強度が良いことが分かる。これは、実施例1~31では、凝集体の粗大なものが無いから大きな界面ができないため、ラミネート強度が劣化しにくいと考えられる。
実施例1~31では、「平均凝集体径」は25nm~110nmである。比較例2~20では、「平均凝集体径」は2000nm(2.0μm)~3500nm(3.5μm)である。比較例2~20では、レトルト臭の吸着効果及びレトルト処理後のラミネート強度の両方において結果が劣っている。凝集体径が小さいと表面積が広くなって、吸着効果が高くなるため、「平均凝集体径」は150nm以下であることが、レトルト臭の吸着効果を高めつつ及びレトルト処理後のラミネート強度が良いことが分かる。
実施例1~31では、「凝集体間距離」は0.3μm~2.7μmである。比較例2~20では、「凝集体間距離」は15μm~40μmである。比較例2~20では、レトルト臭の吸着効果及びレトルト処理後のラミネート強度の両方において結果が劣っている。凝集体間距離が小さいと、凝集体の個数が多い。つまりは凝集体一つ一つのサイズが小さくなるため、表面積が広くなり、吸着効果が高まり、大きな界面ができにくくラミネート強度が劣化しにくいため、「凝集体間距離」は3.0μm以下であることが、レトルト臭の吸着効果を高めつつ及びレトルト処理後のラミネート強度が良いことが分かる。
実施例1と実施例19と実施例20とを比較すると、粒子量が11質量%の実施例20における「凝集体数1」は500個であり、粒子量が1.5質量%の実施例1における「凝集体数1」は80個であり、粒子量が0.8質量%の実施例19における「凝集体数1」は65個である。実施例2と実施例3とを比較すると、粒子量が5.0質量%の実施例3における「凝集体数1」は250個であり、粒子量が3.0質量%の実施例2における「凝集体数1」は150個である。実施例9と実施例11とを比較すると、粒子量が9.5質量%の実施例11における「凝集体数1」は200個であり、粒子量が1.5質量%の実施例9における「凝集体数1」は60個である。実施例13と実施例14とを比較すると、粒子量が5.0質量%の実施例14における「凝集体数1」は300個であり、粒子量が3.0質量%の実施例13における「凝集体数1」は200個である。
すなわち、添加物粒子の粒子量が多い方が「凝集体数1」の個数が多くなることが分かる。
実施例1~31では、平均粒子径の10~200%の大きさを有する凝集体の個数である「凝集体数1」が60個以上であるのに対し、比較例1~20では、最高0~10個であった。ここで「凝集体数1」が60個以上であると、分散性が高くなり、レトルト臭を吸着しやすくなる。
すなわち、平均粒子径の10~200%の大きさの凝集体は60個以上であることが好ましいこと考えられる。
実施例1~31では、凝集体のうち、径(長径)3μm以上の凝集体の個数である「凝集体数2」が0個であるのに対し、比較例1~20では、「凝集体数2」の個数は最低でも0~2個であった。ここで径(長径)3μm以上の凝集体が存在しないと、接着層の膜の凝集力が低下しにくい。
すなわち、径(長径)3μm以上の凝集体が存在しないことが好ましいことが考えられる。
実施例1と実施例19と実施例20とを比較すると、粒子量が11質量%の実施例20における硫化水素濃度は0.0mg/Lであり、粒子量が1.5質量%の実施例1における硫化水素濃度は0.03mg/Lであり、粒子量が0.8質量%の実施例19における硫化水素濃度は0.2mg/Lである。実施例2と実施例3とを比較すると、粒子量が5.0質量%の実施例3における硫化水素濃度は0.01mg/Lであり、粒子量が3.0質量%の実施例2における硫化水素濃度は0.02mg/Lである。実施例9と実施例11とを比較すると、粒子量が9.5質量%の実施例11における硫化水素濃度は0.01mg/Lであり、粒子量が1.5質量%の実施例9における硫化水素濃度は0.03mg/Lである。実施例13と実施例14とを比較すると、粒子量が5.0質量%の実施例14における硫化水素濃度は0.01mg/Lであり、粒子量が3.0質量%の実施例13における硫化水素濃度は0.02mg/Lである。
すなわち、添加物粒子の粒子量が多い方がレトルト臭の吸着効果が高いことが分かる。粒子量が0.5質量%以上でレトルト臭の吸着効果は十分にあるが、粒子量が1.0質量%以上あることが好ましいと考えられる。
実施例1と実施例20とを比較すると、粒子量が1.5質量%の実施例1におけるレトルト処理後のラミネート強度は8N/15mm幅であり、粒子量が11質量%の実施例20におけるレトルト処理後のラミネート強度は6N/15mm幅である。
すなわち、添加物粒子の粒子量が多い方がレトルト臭の吸着効果が高いものの、添加物粒子の凝集体ができやすく、分散性が高くても接着剤と粒子の界面が多くなると膜としての凝集力が落ちる(膜として弱くなる)ため、添加物粒子の粒子量は10質量%以下が良いと考えられる。
実施例12と実施例21とを比較すると、添加物粒子の一次粒子の平均粒子径が20nmの実施例12における硫化水素濃度は0.03mg/Lであるのに対して、添加物粒子の一次粒子の平均粒子径が60nmの実施例21における硫化水素濃度は0.06mg/Lである。実施例15と実施例22とを比較すると、添加物粒子の一次粒子の平均粒子径が20nmの実施例15における硫化水素濃度は0.03mg/Lであるのに対して、添加物粒子の一次粒子の平均粒子径が60nmの実施例22における硫化水素濃度は0.06mg/Lである。
すなわち、添加物粒子の一次粒子の平均粒子径が60nmでも良いが、平均粒子径が大きくなると表面積が小さくなるため、平均粒子径は45nm以下が好ましいと考えられる。
実施例1と実施例23、実施例4と実施例24、実施例9と実施例25、実施例10と実施例26、実施例12と実施例27、実施例15と実施例28、実施例16と実施例29、実施例19と実施例30、実施例20と実施例31は、それぞれ前者の中間層にアルミフィルム箔が入っておらず、後者の中間層にアルミフィルム箔が入っている点が相違する。いずれも、アルミニウムの反応性は低いため、アルミフィルム箔の有無に関わらず、レトルト臭の吸着効果及びレトルト処理後のラミネート強度において同様の結果となっている。
図7は、実施例2のSEM像観察の画像の例である。図8は、比較例5のSEM像観察の画像の例である。図7に、P1で示しているのが凝集体である。図8に、P2で示しているのが凝集体であり、接着剤2と記載しているのが接着層20であり、NYと記載しているのが中間層18であり、PPと記載しているのがシーラント層30である。
[総合評価]
レトルト臭([表2]には「臭い」と記載)に関しては、硫化水素濃度が0.04mg/L以下の場合、良([表2]には「A」と記載)、硫化水素濃度が0.04mg/Lを超えて0.25mg/L以下の場合、やや良し([表2]には「B」と記載)、0.25mg/Lを超える場合、不良([表2]には「C」と記載)と判定した。
ラミネート強度([表2]には「強度」と記載)に関しては、レトルト処理後のラミネート強度が7N/15mm幅以上の場合、良([表2]には「A」と記載)、レトルト処理後のラミネート強度が6N/15mm幅以上且つ7N/15mm幅未満の場合、やや良し([表2]には「B」と記載)、レトルト処理後のラミネート強度が6N/15mm幅未満の場合、不良([表2]には「C」と記載)と判定した。
総合評価としては、レトルト臭およびラミネート強度の評価の両方が良([表2]には「A」と記載)の場合には、良([表2]には「A」と記載)と判定した。レトルト臭およびラミネート強度の評価のいずれか一方が良([表2]には「A」と記載)で、他方がやや良し([表2]には「B」と記載)の場合には、やや良し([表2]には「B」と記載)と判定した。レトルト臭およびラミネート強度の評価の両方がやや良し([表2]には「B」と記載)、またはレトルト臭およびラミネート強度の評価のいずれか一方が不良([表2]には「C」と記載)の場合には、不良([表2]には「C」と記載)と判定した。
[表2]に示すように、実施例1~18、23~29の総合評価Aであった。実施例19~22、30、31の総合評価Bであった。
比較例1は、臭いの評価Cであったので、総合評価Cであった。
比較例2~8、12~20は、レトルト臭および強度の評価Bであったので、総合評価Cであった。
比較例9~11は、強度の評価Cであったので、総合評価Cであった。
以上、本発明の好ましい各実施形態を各実施例とともに説明したが、本発明は各実施形態および各実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
10、10A 基材フィルム
12 樹脂層
14 バリア層
16 接着層
18 中間層
20 接着層
30 シーラント層
50、60、70 積層フィルム
100、100A、150、150A 包装袋
110 被包装物
200、200A、210 包装体

Claims (15)

  1. 所定の層と、
    接着剤成分と、前記接着剤成分に混合された多価金属粒子または多価金属化合物粒子と、を含有する接着層と、
    シーラント層と、
    がこの順に積層しており、
    前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子が形成する凝集体の最小径に対する、前記凝集体の最大径の倍率は14.0倍以下である、
    積層フィルム。
  2. 前記凝集体の平均凝集体径は、150nm以下である、
    請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記凝集体のうち平均粒子径の10~200%の大きさの前記凝集体は、60個以上である請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 径が3.0μm以上の前記凝集体はない、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  5. 平均凝集体径と同程度の径の前記凝集体について、隣り合う前記凝集体どうしの距離の平均値である凝集体間の距離は、3.0μm以下である、
    請求項1から4のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  6. 前記所定の層は、バリア層を有する基材フィルムである、
    請求項1から5のいずれか一項に記載の積層フィルム。
  7. 前記基材フィルムは、ナイロン層を有する、
    請求項6に記載の積層フィルム。
  8. 前記接着層は、前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子を0.5質量%以上10質量%以下、含有している、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  9. 前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子の平均粒子径が、10nm以上45nm以下である、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  10. 前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子の比表面積が1m/g以上である、請求項1から9のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  11. 前記接着層は、前記多価金属粒子または前記多価金属化合物粒子を前記接着剤成分中に分散させる分散剤をさらに含む、
    請求項1から10のいずれか1項にに記載の積層フィルム。
  12. 前記接着剤成分は、2液硬化型接着剤の硬化物である、請求項1から11のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  13. フィルムを貼り合わせてなる包装袋であって、
    前記フィルムは、請求項1から12のいずれか1項に記載された積層フィルムを含む、包装袋。
  14. 請求項13に記載の包装袋と、
    前記包装袋の中に収容される被包装物と、
    を備える包装体。
  15. 前記被包装物は、硫黄化合物を含有する、
    請求項14に記載の包装体。
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