JP2023002276A - 電解コンデンサ、陰極体及び電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ、陰極体及び電解コンデンサの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容量の経時的な減少を抑制した電解コンデンサ、この電解コンデンサが備える陰極体及び電解コンデンサの製造方法を提供する。【解決手段】電解コンデンサは、陽極箔と陰極体と電解液とを備える。陽極箔は、弁金属により成り、箔表面に形成された誘電体酸化皮膜を有する。陰極体は、弁金属の陰極箔と、当該陰極箔上に積層されたカーボン層とを有する。陰極箔とカーボン層との界面抵抗は、1.8mΩ・cm2以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、電解コンデンサ、この電解コンデンサが備える陰極体、及び電解コンデンサの製造方法に関する。
電解コンデンサは、タンタルあるいはアルミニウム等のような弁金属に誘電体酸化皮膜を形成した陽極箔と、同種または他の弁金属の箔によりなる陰極箔とを対向させて備えている。陽極箔と陰極箔の間には電解液が介在する。電解液は、陽極箔と陰極箔の間に介在して陽極箔の凹凸面に密接し、真の陰極として機能している。
近年は、電解液に代えて陽極箔と陰極箔との間に固体電解質を介在させた電解コンデンサも多用されている。この固体電解質を備えた電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であり、電子機器の小型化、高機能化に欠かせない。固体電解質としては、二酸化マンガンや7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られている。また、固体電解質としてπ共役二重結合を有するモノマーから誘導された導電性高分子が急速に普及している。この導電性高分子としては、例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が挙げられる。導電性高分子は、化学酸化重合又は電解酸化重合の際に、有機スルホン酸等のポリアニオンがドーパントとして用いられて高い導電性が発現し、また誘電体酸化皮膜との密着性に優れている。
但し、固体電解質を備えた電解コンデンサは、電解液を備えた電解コンデンサと比べて、誘電体酸化皮膜の欠陥部の修復作用に乏しい。そこで、陽極箔と陰極箔との間に固体電解質を介在させると共に、電解液を含浸させた所謂ハイブリッドタイプの電解コンデンサも注目されている。
ここで、電解コンデンサにおいては、陽極箔に意図的に誘電体酸化皮膜が形成されるのみならず、空気との反応や電解液の化成作用により陰極箔の表面にも酸化皮膜が形成されてしまう。そのため、電解コンデンサは、陽極側と陰極側に、Cap(Capacitance)とも呼ばれる容量が発現する直列コンデンサと見做すことができる。このような電解コンデンサは、陽極側の容量を効率良く引き出すために、陰極側の容量を理想的には無限大に漸近させることが重要である。
そこで、陰極箔の表面にカーボンをイオンプレーティング法のような乾式メッキ法を用いて形成した電解コンデンサが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。カーボン層が陰極箔の表面への電解液の浸入を阻み、陰極箔の酸化皮膜の新たな形成及び成長を阻止することで、陰極側に発現する容量をほぼ無限大に漸近させ、電解コンデンサの容量を陽極容量のみとする。
特開2006-190878号公報
しかしながら、陰極箔に単にカーボン層を形成するだけでは、電解コンデンサの容量の劣化が長期間のうちに進行して、ついには電解コンデンサの容量の減少率が限界を下回り、電解コンデンサは寿命を迎えてしまう。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、容量の経時的な劣化を抑制した電解コンデンサ、この電解コンデンサが備える陰極体及び電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究の結果、次のような知見を得た。即ち、陰極箔にカーボン層を積層した場合、陰極箔とカーボン層との界面抵抗に注目すると、少なくとも1.8mΩ・cm以下であると、電解コンデンサの容量の減少率が初期と比較して30%以下に抑制された。
この知見に基づき、上述の課題を解決すべく、本発明の電解コンデンサは、陽極箔と陰極体と電解液とを備える電解コンデンサであって、前記陽極箔は、弁金属により成り、箔表面に形成された誘電体酸化皮膜を有し、前記陰極体は、弁金属の陰極箔と、当該陰極箔上に積層されたカーボン層とを有し、前記陰極箔と前記カーボン層との界面抵抗は、1.8mΩ・cm以下であること、を特徴とする。
また、本発明者らは、鋭意研究の結果、更に次のような知見を得た。即ち、陰極箔にカーボン層を積層した場合、陰極箔とカーボン層との界面抵抗に注目すると、少なくとも1.6mΩ・cmを境として、容量の経時劣化による減少率が大きく変わっていた。実際には、約1.63mΩ・cm超と比べて、陰極箔とカーボン層との界面抵抗が約1.63mΩ・cm以下の場合、電解コンデンサの容量の経時劣化が良好に抑制された。
この更なる知見に基づき、前記陰極箔と前記カーボン層との界面抵抗は、1.6mΩ・cm以下であるようにしてもよい。
前記陰極箔は、表面に拡面層を有し、当該拡面層上に前記カーボン層を有するようにしてもよい。カーボン層の形成に加え、拡面層を形成すると、拡面層の凹凸の窪みにカーボンが入り込んで生じるアンカー効果により、陰極箔とカーボン層が密着し、陰極箔とカーボン層との界面抵抗が更に下がり易くなる。
前記カーボン層は、前記陰極箔に対して圧接しているようにしてもよい。カーボン層の形成に加え、カーボン層を陰極箔に圧接させると、陰極箔とカーボン層との界面抵抗を更に下げ易くなる。尚、カーボン層の陰極箔に対する圧接と、陰極箔への拡面層の形成とが併存していることが更に好ましい。拡面層が形成された陰極箔に対してカーボン層を圧接すると、カーボン層の炭素材が拡面層の凹凸の細孔にまで押し込まれ、またカーボン層が拡面層の凹凸面に沿って変形し、カーボン層と陰極箔との密着性及び定着性は更に向上する。そのため、陰極箔とカーボン層との界面抵抗が更に下がり易くなる。
また、上述の課題を解決すべく、電解コンデンサの陰極体も本発明の一態様であり、この電解コンデンサの陰極体は、陰極箔と当該陰極箔の表面に形成されたカーボン層とを備え、前記陰極箔と前記カーボン層の界面抵抗が1.8mΩ・cm以下であること、を特徴とする。
前記陰極箔と前記カーボン層との界面抵抗は、1.6mΩ・cm以下であるようにしてもよい。
また、上述の課題を解決すべく、電解コンデンサの製造方法も本発明の一態様であり、この電解コンデンサの製造方法は、陽極箔と陰極体と電解液とを備える電解コンデンサの製造方法であって、弁金属の陰極箔上にカーボン層を形成した後、界面抵抗が1.8mΩ・cm以下になるまで、プレス加工により前記陰極箔に対して前記カーボン層を圧接することで、前記陰極体を作製する陰極体作製工程と、前記陰極体作製工程で作製された前記陰極体に、誘電体酸化皮膜が表面に形成された前記陽極箔を対向させてコンデンサ素子を作製するコンデンサ素子作製工程と、前記コンデンサ素子に電解液を含浸させる含浸工程と、を含むこと、を特徴とする。
前記陰極体作製工程では、界面抵抗が1.6mΩ・cm以下になるまで、プレス加工により前記陰極箔に対して前記カーボン層を圧接するようにしてもよい。
本発明によれば、電解コンデンサの容量の経時劣化を抑制できる。
界面抵抗と容量の変化率(ΔCap)との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る電解コンデンサ及び製造方法について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
(全体構成)
電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜の誘電分極作用により静電容量を得て静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。この電解コンデンサは、誘電体酸化皮膜が表面に形成された陽極箔、陰極体、電解液及びセパレータを備えている。陽極箔と陰極体とは対向配置され、セパレータ及び電解液は、陽極箔と陰極体の間に介在する。陽極箔と陰極体とは、セパレータを挟んで交互に積層される積層型により配置され、又はセパレータを挟みつつ巻回される巻回型により配置される。陽極箔と陰極体の間には、電解液に加えて固体電解質層が配置されていてもよい。
(電極箔)
陰極体は、陰極箔を備えている。陽極箔及び陰極体の陰極箔は、弁金属を材料とする箔体である。弁金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%以上が望ましく、陰極箔に関して99%程度以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていてもよい。
陽極箔及び陰極箔は、箔一面又は箔両面に拡面構造を有する拡面層が形成されている。拡面層は、電解エッチング、ケミカルエッチング若しくはサンドブラスト等により形成され、又は箔体に金属粒子等を蒸着若しくは焼結することにより形成される。即ち、拡面層は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。電解エッチングとしては塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングが挙げられる。また、ケミカルエッチングでは、陽極箔及び陰極箔を酸溶液やアルカリ溶液に浸漬させる。尚、トンネル状のピットは、箔を貫通する長さで形成されていてもよいし、箔の中心に未達の長さで形成されていてもよい。
陽極箔の誘電体酸化皮膜は、典型的には、陽極箔の表層に形成される酸化皮膜である。この誘電体酸化皮膜は、例えば、陽極箔がアルミニウム箔であれば拡面層の表層を酸化させた酸化アルミニウムである。誘電体酸化皮膜は、アジピン酸、ホウ酸又はリン酸等の水溶液等のハロゲンイオン不在の溶液中で電圧印加する化成処理により意図的に形成される。陰極箔の表層にも、この化成処理によって意図的に酸化皮膜が形成され、又は自然的に酸化皮膜が形成されていてもよい。陰極箔の表層に自然的に発生する自然酸化皮膜は、陰極箔が空気中の酸素と反応することにより形成される。
(陰極体)
陰極体は、陰極箔に加えて、カーボン層を備えている。カーボン層は、陰極箔上に積層されている。カーボン層は炭素材を含有する層である。炭素材は、繊維状炭素、炭素粉末、又はこれらの混合である。繊維状炭素や炭素粉末は、賦活処理や孔を形成する開口処理などの多孔質化処理が施されていることが好ましい。
炭素粉末は、例えば、やしがら等の天然植物組織、フェノール等の合成樹脂、石炭、コークス又はピッチ等の化石燃料由来のものを原料とする活性炭、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック又はサーマルブラック等のカーボンブラック、カーボンナノホーン、無定形炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラック、メソポーラス炭素等である。繊維状炭素は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等である。カーボンナノチューブは、グラフェンシートが1層である単層カーボンナノチューブでも、2層以上のグラフェンシートが同軸状に丸まり、チューブ壁が多層をなす多層カーボンナノチューブ(MWCNT)でもよい。
このカーボン層は、カーボン層と陰極箔との界面抵抗が少なくとも1.6mΩ・cm以下になるように形成されることが好ましい。この界面抵抗が1.6mΩ・cm以下であると、電解コンデンサの容量の経時的な減少率は低く抑えられる。一方、この界面抵抗が1.6mΩ・cmを超えると、電解コンデンサの容量の減少率が急激に大きくなってしまう。
1.6mΩ・cmという界面抵抗の前後で、容量の経時的な減少率が大きくな変わる現象は、推測でありこれに限定されないが、次のように推測される。即ち、カーボン層と陰極箔との界面抵抗は、カーボン層と陰極箔との間の細孔の径及び容積と相関性を有する。そして、1.6mΩ・cm以下という界面抵抗は、カーボン層と陰極箔との間に電解液が入り込み難くなり、陰極箔の表面に電解液が接触できない径及び容積の隙間と対応としている。そのため、界面抵抗が1.6mΩ・cm以下になると、陰極箔上の酸化皮膜の成長が抑制され、陰極側が大容量のまま維持される。陰極側が大容量のまま維持されれば、陽極側の容量を効率良く引き出し続けることができ、電解コンデンサの容量の経時的な減少率は低く抑えられる。
もっとも、カーボン層と陰極箔との界面抵抗が1.63mΩ・cm超から1.8mΩ・cm以下までは、電解コンデンサの容量の減少率が急激に大きくなるものの、電解コンデンサの容量の減少率が初期と比較して30%以下に抑制された。初期とは、電解コンデンサを125℃の温度環境下に晒し、直流電圧を2.4V印加する高温環境下での負荷試験前である。従って、カーボン層と陰極箔との界面抵抗は少なくとも1.8mΩ・cm以下とする。
カーボン層と陰極箔との界面抵抗の調整方法としては、カーボン層と陰極箔とを圧接させるプレス加工が挙げられ、好適である。プレス加工では、カーボン層と陰極箔の積層体をプレスローラで挟んで、プレス線圧を加える。プレス線圧は0.01~100t/cm程度が望ましい。また、プレス時のプレスローラの温度であるプレス温度は0~200℃程度が望ましい。
尚、プレス加工の前段階として、真空蒸着、スパッタ、イオンプレーティング、CVD法、塗布、電解めっき、無電解めっき等によって、カーボン層を陰極箔に形成しておく。塗布による場合、炭素材を分散溶媒中に分散させてスラリーを作製し、スラリーキャスト法、ドクターブレード法又はスプレー噴霧法等によって陰極箔にスラリーを塗布及び乾燥させる。真空蒸着法による場合、真空中で炭素材を通電加熱することで蒸発させ、又は真空中で炭素材に電子ビームを当てて蒸発させ、陰極箔上に炭素材を成膜する。また、スパッタ法による場合、炭素材により成るターゲットと陰極箔とを真空容器に配置し、真空容器内に不活性ガスを導入して電圧印加することによって、プラズマ化した不活性ガスをターゲットに衝突させ、ターゲットから叩き出された炭素材の粒子を陰極箔に堆積させる。
また、カーボン層と陰極箔との界面抵抗を下げるためには、化成処理によって0.5V以上3V程度の酸化皮膜を意図的に陰極箔に形成することが好ましい。陰極箔に形成された酸化皮膜は、電解コンデンサの容量を下げる方向の影響を与えるが、カーボン層と陰極箔との密着性を向上させる影響もある。0.5V以上3V程度の酸化皮膜を有する陰極箔にカーボン層を形成した場合、この範囲外の酸化皮膜と比べて密着性向上が強く影響し、カーボン層と陰極箔との界面抵抗が1.6mΩ・cm以下に容易に下がる。そのため、0.5V以上3V程度の酸化皮膜を意図的に陰極箔に形成すると、酸化皮膜による容量減少の影響を凌駕し、電解コンデンサの静電容量の減少を抑制することができる。
また、カーボン層と陰極箔との界面抵抗の調整方法としては、陰極箔の表面に拡面層を形成することが挙げられる。陰極箔の表面にも拡面層を形成することで、カーボン層の炭素材が拡面層の凹凸に入り込み、カーボン層と陰極箔との界面抵抗を下げることができる。陰極箔に拡面層を形成した上で、カーボン層と陰極箔とをプレス加工すると、更に簡便に界面抵抗を下げることができる。
また、カーボン層と陰極箔との界面抵抗の調整方法としては、カーボン層に含有する炭素材の選択が挙げられる。炭素材としては、球状炭素であるカーボンブラックが好ましい。一次粒子径が平均100nm以下である球状のカーボンブラックを用いることにより、カーボン層は密になり、またカーボン層は拡面層と密着し易くなるため、界面抵抗は下がり易くなる。
また、カーボン層に含有する炭素材は、鱗片状又は鱗状の黒鉛と球状炭素であるカーボンブラックであってもよい。鱗片状又は鱗状の黒鉛は、短径と長径とのアスペクト比が1:5~1:100の範囲であることが好ましい。この組み合わせの炭素材を含有するカーボン層を陰極箔に積層し、カーボン層を圧縮し、且つ拡面層に圧接させると、カーボンブラックは、黒鉛によって拡面層に擦り込まれ易くなる。黒鉛は、拡面層の凹凸面に沿って変形し易く、凹凸面上に積み重なり易くなる。そして、黒鉛は、押圧蓋になって拡面層内部に球状炭素を押し留める。そのため、カーボン層と陰極箔との界面抵抗が下がり易くなる。
尚、界面抵抗は、次のようにして測定することができる。即ち、カーボン層を形成した陰極体のカーボン層の表面の電位を複数の位置で測定する。電位が測定されるカーボン層の表面は、換言すると陰極箔と密着した面とは反対に位置した面、又は陰極体の露出面である。電位の測定では、印加用検査針をカーボン層の表面に接触させつつ、測定用検査針もカーボン層の表面に接触させ、検査針間に所定の直流電流を印加したときに算出される抵抗が「陰極における界面抵抗」である。陰極における界面抵抗を得るために好適な装置として、例えば日置電機株式会社製の電極抵抗測定システムRM2610が挙げられる。
(電解液)
電解液の溶媒は、水、プロトン性の有機極性溶媒又は非プロトン性の有機極性溶媒であり、単独又は2種類以上が組み合わせられる。溶質は、アニオン及びカチオンの成分が含まれる。溶質は、典型的には、有機酸の塩、無機酸の塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物の塩であり、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。アニオンとなる酸及びカチオンとなる塩基を溶質成分として別々に電解液に添加してもよい。
プロトン性の有機極性溶媒としては、一価アルコール類、多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類などが挙げられる。一価アルコール類としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等が挙げられる。
非プロトン性の有機極性溶媒としては、スルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、スルホキシド系などが代表として挙げられる。スルホン系としては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3-メチルスルホラン、2,4-ジメチルスルホラン等が挙げられる。アミド系としては、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。ラクトン類、環状アミド系としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等が挙げられる。ニトリル系としては、アセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等が挙げられる。スルホキシド系としてはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
有機酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6-デカンジカルボン酸、1,7-オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸等のカルボン酸、フェノール類、スルホン酸が挙げられる。また、無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、炭酸、ケイ酸等が挙げられる。有機酸と無機酸の複合化合物としては、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジグリコール酸等が挙げられる。
これら有機酸の塩、無機酸の塩、ならびに有機酸と無機酸の複合化合物の少なくとも1種の塩としては、アンモニウム塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウムとしては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウムなどが挙げられる。アミン塩のアミンとしては、一級アミン、二級アミン、三級アミンが挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなど、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジブチルアミンなど、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。電解液中には、これら有機酸、無機酸、有機酸と無機酸の複合化合物であるアニオンとなる成分と、これら塩基であるカチオンとなる成分とを有するイオン解離性の塩を添加すればよい。
さらに、電解液には他の添加剤を添加することもできる。添加剤としては、ポリエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物、リン酸エステル、コロイダルシリカなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ニトロ化合物は、電解コンデンサ内の水素ガスの発生量を抑制する。ニトロ化合物としては、o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、o-ニトロフェノール、m-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール等が挙げられる。
このような電解液は、調製後にコンデンサ素子に含浸させる。コンデンサ素子は、誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔と、カーボン層を陰極箔上に積層した陰極体とをセパレータを介して対向させて成る。コンデンサ素子への電解液の含浸時には、含浸を促進させるべく、必要に応じて減圧処理や加圧処理を行ってもよい。含浸工程は複数回繰り返してもよい。尚、固体電解質層を併用する場合、電解液は、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子に含浸させる。
固体電解質層は、導電性高分子を含む。導電性高分子は、共役系高分子あるいは、ドーピングされた共役系高分子である。共役系高分子は、π共役二重結合を有するモノマー又はその誘導体を化学酸化重合または電解酸化重合することによって得られる。共役系高分子にドープ反応を行うことで導電性高分子は高い導電性を発現する。
共役系高分子としては、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。導電性ポリマーとして、代表的には、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたPEDOTと呼称されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。これら共役系高分子は、単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、更に2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
ドーパントは、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ホウ酸、硝酸、リン酸などの無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、アスコット酸、酒石酸、スクアリン酸、ロジゾン酸、クロコン酸、サリチル酸、p-トルエンスルホン酸、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ベンゼンジスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ボロジサリチル酸、ビスオキサレートボレート酸、スルホニルイミド酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、プロピルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。また、ドーパントとしては、ポリアニオンを用いることができ、ポリアニオンとしては、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリルスルホン酸、ポリメタクリルスルホン酸、ポリ(2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、ポリイソプレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などが挙げられる。ドーパントは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、高分子又は単量体を用いてもよい。
固体電解質層は、導電性高分子を分散させた分散液をコンデンサ素子に含浸させることで形成される。分散液の溶媒としては、導電性高分子の粒子又は粉末が分散するものであれば良く、主として水が用いられる。必要に応じて、分散液の溶媒としてエチレングリコールを用いてもよい。分散液の溶媒としてエチレングリコールを用いると、製品の電気的特性のうち、特にESR特性を低減できることが判明している。分散液の含浸性及び電導度の向上のため、分散液に各種添加剤を使用したり、カチオン添加による中和を行ってもよい。
導電性高分子の分散液の含浸方法としては、分散液にコンデンサ素子を浸漬したり、滴下塗布やスプレー塗布等してもよい。また、電極対全体に限らず、陽極箔や陰極体に分散液を含浸させてから、コンデンサ素子を組み立てるようにしてもよい。電極対への分散液の含浸の促進を図るべく、必要に応じて減圧処理や加圧処理を施してもよい。この付着工程は複数回繰り返しても良い。
また、固体電解質層は、公知の電解重合法又は化学重合法により形成してもよい。化学重合において、固体電解質層は、コンデンサ素子に溶媒にモノマーと酸化剤を溶解させた液を含浸させた後に乾燥する方法や、電極対を溶媒にモノマーを溶解させた液と、溶媒に酸化剤を溶解させた液に交互に含浸させたのちに乾燥することによって形成される。例えば、重合性モノマーとして3,4-エチレンジオキシチオフェン、酸化剤としてパラトルエンスルホン酸第二鉄のアルコール溶液(エタノールなど)を用いて、上記重合性モノマーと酸化剤との混合液にコンデンサ素子を浸漬し、加熱により導電性ポリマーの重合反応を発生させることにより、固体電解質が形成される。またこの加熱処理に前後して未反応モノマーや余剰なモノマーを水洗にて除去する水洗処理を行っても良い。
電解重合において、固体電解質層は、モノマーと支持電解質と溶媒とを少なくとも含む電解重合溶液にコンデンサ素子を導入し、陽極と陰極との間に電圧を印加することにより行われる。この電解重合溶液としては、電解重合によって導電性を持つモノマーを使用することができる。モノマーとしては、チオフェンモノマーやピロールモノマーが好適である。これらのモノマーを使用する場合は、コンデンサ素子をステンレス容器中で、モノマー及び支持電解質である1-ナフタレンスルホン酸ナトリウムを含有する電解重合用水溶液中に含浸し、所定の電圧を印加する。これにより、電解重合による水溶性モノマー(例えば、チオフェンやピロールなど)による固体電解質層を均一に形成することができる。
(セパレータ)
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
尚、このセパレータは、固体電解質層及び電解液の保持及び陽極箔と陰極体とのショート阻止を担う。セパレータがなくとも固体電解質層が形状を保持でき、固体電解質層を含むコンデンサ素子の各部が電解液を保持でき、また陽極箔と陰極体とのショートを阻止できるだけの厚みを固体電解質層が備える場合、セパレータはなくともよい。
(製造方法)
このような電解コンデンサは、陽極箔を作製する陽極箔作製工程と、陰極体を作製する陰極体作製工程と、陽極箔と陰極体を対向配置したコンデンサ素子を作製する素子作製工程と、コンデンサ素子に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、固体電解質層が形成されたコンデンサ素子に電解液を含浸させる電解液含浸工程とを経て作製される。
陽極箔作製工程では、弁金属を延伸させて陽極箔を形成し、この陽極箔に拡面層を形成した後、この拡面層の表面に誘電体酸化皮膜を形成する。陰極体作製工程では、弁金属を延伸させて陰極箔を形成し、この陰極箔に拡面層を形成する。更に、陰極体作製工程では、陰極箔にカーボン層を形成し、プレス加工により陰極箔に対してカーボン層を圧接させ、カーボン層と陰極箔との界面抵抗を1.8mΩ・cm以下、好ましくは1.6mΩ・cm以下にする。
素子作製工程では、誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔と陰極体とをセパレータを介して重ね合わせる。積層型の場合には、陽極箔と陰極体とセパレータとを交互に多層積層していく。巻回型の場合には、セパレータを介して重ね合わせた陽極箔と陰極体とを巻回する。固体電解質層形成工程では、導電性高分子が分散した分散液をコンデンサ素子に含浸させる。電解液含浸工程では、固体電解質層形成工程を経ることで固体電解質層が形成されたコンデンサ素子に電解液を含浸させる。
これにより、陰極箔とカーボン層との界面抵抗が1.8mΩ・cm以下又は1.6mΩ・cm以下である電解コンデンサが作製される。この電解コンデンサは、経時的な容量の減少が抑制される。
以下、実施例に基づいて本発明の電解コンデンサ及び製造方法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
次の通り、電解コンデンサを作製した。まず、陰極箔としてアルミニウム箔を用いた。アルミニウム箔には交流エッチング処理を施し、海綿状のエッチングピットにより成る拡面層を箔両面に形成した。交流エッチング処理では、液温25℃及び約8重量%の塩酸を主たる電解質とする酸性水溶液に陰極箔を浸し、交流10Hz及び電流密度0.14A/cmの電流を基材に約5分間印加し、アルミニウム箔の両面を拡面化した。
次いで、アルミニウム箔に化成処理を施し、拡面層の表面に酸化皮膜を形成した。化成処理では、リン酸水溶液で交流エッチング処理の際に付着した塩素を除去した後、リン酸二水素アンモニウムの水溶液内で電圧を印加した。
陰極体のカーボン層には、炭素材としてカーボンブラックを選択した。カーボンブラックの粉末、バインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)、及び分散剤含有水溶液としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)水溶液を混合して混練することでスラリーを作製した。
このスラリーを陰極箔に均一に塗布した。そして、スラリーを加熱乾燥させて溶媒を揮発させた後、陰極体にプレス加工を施した。プレス加工では、陰極体をプレスローラで挟み込んでプレス線圧をかけ、カーボン層を陰極箔上に定着させた。
また、陽極箔としてアルミニウム箔を用いた。アルミニウム箔には海綿状のエッチングピットにより成る拡面層を箔両面に形成した。交流エッチング処理では、液温25℃及び約8重量%の塩酸を主たる電解質とする酸性水溶液に陰極箔を浸し、交流10Hz及び電流密度0.14A/cmの電流を基材に約5分間印加した。更に、陽極箔に化成処理を施し、陽極箔の拡面層の表面に誘電体酸化皮膜を形成した。化成処理では、リン酸水溶液で交流エッチング処理の際に付着した塩素を除去した後、アジピン酸の水溶液内で電圧を印加した。
陽極箔と陰極体には、それぞれアルミニウム製のタブ形状の引出端子を超音波接続しておいた。そして、九十九折りにしたセパレータを用意し、陰極体と陽極箔を各折り目に交互に挟み込むことで、陰極体と陽極箔とをセパレータを介して対向させつつ、陰極体と陽極箔とセパレータの積層体を作製した。セパレータとしては、再生セルロース繊維を用いた。尚、積層体はイミドテープで開かないように固定した。
積層体に電解液を含浸させた。電解液は、γ-ブチロラクトンを溶媒とし、フタル酸テトラメチルイミダゾリニウムを溶質として添加した。電解液を含浸させた後、積層体をラミネート材に封止した。これにより、ラミネートセルの電解コンデンサを作製した。ラミネート材としては、厚さ110μmのアルミニウム製を用いた。ラミネートセルを作製した後は、エージング処理を施した。エージング処理では、105℃の温度環境下で60分間、3.35Vの電圧を印加した。
このような電解コンデンサを複数作製した。各電解コンデンサの陰極体は、カーボン層を陰極箔に圧接させるプレス条件を異ならせることにより、カーボン層と陰極箔との界面抵抗が異なる。各電解コンデンサにおける陰極体のプレス線圧、プレス温度及び界面抵抗を下表1に示す。
(表1)
Figure 2023002276000002
(容量試験)
表1に示される各種界面抵抗を有する各電解コンデンサの経時劣化した容量を測定した。この容量測定のために、電解コンデンサを125℃の温度環境下に晒し、直流電圧を2.4V印加した。125℃の温度環境下で2.4Vの直流電圧を印加する前の初期の容量と、750時間が経過した後の容量とを測定した。容量は、電解コンデンサに10kHzの交流信号を与えて測定された。そして、初期の容量に対する750時間経過後の容量の変化率(ΔCap)を計算した。
容量の計算結果を以下表2に示す。また表2の結果を図1のグラフに示す。図1は、界面抵抗と容量の変化率(ΔCap)との関係を示すグラフである。図1に示すグラフは、横軸に界面抵抗を取り、縦軸に容量の変化率(ΔCap)を取った。
(表2)
Figure 2023002276000003
表2及び図1に示すように、カーボン層と陰極箔の界面抵抗が1.63mΩ・cm以下の場合には、電解コンデンサの容量は、高温環境下で負荷を750時間にかけたとしても、初期と比べて約26%以下の減少に抑えられていることが確認できる。一方、カーボン層と陰極箔の界面抵抗が1.80mΩ・cmを超えた場合には、界面抵抗が上がると電解コンデンサの容量は急減していくことが確認できる。但し、カーボン層と陰極箔の界面抵抗が1.80mΩ・cmまでは、電解コンデンサの容量の減少率が初期と比べて30%以下に抑えられることが確認できる。
これにより、電解コンデンサの陰極体は、弁金属の陰極箔と、当該陰極箔上に積層されたカーボン層とを有し、陰極箔とカーボン層との界面抵抗は、誤差を考慮しても少なくとも1.6mΩ・cm以下であれば、容量の経時的な減少が抑制されることが確認された。特に、陰極箔に0.5~3V程度の酸化皮膜を形成することで陰極箔とカーボン層との密着性を向上させた場合、酸化皮膜により容量減少率が大きくなる懸念があるにも関わらず、本発明のように界面抵抗を1.6mΩ・cm以下に調整することによって、陰極箔の表面に酸化皮膜を形成しても静電容量の減少を抑制することができる。
また、これにより、電解コンデンサの陰極体は、弁金属の陰極箔と、当該陰極箔上に積層されたカーボン層とを有し、陰極箔とカーボン層との界面抵抗は、誤差を考慮しても少なくとも1.8mΩ・cm以下であれば、容量の経時的な減少は初期と比べて30%以下に抑制されることが確認された。

Claims (8)

  1. 陽極箔と陰極体と電解液とを備える電解コンデンサであって、
    前記陽極箔は、弁金属により成り、箔表面に形成された誘電体酸化皮膜を有し、
    前記陰極体は、弁金属の陰極箔と、当該陰極箔上に積層されたカーボン層とを有し、
    前記陰極箔と前記カーボン層との界面抵抗は、1.8mΩ・cm以下であること、
    を特徴とする電解コンデンサ。
  2. 前記陰極箔と前記カーボン層との界面抵抗は、1.6mΩ・cm以下であること、
    を特徴とする請求項1記載の電解コンデンサ。
  3. 前記陰極箔は、表面に拡面層を有し、当該拡面層上に前記カーボン層を有すること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の電解コンデンサ。
  4. 前記カーボン層は、前記陰極箔に対して圧接していること、
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電解コンデンサ。
  5. 電解コンデンサの陰極体であって、
    陰極箔と当該陰極箔の表面に形成されたカーボン層とを備え、
    前記陰極箔と前記カーボン層の界面抵抗が1.8mΩ・cm以下であること、
    を特徴とする陰極体。
  6. 前記陰極箔と前記カーボン層との界面抵抗は、1.6mΩ・cm以下であること、
    を特徴とする請求項5記載の陰極体。
  7. 陽極箔と陰極体と電解液とを備える電解コンデンサの製造方法であって、
    弁金属の陰極箔上にカーボン層を形成した後、界面抵抗が1.8mΩ・cm以下になるまで、プレス加工により前記陰極箔に対して前記カーボン層を圧接することで、前記陰極体を作製する陰極体作製工程と、
    前記陰極体作製工程で作製された前記陰極体に、誘電体酸化皮膜が表面に形成された前記陽極箔を対向させてコンデンサ素子を作製するコンデンサ素子作製工程と、
    前記コンデンサ素子に電解液を含浸させる含浸工程と、
    を含むこと、
    を特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記陰極体作製工程では、界面抵抗が1.6mΩ・cm以下になるまで、プレス加工により前記陰極箔に対して前記カーボン層を圧接すること、
    を特徴とする請求項7記載の電解コンデンサの製造方法。
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