JP2023002224A - 電動式直動アクチュエータ - Google Patents

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Abstract

【課題】変速機構での変速比に基づき発生する不連続な剛性を考慮することで、精度の高い電動モータの駆動が可能な電動式直動アクチュエータを提供する。【解決手段】電動モータと、直動機構と、電動モータを駆動して直動機構が直線運動により対象物に印加する荷重を制御する制御装置と、所定の荷重を境に直線運動の直動量と電動モータの回転量との対応関係が変化する変速機能を有する変速機構と、を備え、制御装置は、直動機構が印加する荷重を推定する推定器と、前記荷重の推定値と目標値との偏差等に乗算される制御ゲインを制御演算に使用し、前記荷重の推定値等がゼロではない状態において、少なくとも1か所以上で前記荷重の推定値と前記目標値とのうちの少なくとも一方の推移に対して不連続的に変化する制御ゲインを使用して、モータ駆動量を算出する荷重制御器と、制御ゲインを調整する制御ゲイン調整部と、を有する。【選択図】図1A

Description

本発明は、電動モータの回転運動を直線運動に変換する電動式直動アクチュエータの制御方法に関する。
電動式直動アクチュエータは、従来から例えば電動ブレーキ装置や電動プレス装置等に使用することが考えられてきている。従来の電動ブレーキ装置として、例えば特許文献1のような、遊星転動体に含まれる遊星ローラねじ構造を用いた変速機能付き電動式アクチュエータが提案されている。
特開2012-057681号公報
一般に、電動式直動アクチュエータを適用した電動ブレーキなどの適用例においては、該アクチュエータを緻密に制御することが求められる場合が多い。その際に、例えば特許文献1に記載のような変速機構付きの電動式直動アクチュエータを適用する場合において、駆動中における電動モータの駆動量(回転量、回転数)と直動アクチュエータの直線運動の作動量(直動量)との相関(すなわち、電動モータの回転量に対する上記直線運動の直動量に対応する等価リードに相当)が想定と異なる状態にあると、制御性や応答性が低下する問題が生じる場合がる。
例えば特許文献1に記載の変速機構付直動アクチュエータは、アクチュエータが対象物に荷重を印加する際の反作用力が、複数の遊星ローラとそれらの中心に存在する回転軸たるサンローラ(または回転入力軸)とを一体回転させる摩擦力を付与するバネ力を上回ると、遊星ローラねじ構造に設けられた遊星減速構造において遊星ローラが自転し、複数の遊星ローラを支持する遊星キャリアとサンローラとに回転の速度差が生じる遊星減速効果が生じることで等価リードが減少する変速機能を有する。この場合、当該変速機能における変速比(等価リードの変化比率)に基づく、等価リードの不連続性が存在している。直動機構にこのような変速機能を持たせると、例えば電動ブレーキ装置における摩擦材とブレーキロータとの間のクリアランスのように、直動アクチュエータが荷重を印加する対象物に接するまでは比較的大きな等価リードとできて応答性が向上し、荷重を印加した後は比較的小さな等価リードとなって出力トルクの小さな小型モータでも大きな荷重を発生させられるので好ましい。しかしながら、荷重がゼロではなくなった時点で該変速機能によって直ちに直動機構を変速させる構造は、非常に微細なバネ力とバネ変形量によって前記の変速動作を達成しなければならないため、製造上の都合から極めて難しく、安定した変速機構を構築するためにはある程度の荷重を印加した状態で変速する構造が必要となる可能性がある。しかし、例えば電動ブレーキ装置における軽度なブレーキ操作時のように小さなアクチュエータ荷重を制御する必要がある場合、前記変速動作によって高精度なアクチュエータ荷重のコントロールが困難になる可能性がある。
加えて、例えば特許文献1に記載の構造における変速動作において、摩擦などに起因して発生する変位とバネ力との非線形なヒステリシス特性から、例えばアクチュエータ印加荷重を増大させる(増圧)動作と減少させる(減圧)動作においてそれぞれ異なるタイミングで変速してしまう問題が生じる場合がある。
この発明の目的は、以上の従来技術の課題を解決すべく、変速機構での変速比に基づき発生する不連続な剛性を考慮することで、精度の高い電動モータの駆動が可能な電動式直動アクチュエータを提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る電動式直動アクチュエータは、
電動モータと、前記電動モータの回転運動を直線運動に変換する直動機構と、前記電動モータを駆動して前記直動機構が前記直線運動により対象物に印加する荷重を制御する制御装置と、所定の荷重を境に前記直線運動の直動量と前記電動モータの回転量との対応関係が変化する変速機能を有する変速機構と、を備え、
前記制御装置は、
前記直動機構が印加する荷重を推定する推定器と、
前記電動モータの駆動量を導出する過程において、前記荷重の推定値と前記荷重の目標値との偏差、前記偏差の積分値、および前記偏差の微分値、のうち少なくとも一つまたは二つ以上に乗算される制御ゲインを制御演算に使用し、前記荷重の推定値と前記目標値とのうちの少なくとも一方がゼロではない状態において、少なくとも1か所以上で、前記荷重の推定値と前記目標値とのうちの少なくとも一方の推移に対して不連続的に変化する制御ゲインを使用して、モータ駆動量を算出する荷重制御器と、
荷重条件に応じて、前記荷重制御器において使用される制御ゲインを調整する制御ゲイン調整部と、
を有する。
上記構成によると、本発明に係る電動式直動アクチュエータは、変速が発生する荷重条件において、前記の変速機構での変速比に基づき発生する不連続な剛性を考慮して制御ゲインを設定することで、精度の高い電動モータの駆動が可能となる。
上記構成において、前記変速機構は、前記電動モータの回転量に対して前記直動量が所定の相関となる第一の等価リード状態と、前記第一の等価リード状態と比較して前記電動モータの回転量に対する前記直動量が小さい相関となる第二の等価リード状態と、を含む前記変速機能を有し、
前記変速機能は、前記直動機構が印加する荷重が増大する過程では、前記所定の荷重である第一の変速荷重を上回ると前記第一の等価リード状態から前記第二の等価リード状態に切り替わり、前記直動機構が印加する荷重が減少する過程では、前記第一の変速荷重とは異なる前記所定の荷重である第二の変速荷重を下回ると前記第二の等価リード状態から前記第一の等価リード状態に切り替わる非線形性を有し、
前記制御ゲインについて、荷重の推移に対する制御ゲインの推移が不連続となる第一の不連続点から荷重が小さい側における制御ゲインが、前記第一の不連続点より荷重が大きい側における制御ゲインより小さくなる前記第一の不連続点を含んでおり、
前記変速機構の非線形性有する前記変速機能および前記制御ゲインが、以下のi)およびii)のいずれかの条件に合致する、ようにしてもよい。
i) 前記変速機能の前記第一の変速荷重は、前記第二の変速荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第一の不連続点は、前記第二の変速荷重より前記第一の変速荷重に近い。
ii) 前記変速機能の前記第二の変速荷重は、前記第一の変速荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第一の不連続点は、前記第一の変速荷重より前記第二の変速荷重に近い。
これにより、変速が発生するかどうか不安定な荷重領域において、等価リードが大きい状態にも関わらず等価リードが小さいと想定してモータを駆動するとアクチュエータ荷重が大きく変化して不安定な動作となり得るため、変速が不安定な領域は少なくとも等価リードが大きいものとして動作させることで、上記の不安定なアクチュエータ動作を抑止できる。
上記構成において、前記直動機構は、
回転入力部材と、前記回転入力部材と同心に回転自在に支持された遊星キャリアと、前記遊星キャリアに回転自在に支持された遊星転動体と、
弾性力によって前記遊星転動体が自転せず前記回転入力部材と前記遊星キャリアとが同期して回転する締結力を付勢し、前記直動機構が印加する荷重の反作用力によって前記締結力が喪失して前記遊星転動体が自転して前記回転入力部材と前記遊星キャリアとの間で回転量に差を生じさせる弾性部材と
を有し、
前記弾性部材は、前記直動機構が印加する荷重が増大する過程では、所定の第一の変形荷重を上回ると前記弾性部材の変形が完了し、前記直動機構が印加する荷重が減少する過程では、前記第一の変形荷重とは異なる第二の変形荷重を下回ると前記弾性部材の変形が始まる非線形な変形特性を有し、
前記制御ゲインについて、荷重の推移に対する制御ゲインの推移が不連続となる第二の不連続点から荷重が小さい側における制御ゲインが、前記第二の不連続点より荷重が大きい側における制御ゲインより大きくなる前記第二の不連続点を含んでおり、
前記直動機構の前記弾性部材の前記変形特性および前記制御ゲインが、以下のi)およびii)のいずれかの条件に合致する、ようにしてもよい。
i) 前記弾性部材の前記第一の変形荷重は、前記第二の変形荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第二の不連続点は、前記第一の変形荷重より前記第二の変形荷重に近い。
ii) 前記弾性部材の前記第二の変形荷重は、前記第一の変形荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第二の不連続点は、前記第二の変形荷重より前記第一の変形荷重に近い。
これにより、バネ弾性部材を用いた変速機能でのバネ変形が発生するかどうか不安定な荷重領域において、バネが変形しないにも関わらずバネが変形すると想定してモータを駆動するとアクチュエータ荷重が大きく変化して不安定な動作となり得るため、バネの変形が不安定な領域は少なくともバネは変形しないものとして動作させることで、上記の不安定なアクチュエータ動作を抑止できる。
上記構成において、前記制御ゲイン調整部は、荷重が増加する増圧時の前記制御ゲインである増圧時制御ゲインと、荷重が減少する減圧時の前記制御ゲインである減圧時制御ゲインと、前記増圧時制御ゲインまたは減圧時制御ゲインの制御ゲインの何れを参照するかを決定する制御ゲイン切替部と、を有し、
前記制御ゲイン切替部は、少なくとも、モータ角度の推移から、増圧側にモータが回転している場合は増圧時制御ゲインの制御ゲインを参照し、減圧側にモータが回転している場合は減圧時制御ゲインの制御ゲインを参照するよう、前記制御ゲインを切替えてもよい。
これにより、例えば前記の第一、第二の変速荷重および第一、第二の変形荷重のような増圧時と減圧時とで特性が異なる非線形性を有する直動機構であり、前記第一と第二の変速荷重の間の荷重領域、または前記第一と第二の変形荷重の間の荷重領域、において、安定して増圧時には増圧時の特性となり減圧時には減圧時の特性となる直動機構を採用する場合、より高精度にアクチュエータを動作させることができる。
上記構成において、前記制御ゲイン調整部は、前記電動モータの回転量に対する前記直線運動の直動量に対応する等価リードが大きい場合の前記電動モータの制御ゲインである第一の制御ゲインと、前記等価リードが小さくかつ前記弾性部材が変形する場合の前記制御ゲインである第二の制御ゲインと、前記等価リードが小さく前記弾性部材が変形限界に達した場合の前記制御ゲインである第三の制御ゲインと、該第一~第三の制御ゲインのいずれか一つに切替えて参照とする制御ゲイン切替部を有し、
前記電動式直動アクチュエータは、さらに、
モータ角度および推定荷重の何れか一方の変化に対する他方の変化の勾配を導出する変化勾配演算部と、
前記変化勾配演算部で導出された変化の勾配を記憶し、記憶されている前記変化の勾配と、該記憶後に新たに前記変化勾配演算部で導出された変化の勾配とを比較し、所定以上勾配が変化していた場合には、制御ゲインの不連続点が存在すると判断する変化勾配比較部と、を備え、
前記制御ゲイン切替部は、前記第一~第三の制御ゲインを使用し、前記不連続点が複数存在する場合に、前記変化勾配比較部が判断した複数の前記不連続点のうちの少なくとも一つに従って、
第一の制御ゲインを参照している状態で、荷重が増加する増圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第二の制御ゲインを参照し、
第二の制御ゲインを参照している状態で、増圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第三の制御ゲインを参照し、減圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第一の制御ゲインを参照し、
第三の制御ゲインを参照している状態で、減圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第二の制御ゲインを参照してもよい。
これにより、例えば前記の第一、第二の変速荷重および第一、第二の変形荷重のような増圧時と減圧時とで特性が異なる非線形性を有する直動機構であり、前記第一と第二の変速荷重の間の荷重領域、または前記第一と第二の変形荷重の間の荷重領域、のようにアクチュエータ剛性が不安定な領域においても適切な制御ゲインを採択することで、より高精度にアクチュエータを動作させることができる。
上記構成において、前記制御装置は、
前記電動モータの回転角を推定する推定器を有し、
少なくとも予め記憶された前記制御ゲインの不連続点に対応する前記荷重が含まれる範囲の、所定量の該荷重における変化が発生した際の、前記電動モータの回転量と前記推定された荷重との変化履歴を記憶する剛性パラメータ記憶部を有し、
さらに前記制御装置は、
前記電動モータの角度および前記推定された荷重の前記変化履歴から、前記制御ゲインの不連続点を推定し、前記推定された不連続点に基づいて前記制御ゲインを更新する非線形剛性推定部を有するしてもよい。
これにより、例えば電動式直動アクチュエータ各構成部品の接触状態変化や部品の摩耗等で発生し得る制御ゲインの特性変動について、実際の電動式直動アクチュエータのモータ回転量と荷重の相間から少なくとも不連続点の変化を推定した結果を制御ゲインに反映することで、少なくとも次回動作以降において電動式直動アクチュエータをより高精度に制御することが可能となる(ログ情報から更新して推定)。
上記構成において、前記制御装置は、
前記電動モータの回転角を推定する推定器を有し、
所定量の前記荷重の変化または前記電動モータの回転量が発生した際の、該荷重および該回転量のいずれか一方に対する他方の変化量を推定して記憶し、
さらに前記制御装置は、
前記記憶されている変化量と、該記憶後に新たに推定された変化量とを比較し、これらの変化量が所定量より大きく変化した場合に、前記制御ゲインにおける前記電動モータの角度と荷重との不連続点が生じたと判断し、前記判断された不連続点に基づいて前記制御ゲインを更新してもよい。
これにより、例えば電動式直動アクチュエータ各構成部品の接触状態変化や部品の摩耗等で発生し得る制御ゲインの特性変動について、実際の電動式直動アクチュエータのモータ回転量と荷重の相間から少なくとも不連続点の変化を推定した結果を制御ゲインに反映することで、少なくとも次回動作以降において電動式直動アクチュエータをより高精度に制御することが可能となる(リアルタイムの推定)。
本発明にかかる電動式直動アクチュエータは、変速機構での変速比に基づき発生する不連続な剛性を考慮することで、精度の高い電動モータの駆動が可能となる。
この発明の一の実施形態に係る電動式直動アクチュエータの概要構成を示すブロック図である。 この発明の他の実施形態に係る電動式直動アクチュエータの概要構成を示すブロック図である。 上記の各電動式直動アクチュエータにおける変速機構を有する直動機構の模式図である。 上記の各電動式直動アクチュエータにおける制御装置に含まれる荷重制御器の一例のブロック図である。 上記の各電動式直動アクチュエータにおける制御装置に含まれる荷重制御器の他例のブロック図である。 上記荷重制御器に含まれる制御ゲイン調整部の制御ゲインを説明する特性図の一例である。 上記荷重制御器に含まれる制御ゲイン調整部の制御ゲインを説明する特性図の他の例である。 上記荷重制御器に含まれる制御ゲイン調整部の制御ゲインを説明する特性図のさらに他の例である。 上記荷重制御器に含まれる制御ゲイン調整部の制御ゲインを説明する特性図のさらに他の例である。 上記荷重制御器に含まれる制御ゲイン調整部の制御ゲインを説明する特性図のさらに他の例である。 図3Aに示す荷重制御器をさらに詳しく説明するブロック図の一例である。 図3Aに示す荷重制御器をさらに詳しく説明するブロック図の他の例である。 上記電動式直動アクチュエータで荷重を発生させた場合の動作例を示す波形図である。
<<電動ブレーキ装置の構成>>
本発明の一の実施形態に係る電動式直動アクチュエータ1を適用した電動ブレーキ装置1Aについて説明する。図1Aに、制御装置100の一例たる電動ブレーキ制御装置100Aと、直動機構を用いたアクチュエータ500の一例たるブレーキアクチュエータ500Aと、指示手段300の一例たるブレーキペダル等のブレーキ指示手段300Aとからなる電動ブレーキ装置1Aの構成例を示す。電動ブレーキ装置1Aは、本実施形態では車両のブレーキ用である。
<<ブレーキアクチュエータ500Aの構成>>
ブレーキアクチュエータ500Aは、電動モータ510と、電動モータ510の回転運動を後述の摩擦材560の直線運動(直動)に変換する直動機構520と、電動モータ510のロータの回転量(回転数)または回転角度(以下、モータ角度とも称する)を検出し出力する角度センサ530と、車輪と一体で回転する、荷重の対象物たるブレーキロータ570と、ブレーキロータ570に押し付けられて荷重(または直動荷重。本実施形態では、ブレーキ荷重とも称する)を印加することで車両(の車輪)にブレーキ力を生じさせる摩擦材560と、ブレーキ荷重を検出し出力する荷重センサ540と、電動モータ510の回転数を減少させて直動機構520へ出力する減速機550と、変速機構580とから構成される。尚、ブレーキの性能要件によっては減速機550を設けない構成としてもよい。
電動モータ510は、例えば永久磁石同期電動機であり、これにより構成すると省スペースで高効率かつ高トルクとなり好適と考えられる。しかし、これに限らず、例えばブラシを用いたDCモータや、永久磁石を用いないリラクタンスモータ、あるいは誘導モータ等を適用することもできる。また、回転径方向に磁極を設けるラジアルギャップモータであってもよく、回転軸方向に磁極を有するアキシャルギャップモータであってもよい。
直動機構520は、本実施形態では、印加する直動荷重によって等価リードが変化する変速機構580を内蔵した直動機構が適用される。特に、後述の図2に示すような遊星キャリア524と複数の遊星転動体523とが、直動荷重の反作用力によって締結または離反することで等価リードが変化する遊星ローラねじ構造を適用すると、構成が簡素で省スペースとなり好ましい。もしくは、変速機構を設けた前述のような遊星減速機と、ボールねじ等やボールランプ機構等の回転運動を直進運動に変換可能な各種機構と、を組み合わせた直動機構を用いることができる。
変速機構580は、本実施形態では、後述の図2のばね部材581(弾性部材の一例)およびストッパ583を含む。なお、変速機構580は、本実施形態のように直動機構520に内蔵されているものに限られず、例えば直動機構520外の減速機550内にあってもよく、また減速機550であってもよく、さらに変速機能を生じうるような他の機構であってもよい。
図1Aの角度センサ530は、例えばレゾルバや磁気エンコーダ等であり、これらを用いると高精度かつ高信頼性であり好適と考えられる。しかし、これらに限らず、光学式エンコーダ等の各種センサを適用することもできる。もしくは他の構成として、角度センサを用いずに、例えば後述する制御装置において電圧と電流との関係等からモータ角度を推定するような角度センサレス推定を適用することもできる。
荷重センサ540は、例えばアクチュエータの作用させる荷重に応じた歪や変形等を検出するセンサであり、これを用いると安価で高精度となり好適と考えられる。しかし、これに限らず、圧電素子等の感圧媒体を用いることもできる。あるいは、ブレーキロータの制動トルクを検出するトルクセンサや、車両用電動ブレーキ装置の場合は車両の前後減速度を検出する加速度センサ等を用いてもよい。
その他、図示外の要素として、ブレーキアクチュエータ500Aは、各部へ給電する電源装置や、サーミスタ等の各種センサ類を要件に応じて別途設けられてもよい。また、ブレーキアクチュエータ500Aは、ソレノイドやDCモータなどで、直動機構520等のアクチュエータの動力が伝達される部分をロックする機構が設けられることで、パーキングブレーキアクチュエータとして使用することもできる。
<<電動ブレーキ制御装置100Aの構成>>
電動ブレーキ制御装置100Aは、荷重制御演算を行う荷重制御器110の一例たるブレーキ制御演算を行うブレーキ制御器110Aと、モータの動作状態を演算する運動状態推定器120と、荷重力を推定する荷重力推定器130の一例たるブレーキ力を推定するブレーキ力推定器130Aと、所定のモータ出力を得るために電動モータ510を流れるモータ電流を制御するモータ制御器140と、モータに電力を供給するモータドライバ150と、上記モータ電流を検出する電流センサ160とから構成される。
運動状態推定器120は、少なくとも電動モータ回転子(ロータ)の角度(モータ角度)を推定する角度推定部121、モータ角度の角速度を推定する角速度推定部123、を備える。あるいは、運動状態推定器120は、これらの推定部を有する代わりに、例えば電動モータ角加速度等の所定微積分値を推定する機能や、さらに外乱を推定する機能等が設けられてもよい。また、モータ角度は、例えば電流制御に用いる電気角位相や、角度制御に用いる角度センサのオーバーラップおよびアンダーラップを補正した総回転角度等であってよく、角度推定部121は、制御構成に基づいて必要な物理量を適宜求める機能を有する。その他、前記モータ角度や角速度は、前記電動モータ回転子に代えて、例えば減速比に基づいて求めた減速機の所定部位の回転角度(回転数)等や、ねじ機構の等価リード等に基づいて求めた位置や速度であってもよい。前記物理量を推定する構成は、例えば状態推定オブザーバ等の構成を用いてもよく、微分や慣性方程式に基づく逆算等の直接的な演算であってもよい。
電流センサ160には、例えば通電経路に設けたシャント抵抗両端の電圧を検出するアンプからなるセンサや、通電経路周囲の磁束等を検出する非接触式センサ等を用いることができる。あるいは、電流センサ160は、例えばモータドライバを構成する素子等の端子電圧等を検出する構成としてもよい。また、電流センサ160は、電動モータ相間に設けてもよく、ローサイドまたはハイサイドに1つあるいは複数設けてもよい。もしくは、電流センサを設けずに、インダクタンスや抵抗値等のモータ特性等に基づいて電流値を算出し、フィードフォワード制御を行うこともできる。
ブレーキ制御器110Aは、所定の指令入力(具体的には、ブレーキ力指令値またはプレス力指令値。図3A、図3Bでは荷重指令値)に対してブレーキアクチュエータ500Aが望ましく追従するための操作量を求め、モータ駆動信号に変換する機能を有する。主に直動機構520の直線運動を行う構成部品の所謂ロッドのストローク位置[または(直動)ストローク量(摩擦材560の移動量に相当)]を制御し、摩擦材560とブレーキロータ570との当接によって発生するブレーキ力を制御するためのブレーキ力制御部113A(直動機構の直線運動への変換によって発生する荷重力を制御するための荷重力制御部113の一例)と、荷重条件に応じてブレーキ力制御部113Aにおいて演算される制御ゲインを調整する制御ゲイン調整部115と、を備える。
ブレーキ力制御部113A(すなわち荷重力制御部113)は、例えば、ねじ機構を用いた場合の等価リード、減速機を設けた場合の減速比、またはアクチュエータ500の各種緒言等に基づいてモータ回転量(またはモータ角度)から換算される直動機構520の直動ストローク量を制御するよう電動モータ510のモータ駆動量を決定する機能を有しうる。あるいは、ブレーキ力制御部113Aは、図示外のストロークセンサ等を別途設け、該センサ信号を所定の目標値に追従させるフィードバック制御する機能であってもよい。また、ブレーキ力制御部113Aは、例えばブレーキを解除する際に摩擦材560とブレーキロータ570とが極力当接しないようこれらの間に所定の空隙が存在し得るストローク量とする機能も有しうる。前記所定の空隙となりうるストローク量は、例えばブレーキ力推定器130Aが推定する推定ブレーキ力が所定の値となるモータ角度から所定量だけモータを回転させた位置や、あるいは推定ブレーキ力がモータ角度の推移に対して変化しなくなってから(または変化量が所定値よりも小さくなってから)所定量だけモータを回転させた位置として設定することができる。ブレーキ力制御部113Aは、その他、例えばブレーキ力を検出する荷重センサや前述のトルクセンサ等で検出が困難となりうる極めて軽微なブレーキ力をコントロールするために、例えば空隙がゼロ近傍またはゼロより小さい値となるストローク状態にするよう機能させてもよい。
本実施形態では、具体的にはブレーキ力制御部113Aは、摩擦材560とブレーキロータ570とを当接させた際のブレーキ力を所定の目標値に追従制御するようモータ駆動量を決定する機能を有する。本実施形態においては、摩擦材560とブレーキロータ570との押付力を荷重センサ540で検出し、荷重センサ540の出力から後述のブレーキ力推定器130Aで推定されるブレーキ力(推定ブレーキ力)に基づいて機能する例を示すが、前述のブレーキロータの制動トルクを検出するトルクセンサ等を用いたブレーキ力制御とすることもできる。
制御ゲイン調整部115は、ブレーキ力制御部113Aにて操作量を演算する際に適用する制御ゲインについて、電動モータ510のモータ角度から定まるモータ回転量およびアクチュエータ荷重の一例であるブレーキ荷重等を使用して、主に本実施形態では直動機構中に存在する変速機構580によって生じる非線形特性を考慮した制御ゲインに調整する機能を有する。この非線形特性について、次で述べる。
(1)本実施形態の直動機構520において、図2の遊星キャリア524と回転軸521とが締結されて一体回転する状態(一体回転状態と呼ぶ)では等価リードが比較的大きく、遊星キャリア524と回転軸521とが離反して遊星転動体523が自転する状態(離反自転状態と呼ぶ)では遊星減速効果によって等価リードが比較的小さくなる。すなわち、これらの一体回転状態と離反自転状態との間で状態が変化した場合に、モータ回転量とブレーキ荷重との相関である剛性は少なくとも遊星減速効果の有無に応じた不連続な剛性となる。換言すれば、モータ回転量とブレーキ荷重との何れか一方に対する他方の変化勾配が、少なくとも遊星減速効果による減速比率の分だけ、不連続に推移する剛性となる。
(2)また、例えば前述の遊星キャリア524と遊星転動体523を締結または離反させる手段として直動荷重の反作用力で変形する弾性部材(本実施形態では、ばね部材)581を用いる場合、ばね部材581の変形量はゼロに近いほど性能上は好ましいが、寸法公差などの製造上の都合により所定量だけ変形させる構造とせざるを得ないのが実情である。よって、ばね部材581が変形する間は前記ばね部材の剛性の影響により、特にばね部材581の変形が限界となり変形できなくなった場合には、前記剛性は不連続となる。
その他、本実施形態では、例えばブレーキ力をゼロとする際に摩擦材560とブレーキロータ570との間に所定のクリアランスを設ける機能が設けられてもよい。また、ブレーキ力制御部113Aにおいて、ブレーキ力を所望の目標値に追従制御するモータ駆動量として、ブレーキ力のフィードバック偏差に基づくモータ角度や角速度を導出する演算式を使用し、前記モータ角度や角速度のフィードバックを行うマイナー制御ループを別途設けてもよい。
モータ制御器140は、ブレーキ力制御器110A(荷重制御器110)から出力された所定のモータ駆動信号に沿うよう、モータ電流を制御する機能を有する。モータ制御器140は、モータ電流について、所定のモータ角速度の状態で所定のトルクを得るために、最適な電流条件をあらかじめLUT(Look Up Table)に記憶させておき、現在のモータ角速度から目標電流値を決定して該電流値となるよう制御する機能とすると安価に高精度な制御が行えて好適と考えられる。しかし、これに限られず、電動モータ510の出力を導出するための電流や電圧等の間の関係式などを演算して駆動条件をリアルタイムで求める機能とすることもできる。
モータドライバ150は、例えばFET(Field Effect Transistor)等のスイッチ素子を用いたブリッジ回路で構成され、所定のデューティ比(モータ印加電圧のHigh時間とLow時間との比)によりモータ印加電圧を決定するPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御を行う構成とすると安価で高性能となり好適と考えられる。あるいは、モータドライバ150は、変圧回路等を設け、PAM(Pulse Amplitude Modulation(パルス振幅変調)制御を行う構成とすることもできる。
荷重力推定器130の一例たるブレーキ力推定器130Aは、ブレーキロータ570と摩擦材560との当接により発生する前記ブレーキ力を推定する機能を有する。具体的には、ブレーキ力推定器130Aは、荷重センサ540の入力を受けて推定ブレーキ力を出力する。
ブレーキ指示手段300Aは、ブレーキペダルに代えてボリューム、ジョイスティック、スイッチ等の操縦者が操作可能な各種操縦手段を用いることができる。
車両運動制御装置700は、図示外の、車両の衝突を防止するまたは衝突時の衝撃を軽減する自動ブレーキ機能部、車両が横滑り状態となった際に少なくともブレーキにより車両スピン等を防止するための横滑り防止機能部、ブレーキにより車輪がロックし車両挙動が不安定になることを防止するためのアンチスキッド制御部、等を備え、車両に所定の大きさのブレーキをかけるべくブレーキ操作量を決定して出力する。車両運動制御装置700は、例えば図示外の重力センサ、対物センサ、GPS(Global Positioning System)、等の各車載センサ類の情報を統合し、前記の各種機能に必要な演算を行う統合制御装置であってもよい。これら車両運動制御装置700で決定されたブレーキ操作量も、目標ブレーキ力または目標ブレーキ力の一部として電動ブレーキ制御装置100Aに伝達される。
<<その他>>
図示外要素として、電源装置を備えてもよく、電源装置は、例えば自動車用電動ブレーキ装置においては、低電圧バッテリや、高電圧バッテリを降圧する降圧コンバータ等を用いることができる。もしくは、高容量のキャパシタ等を用いるか、或いはこれらを並列使用して冗長化して用いることができる。また、モータドライバやソレノイドドライバには、直接電源出力を供給し、各種演算器や機能部等には、電動ブレーキ制御装置100A内で小型の降圧コンバータを適用し降圧して用いる構成が好ましく、または、各種演算器や機能部等には、直接電源出力を供給し、モータドライバおよびソレノイドの何れかまたは両方には、昇圧コンバータを介した電力を供給する構成としてもよい。
その他、以上の各種演算器や機能部は、例えばプログラム動作するマイコン等のプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の電子部品により構成すると、安価で高性能となり好適と考えられる。本図に示す機能ブロックは、あくまで記述の便宜上設けたものであり、ハードウェアまたはソフトウェアの構成の指定や機能の分割等を制約するものではなく、また必要に応じて各ブロックの機能を統合または分割してもよい。また、ソフトウェアやハードウェアの具体的構成は、本実施形態に示す機能に支障がない範囲で任意に構成し得る。本実施形態の機能に支障がない範囲で図示外要素を加えることも可能であり、例えば各種機能やセンサ類が故障した場合のセーフティメカニズム等をシステム要件に基づいて適宜加えることが好ましい。
電動ブレーキ装置1Aは、車両用のブレーキ装置の他、例えば昇降装置や発電装置、フライホイールなどのエネルギー蓄積装置を停止するためのブレーキ装置として、適用することもできる。
本発明の他の実施形態に係る電動式直動アクチュエータ1を適用した電動プレス装置1Bについて説明する。図1Bに、制御装置100の一例たる電動プレス制御装置100Bと、直動機構を用いたアクチュエータ500の一例たるプレスアクチュエータ500Bと、指示手段300の一例たるプレス装置制御器300Bとからなる電動プレス装置1Bの構成例を示す。電動プレス装置1Bは、前実施形態の電動ブレーキ装置1Aに対して、荷重を印加する対象物がブレーキアクチュエータ500Aのブレーキロータ570に代えて、プレスアクチュエータ500Bのプレス対象物590となっている違いがある。電動プレス装置1Bにおいて電動ブレーキ装置1Aと同じ符号のものは、原則同様の機能を有するため、その機能は推測可能であり、以下での説明は割愛する。
電動プレス制御装置100Bのプレス制御器110Bは、荷重制御演算を行う荷重制御器110の一例であり、プレス制御の演算等を行う。プレス荷重推定器130Bは、荷重力を推定する荷重力推定器130の一例であり、駆動機構520からプレス対象物590へのプレス力(またはプレス荷重)を推定する。
プレス制御器110Bのプレス荷重制御部113B(荷重制御器113の一例)は、直動機構の直線運動への変換によって発生する荷重力を制御するための荷重力制御部113の一例である。プレス荷重制御部113Bは、駆動機構520からプレス対象物590へのプレス力を所定の目標値に追従制御するようモータ駆動量を決定する機能を有する。本実施形態のプレス荷重制御部113Bにおいては、上記プレス力を荷重センサ540で検出し、荷重センサ540の出力からプレス荷重推定器130Bで推定されるプレス力(推定プレス力)に基づいて機能する例を示す。
<<直動機構520の構造例>>
図2(a)は、変速機構580を有する直動機構520の無負荷(無荷重)状態における模式図を示す。弾性部材たるばね部材581により、複数の遊星転動体523を支持する遊星キャリア524が、ストッパ583に押し付けられ、回転入力軸521と一体となり遊星転動体523が自転せず、遊星キャリア524と回転入力軸521とが一体回転することで(一体回転状態)、一般的な滑りねじと同じ動作となる。
図2(b)は、所定以上の直動荷重を印加した際の、変速機構580を有する直動機構520の模式図を示す。遊星転動体523を介して回転入力軸521の回転力を直動荷重に変換して印加する力に対するアウタリング525から伝達する反作用力により、ばね部材581がΔだけ押し縮められる。これにより、遊星キャリア524のストッパ583への押し付けが解消されて遊星キャリア524と回転入力軸521との一体化が解除され、遊星転動体523が自転するようになり(離反自転状態)、回転入力軸521と遊星キャリア524とに回転の速度差が生じる遊星減速効果が生じ、これによって図2(a)の場合に比して等価リードが減少する。
<<荷重制御器110の構成例>>
図3Aは、図1Aのブレーキ制御器110Aおよび図1Bのプレス制御器110Bを含む荷重制御器110の構成例を示す。図中の荷重目標値(指令入力)および推定荷重は、ブレーキ制御器110Aを構成する場合は、それぞれブレーキ力指令値および推定ブレーキ力となり、プレス制御器110Bを構成する場合は、それぞれプレス力指令値および推定プレス力となる。
荷重制御部113は、荷重目標値に対して実機の推定荷重値を追従させるためのモータ駆動量を導出する。例えば、荷重目標値と荷重推定値との偏差を計算し、前記偏差をゼロまたは許容する誤差範囲内とする操作量を求めることができる。
制御ゲイン調整部115は、荷重目標値を取得し、前記荷重目標値に応じた制御ゲイン設定値を導出し、荷重制御部113の制御ゲインを前記制御ゲイン設定値に更新する機能を有する。この制御ゲイン設定値は、(例えば図2に記載のような変速機構による)不連続な非線形剛性に対応して不連続に推移する値となっている。
荷重制御部113において、荷重の推定値と前記荷重の目標値との偏差に対して、例えばPID補償(またはPID制御[Proportional Integral Differential Control])が行われる。この場合、制御ゲイン調整部115は、P制御[Proportional Control]、I制御[Integral Control]、およびD制御[Differential Control]のすべてのゲインに係る定常ゲイン1つを調整する機能であってもよく、P制御、I制御、およびD制御の各要素のゲインを個別に調整する機能であってもよい。もしくは、例えば荷重制御部113において所定のフィードバックループ固有値を有する状態フィードバックコントローラが適用される場合、制御ゲイン調整部115は固有値の少なくとも時定数を調整する機能であってもよい。これらの調整される値は、所定の演算式で導出することもできるが、あらかじめLUT(Look Up Table)等に、荷重に応じた所定の設計値を記憶させておき、LUT等を参照する仕様とすると計算量が削減できて好ましい。
また、上記モータ駆動量は、本実施形態においては、モータトルク指令値を示しており、このようにすると簡潔な運動方程式に基づいてコントローラ設計が行えるため好ましいと考えられる。しかし、これに限られず、例えばモータ電流指令値や、あるいは直接モータに印加する電圧を導出する構成とすることもできる。
図3Bは、図3Aにおける制御ゲイン調整部115について、入力として荷重目標値に代えて推定荷重を参照して、制御ゲインを決定する構成の例を示す。この違い以外は図3Aと同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、制御ゲイン設定値の算出は、例えば図3Aの構成と図3Bの構成とを併用して、荷重目標値と推定荷重との加重平均値のような中間値を用いることも可能である。
<<制御ゲイン調整部115>>
図4A~図4Eは、図2の変速機構580を有する直動機構520を適用した場合の非線形剛性(増圧特性、減圧特性)と、それに応じた図3A、図3Bの制御ゲイン調整部115で算出される制御ゲイン(制御ゲイン設定値)の例とを示す(アクチュエータ荷重対モータ回転量および制御ゲイン特性図)。各図の上図において、実線は増圧時の増圧特性、破線は減圧時の減圧特性を示す。
図4A~図4Eには、下図に、アクチュエータ荷重(または直動荷重)に対する制御ゲインを示している。アクチュエータ荷重に対するモータ回転量の変化勾配(モータ回転量変化勾配と呼ぶ)、またはその逆のモータ回転量に対するアクチュエータ荷重の変化勾配が不連続的に変化する箇所を不連続点と定義した場合、本実施形態では、増圧特性、減圧特性において、図中にそれぞれ2か所の剛性の不連続点が存在し、アクチュエータ荷重が低い順から数えて1か所目は直動機構の等価リードが変化する変速が発生する不連続点、2か所目は変速機構のばね部材(弾性部材)の変形限界等の変形による不連続点である。ここで、不連続とは、微視的に見れば徐々に変化する連続性を示す場合であっても、フルスケールを巨視的に見て前述の変化勾配が極めて急峻に変化する場合は前述の不連続に含まれる。反対に、例えばLUTなどの離散化された情報における離散化に起因したサンプル間の不連続性は前述の不連続に含めないものとする。
ここで、例えば前記ばね部材の変形量が極めてゼロに近いか、または直動機構520が最大荷重を印加した状態でも変形限界に達しないばね部材を適用する構造を採用する場合等には、上記2か所目の不連続点が存在しない制御ゲインもありうる。
一般的に、増圧時と減圧時の直動機構の非線形剛性は、主に変形が発生する部材の接触部の摩擦などの要因により、増圧時と減圧時で一致しない非線形性を有し(前述のヒステリシス特性)、どのような傾向で不一致となるかは採用する直動機構によって異なる。また、経年変化や摩耗により非線形性が変化する場合もあり、さらにはどの程度の荷重を発生させたかなどの動作履歴によっても非線形性が変化する可能性がある。すなわち、少なくとも図に示すアクチュエータ荷重に対する制御ゲインにおいて増圧側と減圧側の特性が異なる領域(中間領域)は、予め明確にどのような剛性を示すかを把握するのが難しい領域となる。
図4Aについて、増圧時における、アクチュエータ荷重が低い側から見た場合において1か所目の所定のアクチュエータ荷重F1aにおいて、一体回転状態から離反自転状態へと変遷して変速が発生したため等価リードが減少し、アクチュエータ荷重に対するモータ回転量変化勾配が増加する不連続点が生じる。減圧時の特性では、増圧時特性と比べて、同F1aにおいては等価リードが大きくモータ回転量変化勾配が比較的小さい状態となっている。減圧時においては、前記F1aより大きいアクチュエータ荷重F2aにおいて、離反自転状態から一体回転状態へと変遷して再び変速が発生したため、アクチュエータ荷重が低い側から見た1か所目の不連続点が発生する特性を示す。
このとき、制御ゲイン調整部115における制御ゲインでは、低荷重側から見たときに1か所目の不連続点において制御ゲインが低い状態から高い状態へと推移し、前記F1aからF2aの区間においては、制御ゲインが低い状態であり、不連続点は減圧側のF2aの不連続点を採用する。これによると、等価リードが大きい状態にも関わらず等価リードが小さいと想定してモータを大きく駆動してしまいアクチュエータが大きくオーバーシュートするような制御性悪化を防止出来て好ましい。尚、前記制御ゲインの不連続点はF1aよりもF2aに十分近い荷重における不連続点であればよく、もしくはアクチュエータの個体ごとの特性バラつきや経年変化等を考慮し、前記不連続点はF2aより少し大きな荷重に設定してもよい。
尚、本実施形態における制御ゲインが高いおよび低いとは、実際に乗算する係数の絶対値が大きいおよび小さいという意味の他に、構成される制御ループの固有値について時定数が小さい(=速い)および大きい(=遅い)という意味も含むものとする。
また、増圧時における、アクチュエータ荷重が低い側から見た場合において2か所目のアクチュエータ荷重F3aにおいて、変速機構580のばね部材(弾性部材)581が変形限界となり、アクチュエータ荷重に対するモータ回転量変化勾配が減少する不連続点が生じる。減圧時においては、前記F3aより小さい所定のアクチュエータ荷重F4aが、アクチュエータ荷重が低い側から見た場合において2か所目の不連続点となる。このとき、制御ゲイン調整部115における制御ゲインは、低荷重側から見たときに2か所目の不連続点において制御ゲインが高い状態から低い状態へと推移し、前記F4aからF3aの区間においては、制御ゲインが低い状態であり、不連続点は減圧側のF4aの不連続点を有する特性を採用する。これによると、等価リードが大きい状態にも関わらず等価リードが小さいと想定してモータを大きく駆動してしまいアクチュエータが大きくオーバーシュートするような制御性悪化を防止出来て好ましい。尚、前記制御ゲインの不連続点はF3aよりもF4aに十分近い荷重における不連続点であればよく、もしくはアクチュエータの個体ごとの特性バラつきや経年変化等を考慮し、前記不連続点はF4aより少し小さな荷重に設定してもよい。
図4Bについて、増圧時における、アクチュエータ荷重が低い側から見た場合において1か所目の所定のアクチュエータ荷重F1bにおいて、一体回転状態から離反自転状態へと変遷して変速が発生したため等価リードが減少し、アクチュエータ荷重に対するモータ回転量変化勾配が増加する不連続点が生じる。減圧時においては、同F1bより小さいアクチュエータ荷重F2bにおいて、離反自転状態から一体回転状態へと変遷して再び変速が発生したため、アクチュエータ荷重が低い側から見た1か所目の不連続点が発生している。減圧時の特性では、増圧時特性と比べて、F1bより小さい荷重の領域においてモータ回転量変化勾配が大きくなっている。
このとき、好ましくは、前記F2bからF1bの区間においては、制御ゲインが低い状態であり、不連続点は増圧側のF1bの不連続点を採用する。前記制御ゲインの不連続点はF2bよりもF1bに十分近い荷重における不連続点であればよく、もしくはアクチュエータの個体ごとの特性バラつきや経年変化等を考慮し、前記不連続点はF1bより少し大きな荷重に設定してもよい。なお、増減圧それぞれの特性においてばね部材の変形による不連続点が発生するF4bからF3bの区間における制御ゲインは、図4AのF4aからF3aの区間と同様に設定することができる。
図4Cについて、増圧時における、アクチュエータ荷重が低い側から見た場合において2か所目の所定のアクチュエータ荷重F3cにおいて、変速機構580のばね部材(弾性部材)581が変形限界となり、アクチュエータ荷重に対するモータ回転量変化勾配が減少する不連続点が生じる。減圧時においては、前記F3cより大きい所定のアクチュエータ荷重F4cが、アクチュエータ荷重が低い側から見た場合において2か所目の不連続点となる。
このとき好ましくは、制御ゲイン調整部115における制御ゲインは、前記F3cからF4cの区間においては、制御ゲインが低い状態であり、不連続点は増圧側のF3cの不連続点を採用する。前記制御ゲインの不連続点はF4cよりもF3cに十分近い荷重における不連続点であればよく、もしくはアクチュエータの個体ごとの特性バラつきや経年変化等を考慮し、前記不連続点はF3cより少し小さな荷重に設定してもよい。なお、等価リードの変化による不連続点が発生するF1cからF2cの区間における制御ゲインは、図4AのF1aからF2aの区間と同様に設定することができる。
図4Dについては、アクチュエータ荷重F1dからF2dの間は図4BのF1bからF2bの間と同様に、アクチュエータ荷重F3dからF4dの間は図4CのF3cからF4cと同様に制御ゲインを定めることができる。図4Eは、変速機構580を有する電動式直動アクチュエータ1を電動ブレーキ装置1Aに適用した場合における制御ゲインの例を示す。図4Aの増圧特性、減圧特性、および制御ゲインが、直線よりも曲線に近い特性となっている。
一般に、例えばブレーキ用の摩擦材等の非線形剛性の影響により電動ブレーキ装置は非線形な剛性を有するが、その変化は概ね連続的である一方、図2に示す変速機構580を有する直動機構520を適用すると不連続な変化が生じる。従って、それに対する制御ゲインとして、変速機構580による剛性の不連続点に対応する制御ゲインの不連続点を設け、それ以外の領域では連続的に変化する制御ゲインとすることができる。尚、増圧・減圧による非線形性は)図4Aと同様の傾向を示すものとして記載するが、図4B~図4Dの傾向を示すアクチュエータを採用した場合は図4B~図4Dと同様に制御ゲインの不連続点を設定することができる。また、制御ゲインの不連続点を除く区間は連続的な非線形性をもつ例を示しているが、コントローラをある程度ロバストに設計した上で一定の勾配で変化するよう簡素化してもよく、あるいは略一定値とすることもできる。
<<制御ゲイン調整部115の他の例>>
図5Aは、モータ角度と推定荷重から非線形剛性およびその不連続点を推定し、推定結果に基づいて制御ゲイン調整部115の制御ゲインを調整、更新する例を示す。なお、図5Aでは、制御ゲイン調整部115は、増圧時の制御ゲインが記憶された増圧時制御ゲイン115aと、減圧時の制御ゲインが記憶された減圧時制御ゲイン115bとを有し、さらに、前記増圧時制御ゲイン115aまたは減圧時制御ゲイン115bの制御ゲインの何れを参照するかを決定する制御ゲイン切替部115cを有する。
制御ゲイン切替部115cは、例えばモータ角度の推移から増圧側にモータが回転していると判断された場合は、増圧時制御ゲイン115aの制御ゲインを参照し、減圧側にモータが回転していると判断された場合は、減圧時制御ゲイン115bの制御ゲインを参照するよう、制御ゲインを切替える機能とすることができる。あるいは、制御ゲイン切替部115cは、増圧側に所定量以上モータが回転している場合と、減圧側に所定量以上モータが回転している場合と、これらのいずれにも該当しない中間状態とを判断してもよく、中間状態においては、増圧時と減圧時の制御ゲインが所定の比率で結合された制御ゲインを参照するようにしてもよい。また、前記モータ角度に代えて、推定荷重の推移から、制御ゲインを前記増圧時制御ゲイン115aおよび減圧時制御ゲイン115bのいずれから参照するかの判断を行ってもよい。
さて、図5Aでは、上記制御ゲイン調整部115を有する上、図3Aの構成に加えて、剛性パラメータ記憶部117と、非線形剛性推定部118とを有する。剛性パラメータ記憶部117は、少なくとも予め記憶された制御ゲインの不連続点に対応する荷重が含まれる範囲の、所定量の該荷重における変化が発生した際の、電動モータ510の回転量と前記推定された荷重との変化履歴を記憶する。具体的には、剛性パラメータ記憶部117は、増圧動作中のモータ角度と推定荷重を記憶する増圧時データ記憶部117aと、減圧動作中のモータ角度と推定荷重とを記憶する減圧時データ記憶部117bと、を備える。
非線形剛性推定部118は、電動モータ510の角度および前記推定された荷重の前記変化履歴から、制御ゲインにおける上記モータの角度と荷重との相関の不連続点を推定し、この推定された不連続点に基づいて前記制御ゲインを更新する。具体的には、非線形剛性推定部118は、不連続点を推定し、非線形剛性を導出するための所定の関数を、前記剛性パラメータ記憶部117に記憶されたモータ角度および推定荷重に対して、誤差を最小化するパラメータフィッティングを行う収束演算部118aと、収束演算部118aの結果に基づいて非線形剛性を導出する制御ゲイン演算部118bと、を備える。なお、収束演算部118aにおけるパラメータフィッティングは、剛性パラメータ記憶部117に少なくとも剛性の不連続点を含む十分な範囲のデータが蓄積された段階で実行される。
収束演算部118aにおいて、等価リードが大きい状態の剛性を示す関数g1(F)と、等価リードが小さくかつばね部材が変形する状態の剛性を示す関数g2(F)と、等価リードが小さくかつばね部材の変形が生じない(変形限界等)状態の剛性を示す関数g3(F)と、2つの不連続点に相当する、g1(F)とg2が一致する荷重Fnl1と、g2(F)とg3(F)が一致する荷重Fnl2とを用いて、モータ角度θおよび荷重Fについて非線形剛性は次のように導出される。
Figure 2023002224000002
ここで、g1(Fnl1) = g2(Fnl1), g2(Fnl2) = g3(Fnl2) を満足させるようg1(F), g2(F), g3(F)のうち何れか2つの関数の定数項は調整され、g1(F), g2(F), g3(F)のうち前記2つを除いた1つの関数の定数項Fcは後述のパラメータフィッティングの変数に用いる。
収束演算部118aは、増圧時及び減圧時について、剛性パラメータ記憶部117の各データサンプルθ1・・・θkおよびF1・・・Fk(kはサンプル数)に対して、例えばニュートン法などの収束演算アルゴリズムを用いて、θ= f(F)式において、次の誤差関数Jを最小化するような2つの不連続点Fnl1, Fnl2, および定数項Fcの変数を算出する。
Figure 2023002224000003
制御ゲイン演算部118bは、収束演算部118aの上記算出結果に基づき増圧時、減圧時それぞれの制御ゲインを導出する。制御ゲインの導出が完了した後、制御ゲイン調整部115の制御ゲインを更新する。前記制御ゲインは、剛性関数g1,g2,g3のそれぞれの導出結果に基づき各関数ごとに制御ゲインが決定され、それらが不連続点Fnl1,Fnl2に相当する荷重条件で切り替わるよう結合された制御ゲインとして導出することができる。あるいは、前記関数ごとの制御ゲインに代えて予め設定された制御ゲインを、不連続点Fnl1,Fnl2に相当する荷重条件で切り替わるよう結合された制御ゲインを用いて、導出過程を簡素化してもよい。このとき、前記収束演算部における関数g1,g2,g3も固定の関数として、さらに簡素化された計算過程とすることもできる。
制御ゲインの導出が完了した後、前記導出された制御ゲインの不連続点に基づいて、制御ゲイン調整部に記憶された制御ゲインの不連続点が制御ゲイン調整部115によって更新される。このとき、増圧時、減圧時それぞれの制御ゲインに対して、不連続点は図4A~図4Eを用いて説明した手法に従って決定される。
尚、増圧時制御ゲインと減圧時制御ゲインの制御ゲインは同時に更新されるものであってもよく、それぞれ任意のタイミングで個別に更新されるものであってもよい。
制御装置100は、上述の動作以外に、所定量の荷重の変化または電動モータ510の回転量が発生した際の、荷重および回転量のいずれか一方に対する他方の変化量を推定して記憶してもよい。さらに制御装置100は、この記憶されている変化量と、該記憶後に新たに推定された変化量とを比較し、これらの変化量が所定量より大きく変化した場合に、制御ゲインにおける電動モータ510の角度と荷重との不連続点が生じたと判断し、この判断された不連続点に基づいて前記制御ゲインを更新してもよい。
なお、図示外要素として、制御ゲイン調整部115の制御ゲイン切替部115cにて制御ゲインが切替えられた場合や、増圧時、減圧時制御ゲイン115a、115bの制御ゲインが更新された場合などにおいて、荷重制御部113により不要なモータ駆動指令が演算されないよう適宜内部パラメータをリセットする機能を設けることが好ましい。
図5Bは、制御ゲイン調整部115において、図3A等と異なり、直動機構の等価リードが大きい状態である場合の制御ゲインに調整された第一の制御ゲイン115dと、等価リードが小さくかつばね部材が変形する状態の制御ゲインに調整された第二の制御ゲイン115eと、等価リードが小さくばね部材が変形限界に達した状態の制御ゲインに調整された第三の制御ゲイン115fと、を備える。図5Bでは、図3A等の制御ゲインの使用に代えて、上記第一~第三の制御ゲインを適宜切り替えて参照することで、図3A等のような2つの不連続点を有する非線形の制御ゲイン(図5Aの増圧時制御ゲイン、減圧時制御ゲインを含みうる)の参照と同様の効果を有する。そこで、図5Bの制御ゲイン調整部115は、さらに、これら第一~第三の制御ゲインのいずれか一つに切替えて参照する制御ゲイン切替部を備える。また、図5Bでは、不連続点推定部119が存在する。なお、前記第一~第三の制御ゲインは、図示するようにそれぞれ一定値であってもよいが、他に、それぞれが荷重に対して連続的に増加または減少するような変化のあるものであってもよい。
不連続点推定部119は、モータ角度および推定荷重の何れか一方の変化に対する他方の変化勾配を導出する変化勾配演算部119aと、既に記憶されている変化勾配と前記変化勾配演算部の導出結果とを比較し、前記変化勾配演算部の導出結果を新たに記憶する変化勾配比較部119bと、を備える。
変化勾配演算部119aは、モータ角度および推定荷重の何れか一方が所定量変化した際に、もう一方の変化量を評価する機能であってもよい。例えば、具体的には、モータ角度が所定のθdelta変化した際の荷重変化量Fdeltaについて、Fdelta/θdeltaを変化勾配とする機能であってもよい。もしくは、所定時間dtの角度および荷重変化について、(F(t+dt)-F(t) ) / (θ(t+dt)-θ(t) )を変化勾配としてもよい。
変化勾配比較部119bは、既に記憶されている変化勾配と、前記導出された変化勾配とを比較し、比較結果が所定以上変化していたら剛性の不連続点が発生したと判断することができる。不連続点と判断された場合、制御ゲイン調整部115に当該不連続点の情報を伝達する。
制御ゲイン切替部115cは、例えば、増圧方向において、第一の制御ゲイン115dの制御ゲインを参照している状態で不連続点が生じたと判断されると、第二の制御ゲイン115eの制御ゲインを参照する状態に移行してもよい。また、増圧方向において、第二の制御ゲイン115eの制御ゲインを参照している状態で、不連続点が生じたと判断されると、第三の制御ゲイン115fの制御ゲインを参照する状態に移行してもよく、減圧方向において、第二の制御ゲイン115eの制御ゲインを参照している状態で、不連続点が生じたと判断されると、第一の制御ゲイン115dの制御ゲインを参照する状態に移行してもよい。減圧方向において、第三の制御ゲイン115fを参照している状態で、不連続点が生じたと判断されると第二の制御ゲイン115eの制御ゲインを参照する状態に移行してもよい。
図示外要素として、制御ゲイン調整部115の制御ゲイン切替部115cにて制御ゲインの切り替えが行われた場合において、荷重制御部113により不要なモータ駆動指令が演算されないよう適宜内部パラメータをリセットする機能を設けることが好ましい。
<<電動ブレーキ装置1Aの動作例>>
図6は、摩擦材560とブレーキロータ570との間に所定のクリアランスを設けた無負荷状態から所定のブレーキ力を発生させる動作例を示す。同図(a)は、図2に記載の変速機構580を有する直動機構520が適用された、上記実施形態に記載の電動式直動アクチュエータ1を適用した例を示す。同図(a)では、非線形な変速動作の発生に依存した制御性悪化によるオーバーシュートが発生することなくブレーキ力FFを発揮でき、また直動機構の等価リードが変更できているため無負荷の状態からブレーキ力が発生するまでに比較的早い時間TT1にブレーキ力が発生している。同図(b)は、変速機構を設けない直動機構が適用された、従来の電動式直動アクチュエータによって動作する例を示す。同図(b)では、直動機構の等価リードが一定であるため、無負荷の状態からブレーキ力が発生する時間TT2までに比較的時間を要する。同図(c)は、図2に記載の変速機構580を有する直動機構520が適用されているが、これ以外は従来通りの制御手法によって動作する例を示す。同図(c)では、直動機構の等価リードが変更できているため無負荷の状態からブレーキ力が発生するまでに比較的早い時間TT1にブレーキ力が発生できているが、非線形な変速動作の発生により、制御性が悪化し、ブレーキ力FFを発揮するまでに比較的大きなオーバーシュートが発生している。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電動式直動アクチュエータ
1A 電動ブレーキ装置(電動式直動アクチュエータ)
1B 電動プレス装置(電動式直動アクチュエータ)
100 制御装置
100A 電動ブレーキ制御装置(制御装置)
100B 電動プレス制御装置(制御装置)
113 荷重制御器
113A ブレーキ力制御部(荷重制御器)
113B プレス荷重制御部(荷重制御器)
115 制御ゲイン調整部
115a 増圧時制御ゲイン
115b 減圧時制御ゲイン
115c 制御ゲイン切替部
115d 第一の制御ゲイン
115e 第二の制御ゲイン
115f 第三の制御ゲイン
117 剛性パラメータ記憶部
118 非線形剛性推定部
119a 変化勾配演算部
119b 変化勾配比較部
510 電動モータ
520 直動機構
523 遊星転動体
524 遊星キャリア
530 角度センサ(電動モータの回転量を推定する推定器)
540 荷重センサ(直動機構が印加する荷重を推定する推定器)
570 ブレーキロータ(対象物)
580 変速機構
581 ばね部材(弾性部材)(変速機構)
583 ストッパ(変速機構)

Claims (7)

  1. 電動モータと、前記電動モータの回転運動を直線運動に変換する直動機構と、前記電動モータを駆動して前記直動機構が前記直線運動により対象物に印加する荷重を制御する制御装置と、所定の荷重を境に前記直線運動の直動量と前記電動モータの回転量との対応関係が変化する変速機能を有する変速機構と、を備え、
    前記制御装置は、
    前記直動機構が印加する荷重を推定する推定器と、
    前記電動モータの駆動量を導出する過程において、前記荷重の推定値と前記荷重の目標値との偏差、前記偏差の積分値、および前記偏差の微分値、のうち少なくとも一つまたは二つ以上に乗算される制御ゲインを制御演算に使用し、前記荷重の推定値と前記目標値とのうちの少なくとも一方がゼロではない状態において、少なくとも1か所以上で、前記荷重の推定値と前記目標値とのうちの少なくとも一方の推移に対して不連続的に変化する制御ゲインを使用して、モータ駆動量を算出する荷重制御器と、
    荷重条件に応じて、前記荷重制御器において使用される制御ゲインを調整する制御ゲイン調整部と、
    を有する、
    電動式直動アクチュエータ。
  2. 請求項1に記載の電動式直動アクチュエータにおいて、
    前記変速機構は、前記電動モータの回転量に対して前記直動量が所定の相関となる第一の等価リード状態と、前記第一の等価リード状態と比較して前記電動モータの回転量に対する前記直動量が小さい相関となる第二の等価リード状態と、を含む前記変速機能を有し、
    前記変速機能は、前記直動機構が印加する荷重が増大する過程では、前記所定の荷重である第一の変速荷重を上回ると前記第一の等価リード状態から前記第二の等価リード状態に切り替わり、前記直動機構が印加する荷重が減少する過程では、前記第一の変速荷重とは異なる前記所定の荷重である第二の変速荷重を下回ると前記第二の等価リード状態から前記第一の等価リード状態に切り替わる非線形性を有し、
    前記制御ゲインについて、荷重の推移に対する制御ゲインの推移が不連続となる第一の不連続点から荷重が小さい側における制御ゲインが、前記第一の不連続点より荷重が大きい側における制御ゲインより小さくなる前記第一の不連続点を含んでおり、
    前記変速機構の非線形性有する前記変速機能および前記制御ゲインが、以下のi)およびii)のいずれかの条件に合致する、
    電動式直動アクチュエータ。
    i) 前記変速機能の前記第一の変速荷重は、前記第二の変速荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第一の不連続点は、前記第二の変速荷重より前記第一の変速荷重に近い。
    ii) 前記変速機能の前記第二の変速荷重は、前記第一の変速荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第一の不連続点は、前記第一の変速荷重より前記第二の変速荷重に近い。
  3. 請求項1または2に記載の電動式直動アクチュエータにおいて、
    前記直動機構は、
    回転入力部材と、前記回転入力部材と同心に回転自在に支持された遊星キャリアと、前記遊星キャリアに回転自在に支持された遊星転動体と、
    弾性力によって前記遊星転動体が自転せず前記回転入力部材と前記遊星キャリアとが同期して回転する締結力を付勢し、前記直動機構が印加する荷重の反作用力によって前記締結力が喪失して前記遊星転動体が自転して前記回転入力部材と前記遊星キャリアとの間で回転量に差を生じさせる弾性部材と
    を有し、
    前記弾性部材は、前記直動機構が印加する荷重が増大する過程では、所定の第一の変形荷重を上回ると前記弾性部材の変形が完了し、前記直動機構が印加する荷重が減少する過程では、前記第一の変形荷重とは異なる第二の変形荷重を下回ると前記弾性部材の変形が始まる非線形な変形特性を有し、
    前記制御ゲインについて、荷重の推移に対する制御ゲインの推移が不連続となる第二の不連続点から荷重が小さい側における制御ゲインが、前記第二の不連続点より荷重が大きい側における制御ゲインより大きくなる前記第二の不連続点を含んでおり、
    前記直動機構の前記弾性部材の前記変形特性および前記制御ゲインが、以下のi)およびii)のいずれかの条件に合致する、
    電動式直動アクチュエータ。
    i) 前記弾性部材の前記第一の変形荷重は、前記第二の変形荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第二の不連続点は、前記第一の変形荷重より前記第二の変形荷重に近い。
    ii) 前記弾性部材の前記第二の変形荷重は、前記第一の変形荷重より大きく、前記制御ゲインの前記第二の不連続点は、前記第二の変形荷重より前記第一の変形荷重に近い。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の電動式直動アクチュエータにおいて、
    前記制御ゲイン調整部は、荷重が増加する増圧時の前記制御ゲインである増圧時制御ゲインと、荷重が減少する減圧時の前記制御ゲインである減圧時制御ゲインと、前記増圧時制御ゲインまたは減圧時制御ゲインの制御ゲインの何れを参照するかを決定する制御ゲイン切替部と、を有し、
    前記制御ゲイン切替部は、少なくとも、モータ角度の推移から、増圧側にモータが回転している場合は増圧時制御ゲインの制御ゲインを参照し、減圧側にモータが回転している場合は減圧時制御ゲインの制御ゲインを参照するよう、前記制御ゲインを切替える、
    電動式直動アクチュエータ。
  5. 請求項3に記載の電動式直動アクチュエータにおいて、
    前記制御ゲイン調整部は、前記電動モータの回転量に対する前記直線運動の直動量に対応する等価リードが大きい場合の前記電動モータの制御ゲインである第一の制御ゲインと、前記等価リードが小さくかつ前記弾性部材が変形する場合の前記制御ゲインである第二の制御ゲインと、前記等価リードが小さく前記弾性部材が変形限界に達した場合の前記制御ゲインである第三の制御ゲインと、該第一~第三の制御ゲインのいずれか一つに切替えて参照とする制御ゲイン切替部を有し、
    前記電動式直動アクチュエータは、さらに、
    モータ角度および推定荷重の何れか一方の変化に対する他方の変化の勾配を導出する変化勾配演算部と、
    前記変化勾配演算部で導出された変化の勾配を記憶し、記憶されている前記変化の勾配と、該記憶後に新たに前記変化勾配演算部で導出された変化の勾配とを比較し、所定以上勾配が変化していた場合には、制御ゲインの不連続点が存在すると判断する変化勾配比較部と、を備え、
    前記制御ゲイン切替部は、前記第一~第三の制御ゲインを使用し、前記不連続点が複数存在する場合に、前記変化勾配比較部が判断した複数の前記不連続点のうちの少なくとも一つに従って、
    第一の制御ゲインを参照している状態で、荷重が増加する増圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第二の制御ゲインを参照し、
    第二の制御ゲインを参照している状態で、増圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第三の制御ゲインを参照し、減圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第一の制御ゲインを参照し、
    第三の制御ゲインを参照している状態で、減圧方向に変化した場合に、前記不連続点が生じたと判断されると第二の制御ゲインを参照する、
    電動式直動アクチュエータ。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の電動式直動アクチュエータにおいて、
    前記制御装置は、
    前記電動モータの回転角を推定する推定器を有し、
    少なくとも予め記憶された前記制御ゲインの不連続点に対応する前記荷重が含まれる範囲の、所定量の該荷重における変化が発生した際の、前記電動モータの回転量と前記推定された荷重との変化履歴を記憶する剛性パラメータ記憶部を有し、
    さらに前記制御装置は、
    前記電動モータの角度および前記推定された荷重の前記変化履歴から、前記制御ゲインの不連続点を推定し、前記推定された不連続点に基づいて前記制御ゲインを更新する非線形剛性推定部を有する、
    電動式直動アクチュエータ。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載の電動式直動アクチュエータにおいて、
    前記制御装置は、
    前記電動モータの回転角を推定する推定器を有し、
    所定量の前記荷重の変化または前記電動モータの回転量が発生した際の、該荷重および該回転量のいずれか一方に対する他方の変化量を推定して記憶し、
    さらに前記制御装置は、
    前記記憶されている変化量と、該記憶後に新たに推定された変化量とを比較し、これらの変化量が所定量より大きく変化した場合に、前記制御ゲインにおける前記電動モータの角度と荷重との不連続点が生じたと判断し、前記判断された不連続点に基づいて前記制御ゲインを更新する、
    電動式直動アクチュエータ。
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