JP2022549258A - セラノスティックスとして使用するための放射性標識grprアンタゴニスト - Google Patents

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Abstract

本開示は、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)を標的とする医薬品、並びにGRPR発現悪性腫瘍を有する対象の選択及び治療のためのセラノスティックス的アプローチにおけるそれらの使用に関する。特に、本開示は、GRPR陽性腫瘍の処置に選択されたヒト対象における、上記処置に使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物に関し、上記対象は、対応する68Ga標識GRPRアンタゴニストを造影剤として用いるPET/CT又はPET/MRIイメージングによって治療に選択されている。

Description

本開示は、ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)を標的とする放射性医薬品、並びにGRPR発現悪性腫瘍を有する対象の選択及び治療のためのセラノスティックス的アプローチにおけるそれらの使用に関する。特に、本開示は、GRPR陽性腫瘍の処置に適格であるヒト対象における、上記処置に使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物に関し、上記対象は、同じGRPRアンタゴニストを用いる(但し造影剤として使用するために68-Gaを放射性金属として用いる)PET/CT又はPET/MRIイメージングによって処置に選択されている。
ボンベシンは、最初にヨーロッパのカエルであるボンビナ・ボンビナ(Bombina bombina)から単離され、哺乳動物のガストリン放出ペプチド(GRP)及びニューロメジンB(NMB)を模倣することが実証された:Erspamer,V.Discovery,Isolation,and Characterization of Bombesin-like Peptides.Ann N Y Acad Sci 547:3-9,1988 ; Jensen,R.T.;Battey,J.F.;Spindel,E.R.;Benya,R.V.International union of pharmacology.LXVIII.Mammalian bombesin receptors:Nomenclature,distribution,pharmacology,signaling,and functions in normal and disease states.Pharmacol.Rev.2008,60,1-42]。
ボンベシン様ペプチド成長因子であるガストリン放出ペプチド(GRP)は、消化管ホルモンの放出、平滑筋細胞の収縮、及び上皮細胞の増殖を含む、消化管系及び中枢神経系の多数の機能を調節する。GRPは、生理的組織及び腫瘍性組織に対する強力なマイトジェンであり、増殖調節不全及び発癌に関与している可能性がある。
GRPの作用は、その受容体であるGRP受容体(GRPR)(小細胞肺癌細胞株から最初に単離されたGタンパク質共役受容体)との結合を介して主に媒介される。GRP/GRPR経路のアップレギュレーションは、乳癌、前立腺癌、子宮癌、卵巣癌、結腸癌、膵癌、胃癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、頭頸部扁平上皮癌、及び様々な脳腫瘍及び神経腫瘍を含む、いくつかの癌で報告されている。
乳癌では、GRPRの過剰発現は、腫瘍型に応じて極めて高い密度に達し得る(例えば、乳管癌標本における70~90%の発現)[Van de Wiele C,et al.J Nucl Med 2001,42(11):1722-1727]。
GRPRは、前立腺癌において高度に過剰発現され、前立腺癌では、ヒト前立腺癌細胞株及び異種移植モデルにおける研究において、高い親和性(nMレベル)及び高い腫瘍取り込み(%ID/g)の両方が示されたが、初期から後期へと展開する疾患状況にわたるGRPRの相対的発現は依然として完全には解明されていない[Waters,et al.2003,Br J Cancer.Jun 2;88(11):1808-1816]。
結腸直腸患者では、GRPの存在及びGRPRの発現は、LN病変及び転移性病変を含む無作為に選択された結腸癌試料において免疫組織化学により判定されている。80%超の試料がGRP又はGRPRのいずれかを異常発現し、60%超がGRPとGRPRの両方を発現したが、発現は隣接する正常な健常上皮では観察されなかった[Scopinaro F,et al.Cancer Biother Radiopharm 2002,17(3):327-335]。
GRPは、肺神経内分泌細胞に生理的に存在し、肺の発達及び成熟を刺激する役割を果たす。しかしながら、GRPは、増殖調節不全及び発癌にも関与していると思われる。GRPの刺激は、上皮成長因子受容体(EGFR)リガンドの放出を増加させ、続いてEGFR及びマイトジェン活性化プロテインキナーゼ下流経路を活性化させる。非小細胞肺癌(NSCLC)細胞株を使用して、EGF及びGRPがいずれもNSCLCの増殖を刺激すること、並びにEGFR又はGRPRのいずれかを阻害すると細胞死が生じることが確認されている[Shariati F,et al.Nucl Med Commun 2014,35(6):620-625]。
核医学において、ペプチド受容体アゴニストは長い間、トレーサーの開発及び利用に選択されるリガンドである。アゴニストベースの構築物の使用の背後にある理論的根拠は、受容体-放射性リガンド複合体の内在化により標的細胞内に放射能が高度に蓄積され得るということに置かれていた。放射性金属標識ペプチドの場合、アゴニスト刺激に応答した効率的な受容体介在性エンドサイトーシスは、悪性腫瘍の最適なイメージングのための極めて重要な必要条件である、標的組織におけるインビボでの高度な放射能取り込みをもたらす。しかしながら、受容体選択的ペプチドアンタゴニストが、非常に強力なアゴニストと比較して相当大きいインビボでの腫瘍取り込みを含む好ましい生体内分布を示したとき、パラダイムシフトが生じた。アンタゴニストの使用による急性の生物学的悪影響が予期されないことから、GRPRアンタゴニストによって示される更なる利点は、より安全な臨床使用であり、これは、現在の診断用のトレーサー用量の観点からはそれほどでもないものの、潜在的な治療目的に対するより大きな用量の観点からそうである[Stoykow C,et al.Theragnostics 2016,6(10):1641-1650]。
非臨床モデルにおいて、[68Ga]-NeoB及び[177Lu]-NeoB([68Ga]-NeoBOMB1及び[177Lu]-NeoBOMB1とも呼ばれる)は、乳房、前立腺、及び消化管間質腫瘍(GIST)に発現したGRPRに対する高い親和性に加えて、特異的受容体への結合時の低度の内在化を示した。放射性標識ペプチドがGRPR発現腫瘍を標的とする能力は、動物モデルにおけるインビボイメージング及び生体内分布試験で確認されている[Dalm et al Journal of nuclear medicine 2017,Vol.58(2):293-299;Kaloudi et al.Molecules,2017 Nov 11;22(11);Paulmichl A et al.Cancer Biother Radiopharm,2016 Oct;31(8):302-310]。
多くの治療上の進歩にもかかわらず、乳癌、前立腺癌、GIST癌、頭頸部癌、及びCNS癌などの多くの一般的な腫瘍は依然として高頻度の死亡原因であり、新しい処置アプローチが必要とされている。
したがって、この状況において、GRPR発現悪性腫瘍の選択及び治療のための新規セラノスティックス的アプローチを提供することが望ましい。
本開示は、(1)腫瘍病変を同定するためにガリウム68(68Ga)を用い、(2)これらの腫瘍病変、特に、乳房、前立腺、肺(小細胞及び非小細胞)結腸・直腸、GIST、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、及び腎臓の腫瘍病変の処置のためにルテチウム-177(177Lu)を用いた、放射性標識GRPRアンタゴニストの使用に基づくセラノスティックス的アプローチに関する。
本開示は、GRPR陽性腫瘍の処置に選択されたヒト対象における、上記処置に使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物に関し、上記医薬組成物は、
- 以下の式:
MC-S-P
[式中、
Mは、治療に適した放射性金属(典型的には177-ルテチウム)であり、Cは、例えばMと錯体を形成することによりMに結合するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニスト、典型的には、一般式:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
(Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり
(全てのアミノ酸はL-又はD-異性体である)、
Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000001

である(式中、XはNH(アミド)又はO(エステル)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド(amido)、若しくはアミド(amide)で置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される))である]の放射性標識GRPRアンタゴニストと;
- 1種以上の薬学的に許容される賦形剤、とを含み、
上記対象は、処置のために定義されたものと同じGRPRアンタゴニストを用いる(但し造影剤として使用するために68Gaを放射性金属として用いる)陽電子放出断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)又はPET/磁気共鳴イメージングMRIによって処置に選択されている。
同様に、本開示は、ヒト対象のGRPR陽性腫瘍を処置するための医薬組成物の調製に使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストに関し、上記医薬組成物は、
- 以下の式:
MC-S-P
(式中、
Mは、治療に適した放射性金属(典型的には177-ルテチウム)であり、Cは、例えばMと錯体を形成することによりMに結合するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、典型的にはそのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニストである)の放射性標識GRPRアンタゴニストを含み;
上記対象は、処置のために定義されたものと同じGRPRアンタゴニストを用いる(但し造影剤として使用するために68Gaを放射性金属として用いる)陽電子放出断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)又はPET/磁気共鳴イメージングMRIによって処置に選択されている。
本開示はまた、GRPR陽性腫瘍を処置するための放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に対象が選択され得るか否かを決定する際に、PET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤として使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物に関する。
特定の実施形態では、Pは、一般式:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
[Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり
(全てのアミノ酸はL-又はD-異性体である)、
Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000002

である(式中、XはNH(アミド)又はO(エステル)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド(amido)、若しくはアミド(amide)で置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される)];並びに
- 1種以上の薬学的に許容される賦形剤である。
特定の実施形態では、Pは、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである。
特に好ましい実施形態では、治療剤として使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストは、式(I):
Figure 2022549258000003

(式中、Mは177Luである)のM-NeoBである。
好ましい実施形態では、造影剤として使用するための医薬組成物は、式(I):
Figure 2022549258000004

(式中、Mは68Gaである)の放射性標識GRPRアンタゴニストM-NeoBを含む。
特定の実施形態では、対象に投与される放射性標識GRPRアンタゴニストの治療有効用量は、1~8サイクルの注入で1.85~18.5GBq(50~500mCi)の範囲である。
特定の実施形態では、対象は、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングによって決定される、病変での[68Ga]標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより処置に選択されている。
例えば、対象は、上記対象が以下の条件:上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも50%が、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす場合、処置に選択される。
特定の実施形態では、上記対象は、消化管間質腫瘍(GIST)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、結腸・直腸癌、及び腎癌、好ましくは乳癌の中から選択されるGRPR陽性固形腫瘍を有する。
特定の実施形態では、患者に投与される放射性標識GRPRアンタゴニストのイメージングに有効な用量は、150~250MBqの範囲である。
本開示はまた、腫瘍を有するヒト患者が放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に選択され得るか否かを決定するための方法であって、
(i)有効量の放射性標識GRPRアンタゴニストを、上記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みをイメージングするための造影剤として投与するステップと、
(ii)上記患者のPET/MRI又はPET/CTによって画像を取得するステップと、
(iii)対照画像と比較するステップと、を含む、方法に関する。
特定の実施形態では、上述の方法は、ステップ(i)で使用されたものと同じGRPRアンタゴニストを含むが、治療に適した放射性金属、例えば177Luを有する、治療有効量の治療剤を投与することによってGRPR陽性癌を処置するステップを更に含む。上述の方法の特定の実施形態では、治療剤は、ステップ(i)の少なくとも2週間後に投与される。
本開示は、ヒト対象のGRPR陽性腫瘍の処置に使用するための放射性標識ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)アンタゴニストの医薬組成物に関し、上記医薬組成物は、
- 以下の式:
MC-S-P
(式中、
Mは、治療に適した放射性金属(典型的には177-ルテチウム)であり、Cは、Mに結合するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニストである)の放射性標識GRPRアンタゴニストと;
- 1種以上の医薬賦形剤と、を含み、
上記対象は、処置のために定義されたものと同じGRPRアンタゴニストを用いる(但し造影剤として使用するために68Gaを放射性金属として用いる)陽電子放出断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)又はPET/磁気共鳴イメージングMRIによって処置に選択されている。
定義
「~の処置」及び「処置する」という語句は、疾患、障害、又はその症状の改善又は停止を含む。特に、腫瘍の処置に関して、「処置」という用語は、腫瘍増殖の阻害、又は腫瘍サイズの縮小を指す場合がある。
国際単位系と一致して、「MBq」は、放射能の単位「メガベクレル」の略称である。
本明細書で使用される場合、「PET」は、陽電子放射断層撮影を意味する。
本明細書で使用される場合、「SPECT」は、単一光子放出コンピュータ断層撮影を意味する。
本明細書で使用される場合、「MRI」は、磁気共鳴イメージングを意味する。
本明細書で使用される場合、「CT」は、コンピュータ断層撮影を意味する。
本明細書で使用される場合、化合物の「有効量」又は「治療有効量」という用語は、対象の生物学的応答又は医学的応答を誘発する、例えば、症状を改善するか、状態を緩和するか、疾患の進行を遅らせるか若しくは遅延させるか、又は疾患を予防する、化合物の量を指す。
本明細書で使用される場合、「置換された」又は「任意選択的に置換された」という用語は、ゼロから芳香環系上の空原子価(open valence)の総数までの範囲の数の、ハロゲン、-OR’、-NR’R’’、-SR’、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-C(O)NR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)OR’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN、-NO、-R’、-N、-CH(Ph)、フルオロ(C~C)アルコキソ、及びフルオロ(C~C)アルキル(式中、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は、水素、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択され得る)から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換された基を指す。本開示の化合物が2つ以上のR基を含む場合、例えば、R基の各々は、これらの基の2つ以上が存在する場合、それぞれR’基、R’’基、R’’’基、及びR’’’’基として独立して選択される。
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、それ自体で、又は別の置換基の一部として、1~12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル官能基を指す。適切なアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、並びにt-ブチル、ペンチル及びその異性体(例えば、n-ペンチル、イソペンチル)、並びにヘキシル及びその異性体(例えば、n-ヘキシル、イソヘキシル)が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」という用語は、5~10個の原子を含有する、単環又は一緒に縮合若しくは共有結合した複数の芳香環を有する多価不飽和芳香環系を指し、ここで、少なくとも1つの環は芳香族であり、少なくとも1つの環原子はN、O、及びSから選択されるヘテロ原子である。窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子は任意選択的に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子は任意選択的に四級化されてもよい。そのような環は、アリール環、シクロアルキル環、又はヘテロシクリル環に縮合されてもよい。そのようなヘテロアリールの非限定的な例としては、フラニル、チオフェニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、オキサトリアゾリル、チアトリアゾリル、ピリジニル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、オキサジニル、ジオキシニル、チアジニル、トリアジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、プリニル、ベンゾチアジアゾリル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キナゾリニル、及びキノキサリニルが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、6~10個の環原子を含有する、単環又は一緒に縮合した複数の芳香環を有する多価不飽和芳香族ヒドロカルビル基を指し、ここで、少なくとも1つの環は芳香族である。芳香環は、それに縮合した1~2つの追加の環(本明細書で定義される通りのシクロアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロアリール)を任意選択的に含んでもよい。適切なアリール基としては、ベンゾピラニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、及び同等物などの、ヘテロシクリルに縮合したフェニル、ナフチル(naphtyl)、及びフェニル環が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ハロゲン」という用語は、フルオロ(-F)基、クロロ(-Cl)基、ブロモ(-Br)基、又はヨード(-I)基を指す。
本明細書で使用される場合、「任意選択的に置換された脂肪族鎖」という用語は、4~36個の炭素原子、好ましくは12~24個の炭素原子を有する、任意選択的に置換された脂肪族鎖を指す。
放射性標識GRPRアンタゴニスト処置を必要とする対象
互換的に使用される「患者」及び「対象」という用語は、ヒトを指し、これには、例えば癌を有する対象、より具体的には、例えば実施例に記載の方法による68Ga-NeoB PETによって同定される、GRPR陽性腫瘍病変を有する患者が含まれる。
本明細書で使用される場合、「癌」という用語は、自律的増殖(即ち、急速に増殖する細胞増殖を特徴とする異常な状況又は状態)のための能力を有する細胞を指す。過増殖性及び腫瘍性の病態は、病理学的(即ち、病態を特徴付けるか若しくは構成するもの)として分類され得るか、又は非病理学的(即ち、正常から逸脱しているが病態を伴わないもの)として分類され得る。特に明記しない限り、この用語は、病理組織学的タイプ又は侵襲性のステージにかかわらず、全てのタイプの癌性増殖又は発癌プロセス、転移性組織又は悪性化した細胞、組織若しくは器官を含むものとする。
特定の実施形態では、癌は、GRPR陽性の新生物関連脈管構造を示す、前立腺癌、乳癌、小細胞肺癌、結腸癌、消化管間質腫瘍、ガストリノーマ、神経膠腫、神経膠芽腫、腎細胞癌、消化管・膵神経内分泌腫瘍、食道扁平上皮腫瘍、神経芽細胞腫、頭頸部扁平上皮癌、並びに卵巣腫瘍、子宮内膜腫瘍、及び膵腫瘍から選択される。
特定の実施形態では、癌は、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)結腸・直腸GIST、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、又は腎癌である。好ましくは、癌は、乳癌である。
本開示に従う使用のための放射性標識GRPRアンタゴニスト
本開示は、GRPR陽性腫瘍の処置を必要とする対象においてそれを処置するためのセラノスティックス的アプローチに関する。
セラノスティックス的アプローチは、有利には、放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置のためにGRPR陽性腫瘍を有する患者を選択するための放射性標識GRPRアンタゴニストを使用する第1のイメージングステップと、対応する放射性標識GRPRアンタゴニストで患者を処置するための第2の処置ステップとを含む。
したがって、特定の実施形態では、同じGRPRアンタゴニスト化合物が処置のために患者を選択するためのイメージングステップ及び処置ステップに使用されるが、放射性金属は異なり、一方はイメージング用の造影剤としての使用に適しており、他方は核医学治療のための治療剤としての使用に適している。
本明細書で使用される場合、GRPRアンタゴニストは、以下の式:
C-S-P
(式中、
Cは、放射性金属Mに結合する能力を有するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、GRP受容体ペプチドアンタゴニストである)を有する。
GRP受容体ペプチドアンタゴニストは、当該技術分野において説明されており、ボンベシン(BBN)アゴニストペプチドの誘導体(Pyr-Gln-Arg-Leu-Gly-Asn-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-Leu-Met-NH2)を含む。GRPRの結合に必要な最小のアミノ酸配列は、BBN(7-14)として示されている。次いで、アンタゴニスト特性を有する、特にアミノ酸13及び14の修飾又は欠失を有するBBN(7-14)の誘導体が開発された。GRPRアンタゴニストの例としては、RM2、SB3、NeoB(NeoBOMB1とも呼ばれる)、RM26、BAY864367、CB-TE2A-AR06、及びProBOMB1(それぞれMansi,et al.J.Nucl.Med.2016,57,67S-72S.Sah,et al.J.Nucl.Med.2015,56,372-378.Zang,et al.Clin.Nucl.Med.2018,43,663-669.Nock,B.et al..J.Nucl.Med.2016,58,75-80.Maina,T.;et al.Eur.J.Nucl.Med.Mol.Imaging 2015,43,964-973.Kahkonen,et al.Clin.Cancer Res.2013,19,5434-5443.Wieser,G.;et al.Theranostics 2014,4,412-419に記載されている)が挙げられる。
ボンベシンの誘導体であるProBOMB1の化学構造を以下に開示する:
Figure 2022549258000005
特定の実施形態では、Pは、一般式:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
[Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり;
全てのアミノ酸は独立して、D-又はL-異性体であり、
Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000006

である(式中、XはNH(アミド)又はO(エステル)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド(amido)、若しくはアミド(amide)で置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される)]のGRP受容体ペプチドアンタゴニストである。
一実施形態によれば、Zは、以下の式のうちの1つから選択される(式中、XはNH又はOである):
Figure 2022549258000007
一実施形態によれば、Pは、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-Zである(式中、Zは、上記に定義した通りである)。
一実施形態によれば、Pは、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-Zであり;
Zは、Leu-Ψ(CH2N)-Pro-NH2及びNH-CH(CH-CH(CHから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000008

である(式中、Xは、NH(アミド)であり、R2は、CH-CH(CHであり、R1は、R2と同じか又は異なり、例えば(CH2N)-Pro-NH2である)。
一実施形態によれば、キレーターCは、以下の一覧の中から選択される1種のキレート剤をグラフティングすることにより得られる:
Figure 2022549258000009
特定の実施形態では、Cは、以下からなる群から選択されるキレート剤をグラフティングすることにより得られる:
Figure 2022549258000010
一実施形態によれば、キレーターCは、DOTA、DTPA、NTA、EDTA、DO3A、NOC、及びNOTAからなる群から選択され、好ましくはDOTAである。
一実施形態によれば、Sは、
a)式:
Figure 2022549258000011

のアリール含有残基(式中、PABAはp-アミノ安息香酸であり、PABZAはp-アミノベンジルアミンであり、PDAはフェニレンジアミンであり、PAMBZAは(アミノメチル)ベンジルアミンである);
b)ジカルボン酸、ω-アミノカルボン酸、ω-ジアミノカルボン酸、若しくは式:
Figure 2022549258000012

のジアミン(式中、DIGはジグリコール酸であり、IDAはイミノ二酢酸である);
c)様々な鎖長のPEGスペーサー、特に以下から選択されるPEGスペーサー:
Figure 2022549258000013

d)単鎖又は様々な鎖長の相同鎖若しくは様々な鎖長の異種鎖のα-及びβ-アミノ酸、特に以下のもの:
Figure 2022549258000014

GRP(1-18)、GRP(14-18)、GRP(13-18)、BBN(l-5)、若しくは[Tyr4]BB(1-5);又は
e)a、b、c、及びdの組み合わせ、からなる群から選択される。
特定の実施形態によれば、放射性標識GRPRアンタゴニストは、以下の式:
Figure 2022549258000015

(式中、C及びPは、上記で定義された通りであり、Mは、放射性金属である)の化合物からなる群から選択される。
一実施形態によれば、Pは、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである。
一実施形態によれば、GRPRアンタゴニストは、式(II)のNeoB(NeoBOMB1とも呼ばれる):
Figure 2022549258000016

(DOTA-(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-D-Phe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH[CH-CH(CH)である。
一実施形態によれば、放射性標識GRPRアンタゴニストは、以下の式(I):
Figure 2022549258000017

(式中、Mは放射性金属である)のM-NeoBである。
一実施形態によれば、放射性標識GRPRアンタゴニストは、式(III)の放射性標識M-NeoBOMB2:
Figure 2022549258000018

(M-N(p-アミノベンジルアミン-ジグリコール酸)-D-Phe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH[CH-CH(CH
式中、Mは放射性金属である)である。
一実施形態では、Mは、111In、133mIn、99mTc、94mTc、67Ga、66Ga、68Ga、52Fe、169Er、72As、97Ru、203Pb、212Pb、62Cu、64Cu、67Cu、186Re、188Re、86Y、90Y、51Cr、52mMn、157Gd、177Lu、161Tb、169Yb、175Yb、105Rh、166Dy、166Ho、153Sm、149Pm、151Pm、172Tm、121Sn、117mSn、213Bi、212Bi、142Pr、143Pr、198Au、199Au、89Zr、225Ac、及び43Sc、44Sc、47Scから選択され得る放射性金属である。好ましくは、Mは、治療に使用するための177Lu及びイメージングの際の造影剤として使用するための68Gaから選択される。
PETイメージングの際の造影剤として使用するのに適した典型的な放射性金属には、以下のものが含まれる:
111In、133mIn、99mTc、94mTc、67Ga、66Ga、68Ga、52Fe、72As、97Ru、203Pb、62Cu、64Cu、86Y、51Cr、52mMn、157Gd、169Yb、172Tm、117mSn、89Zr、43Sc、44Sc。
PETイメージングに使用するための好ましい実施形態によれば、Mは、68Gaである。
PETイメージングに使用するための放射性金属Mの特定の実施形態は、68Gaである。この場合、放射性標識GRPRアンタゴニストは、患者選択ステップのためのPET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤として使用され得る。
核医学治療の処置ステップに使用するための典型的な放射性金属には、以下のものが含まれる:169Er、212Pb、64Cu、67Cu、186Re、188Re、90Y、177Lu、161Tb、175Yb、105Rh、166Dy、166Ho、153Sm、149Pm、151Pm、121Sn、213Bi、212Bi、142Pr、143Pr、198Au、199Au、225Ac、47Sc。
好ましい実施形態によれば、Mは、177Luである。
処置ステップに使用するための医薬組成物
処置ステップに使用するための医薬組成物は、本明細書に記載の放射性標識GRPRアンタゴニスト及び1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
放射性標識GRPRアンタゴニストは、少なくとも100MBq/mL、好ましくは少なくとも250MBq/mLの体積放射能をもたらす濃度で存在し得る。放射性標識GRPRアンタゴニストは、100MBq/mL~1000MBq/mL、好ましくは250MBq/mL~500MBq/mLで構成される体積放射能をもたらす濃度で、例えば約370MBq/mL(10mCi/mL)の濃度で存在し得る。
薬学的に許容される賦形剤は、従来使用される任意のものであってよく、溶解性及び活性化合物との反応性の欠如などの物理化学的考慮事項によってのみ制限される。
特に、1種以上の賦形剤は、放射線分解に対する安定剤、緩衝液、金属イオン封鎖剤、及びそれらの混合物から選択され得る。
本明細書で使用される場合、「放射線分解に対する安定剤」は、放射線分解から有機分子を保護する安定剤を指し、例えば、放射性核種から放出されたガンマ線が有機分子の原子間の結合を切断し、ラジカルが形成されるとき、次いで、それらのラジカルは、望ましくないか、効果のない可能性があるか、又は更には毒性である分子をもたらし得る何らかの他の化学反応をラジカルが起こすことを回避する安定剤によって捕捉される。したがって、それらの安定剤は、「フリーラジカル捕捉剤」又は短く「ラジカル捕捉剤」とも呼ばれる。それらの安定剤の別の用語は、「放射線安定強化剤」、「放射線分解安定剤」、又は単に「クエンチャー」である。
本明細書で使用される場合、「金属イオン封鎖剤」は、製剤中の遊離放射性核種金属イオン(放射性標識ペプチドと錯体を形成していないもの)を錯体形成させるのに適したキレート剤を指す。
緩衝液には、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、及びリン酸塩緩衝液が含まれる。
一実施形態によれば、医薬組成物は、水溶液、例えば注射可能製剤である。特定の実施形態によれば、医薬組成物は、注入用溶液である。
注射可能組成物の有効な医薬担体の必要条件は、当業者に周知である(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Company,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers,eds.,pages 238-250(1982)、及び^SHP Handbook on Injectable Drugs,Trissel,15th ed.,pages 622-630(2009)を参照されたい)。
GRPRアンタゴニスト処置のための対象を選択するための方法
本開示はまた、腫瘍を有するヒト患者がGRPRアンタゴニストによる処置に選択され得るか否かを決定するための方法に関し、上記方法は、
(i)有効量の放射性標識GRPRアンタゴニストを、上記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みをイメージングするための造影剤として投与するステップと、
(ii)上記患者のPET/MRI又はPET/CTによって画像を取得するステップと、
(iii)対照画像と比較するステップと、を含む。
上述の方法の目的は、GRPR陽性腫瘍を有する患者、即ち、放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に対して良好なレスポンダーである患者を選択することである。GRPR陽性腫瘍は、上記放射性標識GRPRアンタゴニストを造影剤として注射後に、PET/MRI又はPET/CTイメージングによって放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより、好都合に検出され得る。
本明細書で使用される場合、良好なレスポンダーは、無作為化患者集団(即ち、本方法の選択ステップによって選択されていない)と比較して処置に対して統計的により良好な応答を示す患者集団、及び/又は無作為化患者集団(即ち、本方法の選択ステップによって選択されていない)と比較して処置に対してより少ない副作用を示す患者集団から選択される患者である。
好ましい一実施形態では、放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みのイメージング用の造影剤として使用するための上記放射性標識GRPRアンタゴニストは、式(I):
Figure 2022549258000019

(式中、MはPET/MRI又はPET/CTイメージングに適した放射性金属である)の放射性標識M-NeoBである。典型的には、Mは、68-ガリウムである。
例えば、ヒト患者は、150~250MBqの[68Ga]-NeoBの単回線量を、典型的には静脈内注射によって受ける。
次に、患者の身体画像をPET/MRI又はPET/CTイメージングによって取得し、画像を対照画像と比較して、従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)によって同定された病変が、[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されるか否かを明らかにする。典型的には、PET/MRI又はPET/CTイメージングは、対象への放射性標識GRPRアンタゴニストの投与後1時間~4時間、より好ましくは対象への放射性標識GRPRアンタゴニストの投与後2時間及び3時間以内に実施される。
本方法の特定の実施形態では、上記患者は、乳癌に罹患している患者であり、放射性標識GRPRアンタゴニストは、[68Ga]-GRPRアンタゴニスト、典型的には[68Ga]-NeoBである。
本方法の特定の実施形態では、上記処置に選択される患者は、[68Ga]-GRPRアンタゴニストを用いたPET/MRI又はPET/CTにより決定される上記[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みも示す、従来のイメージングによって検出される少なくとも10%、好ましくは20%超、好ましくは30%超、好ましくは40%超、好ましくは50%超、好ましくは55%超、好ましくは80%超、好ましくは90%超、好ましくは90%~95%の病変を有する患者である。
特定の実施形態では、「病変」という用語は、http://www.eortc.beで入手可能な公開されているRECIST文書に定義されている通りの測定可能な腫瘍病変を指す。通常、測定可能な腫瘍病変は、以下の最小サイズ(測定面における最長直径が記録される)を有する病変である:
・CTスキャン(CTスキャンスライス厚5mm以下)で10mm
・臨床検査によるノギス測定で10mm(ノギスで正確に測定することができない病変は測定不能として記録する必要がある)。
・胸部X線で20mm。
測定不可能なものは、全く測定不可能である病変に加えて、小病変(最長直径が10mm未満であるもの又は短径が10mm以上15mm未満の病理学的リンパ節)を含む、他の全ての病変である。全く測定不可能であるとみなされる病変には、再現性のあるイメージング技術では測定不可能である、身体検査で同定された軟髄膜疾患、腹水、胸水又は心のう液貯留、炎症性乳房疾患、皮膚又は肺のリンパ管性病変、腹部腫瘤/腹部臓器肥大症が含まれる。
全ての測定値は、臨床的に評価した場合には、ノギスを使用し、メートル法表記で記録する必要がある。ベースライン時の評価は全て、可能な限り処置開始に近くなるように実施する必要がある。
特定の実施形態では、病変での[68Ga]-NeoBの取り込みが脾臓での取り込みと等しいか、又はそれよりも優れている(視覚的評価)場合、従来のイメージングにより同定された病変は、本患者選択方法の目的のために、GRPR陽性腫瘍病変とみなされる。
他の特定の実施形態では、病変は、大動脈の平均SUVに対する描写された各関心領域(潜在的病変)の平均SUVの比、大動脈の平均SUVに対する描写された各関心領域(潜在的病変)の平均SUVの比(SUVr)を決定することによって、[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みに対して陽性(即ち、GRPR陽性腫瘍)であると決定される。通常、SUVr値が1を超える場合、病変は、GRPR過剰発現に対して陽性であると決定される。
特に、本開示は、GRPR陽性腫瘍、例えば乳癌のGRPR陽性腫瘍を処置するための放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に対象が選択され得るか否かを決定する際に、PET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤として使用するための先のセクションに記載の放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物に関し、上記対象は、上記対象におけるPET/CT又はPET/MRIイメージングによってGRPR陽性腫瘍での上記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより処置に選択される。
特定の実施形態では、次いで、本方法は、ステップ(i)で使用されたものと同じGRPRアンタゴニストを含むが治療に適した放射性金属を有する、治療有効量の治療剤を投与することによって処置に選択された上記患者のGRPR陽性癌を処置するステップを更に含む。
典型的には、放射性標識GRPRアンタゴニストは、1.85~18.5GBq(50~500mCi)で含まれる治療有効量で上記対象に投与される。特定の実施形態では、治療有効量の組成物は、処置1回当たり1~8回、例えば2~4回、上記対象に投与される。
有利には、治療剤(処置ステップ)として使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストは、177-Luで標識される。
一実施形態では、治療剤として使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストは、式(I):
Figure 2022549258000020

(式中、Mは、治療に適した放射性金属である)の放射性標識M-NeoBである。典型的には、Mは、177-ルテチウムである。
例えば、放射性標識GRPRアンタゴニスト、特に177Lu-NeoBを、2~8サイクル(各々1.85~18.5GBq(50~500mCi))で静脈内投与することにより患者を処置することができる。
一実施形態によれば、処置ステップに使用するための医薬組成物は、例えば、177Lu-NeoBを含む注入用溶液である。特に、その医薬組成物は、370MBq/mLの177Lu-NeoBの注入用溶液である。
特定の態様では、上記処置に選択された対象への放射性標識GRPRアンタゴニストを含む組成物の投与は、対象の腫瘍増殖を阻害し、遅延させ、及び/又は低減させ得る。特定の態様では、腫瘍の増殖は、未処置の対照対象と比較して、少なくとも50%、60%、70%、又は80%遅延される。特定の態様では、腫瘍の増殖は、未処置の対照対象と比較して、少なくとも80%遅延される。特定の態様では、腫瘍の増殖は、処置を施さない腫瘍の予測される増殖と比較して、少なくとも50%、60%、70%、又は80%遅延される。特定の態様では、腫瘍の増殖は、処置を施さない腫瘍の予測される増殖と比較して、少なくとも80%遅延される。
特定の態様では、上記処置に選択された対象への放射性標識GRPRアンタゴニストを含む組成物の投与は、対象の生存期間を延長させ得る。特定の態様では、生存の延長は、未処置の対照対象と比較したものである。特定の態様では、生存の延長は、処置を施さない対象の予測生存期間と比較したものである。特定の態様では、生存期間は、未処置の対照対象と比較して、少なくとも3倍、4倍、又は5倍の期間に延長される。特定の態様では、生存期間は、未処置の対照対象と比較して、少なくとも4倍の期間に延長される。特定の態様では、生存期間は、処置を施さない対象の予測生存期間と比較して、少なくとも3倍、4倍、又は5倍の期間に延長される。特定の態様では、生存期間は、処置を施さない対象の予測生存期間と比較して、少なくとも4倍の期間に延長される。特定の態様では、生存期間は、未処置の対照対象と比較して、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、又は3年延長される。特定の態様では、生存期間は、未処置の対照対象と比較して、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月延長される。特定の態様では、生存期間は、処置を施さない対象の予測生存期間と比較して、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、又は3年延長される。特定の態様では、生存期間は、処置を施さない対象の予測生存期間と比較して、少なくとも1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月延長される。
本開示の放射性標識キット
本開示はまた、キットに関し、このキットは、放射性標識Lu-177 GRPRアンタゴニストによる処置のための患者の選択に使用される注射用溶液を得るための[68Ga]標識ペプチド(例えば、GRPRアンタゴニスト)の医薬調製物に使用するための、
(1)ガリウム-68の溶液(典型的には68Ge/Gaジェネレータから溶出されるHCl中の68GaCl3)で再構成される凍結乾燥粉末としてGRPRアンタゴニストを含む第1のバイアルと;
(2)反応緩衝液を含有する第2のバイアルと;
(3)任意選択でキットの使用説明書と、
を含む。
キットは特に、先のセクションに開示された方法における使用のために適用され得る。
特定の実施形態では、GRPRアンタゴニストは、上記で定義されたNeoBである。
本開示の特定の条項は、以下に提示される:
1.ヒト対象のGRPR陽性腫瘍の処置に使用するための放射性標識ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)アンタゴニストの医薬組成物であって、
- 以下の式:
MC-S-P
(式中、
Mは、治療に適した放射性金属(典型的には177-ルテチウム)であり、Cは、Mに結合するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニストである)の放射性標識GRPRアンタゴニストと;
- 1種以上の医薬賦形剤と、を含み、
上記対象が、処置のために定義されたものと同じGRPRアンタゴニストを用いる(但し造影剤として使用するために68Gaを放射性金属として用いる)陽電子放出断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)又はPET/磁気共鳴イメージング(MRI)によって処置に選択されている、医薬組成物。
2.項目1に記載の使用のための医薬組成物であって、Pが、一般式:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
[Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり;
全てのアミノ酸は独立して、L-又はD-異性体であり、
Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000021

である(式中、XはNH(アミドを形成している)又はO(エステルを形成している)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド(amido)、若しくはアミド(amide)で置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される)];並びに
- 1種以上の薬学的に許容される賦形剤である、医薬組成物。
3.Pが、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである、項目1又は2に記載の使用のための医薬組成物。
4.放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
Figure 2022549258000022

(式中、Mは177Luである)の化合物である、項目1~3のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
5.医薬組成物が、水溶液である、項目1~4のいずれか1つに記載の医薬組成物。
6.医薬組成物が、注入用溶液である、項目1~5のいずれか1つに記載の医薬組成物。
7.対象に投与される放射性標識GRPRアンタゴニストの治療有効用量が、1~8サイクルの注入で1.85~18.5GBq(50~500mCi)の範囲である、項目6に記載の使用のための医薬組成物。
8.対象が、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングによって決定される、病変での[68Ga]標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより処置に選択されている、項目1~7のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
9.処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%が、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目8に記載の使用のための医薬組成物。
10.上記対象が、消化管間質腫瘍(GIST)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、結腸・直腸癌、及び腎癌、好ましくは乳癌からなる群から選択されるGRPR陽性固形腫瘍を有する、項目1~9のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
11.処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:上記対象が乳癌を有していること、及び上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は好ましくは少なくとも50%が、PET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目1~10のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
12.癌の処置が必要な対象において癌を処置するための方法であって、
以下の式:
MC-S-P
[式中、
Mは、治療に適した放射性金属、例えばルテチウム-177であり、Cは、例えばMと錯体を形成することによりMに結合するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニストであり、一般式:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
(Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり;
Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000023

である
(式中、XはNH(アミドを形成している)又はO(エステルを形成している)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド(amido)、若しくはアミド(amide)で置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される))である]の放射性標識GRPRアンタゴニストを含む治療有効量の医薬組成物を上記対象に投与することを含み、
上記対象が、処置のために定義されたものと同じGRPRアンタゴニストを用いる(但し造影剤として使用するために68Gaを放射性金属として用いる)PET/CT又はPET/MRIイメージングによって処置に選択されている、方法。
13.Pが、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである、項目12に記載の方法。
14.放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
Figure 2022549258000024

(式中、Mは177Luである)の化合物である、項目12又は13に記載の方法。
15.医薬組成物が、水溶液である、項目12~14のいずれか1つに記載の方法。
16.医薬組成物が、注入用溶液である、項目12~15のいずれか1つに記載の方法。
17.患者に投与される放射性標識GRPRアンタゴニストの治療有効用量が、1~8サイクルの注入で1.85~18.5GBq(50~500mCi)の範囲である、任意の項目16に記載の方法。
18.対象が、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングによって決定される、病変での[68Ga]標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより処置に選択されている、項目12~17のいずれか1つに記載の方法。
19.処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%が、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目18に記載の方法。
20.上記対象が、消化管間質腫瘍(GIST)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、結腸・直腸癌、及び腎癌、好ましくは乳癌の中から選択されるGRPR陽性固形腫瘍を有する、項目12~19のいずれか1つに記載の方法。
21.処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:上記対象が乳癌を有していること、及び上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は好ましくは少なくとも50%が、PET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目12~20のいずれか1つに記載の方法。
22.GRPR陽性腫瘍を処置するための放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に対象が選択され得るか否かを決定する際に、PET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤として使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物であって、
- 以下の式:
MC-S-P
[式中、
Mは、PETイメージングの際に造影剤として使用するための放射性金属、例えば68-ガリウムであり、Cは、例えばMと錯体を形成することによりMに結合するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニスト、例えば、一般式:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
(Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり;
全てのアミノ酸は独立して、D-又はL-異性体であり、
Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000025

である(式中、XはNH(アミド)又はO(エステル)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド(amido)、若しくはアミド(amide)で置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される))である]の放射性標識GRPRアンタゴニストと;
- 1種以上の薬学的に許容される賦形剤、とを含み、
上記対象が、上記対象におけるPET/CT又はPET/MRIイメージングによってGRPR陽性腫瘍での上記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより処置に選択される、放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物。
23.Pが、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである、項目22に記載の使用のための医薬組成物。
24.放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
Figure 2022549258000026

(式中、Mは68Gaである)の化合物である、項目22又は23に記載の使用のための医薬組成物。
25.医薬組成物が、水溶液である、項目22~24のいずれか1つに記載の医薬組成物。
26.医薬組成物が、注射可能溶液である、項目22~25のいずれか1つに記載の医薬組成物。
27.患者に投与される放射性標識GRPRアンタゴニストのイメージングに有効な用量が、150~250MBqの範囲である、項目26に記載の使用のための医薬組成物。
28.処置に選択された対象が、以下の条件:上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%が、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目22~27のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
29.上記対象が、消化管間質腫瘍(GIST)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、結腸・直腸癌、及び腎癌、好ましくは乳癌の中から選択されるGRPR陽性固形腫瘍を有する、項目22~28のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
30.処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:上記対象が乳癌を有していること、及び上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は好ましくは少なくとも50%が、PET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目22~29のいずれか1つに記載の使用のための医薬組成物。
31.腫瘍を有するヒト患者が放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に選択され得るか否かを決定するための方法であって、
(i)有効量の放射性標識GRPRアンタゴニストを、上記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みをイメージングするための造影剤として投与するステップと、
(ii)上記患者のPET/MRI又はPET/CTによって画像を取得するステップと、
(iii)対照画像と比較するステップと、を含む、方法。
32.ステップ(i)で使用されたものと同じGRPRアンタゴニストを含むが治療に適した放射性金属を有する、治療有効量の治療剤を投与することによってGRPR陽性癌を処置するステップを更に含む、項目31に記載の方法。
33.イメージング用の造影剤として使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
Figure 2022549258000027

(式中、Mは68-ガリウムである)の放射性標識化合物である、項目31又は32に記載の方法。
34.治療に適した放射性金属が、177Luである、項目32に記載の方法。
35.治療剤が、ステップ(i)の少なくとも2週間後に投与される、項目31~34のいずれか1つに記載の方法。
36.GRPR陽性腫瘍を処置するための放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に対象が選択され得るか否かを決定する際の、PET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤を製造するための放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物の使用であって、上記医薬組成物が、
- 以下の式:
MC-S-P
[式中、
Mは、PETイメージングの際に造影剤として使用するための放射性金属、例えば68-ガリウムであり、Cは、例えばMと錯体を形成することによりMに結合するキレーターであり;
Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニスト、例えば、一般式:
Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
(Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり;
全てのアミノ酸は独立して、D-又はL-異性体であり、
Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
又はZは、
Figure 2022549258000028

である(式中、XはNH(アミド)又はO(エステル)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド(amido)、若しくはアミド(amide)で置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される))である]の放射性標識GRPRアンタゴニストと;
- 1種以上の薬学的に許容される賦形剤、とを含み、
- 上記対象が、上記対象におけるPET/CT又はPET/MRIイメージングによってGRPR陽性腫瘍での上記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより処置に選択される、放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物の使用。
37.Pが、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである、項目36に記載の使用。
38.放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
Figure 2022549258000029

(式中、Mは177Luである)の化合物である、項目36又は37に記載の使用。
39.医薬組成物が、水溶液である、項目36~38のいずれか1つに記載の使用。
40.医薬組成物が、注射可能溶液である、項目36~39のいずれか1つに記載の使用。
41.患者に投与される放射性標識GRPRアンタゴニストの治療有効用量が、150~250MBqの範囲である、項目40に記載の使用。
42.処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は少なくとも50%が、上記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目41に記載の使用。
43.上記対象が、消化管間質腫瘍(GIST)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、結腸・直腸癌、及び腎癌、好ましくは乳癌の中から選択されるGRPR陽性固形腫瘍を有する、項目36~43のいずれか1つに記載の使用。
44.処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:上記対象が乳癌を有していること、及び上記対象における従来のイメージング(例えば、MRI、CT、SPECT、又はPET)により検出される病変の少なくとも30%、少なくとも40%、又は好ましくは少なくとも50%が、PET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、項目36~44のいずれか1つに記載の使用。
実施例1:GRPR過剰発現固形腫瘍を有するヒト患者を処置するためのプロトコル
本臨床プロトコルでは、2種類の医薬品を使用する:
・PET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤(化合物1):[68Ga]-NeoB 50μg、放射性医薬品調製用キット
・核医学生成物(化合物2):[177Lu]-NeoB 370MBq/mL(10mCi/mL)、注入用溶液
Figure 2022549258000030
1.2 化合物1-[68Ga]-NeoB、放射性医薬品調製用キット50μgの説明
化合物1-[68Ga]-NeoBは、2つの滅菌バイアルからなる放射性医薬品調製用キットである:
- バイアル1:NeoB(有効成分)、50μg、68Ge/68Gaジェネレータから溶出したHCl中のガリウム-68塩化物(68GaCl3)の溶液で再構成する注射用溶液用粉末;
- バイアル2:反応緩衝液。バイアル2は、再構成したバイアル1に添加する。
キットは、患者に直接注射可能な[68Ga]-NeoB注射用溶液(放射性標識したイメージング生成物)を得るために、68Ge/68Gaジェネレータにより提供されるHCl中の68Ga溶液と組み合わせて使用しなければならない。
投与する放射線量に相当する[68Ga]-NeoB注射用溶液の体積は、ジェネレータによって提供される現時点の放射能及び放射性核種の物理的減衰(半減期=68分)に基づいて、注射推定時間に従って算出する。投与に推奨される放射能は、3MBq/Kg(±10%)(0.08mCi/Kg)(但し、250MBq(6.8mCi)以下且つ150MBq(4.1mCi)以上)である。
一例として、既承認のE&Zジェネレータからの溶出液を用いて得た放射性標識したイメージング生成物の組成を表1に示す。
Figure 2022549258000031
生成物の放射性の性質により、放射性核種の減衰が生じる。その結果、放射性標識したイメージング生成物の[68Ga]-NeoBの量、総放射能、比放射能、及び放射性濃度は、68Gaの半減期に従って時間とともに減少する。これは単回線量の生成物である。
1.2 化合物2:[177Lu]-NeoB、370MBq/mL(0.1mCi/mL)注入用溶液の説明
化合物2は、基準日時(較正時間(tc))で370MBq/mL(10mCi/mL)の体積放射能を有する[177Lu]-NeoBを原薬として含有する、直ちに使用可能な滅菌注入用溶液である。較正日時での370MBq/mL(10mCi/mL)の調整済み体積放射能を前提とすると、分注した溶液の体積は、注入日時に必要な量の放射能を提供するために、6mL~25mLの間で変化する。
[177Lu]-NeoBは、PABZA-DIGリンカー及び[177Lu]塩化物を介してDOTAキレーターに共有結合した7量体アミノ酸配列であるNeoBペプチドから調製する。ルテチウム(177Lu)は、6.647日の半減期を有する。原薬合成ステップは、モニタリング及びプロセスパラメータの記録を自動化したGMP準拠のソフトウェアによって自動化し遠隔制御した、独立型閉鎖系合成モジュールで実施する。簡潔に述べると、製造プロセスは、対応する量のペプチドと反応緩衝液とを含む反応バイアルに[177Lu]塩化物を添加することからなる。選択した温度でインキュベートした後、最終生成物を、放射性分解に対する放射性標識生成物の安定性を維持するために必要な量の抗酸化剤を含有する製剤溶液で希釈し、370MBq/mL(10mCi/mL)の体積放射能に到達させる。最終生成物を、0.22μmの微生物学的フィルターを通した濾過により滅菌する。
これは単回線量の生成物である。
線量3.70GBq(100mCi)の生成終了時の[177Lu]-NeoB注入用溶液の組成(一例として)を表2に示す。
生成物の放射性の性質により、放射性核種の自然減衰が生じる。これは、工業的に生成するか又は所内で生成するかにかかわらず、あらゆる放射性医薬品の特性である。結果として、医薬品の比放射能、総放射能、及び放射性濃度(体積放射能)は経時的に変化する。
Figure 2022549258000032
1.3 ステップ1:有効量のNeoBのPET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤としての投与
GRPRを過剰発現することが知られている固形腫瘍を有する患者に、[68Ga]-NeoBの線量をイメージング用の造影剤として以下の通り投与する:
放射能に関しては、[68Ga]を放射性核種として用いるプロトコルを通じて適切な画像品質を確保するためには、150~250MBqの線量が適当であると考えられる。
オーストリアのInnsbruck UniversityでGIST患者6名を対象に終了した第I相臨床試験の中間報告形式で発表された線量測定データセットによると、68Ga-NeoBの有効線量は、0.022mSv/MBq~0.040mSv/MBq(平均0.029±0.06mSv/MBq)の範囲であり、これは、十分に確立された診断用トレーサーである68Ga-DOTATATEの報告済みの有効線量(0.026mSv/MBq)(Walker RC,Stabin M,Smith GT,Clanton J,Moore B,Liu E.Measured Human Dosimetry of 68Ga-DOTATATE.Journal of Nuclear Medicine 2013;54:855-860)と一致する。加えて、本臨床試験で算出された68Ga-NeoBの平均有効線量(0.029±0.06mSv/MBq)は、動物モデルから外挿されたヒトの計算線量(0.039mSv/MBq)よりも著しく低い。最大注射放射能の250MBq(6.8mCi)では、推定有効線量は検査1回当たり7.25mSvであり、これは従来の施設でのPETイメージングによる線量よりも低い。
1.4 ステップ2:化合物1[68Ga]-NeoBを用いたPET/CT又はPET/MRIイメージングによる画像の取得及び処置ステップ(ステップ3)のための患者の選択
PET/CT又はPET/MRIイメージングを、化合物1の投与後(理想的には2時間30分±30分)に実施する。
投与に推奨される放射能は、3(±10%)MBq/Kg(0.08mCi/Kg)(但し、250MBq(6.8mCi)以下且つ150MBq(4.1mCi)以上)である。
CTスキャンは全て、頭蓋骨から大腿中央部までを網羅するトポグラム(スカウト)から開始する。CT及びPET(軸方向)照射野の両方をトポグラム上に画定する。施設SOCに従って、低線量の減衰補正を使用してCTスキャンを完了する。
CT取得の完了後、ガントリによって対象をPET位置へと移動させる。対象の身長に応じて、約6~7個のPETベッド位置を含めて取得する。取得時間は、スキャナの技術的能力に基づいて変化し得る。
・3Dイメージング-各PETベッド位置を3.5分間取得し、21~25分の合計スキャン時間(推奨)を得る。
脾臓は、病理学的な[68Ga]-NeoBの取り込みを評価するための参照領域である。[68Ga]-NeoBの取り込みが脾臓での取り込みと等しいか又はそれよりも優れている場合、そのような取り込みはGRPRの過剰発現に特異的であると考えられる。
従来のイメージングにより同定した病変(従来のイメージングの説明については次のセクションを参照されたい)は、視覚的評価で決定した病変での[68Ga]-NeoBの取り込みが脾臓での取り込みと等しいか又はそれよりも優れている場合、本患者選択法の目的のために、GRPRの過剰発現に特異的な病変と考えられる。
定性的な視覚的評価で更に確認が必要な場合、平均標準取り込みに対する描写した各関心領域(潜在的病変)の平均SUVrを以下の通り算出することが提案される:
以下に記載の通りの大動脈の値(SUV)(CT上で確認し、位置合わせしたPET上で取得するのがよい):
SUVr=[病変のSUV平均値/大動脈のSUV平均値]
大動脈のSUV平均値を得るためには、大動脈弓内で直径2cmの球体積を測定する必要がある。1を超える全てのSUVr値は、GRPR過剰発現陽性とみなされる。
Figure 2022549258000033
従来のイメージングで検出した病変の>30%、>40%、又は好ましくは>50%が、[68Ga]-NeoBの取り込みによっても同様に同定された場合、患者を[177Lu]-NeoBの投与に選択することができる。
1.5 従来のイメージング
1.5.1 診断用CT
日常的な診断用CTスキャンを、例えば、必要に応じて造影剤の有無を問わずに取得することができ、このスキャンは、胸部、腹部、及び骨盤部を網羅することができる。必要に応じて、追加の領域をスキャンすることができる。
1.5.2 診断用MRI
日常的な診断用MRIスキャンを、特にCTが禁忌の場合又は対象が脳腫瘍(例えば、神経膠芽腫、星状細胞腫)を呈する場合に、完了することができる。
1.5.3 PET/CT-非[68Ga]-NeoB
スクリーニング前及び追跡調査時点で取得した日常的なPET/CTイメージングは、施設のSOCに従って取得する必要がある。利用する放射性トレーサーは、[18F]-FDG又は[18F]-コリンのいずれかを使用することによる、腫瘍型に基づくものである。
1.6 ステップ3:ステップ2で実施したPET/CT又はPET/MRIスキャンで[68Ga]-NeoBの腫瘍病変の取り込み(下記の手順に示す通りのもの)を有する患者の[177Lu]-NeoBによる処置。
[68Ga]-NeoBの投与と[177Lu]-NeoBの投与との間には、少なくとも2週間の間隔が観察される。
[68Ga]-NeoBの取り込みによって陽性腫瘍病変が同定された患者に、2~8サイクルの注入で、[177Lu]-NeoBの治療線量1.85~18.5GBq(50~500mCi)を投与する。
核医学における日常的手順に従って、投与する各線量について±10%の範囲が、患者の安全に対する如何なるリスクも伴わずに許容される。
より具体的には、[177Lu]-NeoBの各単回線量について、算出した線量から±10%の偏差が許容される。
[177Lu]-NeoBは、緩徐な注入として投与する。注入速度は変化せず、50ml/時である。逆に、注射時間は、体積及び線量に比例して増加する。生理食塩水を同じ注入速度(50ml/時)で並行して注入し、チューブをフラッシュする。一例として、線量7.40GBq(200mCi)の[177Lu]-NeoBについて、バッチ生成と注射との間の時間経過に応じて、推定注入体積は25mlであり得、注入時間は30分である。
放射線量が最終バイアルに残されるポンプ/フレボ(flebo)注入法、又は放射線量が単回投与シリンジ及び使い捨て滅菌針を使用して回収されることとなるシリンジ注入法のいずれかの、異なる注入方法を使用することができる。全ての場合において、バイアル又はシリンジ中の初期及び残留放射能は、投与の直前及び直後に線量キャリブレータにより測定する必要がある。ポンプ法を使用する場合、[177Lu]-NeoBを注入ラインに直接ポンプで供給する。注入ラインを、[177Lu]-NeoBの注入後、少なくとも25mlの塩化ナトリウム9mg/ml(0.9%)注射用溶液で迅速にフラッシュする。Flebo注入法を使用する場合、注入ラインに接続した[177Lu]-NeoB溶液に、塩化ナトリウム9mg/ml(0.9%)注射用溶液が重力により直接流れ込む。
[177Lu]-NeoBの投与により、非標的器官への非特異的放射性医薬品の取り込みと比較して、標的器官(即ち、疾患)への有効放射線量が増加することが期待される。リガンドを標識する放射性核種の物理学的特性によって、[177Lu]-NeoBを投与された患者の全身放射線曝露は大きいであろう。
[177Lu]-NeoBの期待される利益は、GRPRを異常発現する悪性細胞に主に影響を及ぼす放射性ペイロードの標的治療送達に依存する。この原理は、NeoBリガンドの場合、内部放射線療法又はペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)として知られている。
実施例2:従来のイメージング方法及び[68Ga]-NeoBによって検出した病変の数の比較
主要目的は、GRPRを過剰発現することが知られている悪性腫瘍を有する患者における[68Ga]NeoBの予備的な標的化特性を特徴付けることであった。主要有効性評価項目は以下であった:
・[68Ga]-NeoBOMB1により検出した、全体及び各腫瘍型の腫瘍病変の数及び位置
・腫瘍/バックグラウンド標準取り込み値(SUV)の比及び組織1g当たりの注入線量%(ID/g)の算出、並びに腫瘍全体及び各腫瘍型の吸収線量(mGy/MBq)の算出。
1.[68Ga]-NeoBにより検出した腫瘍病変の数及び位置
従来のイメージング方法及び[68Ga]-NeoBにより検出した、全体及び各腫瘍型の腫瘍病変の数及び位置を、それぞれ表4及び表5に示す。
Figure 2022549258000034
概括すると、従来のイメージングにより同定された病変は254個であり、これらの254個の病変のうち、87個は[68Ga]-NeoBによっても同定される。したがって、従来のイメージングにより同定された病変の34.3%は、癌種にかかわらず、[68Ga]-NeoBによっても同定される(100%×二重陽性/従来のイメージングで同定された病変の総数)。正確な二項両側信頼区間(CI)は、(28.4-40.4)である。
詳細を述べると、軟部組織及び内臓組織では、癌種にかかわらず、従来のイメージングにより同定された病変の52.6%が[68Ga]-NeoBによっても同定される。
Figure 2022549258000035
具体的には、病変の位置を各腫瘍型について個別に測定した(乳房 N=5、前立腺 N=5、結腸直腸 N=5、NSCL N=3、及びSCL N=1)。
乳癌については、従来のイメージングにより同定された病変は92個であり、これらの92個の病変のうち、48個は[68Ga]-NeoBによっても同定される。したがって、従来のイメージングにより同定された病変の52.2%は、[68Ga]-NeoBによっても同定される(100%×二重陽性/従来のイメージングで同定された病変の総数)。正確な二項両側95%信頼区間(CI)は、(41.5-62.7)である。
前立腺癌については、従来のイメージングにより同定された病変は69個であり、これらの69個の病変のうち、10個は[68Ga]-NeoBによっても同定される。したがって、従来のイメージングにより同定された病変の14.5%は、[68Ga]-NeoBによっても同定される(100%×二重陽性/従来のイメージングで同定された病変の総数)。正確な二項両側95%信頼区間(CI)は、(7.2-25)である。
結腸直腸癌については、従来のイメージングにより同定された病変は61個であり、これらの61個の病変のうち、18個は[68Ga]-NeoBによっても同定される。したがって、従来のイメージングにより同定された病変の29.5%は、[68Ga]-NeoBによっても同定される(100%×二重陽性/従来のイメージングで同定された病変の総数)。正確な二項両側95%信頼区間(CI)は、(18.5-42.6)である。
NSCL癌については、従来のイメージングにより同定された病変は30個であり、これらの30個の病変のうち、10個は[68Ga]-NeoBによっても同定される。したがって、従来のイメージングにより同定された病変の33.3%は、[68Ga]-NeoBによっても同定される(100%×二重陽性/従来のイメージングで同定された病変の総数)。正確な二項両側95%信頼区間(CI)は、(17.3-52.8)である。
SCL癌については、従来のイメージングにより同定された病変は2個であり、これらの2個の病変のうち、1個は[68Ga]-NeoBによっても同定される。したがって、従来のイメージングにより同定された病変の50%は、[68Ga]-NeoBによっても同定される(100%×二重陽性/従来のイメージングで同定された病変の総数)。正確な二項両側95%信頼区間(CI)は、(1.3-98.7)である。
2.腫瘍/バックグラウンドSUVの比
・参照器官(視覚的評価)
中央判定者は、視覚的参照として機能するのに最も適切な参照器官を決定するために、定性的な視覚的評価を実施した。
概括すると、2つの異なるパターンがそれらの取り込みレベルに従って観察された:
・[68Ga]-NeoBの取り込みが低い病変(患者の大部分を占める)は、脾臓及びMBPで見られるものと同様の取り込みを示した。
・[68Ga]-NeoBの取り込みが高い病変(患者2~3名)は、肝臓と同様であるか又はそれ以上の取り込みを示した。
筋肉、肝臓、脾臓、及びMBPはほぼ均一な取り込みであったが、筋組織は、参照領域とみなすにはあまりにもわずかな取り込みを示した。病変の陽性を定義するために使用する強度に応じて、閾値は、肝臓(高度)又はMBP/脾臓(軽度/中等度)のいずれかの取り込みに基づくことができる。肝臓は、放射線トレーサーの特徴によると適切な参照領域であり得るが、転移のためにかなり頻繁に局在化するため、比の精度が不均一となる場合がある。脾臓及びMBPは放射性トレーサーの生体内分布に関して同様の特徴を有することから、いずれか一方を使用することができ、特に、脾臓での局在化が難しい場合(例えば、小型、副脾、手術)はMBPを使用すべきである。SUVrの算出に最適な参照器官は、脾臓又はMBPのいずれかであると思われる。
・非線量測定群
概括すると、病変のSUVmean値及びSUVmax値は、全体で1時間30分でピークに達した。
前立腺腫瘍について、最高SUVmean値は、軟部組織/内臓位置(14.043g/mL)及び位置全体(11.638g/mL)において、1時間30分で観察された。
乳房腫瘍について、最高SUVmax値は、全体(23.120g/mL)及び軟部組織/内臓(22.140g/mL)において、2時間30分で観察された。乳房腫瘍患者の病変における放射性トレーサーの集積は、この種の腫瘍におけるGRPRの高発現と一致する(Dalm et al,2015)。しかしながら、良好なシグナルが1時間30分で既に検出されているので、このことは乳癌患者のイメージング時点を2時間30分に設定すべきであることを意味するわけではない。それにもかかわらず、この特徴は、病変レベルで経時的に蓄積し続け、それにより標的化放射線に治療効果をもたらす、治療化合物の潜在的なより長い効果を支持する追加の論拠である。
GRPRの発現は、腫瘍の起源とは無関係に、そのような受容体を発現する細胞のクラスターにおけるトレーサーの保持及び蓄積を促進する。
・線量測定群
線量測定群は、乳癌患者(N=2)のみで構成された。概括すると、線量測定群について、病変のSUVmean値は15分でピークに達し、軟部組織/内臓位置において15分(9.240g/mL)及び4時間(9.140g/mL)で最高値に達した。概括すると、病変のSUVmax値は4時間でピークに達した。最高SUVmax値は、軟部組織/内臓において4時間(26.380g/mL)及び2時間(25.830g/mL)で観察された。
線量測定群の各患者についての、時点毎の線源器官及び腫瘍病変における放射線トレーサーの相対的取り込み(%ID/gで記載)を表6及び表7に示す。両患者の全時点で%ID/gが最も高かった線源器官は膵臓であり、次いで膀胱及び肝臓であった。この結果は、他所で発表された所見と一致する。したがって、ボンベシンアンタゴニストの投与後の最も高いトレーサーの相対的取り込みは、膵臓、腎臓、及び肝臓で予期される(Roivainen et al,2013)。腫瘍病変の最高%ID/gは、患者FR01-008では脊椎(T3)で、患者FR01-009では肝臓R2(T5)で測定された。
Figure 2022549258000036
Figure 2022549258000037
・SUVr
SUVrは、[68Ga]-NeoBOMB1により検出した各病変のSUV平均値と、参照領域のSUV平均値との間の比である。
半定量的結果は、軽度の取り込みに相当する約1のSUVrである中央の視覚的判定と一致する。それにもかかわらず、患者レベルでは、ほとんどの患者は、脾臓又はMBP(大動脈若しくは心臓)を参照器官として使用してSUVr>1であった。定量分析は、視覚的評価に基づく参照器官に関する中央判定者の結論を裏付ける。
中等度の[68Ga]-NeoBOMB1の取り込みを有する領域の場合、SUVr、即ち、そのような領域のMBP又は脾臓の領域に対する比を算出し、比が1を超える場合、そのような領域を病変とみなすことが提案される。
実施例3:探索的有効性の結果:[177Lu]-NeoBOMB1の適用可能性に関する吸収腫瘍線量
68Ga]-NeoBOMB1の経時的な放射能分布を探索的に使用して、両方の化合物について同じ生物学的クリアランス速度を仮定することによって、[177Lu]-NeoBOMB1の線量測定を推定した。
吸収線量の標的器官への外挿を、患者FR01-008については表8に、患者FR01-009については表10に示す。吸収線量の腫瘍病変への外挿を、患者FR01-008については表9に、患者FR01-009については表11に示す。
Figure 2022549258000038
Figure 2022549258000039
Figure 2022549258000040
Figure 2022549258000041
68Ga]-NeoBから[177Lu]-NeoBへの外挿は、半減期が異なる([68Ga]-NeoB:1時間;[177Lu]-NeoB:6.6日)ことから困難である可能性があり、適切とはみなされない。本試験で得た時間放射能曲線は、最大4時間の[68Ga]-NeoBプロファイルのみからなる。時間積分放射能係数(time integrated activity coefficient)(TIAC)は、これらの4つの時点にわたる積分と、物理的減衰に基づく最終時点以降から無限大までの外挿とによって推定される。これは、器官曝露の過大評価につながる。それでもなお、177Lu標識化合物の投与後の器官吸収線量がどのようなものであり得るかの大まかな指標を得るために、この外挿を探索的な目的で実施した。
表8及び表10の吸収線量データは、予想通り、潜在的に極めて重要な標的器官が膵臓であることを示す。しかしながら、ヒトで最初となる可能性のある線量1.85GBqに対するこの器官における外挿吸収線量は、外部放射線照射に基づく膵臓の閾値を下回る。他の器官における吸収線量に関しては、これらは推奨閾値をはるかに下回ると推定される。

Claims (18)

  1. ヒト対象のGRPR陽性腫瘍の処置に使用するための放射性標識ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)アンタゴニストの医薬組成物であって、
    - 以下の式:
    MC-S-P
    (式中、
    Mは、治療に適した放射性金属(典型的には177-ルテチウム)であり、Cは、Mに結合するキレーターであり;
    Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
    Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニストである)の放射性標識GRPRアンタゴニストと;
    - 1種以上の薬学的に許容される賦形剤、とを含み、
    前記対象が、前記処置のために定義されたものと同じGRPRアンタゴニストを用いるが、但し造影剤として使用するために68Gaを放射性金属として用いる陽電子放出断層撮影(PET)/コンピュータ断層撮影(CT)又はPET/磁気共鳴イメージング(MRI)によって前記処置に選択されている、放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物。
  2. 請求項1に記載の使用のための医薬組成物であって、Pが、一般式:
    Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
    [Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
    Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
    Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
    Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
    Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
    Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
    Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり;
    全てのアミノ酸は独立して、L-又はD-異性体であり、
    Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
    又はZは、
    Figure 2022549258000042

    である(式中、XはNH(アミドを形成している)又はO(エステルを形成している)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド、若しくはアミドで置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される)];並びに
    - 1種以上の薬学的に許容される賦形剤である、医薬組成物。
  3. Pが、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである、請求項1又は2に記載の使用のための医薬組成物。
  4. 前記放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
    Figure 2022549258000043

    (式中、Mは177Luである)の化合物である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  5. 前記医薬組成物が、注入用溶液である、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
  6. 対象が、前記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングによって決定される、病変での[68Ga]標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより前記処置に選択されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  7. 前記処置に選択された対象が、最終的に以下の条件:前記対象における従来のイメージング、例えば、MRI、CT、SPECT、又はPETにより検出される病変の少なくとも50%が、前記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、請求項6に記載の使用のための医薬組成物。
  8. 前記対象が、消化管間質腫瘍(GIST)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、結腸・直腸癌、及び腎癌からなる群から選択されるGRPR陽性固形腫瘍を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  9. GRPR陽性腫瘍を処置するための放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に対象が選択され得るか否かを決定する際に、PET/CT又はPET/MRIイメージング用の造影剤として使用するための放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物であって、前記医薬組成物が、
    - 以下の式:
    MC-S-P
    [式中、
    Mは、PETイメージングの際に造影剤として使用するための放射性金属、例えば68-ガリウムであり、Cは、例えばMと錯体を形成することによりMに結合するキレーターであり;
    Sは、CとPのN末端との間に共有結合した任意選択のスペーサーであり;
    Pは、そのN末端がC又はSに共有結合したGRP受容体ペプチドアンタゴニスト、例えば、一般式:
    Xaa1-Xaa2-Xaa3-Xaa4-Xaa5-Xaa6-Xaa7-Z
    (Xaa1は、存在しないか、又はアミノ酸残基Asn、Thr、Phe、3-(2-チエニル)アラニン(Thi)、4-クロロフェニルアラニン(Cpa)、α-ナフチルアラニン(α-Nal)、β-ナフチルアラニン(β-Nal)、1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)、Tyr、3-ヨード-チロシン(o-I-Tyr)、Trp、及びペンタフルオロフェニルアラニン(5-F-Phe)からなる群から選択され;
    Xaa2は、Gln、Asn、又はHisであり;
    Xaa3は、Trp又は1,2,3,4-テトラヒドロノルハルマン-3-カルボン酸(Tpi)であり;
    Xaa4は、Ala、Ser、又はValであり;
    Xaa5は、Val、Ser、又はThrであり;
    Xaa6は、Gly、サルコシン(Sar)、D-Ala、又はβ-Alaであり;
    Xaa7は、His又は(3-メチル)ヒスチジン(3-Me)Hisであり;
    全てのアミノ酸は独立して、D-又はL-異性体であり、
    Zは、-NHOH、-NHNH2、-NH-アルキル、-N(アルキル)2、及び-O-アルキルから選択されるか、
    又はZは、
    Figure 2022549258000044

    である(式中、XはNH(アミド)又はO(エステル)であり、R1及びR2は同じであるか又は異なり、プロトン、任意選択的に置換されたアルキル、任意選択的に置換されたアルキルエーテル、アリール、アリールエーテル、又はアルキル-、ハロゲン、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アミン、アミノ、アミド、若しくはアミドで置換されたアリール基若しくはヘテロアリール基から選択される))である]の放射性標識GRPRアンタゴニストと;
    - 1種以上の薬学的に許容される賦形剤、とを含み、
    前記対象が、前記対象におけるPET/CT又はPET/MRIイメージングによってGRPR陽性腫瘍での前記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みを評価することにより前記処置に選択される、放射性標識GRPRアンタゴニストの医薬組成物。
  10. Pが、DPhe-Gln-Trp-Ala-Val-Gly-His-NH-CH(CH-CH(CHである、請求項9に記載の使用のための医薬組成物。
  11. 前記放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
    Figure 2022549258000045

    (式中、Mは68Gaである)の化合物である、請求項9又は10に記載の使用のための医薬組成物。
  12. 前記処置に選択された対象が、以下の条件:前記対象における従来のイメージング、例えば、MRI、CT、SPECT、又はPETにより検出される病変の少なくとも30%が、前記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定される[68Ga]-GRPRアンタゴニストの取り込みによっても同定されること、を満たす、請求項9~11のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  13. 前記対象が、消化管間質腫瘍(GIST)、神経芽細胞腫、神経膠芽腫、乳癌、前立腺癌、肺(小細胞及び非小細胞)癌、結腸・直腸癌、及び腎癌から選択されるGRPR陽性固形腫瘍を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の使用のための医薬組成物。
  14. 腫瘍を有するヒト患者が放射性標識GRPRアンタゴニストによる処置に選択され得るか否かを決定するための方法であって、
    (i)有効量の放射性標識GRPRアンタゴニストを、前記放射性標識GRPRアンタゴニストの取り込みをイメージングするための造影剤として投与するステップと、
    (ii)前記患者のPET/MRI又はPET/CTによって画像を取得するステップと、
    (iii)対照画像と比較するステップと、を含む、方法。
  15. ステップ(i)で使用されたものと同じGRPRアンタゴニストを含むが治療に適した放射性金属を有する、治療有効量の治療剤を投与することによってGRPR陽性癌を処置するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
  16. イメージング用の造影剤として使用するための前記放射性標識GRPRアンタゴニストが、式(I):
    Figure 2022549258000046

    (式中、Mは68-ガリウムである)の放射性標識化合物である、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 前記治療に適した放射性金属が、177Luである、請求項15に記載の方法。
  18. 前記治療剤が、ステップ(i)の少なくとも2週間後に投与される、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
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