JP2022529531A - 植物形質を改善するために窒素固定を標的とする遺伝子標的 - Google Patents

植物形質を改善するために窒素固定を標的とする遺伝子標的 Download PDF

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Abstract

NAC、ptsH、iaaA、gltA、pga、sdiA、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、wzxE、bolA、iscR、fhuF、sodA、sodB、sodC、FNR、arcA、arcB、rpoS、sbnA、treA、treB、phoP、phoQ、yjjPB、ychM、dauA、actP、yusV1、yieL1、yieL2、yieL3、yieL4、pgaB,rafA、melA、uidA、manA、abfA、abnA、lacZ、及びyusV2から選択される1つ以上の遺伝子において改変を有する遺伝子操作された細菌が開示されている。固定された窒素を植物に提供するための遺伝子操作された細菌の使用方法、及び前記細菌を含む組成物も提供される。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる2019年4月24日に出願された米国仮特許出願第62/838,158号に対する優先権を主張する。
技術分野
本開示は遺伝子操作された細菌株、及びそれらの組成物に関する。そのような細菌株、及びその組成物は固定された窒素を植物に提供するのに有用である。
発明の背景
植物は共有のメタボロームを介して微生物叢に関連付けられる。特定の作物の形質とその根底にあるメタボロームとの間の多次元的な関係は多数の極大値を持つランドスケープを特徴とする。メタボロームに対する微生物叢の影響を変更することによって、劣った極大値からさらに良好な形質を表す別の極大値に最適化することは、作物の最適化のような種々の理由で望ましいと考えられる。増大する世界人口のニーズを満たすには、農業と食糧生産に対する経済的、環境的、社会的に持続可能なアプローチが必要とされる。2050年までに、国連食糧農業機関は、増加する人口のニーズを満たすために総食糧生産を70%増やす必要があると予測しており、この課題は、淡水資源の減少、耕作地の競合の激化、エネルギー価格の上昇、投入コストの増加、及びさらに乾燥した、さらに暑い、そしてさらに極端な地球規模の気候の圧力に適応するための作物の必要性の可能性を含む多数の因子によって悪化している。
関心のある分野の1つは窒素固定の改善である。窒素ガス(N)は地球の大気の主成分である。さらに、元素窒素(N)は生物を構成する多くの化合物の重要な成分である。しかしながら、多くの生物は、成長及び繁殖のような生理学的プロセスで使用される化学物質を合成するために直接Nを使用することはできない。Nを利用するために、Nを水素と組み合せなければならない。Nと水素の結合は窒素固定と呼ばれる。窒素固定は、化学的または生物学的に達成されるかどうかにかかわらず、大量のエネルギーの投資を必要とする。生物系では、ニトロゲナーゼとして知られる酵素が窒素固定をもたらす反応を触媒する。窒素固定研究の重要な目標は、この表現形質を非マメ科植物、特にコムギ、イネ、トウモロコシのような重要な作物植物にまで拡大することである。根粒菌とマメ科植物の間の窒素固定共生の発達を理解する上での大きな進歩にもかかわらず、非マメ科作物に窒素固定根粒を誘導するためにその知識を使用する道はいまだ明らかではない。一方、肥料のような十分な窒素補給源を提供するという課題は、食糧生産の増大に対するニーズの高まりと共に増大し続けるであろう。
本開示はNAC、ptsH、iaaA、gltA、pga、sdiA、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、wzxE、bolA、iscR、fhuF、sodA、sodB、sodC、FNR、arcA、arcB、rpoS、sbnA、treA、treB、phoP、phoQ、yjjPB、ychM、dauA、actP、yusV1、yieL1、yieL2、yieL3、yieL4、pgab、rafA、melA、uidA、manA、abfA、abnA、lacZ、及びyusV2から選択される遺伝子において改変を有する遺伝子操作された細菌を提供する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はNAC、gltA、pga、ptsH、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、iscR、tonB、yusV1、yusV2、yusV3、yusV4、sbnA、fhuF、sodA、sodB、及びsodCから選択される遺伝子に改変を有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はNAC、gltA、pga、ptsH、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、sodA、sodB、及びsodCから選択される遺伝子に改変を有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はiscR、tonB、yusV1、yusV2、yusV3、yusV4、sbnA、及びfhuFから選択される遺伝子に改変を有する。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は遺伝子操作されたジアゾ栄養細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は属間である。
いくつかの実施形態では、遺伝子操作された微生物は属間ではない。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は外因性窒素の存在下で大気中の窒素を固定することができる。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は窒素固定遺伝子ネットワークにおける改変を含む。いくつかの実施形態では、窒素固定遺伝子ネットワークにおける改変はNifA、NifL、NifH、またはそれらの任意の組み合わせにおける改変を含む。いくつかの実施形態では、NifAにおける改変はNifAの発現の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、NifLにおける改変はNifLの発現の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、NifHにおける改変はNifHの発現の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、窒素固定遺伝子ネットワークにおける改変はNifクラスター遺伝子の発現の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は窒素同化遺伝子ネットワークにおける改変を含む。いくつかの実施形態では、窒素同化遺伝子ネットワークにおける改変はGlnEにおける改変を含む。いくつかの実施形態では、GlnEの改変はGlnEの活性の低下をもたらす。いくつかの実施形態では、窒素同化遺伝子ネットワークにおける改変はamtBの活性の低下をもたらす。
本開示は、植物における大気由来窒素の量を増やす方法を提供し、その際、方法は、植物を本明細書に記載されている複数の遺伝子操作された細菌と接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は複数の遺伝子操作された細菌を植物の種子に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は複数の遺伝子操作された細菌を植物の実生に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は複数の遺伝子操作された細菌を液体製剤中で植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は、植物の植え付け後かつ収穫前に複数の遺伝子操作された細菌を植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は複数の遺伝子操作された細菌を側方施肥として植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は発芽後1ヵ月~8ヵ月の間に複数の遺伝子操作された細菌を植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は発芽後2ヵ月~8ヵ月の間に複数の遺伝子操作された細菌を植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は発芽後1ヵ月~3ヵ月の間に複数の遺伝子操作された細菌を植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、接触させる工程は発芽後3ヵ月~6ヵ月の間に複数の遺伝子操作された細菌を植物に適用することを含む。いくつかの実施形態では、植物は穀物用植物である。いくつかの実施形態では、植物はトウモロコシ植物である。いくつかの実施形態では、植物はイネ植物である。いくつかの実施形態では、植物はコムギ植物である。いくつかの実施形態では、植物はダイズ植物である。
本開示は、種子と種子コーティングとを含む組成物を提供し、その際、種子コーティングは、本明細書に記載されているように複数の遺伝子操作された細菌を含む。いくつかの実施形態では、種子は穀物種子である。いくつかの実施形態では、種子は、トウモロコシ種子、コムギ種子、イネ種子、ダイズ種子、ライムギ種子、及びソルガム種子から成る群から選択される。
本開示は植物と、本明細書に記載されている複数の遺伝子操作された細菌とを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、植物は実生である。いくつかの実施形態では、植物は穀物用植物である。いくつかの実施形態では、植物は、トウモロコシ、イネ、コムギ、ダイズ、ライムギ、及びソルガムから選択される。
参照による組み込み
この明細書にて言及される刊行物、特許及び特許出願はすべて、各個別の刊行物、特許、または特許出願が具体的に且つ個別に参照によって組み込まれるように指示されたかのようなものと同程度に参照によって本明細書に組み込まれる。さらに、国際公開番号WO2019/084342の開示は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
本発明の新規の特徴は添付のクレームでの特殊性と共に記述される。本発明の特徴及び利点のさらに良好な理解は、本発明の原理が利用されている例示的な実施形態を記述する以下の詳細な説明、及び添付の以下の図面を参照することによって得られるであろう。
図1A~Bは、窒素固定細菌の富化および単離を示す。(A)Nfb寒天プレートを使用して窒素固定細菌の単一コロニーを単離した。(B)バルチチューブに流し込んだ半固体Nfb寒天培地。矢印は、富化された窒素固定細菌の菌体膜を指す。 代表的なnifHのPCR選別を示す。この画面にて2つのコロニーについて約350bpで陽性のバンドが観察された。下のバンドはプライマー二量体を表す。 CRISPR-Casで選択された突然変異誘発からのコロニーのPCR選別の例を示す。CI006コロニーはnifL遺伝子座に特異的なプライマーでスクリーニングした。野生型PCR産物は約2.2kbで予想されるのに対して変異型は約1.1kbで予想される。スクリーニングした10コロニーのうち7コロニーは所望の欠失を示す。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の突然変異型のアセチレン還元アッセイ(ARA)活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の突然変異型のアセチレン還元アッセイ(ARA)活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図4A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図4A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の突然変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の突然変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図6A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図6A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 図8A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 図8A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図10A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図10A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 図12A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 図12A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての137(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図14A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 図14A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての137-2084(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。 図16A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。 図16A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株のシデロホア遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。 図18A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。 図18A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 図20A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 図20A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての1021(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株の酸素耐性遺伝子変異型のARA活性を示す。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 図22A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 図22A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。菌株はすべての1021-1615(親菌株)と比較される。アッセイは1%酸素のもとで実施した。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株のNAC遺伝子変異型のARA活性を示す。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI137株のNAC遺伝子変異型のARA活性を示す。 図24A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。 図24A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。0mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株のNAC遺伝子変異型のARA活性を示す。GlnAオペロンの上方調節はΔnifL::Prm2株にて窒素固定を約2~3倍増大させた。GlnAオペロンの上方調節は野生型1021株にて固定を約200倍増大させた。 種々の菌株のインビトロ表現型を示す。5mMのリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させたCI1021株のNAC遺伝子変異型のARA活性を示す。GlnAオペロンの上方調節はΔnifL::Prm2株にて窒素固定を約2~3倍増大させた。GlnAオペロンの上方調節は野生型1021株にて固定を約200倍増大させた。 図26A~Bからの菌株について経時的なアンモニウム排出プロファイルを提供する。GlnAオペロンの上方調節は野生型で約90倍、及び抑制されたバックグラウンドで3倍、窒素排出を増大させた。 図26A~Bからの菌株について総アンモニウム排出を提供する。GlnAオペロンの上方調節は野生型で約90倍、及び抑制されたバックグラウンドで3倍、窒素排出を増大させた。
発明の詳細な説明
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」及び「オリゴヌクレオチド」という用語は相互交換可能に使用される。それらは、デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチドまたはそれらの類似体のいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有してもよく、且つ既知または未知の任意の機能を実行してもよい。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子または遺伝子断片のコード領域または非コード領域、連鎖分析から定義される遺伝子座(遺伝子座)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)、短い干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体のような1個以上の修飾ヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾はポリマーの構築の前または後に付与されてもよい。ヌクレオチドの配列は非ヌクレオチド成分によって中断されてもよい。ポリヌクレオチドはさらに、例えば、標識成分との共役によって重合化後に修飾されてもよい。
「ハイブリッド形成」は、1個以上のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化される複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソンクリックの塩基対形成、フーグスティーン結合によって、または塩基の相補性に応じた他の配列固有の方法で発生してもよい。複合体は、二本鎖構造を形成する2本の鎖、多本鎖複合体を形成する3本以上の鎖、単一の自己ハイブリッド形成鎖、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。ハイブリッド形成反応は、PCRの開始、またはエンドヌクレアーゼによるポリヌクレオチドの酵素的切断のようなさらに広範なプロセスにて工程を構成してもよい。第1の配列に相補性である第2の配列は、第1の配列の「相補体」と呼ばれる。ポリヌクレオチドに適用されるような「ハイブリッド形成可能」という用語は、ハイブリッド形成反応においてヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化される複合体を形成するポリヌクレオチドの能力を指す。
「相補性」は、従来のワトソンクリックまたは他の非従来型のいずれかによって、別の核酸配列と水素結合(複数可)を形成する核酸の能力を指す。相補性パーセントは、第2の核酸配列と水素結合を形成すること(例えば、ワトソン-クリック塩基対形成)ができる核酸分子における残基の割合を示す(例えば、10個のうち5個、6個、7個、8個、9個、10個はそれぞれ50%、60%、70%、80%、90%、100%の相補性である)。「完全に相補性」とは、核酸配列の隣接する残基がすべて、第2の核酸配列における同じ数の隣接する残基と水素結合することを意味する。本明細書で使用されるとき「実質的に相補性」とは、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50個、またはそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%である相補性の程度を指す、あるいはストリンジェントな条件下でハイブリッド形成する2つの核酸を指す。相補性パーセントを評価する目的のような配列同一性は、Needleman-Wunschアルゴリズム(例えば、任意で初期設定での、ワールドワイドウェブ上のebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_needle/nucleotide.htmlで利用可能なEMBOSS Needleアライナーを参照)、BLASTアルゴリズム(例えば、任意で初期設定での、blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgiで利用可能なBLAST配列比較ツールを参照)、またはSmith-Watermanアルゴリズム(例えば、任意で初期設定での、ワールドワイドウェブ上のebi.ac.uk/Tools/psa/emboss_water/nucleotide.htmlで利用可能なEMBOSS Waterアライナーを参照)を含むが、これらに限定されない任意の好適な配列比較アルゴリズムによって測定されてもよい。最適な配列比較は、初期設定のパラメータを含む、選択したアルゴリズムの任意の好適なパラメータを使用して評価されてもよい。
一般に、ハイブリッド形成用の「ストリンジェントな条件」は、標的配列に対して相補性を有する核酸が主に標的配列とハイブリッド形成し、非標的配列とは実質的にハイブリッド形成しない条件を指す。ストリンジェントな条件は一般に配列に依存し、いくつかの因子に応じて異なる。一般に、配列が長ければ長いほど、その配列がその標的配列に特異的にハイブリッド形成する温度は高い。ストリンジェントな条件の非限定的な例は、Tijssen(1993),Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular Biology-Hybridization With Nucleic Acid Probes Part I,Second Chapter“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assay”,Elsevier,N.Y.に詳細に記載されている。
一般に、「配列同一性」は、それぞれ、2つのポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の正確なヌクレオチドとヌクレオチドまたはアミノ酸とアミノ酸の一致を指す。通常、配列同一性を決定する技法は、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を決定すること、及び/またはそれによってコードされるアミノ酸配列を決定すること、及びこれらの配列を第2のヌクレオチド配列またはアミノ酸配列と比較することを含む。それらの「同一性パーセント」を決定することによって2つ以上の配列(ポリヌクレオチドまたはアミノ酸)を比較することができる。2つの配列の同一性パーセントは、核酸配列であれ、またはアミノ酸配列であれ、短い方の配列の長さで割って100を乗じた、2つの整列した配列間の正確な一致の数として算出されてもよい。場合によっては、試験配列と参照配列の同一性パーセントは、核酸配列であれ、またはアミノ酸であれ、参照配列の長さで割って100を乗じた、2つの整列した配列間の正確な一致の数として算出されてもよい。同一性パーセントはまた、例えば、国立衛生研究所から入手可能なバージョン2.2.9を含む高度なBLASTコンピュータプログラムを使用して配列情報を比較することによっても決定されてもよい。BLASTプログラムは、Karlin及びAltschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,87:2264-2268(1990)の配列比較法に基づき、Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990);Karlin及びAltschul,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:5873-5877(1993);ならびにAltschul et al.,Nucleic Acids Res.25:3389-3402(1997)にて議論されたとおりである。手短には、BLASTプログラムは、2つの配列のうち短い方の記号の総数で割った同一の整列した記号(一般にヌクレオチドまたはアミノ酸)の数として同一性を定義する。そのプログラムを使用して、比較するタンパク質の全長にわたる同一性パーセントを決定してもよい。初期設定のパラメータは、例えば、blastpプログラムでの短いクエリ配列による検索を最適化するために提供されている。そのプログラムは、SEGフィルターを使用して、Wootton及びFederhen,Computers and Chemistry,17:149-163(1993)のSEGプログラムによって決定されるようなクエリ配列のセグメントをマスクオフすることもできる。配列同一性の所望の程度の範囲は約80%から100%であり、それらの間の整数値である。通常、開示された配列と主張された配列との間の同一性パーセントは、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%である。
本明細書で使用されるとき、「発現」は、ポリヌクレオチドがDNAテンプレートから転写されるプロセス(例えば、mRNAまたは他のRNA転写物)及び/または転写されたmRNAがその後ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。転写物及びコードされたポリペプチドは、まとめて「遺伝子産物」と呼ばれてもよい。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現には真核細胞でのmRNAのスプライシングが含まれてもよい。
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」という用語は本明細書では相互交換可能に使用されて、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。これらの用語はまた、修飾されているアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作、例えば、標識成分とのコンジュゲートを有するアミノ酸ポリマー。本明細書で使用されるとき、「アミノ酸」という用語は、グリシン及びDまたはL双方の光学異性体、及びアミノ酸類似体及びペプチド模倣物を含む、天然の及び/または非天然のまたは合成のアミノ酸を含む。
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、「およそ」という用語と同義で使用される。実例として、量に関する「約」という用語の使用は、引用された値からわずかに外側のその値、例えば、プラスまたはマイナス0.1%~10%の値を示す。
「生物学的に純粋な培養物」または「実質的に純粋な培養物」という用語は、培養物の複製を妨害する、または通常の細菌学的技術によって検出されるのに十分な量の他の細菌種を含有しない、本明細書に記載されている細菌種の培養物を指す。
「植物の生産性」は一般に、植物が栽培される理由である植物の成長または発達のあらゆる態様を指す。穀物や野菜のような食用作物については、「植物の生産性」は、特定の作物から収穫される穀物や果物の収量を指すことができる。本明細書で使用されるとき、植物生産性の改善は、種々の目的で収穫される穀物、果実、花、または他の植物部分の収量の改善、茎、葉及び根を含む植物部分の成長の改善、植物成長の促進、葉における高いクロロフィル含量の維持、果実または種子の数の増加、果実または種子の単位重量の増加、窒素肥料の使用量の減少によるNO放出の減少、ならびに植物の成長と発達の同様の改善を広く指す。
食用作物における及びその周辺の微生物はそれらの作物の形質に影響を与えることができる。微生物によって影響されてもよい植物の形質には、収量(例えば、穀物生産、バイオマス生成、果実の発育、着花);栄養(例えば、窒素、リン、カリウム、鉄、微量栄養素の獲得);非生物的ストレス管理(例えば、干ばつ耐性、耐塩性、耐熱性);及び生物的ストレス管理(例えば、害虫、雑草、昆虫、真菌、及び細菌)が挙げられる。作物の形質を変えるための戦略には、主要代謝物の濃度を増加させること;主要代謝物に対する微生物の影響の時間的動態の変化;微生物代謝物の産生/分解を新しい環境の手がかりにつなぐこと;負の代謝物を減らすこと;及び代謝物または基礎となるタンパク質のバランスを改善することが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「制御配列」はオペレーター、プロモーター、サイレンサー、またはターミネーターを指す。
いくつかの実施形態では、本開示の遺伝子の生来のまたは内在性の制御配列は1つ以上の属内制御配列で置き換えられる。
本明細書で使用されるとき、「導入された」とは、天然に存在する導入ではなく、現代のバイオテクノロジーによる導入を指す。
いくつかの実施形態では、本開示の細菌はそれらが天然に存在する細菌ではないように改変されている。
いくつかの実施形態では、本開示の細菌は植物の新鮮重量または乾燥重量のグラムあたり少なくとも10コロニー形成単位(cfu)、10cfu、10cfu、10cfu、10cfu、10cfu、10cfu、1010cfu、1011cfu、または1012cfuの量で植物に存在する。いくつかの実施形態では、本開示の細菌は植物の新鮮重量または乾燥重量のグラム当たり少なくとも約10cfu、約10cfu、約10cfu、約10cfu、約10cfu、約10cfu、約10cfu、または約1010cfu、約1011cfu、約1012cfuの量で植物に存在する。いくつかの実施形態では、本発明の細菌は植物の新鮮重量または乾燥重量のグラム当たり少なくとも10~10、10~10、10~10、10~10、10~10、10~1010、10~10cfuの量で植物に存在する。いくつかの実施形態では、本開示の細菌は、植物の新鮮重量または乾燥重量のグラムあたり少なくとも約10~約10、約10~約10、約10~約10、約10~約10、10~約10、約10~約1010、約10~約10cfuの量で植物に存在する。
いくつかの実施形態では、本開示の細菌は約10cfu~約1020cfuの量で植物に存在する。例えば、約10cfu~約1015cfu、約10cfu~約1010cfu、約10cfu~約10cfu、約1015cfu~約1020cfu、約1010cfu~約1020cfu、または約10cfu~約1020cfu。本開示の肥料及び外因性窒素は、以下の窒素含有分子:アンモニウム、硝酸塩、亜硝酸塩、アンモニア、グルタミンなどを含むことができる。本開示の窒素源には、無水アンモニア、硫酸アンモニア、尿素、リン酸二アンモニウム、尿素形態、リン酸一アンモニウム、硝酸アンモニウム、窒素溶液、硝酸カルシウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウムなどを挙げることができる。
本明細書で使用されるとき、「外因性窒素」は、アンモニア、アンモニウム、硝酸塩、亜硝酸塩、尿素、尿酸、アンモニウム酸などを含む、非窒素制限条件下で存在する土壌、畑、または成長媒体で容易に利用できる非大気窒素を指す。
本明細書で使用されるとき、「非窒素制限条件」は、参照によって本明細書に組み込まれるKant et al.(2010.J.Exp.Biol.62(4):1499-1509)によって開示されたように約4mMの窒素を超える濃度で土壌、畑及び/または培地にて利用可能な非大気窒素を指す。
本明細書で使用されるとき、「導入された遺伝物質」は、レシピエントのゲノムに追加され、その構成要素として残る遺伝物質を意味する。
いくつかの実施形態では、窒素固定及び窒素同化の遺伝子調節ネットワークは、微生物の窒素固定及び/または窒素同化を指示し、調節し、及び/または制御する遺伝子をコードするポリヌクレオチド及び非コード配列を含み、且つnifクラスター(例えば、nifA、nifB、nifC、……、nifZ)のポリヌクレオチド配列、窒素調節タンパク質Cをコードするポリヌクレオチド、窒素調節タンパク質Bをコードするポリヌクレオチド、glnクラスター(例えば、GlnA及びglnD)のポリヌクレオチド配列、draT、及びアンモニアの輸送体/透過酵素を含むことができる。いくつかの実施形態では、Nifクラスターは、NifB、NifH、NifD、NifK、NifE、NifN、NifX、hesA、及びNifVを含むことができる。いくつかの実施形態では、Nifクラスターは、NifB、NifH、NifD、NifK、NifE、NifN、NifX、hesA、及びNifVのサブセットを含むことができる。
いくつかの実施形態では、本開示の肥料は少なくとも重量で5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%の窒素を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の肥料は少なくとも重量で約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の窒素を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の肥料は、重量で約5%~約50%、約5%~約75%、約10%~約50%、約10%~約75%、約15%~約50%、約15%~約75%、約20%~約50%、約20%~約75%、約25%~約50%、約25%~約75%、約30%~約50%、約30%~約75%、約35%~約50%、約35%~約75%、約40%~約50%、約40%~約75%、約45%~約50%、約45%~約75%、または約50%~約75%の窒素を含む。
いくつかの実施形態では、植物における窒素固定の増大及び/または窒素の1%以上の生産の増加は、本開示の細菌に曝露されていない対照植物と比べて測定される。細菌の活性(例えば、細菌の窒素固定活性、細菌の窒素同化活性、細菌の植物コロニー形成活性、細菌のアンモニウム排出活性、及び細菌の鉄取り込み活性を含む、本明細書に記載されている細菌の活性のいずれか)の増大または低下のすべては対照細菌と比べて測定される。植物の生産性または特性の増大または減少(例えば、植物の成長、収量、NO放出、及び窒素取り込みの増大または減少)はすべて対照植物と比べて測定される。
本明細書で使用されるとき、「構成的プロモーター」は、ほとんどの条件下で及び/またはほとんどの発達段階にて活性があるプロモーターである。バイオテクノロジーで使用される発現ベクターで構成的プロモーターを使用することに対していくつかの利点、例えば、トランスジェニックの細胞または生物を選択するために使用されるタンパク質の高レベルの産生;レポータータンパク質またはスコア化できるマーカーの高レベルの発現;簡単な検出と定量化を可能にすること;調節転写システムの一部である転写因子の高レベルの産生;生物における普遍的活性を必要とする化合物の生産;及び発達のすべての段階で必要とされる化合物の生産がある。非限定的な例示的な構成的プロモーターには、CaMV 35Sプロモーター、オパインプロモーター、ユビキチンプロモーター、アルコール脱水素酵素プロモーターなどが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「非構成的プロモーター」は、特定の条件下で、特定の種類の細胞にて、及び/または特定の発達段階にて活性があるプロモーターである。例えば、組織特異的、組織優先の、細胞型特異的、細胞型優先の、誘導性のプロモーター、及び発生制御下のプロモーターは非構成的プロモーターである。発生制御下にあるプロモーターの例には、特定の組織で優先的に転写を開始するプロモーターが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「誘導性」または「抑制性」のプロモーターは化学的制御下または環境的因子の制御下にあるプロモーターである。誘導性プロモーターによって転写に影響を与えてもよい環境条件の例には、嫌気性条件、特定の化学物質、光の存在、酸性または塩基性の条件などが挙げられる。
本明細書で使用されるとき、「組織特異的プロモーター」は、特定の組織でのみ転写を開始するプロモーターである。遺伝子の構成的発現とは異なり、組織特異的発現はいくつかの相互作用するレベルの遺伝子調節の結果である。したがって、当該技術分野では、特定の組織における導入遺伝子の効率的かつ信頼性の高い発現を達成するために、相同のまたは密接に関連する種に由来するプロモーターを使用することが好ましいこともある。これは、科学文献と特許文献の双方に見られる特定の組織から単離された大量の組織特異的プロモーターの主な理由の1つである。
本明細書で使用されるとき、「操作可能に連結された」という用語は一方の機能が他方によって調節されるような単一の核酸断片上の核酸配列の会合を指す。例えば、プロモーターは、そのコード配列の発現を調節することができる場合(すなわち、コード配列がプロモーターの転写制御下にある場合)、コード配列と操作可能に連結されている。コード配列はセンス方向またはアンチセンス方向で調節配列に操作可能に連結することができる。別の例では、本開示の相補性RNA領域は、直接的または間接的に、5’を標的mRNAに、または3’を標的mRNAに、または標的mRNA内で操作可能に連結することができるか、または、第1の相補性領域は標的mRNAに対して5’側であり、且つその相補体は標的mRNAに対して3’側である。
一般に、「遺伝子改変」または「遺伝子の改変」という用語は、参照ゲノムまたはその一部、あるいは参照遺伝子またはその一部のような参照ポリヌクレオチドに対してポリヌクレオチド配列に導入される任意の変化を指す。遺伝子改変は「突然変異」と呼ばれてもよく、遺伝子改変を含む配列または生物は「遺伝的バリアント」または「突然変異型」と呼ばれてもよい。遺伝子改変は、遺伝子発現、代謝、及び細胞シグナル伝達を含む、いくつかの生物活性の増大または低下のような、いくつもの影響を有することができる。遺伝子改変は、標的部位に特異的に導入することができるか、または無作為に導入することができる。
本明細書で提供されるのは、NAC、ptsH、iaaA、gltA、pga、sdiA、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、wzxE、bolA、iscR、fhuF、sodA、sodB、sodC、FNR、arcA、arcB、rpoS、sbnA、treA、treB、phoP、phoQ、yjjPB、ychM、dauA、actP、yusV1、yieL1、yieL2、yieL3、yieL4、pgab,rafA、melA、uidA、manA、abfA、abnA、lacZ、及びyusV2から選択される遺伝子において改変を有する遺伝子操作された細菌である。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はNAC、gltA、pga、ptsH、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、iscR、tonB、yusV1、yusV2、yusV3、yusV4、sbnA、fhuF、sodA、sodB、及びsodCから選択される遺伝子に改変を有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はNAC、gltA、pga、ptsH、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、sodA、sodB、及びsodCから選択される遺伝子に改変を有する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はiscR、tonB、yusV1、yusV2、yusV3、yusV4、sbnA、及びfhuFから選択される遺伝子に改変を有する。本明細書に記載されている細菌は、植物の窒素取り込みを改善する方法で使用することができる。そのような方法は植物を複数の細菌と接触させる工程を含むことができる。提供されるのはまた、種子用の種子コーティングの形態で、または植物と組み合わせて複数の細菌を含有する組成物である。同定された遺伝子に改変がある細菌は以下:同定された遺伝子に改変がない細菌と比べて、窒素固定の増大、アンモニウム排出の増大、コロニー形成の増大、鉄輸送の増大、酸素耐性の増大、及び/または乾燥耐性の増大のうちの1つ以上を示すことができる。
窒素固定の調節
本明細書に記載されている遺伝子操作された細菌の使用を介して改善することができる1つの形質は窒素固定である。一部の内部寄生菌は純粋な培養で窒素を固定するために必要な遺伝的なものを有する一方で、基本的な技術的課題は、穀物類や草の野生型内部寄生菌が肥沃な畑で窒素を固定するのをやめることである。野外土壌における化学肥料と残留窒素レベルの適用は、微生物に窒素固定のための生化学的経路を遮断するように合図する。肥料の存在下で窒素を固定してトウモロコシに移すことができる微生物を開発するには、窒素固定調節ネットワークの転写レベル及び翻訳後レベルの変更が必要である。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は窒素固定調節ネットワークの1つ以上の遺伝子の改変を含有する。
化学合成に元素窒素(N)を利用するために、生命体は窒素固定として知られるプロセスにて大気中で利用可能な窒素ガス(N)を水素と結合する。すべての生物が窒素固定を実行できるわけではない。むしろ、窒素固定は窒素固定を実行するための遺伝子機構を含有するジアゾ栄養生物(大気中の窒素ガスを固定する細菌と古細菌)に限定されている。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌はジアゾ栄養生物である。生物学的窒素固定のエネルギー集約的な性質のために、ジアゾ栄養生物は、環境の酸素及び利用可能な窒素に応答して窒素固定を実行するのに関与する機構をコードするnif遺伝子クラスターの洗練された且つ厳密な調節を進化させてきた。窒素固定を増大させるには、Nifクラスター遺伝子の発現を増大させることが望ましい。Shamseldin(2013.Global J.Biotechnol.Biochem.8(4):84-94)はnif遺伝子及びそれらの産物の詳細な説明を開示し、参照によって本明細書に組み込まれる。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の窒素固定調節ネットワークにおける改変は、1つ以上のNifクラスター遺伝子の発現の増大をもたらす。
プロテオバクテリアでは、窒素固定の調節は、その活性化がNifクラスター遺伝子の発現の増大をもたらすnifクラスターの正の転写調節因子である、σ54依存性エンハンサー結合タンパク質NifAを軸に展開する。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の窒素固定ネットワークにおける改変はNifAにおける改変を含み、それは、いくつかの実施形態ではNifAの発現の増大をもたらす。活性があるNifAの細胞内レベルは2つの重要な因子:nifLAオペロンの転写と、その活性化がNifクラスター遺伝子の発現の低下をもたらすNifLとのタンパク質・タンパク質相互作用によるNifA活性の阻害とによって制御される。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の窒素固定ネットワークにおける改変はNifLにおける改変を含み、それは、いくつかの実施形態ではNifLの発現の低下をもたらす。
nif遺伝子クラスターの転写を調節することに加えて、多くのジアゾ栄養生物はニトロゲナーゼ遮断として知られる、ニトロゲナーゼ酵素自体の直接的な翻訳後修飾及び阻害のメカニズムを進化させてきた。これには、窒素過剰条件下でのFeタンパク質(NifH)のADPリボシル化が介在し、それはMoFeタンパク質複合体(NifDK)との相互作用を妨害し、ニトロゲナーゼ活性を無効にする。ニトロゲナーゼの遮断を回避するために、MoFeタンパク質複合体と相互作用するのに利用可能なNifHを増やすことが望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の窒素固定ネットワークにおける改変はNifHにおける改変を含み、それは、いくつかの実施形態ではNifHの発現の増大をもたらす。
窒素固定は細胞内または細胞外のアンモニア、尿素、または硝酸塩のレベルにも反応性であってもよい。窒素固定ネットワークへのフィードバックの関わりを回避するために窒素同化を回避することが望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は窒素同化遺伝子ネットワークにおける改変を含有する。
環境からのアンモニアの取り込みは、amtBタンパク質の発現レベルを下げることによって減らすことができる。細胞内アンモニアがないと、内部寄生菌は高レベルのアンモニアを感知できず、窒素固定遺伝子の下方調節を妨げる。したがって、いくつかの実施形態では、窒素同化遺伝子ネットワークにおける改変はamtBにおける改変を含み、それは、いくつかの実施形態ではamtBの発現の低下をもたらす。細胞内区画に何とか入ることができるどんなアンモニアもグルタミンに変換される。細胞内グルタミンレベルは、窒素検知の主要な特性である。細胞内グルタミンレベルを下げることは、細胞が環境における高いアンモニウムレベルを感知するのを妨げる。この効果は、グルタミンをグルタミン酸に変換する酵素であるグルタミナーゼの発現レベルを上げることによって達成することができる。加えて、細胞内グルタミンは、グルタミンシンターゼ(アンモニアをグルタミンに変換する酵素)を減らすことによっても減らすことができる。ジアゾ栄養生物では、固定されたアンモニアはグルタミンとグルタミン酸にすばやく同化され、細胞プロセスに使用される。アンモニア同化への崩壊は、固定された窒素の転換がアンモニアとして細胞から搬出されることを可能してもよい。固定されたアンモニアは大部分、glnAによってコードされるグルタミン合成酵素(GS)によってグルタミンに同化され、続いてグルタミンオキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ(GOGAT)によってグルタミン酸に同化される。いくつかの例では、glnSはグルタミン合成酵素をコードしている。GSは、それぞれそのアデニリルトランスフェラーゼ(AT)の活性とアデニリル除去(AR)ドメインを介してGSのアデニリル化と脱アデニル化の双方を触媒するglnEによってコードされる二機能性酵素であるGSアデニリルトランスフェラーゼ(GlnE)によって翻訳後調節される。窒素制限条件下では、glnAが発現され、glnEのARドメインがGSを脱アジニル化して、活性化させるようにする。アンモニア同化を妨害し、固定された窒素を細胞から搬出できるようにするには、GlnEのこの活性を低下させることが望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、窒素同化遺伝子ネットワークにおける遺伝子操作された細菌の改変はGlnEにおける改変を含み、それは、いくつかの実施形態ではGlnEの活性の低下をもたらす。
ホスホエノールピルビン酸依存性糖ホスホトランスフェラーゼ系(PTS)は細菌における主要な炭水化物輸送系である。PTSは、糖基質が細胞膜を横切って移動するのと同時に糖基質のリン酸化を触媒する。ホスホエノールピルビン酸(PEP)のホスホリル基は、酵素Iによってホスホキャリアタンパク質HPrに転移し、次にホスホ-HPrがそれをPTSEIIAドメインに転移する。ホスホキャリアタンパク質HPrはptsH遺伝子によってコードされている。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の改変は、ptsHの発現を調節するプロモーターの置換のようなptsH遺伝子における改変である。いくつかの実施形態では、ptsH遺伝子における遺伝子操作された細菌の改変は糖輸送の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、改変はホスホキャリアタンパク質HPrの上方調節をもたらす。
iaaAによってコードされるL-アスパラギナーゼ(LA)はアスパラギンアミノ酸のアンモニアとアスパラギン酸への分解を触媒する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の改変はiaaA遺伝子における改変である。いくつかの実施形態では、iaaA遺伝子における遺伝子操作された細菌の改変はアンモニアの同化の低下及び/またはアンモニア排出の増大をもたらす。いくつかの実施形態では、改変はL-アスパラギナーゼの上方調節をもたらす。
gltA遺伝子によってコードされるクエン酸シンターゼ(EC2.3.3.1)はクエン酸回路の最初の工程に関与している。それは、アセチル補酵素Aからの2炭素酢酸残基と4炭素オキサロ酢酸の分子との縮合反応を触媒して6炭素クエン酸塩を形成する。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の改変はgltA遺伝子の欠失のようなgltA遺伝子における改変である。いくつかの実施形態では、gltA 遺伝子における遺伝子操作された細菌の改変はアンモニア排出の増大をもたらす。
新しい微生物の表現型を付与するための方法は、転写、翻訳、及び翻訳後のレベルで実行することができる。転写レベルには、プロモーターでの変化(例えば、プロモーターの全部または一部の欠失を含む、シグマ因子の親和性または転写因子の結合部位の変化)、または転写ターミネーター及びアテニュエーターの変化が含まれる。翻訳レベルには、リボソーム結合部位の変化及びmRNA分解シグナルの変化が含まれる。翻訳後レベルには、酵素の活性部位を変異させること及びタンパク質・タンパク質相互作用を変化させることが含まれる。これらの変化は数多くの方法で達成することができる。発現レベルの低下(または完全な撤廃)は、ネイティブのリボソーム結合部位(RBS)またはプロモーターをさらに強度/効率が低い別のものと交換することによって達成することができる。ATG開始部位をGTG、TTG、またはCTGの開始コドンに交換でき、それはコード領域の翻訳活性の低下をもたらす。遺伝子のコード領域をノックアウトする(欠失させる)ことによって発現の完全な撤廃を行うことができる。オープンリーディングフレーム(ORF)をフレームシフトすると、ORFに沿った早すぎる終止コドンを生じ、それによって機能しない切り詰め産物を作り出す可能性が高いであろう。インフレームの終止コドンを挿入すると、同様に機能しない切り詰め産物を作り出すであろう。特定の遺伝子の有効濃度を下げるためにN末端またはC末端に分解タグを追加することもできる。
逆に、本明細書に記載されている遺伝子の発現レベルの増大はさらに強力なプロモーターを使用することによって達成することができる。高窒素レベル条件(またはその他の条件)の間に高いプロモーター活性を確保するために、高窒素レベル条件での全ゲノムの転写プロファイルを取得し、そのデータセットから所望の転写レベルの活性プロモーターを選択して、弱いプロモーターを置き換えることができる。弱い開始コドンは、さらに良好な翻訳開始効率のためにATG開始コドンとスワップアウトすることができる。弱いリボソーム結合部位(RBS)は、さらに高い翻訳開始効率の別のRBSと入れ替えることもできる。加えて、酵素の活性を変えるために部位特異的変異誘発を行うこともできる。
植物で発生する窒素固定のレベルを増大させることは、作物生産のために必要な化学肥料の量の減少につながり、温室効果ガス排出量(例えば、亜酸化窒素)を低減することができる。
窒素固定の活性の増大
ニトロゲナーゼは窒素固定を触媒するのに関与する酵素である。種々の窒素固定細菌に見られるニトロゲナーゼには、モリブデン(Mo)ニトロゲナーゼ、バナジウム(V)ニトロゲナーゼ、及び鉄のみ(Fe)ニトロゲナーゼの3種類がある。ニトロゲナーゼは、成分I(ジニトロゲナーゼとしても知られる)と成分II(ジニトロゲナーゼレダクターゼとしても知られる)で構成される2成分系である。成分Iは、モリブデンニトロゲナーゼのMoFeタンパク質、バナジウムニトロゲナーゼのVFeタンパク質、及び鉄のみのニトロゲナーゼのFeタンパク質である。成分IIは、鉄イオウ(Fe-S)クラスターを含有するFeタンパク質である。
補因子の供給を変えると、窒素固定を増やすことができる。補因子の供給は鉄の取り込みによって影響を受けてもよい。鉄の取り込みはtonB輸送系によって影響を受けてもよい。場合によっては、鉄の取り込みに影響を与えることは、tonB輸送系遺伝子を上方調節することによって達成されてもよい。tonB輸送系遺伝子のいくつかの例にはtonB及びexbABが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、鉄の取り込みは、微生物及び植物にて鉄の取り込みを増やすシデロホアによって影響を受けてもよい。場合によっては、鉄の取り込みに影響を与えることは、シデロホア生合成遺伝子を上方調節することによって達成することができる。シデロホア生合成遺伝子のいくつかの例には、yhfA、yusV、sbnA、fiu、yfiZ、及びfurが挙げられるが、これらに限定されない。鉄の利用可能性を調節することができる他の遺伝子改変にはiscRとfhuFが挙げられる。
窒素固定の増大は、nifクラスター遺伝子の発現を増やすことによっても達成することができる。nifクラスター遺伝子の発現増大は複数の異なる方法で達成することができる。いくつかの実施形態では、nifクラスター(複数可)の転写は、nifHDKオペロンまたはnifDKオペロンの上流に強力なプロモーターを挿入することによって増大させることができる。いくつかの実施形態では、nifクラスター遺伝子の発現の増大はゲノムにおける遺伝子のコピー数を増やすことによって達成される。遺伝子のこれらの追加のコピーはネイティブのプロモーターまたは強力な構成的プロモーターの制御下に置くことができる。
窒素固定を増やすための別の方法は、nifクラスターの転写を増やすことによって細胞あたりのニトロゲナーゼ酵素の数を増やすことである。nifクラスターの転写はnifA転写を増やすことによって増やすことができる。場合によっては、nifクラスターの転写はゲノムにおけるnifA遺伝子のコピー数を増やすことによって影響を受けることができる。
nifクラスターの転写はnifA転写を増やすことによって増やすこともできる。場合によっては、nifA遺伝子のリボソーム結合部位の強度を増大させることによってNifAの翻訳を増やすことができる。
nifクラスターの転写は、NifAの突然変異型形態の制御下でクラスターを発現させることによっても増やすことができる。NifAの突然変異型形態は、遺伝子を突然変異誘発に供し、高い翻訳効率を有する突然変異型、または活性が高い対応するタンパク質を発現する突然変異型を特定することによって取得することができる。
窒素固定の増大は細胞の酸素感受性を変えることによっても達成することができる。酸素感受性は酸素感知を減らすことによって影響を受けてもよい。場合によっては、酸素感知を減らすことは酸素感知遺伝子を破壊することによってもよい。酸素感知遺伝子のいくつかの例には、nifT/fixU、fixJ及びfixLが挙げられるが、これらに限定されない。酸素感受性を変えるために改変されてもよい他の遺伝子には、sodA、sodB、sodC、FNR、arcA、及びarcBが挙げられる。
場合によっては、シトクロムbdが介在する呼吸を促進することによって、細胞質酸素のレベルを低く保つことにより酸素感受性に影響を与えることができる。場合によっては、酸素感受性は、シトクロムbdオキシダーゼをコードする遺伝子を上方調節する及び/または代替のシトクロム系をノックアウトすることによって影響を与えることができる。シトクロムbd遺伝子をコードする遺伝子のいくつかの例には、cydABX、cydAB、及びcydXが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、細胞における酸化還元バランスを変えることによってニトロゲナーゼを酸化から保護することができる。酸化還元バランスはROSスカベンジングによって変えることができる。ROSスカベンジングを達成するための1つの戦略は関連する遺伝子を上方調節することである。ROSスカベンジング遺伝子のいくつかの例には、grxABCD、trxA、trxC、及びtpxが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、酸素感受性は遊離酸素を除去することによって影響を与えることができる。場合によっては、細菌のヘモグロビン遺伝子を上方調節することによって遊離酸素の除去を達成することができる。ヘモグロビン遺伝子の例には、glbNが挙げられるが、これに限定されない。場合によっては、遊離酸素の除去は、高親和性のヘム銅cbb3型オキシダーゼをコードするfixNOPQ遺伝子を上方調節することによって達成することができる。
場合によっては、NifAの改変はニトロゲナーゼ発現の増大に有益であることができる。場合によっては、nifAを改変して細胞におけるnifA遺伝子のコピー数を増やすことが有益であることができる。nifA遺伝子のコピー数は、構成的に発現するプロモーターの前にnifA遺伝子の複数のコピーを挿入することによって増やすことができる。場合によっては、nifA遺伝子のコピーを1つ以上のハウスキーピングオペロンに結合することは、細胞におけるnifA遺伝子の総数が増やすことができる。場合によっては、ニトロゲナーゼ発現を増やすこのプロセスで利用できる菌株には、ラーネラ・アクアティリス(Rahnella aquatilis)及びクレブシエラ・バリイコーラ(Klebsiella variicola)の菌株を挙げることができるが、これらに限定されない。
場合によっては、ニトロゲナーゼオペロンの改変はニトロゲナーゼ発現の増大に有益であることができる。場合によっては、ニトロゲナーゼオペロンを上方調節してニトロゲナーゼの転写を増やすことが有益であることができる。場合によっては、細菌が根圏にコロニーを形成しているときに活性がある細菌内からのプロモーターを、ニトロゲナーゼオペロンの前に挿入してニトロゲナーゼオペロンを上方調節することができる。場合によっては、nifLをニトロゲナーゼオペロン内で欠失させてニトロゲナーゼオペロンを上方調節することができる。場合によっては、nifAをニトロゲナーゼオペロン内で欠失させてニトロゲナーゼオペロンを上方調節することができる。場合によっては、nifA及びnifLをニトロゲナーゼオペロン内で欠失させてニトロゲナーゼオペロンを上方調節することができる。場合によっては、複数のプロモーターをnifHDK遺伝子の直前に配置してnifA転写制御を回避することができる。場合によっては、ニトロゲナーゼ発現を増やすこのプロセスで利用できる菌株には、ラーネラ・アクアティリス及びクレブシエラ・バリイコーラの菌株を挙げることができるが、これらに限定されない。
場合によっては、glnEの改変はアンモニウム排出の増大に有益であることができる。場合によっては、glnEのARドメイン上の保存されたアスパラギン酸-アミノ酸-アスパラギン酸(DXD)モチーフを変更することができる。「X」として示されるアミノ酸は、そのアミノ酸が、天然に存在するアミノ酸(例えば、α-アミノ酸)、非天然アミノ酸、修飾アミノ酸、及び天然ではないアミノ酸を含む任意のアミノ酸であることができることを示す。また、D-アミノ酸とL-アミノ酸の双方を含めることもできる。場合によっては、glnEのARドメインにおける保存されたDXD残基を変更することを用いて、glnEから脱アデニリル化活性を取り除くことができる。場合によっては、glnEのAR領域のDXDモチーフにてD残基が置き換えられてもよい。場合によっては、glnEのAR領域のDXDモチーフにおけるD残基の置換は、AR活性を低下させながら、または阻止しながらアデニル化活性の調節を可能にするようにGlnB結合部位をインタクトのままにすることができる。場合によっては、アンモニウム排出を増やすこのプロセスで利用できる菌株には、ラーネラ・アクアティリス、コサコニア・サッカリ(Kosakonia sacchari)、及びクレブシエラ・バリイコーラ菌株を挙げることができるが、これらに限定されない。
同化を介した窒素固定の増大
微生物関連植物に提供される窒素の量は、微生物内の窒素同化を減らすことによって増やすことができる。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、窒素同化ネットワークにおける改変を含み、それは、いくつかの実施形態では、細菌による窒素同化の低下をもたらす。ここで、同化はアンモニアの排出率によって影響を受けることができる。アンモニアの同化を標的にすることによって、窒素の利用可能性を増大させることができる。場合によっては、アンモニアの同化に影響を与えることは、排出後のアンモニアの再取り込み速度を低下させることを介することができる。排出後のアンモニアの再取り込み速度を低下させるには、関連する遺伝子をノックアウトすることができる。アンモニア再取り込み遺伝子の例には、amtBが挙げられるが、これに限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌は、窒素同化遺伝子ネットワークにおける改変を含み、その改変は、amtBの発現の低下をもたらす。
窒素同化制御タンパク質(NAC)は、窒素が制限された成長の条件下で作られるLysR型転写調節因子(LTTR)である。NACは、その産物が細胞にアンモニアまたはグルタミン酸を提供するσ70依存性遺伝子の転写を活性化することができる。NACはまた、その産物がアンモニアとそれ自体の転写を使用する遺伝子を抑制することもできる。NACはK.バリイコーラにおけるoxyR遺伝子によってコードされている。いくつかの実施形態では、遺伝子操作された細菌の改変は、oxyRの発現を調節するプロモーターの置換またはoxyR遺伝子の全部もしくは一部の欠失のような改変のようなoxyR遺伝子における改変である。いくつかの実施形態では、gltA遺伝子における遺伝子操作された細菌の改変はアンモニア排出の増大をもたらす。
場合によっては、同化は植物の取り込み率によって影響を受けることができる。植物の窒素同化の遺伝子及び経路を標的にすることによって、窒素の利用可能性を増大させることができる。場合によっては、植物によるアンモニア同化は、N固定植物の成長を促進する微生物の接種を介して変化させることができる。植物にてアンモニア同化を誘導する微生物を同定するためにスクリーニングを実施することができる。
コロニー形成を介した窒素固定の増大
微生物のコロニー形成能力を増大させることは、植物に提供される固定された窒素の量を増やすことができる。コロニー形成は、環境収容能力(根の表面における微生物の豊富さ)及び/または微生物の適応度を変えることによって影響を受けることができる。場合によっては、環境収容能力及び微生物の適応度に影響を与えることは、有機酸の輸送を変えることを介して達成することができる。有機酸の輸送は、関連する遺伝子を上方調節することによって改善することができる。有機酸輸送遺伝子の例にはdctAが挙げられるが、これに限定されない。有機酸輸送遺伝子の他の例にはyjjPB、ychM、dauA、及びactPが挙げられる。
例えば、コロニー形成能力は凝集素の発現によって影響を受けることができる。凝集素の発現の増大は微生物が植物の根に付着するのを助けることができる。凝集素遺伝子の例には、fhaB及びfhaCを挙げることができるが、これらに限定されない。
コロニー形成能力は内部寄生菌の侵入の増大によって影響を受けることができる。例えば、内部寄生菌の侵入は、植物細胞壁分解酵素(CDWE)によって影響を受けることができる。CDWEの発現及び/または分泌の増大は、微生物のコロニー形成と内部寄生菌侵入を増やすことができる。CDWEのいくつかの例には、ポリガラクチュロナーゼ及びセルラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。ポリガラクチュロナーゼ遺伝子の例はpehAである。場合によっては、ポリガラクチュロナーゼ及びセルラーゼの排出は、排出シグナルに酵素を提供することによって増やすことができる。CDWEの他の例には、キシラナーゼ、キシログルカナーゼ、アルファ-ガラクトシダーゼ、ベータ-マンナナーゼ、アルファ-アラビノシダーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼ、及びベータ-グルクロニダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なキシラナーゼには、yieL1、yieL2、yieL3、yieL4、及びpgabが挙げられる。例示的なα-ガラクトシダーゼにはrafA及びmelAが挙げられる。例示的なベータグルクロニダーゼにはuidAが挙げられる。例示的なマンナナーゼにはmanAが挙げられる。例示的なアルファ-アラビノシダーゼにはabfA及びabnAが挙げられる。例示的なベータ-ガラクトシダーゼにはlacZが挙げられる。
環境収容能力を変えることは、関連する植物に提供される窒素の量の増加をもたらすことができる。環境収容能力は、バイオフィルム形成の影響を受けることができる。場合によっては、環境収容能力は小分子RNA rsmZの影響を受けることができる。小分子RNA rsmZはバイオフィルム形成の負の調節因子である。場合によっては、バイオフィルム形成はrsmZを欠失させるまたは下方調節することによって促進することができ、rsmA(二次代謝の正の調節因子)の翻訳とバイオフィルム形成の増大につながることができる。
場合によっては、バイオフィルムの形成は、菌株が根の表面に付着する能力を高めることによって影響を受けることができる。場合によっては、大きな接着タンパク質を上方調節することによってバイオフィルム形成を促進することができる。大きな接着タンパク質の例にはlapAが挙げられるが、これに限定されない。
場合によっては、環境収容能力はクオラムセンシングの影響を受けることができる。場合によっては、AHL生合成遺伝子のコピー数を増やすことによってクオラムセンシングを強化することができる。
場合によっては、根圏のコロニー形成は根の質量の影響を受けることができる。例えば、根の質量は微生物のIAA生合成の影響を受けることができる。微生物によるIAA生合成の増大は、根のバイオマス形成を刺激することができる。場合によっては、IAA生合成に影響を与えることは、IAA生合成遺伝子の上方調節(さまざまなレベルで)によって達成することができる。IAA生合成遺伝子の例にはipdCが挙げられるが、これに限定されない。
場合によっては、エチレンシグナル伝達は植物にて全身抵抗を誘導し、微生物のコロニー形成能力に影響を与えることができる。エチレンは、植物組織及びエチレンレベルに基づいて幅広い応答を引き出す植物シグナル伝達分子である。根のエチレン応答の一般的なモデルは、ストレスにさらされた植物が植物による保護応答を開始するエチレンの小さなピークを生成することによって迅速に応答することであり、例えば、防御タンパク質をコードする遺伝子の転写である。ストレスが持続するまたは激しいのであれば、数日後にエチレンの第2のはるかに大きなピークが発生することが多い。この第2のエチレンピークは、植物の成長と生存の有意な阻害につながることができる老化、白化、器官脱離のようなプロセスを誘導する。場合によっては、植物の成長を促進する細菌は、根における小さなエチレン応答を刺激するオーキシンIAAを生成することによって根の成長を刺激することができる。同時に、細菌は、植物のエチレン生成を遅らせる酵素(ACCデアミナーゼ)を生成することによって、第2の大きなエチレンピークを防ぐことができ、こうして、根の成長を刺激することにつながるエチレンレベルを維持する。植物における全身抵抗性の誘導は細菌のIAAの影響を受けることができる。場合によっては、IAA生合成に刺激することは、IAA生合成遺伝子の上方調節(さまざまなレベルで)を介して達成することができる。生合成遺伝子の例にはipdCが挙げられるが、これに限定されない。
場合によっては、コロニー形成はACCデアミナーゼの影響を受けることができる。ACCデアミナーゼは、ACCを副産物に分路させることによって根のエチレン生成を減らすことができる。場合によっては、ACCデアミナーゼに影響を与えることは、ACCデアミナーゼ遺伝子の上方調節を介して達成することができる。ACCデアミナーゼ遺伝子のいくつかの例にはdcyDが挙げられるが、これに限定されない。
場合によっては、コロニー形成は環境収容能力及び/または微生物の適応度の影響を受けることができる。例えば、環境収容能力及び/または微生物の適応度はトレハロースの過剰生産の影響を受けることができる。トレハロースの過剰生産は干ばつ耐性を増大させることができる。場合によっては、トレハロースの過剰生産に影響を与えることは、トレハロース生合成遺伝子の上方調節(さまざまなレベルで)を介して達成することができる。トレハロース生合成遺伝子のいくつかの例にはotsA、otsB、treZ、及びtreYが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、otsBの上方調節も窒素固定活性を増大させることができる。
場合によっては、環境収容能力は根の付着の影響を受けることができる。根の付着は、菌体外多糖の分泌の影響を受けることができる。場合によっては、菌体外多糖分泌に影響を与えることは、菌体外多糖産生タンパク質の上方調節を介して達成することができる。菌体外多糖産生タンパク質のいくつかの例にはyjbE及びpssMが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、菌体外多糖分泌に影響を与えることは、セルロース生合成の上方調節を介して達成されてもよい。セルロース生合成遺伝子のいくつかの例にはacs遺伝子及びbcs遺伝子のクラスターが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、環境収容能力及び/または微生物の適応度は真菌の抑制の影響を受けることができる。真菌の抑制は、真菌の細胞壁を破壊し、根圏の真菌の生物防除につながることができるキチナーゼの影響を受けることができる。場合によっては、真菌の抑制に影響を与えることは、キチナーゼ遺伝子の上方調節を介して達成することができる。キチナーゼ遺伝子のいくつかの例には、キチナーゼクラス1及びchiAが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、効率的な鉄の取り込みは、微生物が他の土壌微生物及び植物と鉄の取り込みについて競合する根圏で微生物が生き残るのに役立つことができる。場合によっては、高親和性キレート化(シデロホア)及び輸送系は、1)微生物が十分な鉄を確実に得ること、及び2)競合する種の鉄プールを減らすことによって根圏の能力を支援することができる。これを行う微生物の能力を増大させることは根圏での競合適応度を増大させてもよい。場合によっては、鉄の取り込みに影響を与えることは、シデロホア遺伝子を上方調節することによることができる。シデロホア遺伝子のいくつかの例には、yhfA、yusV、sbnA、fiu、yfiZ、及びfurが挙げられるが、これらに限定されない。yusV遺伝子の例にはyusV1及びyusV2が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、鉄の取り込みはtonB輸送系の影響を受けることができる。場合によっては、鉄の取り込みに影響を与えることは、tonB輸送系遺伝子を上方調節することによることができる。tonB輸送系遺伝子のいくつかの例にはtonB及びexbABが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、環境収容能力及び/または微生物の適応度は酸化還元バランス及び/またはROSスカベンジングの影響を受けることができる。酸化還元バランス及び/または ROSスカベンジングは、細菌のグルタチオン(GSH)生合成の影響を受けることができる。場合によっては、細菌のグルタチオン(GSH)生合成に影響を与えることは、細菌のグルタチオン生合成遺伝子の上方調節によることができる。細菌のグルタチオン生合成遺伝子のいくつかの例には、gshA、gshAB、及びgshBが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、酸化還元バランスはROSスカベンジングの影響を受けることができる。場合によっては、ROSスカベンジングに影響を与えることは、カタラーゼの上方調節によることができる。カタラーゼ遺伝子のいくつかの例にはKatEG及びMnカタラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、バイオフィルムの形成はリンのシグナル伝達の影響を受けることができる。場合によっては、リンのシグナル伝達に影響を与えることは、リンのシグナル伝達遺伝子の発現を変えることによることができる。リンシグナル伝達遺伝子のいくつかの例にはphoR及びphoBが挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、環境収容能力は根の付着の影響を受けることができる。根の付着はサーファクチン生合成の影響を受けることができる。場合によっては、サーファクチン生合成に影響を与えることは、サーファクチン生合成を上方調節してバイオフィルム形成を改善することによって達成することができる。サーファクチン生合成遺伝子の例にはsrfAAが挙げられるが、これに限定されない。
場合によっては、コロニー形成及び/または微生物の適応度は、環境収容能力、他の微生物との競合及び/または他の微生物からの作物保護の影響を受けることができる。場合によっては、他の微生物との競合及び/または他の微生物からの作物保護はクオラムセンシング及び/またはクオラムクエンチングの影響を受けることができる。クオラムクエンチングは、潜在的な病原性/競合性の細菌のクオラムセンシングを阻害することによってコロニー形成に影響を与えることができる。場合によっては、クオラムクエンチングに影響を与えることは、クオラムクエンチング酵素をコードする遺伝子を挿入する及び/または上方調節することによって達成することができる。クオラムクエンチング遺伝子のいくつかの例にはahlD、Y2-aiiA、aiiA、ytnP、及びattMが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、Y2-aiiA及び/またはytnPのようなクオラムクエンチングに関与する酵素の修飾はコロニー形成に有益であることができる。場合によっては、Y2-aiiA及び/またはytnPの上方調節は細胞外アシルホモセリンラクトン(AHL)の加水分解をもたらすことができる。aiiAは、ホモセリンラクトンを分解する酵素であるN-アシルホモセリンラクトナーゼである。AHLを分解することは、競合するグラム陰性菌のクオラムシグナル伝達能力を停止するまたは遅くすることができる。場合によっては、コロニー形成を増やすこのプロセスで利用することができる菌株には、ラーネラ・アクアティリス、コサコニア・サッカリ、及びクレブシエラ・バリイコーラの菌株が挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、環境収容能力及び/または微生物の適応度は、リゾビトキシン生合成によって影響を受けることができる。リゾビトキシン生合成は、ACCシンターゼを阻害することによって根のエチレン生成を減らすことができる。場合によっては、リゾビトキシン生合成に影響を与えることは、リゾビトキシン生合成遺伝子を上方調節することによって達成することができる。
場合によっては、環境収容能力は根の付着の影響を受けることができる。根の付着は菌体外多糖の分泌の影響を受けることができる。場合によっては、菌体外多糖分泌に影響を与えることはmucAを欠失させることによって高ムコイド突然変異型を生成することにより達成することができる。
場合によっては、根の付着はフェナジン生合成の影響を受けることができる。場合によっては、フェナジン生合成に影響を与えることは、フェナジン生合成遺伝子を上方調節してバイオフィルム形成を改善することによって達成することができる。
場合によっては、根の付着は環状リポペプチド(CLP)生合成の影響を受けることができる。場合によっては、環状リポペプチド(CLP)生合成に影響を与えることは、CLP生合成を上方調節してバイオフィルム形成を改善することによって達成することができる。場合によっては、環境収容能力及び/または競合は抗生物質の合成の影響を受けることができる。抗生物質の合成は抗生物質の生成を増やして競合する微生物を殺傷することができる。場合によっては、抗生物質の生合成の経路と上方調節のためにゲノムを漁ることによって抗生物質生産の増大を達成することができる。
場合によっては、コロニー形成は乾燥耐性の影響を受けることができる。場合によっては、rpoEの修飾がコロニー形成に有益であることができる。場合によっては、rpoEの上方調節はストレス耐性遺伝子の発現と経路の増大をもたらすことができる。場合によっては、rpoEは独自の切り替え可能なプロモーターを使用して上方調節することができる。場合によっては、rpoEはアラビノースプロモーターを使用して上方調節することができる。rpoEはphyRと同様のシグマ因子である。発現すると、rpoEは複数のストレス耐性遺伝子の上方調節を引き起こすことができる。ストレス耐性酵素はコロニー形成サイクル中には有用ではないので、切り替え可能なプロモーターを使用することができる。場合によっては、プロモーターはバイオマスの成長中に及び/または種子コーティングの間に活性があることができる。場合によっては、バイオマス成長の対数期に糖または化学物質を添加することができるが、微生物の他の1つ以上の適用中にプロモーターをオンにしなくてもよい場合、切り替え可能なプロモーターを使用することができる。場合によっては、rseAを下方調節しながらrpoEを上方調節することができる。場合によっては、コロニー形成を増やすこのプロセスで利用することができる菌株には、ラーネラ・アクアティリス、コサコニア・サッカリ、及びクレブシエラ・バリイコーラの菌株が挙げられるが、これらに限定されない。
場合によっては、コロニー形成は乾燥耐性の影響を受けることができる。場合によっては、rseAの修飾がコロニー形成に有益であることができる。場合によっては、独自の切り替え可能なプロモーターを使用してrseAを下方調節することができる。場合によっては、アラビノースプロモーターを使用してrseAを下方調節することができる。rseAはrpoEと共発現する抗シグマ因子である。場合によっては、酵素は互いに結合したままであり、転写因子として機能するrpoEの能力を低下させるまたは無効にすることができる。しかしながら、ストレス状態では、resAは切断され、rpoEはストレス耐性遺伝子を自由に上方/下方調節することができる。rpoEとの共転写を破壊することによって、rpoEとresAのレベルを個別に滴定することができ、それは操作された菌株のコロニー形成を最適化するのに有益であることができる。乾燥耐性を改善することができる他の遺伝子改変にはrpoS、treA、treB、phoP、phoQ、及びrpoNにおける改変が挙げられる。場合によっては、コロニー形成を増やすこのプロセスで利用することができる菌株には、ラーネラ・アクアティリス、コサコニア・サッカリ、及びクレブシエラ・バリイコーラの菌株が挙げられるが、これらに限定されない。
コロニー形成を改善することができる他の遺伝子改変には、pga、SdiA、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、wzxE、及びbolAにおける改変が挙げられる。
細菌集団の生成
細菌の単離
本明細書に開示されている方法及び組成物において有用な微生物はネイティブ植物の表面または組織から微生物を抽出することによって得ることができる。微生物は、種子を粉砕して微生物を単離することによって得ることができる。微生物は、さまざまな土壌試料に種子を蒔き、組織から微生物を回収することによって得られる。さらに、微生物は、外因性微生物を植物に接種し、どの微生物が植物組織に現れるかを決定することによって得ることができる。植物組織の非限定的な例には、種子、実生、葉、挿し木、植物、球根、または塊茎を挙げることができる。
微生物を得る方法は土壌からの細菌の単離を介することができる。細菌はさまざまな土壌の種類から収集することができる。いくつかの例では、土壌は、肥沃度の高低、水分レベル、ミネラルレベル、及びさまざまな作付け慣行のような形質を特徴とすることができる。例えば、土壌は、連続する植え付けシーズンに同じ土壌に異なる作物が植えられる輪作に関与することができる。同じ土壌で異なる作物を連続的に栽培することは特定のミネラルの不均衡な枯渇を防ぐことができる。細菌は選択された土壌で育つ植物から単離することができる。幼植物体は2~6週の栽培で収穫することができる。例えば、1回の収穫で少なくとも400の単離株を収集することができる。土壌と植物の種類は植物の表現型と同様に条件を明らかにし、これによって、特定の表現型の下流での富化が可能になる。
微生物は植物組織から単離して微生物の形質を評価することができる。組織試料を処理するためのパラメータは、根圏細菌、着生菌、または内部寄生菌のようなさまざまな種類の関連微生物を単離するために異なることができる。単離菌は、窒素固定を行う細菌を富化するために窒素を含まない培地で培養することができる。あるいは、微生物は世界的な菌株バンクから入手することができる。
植物体では、微生物の形質を評価するために分析が行われる。いくつかの実施形態では、植物組織は、DNA及びRNAのハイスループット処理によるスクリーニングのために処理することができる。さらに、非侵襲的測定を使用して、コロニー形成のような植物の特徴を評価することができる。野生型微生物の測定結果は植物ごとに得ることができる。野生型微生物の測定結果は、中程度のスループット法を使用して現場で得ることもできる。測定は時間をかけて連続して行うことができる。セタリア属(Setaria)を含むが、これに限定されないモデル植物系を使用することができる。
植物系における微生物は、植物系における微生物の転写プロファイリングを介してスクリーニングすることができる。転写プロファイリングを介したスクリーニングの例は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)、転写物検出のための分子バーコード、次世代配列決定、及び蛍光マーカーによる微生物のタグ付けの方法を使用することである。微生物叢、非生物的因子、土壌条件、酸素、水分、温度、接種条件、及び根の局在化を含むが、これらに限定されない影響因子を測定して、温室内のコロニー形成を評価することができる。窒素固定は、本明細書に記載されているようなIRMSまたはNanoSIMSにより15Nガス/肥料(希釈)を測定することによって細菌にて評価することができる。NanoSIMSは高分解能二次イオン質量分析である。NanoSIMS技術は生物試料から化学活性を調べるための方法である。微生物の代謝を促進する酸化反応の還元の触媒作用は、細胞、細胞内、分子及び元素のレベルで調べることができる。NanoSIMSは0.1μmを超える高い空間分解能を提供することができる。NanoSIMSは、13C、15N、18Oのような同位体トレーサーの使用を検出することができる。したがって、NanoSIMSは細胞内の窒素の化学活性に使用することができる。
自動化温室は植物体分析に使用することができる。微生物曝露に応答した植物の測定基準には、バイオマス、葉緑体分析、CCDカメラ、体積断層撮影測定が挙げられるが、これらに限定されない。
微生物集団を富化する1つの方法は遺伝子型によるものである。例えば、標的プライマーまたは特異的プライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイ。窒素固定の過程でジアゾ栄養生物がnifH遺伝子を発現するので、nifH遺伝子用に設計されたプライマーを使用してジアゾ栄養生物を同定することができる。微生物集団は、単一細胞培養に依存しないアプローチ及び走化性に基づく単離アプローチを介して富化することもできる。あるいは、微生物の標的単離は、選択培地上で微生物を培養することによって実行することができる。微生物集団を所望の形質について富化するための計画的アプローチは、バイオインフォマティクスデータによって導くことができ、本明細書に記載されている。
バイオインフォマティクスを使用した窒素固定機能による微生物の富化
バイオインフォマティクスツールを使用して、窒素固定を実行する能力に基づいて選択される根圏細菌を同定し、且つ単離することができる。高い窒素固定能を持つ微生物は植物の好ましい形質を促進することができる。そのような根圏細菌を同定するためのバイオインフォマティクス分析モードには、ゲノミクス、メタゲノミクス、標的単離、遺伝子配列決定、トランスクリプトーム配列決定、及びモデリングが挙げられるが、これらに限定されない。
ゲノミクス分析を使用して、窒素固定根圏細菌を同定し、本明細書に記載されているような次世代配列決定の方法及び微生物バージョン管理によって突然変異の存在を確認することができる。
メタゲノミクスを使用して、コロニー形成の予測アルゴリズムを用いて窒素固定根圏細菌を同定し、且つ単離することができる。メタデータを使用して、環境試料及び温室試料にて操作された菌株の存在を同定することができる。
トランスクリプトームの配列決定は、窒素固定表現型につながる遺伝子型を予測するのに使用することができる。さらに、トランスクリプトームのデータは、遺伝子発現を変化させるためのプロモーターを同定するのに使用される。トランスクリプトームのデータは、全ゲノム配列(WGS)と組み合わせて分析して、代謝及び遺伝子調節のネットワークのモデルを生成することができる。
微生物の順化
自然界から単離された微生物は、微生物が遺伝的に追跡可能で且つ識別可能な形態に変換される順化のプロセスを受けることができる。微生物を順化する1つの方法は、抗生物質耐性で微生物を操作することである。抗生物質耐性を操作するプロセスは、野生型微生物株の抗生物質感受性を決定することから始めることができる。細菌が抗生物質に敏感である場合、抗生物質は抗生物質耐性操作の良好な候補になることができる。続いて、抗生物質耐性遺伝子または逆選択可能な自殺ベクターを、組換え法を使用して微生物のゲノムに組み込むことができる。逆選択可能な自殺ベクターは、目的の遺伝子の欠失、選択可能なマーカー、及び逆選択可能なマーカー sacBから成ることができる。逆選択は、ネイティブの微生物DNA配列を抗生物質耐性遺伝子と交換するのに使用することができる。中程度スループット法を使用して複数の微生物を同時に評価し、並行した順化を可能にすることができる。順化の代替方法には、自殺ベクター配列がループで外れる、または介在するベクター配列を取得するのを阻止するためのホーミングヌクレアーゼの使用が含まれる。
DNAベクターは、エレクトロポレーション及び化学的形質転換を含むいくつかの方法を介して細菌に導入することができる。ベクターの標準ライブラリを形質転換に使用することができる。遺伝子編集の方法の例は、微生物におけるCas9の活性を確保するためのCas9検査が先行するCRISPRである。
微生物の非トランスジェニック操作
有利な形質を持つ微生物集団は定向進化によって得ることができる。直接進化は、自然淘汰のプロセスを模倣して、ユーザー定義の目標に向けてタンパク質または核酸を進化させるアプローチである。直接進化の例は、無作為な突然変異が微生物集団に導入され、最も好ましい形質を持つ微生物が選択され、選択された微生物の増殖が継続される場合である。根圏細菌の最も好ましい形質は窒素固定にあることができる。定向進化の方法は、各反復後の選択プロセスに基づいて、反復性且つ適応的であることができる。
窒素固定の高い能力を持つ根圏細菌を生成することができる。これらの根圏細菌の進化は遺伝子改変の導入を介して実行することができる。遺伝子改変は、ポリメラーゼ連鎖反応突然変異誘発、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、断片混ぜ合わせ突然変異誘発、相同組換え、CRISPR/Cas9システム、化学突然変異誘発、及びそれらの組み合わせを介して導入することができる。これらのアプローチは微生物集団に無作為な突然変異を導入することができる。例えば、突然変異型は、オリゴヌクレオチド特異的変異誘発を介して合成のDNAまたはRNAを使用して生成することができる。突然変異型は、後で取り除かれる、プラスミドに含有されるツールを使用して生成することができる。関心のある遺伝子は、改善された窒素固定特性、改善された穀物のコロニー形成、増大した酸素感受性、増大した窒素固定、及び増大したアンモニア排出を含むが、これらに限定されない、改善された形質を持つ他の種由来のライブラリを使用して同定することができる。属内遺伝子は、GeneiousまたはPlatypusの設計ソフトウェアのようなソフトウェアを使用して、これらのライブラリに基づいて設計することができる。突然変異は機械学習の助けを借りて設計することができる。突然変異は代謝モデルの助けを借りて設計することができる。突然変異の自動設計はla Platypusを使用して行うことができ、Casによる定方向突然変異誘発のためのRNAを導くであろう。
属内遺伝子を宿主微生物に移すことができる。さらに、レポーターシステムを微生物に移すこともできる。レポーターシステムは、プロモーターを特徴付け、形質転換の成功を決定し、突然変異型をスクリーニングし、且つ陰性スクリーニングツールとして機能する。
突然変異を持っている微生物は連続継代を介して培養することができる。微生物コロニーは微生物の単一のバリアントを含有する。微生物コロニーは、自動コロニー摘み取り機及び液体ハンドラーの助けを借りてスクリーニングされる。遺伝子重複とコピー数の増加を伴う突然変異型は、望ましい形質のさらに高度な遺伝子型を発現する。
窒素固定に基づく植物成長促進微生物の選択
窒素固定を評価するためのさまざまなアッセイを使用して、微生物コロニーをスクリーニングすることができる。窒素固定を測定する1つの方法は、窒素排出を測定する単一発酵アッセイを介する。別の方法は、経時的なインライン試料採取を伴うアセチレン還元アッセイ(ARA)である。ARAはマイクロチューブアレイのハイスループットプレートで実行することができる。ARAは生きている植物及び植物組織で実行することができる。ARAアッセイにて培地の処方と培地の酸素濃度を変えることができる。微生物バリアントをスクリーニングする別の方法はバイオセンサーを使用することによる。NanoSIMSとラマン顕微分光法の使用は微生物の活動を調ベルために使用することができる。場合によっては、バイオリアクターでの発酵方法を使用して細菌を培養し、且つ増殖させることもできる。バイオリアクターは、細菌の増殖の頑健性を改善し、酸素に対する細菌の感受性を低下させるように設計されている。中~高TPプレートベースのマイクロ発酵槽は、酸素感受性、栄養ニーズ、窒素固定、及び窒素排出を評価するために使用される。細菌はまた、競合性のまたは有益な微生物と共培養して、隠れた経路を解明することができる。フローサイトメトリーを使用して、化学的な、比色性の、または蛍光性の指示薬を用いて、高レベルの窒素を生成する細菌をスクリーニングすることができる。細菌は窒素源の存在下または非存在下で培養することができる。例えば、細菌はグルタミン、アンモニア、尿素または硝酸塩と一緒に培養することができる。
微生物育種
微生物育種は、作物の微生物叢内の種の役割を体系的に特定し、改善するための方法である。この方法は3つの工程:1)植物・微生物の相互作用をマッピングし、特定の表現型に関連する調節ネットワークを予測することによる候補種の選択と;2)調節ネットワークと遺伝子クラスターの種内交差を介した微生物表現型の実用的で予測可能な改善と;3)望ましい作物表現型を生み出す新しい微生物遺伝子型のスクリーニングと選択とを含む。菌株の改善を体系的に評価するために、微生物群落のコロニー形成の動態を主要な種による遺伝的活動に連結するモデルが作り出される。モデルは、遺伝的標的の育種を予測し、微生物叢にコードされた農学関連形質の改善を選択する頻度を改善するのに使用される。
植物の形質(例えば、窒素固定)を改善するための細菌の生産は連続継代を介して達成することができる。この細菌の生産は、1つ以上の植物に1つ以上の改善された形質を付与することができる細菌及び/または組成物を特定することに加えて、微生物叢によって影響を受ける特定の改善された形質を有する植物を選択することによって行うことができる。植物の形質を改善するために細菌を生産する1つの方法は、(a)最初の植物の組織または土壌から細菌を単離する工程;(b)1つ以上のバリアント細菌を産生するために細菌の1つ以上に遺伝子改変を導入する工程;(c)複数の植物をバリアント細菌に曝露する工程;(d)複数の植物のうちの1つの組織または土壌から細菌を単離する工程であって、細菌が単離される植物は複数の植物における他の植物と比べて改善された形質を有する、工程;及び(e)形質が改善された植物から単離された細菌(工程(d))と共に工程(b)から(d)を繰り返す工程を含む。工程(b)から(d)は、植物における改善された形質が望ましいレベルに達するまで任意の回数(例えば、1回、2回、3回、4回、5回、10回、またはそれ以上)繰り返すことができる。さらに、複数の植物は、2個以上の植物、例えば、約10~約20個の植物、または約20個以上、約50個以上、約100個以上、約300個以上、約500個以上、または約1000個以上の植物であることができる。
形質が改善された植物を得ることに加えて、1つ以上の遺伝子(例えば、窒素固定を調節する遺伝子)に導入された1つ以上の遺伝子改変を含む細菌を含む細菌集団が得られる。上記の工程を繰り返すことによって、対象とする植物形質と相関する集団の最も適切なメンバーを含む細菌の集団を得ることができる。例えば、遺伝子分析及び/または表現型分析によって、この集団における細菌が同定され、それらの有益な特性が決定され得る。工程(a)で単離された細菌の遺伝子分析を行うことができる。表現型及び/または遺伝子型の情報は、植物起源の化学成分のハイスループットスクリーニング、遺伝物質のハイスループット配列決定を含む配列決定技術、差次的発現技術(DDRT-PCR、DD-PCRを含む)、核酸マイクロアレイ技術、RNA配列決定(全トランスクリプトームショットガン配列決定)、及びqRT-PCR(定量的リアルタイムPCR)を含む技術を使用して得ることができる。得られた情報を用いて、rRNAオペロンまたは他の分類学的に有益な遺伝子座の成分をコードする核酸の系統発生分析またはマイクロアレイベースのスクリーニングのような、存在する細菌の独自性及び活性に関する群落プロファイリング情報を得ることができる。分類学的に有益な遺伝子座の例には、16S rRNA遺伝子、23S rRNA遺伝子、5S rRNA遺伝子、5.8S rRNA遺伝子、12S rRNA遺伝子、18S rRNA遺伝子、28S rRNA遺伝子、gyrB遺伝子、rpoB遺伝子、fusA遺伝子、recA遺伝子、coxl遺伝子、nifD遺伝子が挙げられる。集団に存在する分類群を決定するための分類学的プロファイリングのプロセス例はUS20140155283に記載されている。細菌の同定は、窒素固定経路に関連する遺伝子のような、1つ以上の遺伝子または1つ以上のシグナル伝達経路の特徴的な活性を含むことができる。異なる細菌種間の相乗的相互作用(2つの成分がそれらの組み合わせによって、相加量よりも所望の効果を増やす場合)も細菌集団に存在することができる。
遺伝子改変は、nifA、nifL、ntrB、ntrC、glnA、glnB、glnK、draT、amtB、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、及びnifQから成る群から選択される遺伝子であることができる。遺伝子改変は、グルタミン合成酵素、グルタミナーゼ、グルタミン合成酵素アデニリルトランスフェラーゼ、転写活性化因子、抗転写活性化因子、ピルビン酸フラボドキシンオキシドレダクターゼ、フラボドキシン、またはNAD+-ジニトロゲン-レダクターゼ ADP-D-リボシルトランスフェラーゼから成る群から選択される機能性を持つタンパク質をコードする遺伝子における改変であることができる。遺伝子改変は、NifAもしくはグルタミナーゼの発現もしくは活性の増大;NifL、NtrB、グルタミン合成酵素、GlnB、GlnK、DraT、AmtBの発現もしくは活性の低下;GlnEのアデニリル除去活性の低下;またはGlnDのウリジリル除去活性の低下のうちの1つ以上をもたらす突然変異であることができる。遺伝子改変の導入は標的部位での1個以上のヌクレオチド、例えば、1、2、3、4、5、10、25、50、100、250、500個、またはそれ以上のヌクレオチドの挿入及び/または欠失を含むことができる。本明細書に開示されている方法の1つ以上の細菌に導入される遺伝子改変は、ノックアウト突然変異(例えば、プロモーターの欠失、時期尚早の停止コドンを生成するための挿入または欠失、遺伝子全体の欠失)であることができるか、または、それはタンパク質ドメインの活性の排除もしくは廃絶(例えば、活性部位に影響を与える点突然変異、もしくはタンパク質産物の関連部分をコードする遺伝子の一部の欠失)であることができるか、または、それは標的遺伝子の調節配列を変更するもしくは廃絶することができる。遺伝子改変が導入される細菌に対応する細菌種または細菌属のゲノム内に見られる異種調節配列及び調節配列を含む、1つ以上の調節配列を挿入することもできる。さらに、調節配列は、細菌培養物におけるまたは植物組織内の遺伝子の発現レベルに基づいて選択することができる。遺伝子改変は、標的部位に特異的に導入される所定の遺伝子改変であることができる。遺伝子改変は、標的部位内の無作為な突然変異であることができる。遺伝子改変は、1個以上のヌクレオチドの挿入または欠失であることができる。場合によっては、形質の改善を評価するために細菌を植物に曝露する前に、複数の異なる遺伝子改変(例えば、2、3、4、5、10、またはそれ以上)が単離された細菌の1つ以上に導入される。複数の遺伝子改変は、上記の種類のいずれか、同じまたは異なる種類、及び任意の組み合わせであることができる。場合によっては、関連する植物で次第に改善される形質を付与する複数の遺伝子改変を細菌に蓄積するように、第1の単離工程の後に第1の遺伝子改変を導入し、第2の単離工程の後に第2の遺伝子改変を導入し、以下同様に、複数の異なる遺伝子改変が連続的に導入される。
遺伝子改変を導入するために、種々の分子ツール及び方法が利用できる。例えば、遺伝子改変は、ポリメラーゼ連鎖反応突然変異誘発、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発、飽和突然変異誘発、断片混ぜ合わせ突然変異誘発、相同組換え、組換え操作、ラムダレッドが介在する組換え、CRISPR/Cas9システム、化学的突然変異誘発、及びそれらの組み合わせを介して導入することができる。遺伝子改変を導入する化学的方法には、化学的変異原、例えば、メタンスルホン酸エチル(EMS)、メタンスルホン酸メチル(mMS)、N-ニトロソ尿素(EN U)、N-メチル-N-ニトロ-N’-ニトロソグアニジン、4-ニトロキノリンN-オキシド、ジエチルサルフェート、ベンゾピレン、シクロホスファミド、ブレオマイシン、トリエチルメラミン、アクリルアミドモノマー、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジエポキシアルカン(例えば、ジエポキシブタン)、ICR-170、ホルムアルデヒド、塩酸プロカルバジン、エチレンオキシド、ジメチルニトロサミン、7,12ジメチルベンズ(a)アントラセン、クロラムブシル、ヘキサメチルホスホルアミド、ビスルファンなどへのDNAの曝露が挙げられる。放射線突然変異誘発剤には、紫外線、γ線照射、X線、及び高速中性子衝撃が挙げられる。遺伝子改変はまた、例えば、紫外線と共にトリメチルソラレンを用いて核酸に導入することもできる。可動性DNAエレメント、例えば、転位因子の無作為挿入または標的挿入は、遺伝子改変を生成するための別の好適な方法である。遺伝子改変は、例えば、エラーが発生しやすいポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のようなPCR技術を使用して、無細胞のインビトロ系での増幅中に核酸に導入することができる。遺伝子改変は、DNA混ぜ合わせ技術(例えば、エキソン混ぜ合わせ、ドメインスワッピングなど)を使用してインビトロで核酸に導入することができる。細胞におけるDNA修復酵素の欠損の結果として、遺伝子改変を核酸に導入することもでき、例えば、変異DNA修復酵素をコードする変異遺伝子の細胞内での存在は細胞のゲノムにおける高頻度の突然変異(すなわち、約1つの突然変異/100の遺伝子~1つの突然変異/10,000の遺伝子)を生成すると予想される。DNA修復酵素をコードする遺伝子の例には、Mut H、Mut S、Mut L、及びMut U、及び他の種におけるそれらの相同体(例えば、MSH 16、PMS 12、MLH 1、GTBP、ERCC-1など)が挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子改変を導入するための種々の方法の説明例は、例えば、Stemple(2004),Nature,5:1-7;Chiang et al.(1993),PCR Methods Appl 2(3):210-217;Stemmer,(1994),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,91:10747-10751;及び米国特許第6,033,861号及び同第6,773,900号に提供されている。
微生物に導入された遺伝子改変は、トランスジェニック、シスジェニック、ゲノム内、属内、属間、合成、進化、再配列、またはSNPとして分類することができる。
遺伝子改変は、微生物内の多数の代謝経路に導入して、上記の形質の改善を引き出すことができる。代表的な経路には、イオウの取り込み経路、グリコーゲン生合成、グルタミン調節経路、モリブデンの取り込み経路、窒素固定経路、アンモニアの同化、アンモニアの排出または分泌、窒素の取り込み、グルタミン生合成、アナモックス、リン酸可溶化、有機酸輸送、有機酸産生、凝集素産生、反応性酸素ラジカル捕捉遺伝子、インドール酢酸生合成、トレハロース生合成、植物細胞壁分解酵素または経路、根付着遺伝子、菌体外多糖分泌、グルタミン酸シンターゼ経路、鉄取り込み経路、シデロホア経路、キチナーゼ経路、ACCデアミナーゼ、グルタチオン生合成、リンシグナル伝達遺伝子、クオラムクエンチング経路、シトクロム経路、ヘモグロビン経路、細菌ヘモグロビン様経路、小分子RNA rsmZ、リゾビトキシン生合成、lapA接着タンパク質、AHLクオラムセンシング経路、フェナジン生合成、環状リポペプチド生合成、及び抗生物質の生産が挙げられる。
CRISPR/Cas9(クラスター化された規則的に間隔を空けた短いパリンドロームリピート)/CRISPR-関連(Cas)システムを使用して、目的の突然変異を導入することができる。CRISPR RNA(crRNA)を使用して侵入する核酸のサイレンシングを誘導することによって、CRISPR/Cas9は細菌及び古細菌にウイルスやプラスミドに対する適応免疫を提供する。Cas9タンパク質(または機能的同等物及び/またはそのバリアント、すなわちCas9様タンパク質)は、crRNA及びtracrRNA(ガイドRNAとも呼ばれる)と呼ばれる2つの天然に存在するまたは合成のRNA分子とのタンパク質との会合に依存するDNAエンドヌクレアーゼ活性を天然に含有する。場合によっては、2つの分子が共有結合して単一の分子(単一のガイドRNA(「sgRNA」)とも呼ばれる)を形成する。したがって、Cas9またはCas9様タンパク質はDNAターゲティングRNA(この用語は2分子ガイドRNA構成と1分子ガイドRNA構成の双方を含む)と会合し、それはCas9またはCas9様タンパク質を活性化してタンパク質を標的核酸配列に導く。Cas9タンパク質またはCas9様タンパク質がその天然の酵素機能を保持していれば、それは標的DNAを切断して二本鎖切断を作り出し、ゲノムの変化(すなわち、編集:欠失、挿入(ドナーポリヌクレオチドが存在する場合)、置換など)につながることができ、それによって遺伝子発現を変化させる。Cas9の一部のバリアント(バリアントはCas9様のような用語に含まれる)はDNA切断活性が低下するように変更されている(場合によっては、それらは標的DNAの双方の鎖の代わりに一本の鎖を切断するが、他の場合では、それらはDNA切断活性がなくなるまで大幅に減っている)。遺伝子改変を導入するためのCRISPRシステムのさらなる例示的な説明は、例えば、米国特許第8,795,965号に見いだすことができる。
周期的増幅技術として、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)突然変異誘発は、突然変異誘発プライマーを使用して所望の突然変異を導入する。PCRは変性、アニーリング、及び伸長のサイクルによって実行される。PCRによる増幅後、変異したDNAの選択と親プラスミドDNAの除去は、1)PCR中にdCTPをヒドロキシメチル化dCTPに置き換え、その後、制限酵素で消化して非ヒドロキシメチル化親DNAのみを除去すること;2)抗生物質耐性遺伝子と研究対象遺伝子の双方の同時突然変異誘発によって、プラスミドを異なる抗生物質耐性に変化させ、新しい抗生物質耐性によって、その後の所望の突然変異の選択を円滑にすること;3)所望の突然変異を導入した後、メチル化DNAのみを切断する制限酵素Dpn1による親メチル化テンプレートDNAの消化、それによって、突然変異誘発された非メチル化鎖が回収されること;または4)変異したDNAの形質転換効率を増大させるための追加のライゲーション反応にて変異したPCR産物を環状化することによって達成することができる。例示的な方法のさらなる説明は、例えば、米国特許第7,132,265号、同第6,713,285号、同第6,673,610号、同第6,391,548号、同第5,789,166号、同第5,780,270号、同第5,354,670号、同第5,071,743号、及び米国特許公開番号第2010/0267147号に見いだすことができる。
部位特異的変異誘発とも呼ばれるオリゴヌクレオチド特異的変異誘発は通常、合成DNAプライマーを利用する。この合成プライマーは、所望の突然変異を含有し、且つ目的の遺伝子のDNAとハイブリッド形成することができるように突然変異部位周辺のテンプレートDNAと相補性である。突然変異は、単一の塩基の変化(点突然変異)、複数の塩基の変化、欠失、または挿入、またはこれらの組み合わせであることができる。次に、遺伝子の残りの部分をコピーするDNAポリメラーゼを使用して一本鎖プライマーを伸長する。こうしてコピーされた遺伝子は突然変異部位を含有し、次いでベクターとして宿主細胞に導入され、クローニングされる。最後に、突然変異型をDNA配列決定によって選択し、それが所望の突然変異を含有することを確認することができる。
遺伝子改変は変異性PCRを使用して導入することができる。この技術では、配列の複製の忠実度が不足している条件下でDNAポリメラーゼを使用して目的の遺伝子が増幅される。その結果、増幅産物は配列に少なくとも1つのエラーを含有する。遺伝子が増幅され、反応の得られた産物(複数可)がテンプレート分子と比較したときに配列に1つ以上の変化を含有する場合、得られた産物はテンプレートと比べて変異誘発されている。無作為突然変異を導入する別の手段は、細胞をニトロソグアニジンまたはメタンスルホン酸エチルのような化学的突然変異誘発物質に曝露することであり(Nestmann,Mutat.Res.1975,June;28(3):323-30)、次いで遺伝子を含有するベクターが宿主から単離される。
飽和突然変異誘発は、無作為突然変異誘発の別の形態であり、特定の部位または遺伝子の狭い領域にて考えられるすべてのまたはほぼすべての突然変異を生成しようとする。一般的な意味では、飽和突然変異誘発は、突然変異誘発される定義されたポリヌクレオチド配列(突然変異誘発される配列は、例えば、長さ15~100,000塩基である)にて突然変異誘発カセット(各カセットは、例えば、長さ1~500塩基である)の完全なセットを突然変異誘発することで構成される。したがって、突然変異の群(例えば、1から100に及ぶ突然変異)が突然変異誘発される各カセットに導入される。1つのカセットに導入される突然変異の群化は、1回の飽和突然変異誘発の適用中に第2のカセットに導入される突然変異の第2の群化とは異なることができるか、または同じであることができる。そのような群化は、欠失、付加、特定のコドンの群化、及び特定のヌクレオチドカセットの群化によって例示される。
DNAシャフリングとも呼ばれる断片を混ぜ合わせる突然変異誘発は、有益な突然変異を迅速に伝播するための方法である。混ぜ合わせるプロセスの例では、DNA分解酵素を用いて、一連の親遺伝子を、例えば長さが約50~100bpの小片に断片化する。次に、プライマーを使用しないポリメラーゼ連鎖反応(PCR)がこれに続き、十分に重複する相同配列を持つDNA断片は互いにアニーリングし、次いでDNAポリメラーゼによって伸長される。一部のDNA分子が親遺伝子のサイズに達した後、数回のこのPCR伸長が発生できるようにする。次に、これらの遺伝子を別のPCRで増幅することができ、今回は、鎖の末端を補完するように設計されているプライマーを追加する。プライマーは、クローニングベクターへのライゲーションに必要な制限酵素認識部位の配列のような、5’末端に付加される追加の配列を有することができる。シャフリング技術のさらなる例は、米国公開番号第2005/0266541に提供されている。
相同組換え突然変異誘発には、外因性DNA断片と標的ポリヌクレオチド配列との間の組換えが関与する。二本鎖切断が起こった後、切断の5’末端の周りのDNAの区分は切離と呼ばれるプロセスで切り取られる。次に続く鎖侵入工程では、切断されたDNA分子の突出した3’末端が次いで、切断されていない類似のまたは同一のDNA分子に「侵入」する。この方法は、遺伝子を欠失させる、エキソンを取り除く、遺伝子を付加する、及び点突然変異を導入するのに使用することができる。相同組換え突然変異誘発は、永続的または条件付きであることができる。通常、組換えテンプレートも提供される。組換えテンプレートは、別のベクターの成分である、別個のベクターに含有される、または別個のポリヌクレオチドとして提供されることができる。いくつかの実施形態では、組換えテンプレートは、部位特異的ヌクレアーゼによってニックを入れられる、または切断される標的配列内またはその近傍で、相同組換えにおけるテンプレートとして機能するように設計される。テンプレートポリヌクレオチドは、例えば、長さが約10、15、20、25、50、75、100、150、200、500、1000個、またはそれ以上のヌクレオチドのような、任意の好適な長さのものであることができる。いくつかの実施形態では、テンプレートポリヌクレオチドは標的配列を含むポリヌクレオチドの一部に対して相補性である。最適に整列させた場合、テンプレートポリヌクレオチドは、標的配列の1個以上のヌクレオチド(例えば、約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100個、またはそれ以上のヌクレオチド)と重複してもよい。いくつかの実施形態では、テンプレート配列及び標的配列を含むポリヌクレオチドを最適に整列させた場合、テンプレートポリヌクレオチドの最も近いヌクレオチドは、標的配列から約1、5、10、15、20、25、50、75、100、200、300、400、500、1000、5000、10000個、またはそれ以上のヌクレオチドの範囲内である。相同組換えの方法に有用な部位特異的ヌクレアーゼの非限定的な例には、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPRヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ、及びメガヌクレアーゼが挙げられる。そのようなヌクレアーゼの使用のさらなる説明については、例えば、米国特許第8,795,965号及び米国公開第2014/0301990号を参照のこと。
化学的変異原または放射線を含む、主として点突然変異及び短い欠失、挿入、塩基転換及び/または転移を作り出す変異原は、遺伝子改変を作り出すのに使用することができる。突然変異原には、メタンスルホン酸エチル、スルホン酸メチルメタン、N-エチル-N-ニトロソウレア、トリエチルメラミン、N-メチル-N-ニトロソウレア、プロカルバジン、クロラムブシル、シクロホスファミド、硫酸ジエチル、アクリルアミドモノマー、メルファラン、ナイトロジェンマスタード、ビンクリスチン、ジメチルニトロサミン、N-メチル-N’-ニトロ-ニトロソグアニジン、ニトロソグアニジン、2-アミノプリン、7,12ジメチル-ベンズ(a)アントラセン、エチレンオキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ビススルファン、ジエポキシアルカン(ジエポキシオクタン、ジエポキシブタンなど)、2-メトキシ-6-クロロ-9[3-(エチル-2-クロロ-エチル)アミノプロピルアミノ]アクリジン二塩酸塩及びホルムアルデヒドが挙げられるが、これらに限定されない。
遺伝子改変を導入することは不完全なプロセスであることができるので、処理された細菌集団の一部の細菌は所望の突然変異を運ぶが、他の細菌は運ばない。場合によっては、所望の遺伝子改変を運ぶ細菌を富化するように選択圧を適用することが望ましい。従来、成功した遺伝的バリアントの選択は、抗生物質耐性遺伝子を挿入する場合や非致死性化合物を致死性代謝物に変換することができる代謝活性を廃絶する場合のような、遺伝子改変によって付与されるまたは廃絶されるいくつかの機能に従うまたは逆らう選択を含んでいた。ポリヌクレオチド配列自体に基づいて選択圧を加えることも可能であるので、所望の遺伝子改変のみを導入する必要がある(例えば、選択可能なマーカーも必要としない)。この場合、選択圧は標的部位に導入された遺伝子改変を欠くゲノムを切断することを含むことができるので、選択は遺伝子改変が導入されることが求められる参照配列に対して効果的に向けられる。通常、切断は、標的部位の100ヌクレオチド以内で発生する(例えば、標的部位での、または標的部位内での切断を含む、標的部位から75、50、25、10、またはより少ないヌクレオチドの範囲内)。切断は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、CRISPRヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ(TALEN)、またはメガヌクレアーゼからなる群から選択される部位特異的ヌクレアーゼによって指示することができる。そのようなプロセスは、相同組換えのためのテンプレートが提供されないことを除いて、標的部位での相同組換えを増強するためのプロセスに類似する。その結果、所望の遺伝子改変を欠く細菌は分割を受ける可能性が高く、修復されずに放置され、細胞死をもたらす。次に、改善された形質の付与を評価するために植物に曝露する際に使用するために、選択を生き残った細菌を単離することができる。
CRISPRヌクレアーゼを部位特異的ヌクレアーゼとして使用して、切断を標的部位に向けることができる。Cas9を使用して変異していない細胞を殺傷することによって、変異した微生物の改善した選択を得ることができる。次に、植物に変異した微生物を接種して、共生を再確認し、効率的な共生生物を選択するための進化圧を作り出す。その後、微生物を植物組織から再単離することができる。非バリアントに対する選択に採用されるCRISPRヌクレアーゼ系は、相同組換え用のテンプレートが提供されないことを除いて、遺伝子改変の導入に関して上記のものと同様の要素を採用することができる。したがって、標的部位に向けられた切断は、影響を受けた細胞の死を増進する。
ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALEヌクレアーゼ(TALEN)系、メガヌクレアーゼのような、標的部位での切断を特異的に誘導するための他の選択肢が利用可能である。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって生成される人工的なDNAエンドヌクレアーゼである。ZFNは、所望のDNA配列を標的にするように操作することができ、これは、ジンクフィンガーヌクレアーゼが固有の標的配列を切断するのを可能にする。細胞に導入されると、ZFNを使用して、二本鎖切断を誘導することによって細胞にて標的DNA(例えば、細胞のゲノム)を編集することができる。転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)は、TAL(転写活性化因子様)エフェクターDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって生成される人工的なDNAエンドヌクレアーゼである。TALENは、実践的に任意の所望のDNA配列に結合するように迅速に操作することができ、細胞に導入されると、TALENを使用して二本鎖切断を誘導することによって細胞にて標的DNA(細胞のゲノムなど)を編集することができる。メガヌクレアーゼ(ホーミングエンドヌクレアーゼ)は、大きな認識部位(12~40塩基対の二本鎖DNA配列)を特徴とするエンドデオキシリボヌクレアーゼである。メガヌクレアーゼを使用して、高度に標的を絞った方法で配列を置換する、排除する、または修飾することができる。タンパク質工学を介して認識配列を改変することによって、標的配列を変更することができる。メガヌクレアーゼを使用して、細菌であれ、植物であれ、または動物であれ、すべてのゲノム型を改変することができ、それは一般に4つのファミリー:LAGLIDADGファミリー、GIY-YIGファミリー、His-Cystボックスファミリー、HNHファミリーに分類される。例示的なホーミングエンドヌクレアーゼには、I-SceI、I-CeuI、PI-PspI、PI-Sce、I-SceIV、I-CsmI、I-PanI、I-SceII、I-PpoI、I-SceIII、I-CreI、I-TevI、I-TevII、及びI-TevIIIが挙げられる。
本開示の方法を採用して、種々の望ましい形質のうちの1つ以上を導入または改善することができる。導入するまたは改善することができる形質の例には、根のバイオマス、根の長さ、高さ、新芽の長さ、葉の数、水利用効率、全体的なバイオマス、収量、果実のサイズ、粒のサイズ、光合成速度、干ばつに対する耐性、耐熱性、耐塩性、線虫ストレスに対する耐性、真菌病原体に対する耐性、細菌性病原体に対する耐性、ウイルス性病原体に対する耐性、代謝産物のレベル、及びプロテオーム発現が挙げられる。高さ、全体的なバイオマス、根及び/または新芽バイオマス、種子発芽、実生の生存、光合成効率、蒸散速度、種子/果実の数または質量、植物の粒または果実の収量、葉のクロロフィル含量、光合成速度、根の長さ、またはそれらの任意の組み合わせを含む望ましい形質を使用して、成長を測定し、同一条件下で栽培された参照農業植物(例えば、形質が改善されていない植物)の成長速度と比較することができる。
いくつかの実施形態では、導入されるまたは改善されるべき形質は本明細書に記載されているように、窒素固定である。いくつかの実施形態では、導入されるまたは改善されるべき形質はアンモニウム排出、コロニー形成、鉄輸送、酸素耐性、乾燥耐性、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、同定された遺伝子において改変を欠く細菌と比べて1つ以上のアンモニウム排出が増え、コロニー形成が増大し、鉄輸送が増大し、酸素耐性が増し、そして乾燥耐性が増す。場合によっては、本明細書に記載されている方法から得られた植物は、導入されたまたは改良された形質を欠いている土壌にて同じ条件下で栽培された参照農業植物よりも少なくとも約5%卓越した、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、またはそれ以上卓越した形質で差異を示す。例えば、本明細書に記載されている方法から得られた植物は土壌にて同じ条件下で栽培された参照農業植物よりも少なくとも約5%卓越した、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、またはそれ以上卓越した窒素固定の量で増加を示すことができる。追加の例では、本明細書に記載されている方法から得られた植物は土壌にて同じ条件下で栽培された参照農業植物よりも少なくとも約5%卓越した、例えば、少なくとも約5%、少なくとも約8%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくは少なくとも100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、またはそれ以上卓越した形質で差異を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている植物で発生する土壌にて同様の条件下で栽培された参照農業植物と比較した、窒素固定の量及び/またはアンモニウム排出、コロニー形成、鉄輸送、酸素耐性、及び乾燥耐性のうちの1つ以上の増大を、本明細書に記載されているようなアッセイを使用して測定する。例えば、窒素固定の量は、アセチレン還元(AR)アッセイによって測定することができる。
改善される形質は、1つ以上の生物的または非生物的なストレス要因の適用を含む条件下で評価することができる。ストレス要因の例には、非生物的ストレス(例えば、熱ストレス、塩ストレス、干ばつストレス、寒冷ストレス、及び低栄養ストレス)及び生物的ストレス(例えば、線虫ストレス、昆虫の草食ストレス、真菌病原体ストレス、細菌病原体ストレス、及びウイルス病原体)が挙げられる。
本開示の方法及び組成物によって改善される形質は、以前は窒素固定ができなかった植物を含む、窒素固定であることができる。場合によっては、本明細書に記載されている方法に従って単離された細菌は植物窒素の1%以上(例えば、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、またはそれ以上)を産生し、それは、任意の遺伝子改変を導入する前の最初の植物から単離された細菌と比べて少なくとも2倍(例えば、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、50倍、100倍、1000倍、またはそれ以上)の窒素固定能力の増大を表すことができる。場合によっては、細菌は植物の窒素の5%以上を産生する。遺伝子改変の導入、複数の植物への曝露、及び形質が改善された植物からの細菌の単離の工程を1回以上(例えば、1、2、3、4、5、10、15、25回、またはそれ以上)繰り返した後、所望のレベルの窒素固定を達成することができる。場合によっては、グルタミン、アンモニア、またはその他の化学窒素源を補充した肥料の存在下で、窒素固定の向上したレベルが達成される。窒素固定の程度を評価するための方法が知られており、その例が本明細書に記載されている。
微生物育種は、作物の微生物叢内の種の役割を体系的に特定し、改善するための方法である。この方法は3つの工程:1)植物・微生物の相互作用をマッピングし、特定の表現型に関連する調節ネットワークを予測することによる候補種の選択と;2)調節ネットワークと遺伝子クラスターの種内交差を介した微生物表現型の実用的で予測可能な改善と;3)望ましい作物表現型を生み出す新しい微生物遺伝子型のスクリーニング及び選択とを含む。菌株の改善を体系的に評価するために、微生物群落のコロニー形成の動態を主要な種による遺伝的活動に連結するモデルが作り出される。モデルは、遺伝的標的の育種を予測し、微生物叢にコードされた農学関連形質の改善を選択する頻度を改善するために使用される。
窒素固定
本明細書に開示されている遺伝子操作された細菌は、植物における窒素固定を増やす方法において使用することができ、この方法は、植物を複数の細菌と接触させる工程を含む。いくつかの実施形態では、細菌は植物における窒素の1%以上(例えば、2%、5%、10%、またはそれ以上)を産生し、それは、いくつかの実施形態では、細菌の非存在下での植物と比べて少なくとも2倍の窒素固定能力を表す。細菌は、グルタミン、尿素、硝酸塩、またはアンモニアを補充した肥料の存在下で窒素を産生することができる。遺伝子操作された細菌は、上記に提供された例を含む、本明細書に記載されている任意の遺伝子改変を、任意の数及び任意の組み合わせで含むことができる。遺伝子改変は、nifA、nifL、ntrB、ntrC、グルタミン合成酵素、glnA、glnB、glnK、draT、amtB、グルタミナーゼ、glnD、glnE、nifJ、nifH、nifD、nifK、nifY、nifE、nifN、nifU、nifS、nifV、nifW、nifZ、nifM、nifF、nifB、及びnifQから成る群から選択される遺伝子に導入することができる。遺伝子改変は、nifAもしくはグルタミナーゼの発現もしくは活性の増大;nifL、ntrB、グルタミン合成酵素、glnB、glnK、draT、amtBの発現もしくは活性の低下;glnEのアデニリル除去活性の低下;またはGlnDのウリジリル除去活性の低下のうちの1つ以上をもたらす突然変異であることができる。本明細書に開示されている方法の1つ以上の細菌に導入される遺伝子改変は、ノックアウト突然変異であることができる、またはそれは標的遺伝子の調節配列を無効にすることができる、またはそれは異種調節配列の挿入、例えば、同じ細菌種または細菌属のゲノム内に見いだされる調節配列の挿入を含むことができる。調節配列は、細菌培養におけるまたは植物組織内での遺伝子の発現レベルに基づいて選択することができる。遺伝子改変は化学的突然変異誘発によって生成することができる。植物は生物的なまたは非生物的なストレス要因にさらされることができる。
本明細書に記載されている植物で発生する窒素固定の量は、いくつかの方法で、例えば、アセチレン還元(AR)アッセイによって測定することができる。アセチレン還元アッセイはインビトロまたはインビボで実施することができる。特定の細菌が植物に固定された窒素を提供しているという証拠には、1)植物全体のNは接種の際に、好ましくは植物におけるN濃度の付随する増加と共に大幅に増加すること;2)窒素欠乏の症状は接種の際、N制限条件下で緩和される(乾燥物質の増加を含む必要がある)こと;3)N固定は、15Nのアプローチ(同位体希釈実験、15還元アッセイ、または15N天然存在比アッセイ)の使用を介して文書化されること;4)固定Nは植物のタンパク質または代謝物に組み込まれること;及び5)これらの効果のすべては接種されていない植物または接種株の突然変異型を接種された植物では見られないことを挙げることができる。
野生型窒素固定調節カスケードは、入力O及びNH がNORゲートを通過し、その出力がATPに加えてANDゲートに入るデジタル論理回路として表すことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている方法は、調節カスケードの複数のポイントにてこの回路に対するNH の影響を破壊するので、微生物は施肥された畑でさえ窒素を産生することができる。しかしながら、本明細書に開示されている方法はまた、回路に対するATPまたはOの影響を変更すること、または回路を細胞内の他の調節カスケードに置き換えること、または窒素固定以外の遺伝子回路を変更することも想定する。遺伝子クラスターを再操作して、異種の調節系の制御下で機能的な産物を生成することができる。遺伝子クラスターのコード配列の外側及び内側のネイティブな調節要素を排除し、それらを代替の調節系に置き換えることによって、複雑な遺伝子オペロン及び他の遺伝子クラスターの機能的産物を制御することができ、及び/またはネイティブな遺伝子が由来する種以外の異なる種の細胞を含む異種細胞に移動させることができる。いったん再操作すると、合成遺伝子クラスターは、遺伝子回路または他の誘導性調節系によって制御され、それによって、所望のような産物の発現を制御することができる。発現カセットは論理ゲート、パルス発生器、発振器、スイッチ、またはメモリー装置として機能するように設計することができる。制御発現カセットは、発現カセットが、酸素、温度、接触、浸透圧ストレス、膜ストレス、または酸化還元センサーのような環境センサーとして機能するように、プロモーターに連結することができる。
例として、nifL、nifA、nifT、及びnifXの遺伝子をnif遺伝子クラスターから排除することができる。合成遺伝子は、各アミノ酸配列をコードするDNAをコドンで無作為化することによって設計することができる。コドン選択を行って、コドン使用頻度がネイティブ遺伝子のコドン使用頻度から可能な限り相違することを指定する。提案された配列は、例えば、制限酵素認識部位、トランスポゾン認識部位、反復配列、シグマ54プロモーター及びシグマ70プロモーター、潜在性リボソーム結合部位、及びrho非依存性ターミネーターのような望ましくない特徴について精査される。合成リボソーム結合部位は、例えば、遺伝子の開始コドンを囲む150bp(-60~+90)を蛍光遺伝子に融合している蛍光レポータープラスミドを構築することによって、対応する各ネイティブのリボソーム結合部位の強度に一致するように選択される。このキメラはPTacプロモーターの制御下で発現させることができ、フローサイトメトリーを介して蛍光を測定することができる。合成リボソーム結合部位を生成するために、合成発現カセットの150bp(-60~+90)を用いてレポータープラスミドのライブラリが生成される。簡単に言えば、合成発現カセットは無作為なDNAスペーサー、RBSライブラリをコードする縮重配列、及び各合成遺伝子のコード配列から成ることができる。複数のクローンをスクリーニングして、ネイティブのリボソーム結合部位に最良に一致した合成リボソーム結合部位を特定する。したがって、ネイティブのオペロンと同じ遺伝子から成る合成オペロンを構築し、機能的相補性について調べる。合成オペロンのさらなる例示的な説明はUS20140329326に提供されている。
細菌種
本明細書に開示されている方法及び組成物において有用な微生物は任意の供給源から入手することができる。場合によっては、微生物は細菌、古細菌、原生動物、または真菌であることができる。本開示の微生物は、窒素固定微生物、例えば、窒素固定細菌、窒素固定古細菌、窒素固定真菌、窒素固定酵母、または窒素固定原生動物であることができる。本明細書に開示されている方法及び組成物において有用な微生物は、胞子形成微生物、例えば、胞子形成細菌であることができる。場合によっては、本明細書に開示されている方法及び組成物において有用な細菌はグラム陽性菌またはグラム陰性菌であることができる。場合によっては、細菌はファーミキュート(Firmicute)門の内生胞子形成細菌であることができる。場合によっては、細菌はジアゾ栄養生物であることができる。場合によっては、細菌はジアゾ栄養生物であることができない。
本開示の方法及び組成物は、例えば、メタノサーモバクター・サームオートトロフィカス(Methanothermobacter thermoautotrophicus)のような古細菌と共に使用することができる。
場合によっては、有用であることができる細菌には、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、バチルス・アシドカルダリウス(Bacillus acidocaldarius)、バチルス・アシドテレストリス(Bacillus acidoterrestris)、バチルス・アグリ(Bacillus agri)、バチルス・アイザワイ(Bacillus aizawai)、バチルス・アルボラクティス(Bacillus albolactis)、バチルス・アルカロフィラス(Bacillus alcalophilus)、バチルス・アルベイ(Bacillus alvei)、バチルス・アミノグルコシディカス(Bacillus aminoglucosidicus)、バチルス・アミノボランス(Bacillus aminovorans)、バチルス・アミロリティカス(Bacillus amylolyticus)(パエニバチルス・アミロリティカス(Paenibacillus amylolyticus)としても知られる)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・アノイリナーゼ(Bacillus aneurinolyticus)、バチルス・アトロファエウス(Bacillus atrophaeus)、バチルス・アゾトフォーマンス(Bacillus azotoformans)、バチルス・バディウス(Bacillus badius)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)(同義:バチルス・エンドリトモス(Bacillus endorhythmos)、バチルス・メドゥサ(Bacillus medusa))、バチルス・キチノスポラス(Bacillus chitinosporus)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・エンドパラシチカス(Bacillus endoparasiticus) バチルス・ファスティディオスス(Bacillus fastidiosus)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・クルスターキ(Bacillus kurstaki)、バチルス・ラクチコラ(Bacillus lacticola)、バチルス・ラクチモルバス(Bacillus lactimorbus)、バチルス・ラクティス(Bacillus lactis)、バチルス・ラテロスポルス(Bacillus laterosporus)(ブレビバチルス・ラテロスポルス(Brevibacillus laterosporus)としても知られる)、バチルス・ロータス(Bacillus lautus)、バチルス・レンティモルブス(Bacillus lentimorbus)、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・マロカヌス(Bacillus maroccanus)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・メチエンス(Bacillus metiens)、バチルス・マイコイデス(Bacillus mycoides)、バチルス・ナットウ(Bacillus natto)、バチルス・ネマトシダ(Bacillus nematocida)、バチルス・ニグリフィカンス(Bacillus nigrificans)、バチルス・ニグラム(Bacillus nigrum)、バチルス・パントセンティカス(Bacillus pantothenticus)、バチルス・ポピリアエ(Bacillus popillae)、バチルス・サイクロサッカロリティカス(Bacillus psychrosaccharolyticus)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・シアメンシス(Bacillus siamensis)、バチルス・スミシイ(Bacillus smithii)、バチルス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス・ユニフラゲラツス(Bacillus uniflagellatus)、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、ブレビバチルス・ブレビス(Brevibacillus brevis) ブレビバチルス・ラテロスポルス(以前はバチルス・ラテロスポルス)、(Chromobacterium subtsugae)、デルフチア・アシドボランス(Delftia acidovorans)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、リソバクター・アンティビオティカス(Lysobacter antibioticus)、リソバクター・エンザイモゲネス(Lysobacter enzymogenes)、パエニバチルス・アルベイ(Paenibacillus alvei)、パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)、パエニバチルス・ポピリアエ(Paenibacillus popilliae)(以前はバチルス・ポピリアエ(Bacillus popilliae))、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、パスツリア・ペネトランス(Pasteuria penetrans)(以前はバチルス・ペネトランス(Bacillus penetrans))、パスツリア・ウスガエ(Pasteuria usgae)、(Pectobacterium carotovorum)(以前は軟腐病菌(Erwinia carotovora))、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・アウランティアカ(Pseudomonas aureofaciens)、シュードモナス・セパシア(Pseudomonas cepacia)(以前はバークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)としても知られる)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・プロラディクス(Pseudomonas proradix)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)、セラチア・エントモフィラ(Serratia entomophila)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、ストレプトマイセス・コロンビエンシス(Streptomyces colombiensis)、ストレプトマイセス・ガルブス(Streptomyces galbus)、ストレプトマイセス・ゴシキエンシス(Streptomyces goshikiensis)、ストレプトマイセス・グリセオビリディス(Streptomyces griseoviridis)、ストレプトマイセス・ラベンデュラエ(Streptomyces lavendulae)、ストレプトマイセス・パラシヌス(Streptomyces prasinus)、ストレプトマイセス・サラセティクス(Streptomyces saraceticus)、ストレプトマイセス・ベネズエラ(Streptomyces venezuelae)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、ゼノラブダス・ルミネッセンス(Xenorhabdus luminescens)、ゼノラブダス・ネマトフィラ(Xenorhabdus nematophila)、ロドコッカス・グロベルラス(Rhodococcus globerulus) AQ719(NRRL受入番号B-21663)、バチルス属(Bacillus)の種、AQ175(ATCC受入番号55608)、バチルス属の種AQ177(ATCC受入番号55609)、バチルス属の種、AQ178(ATCC受入番号53522)、及びストレプトマイセス属(Streptomyces)の種の菌株NRRL受入番号B-30145が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、細菌は、アゾトバクター・クロオコッカム(Azotobacter chroococcum)、メタノサルシナ・バーケリ(Methanosarcina barkeri)、クレシエラ・ニューモニエ(Klesiella pneumoniae)、アゾトバクター・ビネランジイ(Azotobacter vinelandii)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter spharoides)、ロドバクター・カプスラータ(Rhodobacter capsulatus)、ロドバクター・パルストリス(Rhodobcter palustris)、ロドスポリラム・ラブラム(Rhodosporillum rubrum)、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)またはリゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)であることができる。
場合によっては、細菌はクロストリジウム属(Clostridium)の種、例えば、クロストリジウム・パストゥリアヌム(Clostridium pasteurianum)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・テタニ(Clostridium tetani)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)であることができる。
場合によっては、本開示の方法及び組成物で使用される細菌はシアノバクテリアであることができる。シアノバクテリア属の例には、アナベナ属(Anabaena)(例えば、アナガエナ(Anagaena)の種PCC7120)、ノストック属(Nostoc)(例えば、ノストック・プンクチクフォルメ(Nostoc punctiforme))、またはシネコシスティス属(Synechocystis)(例えば、シネコシスティス属の種PCC6803)が挙げられる。
場合によっては、本開示の方法及び組成物で使用される細菌は、緑色硫黄細菌門(Chlorobi)、例えば、クロロビウム・テピダム(Chlorobium tepidum)に属することができる。
場合によっては、本開示の方法及び組成物と共に使用される微生物は既知のNifH遺伝子に相同な遺伝子を含むことができる。既知のNifH遺伝子の配列は、例えば、Zehr lab NifH database(World Wide Web上、2014年4月のzehr.pmc.ucsc.edu/nifH_Database_Public/)、またはthe Buckley lab NifH database(World Wide Web上のcss.cornell.edu/faculty/buckley/nifh.htm、及びGaby,John Christian,and Daniel H.Buckley,”A comprehensive aligned nifH gene database:a multipurpose tool for studies of nitrogen-fixing bacteria.”Database2014(2014):bau001.)に見いだすことができる。場合によっては、本開示の方法及び組成物と共に使用される微生物は、Zehr lab NifH database(World Wide Web上2014年4月のzehr.pmc.ucsc.edu/nifH_Database_Public/)由来の配列に対して少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、96%、98%、99%または99%を超える配列同一性を持つポリペプチドをコードする配列を含むことができる。場合によっては、本開示の方法及び組成物と共に使用される微生物は、Buckley lab NifH database(Gaby,John Christian,and Daniel H.Buckley.”A comprehensive aligned nifH gene database:a multipurpose tool for studies of nitrogen-fixing bacteria.”Database 2014(2014):bau001.)由来の配列に対して少なくとも60%、70%、80%、85%、90%、95%、96%、96%、98%、99%または99%を超える配列同一性を持つポリペプチドをコードする配列を含むことができる。
本明細書に開示されている方法及び組成物において有用な微生物は、ネイティブ植物の表面または組織から微生物を抽出すること;微生物を単離するために種子を粉砕すること;多様な土壌試料に種子を蒔き、組織から微生物を回収すること;または外因性微生物を植物に接種し、どの微生物が植物組織に現れるかを決定することによって得ることができる。植物組織の非限定的な例には、種子、実生、葉、挿し木、植物、球根、または塊茎が挙げられる。場合によっては、細菌は種子から単離される。試料を処理するためのパラメータは、根圏細菌、着生菌、または内部寄生菌のようなさまざまな種類の関連微生物を単離するために異なることができる。細菌は、最初に最初の植物から単離する代わりに、環境菌株収集のようなリポジトリから調達することもできる。微生物は、単離された微生物のゲノムを配列決定すること;植物体の群落の構成をプロファイリングすること;群落または単離した微生物のトランスクリプトームの機能性を特徴づけること;または、選択的または表現型の培地(例えば、窒素固定またはリン酸可溶化の表現型)を使用して微生物の特徴をスクリーニングことによって遺伝子型及び表現型を決定することができる。選択された候補の菌株または集団は、配列データ;表現型データ;植物データ(例えば、ゲノム、表現型、及び/または収量データ);土壌データ(例えば、pH、N/P/K含量、及び/またはバルク土壌生物群落;またはこれらの任意の組み合わせを介して得ることができる。
本明細書に記載されている細菌及び細菌を生産する方法は、損傷を与える植物防御反応を誘導することなく葉表面、根表面、または植物組織内で効率的に自己増殖できる細菌、または植物防御応答に耐性がある細菌に適用することができる。本明細書に記載されている細菌は、窒素を添加しない培地にて植物組織抽出物または葉の表面洗浄液を培養することによって単離することができる。しかしながら、細菌は培養できない可能性があり、すなわち、培養可能であることが知られていないか、または当該技術分野で知られている標準的な方法を使用して培養するのが難しい可能性がある。本明細書に記載されている細菌は、内部寄生菌または着生菌または植物の根圏に生息する細菌(根圏細菌)であることができる。遺伝子改変の導入、複数の植物への曝露、及び形質が改善された植物からの細菌の単離の工程を1回以上(例えば、1、2、3、4、5、10、15、25回、またはそれ以上)繰り返した後に得られる細菌は内部寄生菌、着生菌または根圏細菌であることができる。内部寄生菌は、病気の症状を引き起こすことなく、または共生構造の形成を誘発することなく植物の内部に入る生物であり、それらは植物の成長を促進し、植物の栄養を向上させることができる(例えば、窒素固定を介して)ので、農学的に興味のあるものである。細菌は種子伝染性の内部寄生菌であることができる。種子伝染性の内部寄生菌には、成熟した、乾燥した、損傷を受けていない(例えば、亀裂がない、目に見える真菌感染ない、または時期尚早に発芽していない)種子に見られる種子伝染性の細菌内部寄生菌のような、草または植物の種子に関連するまたは由来する細菌が挙げられる。種子伝染性の細菌内部寄生菌は、種子の表面に関連もしくは由来することができ;代わりに、またはさらに、それは、内部の種子区画(例えば、表面滅菌された種子)に関連する、もしくは由来することができる。場合によっては、種子伝染性の細菌内部寄生菌は、植物組織内、例えば種子の内部で複製することができる。また、場合によっては、種子伝染性の細菌内部寄生菌は乾燥を切り抜けて生き残ることができる。
本開示の方法に従って単離される、または本開示の方法もしくは組成物で使用される細菌は、複数の異なる細菌分類群を組み合わせて含むことができる。例として、細菌には、プロテオバクテリア(Proteobacteria)(例えば、シュードモナス属(Pseudomonas)、エンテロバクター属(Enterobacter)、ステノトロホモナス属(Stenotrophomonas)、バークホルデリア属(Burkholderia)、リゾビウム属(Rhizobium)、ハーバスピリラム属(Herbaspirillum)、パントエア属(Pantoea)、セラチア属(Serratia)、ラーネラ属(Rahnella)、アゾスピリルム属(Azospirillum)、アゾリゾビウム属(Azorhizobium)、アゾトバクター属(Azotobacter)、デュガネラ属(Duganella)、デルフチア属(Delftia)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobiun)、シノリゾビウム属(Sinorhizobium)及びハロモナス属(Halomonas))、ファーミキューテス(Firmicutes)(例えば、バチルス属、パエニバチルス属(Paenibacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、マイコプラズマ属(Mycoplasma)、及びアセトバクテリウム属(Acetabacterium))、及びアクチノバクテリア(Actinobacteria)(例えば、ストレプトマイセス属、(Rhodacoccus)、マイクロバクテリウム属(Microbacterium)、及びカートバクテリウム属(Curtobacterium))を挙げることができる。本開示の方法及び組成物で使用される細菌は、2つ以上の種の窒素固定細菌集団を含むことができる。場合によっては、細菌集団の1つ以上の細菌種が窒素を固定できることができ得る。場合によっては、細菌集団の1つ以上の種が、他の細菌の窒素を固定する能力を増進するまたは強化することができる。窒素を固定する細菌と窒素を固定する他の細菌の能力を高める細菌は同一であることができるか、または異なることができる。いくつかの例では、細菌株は、異なる細菌株と組み合わせた場合、または特定の細菌集団において窒素を固定することができるが、単一培養では窒素を固定することができない可能性がある。窒素を固定する細菌集団に見いだすことができる細菌属の例には、ハーバスピリラム属、アゾスピリルム属、エンテロバクター属、及びバチルス属が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書に開示されている方法によって生産することができる細菌には、アゾトバクター属の種、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium)の種、クレブシエラ属(Klebsiella)の種、及びシノリゾビウム属の種が挙げられる。場合によっては、細菌はアゾトバクター・ビネランジイ、ブラディリゾビウム・ジャポニクム、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、及びシノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)から成る群から選択することができる。場合によっては、細菌はエンテロバクター属またはラーネラ属のものであることができる。場合によっては、細菌はFrankia属またはクロストリジウム属のものであることができる。クロストリジウム属の細菌の例には、クロストリジウム・アセトブチリカム、クロストリジウム・パストゥリアヌム、クロストリジウム・ベイジェリンキ、クロストリジウム・パーフリンジェンス、及びクロストリジウム・テタニが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、細菌はパエニバチルス属のもの、例えば、パエニバチルス・アゾトフィクサンス(Paenibacillus azotofixans)、パエニバチルス・ボレアリス(Paenibacillus borealis)、パエニバチルス・ダラス(Paenibacillus durus)、パエニバチルス・マセランス(Paenibacillus macerans)、パエニバチルス・ポリミキサ、パエニバチルス・アルベイ、パエニバチルス・アミロリティカス、パエニバチルス・キャンピナセンシス(Paenibacillus campinasensis)、パエニバチルス・チベンシス(Paenibacillus chibensis)、パエニバチルス・グルカノリティカス(Paenibacillus glucanolyticus)、パエニバチルス・イリノイセンシス(Paenibacillus illinoisensis)、パエニバチルス・ラルバエ(Paenibacillus larvae)の亜種ラルバエ(Larvae)、パエニバチルス・ラルバエの亜種パルヴィファシエンス(Pulvifaciens)、パエニバチルス・ロータス(Paenibacillus lautus)、パエニバチルス・マセランス、パエニバチルス・マッカリエンシス(Paenibacillus macquariensis)、パエニバチルス・マッカリエンシス、パエニバチルス・パブリ(Paenibacillus pabuli)、パエニバチルス・ペオリアエ(Paenibacillus peoriae)、またはパエニバチルス・ポリミキサであることができる。
いくつかの例では、本開示の方法に従って単離される細菌は、以下の分類群:アクロモバクター属(Achromobacter)、アシドチオバチルス属(Acidithiobacillus)、アシドボラクス属(Acidovorax)、アシドボラズ(Acidovoraz)、アシネトバクター属(Acinetobacter)、アクチノプラネス属(Actinoplanes)、アドレクルーツィア属(Adlercreutzia)、アエロコッカス属(Aerococcus)、アエロモナス属(Aeromonas)、アフピア属(Afipia)、アグロマイセス属(Agromyces)、アンサイロバクター属(Ancylobacter)、アルスロバクター属(Arthrobacter)、アトポスティペス属(Atopostipes)、アゾスピリルム属、バチルス属、ブデロビブリオ属(Bdellovibrio)、ベイエリンキア属(Beijerinckia)、ボセア属(Bosea)、ブラディリゾビウム属、ブレビバチルス属(Brevibacillus)、ブレブンディモナス属(Brevundimonas)、バークホルデリア属、(Candidatus)、ハロレディヴィヴァス(Haloredivivus)、カウロバクター属(Caulobacter)、セルロモナス属(Cellulomonas)、セルビブリオ属(Cellvibrio)、クリセオバクテリウム属(Chryseobacterium)、シトロバクター属(Citrobacter)、クロストリジウム属、コラリオマルガリタ(Coraliomargarita)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium)、カプリアビダス属(Cupriavidus)、カートバクテリウム属、カービバクター属(Curvibacter)、ディノコッカス属(Deinococcus)、デルフチア属、デセムジア属(Desemzia)、デヴォシア属(Devosia)、ドクドネラ属(Dokdonella)、ディエラ属(Dyella)、エンハイドロバクター属(Enhydrobacter)、エンテロバクター属、エンテロコッカス属(Enterococcus)、エルウィニア属(Erwinia)、エシェリシア属(Escherichia)、エシェリシア属/シゲラ属(Shigella)、エキシグオバクテリウム属(Exiguobacterium)、フェログロブス属(Ferroglobus)、フィリモナス属(Filimonas)、フィネゴルディア属(Finegoldia)、フラビソリバクター属(Flavisolibacter)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フリゴリバクテリウム属(Frigoribacterium)、グルコンアセトバクター属(Gluconacetobacter)、ハフニア属(Hafnia)、ハロバキュラム属(Halobaculum)、ハロモナス属、ハロシンプレックス属(Halosimplex)、ハーバスピリラム属、ハイメノバクター属(Hymenobacter)、クレブシエラ属、コクリア属(Kocuria)、コサコニア(Kosakonia)、ラクトバチルス属、レクレルシア属(Leclercia)、レンツィア属(Lentzea)、ルテイバクター属(Luteibacter)、ルテイモナス属(Luteimonas)、マシリア属(Massilia)、メソリゾビウム属(Mesorhizobium)、メチロバクテリウム属(Methylobacterium)、マイクロバクテリウム属、ミクロコッカス属(Micrococcus)、ミクロヴィルガ属(Microvirga)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ナイセリア属(Neisseria)、ノカルジア属(Nocardia)、オーシャニバクラム(Oceanibaculum)、オクロバクテリウム属(Ochrobactrum)、オキバクテリウム属(Okibacterium)、オリゴトロファ属(Oligotropha)、オリジヒュムス属(Oryzihumus)、オキサロファーガス属(Oxalophagus)、パエニバチルス属、パンテオア(Panteoa)、パントエア属、ペロモナス属(Pelomonas)、ペルルシジバカ属(Perlucidibaca)、プランチバクター属(Plantibacter)、ポリヌクレオバクター属(Polynucleobacter)、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)、プロピオニシクラバ(Propioniciclava)、シュードクラビバクター属(Pseudoclavibacter)、シュードモナス属、シュードノカルジア属(Pseudonocardia)、シュードキサントモナス属(Pseudoxanthomonas)、サイクロバクター属(Psychrobacter)、ラルストニア属(Ralstonia)、レインヘイメラ属(Rheinheimera)、リゾビウム属、ロドコッカス属(Rhodococcus)、ロドシュードモナス属(Rhodopseudomonas)、ロゼアテレス属(Roseateles)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、セバルデラ属(Sebaldella)、セディミニバチルス(Sediminibacillus)、ディミニバクテリウム(Sediminibacterium)、セラチア属、シゲラ属、シネラ属(Shinella)、シノリゾビウム属、シノスポランギウム属(Sinosporangium)、スフィンゴバクテリウム属(Sphingobacterium)、スフィンゴモナス属(Sphingomonas)、スフィンゴピキシス属(Sphingopyxis)、スフィンゴシニセラ属(Sphingosinicella)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、25ステノトロホモナス属(25Stenotrophomonas)、ストレノトロフォモナス(Strenotrophomonas)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、ストレプトマイセス属、スティギオロブス属(Stygiolobus)、スルフリスファエラ属(Sulfurisphaera)、テイタメラ属(Tatumella)、テピディモナス属(Tepidimonas)、サーモモナス属(Thermomonas)、チオバチルス属(Thiobacillus)、バリオボラックス属(Variovorax)、WPS-2での分類位置不明な属、キサントモナス属(Xanthomonas)、及びジマーマンネラ属(Zimmermannella)のうちの1つ以上のメンバーであることができる。
細菌は、土壌、植物、真菌類、動物(無脊椎動物を含む)、及び湖や川の堆積物、水、及び生物相を含むその他の生物相を含む、あらゆる一般的な陸生環境;海洋環境、その生物相及び堆積物(例えば、海水、海洋泥、海洋植物、海洋無脊椎動物(例えば、海綿体)、海洋脊椎動物(例えば、魚));陸域及び海域の地圏(レゴリスや岩石、例えば、砕いた地下の岩石、砂、及び粘土);雪氷圏とその融雪水;大気(例えば、ろ過された空中のほこり、雲、及び雨の液滴);都市、工業、その他の人工環境(例えば、コンクリート、道路脇の側溝、屋根の表面、路面に蓄積された有機物及び鉱物)から得ることができる。
細菌が得られる植物は、1つ以上の望ましい形質を有する植物、例えば、特定の環境にてまたは特定の関心のある条件下で自然に成長する植物であることができる。一例として、特定の植物は、砂質土壌もしくは高塩分の砂、もしくは極端な温度下、もしくは少量の水で自然に成長することができるか、またはそれは環境に存在する特定の害虫もしくは病気に耐性があることができ、且つそれは、それらが特定の地理的位置で利用可能な唯一の条件であれば特に、そのような条件で商業作物が栽培されるのは望ましくてもよい。さらなる例として、細菌は、そのような環境で栽培された商業作物から、またはさらに具体的には、特定の環境で栽培された作物の中で関心のある形質を最良に示す個々の作物植物から;例えば塩類を制限する土壌で栽培された作物の間で最速に成長する植物、または深刻な昆虫の損傷もしくは病気の流行にさらされた作物の中で最も損傷の少ない植物、または繊維含量、油含量などを含む特定の代謝物及び他の化合物の所望の量を有する植物、または望ましい色、味または匂いを示す植物から収集することができる。細菌は、対象とする植物から、または真菌及びその他の動植物の生物相、土壌、水、堆積物、及び前述のような環境の他の要素を含む対象とする環境で発生する任意の物質から収集することができる。
細菌は植物組織から単離することができる。この単離は、例えば、根、茎及び葉、及び植物の生殖組織を含む、植物における任意の適切な組織から発生することができる。例として、植物から単離するための従来の方法は通常、対象とする植物材料(例えば、根または茎の長さ、葉)の滅菌切除、適切な溶液(例えば、2%次亜塩素酸ナトリウム)による表面滅菌を含み、その後、植物材料は微生物の増殖のために栄養培地に入れられる。あるいは、表面滅菌した植物材料を滅菌液体(ふつうは水)で粉砕し、粉砕した植物材料の小片を含む液体懸濁液を、選択的であってもよいし、そうでなくてもよい好適な固体寒天培地(単数)または培地(複数)(例えば、リンの供給源としてフィチン酸のみを含有する)の表面に広げることができる。このアプローチは、孤立したコロニーを形成し、栄養培地の分離プレートに個別に摘み取り込まれ、周知の方法によって単一の種にさらに精製され得る細菌にとって特に有用である。あるいは、植物の根または葉の試料を表面滅菌することはできないが、穏やかに洗浄するだけで表面に生息する着生微生物を単離プロセスに含める、または寒天培地の表面に植物の根、茎、または葉を押し付け、持ち上げ、次いで上記のように個々のコロニーを単離することによって着生微生物を別々に単離することができる。このアプローチは、例えば細菌に特に有用である。あるいは、根に付着した少量の土壌を洗い流さずに根を処理することができ、こうして植物の根圏にコロニー形成する微生物を含めることができる。そうでなければ、根に付着している土壌を除去し、希釈して、好適な選択性の及び非選択性の培地の寒天上に広げて、根圏細菌の個々のコロニーを単離することができる。
ラーネラ・アクアティリス及びエンテロバクター・サッカリ(Enterobacter sacchari)の生物学的に純粋な培養物は、2015年7月14日にAmerican Type Culture Collection(ATCC;国際寄託機関)、Manassas,VA,USAに寄託され、それぞれATTC特許寄託指定番号PTA-122293及びPTA-122294が割り当てられた。これらの寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約の規定及び規則(ブダペスト条約)に基づいて行われた。
組成物
本明細書に記載されている方法に従って生産された細菌または細菌集団を含み、かつ/または本明細書に記載されている特徴を有する、組成物は、液体、発泡体、または乾燥製品の形態であることができる。いくつかの例では、細菌集団を含む組成物は、乾燥粉末、粉末と水のスラリー、または流動性種子処理の形態であることができる。
前記組成物は、連続撹拌槽型反応器、バッチ反応器のようなバイオリアクター、及び農場で製造することができる。いくつかの例では、組成物は水差しまたはミニバルクのような容器に保管することができる。いくつかの例では、組成物はボトル、ジャー、アンプル、パッケージ、容器、バッグ、箱、ビン、封筒、ダンボール箱、容器、サイロ、輸送コンテナ、トラックの荷台及び/またはケースから成る群から選択される物体内に保管することができる。
組成物は植物の形質を改善するためにも使用することができる。いくつかの例では、1つ以上の組成物を種子上にコーティングすることができる。いくつかの例では、1つ以上の組成物を実生上にコーティングすることができる。いくつかの例では、1つ以上の組成物を種子の表面にコーティングすることができる。いくつかの例では、1つ以上の組成物を種子の表面上の層としてコーティングすることができる。いくつかの例では、種子上にコーティングされる組成物は、液体形態、乾燥製品形態、泡状形態、粉末と水のスラリーの形態、または流動性種子処理であることができる。いくつかの例では、1つ以上の組成物を種子及び/または実生に噴霧する、浸漬する、コーティングする、カプセル化する、及び/またはまぶすことによって1つ以上の組成物を種子及び/または実生に適用することができる。いくつかの例では、複数の細菌または細菌集団を植物の種子及び/または実生にコーティングすることができる。いくつかの例では、細菌の組み合わせについての少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、または10超の細菌は、以下の属:アシドボラクス属、アグロバクテリウム属(Agrobacterium)、バチルス属、バークホルデリア属、クリセオバクテリウム属、カートバクテリウム属、エンテロバクター属、エシェリシア属、メチロバクテリウム属、パエニバチルス属、パントエア属、シュードモナス属、ラルストニア属、サッカリバチルス属(Saccharibacillus)、スフィンゴモナス属、及びステノトロホモナス属のうちの1つから選択することができる。
いくつかの例では、内部寄生菌の組み合わせについての少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、または10超の細菌及び細菌集団は以下の科:バチルス科(Bacillaceae)、バークホルデリア科(Burkholderiaceae)、コマモナス科(Comamonadaceae)、腸内細菌科(Enterobacteriaceae)、フラボバクテリウム科(Flavobacteriaceae)、メチロバクテリウム科(Methylobacteriaceae)、マイクロバクテリウム科(Microbacteriaceae)、パエニバシラス科(Paenibacillileae)、シュードモンナ科(Pseudomonnaceae)、リゾビウム科(Rhizobiaceae)、スフィンゴモナス科(Sphingomonadaceae)、キサントモナス科(Xanthomonadaceae)、クラドスポリウム科(Cladosporiaceae)、グノモニア科(Gnomoniaceae)、分類位置不明、ラシオスフェリア科(Lasiosphaeriaceae)、ネトリア科(Netriaceae)、及びプレオスポラ科(Pleosporaceae)のうちの1つから選択される。
いくつかの例では、内部寄生菌の組み合わせについての少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、少なくとも10、または10超の細菌及び細菌集団は以下の科:バチルス科、バークホルデリア科、コマモナス科、腸内細菌科、フラボバクテリウム科、メチロバクテリウム科、マイクロバクテリウム科、パエニバシラス科、シュードモンナ科、リゾビウム科、スフィンゴモナス科、キサントモナス科、クラドスポリウム科、グノモニア科、分類位置不明、ラシオスフェリア科、ネトリア科、及びプレオスポラ科のうちの1つから選択される。
組成物の例には、商業的に重要な農作物、例えば、ソルガム、キャノーラ、トマト、イチゴ、オオムギ、イネ、トウモロコシ、及びコムギのための種子コーティングを挙げることができる。組成物の例には、トウモロコシ、ダイズ、キャノーラ、ソルガム、ジャガイモ、イネ、野菜、シリアル、及び油糧種子のための種子コーティングも挙げることができる。本明細書で提供されるような種子は、遺伝子改変生物(GMO)、非GMO、有機、または従来のものであることができる。いくつかの例では、組成物を植物の空中部分に噴霧することができるか、または植物の種子が植えられている畝間に挿入する、土壌に水をまく、もしくは組成物の懸濁液に根を浸すことによって根に適用することができる。いくつかの例では、細胞の生存能力及び宿主植物に人工的に接種する及びコロニー形成する能力を維持する好適な方法で組成物を脱水することができる。細菌種は10~1010cfu/mlの間の濃度で組成物に存在することができる。いくつかの例では、組成物は、モリブデンイオン、鉄イオン、マンガンイオン、またはこれらのイオンの組み合わせのような微量金属イオンで補完することができる。本明細書に記載されている組成物の例におけるイオンの濃度は、約0.1mM~約50mMの間であることができる。組成物のいくつかの例はまた、ベータグルカン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、細菌の細胞外高分子物質(EPS)、糖、動物乳、または他の好適な担体のような担体と共に製剤化することもできる。いくつかの例では、泥炭または植栽材料を担体として使用することができるか、または組成物が生体高分子に封入されている生体高分子を担体として使用することができる。
本明細書に記載されている細菌集団を含む組成物は種子の表面にコーティングすることができる。したがって、本明細書に記載されている1つ以上の細菌でコーティングされた種子を含む組成物も企図される。種子コーティングは、細菌集団を多孔性の化学的に不活性な粒状担体と混合することによって形成することができる。あるいは、組成物は、種子が植えられる畝間に直接挿入する、または植物の葉に噴霧する、または根を組成物の懸濁液に浸すことによって適用することができる。有効量の組成物を使用して、植物の根に隣接する下層土領域に生存可能な細菌の増殖をもたらす、または植物の葉に生存可能な細菌の増殖をもたらすことができる。一般に、有効量は、形質が改善された(例えば、望ましいレベルの窒素固定)植物をもたらすのに十分な量である。
本明細書に記載されている細菌組成物は、農業上許容される担体を使用して製剤化することができる。これらの実施形態に有用な製剤は、粘着付与剤、微生物安定剤、殺真菌剤、抗菌剤、防腐剤、安定剤、界面活性剤、抗複合剤、除草剤、殺線虫剤、殺虫剤、植物成長調節剤、肥料、殺鼠剤、乾燥剤、殺菌剤、栄養素、またはそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される少なくとも1つのメンバーを含むことができる。いくつかの例では、組成物は常温保存可能であることができる。例えば、本明細書に記載されている組成物のいずれかは、農業上許容される担体(例えば、天然に存在しない肥料のような肥料、天然に存在しない接着剤のような接着剤、及び天然に存在しない殺虫剤のような殺虫剤のうちの1つ以上)を含むことができる。天然に存在しない接着剤は、例えば、ポリマー、コポリマー、または合成蝋状物質であることができる。例えば、本明細書に記載されているコーティングされた種子、実生、または植物は、種子コーティングにてそのような農業上許容される担体を含有することができる。本明細書に記載されている組成物または方法のいずれかでは、農業上許容される担体は、天然に存在しない化合物(例えば、天然に存在しない肥料、例えば、ポリマー、コポリマーもしくは合成蝋状物質のような天然に存在しない接着剤、または天然に存在しない殺虫剤)であることができるか、またはそれを含むことができる。農業上許容される担体の非限定的な例は以下に記載されている。農業上許容される担体の追加の例は当該技術分野で知られている。
場合によっては、細菌は農業上許容される担体と混合される。担体は、固体担体または液体担体であることができ、且つミクロスフェア、粉末、エマルションなどを含む種々の形態であることができる。担体は、例えば、安定性の向上、濡れ性、または分散性のような種々の特性を付与する多数の担体のうちの任意の1つ以上であることができる。非イオン性またはイオン性の界面活性剤またはそれらの組み合わせであることができる天然または合成の界面活性剤のような湿潤剤を組成物に含めることができる。油中水型エマルションを使用して、単離された細菌を含む組成物を製剤化することもできる(例えば、米国特許第7,485,451号を参照のこと)。調製することができる好適な製剤は、水和剤、顆粒剤、ゲル剤、寒天のストリップまたはペレット、増粘剤など、マイクロカプセル化粒子など、例えば、水性流動物、水性懸濁液、油中水型エマルションのような液体を含む。製剤は、穀物またはマメ科植物産物、例えば、粉砕された穀物またはマメ、穀物またはマメに由来するブロスまたはコムギ粉、デンプン、糖、または油を含むことができる。
いくつかの実施形態では、農業用担体は土壌または植物成長培地であることができる。使用することができる他の農業用担体には、水、肥料、植物系の油、保湿剤、またはそれらの組み合わせが挙げられる。あるいは、農業用担体は、例えば、珪藻土、ローム、シリカ、アルギン酸塩、粘土、ベントナイト、バーミキュライト、果皮のような固形物、他の動植物の産物、または組み合わせであることができ、顆粒、ペレット、または懸濁液を含む。例えば、ペスタ(コムギ粉及びカオリン粘土)、ローム、砂、または粘土における寒天またはコムギ粉を基にしたペレットなどのような、しかし、これらに限定されない、前述の成分のいずれかの混合物も担体としても企図される。製剤は、例えば、オオムギ、イネのような細菌用の食物源、または、例えば、種子、植物の一部、サトウキビの絞りかす、穀物加工由来の外皮もしくは茎、粉砕された植物材料もしくは建築現場廃材由来の木材、紙、布もしくは材木のリサイクル由来のおがくずもしくは小さな繊維のような生物由来物質を含むことができる。
例えば、肥料は成長を促進する、または種子、実生、もしくは植物に栄養素を供給するのに役立てるために使用することができる。肥料の非限定的な例には、窒素、リン、カリウム、カルシウム、イオウ、マグネシウム、ホウ素、塩化物、マンガン、鉄、亜鉛、銅、モリブデン、及びセレン(またはそれらの塩)が挙げられる。肥料の追加の例には、1個以上のアミノ酸、塩、炭水化物、ビタミン、グルコース、NaCl、酵母エキス、NHPO、(NHSO、グリセロール、バリン、L-ロイシン、乳酸、プロピオン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、KH酒石酸塩、キシロース、リキソース、及びレシチンが挙げられる。一実施形態では、製剤は、他の活性剤を物質(例えば、種子の表面)に結合するのに役立てるために粘着付与剤または接着剤(接着剤と呼ばれる)を含むことができる。そのような薬剤は、他の化合物(例えば、生物学的でない対照薬剤)を含有することができる担体と細菌を組み合わせて、コーティング組成物を得るのに有用である。そのような組成物は、微生物と他の薬剤との間の植物または植物の一部との接触を維持するために、植物または種子の周りにコーティングを作り出すのに役立つ。一実施形態では、接着剤は、アルギン酸塩、ガム、デンプン、レシチン、ホルモノネチン、ポリビニルアルコール、アルカリホルモノネチネート、ヘスペレチン、ポリ酢酸ビニル、セファリン、アラビアガム、キサンタンガム、鉱物油、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、アラビノガラクタン、メチルセルロース、PEG 400、キトサン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、グリセロール、トリエチレングリコール、酢酸ビニル、ジェランガム、ポリスチレン、ポリビニル、カルボキシメチルセルロース、ガムガッティ、及びポリオキシエチレン-ポリオキシブチレンブロックコポリマーから成る群から選択される。
いくつかの実施形態では、接着剤は、例えば、カルナウバ蝋、蜜蝋、チャイニーズ蝋、シェラック蝋、スペルマセチ蝋、カンデリラ蝋、ヒマシ蝋、オリキュリー蝋、及び糠蝋のような蝋状物質、多糖類(例えば、デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギン酸塩、及びキトサン)、脂肪、油、タンパク質(例えば、ゼラチン及びゼイン)、耕作ガム(gum arable)、及びセラックであることができる。接着剤は、天然に存在しない化合物、例えば、ポリマー、コポリマー、及び蝋状物質であることができる。例えば、接着剤として使用することができるポリマーの非限定的な例には、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、エチレンビニルアセテート(EVA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、セルロース(例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース)、ポリビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデンコポリマー、リグノスルホン酸カルシウム、アクリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、ポリエチレンオキシド、アシルアミドポリマー及びコポリマー、ポリヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリルアミドモノマー、及びポリクロロプレンが挙げられる。
いくつかの例では、接着剤、抗真菌剤、成長調節剤、及び殺虫剤(例えば、殺昆虫剤)のうちの1つ以上は、天然に存在しない化合物(例えば、任意の組み合わせ)である。農業上許容される担体の追加の例には、分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルPVPIVA S-630)、界面活性剤、結合剤、及び充填剤が挙げられる。
製剤はまた界面活性剤も含有することができる。界面活性剤の非限定的な例にはPrefer28(Cenex)、Surf-N(US)、Inhance(Brandt)、P-28(WilfARm)、及びPatrol(Helena)のような窒素-界面活性剤ブレンドが挙げられ;エステル化種子油にはSun-It II(AmCy)、MSO(UAP)、Scoil(AGsco)、Hasten(Wilfarm)、及びMes-100(Drexel)が挙げられ;ならびに有機シリコーン界面活性剤にはSilwetL77(UAP)、Silikin(Terra)、Dyne-Amic(Helena)、Kinetic(Helena)、Sylgard309(Wilbur-Ellis)、及びCentury(Precision)が挙げられる。一実施形態では、界面活性剤は0.01%v/v~10%v/vの間の濃度で存在する。別の実施形態では、界面活性剤は0.1%v/v~1%v/vの間の濃度で存在する。
場合によっては、製剤には微生物安定剤が含まれる。そのような薬剤は、乾燥剤を含むことができ、それは、化合物(単数)または化合物(複数)が実際に液体接種剤に乾燥効果を有するような濃度で使用されるかどうかに関係なく、乾燥剤として分類され得る任意の化合物または化合物の混合物を含むことができる。そのような乾燥剤は理想的には、使用される細菌集団と適合性があり、種子への適用を生き残り、乾燥を生き残る微生物集団の能力を促進するはずである。好適な乾燥剤の例には、トレハロース、スクロース、グリセロール、及びメチレングリコールのうちの1つ以上が挙げられる。他の好適な乾燥剤には、非還元糖及び糖アルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)が挙げられるが、これらに限定されない。製剤に導入される乾燥剤の量は、重量/体積で約5%~約50%、例えば、約10%~約40%の間、約15%~約35%の間、または約20%~約30%の間の範囲であることができる。場合によっては、製剤にとって、殺真菌剤、抗菌剤、除草剤、殺線虫剤、殺昆虫剤、植物成長調整剤、殺鼠剤、殺菌剤、または栄養素のような薬剤を含有することが有利である。いくつかの例では、薬剤は種子表面由来の病原体に対する保護を提供する保護剤を含むことができる。いくつかの例では、保護剤は土壌伝染性病原体のある程度の制御を提供することができる。いくつかの例では、保護剤は主に種子表面に効果的であることができる。
いくつかの例では、殺真菌剤は、化学的であろうと生物学的であろうと、真菌の増殖を阻害することができる、または真菌を殺傷することができる化合物または薬剤を含むことができる。いくつかの例では、殺真菌剤は、静真菌性または殺真菌性であることができる化合物を含むことができる。いくつかの例では、殺真菌剤は、主に種子表面に対して効果的である保護剤、または薬剤であり、種子表面由来の病原体に対する保護を提供し、且つ土壌伝染性病原体のある程度の制御を提供することができる。保護剤殺真菌剤の非限定的な例には、キャプタン、マネブ、チラム、またはフルジオキソニルが挙げられる。
いくつかの例では、殺真菌剤は浸透性の殺真菌剤であることができ、それは、出現する実生に吸収され、宿主植物組織内の真菌を抑制するまたは殺傷することができる。種子処理に使用される浸透性殺真菌剤には、以下:アゾキシストロビン、カルボキシン、メフェノキサム、メタラキシル、チアベンダゾール、トリフロキシストロビン、ならびにジフェノコナゾール、イプコナゾール、テブコナゾール、及びトリチコナゾールを含む種々のトリアゾール殺真菌剤が挙げられるが、これらに限定されない。メフェノキサム及びメタラキシルは、主として水カビ真菌であるフィチウム属(Pythium)及びフィトフトラ属(Phytophthora)を標的にするのに使用される。病原性真菌種の感受性の微妙な差異のために、または殺真菌剤の分布もしくは植物の感受性の差異のために、いくつかの殺真菌剤は植物種に応じて他のものよりも好まれる。いくつかの例では、殺真菌剤は細菌または真菌のような生物的防除剤であることができる。そのような有機体は、病原性真菌に寄生性であることができるか、または、真菌を殺傷する、さもなければ真菌の増殖を妨げることができるある毒素または他の物質を分泌することができる。あらゆる種類の殺真菌剤、特に植物に一般的に使用されているものは種子組成物にて防除剤として使用することができる。
いくつかの例では、種子コーティング組成物は抗菌特性を有する防除剤を含む。一実施形態では、抗菌特性を持つ防除剤は本明細書の他の場所に記載されている化合物から選択される。別の実施形態では、化合物は、ストレプトマイシン、オキシテトラサイクリン、オキソリン酸、またはゲンタマイシンである。種子コーティング組成物の一部として使用することができる抗菌性化合物の他の例には、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミ型に基づくもの(ICIのProxel(登録商標)またはThor ChemieのActicide(登録商標)RS及びRohm & HaasのKathon(登録商標)MK25)、及びアルキルイソチアゾリノンやベンズイソチアゾリノンのようなイソチアゾリノン誘導体(ThorChemieのActicide(登録商標)MBS)が挙げられる。
いくつかの例では、成長調節剤はアブシジン酸、アミドクロル、アンシミドール、6-ベンジルアミノプリン、ブラシノリド、ブタラリン、クロルメコート(塩化クロルメコート)、塩化コリン、シクラニリド、ダミノジド、ジケグラク、ジメチピン、2,6-ジメチルプリジン、エセフォン、フルメトラリン、フルプリミドール、フルチアセット、フォルクロルフェヌロン、ジベレリン酸、イナベンフィド、インドール-3-酢酸、マレイン酸ヒドラジド、メフルイジド、メピコート(塩化メピコート)、ナフタレン酢酸、N-6-ベンジルアデニン、パクロブトラゾール、プロヘキサジオンホスホロトリチオエート、2,3,5-トリヨード安息香酸、トリネキサパックエチル及びウニコナゾールから成る群から選択される。成長調節剤の追加の限定的な例には、ブラシノステロイド、サイトカイニン(例えば、キネチン及びゼアチン)、オーキシン(例えば、インドリル酢酸及びインドリルアセチルアスパラギン酸)、フラボノイド及びイソフラバノイド(例えば、ホルモノネチン及びジオスメチン)、ファイトアイキシン(例えば、グリセオリン)、及びファイトアレキシン誘導性オリゴ糖(例えば、ペクチン、キチン、キトサン、ポリガラクロン酸、及びオリゴガラクツロン酸)、及びジベレリンが挙げられる。そのような薬剤は理想的には、製剤が適用される農業用の種子または実生と適合性である(例えば、それは植物の成長または健康に有害であってはならない)。さらに、薬剤は理想的には、ヒト、動物、または工業用途に安全性の懸念を引き起こさないものである(例えば、安全性の問題がない、または化合物が十分に不安定であるため、植物由来の商品植物製品はごくわずかな量の化合物を含有する)。
線虫拮抗生物防除剤のいくつかの例には、ARF18;30アルスロボトリス属(30Arthrobotrys)の種;ケトミウム属(Chaetomium)の種;シリンドロカルポン属(Cylindrocarpon)の種;エクソフィリア(Exophilia)の種;フサリウム属(Fusarium)の種;グリオクラジウム属(Gliocladium)の種;ヒルステラ属(Hirsutella)の種;レカニシリウム属(Lecanicillium)の種;モナクロスポリウム属(Monacrosporium)の種;ミロテシウム属(Myrothecium)の種;ネオコスモスポラ属(Neocosmospora)の種;ペシロマイセス属(Paecilomyces)の種;ポコニア属(Pochonia)の種;スタゴノスポラ属(Stagonospora)の種;小胞状アーバスキュラー菌根真菌(arbuscular mycorrhizal fungi)、バークホルデリア属の種;パスツリア属(Pasteuria)の種、ブレビバチルス属の種;シュードモナス属の種;及び根圏細菌(Rhizobacteria)が挙げられる。特に好ましい線虫拮抗生物防除剤には、ARF18、アルスロボトリス・オリゴスポラ(Arthrobotrys oligospora)、アルスロボトリス・ダクチコイデス(Arthrobotrys dactyloides)、ケトミウム・グロボサム(Chaetomium globosum)、シリンドロカルポン・ヘテロネマ(Cylindrocarpon heteronema)、エクソフィリア・ジェンセルメイ(Exophilia jeanselmei)、エクソフィリア・ピスシフィア(Exophilia pisciphila)、フサリウム・アスペルギルス(Fusarium aspergilus)、フサリウム・ソラニ(Fusarium solani)、グリオクラジウム・カテヌラタム(Gliocladium catenulatum)、グリオクラジウム・ロゼウム(Gliocladium roseum)、グリオクラジウム・ビクセンス(Gliocladium vixens)、ヒルステラ・ロッシリエンシス(Hirsutella rhossiliensis)、ヒルステラ・ミネソテンシス(Hirsutella minnesotensis)、レカニシリウム・レカニ(Lecanicillium lecanii)、モナクロスポリウム・ドレシュリ(Monacrosporium drechsleri)、モナクロスポリウム・ゲフィロパガム(Monacrosporium gephyropagum)、ミロテシウム・ベルカリア(Myrotehcium verrucaria)、ネオコスモスポラ・バシンフェクタ(Neocosmospora vasinfecta)、ペシロマイセス・リラシヌス(Paecilomyces lilacinus)、ポコニア・クラミドスポリア(Pochonia chlamydosporia)、スタゴノスポラ・ヘテロデラエ(Stagonospora heteroderae)、スタゴノスポラ・ファセオリ(Stagonospora phaseoli)、小胞状アーバスキュラー菌根真菌、バークホルデリア・セパシア、パスツリア・ペネトランス、パスツリア・ソルネイ(Pasteuria thornei)、パスツリア・ニシザワエ(Pasteuria nishizawae)、パスツリア・ラモサ(Pasteuria ramosa)、パストルエイア・ユーセージ(Pastrueia usage)、ブレビバチルス・ラテロスポルス菌株G4、シュードモナス・フルオレッセンス及び根圏細菌が挙げられる。
栄養素のいくつかの例は、尿素、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、非圧力窒素溶液、アクアアンモニア、無水アンモニア、チオ硫酸アンモニウム、イオウ被覆尿素、尿素-ホルムアルデヒド、IBDU、ポリマー被覆尿素、硝酸カルシウム、尿素形態、及びメチレン尿素を含むが、これらに限定されない窒素肥料、リン酸二アンモニウム、リン酸一アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、濃縮過リン酸石灰及び三重過リン酸石灰のようなリン肥料、ならびに塩化カリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム-カリウム、硝酸カリウムのようなカリウム肥料から成る群から選択することができる。そのような組成物は、種皮組成物内に遊離の塩またはイオンとして存在することができる。あるいは、栄養素/肥料は複合体化されてまたはキレート化されて、長期にわたる持続放出を提供することができる。
殺鼠剤のいくつかの例には、2-イソバレリンダン-1,3-ジオン、4-(キノキサリン-2-イルアミノ)ベンゼンスルホンアミド、α-クロロヒドリン、リン化アルミニウム、アンツ、酸化ヒ素、炭酸バリウム、ビスチオセミ、ブロジファクム、ブロマジオロン、ブロメタリン、シアン化カルシウム、クロラロース、クロロファシノン、コレカルシフェロール、クマクロル、クマフリル、クマテトラリル、クリミジン、ジフェナクム、ジフェチアロン、ジファシノン、エルゴカルシフェロール、フロクマフェン、フルオロアセトアミド、フルプロパジン、フルプロパジン塩酸塩、シアン化水素、ヨードメタン、リンダン、リン化マグネシウム、臭化メチル、ノルボルミド、ホスファセチム、ホスフィン、リン、ピンドン、亜ヒ酸カリウム、ピリヌロン、シリロシド、亜ヒ酸ナトリウム、シアン化ナトリウム、フルオロ酢酸ナトリウム、ストリクニン、硫酸タリウム、ワルファリン及びリン化亜鉛から成る物質の群から選択されるものを挙げることができる。
液体形態、例えば、溶液または懸濁液では、細菌集団は、水または水溶液中で混合または懸濁することができる。好適な液体の希釈剤または担体には、水、水溶液、石油留分、または他の液体担体が挙げられる。
固体組成物は、泥炭、コムギ、糠、バーミキュライト、粘土、タルク、ベントナイト、珪藻土、フラー土、低温殺菌土壌などのような適切に分割された固体担体内及びその上に細菌集団を分散させることによって調製することができる。そのような製剤が水和剤として使用される場合、非イオン性、陰イオン性、両性、または陽イオン性の分散剤及び乳化剤のような生物学的に適合性のある分散剤を使用することができる。
製剤化の際に使用される固体担体には、例えば、カオリン粘土、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、珪藻土、酸性白土、バーミキュライト、及びパーライトのような鉱物担体、ならびに硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素、塩化アンモニウム、及び炭酸カルシウムのような無機塩が挙げられる。また、コムギ粉、コムギ糠、イネ糠のような有機微粉末も使用することができる。液体担体には、ダイズ油及び綿実油のような植物油、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。
作物への細菌集団の適用
本明細書に記載されている細菌または細菌集団の組成物は畝間にて、タルク粉にて、または種子処理として適用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている細菌または細菌集団の組成物は植物に間接的に適用することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている細菌または細菌集団の組成物は側方施肥として適用することができる。細菌または細菌集団を間接的に及び/または側方施肥として適用することは、細菌または細菌集団を植物の側面に沿って浅い畝間もしくは帯に、または植物の周りの円の中に適用することを含むことができる。組成物または細菌集団は、バルク、ミニバルク、バッグ、またはタルクにおける種子用包装体に適用することができる。
本明細書に記載されている細菌または細菌集団の組成物は、植物種子が植えられた後、収穫前に適用することができる。例えば、組成物または細菌集団は、発芽後2~8ヵ月、1~3ヵ月、及び発芽後3~6ヵ月の間を含む、発芽後1~8ヵ月の間に適用することができる。
プランターは、処理された種子を植えて、従来の方法、2列、または耕運を必要としない方法に従って作物を栽培することができる。種子は制御ホッパーまたは個別のホッパーを使用して分配することができる。種子は、圧縮空気を使用して、または手動で分配することもできる。種子の配置は可変速度技術を使用して実行することができる。さらに、本明細書に記載されている細菌または細菌集団の適用は可変速度技術を使用して適用することができる。いくつかの例では、細菌は、トウモロコシ、ダイズ、キャノーラ、ソルガム、ジャガイモ、イネ、野菜、穀物、擬穀類、及び油糧種子の種子に適用することができる。穀物の例には、オオムギ、フォニオ、オートムギ、パーマーズグラス、ライムギ、トウジンビエ、ソルガム、スペルトコムギ、テフ、ライコムギ、及びコムギを挙げることができる。擬穀類の例としては、パンナッツ、ソバ、ガマ、チア、亜麻、アマランサス、ハンザ、キヌア、及びゴマを挙げることができる。いくつかの例では、種子は、遺伝子改変生物(GMO)、非GMO、有機または従来のものであることができる。
作物を処理するために、マイクロ肥料、PGR、除草剤、殺虫剤、及び殺真菌剤のような添加剤を追加で使用することができる。添加剤の例には、殺虫剤、殺線虫剤、殺真菌剤のような作物保護剤、着色剤、ポリマー、ペレット化剤、プライミング剤、及び消毒剤のような増強剤、ならびに接種剤、PGR、柔軟剤、及び微量栄養素のような他の薬剤が挙げられる。PGRは、根の成長、開花、または茎の伸長に影響を与える天然または合成の植物ホルモンであることができる。PGRには、オーキシン、ジベレリン、サイトカイニン、エチレン、及びアブシジン酸(ABA)が挙げられる。
前記組成物は、液体肥料と組み合わせて畝間で適用することができる。いくつかの例では、液体肥料はタンクに保持することができる。NPK肥料はナトリウム、リン、カリウムの主要栄養素を含有する。
前記組成物は、植物の成長を促進すること、葉のクロロフィル含量を高く維持すること、果実または種子の数を増やすこと、果実または種子の単位重量を増やすことのような植物の形質を改善することができる。本開示の方法を採用して、種々の望ましい形質のうちの1つ以上を導入する、または改善することができる。導入するまたは改善することができる形質の例には、根のバイオマス、根の長さ、高さ、新芽の長さ、葉の数、水利用効率、全体的なバイオマス、収量、果実のサイズ、粒のサイズ、光合成速度、干ばつに対する耐性、耐熱性、耐塩性、低窒素ストレスに対する耐性、窒素の利用効率、線虫ストレスに対する耐性、真菌病原体に対する耐性、細菌性病原体に対する耐性、ウイルス性病原体に対する耐性、代謝産物のレベル、代謝産物のレベルの調節、プロテオーム発現が挙げられる。高さ、全体的なバイオマス、根及び/または新芽のバイオマス、種子発芽、実生の生存、光合成効率、蒸散速度、種子/果実の数または質量、植物の粒または果実の収量、葉のクロロフィル含量、光合成速度、根の長さ、またはそれらの任意の組み合わせを含む望ましい形質を使用して、成長を測定し、同一条件下で栽培された参照農業植物(例えば、形質が導入されていない及び/または改善されていない植物)の成長速度と比較することができる。高さ、全体的なバイオマス、根及び/または新芽のバイオマス、種子発芽、実生の生存、光合成効率、蒸散速度、種子/果実の数または質量、植物の粒または果実の収量、葉のクロロフィル含量、光合成速度、根の長さ、またはそれらの任意の組み合わせを含む望ましい形質を使用して、成長を測定し、類似の条件下で栽培された参照農業植物(例えば、形質が導入されていない及び/または改善されていない植物)の成長速度と比較することができる。
宿主植物に対する農業形質には、前記種子処理製剤を含まない同質遺伝子系統の種子の成長と比べた以下:油含量の変化、タンパク質含量の変化、種子炭水化物組成の変化、種子油組成の変化、及び種子タンパク質組成の変化、化学的耐性、耐寒性、遅延老化、耐病性、干ばつ耐性、穂の重量、成長の改善、健康増進、耐熱性、除草剤耐性、草食動物耐性の改善された窒素固定、改善された窒素利用、改善された根の構造、改善された水利用効率、バイオマスの増大、根の長さの増加、種子重量の増加、シュート長の増加、収量の増加、水が制限された条件下での収量の増加、穀粒の質量、穀粒の含水量、金属耐性、穂の数、穂あたりの穀粒の数、鞘の数、栄養強化、病原体耐性、害虫抵抗性、光合成能力の向上、耐塩性、緑葉維持、活力の向上、成熟種子の乾燥重量の増加、成熟種子の新鮮重量の増加、植物あたりの成熟種子の数の増加、クロロフィル含量の増加、植物あたりの鞘の数の増加、植物あたりの鞘の長さの増加、植物あたりのしおれた葉の数の減少、植物あたりの重度にしおれた葉の数の減少、及び植物あたりのしおれていない葉の数の増加、代謝産物のレベルの検出可能な調節、転写物のレベルの検出可能な調節、及びプロテオームの検出可能な調節を挙げることができるが、これらに限定されない。
場合によっては、植物は接種された植物の植物要素と同じ種の植物から単離されている細菌または細菌集団を接種される。例えば、ある種類のゼア・メイズ(Zea mays)(トウモロコシ)に通常見られる細菌または細菌集団は、その自然の状態では前記細菌及び細菌集団を欠いている別の種類のゼア・メイズの植物の植物要素に関連している。一実施形態では、細菌及び細菌集団は、接種された植物の植物要素としての関連する種の植物の植物に由来する。例えば、ゼア・ディプロペレンニス・イルティス(Zea diploperennis Iltis)他、(ディプロペレニアル・テオシンテ(diploperennial teosinte))に通常見られる細菌及び細菌集団は、ゼア・メイズ(トウモロコシ)に適用され、その逆も同様である。場合によっては、植物には、接種された植物の植物要素とは異種である細菌及び細菌集団が接種される。一実施形態では、細菌及び細菌集団は別の種の植物に由来する。例えば、双子葉植物に通常見られる細菌及び細菌集団は、単子葉植物に適用され(例えば、トウモロコシにダイズ由来の細菌及び細菌集団を接種する)、またはその逆も同様である。他の場合には、植物に接種される細菌及び細菌集団は接種されている植物の関連種に由来する。一実施形態では、細菌及び細菌集団は関連する分類群、例えば、関連する種に由来する。別の種の植物は農業用植物であることができる。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、任意の宿主植物要素に接種されるように設計された組成物の一部である。
いくつかの例では、細菌または細菌集団は外因性であり、細菌及び細菌集団は接種された植物とは異なる植物から単離される。例えば、一実施形態では、細菌または細菌集団は接種された植物と同じ種の異なる植物から単離することができる。場合によっては、細菌または細菌集団は接種された植物に関連する種から単離することができる。
いくつかの例では、本明細書に記載されている細菌及び細菌集団はある組織型から別の組織型に移動することができる。例えば、種子の外部にコーティングした後の植物の成熟組織内の細菌及び細菌集団の本発明の検出及び単離は、種子外部から成熟植物の栄養組織に移動するそれらの能力を実証する。したがって、一実施形態では、細菌の集団及び細菌集団は種子の外部から植物の栄養組織に移動することができる。一実施形態では、植物の種子上にコーティングされた細菌及び細菌集団は、種子が植物状態に発芽すると、植物の異なる組織に局在化することができる。例えば、細菌及び細菌集団は、根、不定根、種子5根、根毛、新芽、葉、花、芽、房、分裂組織、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、果実、芽茎、根茎、小結節、塊茎、毛状突起、孔辺細胞、排水組織、花弁、がく片、包頴、葉軸、維管束形成層、師部、及び木部を含む、植物内の組織のいずれか1つに局在化することができる。一実施形態では、細菌及び細菌集団は植物の根及び/または根毛に局在化することができる。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は光合成組織、例えば、植物の葉及び新芽に局在化することができる。他の場合では、細菌及び細菌集団は、例えば、木部及び師部において植物の維管束組織に局在化する。さらに別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の生殖組織(花、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、果実)に局在化することができる。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は、植物の根、新芽、葉及び生殖組織に局在化することができる。さらに別の実施形態では、細菌及び細菌集団は植物の果実または種子の組織にコロニーを形成する。さらに別の実施形態では、細菌及び細菌集団は植物の表面に存在するように(すなわち、その存在が植物の外部または植物のエピスフィアに検出可能に存在するように)植物にコロニー形成することができる。さらに他の実施形態では、細菌及び細菌集団は植物の実質的にすべて、またはすべての組織に局在化することができる。いくつかの実施形態では、細菌及び細菌集団は植物の根に局在化しない。他の場合では、細菌及び細菌集団は植物の光合成組織に局在化しない。
前記組成物の有効性は、作物または作物加熱ユニット(CHU)の相対的な成熟度を測定することによって評価することもできる。例えば、細菌集団をトウモロコシに適用することができ、トウモロコシの成長は、トウモロコシ穀粒の相対的な成熟度またはトウモロコシ穀粒が最大重量になる時に従って評価することができる。作物加熱ユニット(CHU)はトウモロコシ作物の成熟を予測するのにも使用することができる。CHUは、作物の成長における1日の最高気温を測定することによって熱の蓄積量を決定する。
複数の例では、細菌は根、不定根、種子根、根毛、新芽、葉、花、芽、房、分裂組織、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、果実、芽茎、根茎、小結節、塊茎、毛状突起、孔辺細胞、排水組織、花弁、がく片、包頴、葉軸、維管束形成層、師部、及び木部を含む、植物内の組織のいずれか1つに局在化することができる。別の実施形態では、細菌または細菌集団は光合成組織、例えば、植物の葉及び新芽に局在化することができる。他の場合では、細菌及び細菌集団は、例えば、木部及び師部において植物の維管束組織に局在化する。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は植物の生殖組織(花、花粉、雌しべ、子房、雄しべ、または果実)に局在化することができる。別の実施形態では、細菌及び細菌集団は植物の根、新芽、葉及び生殖組織に局在化することができる。別の実施形態では、細菌または細菌集団は植物の果実または種子の組織にコロニー形成する。さらに別の実施形態では、細菌または細菌集団は植物の表面に存在するように植物にコロニー形成することができる。別の実施形態では、細菌または細菌集団は植物の実質的にすべて、またはすべての組織に局在化することができる。いくつかの実施形態では、細菌または細菌集団は植物の根に局在化しない。他の場合では、細菌及び細菌集団は植物の光合成組織に局在化しない。
作物に適用される細菌組成物の有効性は、植え付け速度、播種活力、根の強さ、干ばつ耐性、草丈、乾燥、及び試験重量を含むが、これらに限定されない作物成長の種々の特徴を測定することによって評価することができる。
植物種
本明細書に記載されている方法及び細菌は、ホルデウム(Hordeum)属、オリザ(Oryza)属、ゼア(Zea)属、及びトリティセアエ(Triticeae)属の植物のような種々の植物のいずれにも好適である。好適な植物の他の非限定的な例には、コケ、地衣類、及び藻類が挙げられる。場合によっては、植物は食用作物、繊維作物、油料作物、林業または紙パルプ産業の植物、バイオ燃料生産の原料及び/または観賞植物のように経済的、社会的及び/または環境的な価値を有する。いくつかの例では、植物を使用して穀物、コムギ粉、デンプン、シロップ、食事、油、フィルム、包装物、栄養補助食品、パルプ、動物飼料、魚の飼料、工業用化学薬品のバルク材料、穀物製品、ヒトの食品の加工製品、糖、アルコール、及び/またはタンパク質のような経済的に価値がある製品を生産することができる。作物の非限定的な例には、トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ソルガム、キビ、オートムギ、ライコムギ、ソバ、スイートコーン、サトウキビ、タマネギ、トマト、イチゴ、及びアスパラガスが挙げられる。
いくつかの例では、本明細書に開示されている方法及び組成物を使用して取得するまたは改善することができる植物には、農業、園芸、バイオ燃料分子及び他の化学物質の生産のためのバイオマス、及び/または林業にとって重要であるまたは興味深い植物を挙げることができる。これらの植物のいくつかの例には、パイナップル、バナナ、ココナッツ、ユリ、グラスピー、アルファルファ、トマティージョ、メロン、ヒヨコマメ、チコリ、クローバー、ケール、ヒラマメ、ダイズ、タバコ、ジャガイモ、サツマイモ、ダイコン、キャベツ、ナタネ、リンゴの木、ブドウ、ワタ、ヒマワリ、シロイヌナズナ、キャノーラ、柑橘類(オレンジ、マンダリン、キンカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、タンジェリン、タンジェロ、シトロン及びザボンを含む)、コショウ、マメ、レタス、パニクム・ウィルガツム(Panicum virgatum)(スイッチグラス)、モロコシ(Sorghum bicolor)(ソルガム、スーダン)、ジャイアントミスカンサス(Miscanthus giganteus)(ミスカンサス)、サッカルム属(Saccharum)の種(エネルギーケイン)、バルサムポプラ(Populus balsamifera)(ポプラ)、ゼア・メイズ(トウモロコシ)、グリシン・マックス(Glycine max)(ダイズ)、セイヨウアブラナ(Brassica napus)(キャノーラ)、トリーティクム・アエスティウム(Triticum aestivum)(コムギ)、ゴシピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum)(ワタ)、オリザ・サティバ(Oryza sativa)(イネ)、ヒグルマ(Helianthus annuus)(ヒマワリ)、ムラサキウマゴヤシ(Medicago sativa)(アルファルファ)、サトウダイコン(Beta vulgaris)(シュガービート)、ペニセタム・グラウカム(Pennisetum glaucum)(トウジンビエ)、パニクム属(Panicum)の種、ソルガム属(Sorghum)の種、ススキ属(Miscanthus)の種、サッカルム属の種、エリアンツス属(Erianthus)の種、ポプラ属(Populus)の種、セカレ・ケレアレ(Secale cereale)(ライムギ)、サリクス属(Salix)の種(ヤナギ)、ユーカリ属(Eucalyptus)の種(ユーカリ)、トリチコセカレ属(Triticosecale)の種(コムギ属(Triticum)-25コムギ×ライムギ)、タケ、カルタムス・ティンクトリウス(Carthamus tinctorius)(ベニバナ)、南洋アブラギリ(Jatropha curcas)(ジャトロファ属(Jatropha))、ヒマシ(Ricinus communis)(トウゴマ)、ギニアアブラヤシ(Elaeis guineensis)(油ヤシ)、フェニックス・ダクチリフェラ(Phoenix dactylifera)(ナツメヤシ)、アーコントフェニックス・クニングハミアナ(Archontophoenix cunninghamiana)(ユスラヤシ)、シアグルス・ロマンゾフィアナ(Syagrus romanzoffiana)(女王ヤシ)、リナム・ウシタティシマム(Linum usitatissimum)(アマ)、セイヨウカラシナ(Brassica juncea)、キャッサバ(Manihot esculenta)(カッサヤ)、アカナス(Lycopersicon esculentum)(トマト)、ラクツカ・サリバ(Lactuca saliva)(レタス)、ムサ・パラディシアカ(Musa paradisiaca)(バナナ)、バレイショ(Solanum tuberosum)(ジャガイモ)、ブラッシカ・オレラセア(Brassica oleracea)(ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ)、チャノキ(Camellia sinensis)(茶)、フラガリア・アナナッサ(Fragaria ananassa)(イチゴ)、カカオ(Theobroma cacao)(ココア)、コーヒーノキ(Coffea arabica)(コーヒー)、ビティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)(ブドウ)、アナナス・コモサス(Ananas comosus)(パイナップル)、カプシカム・アンヌム(Capsicum annum)(トウガラシ&パブリカ)、アリウム・セパ(Allium cepa)(タマネギ)、ククミス・メロ(Cucumis melo)(メロン)、ククミス・サティバス(Cucumis sativus)(キュウリ)、セイヨウカボチャ(Cucurbita maxima)(カボチャ)、トウナス(Cucurbita moschata)(カボチャ)、スピナセア・オレセア(Spinacea oleracea)(ホウレンソウ)、キトルルス・ラナタス(Citrullus lanatus)(スイカ)、アベルモスカス・エスクレンタス(Abelmoschus esculentus)(オクラ)、ナスビ(Solanum melongena)(ナス)、パパベル・ソムニフェラム(Papaver somniferum)(ケシ)、パパベル・オリエンタレ(Papaver orientale)、セイヨウイチイ(Taxus baccata)、タイヘイヨウイチイ(Taxus brevifolia)、クソニンジン(Artemisia annua)、アサ(Cannabis saliva)、カンプトテカ・アクミナタ(Camptotheca acuminate)、ニチニチソウ(Catharanthus roseus)、ビンカ・ロゼア(Vinca rosea)、シンコナ・オフィシナリス(Cinchona officinalis)、コイチカム・オウタムナレ(Coichicum autumnale)、ベラトルム・カリフォルニカ(Veratrum californica)、ジギタリス・ラナタ(Digitalis lanata)、ジギタリス・プルプレア(Digitalis purpurea)、ヤマイモ属(Dioscorea)5種、アンドログラフィス・パニクラタ(Andrographis paniculata)、ベラドンナ(Atropa belladonna)、チョウセンアサガオ(Datura stomonium)、ベルベリス属(Berberis)の種、イヌガヤ属(Cephalotaxus)の種、シナマオウ(Ephedra sinica)、マオウ属(Ephedra)の種、コカノキ(Erythroxylum coca)、ガランツス・ワーノリイ(Galanthus wornorii)、ハシリドコロ属(Scopolia)の種、リコポディウム・セラタム(Lycopodium serratum)(トウゲシバ(Huperzia serrata))、リコポディウム属(Lycopodium)の種、インド蛇木(Rauwolfia serpentina)、ラウオルフィア属(Rauwolfia)の種、サングイナリア・カナデンシス(Sanguinaria canadensis)、ヒヨス属(Hyoscyamus)の種、トウキンセンカ(Calendula officinalis)、クリサンセマム・パルセニウム(Chrysanthemum parthenium)、コリウス・フォルスコーリイ(Coleus forskohlii)、ナツシロギク(Tanacetum parthenium)、グアユールゴムノキ(Parthenium argentatum)(グアユールゴム)、パラゴムノキ属(Hevea)の種(ゴム)、スペアミント(Mentha spicata)(ミント)、セイヨウハッカ(Mentha piperita)(ミント)、ベニノキ(Bixa orellana)、ユリズイセン属(Alstroemeria)の種、バラ属(Rosa)の種(バラ)、オランダナデシコ(Dianthus caryophyllus)(カーネーション)、ペチュニア属(Petunia)の種(ペチュニア)、ポインセチア・パルチェリマ(Poinsettia pulcherrima)(ポインセチア)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)(タバコ)、シロバナハウチワマメ(Lupinus albus)(ルピン)、ユニオラ・パニクラタ(Uniola paniculata)(オートムギ)、ホルデウム・バルガレ(Hordeum vulgare)(オオムギ)、及びドクムギ属(Lolium)の種(ライムギ)を挙げることができる。
いくつかの例では、単子葉植物を使用することができる。単子葉植物は、アオモダカ目(Alismatales)、サトイモ木(Arales)、ヤシ目(Arecales)、パイナップル目(Bromeliales)、ツユクサ目(Commelinales)、パナマソウ目(Cyclanthales)、カヤツリグサ目(Cyperales)、ホシクサ目(Eriocaulales)、トチカガミ目(Hydrocharitales)、イグサ目(Juncales)、ユリ目(Lilliales)、イバラモ目(Najadales)、ラン目(Orchidales)、タコノキ目(Pandanales)、イネ目(Poales)、レスティオナ目(Restionales)、ホンゴウソウ目(Triuridales)、ガマ目(Typhales)、及びショウガ目(Zingiberales)の目に属する。裸子植物のクラスに属する植物は、ソテツ目(Cycadales)、イチョウ目(Ginkgoales)、グネツム目(Gnetales)、及びマツ目(Pinales)である。いくつかの例では、単子葉植物は、トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、及びサトウキビから成る群から選択することができる。
いくつかの例では、ウマノスズクサ目(Aristochiales)、キク目(Asterales)、バデス目(Batales)、キキョウ目(Campanulales)、フウチョウソウ目(Capparales)、ナデシコ目(Caryophyllales)、モクマオウ目(Casuarinales)、ニシキギ目(Celastrales)、ミズキ目(Cornales)、イワウメ目(Diapensales)、ビワモドキ目(Dilleniales)、マツムシソウ目(Dipsacales)、カキノキ目(Ebenales)、ツツジ目(Ericales)、トチュウ目(Eucomiales)、トウダイグサ目(Euphorbiales)、マメ目(Fabales)、ブナ目(Fagales)、リンドウ目(Gentianales)、フウロソウ目(Geraniales)、アリノトウグサ目(Haloragales)、マンサク目(Hamamelidales)、ミド目(Middles)、クルミ目(Juglandales)、シソ目(Lamiales)、クスノキ目(Laurales)、サガリバナ目(Lecythidales)、レイトネリア目(Leitneriales)、モクレン目(Magniolales)、アオイ目(Malvales)、ヤマモモ目(Myricales)、フトモモ目(Myrtales)、スイレン目(Nymphaeales)、ケシ目(Papeverales、コショウ目(Piperales)、オオバコ目(Plantaginales)、イソマツ目(Plumb aginales)、カワゴケソウ目(Podostemales)、ハナシノブ目(Polemoniales)、ヒメハギ目(Polygalales)、タデ目(Polygonales)、サクラソウ目(Primulales)、ヤマモガシ目(Proteales)、ラフレシア目(Rafflesiales)、キンポウゲ目(Ranunculales)、クロウメモドキ目(Rhamnales)、バラ目(Rosales)、アカネ目(Rubiales)、ヤナギ目(Salicales)、ビャクダン目(Santales)、ムクロジ目(Sapindales)、サラセニア目(Sarraceniaceae)、ゴマノハグサ目(Scrophulariales)、ツバキ目(Theales)、ヤマグルマ目(Trochodendrales)、セリ目(Umbellales)、イラクサ目(Urticales)、及びスミレ目(Violates)の目に属するものを含む双子葉植物を使用することができる。いくつかの例では、双子葉植物はワタ、ダイズ、コショウ、及びトマトから成る群から選択することができる。
場合によっては、改善される植物は実験条件に容易に従わない。例えば、作物は、複数の反復にわたって連続的に改善された形質を実際に評価するのに十分に成長するには時間がかかりすぎる可能性がある。したがって、細菌が最初に単離される最初の植物は、及び/または遺伝子操作された細菌が適用される複数の植物は、所望の条件下での評価にさらに適する植物のようなモデル植物であることができる。モデル植物の非限定的な例には、セタリア属、ヤマカモジグサ属(Brachypodium)、及びアラビドプシス(Arabidopsis)が挙げられる。モデル植物を使用して本開示の方法に従って単離された細菌の能力を次いで、別の種類の植物(例えば、作物)に適用して、改善された形質の付与を確認することができる。
本明細書に開示されている方法によって改善されてもよい形質には、例えば、成長速度、高さ、重量、色、味、匂い、及び植物による1つ以上の化合物(例えば、代謝産物、タンパク質、薬物、炭水化物、油、及びその他の化合物を含む)の生成の変化を含む、植物の任意の観察可能な特徴が挙げられる。遺伝子型情報に基づいて植物を選択することも想定されている(例えば、細菌に応答した植物遺伝子発現のパターン、または窒素固定の増大に関連するもののような遺伝子マーカーの存在を特定することを含む)。植物はまた、特定の特徴または形質(例えば、望ましい特徴または形質)の存在に対立するものとして、特定の特徴または形質(例えば、望ましくない特徴または形質)の欠如、抑制または阻害に基づいて選択されてもよい。
本明細書で提供されている実施例は、細菌の単離、細菌及び植物の分析、ならびに植物の形質の改善の方法を説明している。これらの実施例は、単に説明の目的のためであり、いかなる方法でも限定するものとして解釈されるべきではない。
実施例1:植物組織からの微生物の単離
表土は、中央カリフォルニアの種々の農業地域から入手した。重い粘土、泥炭質粘土ローム、シルト質粘土、及び砂質ロームを含む、さまざまな質感特性を持つ20の土壌を収集した。種々の飼料用トウモロコシ、スイートコーン、伝統的なトウモロコシ及びトマトの種子を表1に示すように各土壌に植えた。
(表1)多様な特性を持つ土壌に植えられた作物の種類及び品種
Figure 2022529531000001
2~4週間の栽培後、植物を根こそぎ引き抜き、根の表面の余分な土壌を脱イオン水で取り除いた。土壌の除去に続いて、植物を漂白剤で表面滅菌し、滅菌水で激しくすすいだ。洗浄した1cmの根の部分を植物から切除し、3mmのスチールビーズを含有するリン酸緩衝生理食塩水に入れた。Qiagen TissueLyser IIで溶液を激しく振とうすることによってスラリーを生成した。
根及び生理食塩水スラリーを希釈し、種々の種類の成長培地に接種して根圏菌、内部寄生菌、着生菌、及び他の植物関連微生物を単離した。R2A及びNfb寒天培地を使用して単一コロニーを取得し、半固体のNfb培地斜面を使用して窒素固定細菌の集団を取得した。半固体Nfb培地斜面での2~4週間のインキュベート後、微生物集団を回収し、画線を作って図1A~Bに示すようにR2A寒天上で単一コロニーを得た。単一コロニーをR2Aとグリセロールの混合物に再懸濁し、PCR分析に供し、後で分析するために-80℃で凍結した。およそ1,000個の単一コロニーが得られ、「単離された微生物」と名付けた。
次に、単離菌をコロニーPCRスクリーニングに供して、ジアゾ栄養生物を同定するためにnifH遺伝子の存在を検出した。選別で90%を超えるジアゾ栄養生物を検出することが示されている、前述のプライマーセットUeda19F/388Rを使用して各単離菌におけるnifクラスターの存在を探索した(Ueda et al.1995;J.Bacteriol.177:1414-1417)。精製された単離菌の単一コロニーを選び、PBSに再懸濁し、図2に示すようにコロニーPCRのテンプレートとして使用した。陽性のPCRバンドを示した単離菌のコロニーを再び画線分析し、コロニーPCR及び再画線分析プロセスを2回繰り返して、ジアゾ栄養生物の偽陽性の同定を防いだ。その後、精製された単離菌を「候補微生物」と名付けた。
実施例2:単離された微生物の特徴
配列決定、分析、及び系統発生的な特徴
515f-806rプライマーセットと共に16SrDNAの配列決定を使用して、単離された微生物及び候補微生物の予備的な系統発生的同一性を生成した(例えば、Vernon et al.;BMC Microbiol.2002,Dec,23;2:39を参照のこと)表2に示すように、微生物は、エンテロバクター属、バークホルデリア属、クレブシエラ属、ブラディリゾビウム属、ラーネラ属、キサントモナス属、ラウルテラ属(Raoultella)、パントエア属、シュードモナス属、ブレブンディモナス属、アグロバクテリウム属、及びパエニバチルス属を含む多様な属を含む。
(表2)16S rDNAディープシークエンシングによって決定された、トマト植物から単離された微生物の多様性
Figure 2022529531000002
続いて、Illumina Miseqプラットフォームを使用して39個の候補微生物のゲノムの配列を決定した。QIAmp DNAミニキット(QIAGEN)を用いて純粋な培養物からのゲノムDNAを抽出し、第三者の供給業者(SeqMatic,Hayward)を介して配列決定用の全DNAライブラリを調製した。次に、A5パイプライン(Tritt et al.2012;PLoS One7(9):e42304)を介してゲノムアセンブリを実行した。遺伝子を同定し、注釈を付け、窒素固定の調節と発現に関連する遺伝子を突然変異誘発の標的として言及した。
CI137及びCI1021と呼ばれる2つの微生物基本株を同定し、窒素取り込みに対する種々の遺伝子変異の影響をさらに調べるために使用する。CI137はWT K.バリイコーラを表し、CI1021はWT コサコニア・シュードサッカリ(Kosakonia pseudosacchari)を表す。
実施例3:候補微生物の突然変異誘発
Cas9選択によるラムダレッド突然変異誘発
候補微生物の突然変異型は、CRISPR-Casによる選択を伴うラムダレッド突然変異誘発によって生成した。ノックアウトカセットは、転写プロファイリングを介して特定した内在性プロモーターと欠失標的に隣接する約250bpの相同領域とを含有した。候補微生物は、アラビノース誘導性プロモーターの制御下でのラムダレッド組換えシステム(エキソ、ベータ、ガム遺伝子)とIPTG誘導性プロモーターの制御下でのCas9とをコードするプラスミドで形質転換した。得られた形質転換体においてRed組換え及びCas9システムを誘導し、エレクトロポレーションのために菌株を調製した。続いて、ノックアウトカセットとプラスミドにコードされた選択gRNAでコンピテント細胞を形質転換した。候補株CI006におけるnifLの欠失及びnifオペロン転写を調節するプロモーターの置換の例示的な反応では、Cas9プラスミド及びgRNAプラスミドの双方に対して選択的な抗生物質をプレートに入れた後、図3に示すようにスクリーニングした10コロニーのうち7コロニーが意図されたノックアウト突然変異を示した。
このアプローチは同様に、CI137及びCI1021の基本株を改変して表3で同定された突然変異株を作り出すのにも適用された。
実施例4:候補分子のインビトロの表現型解析
種々の突然変異型におけるニトロゲナーゼの生合成及び活性に対する外因性窒素の影響を評価した。アセチレン還元アッセイ(ARA)(Temme et.al.2012;109(18):7085-7090)を使用して、純粋な培養条件でのニトロゲナーゼ活性を測定した。菌株を気密試験管で増殖させ、アセチレンのエチレンへの還元をAgilent6890ガスクロマトグラフで定量した。0または5mMリン酸アンモニウムを添加した窒素固定培地で増殖させた候補微生物及び対応する候補突然変異型のARA活性を図4A~B及び図6A~Bに示す。図4A~Bに示すように、gltA遺伝子の欠失を含有する菌株は対照株と比べて増大したARA活性を示した。図6A~Bに示すように、ptsH発現を調節するプロモーターの置換は対照株と比べて低下したARA活性をもたらした。
図4A~B及び6A~Bの菌株をアンモニウム排出(AMM)アッセイにも供し、このアッセイでは、窒素を含まない培地で細胞を培養し、細胞をペレット化し、無細胞ブロスにおける遊離のアンモニウムを測定することによって窒素固定条件にて経時的なアンモニア排出を測定し;さらに高いアンモニウム排出レベルは、さらに高い窒素の固定及び排出を示した。図5A~Bに示すように、gltAの欠失は対照と比べて、アンモニウム排出の速度の増加(図5B)及び総アンモニウム排出の増大(図5A)をもたらした。図7Bに示すように、ptsHプロモーターを変えることは対照株と比べてにアンモニウム排出速度の増加をもたらした。
実施例5:バイオフィルムの形成
バイオフィルムの形成は、関連する植物に提供される窒素の量に影響を与えることができる。植物の根におけるバイオフィルム形成の増大は、植物に提供される窒素の量を増やすことができる。
いくつかの遺伝子はバイオフィルム形成を調節することができる。例えば、smZはバイオフィルム調節の負の調節因子であることができる。smZが機能を低下するまたは排除するようなsmZの突然変異は細菌におけるバイオフィルム形成が増やすことができる。突然変異誘発を行って、窒素の排出及び固定の活性が増大した菌株のsmZを突然変異させ、細菌のsmZ突然変異型ライブラリを作り出すことができる。
一部のタンパク質はバイオフィルム形成を促進することができる。例えば、lapAを含む大きな接着タンパク質はバイオフィルム形成を促進することができる。ウエスタンブロットによって検出されるように、lapAの発現を調節する1つ以上のプロモーターが上方制御されてもよいので、さらに多くのlapAが産生される。バイオフィルム形成を変化させるために改変されてもよい追加の遺伝子にはpga、sdiA、fimA1-A4、wzxE、及びbolAが挙げられる。
改変株は溶原性緩衝液(LB)で増殖させ、実生によって土壌に接種されてもよい。実生、土壌、及び細菌株は、鉢、畑、屋内、または屋外に置くことができる。実生は春、夏、秋、または冬に植えることができる。空気は約0%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の湿度を有することができる。雨、霧、曇り、または晴れであってもよい。温度は約4℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、または45℃にすることができる。実生は夜明け、朝、正午、午後、夕暮れ、夕方、または夜に植えることができる。実生は約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、または30日間成長させることができる。時間が経過した後、植物を掘り起こし、根のバイオフィルムの量を測定することができる。
実施例6:酸素感受性
ニトロゲナーゼ酵素の酸素感受性は、窒素固定、窒素排出、またはその双方に影響を与えることができる。ニトロゲナーゼ酵素の酸素感受性を低下させることは、窒素固定活性を増大させることができるか、窒素排出活性を増大させることができるか、またはその双方を増大させることができる。
この仮説を評価するために、遺伝子発現を調節するプロモーターを置換することによってsodA遺伝子、sodB遺伝子、及びsodC遺伝子を過剰発現させた。
酸素濃度が変化する条件下でAMM及びARAのアッセイを実施することができる酸素感受性アッセイに過剰発現株を供した。結果を図12A~B、図13A~B、図14A~B、図15A~B、図20A~B、図21A~B、図22A~B、及び図23A~Bに示す。窒素固定活性及び窒素排出活性に対する酸素耐性の影響をさらに調べるために、FNR遺伝子、arcA遺伝子、及びarcB遺伝子が改変された菌株を作り出し、さまざまな酸素条件でのARA及びAMMのアッセイに供した。
実施例7:鉄の輸送の増大が窒素固定を増やし得る
鉄の取り込み経路は、細胞への鉄の取り込みを可能にする細菌における代謝経路を指すことができる。鉄は補因子として作用して窒素固定を促進することができる。細胞の鉄取り込みを増やすことは窒素固定、窒素排出、またはその双方を増やし得る。
この仮説を評価するために、それぞれ鉄取り込みの正及び負の調節因子であるfhuF及びiscRにて遺伝子改変を作り出した。具体的には、iscRの欠失またはfhuFプロモーターのプロモーター置換を含有する菌株を作り出し、ARA及びAMMの活性についてアッセイした。結果を図8A~B、図9A~B、図10A~B、図11A~B、図16A~16B、図17A~B、図18A~B、及び図19A~Bに示す。iscRの欠失はARA活性の増大をもたらした(図8A~B、10A~B、16A~B、及び18A~Bを参照のこと)。
鉄取り込み経路における1つ以上の遺伝子のプロモーター活性が増大するようにバリアントのライブラリを構築してもよい。ウエスタンブロッティングを用いて、どの菌株が1つ以上の鉄取り込み遺伝子の発現を増大させているかを決定することができ、これらの菌株は対象とするバリアントであることができる。
鉄取り込み活性の増大についてスクリーニングするために、対象とする各突然変異型またはバリアント、と同様に各菌株の変異していない親株をLB培地での96ウェルプレートの3つのウェルに接種して増殖させることができる。細胞がOD=0.8に到達したら、各突然変異型のウェルの1つを回収することができるので、細胞をペレット化し、過剰なLBを洗い流し、細胞を再懸濁し、溶解し、96ウェルプレートでの分光法用に調製する。鉄含量は分光法を使用して測定し、試料におけるベースライン鉄含量を確立することができる。残りの試料はLB中のFeSOとしての鉄またはLBのみと共に添加することができるので、添加した量は各ウェルの総量の10%以下である。鉄の溶解性に役立つように0.1mMの酢酸(最終濃度)を含めてもよい。アッセイにおける各ウェルの鉄の最終濃度は、10pM、100pM、1nM、10nM、100nM、1μm、10μm、または100μmの1つであり、1を超える濃度を調べることができる。アッセイは、1秒、10秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、20分、30分、及び60分のうちの1つ以上にわたって実施することができる。
まず、各濃度について、時間の関数として各細胞に輸送された鉄の量をプロットして、アッセイの最適な持続時間を決定することができる。最適な持続時間は、定常状態に到達しておらず、反応速度が依然として線形である時間間隔であることができる。次に、最適な持続時間について、濃度の関数として各細胞に輸送される鉄の量をプロットし、Michaelis-Menten分析を実行することができる。Km比較によって決定されたような、変異していない親株及び修飾されていない親株を超えて鉄輸送にて有意な増加(p<0.05)を示す対象とする突然変異株またはバリアントをさらなるアッセイのために選択することができる。
次に、さらなるアッセイのために選択された各菌株を、窒素排出及び窒素固定をそれぞれ測定するために、本明細書に記載されているように、AMMアッセイならびにARAアッセイに供することができる。これらの突然変異型またはバリアントのうちの1つ以上は、これらの細菌株のうちの1つ以上のAMM、ARA、または双方を増大させてもよい。
実施例8:シデロホア生合成遺伝子の増大は窒素固定を増やし得る
yhfシデロホア、または鉄キレート分子は細菌における鉄の取り込みに影響を与えてもよい。yhfシデロホアの産生を増やすことは細菌にて鉄の取り込みを増やすことができる。yhfA、yusV、sbnA、yfiZ、fiu、及びfurを含むシデロホア遺伝子の改変は、yhfシデロホアの産生を増やし得、これによって細胞における鉄の取り込みを増やし得る。これらの改変は窒素固定または窒素排出の増大につながってもよい。
シデロホア遺伝子の発現の増大が窒素固定または窒素排出を変化させるかどうかを評価するために、遺伝子の発現を調節するプロモーターを置換することによって、sbnA、yusV1、及びyusV2を過剰発現させた。次に、改変された菌株をARAアッセイ及びAMMアッセイに供した。結果を図16A~B、図17A~B、図18A~B、及び図19A~Bに示す。
遺伝子改変がシデロホア産生の増大をもたらすように、遺伝子改変は細菌細胞内のこれらの遺伝子に対して実行することができる。そのような改変を特定するために、yhfA、yusV、sbnA、yfiZ、fiu、またはfurをコードする遺伝子の活性部位にて及びその周辺で突然変異誘発を行ってもよい。突然変異型のライブラリは各遺伝子について構築されてもよい。次に、シデロホア産生の増大についてこれらのライブラリをスクリーニングすることができる。これらのライブラリは、野生型細胞から、または窒素固定の増大、窒素排出の増大、もしくはその双方を示すようにすでに改変されている細胞から作り出すことができる。シデロホア産生の増大についてスクリーニングするために、各突然変異型をOD=0.8まで増殖させ、次に、毒性ではないが過剰な量のシデロホア前駆体を添加し、30分間または60分間インキュベートすることができる。割り当てられた時間の後に産生されたシデロホアの量を基準化することができ、シデロホア産生の増大を示す菌株を鉄輸送の増大についてスクリーニングしてもよい。
鉄取り込み活性の増大についてスクリーニングするために、対象とする各突然変異型またはバリアント、と同様に各株の変異していない親株をLB培地での96ウェルプレートの3つのウェルに接種して増殖させることができる。細胞がOD=0.8に到達したら、各突然変異型のウェルの1つを回収することができるので、細胞をペレット化し、過剰なLBを洗い流し、細胞を再懸濁し、溶解し、96ウェルプレートでの分光法用に調製する。鉄含量は分光法を使用して測定し、試料におけるベースライン鉄含量を確立することができる。残りの試料はLB中のFeSO4としての鉄またはLBのみと共に添加することができるので、添加した量は各ウェルの総量の10%以下である。鉄の溶解性に役立つように0.1mMの酢酸(最終濃度)を含めてもよい。アッセイにおける各ウェルの鉄の最終濃度は、10pM、100pM、1nM、10nM、100nM、1μm、10μm、または100μmの1つであり、1を超える濃度を調べることができる。アッセイは、1秒、10秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、20分、30分、及び60分のうちの1つ以上にわたって実施することができる。
まず、各濃度について、時間の関数として各細胞に輸送された鉄の量をプロットしてアッセイの最適な持続時間を決定することができる。最適な持続時間は、定常状態に到達しておらず、反応速度が依然として線形である時間間隔であることができる。次に、最適な持続時間について、濃度の関数として各細胞に輸送される鉄の量をプロットし、Michaelis-Menten分析を実行することができる。Km比較によって決定されたような、変異していない親株及び修飾されていない親株を超えて鉄輸送にて有意な増加(p<0.05)を示す対象とする突然変異株またはバリアントをさらなるアッセイのために選択することができる。
次に、さらなるアッセイのために選択された各菌株を、窒素排出及び窒素固定をそれぞれ測定するために、本明細書に記載されているようにAMMアッセイならびにARAアッセイに供することができる。これらの突然変異型またはバリアントのうちの1つ以上はこれらの細菌株のうちの1つ以上のAMM、ARA、または双方を増大させてもよい。
実施例9:乾燥耐性の向上
乾燥耐性を改善することは、種子コーティング、または植物や畑への他の乾式施用に使用される菌株のコロニー形成を増やし得る。rpoE遺伝子に操作可能に連結されたアラビノースプロモーターを含む遺伝子操作された微生物が作り出されるであろう。rpoS、treA、treB、phoP、phoQ、及びrpoNの遺伝子に同様の改変を含有する菌株も生成されるであろう。遺伝子操作された微生物、及び操作されていない親対照は、乾燥させる前に、アラビノースで補完した培地にて48時間培養されるであろう。乾燥後、操作された菌株及び操作されていない菌株のそれぞれの一部がアラビノースを含有しない培地で復活し、24時間後の培地中の微生物の数が分析されるであろう。操作された菌株を含有する培地は、操作されていない親株を含有する培地よりも多くの微生物を含有するであろう。
乾燥した微生物をトウモロコシの種子に適用し、トウモロコシの種子の発芽に好適な条件下の温室にてアラビノースを欠いている土壌に植えられるであろう。4週間後、実生を収穫し、植物の根における操作された微生物及び操作されていない微生物双方のコロニー形成単位の数を評価するであろう。操作された微生物にさらされた植物は、操作されていない親株にさらされた植物よりも多くの微生物と関連するであろう。
実施例10:NAC遺伝子の突然変異型
窒素固定及び窒素排出に対するNAC遺伝子における突然変異の影響を評価するために、遺伝子を欠失させること、または遺伝子発現を調節するプロモーターを置換することによって、NAC遺伝子のノックアウト及び過剰発現の突然変異型を生成した。
突然変異株をAMMアッセイ及びARAアッセイに供した。結果を図24A~B及び図25A~Bに示す。CI1021バックグラウンドでのNAC突然変異型の結果を図26A~B及び図27A~Bに示す。
(表3)本明細書に記載されている菌株
Figure 2022529531000003
Figure 2022529531000004
Figure 2022529531000005
Figure 2022529531000006
Figure 2022529531000007
Figure 2022529531000008
本発明を記載している文脈(特に以下のクレームの文脈)における「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」という用語、及び同様の指示対象の使用は、本明細書にて指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の双方を含むと解釈されるべきである。「含むこと(comprising)」、「有すること(having)」、「含むこと(including)」、及び「含有すること(containing)」という用語は、特に言及されない限り、開放型用語(すなわち、「含むが、それに限定されない」ことを意味する)として解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で特に指示されない限り、範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す簡潔にした方法として役立つことが単に意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙されるかのように本明細書に組み込まれる。例えば、範囲10~15が開示されているならば、11、12、13、14も開示されている。本明細書に記載されている方法はすべて、本明細書で特に指示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書内に提供されている任意の及びすべての実施例、または例示的な言語(例えば、「例えば」)の使用は、単に本発明をより良く明らかにすることを意図しており、特に請求がない限り、本発明の範囲に対して制限を課すものではない。本明細書におけるいかなる表現も、非請求要素を本発明の実践に必須であるとして示すと解釈されるべきではない。
本発明の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されてきたが、そのような実施形態はほんの一例として提供されていることが当業者に自明であろう。本発明から逸脱することなく多数の変化形、変更、及び置換が当業者に思い浮かぶであろう。本明細書に記載されている本発明の実施形態に対する種々の代替手段が、本発明を実践することにおいて採用されてもよいことを理解すべきである。以下のクレームが本発明の範囲を定義し、これらのクレームの範囲内の方法及び構造、ならびにそれらの等価物が、それによって包含されることが意図される。

Claims (40)

  1. NAC、gltA、pga、ptsH、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、iscR、tonB、yusV1、yusV2、yusV3、yusV4、sbnA、fhuF、sodA、sodB、sodC、iaaA、sdiA、wzxE、bolA、FNR、arcA、arcB、rpoS、treA、treB、phoP、phoQ、yjjPB、ychM、dauA、actP、yieL1、yieL2、yieL3、yieL4、pgab,rafA、melA、uidA、manA、abfA、abnA、及びlacZから成る群から選択される遺伝子において改変を含む、遺伝子操作された細菌。
  2. NAC、gltA、pga、ptsH、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、iscR、tonB、yusV1、yusV2、yusV3、yusV4、sbnA、fhuF、sodA、sodB、及びsodCから成る群から選択される遺伝子において改変を含む、請求項1に記載の遺伝子操作された細菌。
  3. NAC、gltA、pga、ptsH、fimA1、fimA2、fimA3、fimA4、sodA、sodB、及びsodCから成る群から選択される遺伝子において改変を含む、請求項1に記載の遺伝子操作された細菌。
  4. iscR、tonB、yusV1、yusV2、yusV3、yusV4、sbnA、及びfhuFから成る群から選択される遺伝子において改変を含む、請求項1に記載の遺伝子操作された細菌。
  5. 遺伝子操作されたジアゾ栄養細菌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の遺伝子操作された細菌。
  6. 属間である、請求項1~5のいずれか1項に記載の遺伝子操作された細菌。
  7. 属間ではない、請求項1~6のいずれか1項に記載の遺伝子操作された細菌。
  8. 外因性窒素の存在下で大気中の窒素を固定することができる、請求項1~7のいずれか1項に記載の遺伝子操作された細菌。
  9. 窒素固定遺伝子ネットワークにおける改変をさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の遺伝子操作された細菌。
  10. 窒素固定遺伝子ネットワークにおける前記改変が、NifA、NifL、NifH、またはそれらの任意の組み合わせにおける改変を含む、請求項9に記載の遺伝子操作された細菌。
  11. NifAにおける前記改変がNifAの発現の増大をもたらす、請求項10に記載の遺伝子操作された細菌。
  12. NifLにおける前記改変がNifLの発現の低下をもたらす、請求項10に記載の遺伝子操作された細菌。
  13. NifHにおける前記改変がNifHの発現の増大をもたらす、請求項10に記載の遺伝子操作された細菌。
  14. 窒素固定遺伝子ネットワークにおける前記改変が、Nifクラスター遺伝子の発現の増大をもたらす改変を含む、請求項9に記載の遺伝子操作された細菌。
  15. 窒素同化遺伝子ネットワークにおける改変をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の遺伝子操作された細菌。
  16. 窒素同化遺伝子ネットワークにおける前記改変がGlnEにおける改変を含む、請求項15に記載の遺伝子操作された細菌。
  17. GlnEにおける前記改変がGlnEの活性の低下をもたらす、請求項16に記載の遺伝子操作された細菌。
  18. 窒素同化遺伝子ネットワークにおける前記改変がamtBの活性の低下をもたらす、請求項15に記載の遺伝子操作された細菌。
  19. 植物における大気由来の窒素の量を増やす方法であって、前記植物を請求項1~18のいずれか1項に記載の複数の遺伝子操作された細菌と接触させることを含む、前記方法。
  20. 前記植物を複数の前記遺伝子操作された細菌と接触させることが、前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物の種子に適用することを含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記植物を複数の前記遺伝子操作された細菌と接触させることが、前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物の実生に適用することを含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記植物を複数の前記遺伝子操作された細菌と接触させることが、前記複数の遺伝子操作された細菌を液体製剤中で前記植物に適用することを含む、請求項19に記載の方法。
  23. 前記植物を複数の前記遺伝子操作された細菌と接触させることが、前記植物の植え込み後かつ前記植物の収穫前に、前記植物に前記複数の遺伝子操作された細菌を適用することを含む、請求項19に記載の方法。
  24. 前記植物を複数の前記遺伝子操作された細菌と接触させることが、側方施肥として前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することを含む、請求項19に記載の方法。
  25. 前記植物を複数の前記遺伝子操作された細菌と接触させることが、発芽後約1ヵ月~約8ヵ月の間に前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することを含む、請求項19に記載の方法。
  26. 発芽後約1ヵ月~約8ヵ月の間に前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することが、発芽後2ヵ月~8ヵ月の間に前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することを含む、請求項25に記載の方法。
  27. 発芽後約1ヵ月~約8ヵ月の間に前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することが、発芽後約1ヵ月から約3ヵ月の間に前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することを含む、請求項25に記載の方法。
  28. 発芽後約1ヵ月~約8ヵ月の間に前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することが、発芽後約3ヵ月から約6ヵ月の間に前記複数の遺伝子操作された細菌を前記植物に適用することを含む、請求項25に記載の方法。
  29. 前記植物が穀物用植物である、請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記植物がトウモロコシ植物である、請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記植物がイネ植物である、請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記植物がコムギ植物である、請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記植物がダイズ植物である、請求項19~28のいずれか1項に記載の方法。
  34. 種子と種子コーティングとを含む組成物であって、前記種子コーティングが、請求項1~18のいずれか1項に記載の複数の遺伝子操作された細菌を含む、前記組成物。
  35. 前記種子が穀物種子である、請求項34に記載の組成物。
  36. 前記種子が、トウモロコシ種子、コムギ種子、イネ種子、ダイズ種子、ライムギ種子、及びソルガム種子から成る群から選択される、請求項35に記載の組成物。
  37. 植物と請求項1~18のいずれか1項に記載の複数の遺伝子操作された細菌とを含む、組成物。
  38. 前記植物が実生である、請求項37に記載の組成物。
  39. 前記植物が穀物用植物である、請求項37に記載の組成物。
  40. 前記植物が、トウモロコシ、イネ、コムギ、ダイズ、ライムギ、及びソルガムから成る群から選択される、請求項37に記載の組成物。
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