JP2022527407A - 組換えウイルスベクターの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高力価組換えウイルスベクターの産生方法に関し、より詳細には、遺伝子治療法の実用化に適した規模でその方法を効果的に使用することができる組換えAAVベクターの産生方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、高力価組換えウイルスベクターの産生方法に関し、より詳細には、遺伝子治療法の実用化に適した規模でその方法を効果的に使用することができる組換えAAVベクターの産生方法に関する。
遺伝子送達は、後天性疾患および遺伝性疾患の治療に有望な方法である。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベース系を含む、遺伝子導入のための多くのウイルスベース系が記載されている。
AAVは、遺伝子治療のベクターとして魅力的な独特の特徴を有する。AAVは広範囲の細胞型に感染する。しかしながら、AAVは非形質転換性であり、ヒト疾患の病因に関与しない。レシピエント宿主細胞へのDNAの導入は、一般に、細胞の正常代謝を乱すことなくDNAの長期間の持続と発現をもたらす。
AAV粒子は、ウイルス逆方向末端反復配列(ITR)に隣接するRep遺伝子およびCap遺伝子を含む約4.7kbの線状一本鎖DNAゲノムを取り囲む3つのカプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3を有するタンパク質カプシドを含む。個々の粒子は、ただ1つのDNA分子鎖をパッケージするが、この分子鎖は、プラス鎖とマイナス鎖のどちらであってもよい。どちらの鎖を含む粒子も感染性であり、親感染一本鎖の二本鎖型への変換およびその後の増幅によって複製が行われ、それが子孫一本鎖に置き換えられ、カプシドにパッケージされる。
AAVベクターは、AAVゲノムの内部部分を欠失させ、ITR間に目的のDNA配列を挿入することによって、目的の異種ヌクレオチド配列(たとえば選択された遺伝子、アンチセンス核酸分子、リボザイムなど)を有するように操作することができる。ITRは、目的の異種ヌクレオチド配列を含むベクターゲノムの複製およびパッケージングのためにシスで必要な唯一の配列である。また、異種ヌクレオチド配列は、通常、特定の条件下で患者の標的細胞における遺伝子発現を駆動できるプロモーター配列に結合されている。ポリアデニル化部位などの終結シグナルは、通常、ベクターに含まれる。
repおよびcap AAV遺伝子産物は、それぞれ、ベクターゲノムの複製機能およびカプシド形成機能を提供するが、それらはトランスに存在することで十分である。
ヒトの遺伝性疾患の治療法としての遺伝子治療の潜在的利益にもかかわらず、病院でのその広範な使用には重大な実用的限界が妨げになっている。この意味で、臨床的有効量を産生するために、大量のrAAV粒子を産生することが必要とされている。現在の技術を用いる多数の粒子の産生には、多数の産生細胞を必要とする。実験室規模では、数千の組織培養フラスコが必要であろう。商業規模では、臨床応用に到達するためには、より効率的で集中的な産生プラットホームが必要である。産生細胞数および細胞あたりの粒子収量の両方を改善する利点は、商業生産の観点から大変重要である。
したがって、遺伝子治療などに使用する組換えAAVベクターの開発において、遺伝子治療法の実用化に適した規模でその方法を効果的に使用することができる高力価のAAVを得るための戦略が必要とされている。
本開示は、これらの競合する目標を実現する方法を提供し、かつ組換えAAVベクター調製物の大規模産生にこのような技術を用いることができることを明らかにする。
本発明の発明者らは、驚くべきことに、反復トランスフェクションを行うことによって、組換えウイルス産生、より詳細にはrAAV産生を著しく改善することができることを見出した。以下の実施例で示すように、経時的な遺伝子発現レベルの持続は、単一のトランスフェクションラウンドを必要とする従来のアプローチとは対照的に、反復ラウンドのトランスフェクションを行うときに得られる。
したがって、第1の側面において、本発明は、組換えウイルスベクターの産生方法であって、
a)少なくとも2つのプラスミドベクターであって、異種ヌクレオチド配列と複製およびパッケージング遺伝子配列とを含むプラスミドベクターで適切な細胞培養物を同時トランスフェクトするステップと、
b)ウイルスの複製およびパッケージングを可能にする条件で細胞を培養するステップと、
c)ステップb)で産生されたウイルスベクターを回収し、さらなる分裂と増殖を可能にする条件で細胞培養物中に細胞を保持するステップと、
d)ステップa)に記載のプラスミドベクターでステップc)に記載の細胞を再トランスフェクトするステップと、
e)ステップb)からステップc)まで繰り返すステップと、
を含む、方法に関する。
さらに、本発明者らは、トランスフェクションに最適化されたプラスミドの組み合わせが、AAVベクター産生によく使用される標準プラスミドでの産生よりも高収量のrAAVをもたらすことを見出した。さらに、以下の実施例に示すように、本発明者らは、驚くべきことに、本発明による最適化されたプラスミドの使用が、細菌配列の逆パッケージングの低下をもたらすことを見出した。
したがって、組換えAAVの産生方法であって、
a)
i)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列を含む第1プラスミドベクター、
ii)5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含む第2プラスミドベクター、
iii)VA-RNA、E2AおよびE4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含む第3プラスミドベクターであって、プラスミドがE3、pTB(E2B)、Ad ITRおよびプロテアーゼ配列を含まないプラスミドベクター、
で適切な細胞を同時トランスフェクトするステップと、
b)AAVの複製およびパッケージングを可能にする条件で細胞を培養するステップと、
c)ステップb)で産生されたAAVを回収するステップと、
を含む、方法は、本発明のさらなる側面である。
本発明者らは、驚くべきことに、トランスフェクションにおいて最適化されたプラスミドの組み合わせを用いることによって、逆パッケージングが大幅に低下し、高収量のベクターゲノムが得られることを見出した。
したがって、他の側面において、本発明は、プラスミドベクターであって、
a)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列と、
b)ITRの外側にあり、ITRの1つに隣接するスタッファーDNA配列であって、プラスミドの骨格サイズが5Kb超、好ましくは7000bp~7500bpであるようにスタッファー配列が長さ4400Kb~4800Kbを有するスタッファーDNA配列と、
を含むプラスミドベクターにおいて、骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まないプラスミドベクターに関する。
他の側面において、本発明は、VA-RNA、E2AおよびE4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含むプラスミドベクターであって、プラスミドが、E3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まない、プラスミドベクターに関する。
図1は、1組の標準プラスミドまたは1組の最適化されたプラスミドでの三重トランスフェクションによって産生されたAAV9-CAG-cohSgshの全vgでの発現収量を示す。 図2は、1組の標準プラスミドまたは1組の最適化されたプラスミドでの三重トランスフェクションによって産生されたAAV9-CAG-cohSgshに存在する細菌配列のコピー数を示す。 図3は、最適化されたプラスミドpcohSgsh-900単独での、または他の最適化されたヘルパープラスミド(pRepCap9-809およびpAdhelper861)と組み合わせての、AAVベクター収量(全vg)に対する効果を示す。 図4は、細菌配列の逆パッケージングを示しており、最適化された大きすぎるプラスミドpcohSgsh-900単独での、または他の最適化されたヘルパープラスミド(pRepCap9-809およびpAdhelper861)と組み合わせての効果を示している。 図5は、細菌配列の逆パッケージングを示しており、最適化された大きすぎるプラスミドpcohSgsh-900と他の最適化されたヘルパープラスミド(pRepCap9-809およびpAdhelper861)とを組み合わせた場合の効果を示している。 図6は、pohlDS-874プラスミドでの一過性トランスフェクション後の回収された全vgを示しており、数ラウンドの再トランスフェクションラウンドを行った後に培養上清に回収された細胞溶解vgおよび全vgを示している。図6において、時間は、トランスフェクション後の時間(hpt)で示す。 図7は、pohSGSH-900プラスミドでの一過性トランスフェクション後の回収された全vgを示しており、数ラウンドの再トランスフェクションラウンドを行った後に培養上清に回収された細胞溶解vgおよび全vgを示している。図7において、時間は、トランスフェクション後の時間(hpt)で示す。
微生物の寄託
プラスミドpAdHelper861は、2018年12月5日、アクセス番号DSM 32965としてDSMZ(ドイツ微生物細胞培養コレクション、ドイツ連邦共和国D-38124ブラウンシュワイク、インホーフェンシュトラッセ7B)に寄託された。
プラスミドpcohSgsh-827は、2018年12月5日、アクセス番号DSM 32966としてDSMZ(ドイツ微生物細胞培養コレクション、ドイツ連邦共和国D-38124ブラウンシュワイク、インホーフェンシュトラッセ7B)に寄託された。
プラスミドpcohSgsh-900は、2018年12月5日、アクセス番号DSM 32967としてDSMZ(ドイツ微生物細胞培養コレクション、ドイツ連邦共和国D-38124ブラウンシュワイク、インホーフェンシュトラッセ7B)に寄託された。
プラスミドpohlDS-874は、2018年12月5日、アクセス番号DSM 32968としてDSMZ(ドイツ微生物細胞培養コレクション、ドイツ連邦共和国D-38124ブラウンシュワイク、インホーフェンシュトラッセ7B)に寄託された。
プラスミドpRepCap9-809は、2018年12月5日、アクセス番号DSM 32969としてDSMZ(ドイツ微生物細胞培養コレクション、ドイツ連邦共和国D-38124ブラウンシュワイク、インホーフェンシュトラッセ7B)に寄託された。
定義
本明細書で用いる場合、「ベクター」は、ポリヌクレオチドを含むかまたはそれと結合した高分子または高分子の結合体であって、細胞へのそのポリヌクレオチドの送達を媒介するために使用することができるものを指す。例示的なベクターは、たとえば、プラスミド、ウイルスベクター、リポソームおよび他の遺伝子送達ビヒクルを含む。
用語「アデノ随伴ウイルス」、「AAVウイルス」、「AAVビリオン」、「AAVウイルス粒子」および「AAV粒子」は、本明細書において同義語として用いられ、AAVの少なくとも1つのカプシドタンパク質(好ましくは特定のAAV血清型のすべてのカプシドタンパク質で構成される)と、AAVゲノムに相当する封入ポリヌクレオチドとで構成されるウイルス粒子を意味する。野生型AAVとは、パルボウイルス科ディペンドウイルス属に属するウイルスを指す。野生型AAVゲノムは、長さ約4.7Kbであり、一本鎖デオキシリボ核酸(ssDNA)からなり、プラス鎖またはマイナス鎖の場合がある。野生型ゲノムは、DNA鎖の両端の逆方向末端反復配列(ITR)と、3つのオープンリーディングフレーム(ORF)とを含む。ORF repは、AAVのライフサイクルに必要な4つのRepタンパク質をコードする。ORF capは、カプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3をコードするヌクレオチド配列を含み、これらは相互作用して正二十面体対称のカプシドを形成する。最後に、Cap ORFと重複するAAP ORFは、カプシドアセンブリを促進すると考えられるAAPタンパク質をコードする。粒子がAAV ITRに隣接して異種ポリヌクレオチド(すなわち、野生型AAVゲノムとは異なるポリヌクレオチド、たとえば哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子)を含む場合、その粒子は一般的に「AAVベクター粒子」または「AAVウイルスベクター」または「AAVベクター」または「組換えAAVベクター」として公知である。本発明は、dsAAVまたはscAAVとも呼ばれる二本鎖AAVまたは自己相補型AAVの使用も含む。
本明細書で用いる場合、用語「アデノ随伴ウイルスITR」または「AAV ITR」は、AAVのゲノムのDNA鎖の両端に存在する逆方向末端反復配列を指す。ITR配列は、AAVゲノムの効率的な増殖に必要である。これらの配列のもう一つの特性は、ヘアピンを形成するそれらの能力である。この特性は、第2DNA鎖のプライマーゼ非依存的合成を可能にするそれらのセルフプライミングに寄与する。ITRは、また、野生型AAV DNAの宿主細胞ゲノムへの組み込み(たとえばAAV血清型2のヒト第19染色体への組み込み)およびそれからのレスキューと、完全に組み立てられたデオキシリボヌクレアーゼ耐性AAV粒子へのAAV DNAの効率的なカプシド形成との両方に必要であることが示された。ITR配列は長さ約145bpである。好ましくは、AAVウイルスベクターのゲノムにおいて、ITRの全配列が使用されるが、これらの配列のある程度の小さな改変は許容される。野生型ITR配列は、そのITRがたとえば複製、ニッキング、ウイルスパッケージング、組み込み、および/またはプロウイルスレスキューなどの所望の機能を媒介する限り、挿入、欠失または短縮によって改変されてもよい。これらのITR配列を改変する方法は当該分野で周知である。ITRは、血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12または任意の他の公知のまたは後に見出されたAAVを含むがこれらに限定されない任意の野生型AAV由来であってもよい。AAVは2つのITRを含み、それら2つのITRは同一であってもよいし、または異なっていてもよい。さらに、2つのAAV ITRは、AAVカプシドと同じAAV血清型に由来する場合もあれば、異なる場合もある。好ましい実施形態において、5’および3’のAAV ITRは、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8および/またはAAV9に由来する。好ましくは、ITRはAAV2、AAV8および/またはAAV9由来であり、AAV2由来が最も好ましい。一実施形態において、偽型AAV(すなわち異なる血清型に由来するカプシドおよびITRを有するAAV)を作製するためにAAV2ITRが選択される。
本明細書で用いる場合、「組換えウイルスゲノム」という表現は、少なくとも1つの外来ポリヌクレオチドが天然に存在するAAVゲノムに挿入されたAAVゲノムを指す。本発明によるAAVゲノムは、通常、シス作用性5’および3’逆方向末端反復配列(ITR)および発現カセットを含む。本明細書で用いる場合、「rAAVベクター」は、AAV起源ではないポリヌクレオチド配列(すなわち、AAVに対して異種のポリヌクレオチド)であって、通常は細胞の遺伝的形質転換のための目的の配列を含むAAVベクターを指す。本発明の好ましいベクター構築物において、異種ポリヌクレオチドは2つのAAV逆方向末端反復配列(ITR)に隣接する。
「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」は、少なくとも1つのAAVカプシドタンパク質(好ましくは野生型AAVの全カプシドタンパク質による)および、カプシドに包まれたポリヌクレオチドで構成されるウイルス粒子を指す。その粒子が異種ポリヌクレオチド(すなわち、哺乳動物細胞に送達される導入遺伝子などの、野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合、それは、通常「rAAVベクター粒子」、または単に「rAAVベクター」と呼ばれる。
「パッケージング」は、カプシドタンパク質のアセンブリとベクターゲノムのカプシド形成とをもたらしてAAV粒子を形成する一連の細胞内事象を指す。
AAV「rep」および「cap」遺伝子は、アデノ随伴ウイルスの複製およびカプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を意味する。これらの遺伝子は、試験されたすべてのAAV血清型で見出されており、下記で記述され、かつ当該技術分野で記述されている。AAV repおよびcapは、本明細書で用いる場合、AAV「パッケージング遺伝子」と称する。
用語「CAGプロモーター」は、サイトメガロウイルス初期エンハンサー領域、ニワトリβ-アクチンプロモーターおよび、ウサギβグロビン遺伝子由来の3’スプライス配列によって形成される組み合わせを指す(Alexopoulou Aら BMC Cell Biology 2008年;9(2):1-11,Niwaら Gene. 1991年12月15日;108(2):193-9参照)。
用語「ポリヌクレオチド」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドまたはそれらのアナログを含む任意の長さのヌクレオチドの重合体を指す。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログなどの修飾ヌクレオチドを含んでいてもよく、非ヌクレオチド成分によって中断されていてもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造の改変は、ポリマーアセンブリの前または後に行ってもよい。本明細書で用いる場合、用語ポリヌクレオチドは、二本鎖分子と一本鎖分子とを互換的に指す。特に記載のない限りまたは特に求められた場合を除き、ポリヌクレオチドである本明細書に記載の本発明の任意の実施形態は、二本鎖型および、その二本鎖型を構成することが公知のまたはそれが予測される2つの相補的一本鎖型のそれぞれのどちらも含む。
「遺伝子」は、転写および翻訳された後に特定のタンパク質をコードすることが可能な少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチド、または少なくとも1つの非コードRNAを含むポリヌクレオチドを指す。
用語「ヌクレオチド配列」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを含む、DNAまたはRNAのいずれかの核酸分子を指す。核酸は、二本鎖、一本鎖であってもよく、または二本鎖もしくは一本鎖配列の両方の一部を含んでいてもよい。
用語「コードする」は、ヌクレオチド配列がどのようにポリペプチドまたはタンパク質に翻訳されるかを決定する遺伝コードを指す。配列におけるヌクレオチドの順序が、ポリペプチドまたはタンパク質に沿ったアミノ酸の順序を決定する。
「組換え」は、ポリヌクレオチドに適用されるとき、そのポリヌクレオチドが、自然界に見られるポリヌクレオチドとは異なる構築物をもたらす、クローニングステップ、制限ステップ、ライゲーションステップおよび他の手順の様々な組み合わせの産物であることを意味する。組換えウイルスは、組換えポリヌクレオチドを含むウイルス粒子である。これらの用語は、それぞれ、元のポリヌクレオチド構築物の複製物および元のウイルス構築物の子孫を含む。
「制御因子」または「制御配列」は、ポリヌクレオチドの複製、重複、転写、スプライシング、翻訳または分解を含む、ポリヌクレオチドの機能制御に寄与する分子の相互作用に関与するヌクレオチド配列である。制御は、そのプロセスの頻度、速度または特異性に影響を及ぼしてもよく、かつ、制御は本質的に促進または阻害するものであってもよい。当該技術分野で公知の制御因子は、たとえば、プロモーターおよびエンハンサーなどの転写制御配列を含む。プロモーターは、一定の条件下でRNAポリメラーゼに結合し、通常プロモーターの下流(3’方向)にあるコード領域の転写を開始させることができるDNA領域である。
「操作可能に連結された」または「作動可能に連結された」は、それらの因子が、想定される方法でそれらを作動させることを可能にする関係にある遺伝因子の並置を指す。たとえば、あるプロモーターがコード配列の転写を開始するのに役立つ場合、そのプロモーターはコード領域に操作可能に連結されている。この機能的関係が維持される限りは、プロモーターとコード領域との間に介在残基があってもよい。
「発現ベクター」は、目的のポリペプチドコード領域を含むベクターであり、対象とする標的細胞中でそのタンパク質の発現をもたらすために用いられる。発現ベクターは、その標的におけるタンパク質の発現を促進するためのコード領域に操作可能に連結されている制御因子も含む。制御因子と、発現のために制御因子が作動可能に連結された遺伝子(単数または複数)との組み合わせは「発現カセット」とも呼ばれる。それらの多くは公知であり、当該技術分野で利用可能であるか、または当該技術分野で利用可能な成分から容易に構築することができる。
「異種」は、比較されている実体の残りの実体とは遺伝子型的に異なる実体に由来することを意味する。たとえば、異なる種由来のプラスミドまたはベクターに遺伝子工学技術で導入されたポリヌクレオチドは異種ポリヌクレオチドである。その天然コード配列が取り除かれ、結合されていることが天然には見られないコード配列に操作可能に連結されているプロモーターは異種プロモーターである。特に、本明細書で用いる場合、用語「異種ヌクレオチド配列」は、コードヌクレオチド配列はもちろん、非コードヌクレオチド配列も含む。
「遺伝子変異」は、有糸分裂または減数分裂以外によって細胞に遺伝因子が導入されるプロセスを指す。その因子は細胞に対して異種であってもよいし、または、その因子は細胞にすでに存在する因子の追加のコピーもしくはその改良型であってもよい。遺伝子変異は、たとえば、当該技術分野で公知の任意のプロセス、たとえば電気穿孔法、リン酸カルシウム沈着または、ポリヌクレオチドリポソーム複合体との接触を介して、組換えプラスミドまたは他のポリヌクレオチドで細胞をトランスフェクトすることによって達成されてもよい。遺伝子変異は、たとえば、形質導入または、DNAまたはRNAのウイルスまたはウイルスベクターによる感染によって達成されてもよい。好ましくは、遺伝因子は細胞内の染色体またはミニ染色体に導入される。しかし、細胞およびその子孫の表現型および/または遺伝子型を改変させる任意の変化はこの用語に含まれる。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は本明細書で用いる場合、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために同義で使用される。これらの用語は、改変されたアミノ酸ポリマー、たとえば、ジスルフィド結合生成、グリコシル化、脂質化または標識成分とのコンジュゲーションも含む。
「分離された」プラスミド、ウイルスまたは他の物質は、その物質または類似の物質が天然に存在するか、またはもともとそれから調製された場合に同様に存在する可能性のある他の成分の少なくとも一部を欠いた物質の調製物を指す。したがって、たとえば、分離された物質は、ソース混合物からそれを濃縮するための精製技術を用いることによって調製してもよい。濃縮は、溶液量あたりの重量などの絶対基準に基づいて決定することもできるし、または、ソース混合物中に存在する第2の潜在的妨害物質に関連して決定することもできる。本発明の実施形態の濃縮を高めることはより一層好ましい。したがって、たとえば、2倍濃縮は好ましく、10倍濃縮はより好ましく、100倍濃縮はより好ましく、1000倍濃縮はより一層好ましい。
本発明によって治療される「個体」または「対象者」は、脊椎動物、特に哺乳動物種のメンバーを指し、限定するものではないが、家畜動物、競技用動物および、ヒトを含む霊長類の動物を含む。
個体または細胞の「治療」は、治療が開始される時点で個体または細胞の自然経過を変えるための任意のタイプの介入である。たとえば、個体の治療は、限定するものではないが、遺伝性もしくは誘発された遺伝的欠損、ウイルス、細菌もしくは寄生性生物による感染症、腫瘍性状態もしくは無形性状態または、自己免疫もしくは免疫抑制などの免疫系機能障害を含む任意の病的状態によって引き起こされる病状を緩和または抑制するために行われてもよい。治療は、限定するものではないが、医薬組成物などの組成物の投与および、組成物で処理された適合性細胞の投与を含む。治療は、予防的または治療的のいずれかで、すなわち、病理学的事象の開始または病原体との接触の前または後のいずれかで行われてもよい。
用語「有効量」は、意図された目的を達成するために十分な量の物質を指す。たとえば、スルフアミダーゼ活性を増加させるための発現ベクターの有効量は、グリコサミノグリカンの蓄積を減少させるのに十分な量である。疾患または障害を治療するための発現ベクターの「治療的有効量」は、疾患の症状または障害を減少または除去させるために十分な発現ベクターの量である。所定の物質の有効量は、その物質の性質、投与経路、その物質が投与される動物のサイズおよび種ならびにその物質を投与する目的などの要因によって異なる。個々の症例における有効量は、当該技術分野で確立された方法に従って当業者によって経験的に決定されてもよい。
用語「遺伝子治療」は、遺伝性または後天性の疾患または状態を治療または予防するための、宿主への目的の遺伝物質(たとえばDNAまたはRNA)の導入を指す。目的の遺伝物質は、in vivoでの産生が所望される産物(たとえばタンパク質のポリペプチド、ペプチドまたは機能性RNA)をコードする。たとえば、目的の遺伝物質は、治療的価値のある酵素、ホルモン、受容体またはポリペプチドをコードすることができる。
発明の詳細な説明
組換えウイルスベクターの高力価調製物を生成する方法、特に、遺伝子治療法の実用化に適した規模でその方法を効果的に使用することができる組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)の高力価調製物を生成する方法を提供することが本発明の目的である。
本発明に添付された実施例で示されているように、本発明者らは、驚くべきことに、反復ラウンドのトランスフェクションを行うことによって、すなわち、プラスミドベクターを用いて三重または二重トランスフェクションを行う細胞培養物の再トランスフェクションによって、rAAV産生を著しく改善することができることを見出した。
したがって、第1の側面において、本発明は、組換えウイルスベクターの産生方法であって、
a)少なくとも2つのプラスミドベクターであって、異種ヌクレオチド配列と複製およびパッケージング遺伝子配列とを含むプラスミドベクターで適切な細胞培養物を同時トランスフェクトするステップと、
b)ウイルスの複製およびパッケージングを可能にする条件で細胞を培養するステップと、
c)ステップb)で産生されたウイルスベクターを回収し、さらなる分裂と増殖を可能にする条件で細胞培養物中に細胞を保持するステップと、
d)ステップa)に記載のプラスミドベクターでステップc)に記載の細胞を再トランスフェクトするステップと、
e)ステップb)からステップc)まで繰り返すステップと、
を含む、方法に関する。
本発明の特定の実施形態において、組換えウイルスベクターは、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、アルファウイルス、フラビウイルス、単純ヘルペスウイルス(HSV)、麻疹ウイルス、ラブドウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、ニューカッスル病ウイルス(NDV)、ポックスウイルスおよびピコルナウイルスからなる群から選択される。特定の実施形態において、ウイルスベクターはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターまたはAAVベクターから選択される。
好ましい実施形態において、ウイルスベクターはAAVベクターである。
本発明に記載のAAVは、AAVの公知の血清型のいずれかの血清型を含む。一般に、AAVの様々な血清型は、一連の同一の遺伝子機能を提供する高い相同性を持つゲノム配列を有し、物理的および機能的観点から本質的に同等なビリオンを産生し、実質的に同一の機構によって複製し、アセンブルする。特に、本発明のAAVは、AAV血清型1(AAV1)、AAV2、AAV3(3A型および3B型を含む)、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAVおよび任意の他のAAVに属していてもよい。様々なAAV血清型のゲノム配列の例は、文献または、GenBankなどの公開データベースで見出してもよい。GenBankアクセッション番号AF028704.1(AAV6)、NC006260(AAV7)、NC006261(AAV8)およびAX753250.1(AAV9)を参照のこと。好ましい実施形態において、本発明のAAVベクターは、AAV2、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10およびAAVrh10血清型からなる群から選択される血清型のベクターである。好ましい実施形態において、本発明のAAVベクターは血清型9のベクターである。
特定の実施形態において、本発明は、組換えAAVの産生方法であって、
a)少なくとも2つのプラスミドベクターであって、ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列、AAV repおよびAAV cap遺伝子配列ならびにアデノウイルスヘルパー機能配列を含むベクターで適切な細胞培養物を同時トランスフェクトするステップと、
b)AAVの複製およびパッケージングを可能にする条件で細胞を培養するステップと、
c)ステップb)で産生されたAAVを回収し、さらなる分裂と増殖を可能にする条件で細胞培養物中に細胞を保持するステップと、
d)ステップa)に記載のプラスミドベクターでステップc)に記載の細胞を再トランスフェクトするステップと、
e)ステップb)からステップc)まで繰り返すステップと、
を含む、方法に関する。
当該技術分野で説明されているように、細胞に形質転換または形質導入する様々な手段のいずれかを用いて当該細胞に遺伝物質を導入することができる。例として、このような技術は、たとえば細菌のプラスミドでのトランスフェクションを含む。実際、本発明の方法のステップa)に記載のプラスミドベクターは、様々なトランスフェクション技術を用いて細胞に導入することができる。このようなトランスフェクション法については当該技術分野で記載があり、たとえば、リン酸カルシウム共沈法、培養細胞への直接微量注入、電気穿孔法、リポソーム媒介遺伝子導入、脂質媒介トランスフェクションまたは、高速マイクロプロジェクタイルを用いる核酸送達を含む。他の適切なトランスフェクション媒体は、リン酸ストロンチウム、ポリカチオン性ポリマー(たとえば、Superfect(キアゲン社(登録商標)))、リポソームおよびカチオン性ポリマー(たとえばポリエチレンイミン(PEI))を含む。好ましい実施形態において、本発明の方法に記載のプラスミドベクターは、PEIを用いてトランスフェクトされる。この場合、細胞培養物へのその添加の前に、プラスミドDNAにPEIを添加することによってPEI/DNA複合体が形成される。
これらの技術のいずれかを用いて、適切な宿主細胞にベクター構築物などの1つ以上の外因性DNA部分を導入することができる。一般に、細胞の転写および複製機構を受けさせるために、外因性DNAは宿主細胞の細胞膜を横断する必要がある。
生じる細胞は、外因性核酸分子で一過性にトランスフェクトされる場合がある。すなわち、その外因性DNAは、トランスフェクトされた細胞のゲノムには組み込まれず、代わりにエピソーム的に存在する。あるいは、生じる細胞は、安定的にトランスフェクトされる場合がある。すなわち、その核酸分子は宿主細胞ゲノムと共有結合するか、または子孫細胞に受け継ぐことができるエピソームユニット(たとえば、十分な速度の染色体外複製が可能な)として維持され、複製される。
本発明の方法によれば、トランスフェクトされるプラスミドベクターは、ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列、AAV repおよびAAV cap遺伝子配列ならびにアデノウイルスヘルパー機能配列を含む。
異種ヌクレオチド配列またはポリヌクレオチドは、一般に、特定の表現型の発現のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションなどの遺伝子治療の文脈において標的細胞に機能を提供する能力によって興味が持たれる。このような異種ポリヌクレオチドまたは「導入遺伝子」は、一般に、所望の機能またはコード配列を提供するための十分な長さを有する。
対象とする標的細胞において異種ポリヌクレオチドの転写が所望される場合、当該技術分野で公知のように、たとえば、標的細胞内の所望のレベルおよび/または転写の特異性に応じて、異種ポリヌクレオチドは、それ自身のプロモーターまたは異種プロモーターに作動可能に連結させることができる。様々なタイプのプロモーターおよびエンハンサーが、この文脈で使用するのに適している。構成的プロモーターは、継続的なレベルの遺伝子の転写を提供し、治療用ポリヌクレオチドが継続的に発現されることが所望される場合に好ましい。誘導性プロモーターは、一般に、誘導因子の非存在下で低い活性を示し、誘導因子の存在下でアップレギュレートされる。誘導性プロモーターは、特定の時間または特定の部位でのみ発現が所望される場合か、または誘導剤を用いて発現レベルを決めることが望ましい場合に好ましい可能性がある。プロモーターおよびエンハンサーは、組織特異的であってもよい。すなわちそれらは、おそらくそれらの細胞内に固有に見られる遺伝子制御因子によって、特定の細胞型でのみそれらの活性を示す。
プロモーターの例示的な例には、シミアンウイルス40由来SV40後期プロモーター、バキュロウイルス多面体エンハンサー/プロモーターエレメント、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV tk)、サイトメガロウイルス(CMV)由来前初期プロモーター、CMV初期エンハンサー/ニワトリβアクチン(CAG)プロモーターおよび、LTRエレメントを含む様々なレトロウイルスプロモーターがある。誘導性プロモーターは、重金属イオン誘導性プロモーター(たとえばマウス乳癌ウイルス(mMTV)プロモーターまたは様々な成長ホルモンプロモーター)および、T7 RNAポリメラーゼの存在下で活性なT7ファージ由来プロモーターを含む。例示として、組織特異的プロモーターの例は、様々なサーファクタントタンパク質プロモーター(肺での発現のための)、ミオシンプロモーター(筋肉での発現のための)およびアルブミンプロモーターまたはヒトα1アンチトリプシンhAAT(肝臓での発現のための)を含む。様々な他のプロモーターが公知であり、当該技術分野で一般に使用でき、かつ、多くのこれらのプロモーターの配列は、GenBankデータベースなどの配列データベースで入手可能である。好ましい実施形態において、CAGプロモーターが用いられる。
対象とする標的細胞内で翻訳も所望される場合、異種ポリヌクレオチドは、好ましくは、翻訳を促進する制御因子(たとえばリボソーム結合部位すなわち「RBS」および/またはポリアデニル化シグナル)も含む。したがって、異種ポリヌクレオチドは、一般に、適切なプロモーターに操作可能に連結されている少なくとも1つのコード領域を含んでおり、かつ、たとえば、操作可能に連結されたエンハンサー、リボソーム結合部位および/またはポリAシグナルを含んでいてもよい。異種ポリヌクレオチドは、1つのコード領域または、同一もしくは異なるプロモーターの制御下に有る2以上のコード領域を含んでいてもよい。制御因子とコード領域または非コード領域との組み合わせを含むユニット全体は、しばしば発現カセットと呼ばれる。特定の実施形態において、本発明の方法に記載の異種ポリヌクレオチドはポリAシグナルを含む。
異種ポリヌクレオチドは、組換え技術によって、AAVゲノムコード領域に、または好ましくはその代わりに組み込まれ、かつ一般にAAV逆方向末端反復配列(ITR)領域の両側に隣接する。あるいは、ただ1つのITRを有するベクター構築物を用いることもできる。特定の実施形態において、異種ヌクレオチド配列は2つのITRに隣接する。
AAV粒子のカプシド形成のサイズ制限を考慮すれば、このゲノムへの大きな異種ポリヌクレオチドの挿入には、AAV配列の一部の除去を必要とする。1つ以上のAAV遺伝子の除去は、いずれにせよ、複製コンピテントAAV(「RCA」)の生成の可能性を減少させるため望ましい。したがって、rep、cap、またはその両方のコード配列またはプロモーター配列は、これらの遺伝子によって提供される機能がトランスで提供される場合があるため、好ましくは除去される。
一実施形態において、異種ヌクレオチド配列はAAV ITRに隣接し、トランスで提供されるAAVパッケージング遺伝子は、別のベクタープラスミドで宿主細胞に導入される。
rep遺伝子は、2つのプロモーター、p5およびp19から発現され、Rep78、Rep68、Rep52およびRep40と呼ばれる4つのタンパク質を産生する。AAV二本鎖DNA複製にはRep78およびRep68のみが必要であるが、Rep52およびRep40は、子孫である一本鎖DNAの蓄積に必要であると考えられる。Rep68およびRep78は、AAV ITRのヘアピン立体配座に特異的に結合し、AAV末端で複製を決定するために必要ないくつかの酵素活性を有する。Rep78およびRep68は、AAV遺伝子の正の調節および負の調節、いくつかの異種プロモーターからの発現ならびに細胞増殖に対する阻害作用を含む多面的調節活性も示す。
cap遺伝子は、カプシドタンパク質VP1、VP2およびVP3をコードする。これらのタンパク質は共通の重複配列を共有するが、VP1およびVP2は、別の開始コドンの使用によってp40プロモーターから転写されたさらなるアミノ末端配列を含む。3つのタンパク質は、すべて、効率的なカプシド産生に必要である。
ウイルス粒子へのAAVベクターのパッケージングは、なお、AAVの適切なヘルパーウイルスの存在またはヘルパーウイルス機能の提供に依存している。本発明の方法によれば、ヘルパーウイルス機能遺伝子配列は、プラスミドベクターで提供される。AAVベクター調製物中のかなりの量の感染性ヘルパーウイルスの存在は、その調製物がヒトへの投与での使用であるという点で問題となる。
本発明の方法の特定の実施形態において、トランスフェクションは2つのプラスミドベクターを用いて行われ、プラスミドベクターの1つはITRに隣接する異種ヌクレオチド配列を含み、プラスミドベクターのもう1つは、AAV repおよびAAV cap遺伝子配列ならびにアデノウイルスヘルパー機能配列を含む。好ましい実施形態において、第2プラスミドベクターは、5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含む。
本発明の方法の好ましい実施形態において、トランスフェクションは、3つのプラスミドベクターを用いて行われる。すなわち、宿主細胞は、目的の異種ヌクレオチド配列をコードする少なくとも1つのベクター、AAV repおよびcap遺伝子をコードする少なくとも1つのベクター、ならびにアデノウイルス補助機能をコードする少なくとも1つのベクターで三重トランスフェクトされる。
適切に改変された細胞の選択は当該技術分野の任意の技術で行われてもよい。たとえば、細胞を改変するために用いられるポリヌクレオチド配列は、当該技術分野で公知の1つ以上の検出マーカーもしくは選択マーカーと同時に導入してもよいし、またはそれらに作動可能に連結して導入してもよい。例として、選択マーカーとして薬物耐性遺伝子を用いることができる。次いで、薬物耐性細胞を選択し、増殖させ、次いで所望の配列(すなわち、必要に応じて、パッケージング遺伝子産物または異種ポリヌクレオチド産物)の発現について試験することができる。導入されたポリヌクレオチドの取り込み、位置および/または維持についての試験は、DNAハイブリダイゼーションに基づく技術(たとえば当該技術分野で公知のサザンブロット法および他の手順)を用いて行うことができる。発現試験は、遺伝子改変細胞から抽出されたRNAのノーザン分析または対応する遺伝子産物の間接免疫蛍光法によって容易に行うことができる。
したがって、本発明の方法のステップb)によれば、トランスフェクトされた細胞は、ウイルスベクターの複製およびパッケージングを可能にする条件で培養される。特定の実施形態において、細胞はrAAVの複製およびパッケージングを可能にする条件で培養される。
いくつかの基準が、本明細書に記載のrAAV粒子の産生に使用するための細胞の選択に影響を及ぼす。より好ましい細胞および細胞株は、組換えAAVベクター調製物の大規模産生を容易にするために培養下で容易に増殖させることができる細胞および細胞株である。大規模産生が所望される場合、産生方法の選択も、宿主細胞の選択に影響を及ぼす。たとえば、ある産生技術および培養容器または培養チャンバーは、接着細胞または付着細胞の増殖のために設計され、他のものは、懸濁液での細胞の増殖のために設計される。したがって、後者の場合、宿主細胞は、懸濁液での増殖に適合することまたは適合可能であることが好ましいであろう。本発明によれば、rAAVの大規模産生が所望される。
rAAVの大規模産生に使用するために、様々な細胞株が企図される。特にrAAVの細胞培養に適しているものは、接着細胞か、または懸濁液での増殖のために選択された細胞のどちらかのヒト胚腎臓(HEK)293細胞株である。rAAVを産生するための他の適切な細胞株の例は、ベロ細胞株、HeLa細胞株およびCHO細胞株を含む。本明細書で用いる場合、用語「細胞株」は、in vitroでの持続的または長期の増殖および分裂が可能な細胞の集団を指す。多くの場合、細胞株は単一の前駆細胞由来のクローン集団である。このようなクローン集団の貯蔵または導入時に核型の自発変化または誘発変化が生じる場合があることは、当該技術分野で公知である。そのため、言及した細胞株由来の細胞は、祖先細胞または祖先培養物と正確には同一でない可能性がある。しかしながら、用語「細胞株」はこのような変異株を含む。
細胞株を選択したら、最適な細胞培養装置に、細胞培養を維持するのに適した密度で細胞を播種する。特定の装置に播種するのに使用する細胞密度は、その装置のサイズによって異なる。最適な培養装置中で細胞を増殖させるのに、様々な容量を使用してもよい。使用する培地の容量は、培養細胞を増殖させるために使用する培養装置のサイズによって異なる。浮遊培養などの大規模産生方法を用いてもよい。次いで、AAV粒子を回収し、それを調製するために使用した細胞から分離する。
細胞は、AAVの複製とrAAVベクターのパッケージングとを許容する条件下で培養する。培養時間は、好ましくはピーク産生レベルに対応するように調整される。好ましくは、1細胞あたり少なくとも100ウイルス粒子が産生される。より好ましくは、1細胞あたり少なくとも約1000ウイルス粒子が産生され、より一層好ましくは、1細胞あたり少なくとも約10,000ウイルス粒子が産生される。培養期間中、2×10細胞あたり、好ましくは、少なくとも0.5×10、より好ましくは少なくとも約1×10、より一層好ましくは少なくとも約2×10RU/mlのAAVベクターが産生される。
大規模な細胞増殖およびAAV産生を達成するために、開示された本発明において様々な増殖培地を使用してもよい。増殖培地の選択は、培養される細胞のタイプに応じて変わる。特定の実施形態において、細胞は哺乳動物細胞である。好ましい実施形態において、細胞はヒト胚腎臓(HEK)293細胞株である。より好ましくは、細胞は懸濁液中で増殖するのに適した細胞である。
付着細胞の培養については、細胞接着に必要な表面を提供するために、ローラーボトル(所定の速度で回転する円筒組織培養フラスコ)が使用される。あるいは、接着細胞培養物を維持するために、マイクロキャリアも適切なシステムである。懸濁細胞の培養については、撹拌タンクバイオリアクターが最も望ましいシステムである。なぜなら、撹拌タンクバイオリアクターは、高細胞密度培養物に達せさせることができ、そして、精製後に大量のrAAVを提供することができるためである。
本発明の特定の実施形態において、揺動運動型バイオリアクターが用いられる。他の特定の実施形態において、撹拌タンクバイオリアクターを用いることもできる。そのリアクター中の細胞培養物が所定のポイントに達すると、前述のように細胞のトランスフェクションが行われる。
本発明の方法によれば、ステップc)は、ステップb)で産生されたAAVを回収し、さらなる分裂と増殖を可能にする条件で細胞培養物中に細胞を維持することを含む。本方法の好ましい実施形態において、撹拌液体培地の懸濁液中で細胞を培養することによってステップb)が行われる。
本発明の方法の特定の実施形態によれば、ステップb)において、産生されるAAVは細胞培養物の上清に分泌される。したがって、本発明の方法のステップc)によれば、rAAVは上清から採取され、細胞は、さらなる分裂と増殖のために細胞培養物中に保持される。次いで、そのように産生されたrAAVとともに、使用済みの培地または上清が回収される。なぜなら、以下の実施例で示すように、AAVは、細胞溶解を必要とせずに細胞培養物の上清に分泌されるからである。
特定の実施形態において、細胞培養物の細胞培地は、再トランスフェクションが行われる前に、すなわちステップd)の前に交換される。特定の実施形態において、細胞培地交換は遠心分離によって行われる。好ましい実施形態において、培地交換は灌流によって行われる。より好ましい実施形態において、灌流によって連続培地交換が行われる。より好ましくは、培地は、灌流システムによって自動的に交換される。このシステムによって、培養物に新鮮な培地が補充され、一方で、細胞保持装置を用いて無細胞上清が取り除かれる。このプロセスは、好ましくは、一定の採取流速で行われる。これに関して、好ましい実施形態において、さらなる分裂および増殖を可能にするために、保持した細胞に新たな新鮮培地が追加される。栄養素の一定の添加と毒性代謝物の除去によって、何週間もの間、灌流培養が、高い細胞密度に達し、それを維持することを可能にする。
本発明者らは、驚くべきことに、AAVの産生を長期間行うことができるように、ステップa)について前述のように、細胞培養物中に保持した細胞をプラスミドベクターで再トランスフェクトすることができることを見出した。この点で、さらなる分裂と増殖を可能にする細胞培養装置中に保持された細胞を用いることによって、より多くのrAAVが産生される。したがって、本発明者らは、反復ラウンドのトランスフェクションを行うことによって、同じ細胞培養物を用いて長期にわたってrAAVの産生を延長することができることを見出した。さらに、本発明に添付された実施例で見られるように、本発明者らは、これらの培地交換を行うことによって、細胞溶解を必要とせずに細胞培養物の上清にAAVが分泌されること、および各再トランスフェクションラウンドの前に培地交換が行われるごとにAAVを採取することができることを見出した。提案された方法論の他の利点は、rAAVが上清から回収されることであり、これは、AAVを採取するために細胞を溶解する必要がなく、したがって宿主細胞DNAと宿主細胞タンパク質による汚染が少ないため、精製の観点から利点となる。
したがって、本発明の方法は、ステップa)に記載のプラスミドベクターで、ステップc)に記載の保持した細胞を再トランスフェクトするステップd)を含む。
本発明の方法のステップd)によれば、培地交換なしで単一のトランスフェクションラウンドを必要とする従来の一過性の遺伝子発現(TGE)アプローチとは対照的に、細胞培養物に再トランスフェクションまたは反復ラウンドのトランスフェクションが行われる。
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、同じ細胞培養物を用いて、2回以上の再トランスフェクションおよび回収ステップを繰り返すことができることを見出した。本発明の方法の特定の実施形態において、ステップd)、ステップb)およびステップc)は、回収ステップc)後に少なくとももう1回繰り返される。他の特定の実施形態において、ステップd)、ステップb)およびステップc)は、回収ステップc)後に少なくとも2回繰り返される。さらに特定の実施形態において、ステップd)、ステップb)およびステップc)は、回収ステップc)後に少なくとも3回繰り返される。好ましい実施形態において、ステップd)、ステップb)およびステップc)は、回収ステップc)後に少なくとも4回繰り返される。さらに特定の実施形態において、ステップd)、ステップb)およびステップc)は、回収ステップc)後に1回から3回繰り返される。さらに特定の実施形態において、ステップd)、ステップb)およびステップc)は、回収ステップc)後に1回から2回繰り返される。好ましい実施形態において、本発明の方法は、回収ステップc)後にステップd)、ステップb)およびステップc)の1回の繰り返しを含む。本発明の方法の好ましい実施形態において、ステップd)、ステップb)およびステップc)は、回収ステップc)後にもう1回繰り返される。
前述のように、本発明の方法の特定の実施形態において、灌流によって連続培地交換が行われる。好ましい実施形態において、トランスフェクションが行われるごとに灌流を停止する。これによって、プラスミドベクターが細胞に侵入することを可能にする。より好ましい実施形態において、灌流は、少なくとも1.5時間、より好ましくは、少なくとも2時間、より好ましくは少なくとも3時間、より一層好ましくは少なくとも4時間の時間間隔で停止する。好ましい実施形態において、各再トランスフェクションラウンドの間に最小の時間間隔が存在する。より好ましい実施形態において、再トランスフェクションは、少なくとも36時間、より好ましくは少なくとも48時間の時間間隔後に行われる。
他の特定の実施形態において、方法は、全ラウンドの再トランスフェクションおよび回収の完了後に、上清中の細胞を溶解するさらなるステップを含む。
細胞破壊または細胞溶解のために用いることができるいくつかの周知の最先端の技術がある。凍結融解および/または超音波処理は、細胞を破壊するために使用することができるが、これらの技術は、大規模調製物にはあまり適していない。したがって、これらの点で、機械的溶解技術が好ましい。溶解を媒介または促進するために、界面活性剤および他の化学薬剤を使用することもできる。ヌクレアーゼ(たとえばベンゾナーゼ)での溶解物の処理は、粘度を低下させ、濾過性を改善するために有益であることが見出されている。細胞残屑の少なくとも一部からベクターを分離するため、たとえば精密濾過による清澄化も、回収および精製を促進するために有益である。本発明の特定の実施形態において、本発明の方法による溶解ステップは、ヌクレアーゼの使用を含む。より好ましくは、ヌクレアーゼはベンゾナーゼである。
本発明の方法の特定の実施形態において、前述のように本発明のrAAVを含む回収した上清は、rAAVを精製するためにさらに処理される。この点で、他の特定の実施形態において、このプロセスは、リアクターシステム内に細胞が保持され、一方で細胞残屑のないきれいな上清中に膜によってAAVが回収され、したがって精製がはるかに簡単になるように、細胞保持膜に接続されたバイオリアクター内で行われる。
遺伝子治療のためのAAVの産生に特に有用であるためには、その技術が「大規模に実現可能」なこと、すなわち大規模製造装置および方法と組み合わせて適用可能であることが最も望ましい。
例として、AAVは、正に荷電した陰イオン交換カラム、たとえばN荷電アミノ樹脂またはイミノ樹脂(たとえばPOROSまたは任意のDEAE、TMAE、第三級もしくは第四級アミン、またはPEIベース樹脂)または負に荷電した陽イオン交換カラム(たとえばHS、SP、CMまたは任意のスルホ、ホスホまたはカルボキシベースのカチオン樹脂)にロードすることができる。カラムは緩衝液で洗浄することができる。カラムは、NaCl濃度の上昇勾配またはpHの下降勾配で溶出することができ、画分を回収し、AAVおよび/または混入物質の存在についてアッセイすることができる。
当該技術分野で公知の、荷電以外の特徴によって媒介される分子間結合に基づいて、上記の陰イオンおよび陽イオン交換手順の代わりに、または好ましくはそれらに加えて、他の手順を用いることができる。このような他の手順は、リガンド-受容体対(たとえば抗体-抗原またはレクチン-炭水化物相互作用)に基づく分子間会合と、分子の他の属性に基づく分離、たとえばサイズおよび/または形状に基づく分子ふるいクロマトグラフィーとを含む。
前述のようにカラムから溶出したAAV含有画分のプールは、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)によって濃縮し、精製することができる。膜を介して調製物を濾過し、産物が保持される。保持された物質は、適切な緩衝液の連続洗浄によって膜を用いて透析濾過することができる。最終試料は、産物が高度に濃縮されており、使用のために濾過および保存することができる。
ベクタープラスミドでのトランスフェクションは、細胞播種が行われる日に行うことができるが、細胞播種密度に応じて、細胞播種後、1日目、2日目、3日目、4日目または5日目に行ってもよい。
本発明の一実施形態において、最適な宿主細胞は、目的の異種ヌクレオチド配列をコードする少なくとも1つのベクター、AAV repおよびcap遺伝子をコードする少なくとも1つのベクター、ならびにアデノウイルス補助機能をコードする少なくとも1つのベクターで三重トランスフェクトされる。特定の実施形態において、三重トランスフェクションはPEIトランスフェクションを用いて行われる。
一過性トランスフェクションによるrAAV産生時のプラスミド骨格配列のパッケージング(逆パッケージング)は、当該分野で周知の一般的な問題点である。本明細書で用いる場合、用語「逆パッケージング」は、異種配列の代わりにITR含有プラスミド骨格をカプシド形成することを指す。実際、AAVベクターにとって、パッケージされたDNA不純物の優勢種は、ITRからの逆パッケージングによって同様に生成される発現カセットに隣接するITRに隣接するプラスミド配列である。rAAVストック中のこれらの粒子の存在は、臨床応用にとって、安全上の問題となる可能性がある。
以下の実施例1に示すように、トランスフェクションのための最適化されたプラスミドの組み合わせは、AAVベクター産生によく使用される標準プラスミドでの産生よりも高い収量と、細菌配列の逆パッケージングの低下とをもたらした。特に、本発明者らは、3つのプラスミドベクターであって、第1プラスミドベクターi)が、ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列と、ITRの外側にあるスタッファーDNA配列とを含み、プラスミドの骨格サイズが5Kb超になるように、スタッファー配列が長さ4400Kb~4800Kbを有し、第2プラスミドベクターii)が、5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含み、第3プラスミドベクターiii)が、VA-RNA、E2A y E4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含み、プラスミドがE3、pTB(E2B)およびAd ITRと、プロテアーゼ配列とを含まない、3つのプラスミドベクターで細胞がトランスフェクトされたとき、rAAV産生が著しく増加することを見出した。この点において、以下に示す結果によれば、標準プラスミドの組み合わせの代わりにこれらの3つの最適化されたプラスミドの組み合わせを用いるとき、AAV収量は3倍増加する。さらに、当業者に周知の標準プラスミド、すなわち、異種ヌクレオチド配列、pRepCapベクター(たとえばpRep2Cap9ベクター)および、AAV産生に必要なアデノウイルス配列(VA-RNA、E2A y E4)を含むプラスミドを含む大きすぎないプラスミドを用いる三重トランスフェクションと比較して、逆パッケージングは著しく低下する。前述のように、本発明に用いる最適化されたヘルパープラスミドは、AAV産生に必要なVA-RNA、E2A y E4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含む。プラスミドは、E3、pTB(E2B)およびAd ITR配列を含む特定の配列を含まないように改変されている。
図3に明確に示されているように、異種ヌクレオチド配列を含む最適化されたプラスミドであって、スタッファーDNA配列を含む大きすぎるプラスミドであるプラスミドは、最適化されていないプラスミド、すなわち三重トランスフェクションに用いられる標準ベクターと組み合わせて用いられる場合、ベクターゲノム収量を改善しない。したがって、最適化された大きすぎるプラスミド単独での使用は、三重トランスフェクションによるベクターゲノム収量の改善をもたらさない。
しかしながら、この最適化された大きすぎるプラスミドと、アデノウイルスヘルパー機能を含む最適化されたプラスミド(pAdhelper861)またはAAV repコード領域およびAAV capコード領域を含む最適化されたプラスミド(pRepCap9-809)との組み合わせは、ベクターゲノム収量を改善した(図3参照)。さらに、3つの最適化されたベクターを組み合わせるとき、ベクターゲノム収量は大きく向上する(図3参照)。
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、最適化された大きすぎるプラスミド(pcohSgsh-900)と、最適化されたヘルパープラスミドである、pRepCap9-809および/またはpAdhelper861の1つまたは両方との同時トランスフェクションを行うとき、細菌配列の逆パッケージングが低下することを見出した(図4)。特に、これらの最適化されたプラスミドの三者併用は、逆パッケージングの大きな低下をもたらす(図4および図5)。実際、最適化されたヘルパープラスミド(pAdhelper861)および/または(pRepCap9-809)の使用による細菌配列の割合の減少は、大きすぎる骨格を含む最適化されたプラスミド(pcohSgsh-900)を同時トランスフェクトしたとき、より著しかった(図5)。
本明細書で用いる場合、用語「大きすぎる骨格」は、AAVベクターのカプシド形成の制限を超える塩基対のサイズ(約4700bp)を有するプラスミド骨格を指す。
好ましい実施形態において、本発明の方法に用いられる第2プラスミドベクターは、AAV Rep2およびAAV Cap9コード領域を含む。好ましい実施形態において、プラスミドベクターは、アクセッション番号DSM 32969を有する、配列番号5に記載のpRepCap-809である。
したがって、本発明の方法の特定の実施形態において、ステップa)において、以下の3つのプラスミドベクター:
i)第1プラスミドベクターであって、ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列と、ITRの外側にあるスタッファーDNA配列とを含み、プラスミドの骨格サイズが5Kb超になるように、スタッファー配列が長さ4400Kb~4800Kbを有する第1プラスミドベクター、
ii)5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含む第2プラスミドベクター、
iii) VA-RNA、E2A y E4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含む第3プラスミドベクターであって、プラスミドがE3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まない第3プラスミドベクター、
が用いられる。
特定の実施形態において、スタッファーDNA配列は、異種ヌクレオチド配列を含む第1プラスミドベクター中のITRの1つに隣接して配置される。
他の特定の実施形態において、プラスミドの骨格サイズは7000bp~7500bpである。さらに特定の実施形態において、プラスミドの骨格サイズは7000bp~7200bpである。
好ましい実施形態において、第1プラスミドベクターは、骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まない。
より好ましい実施形態において、第1プラスミドベクターは、アクセッション番号DSM 32967を有する、配列番号2に記載のpcohSgsh-900である。
本発明の方法の他の実施形態によれば、前述のように、AAVの産生を長期間行うことができるように、細胞培養物中の残りの細胞を2つのプラスミドベクターで再トランスフェクトすることができる。
したがって、本発明は、ステップa)において、以下の2つのプラスミドベクター:
i)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列と、ITRの外側にあり、好ましくはITRの1つに隣接するスタッファーDNA配列とを含む第1プラスミドベクターであって、プラスミドの骨格サイズが5Kb超であり、好ましくは7000bp~7500bpであり、より好ましくは7000bp~7200bpであるように、スタッファー配列が長さ4400Kb~4800Kbを有する第1プラスミドベクター、
ii)AAV repコード領域、AAV capコード領域、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列ならびに、VA-RNA、E2AおよびE4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含む第2プラスミドベクターであって、プラスミドがE3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まない第2プラスミドベクター、
が用いられる本発明の方法にも関する。
他の特定の実施形態において、第2プラスミドベクターは、5’から3’まで、VA-RNA、E2AおよびE4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能、AAV repコード領域、AAV capコード領域、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含む。
特定の実施形態において、第1プラスミドベクターは、骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まない。
他の特定の実施形態において、第2プラスミドベクターはAAV Rep2およびAAV Cap9コード領域を含む。
前述のように、トランスフェクションのための最適化されたプラスミドの組み合わせは、AAVベクター産生によく使用される標準プラスミドでの産生よりも高い収量をもたらし、細菌配列の逆パッケージングを低下させる。
以下の実施例において、rAAVの産生が、i)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列を含むプラスミドベクター、ii)5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含むプラスミドベクター、ならびにiii)VA-RNA、E2A y E4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含むプラスミドベクターであって、プラスミドがE3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まないプラスミドベクターを用いて行われるとき、逆パッケージングは著しく低下し、さらに、三重トランスフェクションによるAAVの産生に用いられる標準プラスミドと比較して、生産性が向上することが示されている。
したがって、他の側面において、本発明は、
組換えAAVの産生方法であって、
a)
i)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列を含む第1プラスミドベクター、
ii)5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含む第2プラスミドベクター、
iii)VA-RNA、E2A y E4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含む第3プラスミドベクターであって、プラスミドがE3、pTB(E2B)およびAd ITR プロテアーゼ配列を含まないプラスミドベクター、
で適切な細胞を同時トランスフェクトするステップと、
b)AAVの複製およびパッケージングを可能にする条件で細胞を培養するステップと、
c)ステップb)で産生されたAAVを回収するステップと、
を含む、方法に関する。
好ましい実施形態において、第1プラスミドベクターi)は、プラスミドの骨格サイズが5000pb超、好ましくは7000bp~7500bp、より好ましくは、7000bp~7200bpであり、かつITRの外側にあり、好ましくはITRの1つに隣接するスタッファーDNA配列を含み、スタッファー配列が長さ4400pb~4800を有することを特徴とする。より好ましい実施形態において、第1プラスミドベクターi)は、骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まない。本発明のより好ましい実施形態において、第1プラスミドは、アクセッション番号DSM 32967を有する、配列番号2に記載のpcohSgsh-900である。
他の好ましい実施形態において、第2プラスミドベクターii)は、AAV Rep2およびAAV Cap9コード領域を含む。好ましい実施形態において、プラスミドベクターはアクセッション番号DSM 32969を有する、配列番号5に記載のpRepCap-809である。
他の好ましい実施形態において、第3プラスミドベクターiii)は、アクセッション番号DSM 32965を有する、配列番号6に記載のpAdHelper861である。
前述のように、本発明の他の特定の実施形態において、撹拌液体培地の懸濁液中で細胞を培養することによってステップb)が行われる。
他の側面において、本発明は、プラスミドベクターであって、
a)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列と、
b)ITRの外側にあり、ITRの1つに隣接するスタッファーDNA配列であって、プラスミドの骨格サイズが5Kb超、好ましくは7000bp~7500bp、より好ましくは、7000bp~7200bpになるように、スタッファー配列が長さ4400Kb~4800Kb、より好ましくは、4500Kb~4700Kb、より一層好ましくは、4600Kb~4700Kbを有するスタッファーDNA配列と、
を含むプラスミドベクターにおいて、骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まないプラスミドベクターにも関する。本発明のより好ましい実施形態において、プラスミドは、アクセッション番号DSM 32967を有する、配列番号2に記載のpcohSgsh-900である。
他の特定の側面において、本発明は、アデノウイルス配列E2、E4およびVA-RNAを含むヘルパープラスミドベクターであって、E3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まないプラスミドベクターに関する。より詳細には、このプラスミドは、VA遺伝子を含む731bpの領域、E2A遺伝子およびE4遺伝子を含む5346bp領域を含み、それらの調節領域は3181bpフラグメントに含まれる。プラスミド骨格は、高コピー数の細菌の複製起点を含む。より好ましい実施形態において、本発明は、アクセッション番号DSM 32965として寄託されたpAdHelper861に相当する配列番号6のプラスミドベクターに関する。
遺伝子治療のためのrAAVの使用
本発明のrAAVウイルスベクターは、遺伝子治療の目的で個人への投与のために使用することができる。遺伝子治療のための適切な疾患は、限定するものではないが、ウイルス、細菌または寄生虫感染によって誘発される疾患、様々な悪性腫瘍および過剰増殖状態、自己免疫状態および先天性欠損を含む。好ましい実施形態において、本発明の方法によって産生されるrAAVベクターは、ライソゾーム病(LSD)の治療に使用される。より好ましくは、ベクターは、ムコ多糖症(MPS)の治療に有益である。好ましい実施形態において、異種ヌクレオチド配列は、MPSの治療に有用な酵素をコードする配列である。特に、配列は、ヒトα-L-イズロニダーゼ、ヒトヘパランスルファミダーゼ、ヒトN-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼ、ヒトα-N-アセチルグルコサミニダーゼ、ヒトヘパラン-α-グルコサミニド、ヒトN-アセチルトランスフェラーゼ、ヒトイズロン酸-2-スルファターゼ(IDS)、ヒトN-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ、ヒトガラクトース6-硫酸スルファターゼ、ヒトβ-ガラクトシダーゼ、ヒトN-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ、β-グルクロニダーゼおよびヒトヒアルロニダーゼからなる群から選択される。
遺伝子治療は、細胞内での特定のタンパク質の発現レベルを高めるために行うこともできるし、または細胞によって分泌される特定のタンパク質の発現レベルを高めるために行うこともできる。本発明のベクターは、遺伝子標識、欠如遺伝子もしくは欠損遺伝子の置換または治療遺伝子の挿入のいずれかの目的で、細胞を遺伝子改変するために使用してもよい。あるいは、ポリヌクレオチドは、発現レベルが低下した細胞に提供されてもよい。これは、望ましくない表現型、たとえば、悪性腫瘍の過程で増幅もしくは過剰発現された遺伝子、または微生物感染の過程で導入もしくは過剰発現された遺伝子の産物の抑制のために使用してもよい。発現レベルは、たとえば、標的遺伝子またはRNA転写産物のいずれかと安定なハイブリッドを形成することが可能な配列(アンチセンス療法)、関連性があるmRNAを切断するためのリボザイムとして作用することが可能な配列、または標的遺伝子の産物のデコイとして作用することが可能な配列を含む治療用ポリヌクレオチドを供給することによって抑制させてもよい。
医薬組成物は、液体溶液もしくは懸濁液として、エマルションとして、または、使用前に液体中で溶出または懸濁するのに適した固形として供給することができる。担体は、たとえば、保存剤の有無にかかわらず、水または緩衝化された食塩液である。
医薬組成物は、投与時に再懸濁するために凍結乾燥してもよいし、または溶液であってもよい。好ましい実施形態において、本発明の医薬組成物は注射用懸濁液である。その場合、最終製品は、適切な緩衝液で製剤化し、バイアルに充填し、使用するまで保存する。
必須ではないが、医薬組成物は、任意選択で、正確な量の投与に適した単位剤形で供給されてもよい。
本発明を一般的に説明してきたが、例として提示されるものであって、本発明を何ら限定するものではない以下の実施例を参照することにより、本発明をより理解しやすくなるであろう。
実施例
本発明の実施には、特に記載のない限り、当該分野の技術の範囲内である分子生物学、ウイルス学、動物細胞培養および生化学の従来技術を用いる。これらの技術は、文献で十分に説明されている。
実施例1:標準プラスミドベクターと比較した、最適化されたベクターを用いる三重トランスフェクション
1.1.プラスミドの説明
プラスミドpcohSgsh-827(配列番号1)
1756bpのCAGプロモーターおよび、ウサギβ-グロビンpAに相当する519bpのフラグメントの制御下にあるヒトN-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼをコードする1512bpのコドン最適化cDNAを含むプラスミド。これらの3つの因子は、AAVの2つのITR配列に隣接する。このプラスミドの骨格サイズは3156bp(標準骨格サイズ)であり、966bpのアンピシリン耐性遺伝子、514bpのバクテリオファージ複製起点および589bpの高コピー数の細菌の複製起点を含む。
プラスミドpcohSgsh-900(配列番号2)
1756bpのCAGプロモーターおよび、ウサギβ-グロビンpAに相当する519bpのフラグメントの制御下にあるヒトN-スルホグルコサミンスルホヒドロラーゼをコードする1512bpのコドン最適化cDNAを含む大きすぎるプラスミド。これらの3つの因子は、AAVの2つのITR配列に隣接する。このプラスミド骨格は7073bpであり、1043bpのカナマイシン耐性遺伝子、589bpの高コピー数の細菌の複製起点を含み、さらに4657bpのランダム配列を含む。
プラスミドpohlDS-874(配列番号3)
1756bpのCAGプロモーターおよび、ウサギβ-グロビンpAに相当する519bpのフラグメントの制御下にあるヒトイズロン酸-2-スルファターゼをコードする1653bpのコドン最適化cDNAを含む大きすぎるプラスミド。これらの3つの因子は、AAVの2つのITR配列に隣接する。このプラスミド骨格は7073bpであり、1043bpのカナマイシン耐性遺伝子、589bpの高コピー数の細菌の複製起点を含み、さらに4657bpのランダム配列を含む。
プラスミドpRepCap9-808(配列番号4)
その元の位置に、P5プロモーターとともにrep2およびcap9タンパク質をコードするプラスミド。このプラスミドは、AAV2 Rep遺伝子に相当する1866bpのフラグメントと、それに続く、AAV9Cap遺伝子をコードする2211bpの配列とを含む。130bpのAAV2 P5プロモーターは、Rep遺伝子の上流のその元の位置に配置される。このプラスミド骨格は、アンピシリン耐性遺伝子と高コピー数の細菌の複製起点とを含む。
プラスミドpRepCap9-809(配列番号5)
Cap9遺伝子の後のP5プロモーターとともにrep2およびcap9タンパク質をコードするプラスミド。このプラスミドは、AAV2 Rep遺伝子に相当する1866bpのフラグメントと、それに続く、AAV9Cap遺伝子をコードする2211bpの配列とを含む。AAV2 P5プロモーターに相当する130bpの配列は、Cap遺伝子の下流にある。このプラスミド骨格は、カナマイシン耐性遺伝子と高コピー数の細菌の複製起点とを含む。
プラスミドpXX6
AAV産生に必要なアデノウイルス配列(E2、E4およびVA-RNA)を含むプラスミド。このプラスミド骨格は、アンピシリン耐性遺伝子と高コピー数の細菌の複製起点とを含む(Xiaoら J Virol. 1998年3月;72(3):2224-2232)。プラスミドpXX6-80は、骨格のみが改変されたpXX6に由来する。pXX6-80の地図および配列は文献で詳細に説明されている。
プラスミドpAdHelper861(配列番号6)
AAV産生に必要なアデノウイルス配列(E2、E4およびVA-RNA)を含むプラスミド。このプラスミドは、VA遺伝子を含む731bpの領域、E2A遺伝子およびE4遺伝子を含む5346bpの領域を含み、それらの調節領域は3181bpのフラグメントに含まれる。このプラスミド骨格は、カナマイシン耐性遺伝子および高コピー数の細菌の複製起点を含む。
1.2.三重トランスフェクションによるAAV9-CAG-cohSgshベクターの産生
材料および方法
AAV9-CAG-cohSgshベクターは、既述のように(Ayuso Eら Gene Ther. 2010年4月;17(4):503-10)、トランスフェクション剤としてPEI-MAXを用いる一過性の三重トランスフェクションによって産生された。簡潔に言えば、集密状態のHEK 293付着細胞を、等モル量の3つのプラスミド:pcohSgsh-827、pRepCap9-808およびpXX6(標準プラスミド)またはpcohSgsh-900、pRepCap9-809およびpAdHelper861(最適化されたプラスミド)、でトランスフェクトした。PEI-MAXは、2:1のPEI:DNA比で用いた。トランスフェクション後72時間で細胞を採取し、3サイクルの凍結融解によって溶解して、細胞内からrAAVベクターを放出させた(以下の実施例2参照)。HEK 293懸濁細胞を用いるrAAVベクターの産生についても記述がある(Joshua C Griegerら Mol Ther. 2016年2月;24(2):287-297)。
ベクターゲノムは、発現カセット中に存在するウサギβグロビンポリA配列に特異的なプライマーおよびプローブを用いて既述のように(Ayusoら 前出)、Taqman qPCRによって定量した。同様に、用いたすべてのプラスミド骨格に存在する抗生物質耐性プロモーターに特異的なプライマーおよびプローブを用いるTaqman qPCRによって逆パッケージングを定量した。
統計解析は、GraphPad Prism 7.00を用いて行った。
Figure 2022527407000001
結果
前述のように、最適化されたプラスミドを用いる三重トランスフェクションによる組換えAAV9ベクターAAV9-CAG-cohSgshの産生は、AAVベクターの産生によく使用される標準プラスミドでの産生よりも高収量をもたらす(図1)。
最適化されたプラスミドを用いる三重トランスフェクションによって産生されたAAV9-CAG-cohSgshベクターは、AAV産生によく使用される標準プラスミドによって得られる細菌配列の逆パッケージングよりも低下した細菌配列の逆パッケージングをもたらす(図2)。
プラスミドが、スタッファーDNA配列を含む大きすぎるプラスミド(pcohSgsh-900)である、異種ヌクレオチド配列を含む最適化されたプラスミドの使用は、最適化されていないプラスミド、すなわち三重トランスフェクションに用いられる標準ベクターと組み合わせて三重トランスフェクションに用いられるとき、ベクターゲノム収量を改善しない。したがって、最適化された大きすぎるプラスミド単独での使用は、三重トランスフェクションによるベクターゲノム収量の改善をもたらさない(図3)。
しかしながら、この最適化された大きすぎるプラスミドと、アデノウイルスヘルパー機能を含む最適化されたプラスミド(pAdhelper861)または、AAV repコード領域およびAAV capコード領域を含む最適化されたプラスミド(pRepCap9-809)との組み合わせは、ベクターゲノム収量を改善した(図3参照)。さらに、3つの最適化されたベクターを組み合わせるとき、ベクターゲノム収量は大きく向上する(図3参照)。
さらに、本発明者らは、驚くべきことに、最適化された大きすぎるプラスミド(pcohSgsh-900)と、最適化されたヘルパープラスミドであるpRepCap9-809および/またはpAdhelper861の1つまたは両方との同時トランスフェクションを行うとき、細菌配列の逆パッケージングが低下することを見出した(図4)。特に、これらの最適化されたプラスミドの三者併用は、逆パッケージングの大きな低下をもたらす(図4および図5)。実際、最適化されたヘルパープラスミド(pAdhelper861)および/または(pRepCap9-809)の使用による細菌配列の割合の減少は、大きすぎる骨格を含む最適化されたプラスミド(pcohSgsh-900)を同時トランスフェクトしたとき、より著しかった(図5)。
実施例2:三重トランスフェクションおよび長期遺伝子発現(EGE)
2.1.細胞株、培地および培養条件
用いた細胞株は、カナダ国立研究機構バイオテクノロジー研究所(カナダ、モントリオール)によって提供された無血清懸濁液適応HEK 293細胞株(HEK 293SF-3F6)である。細胞は、Glutamax(8mM)、Pluronic1(インビトロゲン社)(0.1%)およびIGF(0.05ng/L)を添加したFreestyle F17培地(インビトロゲン社、カリフォルニア州カールスバッド)で培養する。細胞は、125mLディスポーザブルポリカーボネートエルレンマイヤーフラスコ(コーニング社、ニューヨーク州スチューベン)中、20mLの培地で継続的に維持される。フラスコは、空気中5%COの加湿雰囲気下で37℃に維持したインキュベーター内に設置したオービタルシェーカー(キューナーシェーカー社、スイス)を用いて130rpmで振盪する。細胞数および生存率は、Nucleocounter NC-3000(ケモメテック社、デンマーク)を用いて測定した。
2.2.一過性トランスフェクション(TGE)
HEK 293懸濁細胞は、PEIPro(ポリサイエンス社、ペンシルベニア州ウォリントン)を用いて一過性にトランスフェクトする。HEK 293細胞を、125mLディスポーザブルフラスコ中、0.5・10細胞/mLで播種し、2・10細胞/mLまで増殖させ、pAdHelper861を0.76μg/培養物1mL、pRepCap9-809を0.77μg/培養物1mLおよび、pohlDS-874を0.38μg/培養物1mLまたはpcohSgsh-900を0.38μg/培養物1mLで、DNA対PEI重量比1:2でトランスフェクトする。DNAにPEIを迅速に添加し、両方とも新鮮培地で同じ容量に希釈することによって、PEI/DNA複合体が形成される(複合体混合物の容量は、トランスフェクトされる培養物の全量の5%である)。細胞培養物への添加の前に、混合物を室温で15分間インキュベートして複合体を形成させる。
2.3.coh-IDS遺伝子の長期遺伝子発現方法論
長期遺伝子発現(EGE)産生戦略は、経時的な遺伝子発現レベルの持続を達成するために、単一のトランスフェクションラウンドを必要とする従来のTGEアプローチとは対照的に、反復ラウンドのトランスフェクションを行うことからなる。上記の2.2.で記述したものと同じプラスミドおよび条件を用いた最初のトランスフェクション後に、遠心分離(300xg、5分間)によって完全培地交換を行った後、同じプラスミドおよびPEI濃度を用いて48時間ごとに再トランスフェクションラウンドを行った。これらの培地交換を行うことによって、AAVは培養物の上清に分泌され、再トランスフェクションが行われる前に、培地交換ごとに採取することができる。
その結果(図3参照)は、EGE方法論が行われるとき、上清から3倍増の全vgが採取されたことを示す。バッチ(単一のトランスフェクション)後の、回収された全vgとして、細胞溶解後に8E11vgが得られた。EGE戦略後の回収された全vgは、上清から2.5E12vgであったが、AAVを採取するために細胞を溶解する必要がないため、このことは精製の観点から利点であり、したがって、宿主細胞DNAおよび宿主細胞タンパク質による汚染が少ないことが想定される。
2.4.coh-Sgsh遺伝子の長期遺伝子発現方法論
上記の2.3.で述べたように、遺伝子coh-Sgshについて、EGE方法論も試験した。
その結果(図4参照)は、EGE方法論が行われるとき、上清から1.7倍増の全vgが採取されたことを示す。バッチ(単一のトランスフェクション)後の回収された全vgとして、細胞溶解後に1.9E12vgが得られた。EGE戦略後の回収された全vgは、上清から3.18E12vgであった。AAV産生は、phIDS(上記の2.3参照)の場合と同様なパターンとなった。したがって、このEGE戦略の一般適用性が支持された。

Claims (18)

  1. 組換えウイルスベクターの産生方法であって、
    a)少なくとも2つのプラスミドベクターであって、異種ヌクレオチド配列と複製およびパッケージング遺伝子配列とを含む前記プラスミドベクターで適切な細胞培養物を同時トランスフェクトするステップと、
    b)ウイルスの複製およびパッケージングを可能にする条件で前記細胞を培養するステップと、
    c)ステップb)で産生された前記ウイルスベクターを回収し、さらなる分裂と増殖を可能にする条件で前記細胞培養物中に前記細胞を保持するステップと、
    d)ステップa)に記載の前記プラスミドベクターでステップc)に記載の前記細胞を再トランスフェクトするステップと、
    e)ステップb)からステップc)まで繰り返すステップと、
    を含む、方法。
  2. 前記組換えウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクターおよびAAVベクターからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 組換えAAVの産生方法であって、
    a)少なくとも2つのプラスミドベクターであって、ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列、AAV repおよびAAV cap遺伝子配列ならびにアデノウイルスヘルパー機能配列を含む前記ベクターで適切な細胞培養物を同時トランスフェクトするステップと、
    b)AAVの複製およびパッケージングを可能にする条件で前記細胞を培養するステップと、
    c)ステップb)で産生された前記AAVを回収し、さらなる分裂と増殖を可能にする条件で前記細胞培養物中に前記細胞を保持するステップと、
    d)ステップa)に記載の前記プラスミドベクターでステップc)に記載の前記細胞を再トランスフェクトするステップと、
    e)ステップb)からステップc)まで繰り返すステップと、
    を含む、方法。
  4. ステップb)において、AAVが前記細胞培養物の上清に分泌される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記細胞培養物の細胞培地が、ステップd)の前に交換される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 細胞培地交換が灌流によって行われる、請求項5に記載の方法。
  7. ステップd)、ステップb)およびステップc)が、回収ステップc)の後に少なくとももう1回繰り返される、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. ステップb)が、撹拌液体培地の懸濁液中で前記細胞を培養することによって行われる、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. ステップa)において、以下の3つのプラスミドベクター:
    i)第1プラスミドベクターであって、前記プラスミドの骨格サイズが5000pb超、好ましくは7000bp~7500bpであり、ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列と、前記ITRの外側にあり、好ましくはITRの1つに隣接するスタッファーDNA配列とを含み、前記スタッファー配列が長さ4400pb~4800pbを有することを特徴とする第1プラスミドベクター、
    ii)5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含む第2プラスミドベクター、
    iii)VA-RNA、E2AおよびE4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含む第3プラスミドベクターであって、前記プラスミドがE3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まない第3プラスミドベクター、
    が用いられる、請求項3~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記第1プラスミドベクターが、前記骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まない、請求項8または9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 組換えAAVの産生方法であって、
    a)
    i)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列を含む第1プラスミドベクター、
    ii)5’から3’まで、AAV repコード領域、AAV capコード領域および、AAV p5プロモーター領域を含むヌクレオチド配列を含む第2プラスミドベクター、
    iii)VA-RNA、E2AおよびE4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含む第3プラスミドベクターであって、前記プラスミドがE3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まない前記プラスミドベクター、
    で適切な細胞を同時トランスフェクトするステップと、
    b)AAVの複製およびパッケージングを可能にする条件で前記細胞を培養するステップと、
    c)ステップb)で産生された前記AAVを回収するステップと、
    を含む、方法。
  12. 前記第1プラスミドベクターi)が、前記プラスミドの骨格サイズが5000pb超、好ましくは7000bp~7500bpであり、かつ前記ITRの外側にあり、好ましくはITRの1つに隣接するスタッファーDNA配列を含み、前記スタッファー配列が長さ4400pb~4800pbを有することを特徴とする、請求項11に記載の組換えAAVの産生方法。
  13. 前記第1プラスミドベクターi)が、前記骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まない、請求項12に記載の方法。
  14. 前記第2プラスミドベクター(ii)がAAV Rep2およびAAV Cap9コード領域を含む、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. プラスミドベクターであって、
    a)ITRに隣接する異種ヌクレオチド配列と、
    b)前記ITRの外側にあり、ITRの1つに隣接するスタッファーDNA配列であって、前記プラスミドの骨格サイズが5Kb超、好ましくは7000bp~7500bpであるように、前記スタッファー配列が長さ4400Kb~4800Kbを有するスタッファーDNA配列と、
    を含む前記プラスミドベクターにおいて、前記骨格配列中にF1Oriヌクレオチド配列を含まないプラスミドベクター。
  16. アクセッション番号DSM 32967を有する、配列番号2に記載のpcohSgsh-900である、請求項15に記載のプラスミドベクター。
  17. VA-RNA、E2AおよびE4配列を含むアデノウイルスヘルパー機能を含むプラスミドベクターであって、前記プラスミドが、E3、pTB(E2B)およびAd ITRプロテアーゼ配列を含まない、プラスミドベクター。
  18. アクセッション番号DSM 32965を有する、配列番号6に記載のpAdHelper-861である、請求項17に記載のプラスミドベクター。
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