JP2022526524A - 喘息の処置のためのリポカリンムテイン - Google Patents

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Abstract

本発明は、ヒト対象の喘息の処置に関し、処置は、治療的有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することによるものであり、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、例えば、少なくとも1日1回、1日1回、または1日2回投与されてもよい。

Description

本発明は、ヒト対象の喘息の処置に関し、処置は、治療的有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することによるものであり、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、例えば、少なくとも1日1回、1日1回、または1日2回投与されてもよい。
リポカリンは、抗体様機能を有するタンパク質性結合分子であり、これは、リガンドに結合するように自然に進化している。リポカリンは、脊椎動物、昆虫、植物、及び細菌を含む多くの生物に存在する。リポカリンタンパク質ファミリーのメンバー(Pervaiz,S.,& Brew,K.(1987)FASEB J.1,209-214)は、通常、少なく分泌されたタンパク質であり、単一のポリペプチド鎖を有する。それらは、種々の分子認識特性の範囲を特徴とする:様々な、主に疎水性分子(例えば、レチノイド、脂肪酸、コレステロール、プロスタグランジン、ビリベルジン、フェロモン、味覚物質、及び着臭剤)に結合する能力、特定の細胞-表面受容体への結合ならびにポリマー複合体のそれらの形成。過去に、主に輸送タンパク質として分類されていたが、目下、リポカリンが幅広い生理学的機能を果たすことが明らかである。これらは、レチノール輸送、嗅覚作用、フェロモンシグナル伝達、及びプロスタグランジンの合成における役割を含む。リポカリンは、また、例えば、免疫応答の調節及び細胞恒常性の媒介に関与している(例えば、Flower,D.R.(1996)Biochem.J.318,1-14 and Flower,D.R.et al.(2000)Biochim.Biophys.Acta 1482,9-24に概説)。
リポカリンは、異常に低いレベルの全体的な配列保存を共有し、多くの場合、配列同一性は、20%未満である。対照的に、全体的な折り畳みパターンは、高度に保存される。リポカリン構造の中央部分は、連続的に水素結合したβバレルを形成するように、それ自体が閉じられて単一の8本鎖逆平行βシートから構成される。このβバレルは、中央の空洞を形成する。バレルの一端は、その底を横切るN末端ペプチドセグメント及びβストランドを接続する3つのペプチドループにより立体的にブロックされる。βバレルのもう一端は、溶媒に対して開放されており、4つの柔軟なペプチドループにより形成される標的結合部位を包含する。それは、それぞれが異なるサイズ、形状、及び化学的特性の標的に適合することが可能である様々な異なる結合モードを生じさせる別途剛直なリポカリン足場におけるループのこの多様性である(reviewed,例えば、上掲のFlower,D.R.(1996);上掲のFlower,D.R.et al.(2000)、またはSkerra,A.(2000)Biochim.Biophys.Acta 1482,337-350に概説)。
リポカリン-1、涙プレアルブミン、またはフォンエブナー腺タンパク質とも称されるヒト涙リポカリン(TLPCまたはTlc)は、元々、ヒト涙液の主要タンパク質(総タンパク質含有量の約3分の1)と記載されるが、また、前立腺、副腎、胸腺、乳腺、精巣、鼻粘膜、及び気管粘膜を含むいくつかの他の分泌組織、ならびに下垂体の副腎皮質刺激ホルモンにおいて同定されている。相同タンパク質は、アカゲザル、チンパンジー、ラット、マウス、ブタ、ハムスター、ウシ、イヌ、及びウマで発見されている。涙リポカリンは、他のリポカリンと比較した場合、非常に広範なリガンド特異性を示すという点で、及び比較的不溶性の脂質に対して高度に入り乱れた状態という点で、珍しいリポカリンメンバーである(Redl,B.(2000)Biochim.Biophys.Acta 1482;241-248を参照)。涙リポカリンのこの特徴は、角膜での細菌及び真菌の成長を阻害するタンパク質の機能に起因している。様々な化学物質の部類の驚くべき数の親油性化合物、例えば、脂肪酸、脂肪アルコール、リン脂質、糖脂質、及びコレステロールは、このタンパク質の内因性リガンドである。興味深いことに、他のリポカリンとは対照的に、涙リポカリンに結合するリガンド(標的)の強度は、アルキルアミド及び脂肪酸の両方に対し炭化水素尾部の長さと相関する。従って、涙リポカリンは、可溶性が最小の脂質に最も強く結合する(Glasgow,B.J.et al.(1995)Curr.Eye Res.14,363-372;Gasymov,O.K.et al.(1999)Biochim.Biophys.Acta1433,307-320)。涙リポカリンの1.8-A結晶構造は、βバレルの内部に異常に大きな空洞を明らかにした(Breustedt,D.A.et al.(2005)J.Biol.Chem.280,1,484-493)。
国際特許出願WO99/16873は、4つのペプチドループの領域に変異アミノ酸位置を有するリポカリンファミリーのポリペプチドについて開示し、これは、結合ポケットを含む円筒状βバレル構造の端部に配置され、これは、Pieris brassicaeのビリン結合タンパク質のアミノ酸位置28~45、58~69、86~99、及び114~129を含む線状ポリペプチド配列のセグメントに対応する。リポカリンファミリーのメンバーは、翻訳後修飾、例えば、涙リポカリンのリン酸化及びグリコシル化されることが報告されている(例えば、You,J.,et al.(2010)Electrophoresis31,1853-1861)。それにもかかわらず、それらの分子認識特性のための翻訳後修飾は必要とされない。
国際特許出願WO00/75308は、ジゴキシゲニンに特異的に結合するビリン結合タンパク質のムテインについて開示するが、国際特許出願WO03/029463及びWO03/029471は、それぞれ、ヒト好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン(hNGAL)及びアポリポタンパク質Dのムテインに関する。リポカリン多様体のリガンド親和性、特異性、及びフォールディング安定性を改善及び微調整するために、リポカリンファミリーの種々のメンバーを使用するさらなる様々なアプローチ(Skerra,A.(2001)Rev.Mol.Biotechnol.74,257-275;Schlehuber,S.,and Skerra,A.(2002)Biophys.Chem.96,213-228)例えば、さらなるアミノ酸残基の置換が提示されている。PCT公開WO2006/56464は、低ナノモル範囲のCTLA-4に対する結合親和性を有するヒト好中球ゼラチナーゼ関連リポカリンのムテインについて開示する。
国際特許出願WO2005/19256は、異なるまたは同じ標的リガンドに対する少なくとも1つの結合部位を有する涙リポカリンのムテインについて開示し、ヒト涙リポカリンのそのようなムテインの生成のための方法を提供する。このPCT出願によると、特定のアミノ酸は、涙リポカリンの1次配列、特に、成熟ヒト涙リポカリンのアミノ酸7~14、24~36、41~49、53~66、69~77、79~84、87~98、及び103~110を含むループ領域内に伸び、結合親和性を有するムテインを生成するために変異導入を受ける。得られるムテインは、ナノモル範囲、ほとんどの場合、100nM超の選択されたリガンド(K)に対する結合親和性を有する。国際特許出願WO2008/015239は、IL-4受容体アルファを含む所与の非天然リガンドに結合する涙リポカリンのムテインについて開示する。結合親和性は、ナノモル範囲である。国際特許出願WO2011/154420は、ナノモル範囲でヒトIL-4受容体アルファに結合するヒト涙リポカリンの高親和性ムテイン及びそのような高親和性ムテインを生成するための方法について記載する。国際特許出願WO2013/087660は、IL-4/IL-13経路が喘息を含む疾患の病因に関与する障害を処置するためのヒト涙リポカリンのムテインの使用について記載する。
本発明は、喘息の最初のリポカリンベースの処置である抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)ヒト涙リポカリン、PRS-060/AZD1402のヒト内研究に基づいている。PRS-060/AZD1402のアミノ酸配列は、配列番号1として表20に示される。PRS-060/AZD1402は、IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)を拮抗し、吸入のために設計される。健常な対象において最初のヒト内研究を行って、吸入された単回漸増用量及び静脈内注入(IV)用量の安全性、忍容性、及び薬物動態(PK)を評価した。軽度の喘息を有する対象における2回目のヒト内研究を行って、吸入された複数回漸増用量の安全性、忍容性、及び薬物動態(PK)を評価した。AZD1402/PRS-060の吸入後、IL-4刺激性STAT6リン酸化(pSTAT6)の阻害により、全身ターゲットエンゲージメントを決定し、肺炎症のバイオマーカーである呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)を、局所の経肺ターゲットエンゲージメントの指標として測定した。
本明細書で提示される、これらの研究の結果に基づいて、本発明は、ヒト対象の喘息を処置するための方法を提供し、方法は、治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することを含み、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、1日1回、または1日2回投与されてもよい。
本発明は、さらに、ヒト対象の喘息を処置する方法に使用される、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを提供し、方法は、該対象に、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを吸引により投与するステップを含み、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、1日1回、または1日2回投与されてもよい。
加えて、本発明は、ヒト対象の喘息の処置に使用される薬品の製造のための配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその多様体もしくはフラグメントを含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインの使用を提供し、処置は、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することを含み、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、1日1回、または1日2回投与されてもよい。
本明細書に提示される、これらの研究の結果に基づいて、本発明は、ヒト対象の喘息を処置するための方法を提供し、方法は、少なくとも1日1回、配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその多様体もしくはフラグメントを含む治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインを該対象に吸入で投与することを含み、該リポカリンムテインの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。
本発明は、さらに、ヒト対象の喘息を処置する方法で使用される、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを提供し、方法は、少なくとも1日1回、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与するステップを含み、送達用量の該リポカリンムテインは、約0.1mg~約160mgである。
加えて、本発明は、ヒト対象の喘息の処置に使用される薬品を製造するための、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの使用を提供し、処置は、少なくとも1日1回、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することを含み、該リポカリンムテインの送達用量は、0.1mg~約160mgである。
いくつかの実施形態では、該リポカリンムテインまたはそのフラグメントもしくは多様体の送達用量は、約0.2mg~約60mgである。いくつかの実施形態では、該リポカリンムテインまたはそのフラグメントもしくは多様体の送達用量は、約0.6mg~約60mgである。
いくつかの実施形態では、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、該対象に投与される。いくつかの実施形態では、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、または少なくとも10日間該対象に投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、9日間で1日2回及び10日目で1日1回、対象に投与されてもよい。
いくつかの実施形態では、実施例に基づいて、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.1mg、約0.5mg、約2mg、約8mg、約24mg、約72mg、または約160mgである。
いくつかの実施形態では、実施例に基づいて、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.2mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgである。いくつかの実施形態では、送達用量は、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、送達用量は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、送達用量は、1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、実施例に基づいて、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.2mg、約0.6mg、約2mg、約6mg、約20mg、または約60mgである。いくつかの実施形態では、送達用量は、少なくとも1日1回投与される。いくつかの実施形態では、送達用量は、1日1回投与される。いくつかの実施形態では、送達用量は、1日2回投与される。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、実施例に示されるように、全身曝露を達成するのに十分である。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量により、実施例に示されるように、循環系に入る吸入リポカリンムテインの実質的な部分または検出可能な全身曝露がもたらされない。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、少なくとも約8mgである。リポカリンムテインの全身曝露は、本明細書に報告されるように、少なくとも約8mgの送達用量で観察された。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、少なくとも約6mgである。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。リポカリンムテインの全身曝露は、本明細書に報告されるように、少なくとも約6mgの送達用量で観察された。
他の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約2mgまたは約2mg未満である。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、約2mgまたは約2mg未満の送達用量でのリポカリンムテインの実質的な全身曝露はない。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインの全身曝露は、約2mgまたは約2mg未満の送達用量では検出できない。本明細書で報告されるように、送達用量が約2mg未満であった場合、投与後30日までに対象の血清中に検出可能なリポカリンムテインはない。それ故、この時間中には、検出不可能な全身曝露である。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.6mgまたは約0.6mg未満である。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、約0.6mgまたは約0.6mg未満の送達用量でのリポカリンムテインの実質的な全身曝露はない。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインの全身曝露は、約0.6mgまたは約0.6mg未満の送達用量では検出できない。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約0.6mg超且つ約2mg未満である。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。
いくつかの実施形態では、例えば、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量が、少なくとも8mgである場合、該対象にリポカリンムテインタンパク質またはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされた。
いくつかの実施形態では、例えば、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量が、少なくとも約6mgである場合、該対象にリポカリンムテインタンパク質またはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされた。他の実施形態では、例えば、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、約2mgまたは約2mg未満である場合、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の有意の阻害がもたらされない。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。
特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされ得る。一実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約20%の阻害がもたらされ得る。他の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、例えば、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量が約2mgまたは約2mg未満である場合、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の有意の阻害がもたらされない。
特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされ得る。一実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約20%の阻害がもたらされ得る。他の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、例えば、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量が約0.6mgまたは約0.6mg未満である場合、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の有意の阻害がもたらされない。
リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの投与により、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の有意の阻害がもたらされない任意の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満の阻害がもたらされ得る。
ヒト対象の喘息を処置する方法が本明細書で開示され、方法は、治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することを含み、送達用量の該リポカリンムテインにより、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされ得る。一実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約20%の阻害がもたらされ得る。
ヒト対象の喘息を処置する方法も本明細書で開示され、方法は、治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することを含み、送達用量の該リポカリンムテインにより、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の有意の阻害がもたらされない。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。
リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの投与により、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の有意の阻害がもたらされない任意の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満の阻害がもたらされ得る。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約10nM以下、約5nM以下、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、約1nM以下、または約0.5nM以下のIC50のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされ得る。特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、図3に示されるように、約0.35nMのIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化が阻害される。特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、図11に示されるように、約0.306nMのIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化が阻害される。特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、図15に示されるように、約0.30nMのIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化が阻害される。
表1に示されるように、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するリポカリンムテインにより、約1.3nMのIC50で、in vitroでCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化が阻害される。
ヒト対象の喘息を処置するための方法が、本明細書で開示され、方法は、治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に吸入で投与することを含み、送達用量の該リポカリンムテインにより、約10nM以下、約5nM以下、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、約1nM以下、または約0.5nM以下のIC50の、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回、対象に投与される。特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約0.35nMのIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化が阻害される。特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約0.306nMのIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化が阻害される。特定の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約0.30nMのIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化が阻害される。
本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれにおいても、リポカリンムテインまたはそのフラグメントもしくは多様体は、吸入後の対象において約3時間~約7時間の半減期(t1/2)を有し得る。これらの値は、標準偏差を考慮して、表7で提供されるデータに基づく。
比較として、静脈内投与後、表8に示されるデータに基づいて、リポカリンムテインは、約1.5~2.5時間の半減期(t1/2)を有し得る。
本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれにおいても、対象への投与後のリポカリンムテインのピーク血清濃度(Cmax)は、約6ng/ml~約400ng/mlであってよい。これらの値は、標準偏差を考慮して、コホート4~7について表7に示されるデータに基づく。
本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれにおいても、対象への投与後の該リポカリンムテインの経時的な血清濃度(AUCinf)は、約60h*ng/ml~約5000h*ng/mlである。これらの値は、標準偏差を考慮して、コホート4~7について表7に示されるデータに基づく。
薬物動態学関連の略語(例えば、Cmax及びAUCinf)、ならびに、その意味の説明が以下の表19で提供される。
本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれにおいても、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを対象に投与した後、該対象の呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が低減し得る。特定の実施形態では、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを対象に投与した後、FeNOは、対照対象と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減し得、該対照対象は、該リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与されていないヒト対象である。対照対象は、同じ対象(リポカリンムテインの投与前にFeNOが評価される)または任意のリポカリンムテインを投与されていない異なる対象であってよい。一実施形態では、対照対象は、プラセボを投与されていてもよい。好適なプラセボは、生理学的に緩衝された食塩水、例えば、リポカリンムテインを製剤化するために使用される溶液、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、を含んでもよい。
本明細書に提示されたデータは、(処置)対象の血清中に該リポカリンムテインの検出可能な全身曝露がない場合でさえ、FeNOが減少し得ることを実証する。これは、リポカリンムテインの検出可能な全身曝露することなく、バイオマーカーとしてFeNOを使用して評価されるように、局所的な炎症の低減が達成され得ることを示し得る。それ故、約2mgまたは約2mg未満のリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量により、吸入リポカリンの実質的な部分が循環器系に入らない局所肺曝露または検出可能な全身曝露の結果として、FeNOの低減がもたらされ得る。従って、約2mgまたは約2mg未満のリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、ヒト喘息患者に臨床的利点を提供し得る。それ故、約0.6mgまたは約0.6mg未満のリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量により、吸入リポカリンの実質的な部分が循環器系に入らない局所肺曝露または検出可能な全身曝露の結果として、FeNOの低減がもたらされ得る。従って、約0.6mgまたは約0.6mg未満のリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量は、ヒト喘息患者に臨床的利点を提供し得る。
本明細書に記載の本発明の実施形態のいずれにおいても、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、対象に噴霧で投与されてもよい。
リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントが噴霧で投与される場合、公称用量または定量用量(ネブライザー中のリポカリンムテインの用量である)は、約0.25mg~約400mgである。これは、本明細書に記載の実施例で使用されるInnoSpire Goネブライザー(Philips)に存在する公称用量または定量用量である。本明細書に記載のように、異なるデバイスが吸入による投与のために利用可能であり、リポカリンムテインを投与するために使用される特定のデバイス中の公称用量または定量用量に基づく本発明による送達用量を容易に決定可能であることを、当業者は理解するであろう。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの公称用量は、少なくとも約20mgである。リポカリンムテインの全身曝露が、本明細書で報告されるように、少なくとも約20mgの公称用量で観察され、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に投与すると、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの公称用量は、少なくとも約15mgである。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回対象に投与される。リポカリンムテインの全身曝露が、本明細書で報告されるように、少なくとも約15mgの公称用量で観察され、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを該対象に投与すると、該対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる。
他の実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの公称用量は、約5mgまたは約5mg未満である。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回対象に投与される。いくつかの実施形態では、約5mgまたは約5mg未満の公称用量でのリポカリンムテインの実質的な全身曝露はない。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインの全身曝露は、約5mgまたは約5mg未満の公称用量では検出可能でない。本明細書で報告されるように、公称用量が約5mg未満である場合、投与後30日間測定された(処置)対象の血清中に検出可能なリポカリンムテインはなく、それ故、この期間中の全身曝露は検出不可能であった。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの公称用量は、約1.5mgまたは約1.5mg未満である。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回対象に投与される。いくつかの実施形態では、約1.5mgまたは約1.5mg未満の公称用量でのリポカリンムテインの実質的な全身曝露はない。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインの全身曝露は、約1.5mgまたは約1.5mg未満の公称用量では検出可能でない。本明細書で報告されるように、公称用量が約1.5mg未満である場合、投与後30日間測定された(処置)対象の血清中に検出可能なリポカリンムテインはなく、それ故、この期間中の全身曝露は検出不可能であった。
いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの公称用量は、約1.5mg超且つ約5mg未満である。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、少なくとも1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日1回、対象に投与される。いくつかの実施形態では、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントは、1日2回対象に投与される。
ここで、本発明の原理を説明する実施形態及び実験は、以下の添付の図を参照して検討されることになる。
IL-4Rαに特異的なリポカリンムテイン(配列番号1を有するPRS-060/AZD1402)をin vitroで添加すると、全血中のIL-4シグナル伝達が阻害され、IL-4刺激により誘導されるSTAT6リン酸化(pSTAT6)(図1A)及びエオタキシン-3(図1B)、TARC(図1C)、ならびにMDC(図1D)産生のレベルを低減させる。リポカリンムテインは、これらの機能的なin vitroアッセイにおいて、参照IL-4Rα抗体(デュピルマブ)と同様の効力を有する。デュピルマブは、IL-4及びIL-13受容体のインターロイキン-4受容体サブユニットα(IL-4Rα)に対する完全ヒトIg4モノクローナル抗体である。それは、通常、皮下注射で投与され、米国で、アトピー性皮膚炎及び中等度から重度の好酸球性喘息の処置用に承認される。 異なる送達用量で吸入PRS-060/AZD1402(配列番号1を有する)を投与された対象のIL-4で刺激された全血におけるSTAT6リン酸化(pSTAT6)のex vivo阻害を示す。 吸入PRS-060/AZD1402(配列番号1を有する)を投与された対象のIL-4で刺激された全血におけるSTAT6リン酸化(pSTAT6)のex vivo阻害を示す。STAT6リン酸化の用量依存的阻害が観察され、IC50値は、0.35nMであった。 健常な対象において経口吸入により投与されたPRS-060/AZD1402(配列番号1として示される)の単回投与の薬物動態分析の結果を提供する。吸入PRS-060/AZD1402の全身曝露は、8.00mg以上の送達用量で観察された。平均血清PRS-060/AZD1402濃度は、用量の漸増とともに増加した。吸入後の血清PKのゆっくりとした低下が観察され、これは、吸収による排泄を示す。この図は、線形スケール(PK集団)のコホート4~7のみにおける、吸入PRS-060/AZD1402の平均(SD)血清濃度、対、時間プロファイルを示す。SD=標準偏差、PK=薬物動態。 健常な対象において経口吸入により投与されたPRS-060/AZD1402(配列番号1として示される)の単回投与の薬物動態分析の結果を提供する。吸入PRS-060/AZD1402の全身曝露は、8.00mg以上の送達用量で観察された。平均血清PRS-060/AZD1402濃度は、用量の漸増とともに増加した。吸入後の血清PKのゆっくりとした低下が観察され、これは、吸収による排泄を示す。この図は、対数-線形スケール(PK集団)のコホート4~7のみにおける、吸入PRS-060/AZD1402の平均(SD)血清濃度、対、時間プロファイルを示す。SD=標準偏差、PK=薬物動態。 健常な対象に静脈内投与により投与されたPRS-060/AZD1402(配列番号1として示される)の単回投与の薬物動態分析の結果を提供する。PRS-060/AZD1402の平均血清レベルは、吸入用量を投与された対象で観察されたものの約半分のt1/2の急激な排泄相を示した。この図は、線形スケール(PK集団)のコホート8(1mg)及びコホート9(2mg)における静脈内投与後のPRS-060/AZD1402の平均(SD)血清濃度、対、時間プロファイル度を示す。SD=標準偏差、PK=薬物動態。 健常な対象に静脈内投与により投与されたPRS-060/AZD1402(配列番号1として示される)の単回投与の薬物動態分析の結果を提供する。PRS-060/AZD1402の平均血清レベルは、吸入用量を投与された対象で観察されたものの約半分のt1/2の急激な排泄相を示した。この図は、対数-線形スケール(PK集団)のコホート8(1mg)及びコホート9(2mg)における静脈内投与後のPRS-060/AZD1402の平均(SD)血清濃度、対、時間プロファイルを示す。SD=標準偏差、PK=薬物動態。 プラセボ群ならびに2mg、6mg、及び20mgの送達用量に対するベースラインからの呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)の平均変化率を示す。群平均は、ベースラインからのlog(FeNO)の変化に基づいて計算され、線形スケールに逆変換され、パーセンテージとして表される。 1日2回の2、6、及び20mgのPRS-060/AZD1402の送達用量の後の血清平均曝露プロファイルを示す。 異なる送達用量(2.0mg、6.0mg、及び20mg)で吸入PRS-060/AZD1402(配列番号1を有する)を投与された対象のIL-4で刺激された全血におけるSTAT6リン酸化(pSTAT6)のex vivo阻害を示す。 吸入PRS-060/AZD1402(配列番号1を有する)を投与された対象のIL-4で刺激された全血におけるSTAT6リン酸化(pSTAT6)のex vivo阻害を示す。STAT6リン酸化の用量依存的阻害が観察され、IC50値は、0.306nMであった。 プラセボ群(n=12)及びコホート1~4の投与群のベースラインに対するFeNOの平均変化率を示す。群平均は、ベースラインからのlog(FeNO)の変化に基づいて計算され、線形スケールに逆変換され、パーセンテージとして表される。 1日2回の2、6、20、及び60mgのPRS-060/AZD1402を送達用量の後の血清中央値曝露プロファイルを示す。 異なる送達用量(2.0mg、6.0mg、20mg、及び60mg)で吸入PRS-060/AZD1402(配列番号1を有する)を投与された対象のIL-4で刺激された全血におけるSTAT6リン酸化(pSTAT6)のex vivo阻害を示す。 吸入PRS-060/AZD1402(配列番号1を有する)を投与された対象のIL-4で刺激された全血におけるSTAT6リン酸化(pSTAT6)のex vivo阻害を示す。STAT6リン酸化の用量依存的阻害が観察され、IC50値は、0.30nMであった。 実施例4のコホート1~4にのみ対応するMAD研究計画を示す。示される用量は、PRS-060/AZD1402の複数デバイス用量(b.i.d.(1日2回)の送達用量)である。b.i.d.用量は、12時間間隔で投与される。AZD1402/PRS-060の初回投与またはマッチングプラセボを投与される1日前である、-1日目に、参加者を評価して適格性を確認した。参加者は、病院/研究サイトにチェックインし、治験薬の最後の投与(10日目)の48時間後(12日目)にチェックアウトするまで病院/研究サイトに留まった。9日間1日2回、10日目に1回投与の2mg~60mgの送達用量で、InnoSpire Goネブライザーを使用して、治験薬を投与した。スクリーニングから研究後のフォローアップ訪問までの研究期間は、各参加者について約9週間であった。 実施例2のSAD研究計画を示す。
本発明の態様及び実施形態は、ここで添付の図を参照して検討されるだろう。さらなる態様及び実施形態は、当業者らには明らかであろう。このテキストで言及される全ての文書は、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、ヒト対象の喘息を処置する方法に関する。喘息は、肺の炎症、粘液分泌過多、可変気道閉塞、及び気道リモデリングを含む、様々な病原性特徴を特徴とする慢性の複雑で不均一な呼吸器疾患である。それは、経時的に及び重症度が変化する喘鳴、息切れ、及び咳を含む呼吸器症状の病歴により定義される。症状及び気道閉塞の両方は、運動、吸入された刺激物もしくはアレルゲンへの曝露、または呼吸器感染症を含む様々な要因により引き起こされ得る。患者は、喘息の悪化(憎悪)のリスクがある。喘息のこれらの増悪は、生命に危険を及ぼす可能性があり、患者の生活の質に著しく影響を及ぼし得る。ほとんどの喘息患者の処置は、管理者の処置計画及び気管支拡張薬療法で構成される。吸入コルチコステロイド(ICS)は、喘息の症状を制御する上での「ゴールドスタンダード」とみなされており、長時間作用型ベータ作動薬(LABA)は、現在利用可能な最も効果的な気管支拡張薬である。経口コルチコステロイドは、依然として、重度の喘息の標準治療であるが、重大な副作用と関連するが、抗IgEモノクローナル抗体であるオマリズマブ;抗IL-5抗体であるベンラリズマブ、メポリズマブ及びレスリズマブ、ならびにIL-4Rα及びIL-13のモノクローナル抗体ブロッカーであるデュピルマブ(US)は、重症患者にわずかな数の選択肢を提供する。さらに、患者は、多くの場合、依然として、ICS/LABA及びわずかな数の代替療法でさえも制御されず、満たされていない重要なニーズが強調される。
インターロイキン-4、インターロイキン-13、インターロイキン-4-受容体アルファ、及びシグナル伝達兼転写活性化因子-6は、喘息における気道炎症、粘液産生、及び気道過敏性の発症における重要な構成要素である。
喘息を処置する方法は、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む治療有効量の抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体またはフラグメントを投与することを含む。
「治療有効量」は、それが投与される効果を生じる用量を意味する。本明細書に記載されるリポカリンムテインの「治療有効量」は、年齢、体重、全体的な健康状態、性別、食事、投与時間、薬物相互作用、及び必要となり得且つ当業者らによる所定の実験で確認可能となる状態の重症度などの因子に応じて変動し得る。治療的に有効な量は、また、本出願で使用される場合、任意のリポカリンムテインの毒性または有害な影響を治療的に有益な効果が上回るものである。
インターロイキン-4受容体アルファ鎖(IL-4Rα)は、B細胞におけるIgE抗体産生を調節するためにインターロイキン4及びインターロイキン13に結合し得るI型膜貫通タンパク質である。T細胞の中で、コードされたタンパク質は、また、Th2細胞の分化を促進するためにインターロイキン4に結合し得る。
IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)、特に、ヒトIL-4Rαに特異的なリポカリンムテインは、国際特許公開WO2008/015239、WO2011/154420、及びWO2013/087660で開示される。ヒトインターロイキン-4受容体アルファ鎖は、配列番号4として示されるSWISS PROTデータバンクアクセッション番号P24394またはそのフラグメントのアミノ酸配列を有してもよい。ヒトインターロイキン-4受容体アルファ鎖のフラグメントの実例は、IL-4受容体アルファのアミノ酸26~232を含む。
配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するIL-4Rα特異的リポカリンムテインは、ヒト涙リポカリンのムテインである。
本明細書で使用される場合、「ムテイン」は、天然に存在する(野生型)核酸またはタンパク質の「参照」足場(好ましくは、配列番号3として示される成熟ヒト涙リポカリン)と比較して、1つ以上のヌクレオチドまたはアミノ酸の置換、欠失、または挿入を指す。該「参照足場」は、また、本明細書に記載されるムテインまたはそのフラグメントもしくは多様体を含む。
ヒト涙リポカリンのアミノ酸配列は、配列番号2に示されるSWISS-PROTデータバンクアクセッション番号P31025で提供される。成熟ヒト涙リポカリンは、SWISS-PROTアクセッション番号P31025の配列に含まれるN末端シグナルペプチドを含まず、すなわち、それは、SWISS-PROTアクセッション番号P31025の配列に含まれるN末端シグナルペプチド(アミノ酸1~18)を欠く。成熟ヒト涙液リポカリンのアミノ酸配列は、配列番号3に示される。
本発明で使用されるリポカリンムテインは、配列番号1を含むか、またはその多様体もしくはフラグメントである。配列番号1として示されるリポカリンムテインは、配列番号3として示される成熟ヒト涙リポカリンの多様体であり、これは、最初の4つのアミノ酸を欠き、とりわけ、配列番号3として示される成熟ヒト涙リポカリンのアミノ酸配列の配列位置に対応する位置に以下のアミノ酸置換を含む:Arg26→Ser、Glu27→Arg、Phe28→Cys、Glu30→Arg、Met31→Ala、Asn32→Val、Leu33→Tyr、Glu34→Asn、Met55→Ala、Leu56→Gln、Ile57→Arg、Ser58→Lys、Cys61→Trp、Glu63→Lys、Asp80→Ser、Lys83→Arg、Glu104→Leu、Leu105→Cys、His106→Pro、及びLys108→Gln。
本発明で使用されるリポカリンムテインは、配列番号1を含むか、またはその多様体もしくはフラグメントである。配列番号1として示されるリポカリンムテインは、配列番号3として示される成熟ヒト涙リポカリンの多様体であり、これは、最初の4つのアミノ酸を欠き、とりわけ、配列番号3として示される成熟ヒト涙リポカリンのアミノ酸配列の配列位置に対応する位置に以下のアミノ酸置換を含む:Arg26→Ser、Glu27→Arg、Phe28→Cys、Glu30→Arg、Met31→Ala、Asn32→Val、Leu33→Tyr、Glu34→Asn、Val53→Phe、Met55→Ala、Leu56→Gln、Ile57→Arg、Ser58→Lys、Cys61→Trp、Glu63→Lys、Val64→Tyr、Ala66→Leu、Asp80→Ser、Lys83→Arg、Tyr100→His、Cys101→Ser、Glu104→Leu、Leu105→Cys、His106→Pro、Lys108→Gln、Arg111→Pro、Lys114→Trp、及びCys153→Ser。
本明細書で使用される場合、「多様体」という用語は、例えば、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列の置換、欠失、挿入、及び/または化学修飾による変異を含むタンパク質またはポリペプチドの誘導体に関する。いくつかの実施形態では、そのような変異及び/または化学修飾は、タンパク質またはペプチドの機能性を低減させない。そのような置換は、保存的であり得、すなわち、アミノ酸残基は、化学的に類似したアミノ酸残基で置換される。保存的置換の例は、以下の群のメンバー間の置換である:1)アラニン、セリン、及びスレオニン;2)アスパラギン酸及びグルタミン酸;3)アスパラギン及びグルタミン;4)アルギニン及びリジン;5)イソロイシン、ロイシン、メチオニン、及びバリン;ならびに、6)フェニルアラニン、チロシン、及びトリプトファン。そのような多様体は、タンパク質またはポリペプチドを含み、1つ以上のアミノ酸は、それぞれのD-立体異性体で、または天然に存在する20のアミノ酸以外のアミノ酸、例えば、オルニチン、ヒドロキシプロリン、シトルリン、ホモセリン、ヒドロキシリジン、ノルバリンなど、で置換されている。そのような多様体は、また、例えば、1つ以上のアミノ酸残基がN末端及び/またはC末端に付加または欠失する、例えば、N末端から4つのアミノ酸及び/またはC末端から2つのアミノ酸を欠失する、タンパク質またはポリペプチドを含む。一般に、多様体は、天然配列タンパク質またはポリペプチドと、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有する。多様体は、好ましくは、それが由来するタンパク質またはポリペプチドの生物学的活性、例えば、同じ標的への結合、を保持する。
従って、本発明による配列番号1に記載のアミノ酸を含むリポカリンムテインの多様体は、配列番号1として示されるアミノ酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有し、IL-4受容体アルファ、特に、ヒトIL-4Rα、またはそのフラグメントに結合する能力を保持する。好ましくは、リポカリンムテインの多様体は、IL-4がIL-4Rαに結合するのを阻害することが可能である。
いくつかの実施形態では、本発明による配列番号1に示されるアミノ酸を含むリポカリンムテインの多様体は、配列番号3として示される成熟ヒト涙リポカリンのアミノ酸配列と、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約72%、少なくとも約74%、少なくとも約75%、少なくとも約76%、少なくとも約77%、少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約92%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有し、IL-4受容体アルファ、特に、ヒトIL-4Rα、またはそのフラグメントに結合する能力を保持する。好ましくは、リポカリンムテインの多様体は、IL-4がIL-4Rαに結合するのを阻害することが可能である。
本明細書で使用される場合、「配列同一性」または「同一性」という用語は、類似性または関係を測定する配列の特性を表す。本開示で使用される「配列同一性」または「同一性」という用語は、本開示のタンパク質またはポリペプチドの配列の(これらの2つの配列の長い方の残基数に対して)問題の配列との(相同な)アラインメント後の、ペアワイズ同一残基のアラインメントのパーセンテージを意味する。配列同一性は、同一のアミノ酸残基の数を残基の総数で除し、結果に100を乗ずることにより測定される。
当業者は、標準パラメーターを使用して配列同一性を決定するための利用可能なコンピュータープログラム、例えば、BLAST(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,1997)、BLAST2(Altschul et al.,J Mol Biol,1990)、FASTA(Pearson and Lipman(1988)の方法を使用)、上掲のAltschul et al.(1990)のTBLASTNプログラム、GAP(Wisconsin GCG package、Accelerys Inc、米国サンディエゴ)、及びSmith-Waterman(Smith and Waterman,J Mol Biol,1981)を認識するであろう。配列同一性のパーセンテージは、例えば、プログラムBLASTP、バージョン2.2.5、2002年11月16日(Altschul et al.,Nucleic Acids Res,1997)を使用して本明細書で決定することができる。この実施形態では、相同性のパーセンテージは、好ましくは、ペアワイズ比較の参照として野生型タンパク質足場を使用して、ポリペプチド配列を含む、全タンパク質またはポリペプチド配列(マトリックス:BLOSUM 62;ギャップコスト:11.1;10-3に設定されたカットオフ値)のアラインメントに基づく。それは、アラインメント用プログラムで選択されたアミノ酸の総数で除した、BLASTPプログラムアウトプットの結果として示された「陽性」(相同アミノ酸)の数のパーセンテージとして計算された。配列の同一性は、一般に、アルゴリズムGAP(Wisconsin GCGパッケージ、Accelerys Inc、米国サンディエゴ)を参照して定義される。GAPは、2つの完全配列をアラインして、マッチの数を最大化し、ギャップ数を最小化するNeedleman and Wunschアルゴリズムを使用する。これは、アミノ酸の付加または欠失の結果であるアラインメントのスペースである。一般に、ギャップ生成ペナルティが12に等しく、ギャップ伸長ペナルティが4に等しいデフォルトパラメーターが使用される。
具体的には、リポカリン(ムテイン)のアミノ酸配列のアミノ酸残基が、配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するリポカリンムテインと異なるかどうかを決定するために、当業者は、当該技術分野で周知の手段及び方法、例えば、手動でのアラインメント、あるいはBasic Local Alignment Search Toolを代表するBLAST2.0もしくはClustalWなどのコンピュータープログラム、または配列アラインメントを生成するのに適する任意の他の好適なプログラムの使用によるアラインメントを使用し得る。従って、配列番号1は、「参照配列」として機能するが、本明細書に記載の配列番号1として示されるアミノ酸配列を有するリポカリンムテインとは異なるリポカリンのアミノ酸配列は、「クエリ配列」として機能する。
本開示のリポカリンムテインと関連して本明細書で使用される「フラグメント」という用語は、N末端及び/またはC末端が切断されている、すなわち、N末端及び/またはC末端アミノ酸の少なくとも1つを欠いている、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含むリポカリンムテインに由来するタンパク質またはペプチドに関する。そのようなフラグメントは、最大1、最大2、最大3、最大4、最大5、最大10、最大15、最大20、最大25、または最大30(間の全ての数を含む)のN末端及び/またはC末端アミノ酸を欠いていてもよい。実例として、そのようなフラグメントは、1つ、2つ、3つ、もしくは4つのN末端及び/または1つもしくは2つのC末端アミノ酸を欠いていてもよい。フラグメントは、好ましくは、全長リポカリン(ムテイン)の機能的フラグメントであることが理解され、このことは、それが、由来する全長リポカリン(ムテイン)の結合ポケットを含むことが好ましいことを意味する。実例として、そのような機能的フラグメントは、成熟ヒト涙リポカリンの線形ポリペプチド配列に対応する5~158、1~156、5~156、5~153、26~153、5~150、9~148、12~140、20~135、または26~133位に少なくともアミノ酸を含んでもよい。そのようなフラグメントは、配列番号1として示される配列の少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、または少なくとも100の連続アミノ酸を含んでもよく、通常、配列番号1のアミノ酸配列を有するリポカリンムテインのイムノアッセイにおいて検出可能である。フラグメントは、配列番号1として示されるアミノ酸配列と、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有してもよい。好ましくは、フラグメントは、IL-4受容体アルファ、特に、ヒトIL-4Rα、またはそのフラグメントに結合する能力を保持する。好ましくは、リポカリンムテインのフラグメントは、IL-4がIL-4Rαに結合するのを阻害することが可能である。
本開示の対応する標的IL-4Rαに対するフラグメント(25残基のシグナルペプチドを含まないUniProt P24394に記載され且つ配列番号4として示される)は、N末端及び/またはC末端が切断されたIL-4RαまたはIL-4Rαのタンパク質ドメインを指す。本明細書に記載のIL-4Rαのフラグメントは、本開示のリポカリンムテインにより認識及び/または結合されるべき全長IL-4Rαの能力を保持する。実例として、フラグメントは、配列番号5として示されるUniProt P24394のアミノ酸残基26~232を含む細胞外ドメインなどのIL-4Rαの細胞外ドメインであってよい。
本発明によるリポカリンムテインは、ヒト対象に吸入で投与される。本明細書で使用される場合、吸入による投与は、通常、経口吸入による、リポカリンムテインの投与を指す。リポカリンムテインは、噴霧された液体エアロゾルまたは液体スプレーの形態であってよい。リポカリンムテインは、噴霧で投与されてもよい。
リポカリンムテインの吸入投与のための手段及びデバイスは、当業者に既知である。そのような手段及びデバイスは、ネブライザー及び非加圧定量吸入器を含む。リポカリンムテインの吸入投与の送達に適する他の手段及びデバイスも当該技術分野で既知である。
ネブライザーは、肺に吸入されるミストの形態の治療薬を投与するために使用される薬物送達デバイスである。様々なタイプのネブライザーは、当業者に既知であり、ジェットネブライザー、超音波ネブライザー、及び振動メッシュ技術を含む。噴霧溶液の連続フローを提供するネブライザーもあれば(すなわち、ネブライザーは、対象がそれから吸入するのかどうかに関わらず、長期間にわたって連続噴霧を提供することになる)、呼吸作動されるネブライザーもある(すなわち、対象が、それから吸入する場合にのみ、一部の用量を得る)。
ソフトミスト吸入器としても既知の非加圧定量吸入器(MDI)は、液体エアロゾル化された治療薬の短いバーストの形態で、特定量の治療薬を肺に送達するデバイスである。そのような定量吸入器は、通常、3つの主要な構成要素で構成される:投与されるべき製剤を含む容器、計量された量の製剤を各動作で出すことを可能にする絞り弁、及び患者がデバイスを操作して、患者の肺に液体エアロゾルを導くことを可能にする作動装置(またはマウスピース)。
本発明で使用されるリポカリンムテインは、通常、特定の結合メンバーに加えて少なくとも1つの構成成分を含み得る医薬組成物の形態で投与されるであろう。従って、本発明に従って使用するための医薬組成物は、有効成分に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝液、安定剤、または当業者らに周知の他の材料を含んでもよい。そのような材料は、無毒でなければならず、活性成分の有効性を妨げてはならない。例えば、本発明に従って使用されるリポカリンムテインは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)の水溶液の形態で製剤化されてもよい。
リポカリンムテインを含む医薬組成物は、単独でまたは他の治療薬と組み合わせて、同時にまたは連続して投与されてもよい。
本明細書に開示の喘息を処置するための方法では、該リポカリンムテインの送達用量は、約0.1mg~約160mgである。「送達用量」は、対象に送達されるリポカリンムテインの用量、すなわち、デバイスを適用する時に吸入デバイスから出てくる用量、を指す。例えば、最終的な総量が噴霧されないため、ネブライザーは、意図的に過剰に充填されるであろう。ネブライザーの場合、送達用量は、通常、公称用量の50%未満であり、公称用量は、デバイスに充填されるリポカリンムテインの用量である。公称用量は、定量用量としても既知である。当業者は、吸入デバイスから出てくるリポカリンムテインの量を決定することにより、送達用量を容易に決定し得る。例えば、「送達用量」を実験的に測定するために使用される方法は、欧州薬局方9.0のセクション2.9.44で提供される。
本明細書に記載のSAD研究(実施例2)において、ネブライザーに充填された0.25mg、1.25mg、5mg、20mg、60mg、180mg、及び400mgの公称(または定量)用量は、それぞれ、0.1mg、0.5mg、2.0mg、8.0mg、24mg、72mg、及び160mgの送達用量と相関する。
噴霧器に充填され、本明細書に記載のMAD研究(実施例3及び実施例4)で1日2回投与される0.5mg、5mg、15mg、50mg、及び150mgの公称(または定量)用量は、それぞれ、1日2回の0.2mg、2.0mg、6.0mg、20mg、及び60mgの送達用量と相関する。1.5mgの公称用量または定量用量は、0.6mgの送達用量と相関する。
本明細書に提示されるSAD研究(実施例2)の結果は、全身曝露がリポカリンムテインの少なくとも約8mgの送達用量で生じるが、約2mg以下の送達用量では、検出可能な全身曝露が観察されないことを示す。
本明細書に提示されるMAD研究(実施例3)のコホート1~3の結果は、全身曝露がリポカリンムテインの少なくとも約6mgの送達用量で生じるが、約2mgまたは約2mg以下の送達用量では、検出可能な全身曝露が観察されないことを示す。
本明細書に提示されるMAD研究(実施例4)のコホート1~5の結果は、全身曝露がリポカリンムテインの少なくとも約6mgの送達用量で生じるが、約2mgまたは約2mg以下の送達用量では、検出可能な全身曝露が観察されないことを示す。
本明細書で使用される場合、「全身曝露」手段は、吸入リポカリンムテインの実質的な部分が、循環系に入ること、任意に、体全体がリポカリンムテインにより影響され得ることを意味する。全身曝露は、循環器系に入るリポカリンムテインの量が定量化可能であることを意味し得る。全身曝露は、定量化可能な血流に入るリポカリンムテインの濃度と同等であり得る。この曝露は、リポカリンムテインの血液(血清、血漿、または全血)中濃度で表すことができ、これは、経時的に測定し、曲線下面積(AUC)を含む一連のパラメーターで記録することができる。リポカリンムテインへの全身曝露は、また、バイオマーカーに影響を及ぼし得、このレベルは、リポカリンムテインの濃度に、それ故、全身曝露、に直接相関し得る。「定量化可能」または「検出可能」という用語は、全身曝露と関連して使用される場合、リポカリンムテインの血液(血清、血漿、または全血)中濃度により、または当該技術分野で既知の1つ以上の分析方法で測定可能なバイオマーカーのレベルにより表される曝露を指す。そのような分析方法は、ELISA、競合ELISA、蛍光滴定、熱量測定法、質量分析(MS)、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィー法を含むが、これらに限定されない。また、測定は、そのような分析方法を使用して実施される測定値は、検出限界、例えば、機器の検出限界、方法の検出限界、及び定量の限界、と関連することが理解される。
本明細書で提示されるMAD研究(実施例3)のコホート1~3の結果は、約2mgまたは約2mg未満のリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量により、吸入リポカリンの実質的な部分が循環器系に入らないまたは検出可能な全身曝露を伴わない局所肺曝露の結果として、FeNOの低減がもたらされ得ることを示す。
本明細書で提示されるMAD研究(実施例4)のコホート1~4の結果は、約2mgまたは約2mg未満のリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量により、吸入リポカリンの実質的な部分が循環器系に入らないまたは検出可能な全身曝露を伴わない局所肺曝露の結果として、FeNOの低減がもたらされ得ることを示す。
本明細書で提示されるMAD研究(実施例4)のコホート1~5の結果は、約2mgまたは約2mg未満であるが0.2mg超のリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量により、吸入リポカリンの実質的な部分が循環器系に入らないまたは検出可能な全身曝露を伴わない局所肺曝露の結果として、FeNOの低減がもたらされ得ることを示す。約2mgまたは約2mg未満であるが約0.6mgまたは約0.6mg超であるリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量により、吸入リポカリンの実質的な部分が循環器系に入らないまたは検出可能な全身曝露を伴わない局所肺曝露の結果として、FeNOの低減がもたらされ得る。
本明細書で使用される場合、「局所曝露」は、肺中の標的と相互作用するのに十分なレベルの吸入リポカリンムテインが肺中に存在することを意味する。これは、血中の検出可能なターゲットエンゲージメント、または血中もしくは血清中の測定可能な濃度のリポカリンムテインなしで生じ得る。吸入用量レベルが増加するにつれて、肺ターゲットエンゲージメントのレベルが、増加し得、これは、血中ターゲットエンゲージメントの実質的な阻害及び血中または血清中のリポカリンムテインの測定可能な濃度とも関連し得る。「局所肺曝露」という用語は、肺ターゲットエンゲージメントの関与する吸入リポカリンムテインの肺濃度を指す。呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)の低減は、十分な「局所曝露」が達成されているかどうかを判断するために使用されてもよい。他のいくつかの場合、特に、対象がヒトである場合、肺中に残っているリポカリンムテインの量を直接測定することが困難であるので、「局所曝露」または「局所肺曝露」の決定は、循環器系に入るリポカリンムテインの量を決定することにより間接的に実施されてもよい。
CD3+T細胞集団におけるSTAT6のリン酸化は、リポカリンムテインの全身曝露のマーカーとして使用されてもよい。STAT6リン酸化(pSTAT6)の決定は、当業者に既知の任意の好適な方法により実施されてもよい。例えば、対象へのリポカリンムテインの投与後、全血を対象から採取し、実施例セクションに記載されるように、CD3+T細胞亜集団においてIL-4で刺激し、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用してpSTAT6を評価してもよい。対象へのリポカリンムテインの投与後のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害は、リポカリンムテインの全身曝露を示す。リポカリンムテインによるCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害率は、例えば、いかなるリポカリンムテインも投与されていない対照対象と比較して決定されてもよい。これは、同じ対象(CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化がリポカリンムテインの投与前に評価されている)またはいかなるリポカリンムテインも投与されていない別の対象であってよい。
CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害は、リポカリンムテインの半数最大阻害濃度であるIC50値、すなわち、CD3+T細胞の50%でIL-4刺激性STAT6リン酸化を阻害するために必要な、血漿中で測定されるリポカリンムテインの濃度、を決定することにより評価されてもよい。リポカリンムテインのIC50は、用量反応曲線を作成し、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の逆転に対する様々な濃度のリポカリンムテインの効果を試験することにより決定することができる。IC50値は、IL-4を用いる刺激後のCD3+T細胞の半分でSTAT6リン酸化を阻害するために必要なリポカリンムテインの濃度を決定することにより計算することができる。CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の検出不可能であるか、または有意な阻害がないということは、循環系に入る吸入リポカリンムテインまたは検出可能な全身曝露の実質的な部分がないことを意味し得る。
呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)は、喘息の処置におけるリポカリンムテインの効果を判定するマーカーとして使用されてもよい。当業者は、既知の技術を使用してFeNOを容易に測定することが可能になり、例えば、FeNO試験は、手持ち式の監視装置に取り付けられたマウスピースにゆっくりと着実に息を吐き出す患者により行われる。読み値は、監視装置に表示され、FeNO試験の結果は、気道の炎症の程度を示す。一般に使用されるFeNO試験は、American Thoracic Society(ATS)2005試験である。
リポカリンムテインによるFeNOの低減率は、例えば、いかなるリポカリンムテインを投与されていない対照対象と比較して決定されてもよい。これは、同じ対象(リポカリンムテインの投与前にFeNOが評価される)またはいかなるリポカリンムテインも投与されていない異なる対象であってよい。プラセボは、この異なる対象に投与されていることがある。
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈に別途要求のない限り、「含む(comprise)」及び「含む(include)」という単語、ならびに「含む(comprises)」、「含むこと(comprising)」、及び「含むこと(including)」などの変形形態は、所定の完全体もしくはステップまたは完全体もしくはステップの群を含むが、任意の他の完全体もしくはステップまたは完全体もしくはステップの群を除外しないことを意味することが理解されるであろう。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈に別途明示のない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。従って、例えば、「リポカリンムテイン」への言及は、1つ以上のリポカリンムテインを含む。
「及び/または」という用語は、本明細書で使用される場合は常に、「及び」、「または」及び「該用語により結合された要素の全てまたは任意の他の組み合わせ」の意味を含む。
本明細書で使用される「約」または「ほぼ」という用語は、所与の値または範囲の20%以内、好ましくは、10%以内、より好ましくは、5%以内を意味する。しかし、用語は、具体的な数を含み、例えば、「約20」は20を含む。
本明細書で使用される「少なくとも約」という用語は、具体的な数を含み、例えば、「少なくとも約6」は6を含む。
必要に応じて、上述の説明で、または以下の特許請求の範囲に、または添付の図面に開示され、特定の形態で、または開示された機能、または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスを実施するための手段に関して表現される特徴は、別々に、またはそのような特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で本発明を実現するために利用されてもよい。
本発明は上述の例示的な実施形態とともに記載されているが、本開示が与えられた場合、多くの等価な修正及び変更は当業者らには明らかであろう。従って、上記の本発明の例示的な実施形態は、限定的ではなく例示的なものとみなされる。記載される実施形態への様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに行われてよい。
あらゆる疑義を回避するために、本明細書で提供される任意の理論的説明は、読者の理解を進める目的のために提供される。本発明者は、これらの理論的説明のいずれによりも束縛されることを望まない。
本明細書で使用される任意のセクションの見出しは、組織的な目的のみであり、記載の主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
実施例1.PRS-060/AZD1402へのヒト免疫応答の評価としてのヒトin vitro全血アッセイ
IL-4Rαシグナル伝達に対するPRS-060/AZD1402の影響を特徴づけるために、健常な対象由来のヒト全血を、PRS-060/AZD1402の存在下または非存在下、IL-4で刺激し、シグナル伝達構成成分のリン酸化及び可溶性バイオマーカーの放出を定量した。
ヒト全血が、健常なボランティアから採決され、ヘパリンを含有する滅菌チューブに収集した。ヘパリン処理された全血を、PRS-060/AZD1402または参照IL4-Rα抗体の濃度を上昇させながら、8ng/mLのIL-4で15分間刺激し、次に、蛍光活性化細胞選別(FACS)を使用して、CD3+T細胞亜集団におけるリン酸化STAT6(pSTAT6)を評価した。
さらに、PRS-060/AZD1402または参照IL4-Rα抗体の濃度を上昇させながら、ヘパリン処理された全血を8ng/mLのIL-4で24時間刺激し、続いて、酵素結合免疫アッセイ(ELISA)を使用して、エオタキシン-3、胸腺、及び活性化調節ケモカイン(TARC)、ならびにマクロファージ由来ケモカイン(MDC)を測定した。
代表的な実験の結果が図1に示され、pSTAT6及び可溶性サイトカインの放出のPRS-060/AZD1402及び参照IL4-Rα抗体阻害に適合したIC50値が表1にまとめられる。IL-4を用いるヒト全血の刺激により、pSTAT6のレベルの増加、ならびにエオタキシン-3、TARC、及びMDCの放出がもたらされた。PRS-060/AZD1402は、濃度依存的にpSTAT6を阻害し、参照IL-4Rα抗体と同様の効力を有する。参照IL-4Rα抗体と同等の効力の、PRS-060/AZD1402による可溶性サイトカインエオタキシン-3、TARC、及びMDCの放出の阻害も観察された。
データは、PRS-060/AZD1402が、ヒト全血において、参照IL-4Rα抗体のものに匹敵するIC50値で、IL-4Rαシグナル伝達を阻害することが可能であることを示唆する。さらに、観察された低レベルの変動により、この方法を、吸入投与後の全身レベルのPRS-060/AZD1402の存在を検出するのに適するものにする。例えば、全血中のpSTAT6応答及び下流のサイトカイン放出は、全身曝露を評価するための臨床試験で使用されてもよい。
Figure 2022526524000001
IL-4のその受容体(IL-4R)への結合により、ヤヌスキナーゼ(Jak)3-1及びJAK-3のチロシンリン酸化がもたらされ、これは、さらに、IL-4Rα鎖のチロシンリン酸化がもたらされる。Srcホモロジー2ドメインを介してIL-4Rのリン酸化チロシンドッキング部位に結合した後、Stat6は、Jakキナーゼによりリン酸化される。IL-4Rから放出されたリン酸化STAT6(pSTAT6を)は、ホモ二量体を形成し、核に移行し、そこで、それが特定のDNA配列に結合し、標的遺伝子の転写を引き起こす(Nelms et al.,Annu Rev Immunol,1999,17:701-738)。pSTAT6の阻害率は、PRS-060/AZD1402の添加/投与後のIL-4Rαの阻害を反映する直接的な尺度として使用することができる。
pSTAT6の核への移行は、2型免疫と関連する転写レベルで多くの遺伝子を調節する(Chen et al.,2003.J Immunol,171:3627-3635)。転写レベルでのTARC/CCL17、MCD/CCL22、及びEotaxin-3/CCL26の誘導は、IL-4刺激後に実証されている(例えば、Wirnsberger et al.,Eur J Immunol.,2006,36(7):1882-1891、Rahal et al.,Int J Radiat Oncol Biol Phys,2018,100(4):1034-1043、及びHoeck and Woisetsschlager,J Immunol,2001,167(6):3216-3222)。さらに、健常なドナーのヒト全血をIL-4で24時間刺激すると、IL-4Rαにより阻害することができるTARC/CCL17、MCD/CCL22、及びエオタキシン-3/CCL26の強力な誘導及びサイトカイン放出がもたらされる。その後、これらのサイトカインは、血液の無細胞部分で容易に検出することができる。
実施例2.健常な対象に経口吸入または静脈内注入により投与されたPRS-060/AZD1402の単回投与の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価する用量漸増の単盲検研究
A.研究の目的及び概要
この実施例では、登録された対象へのPRS-060/AZD1402またはプラセボのいずれかの単回用量の経口吸入または静脈内(IV)投与で実施された無作為プラセボ対照の単盲検単回投与漸増研究について記載する。この研究の主な目的は、健常な男性及び女性対象におけるPRS-060/AZD1402の単回吸入及び単回IV投与の安全性及び忍容性を評価することであった。研究の副次目的は、健康な男性及び女性対象においてPRS-060/AZD1402の単回吸入及び単回IV投与後に、PRS-060/AZD1402の薬物動態を評価することであった。研究の探索的目的は、IL-4/IL-13経路のex-vivoでの全血活性化の阻害などの薬力学的バイオマーカーへのPRS-060/AZD1402効果を含む。
登録された対象は、用量コホートに無作為に割り当てられた。各コホートは、PRS-060/AZD1402用の6人の対象及びプラセボ用に2人の対象からなる合計8人の対象を含む。コホート毎の2人の指標対象を、PRS-060/AZD1402及びプラセボに1:1で無作為化し、コホート中の残りの対象の少なくとも24時間前に投与した。1コホート毎の残りの対象(PRS-060/AZD1402またはプラセボに5:1で無作為化)は、多くとも40分の間隔で治験薬を投与された。
第1のコホートに登録された対象は、最低用量のPRS-060/AZD1402(0.25mgの公称用量または定量用量;0.1mgの送達用量に相当)を投与された。各コホートの実際の用量は、前臨床毒物学研究により設定された事前に定義された曝露限界の評価後に決定された。経口吸入コホートの実際の用量は、表2にまとめられる。投与では、InnoSpire Goネブライザー(Philips)を使用した。PRS-060/AZD1402は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)(1.06mMのKHPO、2.96mMのNaHPO、154mMのNaCl、pH7.4)の水溶液の形態で10mg/mlまたは50mg/mlの標的タンパク質濃度で、製剤化され、5.2mLの抽出可能な最小容量で提供された。
Figure 2022526524000002
経口吸入用量を投与された対象の全てのコホート(コホート1~7)の安全性評価の後、(吸入投与コホートに参加しなかった)対象の追加の2つのコホートは、IV投与のために入院した。シリンジポンプを使用した注入による投与のために、10mg/mLのPRS-060/AZD1402をPBSで希釈した。追加の2つのコホートが表3にまとめられる。
Figure 2022526524000003
対象を、以下の基準に基づいて研究に登録した:(1)18~55歳の出産の可能性のない(閉経後または不妊手術された)対象の健常な男性及び女性;(2)18~35kg/mの肥満度指数(BMI);及び、(3)非喫煙者または直近の6ヶ月に喫煙していない元喫煙者であった対象(尿中コチニン<500ng/mLにより決定、スクリーニング受診時)。全ての選択基準を満たした対象は、以下の除外基準についてさらにスクリーニングされた:(1)研究者の意見では、研究への参加のために対象を危険にさらし得る任意の臨床的に重大な医学的障害の病歴または臨床症状は、研究の結果に影響を与えるか、または研究に参加する対象の能力に影響を与える;(2)薬物またはアルコール乱用の病歴;(3)研究への参加中に対象を危険にさらし得るA型肝炎、B型肝炎、またはC型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス、結核を含む既知の有意な感染症(すなわち、インターフェロン-γ放出アッセイ、QuantiFERON TB-Goldの陽性結果)の病歴、またはこれが知られている;(4)1日目から4週間以内の任意の臨床的に重大な疾病、感染、医学的/外科的手順、もしくは外傷、または研究期間中に計画された入院患者の手術もしくは入院;(5)研究責任者が判断した、臨床化学、血液学、または尿検査の結果における任意の臨床的に重大な異常;(6)悪性腫瘍または腫瘍性疾患の任意の病歴を有する対象;(7)PRS-060/AZD1402(構造的に関連する涙リポカリン)に標的化される抗薬剤抗体(ADA)に対する可能性と関連する安全性データの解釈に影響を与え得る、慢性または急性であった可能性がある任意の原因の進行中または再発性『ドライアイ症候群』の重大な病歴;(8)1日目の4週間前に生ワクチンまたは弱毒化ワクチンを投与されている対象;(9)免疫機能の異常を示唆する病歴を有する対象;(10)生物学的療法後のアナフィラキシーの病歴、及び治験薬製剤の任意の構成成分に対するアレルギーまたは応答の既知の病歴;(11)研究者とうまくコミュニケーションができない(すなわち、言語の問題、精神発達の低下、または脳機能の障害);(12)治験薬の初期投与前に、直前の16週間以内の新規化学物質の任意の臨床研究または直前の12週間以内もしくは5半減期内(どちらか長い方)の市販薬物の臨床研究への参加;(13)直前の12週間以内の450mL以上の血液の提供;(14)妊娠中であった女性;及び、(15)出産可能な女性パートナーとの性的に活発であり且つ精管切除をしておらず且つ1日目から90日間2重の避妊法に同意していない男性。
B.研究手順
対象は、1日目前日の午後に研究施設に入院し、3日目の48時間の測定が完了するまでの研究現場に留まった。1日目の朝、対象は、処置用量を投与された:能動的処置(PRS-060/AZD1402)またはプラセボ処置のいずれかの単回吸入用量またはIV注入。経口吸入投与を投与された対象では、治験薬を、PBS中10mg/mlまたは50mg/mLで提供し、InnoSpire Goネブライザー(Philips)を使用して投与した。IV注入を受けた対象では、PBS中の10mLの容積のPRS-060/AZD1402を60分間かけて注入した。安全性及びPKの評価を研究期間中の所定の時点で実施した。対象は、全ての研究評価が完了し、7日目(±1日)及び30日目(±3日)の安全フォローアップ、PK、及び薬力学的評価のために再来するようにスケジュールされた後3日目に研究施設から退院した。
C.エンドポイント及び評価
研究の1次エンドポイントは、研究中継続的に、有害事象(AE)、バイタルサイン、1秒強制呼気量(FEV)、心電図(ECG)、及び研究室安全性試験で評価される安全性/忍容性である。AEは、製品と因果関係があるとみなされてもみなされなくても、医薬品への曝露後または曝露中の、望ましくない病状の発症または既存の病状の悪化として定義される。バイタルサインの評価は、体温、収縮期及び拡張期の血圧測定値(mmHg)、脈拍(1分当たりの心拍数(BPM))、及び呼吸数(1分当たりの呼吸数(BRPM))を含む。血液学、血清化学、及び尿検査を含む臨床検査評価のために、血液及び尿試料を収集した。所定の時点で、3回12誘導ECGを実施し、同時に採取した場合は採血前に実施した。
研究の2次エンドポイントは、以下を含むPKパラメーターである:(1)血清中(経口吸入及びIV投与の両方)最大濃度(Cmax)、最大濃度までの時間(Tmax)、終末半減期(t1/2)、ゼロ時から投与の24時間後までの曲線下面積(AUC0-24)、ゼロ時から最終測定可能濃度サンプリング時間(Tlast)までの曲線下面積(質量×時間×容積-1)(AUClast)、ゼロ時から無限大までの曲線下面積(質量×時間×容積-1)(AUCinf)、ゼロ時から最終測定可能濃度までの曲線下面積(AUClast)、Cmax/用量、AUC0-24h/用量、AUC0-last/用量、AUCinf/用量、及び(平均滞留時間)MRT;(2)終末相での血清中(IV投与のみ)分布容積(V)、定常状態での見かけの分布容積(Vss)、及び全身クリアランス(CL);(3)血清中(経口吸入のみ)の見かけの分布容積(V/F)及びCL/F、ならびに、Finhalation、total及び平均吸収時間(MAT)(両方ともIV PKデータから導出)、ならびに、(4)尿中(経口吸入及びIV投与の両方):尿中に排泄された薬物の合計量(Ae)、Ae(t-tx+1)、Ae(0-t)、尿中に排泄された用量の画分(fe)、fe(t-tx+1)、fe(0-t)、及び腎臓クリアランス(CL)。
本研究の探索的エンドポイントは、味覚特性の評価及び薬力学的バイオマーカー、例えば、ex-vivo全血活性化の阻害及びIL-4/IL-13経路と関連する探索的全身バイオマーカー、に対するPRS-060/AZD1402の影響を含む。質問票を使用して、味覚特性を評価した。血漿及び血清を採取し、IL-4Rα経路と関連する潜在的なバイオマーカーを評価するために使用した。対象から収集された全血をIL-4で(10ng/mlのヒトIL-4で15分間)刺激し、続いて、CD3+T細胞亜集団のリン酸化STAT6(pSTAT6)を測定することにより、ex-vivo全血活性化の阻害を評価した。
D.統計的方法
プライマリーエンドポイントでは、インフォームドコンセントを提供し且つ治験薬の1用量を投与された全ての対象は、全ての分析のために使用された。投与された処置に従って、対象を分析した。AEレポート、臨床検査データ、バイタルサイン、肺活量測定評価、及び12誘導ECGパラメーターに基づいて、安全性を評価した。
全てのAEの概要は、処置下で発現した有害事象(TEAE)のみに制限されたが、全てのAEは、データリストに含まれていた。TEAEは、初回投与時または投与後に開始されたAEとして定義された。薬物関連TEAEは、治験薬と可能な、起こりうる、または明確な関係を有するTEAEとして定義された。対象の数及び割合ならびにイベント数は、TEAEの概要のために提示された。MedDRA器官別大分類(SOC)及び基本語(PT)による概要では、対象は、SOCレベルで1回、SOCレベル内の各PTで1回カウントされた。SOC、PT、及び重症度による概要では、対象は、SOCレベルでイベントが発生している各重症度レベル、及びそのSOCレベル内のユニークなPT毎にイベントが発生している各重症度レベルで1回カウントした。治験薬との関係による概要は、重症度による概要と同様に取り扱われた。
血液学、血清化学、及び尿検査を含む臨床検査値は、各プロトコールが予定された訪問(絶対値及びベースラインからの変化として、コホート及び処置毎に、スクリーニング、-1日目、1日目、2日目、3日目、安全フォローアップ(7日目±1)、及び30日フォローアップ)時に取得され、記述的にまとめられた。
FEV(mL)、6秒強制呼気量(FEV)(mL)、強制肺活量(FVC)(mL)、最大呼気流量(PEFR)(L/分)、及びFEV/FVC比を含む肺活量測定評価を取得し、コホート及び処置による、各プロトコールがスケジュールされた時点(スクリーニング;投与前、投与の5分後、40分後、1時間後、4時間後)で、絶対値及びベースラインからの変化として記述的にまとめた。
RR間隔(ミリ秒)、PR間隔(ミリ秒)、QT間隔(ミリ秒)、QTcF間隔(ミリ秒)、及びQTcB間隔(ミリ秒)を含む12誘導ECGを取得し、コホート及び処置毎に、各プロトコールがスケジュールされた時点(スクリーニング;投与前、投与の20分後、30分後、1時間後、1.5時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、8時間後、12時間後、24時間後;3日目;安全フォローアップ;30日フォローアップ)で、絶対値及びベースラインからの変化として記述的にまとめた。1日目の投与の20分後、30分後、及び1時間に1回の12誘導ECGが、他の時点で3回の評価が実施されるようにスケジュールされた。1日目に投与前に実施された3回のECG測定の平均は、全ての投与後の比較で対象のベースライン補正QT(QTc)値として機能した。
2次エンドポイントでは、インフォームドコンセントを提供し、1用量のPRS-060/AZD1402が投与され、収集されたPK分析用の少なくとも1つの評価可能な血液試料を有した全ての対象を、PKパラメーター計算の分析、個々のデータのグラフ表示、PK濃度データ及びPKパラメーターのPKパラメーターデータ要約の一覧表作成、及び他全てのPK一覧表作成のために使用した。
E.結果
登録された72人の対象全てで観察された結果を以下にまとめる。72人の対象のうち、54人の対象を無作為化して、PRS-060/AZD1402を投与し、18人の対象を無作為化して、プラセボを投与した。参加者の平均年齢は、26.4歳であり、平均BMIは、24.5kg/mであった。8人の対象を各コホートに割り当てた。各コホート(コホート1~9)内で、6人の対象が、PRS-060/AZD1402を投与され、2人の対象がプラセボを投与された。登録された72人の対象全てが、1用量の治験薬を投与され、この研究を完了した。研究を早期に中止した対象はいなかった。人口統計及びベースライン特性は、群及びコホート間で類似している。
1用量の治験薬を投与された72人の登録された対象全てが安全集団に含まれていた。合計37人の対象(51.4%)が、PK集団に含まれていた。37人の対象のうち、1人の対象は、コホート3に存在し、36人の対象は、コホート4~9に存在した(各コホートに6人の対象)。コホート1及びコホート2の対象も、プラセボ対象もPK集団に含まれていなかった。
(i)1次エンドポイント
健常な男性対象に投与されたPRS-060/AZD1402の単回吸入用量及び単回IV用量は十分に忍容性であり安全であった。
TEAEの概要は、全ての対象の場合表4及び表5に、コホート毎に表6に提供される。72人の対象のうち、すべてのTEAEの発生率は、34.7%(25人の対象)であり、プラセボで33.3%(6人の対象)、及びPRS-060/AZD1402で35.2%(19人の対象)であった。全てのPRS-060/AZD1402コホートの対象は、少なくとも1つのTEAEを経験した。プラセボコホート1、3、4、及び8の対象は、少なくとも1つのTEAEを経験した。任意のTEAEを経験した25人の対象のうち、10人の対象(40.0%)が治験薬と関連する可能性があると判断された11のイベントを報告し、15人の対象(60.0%)が治験薬と関連しないと判断された17のイベントを報告した。コホート8の1人のプラセボ対象は、薬物関連TEAEとして定義された治験薬と関連する可能性があると判断された頭痛を経験したが、イベントは、強度が軽度であり、イベント開始の1時間後には後遺症がなく回復した。TEAEのいずれも、重篤なものでも、中止に至ったものでなかった。この研究では、死亡は発生しなかった。プラセボ対象及びPRS-060/AZD1402対象は、両方とも、次のTEAEを経験した:頭痛、上気道感染症、及び筋骨格系の胸痛。最も頻繁に報告されたTEAEは、6人の対象(8%)が経験した頭痛及び5人の対象(7%)が経験した上気道感染症であった。頭痛及び上気道感染症を除いて、対象が経験した他のイベントは、AZD1402/PRS-060及びプラセボを投与された者に共通のものではなかった。任意のTEAEを経験した25名の対象のうち、20人の対象(80.0%)が軽度のTEAEを報告し、5人の対象(20.0%)が中等度のTEAEを報告した。重度のTEAEを報告した対象はいなかった。
Figure 2022526524000004

Figure 2022526524000005

Figure 2022526524000006

略語:AE=有害事象、m=事象の数、N=群内の対象数、n=指定されたカテゴリーの対象数、TEAE=治験薬投与後に発現した有害事象。
注記:TEAEは、初回の投与時または投与後に開始されたAEとして定義された。
注記:パーセンテージは、各処置群の安全集団の対象数に基づいていた。
臨床検査評価は、臨床的に重大な異常またはベースラインからの変化を明らかにしなかった。この研究では、個々の臨床的に重大な異常は、認められなかった。同様に、バイタルサインには、すなわち、肺の機械的測定またはECG評価のうちのいずれにも、顕著な変化は全く観察されなかった。味覚特性評価に対する個々の対象の応答は、治験薬またはプラセボと関連する有意な味覚または嗅覚がなかったという点で陽性であった。
(ii)2次エンドポイント
コホート1~7の経口吸入後、コホート1(送達用量0.10mg)及びコホート2(送達用量0.50mg)の全ての対象の血清PRS-060/AZD1402 PKプロファイルは、投与後30日までの定量限界(BLOQ)であった。コホート3(送達用量2.00mg)では、1人の対象は、投与の4時間後(1.58ng/ml)及び投与の5時間後(1.67ng/mL)でのみ、検出可能なPRS-060/AZD1402濃度を有したが、他の全ての濃度の場合、BLOQであった。従って、その結果、PKパラメーターは、この研究の最初の3つのコホートに対して決定することが不可能であった。PRS-060/AZD1402のPKプロファイル、対、時間を、コホート4(送達用量8.00mg)以降で評価した。コホート4>コホート5>コホート6>コホート7からの用量の増加に伴う血清中PRS-060/AZD1402濃度の順位の増加が、平均PRS-060/AZD1402濃度プロファイルで観察された(図4及び5)。対応する血清PKパラメーターを表7にまとめる。データから、用量に伴うPKパラメーターCmax及びAUCの比例以上の増加が観察された。例えば、コホート6(72mgの送達用量)からコホート7(160mgの送達用量)への用量の2.2倍の増加は、Cmax及びAUCに約2.8倍の増加をもたらした。用量比例関係は、観察されず、コホート7の最高吸入送達用量(AUCinf/用量及びCmax/用量の場合、それぞれ67.2%及び87.1%)での高度な対象間変動に起因する可能性がある。Tmaxは、全てのコホートで2時間~8時間に生じた。コホート4及び5では、PRS-060/AZD1402は、投与の約18時間後まで検出可能であったが、Tlastは、コホート6及び7では、より後ろになった。終末相は、平均(SD)t1/2の4.163(1.7032)時間(コホート4)、4.100(0.8974)時間(コホート5)、6.156(0.7305)時間(コホート6)、及び5.998(0.6803)時間(コホート7)をサポートした。
Figure 2022526524000007

略語:D=用量、h=時間、min=最小、max=最大、MRT=平均滞留時間、PK=薬物動態。
n=2
n=5
注記:Tmaxに示される値は、中央値(最小、最大)である。
コホート8及び9へのIV投与後、平均(SD)血清中PRS-060/AZD1402は、コホート4~7の吸入用量で観察されたt1/2の約半分の急激な排泄相を示した(図6及び7ならびに表8)。コホート8~9のIV用量の2倍の増加(1mg~2mg)では、平均t1/2、MRTinf、V、Vss、及びCLが、類似していたが、平均Cmax、AUClast、及びAUC0~24は、約2倍に増加した(表8)。投与された対象のうち、PRS-060/AZD1402レベルが、コホート8の投与後7日目及び30日目のBLOQであったが、コホート9の場合、1人の対象は、投与の30日後までPRS-060/AZD1402レベルを有していた。この対象は、図6及び7に含まれていたが、終末相PKパラメーター(t1/2、AUCinf、CL/F、及びV/F)を決定するための外れ値と考えられ、表8に含まれていなかった。さらに、同じコホート9の対象で、1日目の投与前レベル2.23ng/mLが観察され、これは、血清中に提示されたヒト涙リポカリンによるアッセイ干渉を反映し得る。しかし、これがCmaxの1.2%を構成するので、PKに影響を及ぼすとは予想されていなかった。
Figure 2022526524000008

略語:D=用量、h=時間、min=最小、max=最大、PK=薬物動態。
注記:Tmaxに示された値は、中央値(min、max)である。
吸収時間が、IV注入後よりも、単回用量経口吸入後に、より長いt1/2で示されたように、1mgの注入のコホート8(6人の対象)及び2mgの注入のコホート9(5人の対象)の両方の11人の対象における平均プールMRTinfに基づいて、平均吸収時間(MAT)を決定した(表9)。両方のIVコホートにわたる平均(SD)MRTinfは、1.45(0.202)時間であり、PRS-060/AZD1402用量の吸入後の7.76~11.49時間であった。従って、MATは、最も完全なデータ(n=5または6)を備えた高用量コホートを考慮した場合、7.45~10.04時間の範囲であった。
さらに、コホート4~7の吸入後の平均AUCinfを、IVコホート9(2mg)の平均AUCinfと比較することにより、吸入用量の絶対的な生物学的利用能が約6.99%~13.8%の範囲に及ぶことを決定した(表10)。
Figure 2022526524000009

略語:h=時間、IV=静脈内、MAT=平均吸収時間、MRT=平均滞留時間。
注記:**MAT=MRTinf INH-MRTinf IV
Figure 2022526524000010

略語:AUCinf=時間ゼロから無限大までの曲線下面積、h=時間、IV=静脈内。
PRS-060/AZD1402の尿PKプロファイルも評価した。吸入投与の48時間後まで、尿試料を収集した。この研究の3人の対象で、PRS-060/AZD1402濃度を検出した。IVコホート(コホート8及び9)では、尿中PRS-060/AZD1402レベルは、観察されなかった。尿中PKパラメーターの要約が表11に示され、これは、尿中に不変PRS-060/AZD1402として排泄される用量の割合が非常に低いことを示す。従って、不変PRS-060/AZD1402の尿中排泄は、マイナーな排泄経路とみなされ得る。
全てのコホートの投与の30日後までのADAの結果は、陰性であることが確認された。
Figure 2022526524000011

略語:Ae=尿中に排泄される薬物の総量。
(iii)探索的エンドポイント(pSTAT6阻害):
コホート2~7の対象では、IL-4を用いるex-vivoでの全血の刺激を実施し、対応するpSTAT6レベルを決定した。サンプリングの時間経過中の対象の%pSTAT6+CD3細胞の平均及び標準偏差が図2に提示される。pSTAT6の阻害は、コホート4(送達用量8.00mg)以降で観察された。コホート4及び5の対象の結果(送達用量は、それぞれ、8.00mg及び24.0mg)は、吸入の4~8時間後のpSTAT6+CD3細胞の%の最も高い阻害を示した。コホート6及び7の対象からの結果(送達用量は、それぞれ、72.0mg及び160mgである)は、投与の1時間後~24時間後のpSTAT6+CD3細胞の%の強力且つ長期の阻害を示した。
ex vivo全血活性化の阻害のPK/PD分析(図3)は、下流のSTAT6リン酸化の用量依存的阻害を示し、PRS-060/AZD1402の吸入後の対象間の変動は少ない。IC50値を、0.35nMで計算した。
F.検討及び結論
吸入PRS-060/AZD1402の全身曝露は、8.00mg以上の送達用量で観察された。吸入後の血清中PKのゆっくりとした低下は、吸収による排泄を示す。最高吸入投与量(160mg)での血清中PRS-060/AZD1402レベルの高度な変動により、用量と比例の関係を定義することができなかった。IV用量の2倍の増加(1mg~2mg)では、平均t1/2、MRTinf、V、Vss、及びCLが類似していたが、平均Cmax、AUClast、及びAUC0~24は、約2倍増加した。
PRS-060/AZD1402の分子量(17kDa)を有するタンパク質は、腎臓からクリアランスされ、組織分布が低くなる可能性がある。IV PKコホートで決定された約10LのVss値は、低い組織分布を確認した。不変PRS-060/AZD1402の尿中排泄がほとんどの対象の尿で検出できず、そうでなければ、非常に低レベルであったため、尿中PKパラメーターは、確認されなかった。これは、少なくとも不変PRS-060/AZD1402については、尿中排泄がマイナーな排泄経路であったことを示した。
血中に存在するCD3+細胞におけるpSTAT6の阻害は、全身曝露と相関し、8.00mgの送達用量以降で観察された。各コホートの対象におけるpSTAT6+CD3細胞の%の変動性は、PRS-060/AZD1402の全身曝露の変動によるものであった。これらの結果は、PRS-060/AZD1402吸入が、全身循環に到達してIL-4Rαの下流のシグナル伝達を強力に阻害し得る分子の安定性及び活性に影響を与えないことを示す。
PRS-060/AZD1402の使用による潜在的なリスクを示す陽性のADA結果は、経口吸入及びIV投与の全てのコホートのいかなる対象に対しても記録されなかった。さらに、ADAは、いかなる対象においても検出されなかった。
全体として、安全性の懸念は、本研究では観察されなかった。すべてのTEAEの発生率は、34.7%(25人の対象):プラセボ(6人の対象)で33.3%、PRS-060/AZD1402(19人の対象)で35.2%であった。PRS-060/AZD1402対象にみられた発生率は、プラセボ対象にみられたものと同様であった。任意のTEAEの発生率は、投与された投薬量には依存しなかった。最も頻繁に報告されたTEAEは、7つのイベントを有する6人の対象(8.3%)の頭痛、続いて、5つのイベントを有する5人の対象(6.9%)で上気道感染症であった。
明確に関連している、おそらく関連している、または完全に関連していないTEAEは、報告されていない。関連する可能性があると報告された薬物関連TEAEの発生率は、13.9%(10人の対象[PRS-060/AZD1402の9人の対象及びプラセボで1人の対象])であった。薬物関連TEAEは、頭痛、傾眠、喉の乾燥、胸膜性の痛み、悪心、気道感染症、及び筋骨格系の胸痛を含んでいた。
TEAEの大部分は、軽度であり、全てのイベントは、治療可能であった。重度のTEAEは、報告されていない。TEAEのいずれも、重篤なものでも、中止に至ったものでなかった。この研究では、死亡は発生しなかった。
臨床的に重大な異常またはベースラインからの変化をもたらす臨床検査評価はなかった。この研究では、個々の臨床的に重大な異常は、認められなかった。
バイタルサインであるFEV/FVC比、またはECG評価を含む呼吸機能測定のうちのいずれか、顕著な変化は観察されなかった。
味覚特性評価に対する個々の対象の応答は、PRS-060/AZD1402またはプラセボと関連する不快な味または匂いがないことを示した。これに基づき、治験薬(噴霧製剤)の反復使用が可能と考えられた。
結論として、健常な成人男性対象におけるPRS-060/AZD1402の単回吸入用量及び単回IV用量は、安全であり、十分に忍容性であった。吸入後のPRS-060/AZD1402の用量関連の全身曝露は、吸収による排泄を示すプロファイルで観察され、分子のPD効果と密接に相関していた。吸入PRS-060/AZD1402の全身曝露が観察されない用量が、また、選択されてもよい。
実施例3.軽度の喘息の対象に経口吸入により投与されたPRS-060/AZD1402の複数回投与の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価する用量漸増の単盲検研究
実施例3は、コホート1~3のこの研究のデータを提供し、コホート1~5のデータは、実施例4で提供される。臨床試験がまだ完了していないので、臨床研究全体のデータロック、及び研究レポートの最終データアウトプットは、まだ作成されていない。
A.研究の目的及び概要
本実施例では、軽度の喘息の登録対象にPRS-060/AZD1402の複数回用量の経口吸入で実施されたプラセボ対照単盲検無作為化用量漸増研究について記載する。本研究の主な目的は、軽度の喘息を有する男性及び非妊娠非授乳女性対象において、PRS-060/AZD1402の複数回吸入投与の安全性及び忍容性を評価することであった。本研究の副次目的は、軽度の喘息の男性対象及び軽度の喘息の非妊娠非授乳女性対象に、PRS-060/AZD1402を複数回吸入投与した後のPRS-060/AZD1402の血清中及び尿中薬物動態(PK)を評価すること、PRS-060/AZD1402に対する抗薬物抗体(ADA)の潜在的な出現を評価すること、及びPRS-060/AZD1402またはプラセボの複数吸入用量を投与された軽度喘息患者における呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)のベースラインからの変化を評価すること、であった。研究の探索的目的は、IL-4/IL-13経路のex-vivoでの全血活性化の阻害などの薬力学的バイオマーカーへのPRS-060/AZD1402効果を含む。
適合基準及び除外基準(以下参照)を満たした53人の対象を登録し、5つのコホートに割り当てた:8人の対象(両方とも、それぞれ、6人の実薬対象、2人のプラセボ対象を含む)を有するコホート1及び2、18人の対象(12人の実薬、6人のプラセボ)を有するコホート3、8人の対象(6人の実薬対象及び2人のプラセボ対象)を有するコホート4、ならびに、11人の対象(9人の実薬、2人のプラセボ)を有するコホート5。コホート5を除いて、実薬PRS-060/AZD1402及びプラセボに1:1で無作為化されて投与される2人の指標対象が、各コホート毎に存在する。コホート毎の残りの対象を、PRS-060/AZD1402またはプラセボに、コホート1及び2の場合5:1で、コホート3の場合11:5で、及びコホート4の場合5:1で無作為化した。
登録対象は、コホート1~5の場合、1日目~9日目に1日2回(BID)(12時間毎、9日間)、10日目の朝に1回、経口吸入を介した霧状液として、PRS-060/AZD1402またはマッチングプラセボの複数回用量を投与された。コホート1に登録された対象は、5.0mgの公称用量でPRS-060/AZD1402を投与され;最初の朝の用量のみが投与された10日目を除いて、1日2回与えられた2.0mgの送達用量に相当する。コホート2、3、4、及び5に登録された対象は、表12に従う用量を投与された。実施例2に記載されるように、第1相単回漸増用量研究で得られたデータ、及び前臨床毒性研究により設定された事前に定義された曝露限界を検討した後に、用量を決定した。コホート5を除いて、先行するコホートの投与の完了及び次のコホートの投与の開始の間に最低7日間あった。各コホートでは、コホート5を除いて、指標対象へ、コホートの残りの対象の少なくとも48時間前に投与した。結果が好ましいことを確認する指標対象のデータを検討した後、同じ用量レベルをコホートの残りの適格対象に投与した。残りの対象は、吸入開始から少なくとも30分間隔で投与された。全ての安全性データ及びPKデータを検討して、次のコホートまで続けるか、または遅延させるか、停止するか、もしくは用量漸増を下向きに変更するかを判断した。
Figure 2022526524000012
対象を、以下の基準に基づいて研究に登録した:(1)18~35の肥満度指数(BMI);(2)非喫煙者または元喫煙者であり、スクリーニング前の3ヶ月間に2回以下喫煙した対象(スクリーニング訪問時に尿中コチニン<500ng/mLで判定);(3)男性及び非妊娠非授乳女性;(4)出産可能な女性と性的に活発であった男性は治験薬を用いる処置期間及び治験薬の最終投与後さらに90日間、避妊の効果の高い方法に従うことを同意する。妊孕性のある男性と性的に活発であった出産可能な女性は、治験の参加期間及び治験薬の最終投与後さらに90日間に2重の避妊法に対する指示に従うことを同意する:(5)軽度の喘息の診断の文書化;(6)18~55歳;(7)FEVに対して予測される肺機能≧70%及びFEV/強制肺活量(FVC)比≧0.7;(8)スクリーニング時及び研究の事前資格審査中にFeNO≧35ppb。
さらに、以下の基準のうちのいずれかを満たした対象は、登録されなかった:(1)研究者の意見では、研究への参加のために対象を危険にさらし得る任意の臨床的に重大な医学的障害の病歴または臨床症状は、研究の結果に影響を与えるか、または研究に参加する対象の能力に影響を与え得た。薬物またはアルコール乱用の病歴;(2)研究への参加中に対象を危険にさらし得るA型肝炎、B型肝炎、またはC型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、結核を含む既知の有意な感染症(すなわち、インターフェロン[IFN]-γ放出アッセイ[IGRA]の陽性結果、QuantiFERON(登録商標)TB-Gold)の病歴、またはこれが知られている;(3)処置されて治癒したとみられる皮膚の基底細胞癌及び扁平上皮癌、または子宮頸部上皮内癌を除く過去10年以内(乳癌の場合、20年)の癌の病歴。リンパ腫の病歴は認められなかった;(4)1日目から4週間以内の任意の臨床的に重大な疾病、感染、医学的/外科的手順、もしくは外傷、または研究期間中に計画された入院患者の手術もしくは入院;(5)研究責任者が判断した、臨床化学、血液学、または尿検査の結果における任意の臨床的に重大な異常;(6)PRS-060/AZD1402(構造的に関連する涙リポカリン)に標的化されるADAに対する可能性と関連する安全性データの解釈に影響を与え得る、慢性または急性であった可能性がある任意の原因の進行中の再発性『ドライアイ症候群』の重大な病歴;(7)1日目の4週間以内に生ワクチンまたは弱毒化ワクチンを投与されている対象;(8)免疫機能の異常を示唆する病歴を有する対象;(9)生物学的療法後のアナフィラキシーの病歴、及び治験薬製剤の任意の構成成分に対するアレルギーまたは応答の既知の病歴;(10)研究者とうまくコミュニケーションができない(すなわち、言語の問題、精神発達の低下、または脳機能の障害);(11)治験薬の初期投与前に、直前の16週間以内の新規化学物質の任意の臨床研究または直前の12週間以内もしくは5半減期内(どちらか長い方)の市販薬物の臨床研究への参加;(12)直前の12週間以内の450mL以上の血液の提供;(13)妊娠中もしくは授乳中または研究期間内もしくは治験薬の最終投与後90日以内の妊娠を計画していた女性;(14)出産可能な女性パートナーとの性的に活発であり且つ精管切除をしておらず且つ1日目から治験薬の最終投与の90日後まで避妊の効果の高い方法に同意していない男性。妊孕性のある男性パートナーと性的に活発であり、1日目から治験薬の最終投与の90日後まで少なくとも1つのバリアを用いて2重の避妊法に同意していなかった出産可能な女性;(15)生命を脅かす喘息のエピソード;(16)スクリーニング前の特定の時間内に次の薬剤のうちのいずれかを使用:長時間作用型β2アゴニスト(スクリーニング前4週間はなし)、抗IgEもしくは抗IL-5療法(スクリーニング前6ヶ月間)、スクリーニング前16週間以内の吸入コルチコステロイド(1日当たり500μg超のベクロメタゾンジプロピオン酸(BDP)もしくは同等物)、スクリーニング時もしくはスクリーニング前4週間以内もしくは無作為化時の任意の吸入コルチコステロイド、スクリーニング前5年以内の喘息もしくは呼吸器感染症の処置のための経口もしくは注射可能なステロイド、スクリーニング前4週間以内の鼻腔内ステロイド、スクリーニング前4週間以内の局所ステロイド、スクリーニング前2週間以内のロイコトリエン拮抗薬、またはスクリーニング前の1週間以内のキサンチン(カフェインを除く)、抗コリン作動薬、もしくはクロモグリケート。
B.研究手順
研究は、スクリーニング中(治験薬の投与の21日前である-21日目から-2日目まで)の研究前評価を含んでいた。適格性のためのスクリーニング時及び-1日目(慣らし)にFeNOを評価し、適格性を確認した。両方の場合にFeNOが35ppb以上の対象は、PRS-060/AZD1402またはプラセボを投与するために無作為化されて研究に参加した。-1日目(慣らし)、PRS-060/AZD1402またはマッチングプラセボの初回投与を投与される1日前に、対象は、病院/研究サイトにチェックインし;対象は、最終用量の投与(10日目)の48時間後(12日目)にチェックアウトした。1日目の朝、InnoSpire Goネブライザー(Philips)を使用して、PRS-060/AZD1402またはプラセボのいずれかの治験薬を投与した。安全性及びPKの評価を研究期間中の所定の時点で行った。朝の用量の投与後1日目及び10日目に、完全なPKプロファイルを実施した。次に、対象は、12日目の朝にクリニックを退院し、10日目の治験薬の最終用量を投与された後の17日目(±1日)及び40日目(±3日)に、安全フォローアップ、PK、及びPD評価のために再来した。
C.エンドポイント及び評価
研究の1次エンドポイントは、研究中継続的に、有害事象(AE)、バイタルサイン、1秒強制呼気量(FEV)、心電図(ECG)、及び研究室安全性試験で評価される安全性/忍容性である。対象は、研究参加中(治験薬が最初に投与された時点から開始)及び治験薬の最終投与の30日後まで、AEについて監視された。進行中の重篤なAE(SAE)は、治癒または安定するまで追跡された。バイタルサインの評価は、体温、収縮期及び拡張期の血圧測定値(mmHg)、脈拍(1分当たりの心拍数[BPM])、及び呼吸数(1分当たりの呼吸数[BRPM])を含む。血液学、血清化学、尿検査、及び妊娠スクリーニングを含む臨床検査評価のために、血液及び尿試料を収集した。所定の時点で3回12誘導ECGを実施し、同時に採血した場合、採血前に実施した。
主要エンドポイントでは、PRS-060/AZD1402を1回用量を投与された全ての対象は、安全性分析に含まれていた。AE、バイタルサイン、呼吸機能検査(PFT)、ECG、及び臨床検査データに基づいて、安全性を評価した。全てのAE、身体検査、バイタルサイン、PFT、及びECG評価、ならびに、潜在的な臨床的懸念のある安全臨床検査の異常について記載した。安全性データは、必要に応じて、表及び/またはグラフ形式で提示され、用量コホート及び時間により記述的にまとめられる。絶対値データ及びベースラインデータからの変更は、必要に応じて、まとめられる。
Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA)器官別大分類及び基本語を使用して、AEをコード化した。第1投与前または後に開始日付に従って、前処置及び処置下発生AE(TEAE)として、全てのAEを特性決定した。AEを有する対象の発生率表は、最大重症度であるSAE、治験薬と関連すると評価されたAE、及び治験薬の中止をもたらしたAEで、全てのAEに対して提示された。
ECG分析では、投与前に3回のECG測定を行い、投与の20、30、及び60分後に単回測定を行い、ならびに後で、全ての測定に対し3回行った。1日目に投与前に実施された3回のECG測定の平均は、全ての投与後の比較で患者のベースライン補正QT間隔(QTc)値として機能した。ECG及び臨床検査測定の変化がまとめられる。
研究の副次エンドポイントは、PKパラメーター、血清中のPRS-060/AZD1402に対する抗薬物抗体(ADA)の出現、及びFeNOレベルのベースラインからの変化である。PK分析及びADA評価のための静脈血試料及び尿試料を、事前に決定された時点で収集した。以下のPKパラメーターを決定した:Cmax、Cave、Tmax、ゼロ時から投与の12時間後の曲線下面積(AUC0-12)、AUC0-24、AUC0-last、AUCinf、ゼロ時から投与期間の最後までのAUCに対する累積比(Rac AUC0-τ)、Rac Cmax、時間変化パラメーター(TCP)、用量正規化された曝露パラメーター(AUC0-24/用量、AUC0-last/用量、AUCinf/用量)、t1/2、吸入投与の見かけのクリアランス(CL/F)、及び終末相に基づく分布容積(V/F)、Ae、PRS-060/AZD1402のfe、ならびにCL。各尿の収集の間隔で、Ae及びfeを累積的に決定した(Ae[t-tx+1]、Ae[0-t]、fe[t-tx+1]、及びfe[0-t])。プラセボと比較したベースラインからのFeNOレベルの変化を、薬理活性の指標として評価した。スクリーニング及び任意のフォローアップ訪問中は1回及び投与期間中は1日5回(投与前1回、及び各BID[1日2回]投与後は2回)、標準ブレスFeNO試験を使用して気道炎症を評価した。FeNO試験を全ての研究訪問で同じ方法で完了した。対象は、NIOX VERO(登録商標)気道炎症モニターを介して総肺容量まで吸入し、次に、50mL/秒で10秒間息を吐き出した(視覚的及び聴覚的合図で支援)。得られた値を記録し、合計2回測定のプロセスを繰り返した(最大2回の繰り返し)。
研究の探索的エンドポイントは、投与前、投与中、及び投与後の、PDバイオマーカーに対するPRS-060/AZD1402の影響、例えば、ex-vivo全血活性化の阻害及びIL-4/IL-13経路と関連する探索的全身バイオマーカー、ならびに血漿及び血清試料の可溶性バイオマーカー分析を含んでいた。探索的分析では、血漿、血清、末梢血単核細胞(PBMC)、及び全血を収集した。血漿及び血清を使用して、IL-4Rα経路と関連する潜在的な可溶性バイオマーカーを評価した。全血のex-vivo刺激を使用して、全身ターゲットエンゲージメントを評価した。IL-4で対象から収集した全血をex vivoで刺激し、その後、事前定義された時点での吸入後のCD3+T細胞亜集団におけるリン酸化STAT6(pSTAT6)を測定することにより、全血活性化の阻害を評価した。疾患と関連する遺伝子型を同定するために、DNAを使用した。IL-4Rα経路と関連し且つ介入により恩恵を受ける可能性が最も高かった遺伝子シグネチャーを有する患者を同定しようとして、mRNA分析を実施した。
D.データ分析
(i)PK
副次エンドポイントでは、研究の過程で、最初の3つのコホートのために、1日目及び10日目にPRS-060/AZD1402のPKプロファイルを調査し、PK集団をデータ分析に使用した。標準非コンパートメント分析手順に従って、曝露PKパラメーターを誘導した。使用されたソフトウェアは、Phoenix(商標)WinNonlin(登録商標)v8.0(Pharsight Corporation、米国)であった。表19に従って、PK曝露パラメーターの記述統計は、算術平均及び標準偏差(SD)を含み、記述平均血清中濃度、対、時間プロファイルを生成した。
(ii)抗薬物抗体形成
研究の過程で、PRS-060/AZD1402の免疫原性(抗PRS-060/AZD1402抗体形成)を調査した。
(iii)PD-FeNO
FeNOは、PRS-060/AZD1402のPDマーカーとして定義された。PD解析から除外された任意の対象のための利用可能なPDデータが列挙され、PD解析セットの対象のみが、記述的要約表及び要約/平均図面に含まれる。全ての投与群について個別に及びプラセボと比較したPRS-060/AZD1402投与群について、FeNOのベースラインからの変化を評価するために、推論統計をPD解析セットで実施した。FeNOは、対数正規分布のエンドポイントであり、これは、分析が対数スケールで実施されたことを意味する。結果の提示では、実薬及びプラセボ間の推定平均差を、線形スケールに変換し、プラセボ群に比較して、実薬群のベースラインからの低減割合として表した。コホート3の完了時に、中間分析を目的としたデータスナップショットを実施し(以下のセクション(v)を参照)、コホートの適切な検出力を保証するためにFeNO測定の変動性を評価し、プラセボと比較した最初の3回の投与のそれぞれのベースラインからの変化の予備的な推定を評価した。
(iv)FeNOの分析
プラセボ対象は、3つのコホート全てから、10人の患者を含有する一群にプールされた。コホート1及び2は、それぞれ、実薬処置を受けている6人の患者を含み、コホート3は、12人の患者を有していた。各患者は、20回のFeNO測定値に貢献した:ベースライン値、1日目~9日目の朝の投与の2時間後及び晩の投与の2時間後、ならびに10日目の朝の投与の2時間後の記録。
各実薬群及びプラセボ間のlog FeNOの平均差の推定値は、非線形混合効果モデルから導出し、非線形部分は、以下の式のsigmoidal emacsモデルであった。
Figure 2022526524000013
固定された処置群効果及び対象固有の変量効果により、漸近線パラメーターAをモデル化した。
Figure 2022526524000014
処置群k(k=プラセボ、5mg、15mg、及び50mgの公称用量)ならびに対象i(i=1~34)の場合。変量効果は、患者内の相関関係を説明し、対象固有の漸近線を可能にした。プラセボ群で異なる時間経過効果を可能にするために、tmidパラメーターは、2つの固定効果のレベルを含んでいた。
Figure 2022526524000015
データの図で視覚化するために、観察されたFeNOの低減を、処置期間(1日目~10日目)、ならびに11日目及び12日目にわたってプロットした。11日目及び12日目のFeNO測定値は、ベースラインレベルへのFeNOの戻りを示すためにグラフに含まれていた。
E.結果
(1)FeNOの結果
全てのコホート(n=34)にわたるFeNOベースライン平均(SD)は、75.9(41.0)ppbであり、中央値は、62ppbであった。10日間の治療後のプラセボ群の推定減少率は、25.2%であった。表13は、プラセボ群と比較した用量群のそれぞれの減少率を示す。
Figure 2022526524000016

帰無仮説の両側検定「実薬及びプラセボ間の差異はない」
(2)PKの結果
コホート1において、対象が2mgの送達用量を投与された後、わずかな血清曝露が観察されたが、これは、PKパラメーターの計算には不十分であった。コホート2において、対象が6mgの送達用量を投与された後、より完全な曝露データが観察され、コホート3において20mgを投与された後、PKパラメーターが導出されることが可能になる(図9)。コホート1~3の主な研究結果は、以下の通りであった:
●AUC及びCmaxの曝露は、線量とともに増加した(表14)。
●投与前試料を、10日間の投与期間を通じて採取し、観察された血清レベルは、定常状態が投与の2日目の終わりまでに達成されている(図9)ことを示した。
●1日2回9日間投与後の10日目の投与後の曝露は、1日目の1回目の投与後よりも高かった。観察された増加は、12時間の投与間隔及び単回漸増用量研究で得られたPK特性と合理的に一致していた(実施例2)。
完了している尿中PK分析はない。
コホート1では、2人の対象が、17日目に低い陽性のADA結果を返し、40日目のその後の反応は、陰性であった。コホート2では、ADAの研究結果はなかった。
Figure 2022526524000017

測定可能な曝露を伴う対象が不足しているので、決定されていない
(3)探索的エンドポイント-CD3+細胞におけるpSTAT6阻害を監視することによるターゲットエンゲージメントの結果:
STAT6リン酸化の阻害を評価して、PRS-060/AZD1402のターゲットエンゲージメントを評価した。
コホート1~3のサイトのうちの1つに登録する対象の血液中で、IL-4を用いるex-vivoでの全血の刺激を実施し、対応するpSTAT6のレベルを決定した。指定された時点で、Nucleus Network臨床サイトに登録された患者から、全血を収集した。血液を10ng/mLのヒトIL-4で15分間刺激し、次に、赤血球を溶解して白血球を固定した後、pSTAT6及びCD3マーカーの染色を実施し、続いて、FACS分析にかけた。サンプリングの時間経過中の対象の%pSTAT6+CD3細胞の平均及び標準偏差が図10に提示される。pSTAT6の阻害は、コホート2(送達用量6.00mg)以降で観察された。コホート2及び3の対象の結果(送達用量6.00mg及び20.0mg)は、10日目の吸入の1~8時間後にpSTAT6+CD3細胞の%の最も高い阻害を示した。
ex vivo全血活性化の阻害のPK/PD解析(図11)は、PRS-060/AZD1402の吸入後、対象間の変動が少なく、下流のSTAT6リン酸化の用量依存的阻害を示した。IC50値を、0.306nMで計算した。
(4)安全性の結果
コホート1(2.0mgの送達用量)では、バイタルサイン、心電図、病理学(生化学、血液学、尿検査)で臨床的に関連する変化は観察されなかった。コホート2(6.0mgの送達用量)では、好中球及び白血球数が、10日目までにベースラインを離れて増加した1人の対象がおり、このコホートではバイタルサインまたは心電図に変化はなかった。コホート3では、1人の対象は、臨床的に重要でないとみられる白血球数の増加を有し、これは、反復試験で正常化され、別の対象は、繰り返される採血と関連している可能性があるヘマグロビンの低下を有し、このコホートにおいてバイタルサインまたは心電図の変化はない。
軽度から中等度の有害事象が3つのコホートにわたって観察された。コホート1(送達用量2.0mg)では、これらは、2人の対象において軽度の発疹の徴候、1人の対象において投与後の口渇を含む。1人の対象は、投与後に咳を経験したが、これは、次の投与前に治癒した。コホート2(送達用量6.0mg)では、1人の対象は、味覚障害を経験し、1人の対象は、軽度の関節痛を経験し、1人は、事実上、軽度である咳を経験した。コホート3(用量送達20.0mg)では、頭痛及び口渇は、治験薬と関連する可能性があると示され、気管支痙攣の2つのエピソードが観察されたが、投与とは関連がなく、短期的な喘鳴が別の2人の対象でみられ、これは、投与と関連している可能性があり及びおそらく関連していると示された。
全体として、治験薬は、十分に忍容性であり、3つのコホート全てに対し用量を漸増する決定に影響を及ぼす安全審査に関する懸念はなかった。
G.考察及び結論
軽度の喘息患者におけるPRS-060/AZD1402のこの複数回漸増用量研究では、STAT6リン酸化の阻害により表されるように、コホート1、2、及び3対プラセボにおいて、用量関連全身ターゲットエンゲージメントが観察された。
全体として、FeNOの低減は、吸入後の肺におけるPRS-060/AZD1402の局所ターゲットエンゲージメントを示した。しかし、重要な観察結果は、pSTAT6の全身ターゲットエンゲージメントに反映されなかった2mgの送達用量(コホート1)を投与された対象におけるFeNOの有意な低減であり、この1日2回の送達用量では、PKパラメーター計算に不十分な、わずかな血清曝露があった。これにより、有意な全身曝露及びターゲットエンゲージメントのないFeNOの低減で決定される、PRS-060/AZD1402が局所肺炎症に影響を及ぼす能力の間のずれが示された。これは、IL-4Rαを標的とする肺送達リポカリンムテインが全身曝露なしに抗炎症効果を媒介し得るという概念を支持する。
実施例4.軽度の喘息の対象に経口吸入により投与されたPRS-060/AZD1402の複数回投与の安全性、忍容性、及び薬物動態を評価する用量漸増の単盲検研究
実施例4は、コホート1~5のデータを提供する。コホート1~3のデータは、実施例3で提供された。臨床試験がまだ完了していないので、臨床研究全体のデータロック、及び研究レポートの最終データアウトプットは、まだ作成されていない。
A.研究の目的及び概要
研究の目的は、上記の実施例3に記載された通りであった。
コホート1~4の患者のベースライン特性は、以下の表15に示される。
Figure 2022526524000018

コホート1~4の患者。
BMI、肥満度指数;FeNO、呼気中の一酸化窒素濃度;FEV1、1秒強制呼気量;FVC、強制肺活量;ppb、10億分の1。
コホート1~4のみの研究計画の概略図が図16に示される。
B.研究手順
研究手順は、上記の実施例3に記載された通りであった。
C.エンドポイント及び評価
エンドポイント及び評価は、上記の実施例3に記載の通りであった。
D.データ分析
(i)PK
副次エンドポイントでは、研究の過程で、最初の5つのコホートのために、1日目及び10日目にPRS-060/AZD1402のPKプロファイルを調査し、PK集団をデータ分析に使用した。標準非コンパートメント分析手順に従って、曝露PKパラメーターを誘導した。使用されたソフトウェアは、Phoenix(商標)WinNonlin(登録商標)v8.0(Pharsight Corporation、米国)であった。表19に従って、PK曝露パラメーターの記述統計は、算術平均及び標準偏差(SD)を含み、記述平均血清中濃度、対、時間プロファイルを生成した。
(ii)抗薬物抗体形成
研究の過程で、PRS-060/AZD1402の免疫原性(抗PRS-060/AZD1402抗体形成により評価)を調査した。
(iii)PD-FeNO
PDマーカーFeNOの評価は、実施例3のパート(iii)に記載の通りであった。
(iv)FeNOの分析
実施例3(iv)に記載の非線形混合効果モデルは、漸近線パラメーターAのモデルに共変量としてベースラインFeNOを追加することにより更新された。
E.結果
(1)PKの結果
コホート1では、対象が2mgの送達用量を投与された後、わずかな血清曝露が観察され、これは、PKパラメーターの計算には不十分であった。コホート2において、対象が6mgの送達用量を投与された後に、より完全な曝露データが観察され、コホート3において20mg及びコホート4において60mgを投与された後、PKパラメーターが導出されることが可能になる(図13)。コホート1~5の主な研究結果は、以下の通りであった:
●AUC及びCmaxの曝露は、線量とともに増加した(表16)。
●投与前試料を、10日間の投与期間を通じて採取し、観察された血清レベルは、定常状態が投与の2日目の終わりまでに達成されている(図13)ことを示した。
●1日2回9日間投与後の10日目の投与後の曝露は、1日目の1回目の投与後よりも高かった。観察された増加は、12時間の投与間隔及び単回漸増用量研究で得られたPK特性と合理的に一致していた(実施例2)。
●完了している尿中PK分析はない。
Figure 2022526524000019

測定可能な曝露を伴う対象が不足しているので、決定されていない
(3)抗薬物抗体
コホート1では、6人の対象のうち、2人が17日目に低い陽性ADA値を返し;40日目のその後の応答は陰性であった。
コホート2では、ADAの研究結果はなかった。
コホート3では、12人の対象のうち4人は、40日目に低い陽性ADA値を返し、1人の対象は、17日目に低い陽性ADA値を返し、その後、40日目に陰性応答を返した。
コホート4では、6人の対象のうち3人が、陽性ADA値を返した。これらのうち、2人の対象は、40日目のみで低い陽性ADA値を有していた。1人の対象は、17日目及び40日目の両方で、より高い陽性ADA応答を生じた。
コホート5では、12日目、17日目、及び40日目に陽性ADA結果が確認された1人の対象、ならびに、40日目に陽性ADAが確認された1人の対象が存在した。
任意の前処理試料またはPRS-060/AZD1402を投与される場合の試料では、ADAは、観察されなかった。
(4)探索的エンドポイント-CD3+細胞におけるpSTAT6阻害を監視することによるターゲットエンゲージメント:
STAT6リン酸化の阻害を評価して、PRS-060/AZD1402のターゲットエンゲージメントを評価した。
コホート5ではなくコホート1~4のサイトのうちの1つに登録する対象の血液中で、IL-4を用いるex-vivoでの全血の刺激を実施し、対応するpSTAT6のレベルを決定した。指定された時点で、Nucleus Network臨床サイトに登録された患者から、全血を収集した。血液を10ng/mLのヒトIL-4で15分間刺激し、次に、赤血球を溶解して白血球を固定した後、pSTAT6及びCD3マーカーの染色を実施し、続いて、FACS分析にかけた。サンプリングの時間経過中の対象の%pSTAT6+CD3細胞の平均及び標準偏差が図14に提示される。pSTAT6の阻害は、コホート2(送達用量6.00mg)以降で観察された。コホート3及び4の対象の結果(送達用量20.00mg及び60.0mg)は、10日目の吸入の1~8時間後にpSTAT6+CD3細胞の%の最も高い阻害を示した。
ex vivo全血活性化の阻害のPK/PD解析(図15)は、PRS-060/AZD1402の吸入後、対象間の変動が少なく、下流のSTAT6リン酸化の用量依存的阻害を示した。IC50値を、0.30nMで計算した。
(5)安全性の結果:コホート1~5
有害事象:薬物に起因する軽度~中等度の有害事象が5つのコホートにわたって観察され、以下のようにまとめられる。
コホート1(1日2回の送達用量2.0mg)では、有害事象は、投与後に2人の対象に軽度の発疹、1人の対象に口渇の徴候を含んでいた。1人の対象は、投与後に咳を経験したが、これは、次の投与前に治癒した。
コホート2(1日2回の送達用量6.0mg)では、有害事象は、味覚障害を経験した1人の対象、軽度の関節痛を経験した1人の対象、及び軽度の咳を経験した1人、ならびに投与の終了の2日後に、その後に短く軽度の喘息の悪化を含んでいた。
コホート3(1日2回の送達用量20.0mg)では、有害事象は、治験薬と関連する可能性があるものとして示される頭痛及び口渇を含んでいた。気管支痙攣の2つのイベントが1人の対象で観察されたが、投薬とは関係なかった。短期間の喘鳴が別の2人の対象にみられ、それぞれ、投与と関連する可能性があり及びおそらく関連すると示される。
コホート4(1日2回の送達用量60.0mg)では、有害事象は、治験薬と関連する可能性があるものとして示される頭痛を含んでいた。咳及びそれと関連する症状の2つのエピソードも、明らかに治験薬と関連している可能性として示された。9日目に、上気道感染症と診断された1人の対象は、短時間の気管支痙攣を経験した。1人の対象は、9日目に咳及び高熱で研究から離脱し、おそらく薬物と関連しているとみられる上気道感染症と考えられた。この参加者は、また、ウイルス性疾患と関連している可能性が高い、複数回の失神の重大なエピソードを有した。同じ参加者は、また、おそらくウイルス性疾患と関連して、投与期間後に口唇ヘルペス(進行中)及び胸部圧迫感のうちの1つの有害事象を有していた。さらに、この対象は、投薬後のフォローアップ訪問のために再来した時に、無関係の妊娠を確認された。その後の妊娠の結果は、流産であり、治験薬とは関係がなく、おそらく参加者の年齢(47歳)が原因であった。
追加の安全性は、以下の通りまとめられる。
コホート1(1日2回の2.0mgの送達用量)では、バイタルサイン、心電図、病理学(生化学、血液学、尿検査)で臨床的に関連する変化は観察されなかった。
コホート2(1日2回の6.0mgを送達用量)では、好中球及び白血球数がベースラインから10日目まで増加した対象が1人いた。このコホートでは、バイタルサインまたは心電図に変化はなかった。
コホート3(1日2回の20.0mgの送達用量)では、1人の対象は、白血球数が増加し(臨床的に有意ではないとみなされた)、これは、反復試験で正常化され、別の対象は、繰り返しの採血と関連している可能性のあるヘモグロビンの低下を有していた。このコホートでは、バイタルサインまたは心電図に変化はなかった。
コホート4(1日2回の60.0mgの送達用量)では、1人の参加者は、投与前の好中球数が少なく、治験薬とは関連がなかった。軽度の一過性リンパ球減少症及び好中球減少症の症例もあったが、これは、有意とはみなされなかった。1人の対象は、ヘモグロビンが低下した血液学的変動を示し、処置後フォロー結果は、それらの1日目の結果と一致した。1人の対象は、投与前に上昇したビリルビン(スクリーニングでは正常)を有することが観察され、これは、研究中は増加し続けたが、予定外の訪問時には減少していた。しかし、それは、依然として高く、有害事象は、進行中である。
コホート5(1日2回の0.2mgの送達用量)では、登録された11人の対象のうち9人において、26の軽度~中等度の有害事象が観察された。有害事象はいずれも深刻または重度とはみなされなかった。26のAEのうち20は、「軽度」とみなされ、そのうち5つは、「関連している可能性がある」とみなされた。6つの有害事象は、事実上中等度とみなされ、そのうち3つは、「関連している可能性がある」とみなされ、プラセボを投与された1人の対象で観察された。残りの3つの中程度のAEは、「関連性がない」とみなされた。コホート5で観察された全てのAEが治癒した。全ての肺活量測定、臨床検査、ECG、及びバイタルサインは、臨床研究者により臨床的に重要ではないとみなされた。安全審査委員会は、用量レベルが十分に忍容性であることを全員一致で決定した。
全体的に、治験薬は、本研究で十分に忍容性であり、全ての5つのコホートに対し、次のコホートまで用量漸増及び/または継続する意思決定に影響を及ぼした安全審査時に懸念は全くなかった。
Figure 2022526524000020

パーセンテージは、優先語に基づく、すなわち、優先語毎に患者全体の5%以上で生じたAEの発生率
AEは、コホート1~4のものであり、これは、患者全体の5%以上で生じた
AZD1402/PRS-060の送達用量は、2mg、6mg、20mg、及び60mgであった。
流産の重篤な有害事象につながる1回の妊娠が観察された。これは、患者の年齢によるものと考えられ、研究者による治験薬とは関連しなかった。
AE、有害事象;m、イベント数;n、特定のAEで報告された患者数;N、各処置群の患者の総数
(6)コホート1~5:FeNOの結果
コホート1~4全体のFeNOベースライン平均(SD)(n=42)は、75.8(41.2)ppbであり、中央値は、62ppbであり、範囲は、28~178ppbであった。共変量としてベースラインFeNOを含む、更新された非線形混合効果モデルを使用して、平均低減率を推定した。10日間の処置後のプラセボ群(n=12)の推定低減率は、26.2%であった。
Figure 2022526524000021

帰無仮説の両側検定「実薬及びプラセボ間の差異はない」
送達用量0.2mgのコホート5のFeNOデータの分析により、プラセボと比較してベースラインからのFeNOの低減が全く示されなかった。
G.考察及び結論
軽度の喘息患者においてRS-060/AZD1402のこの複数回漸増用量研究では、STAT6リン酸化の阻害により表されるように、コホート1~5(すなわち、2mg、6mg、20mg、60mg、及び0.2mgの送達用量)対プラセボにおいて、用量と関連する全身ターゲットエンゲージメントが観察された。
全体として、FeNOの低減は、吸入後の肺におけるPRS-060/AZD1402の局所ターゲットエンゲージメントを示した。しかし、重要な観察結果は、2mgの送達用量を投与された対象(コホート1)におけるFeNOの有意な減少であり、これは、この1日2回の送達用量ではpSTAT6の全身ターゲットエンゲージメントアッセイにおいて有意な阻害効果により反映されず、みられたわずかな全身曝露は、このIL-4誘発応答を阻害するには不十分であった。これにより、検出可能な全身曝露及び関連する全身ターゲットエンゲージメントのないFeNOの低減で決定される局所肺炎症に影響を及ぼすPRS-060/AZD1402の実証された能力の間のずれが示された。これは、IL-4Rαを標的とする肺送達リポカリンムテインが検出可能な全身曝露なしに抗炎症効果を媒介し得るという概念を支持する。
Figure 2022526524000022

Figure 2022526524000023
参考文献
本発明及び本発明が属する最新技術をより完全に記載及び開示するために、多くの刊行物が上で引用される。これらの参考文献の完全な引用が以下に提供される。これらの参考文献のそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
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配列
Figure 2022526524000024

Figure 2022526524000025

Claims (69)

  1. ヒト対象の喘息を処置するための方法であって、少なくとも1日1回、治療有効量の配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に吸入で投与することを含み、リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量が、約0.1mg~約160mgである、前記方法。
  2. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、少なくとも約8mgである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの全身曝露がもたらされる、請求項2に記載の方法。
  4. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項2または3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされる、請求項4に記載の方法。
  6. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約10nM以下のIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項2または3に記載の方法。
  7. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約2mg未満である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が低減する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、FeNOが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減する、請求項8に記載の方法。
  10. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントが、前記対象に噴霧で投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約0.2mg~約60mgである、請求項1に記載の方法。
  12. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、少なくとも約6mgである、請求項1または11に記載の方法。
  13. 少なくとも約6mgの、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、1日2回投与される、請求項12に記載の方法。
  14. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの全身曝露がもたらされる、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約10nM以下のIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項12~14に記載の方法。
  18. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約2mg以下である、請求項1または11に記載の方法。
  19. 約2mg以下の、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、1日2回投与される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの局所肺曝露がもたらされる、請求項11または18または19に記載の方法。
  21. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が低減する、請求項11~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、FeNOが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減する、請求項21に記載の方法。
  23. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントが、前記対象に噴霧で投与される、請求項11~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. ヒト対象の喘息を処置する方法に使用される、配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントであって、前記方法が、少なくとも1日1回、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に吸入で投与するステップを含み、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量が、約0.1mg~約160mgである、前記IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  25. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、少なくとも約8mgである、請求項24に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  26. 前記送達用量が、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの全身曝露をもたらす、請求項25に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  27. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項25または26のいずれか1項に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  28. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされる、請求項27に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  29. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約10nM以下のIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項25または26に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  30. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約2mg未満である、請求項24に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  31. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が低減する、請求項24~30に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  32. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、FeNOが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減する、請求項31に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  33. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントが、前記対象に噴霧で投与される、請求項24~32のいずれか1項に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  34. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約0.2mg~約60mgである、請求項24に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  35. リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、少なくとも約6mgである、請求項24または34に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  36. 少なくとも6mgの前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント前記送達用量が、1日2回投与される、請求項35に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  37. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの全身曝露がもたらされる、請求項35または36に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  38. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項35~37のいずれか1項に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  39. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされる、請求項38に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  40. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約10nM以下のIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項35~37に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  41. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約2mg以下である、請求項24または34に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  42. 約2mg以下の前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、1日2回投与される、請求項41に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  43. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの局所肺曝露がもたらされる、請求項34または41または42に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  44. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が低減する、請求項34~43のいずれか1項に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  45. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、FeNOが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減する、請求項44に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  46. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントが、前記対象に噴霧で投与される、請求項34~45の1項に記載の使用のための、IL-4Rαリポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメント。
  47. ヒト対象の喘息の処置に使用される薬品の製造のための配列番号1に記載のアミノ酸配列またはその多様体もしくはフラグメントを含む抗IL-4受容体アルファ(IL-4Rα)リポカリンムテインの使用であって、前記処置が、少なくとも1日1回、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に吸入で投与することを含み、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの送達用量が、約0.1mg~約160mgである、前記使用。
  48. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、少なくとも約8mgである、請求項47に記載の使用。
  49. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの全身曝露がもたらされる、請求項48に記載の使用。
  50. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項48または49のいずれか1項に記載の使用。
  51. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされる、請求項50に記載の使用。
  52. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約10nM以下のIC50で、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項48または49に記載の使用。
  53. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約2mg未満である、請求項47に記載の使用。
  54. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が低減する、請求項47~53のいずれか1項に記載の使用。
  55. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、FeNOが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減する、請求項54に記載の使用。
  56. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントが、前記対象に噴霧で投与される、請求項47~55のいずれか1項に記載の使用。
  57. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約0.2mg~約60mgである、請求項47に記載の使用。
  58. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、少なくとも約6mgである、請求項47または57に記載の使用。
  59. 少なくとも約6mgの、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、1日2回投与される、請求項58に記載の使用。
  60. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの全身曝露がもたらされる、請求項58または59に記載の使用。
  61. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項58~60のいずれか1項に記載の使用。
  62. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、前記対象のCD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%の阻害がもたらされる、請求項61に記載の使用。
  63. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを投与すると、約10nM以下のIC50の、CD3+T細胞におけるIL-4刺激性STAT6リン酸化の阻害がもたらされる、請求項58~60に記載の使用。
  64. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、約2mg以下である、請求項47または57に記載の使用。
  65. 約2mg以下の、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの前記送達用量が、1日2回投与される、請求項64に記載の使用。
  66. 前記送達用量により、前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントの局所肺曝露がもたらされる、請求項57または64または65に記載の使用。
  67. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)が低減する、請求項57~66のいずれか1項に記載の使用。
  68. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントを前記対象に投与した後、FeNOが、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、または少なくとも50%低減する、請求項67に記載の使用。
  69. 前記リポカリンムテインまたはその多様体もしくはフラグメントが、前記対象に噴霧で投与される、請求項57~68のいずれか1項に記載の使用。
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