JP2022517636A - シクロスポリン類似体及びその使用 - Google Patents

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Abstract

JPEG2022517636000029.jpg74157本発明は、シクロスポリン類似体及びその使用を提供し、特に、ドナー臓器を保存するためのミトコンドリア保護剤としての化合物及びその使用に関する。化合物は式1の化合物又はその塩であり、式中、nは2~5であり、R1及びR2は独立してH又はC1-C4アルキルから選択され、式中、R1及びR2は、互いに結合してC3-C5ヘテロアルキル環を形成することができる。

Description

本発明は、シクロスポリン類似体及び臓器ドナーにおけるミトコンドリア保護剤としてのそれらの使用に関する。本発明の化合物は、移植前に対象から摘出又は切断された臓器又は他の身体部分の保存のために使用され得る。特に、排他的ではないが、本発明は、臓器ドナーにおけるミトコンドリア保護剤としての式1のシクロスポリン類似体の使用に関する。より詳細には、本発明は、腎臓ドナーにおけるミトコンドリア保護剤としての化合物1の使用に関する。
急性炎症は、PAMP(病原体活性化分子パターン)及びDAMP(損傷活性化分子パターン)シグナルに応答して作用して、起点となる傷害を解決する様々な細胞内因子(好中球、マクロファージ)及び細胞外因子(補体、ヒスタミン)の複雑な相互作用に関与することがよく認識されている。シクロフィリンAは、炎症応答を支持して白血球移動を促進するケモカインとして機能することが実証されており、シクロフィリンAの遮断は、急性炎症の動物モデルにおいて有益であることが示された。より最近では、細胞死及び組織壊死を伴う重度の形態の炎症が記載されている。この壊死性炎症の発症及び維持にとって重要であるとして、重要な証拠が、ミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)と呼ばれるミトコンドリア膜の孔の開口を現在支持している。このMPTP開口の重要な調節因子はシクロフィリンD(CypD)であり、CypDの阻害剤は壊死性炎症に関連する組織損傷の予防において良好な活性を示している。MPTPの開口、及びその後の壊死性細胞死の開始は、酸化ストレス、低酸素、胆汁酸塩毒素などを含む様々な因子に起因する細胞内カルシウムレベルの上昇によって引き起こされる。注目すべきことに、CypDの遺伝的除去又は薬理学的阻害は、心臓組織の虚血-再灌流障害による組織分解に対して保護的であることが見出され、CypD阻害が、より一般的には虚血-再灌流障害のための実行可能な薬物標的であることを示唆した。
腎虚血は、動脈閉塞、ショック及び腎移植に起因し、腎細胞死及び腎不全をもたらし得る。虚血に関連する組織損傷のさらなる原因は、臓器移植の過程中に生じる。ドナー臓器の摘出後、組織は血流の喪失の結果として必然的に酸素欠乏を受け、流れの再開時に虚血性組織への損傷が起こる。切除及び再灌流プロセス中の組織損傷を防ぐことができる化合物は、移植された臓器の生存率を改善するであろう。組織保護剤として使用される化合物の好ましいプロファイルは、CypDの強力な阻害、虚血ストレス後のMPTP開口の防止、及び、組織を保護するのに十分高い濃度で静脈内投与のため及び臓器輸送中に典型的に使用される保存溶液への添加のために製剤化されるのに十分な溶解性を含む。
シクロフィリンDノックアウトマウス並びにシクロフィリン阻害剤を用いた薬理学的戦略を用いて行われた研究では、ミトコンドリア内膜の非特異的チャネルであるミトコンドリア膜透過性遷移孔(MPTP)が、様々な傷害に起因する細胞死の基本的事象であることが明確に実証された。さらに、シクロフィリンDの阻害は、mPTPの開口を防止することができ、そそのことは、ミトコンドリア機能に対して保護的であり、細胞生存率を保存する。MPTPを誘導し得る細胞に対する毒性傷害には、虚血、活性酸素種(ROS)、胆汁酸塩、α-シヌクレインのオリゴマー、及び細胞内カルシウムレベルの上昇が含まれる。ドナーから摘出された後のドナー臓器は、壊死性炎症を受け、レシピエント内に配置されたときに組織損傷及び機能障害をもたらす可能性がある。本明細書に記載される化合物は、レシピエントへの移植を待つ間に臓器が保存されている間、摘出後のドナー臓器の分解を防止する。
シクロスポリンAは、その免疫抑制特性について周知の化合物であるが、他の生物学的特性も記載されている。シクロスポリンAは、以下の化学構造を有する。
Figure 2022517636000002
シクロスポリンAの生物学的に活性な誘導体も作製されている。例えば、米国特許第6,583,265号明細書、欧州特許第0 484 281号明細書及び欧州特許第0 194 972号明細書は、免疫抑制特性、抗寄生虫特性及び抗ウイルス特性を含む様々な特性を有するシクロスポリン誘導体を記載している。
米国特許第6,583,265号明細書は、シクロスポリン大環状分子の3位が改変されたシクロスポリン誘導体を記載している。特に、米国特許第6,583,265号明細書は化合物1を開示している。
Figure 2022517636000003
この化合物は、米国特許第6,583,265号の実施例27であり、環の周囲の様々な位置に修飾を有する何百もの指定された化合物を含む。しかし、この化合物又は関連類似体について生物学的試験データ又は特定の用途は記載されていない。出願人らが米国特許第6,583,265号明細書において化合物27を調製するために使用された公開されている経路を使用して前記化合物を合成しようとしたとき、この方法は有効ではなかった。米国特許第6,583,265号明細書の方法論を再現するために多くの試みがなされたが、大きな成功はなかった。理論に束縛されるものではないが、ジメチルアミノ基(塩基性である)は、酸触媒と優先的に反応したのだと考えられる。これにより、酸触媒が脱離基の喪失を活性化するのを防ぎ、反応の進行を阻害した。したがって、実施例27が以前に合成されたかどうかに関してはいくらかの疑いがあり、したがって、この先行技術が実際に化合物1の調製を可能にする開示であるかどうかに関しては疑いがある。
米国特許第6,583,265号明細書 欧州特許第0 484 281号明細書 欧州特許第0 194 972号明細書
出願人らは、移植前の臓器の保存を改善するために、ミトコンドリア保護剤として作用する化合物を臓器ドナーに与えることができることを同定した。化合物は、シクロフィリンD阻害を介して作用する。シクロフィリンDの任意の公知の阻害剤を、本明細書中に記載されるように使用することができる。適切な阻害剤には、シクロスポリン又は環状デプシペプチド類似体、例えば、米国特許第6,583,265号、欧州特許第0 484 281号、欧州特許第0 194 972号、国際公開第2010/076329号及び国際公開第2014/053834号を含む刊行物に報告されているものが含まれる。
出願人らは、上記の先行技術文献で以前に示唆された化合物を合成し、驚くべきことに、化合物の小さなサブセットが、特に良好なシクロフィリンD阻害剤であることを発見した。したがって、以下に記載される化合物は、シクロフィリンD活性の阻害から利益を得る状態の処置において使用され得、エクスビボでの臓器の保存を助けるために臓器ドナーに投与され得る。本発明の一態様によれば、移植前のドナーからの摘出された身体部分又は臓器の保存においてミトコンドリア保護剤として使用するための化合物が提供される。摘出された身体部分は、手足、手、足、指又はつま先であってもよい。臓器は腎臓であってもよい。ドナーは、生体ドナーであってもよい。
Figure 2022517636000004

又はその塩、
式中、nは2~5であり、及び
及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい。
好ましい実施形態では、化合物は以下である:
Figure 2022517636000005
式1の化合物は、切断された身体部分及び臓器の再付着に関連する虚血再灌流障害の治療に使用することができる。図1及び2にグラフで示される本出願で提供されるデータは、化合物1が、十分に確立された比較例のシクロスポリンA及び式1の範囲内のものを含む他の密接に関連する類似体を有意に上回ったことを示す。実際、臓器から血液を30分間欠乏させて行なった困難な試験において、化合物1は驚くほど良好な結果を与え、実際に、罹患臓器に対する予想される損傷のほぼ完全な回復を示した。
化合物1は、シクロフィリンDの阻害剤として顕著な効力を示す。表1に見られるように、化合物1(エントリー4)は、シクロフィリンDに対して24nMのEC50を示す。N原子上の1つのメチル基をHで置き換えると(エントリー1は単にNHMe ve NMeである)、効力は約100倍低下し、EC50は>2000nMである。したがって、化合物1は、シクロフィリンD及びミトコンドリア膜透過性遷移(MPT)の驚くほど強力な阻害剤である。
本明細書で上述した化合物、方法又は使用の一実施形態では、化合物の用量は0.1~10mg/kgである。本明細書で上述した化合物、方法又は使用の一実施形態では、化合物の用量は1~3mg/kgである。これらの用量範囲において、本発明の化合物は特に有効である。
本発明の塩は、式1の化合物又は化合物1への酸の添加によって生じ得る。得られる酸付加塩には、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、クエン酸、乳酸、マンデル酸、グリコール酸、アジピン酸、アルギン酸、アリールスルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸)及びp-トルエンスルホン酸)、アスコルビン酸(例えばL-アスコルビン酸)、L-アスパラギン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、ブタン酸、(+)カンフル酸、カンファースルホン酸、(+)-(1S)-カンファ-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸(例えばD-グルコン酸)、グルクロン酸(例えばD-グルクロン酸)、グルタミン酸(例えばL-グルタミン酸)]、α-オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば(+)-L-乳酸及び(±)-DL-乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸(例えば(-)-L-リンゴ酸)、(±)-DL-マンデル酸、メタリン酸、メタンスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L-ピログルタミン酸、サリチル酸、4-アミノ-サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、酒石酸(例えば(+)-L-酒石酸)、チオシアン酸、ウンデシレン酸及び吉草酸と形成されるものが含まれる。特に、酸付加塩には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸及び硫酸などの鉱酸から得られるものや、酒石酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、アリールスルホン酸などの有機酸から得られるものが含まれる。
本発明の化合物は、1つ以上のさらなる活性物質と共に投与され得る。
本発明の1つの態様によれば、ミトコンドリア保護化合物であって、対象から摘出又は切断される身体部分又は臓器を保存することにおいて、かつ、新たな個体への臓器移植の前又は身体部分の再付着の前に、使用するためのミトコンドリア保護化合物が提供され、ここで、その化合物は、式1の化合物:
Figure 2022517636000006

又はその塩であり、
式中、nは2~5であり、及び
及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい。
本開示の1つの態様によれば、対象から摘出又は切断された臓器を臓器移植又は再付着の前に保存するための方法が提供され、臓器を式1のミトコンドリア保護化合物
Figure 2022517636000007

又はその塩に曝露することを含み、
式中、nは2~5であり、及び
及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい。
本開示の1つの態様によれば、ミトコンドリア保護化合物の使用であって、対象から摘出又は切断される身体部分又は臓器の保存のための薬剤を製造するための、移植又は再付着の前の使用が提供され、ここで、その化合物は、式1の化合物:
Figure 2022517636000008

又はその塩であり、
式中、nは2~5であり、及び
及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい。
本開示の1つの態様によれば、ミトコンドリア保護化合物の使用であって、対象から摘出又は切断される身体部分又は臓器の保存のための、移植又は再付着の前の使用が提供され、ここで、その化合物は、式1の化合物:
Figure 2022517636000009

又はその塩であり、
式中、nは2~5であり、及び
及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい。
一実施形態では、化合物が臓器ドナーにおいてミトコンドリア保護剤として使用され得て、化合物は、前記臓器を前記ドナーから摘出する前に臓器を保護するために臓器ドナーに投与される。
さらなる実施形態では、ミトコンドリア保護剤化合物はシクロフィリン阻害剤である。
一実施形態では、化合物が臓器ドナーにおいてミトコンドリア保護剤として使用され得て、その化合物は、前記臓器を前記ドナーから摘出する前に臓器を保護するために臓器ドナーに投与され、ここで、その化合物は式1の化合物
Figure 2022517636000010

又はその塩であり、
式中、nは2~5であり、及び
及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい。
一実施形態では、式1の化合物は、臓器ドナーにおいてミトコンドリア保護剤として使用することができ、臓器は腎臓である。
一実施形態において、式1の化合物は、腎臓を保存するために使用され得る。
本発明の別の態様によれば、臓器ドナー内の臓器を保存する方法であって、前記ドナーから前記臓器を摘出する前に前記ドナーにミトコンドリア保護剤化合物を投与することを含む方法が提供される。
一実施態様では、腎臓ドナー内の腎臓を保存する方法であって、前記ドナーから前記腎臓を摘出する前に前記ドナーにミトコンドリア保護剤化合物を投与することを含む方法が提供される。
一実施態様では、腎臓ドナー内の腎臓を保存する方法であって、前記ドナーから前記腎臓を摘出する前に前記ドナーにミトコンドリア保護剤化合物を投与することを含む方法が提供され、ここで、その化合物は式1の化合物である。
一実施形態では、式1の化合物は、臓器移植の前に生体ドナーに投与される。
好ましい実施形態では、式1の化合物は、腎移植の前に生体腎ドナーに投与される。
一実施態様では、腎臓ドナー内の腎臓を保存する方法であって、前記ドナーから前記腎臓を摘出する前に前記ドナーにミトコンドリア保護剤化合物を投与することを含む方法が提供され、ここで、その化合物は化合物1である。
Figure 2022517636000011
一実施形態では、化合物が臓器ドナーにおいてミトコンドリア保護剤として使用され得て、化合物は、前記臓器を前記ドナーから摘出する前に臓器を保護するために臓器ドナーに投与され、ここで、その化合物は化合物1である。
好ましい実施形態において、化合物1は、腎臓を保存するために使用され得る。
一実施態様では、腎臓ドナー内の腎臓を保存する方法であって、前記ドナーから前記腎臓を摘出する前に前記ドナーにミトコンドリア保護剤化合物を投与することを含む方法が提供され、ここで、その化合物は化合物1である。好ましい実施形態では、化合物1は、腎移植の前に生体腎ドナーに投与される。
本発明の一態様によれば、腎臓を保存するための薬剤を製造するためのミトコンドリア保護剤化合物の使用が提供される。一実施形態では、腎臓を保存するための薬剤を製造するためのミトコンドリア保護剤化合物の使用であって、化合物が式1の化合物である使用が提供される。一実施形態では、腎臓を保存するための薬剤を製造するためのミトコンドリア保護剤化合物の使用であって、化合物が化合物1である使用が提供される。
本発明の一態様によれば、ドナーを化合物1で処置することを含む、腎臓を保存する方法が提供される。好ましい実施形態では、臓器又は腎臓ドナーは生体ドナーである。
虚血傷害は、組織領域への血液供給が遮断されたときに生じる。虚血傷害の発生率は非常に大きく、心筋梗塞、脳卒中及び他の血栓性事象であり、これらは米国だけで毎年130万人を超える個人に影響を及ぼす。さらに、虚血傷害は、血管が交差クランプされる手術中、及び移植のための臓器においても起こる。組織が酸素欠乏を乗り越えることができる時間の長さは様々であるが、最終的に虚血組織は壊死する。
再灌流(再酸素化)傷害は、一定期間の虚血又は酸素欠乏(無酸素症、低酸素症)後に血液供給が組織に戻るときに引き起こされる組織損傷である。理論に束縛されるものではないが、虚血期間中の血液から酸素及び栄養素が欠如すると、循環の回復によって炎症及び酸化的損傷がもたらされる状態を作り出すと考えられる。
臓器移植では、ドナーの血液供給から臓器を摘出してから臓器をドナーレシピエントの血液供給に再接続するまでの期間がある。この期間中、虚血-再灌流障害の可能性がある。場合によっては、臓器を手術場所まで長距離輸送する必要があることがあり、臓器損傷の可能性が高まる。
手足の切断を伴う事故では、血液供給からの身体部分の切断から血液供給への身体部分の再接続までに時間がある。この期間中、虚血-再灌流障害の可能性がある。場合によっては、身体部分及び患者を手術場所まで長距離輸送する必要があることがあり、再付着前、再付着中及び再付着後の損傷の可能性が高まる。
本発明は、身体部分及び臓器へのこの損傷を防ぐための本発明のミトコンドリア保護剤化合物の投与のために提供される。特に、ドナーの血液供給から身体部分又は臓器を摘出してドナーレシピエントの血液供給への再接続、又は身体部分の切断の場合には、再付着までの間の期間である。当業者は、本発明の化合物を、臓器ドナー又は事故の犠牲者であれ、身体部分又は臓器の摘出前に、個体に、又は個体から摘出された身体部分又は臓器に、投与することができる方法を認識するであろう。例えば、本発明の化合物は、身体部分又は臓器の摘出前にドナー又は事故の犠牲者に静脈内投与することができ、又は、臓器が配置されている流体に添加する(又はその中に含める)ことができ、及び/又は、本発明の化合物は、臓器/身体部分内又はそれを通って再循環される流体に添加され得る(又は含まれ得る)。
上記の化合物、方法又は使用の一実施形態では、本発明の化合物は、個体から臓器を摘出した後、移植又は再付着の前に、臓器に投与される。代替では、又はさらに、本発明の化合物は、ドナー臓器の摘出の前にドナー対象に投与される。例えば、本発明の化合物は全身投与され得る。注射は、本発明の化合物の全身用量を投与する1つの方法である。本発明の化合物は、臓器移植後のレシピエント又は事故犠牲者に、再付着後に投与され得る。
本発明の化合物の全身用量は、臓器摘出の前に臓器ドナーに投与することができる。これにより、摘出前に臓器が保護用量の化合物を受けることが可能になり、それにより、摘出中、及び、ドナーレシピエントへの移植の過程まで、及びその間、臓器を損傷から保護することによって臓器が保存される。2以上の臓器がドナーから摘出されている場合、この全身用量は、各臓器が化合物の用量を確実に受け取るようにする。全身用量はまた、移植される臓器組織に、均一な用量の化合物を提供する可能性がより高い。ドナーが法的に死亡している場合、用量は、生存している対象に通常与えられるよりも大きくすることができる。
化合物は、臓器摘出手術の直前又は臓器摘出手術中に投与することができる。例えば、本発明の化合物は、手術の8、7、6、5、4、3、2又は1時間前に投与され得る。
さらに、又は代替において、臓器レシピエント又は事故の犠牲者は、それらの血液供給が保護用量の本発明の化合物を含有することによって、移植又は再付着された身体部分を手術後の損傷から保護するように、臓器を受け入れる前又は再付着手術を受ける前に本発明の化合物の用量を受けることができる。
身体部分は、同じ個体から切断されて再付着されてもよく、又は第2の個体に移植片として与えられてもよい。身体部分が対象から切断される場合、切断は完全であっても部分的であってもよい。部分的な切断は、例えば血液供給の切断であり得るが、身体部分は、例えば皮膚、骨又は筋肉組織を介して付着したままである。化合物は、(i)切断された身体部分に、及び/又は、(ii)身体部分の再付着の前に対象に、及び/又は、(iii)身体部分の再付着中又は再付着後に対象に、投与され得る。
本発明は、非ヒト対象、例えば、ネコ、イヌ、ウマ及びブタにも適用される。本発明はまた、トランスジェニック動物(例えばトランスジェニックブタ)にも適用され、そのような動物は、ヒト移植に適した臓器を有する。
本明細書で上述した化合物、方法又は使用の一実施形態では、化合物は、化合物1である:
Figure 2022517636000012
化合物1は、本出願において有効なミトコンドリア保護剤であることが示されている。
表1に示される結果は、当技術分野で公知の同様の類似体(エントリー1~3及び5~7)と比較して、化合物1(エントリー4)の予想外に高いシクロフィリンD阻害及びMPTを実証している。MPTの100倍の改善が、3つの他の密接に関連する化合物(エントリー1、5及び7)と比較して観察され、次に最良の性能の類似体と比較して25倍を超える改善が観察された(エントリー3)。化合物1はまた、優れたシクロフィリンD阻害を示し、試験した他の全ての類似体と比較して少なくとも50倍の改善を示した。
本明細書で上述した化合物、方法又は使用の一実施形態では、臓器は、腎臓、膵臓、肝臓、心臓、肺又は腸であり得る。切断された身体部分の場合、身体部分は、手足、手、足、指又はつま先であってもよい。
本明細書で上述した化合物、方法又は使用の一実施形態では、化合物の用量は0.1~10mg/kgであり、必要に応じて1~3mg/kgである。臓器又は身体部分が本発明の化合物を含有する流体に浸されている場合、又はこの流体が再循環されている場合、化合物の濃度は必要に応じて、より高くてもより低くてもよい。
本明細書で上述した化合物、方法又は使用の一実施形態では、化合物は、Cremophor(ポリエトキシル化ヒマシ油)/生理食塩水/DMSO(ジメチルスルホキシド)中に製剤化される。
本開示の一態様によれば、式1の化合物を調製する方法が提供され、この方法は、生成物形成反応を含み、この反応は、銅トリフラート及び式2のアミノアルコールを含み、
Figure 2022517636000013

式中、nは2~5であり、
及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい。
驚くべきことに、本発明の化合物は、上述の方法によって容易に利用可能になることが見出された。例えば、米国特許第6,583,265号明細書に開示された方法論を再現するために本出願人によって多くの失敗した試みがなされ、最終的に米国特許第6,583,265号明細書の手法は実行不可能であり放棄された。
一実施形態において、反応は、乾燥剤を含み、及び/又は、実質的に無水の条件下で行われる。場合により、乾燥剤はモレキュラーシーブである。場合により、モレキュラーシーブは3Aモレキュラーシーブである。一実施形態において、アミノアルコールは、N,N-ジメチルアミノエタノールである。このアミノアルコールは化合物1を与える。一実施形態では、アミノアルコールは、不安定基を含むシクロスポリン前駆体化合物と反応し、不安定基は反応中に失われる。不安定基は、-S-結合によって前駆体化合物に結合していてもよい。さらに、不安定基は、チオピリジル基又はメルカプトベンゾチアゾール-2-イルチオ基であってもよい。
血清クレアチニン濃度を測定することによる、ラットの誘発された急性腎障害に対する化合物1及び比較化合物CsAの阻害及び/又は保護効果を示す。 血中尿素窒素(BUN)濃度を測定することによる、ラットの誘発された急性腎障害に対する化合物1及び比較化合物CsAの阻害及び/又は保護効果を示す。 LPS誘導性急性腎障害に対する化合物1の阻害及び/又は保護効果を示す。 腎機能に対する化合物1の効果を示す。化合物1で処置した動物のより低いクレアチニン及び血中尿素窒素レベルは、腎臓への損傷レベルの低下と一致する。 摘出後のエクスビボでの腎臓保存を示すデータを示す。対照用の4つの腎臓は、腎臓灌流前に保護剤化合物のi.v.(静脈内注射)投与なしで、5つの腎臓は、腎臓灌流の1時間前に5mg/kgのC4066(化合物1)のi.v.投与を受けた。データは、摘出後0、6、24及び48時間の時点での、試験した腎臓にわたる平均スコアを示す。HEスコア基準:軽度から重度の炎症程度に従って、続いて、病変が非常に小さいか又は病変がない場合をネガティブ「-」0として、軽度又は小さい場合を「+」1として、中程度又は中サイズの場合を「+」2として、重度又は大きい場合を「++」3として、極めて重度又は大きい場合を「+++」4として、半定量的スコアリングを行なった。図5は炎症スコアを示す。 摘出後のエクスビボでの腎臓保存を示すデータを示す。対照用の4つの腎臓は、腎臓灌流前に保護剤化合物のi.v.(静脈内注射)投与なしで、5つの腎臓は、腎臓灌流の1時間前に5mg/kgのC4066(化合物1)のi.v.投与を受けた。データは、摘出後0、6、24及び48時間の時点での、試験した腎臓にわたる平均スコアを示す。HEスコア基準:軽度から重度の炎症程度に従って、続いて、病変が非常に小さいか又は病変がない場合をネガティブ「-」0として、軽度又は小さい場合を「+」1として、中程度又は中サイズの場合を「+」2として、重度又は大きい場合を「++」3として、極めて重度又は大きい場合を「+++」4として、半定量的スコアリングを行なった。図6は腎被膜の拡張を示す。 摘出後のエクスビボでの腎臓保存を示すデータを示す。対照用の4つの腎臓は、腎臓灌流前に保護剤化合物のi.v.(静脈内注射)投与なしで、5つの腎臓は、腎臓灌流の1時間前に5mg/kgのC4066(化合物1)のi.v.投与を受けた。データは、摘出後0、6、24及び48時間の時点での、試験した腎臓にわたる平均スコアを示す。HEスコア基準:軽度から重度の炎症程度に従って、続いて、病変が非常に小さいか又は病変がない場合をネガティブ「-」0として、軽度又は小さい場合を「+」1として、中程度又は中サイズの場合を「+」2として、重度又は大きい場合を「++」3として、極めて重度又は大きい場合を「+++」4として、半定量的スコアリングを行なった。図7は腎尿細管拡張を示す。
図面の主要な中国語:
クレアチニン:クレアチニン。 LPS誘導性急性腎障害:LPS誘導性急性腎障害 制御:制御;化合物:化合物;クレアチニン:クレアチニン。 炎症スコア:炎症スコア。 腎被膜の拡張:腎被膜の拡張。
詳細な説明
ここで、本発明を以下の実施例によって説明する。
実験方法及び結果
当業者は、式1の化合物が様々な方法で調製され得ることを認識するであろう。以下の経路は、化合物1の合成に使用することができる方法の単なる一例である。とはいえ、米国特許第6,583,265号明細書において化合物1を調製するために使用された経路は有効ではなかった。米国特許第6,583,265号明細書の方法論を再現するために多くの試みがなされたが、大きな成功はなかった。理論に束縛されるものではないが、ジメチルアミノ基(塩基性である)は、酸触媒と優先的に反応したのだと考えられる。これにより、酸触媒が脱離基の喪失を活性化するのを防ぎ、反応の進行を阻害した。
一般式1の化合物は、いくつかの経路を用いて簡便に調製することができる。一例(スキーム1)では、Rが低級アルキルである化合物2と、カルボニル化合物及び還元剤との反応により、還元的アミノ化手順を実施して、所望の化合物を得ることができる。好ましくは、カルボニル化合物は低級アルキルアルデヒド又はケトンであり、還元剤は水素化ホウ素金属である。より好ましくは、アルデヒドは、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド又はプロピオンアルデヒドであり、ケトンは、アセトン又は2-ブタノンなどである。好ましくは、還元剤は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムである。
Figure 2022517636000014
アミン化合物2は、好適には、Rが水素又は低級アルキルである3などの適切に保護されたエタノールアミン化合物から、保護基を除去することが知られている条件で前記化合物を処理し、遊離アミン化合物を得ることによって調製することができる。分子中の他の官能基の存在下で除去することができる適切な保護基としては、tert-ブトキシカルボニル(BOC)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)などが挙げられる。好ましくは、保護基はtert-ブトキシカルボニル(BOC)であり、BOC基を除去するために使用される条件は、トリフルオロ酢酸などの酸での処理を伴う。
Figure 2022517636000015
工程1:[2’-(2-チオピリジル)-Sar]-シクロスポリンAの調製
Figure 2022517636000016

[2’-(2-チオピリジル)-Sar]-シクロスポリンA(1a)
乾燥した1Lフラスコに、シクロスポリンA(20g、16.6mmol)、無水塩化リチウム(21.1g、499mmol)及び乾燥THF(500mL)を加え、フラスコをアルゴンでフラッシュし、混合物を-45°Cに冷却した。別のフラスコでは、ジイソプロピルアミン(13.5g、133mmol)を乾燥THF(120mL)に溶解し、-78°Cに冷却した。このフラスコにn-ブチルリチウム(53.2mLの2.5M溶液、133mmol)を加え、得られた溶液を-78°Cで20分間撹拌した。カニューレを用い、リチウムジイソプロピルアミドの溶液をシクロスポリンの溶液に移し、得られた混合物を-45°Cで90分間撹拌した。乾燥THF(20mL)中の2-ピリジルジスルフィド(11g、49.9mmol)の溶液を滴加し、得られた混合物を一晩室温に加温した。飽和NaCl溶液(200mL)を注意深く添加することによって反応をクエンチし、得られた有機層を分離した。水層を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、合わせた有機画分を3N NaOH(2×100mL)、飽和NHCl(100mL)及び飽和NaCl(100mL)で洗浄し、引き続いて無水NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。シリカゲルクロマトグラフィーによって固体7.18gとして表題化合物を単離した。H NMR(400MHz,クロロホルム-d)d 8.45(ddd,J=0.88,1.73,4.90Hz,1H),7.98(d,J=9.66Hz,1H),7.65-7.73(m,1H),7.59(dt,J=1.85,7.71Hz,1H),7.51(ddd,J=0.76,1.68,6.44Hz,0H),7.45(d,J=8.54Hz,1H),7.35(ddd,J=1.73,6.97,8.77Hz,0H),7.25(s,0H),7.17(d,J=7.96Hz,1H),7.09-7.15(m,2H),6.72(dt,J=1.17,6.71Hz,0H),5.70(dd,J=4.29,10.88Hz,1H),5.50(d,J=6.39Hz,1H),5.32-5.38(m,1H),5.28(dd,J=3.88,11.74Hz,1H),5.13(d,J=10.88Hz,1H),4.97-5.11(m,2H),4.84(dq,J=7.03,7.24Hz,1H),4.69(t,J=9.15Hz,1H),4.54(quin,J=7.31Hz,1H),4.13(q,J=7.16Hz,0H),3.81(dt,J=1.00,5.75Hz,1H),3.59-3.72(m,1H),3.50(s,2H),3.38(s,2H),3.26(s,2H),3.13(s,5H),2.70(d,J=1.07Hz,5H),2.34-2.54(m,1H),1.92-2.23(m,4H),1.55-1.85(m,11H),1.19-1.54(m,11H),1.12(d,J=6.54Hz,2H),0.78-1.07(m,30H),0.73(d,3H)。
工程2:[2’-(2-ジメチルアミノエトキシ)-Sar]-シクロスポリンA(化合物1)の調製
Figure 2022517636000017

[2’-(2-ジメチルアミノエトキシ)-Sar]-シクロスポリンA(1)
銅トリフラート(0.291g、0.8mmol)及び3オングストロームのモレキュラーシーブをフラスコに添加し、乾燥THF(3mL)を添加し、フラスコをアルゴンでフラッシュした。別のフラスコ中で、乾燥THF(2mL)中、[2’-(2-チオピリジル)-Sar]-シクロスポリンA(1a)(0.293g、0.223mmol)、ジメチルアミノエタノール(0.086g、0.96mmol)及び3Aモレキュラーシーブの混合物を30分間撹拌し、次いで、銅トリフラート溶液に添加した。反応物を室温で一晩撹拌した。NaHCOの飽和溶液(10mL)を添加し、セライトを通して混合物を濾過した。セライトを酢酸エチル(3×25mL)で洗浄し、濾液に添加した。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×25mL)で抽出し、合わせた有機画分を無水NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。粗抽出物をシリカゲルで精製して、表題化合物、86.4mgを得た。H NMR(400MHz,クロロホルム-d)d 7.92(d,J=9.61Hz,1H),7.75(d,J=7.32Hz,1H),7.22(d,J=8.15Hz),7.15(d,J=7.86Hz,),6.01(s,1H),5.70(dd,J=4.22,10.86Hz,1H),5.46(d,J=6.10Hz,1H),5.35(q,J=4.77Hz,1H),5.27(dd,J=4.15,11.42Hz,1H),5.14(d,J=10.83Hz,1H),5.05-5.11(m,1H),4.94-5.04(m,1H),4.77-4.90(m,1H),4.73(s),4.66(t,J=8.83Hz,1H),4.46-4.57(m,1H),3.71-3.81(m,1H),3.58-3.67(m,J=5.15,5.64,5.64,5.83Hz,1H),3.53-3.58(m,1H),3.51(s,2H),3.24(s,2H),3.20(s,2H),3.13(d,J=2.10Hz,3H),2.71(d,J=6.54Hz,3H),2.49-2.67(m,2H),2.33-2.46(m,1H),2.27(s,4H),1.88-2.20(m,4H),1.74(d,J=0.29Hz,6H),1.57-1.68(m,5H),1.38-1.52(m,2H),1.35(d,J=7.27Hz,3H),1.26(d,J=2.88Hz,4H),0.77-1.12(m,30H),0.70(d,2H)。
当業者は、例えば、異なるアミノアルコール試薬を使用することによって化合物1の類似体を作製することができることを理解するであろう。例えば、アルコール基とアミン基との間の炭素原子の数を増加又は減少させることができる(連結基の例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタレンが挙げられ、その分岐型、例えばイソプロピレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、2-メチルブチレン、2,2-ジメチルプロピレンが挙げられ得る)。これに代えて、又はさらに、アミノアルコール上のN-アミノ置換基を変化させて、化合物1のさらなる類似体(N-アミノ置換基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ブチルが挙げられる)を得ることもできる。
[2’-(2-N-Boc-アミノエトキシ)-Sar]-シクロスポリンAの調製
Figure 2022517636000018
銅トリフラート(4.95g、13.7mmol)及び3Aモレキュラーシーブを無水THF(50mL)中に懸濁し、アルゴン下で30分間攪拌した。無水THF(10mL)中の[2’-(2-チオピリジル)-Sar]-シクロスポリンA(1a)(5.0g、3.82mmol)及びN-Boc-エタノールアミン(2.64g、16.4mmol)の溶液を3Aモレキュラーシーブ上で30分間乾燥させ、次いで銅トリフラート懸濁液に添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。飽和NaHCO(2×50mL)を添加し、セライトを通して混合物を濾過した。セライトをEtOAc(4×100mL)で洗浄し、有機層を分離した。水相をEtOAc(2×50mL)で抽出し、合わせた有機画分を飽和NaCl(50mL)で洗浄し、無水NaSO上で乾燥させ、蒸発させた。粗生成物をシリカ上で精製して、表題化合物4.18gを得た。H NMR(400MHz,クロロホルム-d)d ppm 0.72(ddd,2H)0.91(m,31H)1.32(m,8H)1.48(dddd,J=3.95,3.07,2.23,0.95Hz,2H)1.69(m,10H)2.10(m,4H)2.39(m,1H)2.70(m,4H)2.95(m,2H)3.12(d,J=7.42Hz,4H)3.17(d,J=9.37Hz,1H)3.20(s,2H)3.25(s,2H)3.29(m,J=6.69,3.02,1.45,0.76,0.63Hz,1H)3.41(m,1H)3.51(s,2H)3.61(m,1H)3.75(dddd,J=7.73,1.54,1.02,0.73Hz,1H)4.13(q,J=7.11Hz,1H)4.50(m,1H)4.65(dd,J=18.06,0.44Hz,1H)4.98(m,4H)5.30(m,2H)5.47(m,1H)5.70(m,1H)5.93(d,J=0.34Hz)7.21(m,1H)7.71(m)8.03(m)。
[2’-(2-アミノエトキシ)-Sar]-シクロスポリンAの調製
Figure 2022517636000019
乾燥CHCl(30mL)中の[2’-(2-N-Boc-アミノエトキシ)-Sar]-シクロスポリンA(3)(3.0g、2.2mmol)の溶液を0°Cに冷却し、トリフルオロ酢酸(6.54mL、10.03g、88mmol)を滴加し、混合物を30分間撹拌した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をシリカ上で精製して、表題化合物1.99gを得た。
[2’-(2-ジメチルアミノエトキシ)-Sar]-シクロスポリンA(2)の調製
Figure 2022517636000020
[2’-(2-アミノエトキシ)-Sar]-シクロスポリンA(0.273g、0.216mmol)をCHCl(5mL)に溶解し、ホルムアルデヒド(37%水溶液、0.048mL、0.69mmol)を加えた後にNaB(OAc)H(0.138g、0.649mmol)を加えて、反応物をほぼ室温で18時間撹拌した。シリカゲルの小さなパッドを通して反応混合物を濾過して、90:9:1のCHCl:MeOH:濃NHOH(5×100mL)で洗浄した。溶媒を蒸発させ、生成物をシリカゲルでのクロマトグラフィーにより単離して、表題化合物0.214gを得た。
シクロフィリン阻害結合測定
本明細書に開示される化合物のシクロフィリン阻害結合活性は、Quesniauxらによって記載された方法から適合された競合ELISAを使用して決定された。(Eur.J Immunol.,1987,17:1359-1365)。D-Lys-シクロスポリンA(D-Lys-Cs)に結合したスクシニルスペーサーの活性化エステルを、8位のD-リシル残基を介してウシ血清アルブミン(BSA)にカップリングさせる。BSAを0.1Mホウ酸緩衝液、pH9.0(1.4ml中4mg)に溶解する。ジメチルホルムアミド(0.6ml)に溶解した100倍モル過剰のD-Lys-Csを、激しく撹拌しながらBSAに滴下する。カップリング反応を穏やかに撹拌しながら室温で2~3時間行い、得られたコンジュゲートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)に対して広範囲に透析する。コンジュゲートしたタンパク質のアリコートのアセトン沈殿後、共有結合したD-Lys-Csはアセトン溶液中に残らず、シクロスポリン共有結合の程度が計算される。
マイクロタイタープレートをD-Lys-Cs-BSAコンジュゲートでコーティングする(PBS中2μg/ml、4Cで24時間)。滴定プレートをTween(登録商標)/PBS及びPBS単独で洗浄する。非特異的結合をブロックするために、2%BSA/PBS(pH7.4)をウェルに添加し、37Cで2時間インキュベートする。試験する化合物の5倍希釈系列は、別のマイクロタイタープレートにおいてエタノール中で作製される。ヒト組換えシクロフィリンを用いたアッセイの場合、開始濃度は0.1mg/mLである。198μLの0.1μg/mLシクロフィリン溶液をマイクロタイタープレートに直ちに添加し、続いて2μLの希釈シクロスポリンA(参照化合物として使用)又は本発明の化合物を添加する。コーティングされたBSA-Csコンジュゲート、遊離シクロスポリンA及びシクロフィリンの間の反応を、4Cで一晩平衡化させる。シクロフィリンは、1%BSAを含有するPBSに希釈された抗シクロフィリンウサギ血清で検出され、4Cで一晩インキュベートする。滴定プレートを上記のように洗浄する。次いで、結合したウサギ抗体を、アルカリホスファターゼにコンジュゲートされ1%BSA-PBS中に希釈されたヤギ抗ウサギIgGによって検出し、37℃で2時間インキュベートする。滴定プレートを上記のように洗浄する。4-ニトロフェニルホスフェート(ジエタノールアミン緩衝液(pH9.8)中、1g/l)と37Cで1~2時間インキュベートした後、酵素反応を、分光光度計を使用して405nmで分光光度的に測定する。結果は、50%阻害を達成するために必要な本発明の化合物の濃度であるEC50として表される。化合物1は、シクロフィリンA、B及びDに対して100nM未満のEC50値を有していた。
PPIase阻害
アッセイは、本質的にJanowskiら{Jankowski et al.Anal.Biochem.(1997),252:299-307}によって「非結合アッセイ」として記載されているように、Agilent 8453分光光度計を使用して行った。35mM HEPES pH7.8及び50μM DTTからなるアッセイ緩衝液を精密ガラスキュベット中で(撹拌しながら)10℃に冷却し、阻害剤を100%DMSOストック溶液から添加した。ブランクスペクトルを得て、次いで、精製Hisタグ化組換えヒトシクロフィリン酵素(f/c 2nM)及びテトラペプチド基質(トリフルオロエタノール(Bachem、f/c 60μM)中の0.5M LiClの溶液に溶解したSuc-Ala-Ala-Pro-Phe-パラ-ニトロアニリド)を添加し、330nMで5分間にわたって吸光度の変化を測定した。一次速度式を吸光度データにフィッティングして、速度定数を得た(最初の10秒から15秒は混合に起因して排除された)。触媒速度は、酵素速度からバックグラウンド速度を引いて計算した。阻害剤のKは、阻害剤濃度に対してプロットされた速度定数から得た。
ミトコンドリア膜透過性遷移
ミトコンドリア膜透過性遷移(MPT)は、Ca2+によって誘導されたミトコンドリアの膨潤を測定することによって決定される。この手順は、Blattnerら、2001、Analytical Biochem、295:220によって記載された方法から適合されている。ミトコンドリアは、血液を除去するためにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で灌流されたラット肝臓から、スクロース系緩衝液中での穏やかなホモジナイゼーション、次いで、最初に細胞片を除去し、次にミトコンドリアを沈殿させるための、示差遠心分離を利用する標準的な方法を使用して調製される。膨潤を150マイクロモルCa2+(CaClの濃縮溶液から添加)によって誘導し、535~540nmでの散乱を測定することによってモニターする。代表的な化合物を、膨潤が誘導される5分前に添加する。EC50は、本明細書に開示される化合物を用いた場合と用いない場合で膨潤を比較することによって決定される。化合物1は、ミトコンドリア膨潤を0.2μM未満のEC50で阻害した。
Figure 2022517636000021
Figure 2022517636000022

表1-シクロフィリンA阻害、シクロフィリンD阻害、及び、ミトコンドリア膜透過性遷移(MPT)の測定結果。
表1に示される結果は、同様の類似体(エントリー1~3及び5~7)と比較して、化合物1(エントリー4)の予想外に高いシクロフィリンD阻害及びMPTを実証している。MPTの100倍の改善が、3つの他の化合物(エントリー1、5及び7)と比較して観察され、次に最良の性能の類似体と比較して25倍を超える改善が観察された(エントリー3)。化合物1はまた、優れたシクロフィリンD阻害を示し、試験した他の全ての類似体と比較して少なくとも50倍の改善を示した。
臓器損傷の動物モデルにおける化合物1の保護効果
腎虚血-再灌流障害によって誘導される急性腎障害
化合物1及びシクロスポリンA製剤を、これらの化合物をCremophor/生理食塩水/DMSOと混合することによって調製した。
Sprague-Dawleyラットを6つの群に分けた:活性成分を含まないCremophor/生理食塩水/DMSOを投与した偽群である群(i);活性成分を含まないCremophor/生理食塩水/DMSOを投与した対照群である群(ii);化合物1(3mg/kg)を投与した群(iii);CsA(3mg/kg)を投与した群(iv);化合物1(10mg/kg)を投与した群(v);CsA(10mg/kg)を投与した群(vi)。群(i)、すなわち「偽群」を除いて、腎臓虚血再灌流誘発急性腎障害(AKI)を、両側腎動脈の30分間の結紮後に結紮を解除することによってラットに誘発した。
対照群及び処置群の動物に腹腔内注射を3回(結紮の1時間前、結紮の4時間後及び8時間後)投与した。結紮/解除手順の24時間後に動物から血液を採取し、腎障害の尺度として血清クレアチニン及び血中尿素窒素(BUN)濃度について分析した。
これらの実験の結果を以下に示し、図1及び図2にグラフで示す。
Figure 2022517636000023

表2-群(i)~(vi)の血清クレアチニン及びBUN濃度の測定結果
結果の考察
図1において、血清クレアチニン濃度は腎臓損傷を示す。「偽群」は、AKIを誘導していないラットである。「対照群」は、AKIを誘導した、未処置のラットを表す。したがって、AKIの誘導は、血清クレアチニンのレベルを25μmol/ml(群i)から195μmol/ml群(群ii)へ上昇させることが分かる。
AKIを誘発したラットを3mg/kgのCsAで処置すると(群iv)、群iiと比較してクレアチニンレベルが195μmol/mlから115μmol/mlに低下する。したがって、CsAは虚血-再灌流障害を予防するように作用していることが理解される。
驚いたことに、AKIを誘発したラットを3mg/kgの化合物1で処置すると(群iii)、クレアチニンレベルが非常に著しく低下し、(群iiと比較して)195umol/mlから60umol/mlに低下し、これは「偽群」(群i)、すなわちAKIが誘発されていないラットに見られるクレアチニンレベルに近づいている。化合物1及びCsAの用量を3mg/ml(群iii及び群iv)から10mg/ml(群v及び群vi)に増加させると、CsA及び化合物1の利益が減少するが、化合物1は依然としてCsAよりも良好に機能しているようである。
図2において、血中尿素窒素(BUN)濃度は腎臓損傷を示す。
図2は、図1に見られるのと同じ傾向に従う。すなわち、3mg/kgのCsAはBUNレベルの低下をもたらすが(群iiと比較して群iv)、3mg/kgの化合物1はBUNレベルの非常に顕著な低下を示し(群iiと比較して群iii)、「偽群」(群i)で見られるBUNレベルに近づいている。化合物1及びCsAの濃度を3mg/kg(iii群及びv群)から10mg/kg(v群及びvi群)に増加させることは、有効性がより低いことが分かる。この結果は、図1に見られる結果を裏付けている。
リポ多糖(LPS)チャレンジによって誘導される急性腎障害
LPS誘導性急性腎障害(AKI)を、LPS(15mg/kg)の腹腔内注射によってマウス(C57)に誘導した。20匹のマウスを無作為に2つの群に分けた。対照群の動物にビヒクル(Cremophor/生理食塩水/DMSO)を投与し、処置群に化合物1(Cremophor/生理食塩水/DMSO中、3mg/kg)を投与し、それぞれ腹腔内投与した。動物にビヒクル又は化合物1を3回投与し(LPS注射の1時間前並びにLPS注射の4時間後及び8時間後)、LPS注射の12時間後に動物から血液を採取した。化合物の活性を、生存率の増加(図3)及び腎機能のマーカーの評価(図4)によって決定した。
Figure 2022517636000024
結果の考察
図3では、化合物1の保護効果を、動物の生存に関して示す。化合物1を受けなかった対照群では10匹の動物のうち4匹のみであるのと比較して、3mpkの用量レベルでの化合物1の投与は、群の全ての動物の生存をもたらした。
図4は、この実験における腎機能に対する化合物1の効果を示す。化合物1で処置した動物のより低いクレアチニン及び血中尿素窒素レベルは、腎臓への損傷レベルの低下と一致する。
臓器ドナーへの投与による移植中の臓器保護。
ブタ腎臓を用いて、移植条件に供された臓器に対する化合物1の保護効果を例示した。実施した実験では、腎臓切除の1時間前に、単回用量の化合物1を5mg/kgで静脈内送達によりブタに投与した。腎臓を切除し、標準的な高張性クエン酸アデニン(HCA)保存液で灌流し、次いで、低温(0℃~4℃)のHCA溶液中で保存した。切除処置後のいくつかの時点にわたって、組織学的評価及び炎症マーカーの測定によって損傷を記録するために臓器を監視した:
〇ゼロ点
〇6時間
〇24時間
〇48時間。
データを図5~図7に示す。
組織学的評価は、炎症の程度に応じたスコア基準を使用して、ヘモトキシン及びエオシン(HE)染色後に行った。半定量的スコアリングシステム「0から4」が採用され、病変が非常に小さい又は無い場合は「0」が割り当てられ、軽度又は小さい場合は「1」が割り当てられ、中程度の場合は「2」が割り当てられ、重度の場合は「3」が割り当てられ、非常に重度の場合は「4」が割り当てられる。
合計9つのブタ腎臓を用いて実験を行ない、そのうち、4つの腎臓を保護剤化合物なしで対照として使用し、5つの腎臓には、腎臓切除の1時間前にi.v.投与で5mg/kgの化合物1を投与した。データは、摘出後の時点での試験した腎臓にわたる平均を示す。
図5は平均炎症スコアの結果を示し、
図6は腎被膜の拡張に対する効果を示し、
図7は腎尿細管拡張に対する効果を示す。
結果の考察
要約すると、化合物1は、特により低い濃度レベルで、虚血再灌流障害の治療又は予防に驚くほど有効であることが分かった。化合物はまた、臓器の摘出前に(レシピエントへのその後の移植のために)臓器ドナーに投与するのに特に有効である。図5~図7は、臓器摘出前に化合物をドナーに投与することによって臓器をエクスビボで保存することができることを示す。

Claims (10)

  1. 臓器の保存のためのミトコンドリア保護剤化合物の使用であって、前記化合物は、前記臓器を前記ドナーから摘出する前に前記臓器を保護するために臓器ドナーに投与される、使用。
  2. 前記化合物がシクロフィリンD阻害剤である、請求項1に記載の使用。
  3. 前記化合物が式1の化合物:
    Figure 2022517636000025

    又はその塩であり;
    式中、nは2~5であり、
    及びRは、独立して、H又はC-Cアルキルから選択され、ここで、R及びRは、互いに結合してC-Cヘテロアルキル環を形成してもよい、請求項2に記載の使用。
  4. 前記化合物が化合物1:
    Figure 2022517636000026

    又はその塩である、請求項3に記載の使用。
  5. 前記臓器が腎臓である、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
  6. 腎臓ドナーからの腎臓を保存する方法であって、前記ドナーから前記腎臓を摘出する前に化合物を前記ドナーに投与することを含み、ここで、前記化合物は、化合物1:
    Figure 2022517636000027

    又はその塩である、方法。
  7. 前記ドナーが生体ドナーである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法又は使用。
  8. 腎臓を保存するために生体ドナーに投与するための薬剤を製造するための、ミトコンドリア保護剤化合物の使用であって、前記化合物が化合物1:
    Figure 2022517636000028

    又はその塩の使用。
  9. 化合物の用量が0.1~10mg/kgである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法又は使用。
  10. 化合物の用量が1~3mg/kgである、請求項9に記載の方法又は使用。

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