特に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解しているものと同じ意味である。本開示の実施または試験において本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料も依然として記載されている。本開示の目的のために、以下の用語は次のように定義される。
冠詞「1つ(a/an)」は、1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の文法的目的語を指すために本明細書で使用される。例として、「1つの要素」は1つの要素または複数の要素を意味する。
「約」とは、参照数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さに対する数量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量または長さの変化が20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%に達することを意味する。
本明細書で使用されるように、「活性化」という用語は、検出可能な細胞の増殖を誘導するのに十分に刺激されている細胞の状態を指す。活性化はまた、誘導されたサイトカイン産生および検出可能なエフェクター機能と関連し得る。「活性化されたT細胞」という用語は、特に、細胞分裂しているT細胞を指す。
「抗体」という用語は最も広く使用されており、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体フラグメントを指し、望ましい生物学的活性または機能を示せばよい。本開示における抗体は、例えば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、Fv、FabとF(ab)2、および一本鎖抗体とヒト化抗体(Harlowら,1999,In:Using Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY;Harlowら,1989,In:Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor,New York;Houstonら,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879−5883;Birdら,1988,Science 242:423−426)を含む様々な形態で存在し得る。
「抗体フラグメント」という用語は、全長抗体の一部、例えば、抗体の抗原結合領域または可変領域を指す。抗体フラグメントの他の例として、Fab、Fab’、F(ab’)2とFvフラグメント、ダイアボディ、線形抗体、一本鎖抗体分子、および抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含む。「Fv」という用語は、完全な抗原認識および抗原結合部位を含む最小の抗体フラグメントを指す。このフラグメントは、緊密で、非共有結合される1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインの二量体からなる。これらの2つのドメインを折り畳むことにより、6つの超可変ループ(H鎖からの3つのループとL鎖からの3つのループ)が生成され、抗原結合に使用されるアミノ酸残基を提供し、抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つの相補性決定領域(CDR)のみを含むFvの半分)であっても、その親和性が結合部位全体(二量体)よりも低いが、抗原を認識して結合する能力がある。
本明細書で使用される「抗体重鎖」は、自然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちの大きい方を指す。本明細書で使用される「抗体軽鎖」は、自然に存在するコンフォメーションですべての抗体分子に存在する2種類のポリペプチド鎖のうちの小さい方を指す。Κおよびλ軽鎖は、2つの主要な抗体軽鎖アイソタイプを指す。「合成抗体」という用語は、例えば、ファージによって発現される抗体などの、組換えDNA技術を使用して生成される抗体を指す。前記用語はまた、抗体をコードするDNA分子の合成、および抗体を得るためまたは抗体をコードするアミノ酸を得るためのDNA分子の発現によって生成された抗体を含む。合成DNAは、当技術分野で利用可能でよく知られている技術を使用して得られる。
「抗原」という用語は、抗体産生、または特異的免疫機能を持つ細胞の活性化、またはその両方を含み得る、免疫応答を誘発する分子を指す。抗原は、すべてのタンパク質やペプチドを含む任意の高分子、または組換えやゲノムDNAに由来する分子を含む。例えば、DNAは、免疫応答を誘発するタンパク質またはペプチドをコードするヌクレオチド配列または一部のヌクレオチド配列を含むため、本明細書で使用される用語「抗原」をコードする。抗原は、遺伝子の全長ヌクレオチド配列によってのみコードされる必要はない。抗原は、組織サンプル、腫瘍サンプル、細胞または生体液を含む生体サンプルから生成、合成、または誘導することができる。
本明細書で使用されるように、「抗腫瘍作用」という用語は、腫瘍体積の減少、腫瘍細胞数の減少、転移数の減少、腫瘍細胞増殖の減少、腫瘍細胞生存数の減少、腫瘍細胞を有する被検体の平均余命の増加または癌性病態に関連する様々な生理学的症状の改善に関連する生物学的作用を指す。「抗腫瘍作用」は、そもそも腫瘍の発生を予防する際のペプチド、ポリヌクレオチド、細胞および抗体の能力によって明らかにすることができる。
「自己抗原」という用語は、免疫系によって外来であると誤認される抗原を指す。自己抗原には、細胞表面受容体を含む、細胞タンパク質、リンタンパク質、細胞表面タンパク質、細胞脂質、核酸、糖タンパク質が含まれる。
「自己の」という用語は、その後同じ被検体に再導入される、被検体に由来する材料を説明するために使用される。
「同種異系の」という用語は、同じ種の異なる被検体に由来する移植片を説明するために使用される。一例として、ドナー被検体は、関連または非関連またはレシピエント被験体であり得るが、ドナー被検体はレシピエント被験体と同様の免疫系マーカーを有する。
「異種の」という用語は、異なる種に由来する被検体の移植片を説明するために使用される。一例として、ドナー被検体はレシピエント被験体とは異なる種に由来し、ドナー被検体およびレシピエント被験体は遺伝的および免疫学的に不適合であり得る。
「癌」という用語は、異常な細胞の急速で制御されない成長を特徴とする疾患を指す。癌細胞は、局所的に転移し、または血流とリンパ系を介して体の他の部分に転移する可能性がある。様々な癌の例としては、乳腺癌、前立腺癌、卵巣癌、子宮頸癌、皮膚癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、肝臓癌、脳癌、リンパ腫、白血病、肺癌などが含まれる。
治療される可能性のある癌には、血管新生されていない、またはまだ実質的に血管新生されていない腫瘍、および血管新生された腫瘍が含まれる。癌は、非固形腫瘍(例えば、白血病やリンパ腫などの血液腫瘍)、または固形腫瘍を含んでもよい。本開示のCARで治療される癌の種類には、癌腫、芽細胞腫および肉腫、ならびに特定の白血病またはリンパ系悪性腫瘍、良性および悪性腫瘍、ならびに肉腫、癌腫や黒色腫などの悪性腫瘍が含まれるが、これらに限定されるものではない。成人腫瘍/癌および小児腫瘍/癌も含まれる。
血液癌は、血液または骨髄の癌である。血液学的(または血行性)癌の例としては、急性白血病(急性リンパ球性白血病、急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性の白血病や赤白血病など)、慢性白血病(慢性骨髄球性(顆粒球性)白血病、慢性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病など)、真性多血症、リンパ腫、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(低悪性度型および高悪性度型)、多発性骨髄腫、ウォルデンストロームマクログロブリン血症、重鎖病、骨髄異形成症候群、ヘアリー細胞白血病および骨髄異形成症を含む白血病が含まれる。
固形腫瘍は、通常、嚢胞や液状の部分を含まない異常な組織の塊である。固形腫瘍には、良性のものと悪性のものがある。様々な種類の固形腫瘍は、それらを形成する細胞の種類に応じて命名される(肉腫、癌腫やリンパ腫など)。肉腫や癌腫などの固形腫瘍の例としては、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、リンパ系悪性腫瘍、膵臓癌、乳癌、肺癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、甲状腺髄様癌、甲状腺乳頭癌、褐色細胞腫皮脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支癌、腎細胞癌、肝臓癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、セミノーマ、膀胱癌、黒色腫およびCNS(中枢神経系)腫瘍(神経膠腫(脳幹神経膠腫や混合神経膠腫など)、膠芽腫(多形性膠芽腫とも呼ばれる)、星細胞腫、CNSリンパ腫、胚細胞腫、髄芽腫、神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫や脳転移など)が含まれる。固形腫瘍抗原は、固形腫瘍で発現される抗原である。実施形態では、固形腫瘍抗原はまた、健康な組織において低レベルで発現される。固形腫瘍抗原およびその関連する疾患腫瘍の例を表1に提供する。
明細書全体において、文脈によって別段の要求をしていない限り、「含む(comprise)」、「含む(includes)」および「含む(including)」という言葉は、前記ステップや要素(成分やコンポーネント)或いはステップや要素の群を含むことを示唆するが、他のステップや要素或いはステップや要素の群を除外しないように理解される。
「・・・からなる」という語句は、「・・・からなる」という語句の後のあらゆるものを含み、かつそれに限定されることを意味する。従って、「・・・からなる」という語句は、リストされた要素が必須または必要であり、他の要素が存在しないことを示す。
「基本的には・・・からなる」という語句は、語句の後にリストされた任意の要素を含み、かつ本開示においてリストされた要素に対して指定された活動または動作に妨害または影響しない他の要素を含み得ることを意味する。従って、「基本的には・・・からなる」という語句は、リストされた要素が必須または必要であるが、他の要素は選択可能であり、リストされた要素の活動または動作に影響するかどうかに応じて、存在する場合と存在しない場合があることを示す。
「相補的」および「相補性」という用語は、塩基対合規則によって関連するポリヌクレオチド(すなわち、ヌクレオチド配列)を指す。例えば、配列「A−G−T」は配列「T−C−A」と相補的である。相補性は、核酸の一部の塩基のみが塩基対合規則に従って一致する「部分的な」相補性であってもよく、核酸間に存在する「完全な」または「全体的な」相補性であってもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強度に大きな影響を与える。
「に対応する(corresponds to)」または「対応する(corresponding to)」という用語は、(a)参照ポリヌクレオチド配列の全部または一部と実質的に同一または相補的であるか、ペプチドまたはタンパク質におけるアミノ酸配列と同じのアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド、または(b)参照ペプチドまたはタンパク質におけるアミノ酸配列と実質的に同じのアミノ酸配列を有するペプチドまたはポリペプチド、を意味する。
「共刺激リガンド」という用語は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上の分子を指し、それがT細胞上の相同の共刺激分子に特異的に結合し、それによって、例えば、TCR/CD3複合体とペプチドが担持されたMHC分子との結合によって提供される一次シグナル以外のシグナルを提供し、前記シグナルは、増殖、活性化、分化および他の細胞応答の少なくとも1つを含むT細胞応答を媒介する。共刺激リガンドは、B7−1(CD80)、B7−2(CD86)、PD−L1、PD−L2、4−1BBL、OX40L、誘導性共刺激リガンド(ICOS−L)、細胞間接着分子(ICAM)、CD30L、CD40、CD70、CD83、HLA−G、MICA、MICB、HVEM、リンホトキシンβ受容体、3/TR6、ILT3、ILT4、HVEM、CD7のリガンド、Tollリガンド受容体に結合するアゴニストまたは抗体およびB7−H3と特異的に結合するリガンドを含み得る。共刺激リガンドは、特に、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびCD83と特異的に結合するリガンドなど、T細胞に存在する共刺激分子と特異的に結合するアゴニストまたは抗体、をさらに含む。
「共刺激分子」という用語は、共刺激リガンドに特異的に結合し、それによって増殖などのT細胞による共刺激応答を媒介する、T細胞上の相同結合パートナーを指す。共刺激分子は、MHC クラスI分子、BTLAおよびToll様受容体を含む。
「共刺激シグナル」という用語は、TCR/CD3ライゲーションなどの一次シグナルと組み合わせて、T細胞の増殖および/または主要分子のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを引き起こすシグナルを指す。「疾患」および「病状」という用語は、互換的に使用されてもよいし、特定の疾患または病状の病原性物質が分からない(従って、病因がまだ解明されていない)可能性があるため、疾患としてまだ周知されておらず、臨床医によって多かれ少なかれ特定の症状が特定されている望ましくない状態または症候群としてのみ認識されているという点で、異なる場合がある。「疾患」とは、被検体の健康状態が恒常性を維持できない状態であり、疾患が改善されなければ、被検体の健康が悪化し続ける状態をいう。対照的に、被検体の「病症」とは、動物が恒常性を維持できる健康状態であるが、その動物の健康状態が、病症がない場合よりも好ましくない状態である。無治療のまま放置しても、病症があるからといって、動物の健康状態がさらに低下するとは限らない。
「有効」という用語は、望ましい、期待された、または意図された結果を達成するのに十分であることを意味する。例えば、治療設定における「有効量」は、治療上または予防上の有益性をもたらすのに十分な化合物の量であり得る。「エンコード」という用語は、決定されたヌクレオチドの配列(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)、または決定されたアミノ酸配列およびその結果として生じる生物学的特性のいずれかを有する生物学的プロセスにおいて、他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして機能するために、遺伝子、cDNAまたはmRNAなどのポリヌクレオチドにおける特定ヌクレオチド配列の固有特性を指す。従って、遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が、細胞または他の生物学的系においてタンパク質を産生する場合に、前記遺伝子は前記タンパク質をコードする。mRNA配列と同一のヌクレオチド配列(「U」で「T」が置換されていることを除き、通常は配列表に記載されている)を有するコード化鎖と、遺伝子またはcDNA転写のテンプレートとして使用される非コード化鎖は、いずれも、前記遺伝子またはcDNAのタンパク質または他の産物をコードするものとして参照することができる。
「外因性」という用語は、野生型の細胞または生物体に自然に存在しないが、通常は分子生物学的技術によって細胞内に導入される分子を指す。外因性ポリヌクレオチドの一例として、ベクター、プラスミドおよび/または所望のタンパク質をコードする人工核酸構築物が含まれる。ポリヌクレオチドおよびタンパク質に関して、「内因性」または「自然的」という用語は、与えられた野生型の細胞または生物体内に見出され得る自然に存在するポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列を指す。同様に、分子生物学的技術によって、第1の生物体から単離して第2の生物体に転移された特定のポリヌクレオチド配列は、第2の生物体に対して「外因性」のポリヌクレオチドまたはアミノ酸配列と見なされる。具体的な実施形態では、ポリヌクレオチド配列は、分子生物学的技術によって、そのようなポリヌクレオチド配列を含んでいる微生物に「導入」することができ、例えば、自然に存在するポリヌクレオチド配列の1つ以上の他のコピーを作成し、コードされたポリペプチドの過剰発現を促進する。「発現」という用語は、そのプロモーターによって駆動される特定のヌクレオチド配列の転写および/または翻訳を指す。
「発現ベクター」という用語は、発現されるヌクレオチド配列に操作可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用要素を含み、発現のための他の要素は、宿主細胞によって提供され、またはインビトロ発現系において提供され得る。発現ベクターは、当技術分野で知られている、組換えポリヌクレオチドを組み込んだすべてのもの、例えば、コスミド、プラスミド(例えば、裸、またはリポソームに含まれている)およびウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を含む。
「相同」という用語は、2つの比較される配列の1つの位置が同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占有されている場合、2つのポリペプチド間または2つのポリヌクレオチド間の配列類似性または配列同一性を意味し、例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占有されている場合、分子は前記位置で相同である。2つの配列間の相同性の割合は、2つの配列が共有している一致するまたは相同な位置の数を、比較された位置の数で割ったもの×100の関数である。例えば、2つの配列における10個の位置のうち6個の位置が一致しまたは相同であれば、2つの配列は60%の相同性を有する。例えば、DNA配列ATTGCCとTATGGCは50%の相同性を有する。相同性が最大になるように、2つの配列をアラインメントしたときに比較が行われる。
「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、抗体として機能するタンパク質のクラスを指す。このようなタンパク質に含まれるメンバーは、IgA、IgG、IgM、IgDおよびIgEの5つである。IgAは、唾液、涙、母乳、消化管分泌物、呼吸器や生殖器の粘液分泌物などの体内分泌物に存在する一次抗体である。IgGは、最も一般的な循環抗体である。IgMは、ほとんどの被検体における一次免疫応答で産生される主な免疫グロブリンである。凝集、補体固定および他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌やウイルスからの防御に重要な役割を果たしている。IgDは、既知の抗体機能を有しないが、抗原受容体として機能できる免疫グロブリンである。IgEは、アレルゲンへの暴露時に、肥満細胞および好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことにより、即時型の過敏症を媒介する免疫グロブリンである。
「単離」という用語は、基本的または実質的には、通常、その自然状態でそれに付随する成分を含まない材料を指す。前記材料は、細胞、またはタンパク質や核酸などの高分子であり得る。例えば、本明細書で使用される「単離ポリヌクレオチド」は、自然に存在する状態でそれに隣接する配列から精製されたポリヌクレオチド、例えば、フラグメントに通常隣接する配列から除去されたDNAフラグメントを指す。あるいは、本明細書で使用される「単離ペプチド」または「単離したポリペプチド」などは、ペプチドまたはポリペプチド分子を、その自然な細胞環境から、および細胞の他の成分との会合から、インビトロで単離および/または精製したものを指す。
「基本的に精製された」という用語は、通常、その自然状態でそれに会合する成分を基本的に含まない材料を指す。例えば、基本的に精製された細胞は、その自然に存在する状態または自然状態で通常会合している他の細胞種類から単離された細胞を指す。特定の場合には、基本的に精製された細胞集団は均質な細胞集団を指す。それ以外の場合には、この用語は、単に、その自然状態でそれと自然に会合している細胞から単離された細胞を指す。実施形態では、細胞はインビトロで培養される。実施形態では、細胞はインビトロで培養されない。
本開示の全文では、一般的に存在する核酸塩基の以下の略語を使用する。「A」はアデノシン、「C」はシトシン、「G」はグアノシン、「T」はチミジン、「U」はウリジンを表す。
特に指定のない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いに縮退版であり、かつ同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質またはRNAをコードするヌクレオチド配列という語句は、さらに、タンパク質をコードするヌクレオチド配列がある形態で1つ以上のイントロンを含んでもよい程度でイントロンを含み得る。
「レンチウイルス」という用語は、レトロウイルス科の属を指す。レンチウイルスは、レトロウイルスの中でも独特であり、非分裂細胞に感染することができ、また、大量の遺伝子情報を宿主細胞のDNAに送り込むことができるため、遺伝子送達ベクターとしては最も効率的な方法の1つである。さらに、レンチウイルスを用いることで、遺伝子情報を宿主染色体に組み込むことができ、安定して形質導入された遺伝子情報が得られる。HIV、SIVおよびFIVはすべてレンチウイルスの例である。レンチウイルスに由来するベクターは、有意なレベルの遺伝子導入をインビボで達成する手段を提供する。
「調節」という用語は、治療をしないまたは化合物を使用しない場合の被検体における応答レベルと比較して、および/または他の同様であるが未治療の被検体における応答レベルと比較して、被検体における応答レベルの検出可能な増加または減少を媒介することを指す。前記用語は、天然のシグナルや応答を干渉し、および/または影響を与え、それによって被検体、好ましくはヒトにおいて有益な治療応答を媒介することを含む。
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれたときに、「操作可能に連結されている」。例えば、プレ配列または分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現している場合には、ポリペプチドのDNAに操作可能に連結されており、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合には、コード化配列に操作可能に連結されており、または、リボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置されている場合には、コード化配列に操作可能に連結されている。
「転写制御下」という用語は、RNAポリメラーゼによる転写の開始およびポリヌクレオチドの発現を制御するために、プロモーターがポリヌクレオチドに操作可能に連結され、且つポリヌクレオチドに対して正しい位置および配向にあることを指す。
「過剰発現された」腫瘍抗原または腫瘍抗原の「過剰発現」という用語は、特定の組織または臓器からの正常な細胞における発現レベルに対する、患者の前記組織または臓器の固形腫瘍などの疾患領域からの細胞における腫瘍抗原の異常な発現レベルを示すことを意図する。腫瘍抗原の過剰発現を特徴とする固形腫瘍または血液悪性腫瘍を有する患者は、当技術分野で知られている標準的なアッセイによって確定することができる。
組成物の「非経口投与」という用語は、例えば、皮下(s.c.)、静脈内(i.v.)、筋肉内(i.m.)、胸骨内注射または注入技術を含む。
「患者」、「被検体」や「個体」などの用語は、本明細書で互換的に使用可能であり、かつ、本明細書に記載された方法に適合する任意のヒト、動物または生体を指す。特定の非限定的な実施形態では、患者、被検体または個体は、ヒトまたは動物である。実施形態では、「被検体」という用語は、免疫応答が誘発され得る生体(例えば、哺乳動物)を含むことが意図される。被検体の例としては、ヒト、および犬、猫、マウス、ラットおよびそれらの遺伝子組み換え種などの動物が含まれる。
治療を必要とする被検体またはその必要性がある被検体には、治療を必要とする疾患、病状または病症を有する被検体が含まれる。その必要性がある被検体は、疾患、病状または病症の予防のために治療を必要とする被検体も含まれる。実施形態では、疾患は癌である。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、mRNA、RNA、cRNA、rRNA、cDNAまたはDNAを指す。前記用語は、通常、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチド、またはいずれかのタイプのヌクレオチドの修飾された形態の、長さが少なくとも10塩基のヌクレオチドの重合体形態を指す。前記用語は、一本鎖や二本鎖形態を含む核酸のすべての形態を含む。
「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」などの用語は、参照ポリヌクレオチド配列と実質的な配列同一性を示すポリヌクレオチド、または以下に定義される厳しい条件で参照配列とハイブリダイズするポリヌクレオチドを指す。これらの用語は、さらに少なくとも1つのヌクレオチドの付加、欠失または置換によって参照ポリヌクレオチドと区別されるポリヌクレオチドを含む。従って、「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語は、1つ以上のヌクレオチドが付加または欠失されたか、異なるヌクレオチドに置換されたポリヌクレオチドを含む。この点に関して、当技術分野でよく理解されるように、参照ポリヌクレオチドに対して、突然変異、付加、欠失および置換を含む特定の改変を行うことができ、それにより、改変されたポリヌクレオチドは参照ポリヌクレオチドの生物学的機能または活性を保持するか、参照ポリヌクレオチドに対して活性が増加する(すなわち、最適化される)。ポリヌクレオチド変異体は、例えば、本明細書に記載された参照ポリヌクレオチド配列と少なくとも50%(および少なくとも51%〜少なくとも99%およびその間のすべての整数パーセンテージ、例えば、90%、95%または98%)の配列同一性を有するポリヌクレオチドを含む。「ポリヌクレオチド変異体」および「変異体」という用語は、自然に存在する対立遺伝子変異体およびオーソログを含む。
「ポリペプチド」、「ポリペプチドフラグメント」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書で互換的に使用でき、アミノ酸残基のポリマーならびにその変異体および合成類似体を指す。従って、これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が合成の非自然に存在するアミノ酸であるアミノ酸ポリマー、例えば、対応する自然に存在するアミノ酸の化学類似体、および自然に存在するアミノ酸ポリマーに適用される。特定の態様において、ポリペプチドは、通常、様々な化学反応を触媒する(すなわち、その速度を上げる)酵素ポリペプチドまたは「酵素」を含み得る。
「ポリペプチド変異体」という用語は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失または置換によって参照ポリペプチド配列と区別されるポリペプチドを指す。実施形態では、ポリペプチド変異体は、保存的または非保存的であり得る1つ以上の置換によって参照ポリペプチドと区別される。実施形態では、ポリペプチド変異体は保存的置換したものを含み、この点において、いくつかのアミノ酸は、ポリペプチド活性の性質を変えることなく、略類似する特性を有する他のアミノ酸に変更され得ることは、当技術分野でよく理解されている。ポリペプチド変異体はまた、1つ以上のアミノ酸が付加または欠失されたか、異なるアミノ酸残基によって置換されたポリペプチドを含む。
「プロモーター」という用語は、細胞の合成機構が認識され、または合成機構の導入によって、ポリヌクレオチド配列の特定の転写を開始するために必要なDNA配列を指す。「発現制御配列」という用語は、特定の宿主生物において操作可能に連結されたコード化配列を発現させるために必要なDNA配列を指す。原核生物に適した制御配列は、例えば、プロモーター、任意選択的なオペレーター配列およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することが知られている。「結合(bind)」、「結合(binds)」または「...と互いに作用する」という用語は、サンプルまたは生体中の第2の分子を認識して付着するが、サンプル中の他の構造的に無関係な分子を基本的に認識または付着しない分子を指す。抗体に関して、本明細書で使用される「特異的に結合する」という用語は、特異的な抗原を認識するが、サンプル中の他の分子を基本的に認識または結合しない抗体を指す。例えば、1つの種からの抗原と特異的に結合する抗体は、1つ以上の種からのその抗原にも結合し得る。しかし、そのような種間反応性は、それ自体が抗体の特異的な分類を変更しない。別の例では、抗原と特異的に結合する抗体は、異なる対立遺伝子型の抗原に結合してもよい。しかしながら、このような交差反応性は、それ自体が抗体の特異的な分類を変更しない。特定の場合には、「特異的に結合する(specific binding)」または「特異的に結合する(specifically binding)」という用語は、抗体、タンパク質またはペプチドと第2の化学種との相互作用に関して使用することができ、相互作用が化学種上の特定の構造(例えば、抗原決定基またはエピトープ)の存在に依存することを暗示する;例えば、抗体は、任意のタンパク質ではなく、特定のタンパク質構造を認識して結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識「A」および抗体を含む反応で、エピトープA(または遊離の非標識A)を含む分子が存在すると、抗体に結合する標識Aの量が減少する。
「結合タンパク質」とは、別の分子に非共有結合することができるタンパク質である。結合タンパク質は、例えば、DNA分子(DNA結合タンパク質)、RNA分子(RNA結合タンパク質)および/またはタンパク質分子(タンパク質結合タンパク質)に結合することができる。タンパク質結合タンパク質の場合、結合タンパク質は、それ自体に結合し(ホモ二量体、ホモ三量体などを形成)、および/または別のタンパク質の1つ以上の分子に結合してもよい。結合タンパク質は、複数種類の結合活性を有することができる。例えば、ジンクフィンガータンパク質は、DNA結合、RNA結合、およびタンパク質結合の活性を有する。
「ジンクフィンガーDNA結合タンパク質」(または結合ドメイン)とは、亜鉛イオンの配位によって構造が安定化された結合ドメイン内のアミノ酸配列の領域である1つ以上のジンクフィンガーを介して、DNAを配列特異的に結合させるタンパク質または、より大きなタンパク質内のドメインのことである。ジンクフィンガーDNA結合タンパク質という用語は、通常、ジンクフィンガータンパク質またはZFPと略される。
ジンクフィンガー結合ドメインは、所定のヌクレオチド配列に結合するように工学処理することができ、例えば、自然に存在するジンクフィンガータンパク質の認識ヘリックス領域のエンジニアリング(1つ以上のアミノ酸の改変)を介して実現される。さらに、ジンクフィンガー結合ドメインは、特定の所望のDNA配列を標的とするジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を形成するために、DNA切断ドメインに融合してもよい。例えば、一対のZFN(例えば、ZFN左腕(left arm)およびZFN右腕(right arm))は、特定の所望のDNA配列(例えば、TRAC遺伝子)を標的とし、その改変を引き起こすように工学処理されてもよい。
「切断」とは、DNA分子の共有結合性バックボーンの切断を指す。様々な切断方法があり、ホスホジエステル結合の酵素的または化学的加水分解を含むが、これらに限定されない。一本鎖切断および二本鎖切断は両方とも可能であり、二本鎖切断は、2つの異なる一本鎖切断事象の結果として起こり得る。DNA切断により、平滑末端または千鳥状の末端が生成され得る。実施形態では、融合ポリペプチドは、標的化された二本鎖DNAの切断のために使用される。
「標的部位」または「標的配列」とは、結合のための十分な条件が存在する場合に、結合分子が結合する核酸の一部を定義する核酸配列である。例えば、配列5’ GAATTC 3’は、Eco Rl制限エンドヌクレアーゼの標的部位である。
「融合」分子とは、2つ以上のサブユニット分子が、好ましくは共有結合で連結された分子である。サブユニット分子は、同じ化学タイプの分子であってもよいし、異なる化学タイプの分子であってもよい。第1のタイプの融合分子の例としては、融合タンパク質(例えば、ZFP DNA結合ドメインと1つ以上の活性化ドメインとの融合)および融合核酸(例えば、上記融合タンパク質をコードする核酸)が含まれるが、これらに限定されない。第2のタイプの融合分子の例としては、三重鎖形成核酸とポリペプチドの融合、およびマイナー溝バインダー(minor groove binder)と核酸の融合が含まれるが、これらに限定されない。
細胞内での融合タンパク質の発現は、融合タンパク質の細胞への送達、または融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドの細胞への送達によって生じることができ、ここで、ポリヌクレオチドは転写され、かつ転写物は翻訳され、融合タンパク質を生成する。トランススプライシング、ポリペプチド切断やポリペプチドライゲーションもまた、細胞内でのタンパク質の発現に関与し得る。ポリヌクレオチドおよびポリペプチドを細胞へ送達するための方法は、本開示の他の場所に提示される。
遺伝子発現の「調節」とは、遺伝子活性の変化を指す。発現の調節は、遺伝子の活性化および遺伝子の抑制を含んでもよいが、こられに限定されない。ゲノム編集(例えば、切断、改変、不活化、ランダム変異)は、発現を調節するために使用され得る。遺伝子不活化とは、本明細書に記載のZFPを含まない細胞と比較して、遺伝子発現の任意の減少を意味する。従って、遺伝子不活化は、部分的なものであっても完全なものであってもよい。
「関心領域」とは、細胞クロマチンの任意の領域、例えば、遺伝子、または遺伝子内や遺伝子に隣接する非コード配列であって、ここで、外因性分子を結合することが好ましい。結合は、標的化されたDNA切断および/または標的化された組換えのために行われたものであってよい。関心領域は、染色体、エピソーム、オルガネラゲノム(例えば、ミトコンドリア、葉緑体)または感染ウイルスゲノムに存在し得る。関心領域は、遺伝子のコーディング領域内、例えば、リーダー配列、トレーラー配列またはイントロンなどの転写された非コーディング領域内、またはコーディング領域の上流または下流の非転写領域内に存在し得る。関心領域の長さは、最小で単一のヌクレオチド対であってもよく、最大で2,000個のヌクレオチド対であってもよく、またはヌクレオチド対の任意の整数値であってもよい。
「統計的に有意」とは、その結果が偶然に発生した可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当技術分野で知られている任意の方法で決定することができる。一般的に使用される有意性の尺度は、帰無仮説が真である場合に観察された事象が発生する頻度または確率であるp値を含む。得られたp値が有意性レベルよりも小さい場合、帰無仮説は棄却される。単純な場合に、有意性レベルは0.05以下のp値で定義される。「減少した」または「低下した」または「より少ない」量は、通常、「統計的に有意な」または生理学的に有意な量であり、本明細書に記載の量またはレベルの約1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40または50倍以上(例えば、100、500、1000倍)(1以上のすべての整数および小数点、例えば1.5、1.6、1.7、1.8などを含む)の減少を含む。
「刺激」という用語は、刺激分子(例えば、TCR/CD3複合体)とその相同リガンドとの結合によって、TCR/CD3複合体を介したシグナル伝達などのシグナル伝達イベントを媒介して、誘導された一次応答を指す。刺激は、特定の分子の発現の変化、例えば、TGF−βのダウンレギュレーションおよび/または細胞骨格構造の再編成を媒介することができる。CD3ζは、一次応答に関して、CAR構築物の唯一適切な一次シグナル伝達ドメインではない。例えば、1993年に戻って、CD3ζとFcRγの両方がCAR分子の機能的な一次シグナル伝達ドメインとして示された。Eshharら,“Specific activation and targeting of cytotoxic lymphocytes through chimeric single chains consisting of antibody−binding domains and the gamma or zeta subunits of the immunoglobulin and T cell receptors”PNAS,1993 Jan 15;90(2):720−4から、scFvが「FcRγ鎖またはCD3複合鎖」に融合された2つのCAR構築物がT細胞の活性化と標的細胞を誘発したことが示された。注意すべきこととして、Eshharらによって実証されたように、一次シグナル伝達ドメインCD3ζまたはFcRγのみを含むCAR構築物は、共刺激ドメインが存在しなくても機能する。他の非CD3ζに基づくCAR構築物が長年にわたって開発されてきた。例えば、Wangら(『A Chimeric Antigen Receptor(CARs) Based Upon a Killer Immunoglobulin−Like Receptor(KIR) Triggers Robust Cytotoxic Activity in Solid Tumors』 Molecular Therapy,vol.22,no.Suppl.1,May 2014,第S57ページ)は、scFvが「キラー免疫グロブリン様受容体(KIR)の膜貫通ドメインと細胞質ドメイン」に融合されたCAR分子を試験した。Wangらは、「メソテリンを標的とするKIRに基づくCAR(SS 1−KIR)が、CD3に基づくCARに相当する抗原特異的な細胞障害活性とサイトカイン産生を誘発する」と報告した。同じグループからの2番目の出版物には、Wangら(「Generation of Potent T−cell Immunotherapy for Cancer Using DAP12− Based,Multichain,Chimeric Immunoreceptors」 Cancer Immunol Res. 2015 Jul;3(7):815−26)は、抗原認識のための一本鎖可変フラグメントがKIR2DS2(刺激性キラー免疫グロブリン様受容体(KIR))の膜貫通ドメインと細胞質ドメインに融合されたCAR分子が、免疫チロシンベースの活性化モチーフ含有アダプターであるDAP12を有するヒトT細胞に導入されると、インビトロとインビボの両方で機能することを示した。
「刺激分子」という用語は、抗原提示細胞に存在する相同刺激リガンドと特異的に結合するT細胞上の分子を指す。例えば、刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインは、T細胞受容体複合体に会合するζ鎖である。
「刺激リガンド」という用語は、抗原提示細胞(例えば、APC、樹状細胞、B細胞など)上に存在する場合、T細胞などの細胞上の相同結合パートナー(本明細書で「刺激分子」をいう)に特異的に結合でき、それによって、活性化、免疫応答の開始、増殖および類似のプロセスを含む、T細胞の一次応答を媒介するリガンドを指す。刺激リガンドは当技術分野で周知であり、特に、ペプチド、抗CD3抗体、超アゴニスト抗CD28抗体および超アゴニスト抗CD2抗体が負荷されたMHC クラスI分子を包含する。
「治療の」という用語は、治療および/または予防を指す。治療効果は、病状の抑制、寛解または根絶または病状の緩和によって得られる。
「治療上有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床医が求めている組織、系または被検体の生物学的または医学的応答を誘発する本発明の化合物の量を指す。「治療上有効な量」という用語は、投与されたときに、治療される病症または疾患の1つ以上の徴候または症状の進行を防止するか、またはある程度軽減するのに十分である化合物の量を含む。治療上有効な量は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療される被検体の年齢、体重などによって変化する。
「疾患を治療する」という用語は、被検体が経験する疾患または病症の少なくとも1つの徴候または症状の頻度または重症度の軽減を指す。
「トランスフェクトされた」または「形質転換された」または「形質導入された」という用語は、外因性核酸が宿主細胞に転移または導入されたプロセスを指す。「トランスフェクトの」または「形質転換された」または「形質導入された」細胞は、外因性核酸でトランスフェクト、形質転換または形質導入された細胞である。前記細胞は、一次被験細胞およびその子孫を含む。
「ベクター」という用語は、単離核酸を含み、単離核酸をインビトロとインビボ(受験体の体内)で細胞内部に送達し得るポリヌクレオチドを指す。線状ポリヌクレオチド、イオンまたは両親媒性化合物と会合するポリヌクレオチド、プラスミドおよびウイルスを含む、多数のベクターが当技術分野で知られている。従って、「ベクター」という用語は、自律的に複製するプラスミドまたはウイルスを含む。前記用語はまた、細胞への核酸の転移を促進する非プラスミドおよび非ウイルス化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソームなどを含む。ウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、腺伴随ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが含まれる。例えば、レンチウイルスは複雑なレトロウイルスであり、一般的なレトロウイルス遺伝子gag、polおよびenvに加えて、調節機能または構成機能を持つ他の遺伝子をさらに含む。レンチウイルスベクターは当技術分野で周知である。レンチウイルスのいくつかの例には、ヒト免疫不全ウイルス:HIV−1、HIV−2およびサル免疫不全ウイルス:SIVが含まれる。レンチウイルスベクターは、HIV病原性遺伝子を多重弱毒化することによって生成され、例えば、遺伝子env、vif、vpr、vpuおよびnefを欠失させることで、生物学的に安全なベクターとなる。
範囲:本開示全体を通して、本開示の様々な態様を範囲形式で提示することができる。理解されるように、範囲形式の説明は、単に便宜上および簡潔さのためのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではない。従って、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、可能なすべてのサブ範囲を具体的に開示したものと考えるべきである。例えば、1から6までのような範囲の説明は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までのサブ範囲と、その範囲内の個々の数字、例えば1、2、2.7、3、4、5、5.3および6が具体的に開示されていると考えるべきである。範囲の広さに関係なく適用される。本開示の実施形態は、キメラ抗原受容体(CAR)細胞を用いた癌の治療に関する。実施形態は、CARをコードする単離核酸配列に関するものであり、ここで、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、CARの細胞外ドメインは、固形腫瘍の抗原に結合する。例えば、転写データによると、SLC6A3、KISS1R、QRFPRなどの抗原は、正常組織での発現が非常に低いが、腎臓癌に関連する細胞での発現が高いことが示されている。いくつかの抗原の情報を以下の表2に提供している。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、SIGLEC15に結合する。SIGLEC15は、細胞膜上に発現する受容体タンパク質で、シアリル化グリカンを認識する。転写データから、尿路上皮癌細胞では過剰発現し、正常組織では低レベルで発現していることが予測される。主に脾臓やリンパ節に多く見られ、他の免疫臓器でもある程度の低発現が見られる。例えば、CARの細胞外ドメインはSIGLEC15に結合し、前記SIGLEC15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む。実施形態では、細胞外ドメインは、配列番号45−56のアミノ酸配列のうちの1つを含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を被検体に投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、尿路上皮癌に関連する。被検体におけるT細胞応答とは、補助、殺傷、調節および他のタイプのT細胞に関連する細胞媒介性免疫を指す。例えば、T細胞応答は、免疫学的プロセスにおいて他の白血球を補助すること、ウイルス感染細胞および腫瘍細胞を認識して破壊することなどの活動を含み得る。被検体におけるT細胞応答は、T細胞が殺すウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞の数、ウイルス感染細胞および/または腫瘍細胞との共培養においてT細胞が放出するサイトカインの量、被検体におけるT細胞の増殖レベル、T細胞の表現型の変化(例えば、記憶T細胞への改変)、および被検体におけるT細胞の寿命または寿命のレベルなどの様々な指標を介して検出することができる。
実施形態では、インビトロ殺傷アッセイは、CAR T細胞と抗原陽性細胞を共培養してCAR T細胞の殺傷効力を測定することによって実施されてもよい。CART細胞は、対応する抗原を発現しない対照細胞と比較して、CAR T細胞と共培養した対応する抗原陽性細胞の数の減少、およびIFNγ、TNFαなどの放出の増加を示すことにより、対応する抗原陽性細胞に対して殺傷作用を有すると考えてもよい。さらに、CAR T細胞のインビボ抗腫瘍活性を試験してもよい。例えば、免疫不全マウスにおいて、本明細書に記載の抗原を用いて異種移植モデルを確立してもよい。ヒト癌細胞または腫瘍生検組織を免疫不全のげっ歯類(異種移植モデル)に異種移植することは、過去20年間、新規な癌治療薬の開発のための主要な前臨床スクリーニングを構成してきた(Songら,Cancer Res.PMC 2014 Aug 21およびMortonら,Nature Protocols,2,−247 − 250 (2007))。CAR T細胞の抗腫瘍活性をインビボで評価するために、腫瘍異種移植片を有する免疫不全マウスを、CAR T細胞の抗腫瘍活性(例えば、マウス腫瘍およびマウス血中IFNγ、TNFαなどの減少)について評価した。
「キメラ抗原受容体」または代替可能な「CAR」という用語は、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、細胞質ドメイン)を含む組換えポリペプチド構築物を指す。実施形態では、CARポリペプチド構築物におけるドメインは、同じポリペプチド鎖上にある(例えば、キメラ融合タンパク質を含む)。実施形態では、CARポリペプチドのドメインは、同一の分子上になく、例えば、互いに隣接していないか、または異なるポリペプチド鎖上にある。
実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、本明細書に記載の刺激分子および/または共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含んでもよい。実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3−ζの一次シグナル伝達ドメイン)に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む。実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインはさらに、少なくとも1つの共刺激分子に由来する1つ以上の機能的シグナル伝達ドメインを含む。共刺激シグナル伝達領域とは、共刺激分子の細胞内ドメインを含むCARの一部を指す。共刺激分子は、リンパ球の有効応答(抗原に対する応答)を誘導するための細胞表面分子を含んでもよい。
CARの細胞外ドメインと膜貫通ドメインの間には、スペーサードメインが組み込まれる場合がある。本明細書で使用されるように、「スペーサードメイン」という用語は、通常、ポリペプチド鎖中の細胞外ドメインおよび/または細胞質ドメインに膜貫通ドメインを連結するために機能する任意のオリゴペプチドまたはポリペプチドを意味する。スペーサードメインは、最大300個のアミノ酸、10〜100個のアミノ酸、または25〜50個のアミノ酸を含んでもよい。CARの細胞外ドメインは、特定の腫瘍マーカー(例えば、腫瘍抗原)を標的とする抗原結合ドメイン(例えば、scFv、単一ドメイン抗体、またはTCRα結合ドメインやTCRβ結合ドメインなどのTCR)を含んでもよい。腫瘍抗原は、免疫応答、特にT細胞を介した免疫応答を誘発する腫瘍細胞によって産生されるタンパク質である。腫瘍抗原は当技術分野で周知であり、例えば、神経膠腫関連抗原、癌胎児性抗原(CEA)、β−ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、レクチン反応性AFP、チログロブリン、RAGE−1、MN−CA IX、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2(AS)、腸のカルボキシルエステラーゼ、mut hsp70−2、M−CSF、プロスターゼ(prostase)、前立腺特異的抗原(PSA)、PAP、NY−ESO−1、LAGE−1a、p53、前立腺特異的タンパク質(prostein)、PSMA、Her2/neu、サバイビン、テロメラーゼ、前立腺癌腫瘍抗原−1(PCTA−1)、MAGE、ELF2M、好中球エラスターゼ、エフリンB2、CD22、インスリン成長因子(IGF)−I、IGF−II、IGF−I受容体およびメソセリンを含む。例えば、CARが結合する抗原がCD19である場合、そのCARをCD19CARと呼ぶ。
実施形態では、細胞外リガンド結合ドメインは、柔軟なリンカーによって連結された標的抗原特異的モノクローナル抗体の軽鎖可変(VL)領域および重鎖可変(VH)領域を含むscFvで構成される。一本鎖可変領域フラグメントは、短い連結ペプチドを用いて軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を連結することにより調製される(Birdら,Science 242:423−426,1988)。連結ペプチドの例は、アミノ酸配列(GGGGS)3(SEQ ID:24)を有するGSリンカーであり、1つの可変領域のカルボキシ末端と別の可変領域のアミノ末端の間を約3.5nm架橋する。他の配列のリンカーが設計および使用されている(Birdら,1988,上記と同様)。通常、リンカーは、短く、柔軟なポリペプチドであり得、約20以下のアミノ酸残基を含む。一方、医薬の付着または固体支持体への付着などの付加的な機能を実現するためにリンカーを修飾し得る。一本鎖変異体は、組換えまたは合成によって生産することができる。scFvの合成生産のためには、自動合成装置を使用することができる。scFvの組換え生産のためには、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適当なプラスミドを適当な宿主細胞、例えば、酵母、植物、昆虫や哺乳類細胞などの真核生物、または大腸菌などの原核生物のいずれかに導入することができる関心のあるscFvをコードするポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの連結などの通常の操作によって調製することができる。得られたscFvは、当技術分野で知られている標準的なタンパク質精製技術を用いて単離することができる。
実施形態では、腫瘍抗原は、HER2、CD19、CD20、CD22、κまたは軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、ROR1、ErbB3/4、EGFR、EGFRvIII、EphA2、FAP、癌胎児性抗原、EGP2、EGP40、メソセリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7−H6、IL−13受容体α 2、IL−11受容体α、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW−MAA、CD171、Lewis Y、G250/CAIX、HLA−AI MAGE A1、HLA−A2 NY−ESO−1、PSC1、葉酸受容体−α、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、CD44v6、TEM1、TEM8または腫瘍によって発現されるウイルス関連抗原を含む。実施形態では、CARの結合要素は、相同抗原に結合したときに、腫瘍細胞を成長させず、または死滅か減少させるように促進するように腫瘍細胞に影響を与える任意の抗原結合部位を含むことができる。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、KISS1Rに結合する。KISS1Rは、転移抑制遺伝子KISS1によってコードされるペプチドであるキスペプチン(メタスティン)を結合するガラニン様Gタンパク質共役型受容体である。KISS1 Rは、内分泌機能の調節に関与し得る。例えば、CARの細胞外ドメインはKISS1Rに結合し、前記KISS1Rは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、配列番号71および72のアミノ酸配列のうちの1つを含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、腎臓癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、CLDN6に結合する。CLDN6は、密着結合鎖の構成要素であり、内在性膜タンパク質であるクローディンファミリーのメンバーである。転写データから、クローディンファミリーのメンバーである密着結合鎖の構成要素が子宮内膜癌、尿路上皮癌で高度に発現し、正常組織で少量発現していることが予測される。例えば、CARの細胞外ドメインはCLDN6に結合し、前記CLDN6は、配列番号22のアミノ酸配列を含む。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、配列番号29−44のアミノ酸配列のうちの1つを含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、子宮内膜癌および/または尿路上皮癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、MUC16に結合する。MUC21およびMUC16は、ムチンファミリーに属する大きな膜結合型糖タンパク質である。ムチンはO−グリコシル化されたタンパク質で、上皮表面の保護粘膜バリアの形成に重要な役割を果たしている。食道癌の場合、MUC21は食道への発現が制限されている。MUC16は、正常組織では発現が低く、子宮内膜でも発現が低い。卵巣癌の場合には、MUC16は高度に発現している。例えば、CARの細胞外ドメインはMUC16に結合し、前記MUC16は、配列番号6のアミノ酸配列を含む。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、配列番号63−70のアミノ酸配列のうちの1つを含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、卵巣癌に関連する。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、SLC6A3に結合する。SLC6A3はドーパミントランスポーターであり、ナトリウムおよび塩化物依存性神経伝達物質トランスポーターファミリーのメンバーである。例えば、CARの細胞外ドメインはSLC6A3に結合し、前記SLC6A3は、配列番号18のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法を含み、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は腎臓癌を含む。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、QRFPRに結合する。QRFPRは、ピログルタミル化されたRFアミドペプチド受容体であり、そのリガンドであるQRFPとともに脂肪形成に関与し得る。例えば、CARの細胞外ドメインはQRFPRに結合し、前記QRFPRは、配列番号20のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、腎臓癌に関連する。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、GPR119に結合する。GPR119は、Gタンパク質共役型受容体のロドプシンサブファミリーに属し、膵臓や消化管での発現が低く、グルコースのホメオスタシスに関与し得る。転写データから、膵臓癌での高度発現が予測される。例えば、CARの細胞外ドメインはGPR119に結合し、前記GPR119は、配列番号21のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、膵臓癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、UPK2に結合する。UPK2は、膀胱の正常組織や膀胱癌を含む尿路上皮癌で主に発現している、高度に保存された非対称単位膜の尿路上皮特異的内在性膜タンパク質の一つである。例えば、CARの細胞外ドメインはUPK2に結合し、前記UPK2は、配列番号1のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、尿路上皮癌および/または膀胱癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、ADAM12に結合する。ADAM12は、ヘビ毒ディスインテグリンに構造的に関連するタンパク質ファミリーのメンバーであり、細胞−細胞と細胞−マトリックスの相互作用に関与し、かつ、胎盤や乳腺/膵臓癌などの腫瘍で高度に発現している。例えば、CARの細胞外ドメインは、ADAM12に結合し、前記ADAM12は、配列番号2のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、乳腺癌および/または膵臓癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、SLC45A3に関連する。SLC45A3は原形質膜タンパク質であり、前立腺癌の場合、正常組織は主に前立腺で発現する。例えば、CARの細胞外ドメインはSLC45A3に結合し、前記SLC45A3は、配列番号3のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、前立腺癌に関連する。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、ACPPに結合する。ACPPは、オルトリン酸モノエステルからアルコールおよびオルトリン酸への変換を触媒する酵素であり、膜貫通ドメインを含み、原形質膜−エンドソーム−リソソーム経路に局在する。前立腺癌の場合、正常組織は主に前立腺で特異的に発現する。例えば、CARの細胞外ドメインはACPPに結合し、前記ACPPは、配列番号4のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、前立腺癌に関連する。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、MUC21に結合する。MUC21およびMUC16は、ムチンファミリーに属する大きな膜結合型糖タンパク質である。ムチンはO−グリコシル化されたタンパク質で、上皮表面の保護粘膜バリアの形成に重要な役割を果たしている。受験者が食道癌を有する場合、MUC21は食道への発現が制限されている。例えば、CARの細胞外ドメインはMUC21に結合し、前記MUC21は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、食道癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、MS4A12に結合する。MS4A12は、結腸細胞の先端膜に見られる細胞表面タンパク質であり、結腸での発現が制限されており、結腸直腸癌の治療に利用され得る。例えば、CARの細胞外ドメインはMS4A12に結合し、前記MS4A12は、配列番号7のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、結腸直腸癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、ALPPに結合する。ALPPは、リン酸モノエステルの加水分解を触媒する金属酵素であるアルカリホスファターゼである。ALPPの発現は胎盤に限定される。卵■腺癌、漿液性嚢胞腺癌やその他の卵巣癌の細胞でALPPの強い異所性発現が検出されている。例えば、CARの細胞外ドメインはALPPに結合し、前記ALPPは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、固形腫瘍は、子宮内膜癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、SLC2A14に結合する。例えば、CARの細胞外ドメインはSLC2A14に結合し、前記SLC2A14は、配列番号9のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、精巣癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、GS1−259H13.2に関連する。例えば、CARの細胞外ドメインはGS1−259H13.2に結合し、前記GS1−259H13.2は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、甲状腺癌、または神経膠腫、または精巣癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、ERVFRD−1に関連する。例えば、CARの細胞外ドメインはERVFRD−1に結合し、前記ERVFRD−1は、配列番号11のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、腎臓癌または尿道癌に関連する。実施形態では、CARの細胞外ドメインは、ADGRG2に結合する。例えば、CARの細胞外ドメインはADGRG2に結合し、前記ADGRG2は、配列番号12のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、卵巣癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、ECEL1に結合する。例えば、CARの細胞外ドメインはECEL1に結合し、前記ECEL1は、配列番号13のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、子宮内膜癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、CHRNA2に結合する。例えば、CARの細胞外ドメインはCHRNA2に結合し、前記CHRNA2は、配列番号14のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、前立腺癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、GP2に結合する。例えば、CARの細胞外ドメインはGP2に結合し、前記GP2は、配列番号15のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、膵臓癌に関連する。
実施形態では、CARの細胞外ドメインは、PSG9に結合する。例えば、CARの細胞外ドメインはPSG9に結合し、前記PSG9は、配列番号16のアミノ酸配列を含む。実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、CARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、腫瘍は、腎臓癌または肝臓癌に関連する。
本開示はまた、二重特異性キメラ抗原受容体(図26を参照)、二重特異性キメラ抗原受容体をコードするポリヌクレオチド、および/またはポリヌクレオチドを含む修飾細胞に関し、ここで、二重特異性キメラ抗原受容体は第1の抗原結合ドメイン、第2の抗原結合ドメイン、細胞質ドメインおよび膜貫通ドメインを含み、かつ第1の抗原結合ドメインが第1の抗原を認識し、第2の抗原結合ドメインが第2の抗原を認識する。実施形態では、第1の抗原は白血球に関連する抗原であり、第2の抗原は固形腫瘍抗原である。実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は、同一または異なる。実施形態では、第1の抗原および第2の抗原は、両方とも固形腫瘍抗原である。例えば、第1の抗原は腫瘍関連MUC1であり、第2の抗原は配列番号1−22の抗原のうちの1つから選択される。実施形態では、第1の結合ドメインおよび第2の結合ドメインは、リンカー(例えば、配列番号188)を介して連結される。
実施形態では、CARの細胞内ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。
実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。実施形態は、本明細書に記載の単離核酸配列を含むベクターに関する。実施形態は、本明細書に記載の単離核酸配列を含む単離細胞に関する。
実施形態は、本明細書に記載のCARを含むT細胞を含む細胞集団を含む組成物に関する。実施形態は、本明細書に記載の単離核酸配列によってコードされるCARに関連する。
本明細書に記載のCAR細胞および修飾細胞を含む細胞は、幹細胞に由来し得る。幹細胞は、成体幹細胞、胚性幹細胞、または非ヒト幹細胞、臍帯血幹細胞、前駆細胞、骨髄幹細胞、誘導多能性幹細胞、トーティポテント幹細胞、または造血幹細胞であってもよい。また、細胞は、樹状細胞、NK細胞、B細胞、または炎症性Tリンパ球、細胞傷害性Tリンパ球、調節性Tリンパ球およびヘルパーTリンパ球からなる群から選択されるT細胞であってもよい。実施形態では、細胞は、CD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球に由来し得る。本明細書に記載の細胞の増幅および遺伝子修飾に先立って、細胞の供給源は、種々の非限定的な方法によって被検体から得られ得る。T細胞は、末梢血単核細胞、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織および腫瘍を含む多くの非限定的な供給源から得られ得る。実施形態では、利用可能で、かつ当業者に知られている任意の数のT細胞株を使用することができる。実施形態では、細胞は、健康なドナー、癌と診断された患者、または感染症と診断された患者に由来し得る。実施形態では、細胞は、異なる表現型特性を示す細胞の混合集団の一部である。
「幹細胞」という用語は、自己複製能力と他のタイプの細胞に分化する能力を持つ、あらゆるタイプの細胞を指す。例えば、幹細胞は2つの娘幹細胞(インビトロで胚性幹細胞と培養した場合に発生)、または1つの幹細胞と分化した細胞(血液細胞を生成できる造血幹細胞で発生)を生成する。異なるタイプの幹細胞は、その由来および/または他のタイプの細胞に分化する能力の程度に基づいて区別され得る。幹細胞は、胚性幹(ES)細胞(すなわち、多能性幹細胞)、体性幹細胞、誘導多能性幹細胞、およびその他の任意のタイプの幹細胞を含み得る。
多能性胚性幹細胞は、胚盤胞の内部の細胞塊に存在し得、生来の高い分化能力を有する。例えば、多能性胚性幹細胞は、体内であらゆるタイプの細胞を形成する可能性がある。インビトロで長期間成長した場合、ESは多能性を維持し、娘細胞は多系統分化の可能性を維持する。
体性幹細胞は、(胎児からの)胎児幹細胞と(骨髄などの様々な組織に存在する)成体幹細胞を含み得る。これらの細胞は、多能性ES細胞よりも分化能力が低いと見なされ、中で胎児幹細胞の能力が成体幹細胞の能力よりも高く、それらは明らかに限られた数の異なるタイプの細胞にしか分化しないで、多能性(multipotent)として説明されている。「組織特異的な」幹細胞は、一般的には、1種類の細胞しか生まない。例えば、胚性幹細胞は、血液幹細胞(例えば、造血幹細胞(HSC))に分化することができ、これは、さらに様々な血液細胞(例えば、赤血球、血小板、白血球など)に分化することができる。
誘導多能性幹細胞(iPS細胞またはiPSC)は、特定の遺伝子の発現を誘導することにより、非多能細胞(例えば、成体細胞)から人工的に誘導された多能性幹細胞を含み得る。誘導多能性幹細胞は、特定の幹細胞遺伝子やタンパク質の発現、クロマチンメチル化パターン、倍加時間、胚様体形成、奇形腫形成、生存可能なキメラ形成、能力や分化能など、多くの点で、胚性幹細胞(ES細胞)などの自然に存在する多能性幹細胞と類似している。誘導多能性細胞は、成人の胃、肝臓、皮膚細胞および血液細胞から単離することができる。
実施形態では、CAR細胞、修飾細胞または細胞は、T細胞、NK細胞、マクロファージまたは樹状細胞である。例えば、CAR細胞、修飾細胞または細胞は、T細胞である。
実施形態では、抗原結合分子はT細胞受容体(TCR)である。実施形態では、TCRは修飾TCRである。実施形態では、TCRは、患者において自然に発生する腫瘍特異的T細胞に由来する。実施形態では、TCRは腫瘍抗原に結合する。実施形態では、腫瘍抗原は、CEA、gp100、MART−1、p53、MAGE−A3またはNY−ESO−1を含む。実施形態では、TCRは、TCRγおよびTCRδ鎖、またはTCRαおよびTCRβ鎖を含む。実施形態では、標的抗原に対して高い親和性を有するTCRを発現するT細胞クローンを単離することができる。実施形態では、特定のHLA対立遺伝子の背景で優性T細胞応答を誘発可能であることが知られているエピトープを表すペプチドでパルス化された抗原提示細胞(APC)の存在下で、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)または末梢血単核細胞(PBMC)を培養することができる。次に、MHC−ペプチドテトラマー染色および/または低滴定濃度の同族ペプチド抗原でパルス化された標的細胞を認識および溶解する能力に基づいて、高親和性クローンを選択することができる。クローンを選択した後、分子クローニングにより、TCRαおよび TCRβ鎖、またはTCRγおよびTCRδ鎖を同定して単離する。例えば、TCRαおよびTCRβ鎖の場合、TCRαおよびTCRβ遺伝子配列を用いて、ヒトT細胞における両TCR鎖の安定した高レベルの発現を理想的に促進できる発現構築物を生成する。次に、形質導入媒体(例えばγレトロウイルスまたはレンチウイルス)を生成して、その機能性(抗原特異性および機能親和性)について試験を行い、且つ臨床用ベクターを多く生成するために使用され得る。最終生成物のアリコートを使用して、標的T細胞集団(通常、患者のPBMCから精製)に形質導入することができ、前記標的T細胞集団は、被検体への注入前に増幅される。
実施形態では、CARの結合要素は、任意の抗原結合部分を含んでもよく、前記抗原結合部分は、その相同抗原に結合すると、腫瘍細胞に影響を与え、例えば、腫瘍細胞を死滅させること、腫瘍細胞の成長を抑制すること、または腫瘍細胞の死を促進する。所望の分子をコードする核酸配列は、例えば、遺伝子を発現する細胞からライブラリーをスクリーニングすることによって、前記遺伝子を含むことが知られているベクターから遺伝子を導出することによって、または標準的な技術を用いて、前記遺伝子を含む細胞および組織から直接単離することによって、本分野で知られている組換え法を用いて得ることができる。または、クローン化するのではなく、関心のある遺伝子を合成的に産生することができる。
本開示の実施形態はさらに、本開示のDNAが挿入されるベクターに関する。レンチウイルスなどのレトロウイルスに由来するベクターは、トランスジェニック遺伝子の長期的且つ安定的な統合および娘細胞内でのその増殖を可能にするので、長期的な遺伝子導入を達成するのに適するツールである。レンチウイルスベクターは、肝細胞などの非増殖細胞を形質導入できるという点で、マウス白血病ウイルスなどの腫瘍レトロウイルスに由来するベクターよりも多くの優位性である。また、免疫原性が低いという利点もある。
ウイルスは、インビトロおよびインビボ(被検体内)で核酸を細胞に送達するために使用され得る。核酸を細胞に送達し得るウイルスの例には、レトロウイルス、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルスおよびアデノ随伴ウイルスが含まれる。
核酸を細胞に送達するための非ウイルス性の方法、例えば、エレクトロポレーション、遺伝子銃、ソノポレーション、マグネトフェクション、およびオリゴヌクレオチド、リポプレックス、デンドリマー、および無機ナノ粒子の使用も存在する。
CARをコードする天然または合成の核酸の発現は、通常、CARポリペプチドまたはその一部をコードする核酸を1つ以上のプロモーターに操作可能に連結し、構築物を発現ベクターに組み込むことによって達成される。ベクターは、複製および真核生物への組み込みに適している。代表的なクローニングベクターは、転写および翻訳ターミネーター、開始配列、および所望の核酸配列の発現調節に有用なプロモーターを含む。
CARをコードする合成核酸の発現および哺乳動物細胞への遺伝子導入に関連する追加情報は、米国特許番号US8,906,682に提供されており、その全体が参照により組み込まれている。
本開示の医薬組成物は、治療(または予防)する疾患に適切な方法で投与され得る。投与の量や頻度は、患者の病状、疾患の種類や重症度などの要因によって決定されるが、適切な投与量は臨床試験により決定されることもある。
「免疫学的に有効な量」、「抗腫瘍効果のある量」、「腫瘍抑制効果のある量」または「治療上有効な量」が指示される場合、投与される本開示の組成物の正確な量は、患者(被検体)の年齢、体重、腫瘍の大きさ、感染または転移の程度、および病状の個人差を考慮して、医師によって決定され得る。本明細書に記載のT細胞の医薬組成物は、104〜109個の細胞/kg体重、好ましくは105〜106個の細胞/kg体重(前記範囲内のすべての整数値を含める)の投与量で投与し得るとは言える。T細胞組成物はまた、これらの投与量で複数回投与されてもよい。細胞は、免疫療法において一般的に知られている注入技術を使用して投与され得る(例えば、Rosenbergら,New Eng.J. of Med.319:1676,1988を参照)。当業者は、患者の疾患徴候をモニタリングし、それに応じて治療方法を調整することにより、特定の患者に対する最適な投与量および治療レジームを容易に決定することができる。実施形態では、被検体に活性化のT細胞を投与してから、血液を採取し(またはアフェレーシスを実施する)、活性化および増幅されたT細胞を収集し、かつ、これらの活性化および増幅されたT細胞を患者に再注入することが望しい場合がある。このプロセスは、数週間ごとに複数回実施することができる。実施形態では、10cc〜400ccの採血からT細胞を活性化することができる。実施形態では、20cc、30cc、40cc、50cc、60cc、70cc、80cc、90ccまたは100ccの採血からT細胞を活性化することができる。理論に縛られることなく、このような複数回の採血/複数回の再注入の手段を採用すれば特定のT細胞集団を選択することができる。
本明細書に記載の医薬組成物の投与は、エアロゾル吸入、注射、摂取、注入、植入または移植を含む、任意の便利な方法で行われ得る。本明細書に記載の組成物は、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髓内、筋肉内、静脈内(i.v.)注射または腹腔内投与で患者に投与することができる。実施形態では、本開示のT細胞組成物は、皮内または皮下注射によって被検体に投与される。実施形態では、本開示のT細胞組成物は、好ましくは静脈内注射によって投与される。T細胞の組成物は、腫瘍、リンパ節または感染部位に直接注入することができる。本開示の実施形態では、本明細書に記載された方法、またはT細胞を治療レベルまで増幅する当技術分野で知られている他の方法を用いて活性化および増幅された細胞は、任意の数の関連する治療方法と組み合わせて(例えば、治療の前に、同時に、または後に)患者に投与され、ここで、前記治療方法は、抗ウイルス療法、MS患者に対するシドフォビルおよびインターロイキン−2、シタラビン(ARA−Cとしても知られる)またはナタリズマブ治療、乾癬患者に対するエファリズマブ治療、またはPML患者に対する他の治療などの医薬による治療を含むが、これらに限定されない。さらなる実施形態では、本開示のT細胞は、化学療法、放射線、免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、メトトレキサート、マイコフェノレートおよびFK506)、抗体、または他の免疫消失薬(例えば、CAM PATH)、抗CD3抗体または他の抗体療法、サイトキシン、フルダリビン、シクロスポリン、FK506、ラパマイシン、ミコフェノール酸、ステロイド、FR901228、サイトカイン、および照射と組み合わせて使用することができる。これらの医薬は、カルシウム依存性ホスファターゼであるカルシニューリン(シクロスポリンおよびFK506)を阻害するか、または成長因子誘導シグナルの伝達に重要なp70S6キナーゼ(ラパマイシン)を阻害する。(Liuら,Cell 66:807−815,1991;Hendersonら,Immun 73:316−321,1991;Biererら,Curr.Opin.Immun 5:763−773,1993;Isoniemi(上記と同様))。実施形態では、本開示の細胞組成物は、骨髓移植、T細胞切除療法(フルダラビンなどの化学治療薬を使用)、外部ビーム放射線療法(XRT)、シクロホスファミドまたは抗体(例えば、OKT3またはCAMPATH)と組み合わせて(例えば、前に、同時に、または後に)患者に投与される。実施形態では、本開示の細胞組成物は、CD20と反応する試薬、例えばリツキサンなどのB細胞切除療法に続いて投与される。例えば、被検体は、高用量化学療法による標準的な治療に続いて、末梢血幹細胞移植を受けることができる。実施形態では、移植の後に、被検体は、本開示の増幅された免疫細胞の注入を受ける。実施形態では、増幅された細胞は、手術の前または後に投与される。
患者に投与される上記の治療の投与量は、治療される病状の正確な性質および治療レシピエントによって変化する。ヒトへの投与のための投与量のスケーリングは、様々な要因に応じて、医師が当技術分野で周知される慣行に従って行うことができる。
米国特許号US8,906,682は、工学処理または修飾されたT細胞を用いた癌治療の方法の追加情報を提供しており、参照によりその全体が組み込まれている。
実施形態では、本明細書に記載された細胞集団は、自家CAR T細胞療法に使用される。実施形態では、CAR T細胞療法は、同種異系CAR T細胞療法、TCR T細胞療法およびNK細胞療法である。
実施形態は、修飾細胞を調製するためのインビトロ方法に関する。前記方法は、被検体から細胞サンプルを取得することを含み得る。例えば、サンプルは、T細胞またはT細胞前駆細胞を含み得る。前記方法は、少なくともCARをコードするDNAで細胞をトランスフェクトすることと、CARを発現するT細胞増殖を選択的に強化する培地でCART細胞集団をエクスビボで培養することをさらに含み得る。
実施形態では、サンプルは、凍結保存されたサンプルである。実施形態では、細胞サンプルは、臍帯血から得られるものであり、または被検体からの末梢血サンプルである。実施形態では、細胞サンプルは、アフェレシスまたは静脈穿刺によって得られる。実施形態では、細胞サンプルはT細胞亜集団である。
本開示の実施形態は、遺伝子融合に関連する分子を用いたキメラ抗原受容体(CAR)細胞を用いた癌の治療に関する。実施形態は、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸配列に関するものであり、ここで、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインは、遺伝子融合体の遺伝子融合抗原に結合する。
本明細書で使用されるように、用語「遺伝子融合」は、遺伝子の少なくとも一部とその他の遺伝子の少なくとも一部との融合を指す。遺伝子融合は、遺伝子全体または遺伝子のエクソンを含む必要はない。いくつかの例では、遺伝子融合は、癌の改変に関連する。遺伝子融合産物とは、遺伝子融合により得られたキメラゲノムDNA、キメラメッセンジャーRNA、短縮型タンパク質またはキメラタンパク質を指す。遺伝子融合産物は、米国特許9938582に記載されている様々な方法によって検出することができ、前記特許は参照により本明細書に組み込まれている。「遺伝子融合抗原」とは、遺伝子融合により生成された短縮型タンパク質またはキメラタンパク質を指す。実施形態では、遺伝子融合抗原のエピトープは、遺伝子融合抗原の一部、または遺伝子融合によって引き起こされる別の抗原の免疫原性部分を含み得る。実施形態では、遺伝子融合抗原は、細胞膜と相互作用するか、または細胞膜の一部となる。
実施形態では、遺伝子融合は、第1の遺伝子の少なくとも一部と第2の遺伝子の少なくとも一部との融合を含む。実施形態では、第1の遺伝子および第2の遺伝子は、表3に記載の融合体の第1の遺伝子および第2の遺伝子を含む。実施形態では、遺伝子融合抗原は、表3に記載の病状に関連する。
実施形態では、ヒト細胞における標的分子(表2に記載)のmRNA発現レベルおよびタンパク質発現レベルの検出は、qPCRやFACSなどの実験方法を用いて行ってもよい。さらに、対応する腫瘍細胞において特異的に発現された、正常組織細胞での発現が非常に低くまたは検出不可能な標的分子を同定することができる。
実施形態では、インビトロ殺傷アッセイ、および抗原陽性細胞と共培養されたCAR T細胞の殺傷実験を実施することができる。CAR T細胞は、対応する抗原を発現しない対照細胞と比較して、対応する抗原陽性細胞に対する殺傷作用、CAR T細胞と共培養した対応する抗原陽性細胞の数の減少、IFNγ、TNFαなどの放出の増加を示し得る。
実施形態では、インビボ殺傷アッセイを実施してもよい。例えば、マウスに対応する発癌性の抗原腫瘍細胞を移植し、CAR T細胞を注入することができ、これにより、マウス腫瘍が減少し、マウス血中からIFNγ、TNFα、およびその他のシグナルが検出される可能性がある。
実施形態は、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法に関し、ここで、前記方法は、本明細書に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。実施形態では、CARの細胞内ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む。実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む。
実施形態は、本明細書に記載の単離核酸を含むベクターに関する。
実施形態は、本明細書に記載の単離核酸配列を含む単離細胞に関する。実施形態は、本明細書に記載のCARを含むT細胞集団を含む組成物に関する。実施形態は、本明細書に記載の単離核酸配列によってコードされるCARに関連する。実施形態は、被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の腫瘍を治療する方法に関し、前記方法は、本明細書に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む。
実施形態では、本明細書に記載のCAR分子は、関心のある抗原に結合するための1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含む。CDRは、免疫グロブリンやT細胞受容体における特異的抗原に結合するための可変ドメインの一部である。各可変ドメインには、3つのCDRがある。可変重鎖ドメインおよび可変軽鎖ドメインがあるため、抗原結合用の6つのCDRがある。さらに、抗体には2本の重鎖と2本の軽鎖があるため、抗体には抗原結合用の合計12のCDRがある。実施形態では、CAR分子は、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12またはALPPのうちの1つ以上のCDRを含む。
本開示は、1つ以上の異なる抗原結合ドメインを含む修飾細胞について説明する。修飾細胞は、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメイン、すなわち、遺伝子修飾細胞を増幅および/または維持するための第1の抗原結合ドメインと、標的細胞(例えば腫瘍細胞)を死滅させるための第2の抗原結合ドメインとを含み得る。例えば、第1の抗原結合ドメインは、白血球(WBC)の細胞表面分子(例えば、CD19)などの表面マーカーに結合し、第2の抗原結合ドメインは、腫瘍細胞上の標的抗原に結合する。実施形態では、細胞表面分子は、WBCの表面抗原である。実施形態では、腫瘍細胞上の標的抗原は、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM 12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12、またはALPPのうちの1つ以上を含む。少なくとも2つの抗原結合ドメインは、同一または異なる修飾細胞上に位置し得る。例えば、修飾細胞は、CD19に結合するCARを含む修飾細胞、ACPPに結合するCARを含む修飾細胞、CD19およびACPPに結合するCARを含む修飾細胞、および/またはCD19およびACPPにそれぞれ結合する2つのCARを含む修飾細胞を含み得る。実施形態では、修飾細胞は、癌を有する被検体を治療するために使用され得る。
実施形態では、本明細書に記載の修飾細胞は、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインを含むCAR分子を含む。CAR分子は、二重特異性CAR分子であってもよい。例えば、2つの抗原結合ドメインは、同じCAR分子、異なるCAR分子、またはCAR分子とT細胞受容体(TCR)に存在し得る。単一のCARは、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインを含み得、または2つの異なる抗原結合ドメインは、それぞれ別個のCAR分子上に存在する。少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインは、同一のCAR分子または異なるCAR分子上に存在し得るが、同一の修飾細胞中にある。さらに、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインは、同一の修飾細胞中のCAR分子およびT細胞受容体上に存在し得る。実施形態では、二重特異性CAR分子は、WBCの抗原(例えば、CD19)に結合する結合ドメインと、固形腫瘍抗原に結合する結合ドメインとを含み得る。実施形態では、二重特異性CAR分子は、2つの異なる固形腫瘍抗原に結合する2つの結合ドメインを含み得る。
実施形態では、少なくとも2つの異なる抗原結合ドメインは、異なる修飾細胞によって発現される異なるCAR分子上に存在する。さらに、1つ以上の異なる抗原結合ドメインは、異なる修飾細胞によって発現されるCAR分子およびT細胞受容体上に存在する。
関連する配列は、本出願およびイノベーティブセルラーセラピューティクス株式会社(Innovative Cellular Therapeutics)のPCT特許出願番号:PCT/CN2016/075061、PCT/CN2018/088914およびPCT/US19/013068に提供されており、その全体が参照により組み込まれている。
以下の例示的な実施形態および実施例を参照して、本開示をさらに説明する。これらの例示的な実施形態および実施例は、例示のみを目的として提供され、特に指定されていない限り、本発明を限定することを意図しない。従って、本開示は、以下の例示的な実施形態および実施例に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書に提供される示唆の結果として明らかになる任意のおよびすべての変形を包含するように解釈されるべきである。
例示的な実施形態
例示的な実施形態は以下のとおりである。
1、固形腫瘍の抗原に結合する細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含むキメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸配列。
2、細胞外ドメインはSIGLEC15に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
3、細胞外ドメインはSIGLEC15に結合し、前記SIGLEC15は、配列番号17のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
4、細胞外ドメインは、配列番号45−56のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
5、実施形態2−4のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
6、腫瘍は、尿路上皮癌に関連する、実施形態1−5のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
7、細胞外ドメインはKISS1Rに結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
8、細胞外ドメインはKISS1Rに結合し、前記KISS1Rは、配列番号19のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
9、細胞外ドメインは、配列番号71および72のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
10、実施形態7−9のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
11、腫瘍は、腎臓癌に関連する、実施形態1および7−10のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
12、細胞外ドメインはCLDN6に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
13、細胞外ドメインはCLDN6に結合し、前記CLDN6は、配列番号22のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
14、細胞外ドメインは、配列番号29−44のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
15、実施形態12−15のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
16、腫瘍は、子宮内膜癌および/または尿路上皮癌に関連する、実施形態1および12−16のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
17、細胞外ドメインはMUC16に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
18、細胞外ドメインはMUC16に結合し、前記MUC16は、配列番号6のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
19、細胞外ドメインは、配列番号63−70のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
20、実施形態17−19のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
21、腫瘍は、卵巣癌に関連する、実施形態1および17−20のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
22、細胞外ドメインはSLC6A3に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
23、細胞外ドメインはSLC6A3に結合し、前記SLC6A3は、配列番号18のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
24、実施形態22および23のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
25、腫瘍は、腎臓癌に関連する、実施形態1および22−24のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
26、細胞外ドメインはQRFPRに結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
27、細胞外ドメインはQRFPRに結合し、前記QRFPRは、配列番号20のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
28、実施形態26および27のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
29、腫瘍は、腎臓癌に関連する、実施形態1および26−28のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
30、細胞外ドメインはGPR119に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
31、細胞外ドメインはGPR119に結合し、前記GPR119は、配列番号21のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
32、実施形態30および31のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
33、腫瘍は、膵臓癌に関連する、実施形態1および30−32のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
34、細胞外ドメインはUPK2に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
35、細胞外ドメインはUPK2に結合し、前記UPK2は、配列番号1のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
36、実施形態34および35のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
37、腫瘍は、尿路上皮癌および/または膀胱癌に関連する、実施形態1および34−36のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
38、細胞外ドメインはADAM12に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
39、細胞外ドメインはADAM12に結合し、前記ADAM12は、配列番号2のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
40、実施形態38および39のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
41、腫瘍は、乳腺癌および/または膵臓癌に関連する、実施形態1および38−40のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
42、細胞外ドメインはSLC45A3に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
43、細胞外ドメインはSLC45A3に結合し、前記SLC45A3は、配列番号3のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
44、実施形態42および43のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
45、腫瘍は、前立腺癌に関連する、実施形態1および42−44のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
46、細胞外ドメインはACPPに結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
47、細胞外ドメインはACPPに結合し、前記ACPPは、配列番号4のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
48、実施形態46および47のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
49、腫瘍は、前立腺癌に関連する、実施形態1および46−48のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
50、細胞外ドメインはMUC21に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
51、細胞外ドメインはMUC21に結合し、前記MUC21は、配列番号5のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
52、実施形態50および51のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
53、腫瘍は、食道癌に関連する、実施形態1および50−52のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
54、細胞外ドメインはMS4A12に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
55、細胞外ドメインはMS4A12に結合し、前記MS4A12は、配列番号7のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
56、実施形態54および55のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
57、腫瘍は、結腸直腸癌に関連する、実施形態1および54−56のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
58、細胞外ドメインはALPPに結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
59、細胞外ドメインはALPPに結合し、前記ALPPは、配列番号8のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
60、実施形態58および59のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
61、腫瘍は、子宮内膜癌に関連する、実施形態1および58−60のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
62、細胞外ドメインはSLC2A14に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
63、細胞外ドメインはSLC2A14に結合し、前記SLC2A14は、配列番号9のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
64、実施形態62および63のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
65、腫瘍は、精巣癌に関連する、実施形態1および62−64のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
66、細胞外ドメインはGS1−259H13.2に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
67、細胞外ドメインはGS1−259H13.2に結合し、前記GS1−259H13.2は、配列番号10のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
68、実施形態66および67のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
69、腫瘍は、甲状腺癌または神経膠腫、または精巣癌に関連する、実施形態1および66−69のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
70、細胞外ドメインはERVFRD−1に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
71、細胞外ドメインはERVFRD−1に結合し、前記ERVFRD−1は、配列番号11のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
72、実施形態70および71のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
73、腫瘍は、腎臓癌または尿道癌に関連する、実施形態1および70−72のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
74、細胞外ドメインはADGRG2に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
75、細胞外ドメインはADGRG2に結合し、前記ADGRG2は、配列番号12のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
76、実施形態74および75のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
77、腫瘍は、卵巣癌に関連する、実施形態1および74−76のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
78、細胞外ドメインはECEL1に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
79、細胞外ドメインはECEL1に結合し、前記ECEL1は、配列番号13のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
80、実施形態78および79のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
81、腫瘍は、子宮内膜癌に関連する、実施形態1および78−80のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
82、細胞外ドメインはCHRNA2に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
83、細胞外ドメインはCHRNA2に結合し、前記CHRNA2は、配列番号14のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
84、実施形態82および83のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
85、腫瘍は、前立腺癌に関連する、実施形態1および82−84のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
86、細胞外ドメインはGP2に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
87、細胞外ドメインはGP2に結合し、前記GP2は、配列番号15のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
88、実施形態86および87のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
89、腫瘍は、膵臓癌に関連する、実施形態1および86−88のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
90、細胞外ドメインはPSG9に結合する、実施形態1に記載の単離核酸配列。
91、細胞外ドメインはPSG9に結合し、前記PSG9は、配列番号16のアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載の単離核酸配列。
92、実施形態90および91のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
93、腫瘍は、腎臓癌または肝臓癌に関連する、実施形態1および90−92のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
94、細胞内ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む、実施形態1−93のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
95、細胞内ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む、実施形態1−93のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
96、実施形態1−93のいずれか一項に記載の単離核酸配列を含む、ベクター。
97、実施形態1−93のいずれか一項に記載の単離核酸配列を含む、単離細胞。
98、実施形態96または97のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞集団を含む、組成物。
99、実施形態1−93のいずれか一項に記載の単離核酸配列によってコードされる、CAR。
100、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインは、遺伝子融合体の遺伝子融合抗原に結合する、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸配列。
101、遺伝子融合は、第1の遺伝子の少なくとも一部と第2の遺伝子の少なくとも一部との融合を含む、実施形態100に記載の単離核酸配列。
102、第1の遺伝子および第2の遺伝子は、表5に記載の融合体の第1の遺伝子および第2の遺伝子を含む、実施形態101に記載の単離核酸配列。
103、遺伝子融合抗原は、表3に記載の病状に関連する、実施形態102に記載の単離核酸配列。
104、実施形態100−103のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞の有効量を投与することを含む、固形腫瘍を有する被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、または被検体の固形腫瘍を治療する方法。
105、細胞内ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む、実施形態100−103のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
106、細胞内ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む、実施形態100−103のいずれか一項に記載の単離核酸配列または方法。
107、実施形態100−106のいずれか一項に記載の単離核酸配列を含む、ベクター。
108、実施形態100−106のいずれか一項に記載の単離核酸配列を含む、単離細胞。
109、実施形態8または9のいずれか一項に記載のCARを含むT細胞集団を含む、組成物。
110、実施形態100−106のいずれか一項に記載の単離核酸配列によってコードされる、CAR。
111、細胞または修飾細胞は、健康なドナーまたは癌を有する被検体に由来するT細胞であり、かつ修飾T細胞は、免疫チェックポイント阻害剤に関連するドミナントネガティブ形態の受容体を含む、実施形態1−110のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
112、免疫チェックポイント阻害剤は、プログラム死1(PD−1)、細胞傷害性Tリンパ球抗原−4(CTLA−4)、Bリンパ球およびTリンパ球アッテネーター(BTLA)、T細胞免疫グロブリンムチン−3(TIM−3)、リンパ球活性化タンパク質3(LAG−3)、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(TIGIT)、白血球関連免疫グロブリン様受容体1(LAIR1)、ナチュラルキラー細胞受容体2B4(2B4)およびCD 160から選択される、実施形態1−110のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
113、免疫チェックポイント阻害剤は、修飾PD−1である、実施形態112に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
114、修飾PD−1は、PD−1シグナル伝達のための機能的なPD−1細胞内ドメインを欠いて、ヒト細胞のヒトT細胞のPD−1と特定の細胞のPD−L1との間の経路を妨害しており、PD−1細胞外ドメイン、PD−1膜貫通ドメインまたはそれらの組み合わせであるかのもの、または野生型PD−1細胞内ドメインと比較して置換または欠失を有する修飾PD−1細胞内ドメインを含むか、もしくは特定の細胞のPD−L1に結合するPD−1細胞外ドメインを含む可溶性受容体であるかのものを含む、実施形態112に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
115、集団のヒトT細胞のサイトカイン産生に対するPD−L1の阻害効果は、修飾PD−1をコードする核酸配列の少なくとも一部を含まないヒトT細胞のサイトカイン産生に対するPD−L1の阻害効果よりも小さい、実施形態112に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
116、修飾T細胞は、サイトカインなどの治療薬を発現および分泌するように工学処理されている、実施形態1−104のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
117、治療薬は、IFN−γであるか、またはIFN−γを含む、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
118、治療薬は、IL−6またはIFN−γ、IL−17およびCCL19のうちの少なくとも1つであるか、またはそれらを含む、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
119、治療薬は、IL−15またはIL−12、またはそれらの組み合わせであるか、またはそれらを含む、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
120、小タンパク質または治療薬は、組換えまたは天然のサイトカインであるか、またはそれらを含む、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
121、治療薬は、小タンパク質に関連するFC融合タンパク質を含む、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
122、小タンパク質は、IL−12、IL−15、IL−6またはIFN−γであるか、またはそれらを含む、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
123、治療薬は、Hif1a、NFAT、FOXP3および/またはNFkBによって調節される、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
124、小タンパク質または治療薬は、2つ以上の組換えまたは天然のサイトカインであるか、またはそれらを含み、前記サイトカインは、2Aまたは/IRES成分を介して収集される、実施形態116に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
125、修飾T細胞は、第1の標的ベクターおよび第2の標的ベクターを含み、第1の標的ベクターは、血液抗原および治療薬に結合するCARをコードする核酸配列を含み、第2の標的ベクターは、固形腫瘍抗原およびドミナントネガティブ形式免疫検出点分子に結合するCARをコードする核酸配列を含む、実施形態1−124のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
126、修飾T細胞は、第1の標的ベクターおよび第2の標的ベクターを含み、第1の標的ベクターは、CD19および治療薬に結合するCARをコードする核酸配列を含み、第2の標的ベクターは、UPK2、ACPP、SIGLEC15またはKISS1Rおよびドミナントネガティブ形式PD−1に結合するCARをコードする核酸配列を含む、実施形態1−124のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
127、修飾T細胞は、第1の標的ベクターおよび第2の標的ベクターを含み、第1の標的ベクターは、血液抗原に結合するCARをコードする核酸配列を含み、第2の標的ベクターは、固形腫瘍抗原に結合するCARをコードする核酸配列を含む、実施形態1−124のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
128、修飾T細胞は、第1の標的ベクターおよび第2の標的ベクターを含み、第1の標的ベクターは、B細胞抗原に結合するCARをコードする核酸配列を含み、第2の標的ベクターは、固形腫瘍抗原に結合するCARをコードする核酸配列を含む、実施形態1−124のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
129、固形腫瘍抗原は、表2に記載の抗原のうちの少なくとも1つであり、および/またはB細胞抗原は、CD19、CD20、CD22またはBCMAである、実施形態128に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
130、固形腫瘍抗原は、表2に記載の抗原のうちの少なくとも1つを含む、実施形態128に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
131、実施形態130に記載のT細胞組成物の有効量を被検体に投与することを含み、前記被検体は、B細胞抗原に結合するCARを持たないCAR T細胞の有効量が投与された被検体と比較して、より高いレベルのT細胞増幅を有する、所望の被検体におけるT細胞増幅を誘発および/または増強する方法。
132、修飾T細胞は、hTERT、SV40LT、またはそれらの組み合わせをコードする核酸配列を含む、実施形態1−131のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
133、修飾T細胞は、核酸配列を持たないT細胞よりも増殖性が高い、実施形態132に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
134、増殖可能な細胞は、細胞治療機能などの正常なT細胞/CAR T細胞の機能を保持する、実施形態133に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
135、T細胞はCARを含み、前記CARの細胞外ドメインによって認識される試薬の存在下で培養され、それによって修飾CAR細胞が産生される、実施形態133に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
136、hTERTをコードする核酸配列、SV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせの統合は、hTERTをコードする核酸配列、SV40LTをコードする核酸、またはそれらの組み合わせのゲノム統合と、hTERT、SV40LTまたはそれらの組み合わせの構成的発現とを含む、実施形態1−135のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
137、hTERT、SV40LTまたはそれらの組み合わせの発現は、rtTA−TRE系などの誘導性発現系によって調節される、実施形態1−136のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
138、修飾T細胞は、HSV−TK系などの自殺遺伝子をコードする核酸配列を含む、実施形態1−136のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
139、前記細胞は、初代ヒトT細胞の移植片対宿主病(GVHD)への応答と比較して、生体非適合性のヒト受容体においてGVHD応答が減少する、実施形態1−138のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
140、細胞は、内因性TRAC遺伝子の発現が低下する、実施形態1−138のいずれか一項に記載の単離核酸配列、修飾T細胞または方法。
141、抗体は、重鎖可変領域(HVR)配列および軽鎖可変領域(LVR)配列を含み、前記重鎖可変領域配列は、配列番号83、87、89または85のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域配列は、配列番号82、86、88または84のアミノ酸配列を含む、ACPPに結合する抗体。
142、LVRは、配列番号82のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号83のアミノ酸配列を含む、実施形態141に記載の抗体。
143、LVRは、配列番号86のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号87のアミノ酸配列を含む、実施形態141に記載の抗体。
144、LVRは、配列番号88のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号89のアミノ酸配列を含む、実施形態141に記載の抗体。
145、LVRは、配列番号84のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号85のアミノ酸配列を含む、実施形態141に記載の抗体。
146、抗体は、LVR、リンカーおよびHVRを含むscFvである、実施形態141−145のいずれか一項に記載の抗体。
147、HVRは、ヒトIgG鎖定常領域に結合する、実施形態141−146のいずれか一項に記載の抗体。
148、ヒトIgGは、IgG1またはIgG3である、実施形態147に記載の抗体。
149、抗体は、細胞毒性剤にコンジュゲートされる、実施形態141−146のいずれか一項に記載の抗体。
150、細胞毒性剤は、放射性同位体または毒素である、実施形態141−146のいずれか一項に記載の抗体。
151、抗体は、4−1 BBまたはCD28またはそれらの組み合わせに由来する配列にコンジュゲートされる、実施形態141−146のいずれか一項に記載の抗体。
152、抗体またはフラグメントは、HEK293細胞で産生される、実施形態141−146のいずれか一項に記載の抗体。
153、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントと、薬学的に許容されるキャリアとを含む、組成物。
154、容器と、それに含まれる組成物とからなる製造品において、組成物は、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントを含む、製造品。
155、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド。
156、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントをコードする、発現ベクター。
157、実施形態155および156のいずれか一項に記載の核酸を含む、宿主細胞。
158、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントの治療上有効な量を被検体に投与することを含む、癌を有する被検体を治療する方法。
159、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントの治療上有効な量を被検体に投与することを含む、前立腺癌を有する被検体を治療する方法。
160、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントを含む抗原認識ドメインと、細胞内ドメインとを含むキメラ抗原受容体(CAR)を含む、修飾細胞。
161、実施形態141−152のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントを含む抗原認識ドメインと、細胞内ドメインとを含む修飾細胞を、被検体に投与することを含む、癌を有する被検体を治療する方法。
162、修飾細胞は、B細胞、T細胞、NK細胞、胚胎細胞、樹状細胞またはマクロファージのうちの少なくとも1つを含む、実施形態160および161のいずれか一項に記載の修飾細胞または方法。
163、遺伝子修飾細胞は、インビボで複製する、実施形態162に記載の方法。
164、修飾細胞は、被検体において記憶細胞を形成する、実施形態161に記載の方法。
165、修飾細胞を、被検体に静脈内投与する、実施形態161に記載の方法。
166、修飾細胞は、被検体に存続する、実施形態161に記載の方法。
167、修飾細胞は、自己T細胞である、実施形態161に記載の方法。
168、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含む修飾細胞において、CARは、配列番号83および82、87および86、89および88、または85および84のアミノ酸配列を含むACPP抗原結合ドメインを含む、修飾細胞。
169、CARはさらに、膜貫通ドメイン、共刺激分子の細胞内ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含む、実施形態168に記載の修飾細胞。
170、細胞内ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む、実施形態169に記載の修飾細胞。
171、抗原結合フラグメントはscFvである、実施形態169に記載の修飾細胞。
172、scFvは、配列番号83および82のアミノ酸配列を含む、実施形態169に記載の修飾細胞。
173、scFvは、配列番号87および86のアミノ酸配列を含む、実施形態169に記載の修飾細胞。
174、scFvは、配列番号89および88のアミノ酸配列を含む、実施形態169に記載の修飾細胞。
175、scFvは、配列番号85および84のアミノ酸配列を含む、実施形態169に記載のヒトT細胞。
176、T細胞は、核酸配列を含むベクターを含む、実施形態167に記載の修飾細胞。
177、ベクターはレンチウイルスベクターである、実施形態176に記載の修飾細胞。
178、修飾細胞は、白血球の抗原に結合する他のCARを含む、実施形態168−177のいずれか一項に記載の修飾細胞。
179、白血球の抗原はB細胞抗原である、実施形態178に記載の修飾細胞。
180、前記B細胞抗原の抗原はCD19、CD20、CD22またはBCMAである、実施形態179に記載の修飾細胞。
181、修飾細胞は、ドミナントネガティブPD−1を含む、実施形態168−180のいずれか一項に記載の修飾細胞。
182、修飾細胞は、機能的なPD−1細胞内ドメインを欠いた修飾PD−1を含む、実施形態168−180のいずれか一項に記載の修飾細胞。
183、細胞内ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む、実施形態168−180のいずれか一項に記載の修飾細胞。
184、抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン−13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン−3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1−CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体α(FR−α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、Muc 17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)またはCD4である、実施形態183に記載の修飾細胞。
185、修飾細胞はT細胞、NK細胞または樹状細胞である、実施形態168−184のいずれか一項に記載の修飾細胞。
186、修飾細胞はさらに、治療薬をコードする核酸配列を含む、実施形態168−185のいずれか一項に記載の修飾細胞。
187、治療薬は、組換えDNA構築物、mRNAまたはウイルスベクターの形で修飾細胞中に存在する、実施形態186に記載の修飾細胞。
188、修飾細胞は、治療薬をコードする治療薬mRNAを含み、前記mRNAは、修飾細胞のゲノムに組み込まれていない、実施形態186に記載の修飾細胞。
189、修飾細胞は、核酸配列または単離核酸配列を含み、前記核酸配列は、細胞内での治療薬の発現および/または分泌を調節する転写調節因子の結合部位を含むプロモーターを含む、実施形態186に記載の修飾細胞。
190、転写調節因子は、Hif1a、NFAT、FOXP3および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態189に記載の修飾細胞。
191、プロモーターは、転写調節因子に応答する、実施形態189に記載の修飾細胞。
192、プロモーターは、治療薬をコードする核酸配列に操作可能に連結され、これにより、プロモーターが細胞での治療薬の発現および/または分泌を駆動する、実施形態189に記載の修飾細胞。
193、実施形態168−192のいずれか一項に記載の修飾細胞を含む、医薬組成物。
194、実施形態193に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、所望の被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、および/または被検体の腫瘍を治療する方法。
195、抗体または抗体フラグメントは、重鎖可変領域(HVR)配列および軽鎖可変領域(LVR)配列を含み、前記重鎖可変領域配列は、配列番号94、98、102、106、110、114、118または122のアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域配列は、配列番号93、97、101、105、109、113、117または121のアミノ酸配列を含む、UPK2に結合する抗体または抗体フラグメント。
196、LVRは、配列番号93のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号94のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
197、LVRは、配列番号97のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号98のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
198、LVRは、配列番号101のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号102のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
199、LVRは、配列番号105のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号106のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
200、LVRは、配列番号109のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号110のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
201、LVRは、配列番号113のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号114のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
202、LVRは、配列番号117のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号118のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
203、LVRは、配列番号121のアミノ酸配列を含み、HVRは、配列番号122のアミノ酸配列を含む、実施形態195に記載の抗体または抗体フラグメント。
204、HVRは、ヒトIgG鎖定常領域に結合する、実施形態195−203のいずれか一項に記載の抗体または抗体フラグメント。
205、ヒトIgGは、IgG1またはIgG3である、実施形態204に記載の抗体または抗体フラグメント。
206、抗体または抗体フラグメントは、細胞毒性剤にコンジュゲートされる、実施形態195−205のいずれか一項に記載の抗体または抗体フラグメント。
207、細胞毒性剤は、放射性同位体または毒素である、実施形態12に記載の抗体または抗体フラグメント。
208、抗体または抗体フラグメントは、4−1 BBまたはCD28またはそれらの組み合わせに由来する配列にコンジュゲートされる、実施形態195−207のいずれか一項に記載の抗体または抗体フラグメント。
209、抗体またはフラグメントは、HEK293細胞で産生される、実施形態195−208のいずれか一項に記載の抗体または抗体フラグメント。
210、抗体はscFvである、実施形態195−209のいずれか一項に記載の抗体または抗体フラグメント。
211、scFvは、配列番号92、96、100、104、108、112、116または120を含むか、またはそれらである、実施形態210に記載の抗体または抗体フラグメント。
212、抗体または抗体フラグメントは、配列番号92、96、100、104、108、112、116または120を含む、実施形態210に記載の抗体または抗体フラグメント。
213、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントと、薬学的に許容されるキャリアとを含む、組成物。
214、容器と、それに含まれる組成物とからなる製造品において、組成物は、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントを含む、製造品。
215、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントをコードする、ポリヌクレオチド。
216、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントをコードする、発現ベクター。
217、実施形態21または216のいずれか一項に記載の核酸を含む、宿主細胞。
218、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントの治療上有効な量を被検体に投与することを含む、UPK2陽性腫瘍(例えば、尿路上皮癌および膀胱癌)を有する被検体を治療する方法。
219、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントの治療上有効な量を被検体に投与することを含む、尿路上皮癌および膀胱癌を有する被検体を治療する方法。
220、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントを含む抗原結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)。
221、実施形態220に記載のCARをコードする、ポリヌクレオチド。
222、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする核酸配列を含む修飾細胞であって、CARは、実施形態195−212のいずれか一項に記載の抗体またはフラグメントを含むUPK2抗原結合ドメインを含む、修飾細胞。
223、CARはさらに、膜貫通ドメイン、共刺激分子の細胞内ドメイン、およびシグナル伝達ドメインを含む、実施形態222に記載の修飾細胞。
224、細胞内ドメインは、CD3ζシグナル伝達ドメインを含む、実施形態223に記載の修飾細胞。
225、抗原結合フラグメントはscFvである、実施形態222−224のいずれか一項に記載の修飾細胞。
226、scFvは、配列番号92、96、100、104、108、112、116または120のアミノ酸配列を含む、実施形態222−224のいずれか一項に記載の修飾細胞。
227、修飾細胞は核酸配列を含むベクターを含み、前記核酸配列は、配列番号91、95、99、103、107、111、115または119を含む、実施形態222−224のいずれか一項に記載の修飾細胞。
228、ベクターはレンチウイルスベクターである、実施形態227に記載の修飾細胞。
229、修飾細胞は、患者から単離された初代ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態222−228のいずれか一項に記載の修飾細胞。
230、修飾細胞は、ヒトドナーから単離された初代ヒトT細胞に由来するT細胞である、実施形態222−228のいずれか一項に記載の修飾細胞。
231、細胞は、内因性TRAC遺伝子の発現が低下する、実施形態229に記載の修飾細胞。
232、修飾細胞は、白血球の抗原に結合する他のCARを含む、実施形態222−231のいずれか一項に記載の修飾細胞。
233、白血球の抗原はB細胞抗原である、実施形態232に記載の修飾細胞。
234、前記B細胞抗原はCD19、CD20、CD22またはBCMAである、実施形態233に記載の修飾細胞。
235、修飾細胞は、ドミナントネガティブPD−1を含む、実施形態222−234のいずれか一項に記載の修飾細胞。
236、修飾細胞は、機能的なPD−1細胞内ドメインを欠いた修飾PD−1を含む、実施形態222−234のいずれか一項に記載の修飾細胞。
237、細胞内ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む、実施形態222−234のいずれか一項に記載の修飾細胞。
238、抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン−13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン−3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1−CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体α(FR−α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、Muc 17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)またはCD4である、実施形態237に記載の修飾細胞。
239、修飾細胞はT細胞、NK細胞または樹状細胞である、実施形態222−238のいずれか一項に記載の修飾細胞。
240、修飾細胞はさらに、治療薬をコードする核酸配列を含む、実施形態222−239のいずれか一項に記載の修飾細胞。
241、治療薬は、組換えDNA構築物、mRNAまたはウイルスベクターの形で修飾細胞中に存在する、実施形態240に記載の修飾細胞。
242、修飾細胞は、治療薬をコードする治療薬mRNAを含み、前記mRNAは、修飾細胞のゲノムに組み込まれていない、実施形態240に記載の修飾細胞。
243、修飾細胞は、核酸配列または単離核酸配列を含み、前記核酸配列は、細胞内での治療薬の発現および/または分泌を調節する転写調節因子の結合部位を含むプロモーターを含む、実施形態240に記載の修飾細胞。
244、転写調節因子は、Hif1a、NFAT、FOXP3および/またはNFkBであるか、またはそれらを含む、実施形態243に記載の修飾細胞。
245、プロモーターは、転写調節因子に応答する、実施形態243に記載の修飾細胞。
246、プロモーターは、治療薬をコードする核酸配列に操作可能に連結され、これにより、プロモーターが細胞での治療薬の発現および/または分泌を駆動する、実施形態243に記載の修飾細胞。
247、実施形態222−246のいずれか一項に記載の修飾細胞を含む、医薬組成物。
248、実施形態247に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、所望の被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法、および/または被検体の腫瘍を治療する方法。
249.抗原に結合する第1の結合ドメインと、T細胞CD3受容体複合体に結合する第2の結合ドメインとを含む、結合分子をコードする単離核酸配列。
250.抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソセリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン−13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン−3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1−CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、ムチン1(MUC1)、葉酸受容体α(FR−α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、Muc 17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)またはCD4である、請求項249に記載の単離核酸。
251、第2の結合ドメインはCD3εに結合し、および/または第1の結合ドメインは、配列番号30、34、38、42、46、64、68、92、96、100、104、108、112、116、120および136−172のアミノ酸配列のうちの1つを含む、実施形態249に記載の単離核酸配列。
252、第1の結合ドメインは、tn−Muc1、TSHR、FZD10、PRLR、Muc 16、Muc 17、GUCY2C、CD207、CLDN18.2、CLDN6またはSIGL1Cに結合する、実施形態249に記載の単離核酸配列。
253、単離核酸配列は、配列番号123−135のアミノ酸配列のうちの1つを含むポリペプチドをコードする、実施形態249に記載の単離核酸配列。
254、実施形態249−253のいずれか一項に定義される核酸配列を含む、ベクター。
255、実施形態1−5のいずれか一項に定義される核酸配列、または実施形態254に定義されるベクターで形質転換またはトランスフェクトする、宿主細胞。
256、実施形態1−4のいずれか一項に定義される結合分子の発現を許容する条件下で実施形態254に定義される宿主細胞を培養することと、培養物から産生された結合分子を回収することとを含む、実施形態1ー4のいずれか一項に記載の結合分子を産生する方法。
257、実施形態1ー4のいずれか一項に記載の結合分子、または実施形態256に記載の方法によって産生される結合分子を含む、医薬組成物。
258、実施形態1ー4のいずれか一項に定義される結合分子、実施形態1−4のいずれか一項に定義される核酸分子、実施形態253に定義されるベクターおよび/または実施形態7に定義される宿主細胞を含む、キット。
259、実施形態1ー4のいずれか一項に記載の結合分子を、所望の被検体に投与すること、または実施形態256に記載の方法を含む、疾患を治療または改善するための方法。
260、白血球の細胞表面分子に結合する抗原結合分子を含むT細胞の有効量を、所望の被検体に投与することをさらに含み、ここで、白血球の細胞表面分子は、CD19、CD22、CD20、BCMA、CD5、CD7、CD2、CD16、CD56、CD30、CD14、CD68、CD11b、CD18、CD169、CD1c、CD33、CD38、CD138またはCD13である、実施形態259に記載の方法。
261、抗原結合分子は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメインおよびCD3ζシグナル伝達ドメインを含む、実施形態260に記載の方法。
262、T細胞は、抗原に結合する他のCARを含む、実施形態261に記載の方法。
263、CARは、細胞外ドメイン、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインを含み、細胞外ドメインは、腫瘍抗原に結合する少なくとも2つの結合ドメインを含む、キメラ抗原受容体(CAR)をコードする単離核酸配列。
264、少なくとも2つの結合ドメインは、それぞれta−Muc1および非ta−Muc1抗原に結合するscFvである、実施形態263に記載の単離核酸配列。
265、少なくとも2つの結合ドメインは、ta−Muc1に結合する抗原結合ドメインと、ta−Muc1と異なる抗原に結合する他の抗原結合ドメインとを含む、実施形態263に記載の単離核酸配列。
266、ta−Muc1と異なる抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)、上皮成長因子受容体の変異体III(EGFRvIII)、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)、メソテリン(MSLN)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、ジシアロガングリオシド2(GD2)、インターロイキン−13Ra2(IL13Rα2)、グリピカン−3(GPC3)、炭酸脱水酵素IX(CAIX)、L1細胞接着分子(L1−CAM)、癌抗原125(CA125)、分化クラスター133(CD133)、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、癌/精巣抗原1B(CTAG1B)、葉酸受容体α(FR−α)、CD19、FZD10、TSHR、PRLR、Muc 17、GUCY2C、CD207、CD3、CD5、B細胞成熟抗原(BCMA)またはCD4である、実施形態265に記載の単離核酸配列。
267、細胞内ドメインは、CD27、CD28、4−1BB、OX40、CD30、CD40、PD−1、ICOS、リンパ球機能関連抗原−1(LFA−1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7−H3およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される共刺激分子の細胞内ドメインを含む共刺激シグナル伝達領域を含む、実施形態263に記載の単離核酸配列。
268、少なくとも2つの結合ドメインは、配列番号135および配列番号30、34、38、42、46、64、68、92、96、100、104、108、112、116、120および136−172のうちの1つを含む、実施形態263に記載の単離核酸配列。
269、少なくとも2つの結合ドメインは、配列番号70および配列番号59−84のうちの1つを含む、実施形態15に記載の単離核酸配列。
270、実施形態249−253および263−268のいずれか一項に記載の単離核酸配列を含む、CAR細胞集団。
271、実施形態270に記載のCAR細胞集団を含む、医薬組成物。
272、実施形態271に記載の組成物の有効量を被検体に投与することを含む、所望の被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強し、所望の被検体におけるT細胞応答を誘発および誘致し、および/または被検体の腫瘍を治療する方法。
273、2つ以上の異なる抗原結合ドメインを含む修飾細胞であって、少なくとも第1の抗原結合ドメインは細胞表面マーカーに結合し、第2の抗原結合ドメインは腫瘍抗原に結合する、1つ以上の修飾細胞。
274、細胞表面マーカーは、白血球の細胞表面マーカーを含む、実施形態273に記載の1つ以上の修飾細胞。
275、腫瘍抗原は、SIGLEC15、SLC6A3、KISS1R、QRFPR、GPR119、CLDN6、UPK2、ADAM12、SLC45A3、ACPP、MUC21、MUC16、MS4A12またはALPPのうちの1つ以上を含む、実施形態273または274に記載の1つ以上の修飾細胞。
276、抗原結合ドメインは、同じCAR分子、異なるCAR分子、またはCAR分子とT細胞受容体に存在する、実施形態273−275のいずれか一項に記載の1つ以上の修飾細胞。
277、2つ以上の異なる抗原結合ドメインは、異なる修飾分子の異なるCAR分子に存在する、実施形態273−276のいずれか一項に記載の1つ以上の修飾細胞。
278、2つ以上の異なる抗原結合ドメインは、異なる修飾分子のCAR分子とT細胞受容体に存在する、実施形態273−277のいずれか一項に記載の1つ以上の修飾細胞。
279、実施形態273−278のいずれか一項に記載の1つ以上の修飾細胞を含む、細胞集団。
280、実施形態1−279のいずれか一項に記載の核酸配列、CAR分子、抗体、ベクター、細胞、細胞集団、組成物、医薬組成物、キットまたは方法の、療法によって被検体の体を治療する方法における用途。
281、被検体はヒトまたは動物である、実施形態280に記載の用途。
282、被検体は、癌に罹患している、実施形態280または281に記載の用途。
283、被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する、実施形態280−282のいずれか一項に記載の用途。
284、実施形態1−279のいずれか一項に記載の核酸配列、CAR分子、抗体、ベクター、細胞、細胞集団、組成物、医薬組成物、キットまたは方法の、被検体におけるT細胞応答を誘発および/または増強する方法における用途。
285、被検体はヒトまたは動物である、実施形態284に記載の用途。
286、被検体は、癌に罹患している、実施形態284または285に記載の用途。
以下の実施例を参照して、本開示をさらに説明する。これらの実施例は、例示のみを目的として提供され、特に指定されていない限り、本発明を限定することを意図しない。従って、本開示は、以下の実施例に限定されると解釈されるべきではなく、本明細書に提供される示唆の結果として明らかになる任意のおよびすべての変形を包含するように解釈されるべきである。
T細胞におけるCARの発現
CARをコードするレンチウイルスベクター(Chimeric Receptors Containing CD137 Signal Transduction Domains Mediate Enhanced Survival of T Cells and Increased Antileukemic Efficacy,In Vivo Molecular Therapy,第17巻第8号,1453−1464,2009年8月を参照、前記参考文献は参照により本明細書に組み込まれる)を生成し、かつ、それをヒトT細胞に導入した。
患者から初代T細胞を得た。得られた初代T細胞をレンチウイルスベクターで形質導入し、修飾T細胞を得た。フローサイトメトリーを実施し、分析し、初代T細胞におけるCARの発現を決定した(図2)。細胞培養、レンチウイルスベクター構築およびフローサイトメトリーに関連する技術は、Control of large,established tumor xenografts with genetically retargeted human T cells containing CD28 and CD137 domains.3360−3365 PNAS 2009年3月3日,第106巻第9号に記載されており、前記参考文献は参照により本明細書に組み込まれる。
抗原発現と関連腫瘍の分析
ヒト細胞における標的分子のmRNA発現レベルおよびタンパク質発現レベルの検出は、qPCRやFACSなどの実験方法を用いて行われる。以下に列挙する標的分子のいくつかは、対応する腫瘍細胞において特異的に発現するが、正常組織での発現が比較的低くまたは検出不可能である。例えば、8つの遺伝子は、正常組織に局在し、かつ、腫瘍細胞において過剰発現した。標的点と腫瘍の対応する関係を表4に示す。様々なアッセイ(例えば、殺傷)を実施し、結果を図3−7に示す。細胞培養、細胞傷害性Tリンパ球アッセイの構築に関連する技術は、「Control of large,established tumor xenografts with genetically retargeted human T cells containing CD28 and CD137 domains」,PNAS 2009年3月3日、第106巻第9号、3360−3365に記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
遺伝子融合抗原の同定
遺伝子融合産物および遺伝子融合抗原を同定するために、データベース(例えば、TCGA)を分析した数百の遺伝子融合産物が同定され、かつ、癌との関連性が決定された。これら数百の遺伝子融合産物のうち、さらに所定の基準に基づいて33の遺伝子融合抗原群が同定された。例えば、これらの遺伝子融合産物が腫瘍細胞で発現しており、かつ、融合遺伝子の融合タンパク質が原形質膜に位置していることは見出された。これら33の遺伝子融合抗原群の情報を表5に示す。表5の各行に対応するサンプルは、TCGA−D8−A1XJ−01A−11R−A14M−07、TCGA−E2−A574−01A−11R−A29R−07、TCGA−FU−A3TX−01A−11R−A22U−07、TCGA−CV−7434−01A−11R−2132−07、TCGA−G7−6793−01A−11R−1965−07、TCGA−DB−5277−01A−01R−1470−07、TCGA−KT−A7W1−01A−11R−A34F−07、TCGA−VM−A8CD−01A−11R−A36H−07、TCGA−DD−A3A5−01A−11R−A22L−07、TCGA−DD−AAEA−01A−11R−A41C−07、TCGA−ZS−A9CF−01A−11R−A38B−07、TCGA−44−7670−01A−11R−2066−07、TCGA−55−7281−01A−11R−2039−07、TCGA−62−8394−01A−11R−2326−07、TCGA−78−7143−01A−11R−2039−07、TCGA−78−7146−01A−11R−2039−07、TCGA−46−6025−01A−11R−1820−07、TCGA−85−7710−01A−11R−2125−07、TCGA−O2−A52V−01A−31R−A262−07、TCGA−FB−AAPZ−01A−11R−A41B−07、TCGA−P8−A5KC−01A−11R−A35K−07、TCGA−WB−A81D−01A−11R−A35L−07、TCGA−EJ−5510−01A−01R−1580−07、TCGA−EJ−A46G−01A−31R−A26U−07、TCGA−ZG−A9L2−01A−31R−A41O−07、TCGA−ZG−A9L2−01A−31R−A41O−07、TCGA−EI−7002−01A−11R−1928−07、TCGA−DX−A1KZ−01A−11R−A24X−07、TCGA−DX−A2J0−01A−11R−A21T−07、TCGA−DX−A3UF−01A−11R−A30C−07、TCGA−DX−AB2V−01A−11R−A41I−07、TCGA−K1−A6RU−01A−11R−A32Q−07およびTCGA−EB−A24D−01A−11R−A18T−07を含み、それぞれがTCGAデータベース内のバーコードを表す。TCGAバーコードは、TCGAデータベース内の参加者およびそのサンプルのメタデータを表す。
抗SINGLEC−15 CARおよび抗KISSR CAR
図2は、CARを発現するT細胞のフローサイトメトリー分析を示す。1日目に、CD3陽性T細胞を選別した。3日目に、CARをコードするレンチウイルスをT細胞に感染させる(感染多重度(MOI):50:1)。5−6日目に、発現アッセイを行った。6日目に、3T3−抗原−mcherry−SCを用いて30:1の比率でT細胞を培養した。図2−7に記載されている配列および参考文献を、表7に示す。
図3は、抗SIGLEC15 CAR(SIGLEC15−CAR 配列番号46、50、51および52)殺傷アッセイの結果を示す。抗SIGLEC15 CAR T細胞が基質細胞を死滅させたことが観察された。陰性対照SIGLEC15単独群は、抗SIGLEC15 CAR T細胞を添加していない群であり、NT群は非トランスフェクトT細胞に添加された。図4および図5は、基質細胞と共培養した抗SIGLEC15 CARのサイトカイン放出アッセイ結果を示す。
図6は、抗KISSR CAR(KISSR−CAR:配列番号71)の殺傷アッセイ結果を示す。抗KISS1R CAR T細胞が基質細胞を死滅させたことが観察された。NT群は、非トランスフェクトT細胞に添加された。図7は、基質細胞と共培養した抗KISSR CAR T細胞のサイトカイン放出アッセイ結果を示す。
ACPP抗体の調製と抗ACPP CAR
図8−10は、ACPP抗体のフローサイトメトリーアッセイを示す。pcDNA−ACPP−flagプラスミドで293T細胞をトランスフェクトし、C末端flagタグ付きACPPタンパク質を発現させた。2日後、7個のACPP抗体とflagタグ抗体染色法を用いて染色を検出した。ACPP単一染色は膜染色を破らないので、まずACPP一次抗体を添加し、次にヤギ抗ヒトFITC二次抗体を使用する。flag標識が単色の場合は、APC直接標識一次抗体を使用して、膜を染色する。破裂した時、Flag/ACPP二重染色を行う。Flagタグ抗体は、抗原を発現している細胞の26.39%を検出した。S5D1抗体は、ACPP抗原を発現している細胞の30.35%を検出した。二重染色の結果、陽性細胞はACPPとflagの発現レベルが同じであった。染色結果は特異的である。S5F2は結合が弱く、残りの抗体の流れにはシグナルがない。トランスフェクトされたプラスミドは、293T細胞上でC末端flagタグ付きACPP膜貫通タンパク質を発現することができた。フローサイトメトリー実験により、ACPP抗体S5D1は細胞膜で発現する抗原との結合能力が良好であることが示された。Flag標識により、タンパク質の正常発現が確認された。
図10中の親和性アッセイについて、GE社のBIAcore X−100生体分子間相互作用分析装置を用いて、2つのモノクローナル抗体S5D1およびS5F2の親和性を分析した。従来の手順を用いて、親和性分析を行った。チップ上にコーティングした抗ヒト抗体を用いて、ヒトモノクローナル抗体S5D1またはS5F2を捕捉した。次いで、組換え的に発現した異なる濃度のPAPを移動相として用いて、親和性分析を行った。モノクローナル抗体S5D1の親和性は約9 nMであった。S5F2の親和性は100 nMよりも低いと推定される。S5D1はACPP抗原に対する親和性が高い。抗体の配列を表6に示す。
選択された血清前立腺酸ホスファターゼ(PAP)抗原をクローニングして発現させ、ファージディスプレイヒト抗体ライブラリー(ヒトファージディスプレイ)の調製されたPAP抗原を用いてスクリーニングすることによって、ACPP抗体を生成した。ACPP遺伝子配列を組換え抗原発現ベクターPTSE−Hisにクローニングした。構築した組換えプラスミドをHEK293細胞にトランスフェクトした。GE社のHistrap FFアフィニティークロマトグラフィーカラムを用いて組換えタンパク質を精製した。古典的な固相スクリーニング戦略を参考にし、ACPP−Hisを抗原としてヒト一本鎖抗体ライブラリーをスクリーニングした。一本鎖抗体ライブラリーは、完全合成ヒト一本鎖抗体、天然ヒト一本鎖抗体、半合成半天然一本鎖抗体ライブラリーの合計12のサブライブラリーから構成される。ライブラリーの総容量は109を超え、正解率は約75%である。固相被覆抗原を用いて、従来のスクリーニングを3回行った。2回目のスクリーニングの後および3回目のスクリーニングの後に、600個のモノクローナルクローン(1200個のモノクローナルクローン)をランダムに選択して、モノクローナル同定を行った。PAPに特異的に結合し得る約40の陽性モノクローナルを得た。全てのモノクローナルについて配列分析を行った。その結果、これらの陽性クローンは7つの異なる抗体配列を共有していた。代表的なクローンは、それぞれS4C7、S5D1、S5F2、S9F5、S10E12、S12D4およびS12D9(配列を表6に示す)である。上記7つのscFvの重鎖可変領域および軽鎖可変領域の遺伝子を、それぞれ真核発現ベクターpTSEG1nおよびpTSEKにクローニングした。HEK293細胞一過性発現系を用いて、7つのヒト全抗体を調製した。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムを用いて、組換え的に発現した全抗体を精製した。
図11は、前立腺癌のパラフィン切片の免疫蛍光染色を示す。対応する方法は、1.組織の脱水、2.組織の透明化、3.ワックスの浸漬、4.埋め込み、5.スライス処理およびスライスのベーキング、6.セクショニングおよび脱ろう、7.抗原賦活化、8.血清ブロッキング、9.一次抗体の添加、10.蛍光二次抗体の添加、11.光から保護する血清ブロッキング、12.一次抗体の添加、13.蛍光二次抗体の添加、14.染料コアの複合、15.画像の収集、を含む。このように、前立腺癌insituと、癌腫in situに隣接する組織では、ACPPの発現が高い。同時に、染色に使用したACPP抗体はS5D1であり、この抗体はACPPを特異的に認識できることを示している。次のさらなる実験のために、S5D1を選択した。腫瘍組織切片におけるACPP発現は、免疫蛍光染色により可視化することができ、かつ、抗体の特異性および感度を反映することもできる。
図12は、ACPPを発現する293T細胞を示す。0日目に、293−WT(293−野生型)細胞を消化し、6ウェルプレート上に置いた。1日目に、ACPP−レンチウイルス発現ベクターで細胞を感染させた。2日目に、培地を交換してレンチウイルスを除去し、新鮮な培地を加えた。細胞を消化し、フローサイトメトリーで分析した。フローサイトメトリーに使用した抗体はS5D1であり、使用量は1 μg/100μlであった。流式細胞の分析結果、293T−ACPP細胞のACPP発現は97.80%であった。前記293T−ACPP細胞は、その後の実験でACPP陽性細胞として使用することができる。ACPPは、ACPP CAR T細胞の機能を評価する実験のためのACPP陽性細胞として用いることができる293T細胞で過剰発現させることができる。
図13は、抗ACPP CARを発現するT細胞(抗ACPP scFv:SEQ ID:173)のフローサイトメトリーアッセイを示す。0日目に、健康なボランティアから末梢血を採取し、CD3+ T細胞を選別し、CD3/CD28 Dynabeadsを1:1の比率で添加した。1日目に、T細胞をベクターでトランスフェクトした。MOI=13の感染率に従ってCD19CAR T細胞を得て、MOI=130の感染率に従ってACPP CAR T細胞を得た。2日目に、培地を交換してレンチウイルスを除去した。その後、新鮮な培地を用いて細胞を再懸濁した。
第6日目に、フローサイトメトリーを用いてCAR発現を検出した。CD19CARとACPP CARはいずれもヒト化抗体を含むため、ヒトCAR抗体を検出に用いた。その結果、感染T細胞におけるCD19 CARの発現は59.55%、感染T細胞におけるACPP CARの発現は26.16%であった。CD19CARおよびACPP CARはいずれもヒト化抗体であるため、ヒトCAR抗体をフローサイトメトリー検出に用いてCARの発現を測定した。
図14は、共培養アッセイの結果を示す。ACPP CAR T細胞とCD19CAR T細胞のCAR比をNT細胞で正規化した。104個のCAR+細胞と104個の293T−WTまたは293T−ACPPまたはNalm−6細胞を共培養した。48時間後に、CAR陽性CD8陽性細胞のCD137発現をフローサイトメトリーで検出した。左列は、293T−WT細胞と共培養したCAR T細胞のCD137発現で、CD19CAR群、ACPP CAR群ともにCD137発現がない。これは、293Tで特異的抗原の発現がないために、CAR T細胞が活性化できないことを示している。中間の一列は、CAR T細胞を、ACPPを過剰発現させた293Tまたは293T−ACPP細胞と共培養したものである。ACPP CAR群でのCD137の発現は27.15%であり、CD19CAR群ではCD137は発現しなかった。これは、ACPP−CAR T細胞がACPPによって認識され、活性化されたことを示している。右列は、CD19CAR T細胞が特異的に認識し活性化したCD19陽性細胞であるNalm−6細胞とCAR T細胞を共培養したものである。その結果、CD19CAR群ではCD137の発現は21.01%であり、ACPP CAR群ではCD137は発現しなかった。結果は予想通りである。まとめると、ACPP CAR T細胞はACPP抗原を特異的に認識し、かつ、それによって活性化できることが確認された。CD137は、T細胞の活性化のためのマーカータンパク質であるため、CAR T細胞と基質標的細胞との共培養後、CAR T細胞のCD137のアップレギュレーションレベルは、CAR T細胞が活性化されているかどうかを判断するために使用され得る。
図15は、ACPPに応答した抗ACPP CAR T細胞のIFN−γ放出を示す。ACPP CAR T細胞とCD19 CAR T細胞のCAR比をNT細胞で正規化した。0.2×104個または104個のCAR+細胞と104個の293T−WTまたは293T−ACPPまたはNalm−6細胞を共培養して実験を行った。24時間後、上清を回収し、IFN−γの放出量を測定した。Nalm−6はCD19陽性細胞であり、293T−ACPPはACPPを過剰発現する293T細胞である。図15は、CAR T細胞:基質細胞の1:1の結果を示す図である。293T−ACPPと共培養したとき、ACPP CAR T細胞は、有意なIFN−γ放出を示し、これにより、293T−ACPPがACPP CAR T細胞によって認識され、IFN−γを放出して標的細胞を殺すことができることを示している。同時に、Nalm−6はまた、CD19CAR T細胞によって認識され、IFN−γを放出して標的細胞を殺すことができる。さらに、Nalm−6は、ACPP CAR T細胞によるIFN−γ放出を刺激しなかった。また、CD19 CAR T細胞は、293T−ACPPによるIFN−γ放出を刺激することができなかった。要約すると、ACPP CAR T細胞は、ACPP陽性標的細胞を特異的に認識し、かつ、その刺激下で標的細胞を殺すためのIFN−γを放出することができる。T細胞が標的細胞を殺す過程では、通常、IFN−γなどのサイトカインが大量に放出され、殺傷能力を高める。従って、CAR T細胞が標的細胞を殺す能力を有するかどうかは、CAR T細胞を基質標的細胞と共培養したときに放出されるIFN−γの放出量によって判断することができる。
図16は、ヒトCAR抗体を検出することにより、T細胞上の抗ACPP CARのCAR発現を測定できることを示す。0日目に、健康なボランティアから末梢血を採取し、CD3+ T細胞を選別し、CD3/CD28 Dynabeadsを1:1の比率で添加した。1日目に、T細胞をベクターでトランスフェクトした。MOI=1の感染率に従ってCD19CAR T細胞を得て、MOI=50の感染率に従ってACPP CAR T細胞を得た。2日目に、培地を交換してレンチウイルスを除去した。その後、新鮮な培地を用いて細胞を再懸濁した。第6日目に、フローサイトメトリーを用いてCAR発現を検出した。CD19CARとACPP CARはいずれもヒト化抗体であるため、ヒトCAR抗体を検出に用いた。結果を図に示す。CD19CAR T細胞におけるCD19CARの発現は50.64%であり、ACPP CAR T細胞(6501)におけるACPPの発現は37.2%であり、ACPP CAR T細胞(6503)におけるACPPの発現は33.93%であり、ACPP CAR T細胞(6504)におけるACPPの発現は45.63%であった。19CARおよびACPP CARはいずれもヒト化抗体であるため、ヒトCAR抗体をフローサイトメトリー検出に用いることでCARの発現レベルを得ることができる。
図17は、ACPPに応答したACPP CAR T細胞のサイトカイン放出を示す。ACPP CAR T細胞とCD19 CAR T細胞のCAR比をNT細胞で正規化した。0.2×104または1×104個のCAR+細胞と1x104個の293T−ACPPまたはNalm−6細胞を共培養して実験を行い、24時間後に、上清を収集してIFN−γおよびIL2を検出した。Nalm−6はCD19陽性細胞であり、293T−ACPPはACPPを過剰発現する293T細胞である。図17は、ACPP CAR T 6503が293T−ACPPと共培養したときに、IFN−γおよびIL2放出の有意な増加を示しており、これにより、ACPP CAR T 6503細胞が293T−ACPPを認識し、かつ、IFN−γおよびIL2の放出を活性化することを示している。対照的に、ACPP CAR T 6501および6504細胞は、IFN−γおよびIL2の放出を活性化することができなかった。同時に、CD19CAR T細胞は、Nalm−6を認識し、IFN−γおよびIL2の放出を活性化することができた。さらに、Nalm−6は、ACPP CAR T細胞によるIFN−γ放出を刺激できなかった。同時に、293T−ACPPは、CD19CAR T細胞によるIFN−γ放出を活性化できなかった。これは、2つの標的となるCAR T細胞が特異的であることを示している。T細胞が標的細胞を殺す過程では、通常、IFN−γやIL2などのサイトカインが大量に放出され、殺傷能力を高める。従って、CAR T細胞が標的細胞を殺す能力を有するかどうかは、CAR T細胞を基質標的細胞と共培養したときに放出されるIFN−γおよびIL2の放出量によって判断することができる。
図18と図19は、様々な条件でのCD137の発現を示す。CAR 1204は、ヒト由来のCD19CARであり、ヒトCAR抗体およびCD137抗体で標識することができる。ACPP CAR T細胞とCD19CAR T細胞のCAR比をNT細胞で正規化した。104個のCAR+細胞と104個の293T−ACPPまたはNalm−6細胞と共培養し、かつ24時間後に、フローサイトメトリーによってCD8陽性細胞のCD137発現を検出した。1行目は、CAR T細胞と293T−ACPPと共培養した結果である。CD19CAR T細胞は、CD137を発現するために、293T−ACPPによって活性化されなかった。ACPP CAR T 6503細胞は、CD137を発現するために、293T−ACPPによって活性化された。ACPP CART 6501および6504細胞は、CD137を発現するために、293T−ACPPによって活性化されなかった。2行目は、CAR T細胞とCD19陽性細胞株Nalm6と共培養した結果である。CD19CAR T細胞は、CD137を発現するために、Nalm6によって活性化することができる。全てのACPP CAR T細胞は、Nalm6によって活性化されてCD137を発現することができず、これは、CD19CAR TとACPP CAR T細胞が特異的であることを示している。CD137は、T細胞の活性化のためのマーカータンパク質である。このように、CAR T細胞と基質標的細胞を共培養した後、CAR T細胞におけるCD137の発現を検出することにより、CAR T細胞が活性化されていると判断される。
UPK2抗体の調製
大腸菌発現系を用いて、組換えUPK2細胞外ドメイン(UPK2−His)を調製した。6−8週齢のBALB/cマウスを採取し、免疫前にマウスの尾静脈採血を行い、バックグラウンド血清を残した。UPK2−His組換え抗原を初めて免疫化し、完全フロイントアジュバントで乳化した。各マウスに50μgの組換え抗原を腹腔内注射した。2週間ごとに免疫を強化し、UPK2−His組換え抗原を不完全アジュバントで乳化した。3回の追加免疫のために、各マウスに50μgの組換え抗原を腹腔内注射した。3回目の追加免疫の前に尾静脈採血を行い、血清のUPK2抗体価を分析した。その結果、4匹のマウスのうち3匹の血清中のUPK2抗体価は106以上に達し(図20)、免疫が成功したことが示された。
免疫に衝撃を与えるように5回目の免疫を変更し、アジュバントを含まないUPK2−His組換え抗原を免疫原として使用した。各マウスに50μgの組換え抗原を腹腔内注射し、免疫3日後にマウスを死なせた。マウスから脾臓細胞を採取し、図20において「左前」とマークを付ける。
マウスリンパ球分離液(Dakko、CAT#DKW33−R0100)を用いてマウス脾臓リンパ球を分離し、分離されたリンパ球をトータルRNA抽出キット(Tiangen、CAT#DP430)を用いて合計した。RNA抽出を行った。抽出したトータルRNAをテンプレートとして、第一鎖cDNA合成キット(Thermo科学、CAT#K1621)を用いて重鎖可変領域と軽鎖可変領域をそれぞれ合成した。逆転写プライマーは遺伝子特異的プライマーであり、かつ、プライマーのペアリングを行った。これらの領域は、それぞれ抗体重鎖定常領域および抗体軽鎖定常領域に位置し、かつ、特異的配列はそれぞれ、PmCGR:TGCATTTGAACTCCTTGCC(配列番号189)およびPmCKR:CCATCAATCTTCCACTTGAC(配列番号190)である。合成したcDNAを直ちに−70℃で保存した。その後、逆転写によりcDNAを得て、かつ、それをテンプレートとしてプライマー(Journal of Immunological Methods、 201 (1997)、 35−55)を得て、マウス抗体VHおよびVKをそれぞれPCRにより増幅した。オーバーラップ拡張PCR法を用いて一本鎖抗体(scFv)を構築した。最後に、調製したマウス一本鎖抗体遺伝子をベクターpADSCFV−Sにクローニングし、ScFvライブラリーを構築した。この抗体ライブラリーのライブラリー容量は1.6×108に達し、正解率は41.5%であった。
組換えUPK2−hisを抗原として用いて、古典的な固相スクリーニング戦略を参考にしてマウス一本鎖抗体ライブラリーをスクリーニングし、2回目では、結合、溶出、中和、感染および増幅の3回のスクリーニングを行った。3回目のスクリーニングの後、ファージELISAにより、約700個のモノクローナルクローンを同定した。ELISAシグナルの高陽性が高い60個のクローンを選択して配列分析を行い、UPK2−Hisに結合する、配列が異なる8つの菌株を得た。この8つの抗体は、クローンS2B7、S2E2、S3A4、S3C10、S3D10、S7F9、S7F11およびS7G7である(図21)。8つのモノクローナル抗体の重鎖および軽鎖可変領域配列(scFv)を表6に示す。
上記8つのscFvの重鎖および軽鎖可変領域遺伝子を、それぞれ真核発現ベクターpTSEG1nおよびpTSEKにクローニングし、かつ同社のHEK293細胞一過性発現系を用いて8つのマウス−ヒトキメラ抗体(マウス抗体可変領域)を調製した。ヒト抗体定常領域)。組換え全抗体をプロテインAアフィニティークロマトグラフィーカラムで精製し、SDS−PAGEで示した。これらの8つの抗体は正常に発現しており、その純度はタンパク質同定のためのレベルを満たしていた。
古典的なELISA法により、抗原UPK2−Hisに結合する組換え全抗体の能力を分析した。結果を図22に示す。図22に示すように、全ての8つの抗体は抗原UPK2−Hisに結合することができる。
同時に、調製されたモノクローナル抗体の特異性を、同様のELISA法により分析した。図23に示すように、これらの8つの組換え抗体は組換えUPK2−Hisを特異的に認識することができ、かつ、各種無関係な抗原には明らかな非特異的結合がない。
GE社のBIAcore X−100を用いて8つのモノクローナル抗体の親和性を分析した。従来の手順を用いて親和性分析を行い、具体的には、まず、チップ上に被覆した抗ヒト抗体でヒトモノクローナル抗体を捕捉し、次に、異なる濃度の組換えUPK2−Hisを移動相として親和性分析を行った。表8に示すように、これらの組換え抗体の親和性(KD)は、通常、0.1 nM〜10 nMの間である。このうち、S7F11/S7G7の結合と解離が遅く、S3D10の結合が遅すぎた。この3つのモノクローナル抗体をBIAcore X−100で親和性分析を行ったとき、KDの自動フィッティングが悪く、データは参考用のものに過ぎない。
本研究では、組換えUPK2細胞外ドメイン(UPK2−His)を使用して、マウスの免疫、マウス免疫ライブラリーの構築、スクリーニングおよびモノクローナル同定を完了した。異なる配列を有し、組換えUPK2に結合し得る8つのマウスモノクローナル抗体(S2B7、S2E2、S3A4、S3C10、S3D10、S7F9、S7F11およびS7G7)を得て、予備的な特異性分析により、これらのモノクローナル抗体が組換えUPK2−hisに特異的に結合することが示された。BIAcoreに基づく親和性分析の結果、これらの組換え抗UPK2抗体の親和性は通常、0.1nM〜10nMの間であった。
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