JP2022190898A - 膨張弁 - Google Patents

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欣也 奥津
Kinya Okutsu
直樹 鎌田
Naoki Kamata
盛道 門脇
Morimichi Kadowaki
卓宏 矢野
Takahiro Yano
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Abstract

【課題】小型化が可能であり、高圧側圧力の変化に関わらず適切な温度制御を行える膨張弁を提供する。【解決手段】膨張弁は、高圧側配管に繋がる入口側流路と、前記入口側流路に繋がるオリフィス路と、前記オリフィス路に繋がる弁室と、前記弁室及び低圧側配管に繋がる出口側流路とを備えた弁本体と、前記弁室内において、前記オリフィス路に対向して配置された弁体と、ダイアフラムにより仕切られた上方空間と下方空間を内包するパワーエレメントと、前記下方空間に配置され、前記ダイアフラムが当接するストッパ部材と、一端を前記ストッパ部材に当接させ、他端を前記弁体に当接させてなる作動棒と、前記弁体を、前記オリフィス路に向かう方向に付勢するコイルばねと、を有し、前記弁本体は、前記入口側流路と前記下方空間とを連通する連通路を備えており、前記連通路の受圧面積は、前記オリフィス路の断面積より小さい。【選択図】図3

Description

本発明は、膨張弁に関する。
従来、カーエアコン等の空調機器に使用される冷凍サイクルにおいては、冷房能力を安定させて効率よく運転するなどの目的から、凝縮器と蒸発器の間に配置した膨張弁の開度を制御し、冷凍サイクル内を循環する冷媒の流量調整を行っている。
上記の膨張弁の一タイプが、特許文献1に開示されている。特許文献1の膨張弁においては、レシーバから高温・高圧の冷媒が供給される高圧配管を接続する接続穴と、この膨張弁にて膨張された低温・低圧の冷媒をエバポレータへ送り出す低圧配管を接続する接続穴と、エバポレータ出口からの戻り配管を接続する接続穴と、この膨張弁を通過した冷媒をコンプレッサへ戻すための配管を接続する接続穴とを有している。
特開2008-51347号公報
特許文献1の膨張弁において、高圧配管内の高圧側圧力は、弁体に対して開弁方向及び閉弁方向にほぼ同じように作用する。高圧側圧力がキャンセルされることにより、弁体は高圧側圧力の変動の影響を受けることなく、ほぼパワーエレメントの駆動力だけで弁リフトを制御することができるとされている。
特許文献1の膨張弁によれば、高圧側圧力をキャンセルすることにより、パワーエレメントの内圧が適正な範囲であれば、開弁タイミングを精度よく制御できる。しかしながら、開弁後においては開弁方向の圧力が低下するため、開弁方向の圧力と閉弁方向の圧力のバランスが崩れ、弁体の制御が困難となりやすい。
そこで本発明は、小型化が可能であり、高圧側圧力の変化に関わらず適切な温度制御を行える膨張弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明による膨張弁は、
高圧側配管に繋がる入口側流路と、前記入口側流路に繋がるオリフィス路と、前記オリフィス路に繋がる弁室と、前記弁室及び低圧側配管に繋がる出口側流路とを備えた弁本体と、
前記弁室内において、前記オリフィス路に対向して配置された弁体と、
ダイアフラムにより仕切られた上方空間と下方空間を内包するパワーエレメントと、
前記下方空間に配置され、前記ダイアフラムが当接するストッパ部材と、
一端を前記ストッパ部材に当接させ、他端を前記弁体に当接させてなる作動棒と、
前記弁体を、前記オリフィス路に向かう方向に付勢するコイルばねと、を有し、
前記弁本体は、前記入口側流路と前記下方空間とを連通する連通路を備えており、前記連通路の受圧面積は、前記オリフィス路の断面積より小さいことを特徴とする。
本発明により、小型化が可能であり、高圧側圧力の変化に関わらず適切な温度制御を行える膨張弁を提供することができる。
図1は、本実施形態における膨張弁の縦断面図である。 図2は、比較例にかかる膨張弁の弁体付近を拡大して示す縦断面図である。 図3は、本実施形態にかかる膨張弁の弁体付近を拡大して示す縦断面図である。 図4は、縦軸に膨張弁の低圧側圧力をとり、横軸に高圧側圧力をとって示すグラフである。 図5は、第2実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材近傍を拡大して示す断面図である。 図6は、第3実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材近傍を拡大して示す断面図である。 図7は、第4実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材近傍を拡大して示す断面図である。 図8は、第5実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材近傍を拡大して示す断面図である。 図9は、第6実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材近傍を拡大して示す断面図である。 図10は、第7実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材近傍を拡大して示す断面図である。
以下、図面を参照して、本発明にかかる実施形態について説明する。
(方向の定義)
本明細書において、弁体3から作動棒5に向かう方向を「上方向」と定義し、作動棒5から弁体3に向かう方向を「下方向」と定義する。よって、本明細書では、膨張弁1の姿勢に関わらず、弁体3から作動棒5に向かう方向を「上方向」と呼ぶ。
(第1実施形態)
図1を参照して、本実施形態における膨張弁1の概要について説明する。図1は、本実施形態における膨張弁1の縦断面図である。
本実施形態の膨張弁1は、コンプレッサと、コンデンサと、エバポレータとに流体接続されている。膨張弁1の軸線をLとする。
図1において、膨張弁1は、弁室VSを備える弁本体2と、弁体3と、付勢装置4と、作動棒5と、パワーエレメント8を具備する。
弁本体2は、弁室VSに加え、第1流路21と、第1流路21と弁室VSとを連結する中間路23と、弁室VSにつながる第2流路22とを備える。第1流路21は供給側流路であり、弁室VSには、供給側流路を介して冷媒(流体ともいう)が供給される。第2流路22は排出側流路(出口側流路ともいう)である。第1流路21には、コンデンサにつながる高圧側配管HTが連結され、第2流路22には、エバポレータにつながる低圧側配管LTが連結されている。
中間路23は、第1流路21から軸線Lに直交する方向に延在する横路23aと、軸線L方向に延在し弁室VSにつながる縦路(オリフィス路ともいう)23bとからなる。横路23aと縦路23bとの交差部近傍から上方に延在するようにして、連通孔24が形成されている。後述する図3を参照して、縦路23bの内径をdとし、連通孔24の内径(すなわちストッパ部材27の軸部27bの外径)をdとしたとき、d>dである。縦路23bの下端が、弁座20を構成する。
弁本体2の上端には、軸線Lと同軸な円筒状の開口25が形成され、開口25の下端は連通孔24に連通している。開口25の内径は、連通孔24の内径より大きい。連通孔24と開口25とで、連通路を形成する。
開口25内には、O-リングOR1が配置され、また環状部材87が圧入等により開口25に取り付けられており、O-リングOR1を開口25内で保持している。
ストッパ部材27は、円盤部27aと、円盤部27aの下方に連設された円筒状の軸部27bとを有する。軸部27bは、環状部材87及びO-リングOR1内に挿通され、その下端が連通孔24に挿入されている。軸部27bは環状部材87に対して案内され、上下方向に相対摺動可能である。また、軸部27bの外周はO-リングOR1の内周に接し、O-リングOR1の外周は開口25の内周に接しており、ストッパ部材27が開口25に対して軸線L方向に相対移動した場合でも、開口25から冷媒漏れが生じることを阻止している。
弁体3は、円筒状の本体31と、本体31から径方向外方に延在するフランジ部32と、本体31の上端に形成された円錐部33と、本体31の下方に突出して形成された円錐状の凸部34とを有する。
弁体3は弁室VS内に配置される。弁体3が弁座20に着座しているとき、中間路23から弁室VSに向かう冷媒の流れが制限される。この状態を非連通状態という。一方、弁体3が弁座20から離間しているとき、中間路23から弁室VSに向かう冷媒の流れが許容される。この状態を連通状態という。
一対の作動棒5が、軸線Lに対して対称位置に配置され、それぞれ軸線Lに沿って延在する弁本体2の挿通孔26に挿通されている。作動棒5の下端は、弁体3のフランジ部32の上面に接触している。作動棒5の上端は、ストッパ部材27の円盤部27aの下面に当接している。
作動棒5は、付勢装置4による付勢力に抗して弁体3を開弁方向に押圧することができる。作動棒5が下方向に移動するとき、弁体3は、弁座20から離間し、膨張弁1が開状態となる。
付勢装置4は、断面円形の線材を螺旋状に巻いたコイルばね41と、弁体サポート42と、ばね受け部材43とを有する。
弁体サポート42は、板材をプレス成形することによって、中央がくぼんだボウル形状に形成される。弁体サポート42の中央凹部の上面に、弁体3の凸部34の先端が点接触的に当接しており、また、弁体サポート42の下面周囲に、コイルばね41の上端が当接している。
ばね受け部材43は、有底円筒形状を有し、その底壁上面でコイルばね41の下端を支持する。ばね受け部材43は、弁本体2の下端雌ねじ2aに螺合する雄ねじ43aを備えており、下端雌ねじ2aに対して雄ねじ43aに螺動させることで、弁本体2に対してばね受け部材43を昇降させて、コイルばね41の付勢力を調整できる。また、ばね受け部材43の外周と、弁本体2の弁室VSの内壁との間に、O-リングOR2が配置され、これにより弁室VSを密封する。
弁本体2の下端には、ばね受け部材43を遮蔽するカバー部材28が取り付けられている。カバー部材28は、有底円筒形状を有し、その内周に雌ねじ28aを形成している。雌ねじ28aを、弁本体2の下端雄ねじ2bに螺合させることで、弁本体2とカバー部材28とが連結される。
パワーエレメント8は、上蓋部材82と、ダイアフラム83と、受け部材86とを有する。
略円錐形状の上蓋部材82の頂部には開口82aが形成され、感温筒(不図示)につながるチューブTBが、開口82aにロウ付けなどにより接続されている。
ダイアフラム83は、同心円の凹凸形状を複数個形成した薄い金属(たとえばSUS)製の板材からなり、上蓋部材82及び受け部材86の外径とほぼ同じ外径を有する。
受け部材86は、上蓋部材82の外径とほぼ同じ外径を持つフランジ部86aと、フランジ部86aの内周に連設された円筒部86bとを有している。円筒部86bの下端側外周には、雄ねじ部86cが形成されている。
上蓋部材82と、ダイアフラム83と、受け部材86とは、それぞれ外周部を例えばTIG溶接やレーザ溶接、プラズマ溶接等により周溶接して一体化することができる。
上蓋部材82とダイアフラム83とで囲われる空間SP、チューブTB、およびチューブTBに繋がる感温筒内には作動ガスが封入される。
受け部材86の下端外周に設けた雄ねじ部86cを、弁本体2の上端雄ねじ2cに螺合させることにより、パワーエレメント8を弁本体2に組み付けることができる。組付けられた状態で、ダイアフラム83がストッパ部材27の上面に対向し、さらにダイアフラム83と、受け部材86と、弁本体2とで囲われた下方空間LPが形成される。下方空間LPは、不図示の連通孔を介して弁室VSに連通しており、これにより下方空間LP内は、低圧側圧力と略等しい圧力に維持される。
(膨張弁の動作)
図1を参照して、膨張弁1の動作例について説明する。コンプレッサで加圧された冷媒は、コンデンサで液化され、高圧側配管HTを介して膨張弁1に送られる。また、膨張弁1で断熱膨張された冷媒は、低圧側配管LTを介してエバポレータに送り出され、エバポレータで、エバポレータの周囲を流れる空気と熱交換される。不図示の感温筒は、エバポレータから戻る冷媒の出口近傍に配置されており、その温度に応じて感温筒内に封入された作動ガスの状態(液相・気相)が変化する。
図1において、パワーエレメント8内の空間SPは、チューブTBを介して感温筒の内部と連通している。したがって、エバポレータから戻る冷媒の温度が比較的低い場合、感温筒内に封入された作動ガスの液化が促進される。これによりチューブTBを介して空間SP内の圧力が低下し、ダイアフラム83とストッパ部材27が上昇するため、コイルばね41の付勢力に応じて作動棒5は上方向に移動し、弁体3が弁座20に着座する。一方、エバポレータから戻る冷媒の温度が比較的高い場合、感温筒内で液化された作動ガスの気化が促進される。これによりチューブTBを介して空間SP内の圧力が増大し、ダイアフラム83とストッパ部材27が下方に押圧されるため、作動棒5は下方向に移動し、弁体3が弁座20から離間する。
弁体3が、弁座20に着座しているとき(非連通状態のとき)には、弁室VSから第2流路22を通ってエバポレータへ送り出される冷媒の流量が制限されるため、エバポレータから戻る冷媒の温度が上昇する。他方、弁体3が、弁座20から離間しているとき(連通状態のとき)には、弁室VSから第2流路22を通って、エバポレータへ送り出される冷媒の流量が増大するため、エバポレータから戻る冷媒の温度が低下する。こうして、冷媒の温度に応じて、膨張弁1の開状態と閉状態との間の切り換えが自動的に行われる。
(比較例)
以下、比較例と比較して、本実施形態の作用効果について説明する。
図2は、比較例にかかる膨張弁1’の弁体付近を拡大して示す縦断面図であり、図3は、本実施形態にかかる膨張弁1の弁体付近を拡大して示す縦断面図であり、いずれもハッチングは省略している。
図2に示す膨張弁1’においては、中間路23の横路23aから上方に延在する連通路及びそれにつながる開口が形成されておらず、代わりにストッパ部材27の軸部27bが摺動自在に嵌合する袋孔25’を弁本体2’の上面に設けている。それ以外の構成は、本実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図2に示す膨張弁1’において、弁体3に加わる上下方向の力の釣り合いについて検討する。ここで、パワーエレメント8の空間SPの内圧をPとし、ダイアフラム83の有効面積をAとし、コイルばね41のばね力をFとし、中間路23の縦路23bのオリフィス径をdとし、縦路23b(すなわち第1流路21)内の高圧側の冷媒圧力(高圧側圧力という)をPとし、弁室VS(すなわち第2流路22)内の低圧側の冷媒圧力(低圧側圧力という)をPとする。なお、弁体3、作動棒5、ストッパ部材27は、それぞれ異なる部品であるが、ダイアフラム83とコイルばね41により上下に挟持されているため、ここでは一体部品として考える。
まず、弁体3に加わる力として、ダイアフラム83から作動棒5を介して伝達される力がある。ダイアフラム83は、上方の空間SPと下方空間LPとの内圧バランスに応じて変形する。すなわち、ダイアフラム83が下方に押される力は、P・Aで表すことができ、一方、ダイアフラム83が上方に押される力は、P・Aで表すことができる。
次に、弁体3は、弁座20を挟んで、弁室VSと縦路23bの両側から冷媒圧力を受ける。すなわち、弁体3は、高圧側圧力と低圧側圧力の差分ΔP=(P-P)に応じた下向きの力を受ける。かかる力を高圧影響力と呼び、ΔP・(πd /4)で表すこととする。
さらに、弁体3は、コイルばね41から上方に向かってばね力Fを受ける。
弁体3に加わるこれらの力が釣り合っていると仮定すると、以下の(1)式が成立する。(1)式において、左辺が下向き(開弁側)の合力を表し、右辺が上向き(閉弁側)の力の合力を表す。
・A+ΔP・(πd /4)=P・A+F (1)
ところで、膨張弁を大型化することなく容量を増大させたいという要求がある。容量を増大させるには、オリフィス路の断面積を拡大することが一案である。しかしながら、単純にオリフィス路の断面積を拡大するのみでは、高圧側圧力が増大したときに、弁体3の開弁量が必要以上に増大し、オリフィス路から弁室に冷媒が流れる際に十分に蒸発しないまま(すなわち低圧とならずに)低圧側配管に流れてしまい、いわゆる過熱度(飽和温度からの冷媒の温度上昇)の減少が生じる。過熱度の減少が生じると、液冷媒がコンプレッサに流れ込むことで不具合(液戻り、高圧影響という)が生じるおそれがある。このような高圧影響は、パワーエレメントを大型化することで解消できるが、近年においては膨張弁の小型化の要請が強く、それに応じてダイアフラムの有効面積Aが小さくなるため、小径のダイアフラムを用いた場合でも、過熱度の減少を抑制する対策が必要となっている。
図4は、縦軸に膨張弁の低圧側圧力をとり、横軸に高圧側圧力をとって示すグラフである。図4において、低圧側圧力は、高圧側圧力に対して最初はリニアに増加するが、その後、増加割合が低下する。膨張弁を使用する冷凍サイクルにおいては、高圧側圧力が基準値Pr以上の領域で一般的に使用される。
理想的には、高圧側圧力が増大しても、低圧側圧力が略一定であることが望ましい。しかしながら、本発明者らの検討結果によれば、比較例の膨張弁においては、図4の一点鎖線Sで示すように、高圧側圧力が基準値Prから増大するに従って低圧側圧力も増大し、過熱度が減少する傾向があることが分かった。(1)式を満たすためには、圧力の差分ΔPを一定としなければならず、そのため高圧側圧力Pが増大したときは、低圧側圧力Pも増大する。
以下に、図3に示す本実施形態の膨張弁1において、弁体3に加わる上下方向の力の釣り合いについて説明する。連通孔24を設けることで、ストッパ部材27は、軸部27bを介して上向きに高圧側圧力を受けるとともに、下方空間LPから下向きの低圧側圧力を受ける。したがって、ストッパ部材27は、圧力の差分ΔPに応じて上向きに押されることとなる。
ここで、軸部27bの外径をdとし、それ以外の値は比較例と共通であるとすると、弁体3に加わる上下方向の力が釣り合っていると仮定して、以下の(2)式が成立する。(2)式において、左辺が下向き(開弁側)の合力を表し、右辺が上向き(閉弁側)の力の合力を表す。
・A+ΔP・(πd /4)=P・A+F+ΔP・(πd /4) (2)
さらに、(2)式を変形して、(3)式を得る。
・A+ΔP・(π(d -d )/4)=P・A+F (3)
(3)式を(1)式と比較すると、連通孔24を設けることにより、本実施形態の高圧影響力は(d -d )に比例して低下することが分かる。そのため、図4に実線Bで示すように高圧側圧力に対する低圧側圧力は、基準値Pr以上の領域で略一定となり、これによりダイアフラム83の有効面積Aが小さくなった場合にも、過熱度の減少を抑制し、高圧影響を抑えることができる。
また、本実施形態によれば、軸部27bの外径dを適切な値とすることで、開弁後において、圧力の差分ΔPが低下した場合でも、開弁側の合力と閉弁側の合力とを近づけるように調整でき、それによりパワーエレメント8から弁体3に適切な力が印加され、開弁後における弁体3の開弁量の制御が容易になる。
ただし、本発明者らの検討結果によれば、d=dとすると、図4に点線Cで示すように、高圧側圧力に対する低圧側圧力が、基準値Pr以上の領域で漸次減少するため、膨張弁の制御を行うには好ましくない特性になることが判明している。このため、d>dとする(すなわち縦路23bの断面積を軸部27bの外径の断面積(受圧面積)より大きくする)ことが望ましい。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材27A近傍を拡大して示す断面図である。本実施形態においては、上述した実施形態に対して、ストッパ部材27A、及び開口25内に配設される構成が異なる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図5において、ストッパ部材27Aは、円盤部27Aaと、円盤部27Aaに同軸に連設された中径軸部27Abと,中径軸部27Abより大径である大径軸部27Acと、大径軸部27Acより小径の小径軸部27Adとを有する。中径軸部27Ab、大径軸部27Ac、小径軸部27Adは、開口25内に挿入されており、大径軸部27Acの外径は開口25の内径に略等しい。本実施形態では、大径軸部27Acが開口25に対して案内され、上下方向に相対摺動可能である。
大径軸部27Acと小径軸部27Adとの境界にある段部27Aeは、下方に向かう従って拡径するテーパ面となっている。小径軸部27Adが挿通するようにして、PTFEなどの樹脂製の環状シート85が取り付けられる。また、小径軸部27Adの周囲には雄ねじが形成され、この雄ねじにナット(固定部材)87Aが螺合可能となっている。小径軸部27Adの雄ねじにナット87Aを螺合させて締め上げることで、ナット87Aが上方に螺動し、ナット87Aの円錐形上面と段部27Aeとで環状シート85を挟持固定することができる。環状シート85は、固定された状態で段部27Aeの形状に倣ってテーパ状となる。
本実施形態では、O-リングを配設していないが、その代わり環状シート85の外周が開口25の内周に対して全周にわたって当接しており、ストッパ部材27Aの変位と共に相対摺動する際の冷媒漏れを抑制している。本実施形態では、環状シート85の外径(開口25の内径)が受圧径(d)となる。ここで、「受圧径」とは、連通路内を塞ぐことにより冷媒の圧力を受ける部品の外径をいい、受圧径に基づき面積に換算することで「受圧面積」が得られる。
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材27B近傍を拡大して示す断面図である。本実施形態においては、第1実施形態に対して、ストッパ部材27Bの形状が異なる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図6において、ストッパ部材27Bは,円盤部27Baと、円盤部27Baに同軸に連設された大径軸部27Bbと、大径軸部27Bbより小径の小径軸部27Bcとを有する。大径軸部27Bbと小径軸部27Bcの一部は、開口25内に挿入されており、大径軸部27Bbの外径は開口25の内径に略等しい。本実施形態では、大径軸部27Bbが開口25に対して案内され、上下方向に相対摺動可能である。
小径軸部27Bcの下端は、連通孔24内に挿入されている。また、小径軸部27Bcの外周と開口25の内周との間にO-リングOR1が当接配置される。高圧側圧力を下方から受けることによって、O-リングOR1は図6に示された状態から上方へと移動して、大径軸部27Bbの下面に押し付けられる。ストッパ部材27Bの変位と共に、O-リングOR1は開口25の内周に対して相対摺動し、それにより冷媒漏れが阻止される。本実施形態では、連通孔24と小径軸部27Bcとの隙間が比較的大きいため、O-リングOR1の外径(開口25の内径)が受圧径(d)となる。
(第4実施形態)
図7は、第4実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材27C近傍を拡大して示す断面図である。本実施形態においては、第1実施形態に対して、ストッパ部材27C、及び開口25内に配設される構成が異なる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図7において、ストッパ部材27Cは、円盤部27Caと、円盤部27Caに同軸に連設された中空軸部27Cbとを有する。本実施形態では、中空軸部27Cbが開口25に対して案内され、上下方向に相対摺動可能である。中空軸部27Cbの下端面は、下方に向かう従って拡径するテーパ面となっている。中空軸部27Cbの下端面に当接するようにして、PTFEなどの樹脂製の環状シート85Cが取り付けられる。
また、固定ピン(固定部材)87Cは、頭部87Caと、頭部87Caより小径の軸部87Cbとを連設してなる。軸部87Cbを中空軸部27Cbに圧入したときに、環状シート85Cは中空軸部27Cbの下端面と、頭部87Caとの間に挟持固定される。このとき、環状シート85Cが中空軸部27Cbの下端面に倣い、さらに環状シート85Cの外周縁が頭部87Caを包み込むように弾性変形して、全周にわたって開口25の内周に当接する。
本実施形態では、O-リングを配設していないが、その代わり環状シート85Cの外周が開口25の内周に対して全周にわたって当接しており、ストッパ部材27Cの変位と共に相対摺動する際の冷媒漏れを抑制している。本実施形態では、環状シート85Cの外径(開口25の内径)が受圧径(d)となる。
(第5実施形態)
図8は、第5実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材27D近傍を拡大して示す断面図である。本実施形態においては、第1実施形態に対して、ストッパ部材27Dの形状が異なる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図8において、ストッパ部材27Dは、円盤部27Daと、円盤部27Daに同軸に連設された円筒状の軸部27Dbとを有する。軸部27Dbの外径は、開口25の内径に略等しく、さらに軸部27Dbの外周には周溝27Dcが形成され、周溝27Dc内にO-リングOR3が保持されている。本実施形態では、軸部27Dbが開口25に対して案内され、上下方向に相対摺動可能である。
ストッパ部材27Dの変位と共に、軸部27Dbに保持されたO-リングOR3が開口25に対して相対摺動し、それにより冷媒漏れが阻止される。本実施形態では、O-リングOR3の外径(開口25の内径)が受圧径(d)となる。また本実施形態では、部品点数の削減が可能である。
(第6実施形態)
図9は、第6実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材27E近傍を拡大して示す断面図である。本実施形態においては、第1実施形態に対して、ストッパ部材27E、及び開口25内に配設される構成が異なる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図9において、ストッパ部材27Eは、円盤部27Eaと、円盤部27Eaに同軸に連設された円筒状の軸部27Ebとを有する。シール保持部材87Eは、円筒状の基部87Eaと、軸部27Ebとを連設してなる。基部87Eaの外周には、周溝87Ecが形成され、周溝27Ec内にO-リングOR3が保持されている。基部87Ea及び中空円筒部87Ebの外径は、開口25の内径にほぼ等しい。本実施形態では、シール保持部材87Eが開口25に対して案内され、上下方向に相対摺動可能である。
軸部27Ebに中空円筒部87Ebを圧入により嵌合させ、あるいは圧入、接着、ロウ付け、溶接等により連結することで、ストッパ部材27Eにシール保持部材87Eを取り付けることができる。
ストッパ部材27Eの変位と共に、シール保持部材87Eに保持されたO-リングOR3が開口25に対して相対摺動し、それにより冷媒漏れが阻止される。本実施形態では、O-リングOR3の外径(開口25の内径)が受圧径(d)となる。また本実施形態では、シール保持部材87Eをストッパ部材27Eと別部品とすることで、機械加工が容易になる。
(第7実施形態)
図10は、第7実施形態にかかる膨張弁のストッパ部材27F近傍を拡大して示す断面図である。本実施形態においては、第1実施形態に対して、ストッパ部材27F、及び開口25内に配設される構成が異なる。それ以外の構成は、上述した実施の形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
図10において、ストッパ部材27Fは、円盤部27Faと、円盤部27Faに同軸に連設された円筒状の軸部27Fbとを有する。開口25内には、PTFEなどの樹脂製の環状シート85Fが配設され、開口25に圧入される環状部材87Fにより、開口25の底面に押し付けられて保持される。
軸部27Fbは、環状部材87Fと環状シート85Fを貫通して、連通孔24内に挿入される。本実施形態では、軸部27Fbが環状部材87Fにより案内され、上下方向に相対摺動可能である。また、軸部27Fbの外周が環状シート85Fの内周に当接し、環状シート85Fの外周が開口25の内周に当接する。
本実施形態では、O-リングを配設していないが、その代わり環状シート85Fが開口25および軸部27Fbに対して全周にわたって当接しており、ストッパ部材27Fの変位と共に相対摺動する際の冷媒漏れを抑制している。本実施形態では、軸部27Fbの外径が受圧径(d)となる。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。
1 :膨張弁
2 :弁本体
3 :弁体
4 :付勢装置
5 :作動棒
6 :リングばね
8 :パワーエレメント
20 :弁座
21 :第1流路
22 :第2流路
23 :中間路
24 :連通孔
25 :開口
27~27F:ストッパ部材
41 :コイルばね
42 :弁体サポート
43 :ばね受け部材
VS :弁室
HT :高圧側配管
LT :低圧側配管

Claims (12)

  1. 高圧側配管に繋がる入口側流路と、前記入口側流路に繋がるオリフィス路と、前記オリフィス路に繋がる弁室と、前記弁室及び低圧側配管に繋がる出口側流路とを備えた弁本体と、
    前記弁室内において、前記オリフィス路に対向して配置された弁体と、
    ダイアフラムにより仕切られた上方空間と下方空間を内包するパワーエレメントと、
    前記下方空間に配置され、前記ダイアフラムが当接するストッパ部材と、
    一端を前記ストッパ部材に当接させ、他端を前記弁体に当接させてなる作動棒と、
    前記弁体を、前記オリフィス路に向かう方向に付勢するコイルばねと、を有し、
    前記弁本体は、前記入口側流路と前記下方空間とを連通する連通路を備えており、前記連通路の受圧面積は、前記オリフィス路の断面積より小さい、
    ことを特徴とする膨張弁。
  2. 前記パワーエレメントの上方空間は、チューブを介して感温筒に連通している、
    ことを特徴とする請求項1に記載の膨張弁。
  3. 前記連通路は、前記オリフィス路に連通する連通孔と、前記ストッパ部材に対向する開口とを有しており、前記ストッパ部材の一部は、前記開口内に収容される、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の膨張弁。
  4. 前記ストッパ部材は、前記ダイアフラムに対向する円盤部と、前記開口内に配設される軸部とを連設してなり、前記軸部と前記開口との間にO-リングが配置される、
    ことを特徴とする請求項3に記載の膨張弁。
  5. 前記開口に取り付けられて、前記O-リングを保持するとともに前記軸部を案内する環状部材を有する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の膨張弁。
  6. 前記軸部は、前記O-リングを保持する周溝を有する、
    ことを特徴とする請求項4に記載の膨張弁。
  7. 前記軸部は、前記O-リングを保持するシール保持部材に連結され、前記シール保持部材が前記開口により案内される、
    ことを特徴とする請求項4に記載の膨張弁。
  8. 前記ストッパ部材は、前記ダイアフラムに対向する円盤部と、前記開口内に配設される軸部とを連設してなり、前記開口の内周に接するように環状シートが前記軸部に取り付けられている、
    ことを特徴とする請求項3に記載の膨張弁。
  9. 前記環状シートを前記軸部に固定する固定部材を有する、
    ことを特徴とする請求項8に記載の膨張弁。
  10. 環状シートと、前記環状シートを前記開口に取り付ける環状部材とを有する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の膨張弁。
  11. 前記ストッパ部材は、前記ダイアフラムに対向する円盤部と、前記開口内に配設される軸部とを連設してなり、前記軸部は前記環状部材により案内される、
    ことを特徴とする請求項10に記載の膨張弁。
  12. 前記ストッパ部材は、前記ダイアフラムに対向する円盤部と、前記開口内に配設される軸部とを連設してなり、前記軸部が前記連通孔に挿入される、
    ことを特徴とする請求項3~11のいずれか一項に記載の膨張弁。

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