JP2022189945A - 配列用マスク - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた半田ボールの搭載率を確保しながら、張力付与時にも破損し難い、半田ボールの配列用マスクを得る。【解決手段】所定の配列パターンに対応したボール挿入孔12を備え、当該ボール挿入孔12内に半田ボール2を振り込むことで、ワーク3上の所定位置に半田ボール2を搭載する配列用マスクである。ボール挿入孔12の開口縁は、部分円弧状のアール部17と、当該アール部17に接線接続する直線部16とを有する。ボール挿入孔12内に半田ボール2を振り込むためのスキージ25の移動方向において、スキージ25移動方向の上流側と、スキージ25移動方向の下流側とで、アール部17の半径rが異なる。【選択図】図6

Description

本発明は、例えばBGA(Ball Grid Array)方式の半田バンプの作成に使用される、
半田ボールの配列用マスクに関する。
一般に半田バンプは、電極に半田ペースト若しくはフラックスを塗布する工程と、電極
上に半田ボールを搭載させる工程と、搭載された半田ボールを加熱溶解させる工程を経て
形成される。上述の電極上に半田ボールを搭載させる工程において、電極の配列パターン
に対応した開口パターンを有する配列用マスクを用いることは広く公知であり、例えば特
許文献1、2には、円形状のボール挿入孔を有する配列用マスクが開示されている。特許
文献3、4には、四角形開口や三角形開口などの多角形状のボール挿入孔を有する配列用
マスクが開示されている。ボール挿入孔を有するマスク本体の外周縁に、当該マスク本体
を支持するための枠体を設けることは、特許文献1、4などに開示されている。
特開2006-287215号公報 特開2006-324618号公報 特開2012-227466号公報 特開2014-107282号公報
特許文献1、2の配列用マスクのように、ボール挿入孔が円形状に形成されている構成
では、半田ボールの球状外面と、挿入孔の円弧状の開口縁とが線接触して、半田ボールが
傷付きやすい。また、半田ボールの外面と挿入孔の開口縁とが接触する部分が多くなるた
め、接触抵抗が増して、半田ボールを挿入孔内にスムーズに落下させることができず、搭
載率が低下する不利もある。これに対して、特許文献3、4の配列用マスクのように、ボ
ール挿入孔が四角形開口や三角形開口などの多角形状とされていると、円形状の挿入孔に
比べて開口縁と半田ボールとが接触する機会を少なくすることができるので、半田ボール
が傷付くことを効果的に防止することができ、また挿入孔内によりスムーズに半田ボール
を落下させて搭載率の向上を図ることができる。但し、特許文献3、4の配列用マスクで
は、マスク本体を枠体へ装着したときに、多角形状に形成された挿入孔の劣角状のコーナ
ー部に当該張力に由来する応力が集中しやすく、コーナー部に亀裂が生じて配列用マスク
が破損するおそれがあった。
本発明は、以上のような従来の配列用マスクの抱える問題を解決するためになされたも
のであり、優れた半田ボールの搭載率を確保しながら、張力付与時にも破損し難い、半田
ボールの配列用マスクを提供することを目的とする。
本発明は、所定の配列パターンに対応したボール挿入孔12を備え、当該ボール挿入孔
12内に半田ボール2を振り込むことで、ワーク3上の所定位置に半田ボール2を搭載す
る配列用マスクを対象とする。ボール挿入孔12の開口縁が、平面視で角丸正多角形に形
成されていることを特徴とする。
角丸正多角形は、当該角丸正多角形のコーナー部に位置する部分円弧状のアール部17
と、当該角丸正多角形の辺部を構成して、当該アール部17に接線接続する直線部16と
で構成することができる。ここでいう「部分円弧」とは、部分正円弧、部分楕円弧を含む
概念である。
直線部16を延長して形成される仮想正多角形18を規定し、当該仮想正多角形18の
頂点部19と当該頂点部19に臨む前記直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコー
ナー直線部20を規定し、仮想正多角形18の辺寸法をDとし、コーナー直線部20の長
さ寸法をd1と規定したとき、(d1<D/2)の不等式を満たすように構成することが
好ましい。
直線部16を延長して形成される仮想正多角形18を規定し、当該仮想正多角形18の
頂点部19と当該頂点部19に臨む前記直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコー
ナー直線部20を規定し、仮想正多角形18の辺寸法をDとし、コーナー直線部20の長
さ寸法をd1と規定したとき、(D/4≦d1≦D/3)の不等式を満たすように構成す
ることがより好ましい。
ボール挿入孔12の開口縁は、角丸正四角形に形成されており、前記角丸正四角形が、
当該角丸正四角形のコーナー部に位置するアール部17と、当該角丸正四角形の辺部を構
成して、当該アール部17に接続する直線部16とで構成されており、前記直線部16を
延長して形成される仮想正四角形18を規定し、当該仮想正四角形18の頂点部19と当
該頂点部19に臨む前記直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコーナー直線部20
を規定し、前記仮想正四角形18の辺寸法をDとし、前記コーナー直線部20の長さ寸法
をd1と規定したとき、配列用マスク上を移動してボール挿入孔12内に半田ボール2を
落とし込むためのスキージ25の移動方向と、ボール挿入孔12の角丸正四角形の一対の
向かい合う辺である2つの直線部16・16の伸び方向とは一致するように構成する。ス
キージ25の移動方向の上流側に位置する2つのアール部17a(17)のコーナー直線
部20の長さ寸法d1a(d1)と、スキージ25の移動方向の下流側に位置する2つの
アール部17b(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1b(d1)とは異なる寸法
に設定することができる。
また、本発明は、所定の配列パターンに対応したボール挿入孔12を備え、当該ボール
挿入孔12内に半田ボール2を振り込むことで、ワーク3上の所定位置に半田ボール2を
搭載する配列用マスクを対象とする。前記ボール挿入孔12の開口縁が、正多角形の辺を
構成する直線部41と、当該正多角形を構成する各頂点部42において外方向に向って膨
出形成された部分円弧部43とを有する、異形正多角形に形成されていることを特徴とす
る。
一般的に配列用マスクの製作過程で付与されてボール挿入孔12の開口縁に作用する応
力は、ボール挿入孔12の開口縁形状が急激に変化する箇所(例えば角隅部)に集中する
。このため、本発明のようにボール挿入孔12を正多角形のコーナー部が丸められた角丸
正多角形に形成されていると、同角数の正多角形状ボール挿入孔の開口縁に比べて、コー
ナー部における開口縁形状の急激な変化を抑えて、丸められたコーナー部に応力を分散し
て作用させることができる。従って、本発明によれば、多角形状のボール挿入孔を備える
マスクに比べて、張力が付与されたときにも破損し難い配列用マスクを得ることができる
。応力集中によるボール挿入孔12の変形に起因する配列用マスクのひずみを抑制するこ
とができるので、配列用マスクの平坦度を維持することができる利点もある。また、円形
状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて開口縁と半田ボールとが接触する機会を少なく
することができるので、挿入孔12内によりスムーズに半田ボール2を落下させることが
可能であり、半田ボール2の搭載率の向上を図ることができる。
角丸正多角形は、当該角丸正多角形のコーナー部に位置する部分円弧状のアール部17
と、当該角丸正多角形の辺部を構成して、当該アール部17に接線接続する直線部16と
で構成することができる。こうしたボール挿入孔12によれば、その開口縁をアール部1
7と直線部16とが滑らかに繋がるように構成することができるので、ボール挿入孔12
の開口縁に応力が集中しやすい劣角状の屈曲部が形成されるのを解消できる。従って、応
力集中による半田ボール2の配列用マスクの破損、および変形をより効果的に防ぐことが
できる。
直線部16を延長して形成される仮想正多角形18を規定し、当該仮想正多角形18の
頂点部19と当該頂点部19に臨む直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコーナー
直線部20を規定し、仮想正多角形18の辺寸法をDとし、コーナー直線部20の長さ寸
法をd1と規定したとき、(d1<D/2)の不等式を満たすように構成することができ
る。このように、仮想正多角形18の辺寸法Dとコーナー直線部20の長さ寸法d1との
関係が(d1<D/2)の不等式を満たすように構成されていると、ボール挿入孔12の
開口縁が円形にならない範囲内でアール部17の曲率をできるだけ小さくすることができ
るので、コーナー部において充分に応力を分散させることができる。
あるいは、仮想正多角形18の辺寸法Dとコーナー直線部20の長さ寸法d1との関係
を(D/4≦d1≦D/3)の不等式を満たすように構成することができる。このように
、長さ寸法d1がD/4以上であると、アール部17の曲率を小さくして、コーナー部に
おいて十分に応力を分散させることができる。また、長さ寸法d1がD/3以下であると
、直線部16の長さ寸法を充分に確保して、半田ボール2に傷が付くことや、半田ボール
2の搭載率が悪化することを防ぐことができる。これに対して長さ寸法d1がD/4未満
であると、アール部17の曲率が大きいため、コーナー部において充分に応力を分散させ
ることができず、また、長さ寸法d1がD/3を超えると、直線部16が充分に確保され
ず、半田ボール2に傷が付きやすく、また半田ボール2の搭載率の悪化を招く。
ボール挿入孔12の開口縁を角丸正四角形に形成したとき、スキージ25の移動方向の
上流側に位置する2つのアール部17a(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1a
(d1)と、スキージ25の移動方向の下流側に位置する2つのアール部17b(17)
のコーナー直線部20の長さ寸法d1b(d1)とは異なる寸法に設定することができる
。例えば、アール部17aの長さ寸法d1aを、後者のアール部17bの長さ寸法d1b
よりも小さく設定すると、スキージ25の移動方向の上流側に位置する辺部の直線部16
の長さ寸法を大きくできるので、半田ボール2は平面視においてその重心位置がボール挿
入孔12上に位置したとき、該ボール挿入孔12に落ち込もうとするため、上記のように
スキージ25の移動方向の上流側の直線部16の長さ寸法を大きくすることで、ボール挿
入孔12に半田ボール2を誘い込みやすくすることができ、半田ボール2の搭載率の向上
を図ることができる。また、アール部17bの長さ寸法d1bが大きい分、スキージ25
がその移動方向の下流側に位置する辺部で引っ掛かるのを抑制して、スキージ25がスム
ーズにボール挿入孔12上を通過できるようにすることができる。
別の本発明に係る配列用マスクでは、半田ボール2が振り込まれるボール挿入孔12の
開口縁を、図9に示すように正多角形の辺を構成する直線部41と、当該正多角形を構成
する各頂点部42において外方向に向って膨出形成された部分円弧部43とを有する、異
形正多角形に形成した。これによれば、ボール挿入孔12のコーナー部において、応力が
集中しやすい劣角状の開口縁が形成されるのを解消できる。従って、本発明によれば、多
角形状のボール挿入孔12によって半田ボール2の傷付き防止、および半田ボール2の搭
載率の向上を図りながら、配列用マスクに張力が付与されたときにも破損し難い半田ボー
ル2の配列用マスクを得ることができる。
本発明の実施例1に係る配列用マスクの要部の平面図である。 配列用マスクの全体を示す斜視図である。 配列用マスクの要部の縦断正面図である。 (a)~(d)は配列用マスクの製造方法を示す説明図である。 (a)~(d)は配列用マスクの製造方法を示す説明図である。 本発明の実施例2に係る配列用マスクの要部の平面図である。 本発明の実施例3に係る配列用マスクの要部の平面図である。 (a)~(c)は本発明に係る配列用マスクにおけるボール挿入孔の変形例を示す平面図である。 本発明の実施例4に係る配列用マスクの要部の平面図である。
(実施例1) 図1から図5に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例1を示
す。本実施例における前後、左右、上下とは、図1、図2および図3に示す交差矢印と、
交差矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。なお、本実施例の各図における厚みや
幅などの寸法は、実際の様子を示したものではなく、それぞれ模式的に示したものである
。以下の各実施例の図においても同様である。
この配列用マスク(以下「マスク」と記す。)1は、BGA方式の半田バンプ作成にお
ける半田ボール2の搭載工程において使用に供されるものである。図2及び図3において
、符号3は、マスク1による半田ボール2の搭載対象となるワークを示す。このワーク3
は、例えばガラスエポキシ基板のベース4に複数個の半導体チップ5を搭載し、ワイヤボ
ンドで配線したのち、トランスファモールド封止してなるものであり、半導体チップ5を
囲むように、ワーク3の上面には、入出力端子である電極6が所定のパターンで形成され
ている。なお、ワーク3は、半田バンプの作成後に個片に切断され、個々のLSIチップ
とされる。
図2に示すように、マスク1は、ニッケルやニッケルコバルト等のニッケル合金、銅、
その他の電着金属を素材として電鋳法によって形成されたマスク本体10と、このマスク
本体10を囲むように接合された枠体11とからなる。マスク本体10の盤面中央部には
、各半導体チップ5に対応して、半田ボール2を投入するための多数独立のボール挿入孔
(以下「挿入孔」と記す。)12を有するパターン領域13が多数形成されている。
挿入孔12は、ワーク3における各半導体チップ5の電極6の配列位置に対応した配列
パターンに対応している。半田ボール2は、100μm以下の直径寸法を有するものであ
り、これに合わせて各挿入孔12の前後及び左右の寸法は、当該ボール2の直径寸法より
も僅かに大きな寸法を有している。
図1に示すように、挿入孔12の開口縁は、平面視で角丸正四角形状(角丸正多角形状
)に形成されている。より詳しくは、挿入孔12の開口縁は、前後及び左右方向に走る計
4本の直線部16と、4つのコーナー部に形成された四分円弧状(部分円弧状)のアール
部17とを有する、平面視で角丸正四角形状に形成されている。本実施例に係るマスク1
では、4つのアール部17の半径寸法は同寸法に設定されている。また、各アール部17
に対して、隣接する2つの直線部16・16は接線接続されている。すなわち、四分円弧
状に形成されたアール部17に対して、隣り合う直線部16・16は接線接続となるよう
に構成されており、アール部17と直線部16とは滑らかに繋がっている。挿入孔12は
、角丸正四角形の前後辺である2つの直線部16・16の伸び方向が、後述するスキージ
ブラシ(スキージ)25の移動方向(左右方向)と一致するように、マスク本体10に配
置されていることが望ましい。
正四角形状の辺寸法においてアール部17が占める割合、即ち正四角形状の各辺におけ
る非直線部分の占める割合は、1/2未満であることが好ましく、1/4~1/3(1/
4以上、1/3以下)であることがより好ましい。より詳しくは、図1において符号18
は、直線部16を延長することで形成される仮想正四角形(仮想正多角形)を示しており
、当該仮想正四角形18の辺寸法をDとする。この仮想正四角形18の頂点部19と、当
該頂点部19に臨む直線部16の端部とを結ぶことで規定されるコーナー直線部20を規
定し、当該コーナー直線部20の長さ寸法をd1と規定する。このとき、当該コーナー直
線部20の長さ寸法d1は、(d1<D/2)の不等式を満たすものであることが好まし
く、より好ましくは、(D/4≦d1≦D/3)の不等式を満たすものであることが最適
である。このコーナー直線部20の長さ寸法d1が、アール部17の半径寸法となる。本
実施例では、コーナー直線部20の長さ寸法d1をD/4に設定した。なお、仮想正四角
形18の辺寸法Dは、半田ボール2の直径寸法の1.05~1.15倍に設定することが
好ましい。
図2に示すように、マスク本体10には、該マスク本体10を支持する枠体11が接合
されており、具体的には、枠体11をマスク本体10に接着剤等により直貼りした形態、
あるいはテトロン(登録商標)などの紗を介して枠体11とマスク本体10とを接合した
形態などがある。該枠体11は、マスク本体10の補強用部材を兼ねている。この枠体1
1は、アルミニウムやステンレス鋼の他、42アロイ、インバー材、スーパーインバー材
、SUS430等の低熱線膨張係数の材質からなる左右横長の平板体であり、その盤面中
央には、マスク本体10に対応する一つの左右横長の四角形状の開口が形成される。枠体
11は、マスク本体10よりも肉厚の成形品であり、マスク本体10の外周縁と不離一体
的に接合される。枠体11の厚み寸法は、例えば0.05~3mm程度である。なお、マ
スク1の全体厚みは、使用する半田ボール2の径に合わせて設計することができ、特にマ
スク本体10の厚み(支持突起23を設ける場合は当該突起23の厚みも含む)は半田ボ
ール2の直径と同程度とすることが好ましい。
マスク本体10の下面側、すなわちワーク3に対する対向面側には、ワーク3との対向
間隔を確保する支持突起23が、下方向に突出状に設けられている。支持突起23は逆円
錐台状を呈しており、半田ボール2の配列作業時においてその下端面がワーク3の表面に
常に当接してマスク1とワーク3との対向間隔を確保している。支持突起23は、パター
ン領域13を囲むように格子枠状に設けることができる。なお、支持突起23は、マスク
本体10と一体形成されているが、別体で形成したものをマスク本体10に一体的に接合
することもできる。
マスク1を用いた半田ボール2の配列作業は、以下のような手順で行われる。まず、ワ
ーク3の電極6上にフラックス24を印刷塗布する(図3参照)。次に、ボール挿入孔1
2と電極6とが一致するように、ワーク3上にマスク1を位置合わせしたうえで、マスク
1を固定する。この位置合わせ作業は、実際には枠体11とワーク3との外周縁を位置合
わせすることで行われる。なお、ワーク3の下方に磁石を配置することができ、位置合わ
せ作業が終了した後、該磁石の磁力吸引力によりマスク1をワーク3に不離一体的に固定
することが可能である。この固定状態において、支持突起23の下端面がワーク3の表面
に当接することで、マスク1は、図3に示すようなワーク3との対向間隔が確保された離
間姿勢に姿勢保持される。
次に、枠体11の開口部分、すなわちマスク本体10上に多数個の半田ボール2を供給
し、先端がブラシ状のスキージブラシ25を用いてマスク本体10上で半田ボール2を分
散させて、挿入孔12内に一つずつ半田ボール2を投入する。本実施例では、左方向を上
流側、右方向を下流側として、左から右に向ってスキージブラシ25を動かして半田ボー
ル2を挿入孔12内に投入し、電極6上に半田ボール2を搭載させる。挿入孔12内に投
入された半田ボール2はフラックス24で仮止め状に粘着保持される。最後に残余の半田
ボール2をマスク1の上面から除去したのちに、マスク1を取り外し、半田ボール2を加
熱溶解させることで、ワーク3の電極6上に半田バンプを作成することができる。
図4および図5は本実施例に係る配列用マスク1の製造方法を示す。まず、図4(a)
に示すように導電性を有する例えばステンレス鋼製や真ちゅう製の母型27の表面にフォ
トレジスト層28を形成する。このフォトレジスト層28は、ネガタイプの感光性ドライ
フォトレジストを、所定の高さに合わせて一枚ないし数枚ラミネートして熱圧着により形
成することができる。次いで、フォトレジスト層28の上に、逆円錐台状の支持突起23
に対応する透光孔29aを有するパターンフィルム29(ガラスマスク)を密着させたの
ち、紫外線ランプ30で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、
未露光部分を溶解除去することにより、図4(b)に示すように、支持突起23に対応す
るレジスト体31aを有する一次パターンレジスト31を母型27上に形成した。
続いて、上記母型27を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、図4(c)に示すように
レジスト体31aの高さの範囲内で、母型27のレジスト体31aで覆われていない表面
にニッケル等の電着金属を電鋳して、一次電鋳層32を形成した。ここでは、母型27の
略全面にわたって、一次電鋳層32を形成した。次に、図4(d)に示すように、一次パ
ターンレジスト31を除去する。後段の剥離工程の作業性を向上させるため、一次電鋳層
32の表面は一次パターンレジスト31除去後に研磨処理や剥離処理を施しておくことが
望ましい。
続いて、図5(a)に示すように、一次電鋳層32および母型27の表面の全体に、フ
ォトレジスト層35を形成したうえで、当該フォトレジスト層35の表面に、挿入孔12
に対応する透光孔36aを有するパターンフィルム36(ガラスマスク)を密着させたの
ち、紫外光ランプ30で紫外線光を照射して露光を行い、現像、乾燥の各処理を行って、
未露光部分を溶解除去することにより、図5(b)に示すような挿入孔12に対応するレ
ジスト体37aを有する二次パターンレジスト37を一次電鋳層32の表面に形成した。
続いて、上記母型27を所定の条件に建浴した電鋳槽に入れ、先のレジスト体37aの
高さの範囲内で、母型27、及びレジスト体37aで覆われていない一次電鋳層32の表
面にニッケル等の電着金属を電鋳して、二次電鋳層38を形成した。次に、二次パターン
レジスト37を溶解除去するとともに、母型27及び一次電鋳層32を二次電鋳層38か
ら剥離(除去)することにより、図5(d)及び図3に示すようなマスク本体10を得た
。最後にマスク本体10に枠体11を接合することで、図2に示すようなマスク1を得る
ことができる。
二次電鋳層38、すなわちマスク本体10は、それ自体に内方に収縮する方向の応力が
作用するようなテンションを加えた状態で枠体11に支持した形態を採ることができる。
換言すれば、マスク本体10に張力を付与した状態で、該マスク本体10を枠体11で支
持しており、かかる形態は母型27から二次電鋳層38を剥離する前に、二次電鋳層38
(マスク本体10)と枠体11を接合することで実現できる。これによれば、周囲温度の
変化に伴うマスク本体10の膨張分を、当該収縮方向へのテンションで吸収することがで
きるので、ワーク3に対するマスク本体10の位置ズレを防ぐことができる。また、マス
ク本体10の全体に均一なテンションを与えることができるので、ワーク3に対して半田
ボール2を位置精度良く搭載させることができる。
以上のように、本実施例に係る配列用マスク1においては、半田ボール2が振り込まれ
る挿入孔12の開口縁を、平面視で角丸正四角形(角丸正多角形)に形成したので、枠体
11への接合時においてマスク本体10に張力が付与されたときにも、当該マスク本体1
0が破損することを効果的に防ぐことができる。すなわち、一般的にマスク本体10の張
力に由来して挿入孔12の開口縁に作用する応力は、挿入孔12の開口縁形状が急激に変
化する箇所に集中しやすく、例えば、挿入孔を正四角形状とした場合には、直角の角隅部
に応力が集中して、当該角隅部から破損しやすい。これに対して、本実施例のように、正
四角形のコーナー部が丸められた角丸正四角形に挿入孔12が形成されていると、従来の
四角形状の挿入孔の開口縁に比べて、コーナー部における開口縁形状の急激な変化を抑え
て、丸められたコーナー部に応力を分散して作用させることができる。従って、本実施例
によれば、四角形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて、張力が付与されたときにも
破損し難い配列用マスク1を得ることができる。応力集中によるボール挿入孔12の変形
に起因するマスク本体10(マスク1)のひずみを抑制して、配列用マスク1の平坦度を
維持できる利点もある。また、円形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて開口縁と半
田ボールとが接触する機会を少なくすることができるので、挿入孔12内によりスムーズ
に半田ボール2を落下させることが可能であり、配列用マスク1を使った半田ボール2の
搭載率の向上を図ることもできる。
また、本実施例においては、角丸正四角形のコーナー部に位置する四分円弧状(部分円
弧状)のアール部17と、当該角丸正四角形の辺部を構成して当該アール部17に接線接
続する直線部16とで、ボール挿入孔12の開口縁を構成したので、ボール挿入孔12の
開口縁をアール部17と直線部16とが滑らかに繋がるように構成することができる。こ
れにより、ボール挿入孔12の開口縁に応力が集中しやすい劣角状の屈曲部が形成される
のを解消できるので、応力集中による半田ボール2の配列用マスクの破損、および変形を
より効果的に防止できる。
仮想正四角形(仮想正多角形)18の辺寸法Dとコーナー直線部20の長さ寸法d1と
の関係を(d1<D/2)の不等式を満たすように構成すると、ボール挿入孔12の開口
縁が円形にならない範囲内でアール部17の曲率をできるだけ小さくして、コーナー部に
おいて充分に応力を分散させることができる。上記各実施例では、仮想正四角形18の辺
寸法Dとコーナー直線部20の長さ寸法d1との関係を(D/4≦d1≦D/3)の不等
式を満たすように構成している。これは、長さ寸法d1がD/4未満であると、アール部
17の曲率が大きいため、コーナー部において充分に応力を分散させることが困難となる
ことに拠る。また、長さ寸法d1がD/3を超えると、直線部16が充分に確保されず、
半田ボール2に傷が付きやすくなる。半田ボール2の搭載率の悪化も招く。
(実施例2) 図6に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例2を示す。本実
施例においては、スキージブラシ25の移動方向上流側(左辺側)に位置する二つのアー
ル部17a(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1a(d1)(アール部17aの
半径)を、スキージブラシ25の移動方向下流側(右辺側)に位置する二つのアール部1
7b(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1b(d1)(アール部17bの半径)
よりも小さく設定した点が先の実施例1と異なる。アール部17aの長さ寸法d1aはD
/4に設定し、アール部17bの長さ寸法d1bは、D/3に設定した。他は実施例1と
同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例におい
ても同じとする。
上記のような挿入孔12によれば、スキージブラシ25の移動方向の上流側に位置する
左辺部の直線部16の長さ寸法を大きくできる。これによれば、半田ボール2は平面視に
おいてその重心位置がボール挿入孔12上に位置したとき、該ボール挿入孔12に落ち込
もうとするので、スキージブラシ25の移動方向の上流側(左辺側)の直線部16の長さ
寸法を大きくすることで、ボール挿入孔12に半田ボール2を誘い込みやすくすることが
でき、半田ボール2の搭載率の向上を図ることができる。また、スキージブラシ25の移
動方向の下流側に位置する2つのアール部17bの長さ寸法d1bが大きい分、スキージ
ブラシ25がその移動方向の下流側に位置する右辺部で引っ掛かるのを抑制して、スキー
ジブラシ25がスムーズにボール挿入孔12上を通過できるようにすることができる。
(実施例3) 図7に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例3を示す。本実
施例においては、先の実施例2とは逆に、スキージブラシ25の移動方向上流側(左辺側
)に位置する二つのアール部17a(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1a(d
1)(アール部17aの半径)を、スキージブラシ25の移動方向下流側(右辺側)に位
置する二つのアール部17b(17)のコーナー直線部20の長さ寸法d1b(d1)(
アール部17bの半径)よりも大きく設定した。アール部17aの長さ寸法d1aはD/
3に設定し、アール部17bの長さ寸法d1bは、D/4に設定した。こうした挿入孔1
2によれば、挿入孔12に半田ボール2を素早く落とし込むことができる。詳しくは、挿
入孔12に落ち込む途中の半田ボール2の外面は、スキージブラシ25の移動方向下流側
の挿入孔12の内面に接触しつつ落ち込む。そのため、スキージブラシ25の移動方向下
流側の直線部16の長さ寸法を大きくすると、落ち込み途中における半田ボール2の外面
と、挿入孔12の内面との接触面積を小さくして、半田ボール2が落ち込むときに両者間
の摩擦によって落ち込み動作が制動されるのを抑えることができ、ボール挿入孔12に半
田ボール2を素早く落とし込むことができる。これにより、落ち込み途中の半田ボール2
がスキージブラシ25によってボール挿入孔12から掻き出されるのを抑制できる。
上記各実施例においては、直線部16とアール部17との接続部分は接線接続するよう
に構成したが、両者の接続部分に僅かに劣角状の角部が形成されていてもよい。この場合
には、応力集中を避けるために、当該角部の角度は180度に近づけることが望ましい。
各アール部17を四分円弧で構成したが、アール部17は四分楕円弧で構成することが
できる。この場合でも、アール部17に対して、隣り合う直線部16・16は接線接続と
なるように構成されて、アール部17と直線部16とが滑らかに繋がっていることが好ま
しい。この場合においても、コーナー直線部20の長さ寸法d1は、(D/4≦d1≦D
/3)の不等式を満たすものであることが好ましい。
スキージブラシ25の移動方向と直交する方向の一方側(前辺側)と他方側(後辺側)
とにおいて、コーナー直線部20の長さ寸法d1を変えることが可能である。また、挿入
孔12の各コーナー部で長さ寸法d1を異ならせてもよい。
図8は、挿入孔12の変形例を示している。図8(a)は、挿入孔12の開口縁を、平
面視で角丸正三角形(角丸正多角形)としたものであり、図8(b)は、挿入孔12の開
口縁を、平面視で角丸正五角形(角丸正多角形)としたものであり、図8(c)は、挿入
孔12の開口縁を、平面視で角丸正六角形(角丸正多角形)としたものである。これらの
変形例においても、部分円弧状に形成されたアール部17に対して、隣り合う直線部16
・16は接線接続となるように構成されており、アール部17と直線部16とは滑らかに
繋がっている。このように挿入孔12を形成する角丸正多角形は、上記各実施例に示した
角丸正四角形に限られない。
(実施例4) 図9に、本発明に係る半田ボールの配列用マスクの実施例4を示す。本実
施例においては、挿入孔12の開口縁が、正四角形(正多角形)の辺を構成する直線部4
1と、当該正四角形を構成する各頂点部42において外方向に向って膨出形成された部分
円弧部43とを有する、異形正四角形(異形正多角形)に形成した。部分円弧部43の半
径寸法Rは、挿入孔12の開口縁の形成する正四角形の辺の長さ寸法Lの1/8に設定さ
れており、直線部41と部分円弧部43との接続部分は部分円弧部43の半径寸法Rより
小さい半径寸法で丸められている。挿入孔12は、正四角形の前後辺である2つの直線部
41・41の伸び方向が、スキージブラシ25の移動方向(左右方向)と一致するものと
、正四角形の対向する2つの直線部41・41の伸び方向が、スキージブラシ25の移動
方向(左右方向)に対して45度傾斜するものとが、千鳥状に交互に配置されている。な
お、挿入孔12の開口縁を形成する正多角形は正四角形に限らず、例えば正三角形、正五
角形等であってもよい。また、部分円弧部43の半径寸法Rは、(L/8<R≦L/2)
の不等式を満たすように構成されていることが好ましい。
上記のような挿入孔12によれば、ボール挿入孔12のコーナー部において、応力が集
中しやすい劣角状の開口縁が形成されるのを解消できる。従って、本発明によれば、同角
数の多角形状のボール挿入孔の開口縁に比べて、コーナー部における開口縁形状の急激な
変化を抑えることができるので、丸められたコーナー部に応力を分散して作用させること
ができ、従って、多角形状のボール挿入孔を備えるマスクに比べて、張力が付与されたと
きにも破損し難い配列用マスクを得ることができる。円形状のボール挿入孔を備えるマス
クに比べて開口縁と半田ボールとが接触する機会を少なくすることができるので、挿入孔
12内によりスムーズに半田ボール2を落下させることが可能であり、半田ボール2の搭
載率の向上を図ることもできる。また、部分円弧部43が半田ボール2の誘い込み部とな
り、部分円弧部43上に至った半田ボール2を挿入孔12へと誘導することができる。こ
の時、部分円弧部43から直線部41にかけて下り傾斜する傾斜面を設けると、部分円弧
部43による挿入孔12への誘導機能をより効果的に発揮させることができる。なお、少
なくとも部分円弧部43で囲まれた領域は、有底状(非貫通)に形成されていてもよい。
(参考例) 上記各実施例における挿入孔12は、正多角形を開口縁の基準形状として構
成したが、開口縁の基準形状は長方形で構成することができる。また、凸多角形、凹多角
形、星形多角形などで構成することもできる。これらの場合における挿入孔12の開口縁
は、少なくとも1個の半田ボール2を落とし込める大きさに設定する。
1 配列用マスク
2 半田ボール
3 ワーク
12 ボール挿入孔
16 直線部
17 アール部
17a スキージの移動方向の上流側に位置するアール部
17b スキージの移動方向の下流側に位置するアール部
18 仮想正多角形(仮想正四角形)
19 頂点部
20 コーナー直線部
25 スキージ(スキージブラシ)
41 直線部
42 頂点部
43 部分円弧部
D 仮想正多角形の辺寸法
d1 コーナー直線部の長さ寸法
d1a アール部17aのコーナー直線部の長さ寸法
d1b アール部17bのコーナー直線部の長さ寸法

Claims (5)

  1. 所定の配列パターンに対応したボール挿入孔(12)を備え、当該ボール挿入孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むことで、ワーク(3)上の所定位置に半田ボール(2)を搭載する配列用マスクであって、
    ボール挿入孔(12)の開口縁は、部分円弧状のアール部(17)と、該アール部(17)に接線接続する直線部(16)とを有し、
    ボール挿入孔(12)内に半田ボール(2)を振り込むためのスキージ(25)の移動方向において、スキージ(25)移動方向の上流側と、スキージ(25)移動方向の下流側とで、アール部(17)の半径(r)が異なることを特徴とする配列用マスク。
  2. スキージ(25)移動方向の上流側に位置するアール部(17)の半径(r)は、スキージ(25)移動方向の下流側に位置するアール部(17)の半径(r)より小さいことを特徴とする請求項1に記載の配列用マスク。
  3. スキージ(25)移動方向の上流側に位置するアール部(17)の半径(r)は、スキージ(25)移動方向の下流側に位置するアール部(17)の半径(r)より大きいことを特徴とする請求項1に記載の配列用マスク。
  4. ボール挿入孔(12)の開口縁は、平面視で角丸四角形に形成されており、
    ボール挿入孔(12)の辺寸法において、アール部(17)が占める割合は、1/2未満であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の配列用マスク。
  5. ボール挿入孔(12)の開口縁は、平面視で角丸四角形に形成されており、
    ボール挿入孔(12)の辺寸法において、アール部(17)が占める割合は、1/4以上1/3以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の配列用マスク。
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