JP2022188961A - インキセット、印刷物、及び包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、分散性・保存安定性が良好であり、彩度の高い画像等を形成できるイソインドリン化合物を用いるイエローインキを含むインキセットの提供を目的とする。【解決手段】少なくとも、イエローインキ、シアンインキ、及びマゼンタインキを含むインキセットであって、イエローインキが、下式(1)で表されるイソインドリン化合物及び下式(2)で表されるイソインドリン化合物とバインダー樹脂とを含む、インキセット。なお、インキセットは、、グラビア印刷インキセット、またはグラビア印刷インキセットのいずれかに使用することが好ましい。【化1】TIFF2022188961000030.tif46170【選択図】なし

Description

本発明は、シアンインキ、イエローインキ、及びマゼンタインキを含むインキセットに関する。
印刷物及び包装材料に使用されるインキ用途の着色剤としては、主に顔料が使用されている。顔料は、無機顔料と有機顔料とに大別され、有機顔料は、一般的に、色の鮮明性及び着色力が無機顔料よりも優れる反面、耐候性及び耐熱性に劣る傾向にある。有機顔料は、例えば、アゾ顔料、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、アントラキノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、及びキナクリドン顔料などが知られている。
近年、環境影響の低減や安全衛生性担保の観点から、第一級芳香族アミンを含まない着色剤への関心が高まっている。黄色の色相を有する有機顔料としては、主にアゾ顔料が使用されているが、アゾ顔料には、使用されている原料、あるいは光又は熱による分解によって、成分中に第一級芳香族アミンが含まれることがある。そのため、近年では、環境適合性・安全衛生性の観点から、第一級芳香族アミンを含まないイソインドリン顔料が注目されている。
例えば、特許文献1は、プラスチックの着色用途に向けたイソインドリン顔料を開示している。また、特許文献2は、水、分散剤、及びイソインドリン顔料を含む、インクジェットインキ用の分散体を開示している。
しかし、従来のイソインドリン化合物を含む顔料組成物は、分散が難しく、かつ分散安定性が悪いという問題があった。すなわち、従来のイソインドリン顔料組成物を含むインキは保存安定性が悪く、それ故、インキセット全体での好適な使用期間が短くなってしまっていた。
これらの問題を解決するため、イソインドリン化合物に例えば色素誘導体を併用する方法が考えられるが、イソインドリン化合物は、色が異なる化合物を混ぜると、色調が不鮮明になりやすく、画像形成すると彩度が低下する問題があった。
特表2009-543917号公報 特開平10-140066号公報
本発明は、分散性・保存安定性が良好であり、彩度の高い画像等を形成できるイソインドリン化合物を用いるイエローインキを含むインキセットの提供を目的とする。
本発明のインキセットは、少なくとも、イエローインキ、シアンインキ、及びマゼンタインキを含むインキセットであって、
イエローインキが、下式(1)で表されるイソインドリン化合物及び下式(2)で表されるイソインドリン化合物とバインダー樹脂とを含む。
Figure 2022188961000001
[式中、R、Rは、水素原子を表し、
Aは、下式(3)又は下式(4)で表される基を表す。]
Figure 2022188961000002
[式中、Xは-O-又は-NH-を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表し、
、Rは水素原子を表す。]
上記の本発明によれば、分散性・保存安定性が良好であり、彩度の高い画像等を形成できるイソインドリン化合物を用いるイエローインキを含むインキセットを提供できる。
本発明のインキセットは、イエローインキ、シアンインキ、及びマゼンタインキを含むインキセットであって、イエローインキが、下式(1)で表されるイソインドリン化合物及び下式(2)で表されるイソインドリン化合物を含む顔料組成物とバインダー樹脂とを含むことを特徴とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」、及び「(メタ)アクリルアミド」の表記は、特に説明がない限り、それぞれ、「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」、及び「アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド」を表す。
<インキセット>
本発明のインキセットは、少なくとも、イエローインキ、シアンインキ、及びマゼンタインキを含むインキセットであって、
イエローインキが、下式(1)で表されるイソインドリン化合物及び下式(2)で表されるイソインドリン化合物とバインダー樹脂とを含む。
Figure 2022188961000003
[式中、R、Rは、水素原子を表し、
Aは、下式(3)又は下式(4)で表される基を表す。]
Figure 2022188961000004
[式中、Xは-O-又は-NH-を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表し、
、Rは水素原子を表す。]
本発明のインキセットは、さらに墨インキ(ブラックインキ)、白インキ(ホワイトインキ)、特色インキ等のその他インキを含有できる。
本発明のインキセットは、オフセット印刷インキ、フレキソ印刷インキ、グラビア印刷インキ、スクリーン印刷インキ、インクジェットインキ等の印刷インキセットに使用できる。これらの中でも包装材料に使用するグラビア印刷インキセットおよびインクジェット用インキセットが好ましく、グラビア印刷インキセットがより好ましい。
<イエローインキ>
本発明におけるイエローインキは、下式(1)で表されるイソインドリン化合物及び下式(2)で表されるイソインドリン化合物とバインダー樹脂とを含む。前記イエローインキは、上記の通り2種類のイソインドリン化合物を含むことで、従来、イソインドリン化合物の弱点であった分散性、保存安定性が向上する。
[イソインドリン化合物(1)]及び[イソインドリン化合物(2)]
以下、式(1)で表されるイソインドリン化合物をイソインドリン化合物(1)といい、式(2)で表されるイソインドリン化合物をイソインドリン化合物(2)という。
Figure 2022188961000005
式(2)中、R、及びRは、水素原子を表す。
Aは、下式(3)又は下式(4)で表される基を表す。
Figure 2022188961000006
式(3)中、Xは-O-又は-NH-を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表す。
式(4)中、R、及びRは水素原子を表す。
イエローインキは、イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を含有することで、耐候性および耐熱性に優れ、彩度の高い画像等を形成できる。さらに、水系分散において、経時安定性や分散性の優れた分散体を作製することができる。
これらの理由としてイソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)はともに、ケト-エノール互変異性をもつため分子間に適度に水素結合が形成し易いことで耐候性、耐熱性が向上したためと推測する。
イソインドリン化合物(2)単体ではバルビツール酸構造由来の非常に強い水素結合によって、顔料粒子が大きくなってしまうが、イソインドリン化合物(1)を含むことで、過剰な水素結合が緩和されることで結晶成長が抑制され、顔料粒子の肥大化を抑制できる。また、顔料組成物にするとイソインドリン化合物(1)は、単体では発色が弱いがイソインドリン化合物(2)との分子間相互作用によりイソインドリン化合物(2)の色相を低下させずに保持できる。これらの要因が重なり、より彩度の高い画像等を形成できると推測する。
顔料組成物を使用して経時安定性や分散性の優れた水系分散体を作製できる理由は、イソインドリン化合物(2)は、バルビツール酸残基により非常に親水性が高いため、分散剤よりも水との親和性が高く、分散剤が吸着できない。しかし、イソインドリン化合物(1)と併用するとイソインドリン化合物(2)の親水性を緩和し、分散剤が吸着できるため水系分散体を形成できると推測する。
イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)との質量比は、(1)/(2)=1/9999~3/7が好ましく、1/999~1/19がより好ましい。
上式(3)中、Xは、-O-又は-NH-を表しており、好ましくは-NH-である。
上式(3)中、Rにおけるアルキル基(-R)の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~4がさらに好ましく、炭素数1又は2のアルキル基が最も好ましい。
アルキル基は、直鎖構造、分岐構造、単環構造、又は縮合多環構造のいずれであってもよい。
特に限定されないが、アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、2-エチルヘキシル基、2-ヘキシルドデシル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、tert-オクチル基、ネオペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボロニル基、又は4-デシルシクロヘキシル基等が挙げられる。
上記アルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子などの他の置換基で置換されてもよい。すなわち、上記アルキル基は、フルオロアルキル基であってよく、パーフルオロアルキル基であってもよい。フルオロアルキル基は、例えば、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基が挙げられる。
上記アルキル基は、2以上のアルキル基(但し、一方はアルキレン基となる)が連結基を介して互いに結合した構造を有してもよい。連結基の具体例として、エステル結合(-COO-)、エーテル結合(-O-)、スルフィド結合(-S-)が挙げられる。すなわち、本明細書において、アルキル基は、例えば、「-R’-O-R」で表される基が挙げられる(R’は上記アルキル基から水素原子を1つ除いた原子団を表す)。具体例として、-C-O-Cが挙げられる。
上式(3)中、Rにおけるアリール基(-Ar)は、芳香族炭化水素から水素原子を1つ除いた原子団である。炭素数は6~30が好ましく、6~20がより好ましい。
上記アリール基は、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、クオーターフェニリル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、又はオバレニル基等が挙げられる。これらの中でもフェニル基が好ましい。
イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)は、それぞれ単独または2種類以上を併用して使用できる。
イソインドリン化合物(1)およびイソインドリン化合物(2)は、それぞれ、または一緒に、微細化処理を行い微細粒子に加工してから使用することが好ましく、一緒に処理することがより好ましい。微細化処理は、例えば、アシッドペースティングに代表される溶解析出法やソルベントソルトミリング、ドライミリング等が挙げられる。微細化後の顔料粒子径は、平均一次粒子径は、20~300nmが好ましく、50~150nmがより好ましい。なお、ソルベントソルトミリングの条件によっては、顔料粒子の粒子径が成長する場合もある。
イソインドリン化合物(1)およびイソインドリン化合物(2)を含む顔料組成物の製造方法を以下例示する。
(I)イソインドリン化合物(1)およびイソインドリン化合物(2)を一度に合成する方法(共合成法)、(II)分散体の作製時にイソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を混合する方法、(III)イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を一緒にアシッドペースティング法、アシッドスラリー法、ドライミリング法、ソルトミリング法、ソルベントソルトミリング法、ソルベント法(アルコールや芳香族溶媒などの高沸点溶媒中で加熱処理すること)等を用いて顔料化する方法、(IV)上記方法を組み合わせた方法。
これらの中でも好ましくは、(I)共合成法、(III)イソインドリン化合物(1)とイソインドリン化合物(2)を一緒にアシッドペースティング法、ソルベントソルトミリング法を用いて顔料化する方法、(IV)(I)と(III)とを組み合わせた方法である。
[イソインドリン化合物(1)の製造方法]
イソインドリン化合物(1)は、公知の合成手法で合成できる。例えば、下記スキーム1に示すように、式(6)で表されるフタロニトリル(以下、化合物(6)という)、又は式(7)で表される1,3-ジイミノイソインドリン(以下、化合物(7)という)を出発原料として合成できる。
以下、イソインドリン化合物(1)の具体例に沿って、合成方法を説明する。以下の説明では、各式で記載した番号を化合物の番号として記載する。
イソインドリン化合物(1)は、下記スキーム1に従って製造できる。
(スキーム1)
Figure 2022188961000007
スキーム1は、溶媒中、化合物(6)と塩基とを反応させて化合物(7)を得る第一工程(S1);次いで、水の存在下で、化合物(7)と、化合物(8)とを反応させる第二工程(S2);次いで、酢酸の存在下で、化合物(9)と、化合物(8)とを反応させる第三工程(S3)を含んでよい。スキーム1における各工程での反応温度は、10~100℃程度が好ましい。
第一工程(S1)に用いる溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及びグリコール等のアルコール;グリコールエーテル、及びテトラヒドロフラン等のエーテル;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドン等の非環状又は環状のアミドが挙げられる。これらの中でも、エーテル、もしくは非環状又は環状のアミドが好ましく、テトラヒドロフラン、ホルムアミドがより好ましい。
溶媒は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
溶媒の使用量は、化合物(6)の100質量部に対して、5~15倍の量が好ましく、5~10倍の量がより好ましい。
塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属、アルカリ金属アミド、アルカリ金属水素化物;及び炭素数1~10のアルキル鎖、又はアルキレン鎖を有する第1級、第2級又は第3級脂肪族アルコール由来の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属アルコキシドが挙げられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム、又は炭酸カリウムが好ましい。
また、他の合成法として、イソインドリン化合物(1)は、例えば、下記スキーム2に従って製造できる。
(スキーム2)
Figure 2022188961000008
スキーム2は、アンモニア水溶液の存在下で、化合物(7)と、化合物(8)とを反応させる第二工程(S2);次いで、酢酸の存在下で、化合物(9)と、化合物(8)と反応させる第三工程(S3)を含んでよい。
スキーム2の第二工程(S2)において、アンモニア水溶液の使用量は、28%アンモニア水溶液を用いる場合、化合物(7)の100質量部に対して、1~20倍の量が好ましく、1~5倍の量がより好ましい。
また、スキーム2は酢酸の存在下で化合物(7)と化合物(8)、化合物(9)と化合物(8)とを連続して反応される工程を含んでもよい。
いずれの場合も、スキーム2における各工程での反応温度は、10~100℃程度が好ましい。
[イソインドリン化合物(2)の製造方法]
イソインドリン化合物(2)は公知の方法で合成できる。例えば、特開昭55-157657、特開昭56-081369、特開昭57-035565、特開平03-153761、特開昭60-058469等が挙げられる。
イソインドリン化合物(2)の好ましい構造として化合物(10)~(13)を例示する。なお、イソインドリン化合物(2)が以下に限定されないことはいうまでもない。
Figure 2022188961000009
イエローインキは、必要に応じて、他の着色剤を含有できる。
イエローインキ中における、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)の含有量は、イエローインキ中、1~60質量%が好ましく、4~20質量%がより好ましい。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂は、例えば、ポリウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロースエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、ブチラール、石油樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
バインダー樹脂の含有量は、イエローインキ中、4~25質量%が好ましく、6~20質量%がより好ましい。
イエローインキは、さらに他の顔料、樹脂、有機溶剤、その他必要に応じて顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤等の添加剤を含有できる。
<シアンインキ>
本発明におけるシアンインキは、シアン色が得られるインキであり、単独または2種類以上の顔料を併用する顔料、およびバインダー樹脂を含む。なお、バインダー樹脂は、既に説明した樹脂を使用できる。
<マゼンタインキ>
本発明におけるマゼンタインキは、マゼンタ色が得られるインキであり、単独または2種類以上の顔料を併用する顔料、およびバインダー樹脂を含む。なお、バインダー樹脂は、既に説明した樹脂を使用できる。
<顔料>
本発明のインキセットを構成する各インキに使用する顔料は、有機顔料、無機顔料が挙げられる。本明細書では、例えば、以下の顔料を使用できる。
[有機顔料]
顔料は、有機顔料が好ましい。有機顔料は、例えば、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系等が挙げられる。
有機顔料として好ましくは、藍色顔料、赤色顔料、及び黄色顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種である。
以下に限定されないが、好適な顔料の例を、C.I.ピグメントナンバーで示す。
藍色顔料は、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60等が挙げられる。また、アルミニウムフタロシアニン(化合物(19))や、チタニルフタロシアニン(化合物(20))などのフタロシアニン顔料も挙げられる。
シアンインキは、上記藍色顔料を含むことが好ましい。これらの中でもC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4及びC.I.ピグメントブルー16がより好ましい。
Figure 2022188961000010
赤色顔料は、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
マゼンタインキは、上記赤色顔料を含むことが好ましい。これらの中でもC.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド185、及びC.I.ピグメントバイオレット19がより好ましい。
黄色顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー234等が挙げられる。
本発明のインキセットを構成するイエローインキに用いる場合、上記黄色顔料を含んでもよい。
紫色顔料は、例えば、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37等が挙げられる。
緑色顔料は、例えば、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
橙色顔料は、例えば、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64等が挙げられる。
特色インキとしては、シアン、マゼンタ、イエロー以外の、紫、草、朱などのインキが挙げられ、上記の紫色顔料、緑色顔料、橙色顔料等を含むことが好ましい。
本発明のインキセットは、例えば、シアンインキにはC.I.ピグメントブルー16、マゼンタインキにはC.I.ピグメントバイオレット19及びC.I.ピグメントレッド122の1種以上を含むことが好ましい。上記顔料を含むことで、インキの環境適合性や安全衛生性を向上できる。
[無機顔料]
無機顔料は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、リトボン、アンチモンホワイト、石膏等の白色無機顔料、カーボンブラック、鉄黒、銅・クロム複合酸化物等の黒色無機顔料、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、ジルコン等が挙げられる。
墨インキ(ブラックインキ)には、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性に優れる観点から、カーボンブラックを使用することが好ましく、例えば、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。また、白インキ(ホワイトインキ)には、着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性に優れる観点から、酸化チタンを使用することが好ましい。酸化チタンは、印刷性能の観点から、シリカ及び/又はアルミナで表面処理されているものが好ましい。
各インキは、目的の色調を得るため、顔料を単独または2種類以上併用して使用できる。
顔料の平均一次粒子径は、好ましくは10~200nmの範囲であり、より好ましくは50~150nmの範囲である。
インキ中の顔料の含有量は、インキの濃度・着色力を確保するために、インキの質量を基準として、好ましくは1~60質量%の範囲であり、インキの不揮発分質量を基準として、好ましくは10~90質量%の範囲である。
<インキの製造>
本発明におけるシアン、イエロー、マゼンタの各色インキは、例えば、所定の顔料を含む着色剤、及びバインダー樹脂を、溶媒(例えば、水、有機溶剤等)と共に分散することで製造できる。具体的には、顔料、バインダー樹脂溶液、必要に応じて顔料分散剤等を加え混合・分散して顔料分散体を製造し、次いで、得られた顔料分散体に、必要に応じて他の添加剤等を配合することにより製造することができる。
顔料分散体における顔料の粒度分布は、分散機の粉砕メディアのサイズ、粉砕メディアの充填率、分散処理時間、顔料分散体の吐出速度、顔料分散体の粘度などを調節することにより調整することができる。分散機は、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミル等が挙げられる。分散処理後、必要に応じてろ過を行うことができる。
<グラビア印刷インキセット>
本発明のグラビア印刷インキセットは、上記インキセットを含むことが好ましい。
[ポリウレタン樹脂]
本発明のグラビア印刷インキセットにおけるバインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂が好ましい。なお、ポリウレタン樹脂は、ポリウレタンウレア樹脂を含む。
ポリウレタン樹脂の合成は、例えば、(1)ポリオールとジイソシアネート化合物とをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成する。次いで溶剤中でイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに前記アミノ基を有する鎖伸長剤及び/又は末端封鎖剤と反応させて合成する二段法、(2)ポリプロピレングリコール、ポリオール、ジイソシアネート化合物、ならびにアミノ基を有する鎖伸長剤及び/又は末端封鎖剤を、適切な溶剤中で一度に反応させる一段法等が挙げられる。
合成に使用する溶剤は、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノールなどのアルコール系溶剤;メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤;あるいはこれらの混合溶剤;が挙げられる。
これらの方法の中でも、より均一なポリウレタン樹脂が得られるという観点から、好ましくは二段法である。ポリウレタン樹脂を二段法で製造する場合、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基と、鎖伸長剤及び末端封鎖剤のアミノ基との当量比(イソシアネート基のモル/アミノ基のモル)は、1/1.3~1/0.9が好ましい。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/1.3以上であると、未反応のまま残存する鎖伸長剤及び/又は末端封鎖剤が低減し、ポリウレタン樹脂の黄変、及び印刷後臭気を抑制することができる。イソシアネート基とアミノ基との当量比が1/0.9以下であると、得られるポリウレタン樹脂の分子量が適切となり、印刷後に好適な膜強度をもたらす樹脂を得ることができる。
上記ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは、15,000~100,000の範囲である。ポリウレタン樹脂の重量平均分子量が15,000以上であると、インキの耐ブロッキング性、印刷被膜の強度、及び耐油性に優れ、100,000以下であると、得られるインキの粘度が適切な範囲となり、印刷被膜の光沢に優れる。
また、上記ポリウレタン樹脂は、印刷適性及びラミネート強度の観点からアミン価を有するものが好ましい。アミン価は0.5~20mgKOH/gが好ましく、1~15mgKOH/gがより好ましい。
各色インキ中における、バインダー樹脂の含有量は、各インキ中、好ましくは4~25質量%であり、より好ましくは6~20質量%の範囲である。
[有機溶剤]
本発明のグラビア印刷インキセットに使用する有機溶剤は、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等エステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールなどのアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤;が挙げられる。これらの有機溶剤は、2種以上を混合して使用することが好ましい。
グラビア印刷インキセットにおいては、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との質量比(エステル系有機溶剤の質量:アルコール系有機溶剤の質量)は、好ましくは95:5~40:60であり、より好ましくは90:10~50:50である。
各色インキ中における、有機溶剤の含有率は、インキの質量を基準として、好ましくは60~90質量%であり、より好ましくは70~85質量%の範囲である。
各色インキの粘度は、顔料の沈降を防ぎ適度に分散させる観点から好ましくは10mPa・s以上であり、インキ製造時や印刷時の作業性効率の観点から好ましくは1,000mPa・s以下である。尚、上記粘度は、トキメック社製B型粘度計で25℃において測定された値である。
[水]
本発明のグラビア印刷インキセットは、さらに、水を含むことができる。所定量の水を含むことで、ポリウレタン樹脂による顔料分散性が向上し、ハイライト転移性、版かぶり性、トラッピング性等の印刷適性が向上する。
水の含有率は、グラビアインキの質量を基準として、好ましくは0.1~10質量%であり、より好ましくは0.5~7質量%であり、さらに好ましくは0.5~5質量%であり、特に好ましくは0.5~4質量%である。
[シリカ粒子]
本発明のグラビア印刷インキセットは、さらに、シリカ粒子を含むことができる。シリカ粒子を含むことで、重ね印刷時のインキの濡れ・広がりが促進され、トラッピング性が向上し、ハイライト転移性も維持される。
シリカ粒子は、天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のものが挙げられる。シリカ粒子の合成法は、乾式、湿式法があり、乾式法では燃焼法、アーク法、湿式法では沈降法、ゲル法が知られており、いずれの方法で合成されたものでもよい。また、シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでもよいし、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでもよい。好ましくは親水性シリカである。
このようなシリカ粒子は、例えば、東ソー・シリカ社製のニップジェルシリーズ、ニップシルシリーズ、水澤化学社製のミズカシルシリーズが挙げられる。
シリカ粒子は、インキ層の表面に凹凸を作るため、平均粒子径が1~10μmであることが好ましい。より好ましくは1~8μmであり、さらに好ましくは1~6μmである。シリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布における積算値50%(D50)での粒径を意味し、コールターカウンター法によって求めることができる。
シリカ粒子の比表面積は、BET法で50~600m/gであることが好ましい。より好ましくは100~450m/gである。本発明のグラビアインキで使用するシリカ粒子は、平均粒子径又はBET法比表面積の異なるものを2種以上組み合わせて使用できる。
シリカ粒子の含有率は、グラビアインキの質量を基準として、好ましくは0.1~3質量%であり、より好ましくは0.2~2.5質量%であり、さらに好ましくは0.2~2質量%であり、特に好ましくは0.2~1.5質量%である。
[その他添加剤]
本発明のグラビア印刷インキセットは、必要に応じて、体質顔料、顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤等のその他添加剤を含むことができる。
<クリアインキ>
本発明のグラビア印刷インキセットは、さらにクリアインキを含有できる。当該クリアインキから形成する脱離層は、アルカリ水溶液で中和され、溶解又は膨潤することにより、基材から剥離する機能を有する。
上記アルカリ水溶液に使用する塩基性化合物は、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、アンモニア、水酸化バリウム(Ba(OH))、炭酸ナトリウム(NaCO)が挙げられる。より好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
なお、本明細書において、アルカリ水溶液で中和し、溶解又は膨潤する工程を「アルカリ処理」と言う場合がある。また、アルカリ処理により脱離性を有する層を「脱離層」と言う場合がある。すなわち、当該クリアインキにより形成される印刷層は、脱離性を有する層(脱離層)に該当する。
[カルボキシ基含有樹脂]
クリアインキは、カルボキシ基含有樹脂を含有することが好ましい。例えば、色インキより前に基材層上に印刷するプライマー組成物として機能する。
前記カルボキシ基含有樹脂は、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、セルロースが挙げられる。これらの中でも、ラミネート適性が良好であることから、ウレタン樹脂が好ましい。
カルボキシ基含有ウレタン樹脂の水酸基価は、好ましくは1~35mgKOH/gであり、より好ましくは10~30mgKOH/gである。1mgKOH/g以上であると、アルカリ水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、35mgKOH/g以下であると、基材密着性が良好となるため好ましい。
カルボキシ基含有ウレタン樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上であり、より好ましくは15~70mgKOH/gであり、さらに好ましくは20~50mgKOH/gである。15mgKOH/g以上であると、アルカリ水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、70mgKOH/gであると、基材密着性や包装材料とした際の耐レトルト性が良好となるため好ましい。なお、水酸基価及び酸価は、いずれもJISK0070に従って測定した値である。
カルボキシ基含有ウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000~100,000であり、より好ましくは15,000~70,000であり、さらに好ましくは15,000~50,000である。
カルボキシ基含有ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、6以下であることが好ましい。分子量分布が6以下である場合、過剰な高分子量成分及び、未反応成分、副反応成分その他の低分子量成分に起因する影響を回避することができ、脱離性、プライマー組成物の乾燥性、耐レトルト適性が良好となる。
また、分子量分布が小さい、即ち分子量分布がシャープであるほど、アルカリ水溶液による溶解・剥離作用が均一に起こり、脱離性が向上するため好ましい。分子量分布は、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは4以下である。また、分子量分布は1.5以上が好ましく、より好ましくは1.2以上である。
上記カルボキシ基含有ウレタン樹脂はアミン価を有していてもよい。カルボキシ基含有ウレタン樹脂がアミン価を有する場合、アミン価は0.1~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~10mgKOH/gである。
カルボキシ基含有ウレタン樹脂は特に制限されず、例えば、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートを反応させてなる樹脂であることが好ましい。ヒドロキシ酸を使用することで、ウレタン樹脂に酸価を付与することができ、脱離性を向上させることができる。より好ましくは、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートを反応させてなる樹脂に、さらに、ポリアミンを反応させてなる樹脂である。
クリアインキは、さらに硬化成分としてポリイソシアネートを含有してもよい。ポリイソシアネートは特に制限されず、従来公知のポリイソシアネートから選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
また、クリアインキは、カルボキシ基含有樹脂、ポリイソシアネート以外のその他成分を含有してもよく、前述のシアン、イエロー、マゼンタの各色インキと同様に、有機溶剤、ブロッキング防止剤等の添加剤を配合することができる。
<インクジェット用インキセット>
本発明のインクジェット用インキセットは、上記インキセットを含むことが好ましい。本発明のインクジェット用インキセットを構成するインクジェットインキは、顔料、およびバインダー樹脂を含有し、必要に応じて溶剤を含有することが好ましい。インクジェットインキは、溶剤有無やその種類により、(溶剤系)インクジェットインキ、水性インクジェットインキ、無溶剤インクジェットインキに大別できる。本明細書では、イソインドリン化合物(1)及びイソインドリン化合物(2)の良好な分散性が活きる水性インクジェットインキが好ましい。以下、水性インクジェットインキを中心に説明する。
顔料の含有量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.5~30質量%が好ましく、1~15質量%がより好ましい。
水性インクジェットインキで使用するバインダー樹脂は、被印刷物(基材)に対するインキの定着性を得るために重要である。
バインダー樹脂の種類は、例えば、アクリル系樹脂、スチレン-アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。また、バインダー樹脂の形態は、水溶性樹脂、エマルション粒子等が挙げられる。これらの中でも、エマルション粒子が好ましい。エマルション粒子は、単一組成粒子、コアシェル型粒子等があり任意に選択して使用できる。エマルション粒子を使用すると水性インクジェットインキの低粘度化が容易であり、耐水性に優れた記録物が容易に得られる。樹脂は、必要に応じて、アンモニア、各種アミン、各種無機アルカリ等のpH調製剤によって酸性官能基を中和して使用できる。
バインダー樹脂の含有量は、インクジェットインキの不揮発分100質量%中、2~30質量%が好ましく、3~20質量%がより好ましい。適度に含有すると吐出安定性が向上し、定着性も向上する。
溶剤は、非水溶性溶剤、水、水溶性溶剤が挙げられる。水溶性溶剤は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ケトンアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1,2-ヘキサンジオール、N-メチル-2-ピロリドン、置換ピロリドン、2,4,6-ヘキサントリオール、テトラフルフリルアルコール、4-メトキシ-4メチルペンタノン等が挙げられる。
これらの水溶性溶剤は、沸点が高く、湿潤剤としても作用し、特に水性インクジェットインキのプリンターヘッドにおけるノズル部分での乾燥・固化を防止してインキの吐出安定性を得るために作用する。また、水溶性溶剤は、コート紙、アート紙や塩化ビニルシート、フィルム、布帛といった低吸液性や非吸液性の基材に対しても浸透が速く、印刷時の乾燥を速め、正確な印字を得るために作用する。
水を含む水溶性溶剤の含有量は、インクジェットインキ100質量%中、15~50質量%が好ましい。
インクジェットインキは、さらに添加剤を含有できる。添加剤は、例えば、表面張力調整剤、乾燥促進剤、浸透剤、防腐剤、キレート剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤が挙げられる。
表面張力調整剤は、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン、ノニオン、カチオン、ベタイン系界面活性剤が挙げられる。更には、上記高分子物質(高分子分散剤)を界面活性剤としても使用することもできる。表面張力調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、インクの表面張力を20~60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20~45mN/m、更に好ましくは25~40mN/mに調整できる量である。
アニオン系界面活性剤は、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテ硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、t-オクチルフェノキシエトキシポリエトキシエチル硫酸ナトリウム塩等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、t-オクチルフェノキシエチルポリエトキシエタノール、ノニルフェノキシエチルポリエトキシエタノール等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、具体的には、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2-ヘプタデセニル-ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
表面張力調整剤の含有量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.1質量%以上が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。
表面張力調整剤は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
乾燥促進剤は、水性インクジェットインキの印字後の乾燥を速めるために使用する。乾燥促進剤は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールが挙げられる。乾燥促進剤の含有量は、水性インクジェットインキ100質量%中、1~50質量%が好ましい。
浸透剤は、基材が紙のような浸透性の素材である場合、基材へのインキの浸透を促進し、見掛けの乾燥性を早くするために使用する。浸透剤は、水溶性溶剤に加え、ポリエチレングリコールモノラウリルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等の界面活性剤等が挙げられる。浸透剤の使用量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.1~5質量%が好ましい。適量使用すると印字の滲み、及びインキの紙抜け等が生じ難い。
防腐剤は、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン-1-オキサイド、ジンクピリジンチオン-1-オキサイド、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、1-ベンズイソチアゾリン-3-オンのアミン塩等が挙げられる。防腐剤の使用量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.05~1.0質量%が好ましい。
キレート剤は、水性インクジェットインキ中に含まれる金属イオンを捕捉し、ノズル部又はインキ中における不溶性物の析出を防止するために使用する。キレート剤は、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸のジアンモニウム塩、エチレンジアミン四酢酸のテトラアンモニウム塩等が挙げられる。キレート剤の使用量は、水性インクジェットインキ100質量%中、0.005~0.5質量%が好ましい。
pH調整剤は、例えば、各種アミン、無機塩、アンモニア、各種緩衝液等が挙げられる。
インクジェットインキは、各材料を配合して、混合して作製する。混合は、例えば、撹拌機、分散機、乳化機等が挙げられる。各材料の添加順序、及び混合方法は任意である。
インクジェットインキは、混合後、濾過や遠心分離を行い粗大粒子を除去することが好ましい。これによりインクジェットプリンターからの吐出性が良好となる。濾過や遠心分離は、公知の方法を使用できる。
本明細書のインクジェットインキは、各種のインクジェット方式を使用できる。インクジェット方式としては、例えば、荷電制御型、スプレー型等の連続噴射型、ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式等が挙げられる。
<印刷物>
本発明の印刷物は、基材、およびグラビア印刷インキセットから形成された印刷層を含む。前記印刷層は、シアンインキ、イエローインキ、マゼンタインキを基材上に印刷して形成する。
グラビア印刷の方式は特に制限されず、公知の方式から適宜選択できる。グラビア印刷の方式は、表刷り印刷と裏刷り印刷に大別され、例えば、表刷り印刷において基材が白色紙や白色フィルムである場合、基材上に、イエローインキ、マゼンタインキ、シアンインキ、ブラックインキの順で印刷を行うことで、印刷物を得ることができる。
また、例えば、裏刷り印刷で基材が透明フィルムである場合、基材上に、ブラックインキ、シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキ、白インキの順で印刷を行うことで、印刷物を得ることができる。
本発明のインキセットがクリアインキを含む場合、該クリアインキは、色インキより前に基材上に印刷されることが好ましい。
印刷層の厚みは、用途、使用するインキの種類や数、及び重ね印刷の回数によって適宜選択できるが、通常、0.5~10μmの範囲である。
[基材]
基材は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材;ポリカーボネート基材;ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル基材;ポリスチレン基材;AS、ABS等のポリスチレン系樹脂;ナイロン等のポリアミド基材;ポリ塩化ビニル基材;ポリ塩化ビニリデン基材;セロハン基材;紙基材;アルミニウム箔基材;これらの複合材料からなる複合基材;が挙げられる。基材は、フィルム状、シート状のいずれであってもよい。中でも、ガラス転移点が高いポリエステル基材、ポリアミド基材が好適に用いられる。
上記基材の表面は、金属酸化物等が蒸着処理されていてもよく、ポリビニルアルコール等がコート処理されていてもよい。このような表面処理された基材は、例えば、酸化アルミニウムを表面に蒸着させた凸版印刷社製GL-AE、大日本印刷社製IB-PET-PXBが挙げられる。基材は、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤などの添加剤を処理されていてもよく、コロナ処理又は低温プラズマ処理されていてもよい。
[脱離層]
本発明の印刷物は、脱離層を含有できる。ここで「脱離層」とは、アルカリ水溶液で中和され、溶解又は膨潤することにより、基材から剥離する性質を有する者を指す。脱離性を有する層は、前述するクリアインキから形成される層が好ましいが、それ以外の層が脱離層であってもよい。
脱離性を有する層の厚みは、特に制限されず、通常、0.5~5μmの範囲である。
<包装材料>
本発明の包装材料は、少なくともその一部に印刷物を含む。包装材料は、例えば、印刷物、接着剤層、およびシーラント基材を順次積層する構成が挙げられる。包装材料は、四方シール包装体、三方シール包装体、ピロー包装体、スティック袋、ガセット袋、角底袋、スタンディングパウチ、深絞り容器、真空包装体、スキンパック、チャック袋、スパウトパウチ、ひねり包装、包み包装、シュリンク包装、ラベル、液体紙パック、紙トレー等の様々な形状を有する包装体に好適に用いることができる。
包装材料の被包装物は、例えば食料品(例えば、米穀、菓子、調味料、食用油脂、調理食品等)、飲料(例えば、アルコール飲料、清涼飲料水、ミネラルウオーター等)、生活・文化用品(例えば、医薬品、化粧品、文具等)、電子部品等が挙げられる。
[接着剤層]
上記接着剤層の形成に使用できる接着成分は、ラミネート接着剤、ホットメルト接着剤に加え、熱可塑性樹脂が挙げられる。接着成分のうちラミネート接着剤、ホットメルト接着剤は、例えば、ポリエーテル系接着剤;ポリウレタン系接着剤;エポキシ系接着剤;ポリ酢酸ビニル系接着剤;セルロース系接着剤;(メタ)アクリル系接着剤;が挙げられる。これらの接着成分の中でも、ポリウレタン系接着剤が好ましく用いられる。
接着成分は、単独または2種類以上を併用して使用できる。
上記ポリウレタン系接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であり、脱離性を有するものであってもよい。脱離性を有するポリウレタン接着剤は、例えば、特開2020-084130号公報に記載のラミネート接着剤が挙げられる。
このような脱離性を有するポリウレタン接着剤は、酸価が、5~45mgKOH/gであることが好ましい。また、ポリウレタン系接着剤を構成するポリオールがポリエステルポリオールを含み、ポリイソシアネートが脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる一種を含むことが好ましい。
接着剤層の厚みは、通常1~6μmの範囲である。
[シーラント基材]
シーラント基材は、ラミネートフィルムの最内層を構成する基材であり、熱によって相互に融着し得る(ヒートシール性を有する)樹脂材料が使用される。上記シーラント基材としては、無延伸ポリプロピレン(CPP)、蒸着無延伸ポリプロピレンフィルム(VMCPP)、低密度ポリエチレン(LDPE)、リニアー低密度ポリエチレン(LLDPE)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等が挙げられる。
シーラント基材の厚みは特に限定されないが、包装材料への加工性やヒートシール性等を考慮して10~200μmの範囲が好ましく、15~150μmの範囲がより好ましい。また、シーラント基材に高低差5~20μmの凸凹を設けることで、シーラント基材に滑り性や包装材料の引き裂き性を付与することが可能である。
また、シーラント基材を積層する方法は、特に限定されない。例えば、接着剤層とシーラント基材フィルムとを熱によってラミネートする方法(熱ラミネート、ドライラミネート)や、シーラント基材樹脂を溶融させて接着剤層上に押出し、冷却固化させて積層する方法(押出ラミネーション法)等が挙げられる。
以下の実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下「部」は「質量部」、「%」は「質量%」である。
<アミン価の測定>
アミン価は、不揮発分試料1gを中和するのに要する酸と当量の水酸化カリウムのmg数であり、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって当量点までの滴定量を求めた後、滴定量から算出された値である。
<分子量及び分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、以下の条件でGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製 Shodex LF-404 2本
昭和電工社製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
<酸価及び水酸基価>
酸価及び水酸基価は、JIS K 0070(1992)に記載の方法に従って測定した。
<イソインドリン化合物の製造>
(製造例1-1)
(工程1)
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した4口フラスコに、水800部、1,3-ジイミノイソインドリン60部、28%アンモニア水120部の順に加え、撹拌した。そこへ2-シアノ-N-メチルアセトアミド42.58部を水160部に溶解させた溶液を、滴下漏斗を使用して30分間で滴下した。30℃にて原料の1,3-ジイミノイソインドリンが消失するまで加熱撹拌した。この反応スラリーを、ブフナー漏斗を用いてろ別した。さらに、ろ物を水1600部に加え、40℃にて30分攪拌し未反応の2-シアノ-N-メチルアセトアミドを取り除いた。そのスラリーをろ別し不揮発分を得た。なお、1,3-ジイミノイソインドリンの消失はUPLC(超高速高分離液体クロマトグラフィ Waters社製)にて確認した。
(工程2)
還流冷却管、滴下漏斗及び、撹拌機を具備した4口フラスコに、上記不揮発分60部相当、水480部、80%酢酸162部を加え、撹拌した。一方で、ガラス製フラスコに、水461部、80%酢酸194部を加え、そこへ2-シアノ-N-メチルアセトアミド6.72部、バルビツール酸31.97部を加え、65℃にて撹拌した。この混合物の加熱溶液を上記不揮発分の撹拌液の中に投入し、さらに反応を完結させるために85℃まで昇温し撹拌を行った。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。
その後、室温まで冷却後、水2400部で3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、イソインドリン化合物[1-1]を85.03部得た。
(製造例1-2~1-5)
製造例1-1の工程2において、2-シアノ-N-メチルアセトアミドを表1の仕込みにそれぞれ変更し、表1記載の原料A、仕込み量にそれぞれ変更した以外は製造例1-1と同様に合成し、表1のとおりの量を得た。
Figure 2022188961000011
製造例1-1~1-5で得られたイソインドリン化合物に含まれる構造を表2に示す。なお、表2中、(1)はイソインドリン化合物(1)、(2)はイソインドリン化合物(2)を示す。
Figure 2022188961000012
得られたイソインドリン化合物の同定は、マススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数(理論値)とを比較することによって実施した。マススペクトラムの分子イオンピークの測定は、Waters社のACQUITY UPLS H-Class(使用カラム:ACQUITY UPLC BEH C18 Column 130Å、1.7μm、2.1mm×50mm)/Ms TAP XEVO TQDを用いて実施した。イソインドリン化合物(製造例1-1~1-5)について、理論分子量と、それぞれ質量分析を行った測定値を表2に示す。測定値は測定の性質上、化合物のH(プロトン)が脱離するため、理論分子量の質量数-(マイナス)1の値であれば、化合物が一致することになる。
(製造例2-1)
還流冷却管、滴下漏斗、及び撹拌機を具備した4口フラスコに、水800部、1,3-ジイミノイソインドリン60部、28%アンモニア水120部の順に加え、撹拌した。そこへ2-シアノ-N-メチルアセトアミド42.58部を水160部に溶解させた溶液を、滴下漏斗を使用して30分間で滴下した。30℃にて原料の1,3-ジイミノイソインドリンが消失するまで加熱撹拌した。この反応スラリーを、ブフナー漏斗を用いてろ別した。さらに、ろ物を水1600部に加え、40℃にて30分攪拌した。そのスラリーをろ別し不揮発分を得た。なお、原料の消失はUPLC(超高速高分離液体クロマトグラフィ Waters社製)にて確認した。
次いで、還流冷却管、滴下漏斗及び、撹拌機を具備した4口フラスコに、上記不揮発分60部相当、水480部、80%酢酸162部を加え、撹拌した。一方で、ガラス製フラスコに、水461部、80%酢酸194部を加え、そこへバルビツール酸40.74部を加え、65℃にて撹拌した。この混合物の加熱溶液を上記不揮発分の撹拌液の中に投入し、さらに反応を完結させるために85℃まで昇温し撹拌を行った。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。
その後、室温まで冷却後、水2400部にて3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、イソインドリン化合物[2-1]を84.91部得た。
(製造例2-2~2-5)
1,3-ジイミノイソインドリンの代わりに表3記載の原料Bにそれぞれ変更し、2-シアノ-N-メチルアセトアミド42.58部の代わりに表3記載の原料C、仕込み量にそれぞれ変更し、バルビツール酸40.74部の代わりに表3記載の原料D、仕込み量にそれぞれ変更した以外は製造例2-1と同様に合成し、表4のとおりのイソインドリン化合物、および生成量を得た。
得られたイソインドリン化合物の同定は、上記同様にマススペクトラムの分子イオンピークと、計算によって得られる質量数(理論値)とを比較することによって実施した。
Figure 2022188961000013
Figure 2022188961000014
(製造例3-1)
還流冷却管、滴下漏斗及び、撹拌機を具備した4口フラスコに、水800部、80%酢酸800部を加え、撹拌した。そこへ2-シアノ-N-メチルアセトアミド9.72部、バルビツール酸50.79部を加え、65℃にて撹拌し、2-シアノ-N-メチルアセトアミド及びバルビツール酸を溶解させた。一方で、ガラス製フラスコに、水800部、1,3-ジイミノイソインドリン60.00部を加え、30℃にて撹拌した。この撹拌液を上記加熱溶解液の中に投入し、さらに反応を完結させるために85℃まで昇温し撹拌を行った。加熱撹拌は、原料として使用した上記不揮発分が消失するまで行った。原料の消失はUPLCにて確認した。
その後、室温まで冷却後、水2000部にて3回洗浄を行い、不揮発分を得た。この不揮発分を80℃の熱風乾燥機にて乾燥させ、表5に示すイソインドリン化合物[3-1]を139.46部得た。
(製造例3-2~3-3)
2-シアノ-N-メチルアセトアミド9.72部を表5記載の原料Eのとおりの仕込み量にそれぞれ変更し、表5記載の原料F、仕込み量にそれぞれ変更した以外は製造例3-1と同様に合成し、表6に示す化合物を表5のとおりの量を得た。なお、表6中、(1)はイソインドリン化合物(1)を示し、(2)-1および(2)-2はイソインドリン化合物(2)を示す。
(製造例4-1~4-2)
2-シアノ-N-メチルアセトアミド9.72部、バルビツール酸50.79部の代わりに表5記載の原料E、仕込み量にそれぞれ変更した以外は製造例3-1と同様に合成し、表6に示す化合物を表5のとおりの量を得た。
Figure 2022188961000015
Figure 2022188961000016
(製造例5-1)
イソインドリン化合物[4-2]1部、イソインドリン化合物[2-1]99部、塩化ナトリウム1000部、及びジエチレングリコール150部を、ステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)中に仕込み、60℃で8時間混練した。次に、混練した混合物を約70℃の温水に投入し、1時間攪拌してスラリー状として、濾過及び水洗をして食塩及びジエチレングリコールを除いた後、80℃で一昼夜乾燥させ、粉砕することにより微細化されたイソインドリン化合物[5-1]95部を得た。
(製造例5-2、製造例6-1~6-4)
イソインドリン化合物[4-2]1部を表7記載の原料G、仕込み量にそれぞれ変更し、イソインドリン化合物[2-1]99部を表7記載の原料H、仕込み量にそれぞれ変更した以外は、製造例5-1と同様にして、イソインドリン化合物[5-2]、[6-1]~[6-4]を表7記載の量を得た。
(製造例5-3)
イソインドリン化合物[4-2]1部とイソインドリン化合物[2-1]99部を、表6記載の原料G、仕込み量に変更した以外は、製造例5-1と同様にして、イソインドリン化合物[5-3]を表7記載の量を得た。
Figure 2022188961000017
(製造例7-1)
98%硫酸1000部にイソインドリン化合物(4-2)0.4部、イソインドリン化合物(2-1)36.6部を撹拌しながら徐々に加え、4時間撹拌し溶解させた。次いで、溶解液を10℃の水8000部に撹拌しながら30分かけて徐々に滴下し、濾過、温水洗浄を行い、80℃で乾燥させ、微細化されたイソインドリン化合物[7-1]38.5部を得た。
<ポリウレタン樹脂の製造>
(合成例1)(ポリウレタン樹脂溶液[1]の製造)
アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールから得られる数平均分子量2,000のポリエステルジオール54.719部、イソホロンジイソシアネート3.989部、酢酸n-プロピル10.0部を窒素気流下に85℃で3時間反応させ、酢酸n-プロピル10.0部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液78.718部を得た。次いでイソホロンジアミン1.031部、ジ-n-ブチルアミン0.261部、酢酸n-プロピル30.4部及びイソプロピルアルコール19.6部を混合したものに、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液78.718部を室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、不揮発分30%、重量平均分子量60,000、アミン価3.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液[1]を得た。
(合成例2)(ポリウレタン樹脂溶液[2]の製造)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPA(数平均分子量2,000のポリ(プロピレングリコール)アジペートジオール)を161.9部、2,2-ジメチロールブタン酸(DMBA)27.7部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)96.4部、メチルエチルケトン(MEK)200部を仕込み、90℃で5時間反応させて末端イソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。得られた末端イソシアネート基ウレタンプレポリマー樹脂溶液に対し、2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール(AEA)13.6部、エタノールアミン(MEA)0.5部、イソプロピルアルコール(IPA)350部を混合したものを室温で60分かけて滴下し、更に70℃で3時間反応させた。更にMEK150部を用いて不揮発分を調整し、不揮発分30%、重量平均分子量35,000、Mw/Mn=3.0、酸価35.0mgKOH/g、水酸基価25.7mgKOH/gのポリウレタン樹脂溶液[2]を得た。
(合成例3)アルミニウムフタロシアニン
反応容器に、n-アミルアルコール1250部、フタロジニトリル225部、及び塩化アルミニウム無水物78部を加えて混合攪拌した。これに、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)266部を加え、昇温し、136℃で5時間還流した。攪拌したまま30℃まで冷却した反応溶液を、メタノール5000部、水10000部からなる混合溶媒中へ攪拌しながら注入し、青色のスラリーを得た。このスラリーを濾過し、メタノール2000部、水4000部からなる混合溶媒で洗浄し、乾燥して、135部の下記化学式(21)で示されるクロロアルミニウムフタロシアニンを得た。
次いで、反応容器中に、濃硫酸1500部を加え、次いで上記クロロアルミニウムフタロシアニン100部を氷浴下にて加え、25℃で4時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、乾燥して、98部の下記化学式(19)で示されるアルミニウムフタロシアニンを得た。
Figure 2022188961000018
(合成例4)チタニルフタロシアニン
反応容器に、1-ヘキサノール1280部、キノリン320部、1,3-ジイミノイソインドリン320部、及びオルトチタン酸テトラブチル206.3部を加えて混合攪拌した。155℃まで昇温し、8時間還流した。なお、系内から発生したnーブタノールは系内に戻らないように回収した。攪拌したまま60℃まで冷却した反応溶液に、メタノール1000部を加え、スラリーを濾過し、メタノール1000部、N-メチルピロリドン500部、メタノール1000部の順で洗浄し、乾燥して、250部の下記化学式(20)で示されるチタニルフタロシアニンクルードを得た。
Figure 2022188961000019
次いで、反応容器中に、濃硫酸1500部を加え、次いで上記チタニルフタロシアニンクルード100部を氷浴下にて加え、25℃で4時間撹拌を行った。続けて、この硫酸溶液を3℃の冷水9000部に注入し、生成した析出物をろ過、水洗、1%水酸化ナトリウム水溶液洗浄、水洗の順で処理を行い、ケーキを得た。次いで、反応容器中にジエチレングリコール1000部及び得られたケーキを加えて撹拌しスラリーとし、120℃で3時間撹拌を行った。60℃まで冷却したスラリーを濾過し、水5000部で洗浄して乾燥し、87部のチタニルフタロシアニンを得た。
<グラビア印刷インキの製造>
(製造例GY-1)
イソインドリン化合物[1-1]7.0部、ポリウレタン樹脂溶液[1]34.5部、N-プロピルアセテート20部、イソプロピルアルコール5部を撹拌混合し、サンドミルで練肉した後、ポリウレタン樹脂溶液[1]20部、N-プロピルアセテート11部、イソプロピルアルコール3部を添加し、イエローインキ[GY-1]を得た。
(製造例GY-2~GY-19、GC-1~GC-5、GM-1~GM-10)
イソインドリン化合物[1-1]7.0部を、表8に示した化合物及び表8記載の量に変更した以外は製造例GY-1と同様にして、表8記載のインキを得た。
Figure 2022188961000020
インキの製造に使用した顔料を表9に示す。
Figure 2022188961000021
<インキの経時粘度安定性評価>
イエローインキ[GY-1]~[GY-19]、シアンインキ[GC-1]~[GC-5]、マゼンタインキ[GM-1]~[GM-10]についてそれぞれを密閉容器に入れ、40℃で14日間保存を行った。その後、粘度を測定して、保存前との粘度変化を比較して評価した。なお粘度の測定は25℃でザーンカップNo.4の流出秒数にて行った。なお、いずれのインキも保存前のB型粘度計における粘度は40~500cps(25℃)の範囲内であった。結果を表10に示す。
(評価基準)
○:粘度変化が2秒未満(良好)
△:粘度変化が2秒以上5秒未満(実用可)
×:粘度変化が5秒以上(不良)
<インキセットの評価>
[実施例GS-1~GS-62、比較例GS-1~GS-19]
得られた各インキを表10に記載のとおり組み合わせて、インキセット1~81とした。
得られたインキセットについて、以下の方法でトラッピング性、ガマットを評価した。結果を表10に示す。
[トラッピング性]
(シアンインキ/イエローインキ)
シアンインキ及びイエローインキを、各々、混合溶剤1(メチルエチルケトン:N-プロピルアセテート:イソプロパノール=40:40:20)により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。
厚み12μmのコロナ放電処理ポリエステルフィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に、シアン、イエローの順で重ね印刷し、印刷物を得た(トラッピング性初期評価)。
印刷条件は、温度25℃、湿度60%、印刷速度100m/分、印刷距離4000mとした。シアンインキはヘリオ175線グラデーション版(版式コンプレスト、75%ベタ柄と100%~3%のグラデーション柄)を用い、イエローインキはヘリオ175線グラデーション版(版式エロンゲート、75%ベタ柄と100%~3%のグラデーション柄)を用いた。
また、シアンインキ及びイエローインキを、各々、密閉容器に入れ、40℃で14日間保存を行った後、上記と同様に希釈、印刷し、印刷物を得た(トラッピング性経時評価)。
(イエローインキ/マゼンタインキ)
イエローインキ及びマゼンタインキを、各々、上記混合溶剤1により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。
厚み12μmのコロナ放電処理ポリエステルフィルム(東洋紡社製 E-5100)のコロナ放電処理面に、イエロー、マゼンタの順で重ね印刷し、印刷物を得た(トラッピング性初期評価)。
印刷条件は、温度25℃、湿度60%、印刷速度100m/分、印刷距離4000mとした。イエローインキはヘリオ175線グラデーション版(版式エロンゲート、75%ベタ柄と100%~3%のグラデーション柄)を用い、マゼンタインキはヘリオ175線グラデーション版(版式エロンゲート、75%ベタ柄と100%~3%のグラデーション柄)を用いた。
また、イエローインキ及びマゼンタインキを、各々、密閉容器に入れ、40℃で14日間保存を行った後、上記と同様に希釈、印刷し、印刷物を得た(トラッピング性経時評価)。
得られた印刷物のグラデーション重ね印刷部分について、キーエンス社製マイクロスコープ(VHX-5000)を用いてトラッピング性を観察し、以下の基準で評価した。
○:印刷ムラが版深70%未満で発生する(良好)
△:印刷ムラが版深70%以上、80%未満で発生する(使用可能)
×:印刷ムラが版深80%以上で発生する、又は、重ねのインキがすべて網点となり、濡れ広がっていない(使用不可)
[ガマット評価]
(初期評価)
シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを、上記混合溶剤1により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。希釈した各インキを用いて、シアン、マゼンタ、イエローの刷り順で印刷し、単色ベタ部(シアン、マゼンタ、イエロー)、単色ベタ刷り重ね部(シアン×マゼンタ、シアン×イエロー、イエロー×マゼンタ)を有する印刷物を得た。印刷条件を以下に示す。
(印刷条件)
印刷機:富士機械5色機
シアン版:ヘリオ175L/inch、スタイラス角度120°、エロンゲート
マゼンタ版:ヘリオ175L/inch、スタイラス角度120°、コンプレスト
イエロー版:ヘリオ175L/inch、スタイラス角度120°、コンプレスト
印刷速度:150m/分
基材:コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(東洋紡績(株)製パイレンP-2161、20μm)
乾燥温度:50℃
得られた印刷物について、グレタグマクベスD196を用いて印刷物の単色ベタ部(イエロー、マゼンタ、シアン)の濃度値を測定した。また、測定機としてgretagmacbeth製SpectroEyeを使用し、D50光源、2度観測視野、ホワイトバック(標準白色板使用)、フィルター類未使用の条件で、単色ベタ部及び重ね刷り部を測色した。
a*を横軸、b*縦軸とした2次元空間に、単色ベタ部(イエロー、マゼンタ、シアン)、及び、単色ベタ刷り重ね部(シアン×マゼンタ、シアン×イエロー、イエロー×マゼンタ)計6色のa*対b*の値を、プロットした六角形を作成し面積を求めた。基準となる比較例の面積を100%とした場合の面積比を求め、その面積比から以下の基準で評価した。具体的には、実施例GS-1~GS-5、GS-9、GS-11~GS-18、GS-23~GS-28、及び比較例GS-3~GS-11、GS-16は、比較例GS-1を基準とした。また、実施例GS-10は、比較例GS-2を基準とした。また、実施例GS-33~GS-38は、比較例GS-17を基準とした。なお、-は未評価であることを表す。
(評価基準)
○:面積比が90%以上である(良好)
△:面積比が85%以上、90%未満である(使用可能)
×:面積比が85%未満である(使用不可)
(経時評価)
シアンインキ、マゼンタインキ、イエローインキを、各々、密閉容器に入れ、40℃で14日間保存を行った後、初期評価と同様に希釈、印刷し、印刷物を得た。
得られた印刷物について、上記の初期評価と同様に測色した。
a*を横軸、b*縦軸とした2次元空間に、単色ベタ部(イエロー、マゼンタ、シアン)、及び、単色ベタ刷り重ね部(シアン×マゼンタ、シアン×イエロー、イエロー×マゼンタ)計6色のa*対b*の値を、プロットした六角形を作成した。各実施例・比較例の経時評価における面積を、初期評価の面積で除した面積比を求め、その面積比から以下の基準で評価した。-は未評価であることを表す。
(評価基準)
○:面積比が98%以上である(良好)
△:面積比が95%以上、98%未満である(実用可)
×:面積比が95%未満である(不良)
Figure 2022188961000022
表10によれば、本発明のグラビア印刷インキセットは、従来のインキセットと比較して、ガマットの面積比は同等以上であり、良好な色再現性を有していた。また、イエローインキの経時粘度安定性が向上し、インキセットとしての保存安定性が良好であった。さらに、各色のトラッピング性および色再現性(ガマット)においても、経時評価が良好であり、インキセットとしての保存安定性が良好であった。
一方、比較例GS-1~GS-19は、イエローインキの経時粘度安定性が悪く、各色のトラッピング性および色再現性(ガマット)においても、経時評価が不良であったため、インキセットとしての保存安定性が悪く、本願の課題を解決できない。
<クリアインキの製造>
(クリアインキ[1]の作製)
ポリウレタン樹脂溶液[2](不揮発分30%)87部、酢酸エチル(EA)5部、IPA5部、シリカ(水澤化学社製「P-73」、平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)3部を、ディスパーを用いて撹拌混合して、クリアインキ[1]を得た。
<脱離性を有する接着剤の製造>
(ラミネート接着剤溶液[1]の作製)
四つ口セパラブルフラスコに、テレフタル酸82部、イソフタル酸682部、アジピン酸236部、エチレングリコール236部、ネオペンチルグリコール525部、1,6-ヘキサンジオール405部を仕込み、220~260℃でエステル化反応を行った。所定量の水の留出後、徐々に減圧し1mmHg以下、240~260℃で5時間脱グリコール反応を行った。その後、イソホロンジイソシアネート2部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオール100部に、無水トリメリット酸2.83部を添加し、180℃で約2時間反応させた。次いで酢酸エチルで不揮発分50%に希釈して、数平均分子量6,000、酸価16.5mgKOH/gである部分酸変性ポリエステルポリオール溶液を得た。
得られたポリオール溶液100部と、HDIビウレットの不揮発分95%酢酸エチル溶液7.94部とを混合し、酢酸エチルを加えて不揮発分30%のラミネート接着剤溶液[1]を得た。
<包装材料の製造>
[実施例GP-1]包装材料1
シアンインキ[GC-1]、マゼンタインキ[GM-1]、イエローインキ[GY-1]を、上記混合溶剤1により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。
希釈した各インキを用いて、版深20μmのグラビア版を備えたグラビア校正5色機と、ブラックインキ(リオアルファ R92墨(東洋インキ社製))、シアンインキ[GC-1]、マゼンタインキ[GM-1]、イエローインキ[GY-1]、ホワイトインキ(リオアルファ R631白(東洋インキ社製))を含むインキセット101とを用いて、厚み20μmのコロナ処理延伸ポリプロピレンフィルムに対し、ブラックインキ、シアンインキ[GC-1]、マゼンタインキ[GM-1]、イエローインキ[GY-1]、ホワイトインキの順で重ね印刷し、各ユニットにおいてはそれぞれ50℃にて乾燥し、「OPP基材/ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー又はホワイトの印刷層」の構成である印刷物を得た。
次いで、得られた印刷物の印刷層上に、ウレタン系ラミネート接着剤(東洋モートン社製TM320/CAT13B、不揮発分30%酢酸エチル溶液)を、乾燥後塗布量が2.0g/mとなるように塗工し乾燥した後、接着剤層上に、厚み50μmの未延伸ポリエチレン(PE)フィルムを貼り合わせ、「OPP基材/5色重ね印刷層/接着剤層/PE基材」の構成である包装材料1を得た。
[実施例GP-2~GP-62]包装材料2~62
実施例GP-1で使用したインキセット101を、表11に示すインキセットに変更した以外は実施例GP-1と同様にして、脱離層を有する包装材料2~62を得た。
Figure 2022188961000023
[実施例GP-101]包装材料101
上述のクリアインキ[1]を、EA/IPA混合溶剤(質量比70/30)により、粘度が15秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。
シアンインキ[GC-1]、マゼンタインキ[GM-1]、イエローインキ[GY-1]を、上記混合溶剤1により、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。
希釈した各インキを用いて、版深20μmのグラビア版を備えたグラビア校正5色機と、クリアインキ[1]、シアンインキ[GC-1]、マゼンタインキ[GM-1]、及びイエローインキ[GY-1]を含むインキセット201とを用いて、厚み20μmのコロナ処理延伸ポリプロピレンフィルムに対し、クリアインキ[1]、シアンインキ[GC-1]、マゼンタインキ[GM-1]、及びイエローインキ[GY-1]の順で重ね印刷し、各ユニットにおいてはそれぞれ50℃にて乾燥し、「OPP基材/脱離層(クリアインキ)/シアン、マゼンタ又はイエローの印刷層」の構成であり、脱離性を有する層を含む印刷物を得た。
次いで、得られた印刷物の印刷層上に、ドライラミネート機を用いてラミネート接着剤溶液[1]を塗工し、ライン速度40m/分にて、厚み25μmのアルミニウム蒸着無延伸ポリプロピレン(VMCPP)フィルムと貼り合わせ、「OPP基材/脱離性を有する印刷層/3色重ね印刷層/脱離性を有する接着剤層/VMCPP基材」の構成であり、脱離層を有する包装材料101を得た。
[実施例GP-102~GP-162]包装材料102~162
実施例GP-101で使用したインキセット201を、表12に示すインキセットに変更した以外は実施例GP-101と同様にして、脱離層を有する包装材料102~162を得た。
Figure 2022188961000024
本発明のグラビア印刷インキセットを使用することで、包装材料を作製できた。
<水性インクジェットインキの製造>
(製造例JY-1)
(インクジェット用水性着色組成物(以下「IJ用水性着色組成物」)[JY-1]の調製)
下記の材料と、直径1.25mmジルコニアビーズ200部とを200mlのガラス瓶に仕込み、レッドデビル社製ペイントシェーカーにて6時間分散した。
・イソインドリン化合物[1-1]:19.0部
・スチレン-アクリル酸共重合体(BASFジャパン社製、ジョンクリル61J):16.4部
・界面活性剤(花王社製、エマルゲン420):5.0部
・イオン交換水:59.6部
次いで、上記分散液からジルコニアビーズを除去して、IJ用水性着色組成物[JY-1]を得た。
(水性インクジェットインキ(以下「水性IJインキ」)[JY-1]の調製)
水性IJ分散体1を33部、ブチルジグリコールを5部、1,2-プロパンジオールを15部、Joncryl HPD96(BASF社製、水溶性樹脂)を8.8部、ケミパールW400S(三井化学社製、リオレフィン水性ディスパージョン)を1.25部、サーフィノールDF110D(日信化学工業社製、消泡剤)を0.5部、BYK-348(ビックケミージャパン社製、シリコン系界面活性剤)を1部、トリエタノールアミンを0.1部、プロキセルGXL(Lonza社製、防腐剤)を0.15部、イオン交換水35.2部をハイスピードミキサー混合し、0.5μmメンブランフィルターでろ過し、水性IJインキ[JY-1]を得た。
(製造例JY-2~JY-16、JC-1~JC-3、JM-1~JM-6)
(IJ用水性着色組成物[JY-2]~[JY-16]、[JC-1]~[JC-3]、[JM-1]~[JM-6]、および水性IJインキ[JY-2]~[JY-16]、[JC-1]~[JC-3]、[JM-1]~[JM-6]の調製)
製造例JY-1のイソインドリン化合物[1-1]19.0部を、表13に示した化合物及び表13記載の量に変更した以外は製造例JY-1同様にして、表13記載に示すIJ用水性着色組成物[JY-2]~[JY-16]、[JC-1]~[JC-3]、[JM-1]~[JM-6]、および水性IJインキ[JY-2]~[JY-16]、[JC-1]~[JC-3]、[JM-1]~[JM-6]を得た。
Figure 2022188961000025
インキの製造に使用した顔料を表14に示す。
Figure 2022188961000026
<インキの経時粘度安定性評価>
水性IJインキ[JY-1]~[JY-16]、[JC-1]~[JC-3]、[JM-1]~[JM-6]についてE型粘度計(東機産業社製「ELD型粘度計」)を用いて、25℃における初期粘度を測定した。同様にして、25℃で4週間経時後、及び、50℃で4週間経時促進後の粘度を測定した。それぞれの測定値を用いて、初期粘度に対する粘度増加率を算出し、粘度安定性の一つの指標とし、以下の基準に従って評価した。結果を表15に示す。粘度増加率が小さいほど粘度安定性に優れていると考えられ、下記評価基準で「4」、「3」及び「2」であれば、実用可能なレベルである。
(粘度安定性の評価基準)
4:粘度増加率が、15%未満である。
3:粘度増加率が、15%以上25%未満である。
2:粘度増加率が、25%以上40%未満である。
1:粘度増加率が、40%以上である。
<インキセットの評価>
[実施例JS-1~JS-27、比較例JS-1~JS-13]
得られた各水性IJインキを表15に記載のとおり組み合わせて、インキセット201~240とした。
得られたインキセットについて、以下の方法でガマットを評価した。結果を表15に示す。
[ガマット評価]
(初期評価)
幅方向の解像度600dpi、最大吐出周波数30kHzのインクジェットヘッド(京セラ社製「KJ4Bシリーズ」)を用いたラインパス型のインクジェットプリンターにて、各インキセットの、イエローインキ、マゼンタインキ、シアンインキをそれぞれのヘッドに充填して、コート紙(王子製紙(株)製OKトップコートN、坪量104.7g/m)に、600×600dpiの解像度で、カラーチャート画像(X-rite製profilemaker用チャート画像「TC3.5 CMYK i1_i0」)を印刷し、評価用印刷物を作成した。
得られた評価用印刷物のカラーチャート部を、分光光度計(X-rite製i1 i0 Pro)および測色ツール(X-rite製MesurementToolおよびprofilemaker)を用いて測色し、L*a*b*色空間における色再現領域をプロットした。測定条件は、光源D50、2度視野、測定光学45/0°で行った。得られた各プロットから面積を求めた。基準となる比較例の面積を100%とした場合の面積比を求め、その面積比から以下の基準で評価した。具体的には、実施例JS-1~JS-6、JS-8~JS-21、及び比較例JS-3~JS-12は、比較例JS-1を基準とした。また、実施例JS-7は、比較例JS-2を基準とした。また、実施例JS-22~JS-27は、比較例JS-13を基準とした。
(評価基準)
○:面積比が90%以上である(良好)
△:面積比が85%以上、90%未満である(使用可能)
×:面積比が85%未満である(使用不可)
(経時評価)
各水性IJインキを、各々、密閉容器に入れ、50℃で4週間保存を行った後、初期評価と同様に印刷し、評価用印刷物を作成した。得られた印刷物について、初期評価と同様に測色し、得られた各プロットから面積を求めた。各実施例・比較例の経時評価における面積を、初期評価の面積で除した面積比を求め、その面積比から以下の基準で評価した。
(評価基準)
○:面積比が98%以上である(良好)
△:面積比が95%以上、98%未満である(実用可)
×:面積比が95%未満である(不良)
Figure 2022188961000027
表15によれば、本発明の水性IJインキセットは、従来のインキセットと比較して、ガマットの面積比は同等以上であり、良好な色再現性を有していた。また、イエローインキの経時粘度安定性が向上し、インキセットとしての保存安定性が良好であった。さらに、色再現性(ガマット)においても、経時評価が良好であり、インキセットとしての保存安定性が良好であった。
一方、比較例JS-1~JS-13は、イエローインキの経時粘度安定性が悪く、色再現性(ガマット)においても、経時評価が不良であったため、インキセットとしての保存安定性が悪く、本願の課題を解決できない。

Claims (7)

  1. 少なくとも、イエローインキ、シアンインキ、及びマゼンタインキを含むインキセットであって、
    イエローインキが、下式(1)で表されるイソインドリン化合物及び下式(2)で表されるイソインドリン化合物とバインダー樹脂とを含む、インキセット。
    Figure 2022188961000028

    [式中、R、Rは、水素原子を表し、
    Aは、下式(3)又は下式(4)で表される基を表す。]
    Figure 2022188961000029

    [式中、Xは-O-又は-NH-を表し、Rはアルキル基又はアリール基を表し、
    、Rは水素原子を表す。]
  2. 請求項1記載のインキセットを含む、グラビア印刷インキセット。
  3. 請求項1記載のインキセットを含む、インクジェット用インキセット。
  4. さらに、クリアインキを含む、請求項2に記載のグラビア印刷インキセット。
  5. 基材、及び請求項2に記載のグラビア印刷インキセットから形成された印刷層を含む、印刷物。
  6. 基材、請求項2に記載のグラビア印刷インキセットから形成された印刷層、及びクリアインキから形成された脱離層を含む、印刷物。
  7. 請求項5又は6に記載の印刷物を含む、包装材料。
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